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核融合科学技術委員会(第21回)・原型炉開発総合戦略タスクフォース(第20回)議事録

1.日時

令和2年6月29日(月曜日)13時~15時

2.場所

開催方法:オンライン開催

3.議題

(1)核融合科学技術委員会(第20回)書面審議結果について
(2)第26回ITER理事会の開催結果及びBAフェーズⅡの開始について
(3)原型炉に向けた技術基盤構築の進捗状況について
  (レーザー核融合研究開発の進捗状況に係るヒアリング)
(4)原型炉設計合同特別チームの活動について
(5)原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化について
 

4.出席者

委員

小川主査(核融合科学技術委員会)、岡野主査(原型炉開発総合戦略タスクフォース)

核融合科学技術委員会
五十嵐委員、上田委員、大野委員、尾崎委員、岸本委員、栗原委員、小磯委員、兒玉委員、高梨委員、竹入委員、松尾委員

原型炉開発総合戦略タスクフォース
伊神委員、今澤委員、奥本委員、笠田委員、木戸委員、坂本委員、中島委員、蓮沼委員、東島委員、福家委員、藤岡委員、吉橋委員

文部科学省

生川研究開発局長、千原審議官(研究開発局担当)、新井研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、近江室長補佐、川窪核融合科学専門官、長壁科学官、近藤学術調査官

オブザーバー

量子科学技術研究開発機構 坂本宜照グループリーダー
自然科学研究機構核融合科学研究所 今川信作教授


 

5.議事録

【小川主査】 本日は,御多忙のところ,御参加いただき,ありがとうございます。定刻になりましたので,第21回核融合科学技術委員会及び第20回原型炉開発総合戦略タスクフォース合同会議を開催します。今回は,新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにて開催します。司会進行については,全体の進行を委員会主査の私が担当しますが,タスクフォースに関わる部分については岡野主査に進行していただきます。
それでは,議事に入る前に,事務局より新たな委員,科学官,学術調査官の紹介と定足数の確認,配付資料の確認をお願いします。
【川窪専門官】 吉澤の後任として,本年4月に着任しました川窪と申します。コロナ禍でメールのみでの御挨拶となっていましたが,改めまして,よろしくお願いいたします。
それでは,今回より新たに核融合科学技術委員会委員に御就任いただいた方を御紹介させていただきます。
まず,前科学官で大阪大学大学院工学研究科教授の上田良夫委員でいらっしゃいます。
【上田委員】 大阪大学の上田です。よろしくお願いいたします。
【川窪専門官】 続きまして,所属先の人事異動に伴い,牛草委員に代わり御就任いただいた国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構核融合エネルギー部門,部門長の栗原研一委員でいらっしゃいます。栗原先生,いらっしゃいますか。まだ参加されてないようですので,追って御紹介させていただきます。
次に,本年4月に新たに御就任いただいた科学官,学術調査官を御紹介させていただきます。
核融合科学研究所ヘリカル研究部プラズマ加熱研究系教授の長壁正樹科学官でいらっしゃいます。
【長壁科学官】 長壁です。この春から科学官にならせていただきました長壁です。よろしくお願いします。
【川窪専門官】 よろしくお願いいたします。次に,東京工業大学科学技術創成研究院先導原子力研究所准教授の近藤正聡学術調査官でいらっしゃいます。
【近藤学術調査官】 よろしくお願いします。近藤です。専門は核融合炉ブランケット等におけるエネルギー変換を研究しております。最近は,アウトリーチ活動の一環としてボードゲームを作成したり,専門家をお迎えして,コロナ禍の学生を対象に,リモートでのインフォーマルミーティング等を繰り返し実施したりしています。よろしくお願いします。
【川窪専門官】 ありがとうございます。それでは,本日の委員の御出欠ですけれども,参考資料1の3ページ目にお送りしましたとおりで,尾崎弘之委員が15分遅れて御参加予定です。本会議の定足数は過半数,委員会が9名以上,タスクフォース7名以上でございます。本日は委員会12人,追って13人の委員,そして,タスクフォースの方は12人の委員の方に御出席いただいておりますので,定足数を満たしていることを御報告いたします。
次に,本日の配付資料についてですが,議事次第の配付資料一覧のとおりです。
以上です。
【小川主査】 続きまして,本委員会は委員会運営規則に基づき,議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され,ホームページ等で公開されますので御承知おきください。
本日は,議題4及び議題5の説明者として,量子科学技術研究開発機構の坂本宣照・核融合炉システム研究グループリーダーに御出席いただいております。また,議題5の説明者として,核融合科学研究所の今川信作教授に御出席いただいております。
また,文部科学省研究開発局より生川局長,研究開発局担当の千原審議官に御出席いただいております。
議事に先立ちまして,生川局長より御挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【生川局長】 ありがとうございます。小川先生,恐縮でございます。研究開発局長の生川でございます。本日の合同会議の開催に当たりまして,事務局を代表して一言御挨拶を申し上げたいと思います。
新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて,先ほど御紹介ありましたように,本日はオンラインでの開催をさせていただきたいと考えておりますが,そのような状況下においても核融合の取組は着実に進んでおります。関係の皆様の御尽力に改めて感謝を申し上げたいと思います。
ITER計画では,現地サイトでの組立て,据付けが本年より本格化をしているところでございます。最も重要な機器の1つである超伝導コイルについては,日本が初号機を本年1月に完成をさせ,4月にフランスの建設サイトに納入するなど,機器製作等を着実に進めているところであります。
また,BA活動では,これまでの取組を発展的に継続させる,こういう観点からフェーズⅡの協議を進めてきたところでありますが,3月に日欧間で合意に至りました。QSTの那珂研究所ではJT-60SAの組立が完了し,運転開始に向け準備が進められていると承知をいたしております。また,新たなスパコン「雷神」が立ち上がった核融合科学研究所や阪大のレーザー科学研究所などでも着実に研究開発が進んでいると認識をいたしております。
文部科学省といたしましても,核融合エネルギーの早期実現に向けて,引き続き研究開発にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところであります。委員の先生方におかれましても,本日の会議において活発な御議論を頂きますとともに,核融合研究開発への引き続きの御支援,御指導をお願い申し上げまして,簡単ではございますが,私の御挨拶に代えさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
【小川主査】 生川局長,ありがとうございました。コロナ禍で大変ですけれども,核融合の支援,今後ともよろしくお願いいたします。
【生川局長】 はい,頑張ります。
【小川主査】 よろしくお願いいたします。
次に,議題1に入る前に,栗原委員,一言,自己紹介をお願いいたします。
【栗原委員】 量研機構の栗原でございます。今年度はITER,そしてBA活動,共に大きな変革期を迎えます中で,また引き続きの御指導をよろしくお願いしたいと思います。精いっぱい務めさせていただきます。今後ともよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。
【小川主査】 ありがとうございました。
それでは,早速議題に入っていきたいと思います。議題1「核融合科学技術委員会(第20回)書面審議結果について」に入ります。6月3日から10日に委員会を書面審議で行いましたので,その結果について2点報告します。
まず,運営規則の一部改正についてです。新井戦略官から御説明をお願いいたします。
【新井戦略官】 資料の1-1を御覧いただければと思います。6月3日から10日に第20回委員会書面審議を頂きました。ここでの結果の御報告になります。資料1-1の第3条及び第4条,この下線が引いてあるところが改正部分でありまして,ここで御承認を頂いたということであります。
内容としましては,このようなリモートで会議を開催するために必要な規定の整備,これが第3条関係です。第4条関係が,書面による審議に関する規定の整備ということで,ほかの委員会でもこのような規定をこのような文言で整備をしておるということで,本委員会においても,この案を出させていただいて御承認を頂いた,そういったことでございます。
以上です。
【小川主査】 ありがとうございました。文科省のほかの委員会等も踏まえまして,同様な形で改定させていただきました。一部改正を踏まえまして,主査が定める指針を参考資料2のとおり決定しましたので,併せて御確認いただければと思います。
続きまして,研究開発プログラム評価票についてです。新井戦略官から御説明をお願いいたします。
【新井戦略官】 資料1-2を御覧いただければと思います。研究開発プログラム評価ということで,去年の前々回の委員会で御紹介をした案件になります。我々の委員会の親委員会である計画・評価分科会,こちらで研究開発評価のやり方をいろいろ模索しております。その1つで,目標を,大目標,中目標,あと課題,それぞれに評価がありますけれども,課題を束ねた中目標レベルで評価を行う,これをプログラム評価と銘打って試行的に実施をしたい,そういったことに対してこの評価票をまとめていただいたということでございます。
資料のとおりでございますけれども,中目標は一番上の囲いに書いてあるものであります。その下の表ですが,測定指標,事業名,予算規模等々についてまとめさせていただいて,それから,4ページ,5ページになりますが,「研究開発プログラム評価に当たっての気づき」ということで整理,取りまとめを頂いたところであります。試行的実施の結果ということで,計画・評価分科会で評価の改善,評価の取組についていろいろ議論がなされていますけれども,そこに試行的な結果として提出する,そういったステータスのものであります。
以上です。
【小川主査】 ありがとうございました。この評価票に関しましては,メール審議で皆様から御議論いただきました。それで,何人かの委員からはコメントを頂きましたので,それを踏まえまして改定いたしました。それがこの資料1-2でございます。先ほど,新井戦略官からもありましたように,この計画・評価委員会では,今,どのように評価をやっていこうかというのを試行している段階でして,そのやり方の一つとしてこの評価票を利用していこうというものでございます。ですので,これが最終的な評価票として議論されるというよりも,考え方を計評委員会で取り上げているという立ち位置だと思っております。
以上がこの背景ですけれども,この資料に関しまして何か質疑がありましたら,手を挙げていただければと思います。ありがとうございます。それでは,一応,この案を本委員会案として計画・評価分科会に提出させていただきます。
続きまして,議題2に入りたいと思います。議題2「第26回ITER理事会の開催結果及びBAフェーズⅡの開始について」に入ります。新井戦略官から御説明をお願いいたします。
【新井戦略官】 まず,資料2-1,こちら,「第26回ITER理事会の結果について」ということであります。1ページを御覧いただきまして,6月17日,18日,年2回定例でやっていますITERの理事会が開催されました。今回,コロナの状況もありますので,初めてリモートでの開催,テレビ会議による開催ということでありました。7極の事業で7極から委員が出ていますけれども,日本からは文科省の山脇文部科学審議官,それから,QSTの鎌田那珂研究所副所長ほかが委員として参加をしております。
2ページ目を御覧いただければと思います。結果の概要ということであります。ITER計画の進捗について,こちらの状況報告がメインの議題としてございまして,2025年のファーストプラズマまで約70%建設が進捗しているということであります。コロナ禍においても,主要なマイルストーンが達成されたことについては,コロナの状況がある中で,ITER機構では直ちに事業継続チームを立ち上げて,主要なマイルストーンに遅れが出ないように作業を続けているということであります。その関係で,各極が機器を造って納入をしていますけれども,先ほど局長からも申し上げましたとおり,日本でTFコイルの世界初号機を完成させてサイトへ納入しました。2号機についてもフランスには着いておりまして,現地に向かっているところであります。それから,欧州が造った初号機もサイトに納入されているということであります。
それから,真空容器は,韓国等が担当しておりますけれども,初号機が完成して,今,現地に向かっているところであります。
(3)が,組立て建屋とトカマク建屋を結ぶクレーンの完成ということで,右側に図がありますけれども,トカマクを設置場所に物をいろいろ運ぶためのクレーン,非常に大型のクレーンですけれども,これも完成したということであります。
申し遅れましたけれども,その上の写真がTFコイルを日本から出す前に,完成の式典を開いたときの写真であります。ビゴ機構長も出席で,核融合委員会の先生方にも何人か御出席を頂いたものであります。ありがとうございました。
それから,文字の方に戻りまして,(3)の下ですけれども,コロナの感染の状況が継続しているということであります。主要なマイルストーンは達成をされている中で,これからコロナの状況を見ていかなきゃいかんということは他方であるということで,ITER機構がプロジェクトに与える影響を分析して,次回の11月の理事会において各極で意見交換をする予定にしております。
3ページは進捗の写真でありますけれども,真ん中にITERのトカマク建屋と組立て建屋が大きくつながっているところの写真があります。右側,日本の機器製作でありますけれども,4月に日本が造ったTFコイルが届いたときのミニ式典です。みんなが出席できるような式典はなかなかできなかったということで,ITER機構の幹部職員,あるいはドメイン長の皆さんが出たミニ式典であります。
2-1については以上です。
次,2-2,ブロードアプローチについてであります。1ページ目,ブロードアプローチ活動の概要です。これは,ITERを補完する活動かつ原型炉に向けた基盤技術開発ということで,日欧でやっているものであります。現場は,青森県の六ヶ所村と茨城県の那珂市ということで,QSTのそれぞれ研究所が担当しているものであります。
2ページ目を御覧いただきまして,BAフェーズⅡにつきましては,この委員会でも去年,事前評価をしていただきました。7月に事前評価を取りまとめていただいて,計画・評価分科会に8月に報告をした経緯がございます。その後,日欧担当者間での協議,あるいは予算要求のプロセス等々がありましたが,今年の3月2日に,このBA活動を行うときに必要な財源的な措置について述べた日欧の共同宣言というものに署名をしました。これも経緯です。
あと,ブロードアプローチについても年に2回,日欧の政府あるいは専門家の関係者で運営委員会というのをやっておりますけれども,次回の委員会,7月6日に運営委員会をする予定になっております。
3ページに行っていただきまして,先ほど申し上げた,3月に日欧政府代表が署名した共同宣言であります。写真がありますけれども,欧州側がシムソン欧州委員,エネルギー担当の閣僚になります。日本は,欧州政府代表部の児玉大使に署名頂いたということであります。
共同宣言のポイントでありますけれども,BA活動自体は2007年から始まっています。今年の3月までが区切りで次のフェーズに行ったということで,日欧の事業に関係する貢献割合は,日欧1対1です。ただ,日本がホストをしているということで,例えば,租税公課関係であるとかサイトの光熱水料,そういったものの負担が別途あるということで,一番下に細かい字で書いてありますけれども,当面5年間の活動で,日本側は平均で74億円程度,欧州側が3,825万ユーロの負担をすることを想定しながら進めていく,そういった共同宣言になっております。
4ページ目,こちらは今までも少しこういった情報を出したことはありますが,フェーズⅡの主要な目標ということで,3事業ありますが,1つ目のIFMIF/EVEDA事業です。材料照射試験用の原型加速器を造っていくもので,こちらをフェーズⅡで完成して,連続運転ができるように高度化していくというものであります。
2つ目がIFERC事業と言っているものでありますけれども,原型炉設計のためのシミュレーションコード群の開発であるとか,あるいは,ITERの遠隔実験,遠隔解析に向けた環境を整備していく,こういった活動をしていく予定にしております。
3つ目,サテライト・トカマク事業ということで,JT-60SA,こちら,トカマク装置としての装置の組み上げは終わりましたけれども,更にITER支援のためにITERのコミッショニングやプラズマ制御性向上に貢献していくといった活動をしていく予定にしております。
5ページ目が,先ほど申し上げましたJT-60SAの組立て完了ということで,3月に完了して,これからファーストプラズマを含む統合試験運転の開始に向けて進めていくということであります。
ITER機構とBAの協力ということで,去年の11月にITERとQSTと,欧州側の機関であるFusion for Energy,こちら3者の協力の覚書も結びまして,ITERとの関係を更に強化して進めていくと,そういったことで進んでいるところであります。
以上です。
【小川主査】 ありがとうございました。この1年間で,特にこの春先,ITERのTFコイルの日本の初号機がITERに着いたとか,JT-60SAの組立てが完成したとか,本来ならば非常にお祝いしたい事項ですけれども,コロナ禍のためにお祝いできなくて残念なところですが,着々と進んでいることは非常によいことだと思います。
それでは,本件に関しまして御意見,御質問がありましたら挙手をお願いします。
岡野さん,手が挙がっていますので,お願いします。
【岡野主査】 岡野です。よろしくお願いします。何回か申し上げたことですが,BAの活動を御紹介いただくときに,1ページはSAがトップになっていて,4ページはIFMIFがトップになっていますが,BA活動が始まったときの経緯は,毎回申し上げますが,IFERCがあって,そこで原型炉を設計して,それのための研究をSAとIFMIF-EVEDAでやるという位置づけが明確でした。これがいつからか変わりましたが,順番を変える理由がないので,是非この順番は守ってほしいなと思っています。やはり基本的なところで何か変わったのかという疑いを持たれるし,実際にIFERCの運営委員会でも,順番が違うのが問題になったことがあります。ですから,ちょっと認識を変えて,特にお考えがあってやっていらっしゃるのではなくて,ひょっとして予算が大きい順に書かれているだけかなとは思いますが,そういうことは過去においてはなかったので,予算を財務省に見せるときとか,あるいは海外の特にIFMIFを一緒にやっている国とやるときとかはしようがないですけれども,こうやって日本の中の委員会でその順番はおかしいので,是非直してください。
【小川主査】 戦略官,コメントをお願いします。
【新井戦略官】 先生,ありがとうございます。先生から,前々回でしょうか,その御指摘を頂いたことを我々も重々承知しております。実は,4ページ目のこの順番,IFMIF,IFERC,STP,これは協定上の附属書の順番ということで御理解いただければと思います。1ページ目については,実は予算の資料をこちらに借用させていただいたという経緯もありまして,数字が大きいものを(1)にしています。
【小川主査】 ありがとうございました。
笠田委員から手が挙がっていますので,笠田委員,お願いします。
【笠田委員】 ありがとうございます。このようなコロナ禍の中で着実に関係各所の御尽力によって計画が進んでいることに敬意を表したいと思います。一方で,やっぱり従来型の式典とかお祝いとかプレスリリースみたいなことが非常に難しい状況にあると思います。けれども,一方で,近藤学術調査官が主催していましたように,意外とウェブで,こういった時期だからこそ科学に興味を持つというチャンスの場所でもあるので,時機を逸さないうちに,ヘッドクオーターがございますし,そういった活動を是非プッシュしていただきたいなと思った次第です。コメントです。
【小川主査】 ありがとうございます。私も正にそのように思います。文科省の方,いかがでしょうか。
【新井戦略官】 御指摘のとおり、コロナ禍で従来型の式典の開催等はなかなか難しかったということはありますけれども,その中では,我々,できることは何があるのかというのは文科省としても同じ思いを当然持っております。文科省の中で核融合のポータルサイトをヘッドクオーターの下でいろいろ議論いただきまして,立ち上げをしました。去年後半から始まりまして,こちら,文部科学大臣賞も頂いたところです。そこで,実はQSTやITER等,各機関のソーシャルメディアをリンクして,どんどん新しい情報が出てくるようにしております。そこで,こういった,特にITERの関係では,調達機器が現地に届いたとか,そういったものを発信しております。
ITERの方は,英語になりますけれども,結構発信をしておりますので,我々もそれをうまくリンクして発信していく取組をしております。
あと,JT-60SAの方でありますけれども,こちらについて,どういったタイミングでお披露目をしていくのかというところは,目下の状況も踏まえて,効果的なやり方でこれから,どういうやり方でやっていけばいいのかというのを,QSTとも検討しながら進めていきたいと思っております。
以上です。
【小川主査】 非常に重要なことですので,QSTの委員であります栗原部門長からも,是非この辺,積極的に進めていただければと思いますが,栗原委員,いかがでしょうか。
【栗原委員】 正にその御指摘,ごもっともだと思います。我々も,できる限りチャンスを見つけて広報していきたいと思います。これまでもいろんな取材のときに,現地に取材の方がいらしたのですが,このコロナの関係がありまして,最近ではネット取材というのをやっていただけることになりました。そういったいろんなチャネルを生かしまして,これからもできる限り,一般のメディアに対してもいろいろな広報をやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【小川主査】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは,本議題は終了して,次の議題3に移りたいと思います。議題3以降はタスクフォースに関連する議題ですので,岡野主査に進行をお願いいたします。岡野主査,よろしくお願いします。
【岡野主査】 岡野でございます。よろしくお願いします。タスクフォースの関連する事項が続きますので,私から司会をさせていただきます。
それでは,議事3「原型炉に向けた技術基盤構築の進捗状況について」に入ります。これまでタスクフォースでアクションプランに沿った進捗の状況を確認してきたわけでございますが,本日は藤岡委員からレーザー方式の進捗状況について御発表いただきます。
それでは,藤岡委員,お願いいたします。
【藤岡委員】 よろしくお願いいたします。本日は,レーザー方式の進捗状況ということで,お手元の資料に沿いまして説明させていただきたいと思います。
まず,2ページ目になります。ページ番号は右下に振っております。これはまとめですが,まず,レーザー方式から原型炉に資する研究課題ということですが,これに関しましては,アクションプランの作成のときに,レーザー方式から原型炉に資する技術課題の整理というものを行いました。その後,レーザー方式と磁場方式の研究者が議論を行いながら,原型炉に資する研究開発というものを検討・実施してまいりました。
2つ目の内容につきましては,本日は割愛させていただきます。
3つ目が,レーザーエネルギー実現を加速するパワーレーザープラットフォームということで,我々としまして,次期の計画として,パワーレーザーの技術革新によって,高繰り返しレーザーを用いた核融合科学の展望が開かれたと考えておりますので,それについて紹介させていただきたいと思います。
3ページ目になります。最初に,左上の方に書かれておりますように,アクションプランにおけるレーザー方式の位置づけについて再度確認させていただきたいと思います。まず,ヘッドラインに書いていますが,アクションプランの策定時にレーザー方式と原型炉の共通技術基盤というものについて整理が行われました。それと併せて,レーザー炉特有の研究開発も参考資料として作成されております。
その下の文章は,アクションプランの前書きのところに書かれているものですが,ヘリカル方式,レーザー方式の研究開発は,将来を展望する革新的技術の研究開発に必要な規模にて,原型炉活動と並行して行われるべきであるということを認識しつつ,それら(ヘリカル方式,レーザー方式)が原型炉に向けた共通の技術基盤を提供する部分についてアクションプランに取り入れることとしたと位置づけられております。
その下のところに,2つ表を貼りました。1つは共通技術課題ということで,これはアクションプランの中の本文に含まれている課題になります。一方,先ほど言いました参考資料というのは右の方になります。右の方は,これはレーザー核融合をベースに核融合炉を造るとしたらどういうことが必要であるかというものを並べたものになります。本日は,これはタスクフォースでの報告ですので,左の共通技術の課題だけにフォーカスした報告をさせていただきます。
4ページ目になります。4ページ目は,原型炉と原理が大きく異なるレーザー核融合方式,これが原型炉と共通の技術基盤の開発に貢献し得るという項目について,そのアクションプランの中で整理をしたものです。
大きく分けて5つあります。丸1 ですけれども,壁・プラズマ相互作用の総合的理解,丸2 が液体金属壁の開発,丸3 がペレット製造・入射技術,丸4 がトリチウムの貯蔵・ハンドリング技術,丸5 が過酷環境下における計測技術となっています。
それぞれ少し詳細を述べますと,まず丸1 に関しましては,熱負荷や中性子負荷を受けた材料の特性であるとか損耗過程を解明することによって,物質とプラズマの境界領域の物理を体系化しようというものであります。それによって,2番目のポツですけれども,ダイバータシミュレーションコード,原子分子過程,プラズマ壁相互作用のモデルの高精度化に貢献しようという内容であります。
丸2 の詳細ですけれども,レーザー方式の原型炉ではコンパクトな炉を指向して,リチウム・鉛を用いた液体金属壁を採用しています。この液体金属流というのは,原型炉開発におきましても,先進ブランケットであるとか先進ダイバータとしての活用が期待されております。数十センチメートルの厚さを持つ液体壁の形成及びリチウム・鉛の循環方法(耐腐食ポンプ等々)の開発が重要な項目であると認識しております。
丸3 に関しましては,燃料供給のための重水素・三重水素の氷状ペレットの特性評価,大量生産・自動選別技術の設計,開発が必要になってきます。トリチウムが遺漏することを考慮した入射装置の設計,開発というものも必要になってまいります。
丸4 に関しましては,これも遺漏を考慮したトリチウムの貯蔵,供給,回収系の基礎技術の開発と概念設計というものを掲げています。
最後,丸5 に関しましては,高輝度X線,ガンマ線,中性子線による計測器及びセンサーの誤動作であるとか,原型炉で想定されるような過酷な放射線環境を再現して,炉計装の開発に資するということを掲げています。
5ページ目に入ります。ここから詳細に入ります。
最初に,物質・プラズマ相互作用の総合的理解ですけれども,この資料に関しましては,本日も御出席されています大阪大学の上田先生から御提供いただきました。これは,パルスレーザーで高Zプラズマを生成しまして,原型炉周辺のプラズマ診断に貢献する原子分子データを取得というものが目的になります。炉壁で発生する不純物粒子の挙動観測には,プラズマに対して非侵襲な分光計測が有力であると考えられます。
しかしながら,特に高Zな原子に関しましては,欠落している原子分子データが多いということで,それを補充することが必要になってきます。その下の真ん中の辺りに描いているものは,実験のレイアウトになります。これは,高Zなプラズマを作るために,パワーレーザーを使ってプラズマを作るという装置です。レーザーを照射しまして,アブレーションプラズマを作る。そこから出てくる真空紫外等々を,回析格子を使って分光して,それをストリークカメラで検出するというものになります。
その右に写真が載っていますけれども,これが本実験で使われております真空紫外VUVの分光器であります。それを時間分解して測定したものが,その右にあります虹色のストリーク撮影像というものになります。このようなシステムを使うことによりまして,レーザーアブレーションプラズマ,非常にZが高いプラズマですけれども,こういうものを,レーザーを使うことによってプラズマ化しまして,そこから真空紫外のスペクトルが取れるということになっています。
一番下のところにまとめとして書かれていますが,得られた電子分子データというのは,この周辺プラズマの分光計測で利用可能であると。かつ,周辺プラズマシミュレーションの高精度化にも貢献するデータであると考えられております。
続きまして,6ページ目に入ります。こちらも,先ほどの物質・プラズマ相互作用の総合的理解に関係するものですけれども,レーザー照射によって表面を溶融しまして,その溶融層の形成実験を行っています。過渡負荷下での溶融損耗過程の模擬実験というものがこのレーザーを使うことによって実現しています。これに関しましても,大阪大学の上田先生より提供いただきました。
左のところに目的が書かれていますけれども,壁面への過渡熱負荷で形成される溶融層の挙動予測というものが原型炉設計に必要であります。ところが,熱勾配であるとか高磁場であるとか,そういうものの作用によってどのように溶融層が動くかが不明であるという点がありますので,それを実際に模擬実験しようというものであります。
手法としましては,レーザー照射によりまして,この過渡負荷というのを模擬しまして,それによってできた溶融層を高速カメラで観測するというものです。その下に描かれていますのが,これは実験の簡単なレイアウトになりますけれども,左の方にターゲット真空チャンバーの絵があります。タングステンを置きまして,そこにネオジウムヤグレーザーを照射して,これが過渡的な熱負荷になります。これによって,タングステンの表面が溶融します。溶融した様子を,右上に描かれていますハイスピードなカメラで観測するというものです。
この実験体系に外から磁場を加えることによって,磁場がどのような影響を与えるかというのを調べています。右半分のところが実験結果になります。この実験は,右端の方に書かれていますけれども,タングステンの溶融層からの自発光を,フィルターを使って単色化しまして,溶融挙動のその場観測に成功しています。
また,得られた知見としましては,高磁場をかけるに従って溶融層が不安定な構造を持つのが明らかになります。真ん中の辺りが実験結果ですが,横軸に観測の時間,縦軸に外から印加している磁場の強度というもので並べ替えています。磁場がないときには,時間の後半に不安定な構造が見られますけれども,磁場を加えることによって,時間的に早い段階から,発光に少しフィラメント状の構造,これを不安定性と呼んでいますけれども,こういう構造が現れてくるというのが実験的に明らかになりました。
これらの成果の意義というのは右下の方に書かれていますけれども,得られた溶融層の挙動観測像というのは,溶融損耗モデルの妥当性の検証に有用で,かつ,これまで取られたことがない希少なデータになっております。トカマク実装置での溶融層挙動観測データと比較することによりまして,磁場環境下での溶融層の挙動について総合的理解が進むと考えております。
7番目,これは少しシミュレーションの観点から整理し直したものです。これも物質・プラズマ相互作用の総合的理解です。これは,相対論的電子群,つまり,メガエレクトロンボルトのエネルギーを持っている電子群と物質の相互作用の運動論的描像を理解していこうというものです。これがどういう役割を果たすかといいますと,1つはトカマクにおけるディスラプション制御に貢献するというのと,もう一つは,この現象自身が,我々が研究している高速点火レーザー核融合に共通するということで,理論的に協力しようというもので,これは量研機構の松山先生等から頂きました資料になります。
左の方が,これはトカマクにおける意義を描いていますけれども,そのディスラプションによって誘導電場が生じたときに,その電場によって非常に高エネルギーにプラズマ中の電子が加速される,いわゆる逃走電子というものが生まれる。これが相対論的なエネルギー,メガエレクトロンボルトに達するようなエネルギーを持っています。これをそのまま放っておくわけにいきませんので,これを氷状のペレットを投入することによってエネルギーを失わせようというアイデアがあります。それがSPIと書かれていますけれども,氷状ペレット投入という方法が現在,1つの方法として検討されています。
こういう状況で何が起こるかというのは,右の方に物理的な過程を書いていますけれども,逃走電子がメガエレクトロンボルトのエネルギーを持っている。これが氷状のペレットと衝突すると,例えば,散乱が起こる,衝突電離が起こる,また,特性X線が出てくることや,制動放射によってエネルギーを失うということが起こります。こういう素過程は,正にその下に描かれております,我々が研究しているレーザー核融合の高速点火という方式の物理と同じです。ですので,空間的なサイズ,また時間スケールは異なりますが,扱っている物理現象は同じということで,両者の知見をうまく結合することによって,この氷状ペレットを入れることによって逃走電子を止めることへの理解が進むのではないかということで,現在,挙動研究が進められています。
8ページ目は,液体金属壁の開発です。これに関しましては,液体金属壁の形成には,金属蒸気の排気技術が必要であるということで,液体金属には拡散ポンプの設計と検証というものに関して,現在準備を進めています。レーザー核融合においては,金属のコーンというものを使います。この金属のコーンが蒸気となって,真空容器内を満たします。なので,これを排気しないといけないわけですけれども,その排気を行うための技術に必要であるということと,この液体壁の形成において重要であろうということで,今回は,このポンプを集中的にトライしようとしています。
その真ん中辺りに描いているのが拡散ポンプの模式図になります。普通,拡散ポンプといいますと,油を使った油拡散ポンプというのが現在普通に使われているものです。その油の代わりに融点の低いリキッドメタルを使うことによって,排気される側と排気するものを等しく,同じものを使うことによって,ターゲットチャンバー内が無駄に油で汚染されるのを防ごうというものになります。これに関しまして,現在,概念設計を行いまして,それを実際に造るために限られた予算内ですけれども,基礎実験が行われています。この資料に関しましては,右上の方に書いてありますけれども,長岡技術科学大学の菊池先生より提供いただきました。現在,この液体をある程度,層というか,ジェットのような形で供給するための金属流の制御実験というのを行っているところであります。こういうものを使って,この予算が通れば,液体金属を使った排気装置というものを実際に造っていきたい。それによって原型炉開発にも貢献していきたいと考えております。
次,9ページ目は,今度は,ペレットの製造・入射技術になります。これに関しましては,レーザー核融合原型炉,Koyo-Fの要求仕様を念頭に,現在,ターゲット射出装置の開発を行っています。もちろん我々,このKoyo-Fというか,レーザー核融合を指向したペレットインジェクションというのはオーバースペックであると認識しておりますけれども,難しいことを克服すれば原型炉にも貢献するだろうということで,目標としては,やはりレーザー核融合というものを目標に設定しています。実際に設定している目標の数値は,左上の方に表としてまとめられています。こういう目標を達成するために,実際にターゲット燃料を模したものをインジェクションして,そのインジェクションした様子を高速のカメラで撮ったものが右の画像になります。このように,これはコーンがついていますけれども,こんな形のターゲットが供給されている様子が撮られています。
装置としましては,左下の方に描かれておりますけれども,ガスタンク若しくは電磁石コイルを使って加速をしまして,これはクライオを低温に固化した燃料ですから熱遮蔽が必要になります。そういうのをサボーと言いますが,サボーの入った状態で供給しますので,サボーを取り外すための減速部となりまして,サボーが取り外された後,真空容器の中に入っていくということで,観測チャンバーの中に入っていって,高速度カメラで撮像するというレイアウトになっております。これに関しましては,右上の方に書かれていますように,兵庫県立大学の古賀先生が双方向型共同研究の支援によって行っているところであります。
関連して,ペレットの製造・入射技術で,原型炉でDT,重水素,トリチウムペレットの製造技術の開発が必要ですので,そのために固体のDTの一様性及び硬さなどの物性を解明するという研究を現在行っています。これに関しましては,今年度の核融合科学研究所の原型炉研究開発共同研究に採択いただきまして,現在,研究が進められております。
原型炉の設計におきましては,固体のDTペレットの最大導入速度,導入頻度,そして冷凍機の能力というのを決定しなければいけませんが,そのためにはDTの物性が必要です。現状は,軽水素から推定した物性値を使用していますけれども,実際にトリチウムが混ざるとベータ崩壊による熱であるとかダメージであるとか,ヘリウムが出るとか,そういうことが予測されます。ですので,やはり本来はDTを使って,そういう物性値を測らなければいけないということで,大阪大学では,比較的大学としては多いトリチウムを扱うことができますので,その施設を活用しまして,真ん中の下の方に,少し水色の写真が見えると思いますけれども,このような形で,実際に大学の施設内でDとTを低温固化することができております。これは国内で初めて,固体のDTの作成ができたと考えております。今後,均質性を高めて,均一な固体DTを作りまして,物性の評価及びペレット品質評価の手法を確立して,原型炉に貢献していきたいと考えております。
続きまして,11ページになります。これは,トリチウムの貯蔵・ハンドリング技術に関するものです。某企業が高濃度トリチウム含有廃棄物を40年以上保管しており,そこから協力の依頼を受けまして,何が入っているかよく分からない廃棄物から,水素分子状のトリチウムを精製回収するという技術を共同開発しております。これは正に原型炉においても必要になってくる技術ということがありますので,我々としては,そういう視点でも研究を進めているところであります。これは企業と大学の共同研究になります。
これは,企業との共同研究なので詳細は述べられませんが,左の方の非常に簡単な漫画のとおり,液体窒素で冷却したモレキュラーシーブを使うことによりまして,水素を効率的に除去するという方法です。実際どれぐらい除去できているかは,右の方のグラフで描かれていますけれども,これは四重極質量分析器で分析した結果になります。取り出した水素類は,H2,H3,D2,DT,T2という形で,水素系ばかりです。それに対して,取り除いた方の残ガスは,下の方に描かれていますけれども,トリチウムを含む水素は一切ないということで,非常に精度よく水素を取り除くことができる技術が開発されています。これは正に原型炉のための研究が産に生かされた成果ではないかと考えております。
12ページ目になります。これもトリチウムの貯蔵・ハンドリング技術ですが,トリチウム貯蔵・ハンドリング技術は,当然,レーザー核融合にとっても必要です。なので,両者に役に立つということで,双方向型共同研究の支援の下,富山大学と大阪大学で現在,その技術を開発しております。これは,富山大学の波多野先生から提供いただいた資料になります。左の写真が,大阪大学にありますトリチウムのハンドリングの設備になります。この中でトリチウムを酸化して,トリチウム水を作って,そのトリチウム水をレーザー核融合燃料に充塡するという実験をしています。そういう実験,経験というものがトリチウムのハンドリングにも生かされるだろうということであります。詳細は省略しますけれども,右のようなチャートで描かれたような形で,重水素を酸化して水にしてやって,水にしたものをレーザー核融合の燃料に供給する。余ったものに関しては取り除いて,適切に保管,廃棄するということを行っております。
最後のトピックスになります。13ページ目です。過酷環境下による計測技術です。これは,高強度レーザーと物質の相互作用によって生成される中性子,荷電粒子,X線,電磁波が混在する過酷計測環境であるということです。左上の方にポンチ絵を描いていますけれども,高強度レーザーを当てることによって,高エネルギーの電子が出てきます。この電子がX線を出して,周りの構造体と相互作用することによって,散乱X線であるとか,場合によっては光核反応によって中性子が生まれるということがあって,我々,実験するときに非常に苦労している問題です。こういう環境というのは原型炉でも想定されるだろうということで,こういう環境を計測器の開発のテストに使えるだろうと考えております。
右上の方に描かれていますのが,実際どういう状況なのかを示したものですが,右軸はタイム・オブ・フライト,中性子の飛行時間を描いてあります。縦軸が信号のカウントです。ピンク色で描いているのが,これは我々が本来測りたいDとDの核融合反応で出てくる中性子です。ところが,実際計測をしますと,黒い線のような形で大量のバックグラウンドが存在します。これは光核反応による中性子であると我々は同定しています。こういう環境ですので,こういう非常にたくさんのノイズがある環境で,いかにDD,そしてDTの中性子を測るかというのは共通する課題であると考えます。
また,その右下の方には,これはX線のストリークカメラの画像ですが,X線ストリークカメラには非常に高い電圧がかかっている部分があります。そこにX線が入ってくることによって光電子が生まれて,それが放電を起こすという現象が見られています。これは実際に放電が起こって,計測結果がもう訳の分からない状態になっている,そういう例になります。
最後,左下の方は,これは制御用に使っているパーソナルコンピューターとサーバーです。これがX線とか放射線によってソフトエラー,ハードエラーを起こし,その結果,ブルースクリーンが出ているというのを例示したものになります。
こういう過酷環境下に耐える計測器を造っているわけですが,それが生かされた例として,14ページに紹介させていただきます。これは,核融合科学研究所の西谷先生から提供いただいた資料になります。レーザー核融合で開発した過酷計測環境下における中性子計測法,これを大型ヘリカル装置での重水素実験における二次反応計測に導入した例になります。左の方に描かれているのは測定の原理図になるわけですけれども,これは中性子を単に信号として捉えるのではなくて,中性子を画像として捉えています。キャピラリー上に並べたシンシレーターのアレイ,それを使いまして,中性子によって二次的に出てくるプロトン,陽子を画像として検出してやって,それが,この信号がX線なのか,それとも中性子起因なのかを飛跡から弁別しようという計測器になります。
右の方に描かれていますように,こういうものを実際,大型ヘリカル装置の重水素実験のための計測器として地下の方に設置をしておりまして,これを使った計測が行われているところであります。こういうふうに,レーザーの過酷環境の計測器というのは,磁場と磁場プラズマの研究にも資するという1つの例として紹介させていただきました。
15ページ目は,今後,こういう研究をどういうふうに展開していきたいかという紹介ですけれども,レーザー科学の飛躍的な進展によって,高繰り返し大エネルギーレーザーが実現してきました。この絵の左にありますように,我々,現在,GEKKO-12号とかLFEXレーザーという,2時間に1回ぐらいしかレーザーが出ないようなレーザーを使っています。それに対して,右の方に描いていますが,幾つかのキー技術が生まれまして,例えば,ビームの結合です。2つの独立したビームをさも1つのビームのように扱うような技術,また,セラミックレーザーという熱負荷が小さい,熱に対して強いレーザーデバイス,また,レーザーダイオードという熱発生そのものを抑制するようなデバイス,こういうものが生まれてきまして,100ヘルツでキロジュールのレーザーを出せるというところまで来ています。我々としましては,こういう技術を使って,高繰り返し,高エネルギーレーザーによって核融合エネルギー開発に貢献していきたいと考えておりまして,そのためにまとめた絵が16ページになります。
16ページは,高繰り返しパワーレーザーと周辺の基幹技術を結合することによって,核融合発電と多様な理学・工学の粋を結ぶ,そういうプラットフォームができるのではないかという提案になります。左の方がその絵になりますけれども,まず一番下の方に書いていますように,まず,定常のパワーレーザーというのが出現してきた。これに付加的な技術,例えば,定常のターゲットの高速射出であるとか,そのターゲットにレーザーの照準を合わせる,できてきたプラズマ,X線,中性子を診断・制御する,そして,出てきたプラズマのごみを,液体金属を使って定常的に回収する,こういう基盤となる技術と組み合わせることによって,パワーレーザーを使って,実際に核融合発電とか核融合エネルギー開発に資する,そういうプラットフォームになるであろうという提案です。実際に漫画で描いているのが右のような図になるわけです。こういう形で定常的にエネルギーを増やすことはできませんけれども,核融合エネルギーを発生させるようなものを提案していきたいと考えております。
最後に,もう一度まとめさせていただきます。17ページ目です。レーザー方式から原型炉に資する研究課題につきましては,そのアクションプランの策定時にレーザー方式から原型炉に資する技術課題の整理を行いました。レーザー方式と磁場方式の研究者が議論を行いながら,原型炉に資する研究開発を,限られた予算内で実施してまいりました。今後の展望としまして,パワーレーザー技術の革新によって,高繰り返しレーザーを用いた核融合科学の展望を開いていきたいと考えております。
以上であります。どうもありがとうございました。
【岡野主査】 藤岡委員,どうもありがとうございました。それでは,ただいまの御説明に対し御意見等がございましたら,お願いいたします。ちょっと時間が押していますので,簡単な質問でお願いしたいと思いますが,何かないでしょうか。
今回は真ん中の部分の詳細割愛,レーザー特有の研究開発というところはなくなってしまっていて,皆さんも聞きたい方はいっぱいいらしたと思いますが,今回の報告はあくまでもレーザー装置を使ったトカマク原型炉のアクションプランに対する貢献する部分というのを選んで説明していただいているので,レーザー核融合としては,本家本元の一番大事な発表のところがないことになってしまっていますが,時間の関係もあって今日はそうさせていただきます。 それでは,今日の発表についての御質問,何かないでしょうか。
【岡野主査】 それでは,岸本先生,お願いします。
【岸本委員】 京都大学の岸本です。レーザー核融合研究が,磁場閉じ込め方式を含む幅広い分野に重要な役割を果たすことがよくまとめられていたと思います。
6ページの内容について質問させていただければと思います。レーザー照射で固体表面に融解層を作り,それを高磁場下で観察することで,核融合第1壁等の損耗の状況を調べるというものですが,斬新なアプローチだと思います。それで,1点お聞きしたいのは,磁場閉じ込め核融合装置の第1壁の損耗状態をこのようなレーザーで模擬しようとしたとき,パラメーターはできる限り合わせるのだと思いますが,照射領域のサイズ,レーザーのレップレート(繰り返し)やパワーなど多くあり,基本的にアプローチが違うので,単純に比較できないところも多くあるのではないかと思います。そういう観点から,このアプローチがどれぐらい現実を模擬し得るものであるのか,あるいは,原子過程や分子過程等の要素に対して貢献するものであるのか,そのあたりが分かりますと,分野外の研究者にとっても状況が分かるとともに,レーザーの意義がより深く理解されるのではないかと思いました。
以上です。
【藤岡委員】 これは多分,上田先生からお答えいただくのが一番適切とは思いますが,そのような形にさせていただいてよろしいでしょうか。
【上田委員】 岡野先生,よろしいでしょうか。
【岡野主査】 はい,お願いします。
【上田委員】 御質問ありがとうございます。これは,レーザーで1ミリ弱の小さいスポットを照射して,そこを溶融させる実験ですので,当然トカマクあるいはレーザー炉等々を考えたときの大きな面積を非定常熱負荷で溶融するといった実験のそのままの模擬には当然なっていません。ここで大切なのは,溶融させるために必要なパワー,単位面積当たりのエネルギーであるとか溶融した後の溶融層の表面温度とかで,その辺のところは実際に過渡熱負荷が入ったときの状況に近い。それから,磁場につきましても,一応4テスラまで実験していますので,少なくともITERの磁場には近い高磁場になっています。
大事なことは,ここで起きた現象をモデル化して,それによって,この現象が説明できるかどうか,そこを明らかにした上で,そのモデルを今度は実際の核融合炉壁に適用するという,そういうアプローチを考えております。これでお答えになっていますでしょうか。
【岸本委員】 大変よく分かりました。ありがとうございました。
【岡野主査】 ありがとうございました。それでは,議題4に進ませていただきたいと思います。議題4「原型炉設計合同特別チームの活動について」です。タスクフォースは合同特別チームによる研究開発の進捗状況を把握して助言等を行うという立場にございます。本日は,量子科学技術研究開発機構の坂本宣照核融合炉システム研究グループリーダーに御発表いただきます。坂本グループリーダー,お願いいたします。
【坂本グループリーダー】 QSTの坂本宜照です。それでは,早速ですけれども,説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず,2ページ目の令和元年度の活動概要ですけれども,メンバー総数,昨年,102名で,これは特別チーム発足時から約2倍の人数となってございます。内訳といたしましては,QST34名,産業界22名,大学や核融合科学研究所等から46名に参画いただいております。そして,メンバーのほとんどは非常勤での参画ですので,オールジャパン体制のワンチームとなるため,非常勤メンバーとの技術会合や調整に関わる会合を頻繁に開催いたしております。令和元年度は30回開催いたしまして,参加延べ人数は466人となります。主要な会合としましては,上段の写真に示しております全体会合年2回とメーカー報告会年1回がございます。それぞれで50名程度が参加いただいております。
そのほかには,中段の写真に示しております共同研究に関わる会合で,共同研究を進めるに当たっても,特別チームとの連携に留意しながら進めているところでございます。また,下段に示しておりますワーキンググループ会合や,特定の課題に関する専門家会合や設計グループの会合を開催いたしまして,情報共有や意見集約に努めております。3月はコロナ禍の最中でしたが,活動を停滞させることなく,ウェブ会議で進めております。
次に,3ページ目ですけれども,原型炉設計の流れを示しております。現在は,第1回中間チェック・アンド・レビューに向けまして,概念設計の基本設計に関するこれまでの成果を取りまとめるとともに,炉心,炉工学への開発課題を整理しているところでございます。また,2025年から数年以内に予定されております第2回中間チェック・アンド・レビューでの原型炉概念設計の完了に向けた検討方針の議論にも着手いたしております。現在検討中の原型炉概念は,ITERの次の段階に構想し得るものとして,ITERよりも2周りくらい大きな主半径8.5メートルとしまして,十分なプラズマ電流誘導により運転裕度を確保するとともに,ダイバータの除熱成立性に配慮し,核融合出力を1.5ギガワット程度としております。全体の概念図は右下の図に示しているとおりです。
次に,4ページ目です。核融合科学技術委員会の報告書に示されていますように,原型炉の目標としましては,ここに示した3つで,数十万キロワットを超える定常かつ安定した電気出力,実用に供し得る稼働率,燃料の自己充足性を満足する総合的なトリチウムを増殖する,それらのことを実現することとしております。そこで,まずは全体として成立する概念を1つ構築しまして,その後に概念を改良していくという設計方針として,これまで進めてまいりました。そのため,本体についてはITER,プラント設備につきましては軽水炉の技術基盤を活用いたしまして,原型炉特有の課題克服に注力して検討を進めてきたところでございます。
次に,5ページ目ですけれども,これまでの成果につきまして,昨年11月26日に,原型炉の基本概念を明確化したとしまして,プレス発表を行わせていただきました。内容としましては,原型炉の全体像を示しつつ,核融合科学技術委員会の示した原型炉の目標それぞれに対しまして,高い電気出力を得ることとダイバータ除熱能力を両立して,約64万キロワットの電気出力を発生すること,また,原型炉の運転後期には,稼働率として約70%を見通す遠隔保守概念を構築するとともに,増殖ブランケットの筐体の堅牢性を確保して,トリチウム生産性を向上できる設計を考案した,これらの成果をまとめております。翌日の朝刊には,青森県のローカル紙2社と業界紙1社に割と大きな記事として掲載していただいております。
次の6ページ目から,課題ごとに,昨年度の成果について御説明させていただきます。まず,超伝導コイルです。トロイダル磁場コイルの概念としましては,超伝導線材,導体構造,巻線方式につきましてITER方式を採用しております。それで,これまで超伝導コイルの設計のベースラインを構築してきているところです。その際,ITERよりも大きな原型炉の特有の課題であります製作公差については,補正磁場コイルを用いて緩和することとし,また,クエンチ時の放電時定数については共同研究によって進めているところです。令和元年度につきましては,製作性簡略化やコスト低減に考慮した副案といたしまして,矩形導体を用いた検討に着手しました。矩形導体方式によるラジアルプレートを用いない概念では,導体絶縁材の応力低減が課題となっておりました。そこで,右下図に示すように,赤色で示したコイルケースの最適化と,青色で示した長方形ジャケットの採用により,剪断応力を大幅に低減できることが分かっております。
次に,7ページ目に,ブランケットとダイバータの成果について示しております。左側に示すブランケット概念では,内部の冷却配管の破断による事象進展抑制のため,ハニカムリブ構造の筐体を採用し,トリチウム増殖比の低下を抑制する概念をこれまで構築しております。このハニカム構造の内部には直径0.2ミリメートルのトリチウム増殖材と2ミリメートルの中性子増倍材を混合充塡していますけれども,この中で増殖したトリチウムを回収できるかというのが,これまでまだ検討できておりませんでした。そこで,令和元年度にはペブル充塡部でのパージガスの流動解析を行いまして,パージガス配管3本でトリチウムの滞留を解消して,100秒程度で筐体内のトリチウム濃度が定常になることが明らかになりました。
右側に示しますダイバータの機器概念では,水冷却方式でタングステンアーマを用いたITER延長技術を採用して,これまで検討しております。令和元年度には,ダイバータ・カセットの除熱解析に基づく熱応力解析を実施しております。カセットボディの中央の部分に温度が高い領域がありまして,その部分で高い応力が発生していることが分かりました。今後,カセットボディの冷却流路設計の見直しとともに,電磁力に対する健全性の確認等を行っていく予定でおります。
次に,8ページですけれども,左側には加熱・電流駆動に関する検討結果を示しております。原型炉では,中性粒子ビーム入射をメインとしまして,電子サイクロトロン波を併用する方針で考えております。令和元年度には,電子サイクロトロン波の入射位置の検討に資するため,異なる入射位置における電流駆動効率の評価を共同研究により実施いたしております。ここに示しました評価結果では,今のところ,横側入射による電流駆動効率が,上側から入射する,あるいは内側のトップ側から入射する場合よりも高いことが分かっております。右側には,ディスラプション緩和システムについて,ITERに導入予定のペレット粉砕入射のシミュレーションコードを開発し,粒子供給効率を最適化する条件を評価いたしております。ここで述べておりますペレット粉砕システムは,重水素やネオンの大きな氷を数百メートル/セックで壁に衝突させて,粉砕後,プラズマ中に入射するシステムとなってございます。また,右下に小さく書いてございますけれども,計測・制御につきましては,8月から専門家のワーキンググループを立ち上げる予定でして,その中で候補計測器の分類と選定及び炉心プラズマ制御概念について検討する予定でおります。
次に,9ページですけれども,燃料システムの令和元年度の成果を示しております。左側の燃料システムの構成では,トリチウムインベントリ低減を考慮した概念を構築するため,メイン燃料ループとして,真空容器から排気したガスから不純物を取り除いて,直接プラズマに供給するダイレクトリサイクルという概念を採用いたしております。そのほかに,サブ燃料ループと増殖ブランケットで精製したトリチウムを回収するループがあります。現在,トリチウムバランス評価コードを作成いたしまして,トリチウムインベントリを低減するための最適化の検討を行っております。右側には,炉内トリチウムインベントリの評価としまして,材料の2次元の温度分布を考慮した過渡解析が可能な挙動コードを開発いたしております。それに,委託研究等により取得したプラズマ実験による材料中のトリチウム挙動データを用いまして,第1壁やダイバータ領域の温度分布に基づいたプラズマ対向材中のトリチウム濃度を評価いたしております。
次に,10ページ目ですけれども,左側には,材料特性ハンドブックの整備の一環といたしまして,低放射化フェライト鋼について,これまでの引張試験結果から,時間に依存しない設計応力強さに加えまして,新たにクリープ試験結果に基づいた時間依存性の設計応力強さを求めるとともに,設計疲労線図を定めているとか,また,腐食に関して,水化学管理指針に要するデータの取得というものを始めているところです。
また,その左下には,照射後の微小引張試験の技術としまして,高精度なひずみ計測法を開発して,これまで困難であった横ひずみの計測というものが初めて可能になっているというものです。右上側には,安全性に関連いたしまして,真空容器の耐圧性の解析結果を示しております。真空容器の内部に冷却水が漏えいした場合に備えまして,真空容器の耐圧性は0.5メガパスカルといたしております。解析の結果,一部下部ポートの付け根にピーク応力が現れていますけれども,この部分を補強するということで耐圧性を確保できる見通しが得られております。右下側には,ディスラプション起因の重畳事象の解析といたしまして,ダイバータターゲット部とバッフル部の冷却水が噴出した場合のメルコア解析を示しております。圧力緩衝システムを導入することによって,このような重畳事象においても,真空容器の圧力は設計値0.5メガパスカル以内に収まることが分かっております。
次に,11ページですけれども,稼働率と保守に関しまして検討結果を示しております。炉内機器の遠隔保守概念といたしましては,ブランケットとダイバータを独立に交換する方式を採用いたしております。この概念では,4か所の並行作業を行うことで,全部で16セクターございますが,その全ての交換する保守期間を短縮することができる。その結果,稼働率といたしまして約70%が見込めるという概念となっております。令和元年度については,主に炉構造といったところについて解析を進めております。1つは,左下に示しておりますNBIポート部のブランケットセグメント構造の検討です。NBI入射の貫通部には,ブランケットセグメントに大きな切り欠き部が存在するため,冷却配管の取り回しに課題が残っておりました。今回,冷却用マニホールドの配置や支持方法を含めた構造概念を,こちらの図に示すように構築し,また,右側には真空容器の支持構造について検討を進めております。ピンに対する剪断荷重を低減するために,図に示すようなマルチリンク式の支持脚を採用いたしております。応力解析した結果,支持脚と下部ポート,ダイバータを出し入れするポート部,ここの接続部分に強度が不足しているというようなことが現在分かっておりますので,今後,強度アップや形状の再検討を行っていく予定でおります。
次に,12ページですけれども,今年度の活動計画について示しております。今年度は,これまでの活動と設計検討の成果に基づきまして,炉心プラズマ及び炉工学において開発が必要な課題を取りまとめること,また,原型炉の概念設計の完了に向けた今後の設計方針の検討について議論を行う予定でおります。そこでは,原型炉のあるべき姿からのバックキャストによる概念設計としまして,これまでの既存技術基盤からの原型炉概念の基本設計から,安全性やコスト,あるいは環境負荷低減,そういった観点から,そういったものを見通せる原型炉の概念設計を進めていきたいと考えております。また,そのための5か年の計画を立案する予定でおります。さらに,令和2年から運転開始予定のJT-60SAや,現在,組立てが開始されておりますITERの成果を原型炉の設計にも反映するとともに,設計ツールといたしまして,六ヶ所にございますスーパーコンピューター,こういったものの成果を積極的に反映していきたいと考えております。
最後に,13ページですけれども,令和元年度の主要外部発表と今後の予定をまとめております。令和元年度には,各種の国際会議におきまして基調講演や招待講演,口頭発表というものを行っております。今後の予定では,来年5月に延期されましたけれども,IAEAの核融合エネルギー会議で2件の口頭発表を予定しております。
以上です。どうもありがとうございました。
【岡野主査】 坂本グループリーダー,どうもありがとうございました。それでは,ただいまの御説明に対して御意見などがございましたら,お願いいたします。手を挙げていただければ。
福家委員から手が挙がっています。お願いいたします。
【福家委員】 福家です。どうもありがとうございました。3ページ目のところで,基本設計の工程表が載っておりまして,第1回中間チェック・アンド・レビューがそろそろ予定されておりまして,次回以降で結構ですので,この中間チェック・アンド・レビューに向けた進捗状況といいますか,この辺についてお話を伺える機会があればと思っております。これが1点目です。
それで,併せてですけれども,2025年の中間チェック・アンド・レビューのところは,これ以外にも,要は,中性子源の建設といいますか,そこら辺の判断もきっとあったと思いますが,そこら辺も結構大きな話かと思いますので,併せてお話を伺えれば,現状でのお話を次回にでもお伺いできればと思っております。ありがとうございました。
【坂本グループリーダー】 承知いたしました。
【岡野主査】 今の1問目の御質問,2020年の中間チェック・アンド・レビューに対してどうなっているかというのは,まさしく特別チームとタスクフォースが話し合っていかなければいけない問題です。福家委員も御存知だと思いますけれども,コロナのこともあって,しばらくタスクフォースを開けなかったのが,こういう形で開けることも分かったので,むしろ移動がないだけ開きやすいと私は思っています。この後,またタスクフォースの非公式の形でのヒアリングを何度かして,お互いにタスクフォースと特別チームの間の意識調整をして準備をしていきたいと思っています。よろしいでしょうか。私から返事をしてしまいましたけれども。
【福家委員】 承知しました。私の質問はそういう意味です。
【岡野主査】 福家委員は御存知だと思ったので,そういうきっかけで質問していただけたのかなと思いました。坂本さん,よろしいですか。
【坂本グループリーダー】 はい。
【岡野主査】 私から,その後で聞けばいいのかもしれないですけれども,特に今,第1回中間チェック・アンド・レビューに向けて心配している項目というか,アクションプランにはなかったとか,あるいは,アクションプランとの関係で理由があってやめざるを得ないとか,心配されている項目はありますか。今度聞かせてください。
【坂本グループリーダー】 はい,分かりました。アクションプランについては,かなり幅広く,いろんなことが網羅されております。その中で,今,私たちの中でも,これはもっと加速が必要ではないかとか,重要だけどもアクションプランから漏れているのではないかというものはリストアップして整理している最中でございますので,次回のときにはその辺,御説明させていただきたいと思います。
【岡野主査】 お願いします。何遍も申し上げていますが,アクションプランにないからできないとかいうことはなくて,アクションプランは時期とともにタスクフォースで改定していくものですので,そのような理解でお願いしたいと思います。
【坂本グループリーダー】 はい。
【岡野主査】 そのほか,御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。大丈夫ですね。どうもありがとうございました。
【坂本グループリーダー】 ありがとうございました。
【岡野主査】 それでは,議事5の「原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化について」に入りたいと思います。タスクフォースの下に設置した共同研究ワーキンググループから,2020年度の採択課題と2019年度の共同研究の成果について説明していただきたいと思います。核融合科学研究所の今川信作教授と,量子科学技術研究開発機構の坂本宜照グループリーダーからお話しいただきます。お願いいたします。
【坂本グループリーダー】 それでは,前半につきましてはQSTの坂本宜照から,後半につきましては,NIFSの今川先生から報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
現在,原型炉研究開発体制の強化といたしまして,QSTとNIFSでは,大学等との連携強化のために共同研究を推進いたしております。次の2ページ目には,共同研究の目的と運用体制の概要を示しております。目的は,大学等を対象とした原型炉に向けた共同研究を取りまとめる新たな体制を整備し,自主・自律を前提とする大学等の優れた取組を支援することにより,国と研究機関で一体となった原型炉研究開発に取り組むというもので,昨年度より実際に実施しているところでございます。昨年度から実施しております運用体制を下側に書いておりますけれども,共同研究ワーキンググループから示された共同研究の方針に従いまして,特別チーム内に設置した共同研究調整サブグループで,QST側とNIFS側の共同研究公募テーマを調整いたします。そして,共同研究ワーキンググループとタスクフォースの了解を得た後に,QSTとNIFSがそれぞれ別々に公募を行いまして,その後,それぞれの委員会で採択について審議を行う,そのような流れになっております。また,採択された課題の実施に当たりましては,共同研究を実施するQSTとNIFS側のラインとしまして,プロジェクトオフィサー,真ん中の調整サブグループの中に書いてございますけれども,プロジェクトオフィサーの助言を受けつつ,共同研究を推進していくという体制となっております。ここのスライド中の赤文字で示しておりますメンバーにつきましては,今年度の人事異動等を踏まえまして変更になったメンバーとなってございます。
次の3ページ目ですけれども,ここには最近の共同研究調整サブグループと共同研究ワーキンググループでの調整状況をまとめております。まず,右側に示しておりますけれども,3月に開催した共同研究ワーキンググループでは,2019年度の共同研究の実施状況と2020年度の採択状況の確認を行いました。また,QSTとNIFSの共同研究の合同成果報告会の方針等について議論いたしました。合同成果報告会につきましては,参加者を拡大するために,単独での開催ではなく,学会の一部あるいは前後に連続した開催とするとともに,核融合エネルギーフォーラム会合との連携を検討するべきだという方針が示されておりました。その方針を受けまして,共同研究調整サブグループでは,核融合エネルギーフォーラム会合との連携と,学会のシンポジウムとポスター発表の活用を行うといたしまして,プラズマ・核融合学会シンポジウムの企画内容を協議したところで,現在申請中でございます。
また,サブグループの会合では,プロジェクトオフィサーが担当するQSTとNIFSの共同研究というものの調整を実施いたしたところでございます。この共同研究調整サブグループにつきましては,今年度について毎月1回の会合を調整して,共同研究の進捗を把握しつつ進めていく予定でおります。
次に,4ページ目ですけれども,QSTの2020年度の公募テーマを,アクションプラン課題ごとに整理いたしております。公募については2019年12月13日から20年1月14日に行いまして,その後,QSTの委員会において新規応募・継続課題の審査と採否の審議を行っております。そして,コロナの影響もあって少し事務手続等に遅れがありましたけれども,4月下旬に採択通知を発送させていただきまして,契約手続を行っているところでございます。公募では22テーマございましたけれども,それに対して25件の応募がありまして,25件全て採択している状況です。それぞれの公募テーマに対する内訳は,上の表に書かせていただいております。
次に,5ページと6ページには,2020年度のQSTの共同研究の一覧をまとめております。この中で,大学として特に協力しやすいと思われます理論・シミュレーションや燃料システム,核融合材料と規格・基準に関する共同研究の数が多くなってございます。今年度は,青で示しました継続11件を含め,36件の共同研究を実施しているところでございます。
次の7ページから12ページまで,件数が多いですけれども,昨年度にQST側で実施した共同研究の成果の概要を整理させていただいております。全部で40件ありますので全て詳細に御説明することはできないですけれども,アクションプランに沿って,多くの大学等から原型炉の研究開発に向けた協力が得られておりまして,連携が強化されていると考えております。
幾つか説明していきますと,まず,超伝導コイルにつきまして,共同研究は1件で,トロイダル磁場コイル導体の温度マージンの評価方法というものを検討して,ITERよりも1ケルビン程度の温度マージンの増大が見込めることが分かっております。
ブランケットにつきましても1件の共同研究で,原型炉のテストブランケットモジュールのための先進ブランケットとして,液体金属流動時のMHD圧力損失の評価を進めておりまして,電気絶縁壁を模擬した計算では1.4メガパスカルまで大きく抑制できるといったことが示してあります。
ダイバータにつきましては2件ございまして,1つは,先ほどレーザーから御説明があったものですけれども,非定常熱負荷によるプラズマ対向材の事業評価のために高磁場下でのレーザー照射実験と蒸気遮蔽シミュレーションの共同研究です。蒸気遮蔽効果がございますと,損耗が90%低減できることが明らかになっているといった結果が得られております。
加熱・電流駆動システムについては1件でして,電子サイクロトロン波による電流駆動効率を向上させるための方策を検討しているところです。
理論・シミュレーションにつきましては6件ございまして,各大学の所有するシミュレーションコードを原型炉に適用させる形でコードの開発が進められている状況でございます。
炉心プラズマについては1件でして,こちらも大学の所有する輸送コードに電流駆動や加熱パワーを評価するためのコードを導入し,QSTのコードとのベンチマークを行った上で,電流分布制御のシミュレーション等を実施しているものです。
燃料システムは,8ページから9ページに書いていますけれども,3件ありまして,冷却配管中へのトリチウム投下に関するデータを蓄積しているものと,保守作業前に行うベーキングによるトリチウム放出に関するデータ等を調べております。
核融合材料と規格・基準につきましては23件ございまして,9枚目から12枚目に記載しております。ここでは,構造材料の特性評価に関するものが17件と,強力中性子源に関するものが6件含まれてございます。時間の都合で詳細は割愛いたしますけれども,微小試験片を用いた様々なデータの取得ですとか評価方法に関するもの,また,強力中性子源におきましては,リチウムループに関するものを実施しているところでございます。
12ページ目の下から2番目は安全性についての共同研究ですけれども,ここではサプレションプールによる蒸気凝縮過程における非凝縮性ガスの影響について,実験装置を製作して,空気流量を増大したときに凝縮熱通過率が低下する,そういったことを実験的に調べているというものです。
最後の稼働率と保守につきましては,廃止処置によって発生する放射性廃棄物の物量やレベル区分を検討しているところです。
以上がQSTの部分です。
【今川教授】 では,13ページから核融合科学研究所の今川が報告いたします。核融合科学研究所は,中長期的課題を,大学の人材育成も含めて,大学の得意とする課題について取り組むということで昨年度から始まったものです。2020年度につきましては,調整サブグループでの議論によりまして,13ページに書いてありますダイバータと燃料システムのところで各々1件ずつ,課題としてはダイバータ機器健全性評価技術の開発というものと,原型炉用DTペレットの製作・検査に関する要素技術の開発という2件を課題指定型として公募いたしました。公募は12月2日,締切りが翌年1月7日,審査を1月16日と2月27日に2回に分けて行いました。応募は全体で2件の課題指定型に対して4件ありまして,採択が2件です。NIFSの方は,課題提案型という,指定しない課題に対してコミュニティーの方から提案するタイプのものがあります。今年度については応募が1件,昨年は9件,非常にたくさんの応募を頂きましたが,今年は1件だったので,来年度に向けてもう少しアピールが必要であろうと反省をしているところです。
次のページをお願いいたします。継続課題が5件ありまして,赤字が新規,青が継続で,課題提案型につきましては単年度という制約があります。昨年1件,課題提案型を採択しましたけれども,緑で示したところが1年間で終了ということになっております。ですので,今年度は継続5件と新規2件,課題指定型,合計7件の共同研究を行います。新規で採択されたものにつきましては,ダイバータについては東北大学の遊佐先生,燃料システムの固体DT燃料ペレットについては大阪大学の山ノ井先生ということで,いずれもこのお二人,初めて原型炉共研に参加されるということで,そういう意味では,NIFSの共同研究の方で新しい研究室に参加頂いたということが言えます。
最後,2ページが継続と昨年度終了した1件を合わせまして6件分の成果の概要をまとめております。短時間で説明いたしますけれども,MHD圧損低減用機能性被覆の創製と特性評価については,酸化ジルコニウムというものを新しい材料として開発を進めるということで試験が開始されています。まだばらつきが大きいけれども可能性があるという成果が得られております。
次は,液体ブランケット異材接合部の増殖/冷却材との共存性研究で,これにつきましては,いろんな材料の組合せの腐食の試験をするため,低放射化フェライト鋼,バナジウム合金,ハステロイ,ステンレス鋼,各々電子ビーム溶接で6種類のサンプルと,TIG溶接により1種類のサンプルを準備して腐食試験が開始されたところです。
3つ目は,これは課題提案型の研究でして,液体ブランケット中の不純物を除去するという新しいアイデアで提案がありまして,要素試験を行ったところ,思惑どおりといいますか,予定どおり不純物の抽出,分離が可能であるという結果が得られています。これにつきましては課題提案型ですので,課題指定型にするかをプロジェクトオフィサーの方で検討することになります。
最後のページです。4件目の課題ですけれども,耐照射性及び再結晶遅延性能の向上のためのタングステン合金の開発です。タンタルを添加することで性能を改善するということですけれども,タンタルの最適値を探すということで研究が開始されています。5件目ですけれども,これはダイバータの実験とモデリングということで,実験データを,ここではLINDAコードというシミュレーションコードを使って,そのシミュレーションコードのモデルの精度の向上を目指して研究を進めております。昨年度につきましては,衝突輻射モデルよりは実験の方が少し違うことが明らかになった等の成果が得られています。最後に,高速応答原型炉燃料サイクルとプロトンポンプフロントエンドということで,燃料システムの中で排気したものを,ポンプの方まで持っていき,プラズマ側に戻すというコンセプトの下,そこにプロトン導電ポンプを使うという提案です。昨年度につきましては,概念設計とポンプの試作の段階です。概念設計で原型炉トリチウムプラントを実際設計しようとしたときに,どういう問題があるかという課題の抽出も行った状況でございます。いずれにしても,継続課題につきましては初年度ということがありまして,順調に進んでいるとまとめることができます。
以上です。
【岡野主査】 ありがとうございました。そうしましたら,これに関する御意見等がありましたら,お願いします。
【岡野主査】 特になければ,よろしいですか。特にないようですので,これにてこの課題は終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
小川主査にまた司会を渡しますので,お願いします。
【小川主査】 岡野主査,ありがとうございました。3つのタスクフォースの議題を進めていただきました。たまたまというか,コロナ禍の影響で,本日は核融合科学技術委員会とタスクフォースの合同となりまして,ある意味では臨時的な処置でしたが,タスクフォースでどのような議論がされているのか,それから,タスクフォースのメンバーとしてどのような方がいらっしゃるのか,及びタスクフォースの方からしますと,委員会の先生方がどういう方なのかなど情報交換できたので,私は個人的には大変よかったのかなと思っております。このような形で,タスクフォースでは着々と今後も議論を進めていただけるものと思っております。
以上で,本日用意をしております議題は全てですけれども,このほか,特に報告及び審議すべき案件はございますか。もしありましたら,挙手をお願いします。
【小川主査】 これだけの人数の人が一堂に会して議論できるということは,ある意味では,逆に言うと,Zoomの会議だからかもしれませんね。
以上ですけれども,文科省の方,何か補足あるでしょうか。
【新井戦略官】 今日お話で,チェック・アンド・レビューの話が話題として出ました。今期の委員会で,第1回のチェック・アンド・レビューに向けて検討していくということ,大きな案件の1つだと考えております。コロナの関係で委員会を開けておりませんでしたけれども,まず,タスクフォースでのアクションプランに基づく現状の進捗を確認しつつ,チェック・アンド・レビューをどういった形でしていくのか,これは委員会の話にも関係してきますけれども,これからの課題かと思っています。第1回の中間チェック・アンド・レビューというのがありますけれども,原型炉合同特別チーム概念設計の基本設計が終了してということを話すと,あとはJT-60SAの運転が開始される2020年頃に実施ということになっております。それに向けて着々と事業が進んできていると思いますので,これからチェック・アンド・レビューに向けて御議論を深めていただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
【小川主査】 ありがとうございました。御指摘のように,チェック・アンド・レビューは,非常に重要でして,この春先,コロナ禍のためになかなか議論が進まなかったかと思いましたけれども,このようなテレビ会議でやりますとそれなりに進むということも期待されますので,是非ともこの夏,秋以降,よろしくお願いいたします。
岡野さん,どうぞ。
【岡野主査】 今日は合同開催だったので,タスクフォースで,どんなことをやっているか,核融合科学技術委員会の先生方にも見ていただいたわけですが,合同開催でない場合でも,専門家の会議なので資料は難しかったかもしれませんが,タスクフォースの方に,科学技術委員会の委員の先生方も,参加していただくことは可能という規則になっていました。特にこういうリモート形式だと出ていただきやすいこともありますので,改めてお伝えしておこうと思います。タスクフォースにも参加いただいて,聞いていただけると非常に有り難いと思っています。よろしくお願いします。
【小川主査】 御指摘のとおり,わざわざ足を運ぶことはなかなか大変ですけれども,こういったテレビ会議でしたらば割合参加しやすいと思いますので,是非とも皆様,積極的に参加していただければと思います。よろしいでしょうか。
ほかに。笠田先生お願いします。
【笠田委員】 そういった観点からで言うと,タスクフォースの方で今後,チェック・アンド・レビューを考えていく上で,我々のような専門家としてのチェック・アンド・レビューというのは常にやって,よりよい技術開発を進めていくべきだと思いますけれども,やはり委員の先生方,いろいろな分野から参加いただいていますし,タスクフォースのメンバーにも非核融合分野の先生方いらっしゃいますので,やはりそういった視点から評価していただけるようなものを,評価される側は出していくことを今後,私も含めてですけれども,意識していく必要があるだろうと思いました。コメントです。
【小川主査】 ありがとうございます。そのとおりだと思います。
それでは,本日の核融合科学技術委員会・原型炉開発総合戦略タスクフォース合同会議はこれで閉会といたします。御多忙の中,御出席いただきまして,ありがとうございました。どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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