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核融合科学技術委員会(第19回) 議事録

1.日時

令和元年10月8日(火曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省17階 17F1会議室

3.議題

  1. 令和2年度核融合関係概算要求について
  2. 第6期科学技術基本計画に向けた検討について
  3. 核融合科学技術分野の研究開発評価について

4.出席者

委員

小川主査、渥美委員、五十嵐委員、植竹委員、牛草委員、岡野委員、尾崎委員、岸本委員、小磯委員、兒玉委員、竹入委員

文部科学省

新井研究開発戦略官、山下科学技術・学術戦略官、近江室長補佐、吉澤核融合科学専門官、上田科学官

オブザーバー

公益財団法人地球環境産業技術研究機構システム研究グループ 秋元圭吾 グループリーダー

5.議事録

【小川主査】  それでは、定刻となりましたので、始めたいと思います。事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【吉澤専門官】  本会議の定足数は、過半数7名でございます。本日は11名の委員の方に御出席いただいておりますので、定足数を満たしております。
【小川主査】  ありがとうございます。
 ただいまから第19回核融合科学技術委員会を開催します。本委員会は、委員会運営規則に基づき、非公開の部分を除き議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので御承知おきください。
 本日は、議題2の説明者として、公益財団法人地球環境産業技術研究機構、秋元システム研究グループリーダーに御出席いただいております。また、文科省より生川研究開発局長、千原審議官、山下科学技術・学術戦略官にも御出席いただいております。
 議事に先立ちまして、生川局長より御挨拶いただきたいと思います。生川局長、よろしくお願いいたします。
【生川局長】  ありがとうございます。今年の夏に研究開発局長に着任いたしました生川と申します。よろしくお願い申し上げます。就任後初めて出席させていただきますので、冒頭、一言だけ御挨拶を申し上げたいと思います。
 まず、委員の先生方におかれましては、お忙しい中、この核融合科学技術委員会に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。研究開発局の柱の1つは環境エネルギーでございますが、核融合エネルギーは、エネルギー問題と環境問題を同時に解決し得るものでございまして、将来のエネルギー源としての期待を背景に、今年の6月のパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の中にも、この核融合が盛り込まれたところでございます。私自身、先月末でございますけれども、カダラッシュのITERサイトを視察させていただきました。またBA活動については、先週、QSTの那珂核融合研究所を訪問させていただいて、JT-60SAの来年3月に向けた作業を拝見したところでございます。更に六ヶ所核融合研究所では、7月末に、中性子源用の原型加速器が世界で初めて5MeV、125ミリアンペアの重陽子ビーム加速を達成するなど、着実に進展をしていると認識しております。また学術関係では、本年設立30周年を迎えられ、LHDを中心に国内外の研究者と活発な共同研究をされている核融合科学研究所や、高出力レーザーを用いてレーザー核融合をはじめとする様々な研究をされている阪大のレーザー科学研究所など、多くの成果を上げられていると認識しております。
 文部科学省としても、先ほど申し上げましたパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略も踏まえまして、引き続き核融合研究開発にしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますので、委員の先生方におかれましても、この委員会で是非活発な御議論を頂くとともに、御指導いただければ有り難いと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
【小川主査】  ありがとうございました。生川局長におかれましては、着任早々ITERを訪問していただき、それから先週は那珂研まで視察いただきまして本当にありがとうございました。まさに核融合の現場を視察いただきましたので、今後とも是非とも御支援、御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【吉澤専門官】  前回より、本会議はペーパーレス会議を実施させていただいております。本日の配付資料は、議事次第にあります配付資料一覧のとおりでございます。
 議題3につきまして、一部、席上配付資料がありますので、委員の皆様にはお席の方に紙でお配りしております。大変恐縮ですが、会議終了後は回収させていただきますので、お席に残して御退室いただくようにお願いいたします。
 また、机上のドッチファイルの方に参考資料等を付けさせていただいておりますので、適宜御参照ください。
【小川主査】 それでは議事1、令和2年度核融合関係概算要求について、に入ります。新井戦略官より御説明をお願いいたします。
【新井戦略官】 来年度、令和2年度の核融合関係の予算要求ということで、まずITER関係のページをごらんいただければと思います。
 右上に、直近の閣議決定文書における記載というふうに書いてございますが、核融合エネルギーの重要性が、先ほど局長が申し上げたパリ協定の長期戦略であるとか、総合科学技術・イノベーション会議で議論されて閣議決定された統合イノベーション戦略にも盛り込まれているということでございます。こういったものを踏まえながら要求をしているというところです。
 ITER計画、それからブローダーアプローチです。国内の拠点、日欧の事業でありますけれども、六ヶ所と那珂でやっているもの、こういったものがまず2つの大きな柱であります。ITER計画につきましては、ページの下ですけれども、2025年の運転開始、2035年の核融合運転開始を目標に進めているということで、今年4月の時点で63%まで建設が来ておりますけれども、今65%ぐらいまで来ております。これを着実に進めていくというところの所要の予算、191億円の要求をしています。これは分担金と、各極が担当する物納の、例えばTFコイルとか、そういったものを含めた必要な経費ということで要求をしているところであります。
 次のページがブローダーアプローチについてです。これもITERが始まったときと同時に、BA協定に基づいて進んでいるわけでありますけれども、上から4行目の計画というところで、フェーズ1、フェーズ2とあります。今年度末までをフェーズ1ということで、主要な装置整備等が進んできているということを踏まえて、それを更に強化、研究開発の推進などをしていくものをフェーズ2ということで、2020年4月以降の5年間として位置付けて進めていきます。概算要求については、今まで行ってきた実施プロジェクト、真ん中辺のところで1から3、JT-60SA、あるいは六ヶ所でやっているIFMIF/EVEDA、それからIFERCということで、3事業ありますけれども、これに必要な経費を来年度も要求しているというところであります。また、これは日欧の枠組みでやっておりますので、正にフェーズ2をどういったスコープでやっていくのかというところを欧州とも今議論をしながら、来年4月に開始すべく進めているというところであります。
 次のページでありますけれども、これは学術研究の方の重点的研究資金が入っている、大規模学術フロンティア促進事業でやられている核融合研の大型ヘリカル装置の要求であります。右側に研究計画というふうにありますが、イオン温度の1億2,000万度というのを達成しましたけれども、来年度、電子温度の方のさらなる高温化を目指していく、そういったプラズマを作っていく、あるいは同位体効果の解明という、そういった学術的な知見を得ていくというところを目指した研究に所要の経費ということで41億円の要求をしているという状況であります。
 先ほどブローダーアプローチの金額を言い忘れてしまいましたけれども、73億円の要求をしているという状況であります。
 【小川主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。
 私の方からよろしいでしょうか。皆さん、7月の本委員会におきまして、BAフェーズ2に関しての議論をしていただきました。その後の経過を私の知っている範囲で説明させていただきますので、その後に、新井戦略官からフォローしていただければと思います。
 7月に皆さんに評価していただいたものを、この親委員会である研究計画・評価分科会の方に上げました。幾つかコメントがありましたけれども、基本的にはよろしいということで承認いただきました。以上が皆様の御尽力によりまとめた評価に対する研究計画・評価分科会への報告内容でございます。それを受けまして、私の認識では文科省の方で、財務とかヨーロッパといろいろ交渉していると思うのですが、その辺の状況を新井戦略官に教えていただきたいのと、それからもう1点、BAフェーズ2は5年計画で、それと来年度の予算要求のこの部分との絡みです。5年の中のその辺どうなっているのか。いずれにしろ、今まだ欧州や財政当局と交渉中だと思いますので、未定の部分が多いと思いますけれども、分かる範囲で、その後のBAフェーズ2のフォローアップを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【新井戦略官】  ありがとうございます。済みません、私の方の説明が不足しておりまして、BAフェーズ2、これから始まっていくということで、事前評価ということで、当委員会で御審議、取りまとめいただき、先ほど主査がおっしゃったとおり、研究計画・評価分科会の方に上げて、評価として決定していただいたというところであります。
 概算要求にしろ、欧州との交渉にしろ、やはりそういった政策文書に基づいて、どういった方向で我々が行政的に話をしていけるかというところのバックボーンになりますので、正に評価の結果をもって、それも説明しながら交渉をしているという状況であります。
 それから、予算要求とその5年間との関係でありますけれども、5年間の計画というところでどこまで行くかというターゲットの御説明と、これに基づいた評価というものを頂いたわけでありますけれども、そういったものを実現していくための初年度にはどういうことをしていくのかと、正にそれを分割したような形で来年度の要求をしているという状況であります。
【小川主査】  今後も財政当局及び欧州とのタフな議論を文科省サイドとしてお願いしたいと思いますし、現場のQSTも実施機関としていろいろと御苦労あると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議題2、第6期科学技術基本計画に向けた検討について、に入ります。
 第6期科学技術基本計画策定に向け、核融合分野に関する活動が適切に盛り込まれるよう、本委員会として核融合研究開発推進の方向性について取りまとめることとされています。本日は、その検討に当たり、社会から見た核融合の現状や今後の期待などについて有識者の方々に御発表いただきたいと思います。
 最初に新井戦略官より、背景や検討の方向性等について御説明をお願いいたします。
【新井戦略官】  資料2を御覧ください。第6期科学技術基本計画に向けた核融合研究開発推進の方向性について(案)というものでありますけれども、科学技術基本計画、皆様御存じかも分かりませんが、科学技術基本法という法律、議員立法に基づいて、平成8年から累次、基本計画を作ってきているところです。閣議決定で、国の科学技術基本政策の根本となる計画ということで、今回は2021年4月からの5年間、第6期の計画に入るというところであります。
 内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の方で議論が始まっているということで、2019年4月に諮問が行われて、こちらは文部科学大臣も議員で入っていますけれども、文科省では、内閣府での議論に連動する形で、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会、資料の1ポツの背景というところにちょっと書いてありますが、こちらで、10年を念頭に置いて、今後の5年間で目指すべきこと、やるべきことといったものの議論をしているところであります。後ほど少し御説明しますけれども、中間まとめというものが先般出ていて、文科省では、来年3月に向けて、総合政策特別委員会での議論が続いていくというところであります。
 文科省の議論の中で、システム改革的な議論もありますけれども、やはり各分野の基盤的な研究、人材育成、個別分野の担当をしているというところで、核融合の分野についてはこれまでも、ロードマップであるとか原型炉に向けた推進方策であるとか、いろいろな基本戦略の文書というものは、先生方に御議論いただいて出ているわけでありますけれども、こういった新しい大きな科学技術政策の計画の議論に合わせて、核融合分野で強化していくところであるとか、どういった形で政策づくりに貢献できるかというところについて、要素を検討して、総合政策特別委員会に提供していきたいと考えております。
 8ページ、9ページのポンチ絵が、いわゆる総政特で9月に出た中間取りまとめでありますけれども、第5期でSociety5.0という言葉ができました。人間社会が狩猟社会から農耕社会、工業社会、情報社会で、今回は5番目の社会であるということで、Society5.0というキーワードが第5期の計画で出たわけですけれども、第6期に向けて、そのSociety5.0の実現で世界をリードする国へと、そういったところも表題の中で、検討が行われているというところであります。AIやIoT等、そういった情報を非常に高度に取り扱って新しい価値を創造していくという流れであります。第6期の議論というのは、正に内閣府でも行われているところでありますが、こういったSociety5.0の実現を目指して何ができるのかというような議論が引き続き文科省の中で行われているというところであります。
 8ページの真ん中辺です。柱が3つありますけれども、1つは知識集約型の価値創造システムを構築していくというところ。ここでは、大学あるいは国立研究開発法人が知識集約型の価値創造システムの中核として機能していくんだというところでの記載がされていますし、左下のところで、我が国の社会課題の解決と世界の持続的発展への貢献、SDGsの課題の解決といったところも柱になっているところであります。
 9ページ目は各論でありますけれども、一番上は、価値創造の源泉となる基礎研究・学術研究というところで、国際連携、国際頭脳循環の強化が指摘されていますし、2番目は、先ほど申し上げた、大学、国研というのが価値創造の原動力になると。その下はイノベーションの担い手というところでありますけれども、文理を超えた人材育成の推進ということ、その下にデータ・AI駆動の研究革命、そういった事柄のアイテムが議論されて、中間まとめとなっています。
 5ページに戻りまして、こういった流れを踏まえて、1ポツの背景の一番後、核融合を取り巻く動向を踏まえて、6期の基本計画に適切にこの分野がきちんと盛り込まれていくように御議論いただければと思います。
 2ポツに現状と課題というふうに書いてありますけれども、核融合としては、1つは、やはりSDGsで、エネルギーというところで、我々がおかれた社会的要請にどういうふうに核融合で応えていくか。長期的な観点に立った対応というものもありますけれども、5ページの下のところに、第5期計画でも大分出てきていますAIとかビッグデータ、量子、バイオ、オープンイノベーションにより創生される成果など、こういった分野というのは短期的に社会を変えるような、イノベーションプラットフォームになるような技術というところで重点的な推進が行われています。核融合というのは非常に長期的な視野に立って、計画的、段階的に進めていかなければいかんということで、こういった分野との違い、性質の違いといいますか、ギャップというものは若干あるのではないかと。そういったところを念頭に置きつつ、核融合としても技術プラットフォームとしてどういった活躍をしていけるのかとか、そういったことも考えながら、産学連携や異分野融合における波及効果といったものも念頭に置いて進めていくという視点が必要ではないかという点を書いています。
 3ポツが推進の方向性ということで、こういった論点があるかなということで書いているものです。1つは、2050年に向けて推進すべき事項。長期的観点に立って、どういった形で進めていくのかというところが1つの論点であります。もう一つは国際共同研究プログラムとしての重要性ということで、先ほどの総政特の委員会の中間まとめにもありましたが、核融合のプロジェクトでは国際拠点性があるということで、そういった中で国際的に強みを発揮して伸ばしていくようなものがあるかと思いますし、逆に、それほど強くなくても、国際的に連携することで、補い合って必要な技術開発をしていくというものもあるでしょうし、そういったところをどういうふうに考えていくのかということ。その下のポツがデータ駆動型研究開発システムの活用と貢献ということで、やはりこういった新しい研究開発システムというものにどういうふうに核融合が絡んでいくのかというところも1つ論点かと思います。
 次の7ページですけれども、ESG投資、エンバイロンメント、ソーシャル、ガバナンスということで、環境・社会・ガバナンスの投資というところが企業でも重視されてきているという中で、核融合というのは、SDGsの実現に向けた貢献というところからすると、こういった投資、お金というものを核融合分野に呼び込んでくると、そういった努力、方策みたいなものも1つ考えていくというのはこれから重要なのではないかということ。あと、国民の皆様の理解を得ながら進めていくということで、アウトリーチの重要性といった論点を論点例ということで挙げさせていただいております。
 本日は、第6期に向けてどういうふうに核融合が関係していくかという議論の中で、有識者の先生方にお話をお伺いしながら進めていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【小川主査】  ありがとうございました。今の御説明にありますように、第6期の科学技術基本計画が、約1年半後の2021年4月に策定されますので、それに向けまして、核融合がどのようにコミットしていくのかというのを議論していただきたいと思います。今、戦略官からお話ありましたように、単に核融合炉を開発するという視点だけではなくて、やはり科学技術の基本計画ですので、もっと広い視点で、核融合エネルギーというものをどう捉え、また核融合研究開発というのをどう推進していくかというのを、是非皆様からいろいろな御意見を頂きたいと思います。
 先ほど戦略官からありましたように、6ページの推進の方向性の論点で、最初の黒ポツは我々核融合コミュニティー内の話ですけれども、次の黒ポツは核融合の国際共同プロジェクトとしての視点、その次のポツはデータ駆動科学という視点、それから、次のページへ行きますとESG投資、最後はアウトリーチ活動、国民との双方向的な理解の増進という観点を、文科省さんとしてまず挙げていただきました。この観点でもよろしいですし、さらなる核融合の観点、先ほどちょっとありました技術のプラットフォームという観点とか、いろいろ議論していただければと思います。
 その議論の1つの端緒として、本日2件、御講演を頂くということになっております。この後、御講演いただきたいと思います。
 というのがこの議題でございます。ですので、2件の御講演の後、またこの資料に戻って皆さんから御意見を伺うということを予定しておりますけれども、もし今の段階で、進め方と内容等について御質問、コメントありましたらばお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、最初の御講演ということで、公益財団法人地球環境産業技術研究機構の秋元システム研究グループリーダーより「地球温暖化対応の状況を踏まえた核融合エネルギーの経済性評価」の御発表をお願いしたいと思います。秋元先生、よろしくお願いします。
【秋元グループリーダー】  ただいま御紹介にあずかりました地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元と申します。よろしくお願いします。本日は、このような場を頂きましてありがとうございます。
 本日、この「地球温暖化対応の状況を踏まえた核融合エネルギーの経済性評価」というタイトルで御説明させていただきますが、最初に私のバックグラウンドというか、その辺を簡単に御紹介させていただきます。私は、基本的に気候変動対策の専門家で、モデル分析、全体のシステムとしてどういうふうに評価するのかというところが専門でございます。それで、特に、経済産業省のエネルギー基本計画を策定する総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会の委員をしており、経済産業省の温暖化対策の検討を行う産構審の地球環境小委員会の委員等させていただいております。そのほか、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの代表執筆者を務めておりまして、特にワーキンググループ3という、緩和策、温暖化対策の対応の執筆者を務めているところでございます。
 そういう背景の下、本日は、全体システムを評価した中で、この気候変動問題を考えた中で核融合がどういう役割を担い得るのかということを、経済性の評価の視点の中で御紹介したいと思います。
 まず、こちらのグラフでございますが、皆様もよくごらんになっているかもしれません。これはIPCCの前回の評価報告書、2013年から14年に出た報告書で、有名なグラフですが、まず右のグラフでいきますと、これはCO2を出したときに、どのように気温上昇にインパクトが及ぶのかということでございます。見て分かるように、CO2に関してはなかなか減衰しないということでございます。一方、メタンに関しては、早く気温へのインパクトがなくなっていくということでございます。
 そういう中で、こちらのグラフでございますが、横軸に累積のCO2排出量、縦軸に気温上昇をとっております。この赤い部分はNon-CO2のGHGも含まれていますので、少しおいておいて、CO2だけを考えると、ここのグレーの部分になって、真ん中の中位のところが黒い線になっているわけでございます。
 見て分かるように、ほぼ直線の関係があります。これとこれが連動しているわけでございますが、何かといいますと、CO2を出し続ける限り、気温は上がり続けるということでございます。CO2を世界でゼロにしない限りは、気温はいつまでも上がるだろうということでございます。要は、出したものはなかなか減衰しないので、ずっと気温が上がり続けるという、非常に悩ましいというか、難しい課題を突き付けているということでございます。よって、いずれの気温レベルであっても、今2度目標等が言われていますが、若しくは1.5度と言われていますが、気温が2.5度だろうが3度だろうが、安定化しようと思う限りは、いつかは世界のCO2排出量をゼロにしなければいけないということが命題として突き付けられているということでございます。
 その上で、そういう流れの中で、これは基本政策分科会、経産省の方のエネルギー基本計画を策定したときに議論になったものでございますが、東日本大震災と福島第一原発事故というものがありましたが、今の状況の中で、パリ協定があって、2050年目標という議論があって、先ほど申し上げましたようにゼロ排出というものが求められるようになってきているという中で、脱炭素化という動きが強まってきているわけでございます。もちろん一足飛びに脱炭素化ができるわけではなくて、そこに至る低炭素化の過程が必要なわけでございますが、長期的には脱炭素化を目指していかなければいけないという状況があるわけでございます。
 ただ、ちょっと先ほど飛ばしてしまいましたが、もう一度戻りますが、ここにグレーの幅があるように、不確実性の幅は大きいということでございます。CO2を出してどれぐらい気温が上がるのかに関しては、まだ今の科学では不確実性が大きいということで、文科省さんもいろいろ、気候変動の推計ということもされていて、これも非常に重要な課題なわけでございます。ただ、不確実性が今はありますので、しかも気候変動の科学の不確実性だけではなくて、影響被害がどうなるのかも不確実だし、若しくはトランプ政権のように、いろいろ政治的な安定性、気候変動に対する積極性といったようなものに関しても不確実性がいっぱいあるわけです。
 そうしたときに、長期的な、野心的なビジョンとしては脱炭素化といったようなことは必要だけれども、そこに至る過程に関しては不確実性がたくさんあるので、複線シナリオで対応すべきではないかというのが第5次エネルギー基本計画の議論で、そういう形で基本計画がまとまっているということでございます。
 もう一つ、最近の動きでございますが、G20があった関係もあって、またパリ協定が2020年までに長期目標を提出しなさいという要請を掛けていたこともあって、御承知のようにパリ協定の長期戦略が策定されたわけでございます。そこにおいては、日本政府としては最終到達点としての脱炭素化社会を掲げ、それを野心的に、今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すというふうにまとめたわけでございます。長期的にはやはり脱炭素化が必要で、ちょっと具体的にどこの時点ということまでは、不確実性があるのでなかなか言い切れないわけでございますが、今世紀後半のできるだけ早期という言葉を入れて、そういう方向性を示したということだというふうに理解しています。
 ただ、やはりそれを実現させるには、今の技術ではコストが非常に掛かって、コストを掛け過ぎればエネルギーコストを上げ、またそれが日本の経済を阻害し、むしろ長期的には技術開発を阻害する可能性もあるのでイノベーションが必要で、環境と経済、環境と成長の好循環という言い方をしていますが、それをしながら実現していくという方針が掲げられているわけでございます。私は、この方針に関しては非常に賛同するものでございまして、その中身としてもイノベーションが非常に重要だと、ここの中に原子炉、核融合ということも含まれているかと思いますが、いろいろなイノベーションを起こしていかないとこれを実現できない。要は、コストを上げ過ぎれば、むしろ持続可能な発展に悪影響が及ぶかもしれませんので、コストを上げない形でCO2を下げ、そして長期的には脱炭素を実現していかなければいけないという課題があるわけでございます。
 今の世界各国の長期目標でございますが、日本は2050年に80%削減を掲げており、先ほどの長期戦略では21世紀後半のできるだけ早い時期に実質ゼロという形になっていますが、ここにきて欧州等を中心に、GHGの実質ゼロという目標を掲げる国が多くなっているという状況でございます。これは非常に温暖化問題の喫緊性を認識し、長期的には脱炭素化を実現しなければいけないという問題意識からなっているわけでございます。ただ一方で、米国政権のように、非常に、これは長期で温暖化対策をしていかなければいけない中で、トランプ政権のような、なかなか温暖化に共感を持たない政権というものも、もしかしたらトランプだけではなくて、順繰りに出てくるかもしれないと。そういう不安定の中で対策をとっていかないといけませんので、やはりイノベーションは非常に重要なんだろうということでございます。
 ちょっと背景が長くなりましたが、そういう中で、この温暖化対策の経済性評価をRITEでは行っております。使っているモデルは、これは長らく開発をしてきているモデルでございますが「DNE21+」という名前を付けていて、2100年までを評価すると。ただ、国によって地域差がいろいろあると、これは排出削減のポテンシャル、例えば再エネがどれぐらい安く手に入る国なのか、そうじゃないのかとか、若しくは経済成長をする国なのか、それほど今後経済成長が見込めない国なのかとか、いろいろ地域によって差がありますので、その差を表現する上で、かなり細かく地域を分割しております。その上で、エネルギーの輸送等も考慮し、技術を積み上げ的に詳細にモデル化しているという特徴があります。これだけ詳細にモデル化しているモデルは、世界の、IPCCに集まってくるモデルの中でもほとんどなくて、世界でも屈指の詳細な技術の評価のモデルになっているというふうに自負しています。日本政府の中でもいろいろな、温暖化の検討ということに、これまでも利用いただいております。
 ただ、今回分析する、お示しするシナリオということで、後で核融合の経済性の評価をお示ししますが、今回はSSP1、2、5という、3つの違った社会経済シナリオの、不確実性を考慮した評価を行っております。これはIPCCの中で合意されていて、SSP1から5という5つのシナリオで統合的に評価しましょうという合意がなされているところでございます。それに沿って評価をしているということでございます。ただ、余りに複雑になりますので、今回はSSP1と2と5という3つだけを評価したということで、御紹介させていただきます。
 1の世界観はどういうことかと申しますと、持続可能な発展というシナリオ名が付けられていて、これはサービス事業等が割と進展していくと、そして人口は割と少なめというような世界観でございます。それによってエネルギー需要が少し少なめなりますので、エネルギー供給への圧力が少し弱まるというようなイメージを持っていただければと思います。
 SSP2というのは現状の延長線というようなイメージで、中位的なシナリオという位置付けになっております。
 SSP5はどういう世界かといいますと、経済は成長するんだけれども、成長の中身が、例えばシェールガス開発のように、化石燃料を安価に抽出できるような技術が多く進展するという世界観でございます。そうしますと潜在的にCO2排出量が多く排出されることになりますので、同じ排出削減目標を実現するにも、かなりハードルが高くなるというような社会像でございます。そういう3つのシナリオを考慮して、核融合に対するロバストな結果を見ようということでございます。
 こちらが先ほど3つ御紹介した社会経済シナリオに基づいて、ベースラインといっているのは、温暖化対策を特に考慮しない場合に世界のCO2排出量がどの程度になるのかということをモデルで推計したものでございます。このSSP1のシナリオでいきますと、2050年ぐらいまでは伸びるんだけれども、その後、人口も飽和し、またサービス経済化が進むという社会像になっていますので、特に温暖化対策をとらなくても、経済、効率的に動くことによって、世界の排出量が2050年以降は飽和状態に入るだろうというふうに見られるわけでございます。赤の中位的なシナリオはだんだん上がっていくと、上昇幅は弱まりますが、緩やかに上がっていくというものでございます。紫のSSP5は、化石燃料が安い技術開発が成功していくということで、潜在的には相当大きなCO2排出の増大が見込まれるというシナリオでございます。これはモデルで解いた結果でございます。ただ、CO2制約は考えていないということでございます。
 続いて、CO2制約、気温制約を考えましょうということでございますが、パリ協定では2度目標ということを言っているわけでございますが、2度目標といっても、排出経路はなかなか不確実性が高いということでございます。これはIPCCの評価でございますが、気候感度と呼ばれるもので、気候感度というのは、濃度が倍増したときにどの程度気温が上昇するのかというパラメーターでございますが、今の気候科学においても非常に大きな不確実性が残っているということで、IPCCの第5次評価報告書でも1.5から4.5度という幅が示されているわけでございます。過去のIPCCの報告書からすると、最良推定値という中位的に見込まれる数値が2.5度若しくは3度というふうに推移してきていて、最新は合意できなかったというような状況でございます。よってこれは、だから例えば最良推定値3度ということであると、濃度が倍増したときに平衡状態に入ると3度ぐらい上昇するというものでございます。ただ、この幅が非常に大きいということでございます。
 それを今度は逆にモデルで解いて、これは全部2度目標ということで、気温が2100年に2度になるというものでございますが、Path-1というのが黒い線になりますが、同じ2度なんだけれども、気候感度が2.5度だったときにどういうパスになるのかということを計算したものでございます。
 続いて、赤のPath-2というのは、気候感度が2度安定化です。済みません、こちらは2100年に2度なんだけれども、こちらは2度安定化。安定化と2100年2度の違いは、2100年2度というのは、1回オーバーシュートして、2度を越えて少し行くんだけれども、2100年に2度に戻るというようなシナリオでございます。安定化というのは、もう2度を一切越えないと、2度上昇を超えないというもので、気候感度は同じく2.5度を示したものでございます。
 一方、このPath-3というのは、2度安定化なんだけれども、気候感度がもう少し高くて、もっと温暖化、余計に進む可能性があるというシナリオで、Path-3が2度安定化でブルーのラインになります。
 緑の部分がPath-4ということで、2度安定化なんだけれども、確率、これは50%確率で2度になるというシナリオですが、66%確率。要は、安全を見て2度になるというシナリオを考えた場合には緑のラインということでございます。
 御承知のように、パリ協定はwell below 2 degreesというふうに書かれていますので、well belowというと確率が少し高そうに考えられますので、一般的にはこのPath-4ぐらいではないかという言い方がされていますが、正式な見解があるわけではございません。よって、普通でいくと、このPath-3からPath-4ぐらいが2度目標に相当するのではないかと言われていますが、ただ気候感度は不確実性が高いので、場合によってはPath-1、Path-2ということもあり得るかもしれないので、幅を振ってみたということでございます。
 すぐ分かるように、緑になればなるほどコストは高く必要になって、要は緩和費用は高く必要になってくるということでございます。ただ、安全に2度目標を達成できる可能性が高まってくると、これは緩和費用と影響被害の便益をどういうふうに見積もるのかによって、どのパスをとり得るのがいいのかということは変わってくるということでございます。ただ、別の論点からいくと、本当に国際的な安定性がない中で厳しい目標が達成できるのかという問題もありますので、そういう意味で不確実性も存在するということでございます。
 続いて核融合の想定でございますが、これは核融合の研究機関と協力させていただいて、情報を頂いて、こういう想定を置かせていただきました。設備費に関しては、コストの中位シナリオにおいては8.5、8,500ドル・パー・キロワットというようなケースと、もっとコストが低減する可能性があるということで、6.6になった場合にどうなるのかという2種類、計算しております。そのほか最大設備利用率が90%であるとか、耐用年数40年といったような想定等々を置いて計算を行った。あと核融合発電が利用可能な地域ということについて想定も置きまして、分析を行ったということでございます。
 そういう中で、核融合だけではなくて、ほかのエネルギーや、ほかの技術との代替関係、競合関係等がありますので、そういうものをモデルの中で整合的に解いたという結果が、この世界の発電電力量。これは2度Cシナリオで、Path-3と呼ぶもので、先ほどの青い線の結果をまず御説明いたしますが、SSP、社会経済シナリオが違うケースで、SSP1と2と5ということでございます。SSP2が中位的なシナリオですので、まずこのあたりを見ていただいたらと思いますが、世界の発電電力量は相当やはり伸びていくという状況でございますが、その中で、太陽光発電がこのオレンジのところということで、世界で見ると太陽光発電の伸びがかなり大きいというのが1つでございます。ピンク色が核融合ですが、これは小さく見えますが、それなりの量が入っていて、世界ではこれぐらいの量で核融合が、特に2050年以降、特に70年以降ぐらいで相当貢献するという形になっています。ただ、やはり我々の分析からすると、万能なエネルギーはないので、太陽光や再エネも使わないといけないし、化石燃料でCCSというようなオプションも入るし、核融合も入るし、いろいろな技術をうまく組み合わせないと、この2度目標の排出経路に合致したようなパスは、経済合理的な対策はできないという結果になっております。
 後で御説明しますが、SSP5、SSP1という別のシナリオにおいても、大小関係はあるにせよ、核融合はいずれのシナリオでもロバストな結果として採用されているという結果でございます。
 続いて日本の結果でございますが、先ほどの世界全体と比べると大分状況は違いまして、このピンクの部分が核融合で、先ほどよりも相当大きいということが見えるかと思います。なぜこういうことになるかというと、日本は再エネのポテンシャル等が、やはりコストが高くて入りにくいという状況があり、しかも、ほかのもの、例えばバイオマスとか、そういうものに関してもコストが高くてポテンシャルも少ないということから、日本のエネルギーリソースが限られているということもあって、核融合は費用対効果が相当高くて、相当量使うのが経済合理的だということでございます。この結果は特に、しかも原子力に関しては経済合理的に解いていますので、社会制約を考えていない中で解いた結果でございます。後で御紹介しますが、実際には、こんなに入る、原子力をこんなに増やすということは現実には不可能でございますので、もっと制約が厳しいというふうに考えた方がいいということでございます。
 こちらはちょっと複雑でございますが、そういう中で不確実性を加味しながら、核融合が2100年にどれぐらい経済合理的に採用されるのかということを示したものでございます。赤っぽいオレンジが日本でございますので、日本はどのケースでもかなりロバストに選択されているということでございます。ただ、一部、例えばSSP1のケース、要は需要が相当少なくて、核融合のコストをコンベンショナルに見込んだケースであると、核融合が経済合理性を持たないケースも若干見られるということでございますが、ほとんどのケースにおいて、核融合は経済合理性を有しているということでございます。ただ、日本は非常に大きくて、それ以外の国でいきますと、例えばSSP2の、より排出が厳しく求められるケース、3、4といったようなシナリオでいくと、インドとか中国においても相当経済合理性を持ってくるということでございます。ただ、繰り返しになりますが、パリ協定をそのまま解釈すると、3か4というケースが普通でございますので、場合によっては、1.5度目標と言っているので、もっと厳しいケースが求められているという状況を考えますと、このあたりで見ていただくと、かなり、日本に限らず、ほかの、特にエネルギー多消費の国においても核融合は有効な手段だというふうに評価されるわけでございます。
 こちらは最後あたりのグラフになるかと思いますが、原子力、核分裂の方ですが、その導入に制約があるということで、30ギガワットまでしか導入できないという制約、大体全体の設備容量の1割ぐらいになるかと思いますが、1割ぐらいまでしか制約されない、発電電力量にすると原子力は設備利用率が高いので、もっと、2割近い発電電力量になりますが、容量として1割ぐらいに制約した場合にどうなるのかというケースです。もちろんこのケースでは、より核融合の方が合理性が出てくると。ただ核融合は、先ほど同様、それほど大きな差はなくて、むしろ水素発電なんかに影響が出てきやすいかなという結果でございます。
 最後にまとめさせていただきますが、温暖化は確実に進行していて、しっかりした対応が必要だというのは言うまでもないかと思います。ただ、持続的に温暖化対策ができるためには、余りコストを掛け過ぎるというのはなかなか難しいので、環境と経済の両立が非常に重要だと。パリ協定は2度目標、そして21世紀後半には実質ゼロ排出という言及があるわけでございます。ただ不確実性があって、その不確実性を考慮しながら、余り経済に負担を掛けすぎれば対策は持続しませんので、そういう面でのリスクマネジメントが必要だと思うわけでございます。ただ、いずれにしてもゼロ排出という、脱炭素化ということが求められている状況でございますので、そういう中でオプションがどうあるのかということを考えると、原子力か再エネか、CCS付きの火力かということになってくると、核融合というオプションは非常に魅力的なオプションとして残しておかなければいけないというのは、経済分析の中でも言えるかと思います。
 万能なエネルギーは存在しませんので、エネルギー源の適切なミックスは必要だということで、あとは2度目標、これは申し上げました。
 不確実性はいろいろあるんだけれども、いろいろな不確実性を考慮したとしても、長期的に考えると核融合の役割というのは大きいのではないかという気がしております。ただ、コスト目標は重要で、どれだけコストを掛けてもいいという問題ではないので、しっかりコスト管理はしながら、ほかの技術との関係性というものは見ていく必要があるだろうというふうに思います。特に日本においては、パリ協定の長期目標を前提とするのであれば、様々な不確実性を考慮したとしても、核融合発電は多くのケースで費用対効果が高いというふうに見られますので、しっかり技術開発を進めていっていただければと思う次第でございます。
【小川主査】  秋元先生、ありがとうございました。非常に興味ある御発表でして、我々としても非常に関心ありますので、是非皆様、活発な御議論いただきたいと思います。
 まず質疑からお願いします。
【岡野委員】  核融合をDNE21+に入れていただいて、どうもありがとうございます。核融合の役割が少し見えたかなという気がして、感謝しています。
 私は、その前提になるIPCCのシナリオについて、私自身がいつも説明に困っているのでお伺いするんですが、きょうのお話を聞いていると、2度C目標はSSP5であっても達成可能だというふうに理解してよろしいですか。それはCCSを使うからであるということですか。
【秋元グループリーダー】  はい、そのとおりです。SSP5の世界であっても、コストは非常に高くなるんだけれども、CCSというオプションがありますので、そういう面では2度目標の達成はできると。ただ、これはよくIPCCでも議論になりますが、技術的にできるのかということと経済的にできるのかということとポリティカルにできるのかというレベルでは、できるという水準が全然違いますので、そういう面では、ここでは技術的にできるということを申し上げていて、ただ経済的には相当高い費用が掛かってきますので、私としては、やはりその需要をどう抑制するかということと併せて温暖化対策は考えていかないといけないというふうには思っているところでございます。
【岡野委員】  はい。それと17ページについてですが、私自身がいつもこれも説明に困っている点なのですが、この一番下に世界GDPというのが書いてあります。SSP5は75億人で、SSP1のみんなが環境の視点でいいよねと考えると思われるこのシナリオだと同じ70億人で、人口はそんなに違わないのに、一方、世界のGDPがSSP1の230億に対してSSP5なら406億なのですね。これは世界平均なので、秋元先生は一番御存じだと思うんですけど、多分発展途上国はもっと差が開くはずですよね。2倍とか開いているはずで、言ってみれば、SSP1を目指すということは、あなた方は収入の半分を諦めてねということになるわけですね。それを一体どう説明すれば彼らを説得できるんでしょう。SSP5を目指せれば、みんな40万円給料がもらえるのが、SSP1を目指してしまうと23万円になってしまうというふうに見えるのですが、そういうことになるのでしょうか。
【秋元グループリーダー】  要は、これは、目指してできるシナリオかどうかというのは規定していなくて、目指しても、SSP5は相当技術開発がうまくいって、全部いろいろな技術開発が成功したということでございますので、目指してもそれが実現できるかどうかは不確実だというシナリオの作り方です。SSP1もそうなんですけれども、むしろSSP1がよく議論になるのは、持続可能な発展シナリオというけれども、実際にそれを目指して実現できるのかどうかということはここでは言っていなくて、どのシナリオがどれぐらいの確率でできるのかというのは恐らく違っているはずなんですが、それに関しては、これはシナリオ分析ですので、どの確率でどのシナリオが起こりそうかということは分かっていないということでございます。
 ここには示しておりませんが、SSP3という世界が一番、ちょっと悲惨なシナリオ的なもので、人口は増え続けて、経済成長は非常に低くて、そういう悲惨なシナリオの設定になっているわけでございますが、それももしかしたら、望まないけれどもそこに行ってしまうかもしれないという世界観なので、ただ我々、評価する上では、そういういろいろな可能性があるということを見ながら、ただ、それでもロバストな政策はどうあるべきなのか、若しくはこれに向かってどういうふうに修正していったらいいのかという議論のたたき台にするために、こういう分析を行っているということで御理解いただければと思います。
【岡野委員】  ありがとうございました。そうしたら、別に我々が選ぶのではなくて、どうなってしまうか分からない幾つかのシナリオだということなんですね。
【秋元グループリーダー】  はい、そのとおりです。
【岡野委員】  私は、SSP5に世界は行くんじゃないかなという恐れを持っているので。
【秋元グループリーダー】  もちろん行くかもしれないという危惧を持っているわけでございますが、これは技術開発し、化石燃料を物すごく安くとれるような世界が実現してしまうとそうなるかもしれないということで、目指しているということであるわけではございません。
【岡野委員】  そうすると核融合は、CCS付の火力に勝てれば入るかもしれないという、一言で言えばそういう感じですよね。
【秋元グループリーダー】  ただ、そうとばかりも言えなくて、やはり分担があって、CCSが安ければ核融合は入らないかというと、CCSといってもコストのレンジが非常に大きいわけでございます。安く利用できるようなCCSもあるけれども、例えばポテンシャルが尽きてくれば、やはり難しいところを掘らないといけませんので、そうするとコストがだんだん上がってきますし、石炭火力からCCSをすると比較的安いわけですが、ガス火力等からすると更にCCSのコストが上がってきますので、その条件によってCCSのコストは物すごく分布しているわけでございますので、CCSが安いところはCCSが入るかもしれませんが、高いところはなかなか入らないと。更に行きますと、例えば日本ではCCSのポテンシャル、サイトがそう多いわけではない可能性があって、もっと安価にできるところはあるわけでございます。そうすると、日本においてはCCSも、申し上げますとRITEはCCSの開発をやっている研究機関なので、CCSをサポートしたい気はあるんですが、そうは言ってもCCSもそんなに、どこででも安く使えるものではないので、私は核融合も必要だというふうに評価しているわけでございます。
【岡野委員】  ありがとうございます。
【小川主査】  ありがとうございました。ほかに何か質問あるでしょうか。
 
【牛草委員】  ありがとうございます。原点に戻させていただいたような気がします。2025年から核融合の実験炉が動き始めると、技術的には核融合というのが本当に物になりそうかどうかというのを一生懸命やっていて、今はまだコストのところまでは行っていないんですね。でも我々は、核融合のコストを下げるための、これから何をしていかなあかんかというのを改めて思い知らされたといいますか、そういうふうな印象を受けました。僕はこれからそういう方向で頑張っていきたいと思っていますので、ありがとうございます。
【小川主査】  他にありますでしょうか。
【兒玉委員】  ありがとうございました。核融合をやっている者としては本当に元気が出るプレゼンだったんですけれども、2つありまして、私は光をやっているので、エミッションというと必ずアブソープションがあって、それで平衡状態が成り立っているという世界をやっているので、今の場合は、恐らくモデルはエミッションだけだと思うんですね。それがちょっと気になることと、それから、ロシアの科学アカデミーでは、アブソープションは海が圧倒的に大きいというコメントを出されているんですね。その辺のことに関してコメントいただければと思います。
【秋元グループリーダー】  1つ目の御質問について、アブソープションといった意味で、我々、植林という意味でのアブソープションは考慮して評価しているわけでございますが、それ以外に、海洋等の評価に関しては、緩和策ではないので、科学的なメカニズムの中でのアブソープションという意味では、我々これ以外に気候変動モデルというのを別で回していて、そこでは海洋へのアブソープションも入っていて、自然メカニズムとして、CO2濃度が増えると、より多く海洋にアブソープションされるという効果は入った上で評価をしていますので、一応そういうものも考慮した評価になっていると御理解ください。
【小川主査】  ほかに何かあるでしょうか。
【尾崎委員】  22ページですけれども、このシナリオでいきますと太陽光はどのシナリオでも比率が高く、化石燃料はシナリオによって比率が違います。また、原発の比率が大きく、かなり伸びると予想されているようです。原発のコストが安いことが理由と思いますが、核融合の場合、今は試験炉製造の手前で小規模ですが、実用化して部材を大量生産すればコストは下がってくるというシナリオが描けます。また、今よりかなり増えると評価されている太陽光発電の表面上のコストは安いですが、グリッドへの負担は大きいです。グリッド整備のコストを考えると、太陽光はそんなに安くないと思いますが、どんな前提で考えていらっしゃるのか教えてください。
【秋元グループリーダー】  どうもありがとうございます。太陽光発電のグリッドの、要は統合化費用というのは一応、不確実なんですが、だんだん量が増えてくると、対策費用が、安定化費用が増えるという想定を置いていて、そういうものも含んだ上での評価になっているということでございます。我々の評価はむしろ、再エネ、特に太陽光や風力に対しては、世界のほかのモデルよりも相当コンサバティブに見ているというのは、モデル比較のプロジェクトを世界的にも我々展開していて、そういうところの比較からすると、むしろ世界の評価よりも我々の評価はすごく、これでもコンサバティブだということでございます。
 それは、先ほど申しましたように、統合費用をしっかりモデルの中で入れ込んでいるということと、地域を非常に細かく切っているということが原因でございます。ほかのモデルは世界を10地域ぐらいにしか分割していないと、再エネがある国にあると、あるところにあっても、ほかのところにそのままコストフリーで輸送できるというような想定が暗に入ってしまうわけでございますが、我々のモデルは非常に細かく分割しているので、送電のコストとか、そういうものを含めて考慮しているというのと、安定化の費用を別に入れているので、これでもコンサバティブだということでございます。
 ただ、おっしゃるように、これは見た目でいくと相当大きな量になっていますので、そういったものが、要は、逆に言うと、それぐらい厳しいことをしないと2度目標を達成できない、特に21世紀後半においてはゼロ排出というものが求められている中で、そういう再エネへの要求があるというふうに御理解いただければと思います。
 原子力に関してもおっしゃるとおりで、ここでは社会的な受容性に関しては、これまで原子力はもうやらないと言っている国に関しては入れない制約を置いていますが、それ以外に関しては社会的な制約を置いていないので、こういう評価になっていますが、よって、ちょっと別の、これは日本のケースしかお示ししておりませんが、原子力を、社会的な制約を置いたときにどうなるのかというのは、感度を見ているということでございます。
【植竹委員】  25ページなんですが、私、聞き漏らしたかもしれないんですけど、ハイドロジェンのところは2次エネルギーですけれども、ほかは全部1次エネルギーが並んでいるわけで、ここだけなぜ2次エネルギーが入ってくるんですか。
【秋元グループリーダー】  発電電力量ですので、ほかから、例えば再エネが入り過ぎると、それを1回水素に貯蔵して、もう1回戻さないと安定的に供給できないので、そういう効果があるとか、これは、特に日本の場合は、オーストラリアとかそういうところの褐炭からCCSをして水素を持ってくる方が経済合理的だというところが入り込んでいて、こういう結果になっているわけでございます。条件によっては水素が入りにくいケースもありますが、我々の計算では、やはりCO2を削減していこうと思うと、CCSのポテンシャルが制約されたり原子力が制約されたりしてくると、水素も部分的には重要なオプションの1つになり得るという評価でございます。
【植竹委員】  そうしますと、例えば電池なんかと同じ扱いだということになるんですね。
【秋元グループリーダー】  はい、そのとおりでございます。電池も一部は系統安定化のために入っているわけでございますが、電池の場合はやはり長期間貯蔵するというのが難しいので、そういう面で長期間貯蔵の場合は水素の方が優位性を持ち得るというような評価結果でございます。
【植竹委員】  先ほどCCSについては地域的にコストが高くなるところと安くなるところが出てくるということでしたけど、コストの安いところで石炭プラスCCSをやって水素に変えて持ってくるというのもこの中に入っているということですか。
【秋元グループリーダー】  そのとおりでございます。
【植竹委員】  ありがとうございます。
【小川主査】  岸本さん、どうぞ。
【岸本委員】  どうもありがとうございます。地球温暖化に関して、我々も大学の講義等で言及することは多い状況です。これについて、様々なシナリオを描いているということですが、先ほどエミッション(放出)とアブソープション(吸収)の議論がありましたが、温暖化のモデルについて、少なくとも科学を専攻している人間にとっては、それが高い確度で正しい、あるいはバリデーション(検証)とベリフィケーション(確認)が絶え間なくなされているということを、学生に情報発信したいと考えています。すなわち、それを鵜呑みにするのではなく、判断できる一定の材料を与えることは大学人としても重要と考えています。その視点で、温暖化モデルというものをどの程度信頼していいのか、私自身も判断が難しいので、そのあたりを一言コメントを頂ければと思います。
【秋元グループリーダー】  モデルの正しさという、そのモデルが何を指されているのかというあれがあるんですけど、きょう御紹介したのは、エネルギーの対策のモデルを中心に御紹介させていただきました。それと別に、先ほどアブソープションの話があったのは気候変動の推計のモデル、これはCO2排出して気温がどういうふうに上昇するのかというモデルがあって、これは我々の専門ではないので、気候学者が開発している、簡易的に評価できるモデル、よくIPCCで使われているモデルを活用しております。そのパラメーターを、先ほど気候感度の2.5度か3度かといったようなところで振るということはやっていますが、気候モデルのベリフィケーションというお話であれば、そこに関しては我々もいろいろな情報を常に入手し、しかもまだやはり懐疑論者もいらっしゃって、モデル推計自体が、モデルの評価ということ自体が不適切で、いろいろな観測データからすると高く気候感度を見積もり過ぎているのではないかという御批判があったりしますので、そこに関して、我々はチェックしていて、いろいろな情報を入手しながらチェックは掛けていると。ただ、必ずしも我々の専門ではないので、いろいろな情報を入手しながら、不確実性を見ながら評価をして、お伝えしているということでございます。
 ただ、我々の緩和モデルの正当性というかベリフィケーションに関しては、自然科学を評価するというものではございませんので、前提条件の下での正当性を評価しているわけで、必ずしもそうなると申し上げているわけではなくて、こういう前提条件、コスト条件や技術の条件を置いたとすると、経済合理的にみんなが行動したとした結果はこうなりますと。そこに関してはモデルでの不適正は全くないので、そこに関して、モデルは絶対に正しい結果しか出していないということでございますので、そういう限定的な条件の下ではしっかりチェックはされているし、間違いはない結果を出しているということでございます。
【岸本委員】  ありがとうございました。
【小川主査】  ありがとうございます。多分まだたくさん御質問あると思いますけれども、時間もありませんので、この辺で切り上げさせていただきます。
 私の方からは、コメントとして、実は24ページで、核融合が世界にどう入るかという視点です。これを見ると日本は大体入りそうだと、でも確かにアメリカはほとんど入らないだろうなと、あと、これを見るとヨーロッパもなかなかきついかなと。こういう情報を、幸い魏(ぎ)さんが昨年のIAEA会議で報告していただいたので世界に発信できましたが、是非ともこういう成果を積極的に今後も世界に発信していただいて、ヨーロッパ含めまして、世界のエネルギーモデル屋さんが核融合をどう考えるのかという議論の1つの端緒にしていただければと思います。従って、是非今後ともこの辺の研究を世界に発信していただければと思います。
【秋元グループリーダー】  ありがとうございます。IPCCの評価の場では、核融合はちょっと長期的過ぎて、これまで余り評価がなされていなかったんですけれども、そういう面で、国際的にいろいろ発信をしていますので、またIPCCにもそういう評価が採用されて記載されるように努力を続けたいと思いますので、御支援もよろしくお願いいたします。
【小川主査】  是非よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
【秋元グループリーダー】  どうもありがとうございました。
【小川主査】  それでは引き続きまして、尾崎委員より「革新的技術と事業価値」の御発表をお願いしたいと思います。尾崎先生、お願いいたします。
【尾崎委員】  神戸大学の尾崎でございます。どうもよろしくお願いいたします。
 本年度からこの委員会の委員になりました。今、秋元さんがお話をされていましたが、私も核融合の専門家ではありませんので、簡単に自分のバックグラウンドをお話しいたしします。
 31ページに私の経歴を書いていますが、聞き慣れない片仮名が多いので、ちゃんと読まなくて結構です。政府関係では環境省の仕事を主力としてやっておりまして、ひとつは、環境市場規模、環境産業の規模推計を行う委員会に属しています。また、環境技術を使ったイノベーションを分析する委員会にも属しています。さらに、経産省、沖縄県のイノベーションの仕組みづくりの仕事などをやっております。
 32ページの図の方が経歴が分かりやすいです。大学を出ておよそ35年間経ちましたが、前半は投資銀行業界に勤務し、野村證券やゴールドマン・サックスなどで仕事をしました。後半で仕事の分野が変わり、産学連携、ベンチャー経営、オープンイノベーション に取り組んできました。OIというのはオープンイノベーションの略です。この期間中、大学教員になって、今15年目です。教員をやりながら、産学連携、OIの実務にも関わっています。大学では、理工系の学部を卒業したばかりの修士学生、企業から派遣された博士課程の学生を対象に、技術を使ったイノベーション、アントレプレナーシップを教えております。
 本題に入らせていただきますが、きょうは、33ページにある4つの項目(①大学と企業との違い、②革新的技術の推移、③民間と国プロとの健全な競争、④オープンイノベーション への対応)を用意しております。核融合は革新的技術に属します。革新的技術はオリジナリティが高いという意味と、バリューチェーンの上流にあって、足が長い、事業化までの道のりが長いという意味があります。ではどの程度事業化まで遠いのか、産業界は核融合をどういうふうに見ているのかといったお話をしていきます。
 最初に非常に基礎的な内容ですが、大学と企業との違いについてお話しします。(34ページ)大学はオリジナリティを追求する場で、論文執筆、教育、研究による社会的貢献が重要です。ただ、最近は外部資金の獲得がまるでファーストプライオリティーになっています。皆さんご存知のとおり、企業は大学と異なり、利益を最優先します。企業にとって利益優先は当然ですが、最近はSDGsによる社会的貢献とか、イノベーションによってオリジナリティを追求することが増えました。これは従来企業の重要なミッションでなかったはずですが、大学と企業の間で多少クロスオーバーが生じています。
 35ページに事業価値を説明した図を描いています。一企業全体、一プロジェクトとも同じですが、事業価値とはキャッシュフローの現在価値で表されます。図中にフリーキャッシュフローと書いていますが、これは会計上の概念で、減価償却とか税金を考慮して、実質的にその企業がどれくらいのお金を使うことができるかの予想金額になります。2019年の1億円と2年後の1億円を比べると、価値は今年の1億円の方が高いです。2年後は今より不確定要素が大きいですから、2年後のキャッシュフロー価値は現在より低くなります。従いまして2年後の1億円の現在価値を求めるには、割引きレートを使って2年分割り引かなければなりません。1年後からN年後までの予想キャッシュフローを現在まで割り引いた金額の合計が事業価値になります。
 この計算式に従うと、市場の金利が上がれば事業価値は下がります。また、業績が悪くなって企業のキャッシュフロー予測の不確実になると、当然事業価値は下がります。さらに、同じキャッシュフローの予測でも、大企業より不確実性が高いベンチャー企業の方が事業価値が低くなります。ここまで企業や事業の価値についてお話ししましたが、研究の事業価値もキャッシュフロー予測によって決まります。研究開発のバリューチェーンは、上流からアイデア、基礎研究、応用研究、マーケティングと続きますが、上流ではずっとキャッシュフローが赤字になります。研究費用だけかかり売り上げがないからです。事業化が進んで製品販売ができるとキャッシュフローがプラスになります。しかし、マイナスの事業価値が長期間続くことはは企業として受け入れられません。核融合の基礎研究は現状主に公的資金で賄われているのはこういう背景がありますが、それだけでは持続可能ではなく、企業投資を誘引しなければなりません。
 マイナスのキャッシュフローが長期間続く状態を、36ページのように死の谷と呼びます。核融合は死の谷が長く深い研究と言えますけど、死の谷を解決する1つの方法として、37ページの大学発ベンチャーの設立があります。通常、応用研究段階でベンチャーを設立することが多いですが、会社を作るによって、本来の研究目的と違う、サブの事業によって収益を得ることが可能になります。アカデミックな研究テーマでは想定できないような事業で収益を得ることによって、プロジェクトの持続可能性が高まリます。これが大学発ベンチャーの役割のひとつです。
 例えば創薬のベンチャー企業を考えてみます。(38ページ)新薬の開発には多額の資金と10年を越える期間が必要です。その間、ベンチャーは売り上げを得ることができないなら、生き延びることができません。そこで、創薬ベンチャーは製薬企業とマイルストーン契約を結ぶことが多いです。新約開発のバリューチェーンでは、研究、動物を使った非臨床試験が行われ、その後、人を対象にした臨床試験が行われます。臨床試験は開発の進捗状況に合わせてフェーズ1、2、3を経て、ようやく薬として承認されます。そして、各段階(マイルストーン)をクリアする度に、製薬企業はベンチャー企業に対してキャッシュを払うのがマイルストーン契約です。ベンチャーを通じて、アカデミックな研究オンリーでは得ることのできないキャッシュフローを得ることができます。
 39ページのグラフは国内の大学発ベンチャーの企業数推移ですけど、近年、増加傾向が続いています。大学発ベンチャーは2002年に日本版バイ・ドール制度が導入されたことにより増加が始まりました。この制度によって、公的資金によって得られた大学の知財を独占的に1つの企業にライセンスをしてもかまわないことになりました。また、知財の発明者がベンチャーに関与できるようになり、大学教員が大学発ベンチャーの役員や創業者になるケースが増えてきました。
 私が産学連携や大学発ベンチャーの研究を始めたのが日本版バイ・ドール制度の実施が始まった頃で、それから約20年経ちましたが、日本の大学発ベンチャーのレベルは確実に上がって来ました。ベンチャーの研究・業務分野は、IT、バイオ、ヘルスケア、環境などの比率が高いという特徴があります。
 大学発ベンチャー設立の意義をまとめますと、大学保有知財の独占的使用ができること、研究人材以外に、経営人材、事業人材をスカウトして事業戦略を作ること、事業化の選択肢が増えることがあります。(41ページ)皆さんもお聞きになったことがあると思いますが、大学の研究者がベンチャーを作ると、パートナーのビジネスマンとの相性が悪くて経営が頓挫することが少なくありません。だから大学発ベンチャーは良くないという悪いうわさを聞いた方もいらっしゃると思います。事実としてそういうことはありますが、これはヒューマンファクターが原因で、ベンチャーという枠組みが悪いわけではありません。ベンチャーによってアカデミアだけでできなかったことができるようになったのは事実です。公的資金による研究費だけではなく、企業との提携によってR&Dの費用を賄えば、ファイナンスの選択肢が増えます。
 ここまで大学発ベンチャーについてお話をしてきましたが、そのベースとなる革新的技術の現状についてお話をします。
 米MITのテクノロジーレビュー誌が、毎年革新的技術10傑を選定して発表しています。今年の「Breakthrough Technologies of 2019」(43ページ)に新型核エネルギーが入っています。これ以外に人工培養肉ハンバーガーなど、多様な分野の技術が紹介されていますが、今年初めて核エネルギーが紹介されたことは注目に値します。
 これの背景には、ビル・ゲイツ氏が技術選定委員に入ったことがあります。(44ページ)彼が原子力関連のベンチャーに投資をしているのは有名で、そのゲイツ氏が核エネルギー技術を評価していることに違和感があるかもしれません。ただ、ゲイツ氏には、エイズワクチンのプロジェクトに積極投資したという実績があります。エイズ患者は、保険制度が整っていない貧しい国に集中していますので、製薬企業にとって開発のインセンティブが低い薬です。従いまして、ゲイツ氏のファンドのように目先の利益よりも公益を重視した投資家がいなければ、エイズワクチンは開発できなかったと思います。彼のような大富豪はこれ以上儲ける必要はないでしょうし、投資リターンのみを追求する投資家と違い、リスペクトされるべき存在です。そのゲイツ氏が核エネルギーを推していることは注目に値します。ここで書かれている核エネルギーは、核融合だけでなく、小型原発が含まれています。この2つを合わせて「新型核エネルギー」と称しているところは注意を要します。また、核融合に関して非常に好意的な評価が書かれております。 “They has even been progress on fusion”、すなわち、核融合の研究開発は非常に進展した、核融合はまだ夢物語の段階であるが、原子力発電に比べて世間のアレルギーは低いと指摘されています。(45ページ)
 核融合技術を基にしたベンチャー企業も生まれており、46ページのリストに載っているのが代表的な企業です。Fusion Industry Associationという団体もできており(47ページ)、核融合ベンチャーは増加すると予想されます。
 ベンチャーの増加には、ITERの進捗と米国政府のエネルギー省が資金を出していることが背景にあるようです。アントレプレナーシップについて日米の差を論じるケースが多いですが、革新的、前例がない事業に取り組む風土や人材層の厚さは、米国が圧倒的に日本を上回っています。従いまして、核融合のようなビジネスが最初にできるのはまず米国です。また、中国での核融合投資も活発です。日本にも1社、京大発のベンチャーができたお聞きしておりますけど、この委員会としても今後、内外の状況をまめにチェックするべきと思います。
 先ほど秋元さんのお話にもありましたように、核融合の市場として日本が有望視されているのであれば、革新的な人材が米国から出てきても、出口の市場は日本にあります。米国の起業家もそのことを理解していると思います。
 MITが発表している革新的な技術を過去10年間にさかのぼって表を作ってみました。(48ページ)毎年、MITが指摘している10個の技術のうち、面白そうなものを私がピックアップしました。
 この表には非常に面白い情報が含まれております。順番に説明していきたいと思いますが、2013年、2014年にニューロ・コンピューティング、ディープラーニングがハイライトされました。AIベンチャーへの投資が増えてきたのが正にそのタイミングですね。(49ページ)今、AIに興味を持っていない企業は殆どいないような状況ですが、わずか5年前は非常に革新的な技術、つまり実用化には遠い、上流技術とみなされていたことが分かります。また、表に戻りまして、量子コンピューターは昨年、一昨年から投資が増えてきたことが分かります。(51ページ)量子コンピューターは、AIとちょっと違っており、中国政府やIBMなど、大組織が研究投資をしているという特徴があります。(52ページ)
 続きまして、ドローンです。ドローンは2014年から投資が増えています。(54ページ)MITの記事が出て、そこで投資が増えたという可能性がありますが、逆に資本市場でこういった技術への投資が増えていることをMITが追認して、評価をしている可能性もあります。同時並行的に起きていることではあろうことを付言しておきます。
 それから、リサイクル宇宙衛星です。今、日本の企業も含めて民間が衛星を打ち上げるのは当たり前になりましたが、これもつい最近まで当たり前でなかったということです。(56ページ)
 最後に、ゲノム編集、それから細胞合成技術、このインパクトが非常に大きくなってきていることが分かります。(58, 59ページ)細胞合成技術の高度化によって、バイオ研究とデジタル技術は密接になりました。それからゲノム編集という、今までの遺伝子組み換えと全く違う次元の技術が出てきたため、産業が劇的に変化しています。
 ここで申し上げたいのは、ドローン、AI、ゲノム編集などは、今当たり前のように言われていますが、ほんの四、五年前まで産業界が全くあるいは殆ど興味を持たない技術であったということです。核融合がこれからどういうふうに評価されるか断言はできませんが、2019年にMITの革新的技術のリストに加えられ、米国で核融合ベンチャーが増えているのは、注目すべきトレンドだと思います。
 1つ、革新的技術の歴史として具体的なケースをお話しします。国際ヒトゲノム計画とバイオエコノミーの関係です。
 先程お話をしましたが、バイオエコノミーが非常に注目されているのは、IT技術の進展と表裏一体です。バイオエコノミーは2030年に1.6兆ドル産業になると予想されています。(62,63ページ)以前のバイオ産業は、製薬、食品、ヘルスケアなどが中心でしたが、今後は環境負荷が低い工業製品や遺伝子組み換えと異なる農業など、応用範囲が広がってきます。
 バイオエコノミーが今のように成長して来た原点は、遺伝子、ゲノムの配列が解読できるようになったことがあります。ゲノム解読は今では当たり前のように行われていますが、やはりこれも以前は当たり前でありませんでした。これができるようになったのは、1988年に国際ヒトゲノム計画が発足したことです。日本を含めた先進国6か国が参加した国際プロジェクトでした。(64ページ)1990年代は、ヒトの全ゲノム配列を読むのは夢物語だったということです。
 国際ヒトゲノム計画は約15年掛けて完成版ゲノムの配列を公表して、その後16年経ちましたが、技術がどんどん改善されてコストも下がってきたという歴史があります。1998年にセレラ・ジェノミクスというベンチャー企業が米国で設立されました。この企業は国際ヒトゲノム計画研究者の1人だったクレイグ・ヴェンターが、この計画を離れて設立した企業です。そして、国際プロジェクトと違う方式でゲノムを解読するというビジネスを始めました。結果的に官民で技術競争するという状況になりましたが、後年、この官民競争によってプロジェクトのスピードが上がったという評価がされています。
 最後に、革新的技術とオープンイノベーションの関係というお話をしたいと思います。
 オープンイノベーションは自前主義と対立する概念です。(66ページ)以前、リニアモデルという研究開発理論がありました。研究開発は時系列に単線で進めれば成果が出るという考え方で、大企業が中央研究所を持って多額の研究開発費をかければ、良い製品ができるとされていました。産業構造や技術が今より単純だった1970年代に機能した理論です。ところが今、リニアモデルではうまくいかなくなっています。リニアのようにR&Dを予定調和的に進めるのではなく、リーンスタートアップのように短い期間で仮説の検証を行い、仮説に戻るというサイクルを繰り返すやり方が主流になっています。こういう状況では自前主義では新しいものは作ることは困難です。そこで、大企業はベンチャーあるいは大学と共同して、外の資源を上流R&Dのときから取り入れ、下流のマーケティングでも外部の資源や情報を取り入れるオープンイノベーションに力を入れています。
 研究に注力されている委員の皆様に参考になると思いますが、今、日本ではオープンイノベーションに注力をしている企業が増えています。大企業がベンチャーや大学と協同する場合、研究者同士のみで話合いをしても、なかなかイノベーションまで行き着きません。なぜなら、大企業の組織は非常に複雑で、R&D、事業部門、マーケティング、ファイナンス、管理、コンプライアンスなど様々な部門が縦割りで分かれており、同じ組織内でも情報がうまく回らないことが多いからです。これら部門の利害を調整し、情報を集約するオープンイノベーション機能が必要になります。
 オープンイノベーションは新しいことをやることがミッションですから、当然、核融合のような革新的技術は対象になります。ただ、対象になるといっても、今年、来年、予算が付くかどうかは別問題です。核融合の場合、基礎研究をやっている研究者とだけ交渉しても、なかなか次に進めません。組織をよく理解したオープンイノベーション推進部門、あるいは経営と直接的に話して物事を進めることが重要です。
 2社ほど例を挙げますけど、コマツという建設機器の会社があります。この会社はIoTを、産業界に先駆けて導入したり、ドローンを活用したりと、日本では先進的な会社ですが、ドローンとかIoTのような新しいプロジェクトの導入は社長直轄で行われています。大企業が新規事業を行う場合、複雑で時間が掛かる決裁ルートがあります。ここに核融合やドローンのような全く新しいものを持っていっても、うまく行きません。前例がない新しいもののリスクを判断できるのは、担当役員や部長クラスでなく、経営トップになります。ただ、PoCが終わって事業化のための大きな予算を付ける段階では、通常の決済ルートに乗せることになります。
 最近、プラットフォームという言葉がはやっていますけが、プラットフォームを作って、いろんな参加者をそこに集めて、核融合の情報を提供していろいろな知恵をもらうという仕組みは参考になると思います。
 以上で私の発表を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。
【小川主査】  尾崎先生、ありがとうございました。これも非常に面白い話で、いろいろと御質問あると思いますが、聞きたいことがありましたら是非お願いいたします。
 私自身は、先ほどの最後の企業、例えばNTTデータですが、これを核融合界と見ています。核融合界としての本業は核融合技術で核融合炉開発なんですけれども、その核融合界が、核融合のコア技術を持って、別のベンチャーとかいろいろなところと協力できないかと。又は、それと同時に、それを持ったプラットフォーム化、技術プラットフォーム、先ほど戦略官も言っていましたが、技術プラットフォームとしてというのはできないのかということです。そういうのを夢としては描いていて、こういうのができればなとは思っているんですけれども。従って、一企業としての視点ではなくて、私は一核融合というコミュニティーとして見させていただきました。
【尾崎委員】  全くおっしゃるとおりだと思います。日本の大企業がイノベーションに力を入れるようになりました。核融合であれば、今の基礎研究がITERとかBA含めてどのように進展しているのか情報的供して、産業界の意見をどんどん聞く場を作るということです。そういう設定ができると思います。
【小川主査】  どなたかございますか。
【竹入委員】  興味深いお話ありがとうございました。核融合の研究開発は非常に長期にわたっているということもありますけれども、我々は基礎研究的なものをやるということで、核融合の実現を目指して、脇目も振らずにやっているというところがありますけれども、今のお話を聞くと、コーディネーターというのか、核融合というのは様々な技術や、イノベーションを起こす基となる研究成果みたいなのがいっぱいあるわけですよね。様々な分野を融合している分野であるので、核融合の分野としてもコーディネーターをしっかりと育てて、派生的な産業応用に向けた事柄をコーディネートできる、そういう人材の育成をして、まだまだ30年以上掛かる目標を達成するために、その周辺で、いわゆるもうけることを考える必要があるのかなというのをちょっと感じたところです。
【尾崎委員】 おっしゃるとおりだと思います。人材が足りない場合、様々なタイプの人が経験を積む場があれば、人材育成ができると思います。過去のバイオも同様で、国際ヒトゲノム計画が始まった30年前は人材不足が指摘されました。米国のフュージョン・ベンチャーが取り組んでいることを見れば、核融合研究の本流でないところでどうやって利益を出すかのヒントがたくさんあるはずです。今おっしゃったコーディネートをできる人を増やすには、米国などを参考にして実地で経験を積むことだと思います。まだフュージョン事業に関しては誰も経験がないわけですから。どのような情報を産業界に提供するべきか、委員の皆さんが貢献できるのではと思います。
【牛草委員】  ありがとうございました。これまでも核融合はいろいろ技術開発をして、それがいろんな普及につながった例はあるんですけれども、ベンチャーみたいな感じで立ち上げて、お金も供しながら研究に環流するみたいな、そういう視点はこれまでなかったんですね。今QSTの六ヶ所研では原型炉のための様々な技術開発をやっていまして、そのうちの1つにリチウムの回収というのがあります。核融合でできた技術で、リチウムだけを選択的に回収する技術で特許を取って、これに関連して様々な産業界の方が、リチウムの電池に絡んで随分興味を持っていただいて、外部資金を頂いていろいろやっているんですけれども、我々核融合で必要なのはリチウムの濃縮が必要なんですね。
 そういう意味では、核融合、本来絶対やらなあかんのと、それから民間のリチウムの電池絡みの開発とうまく融合して、どっちもウイン・ウインになるような、そういうシステムを作っていかなあかんかなというふうに思いまして、きょうのお話は随分勉強になりました。
【尾崎委員】  ありがとうございます。
【小川主査】  リチウム回収技術を端緒としてリチウムに関して是非、あるいはいろいろ多方面に活用していただければと思います。
【上田科学官】  非常に興味あるお話ありがとうございました。非常に素朴な質問かもしれませんが、最初の方でマイナスの事業価値、死の谷というお話をされましたが、例えば核融合というのも、核融合で実際発電して電力をという話はもうずっとずっと先の話でございまして、投資するベンチャーがたくさんあるということは、当面どういう形でプラスのキャッシュフロー、あるいはプラスの価値というのを見いだそうとしているのか、お教えいただけますか。
【尾崎委員】  実はさっきおっしゃっていたリチウムの回収などは大きなヒントです。核融合ベンチャーという看板を掲げていても、実際やっているのはリチウムの回収事業ばかりということもあり得ます。そういうヒントを委員からも出していただいて、事業化をする人がビジネスモデルを考えれば良いです。やり方はたくさんあると思います。バイオのときもそうでした。例えば薬を開発したい、新薬を開発したいという看板を掲げていても、お金と時間がかかるので、別の事業も考えないと生き残ることができません。実際何をやっているかというと、研究ツールを作って大学に売り込んでいたりします。創薬と違う地味なことをしこしことやっているわけです。最初はそういうところから始まると思います。
【上田科学官】  ありがとうございます。
【小川主査】  ありがとうございました。これ以外にもいろいろたくさんあると思います。先ほど竹入委員から言われましたけれども、いろいろな立場でのベンチャーを立ち上げようとする人がいるし、それをコーディネートしたいという人もいると思います。立ち上げようとする人とかコーディネートする人とかは比較的若手の人が多いと思いますので、コミュニティーとしてはそういう人を、積極的にエンカレッジするというコミュニティー文化を作っていくことが1つ大事なのかなとも思いましたので、是非とも皆様、今後とも御尽力いただければと思います。
 以上、尾崎委員と、それから秋元先生に御説明いただきましたけれども、立ち戻りまして、資料2にあります第6期の科学技術基本計画策定に対して、冒頭申し上げましたように、核融合の本来の目的とともに、幅広い視点からの科学技術基本計画への貢献を盛り込んでいきたいというのが趣旨でございます。
 もう一度、資料2に戻って、皆さんから御意見くださいと申し上げていたのですけれども、時間の関係上、後ほどメールで頂くということでよろしいでしょうか。
【新井戦略官】  はい。
【小川主査】  今伺ったような幅広い御意見を是非とも皆さんからメールでお寄せいただきまして、核融合を今後、第6期科学技術基本計画の中でどう位置付けていくかというのを、足腰のしっかりしたものとしてプロポーズしていきたいと思っています。
 ということで、申し訳ありませんけれども、その辺の御意見をメールで事務局にお送りいただければと思います。
 それから、その期限ですが、実は10月末までに総合政策特別委員会担当に提出しなければいけないということです。従って、御意見の締め切りは、非常に短くて申し訳ないんですけれども、来週の金曜日までに寄せていただきたいと思います。また最終的な内容の取りまとめは主査の方に一任させていただければと思います。ということで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは続きまして、議題3、核融合科学技術分野の研究開発評価についてです。
 第10期の研究計画・評価分科会で、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針を踏まえ、各分野課において研究開発プログラム評価を試行的に行うこととされています。本プログラム評価の目的や意義、今後の進め方について、新井戦略官及び本件担当の山下科学技術・学術戦略官から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【新井戦略官】  資料5をごらんいただければと思います。
 当委員会でBAフェーズ2の課題評価を直近までしていただいたところです。この資料5は5月15日の第17回の委員会で一度お出ししています。今期の計画評価分科会の評価の計画というところで、研究開発プログラム評価というものを試行的に実施するということが決定されていて、我々の方にも連絡が来ているということであります。
 72ページの1ポツでありますが、大目標達成のために必要な中目標というものを設定した上で、それに関係する課題を研究開発プログラムとして、評価を試行的に実施するということであります。77ページでありますけれども、大きな政策目標の下に施策目標、これを大目標というふうに言っております。その下に、それを達成するための中目標というものが設定されていて、それを達成するための課題があるというフレームワークになっています。
 核融合については、中目標として目指すべき目標というものが設定されていて、それに関係する課題としてITERであるとかBAであるとか大学の学術研究の課題が既に盛り込まれているということです。今までも、プログラム評価的な観点に立って、例えばこの核融合研究開発に基づく評価などが行われてきましたが、研究計画・評価分科会の方でプログラム評価というものをこれから実施していくという中で、我々としてはこれからこの委員会で個別課題のチェック・アンド・レビューというものも正に始められていくということでありますので、こういったプログラム評価の観点も取り入れつつチェック・アンド・レビューを進めていくことで、いいチェック・アンド・レビューができるのではないかと思います。
 プログラム評価自体は74ページから76ページのこういった様式に、目標の設定であるとか、どこまでプログラムが進んでいる、評価をすることでどういった気付きがあったのかというのをまとめるものです。今回は試行的実施であり、これからプログラム評価として成立させていくという流れになりますので、そこに我々のチェック・アンド・レビューのやり方というのも反映させていければいいかというふうに思っております。
 今日は、背景的なところについて、分科会の担当の戦略官から説明させていただきます。
【山下戦略官】  少し補足させていただければと思います。この研究開発プログラムというものを、きちんと定めて評価をしていきましょうという仕組みですがなんですけれども、これは、大綱的指針ですとか、文部科学省が示している研究開発評価の指針というものがございまして、この中ではやっていことがというふうに位置付けられております。ただし、いるものなんですが、実はこれが非常に難しくて、実質的にはこれまで実施余りできていなかったためので、それを何らかの形でやはり実践していこうということで、試行ということで研究計画・評価分科会において問題提起を掲げてさせてしていただいているものでございます。
 それで、実は核融合につきましては、非常に、他の分野と異なる特徴がありまして、少し概念の整理が必要ではないかと考えておりますかなというところがありますの。具体的には、ライフですとか情報ですとか、他の分野につきましては、いわゆる事務事業と言われている、大体複数の予算のプログラムで構成されておりまして、ものが多いんですけれども、そういうものが複数あるので、それらの複数の事務事業がをそれぞれの分野の中でどういうふうに位置づけられ、把握されているのか、その上で、捉えて、それぞれの進捗がどうであるかとか、どういう部分を重点化したり取組を強化するのかということが議論できうるかと考えております。あるいはどういう部分をもうちょっと重点化をするべきなのかということが、ある意味議論しやすいんですけれども、一方で、核融合については、ITERの進め方につきましても、あるいは大学の取組やBAの取組につきましても、事務事業としては一つとして一体的に進めて事務事業でやっていただいているのが現状となっておりますので、という形をとっていただいていまして、事務事業の評価と、いわゆる今回研究開発プログラムの評価が同じものとなってしまうため、というものを合わせてやっていきましょうというものが一致しているような状況でございますので、やや屋上屋な形で評価を行うことはふさわしくないのではないかということで、それではどのように進めていくのがいいのかについて、になってしまう位置付けになるかなというのを、新井戦略官とものところとも御相談させていただいていました。
 その結果、事務的な整理としてはしたがって、ここの委員会で研究開発プログラムの試行的な評価のあり方として御議論いただければとと考えてございますのは、ちょうど平成29年12月にこちらの委員会の方でまとめていただいています「原型炉研究開発の推進に向けて」の中で、チェック・アンド・レビューを実施していくやっていくというプロセスが予定されており、あって、多分おそらく一番直近の作業がになるのが2020年あたりの、すなわちある程度JT60-SAの完成ができたのタイミングだというふうに承知してございますけれども、その際に、事業全体を如何に俯瞰できるかという視点でこの研究開発プログラムの評価を試行的な実施をご検討いただければという考え方で、全体をいかに俯瞰できるかということを少し考えていただければ有り難いというふうに考えてございます。
 そうしますすると、その際に今までのレビュー作業ものを活かしつつも加えてどのようなことを考える必要があるのかということになりますが、それにと違う形でやる要素があるのか、ということにつきましては、きょうの机上配付資料で、プログラム評価議論用資料というものをお配りさせていただいてございますが、こちらを参考にしていただければ有難く思います。これは大学評価ですとか研究評価をずっとやっていただいている政研大の林先生という方を中心に、研究開発プログラムの評価を行うにあたっての視座について、ディスカッションペーパーとしてまとめてもらっているもので議論用の資料として我々作っていただいているものを提供ございます。、世界的に、いわゆるプログラムを全体束ねて俯瞰し、重点化・強化するべき点、改善点などを客観的に把握するためには、見る際に、どういうことをやればいいのか、グローバルにはどのような取組がなされているのか、ということが書かれているものでございます。
 細かい説明はできるだけ省略いたしますが、掻い摘んでいくつかポイントを申し上げますと、したいと思いますが、例えば3ページ目をごらんいただきますと、大体どういうものがあるのかというのが少し書いてありまして、例えば、各々の分野の中でどういう論理的な構造になっているのかを理解するためのロジックモデルですとか、関連する取組を含めてどういう取組が進められているのかを俯瞰するための政策あるのかということをきちんとポートフォリオですとか、まとめるやり方ですとか、もうこれは既に核融合の場合はきっちりあるんだと理解してございますが、それぞれの取組と科学や技術の発展との関係性を時間軸に落とし込んで示すロードマップといった、研究開発プログラムの把握・評価に資するツールが掲載されております。核融合分野の場合においては、一定程度既に実施されていると理解しておりますが、このようなものををきちんと図式化、あるいは可視化して示していくというようなことが考えられます。を、図式化するとか、きちんと確認すると。その中で、実際に研究成果を見る際に、ただ単に論文が出ましたとか、こういうものができました、ということだけではなくて、プロセス自体もきちんと見ていきましょうということを評価の中でも取り込んでいくものです。
 また、きょうの御議論の中でもたくさんございましたけれども、核融合は、いわゆる直接の研究成果だとか人材育成の成果に加えて、世の中への波及効果ですとか社会へのインパクトという部分をどう捉えていけるのかということについて、将来の見通しなので不確実性は多いと思うんいますですけれども、エネルギーや環境への貢献という文脈では逆にロジックモデルなどを通じて記述したり表現できる書ける部分もあるのかなというものが1つやり方としてあろうかと思います。この専門家の先生も少し、具体的に作業を進めるに当たっては評価の専門家の方々にも協力いただけるようにアレンジをしたいと考えてございまして、ことを我々確認してございますので、是非一緒になって考えさせていただければと思ってございます。
 さらに、一番大切で、きょうお伝えさせていただければありがたいと思っていますのは、計評分科会は、小川先生主査にも入っていただいているんですけれども、例えばそれぞれの分野の専門家の、正に一番御知見のある方に入っていただいていると同時に、他の分野については実は非専門家の先生方の構成になってございまして、私自身、よくこの評価の先生と話す際に、大切だなと思っているのは、非専門家の先生に、その分野の取組の状況ですとか全体が俯瞰できる、それは時間軸の問題もございますし、研究開発と人材育成の観点もございますし、国内の研究と国際的な研究の協力だとか競争関係もございますし、多分様々な幾つかの視点はがあると思うんですけれども、非専門家の方々に分かるような俯瞰をした上で、今どういう状況で進んでいるのかということが共有できることが、プログラム評価を実施する上でも大切かなと思っております。指標が達成できたかというチェック・アンド・レビューもはもちろん大切で、研究開発等による取り組みはその積み上げの結果の一つのアウトプット、アウトカムにあたると思いますが、研究開発ではあるんですけれども、是非、全体を俯瞰して非専門家の方々にも共有できるようなものを、できるだけ無駄な労力をかけずにやっていけるような形で、研究開発プログラムの試行的な評価を一緒になって考えていければと思います。その意味では、先ほど申し上げた、ロジックモデル、政策ポートフォリオなどのツールは、非専門家の方々に対する分かりやすい説明材料となりうるのではないかと考えてございます。、特に核融合の場合は一緒になって試行させていただきたいというふうに考えてございまして、今日の時点ではまだ具体的な作業を進めるための道行や手順をお示しできる状況にはないかと思いますが、具体案があるわけではないのですが、今後事務局内でもよく相談、整理をして、御議論いただけるものをできるようなものが先生方に提供し、検討を深めていければできるようにしていきたいというふうに考えてございます。
【小川主査】  ありがとうございました。おっしゃるように、計評分科会では非専門家の方に十分理解していただかなければいけないので、それが分かるように説明しなくてはいけないというのは私もできるだけ心掛けようと思っていますし、実は核融合コミュニティーというのは、計評分科会のような科学技術の専門家の先生以外も含めまして、社会に対してもきちんと理解してもらうことが非常に重要であると認識しておりまして、なのでアウトリーチ活動を積極的に推進するとしています。それを今度のチェック・アンド・レビューでも、チェック・アンド・レビュー項目として、技術項目プラス、その社会の理解増等を挙げており、非専門家及び一般の方々に幅広く発信していくということは考えております。是非とも一緒に御議論させていただければと思っております。
 計評分科会に出席しております五十嵐委員、この辺の評価に関して、進め方や御感想を頂ければ。
【五十嵐委員】  今、戦略官から御説明いただいたとおりで、私はこれまでこの委員会でもよく、内向きでなく、外に出たときにどういうふうに見られるかということを何度か発言、図々しくもさせていただいたかと思いますが、そういうところで核融合について専門外の方に本当に理解していただけるような形のものを出していければいいかなと考えてございます。
【山下戦略官】  もしよろしければ、少しだけ補足をさせていただければと思います。実は核融合の中長期目標の記述ぶりですとかアウトプット指標、アウトカム指標は非常によくできていると私自身も思ってございます。実は私自身も、昔、核融合のお仕事を行政側でさせていただいていましたので、もしかしたら御無沙汰の方もいらっしゃるかもしれませんすけれども、例えばLHDの1億2,000万度の高性能プラズマというのは、多分核融合が専門の人にとっては当たり前だと思いますが、やはり長時間運転、1億度のプラズマをきちんと生成する物理をヘリカルの方でも支える、担っていくということが核融合エネルギーの実現には大切な要素であり、そのこと部分が全体のポーションの中でどういう位置付けにあるのかというのは、やはり初めての人にはなかなか理解がしづらいできないことではないかだと思っています。そういう大切な部分についてことを、評価のツールなどを用いつつ、図や文章で、前後の文脈も含めて、細かいところまで全部が理解できるかどうかはまた別次元だと思いますが、少しかみ砕いて示しつつ、実はこれにはこういう意義があるんだよとか、背景があるんですよとか、長いレンジで見るときの大切な部分があるんだということが非専門家の方々との共有知になるような仕組みができると、結果としては社会に対しての説明ができやすくなるというふうに考えてございます。そういう助けを、計評分科会としましては、も是非そのような部分で分野別委員会における議論や検討の支援をさせていただきたいやっていきたいと考えており思っていますし、これは計評分科会の課題ですが、課題の事前評価、中間評価、事後評価に、どうしても、作業しなければいけないことに注力しているので、そういう俯瞰の部分で付加価値をできるだけ、せっかく評価したものが世の中にも説明できる形につながっていけるようにということを考えていければというふうに考えている次第でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。この評価に関しましては、本日結論を出すというよりも、また引き続き、具体的にどうするかというので議論が継続になるわけですね。
【新井戦略官】  そうです。
【小川主査】  はい、分かりました。本評価につきましては、本日このような形で、親委員会であります計評分科会の方でも進めるということで、そちらと相談しながら、是非とも核融合というものを俯瞰的に見て評価していただきたいと思いますので、本日は頭出しということで御了解いただければと思います。次回委員会において更に検討を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日用意しております議題は以上ですけれども、このほかに特に報告、審議すべき案件はございますでしょうか。
 それでは、本日の核融合科学技術委員会はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


―― 了 ――


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