核融合科学技術委員会(第42回)議事録

1.日時

令和7年9月12日(金曜日)15時30分~17時30分

2.開催方法

オンライン開催

3.議題

(1) 第13 期核融合科学技術委員会の運営について(非公開)
(2) フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組
(3) 社会実装検討タスクフォースにおける議論について
(4) その他

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、大野哲靖主査代理、植竹明人委員、尾崎弘之委員、葛西賀子委員、柏木美恵子委員、亀山康子委員、竹内純子委員、竹永秀信委員、永井由佳里委員、花田和明委員、山田弘司委員

文部科学省

坂本修一研究開発局長、清浦隆大臣官房審議官(研究開発局担当)、澤田和宏研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、内野隆課長補佐、久島鉄平核融合科学専門官、安原亮科学官、梶田信学術調査官

5.議事録

【久島専門官】  文部科学省の核融合科学専門官の久島と申します。本日は、御多忙のところ御参加いただき、どうもありがとうございます。それでは、定刻となりましたので、第42回核融合科学技術委員会を開会いたします。
 本委員会の主査につきましては、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則第5条第3項に基づきまして、分科会長が指名をすることとなってございます。
 このたび、分科会長より上田委員が主査として指名されてございますので、議事の進行につきまして、上田主査にお願いいたしたく存じます。よろしくお願いいたします。
【上田主査】  研究計画・評価分科会会長の指名により、主査を務めさせていただきます上田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、議題1で予定しております本委員会の運営についての部分については、非公開とさせていただく予定でございます。議題1になりましたら、傍聴者の方々には一度御退席いただきますので、御了承のほど、よろしくお願いいたします。
 本日は、第13期最初の核融合科学技術委員会の開催になります。
 議事に先立ちまして、文部科学省の坂本研究開発局長より御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【坂本局長】  文部科学省研究開発局長の坂本です。どうぞよろしくお願いいたします。
 第13期最初の核融合科学技術委員会の開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 初めに、上田主査をはじめとする委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、核融合科学技術委員会の委員に御就任いただきましたこと、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。
 フュージョンエネルギーについては、皆様御案内のとおり、エネルギー問題と環境問題を同時に解決し得る、将来の非常に有望なエネルギー源として期待されております。世界各国が大規模な投資を実施するとともに、自国への技術・人材の囲い込みを強めるなど、国際的な開発競争が活発になってきております。
 私自身、2012年から2年半、核融合担当の戦略官をしており、ITER計画の実施にも関わってきたわけですけれども、その当時から比べて、現在の状況は非常に変わっているということを、7月に着任してから実感いたしました。それは、技術の進展という意味でもそうですし、競争が激しくなっている。そして、スタートアップも参入してきているというふうな状況でございます。
 そういった状況を受けて、我が国におきましては、今年の6月に統合イノベーション戦略推進会議において、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を改定し、フュージョンエネルギーの早期実現を目指すという方針が示されました。
 昨年度は、本委員会において、ITER機構によるベースライン更新の提案の妥当性や、その提案の妥当性を踏まえた原型炉の研究開発計画への影響などについて、俯瞰的に御議論をいただきました。
 今年度は、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略の改定を踏まえまして、文部科学省における対応、これには研究開発は当然でございますけれども、量子科学技術研究開発機構(以下、QST)や核融合科学研究所(以下、NIFS)、大阪大学レーザー科学研究所(以下、阪大レーザー研)で行われる人材育成も含めて、非常に重要なテーマだと思っておりますけれども、そういったテーマも含めた対応状況、そして、この戦略の改定を踏まえた概算要求でありますとか、我が国の核融合研究開発の推進の考え方、そういったところについて御検討いただければと思っております。
 第13期の委員の皆様には、大学、研究機関、産業界、ジャーナリストなど、様々なバックグラウンドをお持ちの方々で構成されております。フュージョンエネルギーの早期実現に向けて、全てのステークホルダーが一丸となって取組を推進する、そのために、本年度も委員の皆様の御協力が不可欠でございますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 核融合のさらなる進展に向けて、委員の皆様の積極的な御議論をお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
【上田主査】  坂本研究開発局長、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局より、委員及び事務局出席者の紹介と配付資料に関する連絡をお願いいたします。
【久島専門官】  それでは、まず、第13期核融合科学技術委員会の委員に御就任いただいた方々を御紹介させていただきます。お手元の資料1に名簿がございます。記載順にお一人ずつ紹介いたしますので、お一人1分以内で、できましたら簡潔に御挨拶をいただければと考えてございます。
 それでは、まず、追手門学院大学教授、上田良夫主査、よろしくお願いいたします。
【上田主査】  御紹介ありがとうございます。私、主査を務めさせていただきます上田でございます。現職、追手門学院大学ですが、2年前までは大阪大学の工学研究科におりました。
 私の専門は、プラズマ・壁相互作用でして、核融合を起こす高温のプラズマとそれを取り囲む壁が接触したときにどういう現象が起こるか、そして、それが核融合システム全体に対してどういう影響を及ぼすのかといったような内容の研究でございます。
 私は、この委員会、第12期、前期も主査を務めさせていただき、そこからの引き続きということになりますけれども、委員の皆様方、事務局の皆様方、何とぞよろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、一般社団法人日本原子力産業協会常務理事、植竹明人委員、よろしくお願いいたします。
【植竹委員】  植竹でございます。日本原子力産業協会として、2018年から本委員会の委員を務めさせていただいております。関西電力株式会社からの出向でございまして、関西電力株式会社では30年ほど原子力に携わってまいりました。
 当委員会に対しては、核融合産業が一般的に自立できる産業として将来成り立っていくために、私ども原子力産業がどういうふうにこれまでやってきたかということを踏まえて発言させていただければ幸いです。
 以上です。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 次の電気事業連合会原子力部長、大塚康介委員でございますけれども、本日は御都合により御欠席と伺ってございます。
 続きまして、名古屋大学大学院工学研究科教授、大野哲靖委員、よろしくお願いいたします。
【大野委員】  名古屋大学大学院工学研究科の大野と申します。
 専門は、上田主査と同じで、プラズマ・壁相互作用、また、核融合における境界プラズマと呼ばれている領域のプラズマの制御の研究を進めております。あわせて、半導体製造など、プラズマ応用研究を行っている名古屋大学の低温プラズマ科学研究センターのセンター長もやっておりまして、低温から高温のプラズマまで研究を行っているところでございます。
 これまでのプラズマ核融合に関する経験を生かして、核融合科学技術委員会の議論に少しでも貢献できるように努めてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター研究院教授、尾崎弘之委員、よろしくお願いいたします。
【尾崎委員】  尾崎でございます。この委員会は8年目になりますが、前職が神戸大学で、4月から早稲田大学に移っております。
 私の専門は大学発ベンチャーですが、基礎研究をどうやって事業化するかというテーマで20年ぐらい研究を続けております。
 今年は、内閣府の社会実装検討タスクフォースの主査を拝命しておりますが、ぜひ、この委員会とも協力しながら、いい成果が出るように頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、フリージャーナリスト・キャスター、葛西賀子委員でございます。よろしくお願いいたします。
【葛西委員】  葛西でございます。私は12期からですので、前期から引き続いて参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
 私は青森の出身でして、一番最初、青森放送というところでアナウンサー、ニュースキャスター、それから記者も兼務しておりました。その際、経済記者としてこの業界を取材させていただいたところを発端としておりまして、それがきっかけで、バックエンドの部門、核燃料サイクル、ITERと取材をさせていただいておりました。その後、フリーになり、朝日放送という大阪のところに参りまして、その後、東京に行って、今はまた青森に戻っております。エネルギーの番組、記事とか、そういう取材などをさせていただいておりまして、もうかれこれ30年ぐらいになります。
 最近は、福島第一原子力発電所で避難された皆さんがふるさとに帰還される際に、そういった住民対話集会の司会にファシリテーターという形で参加させていただいておりまして、50か所ぐらい回らせていただきました。
 フュージョンエネルギーについては、私、技術知見がないものですから、研究開発の内容を広くアウトリーチする際などに、微力ですが、貢献できればと考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、QST那珂フュージョン科学技術研究所(以下、那珂研)トカマクシステム技術開発部次長、柏木美恵子委員、よろしくお願いいたします。
【柏木委員】  柏木です。よろしくお願いいたします。私は、前期からこの会議に参加させていただいています。
 昨年まではITERプロジェクトに携わっておりまして、ITERの調達機器の開発とかをやっておりましたが、その中で、核融合、長期にわたるプロジェクトの中で、いかにメーカーさんとかいろんな方を巻き込んで続けなければいけないか、というところに注力してまいりました。
 今はトカマクシステムということで、那珂研にありますJT-60SAの増力工事の担当をしております。まさにいろんな機器の統合組立てをやる機会を得て、さらに原型炉に向けて、どういうふうにここでの技術を矯めていくか、どうつなげていくかということを考えているところです。
 よろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナブル社会デザインセンター長、亀山康子委員、よろしくお願いいたします。
【亀山委員】  皆さん、こんにちは。亀山と申します。今回初めての参加となります。
 私は、3年前までは、つくばにあります国立研究開発法人国立環境研究所というところにおりました。専門は国際関係論という社会科学系でございまして、特に気候変動関連の国際協調、制度、政策評価を担当しておりました。気候変動のためには脱炭素エネルギーが不可欠でございまして、その観点から何か貢献ができたらいいなと考えております。
 フュージョンエネルギーの技術的なことはこれから勉強させていただくところですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 次の阪大レーザー研所長、兒玉了祐委員でございますけれども、本日は御都合により御欠席とお聞きしております。
 次の国際環境経済研究所理事・主席研究員の竹内純子委員でございますけれども、本日、所用のため、16時頃から御出席されるとお伺いしてございます。
 続きまして、QST副理事、竹永秀信委員でございます。よろしくお願いいたします。
【竹永委員】  QSTの竹永です。現在、フュージョンエネルギー研究開発の担当副理事を務めております。今期からこの委員会に参加させていただきます。
 ITER計画及び幅広いアプローチ(以下、BA)活動を中心としたフュージョンエネルギーの実現に向けた研究開発を推進する法人の立場から、先ほど坂本局長から話がありました最近の状況の変化も踏まえて議論に参加させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、北陸先端科学技術大学院大学理事(研究振興、社会連携担当)・副学長、永井由佳里委員でございます。よろしくお願いいたします。
【永井委員】  永井です。今回から参加させていただきます。
 私の専門はイノベーションデザインということで、人文科学系から科学技術、それから、かなり先端的なところまで幅広く研究しており、Responsible Research for Innovation(RRI)という考え方で、新しい科学技術の在り方などを議論するようなセクションにおります。
 私ども知識科学研究科は、科学技術と社会、ビジネスとの関係までも含んだような分野でございます。このたび皆様と一緒に議論に参加させていただき、大変光栄に存じます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 次の一般社団法人日本電機工業会専務理事、中嶋哲也委員でございますけれども、本日御都合により御欠席とお伺いしてございます。
 続きまして、九州大学応用力学研究所教授、花田和明委員でございます。よろしくお願いいたします。
【花田委員】  九州大学の花田と申します。
 私自身はずっとこのプラズマ核融合の分野におりまして、専門は大学院に入ったところから、トカマクに関わっておりました。最初に入ったところから次に組織を移るたびに違う形のトカマクをやってきまして、現在、九州大学では、球状トカマクという、今のITERとかJT-60SAを少し丸くしたような形の実験をやっております。
 ずっと実験をやっておりまして、先ほど坂本局長からもありましたように、私が大学院に入った頃の核融合を取り巻く雰囲気は現在と随分違っていて、かなり活発に実現に向けた議論が行われていると感じております。本委員会でも、これまで私が培ってきた経験を少しでも活かせるように、微力ですけれども努力していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、NIFS所長、山田弘司委員、よろしくお願いいたします。
【山田委員】  NIFS所長をこの4月1日から務めております山田です。よろしくお願いいたします。
 この委員会には初めての参加となります。しかしながら、一方、10年以上前に、文部科学省の科学官として、先ほどお話しいただいた坂本研究開発局長とこの委員会の立上げに際し、いろいろお仕事をさせていただいたことを思い出しておりました。
 この審議会への求めに応えられるよう微力を尽くしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございました。
 次の名古屋大学大学院工学研究科教授、吉田朋子委員でございますけれども、本日御都合により御欠席とお伺いしてございます。
 委員の皆様、どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 文部科学省研究開発局研究開発戦略官の澤田でございます。
 そして、私、核融合科学専門官の久島でございます。
 また、事務局の戦略官付に加えまして、研究開発局といたしまして、先ほど御挨拶申し上げました坂本局長、そして、清浦審議官にも御参加いただいているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、本日の配付資料でございます。議事次第に一覧で示させていただいてございますとおり、資料1から資料5になってございます。資料につきましては、Zoomの画面共有機能を使いまして、このように事務局より表示させていただきます。
 また、各委員におかれましては、御発言いただく際には、画面下にございます「リアクション」ボタンから「手を挙げる」ボタンを押していただき、ミュートを解除の上、御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【上田主査】  御説明ありがとうございました。
 本委員会は、核融合科学技術委員会運営規則に基づき、非公開の議題を除いて議事を公開いたします。御発言は、議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 それでは、これから議題1に入ります。この議題につきましては非公開ですので、傍聴者の方におかれましては、一度御退出いただき、議題2が始まる前に再度お戻りいただくようお願いいたします。これは事務局のほうから、再入室の際は連絡いただけるのですね。
【久島専門官】  事前に目安の時間をお伝えさせていただいてございますので、そのタイミングで入室許可をさせていただくという形になります。
【上田主査】  分かりました。
 それで、議題2以降につきましては、公開で行いたいと思います。議題2の開始につきましてですが、おおむね16時10分頃を予定しております。
 それでは、本題の議事1に入りたいと思います。
 申し訳ございませんが、傍聴者の方は御退室をお願いいたします。
 
(議題1 非公開)
 
【上田主査】  それでは、再開させていただきます。
 次は、議題2、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組です。
 これに関しましては、事務局より御説明のほど、よろしくお願いいたします。
【澤田戦略官】  7月15日にフュージョン担当の研究開発戦略官に着任した澤田と申します。馬場の後任です。よろしくお願いします。
 本日はオンラインでございますけれども、委員の皆様と、今後、研究現場、文部科学省といった場で対面でお会いできることを楽しみにしております。
 
 私の学生時代の専門は量子力学でした。QSTで言えば高崎量子技術基盤研究所とか関西光量子科学研究施設(木津地区)の分野に近いです。文部科学省ではこれまで、原子力関係の部局に2回行ったのと、一昨日に北九州市で開催された原子力学会に参加し、OECD原子力機関の有識者の方々ともお会いさせていただきました。よろしくお願いします。
 先ほど花田委員が、最近は雰囲気が違うとおっしゃられたので、その雰囲気について、私から御紹介できればと思っております。
それでは、資料4のまず1ページ、目次ということで、研究開発の全体像と、国家戦略改定を踏まえた最近の取組を御紹介したいと思います。
 2ページをお願いします。委員の先生方におかれましては御覧になった方も多いと思いますが、「山登りの図」と言われているフュージョンエネルギー研究開発の全体像です。今、左から2番目のJT-60がSAにアップグレードされたというフェーズになっていまして、科学的と技術的な実現性を実証しているというところでございます。2つの実験炉として、QST那珂研のJT-60SA、フランスのITERが示されています。
 また、大型ヘリカル装置LHDがNIFS に、GEKKO XII号が阪大レーザー研にあります。
 21世紀中葉までの実用化を目指すため、その次の黄色いフェーズに入るかどうかの移行判断を2030年代にするということで、いわゆる原型炉を造るかどうかについても今後判断していくということでございます。
 最近の「山登りの図」では、SBIR基金、ムーンショット型研究開発制度等、こういった基金事業でも支援をしていることを示しています。
 それでは3ページ、ITERについて御紹介いたします。こちらは、ITER計画の予算要求の資料でございます。
 ちょっとビジーですけれども、今年の予算に比べて、来年度当初の予算要求額は本年度当初予算の約1.5倍、140億円から220億円に増要求しております。
 ITER協定は2007年に発効しており、米ソの首脳会談を経緯として始まったものでございます。
 参加極は、日、欧、米、露、中、韓、印の7極が参加しております。
 建設地は、南仏、サン・ポール・レ・デュランスです。
 進捗として、次のページで御紹介しますけれども、ベースラインの見直しはあったものの進捗は順調であるといったところでございます。
 各極の費用分担については、日本が9.1%を出しています。来年度の予算についてなぜ増えるかと言いますと、ITER機構に払う分担金が大幅増しているのが主な原因です。
 ITERの概観図は右のほうに示しております。それぞれ日本の企業も積極的に、知見や技術力を使って、ITERの構成部品の多くを導入しています。
 技術的な目標は、核融合燃焼の実証ということで、Q値、入力エネルギーの10倍以上の出力エネルギーを目指すということと、それを300から500秒維持するということを目指しています。また、プラズマのほかにも、炉工学、超伝導コイル、加熱装置といったところの実証をするということと、エネルギーを熱として取り出すところまでできるか試験を実施します。
 1枚めくっていただいて4ページ、ITER計画の意思決定をする最高機関である理事会が年に2回開かれており、今年はその第1回が6月にフランスで行われました。
 議事のポイントとして、各極とITER機構において、機器の製造や組立・据付等が進展していて、4月には最初のセクターモジュールという部品が設置され、理事会が始まるちょうど数時間前に2つ目のセクターモジュールが設置されました。そのセクターモジュールに用いられているコイルは日本製です。
 中心コイルの第6モジュールの製造及び設定試験も完了していまして、これによって、ITERに必要な全ての主要コイルが完成しました。そのコイルに用いられている超伝導導体は日本が製作しております。
 ベースラインと呼ばれている日程やコストを定める文書において、2024年に定めたものに基づいて2028年度末までは計画を実施する方針を確認いたしました。
 その他、右下に黄色いベストを着ているマクロン大統領とインドのモディ首相とがITERを実際に訪問したときの写真載せております。
 5ページをお願いします。ITERによる計画だけでは補えないところを補っていくため、BA活動も同時に行っていまして、日欧の2極でやっています。日本ではQSTが、欧州ではFusion for Energyが実施しているということです。
 この協定も同じく2007年に発効し、日本では青森県六ヶ所村と茨城県那珂市の2つの拠点にてBA活動を行っております。
 そのための予算も、今年度当初予算が67億円だったところに対して、来年度当初予算として90億円を要求しております。
 右上の具体的な取組は、まずIFMIF/EVEDAという照射施設に関する工学実証を青森県六ヶ所村でやっております。2つ目はスパコンです。前のスパコンが「六ちゃん」という愛称でした。新しくQSTとNIFSで共同調達したスパコンについては、愛称はこれから募集すると聞いていますが、40ペタフロップスの性能のスパコンをこの夏から導入しております。そういった計算資源をITERの計算シミュレーションにも使っていくということですし、遠隔実験もできるような施設を持っています。
 サテライト・トカマク計画では、那珂研にありますJT-60SAを建設・運転しておりまして、今年度から加熱実験をしていくという計画になっています。
 右下にあるDONES計画というのは、初耳の先生方もいらっしゃるかもしれませんが、核融合で出てくる中性子を実際に照射して、中性子の持つ高いエネルギーに耐え得るような材料ができるかどうか、そのデータを取っていくというものです。日本単体でやる場合と国際協力でやる場合が考えられるのですけれども、まず国際協力によってそれをやることで、スペイン・グラナダにその加速器を造る計画がございます。来年度から新しく予算を計上していただくよう財政当局には要求していまして、7,300万円の予算を要求しております。これは後ほど別の紙でも御説明します。
 最後に、先ほど柏木委員からもありましたが、こちらのソフトの部分については、研究開発、人材育成、アウトリーチといった基盤整備の部分も本委員会でも御議論いただいたと思いますが、そちらに関しても来年度も引き続き予算を要求していくと考えております。
 1枚めくっていただいて6ページ、先ほどDONES計画について御紹介したところなのですけれども、こちら右側にDONESの概観図というのがございまして、加速器、リチウムループといったところの模式図も下に記載してあります。
 まだこれは建設中でございまして、左に戻っていただいて、枠組みとしては、スペインのグラナダにできる予定ですので、日本とスペインの協定に基づいて、今年の5月に万博のスペイン館で文部科学副大臣と在京スペイン大使が覚書を結びました。
 参加極は、今現在では、スペインが1か国目、クロアチアが2か国目、我々日本が3か国目で、欧州がその後、参加をするということになっており、その他、ヨーロッパの国々が参加を予定しています。
 2033年までに建設を行って、34年から運用に入るといった予定です。予算の建設の総額は7億ユーロで、日本はそのうち5%を負担する予定です。全体として運転が始まったらもう少し日本の予算の分担を高めるということになっており、トータルで8%程度の予算を負担することになります。その代わり、100%のうち8%の積算の照射量時間が分配されるという計画をしております。
 資料の右側、技術の目標面なのですけれども、中性子がまず十分な強度と量を持ち、その2つを満たすような中性子源を作るというところが1つ目の目標です。照射で得られたデータをきちんと獲得して、それを参照できるようにすることが2つ目の目標になっております。これがDONES計画、新しい計画でございます。
 次の7ページが、原型炉を見据えた基盤整備といった予算もありますが、後ほど別のスライドでこれを御説明しようと思うので、一度飛ばして8ページ、BAの運営委員会でございます。DONESの前にBAは御紹介しましたけれども、BAについても運営委員会を年に2回開催しています。今年の4月に茨城県の那珂研で行った委員会の様子を写真で表しています。
 IFMIF/EVEDAについては、重水素ビームのユニットが建屋に搬入されたことや、リチウムのプラントが運転開始したといった進捗がありました。IFERCについては、先ほど御紹介したスパコンの設置が歓迎されました。
 あと、サテライト・トカマク計画については、JT-60SA国際核融合スクール(JIFS)が開催されています。昨日文部科学省から講師を派遣して、日本10名、ヨーロッパ10名のトップクラスの学生さんに、文部科学省の最近の政策動向について講義しました。
 運営委員会からは、六ヶ所村の外国人研究者及びその家族の受入れについての、多大な尽力に謝意が示されました。
 次回の運営委員会は、12月に予定しています。
 ここまでがいわゆる伝統的な部分といいますか、文部科学省がこれまでやってきた政策のメインのところでございます。次のページからは、最近の新しい予算と制度の御紹介です。
 9ページ目、内閣府でムーンショット型研究開発制度を始めています。ムーンショットというのは、御存じだと思いますけれども、アメリカでまず月に行こうと定めて、それをバックキャストして、今何を研究すべきかといったことをアメリカとかNASAが検討した歴史があります。日本でもこれをやるのだということで、2050年にこういった社会を実現しようという目標を9つ掲げていたのですけれども、これに併せて、フュージョンの機運が高まっているということを踏まえて、次の10ページ、ムーンショット10という10つ目の目標を新しく作りました。NIFS前所長の吉田善章先生にPDをやっていただきながら、2050年の目標10、エネルギー制約から解放された社会を目指すという事業です。
 第1期の公募は既に2024年10月に行われていて、3件の採択がありましたし、ちょうど今9月に第2期の公募をしておりまして、選考結果が2025年9月下旬に公表される予定になっております。
 次の11ページは、またもう一つ別の制度で、SBIRという中小企業を対象とした事業も行っています。内閣府が基となる予算を作って、文部科学省にて執行しています。フュージョン分野については、4社を採択しておりまして、株式会社MiRESSOと3番目のLiSTie株式会社はQST発ベンチャーということで、こちらに20億円と15億円の予算が交付されます。
 4社とも要素技術を開発しており、株式会社MiRESSOはベリリウム、LiSTie株式会社はリチウムの関係の開発をしています。2つ目、4つ目の株式会社Helical Fusionと京都フュージョニアリング株式会社については、それぞれ高温超伝導体とブランケットのシステムを作る計画をしていまして、こちらにも20億円と10億円の予算が投じられることになっています。SBIRについては、今年度中にロードマップを新たに策定して公表することとしております。
12ページ、BRIDGEという施策もありまして、こちらは内閣府が行っている研究開発とSociety5.0の社会を橋渡しするプログラムです。ITERで得られた知見を使って、日本や同志国が国際標準を獲得するためのプログラムであり、1億円から2億円の幅で予算をつけております。後ほど御紹介しますけれども、6月に改定した戦略においても、国際標準化を強化するということで、下のほうに四角囲みがありますが、そのために、このBRIDGE施策を推進しているところです。
 13ページ、文部科学省では学術研究も進めています。当付ではないのですけれども、学術研究を所管している研究振興局が定めています大型プロジェクトの推進に関する基本構想において、2023年に新たに12計画が掲載されました。
 14ページ、研究開発戦略官付で担当しているのは、この図でいうところの右の列の上から3番目、超高温プラズマの「ミクロ集団現象」と核融合科学です。山田委員のいらっしゃるNIFSにおいて、ミクロ集団現象に関する新たな知見を得るということを進めていくための計画が掲載されています。
 15ページ、こちら図が似ているのですけれども、最初に私が御紹介したITERの予算とBA活動、DONES計画を全部一つのページにまとめたのがこちらです。簡単に言うと、今年度の当初予算が200億円であるところ、来年度の当初予算は300億円を要求しています。
 16ページ、最後に、原型炉を見据えた基盤整備について、3点御紹介します。
 原型炉を見据えた基盤整備の研究開発につきましては、QSTが主体として、QST自身も研究はするのですけれども、研究開発のプラットフォームの役割もあり、QSTが民間やアカデミアの方々の力を結集して原型炉を見据えた研究開発を行い、1番から14番まで、アクションプランに基づいてそれぞれ研究をしていきます。こちらの進捗は、この委員会で報告を随時していこうと思っております。
 次の17ページ、研究開発でも原型炉でも、人材は重要であるということで、連続的かつ長期的な人材育成を目指しています。
 大学間連携による総合的な教育システムを作るということで、JT-60SAやITERを活用して人材育成を行うなど、主たるプレーヤーはNIFSとQSTにお願いしています。NIFSでは教育プログラムをやっていただいていますし、QSTでは先ほど紹介したJIFSをやっております。
 これに関連して、7ページに戻っていただくと、具体の人材育成の活動を模式的に表しています。ITERの国際スクール、JIFS、FSS、学生インターンシップ等があげられます。
 1番の最後に、18ページ、アウトリーチ活動です。私も先日参加しましたが、アウトリーチのためのヘッドクォーターを立ち上げるということで、10機関から有識者に参加いただいています。我々文部科学省のほか、原型炉開発総合戦略タスクフォース(以下、原型炉タスクフォース)の先生、QST、NIFS、阪大レーザー研、産業協議会(J-Fusion)といったところから10人程度の委員を出していただいております。
 これまで個別の機関でやってきたアウトリーチ活動を戦略的にやっていこうということで、今年度と来年度を使って、まず国民の皆さんとの対話の手法を確立するためのコンテンツの整理とツール開発を行っております。大学生・大学院生、社会人を対象としてまず重点的にやっていこうという計画をしております。
 ここまでが最近の文部科学省の研究開発の全体でございます。よろしいでしょうか。
 もう一つ、次の項目、国家戦略を踏まえた最近の取組です。こちらも御紹介したいと思います。
 20ページ、まず、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略をつくりましたという紹介です。2023年にこちらの戦略をつくりました。これは文部科学省というよりも、内閣府がメインに策定しました。
 内閣府がつくったときに言われたのが、まずフュージョンは新たな産業であり、世界のサプライチェーンに我が国も参入するものであるという点です。そのため、産業協議会といったものをつくる、スタートアップの研究開発を進めていくといったところ、これとセットで安全規制に関する議論をしていくということを掲げています。
 21ページ、我が国も2023年に戦略を策定したのですけれども、海外も同時期に、上からアメリカ、イギリス、ドイツといった各国が、時期を同じくして戦略を策定しております。
 中国については、国家戦略を策定したという確認はできていないのですけれども、「CRAFT」といった大型の施設群を建設開始しており、トカマク型の実験炉「BEST」も建設開始しています。
 22ページ、もう少し米英の詳しい状況を記載しております。新聞報道でもございましたけれども、アメリカのCommonwealth Fusion System(CFS)社、こちらに、もちろんアメリカでも投資は進んでいますけれども、日本企業(三井物産、三菱商事など)も出資をする、ということで、彼らへの投資額は大変増えています。アメリカのバージニア州に新しい炉を造る計画も発表しております。
 イギリスは4億ポンド(約800億円)を投資するという発表をしておりまして、こちらは原型炉STEPというものを2040年までに建設するという話で、主に国主導で進めています。こちらは立地が決まっていまして、ノッティンガムシャー州の石炭発電所の跡地にその原型炉を造るという計画をしております。
 先ほどの繰り返しになりますが、中国については、プラズマの実験装置「EAST」というものがありまして、こちらは1,000秒を超えるプラズマ維持に成功したという発表がありました。中国の発表によると、発電に向けた大きな進展であるとのことです。
 23ページ、ここまでを踏まえて、2023年に戦略をつくったばかりですが、各国の動きも激しくなってきているところ、6月に戦略を改定したということでございます。
 繰り返しですが、左下のほうには、最初の戦略を策定した成果として、産業協議会(J-Fusion)が2024年に発足しました。21社から発起人がおりましたが、現在では97社いて、もう少しで100社になるところです。
 24ページ、こちらが新たな6月の改定した戦略の紹介です。
 左上はDevelopingということで、フュージョンインダストリーをちゃんと育成していくということですね。いわゆる経済産業省的なところが多いと思いますけれども、J-Fusionといった産業協議会と連携する、科学的に合理的で国際協調した安全確保をしていく、社会実装の促進に向けた議論を始めるために内閣府にタスクフォースを作る、というインダストリーの戦略が左上でございます。
 右上は、技術の部分もちゃんとやっていくということで、これは文部科学省的なところが多いと思いますが、先ほども御説明いたしました原型炉の実現を見据えた基盤整備を加速していくということです。スタートアップを含めた官民の研究開発力を強化していき、そして、ITER/BAといったコア技術の獲得をするということです。この2つを融合させるというところで、左上のDevelopingを重水素のD、右上のTechnologyを三重水素のTとして、下のほうにプロモーションする体制としてP、プラズマがあります。内閣府が政府の司令塔となるということと、QST、NIFS、阪大レーザー研を拠点化する、人材育成を体系的に行う、リスクコミュニケーションによって国民の社会受容性を高めていくというプロモーションの体制を敷く、ということとしております。これによってDとTが融合することを期待するということです。
 次の25ページ以降は、そういった内閣府がつくった戦略に基づいて、より上位の政府戦略にもフュージョンの文字が記載された、という紹介です。場合によっては1行、2行、追加するのも結構大変なのですが、フュージョンに関する期待が高まったことを踏まえ、統合イノベーション戦略という一段高い戦略にも記載がございます。さらにもう一つ上の、次の26ページで、新資本主義の計画にも10行程度、記載してもらっています。
 27ページ、少し読みますと、Vの3.大学等の高度な研究・教育の中で触れられており、5.の(2)で、先端科学技術分野の取組強化とフロンティア開拓といったところでも言及されております。
 28ページ、さらに上のいわゆる骨太の方針という、ここに10文字、20文字記載するのは大変なのですけれども、フュージョンについては10行弱、記載があります。
 29ページ、こういった予算獲得につながるような政府文書にも多数の文言があることを踏まえて、昨年、内閣府の方で補正予算が措置されています。額は記載されておりませんが、約100億円が、実規模技術開発のための試験施設・設備群として措置されております。
 磁場閉じ込めの2つ、つまり、QSTとNIFSの2か所と、右下、阪大レーザー研、慣性閉じ込め型のところにも1つありますが、先端活動に基盤整備の予算が100億円ついております。
 30ページ、もう一つ、指摘を受けていた安全確保の考え方、こちらも昨年の5月から今年の3月まで9回にわたり精力的に御議論をいただきまして、パブリックコメントを踏まえて、今年の3月に「安全確保の基本的な考え方」を決めております。
 その結果として、4.の4つの基本的考え方を示しております。安全確保についての原則と、科学的・合理的なアプローチに基づいてグレーデッドアプローチで適用していくということを示しています。(3)の各国において安全規制の検討が進展しているところについて、我が国でも早期に検討していこうとしています。
 (4)について、国際的に我が国だけ突出して固いとか緩いとか、そういった規制になるのは、各国の連携の面とか、各国のマネーの呼び込みにおいてもよくないことですので、国際協調して、規程については合理的に進めていきたいということを掲げております。
 5.(1)については、今後の課題として、法的な枠組みとしては、当面フュージョンの装置は、放射性同位元素等の規制に関する法律(以下、RI法)の対象として規制していくことが適当であるということを確認いたしました。核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下、炉規法)といった別の原子炉を取り扱う規制対象には当面追加しないということでございます。
 (2)は、政府と事業主体が継続的に情報共有を行う場を整備するといったことで、これは実際に原子力規制庁において、先月から検討が進められています。
 (3)は、知見の蓄積ということで、トリチウムなど、材料に関する知見を引き続きやっていくということです。
 31ページ、こちらは尾崎委員に主査を務めていただいております内閣府の社会実装検討タスクフォースでございます。こちら、後ほどの議題3で詳しく御説明しますが、まず、2030年代の発電実施を目指すといったことが政府文書でも掲げられておりますので、それに向けて社会実装をどのように進めるかといったことを有識者の皆様と議論していくためのタスクフォースでございます。内閣府が事務局をやっていまして、オブザーバーは、文部科学省、経済産業省、原子力規制庁、あと外務省などでございます。こちらもその議題で詳しく御説明します。
 32ページ以降は御参考で、国際的な動向、先ほどアメリカ、イギリス、中国の話はしましたけれども、ほかにもということで、特にイギリスの例を御説明したいと思います。
 次の33ページは、イギリスと日本の協力の関係でございまして、この6月に文部科学省と先方のエネルギー安全保証・ネットゼロ省の間で協力の覚書を結んでおります。研究開発と、施設の相互利用、安全規制の枠組み、人材育成といった点について、今後、日英で協力していきましょうということを確認しております。
 34ページ、先ほど出てきたDONESに関して、スペインのパビリオンで調印した署名式の図です。もう一つ、スペイン・グラナダにおいても、日本の大使と向こうの第一副首相・財務大臣が覚書を同時期に結んで署名しています。これによって、再掲ですけれども、35ページにあるDONES計画に日本も参加をすることになっております。
 36ページは、先ほどフランスのマクロン大統領やインドのモディ首相も訪問したITERに、日本の内閣府から城内科学技術政策担当大臣も訪問していただきまして、ITERのバラバスキ機構長や日本人職員と意見交換をしていただきました。
 37ページ、もう一つ、城内大臣におかれては、7月13日に大阪・関西万博のITERスペシャルデー(フュージョン・デー)にも参加いただきました。城内大臣からは、社会実装検討タスクフォースの初回挨拶をいただきました。
 まず、資料4の説明については以上でございます。
【上田主査】  御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御意見、質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。挙手ボタンを使って、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、大野委員、よろしくお願いいたします。
【大野主査代理】  7ページの大学間連携による総合的な教育システムについてお伺いしたいと思います。
 様々なスクール等が行われて、大変結構だと思いました。一方、長期的には、博士課程の人材を大学で育成することが極めて重要だと思っております。こういう博士課程の人材育成には、短期的な施策ではなかなか難しくて、長期的な取組と安定した仕組みづくりが不可欠だと思いますけれども、その観点から、大学間での役割分担や協力体制をどのように構築して持続的に運用されるかをお聞かせいただきたいと思います。
 また、各大学の強みを生かした連携や分野横断的な教育を長期的に保証する仕組みについても、もし考え方があれば教えていただければと思います。
 以上でございます。
【上田主査】  いかがでしょうか。
【澤田戦略官】  御質問ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、博士課程の学生さんの育成は大変大事だと思っています。この瞬間にフュージョン関係の分野でこういったものをやっていくというはっきりした決まったものはないのですけれども、文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課で、博士課程の皆様の活躍に関する取りまとめをちょうど7月にやったところでございまして、この後、最終まとめがなされる予定と聞いております。こちら、我々も参照しながら、委員の先生たちにも御相談しながら、長期的な人材育成に取り組んでいこうと思っております。
 あと、山田委員、人材育成について何かコメントがありましたらお願いできますか。
【山田委員】  大野先生の懸念は本当に大学人の間では非常に共有しているところで、特効薬みたいなのはないわけです。大学のほうでも要するにいろいろな要求をしていかなければということを、例えば、核融合という分野においてどういう提案をしていくべきかということを逆にこちらから考えていくというのが一番大事だなと思いますね。
 幸い、今日、ある意味脱線気味ですけれども、文部科学省は大学への基盤経費を増額要求しており、そういった努力をされています。スペシフィックなものとして、例えば、この基盤人材育成という事業の実施機関をNIFSとしていただいて、これは全てが公募研究という形で公募の事業として行われますので、ぜひ、あるまとまりの中で提案をいただくようなことをしていきたいなということを共に考えていきたいというところですね。
 これはNIFSが独断でやることでも何でもなくて、まさに大学のために、コミュニティのためにやるということですので、例えば、こういった委員会においてもトピックとして取上げをやっていただいて、ぜひ議論の場というのを設けていただければいいと思います。NIFSのほうでも、もちろんそういったことは用意していきます。
【大野主査代理】  ぜひ横断的な教育システムが構築されて、持続性があるようなものを、NIFSを中心につくっていただければと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【上田主査】  よろしくお願いいたします。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。かなりいろいろな内容を御説明いただきましたけれども。
 それでは、まず、柏木先生、お願いいたします。
【柏木委員】  ありがとうございます。
 今の4の資料が文部科学省の資料で、次の5の資料がもう内閣府の資料なので、この核融合科学技術委員会で何をするかの議論をするのは、もしかしたらこの資料でしなくてはいけないのかなと思ったりしたのですが、今頂いた資料の中で、どういうことを取り組んでいくかについて、この委員会がどういうことを大事に思って決めていくのかという骨子がよく見えず、私は今、内閣府でもいろんな活動がある中で、議論はかぶってもいいのではないかと思っています。その中で、特に科学技術に注力した今までの流れの中で、この委員会が道筋を見つけていく活動があるのではないかと思うので、内閣府の活動に遠慮することなく、議論は議論でしっかりしていただいて、この委員会で何を決めていくかというのが見つけられるといいなと思うのですが、まだあまりぼやっとしている感じなので、そこについてどうしていくか、というのがもう少し議論できないのかなと思いました。
【上田主査】  ありがとうございます。
 私も基本的には同じような考えを持っております。技術的な部分というのは、やはりここ、核融合科学技術委員会での議論が必要なのかなと思っておりますが、事務局から何か本件についてコメントございますか。
【澤田戦略官】  ありがとうございます。柏木委員のおっしゃること、よく承知いたしました。
 私が後ほど資料5で内閣府の取組を説明した上で、また御相談できればと思うのですけれども、事務局でイメージしているのは、今、文部科学省のページにはあまり出てきませんでしたが、文部科学省は、もちろんQST、NIFS、阪大レーザー研と連携して研究開発をやっておりますけれども、それに加えて、近年スタートアップの活動が日本でも活発になってきています。スタートアップの皆さんがやってらっしゃる研究開発が実際技術的にどうであるのか、といった検証が今後必要になってくる場面があろうかと思っておりまして、内閣府の委員会でも議論は進めていくのですけれども、特にこの技術の側面に関して高い知見をお持ちの核融合科学技術委員会の先生方に、議論をサポートいただくことはあろうかと思っております。
 あと、これまで原型炉タスクフォースで御議論いただいたところを、内閣府の委員会で今後御紹介いただきたいと思っていまして、それは後ほどまた御相談しようと思っていましたが、そういったところでも皆様に御知見を賜ればと思っております。
【上田主査】  ありがとうございます。
 特に原型炉タスクフォースについては、まず、その位置づけをこの委員会の中できちんとしておく必要があるかなという印象は持っております。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、竹内委員、よろしくお願いいたします。
【竹内委員】  ありがとうございます。
 すみません。私、今回、初回というところもありまして、3点ほどお伺いをさせていただければと思います。
 1点目が、最近非常にフュージョンに対して期待が高まっているというところ、これは私の専門とするエネルギー政策の場面でも非常に強く感じています。ただ、エネルギー政策というものの時間軸、足元、それから、10年、20年といったようなところでも確実に今エネルギーの供給を確保していかなければいけないというものと、フュージョンというものと若干時間軸が異なるのかなというふうにも思っておりまして、そのあたりについて、政治家の先生方も含めて、御認識がどこまで広がっているのだろうというところが若干気になるところです。この期待値コントロールと言ったら変ですけれども、フュージョンの時間軸について、文部科学省としてどういうふうに御説明されているのかというところをちょっと教えていただければありがたいというところが1点目の御質問でございます。
 2点目が、先ほど御説明をいただきました資料4のスライド11ページ、イノベーション創出ということで、私もスタートアップ支援のファンドとかの立ち上げにかかわっているのですけれども、それこそスタートアップにこういった支援をしていただく時間軸が、どうしても核融合、フュージョンのスタートアップということになりますと、一般の投資活動には合わない時間軸で生きておりますので、政府のこうした御支援というのは極めて重要だと思います。一方で、これ、どういう時間軸で、どういうメルクマールで、この交付額上限というところを評価していくのかというところ、ここは非常に重要な部分だと思いますので、多分ほかでは共有されているのだと思うのですけれども、私が少し認識が足りませんので、ここについて御説明をいただければありがたいというところが2点目でございます。
 あとは、最後の1点ですけれども、スライド30ページのところで、安全規制のお話がございましたけれども、やはりこのフュージョンをやっていくに当たって、どういう規制体系でやっていくのかというところです。これは技術開発の進捗を待って、その後からやおら規制のことを考え始めるということですと、やっぱり社会実装が遅れてしまいますので、先んじての安全規制を考え出すというのは極めて重要なところだと思います。ここでは、炉規法の規制対象ではないというふうに記載してあるのですが、一方で、新しい法律をまるっとつくっていって、誰がその規制権限者になるのかといったようなところについての今の御議論というのを、こちらも私の勉強不足で大変恐縮なのですけれども、そうしたところについての見通しというのをちょっと教えていただければありがたいなと思っている次第でございます。
 よろしくお願いいたします。
【上田主査】  どうもありがとうございました。
 この第1の点につきましては、これはまさに内閣府の社会実装検討タスクフォースが強く意識した上で、今後のロードマップ等を検討しようとしているところかと私は認識しておりますが、それ以外の部分にもつきまして、事務局のほうから少しコメントいただくことはできますか。
【澤田戦略官】  竹内委員、ありがとうございます。
 1点目については、主査がおっしゃったことで、内閣府と連携して進めていきたいと思っております。
 2点目については、11ページのSBIRの資料をご覧いただけますか。こちらは各社がまず技術成熟度(TRL)を高めていくということが基準なのですけれども、公募概要のところにTRLを原則としてレベル5以上からレベル7まで引き上げる計画をつくるということが示されております。これをステージゲートで見ていくということで、今こちら3年目ですので、ステージゲートが今年予定されています。TRLを達成していれば、次のステージに進めるという仕組みになっており、そのステージゲート審査は今月以降、企業が達成したと自身で確認できたタイミングで行われると聞いております。このSBIRのロードマップは今年度中に発表するということで、改めて御報告できればと思っております。
 もう1点の最後の安全規制の部分は、おっしゃるとおりで、当面はRI法でやっていくということですけれども、実際、フュージョン炉が運転されて大量の三重水素などを取り使うようなことになってきましたら、RI法で位置づけられない可能性はあると思います。それは原子力規制当局がお考えになることではありますが、そういった観点についても考えております。その場合、原子力規制庁が今所感いる炉規法でやるのか、または、新たな法律をつくるべきなのか、その新たな法律をつくるときに、規制だけの法律をつくるのか、もしくは、核融合の全体のことも含めた新たな法律をつくるか、といったところは、政府部内でこれから検討していくと認識しておりまして、その法の所管がどこになるかについても、その先に決まっていくと考えています。
【上田主査】  事務局、ありがとうございました。
 すみません。最初の質問は十分にお答えになっていないと思うのですけれども、この次の議題3で、関連した情報は出てきますので、またもし必要であれば、その後に御質問いただけるとありがたいと思います。
【竹内委員】  ありがとうございます。
 1点だけ申し上げさせていただくと、やっぱり最近、エネルギー、技術に対して熱しやすく冷めやすいというのが日本的というか、再エネでがっと盛り上がって、だっと反発が来て、揺り戻しが来てしまうというようなことは間々起きておりますので、適正な期待というところが一番重要なところだなと思います。内閣府さんが主導されているのは承知しておりましたが、文部科学省さんにもぜひその辺、平仄を取って進んでいただければなというところで申し上げさせていただきました。
 ありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、花田委員、よろしくお願いいたします。
【花田委員】  
 御説明ありがとうございました。
 前回12期のときの最後のところでも、私、コメントさせていただいたのですが、DONESの件でお伺いします。日本の中で、先ほどありましたように、安全規制も含めて、やはりその辺りをきちんと試験していく施設が必ず必要であるというところで、今回、概算要求も含めて、DONESに本格的に参入されるということをお伺いしました。
 資料の6ページにありますが、建設費欧州25%、日本は5%という負担ということになっており、照射量も運転を含めた負担8%に応じて配分されるということでございました。ただ、8%というと実際どのくらいの量に当たるのかということが想像できなかったのですけれども、これで日本の中で核融合炉を造っていくための規制あるいは基準になるような照射量が確保できるということなのでしょうか。それとも、やはり別の形で、前回は別の形も考えておられるというお話もあったのですが、その辺り、少し定量的な話で細かい話かもしれませんが、安全に関わるところですので、ぜひ御説明いただければと思います。
 よろしくお願いします。
【上田主査】  事務局、何かこの点、コメントございますでしょうか。
【澤田戦略官】  花田先生、御質問ありがとうございます。
 6ページの図の右下にありますように、材料照射試験でデータを取っていくということですけれども、10回原子がはじき出されて損傷するといった、10dpa以上の中性子の照射量を確保するということを掲げております。
 少し細かい話となりますが、資料右上の模式図を元に説明しますと、加速器に対して中性子を照射する場があって、各極がそのポートの場所をこれから確保していきます。このポートが中心に近ければ、その照射量について、短い期間で得ることができますし、端っこになると、単位時間当たりの照射量が減るので、同じ10dpaを得るまでの時間が長くなるということでございます。日本は3か国目に参加を表明したので、その位置取りでは、後発の極よりは有利になると考えていまして、真ん中に近い部分を日本で確保できる見込みがあると聞いています。その照射量は全体の8%になりますので、日本も建設費と運用費を合わせて8%を負担するといったことを聞いています。
 以上ですが、もし何か先生方から補足いただけるのであれば。
【上田主査】  そうですね。もし委員の方から補足いただけるようであればお願いしたいのですが。
 竹永委員、よろしくお願いいたします。
【竹永委員】  ありがとうございます。
 材料照射試験は非常に重要だと思っておりまして、DONES計画では、当面、原型炉を動かすのに必要だと思っております10dpa、また20年の運転の中では20dpaまでのデータを取ろうと計画しているところです。温度の条件を幾つか変えたようなデータを取る必要があると思いますので、そういうことも考慮して、10dpaと20dpaまでのデータを取るということを今計画しています。
 実際に材料がどこまでもつかということは、80dpaとか、そういうところまでデータを取らないといけないのですが、そこまでは今のところは計画していません。そこはほかの装置を考えるとか、あと、DONESも将来的には増強するというようなことも考えていますので、新たな貢献というのが必要になってくると思っているところです。
 現状では、原型炉をある程度動かすところまでの許認可に必要なデータは取るということを計画しているといったところです。
【上田主査】  御説明ありがとうございます。
 花田委員、よろしいでしょうか。
【花田委員】  ありがとうございました。具体的な数字を挙げていただきましたので、よく分かりました。
【上田主査】  ありがとうございます。
 それでは、永井委員、よろしくお願いいたします。
【永井委員】  質問させていただきます。
 こうした核融合炉の建設技術に日本の技術がかなり貢献しているというような印象を受けたのですけれども、これから先の成長産業分野として、基礎研究ではない、こうした核融合炉を造っていく過程での材料であるとか、建設技術のほうに、日本の中小企業がどのくらい成長するような見込みがあって、どのくらい、どういう分野に人材が必要だというところを教えていただけるとありがたいです。基礎研究の部分は大体皆さん想定されていると思うのですが、日本の中小企業がどういうふうにこれの影響を受けていくのかというのを、お考えとかイメージがあれば教えていただけるとありがたいです。
【上田主査】  その辺のところはどうでしょうね。事務局からコメントいただけますか。
【澤田戦略官】  ありがとうございます。
 委員がおっしゃるように、ITERに日本企業が多く、実は物納で貢献しているところがございます。本日のスライドにそれは用意できていなかったのですけれども、それぞれコイルやダイバータ、タングステン材料などで、日本企業が多く貢献をしているところでございます。
【上田主査】  竹永委員、お願いします。
【竹永委員】  日本の中小企業さんとも一緒に技術開発をやって、ITERの機器の製作に深く関わっていただいているところです。日本しか作れないものがありますので、当然、欧州とか、ほかの極でも日本の中小企業さんが部品を供給するようなこともありますし、そういう意味では、日本国内にとどまらず、ほかの極にも日本の企業の製品が貢献しているというような状況になっております。そういう意味で、日本というのはものづくりでは非常に優位な立場にあるというように我々は認識しているところです。
【永井委員】  ありがとうございます。
 私どもは、大学のほうで博士人材を数においてもレベルにおいても高度化しようというミッションを受けているのですけれども、やはりその受入先の分野というのが、これから先の成長分野としてイメージ、産業界に広く博士人材が活躍してくれることを願って大学で育てているので、基礎研究のところはアカデミア志向が強くていいのですけれども、こうした産業が成長する中で、もっと大学から高度な方々が活躍できるような状況になっていくことをプランとして持ちたいなと思って、質問させていただきました。
 どうもありがとうございます。
【竹永委員】  ありがとうございます。
 そういう意味では、先ほど大野先生から学術について博士課程の学生に関する人材育成の話がありましたが、産業界のほうもやはり人材育成というのは非常に重要だと思っております。J-Fusionさんとも協力しながら、また、ITER機構もかなりそういう産業界の若手の人材育成ということに力を入れたいというふうに言っておりますので、産業界、J-Fusionさん、ITER機構とも連携しながら、産業界の若い人を育てていくような取組もやっていきたいと思っているところです。
 ありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、ほかにも質問あるかもしれませんが、次の議題に入ります。最後のところで前に戻って御質問いただいても構いません。
 それでは、議題3、社会実装検討タスクフォースにおける議論について、に入ります。
 これにつきましては、事務局より御説明のほど、よろしくお願いいたします。
【澤田戦略官】  資料5について説明させていただきます。後ほどお時間があれば、先ほどのITERに関する、我が国が分担している機器のデータが今手元に見つかりましたので、御紹介する機会があればと思っております。
 では、資料5の2ページ、先ほどの繰り返しですけれども、新たなフュージョン戦略ができたということで、こちらに基づいて、今後、社会実装を見据えた検討を内閣府で進めるということが、この左上の緑色のところの丸3に記載しているところです。
 3ページはフュージョン戦略の抜粋ですけれども、2番目のパラグラフに、何をこの内閣府の社会実装検討タスクフォースで検討するかを記載しています。TRLの評価やビジネスモデル、コストやファイナンス、円滑な技術移転のための方策、サイト選定、実施主体の在り方、発電実証の定義、もう一つ、安全確保に向けた取組といったところを議論することを目指していまして、令和7年度中にその取りまとめを行うこととしています。
 次の4ページをお願いします。こちら、内閣府の核融合戦略有識者会議でいただいた意見を抜粋しております。
 核融合戦略有識者会議で主に議論になりましたけれども、発電実証について、バックキャストすべきであるといった御意見や、TRLや実現性等を評価して、選択と集中を行っていくべきである、立場の違いによって発電実証のイメージが異なる可能性に留意する、2030年のパイロットプラント建設の開始を計画するスタートアップの存在も参考にして言葉をはっきりさせていくべきである、といった御意見をいただいております。
 その検討の進め方については、国外、海外でどういう戦略が取られているかといった視点が必要であるといったコメントをいただいております。
 その他ということで、その社会実装検討タスクフォースの検討を踏まえて支援のためのプログラムを組んで、産業化を見据えたプロジェクトを進めていくことが考えられるというコメントや、サプライチェーンの構築などの観点から、現実的に産業が育つプランを検討するべき、というコメントを委員の皆様からいただいております。
 5ページ目が、もう少しブレークダウンした図なのですけれども、発電実証を2030年代にやるという話があり、これは政府文書で示しているのですけれども、その先に社会実装があるという流れなので、その発電実証が社会実装につながるものかどうかという観点が大事になってきます。
 先ほど私は、社会実装検討タスクフォースでは多くのアジェンダ、議題があると申しましたけれども、まずは発電実証について議論をしようということで、第1回を先週の9月5日金曜日に開催したところです。
 6ページですけれども、発電実証の定義については、具体的に以下を明確にすべきではないかというコメントを事務局からいたしました。1つ目が発電容量、2つ目が総建設コスト、3つ目が他の発電方式と対比し得るか、4つ目が発電実証の時期です。
 先ほど海外の事例も参考にと言ったところなので、まず米英の両方で引いておりますけれども、まず米国は、米国科学・医学・工学アカデミー(NASEM)がまずDOEの求めに応じて報告をしておりまして、その報告書では、発電容量が50MWe以上で、コストが60億ドル未満といったところを示されています。そして、それを踏まえて、※印の小さいところですけれども、DOEにおいては、少なくとも3時間連続して50MWといったところと、今後1年間のフルパワー運転への迅速な道筋を持つものとすること、その資本コストが民間の投資家から見ても魅力的なものであるといったところを定義しています。これをアメリカのほうでは、民の取組として、国が必要な支援をするといったプログラムを組んでいます。
 イギリスではSTEPというプログラムを進めています。40年の運転開始を目指して100MWの正味エネルギーを実証することを目標としていて、こちらは総建設のコストは、アメリカと比べると、示していないところです。
 次の7ページで、第1回社会実装検討タスクフォースの御議論では、諸外国の戦略、経済産業省の観点でのエネルギー政策の位置づけ、文部科学省がやってきた取組を御紹介して、それをベースに御議論いただきました。
 2回目以降は、10月以降、毎月一度の開催を予定しておりますけれども、各スタートアップや、QST及び原型炉タスクフォースで議論いただいたことについても議論を紹介していただくという予定にしております。核融合に先行しています原子力や宇宙などの他の分野の社会実装の例もヒアリングをしていくということで、その結果や論点ごとに検討するということを想定しております。
 次の資料8ページなのですけれども、この資料は、今後内閣府がヒアリングをするであろう日本関係の企業ということで、公平性を保つために、まず、J-fusionが作成した『フュージョンエネルギー白書』から5社を掲載順に抜粋しているところ、京都フュージョニアリングとHelical Fusion、EX-Fusion、LINEAイノベーション、Blue Laser Fusionを掲載しております。今後スタートアップの皆様からのヒアリングが予定されております。
 もう一つ、QSTで構想いただきました原型炉についても併せて参考にしておりまして、こちらからもヒアリングを想定しています。
 アメリカとイギリスの例を議題2で紹介したのですけれども、少し細かくここで御紹介します。まずここで御紹介したいのは、アメリカではスタートアップが主に核融合をやっていくという話があります。2030年代に発電実証を目指すスタートアップを米国政府がどのように捉えたかと言いますと、米国政府は、自らがロードマップやマイルストーンを引かず、まず民間企業にそのマイルストーンを提出させるといった方式を取っています。
 資料が出てきたので、こちらで御紹介いたします。資料につけていませんでしたが、内閣府のほうの議題で紹介した資料(第1回社会実装検討タスクフォース資料)です。
 2ページ、アメリカの取組について、アメリカではスタートアップを中心に民間がけん引しています。左下のグラフを見ていただくと分かりますけれども、民間から民間への投資が、2021年には対前年度比で約10倍増している状況で、先ほど少し御紹介しましたCFS社といったスタートアップが巨額の投資を集めているところです。
 アメリカでは、国が自らマイルストーンを示しているわけではないのですけれども、まずNASEMに対して報告を求めて、NASEMからDOEに対して、右上の四角の2つのプラントについての目標が出てきました。具体的には、まず、フュージョンパイロットプラントについては、発電容量50MWe以上ということと、総建設コスト60億ドル未満、商用初号機FOAKについては、運用寿命40年とすれば、総建設コストは50から60億ドル未満に抑える必要があるということを示しています。
 これらを踏まえて、なかなかこれは難しいといったコメントも報告書にあるのですけれども、そのためにも政府としては支援をしていく必要があるといったところで内容は結ばれています。右下に、政府としては、民間主導でマイルストーンを書かせて、そのマイルストーンを達成した後払いでお金を払いますよといったやり方を進めています。政府は4,600万ドルを2023年以降出すとしており、それに対して、民間の投資は3億5,000万ドルが集まっていると聞いています。
 もう一つ4ページ、イギリスでは、2030年代の発電実証に近い2040をターゲットにしていますので、こちらも紹介がありました。
 イギリスのSTEPプログラムについては、2040年をターゲットに、100MWの発電を行う発電炉の設計、建設を目標にしていまして、先方では、原子力公社(UKAEA)の100%子会社であるUKIFSがその主体を担っています。
 左下にそのSTEPの炉の概念図があります。こちら建設予定地が決まっていまして、ノッティンガムシャー州の石炭発電所の跡地を予定しています。こちらは約2億ポンド(440億円)の予算をフェーズ1に投じていて、この6月からフェーズ2になるということだと思いますけれども、今後5年間で、このSTEPを含めた核融合全体に5,000億円を投資することを決めています。
 その他、6ページ、米英が2030年代に一番近い発電実証を掲げている2か国ですが、その他の国も載せております。
 フランスでは、2030、40といった数字はありませんが、2050のカーボンニュートラルを目指して、国家的フラッグシップであるITERの推進とBA、DONES等への貢献、アジア・欧州・北米の先進的な研究所との科学協力の推進を掲げています。ドイツでも、2030年代においては研究開発段階であるとしており、その後、2040年代初頭までを移行フェーズとして、2040年代以降に運用をすることを掲げています。
 中国では国家戦略はないということですが、実際行われていることとして、CRAFTの建設開始と完成が今年の予定ということと、BESTという実験炉が2027年に運転開始を見込んでいます。先方の原型炉CFEDRについては、今後CRAFTの実証を踏まえて移行するようで、プラズマ半径はITERのタイプよりも大きいと聞いています。
 こういった御紹介が内閣府からありました。
 経済産業省からは、経済産業省で検討されているフュージョンの現状の報告がありまして、次の2ページをお願いします。
 第7次のエネルギー基本計画の紹介があって、いわゆるSプラス3E(SafetyとEnergy Security、Economic Efficiency、Environment)を原則にしているという紹介がありました。
 次の3ページで、経済産業省における次の世代の革新炉の5つのタイプが示されていて、これは実用が近い順だと私は認識していますが、その5番目にフュージョンエネルギーの炉が記載してあります。
 次の4ページが、同じくエネルギー基本計画の抜粋で、フュージョンに関することを示した部分がこちらです。内閣府のフュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえてきちんとやっていくといった内容が記載してあります。
 5ページ、経済産業省の革新炉のワーキンググループでの御議論ということで、一番下にありますフュージョンについては、システム成熟度という観点からは、まだ課題があるといったところと、引き続きR&Dを進めていく段階にあります。一方で、産業への波及が期待されますので、イノベーションをシームレスにつなげていく観点で、官民の役割分担をしていこうということが記載してあります。
 最後の6ページは、TRLの図を記載していまして、DOEの定義を踏まえまして、経済産業省が示していますけれども、TRLの1から9まで記載してあります。右側に4つの炉のタイプが示してありますが、これは先方の説明にはありませんでしたが、核分裂炉のイメージだと思います。実験炉から商用炉まで4つのステップを踏むイメージです。他方で、フュージョンは、これまで御議論いただいてきたように、3ステップでやることを考えていますので、その場合、この図で示すTRLのどこに原型炉がやってくるかということも、今後議論していく必要があると思っています。
 経済産業省からはこういった説明がありました。
 文部科学省の資料は、先ほどの資料と同じですので、割愛させていただきます。
【上田主査】  御説明ありがとうございました。今後、内閣府の社会実装検討タスクフォースが実際に検討を進めるということで、具体的にどんなことを検討しようとしているかということについて少し御説明をいただきました。
 それでは、委員の皆様方から御意見あるいは御質問等ございますでしょうか。
 やはりこれは文部科学省の核融合科学技術委員会からもいろいろ意見を上げる必要があるのかなと個人的には思ってございますが、特に技術的な側面ですね。どのような観点でも結構ですが、御質問、御意見ございますでしょうか。
 植竹委員、お願いいたします。
【植竹委員】  ありがとうございます。
 資料5の3ページの下から5行目に、社会実装につながる発電実証の定義を検討する必要があるというふうにあります。当然そうだと思うのですけれども、さらに、社会実装そのものの定義はどうなのだというところが大事かなと思いました。
 社会実装というのがどういう姿を思い描いているのかというところが同床異夢になってしまうと、当然、そのための発電実証の定義もぶれます。これはどうなのだろうというところなのですが、私、個人的に考えているのは、今の原子力産業の姿のように、電力会社が投資判断をできて、サステイナブルに発電所が建設されていく姿だと思います。そういう意味では、実証炉の先にある商用炉が、もちろん単基だけではなくて、フリートという形でできていくと思うのですけれども、そういったものに対して電力会社が投資判断できるような環境、そこからバックキャストしていかないと、なかなかどうあるべきかということが、発電実証や、その前の原型炉のあるべき姿にたどり着けないのではないかなというふうに思ったところです。
 そういう意味で、原子力産業のレッスン&ラーンドで言いますと、電力会社の投資判断というのは、そのフリートに対して資金調達ができるか、その調達して投資した資金が回収できるかどうかというところが一番重要なところでございまして、もちろんその炉に競争力がある状態が前提ですけれども、そういう意味では、総括原価方式というのが原子力発電所の場合には過去あって、それによって産業が発展してきたという歴史があります。
 アメリカの例や、フランスの例、中国の例を御紹介いただきましたけれども、そうしたところは、アメリカで言えば、自由化されていない、いわゆる料金規制がまだある規制州、そういうところは投資の回収が保証されておりますし、中国もそうです。国営企業が今の電力システムの中で、そういう冒険的な投資についても回収できることが保証されている中で、こういう核融合のチャレンジングな投資に挑んでいけるというものが用意されているということだと思います。
 それと、もう一つ、日本にとって非常に特殊な状況は、原子力損害賠償制度が無過失無限責任になっていることです。今、フィージビリティが実証されている原子力発電所でさえも今後の投資が非常に滞っていますけれども、その大きな理由の一つは、無過失無限責任というのが非常に大きなハードルになっています。これがある限り、なかなかジョイントベンチャーのような形で資金を集めて原子力プラントに投資をするということができないものですから、この核融合発電についても無過失責任を課すということに多分なろうと思いますので、そういう形を続けている限り、民間企業が資金を集めて投資するということがかなり難しいということがあると思います。社会実装のためのそうしたバリアを一つずつ外していかないとなかなか難しいであろうなというふうに思っています。
 以上です。
【上田主査】  御意見ありがとうございました。
 非常に重要な視点からの御意見だと思います。この文章の中にも、技術開発から事業化に至るまでのビジネスモデルであるとか、そういうことも考えなければいけないような内容がありますけれども、ただ、今も御指摘いただいたように、社会実装というのが何かということはある程度明確にしていただく必要はあるのかなと思いました。
 事務局から何か御意見ございますか。
【澤田戦略官】  ありがとうございます。
 大変重要な御指摘かと思っております。社会実装について、事務局の考えでは、今委員から御指摘があったような、民間が自ら投資判断できる環境は一つ重要ですし、社会実装の観点からは、国民の皆様に許容していただいている環境もまた大事だと思っています。
 1点目の、どういう条件がそろえばフュージョンの商用炉に移行するのかを民間企業が判断できるかという議論も、先方の内閣府の委員の先生方に確認を取ってからとはなりますが、議事録は公開しようと思っております。皆様にもお送りしようと思います。そういった御議論があって、経済産業省から、先ほどエネルギー基本計画で示されているSプラス3Eをフュージョンの炉が達成できれば、そういったフェーズに乗ってくるといったようなお話がありましたので、そちらも後日、議事録等を確認の上、先生方にお伝えしたいと思っております。
 社会実装については、まさにこちらの委員会でもアウトリーチのことを今までお話しいただきましたが、引き続きこの委員会でも一緒に議論していきたいと思っていますし、アウトリーチヘッドクォーターの先生方とも協力してやっていきたいと思っています。
原子力損害賠償は、文部科学省で所管しておりますので、今後、フュージョンは原子力損害賠償の対象であるかということも含めて、関係部局と議論していきたいと思っております。
【上田主査】  ありがとうございました。
 柏木委員、お願いいたします。
【柏木委員】  今日は、今後この委員会でどのようなことを議論していくのかというところを冒頭から質問させていただいている中で、ちょっと気になったのが、今年6月に改定されましたフュージョン・イノベーション戦略、内閣府が出している戦略の中に、文部科学省が実施すべき役割が結構書かれておりまして、もう既にいろいろと文部科学省としては動き出しをされているというのは承知しているのですけれども、その中で、この委員会で拾い上げて特に議論したほうがいいのだろうというものもあるのではないかと思いました。そういうところを一回見てみて、この委員会、このメンバーでどういうことができるのかというのを整理するのがいいのではないかなと思うのですが、その辺り、いかがでしょうか。
【上田主査】  御指摘ありがとうございます。
 事務局から、何か本件にコメントございますでしょうか。
【澤田戦略官】  ありがとうございます。
 内閣府に遠慮することなく議論を、というお話について、私、少し遠慮していたかもしれませんので、またこちらの委員会にもお願いすべきところはお願いしていきたいと思っております。
 事務局のイメージとしては、一つ、内閣府の社会実装検討タスクフォースで今後進めようとしているスタートアップのヒアリング、先ほど経済産業省の資料でTRLのページがありましたが、そのTRLは実際幾つなのかといったところも、今後公平に技術が分かる方から御議論いただく必要があると思っております。内閣府の委員会でも議論を進めていきつつ、今後、この委員会そのものでやっていただくのか、または、委員の先生方から御協力いただく別の形をするのかは今後考えますが、このTRLの判断をしていく必要や、各スタートアップ、国関係のQST関係のプログラムについても検討していく必要があると、私個人は考えていたところです。
 そして、柏木先生がおっしゃったそのほかの部分だと思いますけれども、戦略に改定されたことによって書かれている文部科学省関係の取組、人材育成やアウトリーチの部分があるのだと思いますけれども、そういったところについても今後御議論していきたいと思っております。次の会議までには整理したいと思っております。
【上田主査】  ありがとうございます。
 今の御指摘は重要ですので、今後の進め方については、私も含めて、ぜひ議論させてください。よろしくお願いします。
 柏木委員、よろしいでしょうか。
 それでは、ほかに御意見、御質問等ございましたらお受けいたしますが、いかがでしょうか。
 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
【澤田戦略官】  すみません。もうお時間超えていますけれども、先ほど御質問あった日本企業の貢献といったところで、少しだけ紹介したいと思います。
 お手元に資料はないのですけれども、まず口頭で申し上げますと、ITERに対してかなり多くの日本企業に参画していただいております。竹永委員からもあったように、J-Fusionという産業協議会もできましたので、そちらを通じても進めていきますし、ITER関係で我々が予算を出しているところをきちんと日本企業に還元していくことも大事だと思っています。全ての企業を読み上げると長いのですけれども、例えば、コイルについては三菱重工ですとか、三菱電機、東芝エネルギーシステムズといった企業があります。全部読むと時間がかかってしまいますので、こちらの資料を後ほど委員の先生方にもお送りしようかと思います。フュージョンの研究をされている大学ですとか学生さんに対して、こういった部分で就職といいますか、将来のキャリアがあるということも先生方からも御紹介いただくと、フュージョンの人材育成にも資するかなと思います。
 また、少し蛇足ではありますけれども、文部科学省も博士人材の活躍促進をしておりまして、博士の皆様向けに、各企業とのジョブ型の研究インターンシップをやっております。文部科学省自身も博士人材の採用や活躍を促進していきますので、そういったところでも先生方と協力させていただいて、博士の社会での活躍を進めていきたいと思っています。
 すみません。補足でした。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、御質問等、特にございませんでしょうか。
 それでは、議題3につきましては、これで終わりたいと思います。
 本日こちらで用意した議事は以上で終わりですけれども、本日の議論に限らず、何か御発言のある委員の方はおられますでしょうか。よろしいですか。
 特にないようですので、それでは、事務局のほうから事務連絡等ございますか。
【久島専門官】  ありがとうございます。
 次回の委員会の開催につきましては、事務局のほうから追って日程調整の御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の委員会はこれで閉会いたします。御多忙の中、御出席いただき、誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――

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