核融合科学技術委員会(第41回)議事録

1.日時

令和7年2月7日(金曜日)15時30分~17時30分

2.開催方法

オンライン開催

3.議題

(1) フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組
(2) 原型炉実現に向けた基盤整備
(3) 原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて
(4) その他

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、大野哲靖主査代理、石田真一委員、大塚康介委員、尾崎弘之委員、葛西賀子委員、柏木美恵子委員、栗原美津枝委員、兒玉了祐委員、中嶋哲也委員、花田和明委員、吉田善章委員

有識者

量子科学技術研究開発機構 大山直幸室長

文部科学省

堀内義規研究開発局長、清浦隆大臣官房審議官(研究開発局担当)、馬場大輔研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、山﨑久路課長補佐、久島鉄平核融合科学専門官、栗原研一技術参与、安原亮科学官

5.議事録

【上田主査】  本日は、御多忙のところ御参加いただきありがとうございます。定刻になりましたので、第41回核融合科学技術委員会を開会いたします。
 今回はオンライン形式にて開催いたします。司会進行につきましては、全体の進行は主査の私、上田のほうで担当させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、可能な範囲でカメラオンにして御参加いただけますと幸いです。
 それでは、議事に入る前に、事務局より定足数及び配付資料の確認をよろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございます。核融合科学専門官の久島でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、本日の委員の御出欠でございます。事前に、植竹委員、小磯委員、あと吉田朋子委員の御欠席をお伺いしております。あと何名かの先生、少し遅れられているようですけども、現時点で15名中12名の委員に御出席予定というふうにさせていただいてございまして、過半数を超えておりますので定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
 本日はオンライン形式による開催となってございます。御発言いただく場合は、画面の下にありますリアクションボタンから「手を挙げる」ボタンを押して、ミュートを解除の上、御発言いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、本日の配付資料でございます。画面記載のとおり、議事次第の一覧に示しております資料1から5及び参考資料1となってございます。会議中は、このようにZoomの共有機能を使いまして、事務局より資料を表示させていただきます。
 以上でございます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 本委員会は、核融合科学技術委員会運営規則に基づき、非公開の議題を除いて議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 また、本日は、議題4の説明者として、量子科学技術研究開発機構(以下、QST)経営企画部第3研究企画室の大山直幸室長に御出席いただいております。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 まず、議題の1です。「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組」に入りたいと思います。これに関しましては事務局より御説明をよろしくお願い申し上げます。
【馬場戦略官】  事務局です。資料1に基づきまして、国家戦略を踏まえた最近の取組について御報告させていただきます。
 本日は、前半、国家戦略、フュージョンエネルギーをめぐる環境の変化ということで、諸外国の動向を中心に、特に前回11月に審議会が開催された後の様子について御報告したいと思います。また後半においては、現在国会で審議が行われている来年度の政府予算案、また成立している令和6年度の補正予算について御報告したいと思います。最後に、現在、内閣府を中心に検討が進められている国家戦略の改定に向けた議論の状況についても併せてお話しさせていただければと思います。
 まず、フュージョンエネルギーをめぐる環境の変化です。2ページ目ですが、これは前回も御報告してきた内容ありますので、簡単に、繰り返しにはなります。アメリカにおいては国家戦略が初めて成立しております。また、イギリスについては、2021年に策定した国家戦略を更新する形で「Towards Fusion energy 2023」というもの、また、原型炉に相当するSTEPを2040年までに建設するため、実施主体を設立するなどしております。また、ドイツにおいても、新たな研究支援プログラムや国家戦略を策定し、中国においては、右下にあるような大規模試験施設群を整備し、トカマク型核融合実験炉BESTと言われるものを2023年に建設を開始しております。また、ITERについては、既に御案内のとおり、昨年6月にITER機構から基本文書「ベースライン」のを更新の提案があり、本委員会においても俯瞰的な議論をこの半年、してきていただいたところでございます。昨年6月、G7サミットにおいて、前回も御報告したとおり、G7作業部会、またWorld Fusion Energy Groupeが開催されたというような状況になっております。この中で、今月、先月といろいろな動きがありましたので、それについて3ページ目にて御報告します。
 まず、アメリカです。アメリカにおいてはスタートアップの動きが様々あるところでありますが、CFS(Commonwealth Fusion Systems)という、一番世界でも大きなスタートアップが商用炉に向けて立地をバージニアに決めたということを発表しております。100以上の候補地の中から2年以上かけて選定し、バージニア州政府とも積極的に連携するというような形になっております。また、地元のユーティリティーが、土地のリースといった技術的な知見を提供するということで、グリッドにつなげていきたいということを目指しております。
 また、イギリスにおいては、Plan for Changeということで、ちょうど政権が替わったところでありますが、先月1月には、フュージョンエネルギーの開発の加速と経済成長を始動するため、4億ポンドの投資を発表し、施設整備や人材育成を通じて急速な発展を支援するということをうたっております。原型炉STEPの2040年までの建設に向け、業者の選定プロセス、ショートリストなどを発表しております。また、場所については既に決定しており、もともと石炭発電所のあった土地に建設を予定しており、新たな雇用を生み出すというところをプレスリリースでも強調されております。イギリスにおいても政権替わったところでありますが、改めてフュージョンについて継続的に支援していくというような姿勢が明確になったかと思います。
 中国においては、安徽州合肥にあるASIPPにあるEAST、こちらについて1,000秒を超える閉じ込めを記録したということで、サイエンティフィックな成果として発表されております。当然ながら、閉じ込め期間、維持期間を延ばすというところが今後発電に向けた大きな進展であるということを中国政府も強調した発表をされていたというのが印象的ではありました。
 また、各国の動きに加えて、4ページ目についても前回11月の会議の後の話でありますので、御報告したいと思います。第35回ITER理事会が11月20日、21日にITER機構本部で開催し、日本からは増子文部科学審議官が首席政府代表として参加しております。計画の進捗状況については、既にこの場でも御報告しておりますが、各極及びITER機構において、機器の製造や組立て、据付け等が進展していること、7月に式典を開催したトロイダル磁場コイルの全機納入に続き、ダイバータ機器の製造や、安全規制当局との建設的な意見交換が続いているということの御報告がありました。また、真空容器、熱遮へい板、この辺りについても委員会の先生方からも御心配があった部分でありますが、修理が進展しており、専門家パネルを設置し、そこでも過去の教訓を反映していくということが確認されており、また、一部の真空容器の修理が完了したというところを理事会としても歓迎しております。
 ベースラインの更新については、理事会として、ITER機構から提案された今回の提案について全体的なアプローチを支持するということを表明しております。ただし、理事会において、ITER機構に対しては、引き続きリスクの低減やコストの最適化のための努力を継続することを要請しているということで、これは俯瞰的な議論を踏まえて我々からも強く主張し、公のプレス発表にも書かれているところでございます。引き続き、ITERの状況については本委員会においても御報告していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 5ページ目、7月の納入完了記念式典については、既に御報告しているとおりであります。ITER計画が確実に進展しているということ、また日本のものづくりの力が存分に発揮していること、PACA国際学校などを通じて、教育環境、そういったところにも文部科学省としては留意していきたいと思っております。
 6ページ目のG7についても前回御報告しているとおりです。G7作業部会の設立、規制に対する一貫したアプローチ、World Fusion Energy Groupの創立閣僚級会議をローマで主催するということを前回も御報告させていただきました。本委員会の中からは、核融合科学研究所(以下、NIFS)の吉田所長などが参画し、G7作業部会の初会合、また、World Fusion Energy Groupの創立閣僚級会議が行われ、文部科学省からは、当時は今枝文部科学副大臣が参加しているところでございます。引き続きWorld Fusion Energy Group、またG7作業部会は継続的に開催することが予定されておりますので、我々としては、こういった場においても、この審議会の議論をしっかりとインプットしていきたいと考えております。
 8ページ目は新しい資料で、御報告ですが、このWorld Fusion Energy GroupのところでIAEAのFusion Key Elementsというものが発表されております。リンク先を掲載しておりますが、本委員会にも関わる部分がございますので、何点か御報告したいと思います。
 フュージョンエネルギー開発に向けた共通のビジョンとして策定されておりますが、6つのキーエレメンツとして記載されております。特に1番、研究・開発・実証においては、科学技術のさらなる進展が必要というところが強調されております。サプライチェーンを発展させるためには研究開発への継続的な支援が不可欠というところも同意されています。その他、産業化、安全・セキュリティー、さらには国際協働ということで、世界の動きが大きく変わっていく中で、エコシステムが急速に進化しているところ、国際協力でさらなる対応が必要な領域をやっていくというところ、また、人材の育成が不可欠というところ、その他、関係者の役割、アウトリーチというところ、本委員会でも賛同できるような部分も多いかと思います。引き続き、国際連携、IAEAも巻き込みながら進めていきたいと思っております。
 9ページ目も前回御報告した内容になりますが、我々としては、ITER、BAに加えて、多国間・2国間の連携を強化していきたいというふうに思っています。一番下にございますとおり、多国間ではG7、IAEAの枠組み、加えて、既にある2国間の枠組みとしてはアメリカ、韓国、中国、さらに現在、イギリス、カナダとも具体的な今後の連携についても議論を進めているところでございます。今月、私自身もアメリカ、カナダ等々に訪問し、実際にどういった協力ができるのか、今後のG7や新政権を見据えて議論していきたいと思いますし、イギリスにおいては来月初旬に、ロンドンの日本大使館においてフュージョンに関するイベントを開催し、様々な連携というところを具体化していきたいというふうに考えております。また、こういった内容についても審議会で随時御報告させていただければと思います。
 続いて、来年度の政府予算案、補正予算について、ITER、BAに加えて、原型炉実現に向けた基盤整備、実証試験施設・設備群の整備、ムーンショットについて御報告したいと思います。
 11ページ目、少しビジーなスライドになってしまって恐縮ではありますが、現在、文部科学省としては政府の予算案として、右上に数字ございますが、207億円として計上しております。大きな柱として、この後御説明しますITER計画、右側、先進的核融合研究開発としてBA活動、また原型炉実現に向けた基盤整備という形で構成しております。また、関連予算としてムーンショット型研究開発制度であったりとか、NIFSの取組であったりとか、そういったところについても関連予算として計上しているところでございます。
 まずITER予算については、12ページ目の右上に記載のとおり、来年度政府予算においては139億円、また、この後御説明します今年度補正予算としては51億円を計上しております。左下の進捗、先ほど御報告したとおり、技術的に最も困難な機器であるTFコイルの全機納入など、機器の製造や組立て、据付けが進展しております。その結果、ITER機構の活動、いわゆる組立て、据付けに当たる分担金が増加しているというのが現状であります。また、機器の調達・製造に当たっては、コイルの納入などが進展した成果で分担金が減にはなっているという形になりますが、全体としては、補正予算と合わせれば、順調にこういったものについても後押ししていきたいというふうに考えております。
 13ページ目、先進的核融合研究開発の観点では、BA活動が上半分に記載されております。こちらも3本柱、IFMIF/EVEDA、IFERC、サテライト・トカマク計画、いわゆるJT-60SAで構成されております。こちらも今年度予算としてはほぼ変わりませんが、補正予算額において必要な額を計上し、可能な限り前倒しで進めていきたいということで取り組んでいます。また、特に来年の政府予算案において拡充した部分としては、左下にございます原型炉実現に向けた基盤整備の部分になります。こちらにつきましては、QST等の体制を強化し、技術開発を実施する体制を整えるというような部分、また、大学間連携、国際連携による体系的な人材育成を構築するというところをうたっております。この後、この内容について簡単に御報告したいと思います。
 原型炉実現に向けた基盤整備については、この委員会において、「核融合エネルギー開発の推進に向けた人材育成・確保について」の議論も踏まえ、大学共同利用機関であるNIFSを中核機関として、共同研究ネットワークや各国との協力事業の枠組みなども活用し、大学間連携による総合的な教育システムを構築するということで議論を重ねてまいりました。あわせて、QSTなどとも連携し、ITER、JT-60SAを活用した人材育成を実施するという方針がうたわれ、実際に閣議決定においても、ここに記載のとおり、大学間連携・国際連携による体系的な人材育成システムを構築するということとしております。
 実際今回、我々としては、14ページ目のような形でまとめております。まず大学間連携・国際連携による人材育成に関しては、既に様々なネットワーク、ITER機構やローレンス・
リバモア国立研究所、その他海外の大学などとの協定等に基づき、若手研究者、企業従事者、学生の派遣を強化していきたいと思っております。また、ITER機構との連携による人材育成にも、これまで以上に後押ししていきたいと思います。
 特に、この後、吉田委員から御報告があると思いますが、ITER International Schoolの観点では、昨年12月に名古屋で開催し、日本から、また海外から、合わせて200名を集めてインターナショナルスクールを開催しております。こちらについては我々も様々な場で宣伝をしてまいりましたが、想定以上の募集があり、残念ながら倍率をもって参加者を絞らなくてはいけなかったというところがあります。逆に、今回の経験を生かして今後もこういった取組を進めていきたいということで、このインターナショナルスクール自体は毎年、各極とフランスで交互に開催することが予定されています。来年度はフランス、その次はインド、またフランスという順番になりますが、他の極に確認したところ、例えばアメリカであれば、毎年このスクールにおいては二、三十人をセレクションして派遣をしているという話を伺いました。これまで日本においては、各学生・研究者が独自に申請をし、場合によっては自前で参加していたところ、来年度以降は予算措置をすることによって、こういった方々20人程度送り込むというようなことを恒常的にやっていきたいというふうに考えております。
 また、右側、JT-60SA International Fusion School、こちらにつきましては昨年度から開催しています。こちらについても来年度以降、恒常的に日本から10名、欧州から10名、これはもしかすると拡大するかもしれませんが、継続的に行っていきたいと思いますし、また一番下、より多くの母数を増加するためのFusion Science Schoolというものも、ITER International Schoolや企業、大学、学生のニーズを踏まえた教育プログラムを構築していきたいと思いますし、学生のインターンシップなどについても補助で旅費などの支援ができないかということで、今具体化を進めているところでございます。この部分については、後ほど議題の中で御報告、議論していただければと思います。
 15ページ目、補正予算の関係です。こちらについては今年度、文部科学省として、右上にあるとおり94億円を計上しており、ITER計画については主要機器の製作の加速、BA活動においてはJT-60SAの令和7年度の加熱運転開始に向けて、本体機器の整備を早期に進めるための措置をしております。また、原型炉基盤整備においては、安全試験施設・設備の設計を早期に行うことにより、イノベーション拠点化を加速するための経費を計上しています。
 また、右上に記載してある内閣府と連携して進める取組については、前回この場でも御報告しておりますが、実規模技術開発のための試験施設・設備群の整備ということで、全てここに記載してあるものができるわけではございませんが、国際競争が激化する中、発電実証への寄与が高く、特定のユーザーの用途だけでなく、アカデミア、民間企業から幅広く活用される設備を優先して整備するということで、今年度100億円を計上しております。具体的な内容については、17ページ目に記載の設備群を整備することを予定しております。先ほど申し上げたとおり、幅広く多くの方に使ってもらいたいということを我々目指しておりますので、この後もしよろしければ、関わる研究所の所長の皆様、吉田委員、兒玉委員、石田委員などからも補足の説明をいただければと思っております。ヘリカル型、NIFSにおいてはプラズマ反応の解明に必要となる試験設備群、大阪大学レーザー科学研究所(以下、レーザー研)においては燃焼の効率化に必要となる供用可能な試験設備群、また、QSTにおいてはブランケットの熱負荷試験、耐久性の確認などの設備を今回導入したいと思っております。
 18ページ目、ムーンショット型研究制度についても前回御報告した内容と同じになりますが、唯一、右側にあるキックオフシンポジウムのことだけ宣伝させていただければと思います。10月に採択結果、3名を公表しておりますが、来週14日にキックオフのシンポジウムを行う予定になっております。こちらにおいては、今回採択されたPMの3名の方から、どういったプロジェクトで推進していくのかというような御紹介が予定されております。オンラインでの参加も可能でありますので、ぜひ関心がある方は御参加いただければと思います。また、当日私も参加させていただく予定ですが、その際には、第2回公募に向けての期待ということで、前回述べている内容を申し上げたいと思います。
 特に19ページ目の下側、第2回公募に向けては、実証に向けた技術の統合ということで、発電実証の達成や、多様な社会実装に向けた用途の実証、またマイルストーンの設定、3番目として国研との連携を掲げています。この国研との連携については、今御説明した部分、そこに沿って、国立研究所などに整備された設備を最大限活用してチャレンジをしていただきたいというところで、研究開発費に加え、共用施設・設備群の使用料、共同研究費も併せて措置していきたいと思いますし、ゼロから設備を造るのではなく、そういった設備を最大限、既存のものを利用するということで効率化を図っていきたいと思っております。
 実際今年度、ムーンショット1期目の公募を行いましたが、今回PIではなくPMを公募したところでありますが、やはりチャレンジングな研究に対して、研究者、特に分野が異なる方々のチャレンジはなかなかハードルが高かったというような声を伺いましたし、また申請内容を見ても、難しいような計画申請も見受けられたところであります。今回、21ページ目でシェルパと右下に記載しておりますが、国研等というところで、我々期待しているのはQSTやNIFS、レーザー研、そういったところが道先案内人のような形でPMの方々に対して様々な支援をすることによって、こういったチャレンジングな目標を実現していきたいというところです。その過程においては、ベースキャンプのように記載しておりますが、発電実証というところもその過程においてはできる限り世界に先駆けて実証できるような取組ということを通過点とし、最終的には山の頂上にあるような多様な社会実装、ベースロード電源、そういったところに結びつけていきたいというふうに考えているところでございます。こちらについては国家戦略の改定を見据えながら議論をさらに具体化し、JSTにおいても様々な方との意見交換を実施する予定と聞いておりますので、正式な案内などを注視いただければと思っております。
 最後、国家戦略の改定に向けた議論の状況を簡単に御報告したいと思います。
 23ページ目については現在、内閣府の核融合戦略有識者会議で議論が重ねられております。先週開催された有識者会議においては、左上の1本目の柱、産業育成戦略について特に議論が行われ、産業協議会(J-Fusion)の状況や、科学的に合理的で国際協調した安全確保の基本的な考え方の策定に向けた議論などが行われています。また2月には、右側のフュージョンテクノロジーの開発戦略ということで、本委員会にも関わる原型炉実現に向けた基盤整備や、官民の研究開発力の強化、ITER/BA活動を通じたコア技術の獲得などの議論も予定されております。本委員会、また原型炉開発総合戦略タスクフォースの議論も、こちら内閣府の会議へ検討状況についてしっかりと御報告させていただいた上で、今後予定されている国家戦略の改定にもしっかり位置づけたいと考えているところございます。
 事務局からの説明は以上になります。
【上田主査】  ありがとうございました。
 ただいまの説明の中で、実証試験施設及び設備群について少し御説明いただきましたけども、もう少し補足説明を、できましたらそれぞれの担当の機関の先生からお願いしたいと考えております。
 すみませんが、まずNIFS、吉田委員、少し御説明いただけますか。
【吉田(善)委員】  ありがとうございます。このたび、こういった2つの施設について予算をいただき、その整備を進めることになりました。今、いろいろなスタートアップが核融合研究に参入し、いろいろな方式を提案しているところです。そういった目的あるいはルートが多様化する中で、学術として共通の課題についてしっかりした研究基盤をつくるということが、学術研究機関であるNIFSの重要な役割であると考えています。
 これらの設備はいずれも、固有の一方式、一発物の何かの研究ということではなくて、様々な方式に共通するチャレンジングな課題、そういったものを研究するものです。高温プラズマの実験基盤、それからフュージョン・ナノ計測基盤、これは材料開発を行うものでありますけれども、これらを使ったチャレンジが今後の核融合研究の中で非常に重要になってくると認識しています。これらを含めて幅広に、いろいろな共同研究を実施する施設を整備して行く計画を、NIFSは「フュージョンサイエンスヒルズ構想」という名前で呼んで推進しています。多角的にいろいろなチャレンジを、アカデミア、スタートアップが一緒になって研究開発を進めていくという構想です。先ほど馬場戦略官からご紹介しただいた16ページの図の右側であります。これをグランドプランとして、既存の設備をアップデートする、リノベートする、そういった形で求心力のある研究のコアを作ることに取り組んでいるところであります。
 そういった施設が整備されていきますので、先ほど馬場戦略官からのお話にありましたような、例えばムーンショット等でもこういったものをうまく利用して、国全体の取組が、それぞれが独立ではなくて、リンクして進む、そういう形になればいいと考えているところであります。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、レーザー研の兒玉委員、よろしくお願いいたします。
【兒玉委員】  ありがとうございます。レーザー研のほうは、メインに既存装置をより性能アップするということで、1つは加熱用のレーザーを本来のポテンシャル全て引き出すことによって、レーザーの集光のエネルギー密度が世界最高になると、これによって今までできなかったような物理領域が開拓できるというのが一般的にはあります。それから核融合においては、この領域に入ってくるとリアクターで実際に加熱するのとほぼ同じエネルギー密度に単位面積のところとしてはなるので、加熱機構が今までと全く変わります。ノンローカルな加熱が大きく利いてきて、かつ核融合反応粒子によるブースト加熱が期待されるということで、理論的には予測されているのですけども、まだ全く実証されておりませんので、それが実証できれば、従来考えられていたよりも7倍以上の加熱効率が期待できるということで、物理としても面白いですし、リアクターを見据えた実績としての計画においても重要な計画です。
 それから、激光XII号のほうは、今まで発振器とか、あるいは波長変換というところがずっと40年前のままだったのですけども、発振器のところを整備して、自由な波形をすることによって圧力制御が自由にできる、いわゆるユーザーフレンドリーな圧力制御ができるようにするということで、幅広くいろいろな方が使えるようになる予定です。それとともに波長変換によって、より高い圧力を発生することによって、これも核融合においては、流体の安定性を回避できる新しいターゲットデザインも出ておりますので、そういうものを世界に先駆けて実証できるということで、先鋭性と汎用性というか、いろいろと広がり、両方これでできるようになるということで、先ほど吉田所長も言われていたように、こちらもやはりムーンショットに十分対応できるような体制になるのではないかと思っております。
 以上です。
【上田主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、QSTの石田委員より御説明お願いできますか。
【石田委員】  ありがとうございます。原型炉に向けていろいろな要素技術を開発していくときに、非常に汎用性の高い、先ほど吉田委員からもお話ありましたけれども、ここで挙げているのは、1つは燃料分析、それから真ん中にあるのは原型炉に向けたブランケット、それから右にありますのは計算機資源となります。こういうものをQSTの中に設置して増力しておくことによって、産業界だけでなく、アカデミアの皆さんにもそういう施設を使っていただくというような考えで進めているところです。左にありますのは、今までトリチウムの除去システムの構築とか、ITERの調達で培ってきた技術もございますので、さらにそれを発展させるような分析設備を用意します。真ん中は、ITERのための施設で、TBM(テストブランケットモジュール)の安全実証試験を行う施設でありますけれども、そこに熱負荷の試験装置があって、それを原型炉に向けてブランケットをどうアジャストしていくかというための機器です。それから、一番右は近々、六ヶ所研にありますスパコン、これをNIFSさんと一緒に増力していくということで、ストレージのアップとか、それからスパコン能力の増力とかを見据えて、未来の情報科学にむけてそういうことを(フュージョンインフォマティックスセンター構想へ)統合するときの基盤となるような施設になりますので、それを整備させていただくということです。こういうような整備を進めることによって、原型炉を産業界、それからアカデミアと一緒に連携してやっていくという環境を整えていきたいと考えております。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございました。これらの装置がコミュニティーの中で有効に利用されて、核融合研究開発が進展することを期待いたします。よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまの一連の御説明に対しまして御意見あるいは御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 また後ほど戻って質問いただいても構いませんので、それでは、御説明いただいた皆様、ありがとうございました。
 それでは、議題の2番「原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて」に入ります。
 ITER計画の進捗状況や、2030年代の発電実証を目指すとした閣議決定を踏まえて、今後どのような原型炉研究開発ロードマップの見直しが考えられるかについて、原型炉タスクフォースにおいては、発電実証のさらなる前倒しの可能性等について議論がなされ、昨年11月の第40回核融合科学技術委員会において、同タスクフォースの坂本主査から、その議論の状況について御報告をいただいております。
 この報告の中では、原型炉の第1目標を発電実証として、後に多段階で改造する計画として、プランDの技術的実現可能性が示されたところでございます。今後、原型炉目標の見直しや、技術的課題のさらなる検討、現実的な工程表の作成などが必要との方向性を得ております。今後もその審議を進め、国家戦略の改定の議論にも結びつけていくというところで、本日は検討事項の一つである現実的な工程表のイメージについて、QSTの石田委員より御発表をいただきたいと思っております。
 それでは、石田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【石田委員】  御紹介ありがとうございます。表題のように、発電実証の前倒しに係る検討をしておりまして、それの進捗状況について御紹介します。
 2ページ目をお願いします。前倒しといいましても、もう少し前からレビューさせていただきますと、令和4年、2022年ですけれども、当時はJA DEMOと我々名づけていて、ITERよりも少し大きなサイズの原型炉というものをロードマップとともに検討、研究を進めて参りました。そこでチェック・アンド・レビューがあり、前倒しの検討をということで、当時は5年程度、その少し大きな原型炉についてどういうふうにすると前倒しできるかという検討をしまして、それをまずは第1期と第2期に分けて、第1期は比較的、中性子フルエンスの少なくなる低出力・パルス、後半第2期で定格出力・連続運転、そういうような段階的なステップを踏んだ開発をすることによって、5年程度前倒しできるのではないかという検討をしてきました。
 その後、次のポツに行きますと、2023年、その頃になりますと、各国が様々な2030年代の早期発電実証に向けた政策を打ち出してきました。我が国におきましてもフュージョンエネルギー・イノベーション戦略というものが策定され、フュージョンエネルギーによる2030年代の発電実証に向けて様々な取組が動き出したところです。それを踏まえまして原型炉タスクフォースで検討された結果が、昨年2024年11月に坂本主査から報告があり、今日も参考資料として添付されているかと思います。そういう意味で、発電実証の前倒しをやったところに、さらにさらなる前倒しというふうになっているところでございます。
 3ページ目をお願いします。そのさらなる前倒しの考え方をもう少し、原型炉タスクフォースの資料で振り返ってみますと、ITERサイズの原型炉による発電を2030年代に実証するうえでの一つの大きな条件は、ITERと同じサイズの炉心ということですが、最大の難関であったトロイダル磁場コイルとか、そういう機器を同じ規模感で設計なり製作なりできるということは、非常に大きなアドバンテージがあるというふうに考えています。それから、2023年に非常にエポックメイキングなITERの調達で、トロイダル磁場コイルが全部できたということです。それからもう一つ、JT-60SAが、インテグレーションの結果ということになりますけれども、初プラズマを迎えることができたと、そういうようなことが大きく日本の技術力をアピールすることに貢献しましたし、さらに発電実証のさらなる前倒しという考え方に自信を与えてくれたというふうに思います。
 2つ目のポツになりますけれども、ではどうやって前倒しするかというときに、かつての大きなサイズのコイルということなると、またディベロップメントに時間がかかるはずです。昔のロードマップだったらできたのですけども、それからいうと5年プラス5年で、10年近く前倒ししようということですので、そこはやはりITERサイズのコイルを使うということになります。ではそうすると、どういうアウトプットができますかというところが非常に悩ましいところですけれども、まずは正味電力がネットで、うまくいって正になるものになります。ここで、正味電力と言っているのは、実は加熱用電力とかが大きくて、核融合発電プラントでは、循環電力、つまり施設の中で使う電力が結構大きくて、電力はできているのだけども、自分たちの家で使ってしまうということで、お隣の家に電力を送るところまでいかない、いっても若干しか送れない、そういうようなことがございます。
 そういうことだけで終わってはいけなくて、次のポツに行きますと、多段階、これは最初の前倒しでも2段階にしましたけど、今回は3つの段階でやることによって、さらに前倒し、スタートを早めることができるというふうに考えていまして、機器を段階的に改良するというものです。要するにブランケットというものは交換部品です。ブランケットだけではなく関連設備もありますけれども、ブランケットは交換し、交換できない真空容器とかトロイダル磁場コイルとか、そういうものはずっと使い続けるといったように、交換可能なものについては交換することで、プラント規模の発電というものを最終的に目指していくという、段階的なステージドアプローチを取っていくというようなことを考えました。そして、最終的に商用炉に必要な新技術というところも装置に取り込みながら、後期に商用化を見込んだような性能が出るようにしていきたいと、そういうような方針で検討を進めて、前回11月に御報告したところです。
 以上のことをまとめますと次の4ページ目になりまして、一番上の帯は平成30年に策定されたロードマップでございまして、このときに原型炉に求められた目標というのは、左の四角の中に記載してあるように、数十万キロの電気出力と、実用に供し得る稼働率、それから燃料を自分でしっかりと増殖して作れるということを求めていて、かなり商業化といいますか、商用炉というのを意識したミッションになっていました。
 これをさらに前倒しするということで掲げて設定した要件が右でございまして、これまでのように目標1から3を同時に達成するのではなくて、トロイダル磁場コイルをITERサイズに小型化したことで、発電実証をめざす初期レベルでは、ここでは発電端で0.2ギガワットと記載がありますけども、正味電力ではニアリーゼロくらいのところを目指していくということとし、徐々に、段階的に主要機器、ブランケット含めて段階的にアップグレードしましょうというようなことを考えました。これを第1から第3期に分け、これも原型炉タスクフォースのレポートに書かれていますけど、第1期は発電に特化したのですね。増殖はしないのですけど発電は実証するので、発電に特化したブランケットをまずつけましょうということです。そして時間も数分間の短パルスで、出力としては正味電力ネット、ニアリーゼロというのが、まず発電実証の一番乗りをするために、それでいきましょうとしています。
 次に、今度は燃料を増殖するようなブランケットに交換しまして、そして数時間の長パルス運転ということで、増殖機能をここで実証するものです。最終的には、3期目になりますと様々な、加熱・電流駆動の効率化、入力電力を下げることによって全体の核融合増倍率というのは上げることができるので、そういうような効率化やプラズマ性能というのをもっと高めていく、高密度、高圧力にしていく、そして定常運転、そういうところを狙う、そういうことによって100メガワットくらい、正味電力が本当にプラスになり、系統系に電力供給できるぐらい、そういうような発電を実証したいというふうに考えてございます。
 右端が大体そのイメージなのですけれども、右上に原型炉タスクフォース配付資料一部改訂とあります。改訂しているのは何かというと、右の図のプラズマの部分です。点線で記載してあるのは、まずはITERと同じサイズのプラズマで第1期発電をトライしましょうとしています。そしてブランケットを交換して、発電と増殖ができるブランケットをつけるとなると、やはり厚みが必要になってきますので、若干プラズマは小さくなるということが予想されて、これがDEMOの第2期とあるように、大体このくらいのイメージで、できるだけITERのプラズマサイズに収められないかという検討をしてございます。
 それでは、5ページ目をお願いします。そのように考えたときに、発電実証というのを30年代――30年代といいますと39年までが30年代だと思いますけれども、そこに発電実証を置いたときに、原型炉タスクフォースの坂本先生の御報告にもありましたように、バックキャストに基づくロードマップの策定を、まずやってみようということで、ここに発電実証を置いたときにどういう工程があり得るかというのを、その後検討してきています。もちろんこれは最終ではなくて、途上ですけれども、左から見ていきますと、まず、どのような検討にしろ、建設するためには、それに先立って原型炉建設を担う実施主体が決まっていないといけないとか、サイト選定が終わっていないといけない、あるいは安全規制の考え方が固まってないといけないという前提はあるものの、一部は並行かもしれませんけども、そういうものが整ったときに、このようなタイムラインは現実的になるというものです。1つは、一番上の建屋ですね、複合建屋をまず造りましょうというものです。それから機器製作、トロイダル磁場コイルはITERでは15年かかりましたけど、一旦できましたので、それはかなり短縮できる可能性はあるだろうと思っています。それから設備の設計、設備の整備、そういうものを置いてみました。それから一つ、中性子照射につきましては、今まだ決まっていませんが、スペインでDONESの建設が始まりつつありますので、そことの協力をするということが国の方針でもございますので、そこと協力することによって、初期の第1期とか第2期、そういうところにはDONESの照射データを利用することができるだろうというようなことを考えた線引きになってございます。
 そしてまた、下のほうにありますのは、大きなところでは大規模な施設整備、技術開発です。特にITERで調達が終わったトロイダル磁場コイルはここには書いてないのですけれども、やはり実燃料を使うということから、燃料システムの安全試験、それからブランケットのコールド・ホット、それから保守用機器の開発、加熱装置、中性子源の照射施設、ダイバータ試験、それから炉心プラズマの開発を載せており、そういうことを進めていくために、六ヶ所研と那珂研には、右に小さくなってしまいましたけど、今の施設を増力することによって、原型炉の建設と発電実証のためのR&Dというのを並行して進めていきたいと考えています。
 大体の線引きが一番下に緑の帯で記載してありますけれども、実規模開発(建設向け)、それから実規模技術開発・製作を第1期向けにやること。それから2期向け、3期向けというような形で、先行できるものはできるだけ早めに着手をしていきたいというふうに考えていると思います。今回はまだスケジュール案というところまでは言えなくて、こういうイメージについていろいろ御意見をいただいた上で、それを技術的に落とし込むような検討をさらに進めて、できれば建設を進めていきたいというふうに考えてございます。
 以上になります。どうもありがとうございました。
【上田主査】  御説明ありがとうございました。ただいまの御説明に対しまして御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 では、吉田委員、お願いいたします。
【吉田(善)委員】  説明ありがとうございました。先ほどの馬場戦略官の御説明の中にもあった、いわゆる主路線における発電実証ということに対して、一方でムーンショットによる挑戦的なイノベーションを狙う研究が進んでいるところです。ムーンショットに関する政府の説明の中に2030年代の発電実証をマイルストーンにするということがあって、これの意味についてはムーンショットのPDとして、正確な意味をもう少し詰めていく必要があるとは思っておりますけれども、具体的な作業仮説として、2030年代の発電実証を言う場合、比較的リアリティーの高い計画としてJA-DEMOがある中で、どういうところに新しいイノベーションの戦略があるのか、特にどのタイミングであればどういう新技術が採用され得るのかというタイムラインを引いてもらいたい。ページ5に記載してあるように、最も律速になるのはTFコイルの製作でしょう。線材の調達から入ると、これにほぼ10年近い時間がかかるというのがリアルな世界だと思います。一方で、例えば超伝導におけるイノベーションが起こる、設計可能な磁場強度が変わると、炉システム全体の設計が大きく変わったりするわけです。ムーンショットで、そういったイノベーションの可能性を追求している中で、その成果をどうやって生かすことができるのか。やはり核融合は重厚長大なプロジェクトですから、いろいろな時間がかかる要素技術を統合するプロセスの中で、どういう部分に新技術を生かすことができるのかということ、そういった意味でのタイムラインを、ぜひ開かれた議論の中で示していただきたいと思います。そういう情報をコミュニティーで共有しつつ、いろいろなイノベーションに取り組んでいくことが必要だと思います。いったんスタートしたら、当初の規定路線でずっと行かないといけないという意識が、重厚長大なプロジェクトを進めるときには、実は多分にあるわけです。しかし、その中でできるだけ工夫をして、様々な要素技術のイノベーションがこの原型炉開発を先進的なものにすることが必要だと思いますので、そこのところの検討をぜひよろしくお願いしたいと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。石田委員、いかがでしょう。何かコメントございますか。
【石田委員】  貴重な御意見ありがとうございます。そのとおりでして、ムーンショットというのは、私の理解では原型炉からその先、商用炉まで見込んだとき、非常にブレイクスルーが要るだろうと、そういう技術を早めに着手して、それでイノベーションを引き起こしていこうというものです。そういう意味では、このスケジュールの例えば第3期というところとか、要するに交換部品であるブランケットというのは非常にイノベーションが必要なところになります。非常にコンパクト、薄いブランケットにして、それで発電、増殖がしっかりとできるかどうか、そういうところに入ってくる余地はもう十二分にありますし、それから超伝導コイルにつきましては、多分なかなか今から、ムーンショットでやられているような高温超伝導をここにアプライする時間があるかどうか、ちょっと見えていないところはありますが、もちろん検討はすると思うのです。そういうところ以外でも、例えば、常伝導と超伝導のつなぎ目であるカレントリードのトランジションするところに使うとか、先進的な要素技術が入り込む余地というのはいろいろなところにあるのですね。そういうところでムーンショットから出てきたアウトカムというのをいろいろなところに取り込んでいこうということは、非常にいいチャレンジだし、実際できていくのではないかなというふうに考えていますので、ぜひ今いただいたコメントを今後の検討に反映させていきたいと思います。どうもありがとうございました。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、花田委員、よろしくお願いいたします。
【花田委員】  どうも御説明ありがとうございました。非常に短縮するということに対して期待が持てるような計画になっているなというふうに感じております。
 やはり同じくこのタイムラインのところで少し気になったのが、御説明にありましたいわゆる許認可に関わる部分で、多分DONESの照射という部分がありますけども、こちらのほうは我が国で造っているものではありませんので、予定どおり建設されるかとか、遅れてしまうとか、いろいろな要素も考え得ると思うので、もしそういうことが起こったときのプランBがないと、それがそのまま遅れにつながってしまう懸念があります。認可が下りなければ造れませんので、ぜひその辺りはいろいろとお考えいただいて、万が一DONESが動かなくても次の手があるというような形の、やや重層的な構想というのをお願いしたいというふうに思います。
 それと、これは本当に見ただけのコメントなのですけど、組立て3年から発電実証まで1年しかないので、石田委員もよく御存じだと思いますけど、これはなかなか厳しいスケジュールなので、もう少しやはり余裕を持ったスケジュールにはなるのだろうなと思っています。現時点ではこういうスケジュールということで理解いたしました。どうもありがとうございました。
【上田主査】  ありがとうございました。石田委員、コメントございますでしょうか。
【石田委員】  どうもありがとうございます。まさに言われているような点というのは、これからさらに詰めていかないといけないところです。DONESの主体はスペインであり、なかなかうまくいくかどうかという見通しが見えづらいところもあり、そういうところに依存しているということになれば、やっぱりプランBがないと心配ということになってしまうのですけれども、もともとDONESのような国際協力を活用しながら、我々の中性子源施設、A-FNSという計画も進めており、もちろん今検討、つまり概念設計、工学設計、R&Dも進めていますので、そういう意味では、プランBという意味ではしっかり既に持っているわけです。そういうことで、さらにもうちょっと付け加えてしまえば、もう一つの前のページにあります。5ページに、少し小さくて分かりにくいのですけど、左の施設がいっぱいある中に中性子照射施設と記載ありますけども、これはDONESとかA-FNSとは別に、もう少し小型の、今のビームを使うのか、リチウムターゲットを使うのか、固体のトリチウムターゲットを使うのかというのは、まだいろいろなオプションがあるのですけども、そういうような手近なところで中性子源をまず施設の中に用意して、そこで要素技術として増殖がしっかりとできるかどうか検証しようというようなことは、かなり早期にやり始めたいと考えています。プランCとまでは言いませんけれども、そのように実は多重の整備計画を持っていますので、その辺は何とかいけるのではないかと思っています。DONESについての見通しにつきましては、今、日欧の政府間でいろいろ協議されているので、もし可能でしたら事務局のほうから何か補足していただけるとありがたいかなと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。事務局から何か補足ございますか。
【馬場戦略官】  事務局です。ありがとうございます。先ほど表示させていただいたDONESについては、現在DONESのステアリングコミッティーのほうでも議論が重ねられているところでございます。国としても、これまで審議会で議論してきた内容、また政府目標として発電実証を世界に先駆けて実行する上で、どういったオプションが必要になるのか、こういった政府間協議にも参画しながら判断していきたいと思います。また状況については、この委員会でも御報告させていただければと思います。ありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございます。
 それでは、お待たせして申し訳ありません。尾崎委員、よろしくお願いいたします。
【尾崎委員】  御説明ありがとうございました。1期から2期への移行計画というとこで大枠理解いたしましたが、1期から2期に向かうときに、最初はパルスで、その次に定常運転という時間の変数があり、他に強調されたのはブランケットの性能でした。もちろんそれは重要な変数だと思いますが、ほかにもたくさん変数がある中で、ブランケット以外に、キーとなるテクノロジー、イノベーションが必要な部分として、石田部門長が気にかけていらっしゃるポイントは何でしょうか。
【上田主査】  ありがとうございます。石田委員、コメントお願いいたします。
【石田委員】  どうもありがとうございます。第1期から第2期は、第2期は長パルスといって、短パルスから長パルス、それは性能を検証するために、プラントですので物がサイクルするのに時間を要しますから、ある程度長くないと検証できないということで、ブランケットは明らかにそういう検証をしないといけないことがございます。そのほかに気にするところというと、全て気になってしまって、なかなかどれかというのは言いにくいところですけれども、先ほどあった中性子照射でDONESを使うのか、ほかを使うのかというのはありますけれども、そういう照射の検証がきっちり出てきて、第2期のほうにシフトしていけるのかとか、やはり中性子レベルというのは上がってくると思いますので、そういう中性子環境が変わったときに機器がきちんと動くかどうかとか、それから、全てそうなのですけども、プラズマの加熱では自己発熱が起きてきますので、ダイバータのヒートロード、それからタングステンがもつのか、そういうところはことごとく気になるところでございます。
 ですので、まず発電実証を最初にしっかりやるというところで、短パルスでもエネルギーを中性子から水に伝えて発電するというところに特化して1期目はやるのですけど、2期目になると、定常とは言わないけども、かなり最終ゴールに近いような高性能のプラズマを作っていかないといけないということです。そのためにはプラズマ自身を改良していかないといけない、それは密度とか温度とかを高め、より高い圧力のプラズマを閉じ込める、そうすると不安定性が現れてきます。そういう状況でどれだけ安定なプラズマを作れるかというのが鍵になってくるので、それは、今現在増強工事を進めているJT-60SAを使えば、2030年とか、多分この時期になるとかなりデータが出てきていると思うので、そういうところで培ったアディショナルな制御ツールというのもあるかもしれないし、そういうものをどれだけ第2期につぎ込めるかというところがこれからの課題かなと思います。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、大野委員、よろしくお願いいたします。
【大野主査代理】  石田委員、どうもありがとうございました。非常に先進的というかアグレッシブな計画で、これで実現できるといいなと思いました。
 その上で、今、SAも始まって、本格的に多分実験が始まって、いろいろな環境が入り、BAも進展がある中で、人的リソースは、これを設計してやるのはどういう体制で行われるのかなというのがちょっと心配というか、大変かなと思いまして、そこについて何かコメントいただければと思います。
【上田主査】  石田委員、お願いいたしますます。
【石田委員】  一番の課題かもしれませんが、大体那珂研では420名ぐらい、六ヶ所研では200名ぐらいいまして、合わせても600名位ですけれども、我々の見積りとしては、昔のJA-DEMOを想定するとやっぱり千数百人位は要るだろうというふうに考えていまして、そうするとまだまだ道半ばになります。ただITERにつきましては、トロイダル磁場コイルも一段落し、これからダイバータも量産になっていきますので、実際もう始まっていますが、少しずつ人を原型炉の方にシフトしていきます。そういうことで、1つのプロジェクトに区切りがついたら、特にそれをリードできる人たちというのは次のプロジェクトの方にシフトしていっていただいて、それを牽引していただく、という想定です。
 だから総量としては、なかなかいろいろな、総量規制ではないですけども、人を増やすというのは難しいのですが、そうやって頭になる人をシフトすることによって、あとは産業界、それからアカデミア、それぞれのところとコネクションをして、そういう人たちをある種巻き込みながら大きくしていくというようなことを地道にやっていくというふうに考えています。JT-60SAについても、全て自分たちでやるのではなくて、日欧でやりますので、ヨーロッパからもかなりの人数がやって来るということになりますし、そういう意味ではいろいろな人たちの、力を借りるというわけではないですけども、一緒にやることによる相乗効果を期待しつつ、とにかくコアになるところは自分たちでしっかりやるつもりです。そして、ほかにもいろいろなところとコネクトして、J-FusionができましたからJ-Fusionもあり、NIFSや大学もあり、ヨーロッパもあり、そういうところとコネクトすることで、一見少ないように見えるのだけど、トータルで見るとかなりのボリュームになってきます。そういうことをしながら、実施主体とかそういうことが決まっていくと、おのずともう少し人の数は増えていくのかなと期待しているところです。
【大野主査代理】  分かりました。ぜひ全体の連合でやれる体制ができればと思います。よろしくお願いいたします。
【上田主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 特にないようですので、それでは、次の議題に移りたいと思います。
 次は、議題3「原型炉実現に向けた基盤整備」に入ります。原型炉実現に向けた基盤整備における人材育成及びアウトリーチを実施しているNIFSの所長の吉田委員より、今年度の実施状況及び次年度に向けた実施計画案を御報告いただきます。
 それでは、吉田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【吉田(善)委員】  人材育成
とアウトリーチ、それぞれについて、今年度の実施状況と、これからの計画ということをお話ししようと思いますけれども、両方関連していることでありますので、まず全体の基本的な考え方からお話をしたいと思います。
 フュージョンエネルギーの早期実用化ということが求められている中で、ある意味、高揚感、わくわく感というものが出てきて、それはポジティブな要因として大切であるということは確かでありますけれども、一方で現実をしっかり押さえるということが大事であって、我々専門家の役割はそこにあると考えています。わくわく、という快感原則が現実原則と乖離するというところに、精神分析は病理を見いだすのであって、同様に核融合科学技術委員会の責任は現実を客観的に分析するということで、快感原則と現実原則の整合化を図るということなのだというふうに考えています。
 その現実原則の中核は、先ほど大野委員からも話がありましたように、人材育成ということにほかなりません。すなわち、プロの人員を確保できるかということが最大の課題であり、このことについてしっかりした規模感と、それからクオリティーコントロールができたチームをつくるというビジョンが必要です。それに基づいて、フュージョンというプロジェクトに幅広い分野から人材を巻き込んでいく、このことが基盤整備の中核的な課題であると認識しています。このために、大学共同利用機関であるNIFSが中心となって、我が国が有するいわゆるポートフォリオを編さんして分析し、大学、それから研究開発機関、さらに企業など、多様なステークホルダーの幅広い協力が得られる、そういう体制を構築しようとしているところであります。
 馬場戦略官の御説明の中のページ14、それを今映っている資料の最後のページに置いています。この中の右の図ですが、人材育成のシステムはピラミッドの形に例えられるように、まず広い底辺を持って安定性があるということが求められる。また同時に、深い基礎も必要であります。横幅を広げるということは、学際化して広い分野との連携を構築して人材を巻き込んでくるということでありますけれども、同時に深さ方向の広がり、すなわち学部学生など、若い年齢層へのアプローチということも必要である、こうした縦横のアプローチを行う必要があると考えています。
 その際大事なのは、単に「構造」を作るだけではなくて、そこに血を流すと心臓というか、エンジンが必要であると考えています。その役割をFusion Science Schoolが果たしていくと考えています。このような駆動力と横展開および縦展開の3点セットの事業を計画して、今は過渡期ですので、走りながら強化するという考え方で活動を始めているところであります。
 この資料の最初のところに戻っていただきますと、最初の取組として、令和6年度にインターナショナルITERスクール2024、これをNIFSが担当して、開催をいたしました。12月9日から13日の1週間、名古屋で開催しました。ITERスクールは歴史のある行事で、各国持ち回りで実施されてきましたけれども、まさに今、核融合研究が大きく展開しようという中で、このITERスクールも異次元なものに発展させたいということで取り組みまして、199人21か国から参加があり、その半分強が日本人でした。その参加者構成ですけれども、今までの核融合アカデミアから半分強、これに他分野のアカデミア、それから企業からの参加者が多く加わって実施されたことの意義が大きかったかと考えています。このスクールにつきましては、あべ文部科学大臣からビデオメッセージをいただき、また馬場戦略官にも御出席いただいて、レセプションでスピーチをいただくことができました。それから、特に新しい試みとして、「ネットワーキング」のセッションを複数回設けまして、そこで国際的かつ学際的な交流をしてもらうということを企画しました。当初は、若い人がしっかりと話し合うかなと心配していたのですけれども、大変喜ばしいことに皆さん非常に積極的で、大いに盛り上がって、時間をオーバーするぐらいの積極的な交流がありました。そういう形で、このスクールに出席した方々がネットワークを構築して、人的なつながりを通じて、この分野の中で活躍していく、そういうきっかけを作ること、先ほど心臓の役割というふうに申しましたけれども、そういう目的が十分果たされたのではないかと考えています。
 3ページ目をお願いします。令和6年度は、このITERスクールをやるということに相当なエネルギーと資金と時間を費やしたのですけれども、それに加えて、試行段階という形でFusion Science Schoolを、少し公募期間が短くなってしまいましたけれども募集して、3件を採択して実施することとしました。それから人的交流につきましても、海外あるいは国内の研究現場に派遣して、交流を通じて人材育成をするという目的で公募を行い、これにつきましては5件の応募があり、そこから2件採択しました。これらが令和6年度の実施内容ですけれども、この経験を学習しつつ、発展させていきたいということで、4ページ目をお願いいたします。
 令和7年度に向けての実施計画ということで、文部科学省と相談しつつ、次のような形で進めていきたいと考えているところです。
 背景は、ここにございますように、核融合戦略の中で、人材育成が非常に重要であり、規模感において1,000人を超える、1,000人から2,000人規模、こういった人材を急速に育成しないといけない、これが核融合研究を進めるリアルな世界の最も中核的な課題です。それをどうやっていくかということで、先ほど説明した3点セットが必要です。横展開として、学際的な人材の交流を進めていく、ティーチング、トレーニングを行っていきます。それから縦展開という意味では、若い層に向けてはインターンシップ等を実施していく。そのためにネットワーキングで人脈をつくって、そういうところに人が流れるようにしていく、例えばJIFSに参加する動機づけをしていく、あるいはITERスクールに参加する、あるいはITERのインターンシップに参加する、そういった動機づけをしていく、この3つの事業を3点セットで進めていくことを計画しているところであります。
 5ページ目をお願いします。そのスクーリングとネットワーキングの在り方を説明します。スクーリングに参加したとき、座学で人生が変わるわけではなくて、むしろネットワーキングで人生が変わります。そういう効果を狙った事業をより一層強力に進めていきたいということで、Fusion Science Schoolを整備、拡充していきます。多くの大学の研究者の方々、それから場合によっては企業からもテーマを提案していただいて、そういったテーマにおいてネットワーキングを進めて行きます。その全体を統合し、俯瞰的な観点から効果を分析しつつ、ポートフォリオをきちんと編さんしていくという形で進めていきたいと考えているところです。
 大学間・国際連携につきましては、今まで人的交流を行ってきた実績、研究者の交流の道がありますので、その道幅を広げていくということで、派遣および招待においては、特に学生、大学院生、あるいは若手の研究者が交流できるように道幅を広げていきたいと思います。ITER国際スクールにつきましては、これに参加する日本人の20人程度に旅費・参加費の支援を行っていきます。それから、あとはQSTが実施されているJIFSへの参加を促していく、そのような事業を行っていきます。さらに、学部学生にいろいろな形で研究現場、産業の現場を体験してもらうためにインターンシップ、これも国内外を含めた国際的な枠組みで進めていきたいと考えているところであります。
 6ページ目をお願いします。このマトリックスに、対象とする人のカテゴリーに対して、実施する事業がどういうところをカバーするかというところを整理しています。こういった形で他分野、企業、そういった人も巻き込める総合的な人材育成を進めていきたいと考えております。
 7ページ目は既に馬場戦略官の御説明にありましたとおりでありまして、文部科学省でまとめられている人材育成のプランに対して、今御説明した事業によってどのくらいの人員が育成されていくのか、どのくらい広いネットワークができるのか、そういったものをKPIとしつつ、人材育成の事業を進めていきたいと考えているところであります。
 次はアウトリーチについて御説明をいたします。それでは、アウトリーチの資料をお願いいたします。
 アウトリーチにつきましても令和6年度からスタートしていますので、今年度実施した内容について御報告すると同時に、令和7年度以降の計画についても御説明したいと思います。
 2ページ目をお願いします。ここに原型炉タスクフォースでまとめられている年次計画とターゲット、どういうことをやっていくのかということを載せてあります。2023年度から、まず3年間で手法を確立する、それから2026年度から4年間をかけて国民との対話の場を構築していき、2030年から32年にかけて国民との社会的な合意を形成していく、このようなタイムラインで進めていく予定です。それからターゲットは、年齢層に応じてこのように分類し、重点的なポイントをまとめておられます。この基本的な方針に基づいて、NIFSが中心になりましてアウトリーチの事業を進めていくということが今年度から始まっております。
 3ページ目をお願いします。まず令和6年度、どのようなことを行ってきたのかという実績について、7ページほどで説明をいたします。
 まず、サイエンスコミュニケーション会社と契約を結んで、プロフェッショナルな観点からこの事業を推進して行きます。核融合分野のアウトリーチという意味では、アカデミアを通じて、それぞれの大学、NIFSも含めて、様々な長年にわたる努力があります。プラズマ・核融合学会でも様々な取組をしているところでありますけれども、さらにコミュニケーションに関するプロフェッショナルな会社と契約して、その道の観点も入れつつ事業を進めていくということで、契約を行って、具体的な活動の準備が始まったというところであります。ここにありますように、社会受容の観点で、先ほどの表のようにターゲットを整理して、ターゲットに応じてどのような対話をやっていくのがいいのかということ対話のデザインを行っています。
 3ページ目をお願いします。ウェブサイトをきっちりとデザインされたものに整備していく、それと同時に、パブリックオピニオンを調査いたします。間違った情報に基づいていろいろなことを計画推進すると大きな間違いになりますので、これについてもプロフェッショナルな人の力を借りつつ進めているところであります。
 ここに図に描いてありますように、ジョハリの窓という整理の仕方があるようです。情報の持ち手と受け手の間の態度によってどのようなやり方をするのかを整理するということであります。この中で特に、市民は知りたいけれども専門家は気にしていないようなもの、それから逆に専門家は伝えたいのだけれども市民は気にしていないこと、こういったところをまずきちんとカテゴリー化して、それぞれに適したアプローチを取っていくことが大事だということで、こういった分析を始めているところであります。
 4ページ目をお願いします。次はホームページによる対外的発信の強化、これにつきましても、ウェブサイトをプロフェッショナルな観点から整備するということで、3月末のリリースに向けて今開発中という段階であります。構築するウェブのサイトマップは右の図にあるような形で設計して、このホームページのリリースに向けて今開発が進んでいるというところであります。
 5ページ目をお願いします。実態調査に向けた検討を今から進める必要があるということで、表にありますように、調査項目を洗い出すという作業を進めているところであります。
 6ページ目をお願いします。アウトリーチイベントの開催については、今年度は「フュージョンエネルギーのある未来社会デザイン」という題目で、QSTの六ヶ所フュージョンエネルギー研究所、NIFSもセンターをそこに持っておりますので協力して、青森県で地元高校生が参加する、そういうふうなイベントを開催する予定でありまして、2月か3月の休日を候補として今検討中であります。
 7ページ目をお願いします。大学等の方々も今までいろいろなアウトリーチに取り組んでおられますけれども、そういうイベントを支援するということで、市民の方に分かりやすい、とりわけお子さんに関心を持っていただくための機材、教材を、NIFSで整備して行きます。現有のものもありますし、今後それを増強していって、こういったものを貸し出すことで、大学の取組を支援して行きます。
 8ページ目をお願いします。ホームページによる発信強化ということですが、先ほど説明した専門業者が開発しているものと並行して、NIFSのドメインに「核融合へのとびら」というポータルサイトがあります。これは核融合を説明するためのものでありますけれども、このサイトは、核融合発電という検索をすると、平均のCTRが15%を超える人気サイトでありまして、これをさらに充実したものにしていくことに取り組んでいます。こういったコンテンツを開発する人材も確保しつつ進めて行きます。
 9ページ目をお願いします。コンテンツの強化の例ですけれども、左は専門家が描いた図で、イラストレーターにこの原図を直してもらうと右のようになるというようなところで、市民の方に分かりやすいよう、こういったイラストもプロの目が入って、手が入って、分かりやすいものにするべく取り組んでいるところであります。
 10ページ目をお願いします。ここから令和7年度の計画ですが、今お話ししてきた令和6年度の計画それぞれを継続発展させていくというフェーズに入っていきます。全体をまとめたのが、この図であります。
 11ページ目をお願いします。今後の基本方針ということでまとめさせていただきますと、核融合、フュージョンエネルギーという新しい技術が社会に普及し、多くの人々がその恩恵を受けるためには、この技術の特性に関する社会の理解を高めるということが必要です。これは今までも大学の研究者、またいろいろな研究機関も地道に取り組んできたことでありますけれども、これを格段に発展させるために、コミュニケーションを専門とする会社と契約して、ワークショップ形式の対話や、ウェブサイトを利用した情報発信ということを進めていきます。そのアウトリーチの効果を評価するために、3年ごとに実態把握調査を実施して、エビデンスに基づいて計画の見直しを行いつつ進めていきたいと考えております。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして御意見、質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 大野委員、お願いいたします。
【大野主査代理】  吉田委員、ありがとうございました。
 まず人材育成のところの5ページ目ですけども、大学間連携・国際連携事業は非常にすばらしいと思って、ぜひこの規模で進めていただきたいと思ったのですけども、この国際連携というのは、既存の日米、日韓、日中とか、NIFSがやられている事業との関連は、これはどういう関連になるのでしょうか。
【吉田(善)委員】  御存じのように、
NIFSで今まで行ってきた二国間協定に基づく協力事業があるのですけど、これは基本的に研究者の共同研究です。先ほど「道幅を広げる」という言い方をしましたけれども、全く道のないところに新たな交流をつくるのではなくて、まずそこに道があって、その幅を広げていくということです。幅を広げるというのはどういう意味なのかというと、これまでも研究者交流はいろいろある中、大学院生も場合によっては加われるという形になっていますが、さらに広く、人材育成という意味では、大学院生が自分の研究、勉学の目的で交流をしていく、先生のお手伝いで行くというのではなくてと、そういうふうなものを考えています。
 さらには、これはまだ検討中なのですけれども、場合によってはスタートアップ等の企業の人も対象にしたい。企業の場合は、いろいろアカデミアほど簡単でない面ありますけれども、場合によってはそういうルートも開いていきたいですし、特に企業に関しては、インターンシップが関係してくると思います。
 ですから、今あるバイラテラルの共同研究、これも強化していく必要があると思っていますけれども、この人材育成という文脈では、道幅を広げて、新しい人たちが行き交いできるような形にしていくというプランです。
【大野主査代理】  ぜひ進めていただけると良いと思います。
 それで、その下のインターンシップについても少し質問があるのですけど、学部生に対してというのは非常にいいと思うのですが、実際、具体的に学部生にコンタクトしようとすると結構難しい問題があるかなという気がするのですけど、そういう方策は、何かここでは考えられているのでしょうか。
【吉田(善)委員】  各大学においては、これは海外から来たいという学生も含めてなのですけれども、大学においていろいろな工夫があると思います。私がいたところでも、例えば単位を認定してあげるとか工夫していました。大学はインターンシップに非常に積極的ですよね。特に夏休みなどは、いろいろインターンシップで経験してほしいということもあるわけですから。核融合分野ではこういった事業がありますよということを大学のほうでも学生に周知され、大学側でも例えば単位認定するとかいうようなことでやっていくと、これは資金援助があるわけですから、この分野での大学の教育も活発になるのではないかと期待しております。
【大野主査代理】  ぜひ情報をたくさんいただければと思います。ありがとうございました。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、栗原委員、よろしくお願いいたします。
【栗原委員】  ありがとうございます。先生のお話をお聞きしていて、組織を超えて、かつ国を超えて、こういった人材の交流ですとか研修・スクール等を組織的にやっていらっしゃるというのは大変すばらしい取組だと思います。本当に必要だと思います。
 少し気になったこととして、令和6年度の実績をお聞きしていても、それから7年度の計画をお聞きしても、企業は単にインターンシップの人たちを受け入れるというだけで出てくるのではなくて、むしろ企業の中でも今後の実装のために人を育てていかなければいけない分野だと思います。そうしたときに、決してこの枠のパイを取ってしまうということではなく、若い方にこういった機会があるということはもちろん重要なのですけれども、それに加えて、例えば企業の人を受け入れたり、あるいはこのプログラムを利用して企業も海外との交流ができたりするような、そういった企業人も育てるということを、このプログラムの中に入れていただけると良いと思います。企業も、そういう支援なら可能だと思いますので、ぜひそういった観点で、中身が拡大すると良いと思いますけれども、いかがでしょうか。
【吉田(善)委員】  ありがとうございます。
まさにその点非常に大事だと思っておりまして、具体的にはITERスクールにおきましても、非常に幅広にお声がけいたしました。いろいろな企業の方にもメールを投げて、とにかく参加してほしいと発信いたしました。なかなかこういうイベントに企業さんから人を送るのは難しいということもあったのですけれども、しかしながら、少なくとも登録していただくと今後いろいろお誘いできますからということでお願いしました。そういうアプローチに対して、実態としては「御協力いただいた」という感じでありますけれども、ポジティブに反応いただきました。
 そういった中で、今回のITERスクールが多分初めてだと思いますが、企業から25人、かなり大人数が参加されました。応募はもっと多かったのですが、競争的になる中、優秀で熱意のある方たちが参加されました。スクールでは、課題を出して、それを解いて審査して、よかったものを表彰をしたのですけども、これを企業から出席された方、AIの専門家が獲得されたと伺っています。
 そういった意味で、このスクールにおいても具体的に企業から参加いただいておりますし、関心を持っていただいていると認識しています。それから、2ページ目にありました派遣につきましても、ぜひ企業からもこの派遣のルートを活用し、オン・リサーチ・エデュケーションというような感じで現場を体験するということで、参加してほしいとお声がけをしています。
 こういう事業においては、予算の既得権を抱え込むようなことにならないよう、まさに今、企業にも機運がありますので、我々としてはしっかり予算を拡大して、道幅を広げていきたいと思います。その点については文科省にも大変御理解をいただいて、プッシュしていただいているところです。企業の方にもフュージョンに関心を持ってコミットしていただくということのために、ITERスクール、それからFusion Science Schoolに参加を呼びかけ、人脈づくり、ネットワーキングづくり、それを経て、では具体的どこにどんなものがあるのというのを知っていただいて、この分野への関心と基本的な知識を持っていただき、コミットしていただきたいと考えています。
 人材派遣に関しては、海外に人を送るとなると、やはりなかなか企業の人には敷居が高いようです。我々としてはぜひ可能性を広げたいと思っていますので、企業の方がもっとハードル低く参加できるためには、どういうふうに制度設計をしたらいいかということも御相談しながら進めようということで、今そこに着手をしているところです。スクーリング・ネットワーキングの委員会にも企業の方に入っていただいておりまして、様々な御注意とコメントをいただきながら進めているところです。
【栗原委員】  どうもありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、花田委員、よろしくお願いいたします。
【花田委員】  どうも御説明ありがとうございました。アウトリーチのところで最後の絵だったのですけども、イラストの話が少しあったと思います。こちらのイラスト、やはり私どももいろいろなところで講演や、少し核融合を説明してほしいというような依頼を結構受けるのですけども、そういったときに、やはりこういう著作権等に関わらないような絵があるとすごく説明がしやすいので、こういった作られているもの、こういうものがありますよというようなことをどこかで、私たちが使える形で公開していただけると、いろいろな形で使うことができるかなと思いましたので、ぜひそういった方向でお考えいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
【吉田(善)委員】  これはホームページですから、公開されています。当然のことですが、基本的にNIFSがこの事業で生んだ成果はパブリックドメインだと考えていただいていいと思います。講演するとかの資料を作るときに使っていただけるものになると理解していただいていいと思います。
【花田委員】  どうもありがとうございます。
【吉田(善)委員】  また、大学の人もこういった事業にしっかり関心を持ってアンテナを張っていただきたいと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。
 それでは、石田委員、よろしくお願いします。
【石田委員】  ありがとうございます。人材育成については非常に興味がありまして、というのは、QSTでもJIFSと呼んでいるJT-60SAの国際スクールとか、六ヶ所研では高校生の環境エネルギーに関するワークショップというのをやっているので、そのときにいつも悩ましいのは、いろいろな施策をやったときに、集まってくれるのですけども、それで人数とかそういうところは分かりますけれども、例えばその後個人がどういう分野に行ったのかとか、進路のトラッキングというか、要するに、こういう施策をして何が我々にとってよくなったのかという評価軸をどうしていくのか、あるいは評価指標があるのだとしたら、それはどう持っていくのか、という点です。そういう視点の下に、施策に対して、ある意味、ある時点ではこれはやめて違うのにしようとか、そういうかじ取りをするような軸とか指標、そういうものを持ってやって、特に持続性の観点で、だんだん参加者が少なくなってやめてしまうというのでは困ると思うので、持続性を維持し、あるいは発展させるためには、どういう施策が効果的であったとか、どういうことが学生さんに刺さるのか、あるいは学生さんの中から将来的に核融合分野なり関連分野に行った人がどれくらいとか、そういうような施策の効果がわかるデータを蓄積してほしいです。
 先ほど少しKPIという御発言がありましたけれども、アウトリーチのほうではそういう項目立てをされていて、それを定期的にアップデートしていって傾向をつかむというお話ありましたので、ぜひ人材育成のそれぞれのプロジェクトについても、そういう意味で傾向を把握して、どういうインプットがあると、どういうアウトプットがあって、それが長期的にはどういうふうに効果的だったのかというのを共有していただけると大変ありがたいと思います。
 以上です。
【吉田(善)委員】  よろしいですか。
【上田主査】  どうぞ。
【吉田(善)委員】  こういった予算の積み上げを行う時には、予算額の根拠が必要なので、KPIがいろいろ設定されています。それは例えば参加人数であるとか、それがどのくらい関連するイベントに波及したか、例えばJIFSに出席した人がどこでそれを知ったのか、ITERスクールかきっかけになったか、その種の調査を行っていくということです。それぞれのイベントに、共通のフォームで調査をする、参加者に対してアンケートを実施して、効果がどうであったかという分析をやっていきます。また、大学でよく実施している授業評価がありますが、教育なのでそういうことをやっていくということになると考えています。
 いずれにしても、ここにも数値目標が出ていますが、研究チームを構築するということは、それを徴兵でやるわけではなくて、自由意思で参画する人を確保するのが一番重要なポイントですので、そのことについて、いろいろなステークホルダーが協力しながら取り組んでいくということだと思っております。
【石田委員】  ありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 大体質問は出たようですが、先ほど企業の方にどのように参画していただくかとか、あるいはやはりほかの分野から、こういうアウトリーチあるいは人材育成活動がどう見えるかということについて、できれば御意見をいただきたいです。例えば電気事業の観点から御意見などをいただけるとありがたいと思っておりますが、いかがでしょう。
 大塚委員、急に振って申し訳ございませんが、その観点から何かあればコメントいただけないでしょうか。
【大塚委員】  
電気事業連合会の大塚でございます。そうですね、重要ですけど非常に難しいというか、なかなかこうすればいいという回答がない分野かなとも思っています。吉田委員からご説明いただいた内容というのはすごく分かりやすくて、こういうものの積み重ねというのが理解につながるのかなという感覚です。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございます。
 すみません、それでは、中嶋委員、何か御発言ありますでしょうか。
 また発言できるようになったら、御発言ください。
 それでは、葛西委員は全く別の視点から。どんな視点からでも結構ですが、もし一言いただけるとありがたく存じます。
【葛西委員】  ありがとうございます。私は資料4のアウトリーチの話で少しお話しさせていただきたいのですけれども、実は2年前、2023年ですので、資料4のページ2の3年間で手法を確立のところに当たるのかもしれませんけれども、このときに青森でグローバルプラズマフォーラムという国際会議がございまして、そのときの実行委員長が大野主査代理であったことから、私、青森に住んでおりまして、それで青森の市民の皆さんにも、国際会議なのですけれども、幅広い形で、プラズマとは何ぞやとか、そういった形で何かできないかというお話をいただいて、イベント司会として参加させていただいたのですね。
 青森は三内丸山遺跡というものがありまして、そちらが永年続く、火を使用した持続可能な社会ということで、現代のプラズマはこうですよということで市民の皆様が分かりやすいように、そのときは低温プラズマの名古屋大学の堀勝先生との対談でさせていただいたのですが、そのときに、子供たちにもぜひ、プラズマとは何ぞやというのを知っていただきたいということで、先ほど御紹介いただいた資料4のプラズマボールですとか、それから科学の実証のものとかを名古屋大学の先生方が持ってきてくださって、そのところの部分はNIFSの六ヶ所の横山先生がいろいろやってくださいました。やはり青森はITERを招致しているときは、非常にITERに興味があったのですが、それから隔世の感があって、子供たちが、プラズマって何という状況になっていて、プラズマボールがありますよと言ってもなかなか人が集まらなくて、商工会議所ですとかいろいろな方々に、お父さんがやっているような仕事があるので、ぜひ子供たちも来てくださいという形で参加を促して、名古屋の駅前では100人近く集まったということだったのですが、青森では十数人かな、お子さんたちが集まってくださいました。そのときプラズマボールですとかを使いながら、横で、「こういうもののプラズマが飛び出さないような防護壁、壁は六ヶ所で造っているって知っている?」 なんて言って声をかけながらすると、目がきらきらして、「青森ってすごいじゃん。」と言いながら子供たち、非常に裾野を広げていたのですね。
 なので、国民対話という意味では、まずそういった国際会議とか、何か小さなイベントのときにでも、先生方が少し時間を取っていただければ幅広く広がるのかなという、その手法も考えていただきたいなと思いますし、それから、人材をそこから育てるというのはなかなか大変なので、あの子供たちのきらきらした目を見ていますと、ああいうところから高校、大学と上がっていく中で関わっていく人材が育つのではないかと思います。
 それから、先ほど大野先生からもお話があった、大学生たちにフュージョンの世界に進んでもらうにはどうしたらいいか、後押しをするのはどうしたらいいかという御質問があったと思うのですが、その辺りも今非常に追い風が吹いているので、大学1年生、2年生の方々が、自分たちの英知とかで、さらにこのようなものを開発できるように、自分たちが生きている間に形にできるような未来のエネルギーに携われるのではないかというような、動機づけになるような授業があればいいのかなと思ったりもしています。そのときには、素人考えですけれど、スケジュールがより明確に見えてくると、僕らが生きている間にこれはできるし、僕らも何か未来のものに携わっていけるのではないかというものがあるので、やはりスケジュールがより近く見えるものというのを御提示いただければなというふうに思っております。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、いろいろな御意見いただきましたので、ぜひよりよいものに仕上げていっていただきたいと思います。吉田委員、どうもありがとうございました。
【吉田(善)委員】  ありがとうございました。
【上田主査】  それでは、議題の4「その他」に入ります。
 本議題では、核融合エネルギーフォーラムの発展的改組についての御報告をいただきたいと思います。国家戦略において、「民間企業におけるフュージョンエネルギーに関する情報交換やビジネスマッチング等を促進し、フュージョンインダストリーを育成するため、産学官の場である核融合エネルギーフォーラムを発展的に改組し、一般社団法人核融合産業協議会の設立を目指す」とされたことを踏まえて、核融合エネルギーフォーラムにおいてはワーキンググループが設置され、検討が重ねられてきました。
 本日は、核融合エネルギーフォーラムの事務局を担っていたQSTから、その発展的改組の状況について御説明をいただきたいと思います。これはQST経営企画部第3研究企画室の大山室長より御説明をよろしくお願い申し上げます。
【大山TF委員】  核融合エネルギーフォーラム事務局の大山でございます。核融合エネルギーフォーラムの状況について説明させていただきます。
 1ページ目をお願いいたします。核融合エネルギーフォーラムは、大学、研究機関、産業界などの研究者・技術者並びに各界の有識者などの参加を広く求め、核融合エネルギー実現に向けた研究・技術開発の促進・支援などを協力して実施することを目的とした任意団体として、2002年5月1日に設立しました。事務局はQSTとNIFSが連携して行っております。現在の運営会議議長は、佐和隆光京都大学名誉教授でございまして、会員数は約1,500名となっております。
 これまでの主な活動について、2ポツのところでまとめております。
 ITER理事会科学技術諮問委員会への対処方針の議論や、文部科学省からの依頼に基づく検討などを行うITER・BA技術推進委員会をこれまでに68回開催しております。ITER計画やBA活動等に関し、コミュニティーでの意見交換を促進するためのITER科学技術意見交換会、こちらを9回開催しております。ITER計画やBA活動等の1年間の進捗をコミュニティー外に広く情報発信するITER/BA成果報告会、こちらは10回主催しております。プラズマ物理、シミュレーション、炉工学、実用化戦略、社会連携それぞれの各クラスターにおいて、コミュニティーの意見を集約する専門クラスター活動を実施してきております。40歳未満の若手の顕彰を目的とした吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞を2023年度までに、延べ148名の応募に対し、17名に優秀賞、37名に奨励賞を授与しております。核融合エネルギーに携わる企業と高専生、大学生、大学院生の意見交換の場をITER/BA成果報告会に合わせて用意する産業界と若者の意見交換会、こちらも開催してきました。最後は、先月刊行されました『世界が驚く技術革命「フュージョンエネルギー」』といったアウトリーチ本の執筆など、そういったアウトリーチ活動も実施してきたところでございます。
 2ページ目をお願いいたします。このような活動を行ってきた核融合エネルギーフォーラムでございますが、先ほど上田先生から御紹介ありましたとおり、核融合エネルギー開発を取り巻く状況が世界的に大きく変化しつつあることを踏まえて、核融合エネルギーフォーラムの改組について検討するワーキンググループが設置されました。フォーラム改組の具体的方針を策定するようにとの佐和議長からの諮問を受け、合計12回の検討の結果、2025年1月20日に答申がまとめられたところでございます。方針の内容を抜粋したものを下の枠内に示しております。
 1、ワーキンググループでは、核融合エネルギーフォーラムの役割をどのように継承・発展させるかを検討し、他の機関や活動との調整、及び運営会議の承認を経て、発展的改組を進めることを別表にあるとおり確認した。
 2、「核融合エネルギーフォーラム」趣意書にある理念を叶えるためには、政府をはじめとし、関係組織が互いに連携・協力して取り組んでいくことが相応しい。今後のさらなる発展のために、核融合エネルギーフォーラムという任意団体組織とその運営は2025年3月末をもって終了することを提言する。
 3、現会員への説明と移行措置として、経緯と事業継承についての文書を議長名で発出していただくことを提言する。
 4、現会員各位には、フュージョンエネルギー産業協議会やクラスター後継活動等において引き続きフュージョンエネルギーへの積極的な関与と貢献を願う。関係機関においても核融合エネルギーフォーラムの理念を尊重した取組を願う、という内容でございます。
 2025年1月22日開催のフォーラム運営会議において、本答申の取扱いについて審議した結果、同答申を受け入れることを決定した次第です。今後、フォーラム会員に向け周知メールが発出される予定となっております。
 3ページ目をお願いいたします。先ほどの提言にありましたこちらの別表、次のページにも続きますが、これがワーキンググループの答申に記載されているというものでございます。
 詳細は割愛いたしますけれども、カテゴリー1の事業につきましては、ITER計画の国内機関、BA活動の実施機関であるQSTが承継しております。また、カテゴリー2の事業のうち、プラズマ物理クラスター、シミュレーションクラスター、炉工学クラスターにつきましては、活動内容の見直しや強化を含めてQSTが承継しております。
 4ページ目をお願いいたします。カテゴリー3の事業は、プラズマ・核融合学会と原子力学会核融合工学部会へ移譲する方向で調整が進められております。カテゴリー4の事業のうち、ITER/BA成果報告会の際の意見交換会については、フュージョンエネルギー産業協議会、J-Fusionが承継しております。なお、今年度のITER/BA成果報告会については、QST主催で1月30日に開催しております。また、J-Fusion主催で企業展示並びに産業界と若者の意見交換会、これをITER/BA成果報告会と同時開催するなど、本答申に沿った活動も始まっております。
 核融合エネルギーフォーラム事務局からの説明は以上でございます。
【上田主査】  御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御発表につきまして御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、大山様、ありがとうございました。
 これにて本日の議事は終了となります。また、本日が第12期の核融合科学技術委員会の最終回となります。本日の議論に関わらず、どのような観点でも結構ですので、御発言等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、第12期の委員の皆様方、大変ありがとうございました。有益な議論ができたと思います。私が事務局あるいは核融合科学技術委員会のスタッフを代表いたしまして、深く御礼申し上げたいと思います。
 御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。それでは、これで会議を閉じたいと思います。
 
―― 了 ――

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