核融合科学技術委員会(第40回)議事録

1.日時

令和6年11月12日(火曜日)15時30分~17時30分

2.開催方法

オンライン開催

3.議題

(1) フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組
(2) 原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて
(3) 中間評価の補完的議論について(非公開)
(4)その他

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、大野哲靖主査代理、石田真一委員、植竹明人委員、大塚康介委員、尾崎弘之委員、葛西賀子委員、柏木美恵子委員、栗原美津枝委員、小磯晴代委員、兒玉了祐委員、中嶋哲也委員、花田和明委員、吉田善章委員

有識者

量子科学技術研究開発機構 白井浩室長、谷口正樹次長

文部科学省

清浦隆大臣官房審議官(研究開発局担当)、馬場大輔研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、山﨑久路課長補佐、久島鉄平核融合科学専門官、栗原研一技術参与、安原亮科学官、梶田信学術調査官

5.議事録

【上田主査】  定刻となりましたので、第40回核融合科学技術委員会を開会いたします。本日は、御多忙のところ、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 今回もオンライン形式にて開催をいたします。司会進行につきましては、全体の進行は主査の私、上田が担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、事務局より定足数及び配付資料の確認をお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございます。核融合科学専門官の久島と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
 まずは、本日の委員の御出欠でございます。本日、吉田朋子委員が途中から御参加されるとお聞きしております。欠席委員はございません。本委員会の定足数は過半数でございます。現時点で15名中14名の委員に御出席いただいてございますので、過半数を超えていて定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
 また、本日はオンライン形式による開催となってございます。御発言いただく際には画面下にございますリアクションボタンから「手を挙げる」ボタンを押してミュートを解除の上、御発言いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、本日の配付資料でございます。こちら、画面の議事次第に一覧で記載しておりますとおり、資料1から資料4、参考資料1から5となってございます。会議中はZoomの画面共有機能を使いまして、事務局より資料を表示させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【上田主査】  どうもありがとうございました。
 本委員会は、核融合科学技術委員会運営規則に基づき、非公開の議題を除いて議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 なお、後半の議題3につきましては、前回と同様、ITER機構の提案の妥当性を議論するに当たり、議事を公開することにより審議の円滑な実施に影響が生じるものと認められますので、委員会運営規則に基づき、非公開とさせていただきます。議題3になりましたら、傍聴者の方には申し訳ございませんが、御退席いただきます。よろしくお願いいたします。
 また、本日は議題2で原型炉開発総合戦略タスクフォースにおける議論の現在の状況について御報告をいただくため、坂本瑞樹同タスクフォース主査に、また、議題3の説明者・質疑応答対応者として量子科学技術研究開発機構(以下、QST)フュージョンエネルギー推進戦略室の白井浩室長及び同機構経営企画部第3研究企画室の谷口正樹次長及び文部科学省の栗原研一技術参与に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。議題の1「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組」に入りたいと思います。それでは、これは事務局より御説明をよろしくお願いいたします。
【馬場戦略官】  よろしくお願いいたします。それでは、こちら、資料1に基づきまして、国家戦略を踏まえた最近の取組について御説明したいと思います。
 本日は、特に3点、先週開催された国際連携、G7やIAEAの会合など国際連携の観点につきまして、次に先月発表したムーンショット型研究開発制度の公募につきまして、最後に前回議論もいたしました試験施設・設備群の整備について御説明したいと考えております。
 まず、2ページ目の資料につきましては、今年の2月に総合科学技術・イノベーション会議の本会議で報告した資料になりますが、一番下、今後の方針にございますとおり、我が国としてはITER、JT-60SA等で培った技術や人材を最大限活用して国際連携も活用し、原型炉に必要な基盤整備を加速することとしておりました。本日は、この国際連携の部分について、特に重点的に御報告したいと思います。
 3ページ目がフュージョンエネルギーにおける国際戦略として簡単にまとめたものになります。御案内のとおり、世界7極で取り組むITER計画及びそれを補完、支援する日欧協力のBA、幅広いアプローチ活動を推進するとともに、合わせてアメリカ、中国、韓国と学術的な共同研究、人材交流等の二国間協力を推進することとしており、今年度も各国と会合を実施しているところです。イギリスとは昨年12月に加え、先月末、10月31日に日英原子力年次対話でも議論をしているところでございます。矢印のところに記載しておりますが、G7、プーリア首脳コミュニケや日米共同声明、日欧共同プレス声明も踏まえつつ、多国間・二国間の連携を強化することとしており、本日は一番下、オレンジで多国間とくくっている部分、こちらについて簡単に御報告したいと思います。
 G7サミットの成果文書につきましては、以前も御報告していたかと思います。本年6月、イタリアで開催されたG7サミットの成果文書において、フュージョンエネルギーに関する記載が恐らく初めて盛り込まれたかと思います。フュージョンエネルギーが将来的に気候変動とエネルギー安全保障上の課題に対して永続的な解決策を提供する可能性があるとの認識を示すとともに、民間投資と公衆関与を促進し、開発と実証を加速するため、国際協調を促進するということで、G7首脳間で合意しておりました。特にコミットメントとして3点、フュージョンエネルギーに関するG7作業部会の設立を約束する。フュージョンの規制に対する一貫したアプローチに向けて取り組む。フュージョンエネルギーにおける協力を促進するため、世界フュージョン・エネルギー・グループ、World Fusion Energy Groupの創立閣僚級会議をローマで主催するというイタリアとIAEAの意思決定を歓迎する。こういったことがコミットされておりましたが、この中で1つ目のG7作業部会と3つ目のWorld Fusion Energy Groupについて御報告したいと思います。
 先週水曜日に世界フュージョン・エネルギー・グループ、World Fusion Energy Groupの創立閣僚級会議がイタリアローマで開催されております。イタリア政府とIAEAの主催で、冒頭、グロッシーIAEA事務局長等の開会挨拶の後、各国の声明が行われ、日本からは今枝文部科学副大臣より国家戦略を踏まえた最近の取組を紹介するとともに、国際連携強化の意志を表明しております。午後には研究開発、官民連携、産学連携等々に関する3つのパネルを実施しており、J-Fusion、産業協議会会長や住友商事の兵頭会長、また、バラバスキITER機構長に加え、各国の研究機関やスタートアップのCEO等が登壇しております。会合の様子については、IAEAのホームページで動画が掲載されておりますので、ぜひ御参考いただければ幸いです。
 なお、先週月曜日、11月4日にはフュージョンエネルギーに関するG7作業部会の初会合が開催されております。こちらは内閣府、文部科学省に加え、核融合科学研究所(以下、NIFS)の吉田所長等が参画し、G7として優先的に取り組むべき事項等について議論が行われております。次回G7については、イタリアの次はカナダがホスト国となりますが、日本としてはマルチ、バイ、多国間・二国間の連携を強化していきたいと考えているところでございます。
 また、この場でも何度か御紹介しているとおり、来月にはITER International Schoolが名古屋で開催されます。日本はもちろん、各国から想定以上の希望があり、人数を絞らざるを得なかったということは残念ではありますが、今回の経験も踏まえ、来年度以降も同様の取組を継続していきたいと考えております。人材育成の取組については、こちらのITER International Schoolの結果報告を含め、次回以降、改めて御報告させていただければと思っております。
 2点目はムーンショット型研究開発制度についてです。8ページ目の全体像で示すとおり、JT-60SA、ITER、原型炉からのアプローチに加え、今年度より一番下にあるとおり、ムーンショット型研究開発制度を活用し、未来社会像からのバックキャストによる挑戦的な研究開発を推進することとしております。ムーンショット型研究開発制度については、我が国初の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進する国の大型研究プログラムとして創立されており、今回、10個目の目標としてフュージョンエネルギーに関するムーンショット目標が決定しているところは、皆様、御案内のとおりかと思います。2050年までにフュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現するということを掲げております。
 今回、御報告するのは、11ページ目のプロジェクトマネージャーの公募に関してです。経緯としては、既に御報告しているとおり、9つのムーンショット目標では、全体の責任者であるプログラムディレクター、PDの下、各研究開発プロジェクトを推進するプロジェクトマネージャー、PMにより研究開発を推進してまいりました。フュージョンにつきましては、昨年12月の総合科学技術・イノベーション会議、CSTIや本会議において新たなムーンショット目標として決定しており、これまで国際ワークショップを開催するとともに、本委員会の議論も踏まえた上で、文部科学省として研究開発構想を策定しているところでございます。このたび科学技術振興機構、JSTにおいて新たなムーンショット目標についてプログラムディレクターを任命し、目標達成に向けて研究開発プロジェクトを推進するPMの公募を3月末から6月にかけて実施しておりました。47件の応募があり、書類選考、面接を経て記載の3件のテーマが採択されているところでございます。
 今回、事務局としてもどれだけの提案があるかというところについては、不安の声などが指摘されていたところではありますが、国際シンポジウムや関連学会、そういったところでの宣伝活動、説明の機会などを設けてきた結果、分野外も含めて想定以上の多くの提案がございました。結果として、倍率は10倍以上の厳しい結果とはなりましたが、12ページ目、PD、吉田委員の総評としてまとめていただいているとおり、選考に当たっては幅広い分野から10名の有識者にアドバイザーとして本委員会にも何名か御参画いただいておりますが、御協力いただいた上で多角的な視点から研究の挑戦性と確実性のバランスを慎重に評価した結果というふうに承っております。
 中段に記載ありますが、特に重視した点としては、従来の研究の延長線上にはない意欲的な挑戦であること、研究計画が緻密で筋が通っていること、実力のあるチームが提案されていること、社会実装に向けた具体的な戦略を有することを確認したと聞いているところでございます。
 なお、今回、公募の際には7件程度採択予定ということで発表しておりますが、3件にとどまったこともあり、今後、PDやJSTとも相談の上、2回目の公募を実施するということを想定しております。特に今回、採択した3件につきましては、13ページ目の推進体制の縦と横の図で言う、いわゆる一番下の革新的な要素技術、横の部分、超伝導やデジタルツインなど基盤技術、要素技術に関わる提案だったということもあるため、次回の応募の際には、縦の提案についても積極的に提案を募りたいと考えております。PMがインテグレーターとしてレイヤーを超えて技術や知見を統合することを求めるとともに、挑戦的な課題であってもマイルストーンを適切に設定するなど挑戦や統合を積極的に促していきたいと考えているところでございます。
 15ページ目は公募前の国際ワークショップで、私のほうから事務局として期待して述べているということを申し上げております。革新的な社会実装、既存の枠組みにとらわれない発想や革新的な要素技術をシステムとして統合すること。また、挑戦的な研究開発として果敢な挑戦でありつつも、明確な結論が導かれる客観性、方法論の妥当性があること。また、3として仲間を集める、世代を超えた研究開発であることから、関連人材の巻き込みや技術の蓄積・連結、国際連携の促進をすること。これらを国際ワークショップでは申し上げていたところでございます。
 第2回公募に向けましては、今後想定される国家戦略の改定も見据え、検討していきたいと思っていますが、まず、革新的な社会実装の観点から申し上げれば、実証に向けた技術の統合ということで、2030年代の発電実証の達成や小型動力源等の多様な社会実装に向けた用途の実証。また、挑戦的な研究開発をさらに促すためにマイルストーンを設定することによって、達成状況に応じて絞り込むようなやり方。また、3番目、仲間を集めるに当たっては、今回、次回の公募に当たっては、ファンディングエージェンシーと国研等との連携ということで、例えば研究開発費に加え、国研として例えばQSTやNIFS、レーザー科学研究所、そういったところの施設、設備の使用料や共同研究費も合わせて措置することで官民連携であるとか、分野間の連携、分野外の方であってもチャレンジできるような環境というところを促進していきたいと考えているところでございます。
 そこにつながる取組にもなりますが、いつも16ページ目の山の絵でも御紹介しているとおり、そういった先端的な施設や設備、技術や人材を持っているところが、この山登りに当たってはシェルパ的な役割を果たして、山登りにチームとして取り組むというようなことを促進していきたいと考えているところでございます。
 そこにつながる取組として、今回、実規模技術開発のための試験施設・設備群の整備に当たって現在検討している内容を御紹介したいと思います。19ページ目の資料については、前回、9月の委員会でも御紹介していたかと思います。現在、世界各国が大規模投資を実施し、国策として自国への技術、人材の囲い込みが加速する中、日本としても技術・人材の海外流出を防ぎ、QSTやNIFS、大学等の体制を強化し、アカデミアや民間企業を結集した技術開発を実施する体制やスタートアップ等への共用も可能とする施設・設備群を整備していきたいと考えていたところでございます。
 核融合研究については、一番下に記載しているとおり、大型の実験設備や安全面での管理が必要であるため、こういったところの研究機関が産業界に供用することでスタートアップを含めた官民の研究開発力強化にもつながると考えておりますし、また、今後の基盤整備に向けては、大型設備に加えて既にある大学等の基盤を活用するシステムを構築することで、既存の設備も含めて効率的に運用していきたいと考えているところでございます。
 今後、実証試験、設備については、以前、この委員会でも御報告があったかと思います。全てをまとめて整備ということは難しいですが、将来的な将来像を描きながら、発電実証の寄与が高く、アカデミア・民間企業から幅広く活用される設備を優先して整備していってはどうかと考えているところでございます。いずれにせよ、国家戦略を踏まえた取組について、様々な進展があるところではありますが、国際的な情勢なども大きく変化する中で、日本としても戦略的な取組ということをこの委員会の御議論も踏まえながら、進展、さらに進めていきたいと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上になります。
【上田主査】  御説明、ありがとうございました。
 ただいまの説明に対しまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。挙手ボタンを上げて示していただけると分かりやすくてありがたいです。
 尾崎委員、よろしくお願いいたします。
【尾崎委員】  御説明、ありがとうございます。15ページに戻っていただきたいのですが、第2回公募に向けてということで、ここで3ポイント挙げていただいていまして、必要な要素は全部記載いただいていると思います。ここで技術の統合とか、マイルストーンの設定ということなのですけれども、ムーンショットの研究テーマの精査といいますか、今までの基礎研究の延長のようなものもあれば、原型炉の設計に具体的に役立つようなものと大きく2つに分けられると思うのですけれども、今の国家戦略ができた時点で必要なのは、あくまでも原型炉に近づいていくという、そういったピクチャーが見えるものではないと、ここでの採択の意義が少なくなるのではないかなと、このように思います。
 内閣府の有識者委員会でも、このマイルストーンの設定ということは何度か議論しておりますけれども、原子力の案と違いまして、核融合は技術が成熟しておりませんし、仕様を決めて公募をすることができませんので、段階的に成果が出れば資金供与を増やすとか、そういったマイルストーンの設定は、この時点でぜひ本格的に考えていただきたいなと、このように思います。
 以上、意見でした。ありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございます。
 事務局から何かございますでしょうか。
【馬場戦略官】  ありがとうございます。海外の取組、こういったエマージングテクノロジーについてどう進めていくかというところに関しては、やはり難しさもある中で、様々な取組を工夫しながらやっていきたいと思っています。今回、第1回目の公募、また、この後、吉田PDからも恐らく発言があるかと思いますが、優れた提案も数多く寄せられている中で、どうそれを統合するようなPMをしっかり採択していけるかというところは重要な部分になってくるかと思います。原型炉、国がやる原型炉に加えて、民間が行うパイロットプラント、そういったところを並走というか、両立できるような取組というところを、こういったムーンショットなり、この後の議題になる原型炉の取組、そういったところをうまく全体を俯瞰しながら設定することができればと思っております。
 事務局から、以上です。
【上田主査】  吉田委員から手が挙がっております。吉田委員、よろしくお願いいたします。
【吉田(善)委員】  馬場戦略官から要点はまとめて説明いただいたので、私からは原型炉との関係をどう考えているのかということを中心に御説明いたします。ムーンショットはバックキャスト型の課題設定で取り組む、そのことによって破壊的イノベーションを生むということが期待されています。馬場戦略官の説明に八ヶ岳の絵がありましたけれども、これは作業仮説を広げるという意味です。統合型研究は、どうしてもボトルネックになる技術に妥協せざるを得なくなり、挑戦の機会が失われるということが起きるわけですけれども、作業仮説を多様化することによって、果敢なイノベーションを狙っていきます。そういう挑戦の中から、結果的にいろいろなソリューションが生まれる、そういう構図で考えています。
 中心線は、原型炉からベースロード電源への道ですが、ゲームチェンジャーになるようなアイディアを出していくことで、研究開発を加速することを狙います。同時に、今、核融合の産業化という文脈の中で、トカマクでない様々な炉形式を作業仮説にしたイノベーションへの挑戦が世界中で起きています。これが、先ほど戦略官から御説明があったローマでの会議でも主要なテーマでした。核融合のカンブリア爆発の再来というようなイメージがあるわけですけれども、それが真に新しい進化になっているのか、三、四十年前から何か変わって、どういうところにイノベーションがあるのか、こういうことを正しく見ていくということも、ムーンショットのプロジェクトを推進する上で重要なポイントだと考えています。
 そういった観点から、いろいろな提案をいただいた中で、結果的には15倍ぐらいの倍率になりました。採択に至らなかった提案が多かった原因は、ムーンショットの特徴としてパッケージで提案をしないといけないことにあります。PMは、PIを束ねたパッケージ型の提案をしなくてはなりません。数か月という短い募集期間にも拘わらず、多くの分野の方々から積極的な提案をいただいたことは、大変ありがたいと思っておりま。採択できなかった提案の中にも多くのいい要素がありました。現在、ポートフォリオの分析を進めておりまして、それに基づいて、プログラム強化のためにもう一度募集する予定です。ただし、同じ募集の仕方をするわけではなくて、うまい補助線を入れることによって、できるだけ新しい分野からの知恵が入ってくることを目指して進めていきたい、そのように考えています。
 来週、プラズマ・核融合学会においてもシンポジウムを開いて説明をする機会を設けています。プラ核学会に限らず、ほかの学会でもいろいろな意見交換会を積極的に開いており、そういった活動によって、広い分野の方々に関心を持っていただき、核融合分野の研究にコミットしていただくよう努めていきます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 ほかにございますか。私から1点だけお尋ねしたいのですけれども、G7におけるフュージョンエネルギーに関するG7作業部会を設立する。これはG7の、要するに7か国の中での会合ということかと思いますが、当然、G7以外の国も核融合に関わっていますので、そういう国を取り込むために世界フュージョン・エネルギー・グループというような枠組みを作るというふうに私には見えたのですけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。すみません、事務局からお願いします。
【馬場戦略官】  ありがとうございます。6月のG7の会合においては、我々、エネルギー・環境大臣会合であったりとか、科学技術大臣会合であったりとか、そういったところと議論をしてきました。当然ながら、まずG7として議論すべきところ、例えばここで記載している規制の部分であったりとか、社会受容性であったりとか、そういったところについては、連携できるというところを議論するとともに、IAEAなどとも連携しながら、今、上田主査がおっしゃったとおり、さらに広がりを持たせていく必要があるだろうというようなことで、今回、G7のホスト国であるイタリアとも話をした上で、こういった流れになったところです。
 この日にちがたまたまということではないのですけれども、先週、月曜日にまずG7の中で議論をして、どういった連携がG7コアとして考えられるか。さらに、それをどう拡大していくかというところで、同じ週にIAEAのこの世界フュージョン・エネルギー・グループを開催できたというところで、基本的には上田主査の御指摘のとおりの流れになっています。事務局として、国としても今後重要なのは、こういった取組を日本としても有効活用していくというところが重要だと思っておりまして、例えば前回、昨年のこの委員会の場でも御報告しましたが、規制に対する一貫したアプローチについても、内閣府の安全確保検討タスクフォースで大野主査代理なども加わっていただきながら議論していますが、アジャイル・ネーションズという枠組みの中でイギリス、カナダと既に提言などをまとめているところです。いずれにせよ、各国、それぞれ強み、弱み、ある中で、日本としては、こういったマルチの場を活用しながら取り組んでいきたいと思っているところです。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございます。
 それでは、花田委員、お願いできますでしょうか。
【花田委員】  ありがとうございます。別の観点ですけれども、最後に出てきましたイノベーション拠点の話について少しコメントさせていただきたいのですけれども、今回はイノベーション拠点については、先ほどあったような基盤となる設備群を有効活用するということで、今後、アカデミアとか民間企業等が幅広く活用するという設備を整備していく、また、今後いろいろなところに広げていくという話もありましたが、こういう設備を広げていく中で、この今回の核融合に関する整備の1つの重要な柱である人材育成といった観点もこういうところに織り込んでいくということで、より有効な活用、あるいはより優れた施設が造られるということが期待されると思われるのですけれども、今回の流れでは、そういう話はありませんでした。そういったことについて今後検討されていく、あるいは人材育成の観点から、こういった設備群を整備していくということも想定されているのかどうかお尋ねしたいと思います。
【上田主査】  これも事務局のほうからお願いできますか。
【馬場戦略官】  ありがとうございます。事務局として、まず回答して、あと場合によっては、兒玉所長なり吉田委員からも補足などしていただければありがたいかなと思います。
 今、花田委員が御指摘の趣旨は、ごもっともというか、我々としても同じ思いであります。前回、9月の会議でも記載したとおり、我々の問題意識としては、せっかく先生の大学も含めて、日本国内でいろいろな人材を育てたとしても、今のままだと各国のより魅力的な設備があるところに流れかねないというところを危惧しているところです。実際、私も中国の施設も見に行きましたし、イギリスの設備というところも注目をしているところではありますが、今現在、各国では当然、技術、人材の囲い込みということで、優秀な研究者、学生はもちろん、産業界も巻き込みながら、こういったクラスター的なものを作りつつあるというような状況になっています。
 日本としても、当然ながら、JT-60をはじめ、優れた、世界をリードする成果が出ている設備がある中で、それを適切な形でアップデートしていかないといけないですし、それをさらに分野外の方々も含めて、若い方々も活用できるようなことを作っていかないといけないというような思いであるところです。今回の設備整備というような言い方にはなっていますが、やはり長期的なそういった人材育成の視点も生かしながら取り組んでいきたいと思っておりますので、また可能であれば次回以降、先ほどのITER International Schoolなどとも合わせて体系的な人材育成の仕組みというものを考えていきたいと思っております。もし兒玉委員なり、吉田委員なり、補足などがあればよろしくお願いいたします。
【上田主査】  吉田委員、コメント、補足等ございますでしょうか。
【吉田(善)委員】  戦略官がおっしゃったとおりで、これは基盤設備の整備という形で出ていますけれども、その目的は人材を育成していく、その拠点を作ることです。カラムセンターの例も同様です。今後、核融合の研究開発を加速するためには、非常に広い分野からの人材の巻き込みが必要です。そういった中で、英国においては数年後には年間1,000人オーダーのトレーニングを行っていく、そういうことがこのカラムセンターの計画にあります。ちょうどいま示されている資料の、19ページ目の右下の図のところにあるものは、それを強く意識し、我が国のイノベーション拠点を作ろうというものです。これハード面ですが、そのハードを使って、次世代の研究者を育成していく、そのハードとソフトが最も重要なテーマです。
 少し話はずれますけれども、先ほどのG7の作業部会においても、そういった観点が重要であるということを私も指摘をしました。この作業部会等でも、とにかくインダストリアライゼーションが中心的な話題で、中でもリサーチからインダストリアライゼーションにシフトするというようなコメントがIAEAからあったので、私としては懸念を申し上げて、シフトではなく、リサーチとインダストリーがパラレルに発展していく、そういう体制を作っていく必要性を指摘しました。そのためには、リサーチのセンターというものをしっかり作って、求心力を持つということが国際的な競争の中で我が国がリーダーシップをとっていくために必要です。この基盤設備の整備の目的は人材を育成していくことにほかならないと考えております。
【上田主査】  ありがとうございます。
 兒玉委員、何かコメントございますか。
【兒玉委員】  はい。
【上田主査】  お願いします。
【兒玉委員】  私はレーダー関係なのですけれども、アメリカのほうでも拠点化、拠点整備を行うと同時というか、拠点化の本当の目的というのは、人材育成なのですね。3つ核融合関係では拠点化して、予算をつけて整備していくという形で、その中心がローレンス・リバモア国立研究所なのですけれども、もう既にリバモアでは人材育成のプログラムが走っていまして、我々にも協力をしてほしいという形で、人材育成、動ける範囲で学生を含めてやる、特にリバモアは人材育成にものすごく本音の部分で力を入れていて、若い学生とかをぜひ自分たちのところでやるスクールとか、あるいは装置、そういうものを利用して育てたいということをはっきり言っています。
 これ、恐らく核融合をやる上では、絶対不可欠な、お金以上に必要なものだということで彼らは動いているような感じがしておりますので、やはり日本も、そういう意味では拠点となるところをしっかりと整備して、そこでやはり、そこを活用して人材を育成して、当然、世界レベルでの話になりますから、世界の他の施設とも連携しつつ、グローバルなリーダーを作っていくという観点が必要ではないかと思っております。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございました。
 議題の1はこれで終わりにしたいと思います。それでは、続きまして議題の2に移りたいと思います。原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けてです。ITER計画の進捗状況も踏まえ、2030年代の発電実証を目指すとした閣議決定を踏まえて、今後どのような原型炉ロードマップの見直しが考えられるか、原型炉タスクフォースにおきましては、発電実証の更なる前倒しの可能性等について議論がなされてきました。本日は、その議論の状況について御報告いただきたいと思っております。
 それでは、この報告につきましては、原型炉タスクフォース、坂本主査よりお願いいたします。
【坂本主査】  今、御紹介にあずかりました原型炉タスクフォースの坂本でございます。本日は、原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて原型炉タスクフォースでの議論を御報告させていただきます。
 2ページ目をお願いします。7月10日に核融合科学技術委員会と原型炉タスクフォースの合同会合がありまして、そこでフュージョンエネルギーの早期実現に向けてということで、この早期実現に向けては原型炉を早期に建設することが肝要であること。第三段階核融合研究開発基本計画等、これまで原型炉に向けた方針を策定し、研究の進展や国内外の状況の変化に応じ、適宜見直しを実施すること。ITER計画の進捗状況や諸外国で掲げられている野心的な目標も踏まえ、以下の観点、この4つのチェックマークの観点に留意して原型炉に向けた方針を見直してはどうかという提言が示されました。
 3ページ目をお願いいたします。この提言を受けまして8月19日の原型炉タスクフォースにおいて、原型炉移行判断の見直しについてと発電実証の更なる前倒しの可能性について議論を行いました。ここで、原型炉設計合同特別チームで議論が進められている原型炉の第一目標を発電実証として、後に多段階で改造するという、一番下の行に書かれているプランDというものに関して、QSTの坂本宜照グループリーダーに検討状況を報告していただき、その内容を議論いたしました。
 4ページ目をお願いします。ここでその内容の抜粋が書かれておりますが、この委員会で提示した原型炉の目標、ここの1、2、3を満足するJA-DEMOというものは、ITERの1.4倍のサイズになります。そこで、こういう大きなものを最初から作るのか、もしくは運転開始時からこの委員会の目標、丸1、丸2、丸3の同時達成を目指すのではなく、0.1ギガワット、100メガワットクラス級の発電実証を原型炉の第1目標として定めることで移行判断の前倒しが可能ではないか、こういう観点を念頭に置いてITERサイズの原型炉が技術的に成立するかどうかの検討がなされました。
 また、ITERと同じサイズのトロイダル磁場コイルや真空容器にJA-DEMOで設計が進められている増殖ブランケットを導入した場合、JA-DEMOの10分の1程度の発電量が見込まれるという見通しが得られました。それで、さらにこの発電実証を前倒しするということと、平成30年に策定されたこのロードマップとの関係から、この緑色の工学設計・実規模技術開発という、この期間を大幅に短縮するということが発電実証の前倒しに効いてくるということになります。
 5ページ目をお願いいたします。そこで、このプランDの意図というものの御説明ですが、その前倒しを行うためには、先ほどの緑色の部分、実規模技術開発というものをできる限り短縮して建設に早期着手する、建設期間も短縮するということが必要であるということです。実験炉ITERの建設経験を踏まえると、ITERよりも大型化しているJA-DEMOの建設工期を短縮するのは容易ではありません。
 例えばトロイダル磁場コイルは既存の大型装置では加工できないとか、輸送できないという問題があります。原型炉の建設サイトで製作することがあるということで、工期を短縮することが難しいということで、あと令和4年原型炉タスクフォースが示した原型炉計画というのは、これは2045年に発電実証を行うということを想定してアクションプランも見直して委員会において認められました。その計画を更に前倒しするためには、トロイダル磁場コイルの製作実績があること、燃焼プラズマを見通せることからITERサイズを最大とする原型炉において、運転開発フェーズの目標を設定し、まず早期に発電を実証し、その後、段階的に機器を改良することで商用化を見据えた技術開発を行うアプローチが考えられます。
 また、早期発電実証に必要なR&Dを先行して実施して建設に着手し、ブランケットとかダイバータというような定期的に交換する炉内機器の高性能化や加熱機器の定常化・効率化に関するR&Dは建設と並行して行うことが前倒しに有効であるだろうということ、これらは社会実装に向けて原型炉計画と並行して開発すべき技術であって、民間活用も導入することで核融合機器産業や核融合発電産業への発展も見込むべきであるというようなお話がありました。
 6ページ目をお願いいたします。その原型炉計画の更なる前倒しの考え方としては、ITERサイズの原型炉によって発電を2030年代に実証しようということです。ITERと同じ炉心機器を使うことで設計やR&D、試作等を大幅に簡略化することができ、先ほどの緑色の期間をさらに短くするということにつながります。あと、ITERのトロイダル磁場コイルは日本が調達しておりますし、JT-60SAの建設など日本には優れた技術力があるということですので、原型炉の目標を達成するために必要な技術を原型炉建設と並行して行って、戦略的にR&Dを行うことで、建設に最短で着手可能であるということが示されております。
 ここで言う発電実証の目というのは、発電のために必要な電力、トロイダル磁場コイルの冷却とか、あと加熱機器の電力、それを上回る発電端出力がある、ということを発電実証と言って考えております。設備の高効率化に必要な技術開発も並行して実施することで、商用段階で正味電力を増大することが期待できるということ。多段階の運転開発期の目標を設定して、機器を段階的に改良することでプラント規模の発電を目指すことができること。建設を進めながら、建設するときに、ある技術で最後まで行くのではなくて、建設中の技術もどんどん取り込んでいくことで進めること。中性子源とか、いろいろな装置が必要ですけれども、それを1つの装置で行えるということでリソースを合理化できるであろうということ。あと、商用炉に必要な新技術をも原型炉建設に並行して開発、後期に導入することで性能を段階的に向上させることができるので、商用化への技術ギャップを最小化できるであろうことと、このような考え方でプランDというものが進められております。
 7ページ目をお願いします。あとは、発電実証というところですが、今のITERと同一サイズのトロイダル磁場コイルを想定した場合、今、ITERにはない増殖ブランケットとか、遮蔽領域というのが0.5メートルとか、0.6メートル加工しなければいけなくなるので、この右の図にあるような形で、ITERのプラズマサイズよりもDEMOのサイズが小さくなってしまうということがあります。これがJA-DEMOが想定する性能を仮定しても、発電端出力として100メガワット以下ということで、得られる正味の電力が、要するに発電実証にならないということで、正味の電力を得るための方策が検討され、増殖領域を薄くするとか、遮蔽領域を薄くするとか、それがTBRとか、絶縁材の寿命とトレードオフになるわけですが、そのようなことを検討しております。正味電力ゼロを当初目標としつつ、その後にITERやJT-60SAに加え、各種R&Dの成果も踏まえ、フュージョンエネルギーによる100メガワットクラスの発電実証を目標として定めることは十分な意義があるのではないかということに対して原型炉タスクフォースでは、この方向性に対しておおむね妥当であるという方向性を得ているところであります。
 8ページ目をお願いいたします。その多段階で開発するということが3期に分かれておりまして、第1期は発電実証、これはITERと同じ、Q=10でパルス幅400秒、ITERで使われているITERの遮蔽ブランケットと同じサイズの分だけの発電ブランケットということで、200メガワット、20万キロワットの発電端出力ができるのですが、このときは正味電力としてはほぼゼロ、要するに加熱等に使われた電力をこの発電端出力で補えるということです。ただし、このITER遮蔽ブランケットと同じサイズですので、三重水素の自己充足性の確認がここではできませんから、第2期でその燃料増殖時の実証を行うということで、JA-DEMOの増殖ブランケットを入れて三重水素の自己充足性の確認を行う想定です。
 さらに、その実証、充足性の実証を行うために第3期ではJT-60SAの進展に合わせて閉じ込め性能の改善を行い、定常運転を行って三重水素の自己充足性を実証するという段階になっております。このような計画が一例として示されていて、これからさらにいろいろと検討を進めなければいけませんが、こういうような装置の仕様が示されました。
 9ページ目をお願いいたします。そういうような原型炉特別チームの検討と原型炉タスクフォースでの議論ということで、原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けた今後の議論の方向性の案といたしまして、原型炉の早期建設の肝要性、ITER計画の進捗状況などを踏まえて発電実証の更なる前倒しの可能性について検討してまいりました。原型炉の第1目標を発電実証として、後に多段階で改造する計画案、先ほどのプランDの技術的実現可能性が示されたことを踏まえて、原型炉目標の見直しや技術課題の更なる検討、現実的な工程表の作成などが必要との方向性を得たところであります。原型炉タスクフォースでの技術の中で、さらなる検討を行う必要がある技術的課題の例として、ここに幾つかの例が示されております。例えば発電実証に伴う真空容器内の放射化・廃棄物対策、開発設計段階における遠隔保守の研究開発等々、これからまた課題を検討していく必要がありますが、方向性としては、そういうことが得られたところであります。
 また、ITER計画のベースラインの見直しによる影響は、トロイダル磁場コイルなどITERで得られた知見を活用することで軽減できるのではないかということであります。これはITERと並走して原型炉研究開発を実施することで、相補的なリアルツインの手法が取り入れられるのではないかというアイディアです。これは原型炉の発電実証を行ってまいりますと、中性子の負荷がかなり大きくなりますので、使える計測器の数は非常に限られます。その限られた計測器の中で段階的にプラズマの性能を向上させ、制御性を向上させるというときに、ITERから得られるサイエンティフィックな知見をこの原型炉の段階的な開発に用いるということが非常に有効です。ITERは50種類ぐらい計測器があります。そういう意味でのリアルツインの手法というものができるのではないかということであります。
 この原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて、ITER計画やJT-60SA以外の核融合中性子源や安全性研究・トリチウム取扱技術、ブランケット開発、人材育成や社会的受容性などについて審議を行い、バックキャストに基づくロードマップの策定や国家戦略の改訂の議論に結びつける予定であります。
 以上です。
【上田主査】  御説明、ありがとうございました。
 ただいまの説明に対しまして御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 大塚委員、よろしくお願いいたします。
【大塚委員】  電気事業連合会の大塚でございます。ご説明ありがとうございました。説明の中に含まれていたかもしれないのですけれども、一般に原型炉というのは、将来考えられる大型化に向けて、大型化に際しての技術的課題を抽出するというのが一般的には大きな目標の1つだと考えてございます。今回ITERと同じサイズとすると、そこの課題抽出ができなくて、別のところで実施するというご説明を受けたものと思っているのですけれども、今一度、少し整理してご説明していただけないでしょうか。
【坂本主査】  ありがとうございます。
【上田主査】  お願いいたします。
【坂本主査】  よろしいでしょうか。
【上田主査】  はい。
【坂本主査】  御質問、ありがとうございます。今回の発電実証の検討に関しましては、これまで御説明のあった閣議決定の2030年代発電実証を目指すというところから、バックキャストで考えていく中での検討ということをまず御理解いただきたいと思います。原型炉タスクフォースの中でもいろいろ議論がありまして、今、大塚委員の言われたように、日本の技術的優位性を確保するという意味では、今ある技術を延長していくというところよりは、さらなる技術革新が必要であるという提言もありましたので、今、委員のおっしゃったように大型化という、そういう技術開発は並行して進めていくべきであると考えております。
【上田主査】  よろしいでしょうか。
【大塚委員】  原型炉はITERと同じサイズだけれども、大型化の技術開発は並行して実施していくという、私の質問は原型炉ではない実炉でないと実証できないような技術開発もあるのではということを質問させていただいたのですけれども、そこについてはいかがでしょうか。
【坂本主査】  まず議論は原型炉タスクフォースでは、まだそこまで大型化に関する議論はしておりませんが、議論の中の趣旨としては、やはり先ほど言いましたようなJA-DEMOのようなものを造ろうと思うと、今ある既存の技術では、そこまでできないということですから、将来的に大型化というものが必要であるときは、そういう技術開発をしていくということが必要になってくると思います。また、このサイズでさらに性能、R&Dが進んで、発電端出力が上がってくれば、そういうところを使いながら、発電実証、商用に向けていくということになろうかと思います。これは個人的な意見でございます。
【大塚委員】  ご説明理解いたしました。ありがとうございます。
 以上です。
【上田主査】  それでは、続きまして尾崎委員、よろしくお願いいたします。
【尾崎委員】  このロードマップの表について教えていただきたいのですけれども、3期もしくは4期ということで、これ、全体の期間はどれぐらいを、年数ですね。どれぐらいを想定されているのかということと、もう1点、今、コスト算定するのは難しいと思いますけれども、JT-60SAを基に推測すると、どれぐらいのコストが必要なのかということを教えてください。
【坂本主査】  御質問、ありがとうございます。時期に関しましては、まだ原型炉タスクフォースで議論をしておりません。特別チームで今検討中でして、その第2期、第3期というのは、これからの議論になりますので、今すぐお答えすることは、コストも含めての段階で、お答えできる材料は持ち合わせておりません。申し訳ありません。
【尾崎委員】  第1期のスタートは2035年を想定されているわけですよね。
【坂本主査】  そうですね。2030年代。
【尾崎委員】  ええ。商用発電が2050年というふうに考えると、これは10年強ぐらいの計画をされているのではないかなというふうに想像しながら聞いていたのですけれども、今、断言するのはお立場上難しいかもしれませんが、そういう計画ですよね。
【坂本主査】  そうです。おおむねそのように思っていただいていいかなと。もともとの計画が2045年発電実証から第1期やって、第2期という2050年代ですから、それを遅れることはないと思っております。
【尾崎委員】  ありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございます。
 それでは、栗原委員、よろしくお願いいたします。
【栗原委員】  ありがとうございます。サイズについては、ITER規模ということですけれども、そのときにITERと何が違うのかというところを説明していく必要があるだろうなと思います。
 それから、2点目に2035年までに原型炉、実規模技術開発を終えるということだとすると、ITERのスケジュールに追いついてしまうのではないかと思いますので、ITERの成果の活用をどうするのかと思います。リアルツインというようなお言葉を使っていますけれども、ITERのスケジュール感と、日本で行うこの計画についての関係性は、それぞれが意義あるものである必要はあると思いますので、もう少し議論を深める必要があるのではないかと思いました。
【上田主査】  ありがとうございます。
 もっともな御意見かと思いますが、坂本主査から何かコメントはございますか。
【坂本主査】  御指摘、ありがとうございます。原型炉タスクフォースの中でもやはりITERとの関係という意見が出まして議論をいたしました。その際出てきたのがリアルツインという考え方となります。今、栗原委員の御指摘をいただいたように、これからさらに検討を進めて、いろいろな御対応をしていく必要があると思いますが、ITERとこの原型炉との違い、発電実証ができるかどうかということで、ブランケットを持ち合わせているかどうかというところは大きな違いになると思われます。
 以上です。ありがとうございます。
【上田主査】  それでは、吉田委員、お願いします。
【吉田(善)委員】  2035年前後で発電実証という大変難しい課題を検討された御苦労は想像に難くないのですけれども、原型炉開発の総合戦略タスクフォースからのご報告でありますので、ここで言う発電実証なるものを原型炉というふうに考えたときの、その出口戦略というか、後にどうつないでいくのかというビジョンが非常に重要です。原型炉開発までを、我が国では国費で行っていき、その後、いわゆる社会実装として民間産業に繋ぐことが課題になる。そこに「死の谷」があると駄目なわけです。そこのところを総合戦略として検討する必要がある。お願いする立場で気楽な意見を言っていると思われるかもしれませんが、総合戦略のタスクフォースとしては、死の谷ができないためには何がこの原型炉として必要かということが重要なのだと思います。
 この原型炉開発の成果を民間が受け取って、核融合を社会実装するために最も重要な課題はやはりコストです。発電コストの見通しをしっかり押さえながら、ここで言う原型炉開発というものが実際に社会実装につながっていくための戦略をぜひ十分検討していただきたいです。言葉遣いが適当かどうか分かりませんが、早期に発電を実証するというのは、いわば「切り込み隊」の議論なのだと思います。核融合の研究開発という非常に複合的な課題に取り組むとき、切り込み隊が成功すれば戦に勝てるという話ではなく、総合的な戦略が必要です。早期実現を目標に掲げて産業界を育成しつつ進むということは意義が大きいと考えますが、その後、どういうふうに社会実装していくのかについて、原型炉タスクフォースでは、正確な分析と戦略を立てていただきたいと思います。
【坂本主査】  ありがとうございます。承知いたしました。
【上田主査】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして花田委員、よろしくお願いいたします。
【花田委員】  坂本主査、大変な議論を取りまとめられて、大変だったと思います。最初に途中にあったロードマップというか、段階のところの図を出していただけないでしょうか。8ページ目ですね。第1期、第2期、第3期と段階的に進めていくということで、途中で少し御発言があったように、この間に生み出された新しい技術、ほかで作られる技術もあるかもしれませんが、そういったものを取り込んでいくというお話だったのですけれども、最初にあった前提として、基本的にはITERの超伝導コイルを使う、そこはもう変わらないという理解でよろしいですか。つまり、この第1期、第2期、第3期でいろいろな技術開発は取り込んでいくのだけれども、トロイダルコイルに関しては、超伝導コイルに関しては、もうそのまま使い続ける、そういう計画でこれが成立するという御判断をされているのか、それともやはり将来的にはトロイダルコイルも含めて新しい技術を取り込んでいって交換していくということも考えているということなのか。この辺りのシナリオの流れを見ていると、どういうところで取り込む余地があるのかというところが分からなかったので教えていただきたいと思います。
【坂本主査】  よろしいでしょうか。
【上田主査】  はい。坂本主査、お願いいたします。
【坂本主査】  花田委員、御指摘、ありがとうございます。まず、トロイダル磁場コイルに関しましては、第1期の段階の前の段階で、今あるITERと同じコイルを作るというのが保守的な考え方として1つあるのですけれども、特別チームでは強磁場化オプションということも検討しておりまして、電磁力に耐えられる高強度化とか、素線の電磁密度を上げるという検討もしておりますので、それによって磁場が上げられるということも検討しています。ですから、ITERと全く同じというわけではなくて、今、ITERが造られたときからこれまでに開発されてきたものも取り込んで、よりよい線材、素材を使って行うというオプションを今検討しております。
 また、この第1期におきましては、ITER遮蔽ブランケットと同じサイズの発電ブランケットでトリチウムの増殖のことは考えていない段階になっておりますけれども、この燃料生産オプションということも考えていて、この段階でTBRが0.84ぐらいの、そういうような増殖、このサイズでできるものということも考えながら、最大限にこの段階的に進めるものを生かしていくということが、特別チームで今考えておりますので、第2期、第3期になってくると、さらにR&D、いろいろ進んでくるので、そこまでは盛り込めておりませんが、第1期の段階でもITERからこれまでの時間の間にできたものを盛り込んでいく、そういうような、よりよいものを造るという検討は進められております。
【花田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【上田主査】  ぜひ高磁場オプションはオプションではなくて、もうそれを第一路線という形で進めていただいて、ITERより魅力のある装置を造っていっていただきたいなと思います。それで、先ほど吉田委員が言われたように、やはり商用炉に対して、できるだけスムーズにつながっていけるような、少し、革新的な部分も早めに私は取り込んでいただけたらなとは思っております。申し訳ございません、私の意見でした。
 それでは、柏木委員、お願いできますでしょうか。
【柏木委員】  柏木です、よろしくお願いします。質問というか、この表の中で、ぜひとも原型炉タスクフォースで、もしかしたら議論されているのかもしれないのですけれども、今おっしゃったような強磁場化とか、幾つか新しい技術、あるいは今はないけれども、少しあるといい技術がどのタイミングで入ってくると、それが取り入れられるか、みたいな、第2のロードマップのようなもので、技術導入の順序などの観点が明確になると、すごいいいかなと思っていて、もしそういう議論がおありでしたら、ぜひそういうのをまとめていただきたいかなと思っております。
 なぜかというと、先ほど少しムーンショットの話が出たかと思うのですけれども、ムーンショットをやって、すばらしいなと思うのが、核融合以外の業界の方が各技術で、こんな技術、使えるのではないかといってたくさん申し込まれたというふうに思っておりますので、今まで核融合業界と接点がなかった各技術、例えば先ほど次のページでおっしゃっていた中性子源とか、トリチウムとか、安全性に関わるところで、ほかの分野からの参入の可能性があるなと感じましたので、原型炉タスクフォースでそういうほかの業界の技術を取り込めそうなものを明確にしていただけると、いろいろなタイミングで共同研究とか、あるいはムーンショットとか、拾い上げやすくなるのではないかなと思いましたので、よく言われている技術のマッチングの土壌になるような見せ方をしていただけると非常にいいのではないかなと思った次第です。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございます。
【坂本主査】  ありがとうございます。
【上田主査】  私も同感です。
 それでは、兒玉委員、お願いできますか。
【兒玉委員】  ありがとうございます。現時点でお答えできるのかどうか分からないのですけれども、これ、当然、日本が一国でやるということなのでしょうか。もしそうだとしたら、国際競争力、ほかのところもやはり当然、似たようなプログラムがあったりするし、あと、それから、知財戦略、そういうところはどうされるのかというのがよく分からなかったので、もし答えられる範囲で結構なのですけれども、何か一言言っていただければと思います。
【坂本主査】  ありがとうございます。今、兒玉委員からの御指摘は非常に重要な視点で、原型炉タスクフォースでもやはり今現在は日本の技術的優位性というものが非常に担保されているけれども、ITERと同じようなものということであれば、技術的な革新性が生まれず、その10年後に発電実証したときには、もうその技術が最新のものではなくなって、海外の技術のほうが進んでいるというようなことになってしまっては、日本の戦略としてどうであるかという指摘も原型炉タスクフォースでありましたので、できるだけ国産で、より技術を新しくしていくという点で、先ほど、高磁場オプションとか、新しいものを取り込みながら、国内にその技術をしっかりと維持するということが重要であるということは、原型炉タスクフォースでも議論しておりました。ですので、国内でいろいろな技術を確保して、日本の技術力の優位性を維持、高めていくということがこのロードマップの中で必要であると思われます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、この議論につきましては、ここで一旦終わりにさせていただきたいと思います。それでは、ここから非公開の議題に入ります。傍聴者の方におかれましては、大変申し訳ないのですけれども、御退室いただきますよう、よろしくお願いいたします。
(傍聴者退室)
 それでは、今日の議事はここで終わりにしたいと思います。最後に委員の方から何か御発言等、もしあればお願いしますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日の議事は、これにて終了となります。事務局から連絡事項等あれば、よろしくお願いいたします。
【久島専門官】  ありがとうございます。次回の委員会の開催でございますけれども、事務局から追って日程調整の御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の委員会はこれで閉会したいと思います。御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

電話番号:03-6734-4163