核融合科学技術委員会(第27回)議事録

1.日時

令和3年10月12日(火曜日)15時00分~17時00分

2.開催方法

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

(1)「第1回中間チェックアンドレビュー」について(報告書案の審議)
(2)令和4年度核融合関係概算要求について
(3)令和3年度核融合科学技術委員会における研究評価計画(非公開)

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、五十嵐道子委員、植竹明人委員、大野哲靖委員、尾崎弘之委員、岸本泰明委員、栗原研一委員、小磯晴代委員、兒玉了祐委員、髙本学委員、中熊哲弘委員、吉田善章委員、吉田朋子委員

原型炉開発総合戦略タスクフォース

笠田竜太主査、坂本瑞樹主査代理

文部科学省

岩渕秀樹研究開発戦略官、田村泰嗣室長補佐、川窪百合子核融合科学専門官、長壁正樹科学官、近藤正聡学術調査官

5.議事録

【上田主査】  本日は,御多忙のところ御参加いただきまして,誠にありがとうございます。定刻になりましたので,第27回核融合科学技術委員会を開催いたします。
 今回も新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにて開催したいと思います。
 それでは,議事に入る前に,事務局より定足数の確認及び配付資料の確認をよろしくお願いいたします。
【川窪専門官】  本日の委員の御出欠につきましては,栗原美津枝委員と高梨千賀子委員が御欠席です。
 本会議の定足数は,過半数,8名以上です。本日は13人の委員会委員の方々に御出席いただきますので,定足数を満たしていることを御報告いたします。
 また,今回は,原型炉開発総合戦略タスクフォースから委員会への報告事項がございますので,原型炉タスクフォースの笠田竜太主査,坂本瑞樹主査代理にも参加いただいています。
 次に,本日の配付資料についてですが,議事次第の配付資料一覧のとおりです。今回も委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てに事前にメールにて配付資料を送付しています。会議中,遠隔会議システム上では資料を表示しませんので,各自お手元で御確認いただきます。
【上田主査】  ありがとうございます。
 本委員会は,委員会運営規則に基づき,非公開の議題を除いて議事を公開いたします。御発言は,議事録に掲載され,ホームページ等で公開されます。
 本日は,議題3で予定しています「令和3年度核融合科学技術委員会における研究評価計画」については,議事を公開することにより審議の円滑な実施に影響が生じるものと認められますので,委員会運営規則に基づき非公開といたします。議題3になりましたら,傍聴者の方々には御退席いただきますので御了承ください。
 前回の核融合科学技術委員会では,委員会からタスクフォースへの付託事項として,1点目に,第1回中間チェックアンドレビュー項目とアクションプラン進捗状況との連関,2点目に,第2回中間チェックアンドレビュー(CR2)に向けた課題抽出をお願いいたしました。これら2点につきまして,原型炉タスクフォースで審議した結果を御報告いただきます。
 笠田タスクフォース主査(以降,笠田TF主査),まず1点目から御説明をお願いいたします。
【笠田TF主査】  それでは,9月27日に開催した第24回原型炉タスクフォースで審議した結果を御報告いたします。
 まず1点目の第1回中間チェックアンドレビュー目標とアクションプラン進捗状況との連関については,資料1-1,資料1-2のとおり取りまとめています。主に資料1-1を用いて説明いたしますので,こちらを御覧ください。
 資料1-1は,第1回中間チェックアンドレビュー(CR1)の目標とアクションプラン進捗状況との連関について表にまとめております。チェックアンドレビュー項目は1から7までございます。7つそれぞれについて,中間チェックアンドレビューまでの達成目標が平成29年12月の本委員会で示されています。それは7つに対して幾つかサブ項目があるものもございますが,こちらは表を御覧ください。
 これに対して,令和3年1月及び7月の原型炉タスクフォースにおいて,アクションプランに基づき,進捗状況の調査を行っています。こちらは既に委員会でも共有されている内容ですので割愛します。こちらの詳細につきましては,資料1-2の青字で書かれているページに記載されています。本年度の原型炉タスクフォース,あるいは委員会で対応が確認された項目は全て青字で書かれています。
 評価軸/視点は非常に重要であり,例えば①の「ITERによる自己加熱領域での燃焼制御の実証」に関係するところで,第1回中間チェックアンドレビューまでは,ITERの技術目標達成計画の作成ですが,評価軸/視点は,「ITERによるQ=10程度以上の(数100秒程度以上)維持と燃焼制御の実証に至るまでの研究計画が作成されているか」,「ITER支援研究の内容は検討されているか」が評価軸になります。
 これに対して,現状分析に記載されているようにITERリサーチプランが策定され,段階的な運転期間における実験内容・ステップの詳細化が図られています。そして,ITER支援研究は,JT-60SAリサーチプランに記述されているといった分析がなされています。
 これをもって,先月の原型炉タスクフォースでは,第1回中間チェックアンドレビューまでの目標の達成状況として,アクションプラン進捗状況調査結果によれば,CR1までの目標は達成されていると判断いたしました。こういったことに関しまして,本日の委員会に,7項目を報告いたしますので,御検討いただきたいと考えています。また,グレーのところについても,委員の方に御判断いただきたいと考えています。今のところ,1ページ目,②,③,全て第1回中間チェックアンドレビューまでの目標は達成されていて,次のページの④材料開発,⑤炉工学技術開発に関しても達成されていると,タスクフォースで判断しています。
 続いて,原型炉設計と社会連携の部分もアクションプランの状況調査により,CR1までの目標は達成されていると判断しています。
 以上,資料1-1のCR1とアクションプランの連関について御説明いたしました。どこか個別に細かい点等,説明が必要であれば,次の意見交換で私にご質問いただければ回答いたします。
【上田主査】  それでは,ただいまの御説明に対して御質問等ございますか。何かもう少し説明してほしいというような内容でも結構です。
 植竹委員,よろしくお願いいたします。
【植竹委員】  資料1-1の表の見方についてですが,左から3番目のカラムは,アクションプランの進捗状況に関する調査結果で,それを右隣の評価軸/視点でもって分析したものが,更にその右側の現状分析と見るのが正しいのでしょうか。
【上田主査】  笠田TF主査,お願いします。
【笠田TF主査】  まず3列目のアクションプランの進捗状況調査結果ですが,こちらは令和3年1月,7月の原型炉タスクフォースで,アクションプランの進捗状況を調査した結果を羅列しています。4列目の評価軸/視点に関しては,第1回中間チェックアンドレビューの達成目標の内容です。2列目のところに目標を書いていますが,これは総合的にシンプルに書かれているものですので,より具体的な目標を記述した内容となっています。
 それに対して現状分析の欄には,9月のタスクフォースの段階でどこまで達成されているかタスクフォースで評価した結果が記載されています。達成状況の欄には,端的に達成したかを書いています。
【植竹委員】  ありがとうございます。この現状分析の分析対象は,3列目のアクションプランの進捗状況だけではなくて,ほかの要素も分析した総合評価ということでしょうか。
【笠田TF主査】  その視点になっています。基本的に時系列で,3列目のときよりも5列目のときの方が多少進捗していますので,5列目にはその進捗も含まれています。
【植竹委員】  ありがとうございます。その上で,⑥の(1)と(2)についてお伺いします。まず(1)の全体目標の策定については,5列目によると,基本設計を作成したことをもって,第1回中間チェックアンドレビューの目標は達成されているということですね。
 (2)の概念設計の基本設計ができているかについては,5列目の発電プラントの全体像を構築したことをもって完了していて、必ずしも3列目に書いてあることをもって完了したというふうにはならないということですね。
【笠田TF主査】  はい。そうです。
【植竹委員】  分かりました。ありがとうございます。
【上田主査】  ありがとうございます。
 次に,また笠田タスクフォース主査から,2点目,第2回中間チェックアンドレビューの課題抽出について御説明を頂きますが,その後,1点目について,御質問,御意見いただいても構いませんので,次に進みます。
 第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題抽出について,笠田タスクフォース主査,よろしくお願いいたします。
【笠田TF主査】  それでは,付託事項の2点目のCR2に向けた課題抽出についてですが,こちらは技術的観点と非技術的観点に分けて説明いたします。
 前回の委員会で,栗原美津枝委員から次の御発言がございました。「2回目に向けて,従来のロードマップで考えられている概念設計のままでいいのか,それとも,次に向けて加速するということ,あるいは取組方針で書かれていたようなことがもう少し具体化すると,次が変わる,ロードマップなりアクションプランがより変わるのではないか」という御発言を頂きました。
 アメリカやイギリスにおいても最初の核融合発電の実現時期を前倒ししようという動きがあることを踏まえれば,日本における核融合発電の実現時期を加速することができるか,その可能性を検討する価値が高いと考えました。
 日本の原型炉については,QSTを事務局として産学が連携する原型炉設計合同特別チームが基本設計を行っています。そこで,核融合発電の実現時期を加速することができるか,その可能性について,初期的な検討を行っていただくようQSTにお願いしましたので,こちらは栗原研一委員から御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
【栗原(研)委員】 それでは,資料1-3について御説明いたします。これは9月27日のタスクフォースでQSTの東島委員から御説明したときの資料です。JA-DEMOの設計概念設計の基本設計が終了したということがまず1枚目でございます。これまでJA-DEMOという原型炉の基本設計をオールジャパン体制の中で進めてきましたが,まずはそれを一旦レビューするということです。
 まず今のJA-DEMOですが,これは核融合科学技術委員会で示した原型炉の目標,数十万キロワットの電気出力,実用に供し得る稼働率,そして,燃料の自己充足性などの見通しを得るために,基本概念が構築されました。
 左側に基本パラメータを書いています。発電端出力としては64万キロワットです。
 右側に概念の特徴と書いていますが,誘導電流駆動でのプラズマ電流の立ち上げ,そして,主半径が8.5メートル,核融合パワーは1.5ギガワットです。
 その下に,運転柔軟性ということで幾つか,オプションとして書いています。その幾つかのオプションの下でいろいろ設計してきたということで,下に年表を書いています。特別チームが設置されてから,概念設計の基本設計というものが一昨年できたところで,現在は概念設計の作業中です。
 その後,工学設計・実規模技術開発を行った後に,2035年の移行判断を行うことになります。このプロセスでは,原型炉開発に向けたアクションプラン,あるいは原型炉研究開発ロードマップに従って,着実に進捗しているという状況であったわけです。これが現状認識であり,今回のタスクフォースに対するミッションの前段階ではこのような状況でした。
 一方,国内外の情勢が非常に変化したということを踏まえて,原型炉の発電時期の加速,あるいは前倒しができるかについて,論点と課題という形で摘出いたしました。
 加速した発電開始時期を「いつ」と想定するかによるため,その時期をまだ確定する段階ではないですが,少し前倒しすることを現在考えています。原型炉は発電装置ですので,許認可,ライセンシングを取る必要がありますが,そういった中で必要なデータが手に入るか,あるいはその開発できる技術に制約があるかについて検討いたしました。
 下に記載したとおり,原型炉の性能を一気に上げるのではなくて,JA-DEMOの最終目標に向けて段階的に上げていくというアプローチをすることで前倒しができるのではないかということが一つのアイデアになります。
 定常運転のみならず,パルス運転を想定するというのが一つのオプションになります。そして,発電実証に重きを置くこととし,核融合出力,あるいは発電量を若干下げてもいいのではないか。そういった形での段階的なアプローチとして,三重水素増殖率(TBR)をもともと設計していた1.05から1ぐらいまで下げてもいいのではないか。それから,プラズマからの出力,中性子の出力も段階的に上げることも踏まえて,規制の申請についても段階的に進めることができるのではないか。そういったことを踏まえて,制約を解決できたものからアップデートしていくという段階的なアプローチを取ることはどうだろうかというのが一つの論点になります。
 段階的に性能を上げる場合,どのようなプロセスになるかは,議論が必要と考えています。また,必要となります許認可データ,どのぐらい照射したらどのような劣化等がするかといった材料のデータ。あるいは,開発していく様々な技術,これは増殖ブランケット,あるいはNBI加熱や様々な機器類の若干の技術的なジャンプがあるかと思います。そこに向けての加速の見通しが得られるかについては,これから検討する必要があると考えています。
 そして,こういった検討によっては,原型炉の開発に向けたアクションプランであるとか,あるいは原型炉研究開発ロードマップといったものの更新も結果的にはやっていく必要があるのではないかといったところが今回の論点と課題の抽出ということで,これらにつきましては今後の検討になるかと思います。
 【上田主査】  ありがとうございました。技術的観点について御説明いただきました。
 次に,非技術的な観点についてですが,チェックアンドレビューの項目の一つに,社会連携があります。第2回中間チェックアンドレビューまでの社会連携の達成目標は,アウトリーチ活動の推進と社会連携活動の実施とされています。こうした社会連携活動の進め方に関しても,近年の社会情勢を踏まえていくことが必要です。例えば国際情勢です。アメリカ,イギリスにおいては,核融合発電の実現時期の前倒しが検討される中で,核融合関係の企業群の組織化や立地や技術安全の問題に関する検討も開始されています。
 核融合エネルギーが国民に選択され得るエネルギー源となるには,社会との不断の対話が必要という観点から,日本でも既に関係機関の協力によりアウトリーチヘッドクォーターを設立し,活動を始めています。こうした取組を振り返り,社会連携活動のさらなる発展の方策について議論を深めていく必要があります。
 そのような観点から,岩渕戦略官に御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】  それでは,資料1-4に基づいて,御説明いたします。
 資料1-4は昨年の核融合科学技術委員会で配付した資料をそのまま引用しています。
 1ページ目に,第1回中間チェックアンドレビューに向けたヘッドクォーターのこれまでの取組がまとめられています。これまで,このヘッドクォーターを設置し,活動推進計画を策定する作業を行い,具体的な活動を既に開始しているところです。具体的な活動については,3ページをご覧ください。
 第1回中間チェックアンドレビューの目標については,先ほどの連関表のとおり,ヘッドクォーターの設置,活動推進計画の立案が目標でしたので,これは達成されています。その上で,第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題を抽出する観点で3ページを見てみます。
米国や英国の動きとして,特に核融合発電の実現に向けた議論が加速する中で,経済界における核融合関係の議論,企業群の組織化が進んでいて,米国ではフュージョン・インダストリー・アソシエーション,欧州にもフュージョン・ファウンデーションといった動きがあり,核融合関係の企業による取組が活発化しています。他方,我が国のこれまでの活動では,産業界向けのアウトリーチはあまり行われていなかったのが率直なところです。尾崎委員からもこうした活動を強化すべきという御指摘を頂き,今後の課題の一つだと考えます。
 技術安全や立地という点も,最近,米国や英国では,様々な活動がスタートしています。先週10月1日に英国政府が発表した「英国政府の核融合戦略」では,核融合発電を行う時代の安全という点について,一つの案が提示され,パブリックコメントを求めるという進捗がありました。米国,英国などの動きを見ますと,安全のような観点の活動を更に強化していくことが,第2回中間チェックアンドレビューに向けての課題の一つと認識しているところです。
 【笠田TF主査】  ありがとうございます。技術的観点,非技術的観点に関する説明を踏まえて審議した結果,タスクフォースとしては,委員会からの2つの付託事項について,次のような結論を取りまとめました。
 第1に,技術的観点についてです。核融合科学技術委員会では,従来,原型炉の目標として,21世紀中葉までの核融合エネルギーの実用化に備え,数十万キロワットを超える定常かつ安定した電気出力を実現すること等を掲げてきました。今回の第1回中間チェックアンドレビューについては,今世紀中葉を目指した達成目標とアクションプランの進捗状況結果の連関について取りまとめました。これに基づき,原型炉タスクフォースで確認した結果,第1回中間チェックアンドレビューまでの目標が達成されていると判断しました。
 他方,第2回中間チェックアンドレビューについては,幾つかの国が核融合発電の実現時期の前倒しに関する構想を発表している中,我が国においても同様の前倒しが可能なのか,議論を深め,第2回中間チェックアンドレビューで期待する達成目標自体を見直すことも検討する価値が高いと考えます。ただし,こうした検討は様々な技術的観点からの検討を伴うものであり,また,米英など他国の戦略等に関する社会情勢の見極めも必要であるため,第1回中間チェックアンドレビューの後,1~2年をかけて検討するべきではないかと考えました。
 第2に,非技術的観点についてです。アウトリーチヘッドクォーターが設立され,活動推進計画が立案されて,関係機関によって様々な取組が行われています。それらの取組を今後更に発展させていく必要があります。
 産業界については,核融合が研究のフェーズから発電のフェーズに移りゆくに従って,核融合関連の産業界の組織化などが進みつつあります。この際,これまで核融合にあまり関わりのなかった企業に対しても,核融合の持つ重要性を認識していただくことが重要です。今後,多方面の企業に関心を持ってもらえるような活動に取り組むことが重要と考えます。
 また,核融合が発電に近づくに従って,技術と安全性の関係について議論を深めていくことも重要です。これらの点は,必ずしも文部科学省傘下の審議会である核融合科学技術委員会や原型炉タスクフォースの役割に収まらない課題かもしれません。幅広い関係機関による今後の議論の深まりについても期待したいところです。
 原型炉タスクフォースでの審議の結果は以上です。
【上田主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明に対して御質問等がありましたらお願いいたします。
 髙本委員,よろしくお願いいたします。
【髙本委員】  2件コメントさせていただきます。
 1件目が技術的な観点での課題のところですが,資料1-3の3ページ目に,原型炉の発電時期の加速/前倒しの議論,課題について,発電時期を前倒しで達成するためにそろえられる許認可に必要なデータや開発できる技術に制約があるのではないかと書かれていますが,それに伴う研究開発あるいは実事業に関するコストの議論というのは非常に大事だと思いますので,その部分も是非議論の中に組み込みながら進めていただきたいと思います。
 2件目が,資料1-4ですが,カテゴリー3の8ページ目で,「各SH間の対話を繋ぐ環境の整備」について言及されています。この部分を一般向けあるいは社会全体との対話を整備するということで,カテゴリー1でやってきた結果を踏まえて,この延長線上でその内容を充実していくためには,やはりコンサル等の専門家のアシストが必要と考えますが,その点についてコメントをいただければと思います。
【上田主査】  どうもありがとうございます。
 まず1点目について,栗原研一委員からコメントをいただけますでしょうか。
【栗原(研)委員】  御質問ありがとうございます。資料1-3の3ページの一番上のところですね。許認可に必要なデータ,あるいは技術の制約のある中で前倒しを考えるにあたり,技術的な観点や,コストのような制作の難しさに伴う観点などについては,御指摘のとおりと思います。それに対応するために考えておりますのは,実はこれまでの原子炉で取ったような様々な許認可のデータも既にございますし,また,ITERで使った様々な機器の使用につきましては,例えばそのまま原型炉に適用するのか,あるいはその結果を踏まえて少し緩和できるか結果的にはより制約条件がある可能性はありますが,それに対応する対策の可能性についても,これから1~2年かけて議論していきたいと考えています。
【上田主査】  それでは,2番目は,笠田主査からお願いいたします。
【笠田TF主査】  これは非常に重要な御指摘で,異なる各レイヤーあるいは異なるエリアにいるステークホルダーとの対話をどうつくっていくかは,アクションプランで記載されています。それらのステークホルダー間をつなぐようなコミュニケーターの育成はアクションプランの中で明記されておりますので,この育成という意味は,我々が育てる部分も必要になってくると思います。やはり核融合という巨大科学,多様な分野を網羅するような科学技術に関して,きちんと対話を行える人材を育てることも必要だと思いますし,委員御指摘のとおり,こういったことを専門としている方々を巻き込んでいって,多様な分野と対話をつないでいくような仕組みも大切だと思います。
 これまでのカテゴリー1,2の活動は一方向性の核融合を知ってもらう,我々の思いを知ってもらうというところが強かったですが,カテゴリー2から3にかけては,双方向性で共につくる競争になります。核融合の価値を高める,あるいは核融合が社会に受け入れられるようなものとなるように,我々研究者側が考えることがそもそも重要かもしれませんけども,お互いが歩み寄るといった観点の活動がアクションプランに盛り込まれていることを申し上げます。
【上田主査】  ありがとうございます。髙本委員,よろしいでしょうか。
【髙本委員】  はい。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
【上田主査】  ありがとうございます。吉田善章委員,よろしくお願いします。
【吉田(善)委員】  2点あります。1点目は,資料1-1の②のところですが,評価軸として,JT-60SA研究とダイバータを含む統合シミュレーション研究が行われているかという記載があります。ここでJT-60SA研究が行われているかというのをどう読むかについて,何が研究かということはあると思います。これはまだ動いていませんが,そこをパスしたという解釈でよろしいでしょうかということが1点。
 2点目は,資料1-3の3ページ目です。少しハードルを下げることによって前倒ししようということで,幾つかの案があって,その1番目に,「定常運転のみならず,パルス運転を想定しても良い」とありますが,これはパルス運転で,タービンを回すということを想定しているのでしょうか。それは,むしろハードルが高いと思いますが,現実味があるのでしょうか。
【上田主査】  ありがとうございます。まずは栗原研一委員,御発言をお願いします。
【栗原(研)委員】  ありがとうございます。まず資料1-1の記述ですが,まだJT-60SAが動いている段階ではないものの,JT-60SA研究の中に,リサーチプランと呼ばれる実験計画の検討をしていますし,その中ではもちろんシミュレーションも入っていて,統合シミュレーションもしています。その意味では,統合シミュレーションといったものも含めた,JT-60SA研究,あるいはダイバータを含む統合シミュレーションという研究と呼んでおりますので,その範囲では,装置自体が動いている段階ではないものの,検討が行われていると考えています。
 次に,資料1-3について,何らかのハードルを下げて,少し時期の前倒しができないかという点に関して,最初の定常運転のみならず,パルス運転を想定する場合に,発電をするのかという御質問をいただきました。原型炉の基本的なミッションは,いわゆる電気出力というものが前提になりますので,パルスと言ってもそれなりの長さになりますが,必ず発電を伴っていることが,これまでの定義としての想定ですので,パルス運転であったとしても,発電することを想定しての記述になります。
 以上でございます。
【上田主査】  ありがとうございます。笠田TF主査から補足することはございますか。
【笠田TF主査】  今後この辺りの詳細を検討していくという話で出ていると認識して,検討していただきました。パルスを見て,技術的に難しいところは,炉工学的にもございますので,どの程度検討していくかという点はあります。他方,達成目標というものを考えると,パルスといえども,少なくとも所内電力は賄えるようなことを考える必要があると個人的にも思いますし,そういった話は出てきていたところです。
【上田主査】  吉田善章委員,いかがでしょうか。
【吉田(善)委員】  1番目のところ,文言の問題かもしれませんが,趣旨がそうだったかというのはやはり気になります。JT-60SA研究と書いているときに,そういう読み方でいいのかという点はあると思うので,それは少し議論があってしかるべきかと思います。
 2番目も,数十万キロワットをパルス運転で発電していることが,私にはイメージが少し湧きにくいですが,その辺は検討が十分に進んでいないとは思いますが,今後もう少し精密に詰めていくべきかと思います。第1の件と同じように,1万キロワット,パルスで発電したことでもいいと読めるということにならないように,もう少し詳細に目標を立てておく必要があると思います。
【上田主査】  ありがとうございます。笠田TF主査,お願いいたします。
【笠田TF主査】  その辺りも,我々開発側,研究者側が考えるだけでは駄目で,いろいろなステークホルダーとの対話で検討していくべき課題ですので,今まで長年かけてきたロードマップを急に変えられることではないと認識しています。
【上田主査】  ありがとうございます。最初の1点目につきましては,言葉の問題かと思います。評価軸/視点のところに書かれているのは,細かいニュアンスまできちんと伝え切れていないところがあるかもしれません。ほかの箇所で,適切に見直せるところがあれば,見直したいと思います。
続きまして,植竹委員,お願いいたします。
【植竹委員】  ありがとうございます。1つ質問と2つコメントがあります。資料1-3の御説明を頂いた上での御質問ですが,資料1-1の⑥の(1)にある「原型炉の全体目標の策定」がCR1のミッションですが,全体目標の定義はどこかに書かれていますでしょうか。これが1つ目の質問です。
【上田主査】  それでは,笠田TF主査,お願いします。
【笠田TF主査】  こちらの全体目標は,もうこれまでの核融合科学技術委員会の方で策定していただいた「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」という資料に書かれた基本概念に基づく全体目標ということになります。
【植竹委員】  基本概念というのは,数十万を超える安定した電気出力とか稼働率,自己充足性が3つの柱になっていますが,それは基本概念の必要条件ということだと思いますが,全体の目標は何ですか。
【笠田TF主査】  それは原型炉の実現ということですよね。
【植竹委員】  それはどういう原型炉を実現することが目標ですか。
【笠田TF主査】  30万キロワット,三重水素の自己充足性,定常運転というところの目標です。これは,第2回中間チェックアンドレビューに向けて,全体目標を含めて検討していくところで考えていくと思っています。
【植竹委員】  これは一番根源的な議論で,どういう原型炉,若しくは実用炉を目指して,我々は頭を突き合わせているのかについては,一番重要な目標設定だと思います。
【笠田TF主査】  はい。平成29年12月18日の「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」で示された原型炉の在り方で,当時最も開発段階に進んだトカマク方式を炉型とし,第4段階への移行条件を満足させる技術課題の達成を目標として,原型炉というものは数十万キロワットを超える定常運転を原型炉の目標とすると書かれています。
 これは完全に技術のリニアモデル展開に基づく目標設定になっており,今回,この目標が生きているので,タスクフォース,核融合科学技術委員会から付託されたその目標に対して,タスクフォースとしてはお答えしたところです。
【上田主査】  「全体」という言葉が少し引っかかるということでしょうか。
【植竹委員】  そうですね。
【上田主査】  単に「目標」と書いてあれば,もう少しわかりやすいでしょうか。
【植竹委員】  先ほどから言及している平成29年の文章の中では,基本概念という言葉がメインで使われていますが,全体目標という言葉が突然出てきています。基本概念と全体目標の関係性が十分に明記されていないところで,チェックアンドレビューのミッションが全体目標の策定とされていますので,これは新たにつくるものだと読めます。そうすると,つくった全体目標は何ですかというのが先ほどの質問です。それがアウトプットのところに書かれていればすっきりしますが,それが書かれていないと思いました。
 その上で,実務的な提案ですが,今の資料1-1の⑥の(1)と(2)の4列目のカラムの書きぶりを入れ替えた方がいいと思います。すなわち,⑥の(1)にある全体目標の策定はできたかという答えは,⑥の(2)の5列目に書いてある発電プラントの全体像を構築したというのが答えで,(2)の基本設計ができたかという問いに対する答えは,(1)の5列目の基本設計を作成したというのが答えというのが,自然な資料のつくりだと思いますので,ここは入れ替えた方がいいと思います。
 もう一つ,コメントです。この全体像,全体目標にも関わりますが,実用炉が実現するような時期というのは,再生可能エネルギーが主力電源化しているような系統だと思いますが,それに対するフレキシビリティの確保が,この2050年,ネットゼロと言われている世界の中で,どこにも言及されていないので,そういう研究もあっていいと思いました。
【上田主査】  ありがとうございます。非常に重要な御指摘かと思います。笠田TF主査からコメントいただけますか。
【笠田TF主査】  おっしゃることは私も理解できました。全体目標とあるのは,基の文書では目標とあるところですね。おっしゃるとおりで,言葉の対応が取れていませんでした。ここでは全体目標としていますが,そういった形になっております。
 (1)と(2)の部分の入替えという意味では,概念設計の基本設計の部分に対応しているのは確かに(1)の方が直接的ですが,この辺りについては,また検討させていただくということでよろしいでしょうか。
【上田主査】  そうですね。これは手順として,タスクフォースから上がってきたものですので,一度タスクフォースで御検討いただきたいと思います。
【笠田TF主査】  それでよろしいでしょうか。
【上田主査】  はい。事務局の方,それでよろしいでしょうか。
【川窪専門官】  はい。そのようにさせていただきます。
【上田主査】  ありがとうございます。
【笠田TF主査】  後半の部分は非常に重要な御指摘で,これは原型炉設計チームでも検討されていたと記憶しています。核融合が実用化するときには,再生可能エネルギーがもう完全に主力電源の一つとして普及していることを想定して,柔軟性に富んだ電源となり得るかについての検討は,専門機関とともに共同研究等も行われていたと記憶していますが,私が明確な答えを持っていないところ,栗原委員がお持ちでしたら補足していただきたいと思います。
【栗原(研)委員】  ありがとうございます。私も再生可能エネルギーが,どういう形で投入されるかといった技術的検討は承知しておりません。
【上田主査】  多分アイデアとして検討されていると思いますが,具体的なところを今ここでお示しする形までには至っていないと思います。これは非常に重要な御指摘だと思いますので,少し今後の検討課題とさせていただければと思います。御指摘ありがとうございました。
 それでは,五十嵐委員,よろしくお願いいたします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。今の点はとても重要で,これまで過去に検討されたときと,かなり社会状況も変わっていますので,技術的な点は是非検討いただきたいと思います。それに加えて,こちらのアウトリーチの方でもこういう環境への関心が更に高まっている中での核融合の位置づけを,更に分かりやすく情報発信していく必要があると感じました。
【上田主査】  ありがとうございます。是非これは御検討をお願いしたいと思います。
 笠田TF主査、お願いいたします。
【笠田TF主査】  五十嵐委員,御指摘ありがとうございます。技術的な観点と社会的な観点を今は切り分けて議論しています。技術的な観点の検討は,我々の専門ですのでできますが,社会的観点はいろいろな多様な関係者を巻き込んでいかなくては検討がなかなか難しいと思います。アウトリーチヘッドクォーターを設立してから,いろいろ我々も悩みつつやっているところです。
 他方で,最近,核融合のビジビリティが非常に上がってきていますので,これを契機に多様な方と議論して,そういった再生可能エネルギーと両立できるような核融合炉の在り方というのを技術的,社会的観点で検討していくということを第2回中間チェックアンドレビューに向けて,検討していくことが大事だと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,笠田TF主査,栗原研一委員,御丁寧な御説明ありがとうございました。
 続きまして,第1回中間チェックアンドレビューの報告書案について,岩渕戦略官から御説明をお願いします。
【岩渕戦略官】  資料の1-5を基に御説明をいたします。資料1-5は,中間チェックアンドレビュー報告書案,本日時点のものです。
 前回までの議論で,4ポツの(2)までが固まり,今日の審議内容は,4ポツの(3)CR1目標とアクションプラン進捗状況との連関です。
 最終的な第1回中間チェックアンドレビューの報告書には,資料1-1の横長連関表を添付するイメージです。
 4ポツの(3)ですが,「上記(1)(2)の結果を基に,CR1目標とアクションプラン進捗状況の連関を取りまとめた(別紙2)。これに基づき確認した結果,CR1までの目標は達成されていると判断した」という本文の案を策定しました。
 この「CR1までの目標は達成されていると判断した」という点については,基本的にCR1までの目標が達成されていないという議論ではなかったと思いますが,ここは御議論いただければと思います。
 また,本日の議論の大部分は第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題についてでした。JT-60SAの研究開始についても今後議論があるかもしれません。全体目標の中で,再生可能エネルギーがグリッドに与える影響の検討が行われれば,この点もCR2に向けた課題として大事になってきます。この点については,第1回中間チェックアンドレビューの報告書の4ページの5ポツ,CR2に向けた課題の抽出というところに書き込んでいくことだと思います。第5章,CR2に向けた課題の抽出については,今日の委員会での御議論を踏まえ,上田主査と御相談しながら,課題についての案文を作成し,次回の委員会で案文をお諮りしたいと思います。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明に対しまして,御質問等ございましたら御発言よろしくお願いいたします。髙本委員,よろしくお願いいたします。
【髙本委員】  御説明ありがとうございました。CR1の状況,おおむね順調に推移しているという全体の評価につきましては賛同いたします。ただ,その時点,その結果として,状況が停滞しないようにCR2に向けて,きちんと進捗を見ていただきたいと思います。
 特に, 4ページ目の非技術的な側面が特に重要だと感じています。もう一つは,CR2までに達成すべき目標の変更についてです。これは,どうロードマップを描いていくかによって変わると思いますが,安易な目標変更にならないようにきちんと議論しながら進めていただきたいと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。特に2番目の技術的視点に関しては,そのことを踏まえて,少し時間を頂きたいということを,笠田TF主査が述べられたと思います。
【髙本委員】  よろしくお願いします。
【上田主査】  はい。ありがとうございます。
 本件については,次回も議論の時間はあると思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,次の議題に移りたいと思います。議事2「令和4年度核融合関係概算要求について」に入ります。
 それでは,岩渕戦略官から御説明をお願いします。
【岩渕戦略官】  資料2に基づきまして御説明いたします。タイトルは,「令和4年度核融合関係概算要求の概要」です。今年の9月1日に財務省に対して要求している核融合関係の概算要求について,御説明いたします。2ページ目を御覧ください。核融合関係の予算,本年度,令和3年度は219億で編成しております。来年度,令和4年度の概算要求につきましては,314億,100億円程度の増額の要求を行っています。
 本年の要求の特徴といたしましては,背景・課題の2つ目の丸に記載のとおり,これまで国際協力という状況で核融合を進めてきましたが,昨年頃から急速に核融合エネルギー開発に関する各国独自の取組が加速していますし,核融合ベンチャーへの投資も活性化しています。こうした国際競争の様相に突入しているという時代認識の下で,我が国としても核融合発電に必要な機器の研究開発を加速し,産業競争力を強化する視点から機器開発を加速するための必要な予算を要求しています。
 ITERにおいては,超電導コイルの制作を着実に進めるとともに,2025年のファーストプラズマ以降,DTオペレーションに向けて必要になる機器,ダイバータなどの機器開発の本格化,加速を行う予算を要求しています。BA活動においては,JT-60SAにおける運転本格化,プラズマ加熱運転の実施に向けた機器整備に必要な予算を要求しています。
 併せて,核融合科学研究所における学術研究の関係についても,必要な予算を要求しています。
【上田主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明に対しまして,御質問等ございますか。
 来年度は少し大きな予算を要求しているという状況です。よろしいでしょうか。それでは,ありがとうございました。
 続きまして,議題3に移りたいと存じますが,これは非公開の議題ですので,傍聴者の方は,御退席いただきますようよろしくお願いいたします。

(以降、非公開議事)

お問合せ先

研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

川窪、鈴木
電話番号:03-6734-4163

(研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)