核融合科学技術委員会(第36回)議事録

1.日時

令和5年11月7日(火曜日)14時00分~16時00分

2.開催方法

オンライン開催

3.議題

(1) フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組について
(2) 中間評価の実施について(非公開)

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、大野哲靖主査代理、石田真一委員、植竹明人委員、尾崎弘之委員、葛西賀子委員、柏木美恵子委員、小磯晴代委員、兒玉了祐委員、花田和明委員、吉田善章委員、吉田朋子委員

文部科学省

林孝浩大臣官房審議官(研究開発局担当)、馬場大輔研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、髙橋佑也課長補佐、吉原誉夫核融合科学専門官、長壁正樹科学官、梶田信学術調査官

5.議事録

【上田主査】本日は、委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参加いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、第36回核融合科学技術委員会(以下、委員会)を開催いたします。司会進行におきましては、委員会主査である私、上田が担当させていただきます。
 それでは、議事に入る前に、事務局より、定足数及び配付資料の確認をよろしくお願いいたします。
 
【吉原専門官】核融合科学専門官の吉原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、本日の委員の御出欠についてでございます。本日の御欠席は、栗原美津枝委員、髙本学委員、中熊哲弘委員のお三方でございます。全15名中12名の委員に御出席いただいております。過半数を超えておりますので、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
 続きまして、本日の配付資料でございますが、議事次第の配付資料一覧に示しております資料1から3となります。会議中はZoomの画面共有システムを使って、事務局より資料を表示させていただきます。各委員におかれましては、発言いただく際にはミュートを解除の上、画面の下にあります「手を挙げる」ボタンを押して発言いただきますようお願いいたします。
 また、事務局に人事異動がございましたので、御報告申し上げます。本年9月1日付で、前任の稲田に代わりまして、馬場が研究開発戦略官に着任しております。
 
【馬場戦略官】皆様、お世話になっております。稲田の後任として核融合担当の戦略官を拝命いたしました、馬場と申します。今後様々な形でお世話になるかと思います。どうぞ引き続き御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
【上田主査】よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題に移りたいと思います。本日の議題は2つですが、そのうちの議題2につきましては非公開とさせていただきたいと思います。傍聴者の方々におかれましては、議題2の開始前に御退出いただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 委員会は、本委員会運営規則に基づき、非公開の議事を除き議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、よろしくお願いいたします。
 まずは議題1「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた最近の取組について」です。それでは、事務局から資料の御説明をどうぞよろしくお願いいたします。
 
【馬場戦略官】資料1に基づきまして、戦略を踏まえた最近の取組について御説明いたします。本日は、2ページ目の目次にあるとおり、まず、令和6年度の概算要求について全体像を説明した後、8月に書面審議をいただいた、核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会(以下、検討会)の議論の結果について、最後に研究開発の全体像として、関連する取組の最新の状況についても御説明したいと思います。
 それでは、3ページ目を御覧ください。本年4月に国家戦略として決定しております。この戦略には、「フュージョンエネルギーを新たな産業として捉え、構築されつつある世界のサプライチェーン競争に我が国も時機を逸せず参入」すること、「ITER計画/BA活動、原型炉開発と続くアプローチに加え、産業化等の多面的なアプローチによりフュージョンエネルギーの実用化を加速」すること。さらに「産業協議会(以下、協議会)の設立、スタートアップ等の研究開発、安全規制に関する議論、新興技術の支援強化、教育プログラム等を展開」などが掲げられております。ビジョンを達成するための基本的な考え方として、「フュージョンインダストリーの育成戦略」、「フュージョンテクノロジーの開発戦略」、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略の推進体制等」に一体的に取り組むということが記載されております。
 本日、私の後半の説明の際には、右側の「フュージョンテクノロジーの開発戦略」にある一番上、「ゲームチェンジャーとなりうる小型化・高度化等の独創的な新興技術の支援策の強化」について御説明します。また、その後、その下にあります、「ITER計画/BA活動を通じてコア技術の獲得」に加えて、この概要の中で左側の育成戦略の「育てる」部分にございます、「民間企業が保有する技術シーズと産業ニーズのギャップを埋める支援を令和5年度から強化」、また「安全規制・標準化に係る同志国間での議論への参画」の状況についても、簡単に御紹介させていただく予定です。
 それでは、まず4ページを用いて、文部科学省における来年度の概算要求の全体像について説明申し上げます。ITER計画・BA活動等のフュージョンエネルギー研究開発の推進として292億円を令和6年度の予算として、概算要求しております。真ん中の目的・概要にございますとおり、フュージョンエネルギーの実現に向けて、柱立てとしては、左側にあるITER計画、右側のBA活動、また前回事前評価いただいた、原型炉実現に向けた研究開発及び人材育成等の基盤整備については、右下に「PD・POの体制の下での原型炉実現に向けた基盤整備」として、約8億円を計上しております。さらに、右下の箱に新興技術の支援として記載しておりますが、この後説明させていただく、ムーンショット型研究開発制度を活用した独創的な新興技術の支援を実施するということが柱立てとなっております。
 また、8月末の概算要求以降の動向として、岸田総理、高市科学技術担当大臣の発言を御紹介したいと思います。まず、ニューヨーク経済クラブ主催による岸田総理大臣の講演です。こちらは9月に国連総会に出席するため、岸田総理が米国を訪問しておりましたが、講演会において記載のような発言をしております。先端分野の官民投資を加速するとして、環境、AI、半導体、バイオと並んで、フュージョンエネルギーにも言及しているところでございます。
 また下には、概算要求後の閣議後会見において、高市科学技術担当大臣からは、内閣府の立場で以下の発言がございました。今年4月に日本初の核融合戦略となるフュージョンエネルギー・イノベーション戦略を取りまとめることができました。今、フュージョンエネルギーというのは、次世代のクリーンエネルギーとして大変期待されており、非常に国際競争が激しくなっております。政府としては、この競争に打ち勝っていかなければいけない。今回の概算要求では、初の国家戦略に基づいて、ITER計画の推進や原型炉開発の加速に加えて、新たにムーンショット型研究開発制度を活用し、小型化・高度化をはじめとする独創的な新興技術の開発を強化することとしているといった発言です。このように、政府全体としてフュージョンエネルギーの実現に向けて取り組んでいくということが、繰り返し述べられているところでございます。
 それでは、続いて6ページ目以降で、検討会の議論の結果が取りまとめられましたので、御報告させていただきます。まず、7ページの(1)にあるとおり、下に参考で抜粋を記載しておりますが、この戦略に基づいて、実験炉ITERから原型炉、そして実用炉と、フォーキャスト的なアプローチに加え、従来の延長線上の取組とは異なる発想で、挑戦的な研究の支援の在り方を検討することが必要といったことを踏まえ、今回フュージョンエネルギーが実現した未来社会を議論し、そこからのバックキャスト的なアプローチで取り組むべき研究テーマを検討するため、設置しております。(2)挑戦的な研究例として、世界ではスタートアップが急増しており、2035年かそれ以前の初送電を見込むものもございます。また代表的な閉じ込め方式に加えて、革新的な閉じ込め方式、革新的な要素技術、革新的な社会実装の3軸に沿って取組を推進しており、発電用途以外の市場ニーズからのバックキャスト的なアプローチで、小型化・高度化を追求しているところございます。
 8ページ目に、検討会の名簿を記載しております。今回主査には、株式会社堀場製作所の足立代表取締役社長に、主査代理は、本日も出席いただいている吉田善章委員にお願いしております。例えば、委員の中には株式会社ユーグレナの出雲代表取締役社長など、必ずしもフュージョンエネルギーが専門でない方にも加わっていただき、未来社会像からのバックキャストによる挑戦的な研究開発を意識し、10月まで、毎月議論を重ねて参りました。
 9ページ目を御覧ください。ムーンショット型研究開発制度における新しい目標案になります。「2050年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現」といった内容になっております。
 皆様に見ていただいた中間取りまとめからの主な変更点としては、2点ございます。まず年限については、当初2060年をターゲットにしておりましたが、欧米の核融合ベンチャーの動向に加えて、今回のターゲットとして、発電に限らず、例えば水素製造であったり、工学的な熱利用だったり、社会の様々な場面に実装することを目指すことから、2050年に前倒しをしております。また、もともと目標案には、核融合の例えとして、地上の太陽を作り出すということも記載しておりましたが、今回、委員の先生方への意見照会に加え、パブリックコメントを実施した際には、核融合の専門性の有無や世代ごとにギャップがあり、好意的に受け止める意見がある一方、様々な御意見、例えば、単に地上に太陽を作るのは危ないのではないかという御意見もあったことから、受け止めは様々ということで、目標案からは削除しております。いずれにせよ右下の図にあるとおり、小型動力源等の革新的な社会実装を可能とするシステムを実現することを、2050年の達成目標に掲げているところでございます。
 10ページ目には目指す社会として6点、例えば資源制約の克服やエネルギー問題の解決への貢献などを掲げております。
 11ページ目には推進体制のイメージを挙げております。今後、総合科学技術・イノベーション会議(以下、CSTI)の本会議で目標を決定した後、今後指名するプログラムディレクター(以下、PD)とも相談し、文部科学省として研究開発構想の具体化を図っていく予定ですが、検討会においては、どのようにプロジェクトを推進していくべきかについても議論を実施しております。先ほど申し上げた社会実装、閉じ込め方式、要素技術の3つの例をそれぞればらばらに実施するのではなく、今回は縦軸にPMを置き、社会実装に向けてそれぞれの用途や目的に応じて、閉じ込め方式が必要となる要素技術も異なることから、最適なチームを構成していただくことを考えております。他方、レイヤー3の要素技術については、用途や炉型によらず、必要となる要素技術については国際連携や標準化も視野に、横軸としてプロジェクトを構成してはどうかと考えております。
 12ページ目に、我が国も含めた世界の状況を記載しております。いわゆるトカマク型、ヘリカル型、レーザー型に限らず、多様な炉型による取組が進展しているところでございます。これも書面審査の際に御指摘がありましたが、今回、革新的な閉じ込め方式については、トカマク、ヘリカル、レーザー以外の閉じ込めを意図するのではなく、トカマク、ヘリカル、レーザーを含めた、革新的な閉じ込め方式も対象にしていきたいというふうに考えているところでございます。
 13ページ目に今後の推進体制として、このムーンショット型研究開発制度を実施するに当たって、前半5年間のイメージを記載しております。革新的な社会実装に向けて研究開発成果も随時反映し、5年目には概念実証を目指したいと考えております。後半5年間では原型炉開発への導入も含め、また民間からの知見や投資も得ながら、多様な社会実装に向けた用途の実証を目指していきたいというふうに考えております。
 14ページ目、こちらを用いて、今回のムーンショット型研究開発制度の意義を御説明したいと思います。こちらは検討会の中での資料になりますが、これまでの取組では、発電(ベースロード電源)に向けて、ITER、BA、原型炉と長い道のりの中で、様々な困難が生じることも想定される中、15ページ目に、多様な社会実装をいくつかの山に例えて記載しておりますが、例えば、小型動力源の水素製造、工学熱利用など、それぞれの目的に応じた研究をすることにより、黄色くハイライトしている道のように、技術の活用であったり、人材の流動性を高めることで、技術の蓄積や人材の厚みを向上するとともに、例えば、超伝導技術など、スピンアウト型の産業創出も促進していきたいと考えております。今後、CSTIとしてムーンショット目標を決定した後、文部科学省として研究開発構想を決定する必要がございます。今後、具体的に研究開発構想を策定する際、また実際の公募を実施する際には、本委員会にも御相談させていただきたいというふうに考えているところでございます。
 続いて17ページ目、研究開発の全体像になります。こちら、イメージ図を掲載しておりますが、上からスタートアップなどを有する先端技術の社会実装を促進するSBIR(Small Business Innovation Research)の状況、また、安全規制に関する、イギリスを含めた同志国との議論の状況、最後に、中央にあるJT-60SAの初プラズマについて御説明したいと思います。
 まず真ん中の原型炉の部分になります。こちら、将来の原型炉開発を見据えた研究開発の加速に関しては、原型炉開発総合戦略タスクフォース(以下、TF)でも議論を継続しておりますが、改めて冒頭で御紹介した戦略のうち、関係する記載を御紹介させていただければと思います。
 続いて18ページ目、まずフュージョンテクノロジーの開発戦略として、「将来の原型炉開発を見据えた研究開発を加速すること」が明記されており、「将来の原型炉に向けた設計を加速するため、民間企業の更なる参画を促すための仕組みを導入するとともに、原型炉の研究開発を推進する」ことが記載されております。また、「フュージョンエネルギーに関する学術研究を引き続き推進すること」や、「スタートアップを含めた民間企業等による新技術を取り込むことを念頭に置いて原型炉開発のアクションプラン(以下、AP)を推進すること」が掲げられています。
 また次の19ページ目には、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略の推進体制として、「原型炉開発に向けて量子科学技術研究開発機構(以下、QST)を中心に、アカデミアや民間企業を結集して技術開発を実施する体制、民間企業を育成する体制を構築すること」とされており、「原型炉への移行判断の後に体制を構築しては産業化に乗り遅れるため、体制構築に向けた議論を令和5年度より開始する。ただし、原型炉開発の主体のいない現状においては、まずはQSTを中心としつつ民間企業も参加する実施体制を構築するとともに、進展に応じて適切な体制とする。それにより、商用炉の主体となる民間企業を育成する」ことがうたわれております。また、前回の委員会でも報告させていただきましたが、「QSTにITER計画/BA活動等で培った技術の伝承・開発や産業化、人材育成を見据えたフュージョンテクノロジー・イノベーション拠点を設立すること」とされております。
 20ページ目には、人材育成、アウトリーチについても記載されております。「将来のキャリアパスを明確化し、フュージョンエネルギーに携わる人材を産学官で計画的に育成すること」、「国内大学等における人材育成を強化するとともに、他分野や他国から優秀な人材を獲得する取組を行うこと」、「国民の理解を深めるアウトリーチ活動を実施すること」、こういったことも念頭に、原型炉実現に向けた基盤整備を実施する必要があるところでございます。
 現在の原型炉研究開発の現行スキームについては、皆様御存知かと思いますが、21ページ目に記載しております。最終的には、年内、必要な予算が措置されるよう、TFの議論を継続し、制度設計を具体化するとともに、年末の予算編成に向けて、引き続き尽力していきたいと考えているところでございます。
 続いて22ページ目に、SBIRの公募選定結果をまとめております。先ほど全体像の図でも御説明しましたが、今回SBIR制度において、スタートアップ等が社会実装につなげるための大規模技術実証を実施し、我が国におけるスタートアップ等の有する先端技術の社会実装の促進を図ることを目的に、宇宙等と並んで、核融合の分野においても公募を実施しております。具体的には、将来の核融合原型炉等に向けた技術群の実証をテーマに公募を行い、審査の結果、記載の4件を選定し、10月に報道発表しております。1番目の株式会社MiRESSOと3番目のLiSTie株式会社がQST発のスタートアップになっております。株式会社Helical Fusionが核融合科学研究所、京都フュージョニアリング株式会社が京都大学発のスタートアップとなっております。
 続いて23ページ目、規制枠組み構築に関する共同勧告の状況になります。こちらも以前御紹介していたかと思いますが、参考として箱囲みで戦略の抜粋を記載しております。この戦略に基づいて、Agile Nations(アジャイルネーションズ)として、イギリス、カナダと共に、核融合規制に関する協調的で集合的なアプローチを策定することを目的として、4月以降議論を重ねて参りました。
 このたび、規制枠組みの構築に向けて共同勧告を発表しております。ポイントとしては5つございます。まず、「フュージョンエネルギーが気候変動とエネルギー安全保障という世界的な課題に対して重要な貢献となり得ることを認識すること」。また、「施設に適用される規制の枠組みの明確化に向けた取組をすべての国が開始すること」。さらに、「国際協調したアプローチが、複数の国でフュージョンエネルギーの規制において採用されることの利点を各国が認識すること」。「透明性を保ち、イノベーションを促進しながら、人々と環境の適切な保護を維持するフュージョンエネルギーに対して、そのリスクに見合った規制枠組みを構築すること」。「安全防護レベルが適切であることを国民に十分理解してもらうことの重要性を各国が認識した上で、これを達成する方法を検討すること」。そういったことを決定しているところでございます。
 今後、この勧告も踏まえながら、安全確保の基本的な考え方を策定するため、内閣府にタスクフォースを設置し、関係省庁の協力も得ながら、フュージョンに対しての作成、現況の開発促進を念頭に置いた、安全確保の基本的な考え方を検討していきたいというふうに考えています。その状況については、本委員会にも御報告していきたいと思っております。
 24ページ目、こちらはJT-60SAの初プラズマ生成についてとなります。こちらについては先日大きく報道されていたので、御存知の方も多いかと思います。JT-60SAについては、QST那珂研究所にある、日欧が共同建設した装置です。ITERはまだ建設中であるため、現時点では世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置となっております。このJT-60SAの目的は、ITERの技術目標達成のための支援研究、原型炉に向けたITERの補完研究、人材育成としており、本年の夏にEU側と共同で、博士課程の学生やポスドクを対象に、日欧のサマースクールなども実施しております。
 平成25年に組立てを開始してから10年が経過しましたが、10月23日に初めてプラズマを生成したところでございます。12月1日にはJT-60SAの運転開始を記念する式典を、那珂研究所において、日欧共同で開催予定としております。
 先日、盛山文部科学大臣、高市科学技術担当大臣も会見で祝意を述べており、今回の初プラズマの生成の成功も踏まえ、原型炉開発につながる成果の創出や、将来を担う人材の育成、また協議会の設立も見据え、産業界も巻き込みながら、フュージョンエネルギー関連産業の発展に向けて力を尽くして参りたいというような形で、大臣からも述べているところでございます。
 25ページ目を御覧ください。先週金曜日に閣議決定した経済対策の抜粋になります。こちらはフュージョンエネルギーの関係では、以下のような記載がございます。まず科学技術の振興及びイノベーション促進に関してです。先ほど御説明した、「ムーンショット型研究開発プログラムの研究開発を加速するとともに、その成果の社会実装を支援する他、新たにフュージョンエネルギーに関する研究領域をプログラムに追加する」こと、また、フロンティアの開拓として、「フュージョエネルギーについては、ITER計画の着実な実施に加えて、世界最大の超伝導トカマク装置(JT-60SA)の運転開始に向けた機器の整備を支援する」ということが掲げられています。こちらについては、この経済対策の後、補正予算としてどの程度の予算を措置するか、引き続き政府部内で最終調整中であります。さらに、今後の国会審議でありますが、文部科学省としても戦略を踏まえた具体的なアクションについて、しっかり取り組んでいきたいと思います。引き続き、本委員会において最新の状況についてもアップデートしていきたいと思いますが、全体を通して御指導のほどよろしくお願い申し上げます。説明は以上となります。
 
【上田主査】ありがとうございました。様々な内容が含まれていたかと思いますけれども、ただいまの御説明に対しまして質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。柏木委員、よろしくお願いいたします。
 
【柏木委員】もし可能であれば、令和5年度の設立を目指す協議会の今の準備状況などを教えていただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。
 
【馬場戦略官】協議会の設立については、今御質問いただいたとおり、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略に令和5年度の設立を目指すということで、まさに今年度中の設立を目指して、今調整中というような段階になっております。実際戦略を発表して以降、多くの企業から具体的な問い合わせ等が来ておりまして、今現在この協議会の目的やねらいについて、最大公約数的なものとしてどういったものがいいのかを検討しているところでございます。
 御想像していただくと分かると思うのですけど、実際まさにメインでいろいろな装置を造りたい人たちもいれば、消費者的な方々もいらっしゃいますし、逆にまずは議論を聞いていきたい等、様々ありますので、そういったものをできる限り包含したような形での協議会というものを作っていくよう、政府としては後ろから後押しをしていきたいと考えております。後ろから後押ししたいという意味は、あくまでもこちらは一般社団法人ということを念頭に置いておりまして、実際集まっていただく会社の方々がどういった定款を作られるのか、どういった目的で設立するのかにもよってくるところでもありますので、現時点では我々はそういった議論というか、そういった声に対して、どういった形にするかを、後押ししているような状況になっております。またこちらについても、協議会の今後の見通しが立ち次第、この委員会でも報告はしていきたいと思います。
 実際、我々も政府の立場では、海外といろいろな議論をする機会が多いのですけど、やはり海外でこういった協議会的な団体に対して窓口となる機関が、今まだ日本にはないというところを、少し問題意識としては考えておりまして、そういった窓口になるような存在としても期待したいというふうに思っているところでございます。なので、今年度中の設立を引き続き目指していきたいということを、私自身、戦略を踏まえた宿題として認識しているところでございます。以上です。
 
【上田主査】ありがとうございます。花田委員、よろしくお願いいたします。
 
【花田委員】ムーンショット型研究開発制度について御質問させていただきます。このプログラムでは、PDの役割が非常に重要かと思うのですけど、どういったプロセスで、いつ頃それが決定されるのかがもし決まっているようであれば、教えていただけますでしょうか。
 
【馬場戦略官】まず今回、ムーンショット型研究開発制度を活用したプログラム、プロジェクトを実施するに当たって、2つ必要条件があるというふうに思っています。
 1つは、CSTIの決定ということで、実は11月2日に、有識者議員会合に対しては御説明をして、特段異論なく受け止めてはいただいているところでありますので、今後、総理を議長とするCSTIや本会議での決定が、まずは必要条件としてございます。
 もう一つは、最後に御説明した経済対策で、今現在ムーンショット型研究開発制度に新しい目標を作るというところは明記されておりますが、それに先立つ必要な予算については、補正予算を含めて、今後国会審議も踏まえて決定していく、審議いただく必要がございます。
 この必要条件が2つそろった後、文部科学省としては、先ほど申し上げた研究開発構想を決定するとともに、実施機関としてファンディングエージェンシーが、例えばJSTだったりNEDOだったりというところが選ばれることになると思いますが、そのいわゆるファンディングエージェンシーがPDを指名するというような流れになります。ですので今後、CSTIの目標の決定、予算の審議があった後、文部科学省として研究開発を決定し、ファンディングエージェンシーとPDを指名し、その後公募に入っていくというような流れになっていきます。流れ的にはまだ具体的な時期は、国会審議等の関係もあるので、申し上げづらいところはあるのですが、年明け以後、PDの指定なども念頭に置きながら、我々としては準備を加速していきたいと思ってはいるところであります。いずれにせよ、具体的な指名であったり研究開発構想の決定の前には、委員会の場でも御相談していきたいというふうに考えているところでございます。ですので年明け以降、準備を加速していくというような形になるかなと思っています。
 
【花田委員】ありがとうございました。
 
【上田主査】他にいかがでしょうか。大野委員、よろしくお願いいたします。
 
【大野委員】4ページ目のBA活動のPD・PO体制下での原型炉実現に向けた基盤整備の新規プロジェクトについて質問させていただきたいと思います。その基盤整備と言われている内容について御説明いただけることがありましたらお願いしたいということと、実際具体的なスケジュールはどういう形で進むかということについて、御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【馬場戦略官】こちらの原型炉実現に向けた基盤整備については、前回の委員会で事前評価いただいた際に、いわゆる研究開発の部分、人材育成の部分、アウトリーチの部分、そういった部分で大枠としては考えているプログラムとして、今こういった形で予算を計上しているところになっております。前回事前評価でいろいろいただいた意見を踏まえて、今まさに財政当局含めた折衝を重ねているところではありますので、スケジュール感としては、この12月末にかけて必要な予算を確保するとともに、TFで具体的にどうすれば機能的な原型炉開発に向けた体制ができるのかの議論を継続しているところでございますので、その議論を踏まえた上で、この委員会でも御報告していけるとよいと思っています。
 先ほどの花田委員の御質問に対して申し上げると、プロジェクトが始まるのはムーンショットの方が少し早くて、原型炉開発の実現の具体的な制度設計については、もう少し後ろ倒して具体的なプロジェクトが始まるものと思っています。ですので現時点では、前回の事前評価でいただいたものを、さらにTFの中で、具体的にどうすればより機能的になるのかについて、今議論を重ねているところでございます。実際、現行の体制として、21ページ目で現行スキーム図を、先ほど簡単に御説明いたしました。こちらの図で、前回の事前評価からの一つの違いとしては、今回この原型炉のプログラムについては、BA補助金の一環として計上しています。ですので、今回、例えばQSTで今行われる活動であったりとか、具体的には原型炉設計合同特別チームとの関係であったりとか、こういった部分については、より一体的というか、融合したような形でやった方がいいのではないかというような議論が、TFの場でもございましたので、そういった議論を踏まえながら、今具体化を図っているところでございます。その議論がつき次第、また委員会でも御報告させていただければと考えております。
 
【大野委員】それでは大学が参加する場合は、やはりBA補助金だと契約という形になるということでしょうか。
 
【馬場戦略官】そのやり方についてもまさにこれから、どういう形でいいのかというところは考えていかないといけないかなと思っています。というのも、これまでであれば、事前評価させていただいた際には、場合によっては国から直轄という話も考えていましたけど、場合によってはBA補助金なので、QSTだったらQST経由になる可能性もあったりするので、どういうやり方であると、大学の方々も含めてうまく活動しやすいかというところも含めて、今検討はしているところです。いずれにしろ、今回の一つの目的というのは、委員会、TFの議論やAPの取組を前に進めなければいけません。そのためには、QSTだけではなくて、様々な大学の関係者、またTFの中では企業の方々、そういった方々をどう巻き込みながら、技術や人材を蓄積していくかというところについて、更に効果的な取組を検討した方がいいのではないかというような御指摘があり、今事務局でも検討は重ねているところでございます。
 
【大野委員】ありがとうございます。よろしくお願いします。
 
【上田主査】他にいかがでしょうか。私から1つだけお尋ねしたいことがあるのですけれども、核融合エネルギーフォーラム、これも協議会の設立と準備と同時に、何か見直しが行われているということを伺ってはいるのですが、そちらの状況がもし分かれば教えていただけますか。
 
【馬場戦略官】フュージョンエネルギー・イノベーション戦略において、核融合エネルギーフォーラムの発展的改組も含め、協議会の設立をしていくということがうたわれていたかと思います。実際に戦略の策定以降、フォーラムの中でもワーキンググループのような形で、今後どうしていくべきかというところについて議論が継続的に行われており、私もフォーラムの運営会議の委員の一人として、その議論も参画させていただいているところでございます。実際やはりフォーラムが目的としているところと協議会が目指すところというのは、先ほどの柏木委員の御質問だったと思いますが、若干違うところもありますので、そういった部分についてもどういった形がいいのかを、今まさに議論しているところにはなります。フォーラムでやっていた活動の中で、フォーラムとして引き続きやるべき部分がどこなのか、逆に協議会としてやった方が適切な部分もあるのではないか、場合によってはQSTがやった方が効果的ではないか、そういった部分について、今フォーラム側とも議論を継続しているというような状況になっています。こちらについては、先ほどの御質問、協議会の話とも関わってくるところかと思いますので、またこの状況についても、次回以降の委員会でも御報告させていただくことができるかと思っています。
 
【上田主査】ありがとうございます。いろいろな部分で今検討が進んでいるということでございます。また次回の委員会でも、もう少し進んだ内容について御説明いただけるかなと思っております。
 議題1についてはこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
 それではこれから議題2に入りますが、この議題は非公開の議題でございます。傍聴者の方は申し訳ございませんが、御退室いただきますようお願いいたします。
 
(非公開議事)
 
【上田主査】本日こちらで用意をしております議事は以上でございますが、この他、特に委員の皆様方から、御報告、あるいは審議すべき案件はございますでしょうか。もしあればお教えください。よろしいでしょうか。
 それでは、次回の委員会の日程につきまして、事務局から御説明お願いいたします。
 
【吉原専門官】次回の委員会につきましては、日程調整の上、追って、開催日時、議題等を御連絡申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【上田主査】ありがとうございます。それでは、本日の委員会はこれで閉会いたします。御多忙の中、御出席、誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

髙木、樋口
電話番号:03-6734-4163