核融合科学技術委員会(第30回)議事録

1.日時

令和4年6月21日(火曜日)14時00分~15時30分

2.開催方法

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

(1)第11期核融合科学技術委員会における主な検討課題について
(2)第30回ITER理事会及び第29回BA運営委員会の開催結果について
(3)米国における核融合計画に関する最新情勢について
(4)分野別研究開発プランの審議について

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、大野哲靖主査代理、五十嵐道子委員、池田佳隆委員、植竹明人委員、尾崎弘之委員、岸本泰明委員、栗原美津枝委員、小磯晴代委員、兒玉了祐委員、吉田朋子委員

原型炉開発総合戦略タスクフォース

笠田竜太主査

文部科学省

岩渕秀樹研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、稲田剛毅研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、田村泰嗣課長補佐、吉原誉夫核融合科学専門官、長壁正樹科学官、梶田信学術調査官

5.議事録

【上田主査】それでは、時間になりましたので、核融合科学技術委員会、第30回の議事を開始したいと思います。本日は御多忙のところ御参加いただき、誠にありがとうございます。
 今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにて開催させていただきます。
 なお、司会進行につきましては、本委員会主査の私が担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に事務局より、新たな委員、学術調査官、事務方の紹介及び定足数、配付資料の確認をよろしくお願いいたします。
【吉原専門官】前任の川窪の後任といたしまして、本年4月に核融合科学専門官に着任しました吉原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今回より新たに核融合科学技術委員会委員に御就任いただいた方を御紹介させていただきます。所属先の人事異動に伴い、前任の栗原研一委員に代わり就任いただきました量子科学技術研究開発機構量子エネルギー部門長、池田佳隆委員でいらっしゃいます。
【池田委員】池田でございます。よろしくお願いします。
【吉原専門官】よろしくお願いします。
 続きまして、本年4月に新たに御就任いただいた学術調査官を御紹介させていただきます。東京大学大学院新領域創成科学研究科教授の梶田信学術調査官でいらっしゃいます。
【梶田学術調査官】梶田です。どうぞよろしくお願いいたします。
【吉原専門官】最後に、事務方に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。本年4月に文部科学省研究開発戦略官付に着任しました稲田剛毅でございます。
【稲田戦略官】稲田でございます。微力を尽くしますので、よろしく御指導賜りますようお願いします。
【吉原専門官】続きまして、本日の委員の御出欠でございますが、高梨委員、髙本委員、中熊委員、吉田善章委員の4名が御欠席でございまして、先ほど、吉田朋子委員から冒頭、業務の都合により、少し遅刻されるという御連絡がございました。
 本委員会には、15名の委員がいらっしゃいますが、現時点で10名の委員に出席をいただいております。過半数を超えておりますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。
 また、今回は議題1におきまして、原型炉開発総合戦略タスクフォースから御説明いただく予定としておりますので、同タスクフォースの笠田竜太主査に参加いただいております。
 続きまして、本日の配付資料についてでございますが、議事次第の配付資料一覧に示しております資料1から4及び参考資料1から3となります。
 会議中は、Zoomの画面共有のシステムを使って、事務局から資料を提示させていただく予定としております。また、会議開催前に留意事項を画面にお示しさせていただきましたとおり、御発言いただく際には、手を挙げるボタンを押して、ミュートを解除の上、指名されたら御発言いただきますようお願いいたします。
 私からは以上でございます。
【上田主査】さて、本日は、本年度最初の核融合科学技術委員会の開催となります。そこで、議事に先立ちまして、岩渕戦略官より御挨拶をよろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】上田主査、ありがとうございます。年度初めの節目ということで一言申し上げます。
 初めに、上田主査をはじめとする委員の皆様におかれては、大変御多忙の中、委員会の委員として御活動いただき、改めて御礼申し上げます。
 核融合は、エネルギー問題、環境問題を根本的に解決するという観点から、カーボンニュートラル実現の鍵となると考えられており、国際的に見ても、主要国において、近年、核融合開発の取組が加速化している状況です。また、核融合ベンチャーへの投資も非常に活発化しており、話題になっているところです。そうしたこともあり、今日も非常に多くの傍聴登録をいただき、国内的な関心の高さに身の引き締まる思いです。
 こうした状況の中、我が国では、昨年度、核融合科学技術委員会において、核融合原型炉研究開発に関する「第1回中間チェックアンドレビュー(CR)」の報告書を取りまとめていただきました。
 この結果、第1回中間CRまでに達成すべき目標については達成されている、という評価をいただいたところです。一方で、第2回の中間CRに向けた課題も多く御指摘いただいたところです。こうしたことを受け、今年度、この委員会においては、核融合発電の実現時期の前倒しが可能かなど、様々な話題について、専門的、学術的な観点から御議論をいただきたいと考えています。
 また、第2回中間CRに向け、達成目標、アクションプランの見直しの必要性などについても御検討いただきたいと考えています。
 この委員会の委員の皆様は、大学、研究機関、産業界、ジャーナリストなど、非常に様々なバックグラウンドをお持ちの方で構成されております。核融合エネルギーの早期実現に向け、多くのステークホルダーが一丸となって取組を推進できるよう、委員の皆様の審議、御協力をお願いしたいと思います。委員の皆様の積極的な御参画を心よりお願い申し上げまして、一言御挨拶とさせていただきます。
【上田主査】ありがとうございます。
 それでは、委員会を始めますが、本委員会は、委員会運営規則に基づき、議事を公開いたします。御発言は、議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。
 それでは、議題1に入りたいと思います。議題1「第11期核融合科学技術委員会における検討課題について」に入ります。
 まずは、事務局から、資料1-1及び1-2に基づいて説明をよろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】資料1-1及び資料1-2に基づき、御説明を申し上げます。
 資料1-1は、核融合科学技術委員会の今年度の主な検討課題(案)を示したものです。
 資料1-2は、昨年度の核融合科学技術委員会による中間CR第1回目の報告書の抜粋、の中で、まさに次のCRに向けた重要な課題が様々に列挙されています。
 例えば、一番上のポツでは、我が国においても核融合発電の実現時期の前倒しが可能かどうか技術的に検討を深めることは重要な課題である、と御指摘いただいています。
 そうした点を踏まえ、上田主査と御相談しながら作成したのが資料1-1です。今年度1回目の委員会ということで、今年度の検討課題を提示し、今後の作業スケジュールを確認いただくものです。
 そのスケジュールに基づけば、7月から10月頃までに、この委員会の下に設置されている原型炉開発総合戦略タスクフォースを3回程度開催し、資料1-2に書かれている検討課題を中心に、タスクフォースで検討を進めていただくことになります。例えば、核融合発電の実現時期の前倒しが可能かどうかの検討、あるいは、第2回中間CRの達成目標に関する検討、など重要な検討課題がCRの報告書の中で指摘されており、こうした課題を中心に、タスクフォースで集中的に御審議をいただくという提案です。
 そのようなタスクフォースにおける専門的な検討の結果を踏まえ、今年度の後半において、委員会にタスクフォースから御報告をいただき、2回程度の審議を委員会で行う、このような年間スケジュール案です。以上です。
【上田主査】ありがとうございました。
 それでは、資料1-3につきまして、笠田タスクフォース主査より説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【笠田TF主査】タスクフォース主査を仰せつかっております東北大学の笠田と申します。今期もよろしくお願いいたします。
 「原型炉発電実証時期の前倒し/加速の検討に向けて」ということで、資料1-3に基づきまして御説明させていただきます。
 現在、タスクフォースでの本件に関します検討状況といたしましては、カーボンニュートラルへの関心が世界的に高まっている情勢を踏まえ、主要各国における核融合研究開発が加速されている状況があります。核融合科学技術委員会からは、開発競争に打ち勝つために、我が国も核融合発電の早期実現を目指すことが重要ではないかという問題意識を提示されました。
 それを受けまして、原型炉開発総合戦略タスクフォースでは、原型炉の発電時期の加速/前倒しの検討を開始しております。加速/前倒しする発電開始時期をいつと想定するかによって、その時期までにそろえられる許認可に必要なデータや開発できる技術に制約があるとタスクフォースは認識しております。そこで、タスクフォースでは、発電実証時期を加速/前倒しするには、原型炉の段階的実証、段階的に原型炉の性能を上げるということです。これは運転領域を広げていくということにもなります。こういった考え方を入れる必要があると考えております。このような早期発電実証に最適化した研究開発戦略の可能性について、検討を始めたところでございます。
 続きまして、参考資料とありますけども、かいつまんで説明させていただきます。
 まず初めに、こちらは第25回のタスクフォースの資料2-1より抜粋したものですけども、原型炉計画の見直しの検討方針です。すでに、昨年度のタスクフォースで第1回中間CRの取りまとめを行って、以降、本委員会でお認めいただいたところではございますけれども、目標としての第2回中間CRの項目は掲げておくべきですので、現在の中間CRを踏襲するものの、見直しがあり得ることを記載しております。
 先ほど述べた、段階的に原型炉の性能を上げるとして、原型炉の初期に想定する目標や実施時期を変更すること、仮置きによって、これらの検討課題ですね。達成しておくべき項目やその優先順位が変わらないか、パルス運転など、今回新たに想定する目標に対応するため、新規に必要とする技術が含まれているか、規制申請の準備や規格基準の整備といった、これまでの知見や検討を踏まえると、特にこれからの準備が必要となる検討項目が含まれているかといったところを考慮した上で、タスクフォースとしての共通認識を得つつ、原型炉開発に向けたアクションプランの議論、検討を進めるべきではないかとしております。
 原型炉の初期の目標設定や実施時期をいつに設定するかについては、タスクフォースで議論・検討を重ね、アクションプランの改定、原型炉研究開発ロードマップの更新とともに、最終的に設定すべきと考えておりまして、これを本委員会の方にタスクフォースから提示すべきと考えております。CR1がすでに実施されておりますので、タスクフォースにおいてアクションプラン、項目ごとの前倒し案の内容の議論を深めていくところを進め始めているところでございます。
 この見直しのための検討スケジュールもすでに提案がなされておりまして、日本のJA-DEMOの段階的シナリオに示す第1期に想定する目標や、その後の第2期の目標や実績に対し、現行のアクションプランの課題ごとに議論・検討を行い、結果を積み上げていくことを提案したいということで、3回のタスクフォースを想定しています。初めの2回のタスクフォースでは、アクションプランについて検討いただきたいと考えています。資料に示してある0番から14番まではアクションプランの課題番号になっています。
 第1回目のタスクフォースでは7番まで、第2回目は8番から14番まで、あるいは加えて必要であれば、新たに加えるべき課題ということで、この内容は状況によって変更される可能性はありますが、こういったことを網羅していきたいと考えております。第3回目において、これらの検討を踏まえ、原型炉開発に向けたアクションプランを改定し、DEMOの第1期及び第2期の目標や実施時期を決定するとともに、見直すとしていた第2回中間CR項目の確定、また、必要であれば、原型炉段階への移行判断の見直しを行い、最終的に原型炉研究開発のロードマップの更新を行うということになります。これはタスクフォースから見た内容ですので、もちろん、状況に応じて、この検討を行った結果を本委員会において提案するということになると思います。
 今回の改定というのは、我が国の核融合エネルギー開発の方向性を大きく変更する可能性があるものです。研究開発に遅滞を生じさせないためにも、本年12月までに、これらアクションプラン改定や原型炉研究開発ロードマップ更新を行うことを目標としたいと考えております。
 JA-DEMOについては、すでに特別チームにおいて概念設計の基本設計が終了しております。こちら、基本スペックについては、QSTあるいは特別チームの担当者の方に聞いていただくのが一番いいと思いますが、基本的な概念は資料に示されているとおり、原型炉開発に向けたアクションプラン、原型炉研究開発ロードマップに従って着実に進捗していると言えます。
 それを踏まえて、原型炉の発電時期の加速/前倒しの論点及び課題は資料に示しています。加速した発電開始時期を「いつ」と想定するかによって、その時期までにそろえられる許認可に必要なデータや開発できる技術に制約があるのではないかというような問題点が、本委員会において提起されております。
 そこで、段階的に原型炉の性能を上げるということを想定して、原型炉の初期はパルス運転を想定する、あるいは核融合出力や発電量を下げる。三重水素増殖比(TBR)に関してもやや下げる。そして、規制申請の準備や規格基準の整備も段階的な原型炉に合わせて整えていくということで、これらに伴い、制約を解決できたものから、加熱装置などを速やかにアップデートしていくような提案を想定しています。
 ただ、このような段階的に性能を上げるとしても、どのように上げていくべきかということに関しての技術的あるいは社会的な議論、というものが必要ではないかと考えております。必要となる許認可データや開発していく技術について、現時点で加速の見通しが得られるかという視点からの検討が必要だと考えております。この検討によっては、原型炉開発に向けたアクションプラン、原型炉研究開発ロードマップの更新が必要になるという可能性が出てまいりますので、その案をタスクフォースで検討して本委員会に最終的には諮りたいと考えております。
 資料6ページはCR項目です。一番左に項目がありまして、その次の列に第1回中間CRまでの達成目標ということで、これはすでに達成されたということが確認されております。第2回中間CRまでの達成目標及び移行判断に関しましては、今回の再検討を踏まえて、必要に応じて変更等、あるいは改定等が検討されるものと考えております。以上です。
【上田主査】笠田主査、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明がこの委員会の本年検討課題の大きいところでございますが、ただいまの御説明に対しまして御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。御発言ございましたら、挙手ボタン、手を挙げるのボタンでお教えいただけますと幸いです。兒玉委員、よろしくお願いいたします。
【兒玉委員】笠田先生、どうもありがとうございます。資料7ページの「発電実証に重きを置き、核融合出力や発電量を下げても良い」という箇所に、「原型炉の初期は」という記載があります。これでも原型炉と言ってよいのでしょうか。これは出力や発電量を下げてもよいのであれば、他の方式であれば、ものすごいミニチュアができてしまいますが、一般的にはそれは原型炉と呼ばないのですが、いかがでしょうか。
【上田主査】ありがとうございます。笠田主査、いかがでしょうか。
【笠田TF主査】当然、タスクフォースでは、技術的に可能な早期実現に対して、どこまで要求に応えられるかという点において、技術的な検討を行うというのが一番ですけれども、その内容が果たして社会的に加速するということの命題において認められ得るかというのは、タスクフォースの中で検討するところもありますし、それを踏まえて、最終的に本委員会で議論いただく必要があると考えております。
【上田主査】ありがとうございます。兒玉委員、よろしいですか。
【兒玉委員】はい。タスクフォースから、本委員会に上がってきた際に検討すればよいということですね。
【上田主査】分かりました。ただ、もちろん最終的には、最初に想定された原型炉のパラメーターへ向かっていくということなので、あくまで私は途中の一段階かなと理解しております。
 それでは、栗原委員、よろしくお願いいたします。
【栗原委員】ありがとうございます。技術的には専門家ではないですが、この加速/前倒しの論点について、今後の考え方を共有ないしは質問させていただきます。まず、発電時期について、そもそもどれくらいの前倒しが有効なのかという前倒しの幅の論点と、それによる初期に達成すべきものが相関していくような気がしますので、達成水準も一つの論点ではないかと思います。それから、他国との開発の競争という側面がありますので、そこの視点も入れて前倒しをすることが有効なのではないかと思います。
 2つ目に、これはなかなか難しいですが、長い開発期間になりますので、予算の大きな目安を持って、かつ、予算が着実についていくような仕組みが必要ではないかと思います。それをどのような形で毎年毎年やっていくのか、場合によっては基金のような形でやっていくのか。それから、国でやっていくのか、それとも途中段階から民間の資金が入ってくるのか、そういったところも議論していった方がいいのではないかと思います。
 以上です。
【上田主査】どうもありがとうございました。笠田主査、いかがでしょうか。
【笠田TF主査】栗原委員、ありがとうございます。最初の視点に関しましては、まさに世界情勢、社会情勢に常に目を配りながら、早期実現あるいは統合化というものの意味ですね。原型炉を早めるという今回の検討というのは、核融合炉システムがきちんと全体として成り立つというところを早めに示すと。実際にそれが社会に貢献していくかどうかというのは、そこからまた当初踏まえた計画にきちんと間に合うように考えていくと私は捉えております。
 2つ目に関しましては、おそらくそれが今回の委員会で一つ挙げられている優先順位というところに関係してくるのだと思います。やはり我々タスクフォースとしては、基本的には技術的に可能なこと、あるいは技術的に優先的に進めていくものというのを考えていきますが、当然、それが予算的な状況からあまりにもかけ離れていたものでは実現可能性がないので、その辺りも踏まえて優先順位というのを考えていくことになると考えております。
【岩渕戦略官】今、栗原委員から御指摘の点は非常に重要と認識しています。発電の開始の時期を早めるとすれば、そこまでの技術の到達度は低くなるという相関関係にあります。タスクフォースにおいて、この前倒しの可能性を検討していただいた上で、前倒した方がいいのか、現状の案の方がいいのかを、委員会において議論していただくのかと思います。
 予算の仕組み、官民分担といった重要な御指摘もありました。原型炉を考えていく上で大事な点です。他方、核融合科学技術委員会は、研究開発、科学技術の委員会ですので、そうした資金メカニズム、民間との関係性をどこまで論じ切れるのかということがあります。資料1-2の、CRでの委員会からの御指摘の中でも、こうした課題は必ずしも文科省傘下の審議会である核融合科学技術委員会、あるいは原型炉タスクフォースの役割に収まらないという面もあるとされています。そうした問題点を提起していただけば、幅広い関係機関における今後の議論において、この委員会の議論をインプットし、全日本的に解決策を探っていくことになる。こうしたやり方かと、考えています。
【上田主査】栗原委員、よろしいでしょうか。
【栗原委員】はい。ありがとうございます。
【上田主査】ありがとうございます。それでは、岸本委員、よろしくお願いいたします。
【岸本委員】御説明ありがとうございました。先ほどの兒玉委員の御質問とも関係しますが、前倒しという考え方を確認させていただければと思います。定常運転だけではなく、パルス運転を想定したり、核融合炉の発電量を下げたりするなどの考えについてです。これは、このような措置を取ることによって、理工学的な意味において新しい知見や視点が早期に洗い出しできて、その結果、最終形である原型炉が早く実現できる可能性がある、そういう意味の前倒しなのか。社会の要請に対して、パフォーマンスは下げても、核融合が技術的に成立し得るということをまずは示して、その安心感や安定感の下に国民の同意を一層得ようという考え方なのか、どちらだと思ってよろしいでしょうか。
【岩渕戦略官】事務局からお答えいたします。
【上田主査】事務局からよろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】昨年度までのCRの議論は、後者の考え方に近かったと理解しています。
 その考え方に至った一つの背景は、諸外国の情勢でした。例えば、英国、米国。英国では、2040年までにパイロットプラントにおいて発電を、という計画が示されました。米国では、ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスやエネルギー省の諮問委員会などがパイロットプラントにおける発電時期を2040年代などに設定する報告書が出てきました。こうしたことを踏まえ、早い段階で、核融合による発電というものを国民の皆様に示してみることに意味があるのではないか。こうしたところが出発点となり、CRの報告書に核融合発電の実現時期の前倒し云々といった指摘が記載された。このように理解しています。
【上田主査】ありがとうございます。岸本委員、いかがでしょうか。
【岸本委員】どうもありがとうございます。策定の議論も参加しておりましたが、その理解にきちっと至っていなかったことは申し訳なく思っています。後者の考えであるということで十分理解できるところですが、前者の視点については、民間を含めた様々なプロジェクトが現在提案されて、核融合が早期に実現できるという雰囲気を世界的に醸し出している状況がありますが、理工学的には容易ではない部分が多くあることから、科学者としては、正確に現状を見据えて研究していくことが使命だと思いました。
 加えて、前者のアプローチを取ったとすれば、それは先ほど申し上げた観点、核融合の実証に向けた理工学的な研究の順序を変えることによって、逆に理解が早く進み、研究の進展に役立つということもあり得ると思います。したがって、後者を中心に置きつつ、前者の観点も必要ではないかと考えながらお聞きしていました。どうもありがとうございます。
【上田主査】ありがとうございます。多分タスクフォースでは特に前者の観点からの実現可能性といいますか、その辺のところを探りつつ、後者の考え方というものにどのぐらい近づけられるかというところを、現実的な解を探していただくというところが検討の重要なポイントなのかなと私は思います。
 ありがとうございました。それでは、植竹委員、よろしくお願いいたします。
【植竹委員】ありがとうございます。皆さんのおっしゃったことと重なるかもしれないんですけれども、国際競争に打ち勝つために早期に前倒しを検討するという、最初の1枚目に始まっているわけですけれど、何のために勝つのか、勝つために急がなきゃいけないのかというところですけれども、何というんですかね。うまく言えないかもしれないんですけど、急がば回れの逆になってしまっていいのかというのが少し心配で、この委員会で前倒しを検討すべきと言ったときには、この7ページに書いてあるような前倒しに伴うデメリットを十分議論してこなかったと思います。ここに書いてあるような制限的な開発、方式、段階的という言葉の方がいいのかも分かりませんけれども、それによって失うメリットがどのぐらいあるのか。よく認識せずにそういったことを目指すべきと、トライしてみるべきだと結論したと理解しているんですけれども、最終的には日本で核融合発電を実装することを急ぐわけですよね。そのために、ここに書いてあるような、少しデメリットはあるけれども、これなら国民に発電ができるということを少し早く見せることができるということなんですけど、それをやることによって、今申し上げた最終的なゴールが逆に遠のくことはないのかというのが心配なところです。
 その点について、この制約をかけるとこういうことが逆に失われるというか、コストがかかる、時間がかかるというところも総体的に見せていただいた方が議論しやすいのではないかと思います。以上です。
【上田主査】ありがとうございます。非常に重要な点の御指摘だと思います。多分その辺のところはタスクフォースで議論されることになるのかなとは思いますけれども、笠田主査、何かコメントございますでしょうか。
【笠田TF主査】植竹委員、ありがとうございました。非常に難しい投げかけと認識している一方で、技術的なところで急ぐことによってどれほどリスクが増加するか、あるいは何らかの産業界とのつながりからのベネフィット的なものがあり得るのかとか、そういった多角的な検討が必要であるということは認識しております。
 一方で、もう一つ重要なリソースとしては、人的リソースです。やはり従来型のプランですと、個人的な話になりますけど、私が定年までに原型炉の建設に間に合わないんですよね。私が原型炉の建設時まで働き続けることができれば、人材育成に貢献できるので、リスクは私的には減るという個人的な思いもあります。要するに、そういった若い人にとっての夢がどれだけそれによって増加するかとか、そういった視点もひょっとしたら必要になるかもしれません。それは現実的にプランを実施していくのはこれからの世代だからというところもあります。
 そういった多角的な検討というのは、社会連携といった部分がアクションプランにもございますので、また、それに対応するタスクフォース委員もおりますので、そういった観点で、リスクとベネフィットというものを多角的に検討する努力をしたいと考えております。
【上田主査】ありがとうございます。植竹委員、よろしいでしょうか。今後の検討課題ということで重く受け止めさせていただきたいと思います。
【植竹委員】ありがとうございます。
【上田主査】それでは、兒玉委員、よろしくお願いいたします。
【兒玉委員】ありがとうございます。もう一つ質問があります。例えば私が知っているのはレーザー核融合で、レーザー核融合というのは炉工学がほとんど進んでないから、今、炉工学をやったら、10年以内であれば知財を6割ぐらい抑えることできるという意味では国際的にメリットがあります。これを我が国が、デモというか、こういう形で電気を発生するということをやったときに、先ほど戦略官から言われたように、おそらくいろいろなベンチャーがやっていて、米国や英国はやると思うので、そことの闘いになるわけですね。
 そうすると、特許を抑える意味でどれぐらいアドバンテージが取れるのかということにつながってくるかと思うんです。それはどうなんでしょう。あるいは検討事項にしていただけるのかどうかですね。
【上田主査】どうでしょうか。笠田主査、何かコメントございますか。
【笠田TF主査】非常に難しい。いわゆる知財戦略という部分は、アクションプランには明記されていないんですよね。それをどう考えていくかというのは、一応斜めに見ながらは検討しなくてはいけないかもしれないですけども、当然、産業界の方も参画しているので、そういったところから御意見はいただきたいとは思っております。
 あとは、世界的に見て、おそらく知財よりもむしろ規制、規格基準に対する戦略の方が重要だと私は現状では思っています。実際に技術的にできるものができても、規制体系が核融合原型炉に対しては、ある意味というか、ないわけですから、そちらをつくることの方がタスクフォースで検討すべき課題としてはまずは重要ではないかと考えています。
 知的財産に関しては実施母体が個別に考えていくと思うので、きちんとアクションプランの中に書くということはあるかもしれないんですけども、そういうことなのかなと個人的には考えております。非常に重要な指摘だとは思いますので、考えていきたいと思っております。
【上田主査】ありがとうございます。どうぞ、兒玉委員。
【兒玉委員】ありがとうございました。私も非常に重要な指摘だと思いますので、今後、そういうことも念頭に置きつつ、検討を進めるということが必要かと思います。
【上田主査】それでは、他に御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
【笠田TF主査】ありがとうございました。
【上田主査】それでは、今後、タスクフォースにおかれましては、最初に御説明ありました核融合発電の実現時期、前倒しの可否について、それから、第2回CRの達成目標について、アクションプラン見直しの可能性について、及び、原型炉研究開発の優先順位についての4点について、今いただきましたいくつかのコメント等も考慮しつつ、原型炉開発総合戦略タスクフォースでぜひ御議論をいただきたいと思います。
 そして、次回もこの委員会で御報告をよろしくお願いいたします。笠田主査、大変なお仕事と思いますが、よろしくお願いいたします。
【笠田TF主査】承りました。
【上田主査】ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。次は、第30回ITER理事会及び第29回BA運営委員会の開催結果についてでございます。これは岩渕戦略官より御説明よろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】資料2-1及び資料2-2に基づき御説明を申し上げます。
 まず、資料2-1、ITER理事会の結果についてです。
 2ページ目。先週、6月15日、16日に開催されました。2年ぶりに対面出席可能な形態で開催され、一部、オンライン参加の国もありましたが、過半の国はITERの建設サイトであるフランスに集まり、理事会が開催されました。新型コロナの影響から脱しつつあるという明るい兆しかと思います。
 今回の議長は、EUのガリバ欧州委員会エネルギー総局次長で、日本からは柳文部科学審議官、鎌田QST那珂研副所長他が参加しました。2ページ目の右下にあるように、ITERサイトにおける建設が着実に進んでいます。
 今回のITER理事会の議題は、ITER計画の進捗報告及びITERの建設活動マネジメントなどでした。ITER計画の進捗について報告があり、議論がなされました。数字で言えば、運転開始までに必要な建設作業の77%が進捗したという状況です。主要な機器がITERサイトに次々と各加盟国から納入され、ITER機構によって組立作業が行われています。一番上の写真は、我が国が納入した6機目のTFコイルの写真。上から2つ目の写真は、韓国が納入した真空容器セクター3機目。立っている人との大きさの関係から非常に大きな構造物であることを感じていただけるかと思います。
 また、その下の写真にもあるとおり、日本製の超伝導TFコイルと、韓国製の真空容器セクターとを部分組立したものが実際に、最終的にITERのトカマクが置かれるトカマクピットに運ばれ、実際の位置にセッティングされました。進捗状況については、新型コロナの影響等があり、若干、スケジュール面での影響も生じていることは事実です。
 他方で、プロジェクトの進捗を維持するための様々な緩和策、影響を緩和するための方策も講じてられております。例えば、サイトにおいて段階的に実施することとしていた作業を同時進行で実施できるような作業工程の組替えなどが行われております。こうした緩和策などを含め、プロジェクトのベースラインについて議論されている状況です。
 2ポツのところにありますが、ITERでは、大変悲しい出来事がありました。本年5月、ITER機構のビゴ前機構長が逝去されました。今回の理事会の冒頭でも、哀悼の意を表する機会もありました。現在、ITER機構は、我が国の多田栄介氏が機構長に就任しています。次期機構長就任までの暫定ということです。各加盟極から多田機構長の取組を支援する、努力を称賛するという言葉があったところです。
 また、課題であるフランスの規制当局との協議状況などについても聴取しながら、様々な議論が行われました。理事会の様子を写真でも示していますが、久々の対面開催ということで、ITERサイトの現場を見ながら、活発な議論が加盟極間で行われたということです。
 続いて、資料2-2、BA運営委員会の結果です。
 直近のBA運営委員会は、今年4月28日に、QST那珂研究所で開催されました。こちらもおおむね2年ぶりの対面開催でした。JT-60SAの状況を目の当たりにしながら、議論を行うことができました。
 主な議題は、3事業の進捗報告などです。
 IFMIF/EVEDA、IFERC、サテライト・トカマク計画の3事業について、事業の進捗を確認するとともに、今後の作業計画について議論いたしました。
 各事業、3事業の進捗については、IFMIF/EVEDAを例に取ると、ビーム運転と並行して定格電圧の80%でRFQ連続調整運転を達成したといった成果が報告、確認され、今後の作業スケジュールについて検討されました。
 会議には、青森県、六ヶ所村からも御参加いただき、六ヶ所サイトにおける欧州研究者、技術者に対する生活支援等に対する地元自治体の多大な努力について感謝の意を表明するという場面もありました。その他、IFERC、STP事業の成果については、そこに記載させていただいているとおりです。
 以上、ITER理事会及びBA運営委員会の開催結果につき御報告いたしました。
【上田主査】御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。兒玉委員、よろしくお願いします。
【兒玉委員】どうもありがとうございます。2点ほど質問がありまして、1点は、ウクライナの影響で、我々というか、国によって、学術論文も止まるような状況になっております。そういう人の問題とか、そういうところは全く問題なく、ITERでは会議の下にうまく進んでいるのでしょうかというのが1点。
 それからもう1点は、やはりウクライナの関係で、今、我々を含めて、いろいろな金属材料が手に入らなくなっております。改良に必要になるITERとかはあまり影響ない金属でされているんでしょうかと、かなり気になっていたんですけども、その辺りも問題なくITERはみんなが協力していけている状況でしょうか。
【上田主査】ありがとうございます。岩渕戦略官、お願いできますでしょうか。
【岩渕戦略官】お答え申し上げます。当然ながら、ロシアの問題は、非常に幅広い影響があります。その問題からITERのみが自由であるということはありません。実際、一定の影響は生じていると理解しています。他方で、EUの対ロシア制裁を分析してみると、多国間の国際約束に基づく活動については、一定の例外を認めるといった規定もあります。米国にも同様の取組があります。こういうものを基に、ITER計画の活動自体は継続できているというところです。もちろん影響が全くないということではないわけです。
 個別具体的な影響については、欧州とロシアの間の外交的な面もあると思いますので、個々に言及することは差し控えますが、一つ一つの課題を解決すべく関係者が努力しているという状況かと思います。
【上田主査】ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【兒玉委員】ありがとうございます。
【上田主査】それでは、他に御質問等ございますでしょうか。
 私から一つだけお尋ねしてよろしいですか。BA協定の期間というのは、毎年、延長されるというようなことをBAのフェーズ2に入るときに伺ったような気がしますが、現状どういう形になっているんでしょうか。
【岩渕戦略官】主査の御指摘のとおり、毎年、見直しながら計画期間を延長していくという形を取っています。
【上田主査】このやり方で今も続けられているということですか。
【岩渕戦略官】はい。
【上田主査】ありがとうございます。
 他に委員の方から何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。はい。それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、議題3に移ります。米国における核融合計画に関する最新状況についてです。これにつきましても、岩渕戦略官から御説明よろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】資料3に基づき、米国の最新状況につきまして、簡単に御報告させていただきます。本年3月17日、米国連邦政府は、大統領府OSTPと、エネルギー省DOEの共催によりまして、「核融合エネルギーの実用化に向けた大胆な10年後のビジョン策定」と題する会合を開催しました。この会合は、DOE長官、気候変動担当の大統領補佐官が出席するなど、非常にハイレベルな米国連邦政府高官の出席の下で開催された核融合関連の会合でした。委員の皆様も注目されていたと思います。核融合コミュニティーにとって画期的な会合であったと思います。
 この3月17日の会合では、バイデン政権が核融合をクリーンエネルギーのゲームチェンジャーと見ているという状況認識を示した上で、「商業核融合エネルギーの実現を加速するための10年戦略」を官民連携の下でDOEが策定することがうたわれています。
 また、具体的な取組としては、DOEに、Lead Fusion Coordinator、主席核融合調整官というポストを新設し、関係機関間の調整に当たらせるといった新しい仕掛けが打ち出されています。また、この戦略については、現在のITER計画への参画を米国として最大限活用した上で、さらに核融合開発を加速するための新たな国際協力の可能性を模索するといったことも宣言されています。
 OSTPの方とも意見交換しましたが、この10年戦略については、民間セクターからの関心が高いということもあり、今後どのような国家戦略が米国において策定されていくのか、大変注目しています。
 以上、米国の状況について御報告いたしました。
【上田主査】ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 私から一つお伺いしてもよろしいですか。今後、数か月の間ワークショップを開催するということですが、大体、今年中に戦略を策定するというぐらいのタイムスケジュールを想定しているんでしょうか。
【岩渕戦略官】ホワイトハウスのプレスリリースに書かれているようなスケジュールになると思います。策定される戦略自体の中身についても、関心があるわけですが、この時点では開示されている情報はないということで、ワークショップの状況などを見守っていくということだろうと思います。
 基本的には、皆様御案内のとおり、DOEのFESACのレポートがすでに出ていますので、このレポートに基づいた施策が提案されるだろうと思われます。例えば、フュージョン・パイロット・プラント(FPP)といった構想について、何らか提起されるだろうと推測しますが、まだまだ内容については今後を待つということかと思います。
【上田主査】ありがとうございます。委員の方からいかがでしょうか。
 もう一つだけ。あまり細かい情報がまだ出ていないということなので、この件もまだあまり情報はないのかもしれませんが、資料の最後の方に書かれていた、新たな国際協力の可能性というところが少し気になりました。これについても特に何か情報はないと考えてよろしいですか。
【岩渕戦略官】はい、当然ここは大いに気になる点です。基本的な考え方は、このホワイトハウスのプレスリリースに書かれているとおり、ITER計画に米国が参加しているということのメリットを最大限生かしながら、その上で、それを補完する、加速するといった観点で、プラスアルファで何ができるのかといった組立てになっています。そのプラスアルファが何なのかについては、この10年戦略において、FESACレポートのどの部分を今後取り上げていくのかにもよるでしょう。それによって、適切な国際協力の形というのも変わるでしょう。この戦略の中身、それを推進するフレームワークについて、今後も注目しつつ、米国連邦政府とも情報交換していこうと考えています。
【上田主査】ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、委員の皆様からいかがでしょう。特にございませんでしょうか。はい。ありがとうございました。
 それでは、議題4に移りたいと思います。議題4、分野別研究開発プランの審議についてです。これにつきましても岩渕戦略官からよろしく御説明お願いいたします。
【岩渕戦略官】資料4に基づき御説明申し上げます。核融合科学技術分野の研究開発プラン(案)です。
 これは何か。参考資料3を配付させていただきました。今年の1月に本委員会の親委員会に当たる研究計画・評価分科会でまとめられたペーパーです。この分科会で、各分野別の包括的、概括的な分野別研究開発プランの策定を、各分野担当の委員会、例えば核融合分野の核融合科学技術委員会、に対して求める、こうしたことがまとめられています。
 今後10年程度を見通し、おおむね5年程度を計画の対象期間として、このプランを策定する。毎年8月に開催される研究計画・評価分科会で、各分野別のプランを決定し、これに基づいて評価などにつなげていく。こうしたことがうたわれています。
 参考資料3の次のページには、分野別研究開発プランは一枚で非常に簡潔に記載すると言われており、プランの大目標として研究開発プログラムの概要、あるいは上位の政策体系とどうつながっているか、こうした情報が簡潔に一枚で表現されたものを分野別研究開発プランとするとなっております。今回、初めての試みとして、分科会から求められている分野別研究開発プランというのはこのようなものです。
 このフォーマットに基づき、上田主査とも御相談しながら一案作成させていただいたものが資料4です。先ほどのフォーマットに基づいて、核融合研究開発のそもそもの大目標、あるいは研究開発の概要、上位の施策とどのような関わりを持つのかといった点を、最大公約数的に書かせていただいたものがこの案です。
 核融合政策の目標について、この分野別研究開発プランというのは政策評価に体系づけていくという考え方もあるので、文部科学省の行政目標、政策目標の体系から引用しつつ概要を書きました。環境・エネルギーの諸問題を科学的に解明するとともに、国民の生活の質の向上等を図るための研究開発成果を生み出すという目標です。
 そして、その下での研究開発の内容としては、2ポツに書いたように、最大公約数的に核融合研究開発とはどのような内容かということを、すなわち、ITER、BA、原型炉、核融合理工学の研究開発などを進めるといったことを主査と御相談の上、記載しました。
 また、上位施策との関わり、核融合研究開発と上位施策の関わりということでは、研究開発ですので科学技術・イノベーション基本計画との関連。核融合についてはエネルギーという文脈もあるので、第6次エネルギー基本計画との関係などについても、政策体系ということで例示させていただきました。
 次のページ、これも分科会から示されたフォーマットに基づき、この取組を線表的に表現したものを書かせていただきました。研究開発プログラムのアウトカムとなるような内容、指標について、最大公約的にITER、JT-60SA、LHD、原型炉などを例示しながら書かせていただきました。
 親委員会である研究計画・評価分科会のフォーマットに忠実に従いながら、核融合分野に当てはめ、プランを2ページで表現するとこうなるという案です。このようなプランでよいのかどうか御審議いただければと思います。
【上田主査】御説明ありがとうございました。今、戦略官から御説明いただいたとおりです。フォーマットに沿って書くということは、あまり細かいことをたくさん書けないという制約がある中で、必要なことを漏らさず記入するという、なかなか難しい仕事ではございましたが、今ここに提案させていただいたような形で、親委員会に提出したいと考えています。
 もちろんこれは現段階では(案)ということですが、これに対しまして、委員の皆様から御意見等あるいは御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
 大事なところは、年次計画が書いてある2ページ目、特に後ろのところにアウトカム指標というのがまとめて書いてございますが、このようなことを今から約5年の間に達成するということかと思います。
 それから、ITER計画、BA計画を推進するということが柱ではございますが、この表の下に書かれておりますように、学術研究、基礎研究も同時に総合的に推進していくということが大切であるということも記載させていただいております。
 いかがでしょうか。何かお気づきの点、御意見等ございますか。池田委員、よろしくお願いいたします。
【池田委員】すみません。言葉の確認ですが、2ページのアウトプットの指標で、「予備的な原型炉設計」という、「予備的な」という文言が入っておりますが、原型炉の設計というのは、予備設計、概念設計、工学設計と移っていくと思います。この「予備的な」というのはどれを言っているのかというのが質問です。それから、アウトカムの指標で、マル3で「原型炉設計の進展」というのがあって、マル4に「原型炉の工学設計」とあり、その設計に、あえて工学設計と分けていると思うんですけど、この辺の言葉の定義というのはかなりクリアになっているんでしょうか。
【上田主査】ありがとうございます。どうしましょうか。
【岩渕戦略官】前身となる文書として、2017年に研究計画・評価分科会でまとめた文書があります。核融合科学技術委員会からのインプットで作られた文章ですが、2017年の時点では、概念設計の基本設計を行っているという段階でした。今から5年間だとすると、概念設計になります。時々によって、活動内容というのは変わってきます。こうしたことも踏まえ、先人の皆様が工夫され、2017年時点では予備的な原型炉設計活動、という言葉が研究計画・評価分科会の文書に書かれていたという経緯があるようです。
【池田委員】ありがとうございます。私自身、勉強不足もありますけど、そういう意味では、概念設計、工学設計に入っていくと思いましたので、それと整合されているものだと思っていました。どうもありがとうございます。
【上田主査】ありがとうございます。他にございますでしょうか。五十嵐委員、よろしくお願いいたします。
【五十嵐委員】ありがとうございます。五十嵐です。御説明ありがとうございました。1枚にまとめると、こういう形になるのかなと思います。全体をおまとめいただいていると思うんですけれども、私は研究計画・評価分科会の方にも出ていて、実際にプランがどういうふうに活用されていくのかが一番気になっているところなんですが、元のフォーマットで、一番下の備考というところ、これは資料だと何ページだったか。〇〇分野研究開発プランフォーマットというのがあるんですが、その中で、分科会の方でも議論になったことが、横断的な分野についてどうするかという話です。
 申し上げたいのは、備考として、本研究計画プランと関わる可能性がある横断的な分野について記載することができる、という記述があるんですね。実際、核融合研究のように長期的な計画になると、また、特に核融合の分野は、もともと計算科学、情報科学であるとか、ナノ材料など、すごく関わりの深い分野があるかと思います。そういったところとの横断的な研究などの記載も今後検討していただけるといいかなと思いました。
【上田主査】ありがとうございます。重要な御指摘だと思いますが、どの辺のところにそこら辺は記載できそうですか。
【五十嵐委員】研究計画・評価分科会で複数の委員から指摘があって、分野別プランをつくるのはいいけれども、これまで分科会で重要視してきて、今また、総合知であるとか分野融合ということが議論されている中で、分野別だけでいいんだろうかという御意見がたくさんあった中で、「備考」をつけていただいたんだと思うんですね。分野から、横断的な広がりも持っていくべきではないかということだと私は受け止めているので、繰り返しになりますが、核融合という分野は、非常にスパンが長く、また、今後、いろいろな分野と協働していく分野だと思うので、そういった目配りも今後お願いしたいということを申し上げたいと思いました。
【上田主査】御趣旨はよく分かりました。多分、情報科学とかその辺のところとの関連性も一言書いた方がいいというふうに私は理解しましたが、五十嵐委員として他にもお考えございますか。
【五十嵐委員】そうですね。情報系とか、材料などはすごく関係が深いと思います。そういったところと実際、連携していけるといいかなと思いました。最後気になりましたので、発言させていただきました。
【上田主査】御意見ありがとうございました。ちょっと具体的な文言は少し、すぐには申し上げにくいですが。
【五十嵐委員】今回ということでなく、今後、何か見直しの機会があればということです。
【上田主査】分かりました。少しこちらで事務局とも検討させていただきたいと思います。貴重な御意見をありがとうございます。
【岩渕戦略官】今の議論を興味深く拝聴いたしました。このプログラムの中にも核融合理工学という言葉で、資料4で表現させていただきました。今日はNIFSの吉田善章委員が御欠席なのですが、この核融合理工学というのは縦割りの分野なのか、あるいは横断的な理工学分野なのかということについての議論を吉田所長がなされております。その議論で、吉田所長の思う核融合理工学というのは、今、御指摘にあったような、横断的なものだということだと理解しております。
【上田主査】ありがとうございます。
 それでは、今ここでどう対処するということはまだはっきり言えませんが、先ほど申し上げたように検討させていただきたいと思います。
 他に御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、実はこの書類につきましては、先ほど戦略官から御説明があったように、8月の親委員会にもうかけないといけないということもございまして、時間がありませんので、勝手ではございますけれども、私と事務局の方で相談して、対応したいと思いますので、私、主査に対応を御一任いただきたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【上田主査】ありがとうございます。
 それでは、本日用意いたしました議事につきましては以上でございますが、この他何か、特に委員の皆様から、報告あるいは審議すべき案件がございましたら御発言をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。本日の核融合科学技術委員会をこれで閉会したいと思います。御多忙の中、御出席いただき誠にありがとうございました。

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