核融合科学技術委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成30年7月24日(火曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省15F 特別会議室

3.議題

  1. 第22回ITER理事会の開催結果について
  2. 第22回BA運営委員会の開催結果について
  3. 原型炉開発ロードマップの策定について
  4. アクションプランのフォローアップについて
  5. 我が国全体の状況を把握するアウトカム指標について
  6. その他

4.出席者

委員

小川主査、大野主査代理、渥美委員、五十嵐委員、植竹委員、牛草委員、岡野委員、尾崎委員、岸本委員、兒玉委員、高梨委員、高本委員、竹入委員、村上委員

文部科学省

増子大臣官房審議官、松浦研究開発戦略官、阿南室長補佐、吉澤核融合科学専門官、上田科学官、秋山学術調査官

5.議事録


【小川主査】  本日は,御多忙のところ,お集まりいただきありがとうございます。昨日は私の出身地である熊谷で41.1度という記録が出まして,非常に暑い日々が続いておりますなかお集まりいただきありがとうございます。また,本日は全員出席と伺っていますので,どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。座らせていただきます。
 それでは,定刻になりましたので,事務局で定足数の確認をお願いいたします。
【吉澤専門官】  本日は,先ほど小川主査から御説明がありましたとおり14名全員御出席いただいております。委員会の充足数は過半数7名以上ですので,満たしております。
【小川主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまから第14回核融合科学技術委員会を開催します。なお,委員会の運営規則に基づき,本委員会は原則として議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され,ホームページ等で公開されますので,御承知おきください。
 次に,委員,事務局の異動がございましたので,事務局から紹介をお願いいたします。
【吉澤専門官】  海老塚委員,佐藤委員,森委員が御退任をされまして,新たに植竹委員,牛草委員,髙本委員に御就任いただいております。参考資料の1の方に名簿を付けさせていただいておりますので,ごらんください。
 あと,事務局にも異動がございましたので,名前だけ紹介いたします。私は,野田の後任で4月より着任しております吉澤と申します。あと,事務局の類家と石原でございます。よろしくお願いいたします。
【小川主査】  よろしくお願いいたします。
 新しい委員として,植竹委員,牛草委員,それから髙本委員,3名就任されましたので,よろしかったら一言ずつ。植竹委員の方から,よろしくお願いします。
【植竹委員】  日本原子力産業協会の植竹でございます。どうぞよろしくお願いします。
【小川主査】  牛草委員,よろしくお願いします。
【牛草委員】  量研機構の牛草です。4月1日から部門長を拝命しました。よろしくお願いします。
【小川主査】  髙本委員,お願いします。
【髙本委員】  日本電機工業会の髙本でございます。もともと日立製作所で仕事をしておりました。よろしくお願いいたします。
【小川主査】  よろしくお願いいたします。
 次に,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【吉澤専門官】  配付資料の一覧は,議事次第に記載しているとおりです。資料の読み上げは省略させていただきますが,議事を進めていく中で落丁等ございましたら,事務局の方にお知らせください。
 なお,ファイルの中にいつものように参考資料等を付けさせていただいておりますので,適宜御参照ください。
 以上です。
【小川主査】  よろしいでしょうか。
 本日は,文部科学省より研究開発局担当の増子審議官に御出席いただいておりますので,議事に先立って御挨拶を頂きたいと思います。増子審議官,よろしく。
【増子審議官】  文科省の審議官の増子でございます。本日,大変お忙しい中,また猛暑の中,文科省までお越しいただきまして,まことにありがとうございます。
 本日は,核融合の原型炉のロードマップについて御審議いただいて,まとまればお決めいただくということになっております。また,昨年12月には核融合の原型炉の今後の進め方についての方針をまとめていただきましたし,また3月には核融合を進める上での人材育成・確保,その辺についての方針も示していただいたということで,ある意味,半年強の間に3つの報告書を取りまとめていただくということになりますので,先生方の大変精力的な活動のたまものであるということで,深く感謝しているところでございます。
 また,後ほど戦略官の方から御説明を申し上げますが,最近,ITERとかBA活動,かなり積極的に進めております。ITERについても,今年の6月に理事会が開かれまして,2025年のファーストプラズマに向けて,現地の工事も順調に進んでいるというふうに伺っておりますし,また,EUとのブロードアプローチ活動につきましても,今年4月,運営委員会,私が日本側の議長になっておりますが,2020年以降のフェーズ2についても両極において引き続き積極的に対応していこうということで,核融合について順調に進んでいるということを,まずもって申し上げられると思います。
 これから,平成31年の概算要求に向けて,必死に今,核融合予算をしっかり要求できるように努力しておりますので,本日取りまとめいただきますロードマップについても,これを参考にしながら引き続き対応していきたいと思いますので,きょうも活発な御議論,何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございます。
 それでは,早速,議題に入っていきたいと思います。
 最初の議題は,第22回ITER理事会の開催結果について,出席した松浦戦略官より御報告をお願いいたします。
【松浦戦略官】  資料1をごらんください。第22回ITER理事会の結果ということで,1ページ目をごらんいただけますとおり,先月,6月20日から21日にかけてITER機構本部で理事会が開かれました。2年に一度,理事会ほか関係会合の議長を各極で持ち回りするということで,本年からはインドが理事会の議長国となりました。日本からは,文部科学審議官の伊藤が出席しております。
 2ページ目をごらんいただきたいと思います。今回,ITER計画の進捗等について,2025年の運転開始スケジュールを確実にするということを目的としまして,主要機器の納入スケジュールや建屋建設の遅延リスクの緩和ということを行うために建設戦略を改訂いたしました。この改訂した戦略については,理事会の下にある科学技術諮問委員会,STACと呼ばれる会合でも技術的に可能という評価を頂いております。そうしたことを踏まえて,今回提案した建設戦略については,2016年11月に暫定合意されているコストの範囲であるという旨の確認もした上で承認をしております。
 実際,サイトツアーも行われましたが,2025年の運転開始に向けて,様々なリスクというのは出てきて,その都度対処しておりますが,着実に進捗しているということを確認しております。
 あわせて,2016年11月に暫定合意されたスケジュール,コスト,ベースライン2016と呼んでいますが,これについては現在,各極が国内プロセスをして,最終合意に向けて調整中です。欧州は,今年の4月に閣僚理事会を開いて,ITERの最終合意に加わることを欧州委員会に対してマンデートを与えるという決定をしました。残りは,米国,インドになるわけですが,それぞれまだ調整中という回答がありました。次回以降のITER理事会において最終合意するということを目指して,各国ともそれぞれ努力するということになりました。
 次回は,2018年,今年の11月にまたITER機構本部で開催予定です。
 最後のページは,最近の進捗の写真です。真ん中にございますとおり,トカマクの設置場所,これはトカマクピットになりますが,生体遮蔽は,コンクリート工事は全部終わりまして,上に仮ぶたが設置されております。周辺の建屋もかなり建設が進んできている状況が見て取れると思います。
 右側は,日本の機器製作ですが,特にTFコイルの構造物,これは昨年末,韓国の蔚山にある現代の工場で日本の構造物も含めて,全体の組合せが無事に終了して,これはもうイタリアの工場にシッピングされています。
 また,一番右下の中性粒子ビームのテストファシリティの日本の機器も全て昨年秋に送られまして,昨年末に無事に全部コンポーネントが搬出したということで,日欧関係者が集まってセレモニーと見学もしました。主なところは以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。ITER理事会の進捗に関して報告がありましたけれども,何か質問等ありましたらお願いいたします。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは,次の議題に移らせていただきます。次の議題は,第22回BA運営委員会の開催についてでございます。BA運営委員会に出席しました松浦戦略官の方から御報告をお願いいたします。
【松浦戦略官】  資料2をごらんください。第22回BA運営委員会の結果概要,1ページ目をごらんください。春と冬に運営委員会が開かれておりますが,春は日本で開催しております。3年に一度,那珂のサイトでBA運営委員会を行うということで,今年は那珂で行いました。日本からは,文科大臣官房審議官の増子,欧州側からはガリバ局長が出席しております。
 2ページ目をごらんください。まず,IFMIF/EVEDAについては,原型加速器,LIPAcの調整試験が順調に進捗,欧州が製作しているRFQの試験も無事に開始できたという報告がありました。IFERC事業については,暫定最終報告書が提出されるなど,全体が順調に進捗をしている。サテライト・トカマク,JT-60SAですが,欧州が製作するトロイダル磁場コイル18機全て設置完了するなど,2020年3月の組立て終了に向けて明確な見通しが得られました。
 今後,2020年4月以降については,BAフェーズ2ということで,運営委員会の下にタスクグループを作って,具体的な計画,あるいは行政手続について議論してきております。
 今回,運営委員会では,次回12月の運営委員会までに各事業について,2025年までの事業計画を検討するように要請しております。その主なスコープは,まずIFMIF/EVEDAについては,長期連続運転に向けた高度化,そして,これまでの活動を踏まえた核融合中性子源の概念設計を行う。IFERCについては,原型炉設計活動やそれに必要なR&D,計算機シミュレーション等を実施する。JT-60SAについては,装置の運転を通じて,ITERや原型炉のための運転シナリオの開発等を行う。
 この主なスコープに従って,次回の運営委員会までに事業計画を検討するということを各プロジェクトチームに要請しております。また,タスクグループでは,日欧それぞれの貢献額の更新について,具体的な行政手続のやり方,あるいはスケジュールについて議論を継続しております。
 また,文科省からは,六ヶ所サイトへの外国人研究者とその家族のための生活支援及び教育支援の報告を行いまして,地元の多大な努力のサポートに対して感謝の意を表明しております。次回は,12月にフランスのグルノーブルで開催予定です。
 最後のページは,BAの現在の活動ですが,遠隔実験センターも大規模なデータの転送等に順次成功しております。また,先ほども申し上げましたとおり,高周波四重極加速器,RFQは,世界で初めて8系統を用いた陽子ビームの加速試験に成功した。あと,その下にございますとおり,JT-60SAについては,全てのTFコイルが装着完了した。これは大きなマイルストーンです。
 以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。六ヶ所サイト,それから那珂サイトともに順調に進んでいる。それからあと,BAフェーズ2に向けての議論も,これだと今年の12月にBAフェーズ2の概要がほぼ決まってくると理解してよろしいでしょうか。
【松浦戦略官】  そうですね。主なスコープは,ほぼタスクグループの昨年12月に出された第一次報告でおおよそ明らかになっていますが,個々の事業についての詳細な計画を次回までに検討するということで,そこでかなり煮詰まる状況だと思います。
【小川主査】  ありがとうございます。我々が進めています原型炉に向けての推進方策とも絡んでくると思いますので,皆さん,質問等,何かあるでしょうか。コメント,御意見。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは,以上をもちましてBAの運営委員会の報告概要の議題を終わらせていただきたいと思います。
 それでは,続きまして,先ほど増子審議官からもありましたように,本日の主たる議題の一つであります原型炉開発ロードマップの策定についての議題に移らせていただきたいと思います。
 原型炉総合戦略タスクフォースにおいて,原型炉建設並びにその実用化に向けた原型炉研究開発ロードマップについて御議論いただいておりました。アクションプランに示された開発課題のうち,限られたリソースの中で優先的に実施すべき課題を抽出するための開発優先度及び国際協力,この2点に基づいたロードマップの一次まとめ案を作成いただきましたので,御議論いただきたいと思います。
 それでは,タスクフォースの主査であります岡野委員より御説明お願いいたします。
【岡野委員】  岡野でございます。それでは,御説明させていただきます。資料3をごらんください。時間が限られておりますので,本当は全部一言一句読みたいのですが,要点だけをお話しさせていただきたいと思います。
 1ページ目ですが,今,小川先生から御紹介があったように,この1ページ目には,どうしてこのロードマップが必要であるかとか,どういう目的で作ったとか,これまでの経緯が書いてありまして,ちょっとここはスキップさせていただき,本文,2ページ目から御説明させていただきます。
 ロードマップ作成の観点でございます。観点の1つ目は,5行ぐらい下がって,マル1,開発の重要度と緊急性,ここは読ませていただきますが,アクションプランに示された開発課題は,いずれも原型炉建設には必須の項目ではあるが,以下のような観点に基づき,特に重要なマイルストーンとその関連研究を抽出しています。(1)として,「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」で示したチェック・アンド・レビューの項目を達成するために,直ちに着手することが必要な喫緊の課題とそのマイルストーン。その下にチェック・アンド・レビュー2020年,2025年ということが書いてありますが,ここに必要なものを書き出す。
 それから,2番目として早期に建設や設計を開始しなければチェック・アンド・レビューや移行判断に間に合わなくなることから,時宜を得た※予算措置が必須の課題とそのマイルストーン。
 3番目として課題間の相関関係の視点から,重要な戦略的課題とそのマイルストーン。
 なお,上記(1)~(3)の観点により早期実施が重要とされた課題を我が国独自で実施するべきなのか,国際協力によって実施するべきかについては,以下の観点で整理しました。
 マル2,国際協力でございますが,アクションプランに示された開発課題のうち,国際協力で実施すべきものは,以下のような観点に基づいて抽出します。
 これまでの研究開発の実績により我が国に高度の研究開発基盤があり,他国に対して指導的な立場に立つことができる課題。2番目として,国内研究開発との相補性により国際研究での実施が効率的と考えられる課題。3番目に,リソース的に我が国単独では実施が困難な課題。これは,ITERなんかがその例だと思うんですが,そういった3つに分けて考えます。
 それでは,ロードマップの概要のページに行かせていただきます。ここも項目を1つずつ拾いますが,要点だけ御説明させていただきます。
 まず,ロードマップで最も重要な項目はマル1,ITER計画でございます。6行ほど飛ばせていただいて,「現在建設段階にある」のところから読ませていただきますが,現在建設段階にあるITER計画は,最も優先して開発を進めるべき事業である。最初の重要なマイルストーンは2025年の初プラズマ点火であり,その先に予定されている核融合研究にとって最も重要なマイルストーンである「重水素・トリチウム燃焼着火」に向けてプラズマ制御試験を開始する必要がある。原型炉に向けては,DT燃焼着火後,燃焼制御・工学試験を開始し,長時間燃焼への道を開く必要がある。
 ITERの技術目標達成のために,JT-60SAによる先行研究が重要であり,その成果を確実にITERでの開発に反映していく体制構築を行うとともに,関連する我が国の研究開発基盤を基にITERの研究計画に寄与することが必要である。
 ITER計画が運転段階に入った2020年代後半以降は,原型炉へ向けた炉心プラズマの研究開発や,ブランケットの機器試験などを本格的に実施することが可能となる。その機を逃すことがないよう,必要な先行研究を着実に積み重ねて,原型炉関連の研究開発を加速する必要がある。
 次の項目は,先ほどもありましたBAでございますが,幅広いアプローチのフェーズ2でございます。現在,フェーズ1をやっているわけですが,フェーズ2は2020年から計画されております。これについて御説明いたします。
 前半10行ぐらいは,これまでの経緯などですので,次のページ,5ページの上から7行目ぐらいの「本活動は」から読みます。
 本活動は,欧州においても,国際協力の好事例と認識されており,2020年4月以降の活動をBAフェーズ2として位置付け,現在,実施計画等を日欧間で検討している。日欧で実施することを想定している具体的な取組内容は,1つはIFERC,国際核融合エネルギーセンター,それからIFMIF/EVEDA,それからJT-60SAでございます。
 こうした取組は,原型炉に向けた設計・開発活動として大きな役割を果たします。とりわけJT-60SAの建設を2020年3月までに完了し,その後の初プラズマ点火を着実に実現し,初期研究段階に移行することが必要である。その後,ITERの技術目標達成のための支援研究や,原型炉に向けたITERの補完研究を実施する統合研究段階を経て,高性能定常プラズマの長時間維持を目指す拡大研究段階へと展開し,定常運転領域を実証することが重要である。
 なお,JT-60SAは,トカマク国内重点化装置計画にも位置付けられる装置であり,国内の研究者コミュニティーが実施機関である量子科学技術研究開発機構とともに,JT-60SAを利用した研究計画を共同企画・立案しつつ実施していくことも重要である。
 最後の4行は,JT-60SAが,BAだけのものではないということを念のために確認するために書いてあるものでございます。
 3番目は,核融合中性子源になります。これについては国際協力も利用して実施となっています。失礼しました。読み忘れましたが,ITERと幅広いアプローチに関しては国際協力で実施となっていたんですが,この中性子源については国際協力も利用して実施と考えています。
 めくっていただいて,次のページの3行目の「我が国に」というところから読ませていただきますが,我が国においては,量子科学技術研究開発機構を中心に,これまでのIFMIF/EVEDAの成果を踏まえ,核融合中性子源,A-FNSの検討が進められているが,欧州実施機関においても,設置場所をスペイン又はクロアチアとすることを前提とした欧州核融合中性子源(IFMIF/DONES)の実現性の検討を始めている。原型炉開発を着実かつ効率的に進める観点から,六ヶ所村において進めてきたIFMIF/EVEDAの経験や成果を生かして,国際協力を得ながらA-FNSの建設を具体化することが望ましい。
 第1回中間チェック・アンド・レビューでは,A-FNSの建設推進判断を行う。それに向けて設計R&Dを実施します。建設推進判断後は,IFMIF/EVEDAとして中性子源用原型加速器の技術実証を実施するとともに,A-FNSの工学設計を進めます。第2回中間チェック・アンド・レビューでは,その成果を基にA-FNSの建設移行判断を行いまして,建設設計と建設に速やかに進むことが肝要である。2030年頃からの核融合中性子照射試験をA-FNSで開始して,原型炉の建設判断に必要な材料等の初期照射データを取得する。
 ここでA-FNSという言葉が出てきましたが,文科省から出す資料として,この名前が出てくるのは,多分,この資料が初めてではないかと思います。
 それから,4番目,原型炉研究開発についてです。これも途中から読ませていただきますが,7行目ぐらいの行の途中で恐縮ですが,「第1回中間チェック・アンド・レビュー」というところから読ませていただきますが,この第1回中間チェック・アンド・レビューでは,それまでのBA活動の成果を踏まえ,概念設計とそれに必要な要素技術開発の開始判断を行う。第2回中間チェック・アンド・レビューでは,原型炉概念を設定し,工学設計・実規模技術開発の開始判断を行う。
 また,その後の原型炉工学設計・技術開発段階では,原型炉の設計の進捗と第2回中間チェック・アンド・レビューでの判断を踏まえ,実機大超伝導コイル開発試験のための設備や,日本の原型炉が採用する遠隔保守技術を開発する設備の建設判断を行う。また,JT-60SAやITERの実績を踏まえて,原型炉へ適用可能な加熱・電流駆動装置の開発を実施する必要がある。
 それから,原型炉研究開発の2番目としては原型炉シミュレーターの開発,これはコンピューターシミュレーションですが,これについては5行目から,「今後は」のところですが,今後は,燃焼プラズマ等の実験的知見,最新の計算科学の知見などを取り入れ,原型炉のより効率的な制御,運転領域の拡大などを目指し,原型炉用シミュレーターの開発を進める必要がある。そのためには,核融合専用の計算機資源を計算機技術の発展に合わせて確保していくことが重要である。
 3番目の項目は,安全性とトリチウム取扱い技術です。4行飛ばせていただいて,安全性の研究は,核融合固有の安全性も生かすように実施していく必要がある。データを蓄積していく意味から,検証と妥当性確認,これはV&Vとよく言われるものですが,このV&V実験等を早期の段階から着実に推進して,原型炉の安全性の検討を実施していくことが重要である。
 また,トリチウムの大量取扱い技術は,ITERがフランスに建設されることも踏まえ,ITERの知見を生かしつつ,国内技術として蓄積する必要がある。第2回中間チェック・アンド・レビューでは,燃料システムの開発に必要なトリチウム大量取扱い技術開発のための設備の建設判断を行う。
 4番目,炉工学と関連基盤研究。これも国内で実施でございますが,4行下がっていただいて,第1回中間チェック・アンド・レビューでは,高密度ダイバータの試験設備の設置判断を行う。また,JT-60SAや大型ヘリカル装置,高密度ダイバータ試験設備によるダイバータ関連データを基に行う第2回中間チェック・アンド・レビューの判断に沿い,A-FNSの建設と同じ場所にダイバータ熱負荷試験のための設備の併設を判断する。
 (1)から(4)の成果を踏まえて,社会受容性と実用化段階における経済性の見通しを得て,技術開発と整合をとった原型炉工学設計を完了させる必要がある。
 一方,大学等を中心として取り組む必要がある先進的,基礎的研究課題も存在する。したがって,特に早期に炉工学研究の基盤を形成する必要のある事項を優先して,炉工学基盤研究を推進する。
 5番目の項目は,ブランケット技術です。これも国内で実施いたします。4行目からですね。ITER用テストブランケットモジュール(TBM)をITERに装荷するために必要な安全実証試験及び工学試験等を通してTBMシステムの開発を実施する。TBM1号機をITERに取り付け健全性を実証するとともに,DT燃焼着火後にはTBM2号機でトリチウムの増殖材や中性子増倍材といった機能材の検証を行い,トリチウム回収を実証する。工学試験等を含むTBMシステムの開発で成果を取り込みながら原型炉用ブランケットの工学設計開発へ展開する。
 ここにITERのTBMのことしか書いていないように読めますが,原型炉ブランケットは,ITER,TBM,ブランケットを基盤にして,同じとは言わないんですが,それをベースに作るものなので,特にITERでTBMを開発することが第一歩として重要だということで,このように書いてあります。
 6番目が大型ヘリカル研究です。ここは,真ん中あたりの右端の方の「イオン温度1億2,000万度」というところから読ませていただきますが,イオン温度1億2,000万度を達成するなど,顕著な成果を上げています。学術研究から開発研究への将来展開も想定しつつ,今後も様々な学術的視点から,大型のヘリカル研究を推進する。これらを通じて核融合炉に共通する技術課題を解決することによって,原型炉研究開発に貢献する。
 7番目が高出力レーザー研究。これは,主に大阪大学でやっていらっしゃる研究を中心としているわけですが,ここは最後のパラグラフを読ませていただきますと,今後,高出力レーザー研究については,核融合以外の分野への学術的広がりを視野に入れて,学術研究から開発研究――これは核融合の開発研究という意味ですが――への将来展開も想定しつつ,上記原型炉開発への寄与――これはトカマクのことですが――も含めて推進するというふうになっています。
 8番目が社会連携活動ですが,これはもちろん国内で実施です。核融合エネルギーが国民に選択され得るエネルギー源となるためには,社会との情報共有と不断の対話が必須である。戦略的なアウトリーチ活動を実施するため,アウトリーチヘッドクオーターを設置し,日本全体を統括して社会連携活動を実施し,国民的理解を醸成することが必要である。
 それから,9番目,第4段階への移行。これは,実はロードマップの絵には明快に出てこないんですが,重要なので項目を挙げてあります。
 上記の着実な実施を経て,2030年代のチェック・アンド・レビューにおいては,原型炉建設段階である「核融合研究開発第4段階」への移行を判断する。別紙の原型炉研究開発ロードマップには,その時点で達成すべき目標の例を示している。また,社会連携活動の充実によって,核融合炉実用化に向けた国民的理解が形成されていることが,第4段階への移行に大変重要な判断条件であることを追記しておく。
 最後のページは,原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化の話でございます。今までは共同研究等が全て一元的に取り扱われていたんですが,大学の方が使いやすいようにと考えて,今,連携強化のための仕組みを作っております。それについての記述がございます。ちょっと長いので,ここは省略させていただきたいと思います。
 次のページが,カラーの絵がありますが,これがロードマップの案でございます。今,文章で読んだところがイメージとして書かれているものですが,上から順番に見ていきますと,まずITER計画がございまして,2025年にはDT燃焼に向けたプラズマ点火,プラズマ点火というのはDT燃焼ではございませんが,プラズマ着火して,それが2035年にDT燃焼に行くというものが書いてございます。
 この図の一番左側には国際協力で推進というのがあって,だんだん色が薄くなって国内独自技術として推進になっていますが,イメージとしては,だんだん下に行くにつれて国内でやる重みが増してくる,そういう書き方をしているつもりでございます。
 ただし,大型のヘリカル研究と高出力レーザー研究については,当然,国際協力もしながらやっているはずなんで,一番下の白いところになっちゃっていますが,そこは,ちょっと図の都合でしようがなかったということをちょっと御了解いただければと思います。
 2番目として,BA活動フェーズ2が書かれておりまして,その一部としてJT-60SAが書かれております。SAは,初期研究段階は2025年まで続きまして,その後,統合研究段階に行って,拡大研究段階に入って,第4段階の移行判断までに多くのデータを出すという計画でございます。
 3番目が核融合中性子源でございまして,技術実証と工学設計の後に,2025年のチェック・アンド・レビューの判断を受けて建設に入って,2030年頃からは中性子照射試験を開始したい。それによってデータを得て,第4段階の移行判断をするということになります。
 4番目が原型炉研究開発でございますが,これは,たくさんの要素がございますが,まず2020年からは概念設計と要素技術開発段階でございまして,中間チェック・アンド・レビューを2025年に終えた後,工学設計・実規模技術開発に入ります。イメージとしては,ここからは予算的にも結構大きな規模になると思います。
 ちょっと背景の話に入りますが,言い忘れていたんですが,背景に水色の右上がりの山のようなものが書いてあると思うんですが,これは,この規模で予算が上がるとか,そういうことを言っているのではなくて,イメージ戦略なので,ちょっとここは御了解いただきたいと思います。これを最後まで残していただいたのは大変有り難いですが,イメージだと思ってください。これぐらい頑張るんだよと,そういうイメージで書いてあります。
 核融合コミュニティーの頑張り方を,今でも頑張っているんですけど,人員の裂き方がどんどん増えるというイメージを描いたものだというのをちょっと誤解ないようにお願いします。
 ちょうどその根元のところですが,ブランケット開発が5番目にございまして,安全実証試験,それからITERへのテストブランケットモジュールを入れて,当然,これは原型炉へのブランケットにつながっていくということになります。
 それから,6番目が大型ヘリカル研究で,7番目が高出力レーザー研究。これについては,今後展開していただいて,学術研究から開発研究への展開も想定して進めているということでございます。
 それから,余談ですが,マル7の高出力レーザー研究は,最初大型レーザー研究と書かれていたんですが,レーザーは性能がよくなるほど小型になるということに気が付いて,名前を変えさせていただきました。よろしかったでしょうか。大型じゃないよなという話になって,明らかに小型になるので,このように書かせていただきました。
 それから,8番目,社会連携活動については,黄色い線が引いてあるだけですが,とにかく重要であるので,ずっとやるということを書いてありまして,マイルストーンとして,一番右の方に原型炉に向けた社会連携活動の実施で,社会の理解を得ることが大事であるということが書かれております。
 ここまでが主なロードマップですが,次のページからは参考資料として人材の育成・確保についてのお話が,ここに添付してございます。
 それから,もう一つ添付資料がありまして,用語集が26ページから付いているという形になっております。
 ちょっと時間が長くなりましたが,以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。タスクフォースの方では,ロードマップ作成に当たりまして非常に御尽力いただきありがとうございました。
 皆様,本ロードマップ案の位置付けですけれども,先ほど岡野委員からもありましたように,まず昨年12月に,この委員会で今後の核融合の推進についてという報告書をまとめさせていただきました。それは,ある意味ではフィロソフィー的なもので,基本的には第1回チェック・アンド・レビューを2020年頃,それから第2回のチェック・アンド・レビューを2025年頃にと。この別紙にありますポンチ絵の一番上のカラムです。そして、2035年頃に第4段階に入るかどうかの判断をする。そのとき,どういう項目がキーですよというのを議論した。ある意味でのフィロソフィーをまとめたのが昨年の報告書でございます。
 一方,それと同時にタスクフォースの方では,技術的な項目やアウトリーチに関する社会的な項目を含めまして,十数項目にわたりまして,この横の年表に沿って細かくテクニカルなイシューを挙げていただきました。
 それを,ここでロードマップとしてマージしたというのが今回のロードマップ案の報告書だと思っていただければと思います。技術屋さんの目で見たアクションプランになっていましたのを,最初のフィロソフィーにのっとってマージして,2つのキーポイントを踏まえてまとめた、という事かと思います。
 1つは何かというと開発の優先度というキーポイント。もう一つは何かというと国際協力としての視点という観点からまとめたというものでございます。それが,このポンチ絵1枚にまとまっていると理解していただければと思います。
 それを具体的文章としたのが,その前の4ページ目からです。2ページ目,3ページ目はどういう観点で国際性と緊急性をまとめたかというものでして,具体的には4ページ目から10ページ目までがどのようなロードマップになっているかというのを文章化したものでございます。
 この文章化のところ,先ほど岡野委員に読んでいただきましたけれども,第1回と第2回のチェック・アンド・レビューで何がチェック・アンド・レビューの項目になっているのかというのがかなり明確に書かれていると思います。それから,どれを優先するのか。それから国際でやるのか,国内でやるのか,それも非常に明確に書かれております。
 というのが,本日のタスクフォースでまとめていただいたロードマップの概要,一次まとめでございます。
 ということで,これについて本日,御議論したいと思いますので,御意見,御質問等ありましたら,是非,いろいろお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。どこの部分からでも結構でございます。
【五十嵐委員】  よろしいですか。
【小川主査】  どうぞ。
【五十嵐委員】  御説明ありがとうございます。大変分かりやすく,非常に明確にまとめていただいたかと思います。本当にお疲れさまでございました。こうして整理していただくと,詳細な計画を立てやすくなると思いながら拝見いたしました。
 少し確認させていただきたいことがあるんですけれども,4ページのところから御説明いただいて,ロードマップの概要となっておりますが,これは,ここにあるロードマップの図の概要説明であって,さらにもっと詳しい説明が付くということでしょうか。概要というと,何か別にもっと詳しい説明があるというように受け取られないかなと,ちょっと思いました。
 一次まとめとしては,これが全体であるとすれば,少しタイトルが違うのかなと思います。その点と,あと,ページ戻りまして2ページのところ,国際協力の視点です。3点挙げていただいて,これを拝見していると,それでは,国内でやるものは何なのかなと逆に思いまして,国内でやるべきであるという判断はどういうご説明になるのだろうかということがご質問の二番目です。
 それと,一番申し上げたいのは,やはり私の立場的に、社会連携のところですが,議論していただいて非常に有り難いと思うのですが,それが国内で実施ということになっているのが気になります。どうしても社会連携というと、国民の理解を醸成というふうになってしまいがちですけど,私としては,社会連携というのは国民の理解を増進するだけではないと考えますので,その言葉遣いが多少ひっかかるのと,せっかくITERをやっていて,核融合研究というのは国際的にもいろんな国のいろいろな方たちの理解を得て進め,将来のエネルギーとなっていくものだと思いますので,海外がどういうアウトリーチ活動をしているかというのを互いに参考にし、協力しながらやっていくべきものかなというふうに思います。これはコメントです。すみません。
【小川主査】  ありがとうございました。
 3点あったと思うんですけど,1点目のタイトル,確かに「2.ロードマップの概要」だと。事務局,どう思われます。ロードマップとしちゃいますか。
【阿南補佐】  よろしいですか。すいません,事務局です。
 ロードマップの本体が,この図であると認識して送ったもので,この図だけだとちょっと分かりづらいということで,多分,本文があるという認識だと思って,それでタイトルも,こちらがロードマップで,タイトルもマップについてという形になったと思って,文章の方は,恐らく,この図に対する説明ということだと思いますんで,ロードマップの概要ないしはロードマップについての説明とか,そういう形がいいのかなと思っているんですけれども。
【小川主査】  そうですね。
【岡野委員】  少なくても全貌とかですよね。本当は全部書いてあるので概要ではないですね。
【小川主査】  そうですね。分かりました。1点目は,ある意味では,ロードマップというと,どうしても,このポンチ絵みたいな図で,これがロードマップですと出すことが多いと思いますので,これをメーンだと思っていただいて,それを文章化した全貌,又は説明というのも変ですね。解説というか,そういうのが2章に書いてあるということですので,ロードマップの概要という言葉ではなくて,言葉は後でまた考えさせていただきたいと思います。
 それから,2点目,2ページ,3ページ目のところで,国際協力でやるべき点はどうなのかということを(1),(2),(3)で書いてあるけど,国内でやるべきという理由のところが書いていないという御指摘ですよね。この項目は,こういう視点だから国内でやるべきだと。そういうのがあるべきだというんですけれども,岡野委員,その辺はどうですか。
【岡野委員】  国際協力でやるべきものの裏返しではあるんですが,ITERが日本にないことによる例えばトリチウムとか,そういったものは国内でやると。そうか,国内でやるべき定義が書いていないという指摘ですかね。
【小川主査】  そうです。逆に,例えば安全研究,トリチウム研究というのは国内でやるべきであると書くべきなのかもしれない。
【岡野委員】  そうですね。ただ,国内で囲い込むという意味ではなくて,国内でやると書いてあっても,共同研究を絶対しませんという話ではないんですね。当然ながら共同研究等は国際協力しながら進めるんですが,例えばお金を半分ずつ出して作るとか,そういうことはないという意味であって,国内だけで閉じようと思って書いてあるものはほぼないと思うんです。核融合研究は,全部,世界じゅうと協力してやっているものだと思うんです。
 ただ,技術として必ず自分たちの手元に残さなきゃいけないものは国内研究として進めるというふうに書かれているわけです。安全研究やトリチウムの取扱い研究は,その典型的な例ですが,ブランケットについても,日本のブランケットとヨーロッパのブランケット違うというのもありますので,日本式のブランケットは日本でやるということで国内実施になっているという位置付けでございます。
 あと,社会連携について国内実施というのは,確かに私も,これはどうかなと思ったんですが,広い意味での国内実施でございまして,海外のことを見ないという意味ではないんですが,ここを国際協力実施と書くのはちょっと抵抗があったので,国内になっているということなんでございます。もちろん海外を見るというのは言うまでもないんですが,ここは日本の中で,日本の税金を使ってやるんだから,日本の中でのアウトリーチ活動をやるということを明確にしたかったので,国内実施にいたしました。
【小川主査】  すいません,いかがでしょうか。国内で実施というのは,何か特許みたいな感じで国内から絶対出さないとか,そういうのではないんですよね。そこが定義が明快でないかもしれません。産業界で言うと,国内でやるというと,自社開発というと,本当に全部押さえるみたいになりますけど,核融合研究って,本当に産業界が担うことになったら違うかもしれませんが,このロードマップで考えているのは,そういう囲い込みではないので,それを国内実施と書いたというだけですから,ちょっと説明が必要かもしれません。
【高梨委員】  よろしいですか。
【小川主査】  どうぞ。
【高梨委員】  その話なんですけど,5番のところで「ブランケット技術(国内で実施)」と書いてあって,社会連携のところにも国内で実施とあるんですが,それぞれ何か違った。同じ言葉なんだけど,伝えているニュアンスが違うのかなというふうに思うんですね。なので,あえて括弧書きで国内で実施とすると,何か,そこだけが妙に浮かんでしまうというのがあるので,文章の中で説明した方が誤解がないかもしれません。
【岡野委員】  なるほど。うちの方でも苦労したんですが,国際協力とか国内で実施の間って中間的なものがいっぱいあって,ここからと線は引けないんですよね。それを括弧書きで括弧を付けて書くと,「主に」とかいうのを頭に付けたりはしていますが,ちょっと分かりにくい,御指摘はそのとおりだと思うんです。中に書きますか。
【小川主査】  そうですね。
【岡野委員】  ここにあえて括弧書きで書いている理由は,どんなロードマップを作るという要請そのものが国際的に進めるか,国内で実施するかを明快にするというのが書かれていたので,明快にしてしまわざるを得なかったので明快にしたんですけど,明快過ぎるかなと。やってみて分かったんですが,そんなに線切りはできないんですよね。
【小川主査】  いかがでしょうか。括弧書きで書いてあるとクリアになって分かりやすいといえば分かりやすいんですけども,今,高梨委員の言われたように,同じ国内実施でも項目によってニュアンスが少しずつ違っているので,そこに書いちゃうと,それが変に独り歩きされると困るという点もあるのかもしれませんけど。
【岡野委員】  私からのは御提案としては,定義そのものが国際協力の場合にはどういうものかという定義が書いてあったことに鑑みて,これは主に国際協力でやるというのは残して,国内でというのをあえて書くのを消したらいかがでしょうか。
【小川主査】  一つの案ですね、確かに。
【岡野委員】  それが私からの御提案ですけど,全部消してしまうのは明快にするという役割を果たさないかなという気がしたので。だから,何もなければ主に国内でやるんだなとか。全部書かなきゃいけないと思ったので,社会連携にまで国内で実施なんて書いちゃったので,分かりにくいんだけど,社会連携ところは国内実施なんて書く必要はないですよね。
【小川主査】  そうですね。今の御提案は,例えばマル1のITERは国際協力実施というのは書く。BAのフェーズ2も国際協力実施と書く。あと,核融合中性子源,国際協力も利用して実施と,ここは書くと。
【岡野委員】  はい。
【小川主査】  そして,原型炉設計,これも国際協力を利用して実施と書く。それ以下の主に国内協力でというのを取ってしまうんですか。
【岡野委員】  この辺も全部消していって,主にというと,ほとんど共同研究しないのかみたいに見えるので,それは確かに誤解のもとですよね。シミュレーターの開発を国際協力でやらないはずはないので。
 実は御指摘あったとおり,この国内で実施の括弧については私も違和感があったんですね。ただ,使命として明快にするために書いたんですけども。
【小川主査】  例えば(3)の安全性研究・トリチウム取扱い技術のところは,主に国内実施を消したとしても,第3パラグラフのところで,「ITERの知見を生かしつつ,国内技術として蓄積していく必要がある」というのが本文中に書かれているように,国内で蓄積するべきというのを本文中で明確に書いておくと。
 そういう形で,国内でというものに関しては本文中で書くということですかね。社会連携に関しても,もちろんそうであると。
 では,そのような方針で,「国内で実施」及び「主に国内活動で実施」という項目を消すというのでよろしいでしょうか。
【五十嵐委員】  それでよろしいんでしょうか。そこは,戦略的にも,国際協力と国内というのは結構明確に整理されていた方がいい場合もあると思うんですよね。確かにロードマップのように,スペクトラムというか,整理していただくとすごく分かりいい部分もあるので,その辺はどうなんでしょうか。
【松浦戦略官】  そうですね。もともと,やはりBAフェーズ2含めて国際協力とかに,特にめり張りを付ける部分を今回明らかにしたかったというのはありますので,逆に殊さらに国内,国内って強調する必要はあえてないのかなという意味では,岡野先生,御提案の方向でよろしいんじゃないかなというふうに思います。
【小川主査】  ポンチ絵で,一番左のカラムに国際協力で推進ともう一つ,国内独自技術として推進とあるんですけど,この国内独自技術として推進というのがひっかかってきますね。
【岡野委員】  実はこれも,一番下の方は困っているんですよ。
【小川主査】  ですよね。これもちょっとドメスティックなイメージが強過ぎるという感じで。そうすると,下の部分をなくすと,今,五十嵐委員が言われたように,何かトリビアルなことだけ言っているみたい形で,国内の重要性を余り強調していない可能性があるんですけども。
【松浦戦略官】  逆に一番左端は取って,国際協力で実施とか,主に国際協力でというのだけ何か印を付けるとか,そういうのでもよろしいんじゃないかなという気はしましたけど。
【松浦戦略官】  例えばITERとか,JT-60SAとか,核融合中性子源みたいなのには国際マークでも付けて,ちょっとそういうのを後で事務局と岡野先生と相談して決めます。
【小川主査】  そうですね。じゃ,その辺で,国際というニュアンスが分かるような形で,このロードマップの図をちょっと変えさせていただきます。
 文章中の話に関しましては,先ほど岡野委員の提案にありましたように,国内で云々という項目は割愛させていただきます。
 それから,もう一点,最後の五十嵐委員が言われた社会連携を国内,国民に選択されると。これは,私も確かに余り国民,国民というと,日本国だけのことを考えているという形なんで,やはり世界も含めて,世界に理解していただくというニュアンスもあった方がいいのかなというのは確かに。核融合エネルギーが国民にというんじゃなくて人類に選択される,ちょっと大き過ぎるんですかね。
【岡野委員】  この国民と書いてある意図は,日本の国民の税金であるというのを非常に意識はしていますね。
【小川主査】  意識し過ぎている。
【岡野委員】  人類のために開発というのは確かなんですけども,お金は日本の税金であるということは非常に意識して書いてあります。それは,まあいいじゃんということであれば,それでも構わないんですけど,かなり重要なことだとは思いますよね。それを忘れてはいけないと思うんですね。
【小川主査】  いかがですか。五十嵐さん。
【五十嵐委員】  これまでの原型炉であるとか人材育成の場合も,「核融合エネルギーが国民に選択され得るエネルギー源となる」という表現は何度か使われてきましたし,この委員会として出す書類で,これはいいと思うのですが,私がちょっと気になるのは,むしろ後半の社会連携活動で理解を醸成という部分で,社会連携というのはそれだけではないのじゃないかと申し上げておきたいということです。ここは,これで結構です。
【小川主査】  分かりました。
【五十嵐委員】  国内で、というのがなくなれば。
【小川主査】  分かりました。ありがとうございました。その辺の話,またいろいろの機会に議論を深めていきたいと思いますので,また議論させていただければと思います。
 ほかの項目及びほかの視点に関して何か質問等あるでしょうか。では,髙本委員から先に。
【髙本委員】  産業界の面から質問でございます。2025年の第2回の中間チェック・アンド・レビューのアウトプットについては,本文の方で6ページの原型炉設計活動というところへつながっていくというふうに読み取れます。それに当たって,その前に概念設計と要素技術開発というアクションをやっていくわけですが,大体,概念設計でITERの1.5倍ぐらいの規模のことを想定した場合,問題になってくるのは製造技術とか,製造設備も含めた検証技術です。その部分の検証というのは,ここで言うロードマップのどこに含まれているのかがやや見えないところがあります。要素技術開発に含まれているのか,あるいは2025年の第2回の中間チェック・アンド・レビューの中で議論して,概念設計に移していくのかというところがやや曖昧だったもので,質問するものです。
【岡野委員】  まず,建設が可能かどうかという判断は,2020年~2025年などの概念設計・要素技術開発の間に産業界の方々にも設計チームに参加していただいて,その知見を反映して設計を進めるということで,まずは産業界の知見を使って概念設計を進めます。
 それを実際に作れるかという実証になるとお金が非常に大きくなるので,それについての判断を2025年にしていただいて,それ以降は,幾つか書いてありますが,実規模試験,特に超伝導コイルについては,(1)の原型炉設計活動の下に書いたんですが,実機大超伝導コイル開発試験,メンテナンスに関しても,放射線下でリモートメンテナンスするための大規模な施設を作るので,その実規模の試験設備といったものを作って実際に実験して確かめる,そういうことを考えています。ですから,実際の試験は2025年以降ということになります。
【髙本委員】  実規模の試験はご説明どおりだとしても,実規模を構成するためのパーツ,部品,特にコイルを作る製造能力,溶接精度,部品を作るための建屋,こういうものの検証,あるいは投資回収,その判断が必要になるとの提案です。
【岡野委員】  御指摘のとおりだと思います。投資回収の方はちょっと分かりませんが,これがどんなことをしたら作れるかという判断は,ITERの経験が結構あるので,産業界の知恵をかりれば,ある程度までは予測できるかなと考えています。もちろん,それは,あくまでも机上での議論なので完全ではありませんが,2025年までは,それで考えていきたいと考えています。
【髙本委員】  ありがとうございます。
【小川主査】  竹入委員。
【竹入委員】  直接,このロードマップについての意見じゃなくてコメントなんですけれども,今,岡野委員の方からも,この水色の線は,頑張りの度合いを示す線だという説明があったんですけれども,これを支えるのは人材です。人材を支えるのは大学の研究力です。今,原型炉のロードマップという形で,こういう形で提示されるのは非常にいいんですけれども,この間,大学における核融合研究なり,プラズマ研究がしっかりと研究力の強化とともに維持されていないと人材も出てきませんし,やはりこれ,頑張ったところで,あるところでぽつんと切れる可能性があります。
 ですから,ロードマップの中で,例えば大型のヘリカル研究とか,高出力レーザー研究,あるいは最後のページのところで原型炉研究開発のための大学等の連携強化ということが書かれていますけれども,単に書くだけではなくて,しっかりと,やはり核融合界として大学における研究力の強化をどう拡大というのか,維持していくのか。大学,いわゆる職業訓練校でありませんので,学術研究として進めていくことが非常に大事になってきますので,その観点は,ロードマップに入る話ではないですけれども,やはり,ここの場で共有しておく必要があるかなというコメントです。
【小川主査】  ありがとうございました。今のはよろしいですか。そのとおりだと思います。参考資料として人材の育成・確保に関しましての資料が付いていまして,これは,この3月にまとめさせていただきましたけども,これを踏まえて,いかに人材を確保していくかという具体的な,こちらの方のまさにアクションプランですか,これをやっていかなければいけないと思っております。
 それから,大学等の研究力の強化という意味では,10ページ目のところの3ポツのところで,原型炉開発に向けて連携強化を図ると。これを立ち上げようとしておりますけれども,これに関して現在どのような強化をやっているか,もし文科省の方から。
【松浦戦略官】  3月の委員会のときに,あらあらな。特に大学は学術とか自主性を重視して,それに対して原型炉のアクションプランをどうやって大学セクターも積極的に実施していくかという意味で,特に大学の研究に係る部分の経費の配分を,これまでそういう大型の核融合装置とか,取りまとめた経験もある核合研を通じてファンディングしていく方式について,今,NIFS,あるいはQST,大学関係者含めて議論しているという状況です。
 その際も,やはり人材育成とセットでやっていくことが非常に重要だということで,さらに制度設計をやりながら,他方,来年度の概算要求に,その関連経費を計上したいというふうなことで,今,検討しております。
【小川主査】  是非とも人材育成,それから学術の裾野を広げながらロードマップの発展を図っていければと思っています。その具体的なアクションもお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 では,尾崎委員,お願いします。
【尾崎委員】  ロードマップを見て,特に設計にところはよく分かるようになったと思いますが1点だけコメントさせていただきます。35年のところで,「社会受容性と経済性の見通しを得た工学設計の完了」とあって,第4段階の移行の判断でこれが判断条件の一つとなっていることがこの図で非常に分かりやすいのですが、本文の一番最後の部分に、社会的な受容性,経済性が得られるようなものを設計として構築していく,という観点の表現にした方がもっと分かりやすいと思います。
【岡野委員】  ありがとうございます。実は御指摘の点は再三考えておるんですが,経済性の実現については,原型炉で経済性を,原型炉そのものの発電単価がすごく安いということは非常に難しいと思うんですね。あくまでも何かを改良する,あるいは稼働率を高くするとか,原型炉は,多分,稼働率が低いので高くするとか,非常に裕度の大きい設計だったのを最適化していく。今後,実用炉として経済性が高いことが示せるというのが目的なので,それをこういうふうに言うと,すごく長くなっちゃうので,それを含めた書き方にすると,こういうふうにちょっと曖昧になっています。
 明快に実用可能のための経済性を実証するとか書ければ,非常に分かると言っていただけると思うんですが,それは,やっぱり内容として書くことはできないと思って,ちょっと曖昧な書き方が残っています。
【小川主査】  昨年12月の報告書では,原型炉段階に移行する際には,実用炉段階で経済性を達成できる見通しを得ておく必要があるという書き方にしたんですね。なので,ここも,そのキーワードに倣われたと。推進方策の報告書と齟齬がないように書いておかなければいないと思いますので,フィロソフィーとして。そういうので,重々理解はしていますけども,こういう書き方になっているということで御理解いただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 大体,皆さん,御意見。兒玉さん,どうぞ,すいません。
【兒玉委員】  このロードマップはすばらしくて,これでいいと私は思うんですけども,先ほどの国際連携と,それから国内のことで少し気になったことがございまして,通常,国際連携は例えば宇宙開発とか,ああいうものは,一方で国際戦略を各国が持っていると思うんですね。その国際戦略はどっか別で,戦略ですから世に出す必要はないんですけども,別に議論をされるのか。あるいは各企業の中で,それが検討されて,それでよしとするのか。現時点では,どこの国もそんなことを考えていないから考える必要がないのか。ちょっとその辺,御意見いただけたらと思います。
【岡野委員】  漠然としては,国際戦略がヨーロッパと日本あたりはあります。具体的に国の名前を挙げるのはどうかと思いますが,国によってはまだ理想論に近いようなことを言っているところもあるし,そういう意味では,具体的に言えば,EUと日本は原型炉に対する国際戦略を持っていると思います。
 幸いにして,話合いもBAでよく進んでいて,それぞれ国際戦略を持っているけれども,相互に矛盾はしていないということは確認されています。
【兒玉委員】  ちょっと国際戦略を話し合うというのが,理解がよくできないんですけど。
【岡野委員】  そうですか。逆に言うと,それは国際戦略じゃないのかもしれないですね,そこに出てくるのは。そういう意味では,秘密を持っていたとしても,僕らには分からないですね。
【小川主査】  文科省として,国際戦略ということで何かありますか。
【松浦戦略官】  現段階では,ITERとかBAで,まず自分の技術を磨きつつ国際協力をやっている。ただ,原型炉,実際どうやってやるのか。単独でやるのか,国際協力でやるのか,その辺はまだ全く決まっていませんし,むしろ,そこは,これから議論したり,考えて戦略的にやっていく必要があるのかなと。
 むしろ,このロードマップでいろいろ進めていく中で,そういった明確な見通しを持つのが,まさに戦略をこれから考えていくところかなというふうに理解していますけど,そんなんでよろしいでしょうか。
【小川主査】  ある意味では,BAをやってきて,またフェーズ2をこれからやるとか。そういう意味では,先ほど岡野委員が言われましたように,日本と欧州では同じニーズがあるから,原型炉の開発に関しては共同でやりましょうと。お互いの戦略がしっかりマッチングがとれているというのが具体的な政策として表れている。例えばフェーズ2に入るということを両国が認めるということはですね。そういうんだと思いますね。
 だから,明示的に戦略を一々議論してやるんじゃなくて,やっぱりそれぞれの段階での判断に基づいて,それが具体的な形で政策として表れているのが一つの戦略であるというのも言えると思います。
 はい,どうぞ。
【岸本委員】  よろしいでしょうか。先ほど竹入先生のおっしゃったことと少し関係しますが,少し理解を深めさせていただければと思う点があります。ITERがスタートすると,多くの科学予算を使う可能性があることから,ITERは学術にいかに貢献するのかというような議論が学術審議会等でも多くあり,核燃焼プラズマというのは,学術の観点から非常に重要なんですよという説明を行った経緯があります。
 原型炉は,実用化を目指した研究開発であることから,学術研究の視点を強く持っていたITERとは少しフェーズが異なっているかとは思います。
 一方,人材等で大学等が核融合分野に多くの人材を輩出しようとするときには,ITERのときと同じ状況ではないと思いますが,それでも幅広い学術分野の中で理解を得ることは非常に重要であろうと思います。
 そこで,先ほどの大型ヘリカル研究とレーザー研究のところで触れられていますが,社会連携活動というのは,対社会,国民に対する説明責任ということであると考えれば,そこに学術も入るものではないかと思いますが,学術分野に対して様々な議論を深めていくことは必要ではないかと思います。それがこの社会連携活動の中に入るものなのか,3番目の大学等の連携強化の中に入るものなのか,少し分かりにくいのですが,少しそのあたりのお考えをお聞かせいただけたらと思います。
【岡野委員】  アウトリーチ活動には,他分野,他の学術分野への説明が含まれています。国民の皆様というのは科学者だって含みますから,そういうふうに一言で言っていますが,たしかアクションプランの中の説明にはあったと思いますが,他分野,他の学会,他の専門家に対する説明をするというのも重要なアウトリーチの活動の一つでございます。
【岸本委員】  はい、わかりました。
【小川主査】  12月にまとめた報告書の方では,いろいろな他分野も含めて連携を密にすべきであるという文言は入っております。
【岸本委員】  そうですね。
【小川主査】  それをそこまで,今度のロードマップで協調するか。ある意味,それがずっと底流としてあるべきものであったので,緊急性という観点では,エクスプリシットに今回は書いていないと理解していただければと思います。
 ですので,哲学としては,フィロソフィーとしては,今,岸本先生がおっしゃったことは,12月の報告書の中には含まれておりますということで御理解いただければと思います。
【岸本委員】  はい、了解しました。
【小川委員】  よろしいでしょうか。
 それでは,ポンチ絵も含めまして,文章も含めまして,少し修正しなければいけない箇所がありましたので,それをちょっと修正させていただきたいと思います。その修正版を1週間程度で事務局の方でまとめさせていただきまして,皆様にメールでお送りさせていただきまして,もしそれでよろしければ,皆さんから了承を取らせていただきまして,2週間程度をもちまして最終版にさせていただければと思います。
 基本的な内容は,本日で皆様から合意いただいたということで,あとの修正に関しましては,基本的には主査一任させていただいて,ただし,一応,確認を含めましてメールで皆様に配信させていただければと思います。
 ということで進めさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございました。
【増子審議官】  大変活発な御議論いただきまして,戦略的なロードマップ,ここで取りまとめのめどが立ちまして,まことにありがとうございます。先ほど国際戦略の話もありましたけれども,私のイメージは,まずはITERの計画,それを2025年のファーストプラズマ,2035年のDT反応,それからしっかりとデータを取っていって,それで初めて原型炉の議論が国際的にも実際できるのかなと思っています。
 その上で,BA活動を通じて原型炉に必要な要素技術を蓄積するのと同時に,日本独自に原型炉の概念設計,工学設計活動,それから,それに伴う人材養成も含めて,トータルな形で整えて,国際的にも日本が主導で原型炉について提案できる,そういう枠組みを作っていくのが必要だと思っています。
 そういう意味では,今回のロードマップというのは非常に有効な手段だと思っています。というのも,優先順位を付けていただいているというのと,国際的な観点,重要性についても明確に書いていただいていますので,もう少し,これをこれから事務局の方でもブレークダウンして,各年度の概算要求にしっかりと対応していくことが肝要かと思っています。
 これでまとめが終わりということじゃなくて,さらなるブラッシュアップについても引き続き御尽力いただけたらと思っております。ありがとうございました。
【小川主査】  ありがとうございました。文科省としても概算要求に向けて頑張っていただけると一言いただきましたので,我々としても心強く思っています。よろしくお願いします。
 このような我が国のロードマップというのを是非ともコミュニティー内外に,世界に向かって発信していかなければと思いますので,皆様,いろんな機会を捉えまして発信していただければと思います。
 国内はこれでよろしいですけれども,国外は英語にしなければいけないので,英語化も図らせていただければと思います。そして,国際的に発信していきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,続きまして次の議題に移らせていただきます。次に,アクションプランのフォローアップについて,これも岡野委員の方で説明をお願いいたします。
【岡野委員】  では,引き続きフォローアップの方を御説明いたします。資料4,ちょっと字が小さくなりますが,ごらんください。
 これがフォローアップのフォームとして,各専門分野担当の委員,タスクフォースの委員にお願いして,個人的にではなくて,もちろん,いろんなところを回っていただいて聞いてきて進捗度とか,その他をチェックしていただいたものでございます。
 1ページ目を見ているんですが,内容は,左から例えば炉設計とか,項目別になっているんですが,表はどうなっているかといいますと,一番左に小課題名,それからアクションプランにあったアクション,それから実施期限,それからチェック・アンド・レビューで完了すべきかどうか,つまり,チェック・アンド・レビュー項目に入っているかどうかは※になっていて,実施が期待される関連機関が略語で書いてある。それから,進捗状況,進捗度,進捗状況の評価,それから必要な措置ということが全部書いてあります。
 これは,とても読んでいられないので,概要だけ御説明するために,各項目に内容を本当に3行ぐらいで書いておりますが,それを読ませていただきます。
 まず,課題名,炉設計,0番です。一番上のところの小さい字です。2020年頃のチェック・アンド・レビューに向けた課題はおおむね順調であるが,先進ブランケットをテストする原型炉TBMについては,単に先進概念を比べるだけでなく,TBM用としての成立性の判断が必要な点で加速が必要。
 TBMというのは,誤解があるといけないんですけど,原型炉用のTBMです。原型炉で最初に入れるのは,ITERの延長上にある先進ブランケットになるんですが,一部のポートに先進ブランケットをテストするためのTBMが入ります。そのことで,ITER-TBMとは違うので,誤解のないようにお願いします。そのTBM用としては,成立の判断が必要な点で加速が必要。安全確保指針についても,人材の不足から2018年度からの着手となっており,チェック・アンド・レビューに向けては加速が必要と判断した。2025年頃のチェック・アンド・レビューに向けた課題は,現時点では順調と判断している。
 次が超伝導コイルになります。2ページです。同じく読ませていただきますが,2020年のチェック・アンド・レビューに向けた課題はおおむね順調と判断している。ただし,コスト削減のためのITERとは異なる方式も検討しているSC全体概念を確認するには,産業界からのさらなる参画が必要とされている。
 これは,コストを下げるためにITERが使っている,いわゆるラジアルプレートというのを使わないという案があり得ないかどうかを検討しているという意味なんですが,この辺は,まだやったことのないものなので,産業界の協力が必要と考えています。
 それから,次がブランケットでございますが,個体増殖・水冷却ブランケット,つまり日本の標準概念ですね。これについては,2020年頃のチェック・アンド・レビューに向け,増殖増倍材料のスペックを早期に明確化し,基本設計を加速する必要がある。ブランケット工学試験設備については設備計画の加速が必要である。トリチウム工学試験については計画の加速が必要である。先進ブランケットについては,今後,概念選択の方向性決定及び基礎データ取得などが必要である。
 ダイバータでございますが,これも一部,順調なのがあったりするんですけど,原型炉の初期フェーズでW/銅合金水冷却ダイバータを選択するのであれば,デタッチメントプラズマの実時間制御は不可欠な要素であるが,現時点ではデタッチメントプラズマの理解が不十分である。デタッチメントプラズマの素過程の理解と,それに基づく制御シナリオの確立を目指したアクションプランが策定され,それに沿って研究開発を実施しているものの,その目標達成には多くの項目で加速が必要である。
 ダイバータについて加速が必要ということは,皆,認識しておって,今,ダイバータワーキンググループとか作って,一生懸命やっているところなので,解決はすると思いますが,最も喫緊の課題であるということが,こういう認識になっています。
 課題の4,加熱・電流駆動システム。2020年頃のチェック・アンド・レビューに向けた項目はおおむね順調であるが,高信頼性に関する項目については,ECH,NBともに加速が必要であり,そのためには共通課題を進める枠組み整備と人員確保が必要である。
 この高信頼性というのは,原型炉でも使える高信頼性という意味で,それでない部分はITERでかなり開発できるので,そういう意味で順調ということなんですが,原型炉に使えるところまで高信頼化する,定常化するというのは大変だということが認識されています。
 次が理論・シミュレーション,5番目です。アクションプランの進捗そのものは全般的に順調であり,QST六ヶ所研に核融合研究用スパコンが導入され,計算機資源の確保もなされているが,ほとんどの分野で人的資源が不足している。特に,プラズマエッジ第1原理系のSMCの重点開発・利用,ダイバータSMCの重点開発・利用,炉心プラズマ統合SMCの開発・利用は,第2回までのチェック・アンド・レビュー項目の達成と強くリンクしているが,人的資源が不足しており,今後,チェック・アンド・レビューに向けての進捗が遅れる可能性があるため,加速が必要と判断している。
 これは,ブランケットの方とも非常に関係があるものでございますが,人材はどこもですが,特に理論系は非常に不足しているという認識でございます。
 炉心プラズマです。ITER及びJT-60SA研究計画について,QSTを中心に大学等からの参画を得て国際的な議論が進展している。特に,JT-60SA研究計画は極めて順調に議論が進展している。LHD,ヘリオトロンJ,QUEST,GAMMA10などの装置が,それぞれの特徴を生かした研究開発を展開するとともに,プラズマ壁相互作用の基礎研究やモデリング/シミュレーション研究にも進展が見られる。
 炉心プラズマは,非常に順調であるといっていいと思います。
 7番目が燃料システムです。トリチウム取扱いに関するデータ取得は順調に進展しているものの,ITERや原型炉に向けたスケールアップの検討は加速が必要。ITERでの設計や運転情報の有効活用が必須であり,ITERのトリチウムプラント調達スケジュールを踏まえたデータ入手戦略の見直しが必要。6Liの確保方策の検討は,イオン伝導体膜による開発が極めて順調に進展している。
 次が,材料と規格・基準です。ここは,3つ,3ページに分かれていて,(1),(2),(3)とありますが,そこをまとめて小さな字で書いてあります。
 (1)の低放射化フェライト鋼に関しては,大量製造技術の確立や関連する要素技術開発などおむむね順調であると言えるが,照射効果に関すデータ取得や照射による劣化モデルや関連する規格・基準の構築に関しては加速が必要な状況である。
 次が(2)先進ブランケット材料ですが,先進ブランケット材料については,利用方法やデータベースの構築についてNIFSや大学の協力を得つつ検討が始まっているものの,加速が必要である。その他,ダイバータ材料や計測・制御機能材料についても,照射に関して加速が必要となっている。
 (3)の中性子源については,その設計に関しては順調に進捗している。
 次が9番の安全性になります。安全法令規制に関する活動については,BA活動の一部として実施されており,順調に推移している。安全性解析・評価に関しても特別チームにおいて基本的なコードの整備がなされつつある。核融合炉の安全性の議論が深まるにつれ,安全を担う人材の拡充が必要と考えられるので,長期的な視点で若手人材の確保が急務である。
 次が稼働率と保守です。2020年頃のチェック・アンド・レビューに向けた課題はおおむね順調と評価している。しかしながら,保守方式と炉構造設計は表裏一体であり,炉構造側の成立性とセットで見極める必要がある。つまり,炉構造側の成立性が厳しい場合には保守方式の見直しが必要ということでございまして,これを含めて,今,炉設計が進んでいるということでございます。
 計測・制御です。原型炉に向けた計測・制御の検討は核融合研研究会の報告書としてまとめられており,磁気計測や平衡解析などは一部大学の寄与が期待され,全日本的に情報交換や議論の場が作られつつある。そのため,該当項目は「順調」としています。今後は,特別チームの炉設計との整合性や検討の確度を高める必要があり,特別チームとの共同活動が求められる。一方で,照射試験を個人レベルで実施することは非効率であり,ITER用機器の照射試験と併せて実施する体制作りと効率的な照射試験リストの作成・国内外の照射施設の利用計画を検討すべきである。オフライン予測については,シミュレーション研究者との共同が必要であるが,現状ではその体制ができていない。そのため,それらの箇所は「加速が必要」とした。
 社会連携,12番ですが,アウトリーチHQの設置に向けては,加速が必要であるものの,関係機関による準備委員会が設置されるなど,必要な措置についての検討が開始されたところであります。
 それから,13,ヘリカルとレーザーについては,まとめの項,特に作っておりませんが,それぞれの機関で進めていらっしゃるので「順調」というふうに評価しております。
 以上でございます。大変長いところ,フォローせずにサマリーだけ言ってしまいましたけど,以上で終わりにさせていただきます。
【小川主査】  ありがとうございました。これもタスクフォースの中堅の方を中心にコミュニティーに情報を求めながら,このように細かくまとめていただきましてありがとうございました。
 それぞれの項目に関してのサマリーを3行ぐらいにわたって,それぞれまとめてあります。進捗状況に関しましても,「順調」というのと「加速が必要」というのと「極めて順調」,大体,その3つですかね。そのような3段階でまとめてあります。
 現在の段階では,このようにフォローアップした内容が現状ですけども,これが2020年のチェック・アンド・レビューに向けての準備でもありますので,適宜,このようにフォローアップしながら改訂していくというものだと思っております。加速が必要というものは,それなりの対策が必要であると思っておりますけれども,現在のフォローアップの方法論,内容を含めまして,皆様から御意見,御質問がありましたらお聞かせいただければと思います。
 どうぞ,大野委員。
【大野主査代理】  ちょっと確認なんですが,進捗状況の前のところに書いてあるC1から5というのと,あと,大学と書いてあったり,あとは大学名が書いてあったり,書きぶりが少し。
【岡野委員】  大学名が書いてあるのありますか。
【大野主査代理】  大学名が書いてあるところも。
【岡野委員】  大学名,私が見落としたんですが,大学名が書いてあってはいかんですね。ありますか。
【大野主査代理】  はい。例えば……。
【小川主査】  進捗状況の中に大学名が書いてあるということですね。
【大野主査代理】  はい。
【岡野委員】  それは,特に重要なところは書いてあると思います。
【小川主査】  実施期待機関のところに大学名が書いてあるわけではなくてですね。
【大野主査代理】  はい,そうです。進捗状況のところも大学と書いてあったり,各大学名が明記されてあるんですけど,それは,意図的に書かれているのか,資料を集めたときに,そういうふうになっていたのか,まず確認をさせていただきたいということです。
【岡野委員】  資料については,大学名を書かないようにというお願いはしませんでした。あとは,大学と書いてある場合と何とか大学と書いてある場合はあります。確かにあると思うんですが,それは少し若干のばらつきはあると思います。
【大野主査代理】  進捗状況で,もし,この中で書いていただけるんであれば,むしろ大学名を書いていただいた方が大学にとってすごくエンカレッジかなと。そのものは,ここでやられているということがあるかなという気がしております。
【岡野委員】  大学名を書かないようにというふうにお願いしなかったんだけども,実施期待機関が「大」とまとめられているので,あえて書かなかったところもあるかもしれませんので,そこは確認したいと思います。
【大野主査代理】  よろしくお願いします。
【小川主査】  ありがとうございます。
 ほかに何かあるでしょうか。
【岡野委員】  今回やってみて分かったことが1つ。コメントなんですけど,進捗度のところを何も言わずにやってくださいと言われると,みんな「加速が必要」になっちゃったので,そうなんですよね。実際,「加速が必要」なのがほとんだと思うんですが,「極めて順調」はまれなんですけど,「順調」とか入っているのは,1回見直して書き直してもらっています。
 つまり,全部が「加速が必要」というのはやっぱり意味がないので,重みを考えて,「順調」とは言えないけど,中では順調だねというのまで「順調」と書いてもらっているところがありますので,「順調」なところは全然問題なしという意味ではないので,そこは御理解いただけるといいと思います。
 ひょっとすると,この進捗度の項目を少し増やした方がよかったのかもしれないというふうに私は思っています。「順調」というと,何か言い過ぎな感じがしますね。
【小川主査】  そうですね。御指摘のようにフォローアップを,これが第1回のフォローアップですので,フォローアップの仕方も含めまして,是非,皆さんから御意見いただければと思います。
 私からちょっとお伺いしたいんですけど,さっきの御指摘のように大学なんかも細かく調べられていたりするんですけれども,これ,どのような体制でタスクフォースの方で調べられているのか。タスクフォースのメンバーだけだとなかなか大変だと思うし,どのような体制でどうやっているのか。その辺をちょっと御紹介いただければと思います。
【岡野委員】  それぞれの項目に委員の先生方の担当が決まっていて,もちろん専門分野に近い分野ということなんですけど。その委員の先生が書くんではなくて,その委員の先生が関連すると思われる研究機関,ひょっとしたら全てを網羅できていないかもしれませんけど,全国の大学とかも含めて聞いていただいて,大体,核融合の分野でこれをやっている先生って分かっているので,それを聞いていただいた上で,これをまとめてもらっています。だから,相当な調査を,それぞれの委員の先生方にしていただいています。
 それから,NIFSとかQSTに関しては,組織的に動いてくれるので,中で調査いただいて,そのまとめをもらって,それを委員がチェックして出してきている部分もございます。
【小川主査】  それだと,例えば委員の方から,どんなことをやっているかというのと同時に,こういうことをやっているということをコミュニティーに知らせることによって,コミュニティーからも自分のところはこういうことをやっていますという情報を受け取るという体制も含めて。これ,1回で終わりじゃないですから,毎年というか,どんどんフォローアップしますから,その意味でコミュニティー全体に網の目を張っておくような体制の方がいいのかもしれないですね。
 是非,皆様もそういう形で,こちらからも情報発信しますけども,コミュニティー内で御協力いただけるように御指導いただければと思います。
【岡野委員】  1つ訂正させてください。各組織から出してもらったといったのは,進捗度のところまでです。つまり,進捗状況の評価まで自分で書いてきたらおかしいので,ここは委員が話を聞いた上で判断して書いています。措置について意見を求めたことはございます。
【小川主査】  それから,産業界からの意見,その辺はどのように。これ,産業界の委員が入っているから,そこからでしたっけ。
【岡野委員】  産業界については,QSTについては産業界の方がいらしたはずなので,その意見は反映されていると思いますが,直接,ヒアリングに行っているわけではございません。例えば炉設計チームに産業界の方がいらしたので,その方に聞くとか,加熱とか,そういうところもいらっしゃいますよね。そういうのは,間接的には意見を聞いていると思います。産業界一つ一つに回っているということはないです。
【小川主査】  前半の方の議論のときも髙本委員の方からでしたか,設備が大丈夫かどうかとか,そういうのも含めて,でも,それはタスクフォースのメンバーの中である程度フォローはしているんですかね。
【岡野委員】  主に,そういう実現可能かというのは炉設計のところが多いですよね。そこが担当しているので,炉設計チームに聞いて,産業界の意見も反映されていると思うんです。
【小川主査】  できるだけ幅広く情報を集めて,順調かどうか含めて評価していきたいというスタンスですので,産業界も含めて是非とも御協力いただければと思います。
 よろしいでしょうか。はい,兒玉委員。
【兒玉委員】  余り生々しい意味ではなくて,これ,「順調」とか「加速が必要」といった意味の中に予算措置があるかないかで全然意味が違うと思うんですね。項目として,やはり,それを単純に入れた方が本当は,この「順調」とかどうとかいう意味がもう少し見えてくるかなと思うんですけど,いかがでしょうか。
【岡野委員】  入れたいのはやまやまなんですけど,最初の議論でやったときに,加速が必要で,その他,必要な措置というのが人材の確保と予算ばかりになっちゃうんですよ。それは,余りアピールするものではないので,もっと技術的な視点での必要措置が主に書いてある。本当に少ないところは少し人材が必要と書いてあるのもありますが,一つ残らず人材ばかりになっちゃったところもあって,そういうのは直しております。ですから,あえてお金が必要とは書けなかったので,書いていないです。
【兒玉委員】  だから,生々しいのはよくないんでと言ったのは,そういう意味で,ただ,何かのそういう指標が技術を進める上でも全然違うはずなんですね。その辺で,何かの情報が入った方がよりクリアに見えるかなとは思うんですけど。
【岡野委員】  非常に大きな試験設備については,建設の前倒しが必要というような間接的な言い方で予算措置を求めているというものはございます。A-FNSもそうですし,それからトリチウム系といったもの,そういったものは,ここに名前が具体的に挙がっていて,建設するにはお金が要りますから,その予算措置を間接的に強めています。
 人材については,何人必要とか書くわけにいかないので,余り書いていない。
【兒玉委員】  いや,そのレベルではなくて,要するに材料さえない状態でやっているものもあるんですね。だから,装置が必要なら,そこまで行くとやっぱり生々しいんで,それ以前の,本当にもっと低いレベルでもやっているんで,そこはもう少しクリアにしてほしいなという気持ちはありますね。
 だから,そうすると,余り生々しくなくて,努力しているんだなと。むしろ,そういうところを見えるようにしていただけたらなというのがあります。
【岡野委員】  少し工夫します。
【小川主査】  ここの最後のカラムの「課題達成のために必要な措置」という欄がありますので,ここにそういうのが見えるような形で,何かうまく書き込めればいいのかなということかと思います。そこを,だから,前向きな意味で捉えていただいて。その辺,今後,だんだん学習しながらフォローアップをよりよいものにしていきたいと思います。
 よろしいでしょうか。はい。
【上田科学官】  アクションプランのときは,いろんなところでアクションプランがこういう形でできたということを説明して回ったと思うんですけれども,それを受けて,そのアクションプランの中でどういう項目がどのような進み方をしているか。特に「加速が必要」という部分はどこなのか,そういう情報もきちんと,これからコミュニティーの中で伝えていかないといけないということで,どういう場で,どういう方が,そういう説明をするか。あるいは例えば学会誌などに記事を書くのか,その辺も含めて,どういうふうにこれを周知していくかということについても,これからしっかり対応していく必要があるかと思っています。
【小川主査】  そのとおりだと思います。ありがとうございます。
【高梨委員】  私も同じ質問をさせていただこうと思っていました。学会ばかりじゃなくて,できれば,それこそ社会アウトリーチ活動の一つとして,こういうことをやっていますよというのを非常に分かりやすい言葉で,何らかの形で発信できたらいいなというふうに思います。
【小川主査】  分かりました。アウトリーチの最初の仕事として捉えてコミュニティー内に発信してゆきたいと思います。
【岡野委員】  コメントなんですが,周知するのが大事なのはよく認識しているんですが,そのときには,これをそのままではなくて,少し工夫して公開してほしいですね。というのは,これを書いてもらうときに,特に保守的なところで動くところは,逆に言うと,黙っていると全て順調でくるんですね。つまり,評価されると思うと全て順調になってきちゃうし,正直言ってというと全部,加速が必要になっちゃうので,全て順調はやめてねと逆に言いました。
 つまり,本当に困っているところを出してください,評価するためではないですという言い方をしているので,これを,そのままこうでした,ここは全然進んでいませんねという言い方になってしまわないように出していただかないと,約束と違うということになってしまいます。結構シビアなところ言ってきているので,そこは配慮をお願いしたいと思います。
【小川主査】  分かりました。タスクフォースの中で慎重な議論をされているかというのをちょっとかいま見られた気がしますので,その辺も含めまして,今後,タスクフォースの方で議論を深めていただければと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは,アクションプランのフォローアップの議論に関しましては以上で終わらせていただきます。
 続きまして,最後の議題,プログラム評価における参考指標に関して。
 これに関しては資料5をごらんください。先日,皆様にメールにて御意見を伺いまして,大部分の委員の方から,このカテゴリーでよいという御回答を頂いたので,核融合科学技術委員会としては,前回提出しました28カテゴリー,プログラム5の中の3ページ目の四角でくくってあるところです。これが28のカテゴリーですけれども,決定させていただきたいと思います。
 実は皆様からいろいろな御意見を寄せていただきまして,それ以外もプラスアルファで加えた方がいいんではないかという意見もあったんですけど,余りに発散してもいけないというので,28ぐらいで今回は閉じさせていただきたいと思います。
 それ以外,この指標をどのように活用していくのかに関しましては,定期的に調査を続けるのがよいのではないかとか,あと,論文数だけではなく,それ以外の指標があるのではないか。具体的には特許・知財の蓄積とか,核融合における標準化・社会受容性に関してとか,その辺もやはり視野を広げておくべきではないかという意見とか,私,この辺,詳しくないんですけれども,政策評価で使われている手法をそのまま研究開発に用いている難しさがあるではないかとか,幾つかコメントいただきましたので,今後,計評委員会等で議論させていただくときには参考にさせていただきたいと思います。
 ということで,この28項目で決定させていただきたいと思いますけども,今後の計評委員会に関しましての扱い方に関して文科省の方から何か。
【吉澤専門官】  当核融合分野のカテゴリーとして,こちら28を提出させていただきまして,8月20日に予定されております研究計画・評価分科会の方で,これが確定という形になります。今後は,これを指標として使っていくと認識しております。
 核融合分野の評価は、来年度に実施する予定になっておりますが,ちょっと時期が遅れるかもしれないというような話も聞こえておりまして,計評分科会からの指示等があり次第,情報を共有させていただきたいと思いますので,引き続きよろしくお願いいたします。
【小川主査】  ありがとうございました。
 まず現時点では,この28項目ということで,我々としては,今のところは論文数ということで評価を出させていただきたいと思います。
 ただし,今,事務局からありましたように,計評委員会の方でどのように進めていくかというのは,未定のところがあるということですので,それに従って順次対応していきたいと思います。よろしいでしょうか。
 以上で,本日,用意しております議題は終了しましたが,このほか特に報告とか審議すべき案件がございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,本日の核融合科学技術委員会,これで閉会といたします。次回の日程は来年の1月頃を予定しております。具体的な日程については,事務局で調整の上,後日連絡いたします。
 それから,次回の委員会が第9期の本委員会としての最後の委員会となりますので,皆様,この2年間,どうもありがとうございました。次回が最後となります。
 以上でございます。これで本日の委員会を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

類家、石原
電話番号:03-6734-4163

(研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)