平成30年3月28日(水曜日)15時~17時
文部科学省5階5会議室
五十嵐委員、海老塚委員、大野主査代理、岡野委員、小川主査、尾崎委員、岸本委員、兒玉委員、佐藤委員、高梨委員、竹入委員、村上委員、森委員
松浦研究開発戦略官、阿南補佐、野田核融合科学専門官、上田科学官、秋山学術調査官
【小川主査】 それでは、定刻ちょっと前ですけれども、五十嵐委員がちょっと遅れるということですので始めさせていただきます。
本日は御多忙の中お集まりいただき、ありがとうございました。桜の満開の季節で花見にはちょうどいいかもしれませんけど、本日はよろしくお願いします。
では、事務局より定足数の確認をお願いいたします。
【野田専門官】 本日は、出席の委員が現在のところ12名で、委員の過半数は8名以上ですので、定足数を満たしています。
【小川主査】 それでは、ただいまから第13回核融合科学技術委員会を開催します。なお、委員会の運営規則に基づき、本委員会は原則として議事を公開いたします。発言は議事録に掲載され、ホームページ等に公開されますので御承知おきください。
次に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【野田専門官】 配付資料につきましては、議事次第に一覧を付けさせていただいているとおりで、資料1から5まで、それから参考資料1から4まで、また、いつものようにブルーのファイルで参考資料を付けさせていただいておりますのに加えまして、昨年取りまとめていただきました原型炉に向けた報告書を印刷しました冊子の方もお配りをさせていただいております。議事を進めていく中で、落丁等ございましたら、事務局の方にお知らせいただきたいと思います。
以上でございます。
【小川主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。資料を確認いただければと思います。
それでは早速、最初の議題、長期的視点に立った新たな人材育成方策の策定についてに入らせていただきます。本件については前回、産業界よりヒアリングを行いました。また、ドラフトチームの方でも並行して育成方策の提言案を作成いただいているところです。本日は、人材の重要な供給源である大学での取組についてお話を伺いたいと思っております。ドラフトチームのメンバーでもある大野委員より、大学を中心とするコミュニティーでのお考えや取組状況について御発表いただきたいと思います。それでは、大野委員、よろしくお願いします。資料も、資料1としてありますので、こちらを参照していただければと思います。
【大野主査代理】 それでは、OHPを使って御説明をしたいと思います。今まで長期的視点に立った新たな人材育成方策に関する議論をしてまいりました。それで大学サイドからの意見のまとめということで、私自身の考え方もまとめる意味合いで少し資料をまとめさせていただきました。
通常の人材育成システムというのは、皆さん御存知のとおり、まず社会的ニーズがあって、そういう必要とされる人材の数が分かっていて、それに対して大学がそれを教育するシステムを持っていると。そこで行われるのは体系的な講義であったり、あと重要なのは実習が行われていて、それをもって人材育成がなされています。高校生、また大学院に関しましては大学生がそれを見て、こういう人材になりたいということで、そういう学科を志望するというのが通常の人材育成になっております。
核融合研究分野での人材育成ですけども、基本的には核融合学科、これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、核融合学科若しくは核融合専攻はないというのが実情です。だからそれを専門的に教育する専門の機関は、実際は存在しないということになります。一部ちょっと例外がありますけども、そういう意味で理学部の物理とか工学部の電気、原子核、機械、化学、材料とかいろんな多様な入り口があって、志望する人から見ると、どういう経路をたどってそこに行くかが分からないということがございます。また、出口に関しても、非常に限られた出口しか実際は見えていなくて、その志望しようとすると、それに対する懸念が学生さんに多く見られるという状況でございます。
ところが、人材育成に特別な工夫が不要な分野もあるというのも実情でございます。例えば、天文とか宇宙とか航空の部門は、特にそういうことを言わずとも、非常に多くの高校生が希望してくれるという状況があります。そういう状況になると何が起こるかというと、こういう高校生を取り込みたいと大学は考えるわけで、私大を含めて、例えば名古屋地区でいうと、ある私大が最近、航空工学科を立ち上げたとかそういう事例がございます。それは明らかに学生さんの希望を察知してそういうものが出来上がると。昔の核融合研究は多分これだったと思うんですね。核融合研究はある意味、非常に憧れを持って見られていて、こういう人材育成のシステム等々を議論しなくてもたくさんの学生さんが志望してくれていたと。国際宇宙ステーションや南極観測隊とかに相当するようなイメージがあったんですが、最近こういうようなことが学生さんに浸透していなくて、憧れを持ったような研究分野には今なってないんじゃないかという懸念がございます。
ということで、これまで議論されてきた内容をちょっとまとめると、1つは、エネルギー・環境問題解決策として社会的認知度の向上というのが重要で、こういうエネルギー問題が出てくるときに核融合というのがすぐその場でいいよねという言葉として出てくるような社会的な認知度が高まるというのが重要だと思います。もう一つは、若年層のこの分野への憧れが出てくることが非常に期待されます。ということで、スローガン的に言うと、ITER、JT-60SAを国際宇宙ステーションや南極観測隊のステータスに持っていくということがまず課題だと思っております。
もう一つは、体系的な核融合教育システム(講義、実習)の構築を行わないといけないということで、拠点大学・研究機関を連携した新しい教育プログラムを作ることが重要だと考えております。
もう一つは、先ほどあった出口ですけども、核融合人材のポスト・キャリアパスの明確化ということで、もちろんポストの拡大もございますし、キャリアパスの多様化というのが重要だと考えております。
1つの連携の大学教育プログラムの例ですけども、拠点大学・研究機関が連携した核融合教育プログラムを考えないといけないということです。今後の原型炉に向けては、これも既に議論がなされておりますけども、総合工学としていろんなここに挙がっているような項目の教育をやらないといけないということになります。そのために、実習等もやらないといけないんですけども、通常の小さな装置ではそういう経験としては不十分ですので、ある程度の中・大型装置を活用した教育をやる。そういう意味で、こういうような連携をして、なおかつ大きな装置を持っているところも参加していただいて、そういう連携教育プログラムを作ることによって、高校生若しくは大学生からその教育プログラムが見えることが重要だと思っております。
現状の連携大学院の取組は、実は既にありまして、核融合科学研究所が主に中心にやられているんですが、先ほどちょっと言い過ぎだと言ったのは、総合研究大学院大学の中に核融合科学専攻がございますので、ここはある意味で核融合を専門に取り扱っている専攻だと言えます。あと、名古屋大学には、歴史的なこともありまして、工学部、理学部に連携大学院講座がございますし、九州大学の総合理工学府の中にもございます。それから、ちょっとこのリストには入っていませんけど、東大も去年から連携大学院があるということで、申し訳ございません。あと、そのほかの北海道大学、富山大学、九州大学に、連携のレベルは少し下がりますけども、連携協定があって、集中講義等が行われております。あとは特別共同利用研究制度というものがあって、全国の大学から大学院生が一定期間、核融合科学研究所に滞在して、特定の研究課題に関する指導を、核融合研の先生から受けるというシステムもございます。最近QSTでも、筑波大学との連携ということで、博士後期課程の研究指導が行われていて、QSTの職員の方が連携大学院教員として学位の主査を務められるという取組も始まっております。
連携大学院の例ですが、これは私の例ですけども、名古屋大学工学研究科エネルギー理工学専攻という専攻がございまして、改組に当たって去年度までで、今年度からちょっと変わっているんですけども、例として御紹介いたします。基幹講座が、ここに挙がっている5講座と協力講座、あと客員講座というものがございまして、これは核融合科学研究所の先生方6名、当時ですね、が参加いただきまして、LHDという大型装置を使って、スパコンも使った教育をしていただいております。平成8年から28年度、20年の間に、博士後期課程の進学者が32名ということで、学位取得者の数は完全には把握できてないですけども、25名まではきちっと取られていることは確認しましたけど、あとは少し確認できてないので、25から32の間の学生さんが取られた。だから、年間1名強という規模でこの分野に人員を輩出するということになります。この第1期生は既に核融合研の職員になられていたり、あとQSTの職員になられている方もいるということで、事実上の連携の成果が上がっているということです。
こういう核融合研究に携わった学生さんの人材としてのポテンシャルですけども、これは前回の核融合フォーラムの松浦戦略官の資料から抜粋させていただきました。横断的分野に対応できる基礎力だったり、研究課題を解決する専門力、巨大で複雑なシステムを的確に把握する俯瞰力、国際協力においてプロジェクトを遂行できる国際共創力、安全・安心で巨大・複雑システムを構築できるシステム統合力というのが、この分野の教育研究を受けた人の能力として期待されると思っております。この話をこの前ちょっと電力会社の人と話をしてたら、こんな人がいればすぐ雇うと言われておりました。是非こういう人がいたら推薦してくださいと言われたんですけども、ちょっとすぐにはということで。
あとITERで働くためにどんな資質が必要かという、これも前回の核融合エネルギーフォーラムのパネルディスカッションにありましたけども、この上記の力にプラス、実社会での経験も重要だとか、英語能力について非常に強調されているものが多かったです。やっぱり英語で議論なり書類とかそういうこともちゃんとできる方。あと、もう一つは、実験的なこともあるんですけども、今の状況を考えると、計算とか解析の能力が高い人が必要だろうというコメントもございました。
ということで、そういう人材を教育するために、例えば連携教育プログラムとしてこういうプログラムを立ち上げられれば魅力的じゃないかと議論されている内容がこれです。基礎的な勉強のコースワークと、全員である課題を解決するための設計の実践プログラムとか、国内、海外のインターンシップ制度、そういうのを有効に連携して研究とか教育のプログラムができれば、先ほどの能力を持った学生さんを育てることができるのではないかと考えております。
もう一つは、学位取得に関する考え方なんですけども、現状進んでいるリーディング大学の1つの反省は、リーディングのプログラムと実際の専門の学位の取得がちょっと離れているのが大きな問題でした。つまり、学生さんにとっては二重負担になっていて、非常にロードが大変で、それはそれなりに優秀な学生さんは全部こなせるという話もありますけども、やはり、新しい例えば核融合面でプログラムを作るとすれば、当然、核融合関係の学位を全体の連携のプログラムの中で育てて、なおかつ研究活動をエンカレッジしていくという体制をとることが重要だと思っています。
ということで、国内にある様々な大型装置、中型装置を活用しつつ、なおかつプログラム生に対して、当然、指導教員は所属大学の指導教員ですが、国内、国外のメンター教員等も配置して、あとはインターンシップの活動を支える教員も配置して、こういうチームとして学生さんを育てるという体制がとれると、これまでにない教育プログラムとして提案できるのではないかと思っております。
次は、ポスト・キャリアパスに関してですけども、これは非常に難しい問題で、すぐに答えが出るものではありませんけども、1つ議論されているのは、先ほどの能力を持ったような博士人材を積極的に企業で採用いただいて、企業へのキャリアパスを非常に明確化することによって、学生さんが安心して学ぶことができるような体制を整えた方がいいのではないかという議論がございます。
もう一つは、当然、核融合分野のポストが増えるのが望ましいんですけども、これは皆さん御存知のように予算的な問題がありますので、非常に難しい問題です。ただ、ITERに持っている日本の担当部というか、使えるポストを有効に利用できるような人材流動化のシステム、頭脳循環システムと言っていいと思いますけども、それによって実効的なポストの拡大ができれば、これは非常に望ましいのではないかと考えています。これは非常に難しいテーマだと思いますけども、ある年限ITERに行っていただいて、それから国内の機関にまた戻ってくる。戻ってきた段階で、ある人が必ずまたITER側に出掛けていくというような体制がとれれば、実効的にITERのポストを活用しながら国内のポストをより有効に活用できるという体制がとれると思います。これは非常に高いレベルでの議論が必要だと思っています。
もう一つはアウトリーチの例ですけども、アウトリーチ活動は非常に重要で、先ほど申し上げたように高校生に核融合分野に対して憧れを持ってもらいたいということがあります。その1つの例として、今、プラズマ・核融合学会で高校生シンポジウムを開催しているのを、より強力に進めるということで、来年度から「未来をつくるプラズマ-体験してみよう!総合工学のフロンティア-」ということで、全国の大学をネットワーク化して、その中で実証をやろうという取組をやっております。実際ここにある大学が参加していて、ホームページを見ていただければ、どういう内容をやるかというのが書いてありますので、高校生がそれを見て申し込むという体制をとっております。
これは最後のまとめです。先ほど挙げさせていただいた課題がここにありますけども、目標としてはこういう青色の目標があります。赤が当面の取組だと思っておりますけども、アウトリーチ活動としては、アウトリーチのヘッドクオーターを創設していただいて、SNS等のメディア戦略、また、プラズマ・核融合コミュニティー全体での新しい取組ですね。特にこの分野に来てくれた学生さんも一緒にこういうアウトリーチ活動に参加するような体制がとれるといいと思います。前回QSTで若手科学者の研究会に参加させていただいて、そこでお寺で宇宙論とかいう新しい取組を学生さんがやられていました。単にそういう取組をやると人は来てくれないけども、お寺でやると、お坊さんの話と先生の話を両方聞けるというと、かなりいろんな人が来てくれるというので、今まで科学に興味を持ってなかった人が参加しているということを自分に研究成果として発表していたので、非常に僕は感心していて、そういう学生さんもたくさんいますので、そういう学生さんも参加してもらって、是非アウトリーチ活動が活発になればいいなと思っています。
あとは、教育システムに関しては、もちろん卓越大学院という、今募集がかかっているのに採択されるのがベストですけども、これだけではなくて、全日本的な連携大学院を、NIFS、QSTを含めて考えていくことが重要ですし、あと学生組織の構築をもう一度きちっとやらないといけないということがございます。実際、夏の学校とか、プラズマフロンティア研究会、若手科学者によるプラズマ研究会というのが非常に活発に行われているんですけども、これが連携されて行われてないために、学生さんの全国組織という意味では非常に弱くなっていると私は感じております。これを作ることによって、アウトリーチ活動とかキャリアパスの問題にも取り組んでいけると考えております。
ポスト・キャリアパスの明確化については、NIFS、QST、文科省による頭脳循環システムの構築に関する議論を開始いただいて、あと核融合関連企業と学生の組織、上記に述べた組織との懇談会等を開いて情報の共有化をして、必要に応じては研究インターンシップ等の活用を行うことが考えられると思っています。
最後に前回の核融合フォーラムで出た意見を参考に付けさせていただいておりますけども、それはお読みいただけばと思います。
以上で御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【小川主査】 大野委員、ありがとうございました。大学を中心としまして、人材育成の方策をいろいろ工夫されている点、それから今後の課題等をまとめていただきましたけども、皆様の御意見を是非お聞かせいただければと思います。
【竹入委員】 最後のところでITER、JT-60SAをステータスにとあるんですけど、LHDを入れてください。というのは、先ほど大野先生がおっしゃったように連携大学院で核融合研で核融合の研究をしようという意欲を持ってこられる学生というのは、やはりLHDを見てもらって、あのLHDで研究ができるというモチベーションはそこそこの比率があると思います。だから、そういう意味では、今、逆に言うと、総合研究大学院大学の核融合科学専攻でもLHDで研究できるというのが1つのアピールポイントになっていますので、それと同様に先ほどのプログラムの中で、今後稼働するJT-60SA、さらにはITERを、同じ路線上で引きつけるものとして位置付けていくというのは非常に大事なポイントだと思います。
【大野主査代理】 ありがとうございます。今からできるものということで書いたわけですが、LHDはもう憧れになっているという認識があるんですけども、当然LHDを含めて全体がこういうステータスのあるということは重要だと思っています。ありがとうございます。
【小川主査】 ほかに。
【兒玉委員】 大きく2つありまして、1つは規模感といいますか、留学生を含めて、留学生も考慮されるのかどうかというのが1点。それから2点目は、大野先生も大学でいろいろな教育プログラムがあると思うんですが、最近は学生にお金が、予算が必要になってくると。それに対して、企業からこれをサポートいただくのを前提とされるのか、あるいは、大きな核融合の研究費を欧米みたいに研究必要の一部がそちらに考えていらっしゃるのか、その2点をちょっとお伺いいたします。
【大野主査代理】 まず1点目は、留学生を考えるかどうかというのは、現状のITERへの人材の輩出とかを考えた段階では、一応、日本の学生さんを主に考えております。規模感としては、1学年20名程度かなという規模感です。
次の点は非常に重要な問題で、お金がないとプログラムの魅力がないということがございますので、これについてはまずは卓越のアプライというのがあるんですけども、今、卓越大学院はちょっと違った方向に、連携を余り考慮しない方向に行っていますので、採択についてはよく分かりませんけども、やはり関連企業若しくは研究所が持っているいろんな資源等々も含めて、そこはみんなが頑張って少し拠出してサポートいただかないといけないのではないかなと。まずは自分のところの身銭を少し切らないと、企業の方に何か言う場合にも、なかなか説得力がないかなと考えております。
【小川主査】 後半の予算の件は非常に重要で、それは文科省として、核融合に限らず、そのために卓越を立ち上げようとされていると思うんです。それで、それに核融合をうまくマッチングできればいいですけれども。
【兒玉委員】 ただ、卓越は7年までしか出ないわけで、その後は自分たちでやるという大前提ですよね。だから、卓越はあくまで呼び水であって、あれは答えではない。
【竹入委員】 補足ですけど、今、卓越の大学院の申請を考えて、大野先生を中心にいろいろ検討いただいているんですけれども、10ページ目にあるプログラムというのは、まさしく今、卓越大学院の申請で考えているプログラム担っています。先ほど兒玉先生がおっしゃったように、今、学生にも奨励金を出す時代だという話はあるんですけれども、この奨励金の負担をある意味除けば、何とかしてコミュニティーでこのプログラムを、仮に卓越の申請が通らなくても進めていくという議論をコミュニティーで行っていく必要があるんじゃないかと。ですから、卓越に仮に申請が通らなくても、このプログラムをもっといい形に進化させながら、メーンとしてはインターンシップなり海外研究機関での、前半に大野先生がおっしゃったような内容をしっかりと実現できるものをやっていくというのは、ポイントじゃないかなと思います。もちろん卓越の大学院に申請が通るように頑張りたいと思いますけれども。
【小川主査】 それはおっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。
ほかに何かあるでしょうか。
【岸本委員】 QSTとかNIFS、LHD等で非常に大型装置があると。要は、そういうところと各大学が連携していろいろなプログラムを作ると。これは大まかには非常にいい構想なわけです。
一方、大学も様々で、大野先生のところのように工学研究科でまとまった形で核融合の分野が幾つかあって連携してできるところと、比較的分野単位で、一、二分野とか1分野とかというのが日本にたくさんあって、そこはうまく扱わないと、どんどんそういう分野が、あるいは講座が消えていくということが現実的に出てきます。だから、大学の教育とか能力をいかにキープしつつ、一方、大学生がLHDとか大型装置に触れるというのは非常にいい機会で、我々はアドバンテージを持っていると言えますので、そこをうまく連携システムをとる仕組みを考える必要があるんじゃないかと。
【大野主査代理】 それはこの卓越の議論でもまさにその議論がございまして、申請するという意味では拠点で申請をしないと枠組みも決まりませんので、まず拠点と思われるような大学で枠組みを作りましょうと。ただ、1研究室しかないよう大学とか、私が考えているのは、多分高専も非常に重要な人材のリソース、輩出先なので、高専にも1研究室あるとか、そういう研究室がこういうプログラムにうまく参加して、学生さんが参加したいというときに参加できる仕組みにしないとまずくて、そうしないとそういう分野が広がっていきませんので、今、核融合だけをやっている研究室は多分ないと思うんですね。つまり核融合をやりながら応用もやっているとか、そういう研究室がほとんどですので、だからそういう研究室でも、ある意味ある要件を満たせば入っていけるという仕組みをきちんと作ってあげることが、このプログラムを立ち上げるときに最も重要なポイントだと思っております。ありがとうございます。
【小川主査】 御指摘のように大学でも、コミュニティーで言われているのが、大学の講座レベルでの研究の活性化をどう図っていくかというのが1つのポイントだと思いますね。ありがとうございます。
そういう意味で、手前みそのことを言わせていただくと、東大の連携講座を作らせていただいたときに、名古屋大学とちょっと違うのは、名古屋大学の場合は、学生さんが核融合研の方に行って、それで研究させているんですけども、東大の場合は、東大の方の研究もできるだけ……、核融合研の方に行ってもいいですけども、学生次第ですけども、東大の方の研究も核融合の先生が指導するという形ができればと。というので今動かせていただいて、学生によっては、だから大学の方の研究を、核融合研の先生方が出てきて指導いただけるとかですね。
【岸本委員】 京都の場合ですと、連携大学院がないんですね。それで最近、東大等でもスタートしたというのをちょっとお聞きして、一方、研究が研究所でも……、連携大学院をスタートさせるというのは、人員の問題とか予算の問題があるので、少し議論したことはあるんですけども、かなり敷居は低くはないんですね。ちょっとそのあたり、いろいろ御指導いただけたらありがたいのと、やはり核融合研は非常に豊富な人材を持っておられますので、そういう方が大学と強い連携を持って、講義を含めてですね、大学の教員と一緒になって教育体制が組めれば、それは非常に強いと思いますので、是非検討いただければと。我々も努力しないといけないんですけれど。
【大野主査代理】 そういう意味で、ここで書いてあるのもいろんなレベルがあると思っておりまして、例えば、特別共同利用研究員制度も、一応ここではNIFSに行って、そこで指導を受けるようになっていますけど、場合によって、大学の方に来ていただいてやっている場合もございまして、私の方は、あそこにいる秋山先生に、秋山先生はレーザー計測の専門家ですので、来ていただいて、実際それで学生さんが直接指導を受けて成果が上がっているとか、やっぱりそういう人材を、行ったり来たりしながら教育いただくというのが重要で、それを包括してやれるような仕組みができると、今はばらばらになっていますけども、非常にいいなと個人的には思っております。
【兒玉委員】 そういう意味で、レーザーは入ってないですけども、ただ、実際には、核融合研の先生が、レーザー連携というシステムがございまして、核融合研の先生が来ていただいて、いろんな学生を指導していただいているし、いろんなことをやっていただいていて、まさに今言われたこと、レーザーもできているので、仲間に入れてほしい。
【小川主査】 だから、リソースが割合あるんです。
【兒玉委員】 もう既に。
【大野主査代理】 だから問題は、そこが見える化されてないところが問題なんですね。つまりその仕組みがあって、それが、高校生が見たときに、そういう仕組みで教育されているとか、大学生から見えて、だったらそこに入っていけば、そこの先生方に指導いただけるというのが見えないんですね、現状のシステムだと。そこが大きな問題だと思っております。兒玉先生おっしゃるように、このコミュニティーは非常に活発に皆さん連携しているので動いているんだけども、それが実際のシステムとして見えないというのが大きな問題。
【村上委員】 関連するお話なんですけども、天文学の分野では、高校生相手に天文が学べる大学というようなシンポジウムを毎年やっているんですね。関西地区でやったり関東地区でやったりとかしてますので。それは大学の先生たちの方から集まって始めていますので、そういう活動も見える化というには役に立つのではないかなと思います。
【佐藤委員】 今、兒玉先生がおっしゃった質問をしようかどうしようか逡巡してたんですけども、一応3方式を研究していこうとなっていて、レーザーも入っているのにレーザーのことが全然出てこないのは、どうもちょっと、あれと思って聞いてたんですけども、それはいいですかね。この14ページのところに全部レーザーも入るんじゃないかと私思ったりもしたんだけども、そういうところ入れなくてもよろしいんですか。
【大野主査代理】 そういう意味では特別な理由はございません。それはもう核融合コミュニティー全体という意味で、レーザーもLHDの名前も当然入れるべきだと。
【岡野委員】 私も兒玉委員が何かをおっしゃるのを待っていたんですけど、これは幾ら何でもレーザーがなさ過ぎだと思いますよ。何か合意されてやってるならいいですけど、核融合コミュニティーの中で連携を図るというものの中で、レーザーはやっぱり出てこないといけないなと思うので、ひょっとして忘れたんだったら大変問題があるので、忘れずに入れていただくようにしていただきたいなと思います。LHDの件はおっしゃるとおりだけど、新しい仕組みとして2つ書きましたとおっしゃったのは分かるんですけど、もしも、LHDは大きい装置ですから入るべきだと思うので、入れるんだったらやっぱりGEKKO-XIIだって入るべきかなと思うし、教育という意味では、それこそリニア装置だって大学の教育システムは非常に役に立ってるわけだから、あえてここで排除する必要は全くないのかなと、そう思います。
【大野主査代理】 資料の問題というのが今いろいろ問題になってますけど、この資料は、想定されているここに書いてあるのは実は阪大なんですよね。ここに書いてあるのは、卓越というやつの個別の議論をここですることはなしということなのでこの資料にしましたけども、実際ここで想定されているのは筑波、阪大、京大、九大、富山なわけです。だから、それはもう明確に入っております。この資料でそれは……、兒玉先生はそれが分かっておられたので、あえて強く言われなかったということで、卓越の議論の中ではもう既に阪大はメーンプレーヤーとして入っていただいておりますので、ちょっとここの資料の中には名前として入ってなかったということで、申し訳ないんですが、そういう意図ではございませんので、是非御了解いただければと思います。
【小川主査】 それから、ちょっと視点が変わるんですけども、卓越にしろリーディングにしろ、企業に対して、企業がどういうことを大学に望むかという視点が重要なんですけども、その辺から見たら、企業又は産業界から見たらどういう感想を持たれますか。
【尾崎委員】 ちょっとダイレクトな質問になりませんけど、育成とありますが、大体何人ぐらいをその分野で育成しようとしていて、12ページ、左側が本流だとして、企業サイドに何名ぐらいをイメージしているのか、その辺を数字的に説明してもらえますか?
【大野主査代理】 この数字については、最近、秋山先生の方で……、1つは、だから原型炉に向けてどのくらいの人材が必要かというのがまずベースにあって、で、現状の人員がどれだけいるかということについてまとめていただいております。ちょっと実数は秋山先生にコメント頂いた方がいいかもしれないですけど。
【秋山学術調査官】 アクションプランで想定される必要とされる人材をカバーするためには、年間10人から20人の育成が必要というスケール感があるようです。
【尾崎委員】 それは左側のルートですか?
【秋山学術調査官】 はい。左側のみですね。
【尾崎委員】 そうすると、非常に小さな世界のように感じるんですけど。
【秋山学術調査官】 当然この人材育成に関しては、右側のパスというのが、例えばアカデミックポストを得られなかった人が選択するという意味ではありませんで、特に卓越なども、今議論している卓越の構想なども、積極的に右側に行く人を育てるべきであろうという考えでカリキュラム……。
【尾崎委員】 考え方として、左が20名、20名というよりも、例えば全体で200名、300名、そういうレベルの人材が関わり、左に行きたい人は行くし、右に行ける人もそれなりのレベルに達しているという、そういう発想が必要じゃないかと思います。
【大野主査代理】 それは本当に重要で、もともとこの世界は当初はそうだったんだと思います。今ここにいらっしゃる先生方の時代は、特に非常に多くの方が希望されてという時期であったんですけども、最近いろんな分野との競争の中で、キャリアパスが見えなくなってくるとだんだん志願者が減ってくるということがあります。だから、ここのところを大きくしながら、当然、企業でも十分活躍されて、その中で、例えばこの1割の方がここに行って活躍して、なおかつ企業に行った方と連携できるとかいうのが本当は非常に望ましい体制だと私も思っております。だから、修士課程の学生さんにとっては今まさにそういう状況で、ほとんどの学生さんは企業側に行っていて、その中で一部の人が核融合分野に残っているという状況ですけども、それをできるだけ博士課程の方にもそういう傾向を作っていきたいというのがございます。そうすると分野の活性化につながると思います。
【佐藤委員】 メーカーの方がおっしゃりにくいので代弁というか。採用というのは、投資というか受注があっての採用になってくると思うので、企業としてもうかる部分がないと採用しないと思うんですよ。そこの部分を別の方面で担保していかないといけないと思います。2050年の原型炉に向けて絶え間ない投資がないと、企業はなかなか採用しにくいんじゃないかと思うんですけどね。採用したとしても、仕事がなければ他の分野に配転されてしまうので、そこのところはセットの方な気がしていますけど。
【海老塚委員】 核融合の分野は、まだビジネスとして確立していないので、すぐに採用することは、難しいのではないかと思います。今すぐそれがビジネスになるわけではないので、核融合を研究する学生さんをその目的で採るというのはなかなか難しいわけですが、ただ、先ほどお話があったような、核融合を研究している学生さん、あるいは今実際に建設されている施設があるわけなので、そこで経験を積んだ学生さん、あるいはそういう能力を養成した学生さんは非常に優秀だと思います。そのような学生さんは、活躍する可能性もあり、企業として採用することは非常にあるのではないかと思います。したがって、もう少し企業側に分かるようにすることが大事ではないかと思います。
【尾崎委員】 右側に行く人が例えば9割いて、その人たちが非常に優秀だとして、結果的に入った後にまた左側に行く矢印があってもいいと思います。今、別の仕事があるという意味で。必ずしも核融合のために企業に入らなくても具体的にメーカとしての核融合の仕事があれば違う分野からの人も核融合分野に関連してくるという感覚が必要だと思います。
【大野主査代理】 ありがとうございます。だから、ここの行ったり来たりも含めて人材の流動化が重要で、流動化できる人材というのは優秀な人材だということですね。だから、どこに行っても活躍できるということだと思いますので、是非その論点で図もブラッシュアップしたいと。
【小川主査】 よろしいでしょうか。大学でのこの辺の教育に関しては、核融合に限らず、リーディング大学院とか卓越大学院とかでいろいろ工夫しておりますので、今後とも……。そのときやっぱり1つの視点は、産業界との連携が1つの重要な出口ですので、皆さんまたいろいろと御議論していただければと思います。
よろしいでしょうか。ほかに何か。
【海老塚委員】 資料の中にあるアウトリーチのヘッドクオーターは社会に対して、若年層に対して、あるいは企業に対して、そういうことをしっかり、核融合の分野はこういう分野であること、あるいはこういう活動をしていることをもっと知らしめることが必要であり早くスタートすることが重要ではないかとおもいます。
【小川主査】 ありがとうございます。実は私もそう思っていろいろやっているんですが、なかなか動いてないところがあるんですけど、頑張っていくべきだと思います、そのとおりだと思います。ありがとうございます。よろしいでしょうか。大野先生、どうもありがとうございました。
それでは、引き続き提言案の検討に入ります。前回お示しした骨子案をドラフトチームにおいて肉付けしていただいたものを本日資料2としてお配りしております。秋山学術調査官の方から御説明お願いいたします。
【秋山学術調査官】 それでは、資料2をごらんください。まず本案の作成に当たりまして、ドラフトチームの委員の先生方には直接又はメールで議論を重ねていただきまして、まずここで感謝申し上げます。そして、今見ていただいている案ですが、黒字で書いているところが骨子案、赤字で書いているところが肉付けした部分でございます。そして、本案を作成するに当たりまして、追加した章がございます。まず本報告書の冒頭に、この提言書に何が書かれているかということを記した「はじめに」という章を加えております。そして、その次に「本提言書の背景」という章を加えまして、本提言書を作成するに至った経緯としまして、これまで文科省でまとめられた報告書、またコミュニティーで作られた文書、そして最近の動向としまして特別チームによる原型炉設計の開始だとか直近に実施したアンケートについて、第1章に記してございます。そして章立てですが、前回の骨子案におきましては、2章構成でありまして、1つが原型炉開発とそれに求められる人材像、そしてその次に現在の課題と必要な施策、実現方法というような2章立てでございましたが、そのまま書き始めたところ、十分整理できなくなりまして、現在のファクトだとか望まれる環境と課題、そして課題解決のための取組などがちょっと不明瞭なところが出てきましたので、思い切って章を分割いたしまして、本提言書では第2章に「核融合エネルギー開発とそれに求められる人材」、そして3章には「望まれる人材育成・確保環境と課題」について、そして4章で、その課題解決のために期待される具体的な取組という章立てといたしました。また、提言書の最後には、出典と用語集も加えてございます。
それでは、冒頭の方から説明をさせていただきます。まず「はじめに」というところですが、こちら、新しく加えましたので、章全体が赤字になるはずなんですが、一部黒字が残ってございます。原型炉は、核融合エネルギーの実現に欠くことができない重要なステップでありまして、本報告書では特に原型炉段階へ早期移行するために必要な人材を育成・確保する上での課題と、必要な施策・取組についてまとめると記してございます。文書中、「早期実現」とありましたが、この「早期」というのは実は次の行の「早期移行するため」というふうにするつもりでしたが、配付資料ではこれがまだ反映されておりませんで、申し訳ございません。こちら修正予定でございます。
続きまして、第1章、本提言書の背景でありますが、まず冒頭の段落に、我が国の核融合原型炉に向けた研究開発の基本的方針としまして、前回の核融合科学技術委員会で策定していただきました「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」をこの基本方針として挙げまして、その中では、人材育成の重要性が指摘されることをここで冒頭に述べております。
そして、もちろんこの以前の文科省での文書においても、人材育成について長く議論されてきておりますので、それについて年代順に次の段落で示してございます。そして、その中でも特に重要なのが、人材育成に特化して作成いたしました平成20年の「核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保について」という文書でありまして、これについては前回の核融合科学技術委員会において、これまでの実施状況について評価・報告したものがございます。
そして、これまで文科省だけではなくて、核融合コミュニティーにおいても様々な人材育成の取組がなされてきております。平成18年、平成28年には、核融合ネットワークによって大学での核融合研究の動向が調査されまして、学生や教員の数、研究・教育の実態について、そこで報告されてございます。そして、平成19年には、プラズマ・核融合学会において、ITER時代での学術研究の意義と役割についてまとめられまして、2ページ目をごらんください、人材育成に対するコミュニティーや学会の役割がそこで述べられております。核融合エネルギーフォーラムでは、ITER計画・BA活動、トカマク原型炉を進めるための人材育成や確保に関して、各研究分野の人員数及び将来必要とされる人員数の数が評価・分析されまして、人員確保の計画が検討されてございます。
また、先ほど申し上げた平成20年の人材育成報告書の後の動向といたしまして、ITER計画及びBA活動が着実に進展していること、また特別チームが結成されまして、原型炉設計がオールジャパンで本格的に開始されたという展開がございます。そして、平成28年に行われました人材育成のアンケートでは、幾つかの現在の問題点が明らかになっておりまして、例えば博士課程進学率の低下や教員の高齢化、大学での核融合研究のウエート低下などといった問題が明らかにされてございます。
これらの背景の下、核融合科学技術委員会では、最新の研究開発状況や要請を考慮いたしまして、人材育成・確保に関する課題と実施が望まれる施策をまとめるべきと判断いたしまして、ドラフトチームを組織して本提言書を作成することにしたという経緯をこちらにまとめてございます。
また、この文書をまとめるに当たりまして、以前の7月に行われました核融合科学技術委員会で御指摘がございましたアクションプランを実施するための人員数の評価、つまり想定する規模感ですね。そして、それに対する現在の人員数についても調査しております。これは前回の核融合科学技術委員会で報告したとおりでございます。その規模感の認識を基に検討を行ったということもこちらに記してございます。
それでは、続きまして第2章、核融合エネルギー開発とそれに求められる人材について説明させていただきます。まず、こちらの章では、2.1としまして、原型炉の開発について、これも前回の委員会で策定されました「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」に基づいて、原型炉の開発について2.1章に記してございます。トカマク方式を原型炉の炉型といたしまして、実現に必要な技術課題の達成をコミュニティー全体の共通目標とする、そして、アクションプランに示された技術課題を達成するためには、ITER計画・BA活動を大きな柱としつつ、オールジャパン体制にて総合的に研究開発を推進すること、そして、その一方で、その開発研究と並行して、それを要素還元して体系化・普遍化する学術研究が重要であって、知の循環システムを構築することが必要であるというふうにここに記してございます。
そして、そのような研究開発に求められる人材として次の3つを挙げてございます。核融合炉は巨大で複雑なシステムでありますので、基礎力と高い専門性に加えまして、核融合炉としてのシステム構築をするために全体を俯瞰する広い視野を持ち、個々の技術を統合する能力を求められる。ITER計画・BA活動はいずれも国際プロジェクトで実施されておりまして、さらに原型炉の開発も一部国際協力で行われることが想定されます。そのため、国際プロジェクトでリーダーシップが取れること、また国際的な共創力を有することが求められます。また、核融合が国民に選択され得るエネルギーとなるためにアウトリーチ能力、科学技術やリスクのコミュニケーションを含めた対話能力及び社会の情勢を的確に分析する人文社会科学の知見を持つ人材が不可欠であるとここに記してございます。
そして、今後行うべき施策を考える上で、人材育成を取り巻く現在の踏まえるべき環境を次に示してございます。これも前回の核融合科学技術委員会で御紹介いたしましたとおり、タスクフォースの見積もりによりますと、アクションプランを実施するには現在の核融合研究者総数の数倍の人員が必要でございます。また、核融合ネットワークで実施しました人材育成アンケートにより、現在プラズマ研究全体の修士課程の学生総数は増加傾向であるものの、博士課程の学生総数は横ばいからやや微減傾向にあること、そして、博士課程の進学は、修士課程の学生との数の比で見ますと、平成18年の調査では六、七人に1人であったものが、平成28年には10名に1人と低下したという状況、また同じく人材育成アンケートで明らかになったことですが、大学での核融合研究の動向としまして、プラズマに関する研究室・研究グループでの核融合研究のウエートが28年度の調査では18年度よりも低下しているという現実がございます。また、論文についても、論文の総数はほぼ横ばいでありますが、その中でプラズマ応用の論文が割合として増加傾向にあると、つまり他分野への研究にシフトするという傾向がございます。もちろんこのことはプラズマの研究の裾野の広がりという意味では非常によいことではあるんですけれども、原型炉の開発という意味では、対策が必要ということでございます。
また、産業界での人材育成は、実際の核融合施設建設で技術開発をして経験を積むというOn the Job Training(OJT)が中心となりますので、つまり産業界での人材育成は大型装置からの継続的な発注によってなされるという認識が必要であるということをここに明確に示しております。
また、ITERは原型炉に向けた人材育成の最大のプラットフォームでございますが、ITER機構における日本人職員数割合は約4%という低い割合にとどまってございます。
そして、多くの人材が核融合開発研究に参画するためには、長期ビジョンを示すロードマップの提示が必要でございます。このロードマップは産業界の核融合研究開発への参画計画、そして社内での人材育成や確保計画が立てやすくなります。現在、タスクフォースでは、このロードマップの策定について議論を開始しているところでございます。この2.3章でこのような現在我々が踏まえるべき環境をまとめてございます。
それでは第3章の説明に移らせていただきます。第3章、望まれる人材育成・確保環境をこの章の前半に記してございまして、後半にその環境を整えるための課題を記してございます。
まず望まれる環境としまして、大学・大学院は、人材育成の基点として重要であり、核融合及びその関連分野を専攻する人材を育成し、各界に輩出することが求められます。そのため、基礎研究環境の維持・拡充を図らなければなりません。
また、進行中のITER計画やBA活動などの国際的開発研究は人材育成の重要なプラットフォームでありまして、それを国内の学術研究や民間も含む技術開発研究と連携させて、知の循環システムとして互いに発展させることが重要でございます。
そして、核融合研究開発に関与する人員の増加、及び将来にわたって継続的・安定的な人材輩出を実現するためには、子供を含む広い世代で、核融合研究開発への興味の喚起、そして研究の重要性の理解を広く促すことが必要でございます。それによって、将来、核融合研究を担う人材の潜在的確保、他分野からの人材参入の促進、他分野への波及効果につながって、コミュニティーの維持拡大上、重要でございます。
そして、これらの環境を整える上での課題として、以下の3つを挙げております。以前の骨子案では5つの課題を挙げてございましたが、重複もあることから、次の3つ、大学院教育、人材流動性、アウトリーチといった3つの観点に集約して整理いたしました。
まず1つ目の大学院教育については、人材育成の起点として、また基礎研究環境の維持・充実を図る観点から、総合工学である原型炉開発を牽引するため、広範で多様な専門分野を習得する大学院教育プログラムや、ものづくり・システム統合を経験するための産学の連携、これが課題である。
そして、人材流動性については、知の循環システムを創生する観点から、ITER機構を含む、産学で広範囲な人材流動性構築と、魅力的なキャリアパスの確立。
そして3つ目の課題として、アウトリーチ活動で、即戦力、及び将来の人材を確保する観点から、アウトリーチなどの社会連携活動、この3つが課題として挙げられます。
そして、4章としまして、今挙げました課題の解決のために期待される具体的な取組として本章に記してございます。上記の1から3を、この章ではさらに小課題に分類した上で、実施が期待される具体的な取組を記してございます。そして、その小課題には、喫緊で取り組むべきもの、そして長期的に取り組むものと分類いたしまして、それぞれ(喫緊)及び(長期)という注意書きを付けまして、その時間的なスケール感を示してございます。また、実施が期待される主体もここには記してございます。
骨子案の構成としましては、喫緊、そして長期というのに分けて、以前は5つありましたが、その5つの課題解決の取組案をそれぞれ書いてございましたが、読みやすさから、この案では課題ごとに書き下すようにいたしまして、その中に喫緊の課題、長期の課題というのを織り交ぜて記載してございます。
では、まず1つ目、大学院教育につきまして、その小課題1としまして、これは喫緊の課題でございますが、柔軟な履修制度等による、一専攻や一大学にとどまらない分野横断的で全日本的な大学院専門教育。システム工学などへの産業界の寄与。これについては、本日の大野委員のお話にもございましたが、全日本的な取組が必要という提言でございます。
この具体的な取組として、大学間で連携した総合的な核融合教育システムの構築、これは大学及び研究機関に期待するものでございますが、原型炉は総合工学でありますので、その開発を牽引する人材は、核融合技術を俯瞰的に見ることがこれからは必要になってきます。そのような幅広い知見の基礎となる大学院教育を実施するためには、6ページ目に参ります、各大学等の強みや特色を生かしつつ、日本全国の研究者が連携して実施する、質の高い総合的な核融合教育システムの構築が期待されます。
同じく、小課題1に対する具体的な取組として、大学院教育と国内外の大型装置との連携促進。LHDやJT-60SA、激光12号などの国内大型装置や、ITER等の海外大型装置と大学の連携促進を期待する。いずれの装置におきましても、現状でも共同利用・共同研究拠点としての制度や連携大学院、またITERではインターンシップといった制度が既に整備もされておりますので、必要に応じて、より有効に利用されるための制度の見直しや拡充を実施することが望まれます。また、先ほども話題に上りましたが、文科省で準備が進められております卓越大学院構想等による大学・研究機関の枠を超えた、強固な連携の枠組みを構築するための制度整備を全日本的に推進することが望まれます。
また、具体的な取組の1つといたしまして、次に大学院教育や大学での若手育成と連携した原型炉開発研究。現在、特別チームを中心に原型炉設計が行われておりまして、既に共同研究も実施されております。この共同研究は、大学院生や大学の若手研究者が原型炉設計に携わる格好の機会となりますが、大学からの応募や採択後の共同研究がより効果的・効率的に実施できるように、ファンディングや実施体制などを柔軟に見直すことが重要でございます。これも本日のこの後の議論として行われることになっております。
また、産業界と連携した大学院教育。企業でものづくりを経験した技術者らによる大学院教育への協力と、企業側にもメリットのある仕組み作りを行うことが期待されます。システム工学等をメーカーの視点から大学生が学ぶことに加えまして、大学院生がメーカーの仕事を理解して、博士号取得後に積極的に産業界へ進むきっかけとなったり、また、そのような学生のキャリアパス検討の支援、また学生と企業の相互交流によって就職の機会になったりすることも、このような取組から期待できると考えております。そして、協力関係を継続的に維持するために、産業界の人材の雇用については、それぞれの事情を考慮した柔軟な制度設計を行うことが望ましいとここに記してございます。
また、学生・若手向けの研究会等の企画。これも先ほどの大野委員の御発表にもございましたが、プラズマ・核融合学会夏の学校などの学生向けの各種研究会を利用した、実習を含む様々なトピックを受講するような機会の創出が期待されます。これまでの活動に関して、学会等を中心に連携強化を図りまして、必要に応じて発展的に統合させることなども視野に入れながら、学会による全日本的学生教育を活性化することが期待されます。
そして、企業・大学院生のマッチングの機会の創出。核融合の博士号取得者が、核融合分野だけではなく、広い分野において産業界でも活躍できるという現実がありますと、それが核融合の博士課程への進学者を増やす上で非常に重要に、有利な点になっていきます。企業の方々に伺いますと、博士号取得者が企業で採用されるためには、企業側、そして学生の両者のマッチングが最も重要であるということを伺ってございます。ただし、現在はマッチングを探すという機会が極めて少ないという現状がございますので、企業と学生のマッチングの場を提供するとともに、学会などが中心となって、例えば核融合機器開発等へのインターンシップなどを企画いたしまして、企業と学生のマッチングの機会を作ることなども期待されます。
続きまして、大学院教育に関する小課題の2つ目としまして、これは長期的に取り組むことになるかと思いますが、大学と研究機関・産業界が連携した大学院教育による人材の安定輩出の仕組みの構築。具体的な取組として、こちら、取組の取組名が抜けてございますが、まず1つ目は、横断的な大学院教育、期待される機関として大学、研究機関・産業界となると思いますが、興味やテーマに応じて、大学院生が民間企業も含めて組織横断的に研究を実施しやすい雰囲気を醸成すること。この横断的なテーマというのは、具体的には博士論文や修士論文で、ITERだとか国内の大型装置で研究、そして企業インターンなどでの仕事というのを、そういった論文に組み入れることなどを想定してございますが、そのような組織横断的テーマの設定が、研究テーマの選択肢となりやすいようにすることが重要でございます。そのためには、実施例を増やして、かつ成果を上げて、学生の間でも、違うところに行って研究するのも非常にいいよねという雰囲気を作るということが必要になろうかと思います。
【小川主査】 秋山先生、ちょっと早めにしていただけますか。
【秋山学術調査官】 はい。じゃ、かいつまんでいきます。
続きまして、人材の流動性についてに移らせていただきます。まず、ITER機構の職員数の増大でありますが、これについて重要なのが階層ごとの人材派遣制度の設定であります。大学院生からシニアに至るまで、建設期及び実験期で求められる人材が違うことや、年代、階層ごとの戦略を別々に立てることが重要でございます。そして、もう一つ、現在のITER計画はもう少し建設が続きますので、それをリードするために、OBも含む経験豊富な人材の活用も検討すべきでございます。
そして、これを検討する上で重要なのが、国内ポジションを維持するなどの柔軟な派遣制度でございます。派遣制度、人材派遣を検討する上で、やはり戻るところというのが重要でございますので、国内所属機関でのポジションを維持しながらの派遣など、多様な制度設計を進める必要がございます。
また、ITER職員の公募を効果的に分野外にも広報するということも重要でございます。
続きまして、9ページに行きまして、人材流動性に関する小課題として、BA活動や原型炉活動への、大学、NIFS、産業界の参画促進ということで、具体的な取組として、クロスアポイント等の整備。なかなかクロスアポイントメイト制度は使いにくいということも指摘されますので、それが現実的で使いやすいものにするなど、また協定の締結などを使って流動性を高めてBA活動や原型炉設計活動に参画が促進されることが期待されます。
また、特別チームに対する参画する企業の拡大ですが、原型炉では現実的なコストを意識した設計をする必要がございます。そこには、メーカーの方々の直接的な貢献など、これまでの知見などを十分に取り入れることが不可欠でありますので、参画する企業の拡大を図る必要がございます。
また、3つ目としまして、他分野との流動性の促進。関連分野と連携して、そこから即戦力の人材が参入することが期待されます。特に、原子力分野との交流というのは重要な点かと思われます。
そして、多様なキャリアパスの提示ということで、具体的な取組として、キャリアパスの追跡調査が挙げられます。個人がキャリアを選択する際には、やはり先人がどのようなキャリアパスを通ったかというのが重要な判断基準になります。様々な人材のキャリアパスの追跡調査を行ってデータベース化して示すことが、キャリアの選択時の判断に資することが期待できます。これは転職についてもそうですし、若手の学生さんにとっても非常に重要なデータになるかと思います。
そして、3つ目のアウトリーチに関してですが、1つ目の小課題としては、戦略的なアウトリーチ活動の展開。まず、アウトリーチヘッドクオーターを設置して、活動推進計画を立案すること。これは、アクションプランにある精神でございまして、詳細は割愛いたしますが、最後のところ、近年、アウトリーチの仕方は非常に多様化していまして、なおかつ急速に変化してございます。ですので、推進計画の立案では、SNSの利用だとか双方向のコミュニケーションなどを選択肢に含めまして、現代に合ったアウトリーチの在り方というのを検討していくべきかということをここで指摘させていただいております。
最後になりますが、社会への広い興味の喚起と、また核融合研究に携わる人材と成り得る母数の拡大ということで、具体的な取組としては、アウトリーチを推進していくこと。また、ここでは効果的なアウトリーチを行うために、広告会社だとか科学コミュニケーターの雇用など、プロの力をかりるということも今後必要になってくるかと思われます。
また、もう一つ、教科書や副読本への掲載でありますが、多くの場合は、大学の選択時だとか研究室配属時に核融合が選択されることになりますが、その時点で核融合を知らないということもよく聞かれます。ですので、その前にインプットしておくということが大事で、初等~高等教育への掲載を働きかけるということが大事であります。
以上です。
【小川主査】 ありがとうございました。大分改訂していただきまして、真っ赤なので、ほとんど新しくなったと同じぐらいになったんですけれども、でも、非常に完成度の高いものが出来上がっていると思います。これを作るに当たりまして、ドラフトチームとして貢献されました五十嵐先生、佐藤先生、大野先生ですか、3人ですよね。先生方、どうもありがとう……。
【大野主査代理】 竹永さん。
【小川主査】 そうか、竹永さんと。きょういらっしゃらないですが。ありがとうございました。
いろいろな点から御質問頂きたいと思いますけれども、まずドラフトチームでまとめられた五十嵐さん、いかがですか。まとめるに当たって、特にないですか。
【五十嵐委員】 大変よくおまとめいただき、本当に秋山先生、お疲れさまでした。ドラフトチームといっても、私は、御意見を申し上げただけで、すみません。ほかの先生方から御意見を伺って、特に専門的な部分など、御指摘を頂ければと思います。よろしくお願いします。
【小川主査】 分かりました。じゃあ、是非、高梨さん、あります? どうぞ。
【高梨委員】 済みません、しばらく参加できませんで残念でした。とてもよくまとめられたなというまず第一の感想です。1つだけ、ちょっと気になったところを申し上げてもいいですか。
アウトリーチ活動のことなんですけれども、まず3ページ目、求められる人材の最後の箇所にアウトリーチ能力ということが書かれています。1番目、2番目の能力については、この中でも非常によく検討されていると思うんですが、3番目の能力をどういうふうに養っていくかということについては、余り書かれていなかったと思います。
さらに、この議題に入る前の大野先生のプレゼンテーションの中なんですけれども、いわゆる宇宙の研究のように、大学院生がこういうふうな研究をしていて、わあ、いいなあというふうに、そういう大学院生の姿を見せるということが次の世代を引っ張ってくる力になり得るというお話があったかと思うんですけれども、そういう意味だと、今研究している大学院生のアウトリーチをしている姿を見るというのも、もしかしたら次の世代の人材を引っ張る力になるのかと思ったんです。
そのために、最後のところに、アウトリーチ活動はこういうことが必要だと述べられているんですが、そこに、例えばアウトリーチの能力を養うために、大学院生のインターンですとか、短期のプロジェクトを入れ込むとかというのもおもしろいかなと、これは本当に思い付きなんですけれども、アウトリーチ活動の能力の養い方というのが入ると、ちょっとおもしろいかなと思いました。
以上です。
【秋山学術調査官】 ありがとうございます。
【小川主査】 ありがとうございます。アウトリーチのヘッドクオーターに関して、別の会議でいろいろ議論しているときも、その辺、どうやるかというのは議論しているんですけれども難しいところで。
秋山先生、今の、もしうまく変えられるようだったらば。
【秋山学術調査官】 はい。ちょっと取り入れさせていただきます。特に、今御指摘された学生さん、若い方がアウトリーチするというのも非常に大事なことかと思いまして、私は核融合研のオープンキャンパスで、高校生の研究室という企画がございまして、それは実際、高校生がSSHなどでプラズマ研究をしたのを、高校生がオープンキャンパスに来られた方に説明をされるというものなんですが、やはり高校生の口から説明されるのは、我々が説明するよりも非常に伝わりやすいといいますか、そういった機会を持って、高校生、大学生もアウトリーチに携わるという機会を持っていければと考えております。ありがとうございます。
【小川主査】 ありがとうございます。ほかに。
【大野主査代理】 その点で、私の資料にあった、事前プラズマ実習という高校生シンポジウムの内容がまさに高梨委員の御指摘のとおりで。
【小川主査】 あれがまさにそうですよね。あれはいいと思います。
【大野主査代理】 ここで大学院生と高校生と接点ができるというのが、高校側からの要望でもあるんですね。やっぱり大学院生がどう研究しているかというのが見えることが、高校生のモチベーションを最も上げると言われて、ここを企画した経緯がございますので、是非入れていただければと思います。ありがとうございます。
【小川主査】 高校生から見れば先生というのは上過ぎて、大学院生とか、その辺の方が話しやすいし、アクセスしやすいんだと思うんですね、おっしゃる意味は。
兒玉さん。
【兒玉委員】 ちょっと基本的なことを伺いたいんですけれども、これはどなたに対しての報告書というか。いわゆる、今、日本全体でグローバルリーダーを育成ということを言っているのは、やはり日本の、この国を何とかしたいというところから来ているんですね。そのときに要求されている人材というのはグローバルリーダーなんです。それは、皆さん、グローバルリーダーというのは多様性を受け入れて、多様性を活用して、新しいものを生み出す、これがいわゆるグローバルリーダーと言われる。そういう観点で、このエネルギー開発は、大きく活用できるというスタンスで書くのか、これは人材が必要だ必要だというスタンスで書くのかって、ちょっと書き方も違うし、フィロソフィーもちょっとずれます。中身、材料は同じなんですけれども。そこがちょっとよく分からないですね。
もっと分かりやすく言うと、先ほどの大野先生のを伺うと、物すごくシャープなんだけれども多様性を全く受け入れないような、そういう形になってきて、いわゆる、今、日本が必要としているグローバルリーダー人材育成からすると、下手をすると、ちょっと逆の方向に見えてしまう。そこをどういう考え方で核融合の人材を。要するに、20名が必要だと。結果として、20名になるというふうにする方が絶対いいはずなんです。だから、その辺がちょっと。これ、秋山先生がもっと多様性を受け入れると、多様性のことを言われているのでよかったんですけれども、だから余計途中で気が付いたというか、大野先生のを聞いて、その次にこれを聞くと、どうもちょっとそっちの方がいいんじゃないかなということで思った次第でございます。
【小川主査】 分かりました。重要な視点だと思います。
いかがですか、大野委員。
【大野主査代理】 多様性というのは、まさにグローバルリーダーが求められることで、兒玉先生言われるとおりだと思います。ただ、核融合の人材がどういうスキルを持っているかというのは、その中の教育システムの中で、教育できる内容を明確にしないとやはりいけないので。
【兒玉委員】 核融合のコミュニティーだとそれは分かるんです。今言っているのは、どこにこれを訴えるのかということなんです。あらゆる分野に対して訴えるのであれば、最初に出てくるのはグローバルリーダー育成なんです。それにうまく、実はエネルギー開発は活用できますよという方が、僕はより魅力的じゃないかと。確かにこの中で必要だ必要だ、それはいいことだし、そこをちゃんと具体的にやるために、タスクとして何が必要かというのは明確にする必要はある。そうしないと、ふわふわのものになりますからね。だから、その次のステップとして、やはり日本が必要とする人材育成プログラムというか人材育成のところに、どううまく持っていくのかというのが必要なんじゃないかと。
【大野主査代理】 そういう意味で、核融合人材のポテンシャルというところに書かせていただいたやつがこのプログラムのディプロマポリシーになるわけですけれども、ここに書かれている、基礎力、専門力、俯瞰力、国際競争力、システム統合力というのは、ある意味グローバルリーダーが持っておくべき資質ではあるので。
【兒玉委員】 だから、具体的に言うと、秋山先生が作られた7ページ目のところにあって、下の1-2というかi-2というか、長期ビジョンですね。そこで、まさに大学と研究機関・産業界が連携した大学院教育による人材の安定輩出の仕組みを構築と、そのときにいろんな装置、ITERも有効活用することも期待されると、これ、「も」なんです。いわゆるこれも人材育成のための1つなんですよ。いわゆる、ITERのためにやるじゃないんですね、これは。これはそうだなと思って読ませていただいたんですけどね。どの視点から考えるかというのは、多分次のステップで問われるんじゃないかとは思うんです。
【大野主査代理】 そうですね。だから、私の資料の作り方がまずかったかもしれませんけれども……。
【兒玉委員】 別に大野先生のことを言っているんじゃないんです。
【大野主査代理】 いやいや、いいです、いいです。分かりました。そういう意味で、キャリアパスについても、企業人材という意味は、もちろん核融合のための企業人材というわけではなくて。
【兒玉委員】 いやいや、僕らの心の中ではそれでいいんです。
【大野主査代理】 そうですよね。ということですので、非常に社会的に活躍いただける方をそこで育成してということが前提だとは思います。
【小川主査】 ある意味では、非常に重要な視点だと思います。全体において、核融合の人材育成をどう位置付けるかですね。
二、三年前、我々外部評価を受けたときに、あるメーカーさんの重役の方がいて、大学の核融合研究で非常に難しいことをやっていらっしゃる、それは分かる。ただ、それを企業に特化すると、先ほど尾崎さんとか海老塚さんが言われたかもしれないけれども、直接それを企業に来てやってほしいと望むのではなくて、大学でいろいろな、前も大野先生が言っていた、やっぱり大学で最近は重電関係とか、ああいうヘビーな実験をやる機会というのはなかなか減っている。核融合コミュニティーの人たちが、そういう大学の講座レベルでやるのは非常に重要であって価値があるので、そういう人材を、企業としてそういうことをやってくれることは非常にウエルカムであると。それは、大学の先生方とすると、教育という側面では非常にいいんだけど、大学の先生方にとってみると、教育ではなくて研究がメーンですから、研究としていいこと、やりたいこと、それを目指してほしいんだけれども、外から見ると、結果的にそういう研究でヘビーなことをやるところで教育していることが、非常に価値があると見ていますよという評価をされていて、そういう視点が今のこれの中には不足しているのかもしれないということですね。
【兒玉委員】 そうです。
【小川主査】 前、大野先生、そんなことをおっしゃっていましたよね。
【大野主査代理】 私の論点は、まさにそこにいつもあるんですけれども。
【小川主査】 ですよね。そこは書かれていないということですね、兒玉さんの意見は。
【大野主査代理】 それはそうで、今の絶縁とか高電圧とか、今全てはパワエレの方に行っていますけれども、結局パワエレを実際にやっている研究室、大学院はないわけです。まさにレーザーとかプラズマとか、そういうところがまさにそういう技術を扱っているんですけれども、そういうところで役に立つということを、より主張するのも重要かと思いますが、だんだん書いているうちにシャープになっていってきたんですが、その論点は非常に重要だと思うんです。
【小川主査】 そういう論点をどこかにかぶせておくのが重要じゃないかというのが兒玉先生の意見だと思いますので、もしうまくかぶせられるならば補足していただければと思います。
【秋山学術調査官】 分かりました。
【小川主査】 中身としては、原型炉に向けての人材育成確保をある程度シャープにしておかなくちゃいけないので、具体的なものを残しておくんだと思います。何かあります?
【佐藤委員】 4ページの上の段の3ポツの前のところで、こういった問題点があるのでロードマップを作らなきゃいけないねと、こういう計画を立てるためにも、人材計画とか参画計画とかを立てるためにはロードマップを作らなきゃいけないねと。審議を開始したとなっちゃっているので、ロードマップを作るというのは、いつまでに作るんですかとか、そういうやつが要るのではないかと。それで、3ポツから下というのは、多分ロードマップの中身のことが、産官学の役割についてずっと書いてあるので、そことの整合性というんですか、30年2月27日から「策定について審議を開始した」だけで終わっちゃっているので、じゃあ、それからどうするのというところをちゃんと書いておいた方がいいんじゃないかと思いますけどね。
【小川主査】 ロードマップの策定に関しては、この後の議題でありますので、そのときの書き方で。
【佐藤委員】 3ポツ以下と、この前のところのすみ分けというのがよく分からないんじゃないか。これ、全然知らない人が読んだときに、どうやってつながるんだろうと思うんじゃないかしらと思ったので、ちょっと丁寧に書いてあげた方がいいんではないかと思いました。
【小川主査】 分かりました。ありがとうございます。じゃ、その辺、今後の議論を含めまして考えておきます。
どうぞ。
【森委員】 2.3.のところで、タスクフォースの人の数の見積もりの話が出ていて、参考資料の1とか参考資料の2というのが後ろにありますけれども、これはこの報告書の一部になると思っていいんですね。
【小川主査】 これは、リファレンスとして、ナンバー10のリファレンスがこれに。
【森委員】 ナンバー10? 後ろの方のリファレンス番号ですか。
【小川主査】 そうそう。
【森委員】 そうですか。
【小川主査】 ウエブサイトに載ると。
【森委員】 鍵括弧の10と書いてあるのがそういう意味ですか。
【小川主査】 そうです。
【森委員】 分かりました。それで、この報告書は、ここの委員会の報告書として出すわけですよね。
【小川主査】 そうです。
【森委員】 そのときに、タスクフォースの見積もりについては、この委員会がエンドースしてこの報告書を書くという立場でいいんですよね。であれば、今ある「見積もりによれば」という表現が少し第三者的に書いていると感じるので、例えば、「タスクフォースの見積もりで示したように」とかに変えて委員会としての判断も入っている感が分かるようにしていただいた方がいいかと思いました。
それから、あと、この報告書には具体的には国であるとか研究機関とか産業界とか大学とかというところで取り組んでほしいという内容が書いてあるので確認したいのですが、人材流動性の記述の2-1の「国内ポジションを維持するなどの柔軟な派遣制度」というところがあって、中ほどに、「経験豊富なメーカーの技術者が必要とされているものの、日本の雇用体系では任期があることから本人も所属機関にとっても参画しにくい」という、ここの意図がちょっと不明瞭かと思うんです。
まず、ここに書いてある任期というのは、ITERの職員として任期があることからという意味ですよね。
【秋山学術調査官】 はい、それを念頭に。
【森委員】 任期があるとどうして参画しにくいのか、逆に任期がなければ参画しやすくなるのというのが、私にはちょっとよくつながらないのですけれども。本人にとっては、所属しているところを辞めていくことができるから、参加しやすいんじゃないかということですか。
【秋山学術調査官】 具体的には、例えばITERで10年、20年というふうに長期で働くことができれば、辞めていくという選択肢もあるかとは思うんですが、例えば5年で切れてしまうということであれば、なかなか踏ん切りが付かないという事情もあるかなという意図です。
【森委員】 一方で、辞めていかれると、所属していた企業とか研究機関とか、困る場合もありますよね。そういう意味で、任期があることが問題だという指摘がいいかどうかというのは、ちょっと私は検討が必要かなという気がします。
【秋山学術調査官】 表現については、少し再検討いたします。
【小川主査】 分かりました。
【秋山学術調査官】 意図としては、国内ポジションを維持するということを書いている章でありまして、戻るところがあれば参画するということも敷居が低くなるのではないかという意図です。
【森委員】 もちろん知の循環とかということも書いてあったので、流動性をうまく確保できるような仕組みが必要だというところがポイントだと思います。
【秋山学術調査官】 そうです、そのとおりです。
【森委員】 そういう意味では、ITER機構の任期というのは余り重要でないのかなと思います。むしろ任期があるから循環できるという側面もあると思うので。
【秋山学術調査官】 なるほど。少しここ、表現を改めさせていただきます。
【小川主査】 分かりました。ありがとうございます。ほかに。
【森委員】 あと、もう一ついいですか。クロスアポイントメントで、これもちょっと知らないので教えてほしいんですが、「現実的で使いやすい」というふうに書かれていて、今の制度は問題があるんだというふうに先ほど説明されたと思います。具体的にどういうところが使いづらいというか、問題があるということなんですかね。
【秋山学術調査官】 様々な事情が各機関であるかと思うんですけれども、事務的に非常に手続が煩雑だということは伺っております。
【森委員】 そこら辺、書かないと分からないかなという気もちょっとします。
【小川主査】 おっしゃるとおり、現実的に使いやすいクロスアポイントメント制度の整備と。最近大分クロスアポイントメント使われるようになっているから、ここまで書くかどうかというのは、ちょっとあれかもしれないですね。分かりました。
それ以外にも、多分皆さん、何か所かコメントがあると思います。それなので、1週間程度の時間を取って、メールでコメントを寄せていただいて、それでブラッシュアップさせていただければと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
【森委員】 質問もいいですか、メールで。
【小川主査】 質問もいいです、大丈夫です。それも受け付けますのでよろしくお願いします。ただ、大体の本質的な部分はかなりブラッシュアップされているので、もし皆様から、これから1週間程度の間でコメント、質問等をお受けして、それで改訂版をもう一週間程度掛けて作って、皆さんにメールでお諮りして、それでファイナライズさせると。野田さん、そのような手続でよろしいですか。
【野田専門官】 はい。
【小川主査】 そのような手続、手順とさせていただければと思います。ということでよろしいでしょうか。
今、森委員から言われたように、専門外だと幾つか質問してみたいということもあると思いますので、それも御遠慮なく寄せていただければ、それに対して回答させていただきますし、必要に応じて内容をブラッシュアップさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
【兒玉委員】 やっぱりちょっと、どこに出すんですか、これは。
【小川主査】 これは……。
【兒玉委員】 誰が、誰に見てほしいんですか。それによって全然書き方が変わると思う。
【小川主査】 文科省として、それはどういう形で。
【松浦戦略官】 これは、もともとロードマップの恐らく一形態をなすと思うんですけれども、原型炉の開発に向けて、コミュニティーとしてどういう人材育成を図っていくか。今回、主な論点が3つあると思うんですけれども、大学院教育について、そして人材流動性、そしてアウトリーチだと思うんです。
大学院教育と3つ目のアウトリーチは、むしろコミュニティーとして外にどう訴えていくか、これだけ高いポテンシャルを持った人材を育成されて、そういう人材がこういうシステムで育成されて、いろんな分野に役立ちますよと。核融合自身がこんなに魅力的なんですよというのを外にアピールすると思うんです。他方、2番目の人材流動性は、むしろコミュニティーの中として、もっとポスト、あるいはキャリアパスを拡大していくと。
3つあるうちの1番目と3番目というのは、むしろ外に向かって出ていて、2番目というのはむしろ内向きのメッセージがあると。そういう意味では、混在していると言えば混在しているんですけれども、もともとこの議論を始めた契機というのは、ロードマップの一形態かと、そういうふうに考えています。
【小川主査】 12月末の、あのときの今後の推進方策でもそうですけれども、あれを上に上げると同時に、あれをコミュニティーとしての共有資産だと。これもある意味では、今、戦略官言ったように、上に上げると同時に、コミュニティーとしての共有資産として我々はこうやっていくというスタンスだと思っています。
おっしゃるように、先ほど言ったように、中としては非常にローカルな議論をちゃんと書いておくんですけれども、外に対しては、もうちょっと広い視点を入れておいた方がいいなというのは、私もそう思いました。
ありがとうございました。ちょっと時間が押していますので、次に移らせていただきたいと思います。
続きまして、原型炉開発ロードマップの策定についてに入らせていただきます。本件については、タスクフォースにおいて昨年度から検討を進めてもらっておりますが、内容によっては本委員会で検討することが適当であると考えられる事項もございますので、最初に事務局から説明をお願いいたします。
【松浦戦略官】 資料3と参考資料2、そして、まだ煮詰まっていないので世の中に公表できる段階にはないんですが、机上配付資料の図があります。併せて御説明します。
資料3の3つのカラムがありますけれども、一番上に昨年末に本委員会で取りまとめられました「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」と。この中で、中身は詳しく御説明するのは時間もないので割愛しますが、2番目のポツ、「核融合科学研究所及び大学は、核融合プラズマと炉工学の学術基盤の構築、教育並びに人材育成を行う。それらを大学の自主・自律のもとに進める」と書いてございます。
ロードマップ、どういう議論をしていたかというのを参考資料2をごらんいただければと思いますが、もともとロードマップの定義云々を議論したのは、昨年7月26日のタスクフォースです。そのときにロードマップの定義というのが2ポツにありますが、この中で1つ、ファンディング方法という記載があります。
このファンディングについてどういう議論がなされていたかというのを、もう一度さかのぼってみますと、アクションプラン、いろいろ技術的な項目が書かれていまして、どの機関がいつまでに研究開発をするというのが書かれていますが、この中で、例えばNIFSとか大学が達成することが期待されている。ただ、アクションプランの実施状況を評価する段において、大学とかNIFSが実際やっているかやっていないかというのを評価したときに、予算の保証もなく後で評価されるというのも、大学の性質として自主・自律に基づく機関としては、なかなかそこは難しいのじゃないかと。むしろ、達成することを期待されるのであれば、それに応じたファンディングもきちんとすべきじゃないかという議論があった。
そういった議論に基づいていろいろ考えて、資料3の2番目のカラムにありますように、大学等がアクションプランの実現に貢献していく、併せて人材育成への貢献が求められると。そのときに、自主・自律を前提とした大学等の取組を支援するためには、共同研究を取りまとめるような新たな体制が整備されることが必要ではないかと。
共同研究を取りまとめるというのは、いろんな人材育成にはほかのファンディングの仕組み、例えばさっき議論になったリーディング大学院とか、今後出てくる卓越大学院、これは文科省の別の局の高等教育局が大学院改革の一環で、運営費交付金とか私学の助成金とは別のファンディングの仕組みで進めていたりしている。大学における共同研究を取りまとめるのであれば、そのための新たな体制を、今のQSTを中心とした体制に加えて整備していくということを考えたわけであります。
新たな体制整備の要件として、これを取りまとめる中核機関というのを作ったらどうかと。この中間機関の要件としてどう考えればいいか。事、核融合に関しては、大学等が自主・自律の下に取り組む共同研究に取りまとめた実績、あるいは、研究を通じた人材育成にも取り組んできた実績が十分にある、世界最先端の大型核融合装置の設計、建設、運用まで取り組むことのできる能力を有して、その能力を原型炉の設計等にも生かすことのできる機関と、こういった条件を考えれば、おのずと候補としては核融合科学研究所が一案として考えられるのではないかと。
どういう仕組みで進めていくかという概念図が机上配付資料としてありますけれども、資金の流れとしては、文科省から補助金等で、現在QSTの方に流していますけれども、それを新たな中核機関を経由して大学等に流していく。マネジメントとしては、原型炉開発総合戦略タスクフォース、ここがプロジェクトディレクター的な機能を持って、原型炉設計合同特別チームがQST、中核機関と連携しながら、実際の課題ごとにプロジェクトオフィサー的に機能して、大学であれば教員等の方に流していくと、そういった仕組みを現在考えております。
資料の説明としては以上です。
【小川主査】 ありがとうございました。資料3にありますように、自主・自律を前提とした大学等のすぐれた取組を支援するためには、QSTを中心とした体制に加えて、大学等を対象とした共同研究を取りまとめる新たな体制を整備することが必要であるということで、机上配付資料のような形で資金の流れ、マネジメントを考えたいと。そこを取り仕切る機関として、新たな体制整備の要件が最後に書いてありますけれども、候補としては、核融合の場合、やはり核融合科学研究所ではないかというのがこれの趣旨、御提案でございます。ここに候補と挙がりました核融合科学研究所の所長としてはいかがでしょうか。
【竹入委員】 この流れだと、やはり核融合研が引き受けて実施するのが最も適切かと思います。ただ、大事なポイントは、核融合研は大学共同利用機関ですから、共同研究のネットワークは既に確立されていますし、大学としてボトムアップの研究を行って、将来につながる学術研究がメーンであるという、その前提は前提として取り組ませていただければと。
ですから、目の前の課題の解決の中に、学術的な要素と将来に向けた方向性といったものを、大学の講座、研究室と核融合研が共同して行うような共同研究システムで実現できれば。大学院生の教育も含めて、30年、40年先を見通した、いわゆる原型炉に向けた開発研究としても取り組めるんじゃないかという気はします。ですから、運用の仕方を、ここの机上配付でありますけれども、この仕組み等はもう少し検討する必要はあると思いますけれども、基本的にはこの流れは、核融合研としては十分引き受けられますし、体制は整えていると認識しています。
【小川主査】 資金の流れ、それからマネジメント、両方重要だと思います。大学の先生、岸本先生、いかがですか。
【岸本委員】 これは、核融合研が原型炉開発のタスクフォースに対して、中心的な役割を今後一層担っていきますよという。
【竹入委員】 そうです。ですから、アクションプランの内容で挙げられている核融合研なり大学なりが果たすべき役割という点を、ボトムアップの学術研究の視点で十分取り組むべき仕組みとしていいのではないかと。ですから、短期的な課題の解決という感じですと、今までのような、QSTを中心とした仕組みの中でも十分やっていけると思いますけれども、やはり将来を考えた長期的な視点も含めて、アクションプランの課題解決に取り組むという観点では、十分対応できるのではないかと思います。
【岸本委員】 非常に自然な流れのように思いますし、原型炉開発の中にも学術基盤があるということが非常に求められると思いますので、それに対して核融合研は実績がありますので、それと連携していただければ、これほどありがたいことはないと思います。
【小川主査】 ただ、補助金ですので、それとの関係等をある程度ちゃんと認識しながらやらないと。その辺のマネジメントの方の内容ですね、その辺はしっかりやりながらと思います。ただし、今おっしゃったような視点を入れながらと。というので、タスクフォース及び特別チームとの連携をしっかりしていただきながらやっていただくと。ただし、そういう意味で、やっぱりファンディングがどうしても核融合研、大学がやろうとするならば、それなりの補助金ルートのファンディングは必要ですので、この資金の流れの軸は。
【竹入委員】 ファンディングがないと取り組むことはできませんので。
【小川主査】 同時に、マネジメントもという意味で留意しながらやっていくということだと思います。
【岸本委員】 これ、線の流れですけれども、QSTが企業等、それから中核機関が大学等と分かれるような形になっていますけれども、これはたすき掛け的なことも含まれると思ってよろしいですか。
【小川主査】 斜めに。
【岸本委員】 斜めに。ですから、これは基本的には、大学の方は中核機関を通して、QSTは企業等ということで、何か役割分担的なものがもう既に入っているのか、今後仕組みとしては検討していくのか。すなわちQSTとSA等も今度稼働して、そういう意味でLHDと双方的に連携いただいたり、大学も両方にコミットするというのが重要だと思いますので。
【松浦戦略官】 今までは、基本的にはQSTを通すルートしかなかったんです。やはり大学が自主・自律で研究開発を行う。他方、国の政策として原型炉のアクションプランをどうやって達成していくかという二律背反的な要請を、この中核機関をかますことによって両立させようと。実際の運用は、原型炉設計合同特別チームとQSTと中核機関がよく連携して、タスクフォースの方針の下にやっていくと。
なので、先生おっしゃるようなところは、うまくこの中でやっていくと。当然、理論的には、恐らくたすき掛けのようなことも起こり得るとは思うんですけれども、いわゆるメーンストリームとしてはこういう流れでやっていきますよということで、ある種単純化して整理はしています。
【小川主査】 よろしいでしょうか。
【岡野委員】 一応確認なんですが、今でも大学の先生のやっていただいたテーマの中で、本当に今の原型炉設計に直接関係あるような、それこそ目の前のテーマもあるんですけれども、そういったものは、中核機関を通さずに今までどおりQSTというふうにおっしゃったんでしょうか。それとも、そういうものを含めて、幅広く学術の分野がちょっと重みの多いものと、それから、学術、少ないということはないと思うんですけれども、原型炉の設計に直接関わる、今、来年要る、再来年要るみたいなものをやるということも、両方ともやっていただけるという感じなんでしょうか。
【竹入委員】 それは、今後のQST、中核機関、タスクフォース合同チームという仕組みの作り方に依存すると思います。だから、全て目の前の二、三年での達成を求めるようなことを排除するかというと、それはケース・バイ・ケースだと思いますし、基本的な考え方として、大学が取り組むからには、やはり学術的な側面を長期的な視点を持ってやるというのがベースになります。だからといって、二、三年のものを排除するということには、恐らくはならないんじゃないかとは思いますけれども、それは今後の調整だと思います。
【森委員】 私の理解は、先ほどの説明にもちょっとありましたけれども、アクションプランの中で、これはQSTとか、これから大学あるいはNIFSに期待するとかという、一応想定される機関って書いてあるので、大学、NIFSとの指定のところについては、このファンディングを実施するというのがメーンストリームにあって、QSTとか設計合同特別チームというふうに書かれている部分は、QST経由というのがメーンストリームになると理解しています。その中で、QSTに任されている部分を実施する上で、QSTが大学の先生方の力をかりたいということも出てくるでしょうという理解です。
【小川主査】 新しいファンディングのチャンネルを作るということは皆さんに御理解いただいたんですけれども、そこがどこまでのカバーをどうするかというのは、このマネジメントのところですね、この辺を今後、皆さんとちゃんと議論しながら進めなければいけないと思っております。いずれにしろ、新しいルートができて広がるということは非常にいいことだと思いますので、その辺はしっかりとチェックしながら進めさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
【松浦戦略官】 この方向で平成31年度の概算要求に載るべく、文科省としては頑張っていくということなので、頑張らないとちゃんと付かないかもしれないので、責任は我々にも。
【佐藤委員】 1点だけ。アウトリーチのヘッドクオーターという話がありますよね。あれは、これとは全く違うテーブルでやるんですか。それとも、中核機関の中にそういう機能を設けるとか、そういう。
【松浦戦略官】 中核機関がヘッドクオーターを担うというふうにはむしろ決まっていなくて、そこはまだヘッドクオーターの組織設計とかを含めて、先生方でいろいろ議論がなされているということなので、それとはちょっとまた違うと。
【小川主査】 ありがとうございます。それでは、次回、7月頃の委員会においては、タスクフォースで御検討いただいている開発の優先度、国際協力と併せて、ロードマップに盛り込むべきファンディングの案を御提案できればと考えておりますので、引き続き御協力をお願いいたします。概算要求に向けてこれで進めるということですので、是非とも頑張っていただければと思います。
続きまして、アクションプランのフォローアップについての議題に移らせていただきます。フォローアップについては、タスクフォースにおいて、昨年から進めていただいておりまして、2020年頃の第1回チェック・アンド・レビューに向けて、よりシステマティックかつ組織的に行っていくことも必要になっていますので、その状況等について、タスクフォース主査の岡野委員から御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【岡野委員】 それでは、まず資料4をごらんください。これも、資料に基づいて、まず概要を御説明いたします。
これまでの経緯でございますが、戦略タスクフォースにおいて、平成28年2月に「原型炉開発に向けたアクションプラン」を取りまとめるとともに、その後のITER計画のスケジュールの見直し等に伴うアクションプランの見直しを行いまして、昨年12月18日の核融合科学技術委員会において、現時点のアクションプランというものを承認を得たというのがこれまでの経緯でございます。
チェック・アンド・レビューに向けた進捗状況の必要性についてでございますが、まず1つ目として、「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」においては、第1回中間チェック・アンド・レビューを2020年頃、それから第2回のチェック・アンド・レビューを2025年頃から数年以内とされておりまして、それらに向けてアクションプランが着実に実施されている必要がございます。
2番目として、タスクフォースは、我が国の原型炉開発の司令塔として、アクションプランの実施状況について、オールジャパンの立場から把握する責任を有していると考えられることから、3の、以下述べる方法によって、タスクフォースにおいてアクションプランの進捗状況を調査して、核融合科学技術委員会に報告したいということでございます。
進捗状況の調査の方法でございますが、アクションプランの課題、0から14の15項目あるんですが、それごとに行うということにしております。
具体的な方法としては、アクションプランの各課題の担当委員が関係機関の活動状況を取りまとめまして、別紙様式によって報告書を作成するというものです。担当委員と申しましても、もちろん主査の私も含まれておりまして、私が担当している分野もありますし、最終的には主査として判断させていただくというふうになると思います。
それから、3番目、当面のスケジュールとしては、3月28日開催予定の、きょうの委員会ですね、ここで報告を行うということで、今報告させていただきます。どんなフォーマットかというのが次のページにございます。
一番上は課題名、例えば炉設計とか超伝導コイルとかといったものでございまして、その中に小課題名というのが、いっぱいアクションプランあったのを覚えていらっしゃると思うんですが、その中で、特に今回の場合、第1回のチェック・アンド・レビューに向けてですので、2020年までに始まっているもの、それ以降に終わるものも含めていますが、とにかく始まっているもののみ、小課題名のところに出てくるように考えています。アクションと、それから期限、何年までの予定かというのと、それから第1回チェック・アンド・レビューまでに終わっていなければいけない事項というのに※が付いていますが、20年までに終わっていなきゃいけないものはここに、多くは※になるということになります。それから、実施を期待される機関というのもアクションプランに書かれているものがここに記載されている。
それから、それ以降はタスクフォースの方での調査によるわけですが、進捗状況を伺って、進捗度、これも最初は点数にしようかとか、いろいろ考えてはいたんですが、現状、なかなか点数を付けるのは難しいので、「極めて順調」、「順調」、「加速が必要」という3種類から現状、選ぶようにしています。それから、ヒアリングに基づいて進捗状況の評価をさせていただいて、大変順調ということであれば、ある意味そのままでいいのかもしれませんが、当然ながら課題達成のために何か必要な措置があるかどうかを考えて、必要があるならばここに書かせていただくという形式になっています。
現在、実はもう大分前から調査をお願いしているわけなんですが、最初、こういうことを始めようとすると、何となく分かっていただけると思うんですけれども、評価を受けるという意識を持ってしまわれるのでプロテクティブになってしまうわけです。私どもはそれをできるだけ、そういうことじゃなくて、例えばここで「加速が必要」と書かれたら、これはバッテンね、できてないじゃんと言うためのものではないんですというのを何遍も説明を申し上げて、それから、それを御理解いただいた上で、現状をきちんと話していただいて、もしも現在、問題があるなら、それは責めるためのものではなくて、何でそうなっているのか、あるいは、タスクフォースとしてやれること、あるいは科学技術委員会でできることはないのかを考えるための、そういうものですという説明をした上で回答を得たものですので、その点をよく御理解の上で見ていただきたいんですが、まだ出てきたばかりで調整をしておりません。
皆様の机上に席上配付として「アクションプラン進捗状況報告書」というのがございます。これを見ていただくと、各項目別に今申し上げたフォーマットが載っております。きょうは時間もございませんので、1つずつ全部見ることもできませんし、全体として「順調」とか「極めて順調」とか「加速が必要」とかいうのも、必ずしも調整できていないので、今ここで余りそれを説明しないことにしたいと思います。
というのは、核融合というのは、ある意味どれも加速が必要な状況であるわけで、そういう意味で理想論を考えて、お金の付け方とか人材の存在とかいうものを全く忘れて、現状どうなのといったら、みんな加速が必要になってしまうわけですね。そういう評価をしたって何の意味もないので、じゃあ、現在、2018年の現状で、環境も考えた上で、しっかりできているのか、すごく調子いいのか、あるいは、まだ加速が要るから何か対策が要るかという見方で付けていると思っていただければいいなと思います。
一通り見ていただきますが、時間の関係で、きょう見ていただくのは、むしろ今「極めて順調」が付いているのがどこかを見ていただくのが一番いいかなという気がします。この時点で「極めて順調」が付くというのは結構うまくいっているものなので、そこだけ見ていって、あとは項目だけ眺めていただくということでいかがでしょうか。
最初は炉設計です。一番上は「極めて順調」になっていますが、物理・工学ガイドラインのところです。工学設計を進める中で、物理・工学ガイドラインは、日本だけではなく、世界的に見ても合意が得られている状態になっていて、誰が設計したって目標を定めれば同じ設計になるというところに近づいているので、そういう意味ではガイドラインは順調だと思います。
それから……。
【小川主査】 岡野さん、各論はきょうはいいとして。
【岡野委員】 いいですか。分かりました。炉設計の議論だけじゃ、そうですね。
【小川主査】 このようなことをやっていますと見ておいていただいて、議論するとまた切りがなくなっちゃうと思いますので、サイエンティフィックな話ですので。
【岡野委員】 実を言うと、意外に「極めて順調」ってほんのちょっとしかないんですよ。炉設計では、コスト評価のところが「極めて順調」になっておりまして、評価は設計とともに進めております。
その他も、全部「加速が必要」なんていう項目も、ブランケットのところとかあったり、これは先ほど申し上げたように、考え方次第ですが、見ていただければ、「加速が必要」と「順調」が幾つかあるという感じの、想像どおりのことなんですが、では各論はちょっとやめさせていただいて、最後の方に、ちょっとだけ、ただ一言だけ言っておくと、やっぱり一番調子悪いのは――調子悪いって失礼、言い方よくないですね。やっぱり一番加速が必要なのは、私はアウトリーチだと思います。現状では、誰かが悪いとか、そういうことじゃなくて、すごく頑張ってもらっているのは分かっているし、いろいろと調査なんかも、QSTさんとかやっていただいているし、いろいろやっていただいているんですが、やはり手探りなので、現状ではまだ全て加速が必要な状態になっていて、心配だなという状態になっているというのが今回の結論だと思っています。
以上でございます。
【小川主査】 ありがとうございました。アウトリーチに関しては、先ほどの人材育成のときから、皆さんからいろいろ指摘されているので痛感しております。
申し訳ないんですけれども、先ほど申し上げましたように、このサイエンティフィックな項目に対して議論をしていると時間がないので、タスクフォースがこのような形式でフォローアップを今随時やっていますよというのを御紹介させていただいて、御確認いただければということでよろしいでしょうか。やり方について、何かもしコメントなり御質問があればということで、内容ではなくて。よろしいでしょうか。
アクションプランは、このようにフォローアップすると同時に、改訂もしていくし、先ほど申し上げましたけれども、優先度、それからあと国際協力の観点、この辺を考えていかなければいけないと。それから、先ほどのファンディング、前の議題でありましたような、新しいマネジメントのことをやらなくちゃいけませんので、タスクフォースにはいろいろと宿題が今後もあると思いますけれども、よろしくお願いいたしますということでよろしいでしょうか。
済みません、急がせていただいて。もう5時過ぎたんですけれども、5分ぐらいで済むと思いますけれども、もう一件だけ議題を進めさせていただきます。
最後の議題は、我が国全体の状況を把握するアウトカム指標についてでございます。事務局の方から御説明をお願いします。
【野田専門官】 資料で5でございます。こちらは、うちの委員会の上位組織であります研究計画・評価分科会からの要請に基づいてやっておるものでございまして、去年、研究開発計画というのを作りました。その中に、既にアウトプット指標ですとかアウトカム指標というのが、核融合の場合、いろんなマイルストーンとして策定されておりますけれども、それ以外に、我が国全体の状況を把握するための指標、特に定量的なもので各分野で統一性のあるものを作ってほしい、設定してほしいということで、2ポツのところにその指標案がございます。これは、ほかの分野も原則的には横並びでこの方法をとろうということになっておりまして、Web of Scienceというデータベースの中から、サブジェクトカテゴリーごとの日本の論文数がどれだけあるかというのをアウトカム指標とするということで、そのサブジェクトカテゴリー、核融合分野では、この四角の中の「核科学、核技術」をはじめとします5つのサブジェクトカテゴリー、これを科学官ですとか学術調査官はもちろん、主査の方と相談いたしまして、この5つがいいのではないかという御提案をさせていただいております。
次のページに参考といたしまして、各サブジェクトカテゴリーの中にどういう学術雑誌がひもづけられていて、特に核融合関係の論文が多いものを挙げさせていただいております。一応参考資料3の方に計評分科会での資料がありますけれども、ここは3のところだけ見ていただきたいと思いますが、指標の候補として2つあります。候補1が、先ほどのWeb of Scienceのサブジェクトカテゴリーで論文数を調べるというものです。もし、それが難しいようであれば、社会・経済的に生み出される価値の内容等ということで、これは産業データベースでありますとか、温室効果ガス排出量などをアウトカム指標としてはどうかということで、核融合の場合は候補1ということで、先ほどの5つの分野を登録したいということです。
以上でございます。
【小川主査】 今御説明ありましたように、参考資料の3ページ目、4ページ目に、評価するアウトカムの指標として2つ考え方がありますよと。候補1というのがこういう論文数の指標、4ページ目の候補2が、分野によっては論文数ではなかなか評価できませんよというのがありまして、なので候補2のように、社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標とする場合、具体的に宇宙データベースの話とか温暖化何とかとかありますけれども、こういうのが、どちらでもいいですよというのがあるんですが、核融合の場合、候補2のような考え方というのは、なかなかそういうものは思いつかないし、ないだろうというので、候補1の論文数だろうと。論文数とすると、今、野田さんが御指摘頂いた、この辺のデータから拾ってくるとこの分野ですというのですというので上げさせていただければということです。
計評委員会に出ています五十嵐委員とか高梨委員、何かありますか。
【五十嵐委員】 このことは計評分科会でも結構議論になっていて、果たしてこの8つのサブジェクトカテゴリーでいろいろな分野が本当に表現できるのかという御意見も多数出ています。もともとは、それぞれの分野の研究開発計画のアウトプット指標とアウトカム指標が余りにばらばらなので、ある程度統一しないといけないんじゃないかという議論から始まった話なんです。それで、このカテゴリーを利用してはという提案があったんですが、ほかの分野からも、とてもクラシカルな分類になっていて、今目指しているようないろいろな科学技術の研究というのは、非常に融合的な部分もあって、こういう旧来の分類に分けていいのかという御意見はそこでも出ていて、私はそれが気になっております。
例えば、今御説明があったように、核融合は候補1になるかなということですけれども、研究計画全体で核融合が分類されている領域は環境となっているので、そういう意味では、広い社会への働きかけということでは、例えば、今、この案には入っていないような、環境・地球科学の環境科学であるとか、工学のエネルギー、燃料というところにも関連したものが今後は出てくるんじゃないかと思います。ちょっと話がばらばらになって申し訳ないんですけれども、ちょっと慎重に決めた方がいいのかなというのが私の意見です。
高梨委員はいかがですか。
【高梨委員】 全く同じ感覚を得ました。それこそ、ここは専門の先生方がいらっしゃるので、これで本当に網羅できるのかというのをお聞きしたいですね。
【五十嵐委員】 論文数だけでは評価できないという流れに来ていたのに、何かまた戻ってしまうのかという懸念もあって。ある程度定量的なもの、各分野で共通、統一して見れるものも必要だろうという点は、私も賛同はするんですけれども、でも、それによってうまく、ちゃんと表現できない分野もやはりあるのではないかというのがちょっと心配ですので、ここの委員会の先生方から御意見を出していただくのが良いと思います。
【小川主査】 それは計評委員会の中での議論でもあるんですけれども、計評委員会で候補1的な考え方と、候補2的な考え方、そちらの分野はどちらですかと宿題が出て、それに答えるとするならば、今の話だと、候補2として、我々として何か案があるかというのを挙げるということなんですよね。
【五十嵐委員】 それも含めて御議論を頂くといいかなと思うんです。ただ、ちょっと時間が余りないのでは。これ、多分次の計評に出す話ですね?
【高梨委員】 4月ですね。
【五十嵐委員】 全然議論の時間がないんですけれども。
【小川主査】 まず、最低でも候補1として、こういう分野はノミネートしておくことはいいとは思うんですね。候補2的なものがこのコミュニティーからあるかということですね。
【五十嵐委員】 はい、そうです。
【小川主査】 だから、候補2というのは何かというと、社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標とする場合。今、五十嵐委員が言われましたように、候補1だけじゃなくて候補2も、こういうのもありますよというのを挙げておいていただいていいですし、その方がいいんだと思いますけどね。何かありますか。
【佐藤委員】 短絡的な物の言い方をして申し訳ないんですけれども、社会から見ると、原子力も核融合も一緒だという感覚で言えば、論文の数ではないのではないかと直接的に思いますけどね。やっぱりエネルギーの世界でしょうということになってくるので、それは分別するのか融合するのかは別として、エネルギーですよねとなると、やっぱり社会的、経済的、環境的分野かなというふうに私は思いますけれども。何にも考えずにどうですかと聞かれると、そうだなというふうに思ってしまう。
【小川主査】 それはそれとして、もう一つ、そうすると、これ以外でもそれで評価してくださいよ、指標としては立ちますよということですね。
【佐藤委員】 そうですね。そうかなと思います。
【岡野委員】 よろしいですか。候補1で論文の数で評価していただくのでもいいと私は思うんですが、その論文を評価するのがこの分野だけですというのは非常に違和感があって、そうだとすると、もしもこれだけでいいんだとすると、未来のエネルギーを研究しているのに、未来のエネルギーということは一切考えずに、未来環境にどう役に立つのか一切考えずに、今ある核融合の問題だけいっぱい論文を書いていればオーケーということになっちゃいますよね。それはだめなんじゃないですか、未来エネルギーとして。最もだめなスタイルだと思うので、やっぱり将来のエネルギー源としてどうあるべきかとか、そういった、エネルギー全体を捉えて、その中で核融合を位置付けるような論文があるべきで、それが結構重視されるべきではないかと思いますけどね。これが全く出てこないですよね、このままでは。
【小川主査】 だから、もしそれだったら、そういう核融合分野のところに、それが出ている論文、ジャーナルを書くということ。
【岡野委員】 そういうことになります。
【小川主査】 「Journal of Fusion Energy」とか、ああいうのとか、どこですかね。逆に、でも、我々はそこに論文を出してない、それも問題であると。
【岡野委員】 我々でなくても、そういったところで核融合も含めて書いてくださっている方がいますから、そういうのを知らない方がむしろおかしいので、そういうのを拾ってきてここに入れなきゃだめだという気がします。タイトルにフュージョンが入っているかどうかの問題じゃないと思うんですよ。
【大野主査代理】 核融合が波及をもたらしているところもあると思うんですね。例えば、材料とか、例えばレーザーでいうと、多分オプティックスにはたくさんいい論文が出ていると思うんですけど、それはレーザー応用で出ていて、それは核融合をベースとされている論文は山のようにあって、そういうのを網羅しようとすると、物すごい数の論文を、それ、やるかどうかということだと思うんですけれども、やるんだったら、それを全部やらないと非常に核融合分野は不利になるという。
【岡野委員】 でも、めちゃくちゃたくさんある方がいいんでしょう、これは。当然ながら。調査するのが大変だからというのはまずくないですか。
【森委員】 どうやって調査するんでしょう。
【岡野委員】 そこはちょっと分からないんですけど。
【野田専門官】 これは科学技術政策研究所の方で、2年に1回出しております報告書にこの数値が出てくるようになっておりますので、それで自動的に分かると。
【森委員】 そのピックアップの仕方が適切かどうかというところに、さっきの岡野さんの話がつながりますね。
【岡野委員】 フュージョンエナジーというキーワードだけでピックアップしているのかもしれないし。
【小川主査】 だから、資料5の参考のところに書いたこの辺の雑誌が候補という形で選んでいるわけです。だから、おっしゃるように、もっとたくさんあるんですけれども、どこのレベルまでどう入れるかによって。そうしたら、ほかの分野まで入れたら、ほとんどの雑誌に絡んできちゃうので。
【村上委員】 でも、少なくともアクションプランに入っている項目、分野の論文が入るようなものになっていないと、全く原型炉開発に必要なものが入ってきていませんので、これだけでは全然足りないと思います。
【兒玉委員】 量子科学技術分野なんか、かなり入れていますよね。入れ方が何かまちまちで。
【小川主査】 そうなんです。
【兒玉委員】 基本的な考え方が多分それぞれ。
【小川主査】 分かります。上田先生、どうしましょうか。
【上田科学官】 サーベイをするんですけれども、できればインプットしていただけるとありがたいですね。こういう雑誌を見てくださいとか、こういう論文がありますよとか、できれば委員の方から少し。これは、実際に秋山先生が核融合研の中の論文をずっと繰って、こんな雑誌に載っているなというので、実際、本当に核融合のコアの論文だけを見て、それが載っている雑誌を集めたので、今、先生方の御議論頂いたような視点は、済みません、入っておりませんので、むしろその辺のところを岡野委員、あるいは兒玉委員、いろんな分野の各先生方、いろんなお考えがあると思うので、少しインプットしていただいて……。
【兒玉委員】 どういう考え方でインプットさせていただいたらいいんですか。さっき言ったように、分野によってかなり考え方が違うみたいなので、核融合分野はどういう考え方でインプットするのか。例えば、核融合にコンピューターは絶対ないわけなんだけれども、直接的に核融合とコンピューターをつないだキーワードがなかったから、今挙がっていないわけですよね。でも、実際にはあるわけですよね。
【上田科学官】 そうですね、実際にはありますね。
【兒玉委員】 そういうところまで考えたのが、多分量子科学分野だと思うんですよ。こういうところまで考えていいのかどうか。その辺の基本的なところをちゃんと押さえていただかないと、なぜと言われても。
【上田科学官】 そうですね。それを押さえた上で、多分インプットをお願いするということになると思いますが、これはどうなんでしょうか。
【松浦戦略官】 いつまでに出せばいいのか。
【野田専門官】 事務的には今月中に。
【上田科学官】 今月中、ちょっとそれは日がなさ過ぎるな。
【五十嵐委員】 これ、雑誌名なども含めて挙げないといけないのでしょうか。
【野田専門官】 いや。
【五十嵐委員】 項目ですよね。
【上田科学官】 項目だけでいいんですよね。
【五十嵐委員】 これって外に対して、核融合が何をやっているかを示す、まさにそういうものではないかと思うんですね。アウトカムとアウトプット指標に何を置いているかということで、今後の、この分野が目指すものを外に示すことになるし、また、それで今後、評価されることになる。たとえば、さっきお話が出たように、今後、将来、例えば材料分野への波及があるとか、核融合研究は、そういう広いところから見ていく必要がある分野だと思うんです。
【上田科学官】 そうですか、分かりました。
【五十嵐委員】 もし論文雑誌まですべて網羅するとなるとかなりの作業になってしまいますが。
【上田科学官】 分野ですね。
【五十嵐委員】 例えば、この8つのカテゴリー、サブジェクトカテゴリーで選ぶとすれば、該当するものはたくさん挙げていただくのでよいのではないかと。
【上田科学官】 なるほど。そうですか。
【五十嵐委員】 あと、入り切らないものも、こういうものがありますというふうに挙げていただくとよいと思うんです。これ、何度も言ってすみませんが、昔の図書館のような、すごく古臭い感じの分類なので、もっとこういうところも今後の核融合研究は貢献していける分野だというのはあると思うので、出していただけるのがいいのでは。
【上田科学官】 現状、ここに載っているとかいうのじゃなくて、これからの期待とか、あるいはもうちょっと広く、応用分野で、こういったことも関連性があるとか、その辺はどうしましょう。
【五十嵐委員】 特に核融合は特殊な分野だと思うんですね、スパンが非常に長いので。そこは長い目で見ていただけたらと、計評での議論から思いました。
【上田科学官】 そうですか。そういう方向で、先生方の御判断で、応用的に関連があるとか、あるいは社会環境のこういう部分もというインプットですね。
【五十嵐委員】 全部になっちゃうかもしれない。
【上田科学官】 済みませんが、私のところに。
【小川主査】 事務局、上田先生を中心として、まず、もう一回、今の議論を聞いて考え方を整理していただいて、見直して広くすると。さらにそれで大丈夫かどうかというので、皆さんに聞くんだったら聞く、情報を流してですね。どういう考え方で聞くかというのも、ちょっとどんな資料を出していいか。
【上田科学官】 一応やっぱりガイドラインをちゃんと示さないと、何でも先生方のお考えどおりというわけにはいかないので。
【小川主査】 それは野田さんとまた。
【上田科学官】 そうですね、野田さんと相談します。
【小川主査】 相談させていただいて、早急に。今週中、又は来週の月曜日までに。
【上田科学官】 来週に入るとまずいですから。
【小川主査】 見直しだから、そんなに時間掛からないと思いますので。
【野田専門官】 ちょっと計評の方と相談して。
【上田科学官】 分かりました。
【高梨委員】 村上先生がおっしゃった、アクションプランの関連するような活動を反映しているような論文と、五十嵐先生がおっしゃったような評価のというのが、まさに我々の価値になる、価値を置いているところというふうな意味で捉えられたら、少しは漠っとせずに収まるかなという感じがします。
【小川主査】 そうですね、考え方が整理できますね。
分かりました。その辺は考え方の基軸として整理させていただければと思います。よろしいでしょうか。
大分時間をオーバーして済みませんでした。以上です。
本日、用意しております議題は以上でございます。ほかに特に報告、審議すべき事項がありましたら。ありませんでしょうか。
大分、30分近く延びてしまい申し訳ありませんでした。それでは、これで閉会といたします。次回は7月24日でしたっけ。
【野田専門官】 はい、24日。
【小川主査】 24日火曜日の4時というのが、先ほど、二、三時間前に野田さんの方からメールがありましたので、24日火曜日を予定しております。後日、改めて事務局から電子メールでお知らせしますので、よろしくお願いします。
本日はどうもありがとうございました。これで終わりにいたします。
―― 了 ――
石原、類家
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