核融合科学技術委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成29年12月18日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省16階1会議室

3.議題

  1. 第21回ITER理事会の開催結果について
  2. 第21回BA運営委員会の開催結果について
  3. 「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」の策定について
  4. アクションプラン構成表及び項目別解説について
  5. 長期的視点に立った新たな人材育成方策の策定について
  6. その他

4.出席者

委員

小川主査、渥美委員、海老塚委員、大野委員、岡野委員、尾崎委員、兒玉委員、佐藤委員、竹入委員、村上委員、森委員

文部科学省

増子審議官、松浦研究開発戦略官、阿南補佐、野田核融合科学専門官、上田科学官、秋山学術調査官

5.議事録

【小川主査】  おはようございます。定刻より少し早いですけれども、全員集まられたということですので、始めさせていただきます。
 本日は御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございました。本日は出席委員が11名で、委員過半数8名以上ですので、定足数を満たしております。
 それでは、ただいまから第12回核融合科学技術委員会を開催します。なお、委員会の運営規則に基づき、本委員会は原則として議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので御承知おきください。
 次に、委員、事務局の異動がございましたので、事務局から紹介をお願いいたします。
【野田専門官】  10月で尾野委員が退任されまして、新たに渥美委員に就任していただいております。新しい名簿につきましては、参考資料に付けさせていただいております。
 また、事務局では遠藤室長補佐が異動になりまして、新しく阿南室長補佐が8月から着任しております。
 紹介は以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございます。渥美委員、一言お願い致します。
【渥美委員】  はい。御紹介に与りました、電気事業連合会から参りました渥美と申します。
 よろしくお願いします。
【小川主査】  阿南室長補佐も、一言よろしければ。
【阿南補佐】  阿南でございます。よろしくお願いします。
【小川主査】  よろしくお願いします。
 次に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【野田専門官】  配付資料の一覧は議事次第に掲載しているとおりでございます。読み上げは省略させていただきますが、議事を進めていく中で、落丁等ございましたら、事務局の方にお知らせいただければと存じます。
 以上でございます。
【小川主査】  よろしいでしょうか。
 本日は、文部科学省より研究開発局担当の増子審議官に御出席いただいておりますので、議事に先立って御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
【増子審議官】  御紹介いただきました、文科省の審議官の増子でございます。本日は大変お忙しい中、第12回の核融合科学技術委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 一言だけ御挨拶させていただきますが、文科省として特に力を入れておりますのが、御案内のとおりITER計画、そして、それを補完するブロードアプローチ活動ということで、その辺をしっかりとやってやっていきたいと思っております。
 ITER計画につきましては、昨年の11月の理事会でファーストプラズマを2025年、そしてDT反応を2035年からということでスケジュールを遅らせるのと同時に、コストの増ということもございまして、今年の春にこの委員会でもそれは妥当だということでお墨付きを頂いたところでございます。
 ITER計画、2025年ということで、スケジュールをずらしましたが、今、非常に着実に建設が進んでいるところでございます。また、BA活動につきましても、ちょうど先週、BAの運営会議がベルギーのモルというところで行われまして、私も日本政府代表として出席させていただいております。BA活動もちょうど10年目を迎えておりまして、ちょうど2020年で第1フェーズが終わるということで、これから第2フェーズをどういうふうに進めていくか、後ほども御紹介あると思いますが、その辺を集中的に議論がされてきたところでございます。
 そういう中で、この委員会でも昨年の末から、今後の原型炉の在り方について報告書をまとめていただいたところでございまして、今年の秋にパブリックコメントも頂いて、そろそろ成案をおまとめいただくタイミングかなと思っております。また、その後についても、原型炉に向けたロードマップの作成とか、さらにはそれを支える人材育成、これも非常に重要になってきております。また、そういう原型炉を本当に造るとなると、国民の理解というパブリックアンダースタンディングという視点もございますので、幅広く、また今後とも、先生方に御意見を賜る機会が増えてくると思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 本日はよろしくお願いします。
【小川主査】  増子審議官、ありがとうございました。力強いメッセージを頂きまして、ありがとうございます。お礼申し上げます。
 この間も、ITERが50%完成したというメッセージが記事として出ていましたので、今後も着々と進むことを期待したいと思います。
 それでは、本日の議題に入らせていただきます。最初の議題、第21回ITER理事会の開催結果について。11月に開催されましたITER理事会の結果について、出席した松浦戦略官より御報告をお願いいたします。
【松浦戦略官】  資料1をごらんください。第21回ITER理事会、11月15日から16日でITER機構本部、カダラッシュで行われました。日本からは文部科学審議官の伊藤が政府代表として出席しております。
 めくっていただきまして、2ページ目をごらんください。理事会の結果概要ですが、まず、ITER協定に基づいて、2年に一度、運営評価というものを行っておりますが、2017年の運営評価は日本人チームが実施しております。陣容は樋口さんという元JAXAの副理事長、そして同じく元JAXAの理事の長谷川さん、日本アドバンストテクノロジーの取締役の加藤さん、そして、PwCから尾崎さんが参加していただいております。
 運営評価のポイントとしては、ITER計画は物納方式など、他の国際プロジェクトにはない独特の組織的・技術的困難さや複雑さを有しており、関係者の緊密な連携が必要に重要と。これまで、過去から継承された課題の困難さに鑑みても、現在のビゴ機構長のリーダーシップの下で本質的な改善が見られると。この推進力を維持すればITER計画は成功に行くのではないかという評価です。
 主な勧告事項としては、ITER機構、各極国内機関、そして関係者間の“One ITER”文化の醸成、システム統合能力の強化、研究・設計からエンジニアリング・建設に重点を置いた組織移行、そしてITER機構の負担軽減、これはその意思決定メカニズムにおいて、よりITER機構に権限を渡すといった内容です。
 あと、実際のプロジェクトの進捗については、先ほど増子審議官からも御紹介ありましたとおり、2025年の運転開始に向けて着実に進捗しているということが確認されました。また、ITER協定発効が2007年10月でしたので、そこからちょうど10年を迎えたということでセレモニーも開催されました。
 昨年11月に暫定合意したスケジュール見直し、そしてコストについては、引き続き関係各局において調整が進められており、次回以降の理事会において最終合意のための議論が引き続き行われるということになっております。
 次回は2018年6月20日・21日に、同じくカダラッシュで開催予定です。
 3ページ目、ごらんいただきますとおり、前回の6月の理事会よりさらにITERの建設は進んでいるということがごらんいただけると思います。
 以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。何か質問等がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
 ITERの件に関しましては、今週の木曜日、核融合エネルギーフォーラム主催ですけれども、ITER/BA成果報告会を開催させていただきます。今年の報告会ではビゴ機構長からのライブを予定していますので、ビゴ機構長もカダラッシュからライブで参加されます。是非とも、もし時間がある方は出席いただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 続きまして、次の議題に移らせていただきます。
 第21回BA運営委員会の開催結果について。先週開催されましたBA運営委員会の結果について、出席した松浦戦略官より御報告をお願いいたします。
【松浦戦略官】  資料2をごらんください。第21回BA運営委員会ですが、先週12月13日にベルギー原子力研究センター、モルにありますが、そこで開催されました。日本からは増子審議官が政府代表、そして欧州からはガリバ局長が参加しました。
 めくっていただいて、まず2ページ目ですが、BA運営委員会では、3事業についてそれぞれの進捗について順調な進展が見られるということが確認されるとともに、来年の作業計画が承認されております。また、2020年以降の日欧協力、これをBAフェーズ2というふうに定義付けておりますが、この目標、スケジュール、コストなどを具体化するための方策について、本年4月の運営委員会の際に、その下にタスクグループというものが設置されておりまして、今回、その初回の報告が行われました。
 その概要については3ページ目をごらんください。
 この主な要点というのは、3ページ目の真ん中以降、中間報告においてはというパラグラフの下に書いてございますが、BAフェーズ2は、まず2025年3月までの5年間、この間に、まずIFMIF/EVEDAについては、現行事業で完成した原型加速器について長期連続運転に向けた高度化の実施。IFERCについては、原型炉設計活動や、それに必要なR&D、計算機シミュレーション、遠隔実験の準備等を実施。JT-60SAについては、装置の運転を通じたITERや原型炉のための運転シナリオを開発するなど、そして、それに必要な装置の高度化を進めるべきという、この3事業について、それぞれBAフェーズ2期間5年の具体的な中身について検討が進められました。
 また、5年間に掛かる経費と、それを踏まえた事業内容については、日本と欧州の分担、また、この活動は日本がホスト国をしておりますので、ホスト国としての費用分担等について、引き続き議論を行っていくということを新たに言及しております。
 このタスクグループ、これまでは国内参加機関からの実務者で構成しておりましたが、今後、法的枠組みの在り方等も含めて議論を行う必要があるということで、政府関係者も加えた上で引き続き検討をして、次回の4月の運営委員会に次の報告を出すという予定になっております。
 BA活動の現状ですが、4ページ目をごらんください。IFERCでは、例えば、昨年末でもう欧州が提供したスーパーコンピューターの運用が終了しましたが、その間に600編以上の学術論文が出たり、また、左側のEVEDAの加速器ですが、これもRFQの加速器の設置が完了して、ビーム加速試験を今年2月から開始しております。2020年3月には原型加速器が完成するということを目指して、今、順調に進捗しております。JT-60SAについても、2020年3月の組立て完了に向けて順調に進捗しているということを確認しております。
 次回の運営委員会は来年4月に茨城県の那珂で開催される予定です。
 以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。先週あった運営委員会の報告ですけれども、よろしいでしょうか。何か質問。
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。本日は議題がたくさんありますので、要領よく進めさせていただきたいと思います。
 続きまして、議題3の核融合原型炉研究開発推進に向けての策定について、に入ります。本件については、広く国民の方々から御意見を頂くことを目的に、今年の9月20日から10月20日までの間、パブリックコメントを実施いたしました。今般、その結果がまとまりましたので、本日は結果の概要を御報告するとともに、それらの意見を報告書案へどのように反映させるかについて御審議をお願いしたいと思います。
 秋山学術調査官から御説明をお願いいたします。
【秋山学術調査官】  それでは、資料3-1をごらんください。こちらの資料は、前半部分ではパブリックコメントで頂いた意見を、原則として原文のまま、報告書の章ごとに分けて記してあります。そして、後半部分では頂いた意見をまとめまして、それに対する文部科学省の考え方として回答を記してございます。本日は時間も限られておりますので、後半部分についてのみ御説明させていただきます。
 それでは、24ページ目をごらんください。まず初めに、第1章本報告書の背景につきまして頂きました意見としましては、ITERの技術的な課題自体のみならず、それを生み出した根本原因にさかのぼって分析すべきではないかという意見がございました。それに対しましては、これまで本委員会においてITERのコスト増、また、スケジュール見直しについてリスク管理や人事体制を含めた分析を実施しております。本報告書にはこの詳細は含みませんが、これまでの議論を参照していただくとさせていただきたいと思います。
 また、核融合開発の意義を明確にしてくださいという指摘につきましては、まず、第5期の科学技術基本計画について、核融合開発の意義が記されているとおりでございます。そこでは、将来のエネルギーミックスに向けて核融合は重要な革新的技術であると位置付けられております。50年先のあるべき姿を示してほしいというような意見がございましたが、50年後のエネルギーミックスやCO2削減方式については不確定性がございますが、核融合も含む多角的な方策で柔軟に対応するというのが文科省の考え方という回答をしております。
 続きまして第2章、エネルギー情勢と社会的要請の変化についていただいた意見でありますが、まず、原案の方では、温室効果ガス80%削減という閣議決定の2050年目標達成に核融合が直接貢献するような文脈になっているという御指摘がございました。それにつきましては、確かに誤解を招く表現の可能性があったために、そこに記されているように文章を修正いたしました。
 報告書では、2050年に80%削減という目標が立てられたとした後に、修正前では、「核融合エネルギーの実現を経済発展と温室効果ガス排出の相関を変え得る革新技術として位置づけられるように」とありましたが、これを「今世紀中葉に実現を目指す核融合エネルギーが、将来の経済発展と温室効果ガス排出の相関を変え得る革新技術として位置づけられるように」というふうに修正をいたしました。
 また、安全性について御指摘がございまして、軽水炉と同等以上の安全性を担保すべきというのは短絡的ではないかという意見がございました。これについては、報告書の基本的な考えとしましては、核融合の固有の安全性は生かしつつ、軽水炉の安全対策法も取り入れ、また、福島第1原子力発電所の事故などから学ぶべき教訓は学ぶことというのが基本的な考えでございます。
 続きまして、負荷追従性についても意見がございました。負荷追従性は目標としない方がよいのではないかという指摘でございましたが、核融合エネルギーが基幹エネルギーを目指すという第一義的な目標だけではなく、国民に信頼され得るエネルギーとなるためには、柔軟で付加価値の高い電源であるべきでございます。そのための努力目標として、本報告書では負荷追従性を挙げてございます。もちろん、それは簡単なものではありませんが、これまでも水素製造やバイオマス改質などを組み合わせて実現を目指すというような可能性が既に提案されておりまして、荒唐無稽なものではございません。その旨を負荷追従性の用語集の方に、こちらに示すように追記することといたしました。
 続きまして、第3章、原型炉に向けた開発戦略につきましては、年代ごとの人材育成、人材確保の必要性や、産業界から貢献しやすい体制を整えることなどの御指摘を頂いております。これにつきましては本日も議論する予定である人材育成の提言書をまとめる上で検討させていただきたいというふうに考えてございます。
 続きまして、第4章、原型炉に求められる基本概念につきましては、頂きました指摘に、設計面から社会的受容性を促進するコンセプトを示していただきたいというふうな御指摘がございました。これについては、社会的受容性を促進するためのポイントとして安全性を高めるということ最も重要であるというふうに考えてございますので、この第4章ではなく、次の章に詳しく述べているという旨を回答しております。
 続きまして、第5章、開発の進め方についての御意見には、人材育成、オールジャパン体制の構築などについて御意見がございました。これについても前章と同様に、人材育成の提言書に反映させていただきたいというふうに考えてございます。
 次に、第6章、移行に向けた考え方につきましては、御指摘がありましたのが、計画に沿って実施されていることのモニタリングが必要であるということがございました。それに向けては、現在、タスクフォースでフォローアップするということになってございます。また、ヘリカル・レーザーのように相補的・代替的に進める研究について触れられていないのではないかという御指摘がございましたが、報告書にはトカマクの研究開発と並行してこれらを進めるということが示されておりますし、また、これは本報告書の本になっています平成17年度の推進方策報告書に準拠しているということを回答してございます。
 以上が、それぞれの章についての御意見でありましたが、全体に対する御意見として、また幾つか御指摘を頂いております。
 まず、ITERやJT-60SAの現状分析が必要ではないか、現状分析と、何が問題点かという分析が必要ではないかという御指摘がございましたが、それについては、随時、本委員会で評価を実施している旨を回答し、それのリンクなどを示してございます。
 また、頂きました御意見の中には、核融合の「核」という言葉を使わない方がよいのではないかという指摘がございましたが、これについては今後の議論と考えておりますが、少なくともこの報告書の中の考え方としては、ヘッドクォーターを通じたアウトリーチ活動を活発にして、言葉だけによる表面的なイメージではなく、正しい核融合の知識を伝え、相互理解と信頼性の醸成が肝要というふうに考えてございます。
 それから、もう1点、用語集に追記している点がございまして、報告書の第3章に自己点火条件の達成という記述がございますが、これについて、ITERにおいては自己点火は展望から排除していないものの、目標ではないという御指摘がございました。この箇所については、自己点火条件というのはITERのものというよりも、ここでは開発の第三段階の定義を言ったものでありますので、用語集の自己点火条件のところ、こちらは資料3-2の11ページにございますが、自己点火条件の説明のところに第三段階核融合研究開発基本計画(平成4年、原子力委員会)において第三段階にて自己点火条件(エネルギー増倍率20程度)を達成すること目指すというふうに追記をしております。
 以上がパブリックコメントのまとめと、それに対する文科省の考え方としての回答、そして、これを受けまして修正をした報告書が資料3-2ということでございます。
 また、資料3-3が本報告書の要旨でありますが、パブリックコメントを受けた修正というのは、こちらの要旨の方では行っておりません。
 以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。
 資料3-1のパブリックコメントの前半部分に、国民の皆さんから寄せられた意見をそのまま整理して書かせていただきました。私の個人的な印象としましては、大学生とか核融合ではない一般の方からもかなり意見を寄せられておりまして、ポジティブ、ネガティブ、いろいろ意見が寄せられております。パブリックからキチンと意見が寄せられているということは、ある意味では非常によいことだと思います。是非、前半の部分、皆さん、後で帰って読んでいただければと思います。いろいろ面白いというか、有意義な意見が出ています。
 それから、もちろん人材育成に関する重要性はたくさん出ておりました。それを踏まえまして、後半の部分で、今、秋山学術調査官から御報告がありましたように、文科省としての考え方を整理させていただきました。報告書でパブリックコメントを踏まえた上での改訂すべき場所というのを資料3-2の方で記載させていただきました。それは赤字で記載されております。
 まず、最初は3ページ目でして、2050年のCO2問題に核融合がいかにも寄与しそうかというような感じで書いてあったということですので、それは言い過ぎだと判断し、マイルドな形で修正させていただいたのが3ページ目の赤字の部分でございます。
 本文としては以上のところです。
 それから、用語集として10ページ目、負荷追従に関しまして、皆様からいろいろな御意見をお寄せいただきましたけれども、先ほど秋山学術調査官から言われましたように、価値の高い電源を目指す、それから、努力目標の1つであること、実際にそういうアカデミックなアクティビティもあるんですよというのを赤字で、10ページ目にこのように書かせていただきました。
 それから、11ページ目は言葉の問題ですけれども、自己点火というとキャピタルQが無限大という誤解にならないようにということで、第三段階の定義を改めて書かせていただきました。これ、第三段階だとキャピタルQは20なんですけれども、実はこの後、原子力委員会でキャピタルQが10のITERも第三段階のターゲットのうちに含まれるという報告書を出していますが、そこまで書こうかと思ったんですが、もう余りにも細かいので、ここまでで止めさせていただきました。
 それから、12ページ目はこの書き方を変えたということでして、元と同じ内容でございます。
 以上がパブリックコメントの具体的なものです。そして、実際、このパブリックコメントの資料3-1に関しまして、本日ここで御紹介させていただきましたので、この資料は公開になります。ですので、パブリックコメントとして寄せていただいた意見が前半部分で公開され、その寄せていただいた方に対する文科省としての考えというのが後半部分に記載されて、パブリックコメントを寄せていただいた方に対するお礼及び我々の考え方を公開として示すというスタンスでございます。よろしいでしょうか。
 何かもし報告書改訂、特に資料3-2等で、これでよろしいかどうか何かコメントありましたらば、教えていただければと思います。パブコメに関してコメントいただいても、それは個人の意見ですので、皆さん、パブリックはこのように考えているということで、読んでおいていただければと思います。
 よろしければ、ありがとうございました。
 以上でおおよその意見が出そろったと思います。それでは、資料のとおり報告書案を修正した上で、チェック・アンド・レビュー項目と併せて、委員会として最終の報告書とさせていただきたいと思います。ということで、資料3-2、資料3-3、資料3-4、これを本委員会として決定させていただきたいと思います。
 本報告書については、昨年からおよそ1年間を掛けて審議してまいりましたが、本日決定することができましたのも、これまでの各委員の積極的な御貢献によるものと思います。主査として心より改めてお礼申し上げます、どうもありがとうございました。
 それでは、この報告書を決定とさせていただきたいと思います。
 次の議題に移らせていただきます。
 続きまして、アクションプラン構成表及び項目別解説についてです。アクションプランにつきましては、タスクフォースで見直しを進めていただいておりましたが、今般、項目別解説も含めて現時点での最終版が出来上がりましたので、本日は委員会としてオーソライズしたいというものでございます。
 タスクフォースの主査の岡野委員より御説明をお願いいたします。
【岡野委員】  アクションプラン構成表と項目別解説が皆さんのお手元にあると思いますが、資料4と資料4別添です。何遍もお配りしていて、余り変わっている部分はほんの少しですが、その変わった部分だけ御説明します。
 まず資料4、アクションプラン構成表の凡例のところがちょっと変わりました。これは本質的な話ではないですが、イメージをよくするという意味もあって、「責任をもって実施することが期待される機関・組織の記号」というところでございますが、この真ん中辺にITERというのがございます。前はITER機構で「I」という記号を使っていたのですが、いろんな方面からの御意見を受けまして、これではITER機構、IOに任せて、日本がやるという意思が見えないねと。確かにそのとおりで、ITERに対してオールジャパンとして積極的に対応するということが本文にも書いてございますので、ここは「I」だけ書いてあるとそういう誤解を招きがちなので、記号をあえて「Ij」にさせていただいて、ITER機構の後ろに「全日本としての関与」という言葉を付けさせていただきました。これは中身が変わったわけではなくて、誤解を招かないようにというのであえてこのように変えました。
 それから、その下に行きまして、1か所だけ変更になったところがございます。2020年から2025年の間のところです。概念設計のところの、炉概念と建設計画という2段目のところの黒い字、「特/Q/F:目標プラズマ性能更新」というのがありますが、このターゲット予定が26年になっていたのが28年に変更になっています。これはJT-60SAの計画が更新されましたので、それに合わせて、それをしっかりと原型炉に反映するために変更したというものでございまして、全体の統合がとれる形にさせていただきました。
 アクションプランの変更は、具体的には文言のミスプリントなどの修正はございますが、それ以外は特にございません。以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。
【岡野委員】  項目別解説は別途でよろしいですか。
【小川主査】  それでは、一緒にやってください。
【岡野委員】  はい。それに付けて、このアクションプランに続けて項目別解説というものを付けております。前は、項目別解説、少し形が違うものでした。というのは、それぞれの項目について時期別に書いてあるという形式だったのですが、今回はアクションプランが改訂されたのも機会に、ちょっと見にくかったというのもありまして、例えば炉設計、超伝導、ブランケット、ダイバータといったこの14項目ごとに、かつ、時間別ではなくて小項目ごとに、例えば炉設計であれば物理工学ガイドラインであるとか、次のページに行っていただくと、超伝導コイルであれば超伝導の設計、頭に黒丸が付いている小項目、それから、少し下に行って超伝導導体・コイル試験に黒丸が付いています。こういった黒丸をつけた小項目について、全て関係ある用語を解説しているという形になりました。これは何だったかなと思って見ていただくには、見やすくなったと考えています。
 内容としては、主に場所の入替えといったものが多くありまして、全面的に変わったというところは余りないので、きょうここで読み上げるのはやめたいと思いますが、もしも御意見があれば、またお聞かせください。
 以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。項目別解説も丁寧にまとめていただきまして、ありがとうございます。
 アクションプランに関しましては、タスクフォースの人たちが非常に熱心に、丁寧に、コミュニティーに情報発信をしながら、一生懸命コミュニティーの意見を吸い上げながらまとめていただいています。岡野主査には、この夏もいろんなところに行ってアクションプランを説明していただいて、コミュニティーからの意見を吸い上げる努力をしていただきましてありがとうございました。お礼申し上げます。
 このアクションプラン自身は、今後、研究開発が進みますとともに、随時、それに沿って改訂等が必要と思われますけれども。現時点に置いて、ある程度確定しておきたいと思いますので、本日、この案で確定したいと思います。つきましては、皆様から御意見ありましたらばお聞かせいただければと思います。
 よろしいでしょうか。これもまさに、この1年間、皆さんに議論してしていただきましたので、大体の内容は御理解いただいていると思います。
 それでは、アクションプラン構成表と項目別解説書については、現時点のものを承認することといたします。
 なお、先ほども申し上げましたように、アクションプランは今後も原則として年に1回、タスクフォースの方で改訂を行うことを予定しておりますので、今後も御協力いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、次の議題に移らせていただきます。人材育成の方策についてですけれども、本日はこれに関しまして時間を十分とらせていただきたいと思います。
 それでは、人材育成に関して、きょう発表いただける尾崎様と、それから、清水様、前の席に着席いただけないでしょうか。
 人材育成に関しましては、パブリックコメントでも重要であるという御指摘もありましたし、本委員会でもその重要性は前から指摘されておりまして、この春か夏から、人材育成に関する方策について検討してまいりました。本件については、前回の委員会で大体の骨子をお示しして自由な意見交換を行っていただき、また、提言案作成のためのドラフトチームについても設置いたしました。
 そこで、本日は今後の人材育成の方策の検討のために大変有益であると思われる産業界のお考えや取組についてお話を伺う予定にしております。そのため、東芝エネルギーシステムズ株式会社原子力事業部技監の尾崎様、それから、三菱重工業株式会社核融合推進室企画プロジェクトチーム、チームリーダーの清水様のお二人においでいただいております。また、佐藤委員より、原子力分野の取組についても御報告があります。
 早速ですが、最初に東芝エネルギーシステムズの尾崎様よりお願いいたします。
【東芝エネルギーシステムズ】  御紹介いただきました、東芝エネルギーシステムズ株式会社原子力事業部の尾崎でございます。
 資料5に基づきまして、御説明させていただきます。1枚目の下、委員会から頂いている御要望はこういう2点だということございます。
 1枚めくっていただきまして、右下に2番と書いてあります。これが本日お話しする内容ですけれども、最初に、東芝エネルギーシステムズということで、本日、聞きなれない名前で参上しておりまして、その状況を簡単に御紹介させていただきます。
 めくっていただきまして、4と書いてあるスライドです。東芝は、体制をこの7月から10月にかけて改めておりまして、原子力等をやっている、もともとはエネルギーシステムソリューション社という社内のカンパニーであったのですけれども、この部分が、10月1日付で東芝エネルギーシステムズ株式会社という、法人的にも、親会社とは独立した形に分かれてございます。そこで原子力、火力、水力、電力流通といった部門をやっております。そのほか、その下にありますような3つの会社も、それぞれ独立して、親会社はホールディングカンパニーのような形になって事業運営をしております。
 東芝の原子力事業としましては、エネルギーシステムズ株式会社の下で事業を運営しておりまして、基本的には従来と変わりのない体制でございます。
 6枚目でございます。我々の原子力の事業領域は、従来どおり、ウラン/燃料製造といったフロントエンドから軽水炉・プラント建設、メンテナンス、福島の廃炉、燃料サイクル、それから将来の高速炉、核融合、加速器といった新しい技術、こういったところを含めて担っております。
 その下に変な絵がありますけれども、これはスライドショーで出そうと思ったのですけれども、資料なので見にくくなって申し訳ございません。新しい東芝エネルギーシステムズ株式会社のサイトに行っていただきまして、原子力事業をクリックしていただくと、エンジニアリングとか再稼働といったタブの下に、核融合ということでこういう絵が、ちゃんと一節設けてございますので、我々としても核融合をしっかりやっていくというスタンスは新しい会社になっても変わってございませんということでございます。
 次のページにまいります。8ページ目でございます。原子力事業は、これも従来と変わっておりません。研究・開発から設計、製造、建設、運転・保守まで、システムのライフサイクル全体でビジネスを展開しているということでございます。
 以上、簡単に新しい会社というか、変わっていないということを説明させていただきました。
 2番目でございます。東芝は今まで核融合開発についてずっと参画させていただいております。10枚目のスライドですけれども、これはカタログからコピーしたので非常に小さくて見づらくて申し訳ございませんけれども、初めのJT-60から、大学やLHDの実験装置、ITERのEDA、60SA、それから、今はITERの実機と、この2つは現在もやっておりますけれども、こういうことで、70年代から継続して国内外の核融合開発に参画させていただいたということでございます。
 以上が前置きになりまして、技術者の人材育成ということでございます。
 めくっていただきまして、上に技術者人材育成のイメージというのが書いてございます。新入社員で入りまして、研修を受けまして、それから技術者教育をやって、そこから一人前の技術者として仕事をしてもらうということで、それから先は、折々に節目でいろんな研修をやりながらキャリアを積んでいくと。それと並行して、いろんな社内の教育、それから研修を持って、それぞれの個人のレベルアップを期待して取り組んでいただくということでございますけれども、青い四角で書いておりますように、そうはいっても、結局この中で実際の実務をやりながら向上していただくというOJTと呼んでいますけれども、On the Job Trainingが人材育成の中心を担っていることは確かでございます。
 下にまいりまして、人材育成OJTというのは、生きた仕事を通じて技術力と仕事をする上での人間力を向上させるということでございます。したがって、実践の現場が必要でございます。それから、企業として技術者に実践の現場をちゃんと提供できるかということについては、結局、継続可能な事業規模が維持されるということが必要であります。一般の市場では、それは企業にとっては魅力のある市場であるということが必要でありますし、核融合のような研究開発案件では、なかなか市場というのは難しいですので、国や研究開発機関の方から適切な場を御提供いただいて、仕事をさせていただくと。また、我々産業界としても、そこで獲得した技術をほかの分野に活用するような探索努力をもって実践の場を確保していくといったことが必要だと、一般的にはそういうふうに考えてございます。
 次に4番目でございます。原型炉に向けた人材育成ということでございます。シート15です。これは私見がかなり交じっておりますので、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、原型炉開発におけるメーカーの役割ということで、今後の、先ほどのロードマップといいますか、アクションプランに合わせて、概念設計、工学設計、建設というふうに進んでいくものとして考えておりますが、概念設計、今から始まるところですが、まずは、そうはいってもITER、60SAにおける担当させていただいた案件をしっかり完遂して、その実績をしっかり残すということがまず第一のミッションだろうと思っております。
 それから、概念設計段階では、我々の製造やプラント製造経験に基づくアイデア提供や、設計作業を分担させていただく。製作の可能性といった観点から、現在の設計をレビューさせていただくといったところが我々の役割ではないかというふうに考えてございます。
 工学設計段階になりますと、設計作業の分担ということでシステムレベル、コンポーネントレベルで違いがありますけれども、性能を請け負って設計をやるというにはまだリスクが大きいのではないかなということがございます。それから、実際の試作だとか試験ということになりますと、我々のもの作りの力を活用いただければと思います。
 建設段階になりますと、プロジェクト管理支援だとかシステム設計の支援や分担、機器の設計・製作、現地の据付け・調整というようなところを担当させていただくのかなと思っておりますが、途中で支援とか分担という遠慮した言い方になっておりますけれども、そこに書きましたように、やはりこういう非常に難しい開発的な要素の多いものは、仕様(性能)に関する責任はやはり発注者の方でしっかり負っていただいて、企業はそれに対して、それを満たすようなものを一生懸命作るようにするという形の分担にならざるを得ないのかなという意味でそういう表現にさせていただいております。
 次のページ、シート16です。原型炉を考えると、いろんな幅広い構成要素がありまして、これはITERの方から、PBSがいっぱいあるのを並べただけでございます。こんなにありますということです。これはまたかなり独断でございますけれども、いろいろ御意見はあると思いますけど、整理したのがその下の17の絵でございまして、大ざっぱに言って、核融合に特有なものと、その他の技術分野と共通の要素を有するもの、既存技術の延長で対応可能なものというような感じで分けられるのではないかなというふうに思います。
 個々のもの、技術に対してどうかという御意見はいろいろあるとは思いますけれども、やはり他分野の技術と考えた場合は、そこにありますようなものは、原子力プラントとの共通技術要素が多いのではないかというふうに考えております。したがいまして、そういった方面でしっかり技術を残す、人材を育成するということが、こういった分野を原型炉で実施する場合の役に立つというふうに思います。
 問題になるのは、1番の核融合特有の技術でございますけれども、これを、今メーカーが人材を確保しろと言われても、なかなか難しいところもございまして、どういうふうにすれば、どこまで人材をメーカーが確保できるかということが今回の検討課題ではないかなというふうに考えてございます。
 めくっていただきまして、そういう場合は、メーカーに何を期待するかということもございますけれども、これは見づらくて申し訳ありませんが、2008年に核融合エネルギーフォーラムで、岡野先生リーダーシップの下にまとめられたロードマップの中の1か所をコピーしてきているのですけれども、このときも、日本が開発のリーダーシップを持って推進するために国内に確保すべき技術とか、必要なら海外から導入することもできるよねという技術だとか、そういった色分けをしてございます。やはりこういう色分けをもう一度やって、その中でメーカーにはどこをどうやるか、そうでないところは誰がどうするかといったところを明確にした上で、いろんな施策を考えていく必要があるのではないか考えます。
 その下、19枚目でございます。メーカーで必要とする人材ということで、これはかなり一般論ではございますけれども、ずらずらと並べてございます。当然、専門的スキルということで専門分野での知識や経験が必要です。ただ、ここで気を付けないといけないのは右のグラフでございますけれども、これは原産協会さんの方で調査されているメーカー6社の原子力部門の各年度の配属状況ということでございます。ここで配属されている技術の方で原子力をやってきましたという方は、折れ線グラフで示すように大体10%から20%、最近はちょっと原子力以外の方の人気がないので3割とかになってきていますけれども、やっぱり1割、2割、そういったところになるわけで、それ以外のところは電気、機械、その他といった幅広い人たちに参画していただかないと、プラントというものは建たないということでありますので、専門的スキルというのも、その辺を考えて人を確保しないといけないということでございます。そのほかの倫理、コンプライアンス、コミュニケーション、こういったところは当然仕事をする上で必要な能力でございますけれども、一番下から2つ目のポツ、柔軟性、好奇心、継続的学習意欲、こうやって核融合ではない分野でいろいろ技術を磨いていただいて、核融合をやってもらおうということになると、型にはまったといいますか、そうではなくて、新しいことにも柔軟に好奇心を持って取り組むという人がますます核融合では必要だというふうに考えますし、将来、原型炉をまた国際協力でやるかもしれないということを考えますと、国際性・多様性のあるような人材を確保していかないといけないのではないかというふうに思っております。
 次のページでございます。20番目、人材育成における産学官協力の可能性ということで、いろいろ考えたのですが、なかなかいい知恵がございません。対教育機関、大学の先生方と御協力させていただくとすると、やっぱり当たり前というか、ありきたりなのですけれども、インターンシップですとか大学の教育に企業から講師を派遣して、いろいろ実体験をお話しさせていただくとか、そういった工夫で学生の方々のキャリアパスの検討を一緒に御支援させていただくことができるのかなというふうに考えております。それから、実際に核融合開発を実施されている機関とは、企業からの出向ですとか共同研究、核融合は、プラズマという意味ではなかなか難しいかもしれないですけれども、そのほかの分野など、周辺の分野のところでの共同研究というところが可能性はあるのではないかと思っております。太字で書かせていただいていますけれども、やはり継続的にお仕事を頂くというのが一番大事でございます。そういうものも、核融合だけの狭い領域で考えると、なかなかネタが出てこないかもしれないので、もっと幅広くエネルギー関連の工学分野とか、もっと広い目で見ていろんな連携を考えていくのが有効ではないかというふうに考えます。
 最後でございます。いろいろお話し申し上げましたけれども、時間軸の問題をよく考えないといけないということで、特に長期間に及ぶ研究開発に対する配慮、20年、30年という非常に長い開発期間になりますけれども、先ほどキャリアのイメージというところでもお見せしましたが、大体、技術者のキャリアは25年とかそんなものです。その間に、当然、その人の社内での位置付けも変わってまいりますので、やはり20年、30年開発しようとすると、世代間の技術継承は必ず必要になるというふうに考えます。
 そのときに、開発規模が急に大きくなったり、急に小さくなったりすると、急に新しい人を付けなきゃいけないだとか、逆に今までやっていた人を他のところへ持っていかないといけないということで、なかなか難しい面がありますので、継続的・段階的に推進していただければというふうに思います。
 それからもう一つは、そうはいっても、ある程度の増えたり減ったりはあるので、理想的な継承、常にバトンタッチする人が社内にいるかという問題も出てまいります。そういうのができない場合のことも考える必要があります。例えば、ITER等で技術データをちゃんと残して、一旦途切れても、将来、その先の人がちゃんとそのデータを見れば、何をやっていたかが理解できるような形にしておくということが重要ではないかと思います。あと、そういうことをいろいろ考える上でも、いつ頃からどのような人材が必要になるかという見通しがあれば非常に助かります。例えば、今ロードマップの議論を頂いていますけれども、できれば、そこにどの程度のリソースが用意されるかというのも含めて策定されると非常にありがたいと思います。
 まとめは、今の話を3つのポツにまとめているだけですので省略します。
 以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。貴重な御意見をお寄せいただきましてありがとうございました。
 この後、三菱の清水様、それから佐藤様の方からも意見を頂き、その後、また総合討論という形で進めますけれども、もし簡単な御質問等でありましたらば、今の尾崎様の資料について、何かあるでしょうか。資料等について、確認も含めて何か聞いておいた方がいいこと。
【大野主査代理】  12ページの資料ですが、技術者教育のところがあるんですが、これは技術者に関して共通的な教育をここでされるんでしょうか。
【東芝エネルギーシステムズ】  これは我が社の場合を参考にイメージで書いているわけなのですけれども、左側のグリーンで囲ったところは、大体全員同じ教育をする。右側のクリーム色のところは、それぞれの人のニーズに合わせて、そういう研修や教育の機会を設けるというイメージです。
【大野主査代理】  そうすると、技術者教育の期間としては、その期間はそれだけのものをやっているということでしょうか。それとも、オンザジョブで少しやりながら。
【東芝エネルギーシステムズ】  我々の場合は、新入社員の研修というのが終わればそれぞれの職場に配属されて、技術者教育を受けながら少しずつ仕事になれていただくと。当社の場合は3年ぐらいたったら、あとは独り立ちして頑張ってねと、そういう感じでございます。
【大野主査代理】  分かりました。
【小川主査】  ありがとうございます。ほかに何かありますでしょうか。
【岡野委員】  最後のまとめのところで、ロードマップに当たってはリソースも明示していただけるといいというふうにおっしゃったと思うのですが、話の流れからすると人材のことをおっしゃっていたのかもしれないなと思ったのですが、人的なリソースをおっしゃっているのか、あるいは金額というか、お金の大きさをおっしゃったのかというのを確認させていただけたら。
【東芝エネルギーシステムズ】  それは両方でございます。
【岡野委員】  両方ですか。
【東芝エネルギーシステムズ】  企業の場合は、人と費用がかなり密接にリンクしておりますので。
【小川主査】  ありがとうございます。後で、アンケートでどのくらいの人材が必要かというところも、企業を含めましてまた出てきますが、その辺のときに御議論いただければと思います。
 よろしいでしょうか。では、一旦次の御発表に移らせていただきます。
 次は三菱重工株式会社核融合推進室企画プロジェクトチームのチームリーダーであります清水様より、お願いいたします。
【三菱重工業】  資料6で説明させていただきます。三菱重工の清水と申します。
 三菱の核融合分野における取組と人材育成ということでお話をさせていただきます。
 目次を見ていただいて、当社における核融合への取組、次に、人材育成について、最後にまとめで、お話しさせていただきます。
 今の尾崎さんの説明と重複するところがたくさんあります。開いていただいて、2枚目に、当社における核融合への取組について、全体の年表を載せました。小さくて見づらいですけれども、我々は80年代から核融合の事業に取り組んでおり、大きなものでは、JFT-2Mの真空容器を製作しました。装置設計に関して言えばINTOR等で概念設計活動等に参加しました。この年表の中で、青字の部分は、我々が実験炉に向けて必要となる技術で、技術開発したものを挙げました。
 アクティビティを示した下段の図ですが、核融合の開発を見ると大きな山があって、JT-60、JT-60の改造、LHD、ITERの工学設計段階、それから実機というように山があります。下の青線は、我々のアクティビティを定性的に示したものですが、やはり最初の核融合実験炉に関しては、「これから作る」ということで社内投資もしており、比較的アクティビティが高いことを示しています。JT-60U納入後は、核融合に対する事業環境によりアクティビティが下がっています。やはり核融合を取り巻く環境の変化とか、中核となる原子力事業の状況変化により、アクティビティの浮き沈みがあります。最近になりアクティビティが上がっているのは、ITERのTFコイル実機製作に対応しています。核融合のアクティビティが上がった始めた時期は、まさに東日本大震災があった時期に当たります。事業環境の変化が左右することが読み取れます。
 ITER計画に対しては、概念設計活動から参画させていただき、実機に備えて私どもは若手技術者の育成の場と考えて、人を派遣してございました。やはりITERの工学設計段階と、現に今、ITER機構が発足した段階では、雇用制度が全く変わっているので、最近は変わりましたけれども、ITER機構が発足当時は、若手技術者が参画するというのは非常に難しい環境にございました。
 それから、原型炉に関しての概念設計活動というのは、ITERの計画と並行して平成14年ぐらいから細々とやってまいりました。これは、事業規模に応じて人をあてがうということで、この概念構築に関しては、当時、経験豊かなシニア技術者に依存せざるを得ないというのと、加えて、人を付けるだけのリソースがなかったというのが大きな要因でございます。
 今、現在は、ITERのTFコイルの製作をはじめとして、ダイバータ、計測機器、ランチャー、遠隔等々の設計・R&Dに参画させていただいて、若手の技術者のアクティビティが非常に高くなってございます。TFコイルの場合は物作りが今佳境に入っていますけれども、コイルは大型溶接構造物という非常に高い精度を要求されるチャレンジングな仕事ということで、やはり若手の技術者のモチベーションは非常に上がってございます。
 ITER機構をはじめとして、諸外国のエンジニアと触れ合う機会もあって、語学も含めて、技術ポテンシャルも上がってきています。我々にとっては非常に技術を上げるという場になってございます。
 4枚目の参考資料は、JT-60、JT-60Uのとき、LHDのときに、産業界からどのくらいの人間が寄与したかというのを原産協の方でまとめられたものです。ピークでは500人。2003年の頃で50人、約10分の1ということで、それは当然リソースが関わってきているということになります。
5枚目の人材について、先ほど尾崎さんの方からもお話がありましたけれども、核融合発電システムを考えたときに、ITERサイトの方を見ていただいても、黄色い部分が本体。他の部分はいわゆるプラント設備ということになります。本体ばかりに注目が行きますけれども、他の設備に対しては、プラントを動かす意味では非常に重要だと考えます。ITERの場合は、いわゆる50万キロワット級のプラントと同じなので、技術者が核融合プラントを理解する場としては非常によい題材かとは思っています。そういうところに参加できれば、将来、原型炉に対しての素養も養われるかと考えます。ただ、後で言いますけれども、原型炉は非常に長いので、どう技術をつないでいくかというのは問題になります。
ITER実機に移行するまでにも相当の時間が掛かっており、核融合のエンジニアをどう維持していくかというのは課題です。以前、プラズマと機器とのインターフェースを取りながら、いろいろと検討してきた時期はございますけれども、今、ソフトに近い部分は研究機関、ハードに近い部分はメーカーと、役割分担が進んでいると思っています。
プラントエンジニアリング力を考えたときに、開発能力、概念設計構築能力、基本設計能力、詳細設計能力等が要求されますが、核融合に関して言えば、開発能力とか、概念設計構築能力というのが以前に比べて弱くなっているのが実情でございます。
 例えば、ITERのTFコイルについて、設計と製造を始める前に、設計、製造、品証の観点よりリスク評価、レビューを行います。核融合が新製品・新技術の分野になるので、社内のプロセスでは必須となり、また、核融合にとって大きな工事としてはJT-60Uから20年を経ているため、リスクの洗い出しを行って、OBないしシニアのレビューを受けます。これにより、技術伝承、人材育成も図ります。基本的には、尾崎さんの発表でもございましたが、継続的な作業の中で、OJTによって技術伝承、人材育成がなされます。
 技術に関して言いますと、溶接等は製造の基盤技術になるので、他分野への展開も図ることができます。時期に応じて、どういう工法を採用するかを考えて、現場が中心となりで製造技術の開発がなされます。例えば、ITERの場合ですと、レーザー溶接の採用、さらに作業の効率化を図ったレーザー溶接施工法を開発しています。ソフト面では、溶接変形を抑制するために、解析シミュレーションと試作等により、条件を合わせ込んでいます。そのために大学との関係も持っています。
 そのほかには、少し古くなりますが、その時代時代で、対象物に応じて、最適な施工法を採用してきました。もう30年ぐらい前になりますけれども、JFT-2Mの真空容器では、局所真空電子ビーム溶接を使った施工法を採用し、さらに深絞り加工による一体成形する工法を採用しました。
 JT-60Uでは、材料が難加工材のINCONEL625なので、どう加工していくかというのをいろいろと議論して開発を進めました。このような技術はやはり製造基盤となるので、データをきちんと残し、次の何か新しいものが始まるときにも展開できるようにしています。
 次に、人材の育成を考えるに当たり、原型炉の建設は今から30年以上先になります。業務の山谷があり、多くの人を維持、確保するというのは非常に困難というのは、もう御理解いただいていると思います。メーカーにおいて人材を確保するということは、ビジネスサイクルを踏まえ、事業となり得るかどうかが前提となります。核融合に関して言うと、いまはITER、の仕事を頂いていますが、核融合が、将来、ビジネス、事業になるかというと、難しい問題かと思います。
原型炉を進めるに当たって、2020年、25年、35年というマイルストーンが置れています。それに従ってアクションプラン、ロードマップ等を作成されていますが、きちんとした計画に対して人材の確保、人材の育成がなされていくということになります。今、設計に特化していますけれども、やはり物作りの方も同じで、「物作り」、製造も含めた形でどう展開して、継続的であるかというのが非常に重要と思っています。
 産官学の連携についての在り方というと、共同研究、若しくは委託研究、人材交流が挙げられると思います。それもやはりきちんとした計画があって、そのもととなる計画に対して投資計画を立てて、共同研究等の連携も図ることができると考えます。
 原型炉プロジェクトを推進するに当たって、それを推進する母体、組織の構築も、今後、非常に重要になってくると思います。そういう母体となる組織があれば、そこに人が集まってきて、産官学の連携も取れていくと思っています。
 最後、少し余談となりますが、核融合の実現に向けて、原型炉はいわゆる発電実証となるので、技術規格、基準、安全評価、安全設計等以外にも、法規制の整備も重要となります。電気を出すので、発電事業に関する法律、それから原子力となるので、原賠償法の改正等々が必要になってくると思います。そういうのも含めて全体計画をも考えていかないといけないと思います。
 ITERの経験から、原型炉はITERよりも大きくなるので、今とは違う工法になるし、また、それに応じてサイトプランも随分変わってくることも考えて計画を立てることも必要ですし、核融合エネルギーの実用化までには時間がかかるので、他のエネルギー源(再生可能エネルギー等々)との共生なども考えて開発を進めていく必要もあります。
 最後、繰り返しとなりますが、人材育成を考えると、継続的な仕事ときちんとした計画が必要となり、産官学の連携の在り方と考えると、同様に、きちんとした計画が必要となります。あと、推進母体の構築も有効と思います。
 以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。
 それでは、今の清水様からのお話に対して、何か質問はありますでしょうか。
【竹入委員】  三菱重工さんの取組で、2ページ目にありますように、核融合の開発関係の流れとは別に、重工さん自身が1990年代から2000年代のところで、それほど積極的に取り組んでいなかったと。それが2010年代に、結局、TFコイルの製造で非常に活発に取り組むようになったということで、逆に言うと、技術の伝承という観点でいろいろと御説明いただいたんですけれども、ここのギャップをどういうふうにして埋められたのか。20年程度のギャップであれば対応可能であったのか、今後、原型炉に向けて、ここら辺のところは、いざとなればできるのか、逆に、TFコイルの製造に当たっては、ほかの分野からの技術をかなりの部分取り入れられたのかあたりをちょっとお聞かせいただけるとありがたいんですけれども。
【三菱重工業】  TFコイルに関して言うと、基本的には構造仕様ということで、物を作るというのがベースになります。製造するということであるので、原子力の製造部隊が積極的に入ってきたというのが立ち上がった一つの要因です。設計他ついては、核融合を知らない部隊が対応していますが、製造設計を担う部隊なので、対応可能でした。今は、製造が始まってから5年、6年経ており、核融合を知らなかった技術者も、いろいろな意味で成長しています。だから、このような機会があれば前に行けるということです。
【竹入委員】  原子力関係の技術がかなり適用できたということでしょうけれども、核融合に特化したエンジニアというのか、技術といったものを、どれくらいの規模があれば維持できるのかという、何か感覚はありますか。
【三菱重工業】  どのくらい必要とされるかというニーズがあって、あとはいつの時期に、どのくらいの人数が必要かによって随分変わってくると思います。今ここでは、明確にこうだとは言えませんけれども、やはり計画がどういう形で進んでいくかによって、人をどうあてがっていくかになります。人をあてがうということは、資金的なリソースがどうなるかということでも随分と変わってくると思います。
【小川主査】  ほかに何かあるでしょうか。
 私から1点。共同研究、委託研究という言葉が出ているんですけれども、産学で共同研究、委託研究っていろいろな分野で、最近、積極的にやられていますけれども、核融合で余り私は知らないのですが、実績はどのくらいあるんでしょうか。
【三菱重工業】  これも随分前、もう20年ぐらい前ですけれども、やはり社内でやっていた研究に対して、大学に委託してやっていただいたというのはあります。
【小川主査】  非常に少ないということですか。
【三菱重工業】  ええ、少ないです。
【小川主査】  少ないということですね。
【三菱重工業】  はい。やはりレベルに応じたものでしかできないので、大規模ではないです。
【小川主査】  分かりました。
 ほかに、何かあるでしょうか。また議論させていただきたいと思いますので。
 それでは、最後に佐藤委員の方からお願いいたします。
【佐藤委員】  それでは、資料7に基づきまして、原子力分野におけます活動について御紹介いたします。
 2ページのところで、原子力人材をやっている機関の情報の共有とか相互協力が必要じゃないか。それから、やはり国として一体となった人材体制が必要ではないかということで、目標を、人材の確保、それから国際的に通用する人、海外に向けての支援、それから学生に興味を持たせること。それから、研究炉を含めてですけれども、基盤を整備して、拡大していくことが必要ではないかということで、おめくりいただきまして、4ページのところで、人材ネットワークというのを文科省さんのお力添えも頂きまして、2010年、平成22年に発足しております。発足して間もなく3.11がまいりましたので、恐らく若手が減るのではないか、それから、再稼働がなかなか進まないではないかということで、訓練のことも必要だねということで、これを盛り込んで活動のテーマとしております。
 次のページへ行って、現在の参加機関となっています。右上にございますように、文科省さんをはじめまして、関係の省庁に、外務省も入っていただいています。それから、字が大変小さくて申し訳ないんですけれども、主要な大学、それから自治体では青森県と福井県、茨城県にも入っていただいて、いろいろな分科会に基づいて活動しております。
 下の2のところに行っていただいて、運営委員会の下にいろいろワーキングを設けまして、1番から5番まで書いてあります。これは小学校、中学校、それから高校、大学、3番の実際に働いている人、4番の海外で役に立つ人、5番として海外人材育成という分科会をそれぞれ設けて活動しております。事務局はJAEAさんとJAIF、これは日本原子力産業協会、JICCというのは国際協力センターでございまして、JAIFの兄弟会社ですけれども、ここで運営をして、活動しております。
 おめくりいただいて、3ページですけれども、実績はこんなふうになっておりまして、あと、8、9、10と飛ぶんですけれども、それぞれの分科会の主な活動を記しておりますので、ここは後で御覧いただけたらいいかと思います。
 13ページまで飛ばしていただいて、2回、いわゆるプレスオープンにしたことがございまして、1回目が「今後の進め方について」ということで公表しています。14ページのところに10項目挙げまして、人材の確保そのものとか、教育の支援。それから8番にありますように、やはり放射線の教育がちゃんと必要です。それから9番のリスクコミュニケーション。それから10番の一般社会人への教育、こういうことを含めまして、10項目挙げました。これを前提としながら、次の15ページ、4項目で、さらに重要なことだなということで絞り込みをしまして、学生がとにかく研究、実習できるように環境の確保を、今、例えば研究炉ですと、近大炉と京大炉がやっと動きましたけども、震災以降、数年間にわたって止まっておりました実情がありまして、一度も原子炉を手にすることなく卒業していった学生さんもいらっしゃるということがありますので、こういったことは必要だなと。
 それから、2番の、まさにこれから原子力をやってもらう学生へのプログラム提供ですね。それから、さっきと同じですけれども、国際人の通用できる人間。それからやはり教育が大事だろうということで、これが一つ。それから、一般公衆の方に対する教育が必要だなということを提言しております。
 これに加えまして、これをやっていくためには、やはりロードマップが必要じゃないでしょうかということの議論が始まりまして、10年後をターゲットにしようじゃないかということで議論をしてきました。16ページにございますように、1番から4番、やはり福島の復興再生は欠かせない、それから再稼働も含めた安全運転。それからサイクル、廃棄物の処分。それから国際貢献、国際的に通用する人物の育成を含めて、こういった4項目を挙げまして、左下にございますように、対象としては学生と企業で働いている若手、それから40代の中堅、それから海外で役に立つ人材としまして、役割分担としては、産官学共同で、分担をそれぞれ決めまして、こういうふうに決めまして、次のカラー刷りの表を1枚だけ付けたんですけれども、項目ごとに、これは産業界だ、これは学会だということで、今、活動をしてきております。各分科会でこの活動に向けた取組をしておりまして、チェックとしては年2回の大きな運営委員会がございますので、そこでチェック&レビューをしてきているということです。
 これを出す際に、18ページですけれども、人材ロードマップを公表する際にもんだ中身として、今後、この3つが必要だね、特に必要だねという話になって、私、先ほど申し上げましたように、やはり研究炉が老朽化しているのと、新設が全くないという現状がありますので、ここを何とかしていかないといけないねと。
 それから、中国とかロシアが今台頭していますけれども、やはり国際的に通用する人材を確保していかなきゃいけないということが必要なので、ここはみんなでやっていかなきゃいけないねという話。それから、人材育成は、さっきお話がございましたように、企業もやっていますし、大学もやっていますし、役所も、それぞれやっておられるんですけれども、やはりやるんだったら一体感でもってやった方がいいのではないかということで、こういった司令塔が必要ではないかということで提言しております。
 いい例としては、フランスにこういう大きな司令塔がありまして、I2ENという国家的な機関がありまして、サルコジ大統領の肝いりで作った機関がございますので、そこで全てを集約して、国が一丸となってやっているといういい例がありますので、それも参考にしながら、これをやるに当たっては、やはり人と金が非常に必要になってきますので、日本でやる場合には、かなり調整が必要だという現状がありますけれども、それに向かってやっているというのが現状でございます。
 簡単ですけれども、以上でございます。
【小川主査】  ありがとうございました。
 非常に有意義な活動で、参考になる活動だと思いますけれども、質問があったら。
【佐藤委員】  補足だけ、済みません。我々が考えているのは、やはり小中学生へのまず、核融合にそれを置き換えた場合に、核融合はさっきからお話がございますように大変ロングスパンの話ですので、小学生、中学生へのまずインプットといいますか、それが必要だと思いますし、併せて一番いいのは、教科書でどれだけ取り上げてもらうか。夢のある事業として取り上げてもらうにはいかにしたらいいか。それから、大学生、高専生も含めて、大学生は直近の問題として、やはりITERのPRといいますか、核融合の利点、それから夢のある産業であるということをどうやってインプットするかということが大きな、直近のものとしては必要になってくるのではないかと思っております。以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。
 何か質問あるでしょうか。私の方から2点。組織体制表というのがありまして、運営委員会とかワーキンググループは分かるんですけれども、事務局がJAEAさんとJAIFさんでやられているということですね。教えて頂ける範囲で結構ですが、やはりリソースが問題ですので、ここの事務局としてどのくらいの人とお金というか、それがどういう形でこの組織が運営されているのかについて。
【佐藤委員】  これは専門的にやっている人間は1人もおりませんで、みんな片手間にやっていますので、直接の費用ということではカウントはしておりません。
【小川主査】  JAIFさんの方からは?
【佐藤委員】  JAIFからは2人ですね。JICCが1人、もうちょっとか。JAEAさんは3人はおられるので、七、八名の体制ぐらいで運営しています。
【小川主査】  そのぐらいですか。
【佐藤委員】  はい。それで、私たちが困っているのは、私たちも片手間で、仕事の合間にこれをやっているので、やはり専門的にやる司令塔が必要ではないかということをずっと提案はしてきているんですね。
【小川主査】  どこに提案をするんですか。
【佐藤委員】  これは、これに関係しているところ全てに向けて提案をしているということですね。役所も、大学も、企業さんも含めて、原子力に携わっていらっしゃるところ全てに提案をしているということですので、そう簡単にはいく話ではないかと思いますけれども、皆さん、問題意識は、一致したものは持っているということですね。
【小川主査】  それで、あと最後に司令塔が必要だとか、そういう意味で、我々がちょうどアウトリーチのヘッドクォーターの議論をしていますけれども、ちょっと似ている話かなと思って。
 もう一点が、この中で人材育成ということなんですけれども、先ほどの提言から見ると、後半の部分が、どちらかというと、人材育成よりもアウトリーチの方の話が入ってきていますよね、社会に対するというか。
【佐藤委員】  それも含めてですけれども、やはり一番大事なのはまさに人材の確保と、直近は確保、それから育成ですね、ここは大きな問題になってきます。
【小川主査】  そちらですか。いや、思ったのは、原子力関係ですと、アウトリーチ関係に関して、多方面でいろいろ動いていると思うんですね。それとこれとの関係は。
【佐藤委員】  2ページの初等中等教育支援分科会ってありますけれども。あと、2番の高等教育分科会は、大学生ですね。それから高専生を中心にして、いろいろなIAEAのプログラムを使って海外に行ってもらったり、海外の学生と交流をしてとか、そういうこともやっています。
【小川主査】  人材育成のために、そういうアウトリーチが必要だと。
【佐藤委員】  そうですね。広義の意味で。
【小川主査】  広義の意味で?
【佐藤委員】  はい。
【小川主査】  分かりました。
 どうぞ。
【竹入委員】  規模感として、年間、どれくらいの人材を育成する感じ、あるいは社会に、原子力関係に送り出しているのかという。
【佐藤委員】  ちょっときょうは資料を持ってこなかったんですけれども、年に数度、IAEAで2回、海外の学生と一緒にやってみたり、海外に行ってみたりするのが年に2回はやっていますね。
【竹入委員】  実際に、例えば大学生、大学院生が、この人材育成プログラムを通じて、原子力産業に人材を輩出するという観点で言うと、年間何人ぐらい?
【佐藤委員】  就職ですか。
【竹入委員】  そうですね。
【佐藤委員】  ちょっと資料を持ってこなかったんですけれども、どのぐらいだろうか。表を見れば分かるんですが、後でいいですか。
【竹入委員】  はい。
【佐藤委員】  それで、ついでに言わせていただきますと、きょうは資料を持ってこなかったんですけれども、毎年3月に大学3年生を対象として、東京、大阪で就職の説明会をやっているんです。それで、これは平成18年、2006年から始めているんですけれども、ピークは震災の前の2010年の、それこそ、そのときには2,000名近い学生が来てくれたんですけれども、それからどんと下がりまして、今、少し上がってきましたけれども、2016年度で440名なんですね。なかなか学生が集まってくれない。きょうは表を持ってきませんでしたけれども、原子力の学生は、大体コンスタントに説明会に来てくれて、ちょっと人数はここに書いていないんですけれども、200人ぐらいかな、学生が来てくれているんですけれども、一番困っているのが、電気、科学、機械、それから文系の学生がほとんど来てくれませんで、原子力は原子力出身の学生だけでは賄っていけないので、やっぱり電気、機械がいないと困る。
【小川主査】  さっきもあった。
【佐藤委員】  ええ、全く同じ話なんですけれども、そこの学生の呼び込みに大変苦労しているというのが現状ですね。いろいろな活動をしているんです。学内に行ってセミナーをしてみたり、説明会をしてみたり、ツイッターで呼び掛けたり、いろいろなことはしているんですけれども、なかなか集まってきてくれないのが現状で。
 企業は、参加企業、ブースを出してくれる企業は震災以前に戻ったんですけれども、学生がなかなか来てくれない。ですから、原子力の学生は大変興味を持って来てくれるんです。だけど、それ以外の学生に非常に苦労しているというのが現状です。
【小川主査】  ありがとうございます。
 ほかに何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、ここから、この後はフリー討論というか、自由な御意見を伺わせていただきたいと思います。東芝の尾崎様、三菱の清水様、それから原産協会の佐藤様の方から資料提供がありましたけれども、この3つ、及びそれプラスアルファでも結構ですので、是非御意見をお伺いしたいと思います。どなたでも結構ですけれども、よろしいでしょうか。
【兒玉委員】  共通した部分なんですけれども、まず、企業の場合、いろいろなプロジェクトが日本の場合、サイクルが長くなっている。その中で、他のプロジェクトもあるわけですね。原子力ということにこだわらなければ、ベースになる技術はいっぱいあるわけで、そういうものをうまく、多分、企業戦略の中ではやられていると思うんですね。うまく使い回すということができれば、技術はちゃんと継承されるわけで、そういう考え方で、先ほどのアウトリーチも同じなんですね。学生、電気の人が来ない。私は電気なんですけれども、行かないです、今のような原子力、原子力では。
 ところが、そこにある技術が、どうほかに役立っているかというのをもっと表に出して、例えばこれは医療に役立つというふうな形で、こだわらずに、幅広い分野で実はこの核融合って役立つんだよというのをもっと打ち出した方が、学生も多分、多様化していますので、もっともっと来るはずなんです。それが原子力、原子力、核融合、核融合になると、そこは物すごく不安を感じるわけなんですね。多分、企業の戦略も同じようなことだと思うんです。
 そういう意味で、他のプロジェクトも含めて、何かどこかで考えた方がいいのか、もうされているかもしれない。企業だと当然、企業戦略なので、その時間が掛かっているので、そういうことをされているのかもしれませんけれども、言える範囲でコメント頂けたらと思いますけれども。
【小川主査】  是非、尾崎様、清水様、一言ずつ。技術の波及効果及び人材の交流を含めてですけれども。
【兒玉委員】  波及効果というか、ほかの分野とうまく組み合わせた戦略ですね。技術の継承戦略というか、そういうことが本来あるべきですよね。これだけ予算が小さく、国の予算が小さくなって、プロジェクトがどの分野も継続的にいかないのは、もう目に見えているわけで。そうすると、ほかのプロジェクトの組み合わせをうまく、どうするかだと思うんですね。
【東芝エネルギーシステムズ】  おっしゃるとおりでして、先ほど、私のところでも、他の分野に応用する努力が必要だというふうなことを書かせていただきましたけれども、あれはまさに先生がおっしゃったことを考えているわけです。
 ですから、核融合をやっていた人のうちの何人かは、例えば他のプロジェクトが立ち上がればそっちへ移るとかということはやってきております。
 ただ、気を付けないとというか、現実問題としては、他のプロジェクトで活躍してくださいといった人が、うまく活躍し出すと戻ってこないということがあるのです。
【兒玉委員】  いや、それは……。
【東芝エネルギーシステムズ】  ですから、そういうときは、もうその人は戻ってこないので、また他の分野の人をこっちのプロジェクトが立ち上がったときは引っ張ってくるというようなことが必要になりますので、そこはいろいろなことを現実問題としてやらざるを得ないと思っています。
【海老塚委員】  特に製造メーカーは技術が命ですから、その技術をいかに伸ばしていくか、それから、将来の技術に取り組んでいくかということが大事で、どういうふうに技術を温存していくのか、それから、いろいろな技術でシナジー効果を出そうという工夫は、当然していると思います。
 もう一つの観点として、やはり事業の選択と集中というのもありまして東芝から御説明があったように、事業分野ごとに分社化をしたり、ある事業はもう見切ってしまうということもやっていかないと企業は生き残れないので、やっぱりある事業分野の中でしっかり確保していくということが、必要になります。
 従ってある範囲の中で、その事業をしっかり、技術を残し現実的には今、核融合をほかの分野の中で担当するのはなかなか難しく、原子力分野の中で見ているというのが、多分、現在のメーカーの中の実態と思います。そういう意味で、原子力全体が厳しい状況で、核融合もそういう中で温存していくということが非常に厳しいということは御理解いただければと思います。
【小川主査】  そうですか。確かに分社化にすると。
 清水さん、いかがでしょうか。
【三菱重工業】  今、海老塚さんがおっしゃったとおり、やはり基本、核融合は原子力の技術で部隊の中でやっていて、その中で、いかに技術を維持していくかというか、続けていくかということになります。
 今、原子力が、軽水炉がこういう状態なので、技術を維持するという意味ではITERの物作りというのは、人を確保するのと、技術を向上させていくという非常にいい機会にはなっています。ただ、次にどうするかというのは、今、我々、大きな課題で、どうこれを続けていく、人を確保していくかというのは非常に大きな課題にはなります。うまく仕事が回っていけば、よいのですが、それが一回、途切れてしまうと、また一から立ち上げなければいけないというような事態になりかねないです。
【小川主査】  はい。
【岡野委員】  私は産業界の技術の継承について、ちょっと狭く考え過ぎかなというのを感じたのですが、実際にITERの初期の頃に、産業界からシニアが活躍されたと清水様のおっしゃった中にあったと思うんですけれども、そのシニアというのは、INTOR、ITERの時代に設計全体を見た、活躍した人たちだったと私は認識していて、その方々は核融合全部を知っている人なんですね。やっぱり、そういう方が産業界にもいないといけないと思っているのですが、そういう点から言うと、核融合の中でしか技術継承できない部分があるわけですね。そういうところが難しくなっているのではないかなと私は感じたんですけれども、そういうことですよね、恐らく。
【三菱重工業】  そうです。INTOR、ITERの初期というのは、その概念をどう構築するかということで、いろいろと旧原研の方と一緒になって、その中に入って、核融合とはこういうものだというのを理解しながら機器の概念設計を行ってきた時期がございます。核融合を知っていて、なおかつ機器を作り上げていくという世代、技術者が今は少なくなってきているのが実情です。それをどう今後、育成していくかというのは、非常に難しいところかなとは思っています。さきほど言ったように、非常にすみ分けが進んでいて、研究所の方はプラズマ、核融合システムで、メーカーの方は、機器設計の方に特化せざるを得なくなってきていて、その間をどうつないでいくかというのは、また考えていけないと思っています。
【岡野委員】  シニアの方々の技術を、必ずしも若手に全て継承ができていないという感じなのですか。
【三菱重工業】  現実、対応できていないです。まず、それができるほどのオーバーラップする期間がなかったというのが、我々の場合です。
【小川主査】  ありがとうございます。
 ほかに何かあるでしょうか。どうぞ。
【兒玉委員】  コアの部分は、私もそれは重要だと思うんですけれども、ちょっと論点が違うかもしれないんですけれども、アメリカのレーザーの核融合の建設のときに、今までの技術者、全部外しました。それは今までの概念と違うレーザーを作りたい。そういうやり方もあったわけです。その結果、何が起こったかというと、今はどこにもなくて、レーザーって普通、白衣の世界ですよね。違うんですね。それは今までの技術者じゃない、今までにないものをやるときに、アメリカだからできたのかもしれませんけれども、やっぱりベースになる技術はいろいろなところにあるはずなんですね。それをどう組み合わせるかというときに、いい点と悪い点があると思うんですね、次の新しい点で。それを考えたときに、確かにコアがないと効率は悪いのかもしれませんけれども、もうちょっと楽観的でもいいのかなと私は思うんですけれどもね。新しいものが生まれる可能性もあるという。
【尾崎委員】  直接、核融合をよくやっているわけではありませんが、メーカーに何を期待するかというところで、与えられた仕様に対して物を作るというのはできると思う。それに対して変に過大な期待をして、今のお話も、メーカーの仕事ではなくて、それをジャッジするのが核融合の研究者とか科学者がやれば、それは多分できるんじゃないかと思います。でも、もっと広いところをメーカーに期待していると、多分、そのジャッジができないと思います。
【兒玉委員】  もっと広いところじゃない、もっとベースのところです、技術という。
【尾崎委員】  ベースといっても、ですから、物を作るというところについては、メーカーは多分できるんじゃないかと私は思っています。
【兒玉委員】  そこの物作りに対する考え方が、やっぱり、それはずっと継承できるはずだし、いろいろなプロジェクトでも共通する部分があると思うんですね。だから、広くというか、むしろこうならずに、人材をうまく使い果たしたらいいんじゃないですかというふうに思うんですけれども。
【尾崎委員】  ただ、ある程度仕事が広がっている時代に原子力のエンジニアというのが増えてきたというのも、事実じゃないかなと思っていますので、そういう時代ではないときに、そこをどうやっていくかというのはやっぱり大きな課題だと思います。
【兒玉委員】  そうですね。
【小川主査】  私も企業戦略というのは詳しくないので、よく分からないのですが、いろいろ難しいところがあると思います。また、是非、幾つか御意見を出していただけたらと思いますけれども。
【大野主査代理】  人材育成に関してなんですけれども、先ほど、技術者教育で3年ぐらい掛けて技術者として育てるという話をされていたと思うんですが、それは基本的には修士課程を出た学生さんとかというイメージだと思いますけれども、博士後期課程を出た学生さんに対する企業側の考え方というか、採用するときの教育を含めた考え方とかというのは何か特別にはあるんでしょうか。
【東芝エネルギーシステムズ】  私、ちょっとそこまで詳しくは存じ上げていないのですけれども、やはりドクターを出た方は、当然、自分の会社の社員としての最低限のミニマムの教育はやりますけれども、かなり即戦力で……。
【大野主査代理】  やはり即戦力が期待されるということ?
【東芝エネルギーシステムズ】  ええ。期待しているところはあると思いますね。
【大野主査代理】  積極的にそういう学生さんを採用しようという場合には、どういう。やはりマッチングがかなり合わないとというような認識が大きいんでしょうか。
【東芝エネルギーシステムズ】  私個人の意見で。実際に会社がどう考えているか、人事がどう考えているかは、ちょっと私、ちゃんと理解していないのですけれども、個人的な意見では、やっぱりかなりマッチングが合った方がいいのではないかなと。
【海老塚委員】  本当にこの分野の技術者、研究者が欲しいという場合にマッチングは、まさにおっしゃったようなことがあると思います。ドクターでも、もう少し幅広い研究もしてほしいとか、あるいは技術にも携わってほしいという意味で採用する場合には、必ずしも、そういうことばかりではないと思います。
【大野主査代理】  むしろそういう方面での採用が広がった方が、核融合の人材を育てるにはベースとしては非常にありがたいかなという気がしていて、だから、そういうふうな環境が整うにはどうしたらいいかということが、問い掛けの根本にあるんですけれども。
【海老塚委員】  どうしたらというのは、なかなか難しいですね。そこは企業のスタンスにもよりますし、どういうところを伸ばしていきたいとか、そういうこともあるので、一概には、なかなか言いづらいところです。
【小川主査】  この議論は、多分、結論がすぐに出るような話ではないので、まだ今後も、この委員会以外も含めまして、いろいろな場で議論させていただければと思います。特にタスクフォース関係では、この辺の議論を含めまして、いろいろ御検討いただけることだと思いますので、時間もありますので、本日はこの議論はこれで終わらせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、次に、人材育成に関しまして、ドラフトチームの方でいろいろ御検討いただきました。過去の人材育成の方策の実施状況の調査や、研究機関、産業界のアンケート調査を行っていただいておりますので、その報告を秋山学術調査官の方からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【秋山学術調査官】  それでは、資料8から10を用いまして、現在の報告書の作成状況について御説明させていただきます。
 まず、資料10ですが、こちらは前回委員会で議論していただきました骨子案でございます。その際に2つ御指摘を頂きまして、まず1つは、どういった分野の人材がどの程度必要なのか、そのスケール感についても調査をして、それに基づいて報告書を作るべきではないかという御指摘。もう一つは、この報告書は、平成20年の報告書を元にしておりますが、そこで指摘された課題や施策がどのような実施状況にあって、その上で現在、何に力を入れなければいけないかというような調査をすべきという2つ御指摘頂きましたので、それについて行った結果について報告させていただきます。
 まず、資料8でございますが、こちらが前回の平成20年に策定されました報告書について、その実施状況についてまとめたものでございます。まず、1ページ目がまとめでありまして、2ページ目に行きますと、小さな字で書いておりますが、平成20年度の報告書で上げられました課題、そして施策、これは左側の2つのカラムにございますが、それについて実施状況がどうであるかというものを分析したものでございます。左から4番目のカラムに実施状況としまして、現在既に実施済みであるものには実施済み、そして、現在も継続して行われているものは実施中。それから、どのように行うべきかということで、まだ検討を進めているものは検討中という状況、3つに分けて記してございます。ここにつきましては、複数の委員で議論して作成いたしましたが、もし認識不足等ございましたら、後日、御指摘いただければ幸いです。
 それでは、きょうは1ページ目のまとめについてのみ説明させていただきます。1ページ目の表の左側には、今回策定しております骨子案で挙げている課題、6つ記してございます。そして、その左側には、前回の報告書で上げられた施策について、2ページ目以降に、一番右のカラムに参照番号として番号を振ってございますが、それが今回の骨子案でどれに対応するかということを書いておりまして、その実施状況を実施済み、実施中、検討中ということで分けて書いてございます。これを見ますと、この色付けしてあります2、3、5の課題について、検討中のものがあったりということで、この3つについては今回の報告書においても重点的に書くべきだろうというふうに分析しております。
 続きまして、資料9の方が今後必要な人材の数、そして、それがどの分野にどの程度必要かというものを調査した結果でございます。
 資料9には2つグラフがございますが、それぞれ横軸が課題、これはアクションプランで分類されております課題に相当いたします。そして縦軸が人数でありますが、この棒グラフについては現在の人員数、そして、折れ線グラフについては、アクションプランを実施するのに必要な人数が2020年、2025年、2035年に分けて記してございます。そして、この分析を研究機関と産業界に分けて、上と下に記してございます。この分析の元データでありますが、それが資料9の別添1、別添2にございます。
 まず、現在の人数につきましては、別添2のアンケートに基づいた数字でございます。この委員会の中でも回答していただいた先生方がいらっしゃるかと思いますけれども、こちらは77の研究室、そしてQST、NIFS、そして産業界から、それぞれの分野において、どういう年代の人が何人いるというアンケートをさせていただきまして、それを積み上げたものでございます。そして、折れ線グラフのアクションプランを実施するに当たって必要な人数というのは、別添1の資料でございます。こちらはタスクフォースにおいて評価していただいたものでして、アクションプランを実施するに当たって、それぞれの課題の中で、2015年から2020年、2020年から2025年、2025年から2035年といった、それぞれのフェーズにおいて実施するに必要な人数を研究機関、そして産業界それぞれに分けて評価していただいたものでございます。
 これらのデータを図示したのが資料9というわけですが、まず、研究機関におきましては、必要な人数に対して現在の人数がだいたい2倍から3倍程度の差がある。これは現在核融合に携わる全ての人数が原型炉に関与するという場合でありますけれども、実際には多角的で幅広い研究開発を行うというふうに推進方策の報告書でも記しておりますので、実際にはこれ以上の差を埋める人数が今後必要になると考えられます。
 また、産業界においては、現在の人数と必要とされる人数には、さらに大きな隔たりがございますが、先ほど産業界の方々から御指摘いただきましたように、ロードマップなどを整備することによって、この差が埋められていくことを期待したいと考えております。
 以上のデータ、そして本日、産業界の方々からコメントいただいた内容を元に、今後、骨子案に肉付けをした案というのを次回の委員会に向けてドラフトチームを中心に作成していきたいと考えております。
 以上です。
【小川主査】  ありがとうございました。
 今御説明がありましたように、前回、平成20年度のものを元に資料8ではどのようなものが実施中であるか、それから、検討中がどういうものがあるかというのを整理していただいて、字が小さいですけれども、また後で見ていただければと思います。
 秋山学術調査官はかなりのものが実施中で、検討中が幾つかと。それに重点を置くと申しましたけれども、私、個人的には、この実施中というのもやっぱりまだ弱いと思っています。実施はしているけれども、弱いと思っていて、それをレインフォースするというか、強化することも必要だとは思っております。
 資料9に関しましては、タスクフォースの方で御協力いただきまして、また、産業界の方に御協力いただきまして、今回の報告書で決めましたチェック&レビューの時期、それから第四段階に移る移行判断の時期、2020年とか25年、35年に向けて、どのくらいの人材が必要かというのをまとめていただきました。
 それから、別添を含めますと、今度、コミュニティーに対しましては、特に大学の先生方に資料9の別添2でアンケート調査をしていただきまして、非常に有益な情報が集まりました。参考までに、机上配付資料として皆様のところにはアンケート調査の素データ、人数だけじゃなくて自由記述欄、そこに大学の先生、研究機関の方々、民間の方もいるのかな、からたくさんの意見が寄せられています。この資料はアンケートを採るときに、公開の了承を取っているわけではないので、皆様のところだけでクローズさせておいていただければと思います。ただし、非常に有益な意義がある話が出ていますので、読んでいただければ、大学等のところでどういうことが起こっているのかというのが見えると思いますので、参考にしていただければと思います。
 それを踏まえまして、資料10で先ほど秋山先生の御指摘がありましたように、人材育成に向けての骨子案というものをまとめていただきました。前半1ページ目のところと、それから2ページ目のところに、後半に喫緊の課題として幾つかありまして、そこにイタリックになっている文字が何か所かありまして、この辺を頑張っていかなければならないのではないかというのが本日の骨子案のものです。これを踏まえて、次回に原案を作りたいということですので、この資料8から資料10までにわたりまして、本日皆様の御意見をお寄せいただければと思います。何でも結構ですので、よろしくお願いします。
【岡野委員】  先にタスクフォースの方で検討したものなので、コメントしますけれども、実は時間的なこともあって、皆さんから、それぞれの分野についての人数を出していただいて、それを表にしたという状況になっていて、必ずしも相互間で適切かというフィードバックがかかっておりませんので、随分でこぼこがあるなと思われているかもしれませんが、私もそう思うところがございますが、それは今後調整したいと思いますということを、まず一つお分かりいただきたいと思いおます。それから、加熱・電流駆動とか、プラズマとかは多いように見えますが、多分ITERのために活躍する方が、特に加熱・電流駆動なんかはそうだと思うのですけれども、ITERのために絶対必要な方々が入っているはずだと思います。それはそのまま原型炉にももちろん必要なのですが、一方で、原型炉だけに必要なものとか、ブランケットとか、そういったところは小さく見えるというのがあって、そこは調整が要ると思います。ここからITERの人を抜くべきだとは思わないですけれども、そういう理由もあって、今現在、ITER開発で進んでいるものは大きく見えているというのを、一応、念のためにコメントさせていただきます。
【小川主査】  御指摘のように、資料9だけを見ると、非常にいろいろ議論が出てきちゃうので、まずはファーストドラフトとして見ていただければと思います。今後、精査が必要かと思います。
【森委員】  確認のために質問ですけれども、原型炉開発に必要な人員数の評価をするに当たって、ITER計画も原型炉開発に必要なプロジェクトという位置付けで含められているのか、いないのか。
【岡野委員】  具体的には含めていないと思いますが、でも、ITERの人材は、原型炉に、若手の人材であればですけれども、原型炉に戻ってきてくれるはずだというふうには期待しています。
【秋山学術調査官】  実は資料9、別添1の2ページ目の上を見ていただきますと、この6番目の課題というのが炉心プラズマです。先ほど岡野委員がお話しされたように、ITERへの人材というのをここでカウントされていまして、最終的には2025年から35年に100という数字が書かれておりますので、こちらが今回のカウントにも含まれていると。
【小川主査】  これは確かにちゃんとしておいた方がいいですね。
【上田科学官】  基本的にこのアクションプランに沿った形で人員を見積もっていると思います。それで、アクションプランの例えば6ポツの炉心プラズマのところでITER、JT-60SAという項目が例えば挙げられておりまして、そこでプラズマの制御等々、いろいろな課題が振ってありますので、そこに必要な人員という意識で多分カウントされているところはあるかと思います。
【森委員】  そういう意味でカウントされているのかもしれませんね。
【上田科学官】  概ねカウントされていると思います。
【岡野委員】  すごく厳密に考えて、ITER分を外した人もいるかもしれないし、ITERも分け切れないという意味で入っている分野もあるので、そこは調整しますけれども、全体としては入っているべきだと私は思います。
【森委員】  それから、もう一つ、現在の人員の人数を調査していただいているところで、これは資料9の棒グラフの中身なんですけれども、学生さんとかはこの中には含まれていますか?
【秋山学術調査官】  これには含まれていないです。
ただ、学生さんがどのような分野で、今、学部修士、博士でどの程度いるかというのも調査しておりますので、それは別添2の資料の最後の方に、9ページに記しております。
【森委員】  分かりました。職に就いて、こういう分野に携わっている人という観点では、学生以外の大学の方は含まれているということですね。
【秋山学術調査官】  はい、そのとおりです。
【森委員】  分かりました。
【小川主査】  ほかに何かありますでしょうか。
 今、ITERの人員をどう数えるかとか、その辺の数え方の基本的な考え方とかなど、統一的な考え方に則ってやっておかないといけませんので、その辺のデフィニションを含めまして、次回まとめるときには考えていきたいと思います。
 きょうはこれで時間がないので、あとは見ていただければと思いますので、もし今みたいな点で、今後、骨子案を成案にまとめるに当たって、又は統計データを整理するに当たって、留意しなくてはいけないことが皆さんの方からあるかもしれませんね。それに関しては、事務局の方にメールで教えていただくということでよろしいでしょうか。年明けぐらいまでに、もしこの辺の資料に関して、今、森委員の方からありましたような統計データの考え方に対する整理の仕方など、に関して留意すべき点があったらば、メールで事務局の方に連絡いただければと思います。そうするとタスクフォースにしろ、先ほどのドラフトチームにしろ、具体的なドラフト案、原案を作るに当たって考え方の整理ができますので、是非それをお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 済みません。きょうはたくさんの項目がありましたので、ちょっと急がせていただきました。ですので、余り十分に議論できなかったと思いますけれども、皆様、後ほどメール等でコメントいただければと思います。本日の議論を元にドラフトチームの方で骨子案に肉付けをして、次回の委員会は3月を予定していますけれども、そこに中間報告案を提出いただく予定でございます。
 本日用意しております議題は以上ですが、このほかに特に報告、審議すべき事項がございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで閉会といたします。次回の科学技術委員会の日程は、来年の3月を予定しておりますが、具体的な日程については、事務局で調整の上、後日連絡いたします。本日は御多忙な中、御出席いただき、ありがとうございました。

―― 了 ――


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