原子力科学技術委員会 高温ガス炉技術研究開発作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成26年9月1日(月曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 15階 特別会議室

3.議題

  1. 高温ガス炉技術の研究開発について(中間とりまとめ)(案)
  2. その他

4.出席者

委員

岡本主査,亀山主査代理,飯山委員,梅田委員,北川委員,國本委員,小竹委員,湯原委員,米田委員

文部科学省

田中研究開発局長,増子原子力課長,石川原子力課課長補佐,笹川原子力課課長補佐

オブザーバー

中富経済産業省原子力政策課課長補佐,國富日本原子力研究開発機構原子力水素・熱利用研究センター長

5.議事録

【岡本主査】 それでは,定刻となりましたので,ただいまから第5回高温ガス炉技術研究開発作業部会を開始いたします。本日は,御多忙にもかかわらず御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 写真撮影はここまででよろしいですか。
 それでは,これからは早速,議事に入らせていただきたいと思います。本日の議題は,お手元の議事次第に書かれておりますとおり,「高温ガス炉技術の研究開発について(中間取りまとめ)(案)」,その他であります。
 それでは最初に,事務局より出欠と配付資料の確認をお願いいたします。

【石川課長補佐】 まず委員の出欠でございますが,本日は伊藤委員,鈴木委員が御欠席となってございます。11名中9名の出席ということでございますので,定足数でございます過半数は満たしております。
 続きまして,本日の配付資料でございますけれども,まずA3の横紙になりますが,「高温ガス炉技術開発に係る今後の研究開発の進め方について(概要)」の案をお出しさせていただいております。それと,進め方についての本体そのものでございます。
 また,机上には過去のこの作業部会で日本原子力研究開発機構などからプレゼンいただきました資料につきまして,参考資料ということで配布させていただいております。
 加えて,本日岡本主査からメモという形で1枚資料がございます。机上に配付させていただいておりますので御確認いただければと思います。
 資料の方は以上でございます。

【岡本主査】 よろしいでしょうか。
 それでは,本日の議題に入らせていただきます。議題1「高温ガス炉技術の研究開発について(中間取りまとめ)(案)」についてです。既に事務局で委員の先生方から御意見を頂いておりますが,事務局より資料1-1「高温ガス炉技術開発に係る今後の研究開発の進め方について(概要)(案)」及び資料1-2「高温ガス炉技術開発に係る今後の研究開発の進め方について(案)」の説明をよろしくお願いいたします。

【石川課長補佐】 それでは,引き続きまして,私から資料1-1,1-2に基づき,御説明させていただきます。この作業部会で6月末から4回にわたって先生方に高温ガス炉について様々な御意見,御議論を頂きました。今後の進め方をどうしていくか,これまでの御議論を踏まえた上で,現時点での進め方についてまとめさせていただくということで,先生方にも御意見を頂きながら,文章を作らせていただきました。この概要を見ながら,少し報告書の中身にも触れて全体を御説明させていただきます。
 まず,全体といたしましては,第1章として「はじめに」ということで,最初の導入を書かせていただきました。第2章といたしまして,この作業部会でもいろいろレビューしていただきました高温ガス炉技術の研究開発に関する現状を改めてまとめさせていただいております。第3章といたしましてHTTRを中心とした今後の具体的な研究開発の進め方について言及させていただいております。第4章として国際協力・展開の在り方ということで,国際的にどのように取り組んでいくかについてまとめさせていただいております。そして,最後に第5章として今後の進め方ということで,幾つか提案も含めてまとめさせていただき,全体の報告書を構成しております。
 まず,第1章「はじめに」でございますけれども,資料1-2の本文の資料も見ながら御確認いただければと思いますが,まず,1ページから3ページに,導入を書かせていただいております。最初のところでは東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故のことに触れて,今原子力に対する国民からの視線が厳しいものであるということを書かせていただいております。そういったものも踏まえながら,本年4月に閣議決定されました「エネルギー基本計画」におきましては,原子力は重要なベースロード電源として位置付けられまして,また,この作業部会で取り上げました高温ガス炉につきましても「固有の安全性を有する高温ガス炉など,安全性の高度化に貢献する原子力技術の研究開発」ということで,国際的な協力の下で進めるということが記載されたところでございます。また,その後,6月に閣議決定がございました,いわゆる「骨太の方針」と言われる「経済財政運営と改革の基本方針2014」と,「日本再興戦略」改訂2014にも,高温ガス炉など安全性の高度化に貢献する技術開発について国際協力等を行うということが記載されました。この第1章「はじめに」のところで,「将来に向けて有望な技術的選択肢を持つことは,安定的なエネルギー確保の観点から重要」ということを,1文入れさせていただきました。
 1ページの後半から高温ガス炉の特色と各国における開発の歴史ということで,第2章以降でももう少し詳細に記載しますけれども,第1章「はじめに」のところでも概略としてガス炉の特徴と各国における開発の歴史を1ページから2ページに掛けて記載させていただいております。
 2ページから本報告書の位置付けということを書かせていただきました。今,高温ガス炉技術についてどのような目的・方向性を持って研究開発を進めていくべきかについて改めて議論する時期に来ているという認識の上で,高温ガス炉の作業部会の中で御議論いただき,報告書を取りまとめるということで,2ページから3ページに掛けまして,本報告書は,水素社会の展望や国際的な高温ガス炉のニーズを踏まえつつ,今後の高温ガス炉技術の研究開発に関する政策的な検討に資するものとして取りまとめるということで書かせていただいております。また,「なお」書き以降のところで,まず高温ガス炉をはじめとする関連施設の再稼働でありますとか,日本原子力研究開発機構におけるHTTRを用いた安全性の確証等を着実に進めることが重要であり,その後,フィージビリティスタディなどを経まして,また,成果の評価を踏まえて実用化の具体像をより明確化していくということを書かせていただいております。
 第1章「はじめに」のところで概略を書かせていただいた上で,第2章,4ページからでございますけれども,研究開発に関する現状について,第4回までの作業部会で御議論いただいた内容を取りまとめているところでございます。
 まず,(1)高温ガス炉技術の研究開発の意義ということでまとめさせていただいております。まずは,やはり高い安全性ということで,自然に停止するということ,冷却するということ,放射性物質の高い閉じ込め能力ということを改めて記載させていただいております。丸1として,冷却材が喪失するような事故時においても,負の反応度フィードバックの効果により,原子炉出力が自然に低下するということ,丸2として,熱伝導や熱放射により自然に原子炉の崩壊熱が除去されるということ,丸3として,炉心構造物として黒鉛を使用することにより,原理上,熱による炉心溶融の危険性が低く,温度挙動が緩慢であるということ,また丸4として,燃料につきましてもセラミックスによる被覆燃料粒子ということで耐熱性が高く,閉じ込め性能が高いということを改めて書かせていただいております。5ページでは,一方でこうした固有の安全性を維持するためには,日本原子力研究開発機構からの発表などの中では,現時点で最大電気出力として約30万kWeというものが安全性を維持するサイズであるというプレゼンなどございました。こういった特徴にも配慮しながら,逆に小型の原子炉ということの特長を生かすような利用も考えられるということを書かせていただいております。
 また,燃料の高効率利用による廃棄物低減への貢献でございますとか,熱利用による温室効果ガス排出削減への貢献,水素社会への貢献が期待されるということで,高温ガス炉技術の研究開発の意義をまとめさせていただいております。
 また,国の政策における位置付けにつきましては,6ページから7ページに掛けてまとめさせていただきました。古くは昭和47年の原子力長期計画において高温ガス炉が位置付けられまして,昭和62年の長期計画の中において,日本原子力研究開発機構が持っています高温工学試験研究炉HTTRの建設についての話が入っております。また,その後も平成17年の「原子力政策大綱」でございますとか,先ほども申し上げましたが,本年閣議決定された「エネルギー基本計画」,「骨太の方針」などにも改めて高温ガス炉が位置付けられてきたという経緯を書かせていただきました。
 そして,7ページから3ページにわたりまして,日本原子力研究開発機構における研究開発の現状ということで, 高温ガス炉固有の技術として今までの民間との共同研究も含めて,被覆燃料粒子の開発,黒鉛材料の開発,また,耐食・耐熱合金の開発などを進めてきたという内容と,HTTRが建設されて以降,50日間の950℃の高温連続運転を実施したことなど,これまでの研究開発の内容・実績について記載させていただいております。
 熱利用技術につきましても,8ページから9ページにおきまして,1週間にわたる毎時30リットルの連続水素製造成功ですとか,ヘリウムガスタービンについても民間との共同開発など,これまでの実績について記載させていただいております。
 そして,(3)として,「国際的な高温ガス炉を取り巻く現状と動向」としてまとめさせていただきました。これまでの国際動向ということで,まずイギリス,アメリカ,ドイツでのこれまでの研究開発がどのように進んできているかということを簡単に記載させていただいております。
 10ページからは,高温ガス炉を巡る現在の国際動向として,中国やインドネシアにおいては商用炉導入の検討が進んできていること,また,韓国やカザフスタンにおいては将来的な熱利用を含めた計画を有しているということで,世界各国における高温ガス炉への関心は高いという現状を記載させていただいきました。
 そして,12ページから,第3章「HTTRを中心とした今後の具体的な研究開発の進め方について」として,少し詳細にこれまでの開発の現状などを踏まえて記載させていただきました。最初の(1)「高温ガス炉技術の研究開発における基本的考え方」として,少し文章を書かせていただいております。最初に導入のところで,現在,日本原子力研究開発機構の有するHTTRを中心に研究開発が進められてきたということと,今後の研究開発の方向性を示して着実に進めることが必要であるということを記載させていただいております。また,「なお,今後の研究開発を進めていくに当たっては,本項及び次項で整理される研究開発を着実に進めるとともに,実用化の可能性を検討・判断するための評価を経つつ,次の段階に移行していくことが必要」ということを書かせていただいております。また,それには最終ユーザーも含めた更なる検討が必要ということで,こういったことについては第5章の今後の進め方にも,もう少し詳細に記載させていただいているところでございます。
 12ページの後半においては,高温ガス炉の将来展望の考え方として,これから研究開発を進めていくに当たっての将来像の一つの目安になりましょうか,将来展望の考え方について記載させていただいております。「高温ガス炉の利用については」というところでは,発電用としての原子炉,高温熱利用としての原子炉,またそれぞれ両方の利用を併せ持つタイプの原子炉というような話がこの作業部会でも議論されてきたかと思います。また,国内での利用と海外への展開ということで,高温ガス炉の利用について二つの方向があることを記載させていただいております。こうした今後の方向をこれからしっかり議論していくに当たっては,国民の理解や水素社会実現に向けた政府方針,研究開発の進捗状況,海外における需要なども考慮しながら選択していく必要があるということを書かせていただいております。また,「さらに」ということで,資源の乏しい我が国において,核燃料サイクル政策との整合性についても留意していく必要があることを書かせていただいております。
 13ページの中段に「本作業部会としては」ということで,「850℃でのシステムに係る研究開発課題も包含する意味でも,主に水素製造を含む多様な熱利用が可能な出口冷却材温度950℃の高温ガス炉システム,かつ,蒸気タービンよりも安全性,経済性,熱効率の向上が期待されるガスタービンシステムの熱電併産高温ガス炉システムの構築を当面の将来像」として,今回の報告書の中では研究開発の方向についてまとめさせていただきました。(2)から個々の技術についてどのような研究開発課題が今後必要であるかについて記載させていただいております。
 (2)「当面の具体的な研究開発課題」ということで,(2-1)から(2-3)まで少し具体的な内容を書かせていただいております。(2-1)といたしましては高温ガス炉の固有の技術に関する研究開発ということで,まず丸1,燃料に関する研究開発として,今後950℃を想定した場合に,高出力密度化のための除熱性能向上や,経済性,安全性の観点からの燃料設計方針の更なる研究が必要なものになると記載させていただいております。同じように,丸2として黒鉛に関する研究開発,15ページから,丸3として金属・高温機器に関する研究開発,丸4として炉工学に関する研究開発ということで,原子炉固有の技術に関する具体的な課題を取り上げさせていただいております。
 また,(2-2)「熱利用技術に関する研究開発」ということで,丸1として水素製造に関する研究開発,丸2として発電技術に関する研究開発,丸3として実際の接続に関する研究開発を挙げさせていただいております。
 また,(2-3)といたしまして,個々の技術開発と併せて,安全性向上を目指した技術開発ということで,丸1として耐震等を含めた総合的な事故時安全性に関する研究開発,丸2として使用済燃料・黒鉛廃棄物に関する研究開発,丸3として接続における安全確保に関する研究開発,丸4として安全基準の整備を具体的な取組として挙げさせていただいております。
 また, 21ページから,(3)「民間とともに中長期的に取り組むべき研究開発課題」を挙げさせていただいております。(3)の下,3行目ぐらいのところからですが,「実用化を見据え,安全性,経済性の追求等の観点から,民間等において取り組むべき研究開発が必要となる」と書かせていただいておりまして,以下の具体的な例として,二つほど挙げさせていただきました。まず,高温ガス炉技術の規格基準の策定に向けた取組として,日本機械学会の設計・建設規格等の民間規格に取り組むことが必要であるということを書かせていただいております。また,民間とともに取り組むべき研究開発として,ガスタービンなどの大型化であるとか高温化といった技術開発,メンテナンス技術の実証などを挙げさせていただいております。また,使用済燃料の処分につきましても処理施設の検討も含めたフィージビリティスタディなど,再処理施設全体像についての検討が必要になるということを記載させていただいております。
 続きまして,23ページからは第4章として「国際協力・展開の在り方」を書かせていただいております。23ページ,(1)「国際協力の基本的な考え方」ということで,高温ガス炉の国際協力については,丸1として安全性について国際貢献に資する,丸2として国内単独で実施するよりもさらなる知見の共有や費用分担によるコスト削減が見込まれる,丸3として国際標準化に資する,丸4として我が国の技術の将来的な国際展開が見込まれるといった観点を検討しながら国際展開,国際協力を進めていくことが必要であるということを書かせていただいております。
 (2)「具体的な国際協力の在り方」では,IAEAの枠組みを活用した国際標準化に向けての取組ですとか,24ページからは二国間取組の強化について,また25ページからは多国間の取組による研究開発の推進ということで,OECD/NEAですとか,第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)の取組などを記載させていただいております。
 そして最後,第5章として「今後の進め方について」を記載させていただいております。第5章では,高温ガス炉技術の将来を見据えた取組を進めるに当たり,第3章で整理した具体的な研究開発項目のみならず,将来的には最終的なユーザーであります産業界等の意見も十分に取り入れていくことが必要であるということと,また,技術的・経済的な実証をこれから進めていくという観点で,リードプラントの設計・構築に向けた取組が必要になってくると記載させていただいております。また,こういった長期的なことを進めていくに当たっては,産学官が連携した体制・仕組みの構築が必要であるということを書かせていただいております。第5章ではこうした体制・仕組みですとか,今後の具体的進め方について詳細に書かせていただいております。
 まず,(1)として,「将来を見据えた高温ガス炉研究開発を支える体制の在り方」ということを書かせていただきました。ただいま申し上げましたように,これから将来的な実用化であるとか,国際展開というものまで見据えて取組を行っていくに当たっては,日本原子力研究開発機構のみならず,これまで以上に産学官が連携した取組が必要であるということで書かせていただいております。また, 二つ目のぽつとして,海外に目を向けますと,米国や韓国などでは,既に産業界も含めたアライアンスが構築されているという実態がございます。こうした中で,我が国におきましても今後の研究開発を進めていくに当たりまして,産業界を含めたアライアンスの構築というもの,研究開発段階から産学官が連携して緊密に意見交換できる体制を構築していくことが必要であると記載させていただいております。
 こういったアライアンスの中には産業界として,これまで日本原子力研究開発機構と既に研究開発を進めてきた関連企業のみならず,最終ユーザーとしての製鉄,自動車,化学プラント,電力会社等の意見も踏まえながら進めていくことが必要ということを書かせていただいております。また,アカデミアにおきましても人材育成等の観点からこういったアライアンスに参画いただいて一緒に進めていくことが期待されるということを書かせていただいております。
 28ページ上段中間ぐらいのところで,「アライアンスの具体的な機能については」ということで期待される機能を書かせていただいております。「将来の実用化像の具体的検討・提案をはじめ,実用化像に向けてのリードプラントの設計概念構築,基盤技術の確立等の取組や,国際展開の在り方等について国の政策等に提言をするとともに,必要となる研究開発の分担や評価の在り方等についても検討・提案していくことを期待したい」ということを記載させていただいております。
 また,その次,費用分担も含めた産業界との協力を念頭に置いた総合的な研究開発の推進という中でも,28ページから29ページに掛けまして,実用化に向けた構想の構築や費用分担等による貢献が求められるということで,将来的にはアライアンスの運営についても民間が主導していくことが求められるということも記載させていただいております。
 29ページから(2)「今後の研究開発の進め方及び今後の取組についての評価の在り方」について書かせていただきました。先ほど来申し上げていますが,将来の実用化を検討・判断していくに当たっては,経済的な見通しを立てつつ,他の方法・システムとの間で十分な競争性が期待されるかどうかの分析が必要であるということ,将来の実用化を考えていくのであれば,当然安全性評価の仕組みの検討が必要ということを記載させていただいております。
 30ページにつきましては経済的見通しということで,この作業部会の中でも発電コストや水素製造コストについて御議論いただいたことについて,現時点での評価ではこういったコストの考え方もされているというところを記載させていただいております。
 32ページには,安全性の評価ということで,PSA,確率論的安全性評価による総合的な安全性評価も必要であるということを記載させていただいております。また,32ページから33ページに掛けて,評価の方法ということでは安全性,技術メリット,コスト,社会的受容性といった観点からの評価が必要であるということを書かせていただいております。
 33ページについては評価の時期と優先度について書かせていただいておりますけれども,ここのところでも安全性,経済性を考慮した上で実用化に向けての研究開発を進めていくということで,ある程度の確証が進められた段階で,適宜評価をしながら次のステップへ進めていくということで,まずは当面2年程度を目安にしながら次のステップに入っていくような評価を進めていくということを記載させていただいていております。また,こうした評価を進めるに当たりましても,研究開発段階から日本原子力研究開発機構が行うべき取組と民間が行うべき取組の役割分担を行いながら検討を進めるということを記載させていただいております。
 34ページから35ページにつきましては,高温ガス炉に関しての技術の保持ですとか人材育成の取組について,これまでの状況,現状を含めて技術の保持に向けた取組,人材育成に向けた取組というものを記載させていただいております。
 最後,35ページ,環境整備の在り方というところで,冒頭にも記載させていただいておりますが,まずは新規制基準対応をして,HTTRについてしっかりと運転再開を目指して取り組む必要があるということで記載させていただいております。また,繰り返しになりますが,国際標準化に向けての取組や,最後のところになりますけれども,立地地域との信頼関係,国民を含めた信頼関係の構築,分かりやすい情報発信というものも重要であるということを書かせていただいております。
 少し長くなってしまいましたが,全体を説明させていただきました。以上でございます。

【岡本主査】 ありがとうございました。
 それでは,資料が非常に多量でございます。36ページにわたる資料でございますが,質疑はまずは2段階に分けて行いたいと思っています。最初に第1章「はじめに」から,第3章「HTTRを中心とした今後の具体的な研究開発の進め方について」まで,ですから22ページまでの中で,御質問,御意見があればよろしくお願いいたします。
 ちなみに,本日もマイクがありませんので,大きめの声でしゃべっていただければ有り難いです。よろしくお願いいたします。
 湯原委員,お願いします。

【湯原委員】 よくまとめていただいたとは思います。それで,何点か気になるところというか,私はコメントを差し上げたのですけれども,ここには入っていないのであえて申し上げておきます。やはり明確な政策目標が非常に重要だということが再三ここでも議論になったと思います。明確な政策目標というのはこういう研究開発の出口といいますか,ここにも書いてあるようにいつ頃をめどにリードプラントを考えているのかということが,やはり研究開発のスケジューリングにしても非常に重要かと思います。
 それと,民間とともにとか,ここにいろいろ書いてありますけども,今の政策目標と一緒なんですが,民間に資金負担を期待するとかいろいろ書いてありますけれども,政策目標があれば民間も投資する気になるのですが,政策目標も何もなくて研究開発ということが前面に出ていると,なかなか民間も資金負担をして何かやろうという気にならないのではないのかと私は思います。ですから,やはり後の方かもしれませんけども,民間に資金負担を求めるというところを言うなら,当然のことながら,実用化・商業化の時点をいつに置くのかということがあると民間は投資するということだと思います。特に原子力はそうなのではないかと思います。それが1点目。
 2点目は,体制のことを随分書いてあります。産官学連携,アライアンス,大いに私も結構かと思います。そうしないと人材育成についてバランスのとれた発展はできないと思います。しかし,私はやはり日本における従来の原子力開発の在り方というものを見直した方がいいのではないのかと感じます。これは何も,ここで何回か申し上げましたけども,原子力だけではなくて,欧米流のやり方があるわけですね。GOCO,ガバメントがオウンし,コントラクターがオペレートする。要は,国は政策目標と設備等の資金,設備は与えるということです。それで,こういう開発は民間,コントラクターに運営を含めて任せて,民間の活力で運営していくと。NASAもそうでありますし,原子力のオークリッジもそうでありますし,あらゆるところで国は政策目標とお金を出すけれども,開発・運営は民間に委ねると。こういうことを少し参考にして,従来の開発体制をもっと加速したり,民間の力を引き出したりするような形を考えていいのではないのかと思います。その辺りを少し明確に書くと,このアライアンスの意味付けもよく分かるのではないのかと思います。
 それから,国際協力はもっと後の方ですね。

【岡本主査】 はい。まずは今の2点,いかがでしょうか。

【増子原子力課長】 先生のコメントを承知していなかったもので,十分に反映されてなかったという点ではおわび申し上げたいと思います。 先生御指摘のリードプラントのめどですけれども,例えば具体的に何年にリードプラントを建設するかなどについては,今のHTTRの現状や,これから研究開発を積み重ねて技術実証をしていかなければならない課題が多々あること,また,水素製造部分との接続などを考えると,リードプラントが必要だというのは明確に書かせていただいていますけれども,導入の時期というのはやはりHTTRでの研究開発の状況を見極めた上で,いつを目標にするかを明確にするのがやはり国の報告書の位置付けだと思います。そこはもう少しアライアンスでじっくりとした議論をこの報告書をベースに積み重ねて,リードプラントの位置付け,時期を見極めていきたいと思っております。
 それから,リードプラントをどういう形で官民負担するかということについてですが,報告書案には、民間負担についての記載もございますが,ここでいうリードプラントの位置付けというのは通常でいう原型炉と実証炉を合わせたようなものを想定しておりますので,当然民間負担だけでというのはなくて,経済産業省か文部科学省かというのはありますけれども,国からの必要な支援というのも当然ありますし,その辺りの費用負担の在り方についてはもう少しじっくりと,関係省庁を含めて今後議論をしていきたいと思っております。
 体制についても,先生御指摘のとおりコントラクターの話とかいろいろありますので,それもアライアンスのところで議論を今後していきたいと思います。この報告書で全部包含するというのは,短い期間でしたので,なかなか難しかったということもありますが,この報告書で全て終わらせるつもりもありませんので,引き続き検討課題として考えております。

【湯原委員】 文章をよく読むと,10年間で研究開発のめどを付けるというところで2025年というのは見えますし,リードプラントの設計は今後5年でやるのだと書いてあるので,それを見ても,何となく2025年あたりにあるのだろうなとは行間から読めるのですね。

【増子原子力課長】 国の報告書は今までも時期を書いていましたが,遅れているじゃないかという批判もあるので,そこはある程度本当に導入できる時期というのを見極めた上で,次の段階でちゃんとした政府の位置付けの中で書けるように議論を積み重ねていきたいと思っています。

【湯原委員】 このあたりをもう少し明確に書かれた方がいいのではないかなというのが私の趣旨です。

【岡本主査】 私もメモをお配りしていますが,同じような形で少し数字を,目安という言い方をしていますが,議論の中では10年後を目安として850℃,だから850℃,950℃,750℃と最初に三つ温度を議論しましたけれども,750℃はもう今造っていますよね。
 ほぼ実用化になってきている。だから,同じ高温ガス炉といっても,目の前にあるものからかなり遠い950℃までいっぱいあるので,本当は,そのあたりを混乱させないように考えておくべきだと思っています。そういう上では,この報告書の中には数字が余り書かれていないので,私のメモで残しておきたいなと思って10年,20年目安という形では書かせていただいておりますけれども,そのような意図でこのメモを記載させていただいています。報告書の中にも10年をめどとしたとか,今後5年とか,リードプラントがやはり非常に重要な位置付けであると思っておりまして,逆に言うと,そこが日本国内若しくは世界戦略に打っていくときの日本のフラッグシップ,旗艦になるはずですので,その形をある程度見せつつ,議論をしてきたということが分かるといいなとは思っております。
 今の件に関しては特に御意見,湯原先生,よろしいでしょうか。
 そのほかありますか。梅田委員,お願いします。

【梅田委員】 今の議論に関連するのですが,リードプラントの必要性とかは十分御理解いただいているということですけど,さっきおっしゃったようなHTTRの開発状況とか,あるいは今後のいわゆる社会的な情勢ということを踏まえて時期とかは検討されるところなのでしょう。一方でもともとはロードマップという話があったのですが,それは今ここには表れてきていないですよね。HTTRにおいて,今後2年とか,2年後を踏まえて次のステップを判断するとかいう記載はあるのですけども,何かそういうロードマップ的な見えるものがあると,非常に分かりやすいのではないのかなと思います。ただ,おっしゃるように10年,20年先のところは分からない部分はありますが,ただ,この時期にはこういうことは必要であろうという考え方が分かるものがあった方が,皆さん理解しやすいのではないのかなと思いました。

【増子原子力課長】 ドラフトはあるのですが,今回は外しております。今の時点でお示しするのは無理があるかなと思っております。

【湯原委員】 もともと作業会の第1回ではロードマップを策定するというのがこの作業部会の目標だったと思いますけど。

【増子原子力課長】 あとはスケジュール感の問題だと思います。研究開発する項目というのはここでお示ししているので,それをいつまでにどういう段取りでやるかをどうマッピングするかというのはまだ生煮えの状況だということが現状でございます。

【岡本主査】 最初はロードマップを作り始めて,ロードマップというキーワードはなかなか難しいのですけど,飽くまで念頭に置いて議論はしてきたということは明確に示していただいた方がいいのかなと思います。それに近いことをメモで残させていただいたという形です。
 亀山主査代理,お願いします。

【亀山主査代理】 事前に頂いた資料に対するコメントもよく取り込んで反映されていて,水素利用側の委員からは非常によくまとまっていると思います。申し上げたいのは,水素・燃料電池ロードマップの方の場合も現実性のあるロードマップが3か月ぐらい相当議論してやっとできたので,やっぱりロードマップ作成というのは相当エネルギーが必要で,それだけで委員会を作ってやらないとなかなか世の中に見せるものが出ないというのは私も実感しています。今回のこの報告書は進め方という内容であれば,これに詳細なロードマップというのはやはり難しいかなと思います。ただ,これにみんなが合意したら,その次のステップとして,また別途委員会でこの示された課題をどうやって進めて,どんなアウトカムをいつ頃出すかというあたりについては,別途時間を掛けて議論した方がいいかなと思います。内閣府の方も国のプログラムについてはアウトプットだけじゃなくてアウトカムを明確に示しなさいと言っていますし,文部科学省も中心になってやっている戦略的イノベーション創造プログラムSIPの方もきちんとそういう意識で,研究の課題だけじゃなくて,その課題が社会にどういう影響を与えるかというアウトカムと同時に,いつ頃世の中にそれが出るかも書けとSIPでは言われていますし,これも恐らく国の研究プロジェクトの流れだと思います。この時点で全部詳細なロードマップの要求は難しいという気がします。今後,予算取りとの関係もありますので,ロードマップで明確に示されないと幾ら掛かるかというのも結局見えてこないので,ある意味ではこの報告書の後,きちんとしたロードマップを作成して,これを達成するにはこれだけの予算が必要だということで財務省からお金を持ってくるのが大体普通の流れですので,是非この後の作業に期待したいと思います。以上です。

【岡本主査】 よろしくお願いいたします。

【増子原子力課長】 はい。ロードマップは先ほど申したように必要なのは分かっています。多分,ロードマップだけ議論すると,あと2回最低必要かなと思っています。まずはこの報告書をおまとめいただいた上で,また必要に応じて先生方の御意見を踏まえて,検討をしたいと思っています。

【岡本主査】 お願いします。

【飯山委員】 取りまとめを本当にありがとうございました。高温ガス炉の位置付けというものを世の中に問うていくのが最初のポイントかと思うのですが,そうすると,例えば5ページの上のように,安全性を維持できるサイズが30万kWeぐらいだと見込まれているので小型の原子炉が適正であり,離島での分散電源や,工業地帯に隣接した熱源という記載がありますが,そうすると,これを読んだ方が「じゃあ,こういう小型の原子炉を開発するのですか」と狭く考えないでしょうか。作業部会の議論の中では,大規模な容量が必要であればこれを幾つも並列にやればいいというようなお答えもあったと思うので,そういった小型で成立するし,大型の容量が必要であれば並列に幾つも造ることによって対応ができますというような,小型から大型まで対応できるものだというような書き方を少し工夫されたら,誤解をされないで済むのかなと思いました。以上です。

【岡本主査】 はい,それでは。

【増子原子力課長】 確かに先生のおっしゃったようなやり方はあると思います。ここで書いているのは一つの炉として様々な適用がありますよということなので,当然のことながら,100万kWeぐらいのサイズが必要だとなれば,事業者がもしそういう判断があればそういう並列型の配置というのもありますし,それを否定している意味ではございませんので,それはもし必要があれば,文章の書き方を工夫することはできると思います。

【岡本主査】 一つの電気出力だけではなくて,熱出力としても,化学プラント等で必要なのがあれば複数ということも当然あるでしょうから,小型で多数造れると。実際,中国では今二つパラレルに造っていますし,そういうことも含めて,是非そういうことが分かるような形で修文いただけると有り難いと思います。
 そのほか,お願いします。

【小竹委員】 三つほどございます。一つ目は今ちょっと議論がありましたけども,ここの文章の中で「産業界」あるいは「産官学」という表現と,「民間」という表現が混ざっております。場合によってはこういう民間,いわゆる製造メーカーさんであるとか,素材メーカーさん,あるいはエンドユーザーである民間企業という書き方をされていますが,あるときは全体的にぼんやりと産業界と書いてあったり,あるときはきちっと限定されていたりするので,できたらその辺りは表現を統一していただきたいと思います。それが1点です。
 2点目は,先ほどもございましたけども,いわゆるエンドユーザーについてです。私ども電力の者としては,エンドユーザーとなるかどうか,またアライアンスへ参画していくとかの判断をするには,高温ガス炉の実用化像が明確になっており,しかもその実用化像と現状の技術とのギャップがクリアになって,それを研究開発ロードマップという形で解決期間あるいは必要な費用等が明らかになって,初めて判断できると思います。今の段階で30万kWeぐらいの高温ガス炉を目指しますという程度では,実用化像として我々は本当に将来的にユーザーになり得るのかどうかの判断すらできないというところがございますので,アライアンスの参画も含めて,その辺りはもう少し明確な実用化の方向というのをやはり示していただかないと,少なくとも我々発電を主務としているところではなかなか判断できません。
 それと,これは以前から申し上げているとおりですけども,発電炉として利用していく場合には,現在の原子力政策との整合が必要です。今回の報告書を全部読ませていただきますと,やはり再処理が前提のように読めます。今後の課題にも挙がっています。それは非常に結構なことなのですが,やはり発電炉としては,今我々は再処理を国策としてやっています以上,再処理を前提にすることは非常に大きな条件になります。被覆粒子燃料の再処理に関する技術的実現性というか,一定の見通しが得られることが重要な条件と考えます。世界では被覆粒子燃料は再処理せず,直接処分を前提にした概念というのが今までの実例ですから,やはりそこをひっくり返して再処理路線で進むというのは,よほどの決意と技術的知見がないとできないのではないかと思いますので,その辺りを明確にしていただけないかなという感じがしています。ただ,これは全体のところには再処理を前提に書いており,今のところ直接処分を追求するとも書いていませんので,今後明確にされていくと理解しています。
 それから,最後ですけど,5ページ目に,ちょっと子細なコメントで恐縮ですけども,燃料の高効率利用による資源問題と最初書いてあります。今回廃棄物低減への貢献と書いてありますが,これも先ほど申し上げた趣旨で,もしこれがワンススルーであれば環境問題も資源問題も,共に解決していくことはできません。単に一時的に経済性が上がるだけです。ですから,これは再処理を前提としてやった場合になりますが,それでも,結局資源問題とか,資源問題は再処理をして高速炉で回していくことで有効利用できるわけですが,もしこれが廃棄物低減となるとまた違う意味になりますので,何かここは,高効率利用は普通,高速炉でもよく議論されていますけど,突き詰めれば単に経済性が高まるだけなのですね。ですから,環境問題,資源問題とは絡まないのではないかと思います。高燃焼度と資源問題とか環境問題とは,断片的にその瞬間値としては上がるのですけども,再処理しなかったらどちらにも貢献しないわけですから。

【岡本主査】 そんなことないです。

【小竹委員】 その辺りについて御説明を頂ければ有り難いと思います。

【石川課長補佐】 まず表現,「産業界」ですとか「産学官」,「民間企業」ですとか,幾つか確かに表現が混ざっていますので,その辺りは最終案に持っていくときに少し整理させていただきたいと思います。
 今の技術とのギャップについては,例えば12ページの第3章(1)のところで,最終ユーザーも含めたさらなる検討が必要であるというところで,「特に,中長期的な課題として,具体的なユーザーを想定したスペック目標を設定した上で,実用化の概念検討を実施し,それらに必要な技術と現状技術とのギャップを明らかにしていく必要がある」ということで,報告書の中で記載させていただきました。この辺りを今後実際進めるに当たって,どのような方向性に向けて,どうやって今のところから技術課題を詰めていくかという課題として認識させていただいております。
 再処理につきましても,ここの第3章で示しました技術課題の中で,前処理までは技術的な確認をしているというのが現状で,そこから実際施設を造っていくというところが今後の課題だという認識を共有しているつもりで書かせていただいております。
 最後の廃棄物低減という,最初の意義のところの書き方,その辺りは先生方の御意見を踏まえながら,どのような書き方が適切なのかというのはもう少し主査も含めて御相談させていただきながら,表現ぶりは検討させていただければと思います。

【岡本主査】 私からもいろいろあるのですが,36ページに参考文献が載っていて,ここのところで2003年,10年以上前ですけれども,30万kWeの概念設計等が国際的にも出されていて,基本的にはこのあたりをベースに示しているという形だと思います。もんじゅのように何十年も,下手をすると50年も掛かるようなシステムではなくて,高温ガス炉の場合にはもう20~30年あれば実用化,20年あればもっていけるようなところで,現実問題として,中国では限りなく実用化に近いところにもっていっているという状況もありますので,例えば中国の10万kWeをベースに考えていってもいいわけですが,あそこは蒸気サイクルを使っていますので,今この参考文献にあるようなガスタービン等を考えていくというのも一つのあれかなと思います。
 あと,それから核燃料サイクルの話はどこかにも書いてありましたが,今はまだその見直しも含めていろんな検討がなされようとしており,今までの東京電力福島第一原子力発電所事故前のままの政策が継続されているとは思っておりません。いろいろなオプションを考えていくことが必要であって,オプションの一つとしては直接処分というのも十分,事故前から考えられてきたわけでありますから,全く排除するということは,これは何回も申し上げていますけれども,政策を狭めることになりますので,私としてはいろんなオプションの中の一つ,直接処分というのも事故前から検討されていましたし,アメリカなどでも検討されておりますので,一つの策としては十分,それがメインになるかどうかというのは別といたしまして,あり得るのかなと思っています。単にここでは燃焼,高燃焼度という意味,先ほど最後の3番目ですね,それはそういう意味だと思いますので,高燃焼度を狙いますと。それだけ高燃焼度であるということを明示してもいいのかもしれないなという気はしております。ちょっとこのあたりの表現ぶりは少しいろいろ議論させていただいて,見直させていただくという形がよろしいのではないかなと思いますが。
 よろしいでしょうか。

【小竹委員】 はい。

【岡本主査】 では,そのほか,よろしいでしょうか。

【梅田委員】 1か所,細かい話ですけども,4ページに高温ガス炉の意義として,丸1に,炉心出力が自然に低下して未臨界状態になるという記載がありますが,「未臨界状態となる」という表現は余り見ていないような気がするのですが,これはこういう表現でよろしいのでしょうか。「静定される」とか,「安定した状態」になるとか,そういうふうな表現では……。

【岡本主査】 一旦未臨界になって,その後ゼノンの効果でまた臨界になるのですが,一旦は未臨界になります。ここら辺は言葉としては少し調整させていただきます。

【國富センター長(日本原子力研究開発機構)】 先生がおっしゃるとおりで,1回まず未臨界になって,それでゼノンが最初にできるのですけど,それが少しずつ減少していくと再臨界になるのですが,それは非常に低いところで落ち着くので,それで最終的には静定することになります。1回未臨界になるのは間違いないですね。

【梅田委員】 そういうことかなとは思ったのですけど。

【岡本主査】 ちょっと技術的に細かい話かもしれませんが,未臨界,書き方はちょっと工夫させていただきたいと思います。
 そのほかはいかがでしょうか。はい,お願いします。

【北川委員】 通して読むと分かるのかもしれないのですが,850℃,950℃の論点は非常に重要だと思うのですけれども,ちょっと読んでいって,8ページにはHTTRを用いて,850℃でこういうことができた,950℃で高温連続運転ができたとか,成果が中ほどに書いてあり,安定供給できることを示したと記載されています。ずっと読んでいって,13ページにおいて,将来像を考えるに当たって,中ほどですけども,作業部会としては850℃と950℃の将来像をまとめると記載されています。850℃と950℃でこういうことができているけれども,この時点で更に将来像として850℃と950℃と分けて考える意味は,システムとして研究開発すべきことはまだまだあるということだと思いますが,そういうつながりが報告書を読む中で少し分かりにくいのかなという気がしたのですが,いかがでしょうか。いろいろできているけれども,まだまだやらないといけないというふうに,すっと読めない気がしたのですけれども。

【岡本主査】 このあたりは非常に苦労して書かれていたところなのですけど。

【石川課長補佐】 確かに850℃であるとか950℃のところで,今までの実績として連続運転といった実績が少しずつたまってきていてデータがありますが,実際に950℃のシステムといったものを作るに当たってはまだやれていない研究開発もあるということで,まずこれから進めるに当たっては,そういった850℃とか950℃を念頭に置きながら研究課題を整理していくと,こういう課題をしっかり詰めていかなきゃいけないということで書かせていただいていましております。もし表現ぶりを直すところがあれば少し検討させていただきたいと思います。

【北川委員】 ありがとうございます。

【岡本主査】 ここは何となくやっぱり最初に850℃と950℃を目安として検討を進めてきて,その上で多分この文章があるのですよね。そこの最初の部分がどこにも書いていないから非常に分かりにくくなっちゃうので,可能であれば,検討としては仮に950℃及び850℃等のシステムを念頭に検討を進めてきたみたいな話を,例えば今お話のあった13ページの「高温ガス炉の利用については」の段落の頭に簡単にちらっと書いた上で,850℃については950℃に包含されるといいのではないでしょうか。その説明がないと,多分ちょっと分かりにくいということなのかなという気がします。このあたりは少し検討していただいて,誤解のないようにさせていただければと思いますけど,よろしいでしょうか。

【北川委員】 はい,分かりました。

【岡本主査】 それでは続いて,第4章,第5章も含めて,若しくは全体を通したコメントを頂ければと思います。

【國本委員】 よろしいですか。

【岡本主査】 お願いします。

【國本委員】 33ページの「優先度」という言葉がありますが,これはR&Dの項目を決める優先度なのか,何を真っ先にもっていくという優先度かがちょっとよく分からないので,御説明いただければ有り難いです。

【石川課長補佐】 評価をしながらどういったR&Dをこれから進めていくかというところで,國本委員がおっしゃったように,日本原子力研究開発機構がやってきたこれまでの成果を見ながら,次はどういうところを進めていくべきか。将来像がもう少し具体的になっていけば,何を優先的に進めていくかということが見えてくるのだろうという意味で,評価の時期と優先度と,ここでは記載させていただいております。具体的にこういう優先度でということまでの記載ではなく,こういったステップで評価しながらやっていくという中身ではあるのですけれども,そういう思い,趣旨も入れて,表題のところに「優先度」という書き方をさせていただいております。

【國本委員】 分かりました。先ほどからお話の出ているロードマップの中にそういう研究項目の優先度というのは入ってくるのでしょうか。例えばこの中にもいろいろR&D項目はあるのですけども,これを優先していきましょうとかいう話も出てくるのでしょうか。

【増子原子力課長】 ロードマップを作れば,同時並行的にできる研究というのはある程度限られるので,やはりその研究開発の優先度というのはおのずと順番が付いてくると思います。それぞれの項目についてどれを優先するかについては,日本原子力研究開発機構の方もいろいろ考えていると思うので,そういうのもまたよく聴取しながら,ロードマップ上の優先順位,技術的な課題を,どういう優先度を持って処理していくかというのを入れ込んでいくことになろうかと思います。

【國本委員】 それが今後当面2年を目安に作られていくと。

【増子原子力課長】 そうですね。まずHTTRが動いてからということですね。

【國本委員】 分かりました。

【亀山主査代理】 ちょっと今のお話に関連して,私もちょっとそこは気が付かなかったのですが,やっぱり優先度という言葉を使われたら,その次の行のところで安全性,経済性と考えたときに,国民としては経済性優先にされるといろんなことがある,過去に起きたから,やっぱり安全性はまず優先度を高くして,その上で経済性を検討するという優先度は今この時期自然にあるのですけど,そこは余り明確に書いていないですよね。だから,逆に,やはり安全性を最優先とし,こういう言葉も使うのなら優先して,そしてそれを踏まえた上で経済性を追求するというふうに書いた方が国民の理解を得られるような気がします。

【増子原子力課長】 そうですね。先生御指摘のとおりだと思います。

【岡本主査】 是非ここは修文をよろしくお願いします。
 そのほか,お願いします。

【米田委員】 一つはお願いで,29ページの上から5行目のところに当社の実施した内容を書かせていただいたのですが,ここの章自体が水素製造の話が余り入っていないのですけれども,もしもこの資料全体を通じて水素製造のことも書いてよろしいということであれば,ここに当社のやっていることとして,「取りまとめや高温ガス炉を用いた水素製造開発を行っている」というふうに追記させていただければ,もしよろしければというのが一つでございます。
 それが1点と,先ほどから話がありますリードプラントですが,これは定義がないように思うのですけれども,定義をしてはやはり問題があるということでしょうか。950℃の300MWe のものをリードプラントというふうに考えてよろしいのでしょうか。逆に,まだ明確でないので書けないということなのでしょうか。もし,これを初めて見る方が見たときに,リードプラントは何であろうかと疑問に思うのではないかと,ちょっと最初から見ていって思ったのですけれども。

【増子原子力課長】 リードプラントという言葉がそもそもいいのかという議論もありますが,基本的にはこの文章に書いていますように,実用炉を目指す上での安全性や経済性の実証ということになると思いますので,先ほど私が言ったように,通常の実験炉,原型炉,実証炉,実用炉という考え方でいくと,原型炉と実証炉を合わせたような機能ということになろうと思います。出力をどうするかというのはまさに今後のユーザーとか,あるいは関係のところでいろいろ議論をしながら,どういう出力がいいのか,機能をどうするのがいいのかなど,その辺りについてもアライアンスの中で議論を深められたらいいかなと思っています。ただ,定義についてはもう少しはっきりと,私が今言ったような安全性や経済性を実証する炉ということで定義付けができればいいと思います。リードプラント自身聞きなれない言葉だと思いますので,そこは少し工夫したいと思います。

【米田委員】 あと,リードプラントはやはり国が中心となって建てるというようなことはやはり書くことは難しいとお考えでしょうか。

【増子原子力課長】 それは多分かなり難しいと思います。それもどういう概念でやるか,過去の実証炉を造った経緯を考えると,官民両方が負担していますので,国もかなり主体的にやるし,民間も必要な資金を出しているというのが現状だと思います。原型炉クラスではかなり国が主導で行ってきたというのが,新型転換炉や高速炉についての今までの流れでありますけど,先ほど私が申し上げたように原型炉と実証炉をかなり合わせ持ったプラントになるとまた新しい概念になるので,これはまさに,経済産業省を含めてどういうふうに予算措置をするか,なかなか実証炉レベルのものまで文部科学省が主導ではできませんので,これからの議論になろうかと思います。

【岡本主査】 非常に重要な御指摘だと思いますが,やはりある意味実証炉,原型炉という枠組みを超えたようなところで,原子力というのは期間が長く掛かるという特徴を持っているのですけど,その中でも高温ガス炉というのはさほど長く掛からないのですね。割とゴールが見えている。中国では民間が造っているわけです。どのくらい国がサポートしているかはよく分からないのですけれども。そういう意味では,しっかりやらないとすぐ中国に負けてしまうという点について,僕はすごく危機感を持っておりますので,経済産業省,文部科学省,それから民間と三すくみになると一番悪いので,そういう意味ではアライアンスをしっかり考えていっていただけるといいなと思っているところであります。あと,リードプラントについては是非少し何か定義を書いていただいて。

【増子原子力課長】 そうですね。

【岡本主査】 そのほかはいかがでしょうか。

【湯原委員】 国際協力のことをちょっとコメントしたいのですが,23ページ以下に,国際協力はプラント開発を国際協力でやるという面と,それからここに書かれているのは規格基準ですね。安全基準で主導権を持っていくと書かれています。この二つがあって,プラントを国際協力でやるかどうかというのは煮詰まった議論もできなかったので,余り書いていないのは,それはそれでいいかと思いますが,規格基準についてはもう少し前向きに書いていただきたかったなと思っています。私がこの前申し上げたように,プラントのハードの方の規格基準,ここでも機械学会の規格委員会と書いてありますけども,この面では何年か前,2009年だったと思いますが,ASMEと機械学会が神戸で国際会議をやったときに高温ガス炉について,日本原子力研究開発機構の鈴木さんが,グラファイトの設計基準とハステロイの設計基準の紹介をしまして,大変感銘を与えました。国際的にそういうものはできていないし,2009年のこれは南アフリカのPBMRですか。

【岡本主査】 PBMRですね。

【湯原委員】 PBMRの安全基準を基にASMEでISIの基準法を作っていたわけです。そんなこともあって,日本のそういう先行している高温材料,溶接施工法の基準というのは大変注目されました。そういう意味で,半ばオープンにもなっていることですし,こういうのは技術者の資格もそうだし,認定する工場も含めて大変大きな力を持ちます。日本の原子力業界はかつてASMEスタンプを得るということがもう大変な名誉といいますか,そんなこともあって,どのぐらいこういうハードの規格基準を押さえておくということが今後のいろんな国際競争力にもプラスになっていくし,中国が一番弱いのはここです。ですから,ここに書かれているとおりなのですけども,もう少し前向きにといいますか,そういう計画もスケジューリングして早め早めに日本の優位性を示して,日本の材料しか使えない面があるわけですから,そういうことも含めて戦略的にこの規格基準,国際協力を考えるということが非常に重要だと思います。安全基準の方も全く同じだと思います。

【増子原子力課長】 分かりました。今の御意見を参考にさせていただこうと思います。

【岡本主査】 よろしくお願いします。
 そのほか,いかがでしょうか。

【梅田委員】 かなりアライアンスというのが強調されているように読めるのですけど,それ自体はそういうやり方はあるのかなと思います。ただ,27ページに海外に目を向けると米国,韓国等では既にアライアンスが構築されているとありますが,海外ではどういうアライアンスとして活動しているのか,更に費用を負担してとかいうことも書かれていますが,アライアンスでどういう費用分担をしているのかとか,どうもここで言う海外のアライアンスと,後で説明されているアライアンスの具体的な機能とかがつながっているのかどうなのか,その辺りがよく見えません。もう少し海外のアライアンスというのはどうなのか,それでうまくいっていればそこは参考にすればいいし,うまくいっていないところがあるのだったら,そこをちょっと改善して取り上げるようなことを考えた方がいいのではないかなということで,いずれにしても海外ではどういうことをやっているのか,もうちょっと説明が入るといいのではないかなと思いました。

【國富センター長(日本原子力研究開発機構)】 例えば,韓国は既に費用分担をして,それで一部韓国の原子炉の設計を,韓国原子力研究所KAERIがやる概念設計に対して費用分担をしているということをやっています。アメリカもある程度自己資金等を使って,高温ガス炉を受け入れてもらえるような活動をやっています。そのあたりが米国,韓国でのアライアンスの活用の状況です。

【梅田委員】 それで,そのR&Dが効果的に実施されているとか,あるいは実用化に向けて動いているとかいうふうな具体的な形というか,成果という形では見えているのでしょうか。

【國富センター長(日本原子力研究開発機構)】 どちらかというと,研究開発を実施するのは例えばアメリカであればアイダホ国立研究所INLで,韓国であればKAERIで,研究開発をするということよりも高温ガス炉そのもののユーザーを獲得するような活動をアライアンスがかなり積極的にやっているというのが,アメリカや韓国におけるアライアンスの活動です。

【増子原子力課長】 ここでアライアンスを書いたのは,まずは関係機関を集めて協議体のような形で,実用化あるいはリードプラントを見据えてどういう協力関係ができるか,その辺りをまず議論する場を設けないと,報告書をまとめて終わりになってしまいますので,次のステップにつなげるための協議体,運営体のようなものを,経済産業省ともこれから連携しながら作っていきたいと考えています。

【梅田委員】 ということは,必ずしも海外と同様のアライアンスというわけではないのですね。

【増子原子力課長】 少なくともかなり進んだ協力関係,体制というのは海外ではできているので,日本の場合は,まず一歩を作りたいという趣旨です。

【梅田委員】 分かりました。

【岡本主査】 アライアンスは非常に重要だと思っておりまして,やはり完全に国におんぶにだっこという形を取り続けるというのは難しいところがあると思いますが,しかしながら,ある程度ひよこが歩き出すまでは国のインキュベーションの下で行って,あと歩き始めたら,しっかり国に税金を返してもらうという形が一番いいのだと思うのですが,そういう形で進むための連合体ですよね。そういうアライアンスをしっかり作り上げていく,それが一つのこの報告書の大きな柱なんじゃないかなと思っています。
 そのほか,よろしいでしょうか。
 今のアライアンスのところですけど,28ページのところの人材育成のところにアライアンスのことを書いてありますが,ここで「アライアンスに参画する」という,アライアンスに入っていないと使えないようなイメージがあるので,ここは別にアライアンスではなくてもかまわないので……。
 アライアンスが中心となって,日本若しくは世界中の大学等の学生,研究者が参加する仕組みであるとか,アライアンスに入っていないと使えないよということではないというような形で,是非広くお願いしたいなと思います。
 そのほか,いかがでしょうか。

【中富課長補佐】 経済産業省の名前を出していただいていますので。本日,香山が急用で恐縮ですけれども,私は課長補佐の中富でございます。香山の代理で申し上げたいと思います。実用に向けて本格的に取組を進めていくという意味では,先ほど来,アライアンスあるいは民間の参画という話がありますとおり,民間の参画というのは非常に重要であるということでいきますと,これは本当に本格的に前に進めていくという意味では,しっかり民間の方々に参画いただける前提といいますか,そういった条件がしっかり示されていくことも重要であろうと思います。30ページに記述が十分にされてはおりますけれども,やはりしっかりとした根拠,明確な根拠に基づいて,発電コストなどの経済性の部分がしっかり透明性を持って示されていくということは,民間の参画を促す意味でも非常に重要かなと思ってございますので,特にこういったところを強調していただけると非常によろしいかなと,オブザーバーの立場ではありますが,考えてございます。以上でございます。

【岡本主査】 ありがとうございます。民間はどうしても経済性が中心になるのですが,先ほど亀山主査代理からありましたように,今は安全性が十分高い原子炉というところで,かつ経済性も十分コンペティティブルである,競争力があるということが多分非常に重要な,この高温ガス炉をやっている一つの意味だと思っております。全く経済性はにっちもさっちもいかないようなものをやっているのではないということだけは理解しつつ,その上でかつ従来の軽水炉,高速炉,比較しているわけではございませんけれども,安全性の面からすると格段に,そういうバックアップシステムを含めて不要であり,物理現象で安全が確保されるといったようなところを中心に進めているので,民間としても,必ずしも経済性だけで判断しているとは思っておりませんので,一つの判断基準であると思いますけれども,そういう意味では安全性も是非強調したいなと思います。
 そのほか,いかがでしょうか。
 私,もう1個だけちょっとよろしいでしょうか。34ページに人材育成のところがありますが,ここにアカデミアにおける高温ガス炉の研究者の裾野を広げる取組と書いてありますが,できれば具体例の一つとして「競争的資金などによる」とか,明示しなくていいと思いますが,恐らく競争的資金があると非常に幅広くいろんな,それこそ社会学,科学的なところから水素製造とか熱利用とかいうところまで含めた競争的資金のようなものがあると幅が広がりますので,「など」と書いていただければいいと思いますけど,限定しなくていいので,是非お願いできるといいなと思います。
 そのほか,いかがでしょうか。

【湯原委員】 この主査メモを是非説明してください。

【岡本主査】 では,私のメモでございますが,先ほどから申し上げていますように,当初はロードマップを作ろうということで始まったのですが,先ほど亀山主査代理からも御指摘がありましたように,なかなかこの短い期間の中で十分な議論ができていない。その中でやはりファイナルゴールを見据えてある程度検討はしてきたという事実だけを議事録の形,若しくはメモの形で残したいと思いまして,すいません,これはけさ作ったので文章が練れてございません。10分ぐらいで書いたのでまだ推こうができていないのですけれども,ちょっとこれはこの報告書と違うようなことも,矛盾するようなことも書いてございますが,もう1回はっきりさせる意味で書いています。
 高温ガス炉というのは実はディフィニションがいっぱいあって,ここに「開発途上のものではない」と書いているのは,750℃は開発途上ではない,一方950℃は開発途上であるということを含めて,決して開発途上のものではない,開発途上のものばかりではないという意味であります。高温ガス炉と一言でいっても,実用化に非常に近いものもあれば,実用化までまだ20年ぐらい掛かるようなものもある。ですので,逆に言うと,そういういろいろなシステムを念頭に置いて議論をしていくことが重要ですということで,そういう形で今回検討をしてきたということをメモ書きにさせていただきました。
 結論への考え方,飽くまで私の考え方でございますけれども,二つのうちの850℃については先ほどもありましたが,日本の優位性を強く示せるので,10年程度を目安として開発が必要であると思います。これらは安全性とか耐震性とかを含めたようなコンファメーションも含めてしっかり考えていくことが重要であり,その中には経済性もあると思います。一方,950℃は非常に大きな将来があると思っておりまして,水素製造から製鉄など様々なアプリケーションがあり得るわけで,しかしながら,850℃,750℃に比べるとまだ若干ハードルが高いということで,それに向けた基盤研究をしっかり着実に推進していくということが重要だと思います。
 で,「なお」以下は私の個人的な感想なので,そこだけはちょっと書き過ぎのような点もありますが,今から始めないと,先送りをすると,非常に危機感があるということであります。特にインドネシアという具体的なところがあって,実際中国とコンピート,競争しているというようなことがありますと,しっかりアライアンスを中心に考えていかなくちゃいけないと思っています。過去には国際協力でいろいろ協定まで結んで,フィージビリティスタディはしたけれども,何となく中国のプラントに負けかけているようなところもありますので,そういうことになるのは日本の国力を落とすことにつながります。決して,日本国内でできないから世界を狙っているというわけではないのですけれども,日本国内,世界も含めて,日本国内だけではないのだと,マーケットは世界にもあるのだということを強調したかったということの資料でございます。先ほど申し上げたように10分で書いたので,言葉足らずの点等多々ありますが,一応メモとして,ロードマップに代わるものといったら,代わらないのですけれども,こういう形で議論をしてきましたということのメモ書きでございます。
 いろいろ御意見,コメントはあると思いますので,もしあれば。

【湯原委員】 基本的にこのとおりだと,こういう議論をしてきたと思いますので,是非これは残していただいた方がいいのではないかと思います。2点ちょっとコメントを。中国ですけども,もう少しこれは個人的じゃなくていいと思います。中国の高温ガス炉はやはり戦略的です。輸出用と言っていますし,炉心溶融しない安定した炉をアジア,アフリカに対して輸出するのだということをはっきり言っていますから。そういうことで戦略的にやっているということと,中国の技術というのはドイツです。

【岡本主査】 ドイツ製です。

【湯原委員】 ドイツが原型炉まで造って電気出力で,30万kWeです。あれまで造って一応ドイツは成功しています。反原発運動によりドイツは開発をやめてしまいましたけども。そういうものを全部引き継いだ形で商業化を図っているわけだから,そういう戦略性ということはやはり意識しなくてはいけないというのが,この「なお」以下だという意味ですね。

【岡本主査】 はい。

【湯原委員】 だから,個人的な意見ではなくて,そういうことなのだと思うので,私もこのとおりだと思います。

【岡本主査】 ありがとうございます。中国側はペブルベッドという燃料を常に補給しつつやっていくという,ですから,もともと炉心がないようなものですから,地震が来ても炉心なんか関係ないわけです。

【湯原委員】 関係ないでしょう。

【岡本主査】 一緒になってペブルが揺れるだけという。日本の場合はそうではなくて,たどんのような形でしっかり炉心を構成していく。一長一短は当然あるわけですけれども,そのあたりを含めて日本がやはりしっかり優位性を担保していくことが重要だろうと思っています。

【湯原委員】  それから,背景のところで,これもここで議論があったことをちょっと申し上げたいのですけど,水素製造などへの展開が可能な950℃出口温度と書いてありますけども,これはちょっと言い過ぎじゃないかなと思って,確かに高温水蒸気電解とかこれからやるIS法が更に進歩すれば,温度も低くなることは可能なわけだから,950℃じゃないと水素ができないということではないと。

【岡本主査】  いや,もちろんそういう意味で言っているわけではないのですけれども。950℃だと製鉄とか様々な応用が可能であるという意味です。

【亀山主査代理】  私も全体的にこのメモは同感と思っています。あえて強調すると,この議論の中で常に日本がこの分野でのトップランナーを走ることの意義というのはかなり強調されていた気がします。やはり国としても何で2番では駄目というときもありましたが,常にトップランナーであることをミッションと考えて,政策もそれから経済もやっていくことで,多分日本がある意味では経済的にもいろんな他の国に対する模範というのも示せるのではないかと思います。そういう強い意識は持った方がいいということがやはりあります。
 それから,もう一つは,中国に関しては,たまたま私はMOTの方の指導もしているので,某原子炉開発のメーカーがMOTのビジネスプランを書いたときに私が主査をして,それで勉強させていただいたのですが,確かに中国は相当戦略的に原子炉エネルギーを展開していこうというのがあって,それは発表のときは非公開になりましたが,そこで私が学習したことからも,今湯原委員がおっしゃったように,だから日本もうかうかしていられないという危機感は確かに持っていますので,是非この最後の方は個人的意見ではなくてもよろしいのではないかと思います。以上です。

【岡本主査】  ありがとうございます。
 それでは,全体を通して何か御意見はございますか。
 よろしいでしょうか。それでは,この大変な作業,この中間報告というか,進め方について中間取りまとめ案をまとめていただいたわけですけれども,本日のいろいろな議論の中で幾つか修正点,それからバージョンアップする点等がございましたので,それは事務局と,それから修正の内容については主査に一任いただいて,中間取りまとめとしてまとめさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【岡本主査】 ありがとうございます。それでは,若干時間は早いのですけれども,以上で本日予定しておりました議題は終了となります。そのほか,全体を通じて何か御意見,コメント等よろしいでしょうか。

【國本委員】 最後になってすいませんが,今後の技術開発の進捗についてなんですが,やはり強力に進めていくべき事項をタイムスケジュールで取りまとめていただきたいというのがお願いです。

【増子原子力課長】 いずれにしても,これで終わりということではなくて,またしかるべきタイミングで先生方にお集まりいただいて,今,概算要求もしておりますし,その辺もある程度年末までに方向が出ましたら,それも含めて研究開発の優先順位もおのずと付いてくると思います。また,HTTRの新規制基準の申請も今年の秋頃に日本原子力研究開発機構が申請されると思いますので,その辺りの状況を含めて先生方の御意見を伺う機会をまた作ろうと思いますので,その際にロードマップのドラフトも今回の中間取りまとめを踏まえながら,また事務局としても検討していきたいと思いますので,それも御提示する機会があればと思っております。

【岡本主査】 よろしいでしょうか。

【國本委員】 はい。

【岡本主査】 よろしいですか。

【田中局長】 短い期間にこういう中間的な取りまとめということでありますけども,おまとめいただきまして本当にありがとうございます。私たちが進めております高温ガス炉,長い歴史を持ちながら,また,最近いろんな面で注目を集めております。我々としては大変うれしい限りではありますけれども,我々がこれからの取組についての目指すべき方向性,あるいはやるべき手順というのでしょうか,についての基本的な考え方をおまとめいただき,我々としてはこれを基にしっかりとした高温ガス炉研究開発を進めてまいりたいと思っております。
 研究開発を進めていると,往々にして何となくこれまでやっていたことに執着をしてしまうとか,やっていることそのものが目的化してしまうというようなことになりがちではありますけれども,本日,いろいろ御指示を頂きました,常にトップランナーであり続けるためにはどうしたらいいのか,トップランナーを取り続けるということにどういう意味があるのか,そういうことをよくよく考え,そのためには本日,御議論いただいた,このアライアンスということを,特に1機関だけがどう考えるかということではなくて,関わり合う方々,あるいは今は関わり合っておられなくても将来関わり合うような方々,そういう方々と一緒に考える場を作り,これから進めていく知恵を募る場を作るということが本当に大事だろうと思います。
 短期的なことで申し上げますと,概算要求をし,それをしっかりと12月までに確実に獲得をするということになるわけですけれども,単にそれにとどまらず,日本の高温ガス炉を進めるべく,しっかりとした責務を我々としても果たしていきたいと思いますし,経済産業省あるいはそのほかの省の方々ともよく連携を取りながら,あるいは産業界の方々,そして大学の方々,本当に知恵を出していただきながら一緒に取組を進めるということをしていきたいと思います。
 これは中間的な取りまとめということでございます。これからも度々にわたっていろんなところで御指摘いただきたいと思いますし,これの発展形についても是非御議論いただきたいと思っております。本日は節目の一つのきっかけでございますので,御挨拶を申し上げましたけれども,これからも本当に高温ガス炉の将来,あるいは日本の原子力開発の将来ということを共に進めていく覚悟でございますので,今後ともよろしくお願い申し上げます。

【岡本主査】 どうもありがとうございました。
 事務局からよろしいですか。

【石川課長補佐】 本日の議事録につきましてもまたでき次第,委員の皆様に御確認いただこうと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【岡本主査】 それでは,若干時間は早いですけれども,以上で第5回高温ガス炉技術研究開発作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

 

 

―― 了 ――

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