資料1 高温ガス炉技術開発に係る論点(案)

 高温ガス炉については、(1)技術的には短期での実用化が可能である炉型(出口温度750度~850度)と、(2)高温の熱利用を視野に入れた炉型(出口温度950度程度)の2つの炉型について、以下の観点から、それぞれの研究開発等の方向性について御議論いただく。

1. 国民の信頼に応える技術開発

 福島第一原子力発電所の事故を受け、原子力の安全性に対する厳しい国民の意見がある中、高温ガス炉技術の研究開発を進めるに当たっては、例えば以下のような世界的な原子力安全に貢献する研究開発を推進することが必要ではないか。
・ 安全基準分野における我が国主導の国際標準の確立
・ 想定しうる事故時の対応を含め、いわゆる「固有の安全性」の実証熱利用や多重事故、地震等の自然災害等への対応を考慮した総合的な安全性の検証
・ 使用済み燃料の低減など環境負荷低減に貢献する原子炉技術の高度化に向けた研究開発
・ 温室効果ガス排出削減等に貢献するため、水素製造など熱の利用技術の高度化に向けた研究開発とそれらの安全性の検証

2. 将来的な実用化の検討に向けた論点

 実用化を見据えた研究開発を行うに当たっては、将来的な社会的・経済的有用性について検討を行いつつ、費用分担のあり方も含め、研究開発段階からの産業界との連携、実用段階での産業界への技術移転等も見据えた研究開発の方向性を示すロードマップを構築するべきではないか。
・ 実用化に当たっては、廃棄物処理や立地も含めた実用炉の成立性についての技術的・社会的な観点からの検証が必要ではないか。
・ 実用化に当たっては、ガス炉の出口温度や出力等を考慮した最適な機能について検証が必要ではないか。
・ また、我が国の原子力利用が軽水炉による発電が主流であった中で、高温ガス炉という新たな原子力利用について、各ステークホルダーの意見を踏まえつつ、研究開発を進めることが必要ではないか。

3. 国際展開のあり方、国際競争力の確保

・ 高温ガス炉については、欧米のみならず、中国等の新興国でも技術開発や実証炉等の計画が進められているところ。将来的な技術の国際展開を見据え、各国の動向を把握しつつ、我が国の技術の国際標準化に向けた取組が必要ではないか。
・ 我が国の技術的優位性を支えるために、アメリカ等の高温ガス炉の実証経験を持つ国との国際協力の活用する等、相手国の技術レベルを考慮しつつ戦略的に進めるべきではないか。
・ カザフスタン等の新規導入国等への将来的な国際展開に当たっては、相手国における技術的・社会的な観点からどのような機能が必要か検討が必要ではないか。
・ 上記の取り組みを支え、原子力の安全性向上を進める人材育成の推進が重要ではないか。

 

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