宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第66回) 議事録

1.日時

令和6年12月12日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室またはオンライン

3.議題

  1. ポストISSの利用拡大に向けた我が国の地球低軌道活動について

4.出席者

委員

 臨時委員  中須賀 真一【主査】
 専門委員  高橋 忠幸【主査代理】
 専門委員  石井 由梨佳
 専門委員  植木 千可子
 専門委員  金山 秀樹
 臨時委員  高鳥 登志郎
 専門委員  竹森 祐樹 
 臨時委員  永山 悦子
 専門委員  若田 光一

文部科学省

 研究開発局審議官  橋爪 淳
 宇宙開発利用課長  嶋崎 政一
 研究開発戦略官  原田 大地
 研究開発戦略官付 課長補佐  川端 正憲

(一般社団法人クロスユー)
 事務局長  米津 雅史
 事業2課長  平岡 愛子

(兼松株式会社)
 航空宇宙部 第四課長  佐藤 友作
 航空宇宙部 第四課  石川 靖朗

(株式会社日本低軌道社中)
 代表取締役社長  山本 雄大
 利用開発部長  井上 実沙規

(三菱商事株式会社)
 宇宙航空機部 宇宙事業チームリーダー  神谷 秀有
 宇宙航空機部 宇宙事業チーム 課長  村上 一馬
 宇宙航空機部 宇宙事業チーム 課長  鈴木 豪人
 宇宙航空機部 宇宙事業チーム  海士 湧平

(経済産業省)
 製造産業局宇宙産業課 課長  髙濵 航
 製造産業局宇宙産業課 係長  末吉 佳菜


(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
 理事  松浦 真弓
 理事補佐  川崎 一義
 有人宇宙技術部門事業推進部 部長  小川 志保
 有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ  宮崎 和宏
 

5.議事録

【事務局】  本日はお集まりいただきましてありがとうございます。文部科学省研究開発局研究開発戦略官宇宙利用国際宇宙探査担当付きの川端と申します。定刻になりましたので、ただいまより国際宇宙ステーション国際宇宙探査小委員会の第66回会合を開催いたします。
 まず、定足数11名のうち、会場のご出席は6名です。オンラインでのご出席は3名で、9名のご出席があり、過半数の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。また、本日の会議は12時まで予定しております。よろしくお願いいたします。なお、本日、堀内局長は国会等に対応するため欠席でございます。
 次に資料の確認をさせていただきます。議事次第をご参照の上、必要資料に不足などございましたら事務局までお申し付けください。また、本日はお手元にマイク兼スピーカーを用意しております。マイク手前側にあるスイッチを押していただくとボタンが赤く光り、ご発言が可能となります。お一人ずつしかスイッチが入りませんので、ご発言後はマイクのスイッチを切っていただけますようお願いいたします。なお、本日は全議題公開での実施で、YouTubeでの配信をしております。以上でございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。それでは議論を進めていきたいと思います。今回も前回に引き続きまして、ポストISSを見据えて、我が国としての地球低軌道活動の確保に向けた議論を行っていきたいと思います。今日はいろいろなことをされている方、あるいはビジョンをお持ちの方が集まっておりますので、ぜひ活発な議論をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初にトップバッターとして一般社団法人クロスユーより、ポストISSの勉強会について、クロスユーにおける議論と今後の方向性について、資料のご説明をお願いいたします。なるべく簡潔にお願いいたします。
 
<一般社団法人クロスユーより資料66-1-1に基づいて説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。参考資料1と2も添付しておりますので、これも併せてご覧いただければと思います。それでは皆さんのほうからご質問やコメントはございませんか。お願いします。
 
【高鳥委員】  どうもご説明ありがとうございます。課題解決の分科会が開かれたとありましたが、今後どういうペースで開かれていくのか教えていただければと思います。
 
【クロスユー 米津事務局長】  ご質問ありがとうございます。分科会形式に分けたのは、よりインテンシブな議論を関係者と進めていきたいという趣旨からです。実際には関係者の皆さまとは準備会合と称して一ヶ月に何回も行っておりますが、全体の皆さまの心合わせとしては、2、3ヶ月に1回、そうした成果を踏まえながら議論する場を設定できればいいなというふうに希望しているところでございます。
 
【高鳥委員】  ありがとうございます。いろいろな関連企業とコミュニケーションを取られているのですが、例えば製薬企業などとはどういったコミュニケーションをとられていますでしょうか。
 
【クロスユー 米津事務局長】  実は多様なアプローチを考えておりまして、既に宇宙に関してISSの利用も含めて、ご関心のある特定の製薬業界の皆さまについては相対で議論させていただいておりますけれども、そうでないこれからの方については、委員ご指摘の関係する団体を通じて幅広く訴求しながら、もう少し刺さるメッセージを先方に伝えたいというふうに思っており、業界に詳しい方も含めて訴求していきたいという次第でございます。
 
【高鳥委員】  よくわかりました。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】    ありがとうございます。資料でいうと、9ページにあるLINK-Jとの連携というのはライフサイエンスと製薬関係の会社ですね。ありがとうございました。永山委員、お願いします。
 
【永山委員】  いただいた資料で興味深かったのは、非宇宙の会員が7割いらっしゃるということです。この7割の会員はどのような興味関心や可能性を、この勉強会に感じて参加されていらっしゃるのでしょうか。
 
【クロスユー 米津事務局長】  ご質問ありがとうございます。中須賀主査の下で執り行っている特徴として、先ほど申し上げた非宇宙というのは濃淡がございます。これに対する期待としておそらく3つくらいあると思っております。一つは、ポストISSの時代がこれだけ盛り上がってくる中で、何かしら漠然と期待感を持っているというところはございます。また、もう少し進んだ取り組みとしては、まさに周辺領域で強いIPをお持ちであったり、いろいろな専門知識を持っている方がもう少し具現化した形として、ISSの利用などを考えていらっしゃる方もいらっしゃいます。もう少し熟度が高い方としては、特定のプロジェクトを遂行されながら、今後常時インフラとして整っていければ、もっと爆発的な取り組みができるのではないかというようなことで、非常に多くの方々の関心が高いと思っております。そこにビジネスとしてビルドインしていくためには様々な課題があると思っておりますので、そうしたところを勉強会で深化させていければというふうに思っています。
 
【永山委員】  ありがとうございます。最初におっしゃった漠然とした期待感というものを、一番熟度のあるビルドインに持っていくために、どのようなことが求められていると思いますか。
 
【クロスユー 米津事務局長】  漠然と関心を持っている人が、まさに「鉄は熱いうちに」ではないのですが、ある程度ビジネスの予見が効くような小プロジェクトのような形でもいいと思いますが、少しでも参画していただき、自分事として捉えていただくことが必要だと思います。大企業であれば、きっかけとしてプロジェクトに参加していただき、皆さまのお知恵を借りながら、少しずついろいろな分野で組成していくという取り組みが必要ではないかと思っている次第でございます。
 
【中須賀主査】  よろしいですか。高橋先生、よろしくお願いいたします。
 
【高橋主査代理】  非常に良い活動をされているので参考になりました。2つ質問があります。いろいろな活動をされている中でエンタメみたいなものは、どのような世代のターゲット層を視野に入れていらっしゃるのでしょうか。
 
【クロスユー 米津事務局長】  ご質問ありがとうございます。そこは分科会でも議論されたところでございます。宇宙のこれまでの開発の歴史に憧憬を持たれているような世代に限らず、中高生なども大きなターゲット層だと思っております。そこについては必ずしもISSに結び付く取り組みは出来ておりませんけれども、新年度からはそうしたことにフォーカスして、そうした世代から興味を培っていくということをやっていきたいと思っている次第でございます。
 
【高橋主査代理】  私が期待していたお答えがそのまま帰ってきました。私は今、海外の大学の若い学生たちと研究上で付き合いがあり、その活発さに感心しています。そして、日本の若い学生ももっとアクティブに「輝く未来に向かって」活動するにはどうしたらよいかということを考えています。その観点で、このような活動はとても大切だと思います。その時にキーワードに教育があると思います。教育のマーケットも結構大きくて、今まで宇宙は天文学というところにフォーカスしているだけで、アクティブに宇宙に出ていくんだというような、今まさに皆さんが議論されているような教育コンテンツや、いかに中高生をエンタメではなく、教育の立場から持ち上げるかというのは、学生の顔を輝かせるために必要だと思いますが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
 
【クロスユー 米津事務局長】  委員のおっしゃるように、私どもも中高生の顔が輝かなければ、中長期的な産業基盤自体も広がらないのではないかと思っております。エンタメから教育というところについては、本日は時間がなかったのでご紹介できなかったのですが、実は中須賀先生にご尽力いただきながら、中高生が宇宙で活躍するための基礎的なメソッドみたいなものを、意欲的な方々を中心に教授する機会を設けております。そこは、これから広げる余地が多いと思っておりますので、ご指摘を踏まえて注視したいというふうに思っています。
 
【高橋主査代理】  ビジネスという観点でも大きなマーケットだと思いますので、お願いいたします。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。どうぞ。
 
【金山委員】  ご説明ありがとうございました。もし、ご存知でしたら教えていただきたいのですが、欧米で同様の動きはありますか。
 
【クロスユー 米津事務局長】  ありがとうございます。その部分は関係者を含めてリサーチしているところでございます。一つの方向感として、事業者の中にあっても、そういう要素を取り入れて低軌道活動を推進していきたいというお話は聞いておりますし、そうした方と意見交換をしたことがございます。ただ、我が国の産業の特徴として、強力なコンテンツを持っていることに特徴があると思っておりますので、強みを生かした取り組みとして、エンタメ分野で大いに広げていくことが出来ると思っています。エンタメは他分野との掛け合わせで伸びているところがございます。例えばアートやデザインなどと掛け合わせて、そうした取り組みを推進できればというふうに思っております。
 
【中須賀主査】  他にいかがでしょうか。具体的に考えるための頭の体操みたいな感じですが、8ページのエンタメで活用するのには明らかに活用の頻度が足りない、利用頻度向上ということで、年1回程度または毎週放送になればということがあって、これがある種のエンタメで活用する時の課題感として出てきたんだと思いますが、これくらいの頻度でやることは、JAXAさんとしても難しいのでしょうか。
 
【JAXA 小川部長】  利用リソースは、各国とも使っているので、どの時点で利用するかについては、半年の期間で区切った形で国際調整が入るため、その調整のために何か月も前に手を上げておく必要があります。おっしゃったように、半年単位を超えて実施したいというご要望もあるかと思います。管理上分けているので、多分お客様にとっては、まとめて枠を確保したいというようなご意向があるということだと思います。
 我々も今回のクロスユーの勉強会に参加させていただいておりますけれども、ご意見を受けて、年度を跨ぐ形でリソースを確保できるような、お客様の事業計画にあった形でリソースを確保できないかということを考えて制度の見直しをしているところです。その制度については、なるべく早い段階で仕組み変更について提案をできればと考えております。今は内部で調整中なので、詳しい説明は控えさせていただきますが、今のご指摘に対しては改善策を考えております。
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。大変良いご意見だったと思います。要は、今のISSをとにかく使い倒しましょうというのは、この委員会でもずっと言い続けていることでございます。ぜひ、新しい取り組みを入れることで、どういうふうにエンタメ的、あるいは放送的なものの市場が広がっていくかを試していかなければいけません。それをやった結果、30年以降のポストISSに繋がっていくと思うので、ぜひ、そういった新しい試みやっていただいて、どのように変わるかを見ていただきたいと思うところです。ありがとうございました。若田委員から手が上がっておりますので、よろしくお願いいたします。
 
【若田委員】  若田でございます。5ページの課題の中で、半導体やライフサイエンス関係者とコミュニケーションを取っていらっしゃるということですが、ISSを使い尽くすということと、2030年以降のポストISSのシームレスなトランジションを考えていく時に、半導体やバイオなどの産業部分はLINK-Jと連携してコミュニケーションが活発になっていくと思いますが、それ以外の軌道上のデータセンターや半導体などの関係者からのニーズの聞き取りは行われているのでしょうか。
 
【クロスユー 米津事務局長】  若田委員、ご質問ありがとうございます。若田委員には、分科会にもご出席を賜りまして誠にありがとうございます。ここには2つくらいのパスがあるというふうに思っております。1点目は、本日ご出席賜っている各事業者の皆さまにおいても、各専門的な知見を生かしながら、各業界に刺さっていくようなビジネスプランづくりも含めて事業化に向けた取り組みを行っていらっしゃるというふうに思っており、私どもも非常に大きく期待しているところでございます。
 もう1点は、私どもが協調領域としてできる点については、まさにご指摘の分野に限らず、私どもから押し掛けながら分野にフィットする取り組みを探るようなアウトリーチ活動をやっております。今後はそういったことの質と量を上げていくことが課題だと思っている次第でございます。
 
【若田委員】  わかりました。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。その他にいかがでしょうか。
 以上をもちまして、最初の議題を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。それでは検討項目案に沿う形で進めていきたいと思います。ポストISSに向けた取り組みを行う事業者さんに、順次ヒアリングを行っていきたいと思います。本日は兼松株式会社、株式会社日本低軌道社中、三菱商事株式会社の3社より、それぞれご説明いただきたいと思います。ご質問やご意見につきましては、事業者ごとに時間を取らせていただきます。最初に兼松株式会社より、ご説明をお願いいたします。
 
<兼松株式会社より資料66-1-2に基づいて説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。それではご質問、ご討論をよろしくお願いいたします。永山委員、どうぞ。
 
【永山委員】  ご説明ありがとうございました。大分宇宙港の話に関連してですが、最近は地方でも宇宙分野にいろいろな形で関わろうという自治体や企業さんをニュースなどでよく見るようになってきました。今までは東京や筑波など国主導の拠点が中心であったものが、地方に波及していくことの可能性について、兼松さんがどのようにご覧になっておられますか。
 
【兼松 石川氏】  ありがとうございます。地方自治体様とは様々なところで連携させていただいており、地方自治体が考える地方創生のあり方に対して沿う形になったところが大分県ということで、現在進めさせていただいている状況でございます。実際に大分県とのパートナーシップの中で、MUFGさんあるいは日本航空さんや東京海上さんにも参画いただいており、大分空港が宇宙港化された後に地上への波及効果も踏まえた形で議論を進めさせていただいている状況でございます。
 
【兼松 佐藤課長】  一点補足してもよろしいでしょうか。大分宇宙港に関しまして、我々の一つの切り札はDream Chaserになると思います。Dream Chaserは宇宙ステーションから地上に降ろし、それを種子島に輸送しますが、そのまま行くわけはありません。地上側ではSierra Spaceからライセンスを受けてメンテナンスなども発生しますので、そこから地盤の企業や九州の企業を呼び込んでいって、雇用の創出等もやっていきたいと思っています。
 
【永山委員】  地方で宇宙分野に関心を持たれる企業や参加者を増やしていくかということを考えたときに、地方に拠点があることの意味はどのように考えたらいいのでしょうか。
 
【兼松 石川氏】  我々としても、まずは地理的にDream Chaserが降りられるところを検討した上で、取り組みについて興味のある自治体とお話しをさせていただいた結果、大分県さんとお話をさせていただいている状況にあります。
 
【永山委員】  わかりました。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】  地方との連携に関しては、経済産業省の髙濵さんもいろいろとご苦労されていると思いますが、いかがでしょうか。
 
【経済産業省 髙濵課長】  ありがとうございます。経済産業省も北海道から沖縄まで経済産業局があって、しっかりと地域経済を見ようということをやっております。現在まとめているのは、地域経済が支える宇宙産業といった形でいうと、まさに兼松さんの例にある物に加えて、他にも中小企業が支えているロケット会社、もしくは衛星データを使っているところもあります。あるいは鳥取のように資源を活かしたところもあり、様々な効果があると思っております。我々もそういったものを掘り起こしていきたいと思っています。
 
【中須賀主査】  大事なご指摘をいただきました。私も地方のほうから、宇宙で何か町起こしをできませんかと言われます。地方には特徴のある面白い物がたくさんありますが、それを生かすには、もっと地元ベースに考えていく必要があるのではないかと感じています。その中で、さっき申し上げた非宇宙産業は、地域においてはとても大事だと思っています。元々地域に宇宙産業はないのですが、非宇宙産業には素晴らしい特徴のあるものがありますので、いかに宇宙と掛け算をしていくかがすごく大事だと思います。そういったものの中から、産業に繋がる何かが起こっていくのではないかという期待感があります。
 もう一つ、地域の特長は地方自治体がすごく頑張って支援をしていこうということで張っておられて、地方自治体が動くと周りの人たちも動いてくれるということで、地方自治体が一種のプロジェクトマネージャー的に動いているということも地方の一つの特長で有効活用していきたいと思うところではあります。他にいかがでしょうか。お願いします。
 
【高鳥委員】  どうもご説明ありがとうございました。コンソーシアムのSORAxIOを結成されたということですが、どのような構成になっているのか、どのくらいの会員数規模でやられているのかについて教えてください。
 
【兼松 石川氏】  ありがとうございます。現状、プレスリリースさせていただいている企業が、弊社を含めて4社です。SpaceBDさん、デジタルブラストさん、有人宇宙システムさんで、コンソーシアムのメンバーを結成した状況でございます。今後このコンソーシアムに対して協賛していただける方を増やしていき、より大きな座組みとして政府様への提言と活動を増やしていきたいと思います。また、シンポジウム等などで講演させていただき、非宇宙企業様に対しても、このような取り組みがあることを啓蒙していきたいと考えております。
 
【高鳥委員】  ありがとうございます。そうすると、今後は4社で拡大されるということですが、宇宙利用拡大の分野というのは、前のページにあるような分野だけというわけではなく、より幅広い分野にわたって取り扱っていくという形になるのでしょうか。
 
【兼松 石川氏】  ご理解の通りです。今後ご参加いただく企業の中において、各CLD企業様と提携されていたりすると、どうしても競争・競合領域が発生してきてしまうところではあります。ただ、非認知層を取り込んでいく限りにおいては、まだ協調するフェーズと認識しております。その分野の中で、創薬や半導体など分野を絞った形ではなく、幅広く認知活動していく形になります。
 
【高鳥委員】  どうもありがとうございました。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。オンラインから植木委員、お願いいたします。
 
【植木委員】  ご丁寧に説明いただきまして、どうもありがとうございます。この現状について、もう少し理解を深めたいので質問させていただきます。これから大きく2つのことをやっていくのだと感じました。一つは、啓蒙をしたり、裾野を広げ、まだ事業化を考えていないところに、どういったことが出来るかをリーチアウトしていくこと。もう一つはコストの面だと思うのですが、一つ目のニーズと、どのようなことが出来るかということは、どちらかというと啓蒙をする作業だと思っています。中間層と非認知層はどのくらいの割合で、どのくらいの事業者が対象になりそうなのでしょうか。もう一つは中間層である、宇宙ステーションの利用を考えていて、何が出来るかを十分理解しているのだけれども、事業化にまで至っていない企業ということで、ここはコストの観点ということなのでしょうか。
 それと、こんなことができるのかというふうなことを、コンソーシアムのほうから情報提供することもあろうかと思うのですが、逆にこんなニーズがあって存在しているのかというのは、意外と、この非認知層だと、特に宇宙に詳しい兼松株式会社あるいはコンソーシアムのほうで把握していらっしゃるのか、していないのかわからないのですが、前のページにあるような思いつくニーズ以外のニーズがある可能性があるのか、それとも大体網羅されていて、可能性を提示したら掘り起こせるような現状なのかということが、もう一つの質問です。
 もう一つのほうのコストについてですが、減免措置をすることによって期待される効果としては、スタートアップのコストの壁を少し下げて、それによってたくさんの人が参加していくことによって、減免措置がなくてもビジネスに繋がるというイメージなのでしょうか。コストの部分を減免措置で補填すると、ビジネスに繋がるのか疑問に思ったものですから、長期的に何をすることによってどういうふうにビジネスに繋げていくのか、何か思い描いていらっしゃるものがあれば教えてください。
 
【兼松 石川氏】  ご質問いただきまして、ありがとうございます。まず一つ目の非認知層と中間層の規模に関して、具体的にどれぐらいの数がいるかは把握できていないのが現状です。ただ、ここに関してはコンソーシアムという形として、今いらっしゃるクロスユーさんを含めた他の団体の方々とも連携した上で、今後把握を図っていくという構想も考えております。
 2つ目の部分の中間層に関しては、事業化をしていない企業というところにいきますと、宇宙自体の利用価値を把握はしているものの、コストやリードタイムにおいて地上でやったほうがベター、あるいは宇宙でやらなくてもいいのではないかというところで、敢えて低軌道を使う選択肢をしていない方々というような層も含まれていると考えております。
 3つ目の非認知層と中間層のニーズをどうやったら掘り起こせるかに関しては、事業のスケール化というところまでを踏まえた事業構想をお考えいただいた上で、低軌道利用をする価値があるというのを見出していただくことが先決だというふうに考えております。その為にも、今利用されている減免制度の実績例を、より見つけやすい形で公開していただくことが必要なのではないかと考えている次第です。私も実績例の部分に関しては、JAXAさんのホームページも拝見しており、そこにたどり着くまでなかなか難しい部分もありますので、公開の仕方も考える必要があるのではないかと思いました。
 最後のコストの部分に関しては、継続性をシームレスにしていくというところが、ポストISSも踏まえたところで必要だと考えております。あくまでユーザー目線ではありますけれども、このポストISS時代においても日本モジュールはもちろんですが、商用宇宙ステーションそのものを日本企業が利用する必要があると考えております。その観点では、まず微小重力空間を使用しなければならないところでいうと、今後ポストISS時代において様々なCLD企業がステーションを打ち上げた際に、日本モジュールを使うのに仮に1年半かかるところに対して、他のステーションではもう少し早く利用ができるとなった場合、利用者の立場としてはそちらを利用するかもしれません。その場合にネックとなるのがコストになると思います。ですから、コスト面のハードルにおいては、今の制度をポストISS時代に繋げていくというところで、より宇宙利用の裾野を広げることができるのではないかと考えております。
 
【植木委員】  どうもありがとうございました。
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。どうぞ。
 
【石井委員】  ご説明いただきましてありがとうございました。2つ質問させていただきます。一つ目は、今話題になっていましたSORAxIOの可能性についてです。ご説明の中で、アメリカのISS National Laboratoryをモデルケースとして調査連携を進めていくというふうに書かれていました。ここにある通り、2005年から先端宇宙科学センターを通じて、様々なISSの利用可能性を広げてきたということがあると思います。その中には啓蒙活動や利用支援なども入っていますし、専門知識を蓄積してそれを普及させたり、宇宙へのアクセスを支援・教育も含まれていると認識しておりますが、どの辺をターゲットにしていくのか、アメリカとの連携で何を狙っていらっしゃるのかを教えていただければと思いました。
 二点目はSierra Space社との協力のところです。ご説明の中では大分宇宙港を通じた事業展開についてご説明いただきましたが、報道を拝見していますと、アジア太平洋地域における戦略的パートナーシップ契約も締結したということで、アジア太平洋地域が何を意味するかということも、差し支えのない範囲で教えていただければと思いました。日本だけではなく、他の地域でも活動していくところまでコミットされるのかというところですけれども、その辺も教えていただければ幸いです。以上です。
 
【兼松 石川氏】  ありがとうございます。一つ目の点に関しては、コンソーシアムとしてもISS National Laboratoryのような枠組みを検討したいと考えております。ただ、そうなると、そこにプールされている資金を競合する会社もいる中でどういった形で振り分けて使っていくかというところを考えていかなければならないというふうに認識しております。まだコンソーシアムを立ち上げたばかりですから、ここは皆さまのご意見を聞きながら、競合しない範囲で出来ることは何かを考えながら進めていく予定でございます。
 2つ目の部分に関しましては、具体的にどこの国かは申し上げることができませんが、アジア地域のほうからも、大分に宇宙港が出来た場合は利用を検討したいという声があります。そういう意味でも、ポストISS時代になった暁には、アジア諸国からの利用も検討されていくことを考えると、そこでの物であったり、物質輸送の部分を、日本の国の宇宙港があるということで需要を持ってこられるのではないかというふうに考えているところです。
 
【石井委員】  差し支えない範囲で一点だけ確認させてください。大分宇宙港を利用して、さらに他の国に行くという理解でよろしいでしょうか。あるいは他の国に直接行くということなのでしょうか。
 
【兼松 石川氏】  将来的には種子島から打ち上げて、大分空港に帰還をして、日本の中でサイクルを回す構想であります。今後、仮にアジア地域で「実験がしたい」「人を乗せたい」という需要があれば、一旦大分空港に物や人を集めた上で、それを種子島に輸送して打ち上げて日本に戻すという話も考えています。今後、宇宙港自体が他の国々にも出来ていく可能性もあります。そうなった場合は、その国で発射と着陸が出来ることになってしまいますから、その国で完結できる話になるかもしれませんが、まずは日本で使いたいという声を取り込んでいきたいと考えております。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。まだ議論は尽きないようですが、時間になりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
続きまして、株式会社日本地球低軌道社中より資料のご説明よろしくお願いいたします。
 
<株式会社日本低軌道社中より資料66-1-3に基づき説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。それではご質疑、ご討論をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。お願いします。
 
【永山委員】  大変興味深いご説明をありがとうございました。ここで考えていらっしゃる日本モジュールというのは、御社で独自に開発をされて打ち上げをして、運用も御社でされるというイメージのものなのでしょうか。また、運用する際の宇宙飛行士の育成や採用も御社でやられようとしているのでしょうか。
 
【日本地球低軌道社中 山本社長】  ご質問ありがとうございます。多くの課題を乗り越えられる前提ではありますが、将来的には民間企業が日本モジュールを保有・運用してサービスを提供していくことを目的としています。一歩目として宇宙戦略基金で「低軌道自律飛行型モジュールシステム技術」の実施事業者として採択されました。これが一点目に対する回答です。
 2点目の宇宙飛行士というところは非常に難しい問題でして、現時点では弊社のサービススコープに有人宇宙飛行サービスは入っておりません。基本的には、CLD企業がパッケージとして提供するサービスをJAXAや民間宇宙飛行士が購入していくことになります。一方で、説明の通り欠けてはならない要素なので、全体のデザインには入れ込む形でシナリオを作っていきたいと考えています。
 
【永山委員】  ありがとうございます。もう一点は、データセンターのニーズについてです。ステーション内外で増大するデータ量に対応できるようにということを資料では書かれているのですが、今でもISSや商業宇宙ステーションで使用するデータが非常に増えていくことが想定されているのでしょうか。例えば、地上ではAIなどでデータセンターのニーズが話題にはなってきておりますが、どういったところでのニーズが考えられているのか、具体的に教えていただければと思います。
 
【日本地球低軌道社中 山本社長】  ご質問ありがとうございます。利用を担当している井上から回答いたします。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  ご質問ありがとうございます。データ量に関して、現時点でも非常に大きなデータが宇宙ステーションで発生している認識です。テラバイト級のデータが日々発生しており、利用が高度化してやりたいことが増えていく流れの中でデータの増大をしっかり処理していくというステーション内外のニーズがあると考えております。また、これは欧米が先行して着手している点ですが、衛星ネットワークで発生するデータをいかに処理するかというところの実証であったり、異なるネットワーク間の連接点としての宇宙ステーションの実証計画が進んでいるので、宇宙空間全体で広がっていくデータに対してどのように対応していくかというところもニーズとしてあると考えています。
 
【中須賀主査】  地球観測のデータも含めてということですよね。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  おっしゃる通りです。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。どうぞ。
 
【高橋主査代理】  今のお話に興味があり、私も同じことを聞こうと思っていました。例えば宇宙観測の研究をしていると、10年前に取ったデータに対して、GPUクラスターのようなものを使うと、全く新しい解析が可能になる事例があります。数十年のスパンで見た時に、GPUクラスターみたいなコンピュータのパワーというものは凄まじくて、ここに一つの鍵があるような気がしています。今おっしゃったことを発展させると、例えば地球にあってもなかなか展開ができないようなデータセンターみたいなものを宇宙に上げるというようなことも視野に入っているのではないかと思うのですが、そうしたものを宇宙に持って行くことのメリットを教えてください。また、大事なことは、そこにどうやってデータ流し込むかということです。その辺について差し支えない範囲で構想を教えていただくことはできますか。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  ありがとうございます。まずは、宇宙ステーションおよび宇宙空間で大きくデータ量が増えていくことに対応していくことが必要だと思っており、現在捨ててしまっているデータというのは間違いなくあるので、ここをストレージすること、また軌道空間で完結して処理していくということが、低遅延のアクションに繋がるようなこともあり得ると思っていますし、捨ててしまっているデータが生み出す価値を掘り起こすこともできるのではないかと考えています。
 もう一点の地上のデータセンターを宇宙に持っていくというところも、将来的にはあり得ると考えています。まずは宇宙空間のデータに対応していくことからだと思いますが、大きな構想としては、地上も含めたネットワークの中で、宇宙のデータセンターをどう位置づけていくかという話もあるのではないかと考えています。
 
【高橋主査代理】  その時のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  まずは軌道上完結型が大きいと思っております。
 
【高橋主査代理】  ビジネス展開する時に、宇宙にたくさんのデータセンターができるのは、今地上で抱えている問題を解決して、そちらの方向に行ったほうがいいという流れになり得るのでしょうか。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  中長期的な目線ではありうると考えています。現時点においてはどうしても地上と宇宙空間のデータ通信量に律速があるため、地上で増やせばいいのではないかという話があるとは思いますが、将来的には宇宙空間でストレージ処理をしてしまうような世界観もあると思います。
 
【高橋主査代理】  ビッグデータを処理するときにデータの転送がすごく問題になると思いますが、ネットワークのトレーニングやGPUクラスターの中で動くときは、宇宙という環境が、電力不足の地球の中で動いているよりも得であったり、アルテミスが動いてたくさんのデータがあった時に、興味のあるデータだけを下に降ろしなさいということが、ネットワークを組んでいればできる話ですよね。そういうようなニーズもあるのではないかと思います。そういうことはどのように議論されているのでしょうか。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  例えば、位置情報だけが欲しいのだけれども、非常に多くの情報を地上に降ろしてからデータ処理しているところを、宇宙空間で処理してしまえば、必要な情報だけをピンポイントで降ろせて効率化が図れると考えています。また、大きなビジョンとしては、高橋主査の仰った宇宙空間のネットワークインフラとして様々なユースケースに於いて価値を提供できるようなところは目標になってくると思います。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。若田委員、お願いします。
 
【若田委員】  ありがとうございました。先ほど有人飛行サービスが、社中さんのプログラムの中に入っていないと伺いました。これは質問というよりも課題としてですが、ISSが終わった後の宇宙飛行士のニーズについて明確化しておく必要があるのではないかと思います。当然JAXAさんのアンカテナンシーとしての、JAXAの宇宙飛行士の飛行、それから商業利用に関して、それ以外の宇宙飛行士のニーズがどれだけあるかということをきちんと把握しておく必要があると思います。まさに、このISS国際宇宙探査小委員会の藤崎前主査が、日本人だけではなく、アジア各国の宇宙飛行士が宇宙に行くような機会をどのように創出していくのかといったご質問をされたいたことがありました。今回の日本モジュールに関連したところで、宇宙飛行士や利用のニーズというところに、アンカテナンシーとしてのJAXAの宇宙飛行士、それ以外のところがどういうふうに入っていくかということは非常に重要だと思います。それがシームレスにJAXAがこれまで培ってきた宇宙飛行の運用を継承していくために非常に重要で、これから5年間、ISSがある間にこの辺をどういうふうにシームレスにトランジションしていくかということが重要だと思います。社中さんの今後の構築の中にそういった観点を入れていただく必要があるのではないかと思っております。以上です。
 
【日本地球低軌道社中 山本社長】  若田さん、ありがとうございます。ISS退役後のポストISSにおける、日本の宇宙飛行士活動のあり方という点に関する課題提起であるというふうに理解しました。一民間企業として出過ぎたところもあると思いますが、我々として考えているのは、当然ながら月面着陸をされる宇宙飛行士の要件として何が定義されるか。もし、これが低軌道でのフライト経験というものであれば、即座に必要になってくると思います。これは我々が何か言うというよりも、国レベルで検証・検討されていくところだと思います。
 一方で利用の観点からどうかというと、アメリカ人であろうが他国の人間であろうが、しっかりと運用手順書を作ってお願いすれば、一定程度は日本の公的利用・商業利用を支援していただけるかもしれません。しかし、各国とも自国のミッションファーストである中で、どのように日本モジュールにある公的利用や商業利用が実現されていくか。当然ながら、AIやデジタル化という一般的なワードの中で宇宙飛行士の手が介在しない形に持っていくとは思いますが、より高度で複雑な利用になっていくときに、どうしても有人の介在が必要になってきます。これを自国である程度完結するためには、日本人宇宙飛行士の存在は一定程度重要であるというふうに考えています。米国の宇宙飛行士も手を抜いているわけではないと思いますが、他国のモジュール・他国のミッションということもありますし、利用の拡大という点において言語的な壁もありますし、自国の宇宙飛行士がそこに存在するというのは、単に減免措置やいろいろな装置の開発という話のみならず、基本的にインフラとして必要であろうというふうに考えています。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。最後に植木委員から、簡潔にお願い致します。
 
【植木委員】  ご説明ありがとうございました。2つ質問させてください。宇宙でやることには不確実性があったり、初期投資の問題があって、あまり参入するところが多くないというお話だったと思います。それに対して、宇宙でしかできないこともあろうかと思います。地上対宇宙の競争みたいなときに、宇宙でしかできないことだと強みがあると思うのですが、事業として成立してペイするためには、地上でもできるけれども宇宙を選ぶところまで掘り起こしておかないと成り立たないのかどうかということが一点です。
 2点目は安全性の問題です。データストレージを宇宙ですることになると、低軌道での安全性がどうなるのでしょうか。例えば、電磁妨害システムやマイクロ波の攻撃を受けたときは非常に脆弱な状態なのでしょうか。あえて攻撃するかどうかは別として、どういう状況であるのか教えていただきたいと思います。
 
【日本地球低軌道社中 山本社長】  ご質問ありがとうございます。一点は私から、二点目は井上から回答いたします。地上でできることも宇宙でやるというところを見据えているかというご質問であったと思います。現時点で明確な解は持ち合わせておりませんが、私自身の考えとしましては、地球でできることは地球でやっていくのだと思っています。ただし、データセンターの中で、宇宙利用というものが特別ではないという世界で、軌道上というものがなくなって、いわゆる全体的なデータセンター事業の中で、いつのまにか宇宙が位置づけられている世界は当然あると思うのですが、わざわざ高い費用を払って宇宙でやるメリットがあるからこそ、やっていくものだと思いますので、基本的には宇宙空間利用の特長が活きたアプリケーションというものを継続して探していきたいと考えています。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  井上のほうから回答させていただきます。日本モジュールや低軌道ステーションの安全性・セキュリティについてのご質問と理解しております。まずISSと同様になると思うのですが、高い安全性やセキュリティを確保してきているのが宇宙ステーションというふうに認識しておりますので、これをいかに維持していくかというところが大事だと思っています。もちろん、そこに対するセキュリティや安全性を担保していくような施策は重要になってくると思っております。それは安全保障的な観点もあれば、ユーザーさんのミッションを守っていくところも含めて、安全性やセキュリティの施策は今後も重要だと考えています。
 
【植木委員】  サイバー攻撃や電磁波攻撃にも対応できるように見据えていくということですか。
 
【日本地球低軌道社中 井上部長】  おっしゃる通りです。
 
【植木委員】  わかりました、ありがとうございます。
 
【中須賀主査】  植木委員、ありがとうございました。時間になりましたので、以上で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
 最後に三菱商事さんからご発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
<三菱商事株式会社より資料66-1-4に基づき説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。それではご質疑、ご討論をよろしくお願いいたします。永山委員お願いします。
 
【永山委員】  大変勉強になりました。ありがとうございます。一つは顧客開拓で得られた声のシートの中で、ライフサイエンス、半導体というレッドオーシャンの業界であるということを挙げられていました。レッドオーシャンだからこそ、様々な情報を把握されているのではないかと思うのですが、その中で半導体業界さんの声で宇宙の利用がここまで進んでいると知らなかったといった情報のギャップが生じてしまっていたことを不思議に感じたのですが、その辺りはどのように把握されていらっしゃいますか。
 
【三菱商事 村上課長】  ご質問ありがとうございます。誤解のなきようお話しさせていただきますと、ライフサイエンスの業界内、もしくは半導体の業界内においては、皆さんも国際的な情報はかなり精度高く皆さま持たれています。ただ、そこに宇宙が掛け算されると、途端に知見がなくなっております。例えば、米国で開催されているようなマイクログラビティの学会では、日本人研究者をあまり見たことがないというお話も聞いております。ですから、宇宙が関与してしまうとなかなか難しいのではないかと思います。したがって、日本国内で宇宙の利活用を啓蒙していきながら、米国や欧州で開かれるような宇宙の学会やセミナーに参画していただくかというところが、一つの重要なポイントになるのではないかというふうに考えております。
 
【永山委員】  宇宙というキーワードが抜け落ちてしまっているというところでしょうか。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。次に高橋先生お願いします。
 
【高橋主査代理】  非常に綺麗にまとまっていて、課題が明確で凄く参考になったのですが、例えば、宇宙に出ていくための物作り、先端技術開発というような物作りの観点でどういうふうな整理をされているかを教えてください。
 
【三菱商事 村上課長】  ありがとうございます。日本の半導体×宇宙という領域が、世界を席巻できるのではないかと思っているポイントになります。Intelさんとのお話を通して印象に残ったところは、彼らがチップを作っていく過程において意思決定するためには、日本の企業の意思決定がないと全く意思決定ができないということです。なぜならば、前工程プロセス、後工程プロセス、チップを作るまでのプロセスの中で、材料や装置などの工程プロセスは日本企業に依存しているという状況にあります。ですから、最終的な成果物自体は米国企業が強いのですが、このように宇宙を活用して要素技術を開発していったり、新たな技術開発をしていくという観点では、日本が世界をリードしております。半導体業界においても、世界でナンバーワンのシェアを持っているいろいろな領域で誇りを持って戦われている方がいらっしゃるので、必ず宇宙×半導体という領域は芽を出すのではないかというふうに考えています。
 
【高橋主査代理】  おっしゃるとおりだと思います。例えばライフサイエンスにしてみても、ライフサイエンスの人たちは必ずしも装置作りの人たちではないので、ここに書かれているような他産業や他分野の研究者と合わせていくと新しい軸が生まれるのではないかと思います。つまり、ライフサイエンスの人たちは宇宙で何かをする場が想像できないと思います。地上のものをそのまま持っていくのはあり得ないので、その部分で他の人たちが入ってくると良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 
【三菱商事 村上課長】  おっしゃる通りだと思っています。今までは製薬企業の皆さまを中心にお話をさせていただきましたが、CROやCDMOなど、実際に薬を作っていくためのワークをされているようなプレイヤーの皆さまが、最終的にルールを決めていったり、新しい薬作りというところにリードしていくような環境があるというふうにも理解しています。あるいは基礎研究をしていく、もしくはアカデミア発ベンチャーみたいなところが、創薬業界のエコシステムにおいて非常に重要な役割を示していることを理解しました。我々の非常に重要な戦略としては、産官学の連携がかなり重要だと思いますし、全体のバリューチェーンを認識した上で新しく宇宙を使うという領域において物事を決めていけるのかというところは、もう少し見極めてパートナーシップを組んでいきたいと思っています。
 
【中須賀主査】  他にいかがでしょうか。お願いします。
 
【高鳥委員】  ご説明ありがとうございました。私は資料の中にあった、認知度が低いという製薬業界の団体におりますが、確かにそれは感じております。これまでもJAXAさんなどと意見交換の機会をいただき、その時の状況などを製薬協の研究開発委員会等で共有していただいておりますが、面白い話であるというところで止まっている部分もあるかと思います。そうした中、どのように利用できるかといったところを、更にコミュニケーションを取りながら活動していただいていることは非常に良いことだと思いますし、ありがたいと思っていますので、今後も継続してやっていただきたいと思います。
 創薬研究というのは、大体プロセスが決まっており、基盤技術もインフラもある程度確立しているため、そういったところに、まだ宇宙利用が入り込めていないところがあるので、創薬プロセスや探索研究のとこに、宇宙利用がどのように入ってくるかということを伝えていければといいのではないかと思いました。我々もそれなりに協力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 
【三菱商事 村上課長】  ありがとうございます。JAXAさんの取り組みは我々も非常に素晴らしいと思っています。今週開催された半導体の祭典であるセミコンジャパンでも、JAXAさんが講演されるということで、JAXAさんご自身の啓蒙活動はいろいろと実施されていると思います。ただ、民間企業ももっと力を合わせて、いろいろな場所で啓蒙活動をしていき、しっかり稼げるところを示していくことも重要だと思います。まさにJAXAさんのやられている取り組みと民間企業のやっている取り組みの掛け算でブレイクスルーができるのではないかというふうに考えています。
 
【中須賀主査】  事業者さんからのご活動とビジョンのご報告ありがとうございました。大変活発な議論をいただきましてありがとうございました。最後に経済産業省より、ポストISSに向けた期待についてご紹介いただければと思います。よろしくお願いします。
 
<経済産業省より資料66-1-5に基づき説明>
 
【中須賀主査】  ご発表ありがとうございました。ご質問あれば、一つくらいは受けたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 私もHISUIは大変期待しているところです。ここにもありますが、CO2の観測もできて、非常に狭い線幅で大気を見ることによって、大気にどのような成分があるかということがわかるので、グリーンイノベーションにも繋がる観測ができるところに大変期待しているところでございます。
 以上で、こちらで用意しておりました議題は全て終わりました。最後に原田さんのほうからアナウンスがあると思いますので、よろしくお願いします。
 
<原田戦略官より机上配布資料について概要説明>
 
【事務局】  事務局でございます。本日の議事録につきましては、文部科学省のホームページに公開いたします。また資料については、既にホームページに掲載しております。次回の小委員会においても、引き続きポストISSについてご議論をいただく予定ですが、具体的な日程につきましては改めてお伝えいたします。以上でございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。原田さんから示していただいた資料が、今後の議論の中で具体化されていくということですよね。黄色いところは、事前に皆さんから意見を取らなくても次の会議で出していただくということでよろしいでしょうか。
 
【原田戦略官】  適宜コミュニケーションをさせていただきたいと思いますし、場合によっては、我々としても様々な事業者の方やアカデミアの方、あるいはJAXAも含めて、同時並行で論点を深掘りしていきたいと思っています。
 
【中須賀主査】  今考えられている論点だけではなく「こういう論点もあるよ」というものがあったら、それもご提案いただければよいですね。
 
【原田戦略官】  はい。
 
【中須賀主査】  そういうことでございますので、まずは一読いただいて、何かお気づきになったことがあったら、事務局のほうに言っていただきたいと思います。これを埋めていくべく、新年から議論を深めていくということでございますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは以上をもちまして本日の会議を閉会とさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。

(了)
 

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