宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第65回) 議事録

1.日時

令和6年10月28日(月曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室またはオンライン

3.議題

  1. 今後の国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の検討項目案について
  2. 今後のISS及びポストISSの利用拡大に向けた我が国の地球低軌道活動について
  3. 国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道をめぐる最近の動向

4.出席者

委員

 臨時委員  中須賀 真一【主査】
 専門委員  高橋 忠幸【主査代理】
 専門委員  石井 由梨佳
 専門委員  植木 千可子
 専門委員  金山 秀樹
 専門委員  倉本 圭
 専門委員  佐藤 智典
 臨時委員  高鳥 登志郎
 臨時委員  永山 悦子
 専門委員  若田 光一

文部科学省

 研究開発局長  堀内 義規
 研究開発局審議官  橋爪 淳
 宇宙開発利用課長  嶋崎 政一
 研究開発戦略  原田 大地
 研究開発戦略官付 課長補佐  川端 正憲

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
 理事  松浦 真弓
 有人宇宙技術部門事業推進部 部長  小川 志保
 有人宇宙技術部門きぼう利用センター センター長  白川 正輝
 有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ  宮崎 和宏

(有人宇宙システム株式会社(JAMSS))
 常務取締役  中村 太一
 取締役  竹下 博
 営業部長  岡田 久仁子
 ISS利用運用部長  佐藤 巨光

(Space BD株式会社)
 ISS船内プラットフォーム事業ユニット 事業ユニット長  山崎 秀司
 ISS船外プラットフォーム事業ユニット 事業ユニット長  芳澤 僚
 

5.議事録

【事務局】  事務局の文部科学省研究開発局、研究開発戦略官付におります川端と申します。
 10月より研究開発戦略官付課長補佐として前任橋本を引き継いでおります。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第65回会合を開催します。
 本日はお集まりいただきましてありがとうございます。本日の会議は15時までを予定しております。局長、審議官、次の予定の関係で中座させていただく可能性もございますので、あらかじめお知らせいたします。
 それでは、今回より新たに委員として若田宇宙飛行士に加わっていただいております。若田委員、一言お願いできますでしょうか。
 
【若田委員】  アクシオム・スペースの若田光一でございます。
 4月からアクシオム・スペース社におきまして、宇宙飛行士、そして、アジア太平洋地域の技術の担当をさせていただいております。
 今度は民間の立場から、ISS、そして国際宇宙探査に寄与できるように尽力させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【事務局】  ありがとうございます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第をご参照の上、必要資料に不足などございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。お願いいたします。
 また、本日はお手元にマイク兼スピーカーをご用意しております。マイク手前側にあるスイッチを押していただきますと、ボタンが赤く光り、ご発言が可能となります。お一人ずつしかスイッチが入りませんので、ご発言後はマイクのスイッチを切っていただきますようお願いいたします。
 なお、本日は全議題公開での実施でYouTube配信をしております。事務局からは以上でございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。
 それでは、第65回を始めていきたいと思いますけれども、この小委員会、あと今期は残すところ3~4回程度ということで、この間まで月周りをずっとやってきましたけど、今回から、ポストISSを見据えて、我が国としての地球低軌道活動の確保に向けた議論を行ってまいりたいということで、もちろんポストISSというものが一つの議題ではありますけれども、それを目指して、今のISSでどういうことをやる必要があるのかということについてもぜひ皆さんからもご意見いただいて、活発化していきたいというふうに思います。
 それでは、早速ですけれども議題1に移ります。まずは、事務局よりどのような観点で議論を行っていくべきか、検討項目案をご説明ください。よろしくお願いします。
 
<原田戦略官より資料65-1-1に基づいて説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。
 何か皆さんの方からご質問とかございますか。よろしいですかね。この1枚のこれですよね。ちょっとブレスト的に作っていただいた資料。これはあとでまた議論の中で少し見ていただいて、どんな利用が考えられるか、潜在的にですね、というときの参考にしていただければというふうに思います。作っていただいてありがとうございました。
 それでは、議論はまたあとでしっかりさせていただくとして、次にヒアリングの方に入りたいと思います。
 議題2としては、検討項目案に沿う形でポストISSを見据えて、これまでのISS利用の振り返り及びISSの利用拡大について、事業者へのヒアリングを行っておりますので、各事業者よりそれらについてご説明いただきたいと思います。
 ご質問・ご意見につきましては、事業者ごとに時間をとらせていただければと思いますのでご用意いただければと思います。
 それでは最初、JAXAさんの方からよろしくお願いいたします。
 
<JAXAより資料65-2-1に基づいて説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。
 それでは、ここで一回、ご質問、ご意見を取る時間にしたいと思います。ご自由にどうぞよろしくお願いいたします。オンラインの先生も挙手いただければと思います。いかがでしょうか。
 
【Space BD山崎 事業ユニット長】  ありがとうございます。Space BDの山崎と申します。
 今ご紹介いただいた資料の10頁、右下のところに民間ですとか、学術界といったところで、多様なプレイヤーとの連携が必要というところを弊社も非常に強く感じております。
 一方で、先ほど申し上げられましたとおり、JAXA様でもこちらの取組をされているという中で、民間とアカデミアというところ、まだリーチできない部分ですとか、こういったところが痒いところに手が届かないなと、そういった期待値というところがあれば、何か教えていただけないでしょうか。
 
【中須賀主査】  小川さん大丈夫ですか。
 
【JAXA小川部長】  すみません、今のご質問は、まだまだ手をつけていないような領域があるのではないかといった分野の話をされているのか、あるいは業界の話をされているのか、どちらでしょうか。すみません、質問の意図を確認させてください。
 
【Space BD山崎 事業ユニット長】  ありがとうございます。
 両方になっておりまして、この取組について、既にJAXA様でも取り組まれていると思うのですけれども、そちらに関して、さらに民間ですとか、学術界、政府への期待値といったところについて、差分のところについて、ご教示いただけないかと思っております。
 
【JAXA小川部長】  説明の資料にありましたけど、我々も最初の頃はいろいろな研究領域の学会などに参加し、マイクログラビティサイエンスの重要性を訴えてきたのですが、やはり実験結果などを見てみると、どうしても伸びるものと、やはり地上の研究に勝てないなと思う領域が見えてきました。やはりマイクログラビティで勝てる領域を延ばしていくということで、今残っている利用プラットフォームがそれらの領域になります。ただ、それだけではなく、やはり5年先、10年先に、今のお客様がまだ残っていらっしゃるだろうかという点、例えば、タンパク質実験では、水溶性タンパク質をターゲットとして狙っていたけれども、今は、膜タンパクをターゲットとして狙っていくなど、製薬業界の流れなど、お客様のトレンドがどこに動いているのか、そういったものを把握し、それに対応していくということが大事だと考えております。常に今あるところに満足せずに、5年10年先にどこにポイントがあるか、ということを情報収集することが大事であると思っています。
 そのためには、やはり最新の情報を持っている学会や企業の方々と常に対話をすることが大事だと思っておりまして、その活動を今行っています。ですので、どの領域が、というよりは、今の持っているプラットフォームをさらに深掘りして、未来予想を立てていく、そこが大事ではないかと私は思っております。
 
【Space BD山崎 事業ユニット長】  ありがとうございます。ぜひ弊社も連携してやらせていただければと思っております。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。倉本先生よろしくお願いします。
 
【倉本委員】  聞こえますでしょうか。
 
【中須賀主査】  はい、聞こえています。
 
【倉本委員】  ありがとうございます。
 ちょっとノイズが多くて聞き取りにくかったのですけれども、私の質問は8枚目ですかね、資料の。ポートフォリオの、今あったと思うのですが、今は科学利用がこうやって半分以上ということで、大きな比重を占めているということですけれども、おそらく、この中に将来は実用化を目指すというタイプのテーマが結構な割合で含まれているのではないかと思うのですよね。
 その辺りの分解能を上げた資料があると、もう少し、どう商業利用を広げていくのかが分かりやすくなるかなというふうに思いました。以上です。
 
【JAXA小川部長】  ありがとうございます。
 今の倉本先生のご質問は、ここの科学利用の紫の部分が多いのだけれども、この中にはもっといろいろな分類の仕方があるのではないかということのご質問でよかったでしょうか。
 
【倉本委員】  はい。特に、将来例えば、創薬であるとか、医療であるとか、そういったところにつなげていくようなタイプの、将来実用化というものを念頭に置いたようなテーマも結構あるのではないかと思うのですよね。そういったものを伸ばしていくというのも、一つ商業利用を増やしていく、一つの考え方ではないかと思って質問しました。
 
【JAXA小川部長】  ありがとうございます。
 今のお話の中にありました、例えばタンパク質の場合は、いわゆるアカデミア創薬がございまして、大学の先生方が科学利用のポートフォリオの中で利用されているものも含まれてございます。
 ただ、そこから民間利用、商業利用に広がるということはあると思うので、その辺りについては、我々の方も、このテーマを選ぶときに、このテーマがどこにつながっていくのだろうか、というところを見ながら選んでいるということがありますので、そういったところは念頭に置いて、今後も広げてまいりたいと思います。ありがとうございます。
 
【倉本委員】  ありがとうございます。
 
【中須賀主査】  ほかにいかがでしょうか。高鳥委員。
 
【高鳥委員】  高鳥です。ご説明どうもありがとうございました。
 JAXAはこれライフサイエンス分野での技術開発をかなり精力的に進められ、また、プラットフォーム化もされていて、素晴らしいと思っているところですが、我々製薬企業の団体で、創薬研究に対する宇宙の環境の利用ということを話題にしても、あまりまだ周知されていないというか、どういうことができるのか、ということが、まだ十分認識されていないと感じられるところで、これまでの成果、これから出る成果、可能性も含めて周知することが一つ利用拡大のためには重要かというふうに思います。
 それから、先ほど小川さんのお話にあったように、ニーズがどんどん変わってきているということがあって、以前は低分子創薬というものが中心で、そのターゲットであるタンパク質を結晶化して構造解析することが、かなり有効でしたが、最近は、創薬のモダリティもどんどん多様化していて、抗体もそうですけれども、あとは中分子とか、モダリティが増えていく中で、そういったところで宇宙環境利用の可能性というものを探っていく必要があるとも思いますので、そのあたりについて業界も含めて議論していくといいのかなというふうに思いました。とりあえず、感想ですが、以上です。
 
【中須賀主査】  高橋先生、追加で。
 
【高橋主査代理】  関連した質問ですけれども、マウスの実験で、打上げの前と後で比較するみたいな実験のことが書いてあるように思います。担癌マウス、がんを植え付けたマウスを持ってきて、それで軌道上で観測するみたいなことというのは、今までやられてきているのでしょうか。
 
【JAXA白川センター長】  きぼう利用センターの白川です。
 先ほどのマウスの件ですけども、まだ今までは、どちらかというと健全なマウスを打上げて、例えば重力であったり、特定の遺伝子の変化が健全な場合と異常の場合、あるいは人工的な環境が異なる場合でどう違うのか、ということを調べておりましたけども、今採択されているテーマの中で、がんが地上で植えたものが微小重力なり、放射線の影響によって、具体的にどう変わるか、といったことも今後予定しておりますので、どちらかというと健康に飼育できるということがある程度分かりましたので、より病態の状態であったり、クリティカルな状態のものを打上げて、宇宙という環境がそれに対してどう影響するかというようなことも調べていきたいと思っております。
 
【高橋主査代理】  そのときに、in vivoでイメージングを行いながら観測を続けるみたいなことがちゃんと担保されると、創薬の立場でもよい可能性があるのではないかなと思うのですけれども。
 
【JAXA白川センター長】  先生、ありがとうございます。
 マウスが地上に戻ってくるまでに時間的な影響もありますので、まさに、今イメージング装置を打ち上げて、軌道上で特定の遺伝子の変化が生体内で見えるような機器を、今度初めて使うのですけども、そういうものをどんどん実証して価値が出ていければと思っております。
 
【高橋主査代理】  今度はちょっと違う質問ですけれども、ここでたくさんの成果が日本で出てきているということは分かっているのですけれども、これの国際的な立ち位置というものを教えていただきたいと思います。「きぼう」で出てきている成果とは独立に海外でもこういうことやっていたものの中から、違う成果が出てきている可能性もあるわけですよね。その辺の日本の立ち位置というものはどんなものなのか、という資料か何かありますでしょうか。
 
【JAXA白川センター長】  ありがとうございます。
 国際宇宙ステーションは、どの参加国もやはり成果創出については非常に関心を持たれておりますので、国際的なチームで成果を取りまとめて、ISS全体として発表していくというような取組をやってございます。
 その中で特に順位づけということはやっていないのですけども、例えば、インパクトの高い論文に、例えばこの1年間でどういう研究成果がそこにパブリッシュされたとか、そういったことは毎年更新して公開しておりますので、そういう中で日本の成果、あるいは米国と比較して遜色ないデータなり成果が、各領域、例えば、ライフサイエンスの分野ですとか、技術の分野でどのようになっているかということを公開してございます。
 やはり観測機器ですね、MAXI(全天X線監視装置)とか、そういうものですと、当初からインパクトの高い成果が出ているということで、日本も貢献しているのではないかと思っております。
 
【中須賀主査】  前半の方、いかがですか。高鳥さんのコメントというか。
 
【JAXA白川センター長】  シンポジウム等で、委員がおっしゃるとおりで、我々もちょっと個別の事例にはなりますけども、薬学会や医学会等でのランチョンセミナーですとか、専門家が集まるようなところでアピールをしたりとか、あとは、宇宙関連の展示というよりは、まだ宇宙利用に参加されたことがないような業界の方、専門家が集まるような学会等でブースを出したり、展示をしたり、あるいは発表を積極的にしたりということで周知をさせていただいているところで、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
【若田委員】  ご説明ありがとうございました。
 やはり日本の強みといったものがいろいろなところに書かれているというふうに思いますけれども、このプラットフォームに関して、2030年までのISSがある間にやっていくもの、それから、ポストISSにつなげていくものみたいな、区分けみたいなものがあるのでしょうか。
 というのは、やはりポストISSに向けて、日本がさらに進めていくべき強みというところがあると思いますし、それから、2030年でISSが終わるのであれば、そこまでにやり尽くしておかなければいけないというような、そういった分類というのはされているのでしょうか。
 
【JAXA小川部長】  せっか、日本で育ててきて、世界中にお客様を作り続けてきたプラットフォームですので、できれば、ポストISSの商業ステーションベースでも搭載して、サービスを展開したいと思っております。
 ただ、まだ搭載できるインターフェースが明確になっていないところもあるのですが、徐々に情報を入手しながら、やはり次のポストISSでは商業がベースになるということを前提に考えなければいけないので、なるべくコストがかからないような仕組みでできる装置はどれだろう、というようなことは、今我々の方でも識別は始めています。
 しかし、それがどれぐらいの経費と時間をかけて搭載できるのか、というのは、これからのあと1~2年の間に決めなければいけないと思っていますが、我々としては、このサービスを残していきたいとは思っています。ただ、全てが残るとは思ってはいません。
 それから、その上で、やはりポストISSにお客様をつなげていくこと、利用需要をつなげていくことが必要なので、それと並行して、今あるサービスをとにかく拡充して、機能をアップして、より使いやすくすることによって、多くのユーザーが入ってくることになると思いますし、その方々がポストISSの利用者としてつながっていくと思いますので、それらを並行して行わなければいけないと考えています。
 
【若田委員】  ありがとうございます。
 やはり、研究者の方であっても、ビジネス利用であっても、事業の予見性みたいなものは非常に重要だと思いますので、まさに小川さんがおっしゃったことが重要だと思います。
 もう一つ簡単に、6頁のところに100%減免と書いてあるのは、これは米国のナショナルラボのようなものを想定されているということでしょうか。
 
【JAXA小川部長】  条件は、基本的にビジネス実証をしたいという前提の方々に、最初の入口のハードルを下げるという目的にしておりますので、ビジネス目的であると。実証目的が明らかであるという前提ですので、ここに適用条件ありと書いてありますけれども、そういったものを意図しております。
 
【若田委員】  分かりました。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。
 
【佐藤委員】  佐藤でございます。
 今回、非常に重要な狙いとして定められている商業利用にあたっては、企業にとって、宇宙で実験することの必然性、必要性が明確になり、理解され、周知されることが必要です。
 もちろん、宇宙空間での実験は、地上より当然コストがかかりますが、産業界にとって、おそらく一番重要な価値は、軌道上でしかできない、あるいは、地上で行った場合には非常に時間がかかることが、軌道上で行うと相当程度時間が短縮されて、早期に知見が得られるという点、すなわちスピードという面があると存じます。
 そのような意味で、軌道上で行うサービスは、スピード感を持って色々な知見が得られるというプラットフォームはとても良いと存じます。プラットフォームの高度化を進めつつ、今まで軌道上でのサービスに対し、あまり知見を有していなかった事業者にとっても使いやすい様々な支援を用意するなどをして、できる限り早く、企業として知見が得られるよう、いろいろな施策を組み合わせながら展開することが、我々産業界として目指すべきサービスのあり方であると思います。以上でございます。
 
【中須賀主査】  よろしいですか。特にコメントはないですか。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 
【石井委員】  ありがとうございます。
 極めて初歩的な質問になってしまうのですけれども、お伺いしたいのは、こういった技術を絞って、プラットフォームの高度化を進めていったり、あるいは新規のプラットフォームを構築していくにあたって、どういった基準でターゲットを絞っていくのか、というところをもう少し教えていただきたいと思いました。
 学術的な価値が高いとか、産業効果、波及効果が高いということをおっしゃっていたのですけれども、そういったその条件がデータであるとして、どういった十分条件があれば、それにふさわしいとみなされるのか、という点です。
 ご説明の中で、この領域は勝てる、勝てない、ということをおっしゃっていたのですけれども、それはどういうことなのか、ということも、もう少し教えていただきたいと思いましたし、あと商業的なベースのお話が出ましたけれども、商業的なリターンが期待できるかというのはどのくらい重視されているのか、学術的な価値ということをおっしゃいましたけれども、直ちに商業化につなげられないとしても、重要な価値というものはあると思うのですが、そういった技術はどの程度の優先度で選ばれるのかどうか、ということを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
【JAXA小川部長】  ありがとうございます。
 最初の探索フェーズ、2008年から2012年、その前にはスペースシャトルの時代もございますけれども、その段階から、例えば、結晶学、結晶生成学の実験などを数多くしております。
 そこで出てきた知見データ、それから論文、科学的分析、考察などをして、このデータ、この実験、この領域であるならば、地上で結晶化をするよりも宇宙の方が結晶化率、結晶の高品質化が高いといったものを何年か実験を続けることによって知見を蓄積しました。その確からしさをある程度見定められたら、それと並行して、どれだけの顧客がいるのだろうか、といったところ、また、宇宙と地上との差別化ができるものはなにか、そして、先ほど5年10年先と申しましたが、あと何年くらい続けられるかといった、3つか4つぐらいの条件について、1年ぐらいかけてヒアリングもしながら決めてきたということがございます。
 それ以外にも、プラットフォームの中にあった静電浮遊炉という装置を使ったもの、材料科学の領域の研究ですけど、これについても、ずっと実験を続けて科学的知見を蓄積し、重要性、確からしさを見た上で、これであれば宇宙実験のサービスとして提供できるだろうというように、ある程度の確実性を持ってサービスを提供する。そして、そこにお客様がいるといったことを見ながら決めてきたということでございます。
 そこは、何か必ず、最初はタンパクからやってみようというように、まずはここからやってみようというものを決めて、一歩ずつやってきたところです。この先にも別に勝てる領域があるのかもしれないのですけど、現時点では、まだ新たな領域を見出すところまで至っていない状況にあります。まずは、絶対的にここが勝てるのではないか、というところの確証を持って決めていくというところになります。
 
【中須賀主査】  よろしいですか。金山さん何か一言。
 
【金山委員】  ありがとうございます。
 8頁目に、「きぼう」利用のポートフォリオ、これはあくまでもイメージということで出されてはいるのですけれども、これは件数で書かれているのかどうか分かりませんけども、23年から30年に向かって、パイそのものが大きくなるのと、あとは商業利用の占めている割合もどんどん大きくなるということで、今は10%ということですけれども、実質的にはきっと5倍とか6倍になることを目指されているのかなというふうに思いました。
 それ自体は、バランスを図るという意味ではいいのかもしれませんけれども、このパイ自体を大きくするということによって、それに対して必要なコストなり、人件費なり、設備関係の物件費なり、というものが、どんどん膨れ上がるのではないかというふうなところの懸念もあるのですけれども、そういったところは、ここに書いてあるような、効率化を図るとか、自動化とか書いてありますけども、そこをなるべく上げないで、そういったところを広げていくようなところの、何か具体的な見えている策みたいなものがありましたら教えていただければと思いました。
 
【JAXA白川センター長】  ご質問ありがとうございます。
 委員がおっしゃっていただいたとおり、全体のパイを変えずに、例えば、科学利用が減るのではなく、パイを大きくした上で取り組みたいというのが、まさにおっしゃっていただいたとおりです。
 具体的な取組としては、ここに書いてございますが、自動化等で、ここに書いてございますイメージは、現状では、宇宙で使えるリソース、例えば、宇宙飛行士の作業時間、そういったものを一定の範囲の中で割り振っているのですけども、それを例えば、1時間使えるとして、そこの中でできる作業というのが、宇宙飛行士にやっていただくものもあれば、地上から宇宙飛行士の作業時間を使わずにできるものもあります。
 自動化と言っているのは、簡単な作業を、地上からのオペレーションできるようなものはどんどん自動的に処理をするということで、全体のパイをなるべく、単位時間当たりの作業量というものが増やせるような形というものを考えてございます。
 
【中須賀主査】  大体よろしいでしょうか。少し時間が過ぎましたけれども。
 私の方からも、コメントというかあれなのですけれども、結局まだまだ、潜在的に可能性がある顧客を全てエクスプロアしつくしていないだろうという感じはしますね。
 だから、そういう人たちが試してみて、それでも利用がないのかどうか、そういう人たちが試さないと分からないので、試そうと思うにはどういうモチベーション、インセンティブを与えたらいいか、ということをやっぱりしっかりやっていかなければいけないと。
 一つでもいいから、何か成功事例というものが、極めて明確な成功事例があると、それをどんどん推し進めて、ここまでいったよ、ということを示せば、おそらくそういった人たちもやろうと思うようなインセンティブが湧くと思うので、何か1個でもいいものがあると、それをどんどん押し進めて、尖らせていくということも一つの道かなという気はしています。
 それプラス、さっきのいろいろな議論などがありましたけれども、今ある成果を周知して、やろうと思うモチベーションを高めていくかということで、とにかく試してもらわなくては仕方がないので、それをどうやっていくかということが、これからポストISSに向けて、今のISSでもできることなので、やる必要があるかなということを強く感じています。その辺のことをぜひこれからもう少し議論させていただければというふうに思います。
 ありがとうございました。それでは、続きまして、JAMSSさんの方から資料のご説明をよろしくお願いいたします。
 
<JAMSSより資料65-2-2に基づいて説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。
 それでは、ご質疑・ご討論よろしくお願いいたします。
 すみません、さっきIACで欧米のコミュニティに比べて負けているというお話をされましたけど、どういうところで負けているのでしょうか。
 
【JAMSS佐藤部長】  コミュニティといいますか、企業だと思います。
 欧米の宇宙事業者、例えば、我々はRedwire社ですとか、JAMSSがKiraraサービスで契約しているSpace Applications Services社とか、Space Tango社とか、そういった企業と定期的に話す機会が多いのでが、彼らは既に自分たちで装置を開発しています。例えば、先程来議論があった、ライフサイエンスの装置を製作し、打ち上げて、もちろん国も買っているのだと思いますが、サービスの提供をしています。
 彼らは、サービススキームをすでに作っているため、我々としてはこれから対応していかなくてはいけないということで、向こうの方がやはり進んでいるなというふうに考えています。
 
【中須賀主査】  その利用者の数もやはり圧倒的に向こうの方が多いのですが、もう既に。
 
【JAMSS佐藤部長】  それに関しては、皆さん当然事業なので、全部教えてくれるわけではないのですけれども、皆さん探すのには苦労しているとのこと。大企業がいいのか、中小企業が良いのかなど。企業規模が小さすぎると資金の問題が出ますので、どういった規模の企業にアプローチするのか、ということについては、皆さんそれなりに模索はしているという状況です。
 
【中須賀主査】  それはまだ大きなキラーアプリを掴んでいるわけではないと?
 
【JAMSS佐藤部長】  やはり皆さん同じく悩んでいますという話をされていました。
 
【中須賀主査】  分かりました。ありがとうございます。いかがでしょうか。どうでしょうか。
 誰も出ないのであれば、JAMSSさんがこうやって事業者のサポートをする形で間に入って、ある種アクセラレートする、ファシリテートするようなサービスで事業をされていますけど、例えば、そういった経験をもとに、JAMSSさんの中から誰かがスピンオフして、ものすごくうまく利用ユーザーを掴んで、何か打ち出す、いわゆるベンチャー会社を作るというような可能性はないのでしょうか。その可能性と欧米だと結構起こっていて、これがすごく活性化を生んでいると思うのですけれども、その辺いかがでしょう。
 
【JAMSS佐藤部長】  ぜひそうあってほしいと思いますが、まだそこには至っていないのが現状だと思っています。
 ただ、Kiraraみたいな事業もそうですし、そういった事業を作っていくことで、いわば社内ベンチャーみたいな形でやっていくことはあると思っています。実質的に社内ベンチャー的にやらせてもらっているところもあるので、そういう活動は考えられるかと思いますが、まだまだ弊社としてはそういうところには至っていないという状況です。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。どうぞ。
 
【若田委員】  ありがとうございます。
 8頁のところに、国外情報発信について言及がありますけども、アジアに関して、具体的な情報発信の仕組みたいなものは具体的には進んでいるのでしょうか。
 ISS参加国でない国の方々と話しても、やはりISSのようなアセットを利用したいという声をいろいろなところで聞きますので、こういった形で、やはり唯一アジアでISSの参加国として蓄積した技術とかがあると思いますので、そういった観点で、特にアジア地域ですね、やはりビジネスを展開していくということは非常に可能性は高いのかなと思いましたので、具体的な何か施策みたいなものをお進めであったらお聞きしたいなと思いました。
 
【JAMSS佐藤部長】  ありがとうございます。
 弊社の方でも、11月のAPRSAFの方に参加させていただきながら、そこでブースを出したり、我々のASMILLAみたいなものを紹介して、こんなサービスがありますよ、ということを紹介させてもらったり、あと実際Kiraraでは、台湾の大学が前回活用いただいたり、ということもありますが、正直ここら辺もまだまだ試作段階で、すごく習熟したようなアプローチができるかというと、これからだと思っています。
 ただ、おかげさまでJEM有償利用の減免制度もありますし、いろいろな機会がありますので、機会は増えているのかなというふうには感じています。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。どうぞ、石井委員。
 
【石井委員】  同じ8頁のところで質問ですけれども、国/JAXAへの提言、一番上のコラムにNASAやCLD企業との間で日本企業に不利益が無きよう枠組みを調整というところで、一つの基準として、ISSインターナショナルパートナーシップ等々との便益確保ということが挙げられているのですけれども、お伺いしたいのは、これはどこまで進んでいるお話なのか、というところです。
 同じ基準で、もちろん便益確保できたら望ましいとは思うのですけれども、例えば、先方の企業にとって、そこまでの便益確保を日本の企業に対してすることのメリットといいますか、そういった理由はどういうところにあるのか教えていただきたいと思いました。以上です。
 
【JAMSS佐藤部長】  ありがとうございます。
 まず、こういった議論というのはまだ始まったばかりで、具体的に進んでいるかというと、まだだと思っています。
 先ほどお話した、例えば、海外企業とお話しするときでも、アメリカの企業ですと、ITARとかがやはり問題になって、輸出管理がいろいろ厳しいので民間企業で連携してやっていくときに、そこら辺をどうクリアしていくのかが一つ懸念だというのは何回か言われたりしました。あとは、宇宙ステーションが複数できたときに、その装置のインターフェースの標準化をどうするかなど。今まで我々はISSという傘の下でいろいろやってきて、今あるのがすごく当たり前のような印象であるのですけども、今度はアメリカの民間宇宙ステーションで、そこにモジュールが付いて、装置を搭載して、事業を行っていくっていうことがどういうことなのか、というのは少し整理して考えなくてはいけないと思っています。
 みんな漠然といろいろな問題意識があって、それなりの不安もあるのですけども、ただ具体的にこれとこれを解決しなくてはいけないというところまで、まだ具体化できていないのは事実かと思います。
 あと便益という観点に関しては、米国の民間宇宙ステーションから見ても、利用者が増えるのがビジネスになりますので、例えば、日本企業が関わることで利用者を持ってこれる、それが日本国内であれ、アジアであれ、日本からの宇宙旅行者であれ、そういったものはあると思います。やはり我々がちゃんと市場を後ろに抱えた状態でいるということが、アメリカとの交渉には必要かと考えます。
 
【中須賀主査】  では、まだあるかもしれませんが、お時間なのでよろしいですか。では、堀内局長どうぞ。
 
【堀内局長】  中須賀先生が質問された件、とても大事なことではないかと思っております。今までISSは国が丸抱えといった形で進めてきていますけれども、今後ポストISSでは、いろいろな人の力を借りてこのプロジェクトを推進していかなくてはいけないというときに、やはり大きな牽引力が必要だと思います。
 こういう施設があるので使っていこう、というように、宇宙分野の人が主体的にいろいろな研究開発をして、いろいろな分野の研究者を巻き込んでいき、大きな成果を上げているところを見せていくということが、長期的にポストISSプロジェクトを進めていくにあたって重要ではないかなと思っております。お答えいただいた今の段階では、なかなか、ということでありましたけども、JAXA、それからJAMSSも含めて、この施設を使って自分たちが主体的に研究成果を出していくということを念頭に置きながら、今のISSをどう使っていくかということを検討いただいた方が、長期的にはいいのかなと思っています。
 
【JAMSS佐藤部長】  ありがとうございます。承知しました。
 
【中須賀主査】  私も全くそのように思います。ありがとうございました。
 それでは、今後また議論を続けると思いますけれども、次にもう1社ありますので、そこに移りたいと思います。今度はSpace BDさんよろしくお願いいたします。
 
<Space BDより資料65-2-3に基づいて説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。
 それでは、ご質疑、ご討論よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。高橋さん、お願いします。
 
【高橋主査代理】  ご説明どうもありがとうございました。
 私は最初の頃に聞いた、ISSでいろいろなライフサイエンスについてはどのように行われているのですか、国際的に、という質問にずいぶん答えていただいているような気がします。ちょっと聞きづらいのですけれども、海外のメーカーさんのこととか、海外の研究成果と並べながら、日本の成果というのはこういうようなもので、どこに位置づけられていて、という、その辺のことをお聞きしたく思います。日本だけでやっていくものもあれば、国際協力でやっていくものもあれば、今後いろいろなことを考えないと、いわゆる最先端のとこに行けないのだと思います。その辺の観点で、何かコメントをいただけますか。
 
【Space BD山崎事業ユニット長】  ありがとうございます。
 こちら、今回取り上げさせていただいたところは、基本的にアメリカの例になっておりまして、やはり相対的に、まだ日本の企業様といったところの参入については少ない状況となっております。
 と言いますのも、やはりフローの最初の部分、特にアカデミアですとか、かなりプリミティブな試験といったところをこれまでやってきたといったところもございまして、そういったところが中心になっている状況にはございます。
 もちろん、国際協力ですとか、海外との最先端に追いついていくというところも非常に重要となっております。
 ただ一方で、いわゆる宇宙での技術発表会といったところについては、日本のメーカーさんですとか、というところはあまりないのですけれども、一方で先ほどの国際幹細胞学会での宇宙領域のセッションですとか、そういった学会には、日本の企業様ですとか、研究者というところも多くございますので、そこに宇宙のプレイヤーがいないだけで、例えば、当社を含めて、そういったところに一緒に入っていくことによって、日本のプレゼンスというところは十分に強調できると考えております。それは前提として、既に日本の研究者、優秀な研究者の方々が、その分野で優秀な成果を収めているからになります。
 
【中須賀主査】  石井委員、どうぞ。
 
【石井委員】  すみません、内容確認の質問ですけれども、12頁のところで、今後の方策というところで、利用ハードルの低減について提言されているのですけれども、お伺いしたいのは、これはどこまで進んでいて、どのように、どこまで実現可能なのか、という点です。
 特に気になったのが、まず一番上の汎用的な実験装置の開発、これは2030年までにこういったものを開発するということをおっしゃっているのか、あるいはポストISSの話をされているのか、確認させていただければと思いました。
 また、この特区の整備というのは、どういった基準でやるということを今おっしゃっているのか、教えていただければと思いました。
 あとは、NASA、JAXAの安全等のルールの標準化というところですけれども、ということは、おそらくISSの中で、ということだと思うのですけれども、例えば、これをポストISSに持っていく場合には、どういったところで、そのルールの標準化をすれば、最適なのか、ということも教えていただければと思いました。以上です。
 
【Space BD山崎事業ユニット長】  ありがとうございます。
 まず一番上のハードウェアのところに関しましてですけれども、こちらは今まさに宇宙戦略基金といったところをテーマの一つとしてなされております。
 その中で、ポストISSに向けて、という形ではあるのですけれども、その中の開発ですとか、実証というところは、今まさにISS「きぼう」を用いて行うといったところございますので、2030年に向けて開発して、ポストISSに競争力を持った装置として作っていくといったところが今まさに喫緊で行われている内容になっております。
 その下の特区というところに関しまして、こちらはなかなか難しい部分ではあるのですけれども、例えば、こちらは民間のミッションというところで、ある程度限定したところ、かつ相対的に少し安全要求といったところを緩和するような場所といったところを作ることによって、これまでできなかったミッションができないかと考えています。
 とはいえ、一部、単純に安全要求を下げるといったところは難しいですので、一時的にそのエリアを無人にするですとか、ある程度人の出入りというところを少なくするというような、もう一つ別の施策といったところも含めた上で、こういった特区の整備といったところは考えられるかと思います。
 ただ、なかなか日本だけではなく、いろいろな国が活用している場ですので、ここについては、下のNASA、JAXAのルールといったところも含めて、国際的な話し合いというところが必要かなと考えています。
 一番下のルールの最適化というところ、こちらも現時点ですと、なかなか日本だけでというところも難しいかもしれないです。
 ポストISSに関しましては、とはいえ、民間企業に事業権が移るというところで、弊社はどちらかと言いますと、NASAよりも、そういったポストISSのCLD企業との会話というところをしております。
 やはり彼らも日本と比べては、もう少し寛容的であるとはいえ、NASAのルールメイキングというところに非常に辟易しているという話はよく聞いておりまして、敢えて我々はNASAといったところの、その先、ポストISSの民間事業者と会話して、こういった運用にしていったら、より利用者が拡大しますというところを、むしろ我々側からCLD事業者に提案するといったところで、ポストISSにおける日本の立ち位置、当社の立ち位置といったところを訴求しているという状況になっております。
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。もう1個だけ最後、高鳥委員、お願いします。
 
【高鳥委員】  ご説明ありがとうございました。
 先程、高橋委員もご質問されましたけど、製薬企業の利用例ということで、欧米企業の事例が示されているのですけども、これというのは、宇宙空間を利用することができるのではないかということについて、企業が独自に考えてアプローチしていっているのか、それとも、例えばISS National Labなどが牽引する形で、コンソーシアムみたいな場において、こういうことができるということを官民で議論し、それを試験的に実施するなど、そういったことから可能性が高まってくることで、それを実際に製薬企業が取り入れてやっている、そういった流れになっているのか、どういった感じでしょうか。日本企業が入っていないのは、多分そういう場がないからなのか、そういったところも含めてご意見をお聞きたいしたいと思います。
 
【Space BD山崎事業ユニット長】  ありがとうございます。非常に重要なご指摘だと思っております。
 少なくとも私の理解している範囲ですと、結論から言うと後者になっていまして、企業が最初に入ってくるというよりは、ISS National Labも含めて、宇宙側から民間に提案して一緒にやっていくというのが、これは最初の一例の場合、そういった活動というところは非常に重要になってきます。
 ただ、純粋に宇宙業界から民間にいきなり行っても難しいというところがございますので、まずはアカデミアとの連携というところは既に業界でもされていますので、例えば、日本ですと、CiRAなどの研究機関の先生ですとか、そういった大手のアカデミアの先生のところにまずは利用していただく、そこから大手の製薬企業さんに行くといったような形というのが、最初の1回としては取られているような例かと思います。
 一方で、こちらのMerckさん以外の企業さんというところは、ある程度こういった期待を持ってやろうといったところのお話を伺っておりまして、これは何かと申しますと、最初の一例が出るというところは、かなりハードルがあるのですけれども、ある程度結果が出てしまえば、それにちょっとフォローするような形というところで、ほかの企業さんも参画しやすくなるといったところで、お答えとしては、最初の一例を作るところは官民、産学連携でやっていくというところは非常に重要ですけれども、やはり一例をいかに出すか、その後フォロワーをいかに増やすかというところが大事だというところで、そういった取組をしていきたいというふうに考えております。
 
【高鳥委員】  どうもありがとうございました。
 私もそういった形で最初に成功例を出して、それでそれを共有するような形で次に進めていくという流れが重要かなと思います。
 そういう点では、細胞の実験がありますよね。日本の強みの一つとして、iPS細胞があって、例えば疾患特異的なiPS細胞を使った形での細胞培養とか、オルガノイドを作成して、それを創薬実験で用いていくようなことは、日本が先頭を切ってやっていってもいいかなと思うので、そのためには、やはり官民での議論をコンソーシアムなどで作ってやっていく必要もあるかなというふうには感じました。ありがとうございました。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。
 まだありそうですが、そろそろ時間なので、では1個だけ。
 
【JAMSS中村常務】  有人宇宙システムの中村です。
 民民での質問で恐縮ですが、7頁のこの図、非常に良い図かだと思いまして、これは創薬研究のフローで、例に書かれていますけれども、例えば、材料だとか、電子部品だとか、巨大な産業投資をやる会社にとっても、初期段階でのunknown uncertaintyを解消するようなフェーズもあれば、製品に近いところで、いろいろ最後の決めをしたいと、そういういうケースもありまして、その右側のところ、この辺りで宇宙のマイクログラビティとか、そういう環境が貢献できるようなところを見出していくというのが一つ、先ほど私どものプレゼンでも、産業投資を引き出すというふうに書きましたけれども、心は同じでございまして、この辺り、会社ごとに競争領域に入っているところは個別にやるのですけれども、ご一緒にできるようなマーケティングとか、大きなところで、特定の業界とか、そういったところにアピールするという活動は、ぜひご一緒にさせていただきたいなと思います。以上でございます。
 
【中須賀主査】  どうですか、BDさん。
 
【Space BD山崎事業ユニット長】  ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、個々でやっていると、なかなか利用者の方も難しいと、どこに相談したらいいか分からないというところもございますので、ぜひこの宇宙の裾野を広げるという活動については、一緒にやっていきたいというふうに思っております。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。
 それでは、お時間がだいぶ過ぎておりますので、以上で質疑応答を終わりにしたいと思います。どうも、ヒアリングの発表をいただいた皆さん、ありがとうございました。
 それでは、次に議題3として、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道をめぐる最近の動向について、事務局よりご説明よろしくお願いいたします。
 
<原田戦略官より資料65-3-1に基づいて説明>
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。
 あと5分ぐらいは質問の時間を取れそうなので、皆さんの方からもしご質問ありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 このインドのチャンドラヤーンは、JAXAと組んでやるLUPEXは、チャンドラヤーンの5(ファイブ)ですか。
 
【原田戦略官】  はい。
 
【中須賀主査】  ほかにいかがでしょうか。
 今日いろいろ議論で出てきた、ISSの利用拡大等に向けた予算というのは、今回の予算申請の中でいうと、どれに当たって、どのぐらいの額がついているのですか。
 
【原田戦略官】  ISSの利用関係の具体的な数字は、宇宙ステーションの運用・関連予算ということで基本的には630億円の内訳にあります。 引き続き、これまで宇宙ステーション関係の運用経費であるとか、あるいは実験のための必要経費を計上してきております。
 
【中須賀主査】  その中で利用拡大というものもやるわけですよね。
 
【原田戦略官】  はい。これまでのプラットフォームの関連予算なども引き続きさせていただきます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか、ほか。
 さっきの2000億というやつの中には、文科省さんがやられる、いわゆるJAXA基金というか、戦略基金は入っていないのですよね。
 
【嶋崎課長】  宇宙戦略基金については、当初予算では文科省分として25億円だけ要求をしてございますけども、当然、この25億円当初分だけで次の戦略基金の、次のラウンドを設定するということではないので、当初予算の要求以外のいろいろなやり方も含めて、第2弾の全体像については、財政当局と今議論を進めているというところでございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。
 
【原田戦略官】  すみません、補足です。
 お手元の資料の14頁の一番下の方に、国際宇宙ステーションISS「きぼう」の運用等とあり、この114億の中に先ほどの経費が含まれております。
 
【中須賀主査】  14頁の一番下ですね。
 
【原田戦略官】  この中に、宇宙環境利用の実験の実施や産学官連携による成果の創出などが含まれる、といったところになります。
 
【中須賀主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、以上でこの議題も終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
 以上で、本日予定していた議事は全て終了でございます。最後に事務局から連絡事項があれば、よろしくお願いいたします。
 
【事務局】  事務局です。
 本日の議事録については、文部科学省のホームページに公開いたします。
 また、資料については、既にホームページに掲載しております。
 次回の小委員会においても、引き続きポストISSについてご議論いただく予定ですけれども、具体的な日時については、日程調整の上、改めてお知らせいたします。以上でございます。
 
【中須賀主査】  ありがとうございました。
 皆さんの方から何か最後に一言とか大丈夫ですか。よろしいですか。
 それでは、以上をもちまして、本日は閉会といたします。ありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課