宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第61回) 議事録

1.日時

令和6年5月17日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 有人与圧ローバの開発について
  2. 月面の科学について
  3. 当面の月探査の進め方について

4.出席者

委員

臨時委員 中須賀 真一【主査】
専門委員 高橋 忠幸【主査代理】
専門委員 石井 由梨佳
専門委員 植木 千可子
専門委員 金山 秀樹
臨時委員 高鳥 登志郎
専門委員 竹森 祐樹   
臨時委員 永山 悦子

文部科学省

研究開発局長  千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当)  永井 雅規
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  鈴木 優香
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室補佐  橋本 郁也

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事  松浦 真弓
有人宇宙技術部門 有人与圧ローバーエンジニアリングセンター センター長  筒井 史哉
国際宇宙探査センター センター長  山中 浩二
宇宙科学研究所 副所長  藤本 正樹
国際宇宙探査センター事業推進室 室長  永井 直樹
理事補佐  川崎 一義

(トヨタ自動車株式会社)
先進技術開発カンパニー先進スペースモビリティ開発部長兼月面探査車開発プロジェクト長  山下 健
先進技術開発カンパニー先進スペースモビリティ開発部 システム推進室長  岡野 隆宏
先進技術開発カンパニー先進スペースモビリティ開発部 事業室長  末永 和也

5.議事録

【事務局】 宇宙利用推進室の橋本です。定刻になりましたので、ただ今より国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第61回会合を開催いたします。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。本日の会議は12時までを予定しております。本日はオンラインでの開催となりますので、資料につきましてはあらかじめメールでお送りしたものをお手元にご用意いただければと思います。なお、資料は画面にも投影いたします。また、御質問がございます場合には、オンライン会議の挙手機能を使用いただきまして、主査からの御指名の後に御発言をお願いいたします。また、御発言の際には、可能な方はカメラをオンにしていただき、御発言後はカメラをオフにしていただければと思います。なお、本日は全議題公開での実施でYouTube配信をしております。事務局からは以上でございます。
 
【中須賀主査】 それでは始めてよろしいですかね。この後は中須賀の方で司会をさせていただきたいと思います。前々回の委員会で、6月中をめどに本委員会として取りまとめを行いたいと事務局よりご提案のありました当面の月面探査の進め方について、本日も議論していきたいと思います。皆さん積極的にご発言いただければと思います。
 まず、議題1として、有人与圧ローバの開発について、JAXA及び本日お越しいただいておりますトヨタさんからご説明いただきたいと思います。説明は2件続けて実施して、質疑応答は説明後まとめて行いたいと思います。それでは、まずJAXAさんより与圧ローバの開発の進め方について御説明をよろしくお願いします。
 
<JAXAより資料61-1-1に基づいて説明>
 
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、続きましてトヨタさんより与圧ローバの開発の状況について御説明をよろしくお願いいたします。
 
<トヨタ自動車 山下部長より資料61-1-2に基づいて説明>
 
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、今のJAXAさん、それからトヨタさんの御説明に関しまして御質問、御意見がございましたら、皆さんの方からご自由にお願いします。挙手ボタンを挙げていただければと思います。よろしくお願いいたします。永山さん、どうぞお願いします。
 
【永山委員】 ご説明どうもありがとうございました。開発状況がとてもよく分かりました。3点伺いたいと思います。まず、このルナクルーザーの月面での活動が年に1回の1カ月とされているのは、これは機体としての制約なのか、それとも宇宙飛行士の健康状態とかそういった管理の制約なのか、その点を伺えればと思いました。せっかく月に行くので、もっとどんどん走るのかなと思っていたものですから、そういったところからの質問です。
 2点目が、キー技術になると思うのですが再生型燃料電池システムについて伺いたいと思います。こういったシステムというのは既存の技術としてあるのか、それとも全く新しい新規技術なのかという点と、宇宙電池といいますとリチウムイオンバッテリーがやはり今一般的なのですが、そのリチウムイオンバッテリーでなくこういったシステムを新たに開発されようとされているのはどうしてかというところを教えてください。
 3点目になります。2031年の打上げというのは遠いようでかなりもうすぐそこというスケジュールになっていると思いますが、今後のその31年打上げに向けての一番課題になりそうな点と、それを解決するためにどういうことが求められるのかということを教えていただければと思います。以上です。
 
【中須賀主査】 それでは、これはJAXAさんがよいですかね、お願いいたします。
 
【JAXA筒井センター長】 3点についてご回答します。1つ目の何故年に1回なのかということについては、これはNASA側のアルテミスのミッションの先ほどから申し上げているSLSとかOrionとかの提供できる資金的といいますか計画上年1回の有人ミッションをするというのを計画しているということで、それに基づいたものになります。有人与圧ローバ側に何か制約があるということではありません。ですので、有人ミッションが来ない間は無人の状態で車を走らせて、ロボットや観測機器等を使って無人の探査ミッションを行うことを計画しています。これが1つ目に対する答えになります。
 それから、2つ目については、これはもう端的に言いまして、リチウムイオンバッテリーでは越夜することはできないということです。リチウムイオンバッテリーでは質量が大きくなり過ぎて現実的ではないということです。ですので、質量に対してのエネルギーを充填できる密度といいますか、同じ質量でエネルギーの充填量が高いもの、2倍3倍ぐらいが必要なのですが、そういうものを作るためにRFC(再生型燃料電池))というのが一つのコンセプトとしてあって、それを開発しているということになります。RFCそのものについては、それぞれ水電解と燃料電池というベースとなる技術は地上側にもありますけれども、例えば放射線の耐性であるとかいったところは制約として新しく加わるので、宇宙向けには考え直す必要が出てくるかもしれません。それと、普通は地上ではないこととして、地上では酸素は普通大気からそのまま使うので、宇宙にように酸素を溜めておく必要ないのですね。そこを今回の場合は再生型で繰り返し使うために溜めていく必要があります。効率的に酸素を溜めることをやろうと思うと高圧で溜める必要があるということで、水素も酸素もなのですが、高圧で貯蔵するということになります。その水素と酸素、高圧で溜めるというところがかなり新規性が高い、宇宙ものとしてやっていくときに新しいことになっていくと考えています。それが2つ目の答えです。
 3つ目ですが、2031年というのは本当に我々からすると非常に近くてすごく苦しいのですけれども、まずは先ほどから何度か申し上げているような課題を解決してシステムとして成り立つような実現性のある解が見いだせるかというところが一つの課題になります。また、それとは別に、時間的な話としてはやはり部品の調達に掛かる時間、リードタイムがかなり長いというのが問題になっていまして、そこがフライト品なり実証モデルの開発においてはスケジュールを引っ張る一つの要素になっているように思います。電子部品などを調達するときにすごく時間が掛かってなかなかものが仕上がってこないというような、そういうことが一つネックにはなりえると考えています。技術的な話に加えてそういう話もあるということです。以上です。
 
【永山委員】 ありがとうございました。そうすると、ごめんなさい、最後追加で、部品調達の点で何か例えば政府なり何なりか、あとそれ以外も含めて、こうしたらうまくいくのではないかというアイデアとか知恵とかはございますか?
 
【JAXA筒井センター長】 クリティカルな部品、長納期になる部品について、国産になっていると良いなと思うのが一つと、そうはいかない場合にはやはり先行で調達していくことが答えになってくるだろうと思います。資金の投入という面で手前に必要になってくるような感じがします。以上です。
 
【永山委員】 分かりました。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、高橋先生、お願いします。
 
【高橋主査代理】 高橋です。今の質問に関係するのだと思うのですが、実現にあたっていろんな開発項目があると思うのですけれども、一番何が難しいと考えておられるのでしょうか。
 
【JAXA筒井センター長】 この頁のものは、それぞれ難しいものではあるのですが、この一番右のRFCという月の夜をどう乗り越えるかが一番技術的にはハードルが高いかと思っています。それ以外では、この左上側のリアルタイム航法技術と書いてありますが、GPSのない環境でどうやって自分の位置を知ってどうやって走っていけるかというところはまだなかなか難しいところがあって、月面用のGPSのようなものができるとこちらはクリアできるかと思っていますが、それ以外の航法についても考えていく必要があるというふうに思っています。大きなところとしてはその2つかと思っています。
 
【高橋主査代理】 ありがとうございます。関連してもう一つだけ。そうすると、この開発にあたってあった方がよいインフラというのが出てくると思うのですが、それは今考えられている様々なプランの中に皆含まれていると思ってよろしいでしょうか。
 
【JAXA筒井センター長】 先ほど申し上げた航法ですね、月面版のGPSというのを整備というのがあってほしいというふうに思っているわけなのですが、それに関してはJAXA側でも提案をしていますし、NASAやESAとも協力して整備するのを検討している最中です。なので、予算がそういう形でできているかというとまだそういうことではないのですが、プランとしては存在するということになります。
 
【高橋主査代理】 ありがとうございます。
 
【中須賀主査】 それでは、竹森さん、どうぞ。
 
【竹森委員】 竹森と申します。ありがとうございます。金融機関とディープテックをやっている者なのですが、非常にわくわくして聞いておりました。もし可能であればなのですが、トヨタさんのプレゼンの中の最後の資料で、ルナクルーザーで広がる未来ということで、これですごく今わくわくしていろんなお考えがよぎっているのですが、そもそもこのトヨタさんがこの有人ローバの開発に参画をされているのが、先ほどのお話のように部品調達等も相当オーダーメイドが厳しいですし、なかなか難しいのが多い中で、なぜトヨタさんがこれをやるのかというのが、すみません言葉を選ばず言うとすごく不思議だったのですけれども、いろんなところに広がっていくということを考えておられるというのが非常になるほどなというふうにふに落ちたのですが、可能な範囲で結構なのですけれども、元々この与圧ローバをやられるというところの判断の中に、こういう広がりを考えながら正にやられたのか、それともいろんな正にアグレッシブにこの有人与圧ローバがやりたいという思いがあって、これをやることを決められた上で、ではこれをどうやって使っていこうかと考えられたのか、この因果関係といいますか、どういう発想でここに取り組もうとされているのかというのを、もう少し背景含めて教えていただければと思いました。以上です。
 
【トヨタ山下部長】 どうもありがとうございます。トヨタの山下です。大変共感いただいて有り難いと思ってございます。まず、この時間軸でいいますと、取り掛かりのときにはやはり究極のモビリティを、地上の様々な大陸で過酷な環境でクルマを鍛え上げていくという活動を通じ、次の大陸といったときにこの月面というところが、モビリティを走らせる最大のチャレンジになるのではないかというところからスタートしております。そこにやはりエンジニアが究極のモビリティを作ることによって、技術開発もそうですが人を育てていくという非常に大きな目的が達成されるのではないかというところからまず開始してございます。その開発を進めていく中で、やはり様々な方々のお力を借りながら進めていかなければいけない、そういうチーミングが必要になってくるということ。さらに、我々がこういったことに参加させていただいていることをやはりしっかりと様々世の中に還元していくべきであるということを、その開発を進めていく中で我々が見いだして、やはり将来的なミッション、ビジョン、バリューということを考えていったときに、将来に向けての広がりが必要というふうに考えまして、その開発をまずはルナクルーザーでスタートしたわけですが、その後に広がりを持ってもっと意義と価値を明確にしていきたいということで作り上げたという経緯でございます。
 
【竹森委員】 ありがとうございます。昨日まで実はずっとカリフォルニアにいて、テスラの人とも話していたのですが、お酒を飲みながら話していると結構Space-Xとテスラの間でエンジニアが行ったり来たりしていろんな技術開発をここまでやってよいのかというのはあるのですが、かなり相乗効果がありながらやっているのですけれども、正にトヨタさんが宇宙部門に入っていきながら、テスラどころではないものに取り組んで、もっと日本の自動車産業、宇宙産業も含めてワーッと盛り上げていただける日を見たなという気がするので、ぜひ頑張っていただきたいなというふうに思います。ありがとうございました。
 
【トヨタ山下部長】 こちらこそ、どうもありがとうございます。引き続き御支援のほどよろしくお願いします。
 
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、金山さん、どうぞ。
 
【金山委員】 どうもありがとうございます。金山です。これはおそらくJAXAの筒井さんにお聞きした方がよいと思うのですが、今回この有人与圧ローバの居住と移動という、世界で初めてこれを両方満たすようなミッションをお考えになっているということなのですが、この他に実際に移動している間に探査を行うようなミッションなり、後はそういった機器をこのローバに搭載していくような計画というのはございますでしょうか。
 
【JAXA筒井センター長】 ありがとうございます。実際に走るわけですので、走る間に観測できることを観測するというのはある意味我々のミッションだと思っていまして、環境観測でもあるし、走るモビリティ側、システム側がどういう挙動をしているかということ自体も新しい発見になるのではないかと思っています。そのようなセンサーを搭載したり、後付けでペイロードとして搭載したりすることもできるように考えていきたいと思っています。まだ具体的にこれを観測するのだというのを決めたものはないのですが、そういう無人で走りながらもデータを取っていくというものは常に考えていくつもりでいます。
 
【金山委員】 分かりました。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】 それでは、植木先生、お願いします。
 
【植木委員】 どうもありがとうございます。私もいつもわくわくしながら聞かせていただいております。そもそものところの理解をするための質問なのですが、この有人ローバに乗る2人というのは、NASAと今度日本人の宇宙飛行士が行く、その2人の事なのでしょうかというのが1点目です。
 あと、これは誰でも、それ以外の人でも使いこなせるようなものなのでしょうかというのが2点目です。
 あと、使っていないときはずっと月に置いておいて、自走で無人でずっと活動しているというのが想定なのですかというのが3つ目の質問です。
 それと、生かす、将来に向けてというところについての質問なのですが、いくつか絵を描いてくださっているのでこういったようなことを想定されているかというふうに想像しているのですが、これらのものに対する知識を得るためにはどういうことが明らかになったらよいのかみたいな、現時点で仮説のようなものあって進められているのでしょうかというのが4点目です。
 すみません、多くなりますが、部品などについても原則としてはオールジャパンで進めるというところを目指しておられるのかどうかも教えてください。よろしくお願いいたします。
 
【中須賀主査】 筒井さん、お願いします。
 
【JAXA筒井センター長】 まず、ここでいっているクルー2名というのはアルテミス計画で飛んでいく2名のことで、基本的には米国人ということになりますが、米国との協議なり取決めによって、そのうち1名が日本人であったり、もしかしたらヨーロッパ人になったりする可能性もあるかというふうに思っています。毎年その2名がこれに乗っていくということになりますが、それが10年間続くので、トータル20人が乗るということになります。それが1つ目です。
 2つ目は、誰でも使えるのかについては、宇宙飛行士であれば誰でも使いこなせるようなものにするつもりです。当然それぞれの宇宙飛行士に対してはミッションに行く前に訓練をしますので、訓練するためのトレーニングの設備も準備しないといけないというふうに考えています。
 それから、月に置いておくのかということについては、これは月に10年間置かれていまして、月に有人ミッションが来る時にお迎えに上がりますし、人がいない間は無人で走り回って、先ほど金山委員からご質問あったように観測ミッションなりをしていくということを考えているものです。
 それから、4つ目が少し理解できなかったので飛ばして、部品などについては特に日本の部品でなければいけないと思っているわけではなく、今世界にあるもので調達できるものは使っていくことを考えています。ただ、入手性について、もしかしたらカスタマイズを考えていったときに、日本にあった方がよいなと思うところは当然ありますが、そこにこだわって調達していくわけではないというふうに思っています。こちらが5つ目の答えですが、4つ目はもう一度御質問を伺ってもよろしいでしょうか。
 
【植木委員】 すみません、ここで得た知見を、こういったような地球でのものに生かせるではないかということをお話しいただいたのですが、それはやってみてこんなのがあるねというふうな計画なのか、それとも、こういったようなものを将来使えるためには、こういうようなことを明らかにする必要があるという、ある程度仮説のようなものを立てて、それを作る中でそこを検証していくというような計画も既にあるのでしょうか、それとも何か見つかったらそれを生かせるとよいなというような感じなのでしょうか?
 
【JAXA筒井センター長】 山下さんの方からお答えいただいた方がよいかと思います。
 
【トヨタ山下部長】 そうですね。ありがとうございます。どちらかというと、筒井さんからもご説明いただいていますように、まずルナクルーザーをやり遂げる一丁目一番地で本当にもう必死で今ついていっている状態になりますので、それを先を見越した技術開発をセットにというリソーセスが我々には少しないなというのが現状でございます。
 一方で、やればやるほどやはりトヨタがこれまで知らなかった新たな技術開発が生まれていっているのも事実でございますので、そういった開発アセットを、しっかりとこれは何かにつなげられるのではないかというチームも今年から組成しまして、出てきたものを転用していくという目線でまずは今取り組んでいるというような状況でございます。
 
【植木委員】 分かりました。どうもありがとうございました。
 
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、高鳥先生、お願いします。
 
【高鳥委員】 どうもご説明ありがとうございました。基本的な理解が少し足りないのかもしれないですが、月での活動なのですけれども、この有人与圧ローバは有人のランダで運ばれるということなのですが、基本的に有人のランダが拠点としてあって、そこから活動拠点に行って帰ってくるとか、そういったことの繰り返しをやるというような認識でいいのか、それで、お話がありましたがもし拠点で何かトラブルがあって動けなくなったとかそういったことがあった場合にレスキューをどのようにするのかというので、曝露ローバでレスキューしに行くという話がありましたが、例えば完全に動けなくなった場合に月には重機とかそういうのがあるわけでもないだろうし、最終的にはその動けなかったところに置いて後で対策を考えるのか、そういう辺りをどういうふうに考えられているのかというのをお聞きしたくて質問させていただきました。
 
【JAXA筒井センター長】 筒井からお答えします。ここの頁で少し混乱させてしまったかもしれないですが、有人与圧ローバ自体は大型のカーゴ用のランダで運ばれて、その後は月面にずっと月面のアセットとして存在するということになります。それで、それぞれ毎年の飛行士が行く有人ミッションにおいては、有人ランダというものが月面に到着しますが、それが拠点になることは難しくて、有人ランダ自体に生命維持や補給の能力が限られているので、そこに長居することはできないです。ですので、そこから有人与圧ローバに乗り換えて、そこからそれぞれの探査地点に向かっていくということになります。それで、探査が終わった後で有人ランダに戻ってきて地球に戻っていくということになります。
 有人与圧ローバが本当に動けなくなったときは本当に最悪の事態ですが、そういう場合に曝露ローバで有人ランダのあるところまで帰ってきて地球に戻っていくということを考えています。本当に動けなくなった有人与圧ローバの修理をどういうふうにできるかというのは、故障がどういうモードで起きたかによりますので、もう諦めざるを得ない場合もあるでしょうし、EVA(船外活動)で修理させて復旧させるような可能性もあると思います。基本的には有人与圧ローバは冗長系のシステムで構成して、一つの故障で動けなくなるようなそういうようなものにはしませんので、基本的にその曝露ローバに頼ってレスキューしなければいけないような事態というのはないようにしていくつもりです。以上でよろしいでしょうか。
 
【高鳥委員】 はい。どうもありがとうございます。もう一つですが、そのレスキューということの対策として、例えば分離して戻れるパーツを作るとかそういったところというのは難しいのでしょうかね。
 
【JAXA筒井センター長】 そうですね。システムを一体として作っていて、それを分割するとまた分割したところに生命維持機能が必要だったりしますので、そこはなかなか成立し難いというふうに思います。
 
【高鳥委員】 分かりました。どうもありがとうございました。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。それでは、石井委員、お願いします。
 
【石井委員】 取りまとめいただきましてありがとうございました。2つ筒井さんにご質問したいと思います。1つ目はこの有人与圧ローバを走らせるときのチャレンジのところで、いくつかご指摘いただいたと思うのですが、そういった課題と、それから日本として月探査を進めていく方向性とどのように連動していくのかということについてなのですが、具体的に申し上げますと、この後話題になると思いますが、月探査を進めていく上で例えばエネルギー供給をどのようにするかであるかとか、あるいはそのLNSSネットワークをどのように構築していくのかということが課題になっていくわけですが、有人与圧ローバを走らせるときに、そういったところの単なる探査というだけではなくて、その月のシステムを構築していく上で有人与圧ローバはどのような具体的な貢献ができるのかというところが当然期待されているわけですが、どういった相乗効果のようなものが期待できるのか、もちろんいくつか論点が出てきたと思うのですが、もしまだ他にあれば教えていただければと思いました。
 2つ目は資料61-1-1のスライド10枚目なのですが、有人与圧ローバの経費規模について検討中とあるのですが、どのくらいの見通しになるのかということと、その内訳について教えていただければ幸いです。以上です。
 
【JAXA筒井センター長】 ありがとうございます。1つ目の御質問は、月を開発していくにあたってどういうふうにこの有人与圧ローバが貢献していくかということを考えたのですが、まず、ここで開発する技術のうち例えばモビリティの部分は、月面を走ることで様々な月面の土壌の様子を知ることができ、それによって今度は何かインフラを作ろうとした場合に、重機の開発、シャベルのようなものを開発するときのベースとなるデータが得られると思います。例えば今回は展開型の太陽電池の大型のパネルを考えていますが、そういう大型の充電機能も当然インフラとして構築するときには必要な技術になってくるでしょうし、RFCも似たようなことで、高エネルギー密度の蓄電システムとしてインフラとしても使えるものになると思います。といった感じで、それぞれの技術は月面で活動していく上でのベースとなる技術として使われていくというふうに思っています。それが1つ目の答えになります。
 2つ目の経費規模なのですが、これは申し訳ないのですが今正に米国側とシステムの要求であるとかミッションの要求であるとかを実現性とともに協議を進めていて、それに基づいて我々もシステム検討していって、どのくらいの部品なり、どういう機能の機器で構成すればよいかというのを本当に検討している段階でして、経費規模を今ここで語れる状態にはないというのは申し訳なく思っています。もう一息検討が必要で、その上で経費規模についてはご説明できる日が来るかと思っています。以上になります。
 
【石井委員】 ありがとうございます。1点目は言葉足らずで大変申し訳なかったのですが、例えば衛星ネットワークを月の周りに作っていくというときに、それと例えば先ほどGPSが必要であるということおっしゃっていましたが、そのためのネットワークとして使っていくことでLNSSのネットワークを構築するときのイニシアチブを取れるといったことは考えられるのでしょうかというのが例えばの質問なのですが。つまり、有人与圧ローバ自体が探査にとって重要だということはもうご説明いただいたと思うのですが、他の外部のシステムの構築においてもこの有人与圧ローバを走らせることで日本としてイニシアチブを取れることはあるかと思うのですが、もしそういった点があれば教えていただければと思います。
 
【JAXA筒井センター長】 月面で、ここまで広い領域を10年間走らせるようなミッションは他には存在しませんので、先ほどからお話がありましたLNSS、GPSの月版のようなものとか、通信衛星のネットワークであるとか、そういったものの構築をヨーロッパ、米国、日本で検討しているわけですが、それの最大のユーザーになれるとは思っています。ですので、有人与圧ローバのミッションというものがそれらの開発をドライブするといいますか、最重要ユーザーとして位置付けられることにはなると思います。
 
【石井委員】 ありがとうございます。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。お時間になりますが、私の方から一点だけお聞きします。このローバが行ったときに、いわゆる月の上に恒常的な基地のようなものができているのかどうかということをお伺いしたいと思っていて、つまり、何かあったときに逃げ込んで安全になるような場所というのが有人ランダとこの与圧ローバしかないのか、あるいは逃げ込める基地みたいなものがあるかどうかということによっていろんな設計の仕方が変わってくると思うのですが、これがどんな計画かというのが1点目。
 それからもう一つは、あの有人ということの技術を日本として高める非常に良い機会だと思うのですが、宇宙ステーション等において例えば1 fail-operative, 2 fail-safeのような、こういう考え方でこれまでHTVとかJEMとかを作ってこられたと思いますが、今回このある種よりインディペンデントなローバになることによって、追加で必要な何かシステムズエンジニアリング的な技術の向上というのはあるのかどうか。この2点についてお願いします。
 
【JAXA筒井センター長】 ありがとうございます。1つ目のところですが、有人与圧ローバが最初に展開されるときには基地のようなものはまだ存在していなくて、おっしゃったように有人ランダをベースにそこの周りを回る有人与圧ローバ、曝露ローバで探査していくことになりますので、拠点はないということになります。有人与圧ローバがその拠点であるということになります。ただ、世界で固定の居住棟というのも計画はされていて、何年後になるかは分かりませんが拠点を構築するということも今検討されています。資料では少し絵が見えないですが、実はこの後ろ辺りに絵があるのですけれども、これについては別途検討がされている状況です。そうするとそこがベースになるということになると思います。
 2つ目の質問に関してなのですが、基本的に元々2 fail-safeで有人ものはよく考えられていますけれども、月探査においては質量の制約とかが大きいということもあって、基本的には1FOの要求を求められていて、基本的に2系冗長系でもって探査するといったシステムを構築することになっています。ただ、何か更なるケイパビリティとしてクルーが逃げる手段をどうするかというのを別途設定するということを考えていて、その辺りが今までの低軌道での有人活動とは少し違っていて、要求としてではなく別のオルタナティブの手段として検討しておくということです。先ほどの曝露ローバで逃げるというような話もその一つに相当するものになります。ですので、要求としては1FOといいますか、1故障許容なのですが、それに加えてクルーが逃げられるような運用を考えておく、そのようにシステムを作っておくということが考えられます。さらに、それとは別に当然有人ですので保全なり補給で修理するということも念頭に置いて設計していくことになります。この辺りはISSでも同じになります。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。新たなシステムズエンジニアリングになっていくということですよね。よく分かりました。では、これはたくさん皆さんから御質問、御意見が出て、すごく良い議論になったと思います。ぜひ今後も頑張って進めていただければと思います。JAXAさん、トヨタさん、どうもありがとうございました。
 
【トヨタ山下部長】 ありがとうございました。
 
【JAXA筒井センター長】 ありがとうございました。
 
【中須賀主査】 それでは、2つ目の議題に入りたいと思います。今度は月面の科学です。これについてJAXAさんより御説明をよろしくお願いいたします。
 
<JAXA 藤本副所長より61-2-1に基づいて説明>
 
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見がございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。永山さん、お願いします。
 
【永山委員】 ご説明ありがとうございました。世界のトップを目指すとても野心的な計画だと思いますので、ぜひ進んでほしいなと思っています。大きく2点を伺えればと思います。1点目は今の藤本先生の御説明の中で、その有人探査との関連性といったことを意識してこのプロジェクトを進めていくということをおっしゃっていました。先ほど御説明で端折られていたのですが11頁目にこの体制についての御説明の図があったのですが、それぞれのチームにそういったこのアルテミス計画全体とのつながりということを意識してそのプロジェクトを進めてもらうために、どういった形で横串を刺すような進め方を検討されているのか、それぞれの研究者の方たちは当然ながらの優秀な皆さんなので、そういった実現性に向けて上手に進められることとは思うのですが、そういったアルテミス計画全体との関連性ということを意識したプロジェクトの進め方、そしていろいろなタイムスケジュール等もあり、当然ながら予算の関係もあると思うので、そういったところの取りまとめ、収斂させていくプロジェクトを形にしていくというところでどういった工夫が必要と考えられているのか、体制について1点目は伺えればと思います。
 2点目については、そういった世界最先端のもので各国が関心を持っていらっしゃるということは先ほど御説明であったのですが、例えばNASAですとか、こういった月面探査に関心を持っている他局がどのような月面科学の計画を立てているのかということについて情報をお持ちでしょうか? もし例えば同じようなテーマでやろうとしていた場合、先ほどおっしゃっていたような早く手を付けるということがより重要になってくると思いますので、その辺りの状況をもし御存じであれば教えてください。以上2点、よろしくお願いします。
 
【JAXA 藤本副所長】 まず有人活動との連携ということなのですが、現時点では有人活動というのは具体的には極域に行って探査しましょうということにアルテミスではなっていますので、11頁のこの3つの中で、サンプルリターンチームとは具体的な話合いを始めています。具体的には、先ほどJAXAの方から説明いたしましたように、有人与圧ローバは日本が担うべき大きな貢献としてあるわけですが、これはNASAの方から見ればアルテミス7に該当するわけですね。ですが、アルテミス全体としてはアルテミス3から既に宇宙飛行士が月面に降りていろいろと極域を探査していくことになる。ですので、アルテミス全体ということを考えますと、有人与圧ローバそのものというよりもアルテミス3からどんどん進化していって、最終兵器と言い方をするかどうかは別としてある種大きなステップとしての有人与圧ローバが出てくると。そういった議論を今開始しているところです。そういった議論を開始する中で、正に極域でいろいろサンプルを採って調べるのだということが議論されていますので、月面の3科学という観点でこのサンプルリターンチームというものは選ばれたわけで、サンプルリターンチームには有人与圧ローバを見据えてNASAとアルテミス3からアルテミス7にかけてどうやって進化させていくのかというような議論についても参加していただくということを行っています。それが前者です。
 後半は他国の科学の活動なのですが、JAXAのように科学としてこうですよということをまとまった形で言っている機関は私の見立てではなかなかないですね。アルテミスというものがありますと。そこではこのようなアーキテクチャが整備されるのでその中で科学はできますねという議論があって、そういった舞台の上で様々な科学者の方が科学的テーマを提案するというようなことは普通には行われているわけなのですが、JAXAのようにこの3科学こそが一番大事な科学であって、これに対しては組織的に対応してきていきますというような形で宣言している他機関はないので、そういう意味では検討のやり方としてはリードしている段階になりますから、その組織的な対応ができるということをうまく使って先行していきたいと思っています。もし他機関で同じような研究でもやってくるとしても、個々の研究者が提案して個々の研究者のプロジェクトとして実施するという形になりますので、我々が今日ご紹介したようにスタンダードを取るだとかそういったことについてどれだけ考えているかどうか分からないですし、でも科学の世界ですので正面から勝負して、ぜひ日本が先導できる領域をできるだけ大きく取りたいなと考えています。
 
【永山委員】 分かりました。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。高橋先生、お願いします。
 
【高橋主査代理】 藤本先生、どうもありがとうございました。技術的な質問と、もう一つ別の質問があるのですが、最初の技術的な質問は、月面の裏からの天文学というのが出ていますが、これ1-50 MHzバンドになってくると実はものすごく雑音に厳しいと。それで、月の裏に行くので地球とかのノイズを避けられるのはよいのですが、自分自身がノイズ源になったりするはずで、そのために皆さんものすごく苦労したり検討したりしているのだと思うのですね。特にたくさんのものをそこに展開した場合は、何らかのコーディネーションがない限りはせっかくの月面の裏の天文学が台無しになる可能性があるのではないかと危惧しているのですが、その辺の検討はどうなっておられるかということを聞きたかったです。
 それから、特に月面という問題は、多分御存じだと思いますしNASAが正面からやっているものではないと思いますがLuSEE-Nightというのがあって、月面宅急便のようなものに乗っかって展開しようとしているというものがあると聞いておりますが、そういうものとの関係はどのようになっているのかを教えてください。
 
【JAXA 藤本副所長】 御指摘のとおりでして、ある種皮肉な状況なわけです。月面天文台というのは、昔から皆考えてきたのですが、月面に持っていってまでやるコストのことを考えるとなかなか現実的でないという流れの中で、アイデアとしてはあったのだけれどもといったところでした。つまり月の裏側というのはこういった科学をするためには素晴らしい場所だということをずっと言われてきたけれども、コストが非現実的ですよねというのが今までの状況でした。ところがアルテミス、あるいは世界的な月面活動の盛り上がりを受けて、月面において天文台を展開することも非現実的ではないということから、こういった動きが本格化したというのが経緯です。でもおっしゃるように、月面における活動が本格化すると、せっかく月の裏側が静かで素晴らしい観測環境だったのに、活動が活発化するということはノイズ源が増えるということですので、ノイズ源が増えてきたときにどうするのだというのは皆気付いてはいるのですが、それこそ国際的な取決めをしなければいけないのではないかというような議論が少しずつ起きてきているところですね。レギュレーションをどうするのだというような議論が少しずつ起きてきています。それは正に地球上でも要するに小型衛星がたくさん編隊で飛んでいると空が明るくなって天文観測に問題が出るというような課題がありますが、それと同じことが正に月の裏側における素晴らしい環境に対しても悪影響として出るのではないかということは今皆が気付きはじめて、レギュレーションをどうするのだということを考えはじめているという段階です。もちろん月面天文台というのはずっと昔からコンセプトとしてあったわけですので、アルテミスの動きを受けてアメリカの研究者がいろんなことを考えてきているというのはおっしゃるとおりです。ですが、そのアメリカのフレームワークにおいてはやはり月面への輸送サービスを使ってある研究者が自分の研究プロジェクトとして天文台を1台置くとか、そういった形で活動を進めてきていますので、もちろんそこから学ぶべきことはいろいろあるのでしょうけれども、日本のある種の強みといいますか日本の独自性としてはできるだけ組織的な対応をする中で、こういうやり方で観測するのが一番良いのだというようなスタンダードを取って、そこから組織的な国際協力が立ち上がるといった方向性を目指していきたいと考えています。
 
【高橋主査代理】 おっしゃるとおりだと思うのですが、例えば先ほど名前を言ったLuSEE-Nightみたいな活動は、やはり米国の研究者の中ではシリーズ化を考えていて、ステップ・バイ・ステップで進んでいて、月面宅急便みたいなサービスがあればそれがどんどん進む、民の活動も多いのだと思うのですね。なので、これからはこの宇宙研というような機関がきっちり進めていくものの他に、民を舞台にしたサイエンスというのもあり得るのだと思うのですが、その辺の、せっかくこの今の宇宙開発、アルテミスは民を巻き込もうということでもあるので、その辺をうまく融合させたようなアプローチというのは、何かあり得るものなのでしょうか。
 
【JAXA 藤本副所長】 ありがとうございます。6頁目をお願いしてもよろしいですか。おっしゃるように、この3科学を進める上では、JAXAあるいは宇宙研としてそのための科学ミッションを仕立てて進めるというのは、世の中の役に立ちながら同時に科学の成果も求めようと思うと、いま高橋先生がおっしゃったように多分正しいやり方ではないと思っています。ですので、輸送サービスがどんどん出てきたり、あるいは月面活動のための技術を獲得したいというメーカーがいらっしゃる中では、できるだけ輸送サービスを使っていくということも大事で、少しずつ展開していく。つまり、宇宙研として大きなミッションで100個いきなりばらまくとかいうことではなくて、少しずつ天文台のユニットを配置してみて実証しながら進めていくということが大事だと思っていますし、その天文台のユニットが月面に置かれた後に自律的に動くようなユニットということを実現するための技術というのは、月面活動を展開していく上で必ず必要となる技術だと思っていますので、そういった展開性ですね。月面天文台の良いものを少しずつ実証しながら、同時に月面で活動していく姿を別途展開していく、そういったイメージでこの6頁目の図は書かせていただきました。
 
【高橋主査代理】 ありがとうございました。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。それでは、竹森さん、どうぞ。
 
【竹森委員】 竹森です。ありがとうございました。金融なので門外漢で、先ほどお答えがあったかもしれないですが、月面の活動が世界的に産業色を強める中で、この科学の活動スタンスを体系的に整理する非常に良いトピックだなというふうに感じております。2つ御質問なのですが、1つはもうお答えがあったかもしれないですが、6頁に外部要因に依存し過ぎずやりますというコメントがあって、一方で国際協力をベースにしてやるということなので、どういう意味なのかなということだったのですが、先にやるのだということで正に標準化等も考えているというのでお話が分かりましたと。当然先にやるというのは日本は非常にサイエンス的にやってきているのですが、やはりその後に産業で取られてしまうというのがあって、そこはじくじたる思いなのですが、そのスタンスとしては12頁で搭載機会を高めて競争力を獲得するのだというお話だったと思います。先ほどの話で標準化の動きが余り感じられないなというのがあったのですが、少し勉強不足で、衛星のまぶしいところを制約を掛けるような動きがあるという話も伺ったのですが、この標準化に対してどうやって日本としてやっていくのか。逆にいえば先ほどの衛星がまぶしいといいますか観測に制約を掛かってしまうというところ以外に何か標準化の動きがあるかというのが1点目にお伺いしたい点ということです。
 2つ目は技術的な点で、小型という言葉を何度も使っておられたと思うのですが、その小型というのが一つのキーワードとするならば、何かそのコアとなる必要且つ足りないような技術とか、例えば何か資金とか活動とか手法とか手段とか、こういうもので何か必要となるものがあれば教えていただきたいと思います。この2点をお願いします。
 
【JAXA 藤本副所長】 まず、スタンダードということですが、2つの方向性があると思います。1つは科学です。この3つの科学に関してはまず世界の誰もがやりたいと思っている科学ですので、もちろん性能も大事なのですが、まずちょうどよいやり方で且つ他の国も同じように作れるぐらいの規模なものというのを狙うのが一番良いかと思っています。つまり、国際スタンダードというのはある意味この文脈においては人に真似してもらって且つ喜んでもらえるようなものかと思っているわけです。ですので、特に地震計の場合というのはすごく説明が分かりやすいのですが、ある周波数域をちゃんと観測するとものすごく面白いデータが取れて、それをちょうど良い規模、月面に持っていってもそんなにお金が掛からないとか、あるいは月面で置いておいても自律できる規模だとか、そういった意味でのちょうどよい規模なものということについて今正に開発を進めているところです。ですので、ここでの国際スタンダードというのは、良いものを作って見せて世界に真似してもらうというところ。そういった意味で国際スタンダードという言い方をしています。同時に、月面にポンとユニットを置いて、それが自律的に活動するというのは、これもまた世界中が欲しい技術ですので、それについてもやはり小型化だということが一つのキーワードになると思うのです。ちょうどよい規模というのが一つのキーワードになると思うので、ちょうどよい規模のものを作っていって、それこそそういった技術に興味のある産業界のメンバーの方と一緒に、世界から真似されるような、あるいは世界から買ってもらえるようなものが作れていければよいかと考えています。
 小型化も、これはある種日本の宿命でして、先ほどの有人与圧ローバの場合はBlue OriginだとかSpace-Xだという話がありましたが、日本のランチャーはそこまで大きくない中で、でも必ずしも大きなものでないと面白いことはできないというわけではないし、実際いろんな方が月面活動に参加されようと思うと、やはり小型でも優秀な装置というのは必要となっていくと思うのです。それも日本ならではの立場でどんどん狙っていける領域なのではないかという意味でキーワードにしています。以上です。
 
【竹森委員】 ありがとうございます。
 
【中須賀主査】 それでは、次で最後にしたいと思います、植木先生、お願いします。
 
【植木委員】 どうもありがとうございます。大変勉強になりました。また門外漢なので簡単な質問になりますが2種類の質問です。1つは、今スタンダード化するお話を丁寧にしてくださったと思うのですが、他方、先ほどある程度の余り月の裏側にたくさん置き過ぎてそこでまた問題にならないようにコーディネーションしたりレギュレーションが必要となってくるだろうというお話だったのですが、スタンダード化していく中で、そこで多数を取れればそちらのレギュレーションの方にも役立つということでしょうか、それともレギュレーションはまた全く別の方法でどのように進めていったらよいか、何か今考えておられることあるいはアイデアがあれば教えていただきたいと思います。
 もう1点ですが、ちょうど昨日たまたまこちらでスミソニアンとハーバードで最初の星について研究している人と話をしていたのですが、この月でやる前にアメリカでその人たちとの話だと、局でやったりあるいはニューメキシコの方で天文観測をしたりというような話を聞いていたのですが、地球におけるこの天文の日本の状況というのは、国際的に見てどの程度競争力があって、どこら辺の位置にいて、地球においてももう少し予算とか何か必要なものが今後見たときに月に向けて何かあるのか、それともそこは十分なのかについて伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
 
【JAXA 藤本副所長】 まずレギュレーションに関してですが、やはりレギュレーションの議論においてはどれだけ発言力があるか、その発言力の確保ということが一番大きな課題になると思います。ですので、世界中の人がそれは良いという観測装置を作って、この観測装置でネットワークを張っていけば良い観測はできるのだけれども、でもちゃんとルール作りをしないとノイズばかりができてそれはできないですよという状況であれば、正に発言力は取れると思いますので、国力を背景にいきなりレギュレーションに踏み込んでいくということはなかなか難しい中で、世界の人が良いねと思ってくれる装置を作る中での発言力の確保ということをここでイメージしています。
 その良い装置を作れるような実力が日本にあるのですかということなのですが、今ここでお話ししているのは天文学の中でも電波天文学という領域になります。最近一番有名なものとしてはアルマで、南アメリカに国際協力で作った干渉計の電波望遠鏡があるのですが、そこにおいても日本が大きな活躍をしました。そのアルマで大活躍された天文台のメンバーの方が、月面に天文台を置くなんてことは現実的に考えていいんですねというチャンスを見た途端にここの活動に参加していただいていますので、日本では実績があった上で且つトップクラスの方が月面天文台の検討には参加していただけているというふうに私は考えています。以上です。
 
【植木委員】 ありがとうございました。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。それでは、そろそろお時間ですので、これで2番目の議題は終わりにしたいと思います。皆さんの御意見ありがとうございました。藤本先生、どうもありがとうございました。
 
【JAXA 藤本副所長】 ありがとうございました。
 
【中須賀主査】 それでは、議題3に移りたいと思います。当面の月面探査の進め方について、まず事務局よりご説明いただきます。よろしくお願いします。
 
<鈴木室長より資料61-3-1に基づいて説明>
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。それでは、後は皆さんにこれを見ていただいて御意見、御質問を頂くということでよろしいですか。
 
【鈴木室長】 そうですね。皆様にはこれにとらわれずどういった形で取りまとめをすべきかという点について御意見を頂ければと思ってございます。
 
【中須賀主査】 分かりました。それでは、皆さんにこれをざっと見ていただいて、もう読まれている方はご意見いただければと思いますが、御意見、御質問が見つかった方からご発言いただければと思います。いかがでしょうか? 次回はこれをベースに更にもう少し盛り込んだ形での報告書が出てくるという理解でよいのですか?
 
【鈴木室長】 次回は素案として文章の形で出したいと思ってございます。ぎりぎりになってしまいましたが、そのイメージについては委員の皆様には昨日の夜お送りしてございますが、これをもう少ししっかり書き込んだ形で次回は公開資料としたいと思っています。
 
【中須賀主査】 分かりました。それでは皆さんいかがでしょうか。ざっと見ていただいてご意見できる方からご発言ください。永山委員、どうぞ。
 
【永山委員】 ありがとうございます。少し細かい点にはなるのですけれども、やはり日本の強みというところに入ってくるのかもしれませんが、SLIMの成果というのは非常に大きなものだと思いますので、そういったものを今後の月探査にどう生かしていくのかということはぜひ盛り込んでいただきたいと思いました。でも、SLIMに関しては、本日お話にあった宇宙科学のサイエンスの方のポイントというのが今のこの一覧でははっきり書かれてはいないので、その辺も書き込んでいくことが必要だなと思いました。
 あと、1点質問なのですが、最後のこのアメリカの市民の方たちへというのは、どんな目的でどんなものをイメージされて書かれているのか伺えればと思いました。以上です。
 
【中須賀主査】 鈴木さん、お願いします。
 
【鈴木室長】 最初の御意見については、本日の発表を踏まえてSLIMの強みについてもしっかり書き込むようにしたいと思ってございます。
 最後の丸については、前回の委員会の時にIAの締結の話をした時に、しっかりと一般の人たちにも分かるように月面与圧ローバの価値等を説明していくべきだという御意見を頂いたことを記載しています。ここだけ取り出すと分かりにくくなってしまったとは思っていますどういう点で与圧ローバに価値があるのかという点については報告書の中にもしっかり盛り込むようにしたいと思っていますし、そういったことの発信も今後考えていくということも重要であるという点についても記載したいと思っています。
 
【永山委員】 分かりました。今の後段の点は非常に重要だと思いますので、やはり日本と一緒にやっていくというのは、アメリカにとってだけではなくて例えばISROともやっていますし、他の局とも一緒に日本とやるとこういったメリットがある、日本もこういった技術をぜひ生かしてほしいと逆に声が掛かる、そういったような形にしていくことはこれからの月探査では欠かせないと思いますので、そういった意味での情報発信をしっかりしていくというところは盛り込んでいただければと思います。以上です。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。今の永山さんのおっしゃったいわゆるピンポイント着陸というのが、やはりこれは世界に先駆けて55 mという非常にピンポイントの着陸に成功したのだけれども、そこで終わっていたらこれはチャンピオンデータを取っただけで終わりなのですよね。なので、この55 mがどう今後生かされていくか。これがあるからこそできるサイエンスであったり何か活動を日本が先陣切ってやっていくというようなことをやると、日本のプレゼンスが、あるいはこういう競争の中での立ち位置が更に良くなっていくだろうとは思うので、そういったこともどこかに書き込んだらどうかなというふうに私も思います。いかがでしょうか。
 
【鈴木室長】 分かりました。工夫して書いてみますので、また次回、ご意見いただければと思います。
 
【中須賀主査】 すみません。では、高鳥委員、どうぞ。
 
【高鳥委員】 最初のところに月探査のリーダーシップのことを書かれているのですが、水探査以外のいろんな資源探査についてもやはり国際連携・国際協調は重要だと思いますので、その点は記載されていただきたいのと、後は何回か前に意見を申し上げましたがやはりそういったところのルール作りというのが必要で、ある程度資源というのが明確になってきた場合に利害が対立するということが出てくると思うのですが、そういうことが分かる前にルール作りについても日本がリーダーシップを発揮することが重要かというふうに思いますので、その辺を記載していただけると有り難いなと思います。以上です。
 
【鈴木室長】 ルール作りそのものは文科省がリーダーシップを取るというよりは、内閣府の方でという部分もあるかと思いますが、記載の方法については工夫したいというふうに思います。ありがとうございます。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。まだ皆さん考えていただければと思いますが、私から一つ、月への足を今後どう考えていくのかということで、この月輸送に関していという項目がありますが、これを日本としてどう考えていくのかという、政府あるいは産業界を巻き込んだ方針をやはり考えていかなければいけなくて、例えばispaceさんがずっと月に定期的にビークルを送り込んで着陸をするというようなことをどう生かしていくか。あるいは日本のイプシロンとかH3辺りをどう使っていくか。あるいはもうこれは国際協力なので国際的な先ほどのSpace-XとかBlue Originのロケットに載せるのかとか、いくつかやはり選択肢があって、それぞれのサイズごとにやはりコストパフォーマンスの良いやり方を、それからアベイラビリティの高いやり方をやっていかないと、やはり何回かやらなければいけないので、繰り返しの中で尖ったものを作っていくということのためにはその回数が必要だと思うのです。その辺の戦略を、まだ今立てられないにしても考えていく必要があるということをやはり書いた方がよいのではないかというふうに思います。いかがでしょうか。
 
【鈴木室長】 御意見ありがとうございます。回数を必ずやると書くのは難しいかとは思いますが、米国でも民間がしっかり担える力を持つこと、民間が事業としてサービス化していくということが持続的な活動において非常に重要だという考え方を示されていますが、日本も同様だというふうに思ってございます。政府としてアンカーテナンシーがどれくらいできるのかまでは書き込めないかとは思いますが、考え方については書きたいと思ってございます。また、海外に全て頼るということではなく、運ぶものであったり、柔軟性ということを考えた場合に、日本の企業が輸送を担えることは非常に重要と思っています。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。植木先生、どうぞ。
 
【植木委員】 どうもありがとうございます。最終的なイメージを私はうまくつかめていなくて的が外れている意見になるかもしれませんが、羅列だけだと何となく分かりづらいかと思うので、何かこういう答えを出したいという大きな項目にいくつかしてまとめていただけると、次の回にもそこを埋めていくような形にできるのかなと思って今伺っておりました。
 それと、具体的なところで、日本の強みを生かしていというのが毎回出てきて、確かにそれはとても大事なことですし、それを生かして国際的に参加していくというのは現実的にもやり方としては良いのだろうと、もちろんそこは同意なのですが、何とかある程度このずっと国際的な参加をし続けていけるために、ある程度強くないところの底上げを、便乗した形でというと変ですが、そこも目指していくことが長期的に見ると重要かと思うので、どういう書き方がよいのか分かりませんが、そこの全般的な力の底上げあるいは今後もう少し伸ばしたいところを、この10年間の機会に付けるというような、何かそういうような観点もあってもよいのかなと。何か強いところを更に伸ばすというだけでなく、そういう視点も少し必要かなというふうに思いました。
 あと、与圧ローバなのですが、1台作って1台持っていくということだと思うのですけれども、先ほども壊れたら置いてくということでしたが、少し分からなかったのは、今後のことを考えると、2台目も作って同じようにシミュレートしていくとか、何か方法がないのかなと思って伺っていました。すみません、ランダムな話になりましたが、ですので一番大きなところは、大きな流れに沿った形のいくつかの課題を事務局の方で出してまとめていただけると、そこのところに足りない部分を次回また入れ込む作業ができるのかなというふうに思いました。以上です。
 
【鈴木室長】 御意見ありがとうございました。流れが分かりにくく細切れになっているというのは御指摘のとおりかと思いますので、うまく書けるようにしたいと思います。日本の強みだけではなく底上げも重要だというのも非常に重要な視点かと思いますが、育ってきてはおりますが、なかなか産業が育っていないというのが日本の一つの弱いところかとは思ってございますけれども、うまく技術移転等を通じて、スタートアップも含めて宇宙産業を育てていくというのは重要なことかというふうには思っております。
 月面与圧ローバについても御指摘のとおり2台目ということもあるのかもしれませんが、まだ1台も始まっているという状況ではないので、今2台目も作りましょうとはなっていませんが、1台目を作った後、月面の持続的な活動に何が必要かということを含めて、考えていった上で2台目の議論も今後なされていくのではないかと思っております。
 
【植木委員】 ありがとうございます。それと言い忘れていたのですが、先ほどのルール作りの観点とリーダーシップのところで、藤本先生がおっしゃっていたいろんな人がたくさん使いたいようなものを作ることによって発言力を確保していくというのはとても重要な視点だと思いますので、何かそういったような形で書けたらよいのかなというふうに感じております。ありがとうございました。
 
【中須賀主査】 すみません、今の植木委員がおっしゃっていた流れというのは、例えば月を使ったトップサイエンスを目指す流れ、それから産業化をしていく流れとか、そういうイメージの流れでよろしいのですか?
 
【植木委員】 はい。大きな項目項目に分かれて、この目指すところの枠組みでそこに具体的に入れ込んでいくような形だと、私たちの意見を出しやすいですし、読む方も分かりやすいかと思った次第です。
 
【中須賀主査】 構造化するということですね。おっしゃるとおりです。分かりました。石井委員、どうぞ。
 
【石井委員】 ありがとうございます。私もいま植木委員がおっしゃったことに強く賛同いたしまして、やはりどういう方向で行くのかということがはっきり見えると、より説得的な文章になるのではないかと思いました。
 それに加えて2つあるのですが、1つ目はルール作りに関連するところでして、そのルール作りについてはここでは正面から使わないというふうに理解したのですが、やはり書きぶりとしまして、国際協力の在り方について触れるのであればもう少し考え直すところがあるのではないかと思いましたのは、基本的にはアメリカとの協力をかなり重視されているのが見えてしまって、もちろんアメリカはおそらく一番大事な国ではあると思うのですが、それだけではなくて欧州もそうですしインドもそうですし、他の国と協力していることであるとか、あるいは直接協力していなくてもやはり宇宙は国際公共財だというふうに考えますと、それだけではなくて例えばグローバルサウスみたいに技術を持っていない国にとってもメリットがあるのだというようなところまでいえると非常に良いのではないかと思いました。これを入れるかどうかは別としまして、そういったアメリカ中心になっているというニュアンスが出てしまうと少しもったいないかなというふうに思いました。
 もう一つは、少なくとも技術については標準を取っていくということはおそらく言った方がよいかというふうに思います。その観点で申しますと、例えば頂いた資料の中で書き方としまして例えば日本が必要な技術要求を示していくことが必要であるという書きぶりだったり、あるいはこういったことができる可能性を明らかにすることが必要といった書き方をされていますが、そこから一歩進んで、日本がその標準を確立していく上でリードしていくのだということまで読めるような形にしてもよいのかなというふうに思いました。
 2点目は、産業を育てるという点に関しまして人材の育成については余り触れられていなかったのかなというふうに思います。これもこの文章のそれ自体になじまないから入れていないだけなのかもしれませんが、やはりその産業を育てるという意味では人が中心になっていくわけでして、どういった形で人を育てていくのかであるとか、あるいは外国から優秀な方に来ていただくといったことまで一言でも入っていると、メッセージとしては強くなるかというふうに思いました。以上です。
 
【鈴木室長】 御指摘の点をうまく盛り込めるように検討します。国際協力について米国だけではないということを書く点や、標準については日本がリードできるところはリードしていくという点、人材育成、国際的なところも含めて記載するという点が御指摘だったかと思ってございます。ありがとうございました。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。あと一つ二つぐらい時間はありますが。私の方からもう一点だけ。これはこの月探査に限った話ではないのですが、日本の中で特に大学のようなアカデミアの中で、どの大学は何々が強いと。それをずっと継続して研究開発をしているから、プロジェクトに参加してもその分野で貢献できると。こういう拠点化をどんどんやっていかなければいけないのだろうと。なかなかこれまでできていなくて、それぞれのプロジェクトごとにどこかが頑張ってやるということも行われてきたと思うのですが、そうではなくて継続してずっとある分野の研究をしているから、いざというときにそこに頼めて、プロジェクトの中にも入ってもらうということを、もっとこの月なども一つの題材として強化していく必要があるかなと。これは衛星とかロケットも含めて全ての分野でそうなのですが、そういったことをぜひこの月探査を一つの題材としてご検討いただければと思います。
 そのときに例えば何も先立つものがないときにこれをやりなさいといっても大学は動かないので、なので、宇宙戦略基金であるとか、あるいはこういった月探査に関係する資金をうまく戦略的に割り振ることによって、どこそこは何々が強いというようなことをもっと強化していってもよいのではないかと。日本のようにやはり資源が限られて人も限られている中では、そこは非常に効率的にやっていかなければいけないだろうと思うので、この月探査も一つの機会として使っていくとよいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 
【鈴木室長】 御指摘の点について、考え方について報告書に記載するということは可能ですが、具体的にどうやってやっていくのかについては、議論が必要と思ってございます。
 
【中須賀主査】 まあ、そういう議論をしましょうということでいいと思いますが。
 
【鈴木室長】 分かりました。そこも含めて報告書には記載し、今後の具体的なやり方については、委員会の中でも可能かもしれませんが、それ以外のところでもヒアリング等をして具体的なやり方を考えていければと思います。
 
【中須賀主査】 この辺り、宇宙研の藤本先生とかはどうでしょうか。何か御意見はございますか?
 
【JAXA 藤本副所長】 中須賀主査がおっしゃった先立つものがない限りなかなかついてこないというのは本当に実感としてあるところです。あと、やはりシリーズ的に展開していく、今はやりの言葉だと予見性というのですか、そういうのも見えて、やはり科学ミッションですとその都度プロポーザルがなされてというところがありました。ですが、割と宇宙科学も成熟してきて、どんなことをやるにしても絶対必要な技術ってありますよねというのも見えてきましたし、あるいは月、火星という結構大きな流れもあるので、比較的議論する土壌は整ってきたかというふうに思います。以上です。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。高橋先生もどうぞ。
 
【高橋主査代理】 関連したことなのですが、個々の大学ということもさることながら、やはり宇宙に行くために必要な試験設備とか、そういうインフラ的なところもアカデミアの中でいろいろとまだあると思いますので、そこら辺もきちんと重点化していかないと、計画はあるのだけれども日本で独自のミッションをどんどんと進めていこうと思ったときに支障になる場合もあると思うので、その辺もうまく取り込めるとよいなと思いました。
 
【中須賀主査】 ありがとうございます。試験設備は特に放射線試験装置などが大分老朽化しているので大きな課題であるということは衛星開発・実証小委員会の方でもいろいろ議論しているところで、そういったことを含めて日本としてのインフラをしっかり整備する大事なテーマだと思います。ありがとうございました。よろしいでしょうか?
 それでは、お時間でございますので以上で議題3の方も終了したいと思います。最後に、事務局から御連絡があればよろしくお願いいたします。
 
【事務局】 事務局でございます。本日の議事録については文部科学省のホームページで公開をいたします。また、資料については既にホームページに掲載しております。次回の小委員会につきましても、引き続き当面の月探査の進め方についてご議論いただく予定ですが、具体的な日時については日程調整の上で改めてお知らせいたします。事務局からは以上でございます。
 
【中須賀主査】 次回はなるだけ現地でやるのですよね?
 
【事務局】 そうですね。次回は皆さんの御都合が合うところで対面でできれば開催したいと思っております。
 
【中須賀主査】 なるだけ現地に来ていただきたいなというふうに思います。
 
【事務局】 よろしくお願いいたします。
 
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして本日の会議を閉会といたします。ありがとうございました。

(了)

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