令和6年4月24日(水曜日) 10時00分~12時00分
文部科学省3階2特別会議室またはオンライン
臨時委員 中須賀 真一【主査】
専門委員 高橋 忠幸【主査代理】
専門委員 石井 由梨佳
専門委員 植木 千可子
専門委員 倉本 圭
臨時委員 高鳥 登志郎
専門委員 竹森 祐樹
臨時委員 永山 悦子
研究開発局長 千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当) 永井 雅規
研究開発局宇宙開発利用課長 嶋崎 政一
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長 鈴木 優香
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室補佐 橋本 郁也
(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事 松浦 真弓
国際宇宙探査センター センター長 山中 浩二
SLIMプロジェクト プロジェクトマネージャ 坂井 真一郎
有人宇宙技術部門月極域探査機プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 麻生 大
有人宇宙技術部門事業推進部 部長 小川 志保
有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ 宮崎 和宏
国際宇宙探査センター事業推進室 室長 永井 直樹
宇宙科学研究所科学推進部 計画マネージャ 加持 勇介
経営企画部企画課基金準備室 参与 佐々木 宏
経営企画部企画課 主査 嶋田 修平
(ispace社)
代表取締役CEO & Founder 袴田 武史
CTO 氏家 亮
Expert, CROオフィス 井實 悠
【事務局】 事務局の文部科学省研究開発局宇宙利用推進室の橋本でございます。
定刻になりましたので、ただいまより国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第60回会合を開催いたします。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。本日の会議は14時までを予定してございます。
まずはじめに、事務局の人事異動がありましたので御紹介いたします。4月1日付で、宇宙開発利用課長上田が異動となりまして、新たに嶋崎が着任しております。
【嶋崎課長】 4月1日付で宇宙開発利用課長を拝命いたしました嶋崎でございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
議事次第を御参照の上、資料に不足等がございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。よろしいでしょうか。
また、本日ですけれども、手元にマイク兼スピーカーを用意しております。マイクの手前側にあるスイッチを押していただくとボタンが入り、御発言可能となります。1人ずつしかスイッチが入りませんので、御発言後はスイッチを切っていただきますようお願いいたします。
なお、本日は全議題公開での実施でYouTube配信をしております。事務局からは以上でございます。
【中須賀主査】 よろしいですかね。それでは、始めていきたいと思います。
前回の委員会で、6月中目途に本委員会として取りまとめを行いたいと事務局より御提案がありました。当面の月面探査の進め方について、本日は議論を進めていきたいと思います。まず、議題1として、水資源探査の関連で、月極域探査機のLUPEXについて、JAXAより御説明よろしくお願いいたします。
<JAXA麻生プロジェクトマネージャより資料60-1-1に基づいて説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。
それでは、今の御説明に対しまして、御質問、御意見ございましたら、よろしくお願いいたします。 永山さん、どうぞ。
【永山委員】 御説明ありがとうございました。
大変チャレンジングと言いますか、他国とは違って、直接月の物質を測るというところが非常に楽しみだなと思いながら伺いました。
実際、計画の進捗状況のところで伺えればと思うのですが、H3が先日無事打ち上がりましたが、想定のスケジュールよりは、やや遅れてスタートを切ったという形になっています。それと、先ほどランダですとか、いろいろな開発状況の御説明があったのですけれども、その中でローバなど、やや遅れているものもあるというようなお話があったのですけれども、25年度末の打上に向けての今の進捗状況ということを改めて伺いたいなということと、あともう一点、ISROとの連携ということで、これまでNASA、ESAなどとの連携はJAXAとしても多くの経験をお持ちだと思うのですけれども、このISROという機関との連携で苦労されている点がもしあれば、それを解決するために工夫されている点があれば伺えればと思いました。
【JAXA麻生プロマネ】 御質問ありがとうございます。
まず1点目の進捗ですが、御理解のとおりで、予定通り進んでいるものもあれば、遅れているものもあります。遅れているものも、大半が外的要因でして、例えば、ローバが遅れている理由は、ローバの設計そのものが足踏みしているというよりも、ISROとのインターフェースですね。ランダとローバを締結する部分の寸法が決まっていなかったとか、そういうことがもう半年以上とか続いて、調整しても、やれ大きくしろ、小さくしろ、ということで、そういうことを半年以上繰り返している、そういうような状況があって遅れています。ですから、もちろん挽回策というものをいくつか出していますけれども、今非常に厳しい状況ではあります。
ローバ開発進捗状況だけではなくて、御理解のとおり、H3のマニフェストの問題、それから、NASAや、ESA側の観測機器の開発状況も、やはり彼らも少しずつ遅れていますので、観測機器も遅れています。ですので、非常に厳しい状況でありますが、いくつかリカバリープランを作って、何とかしようとしているところです。
2番目の御質問のISROですが、ここが最もこのプロジェクトが苦労しているところでして、コロナでやはり停滞したことがすごく大きくて、コロナの3年間、ISROとなかなか進められない時期があったのですが、特にその中で、ISROは3か月間、事業所閉鎖といって、全く音信不通になる時期が2回あったのです。つまり、6か月も、私達はISROとほぼ何もできないという状態が続いた時期が、20年、21年ぐらいにあったわけですから、それでやはりISROとの調整が遅れています。
ですので、それをどうやって解決しようか、ということですが、コロナが収まってきて、テレコンでは,やっぱりどうしても、黒板に書いて、「いや、ここはこうだろう」という締結部の絵とか、そういう議論がなかなかできないものですから、昨年の4月にそちらに行かせてくれと言って訪問したらたった2日間で、その3年分をほぼ追いつくぐらいの進展がありました。やっぱり、これだけオンラインが進んだ世の中ですが、対面だとより効率的に調整できるということですので、来月にも改めて訪問し調整を進めようとしているところです。
【永山委員】 ありがとうございます。
そこで、インターフェースのところが一気に解決できるとよいな、という感じでしょうか。ありがとうございました。
【JAXA麻生プロマネ】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。オンラインの方々も手を挙げていただくか、ミュートを外して発言いただければと思います。手が挙がりましたね。どうぞ、お願いいたします。
【倉本委員】 倉本です。
カメラをオンにしたいのですが、パソコンの調子が悪くてカメラが動作していませんので申し訳ありません。
私はサイエンティストですので、少しミッションの内容に関するところで質問があります。1つ目が、4頁目です。水の分布、それから抽出しやすさを定量的に調査するということだったのですが、まず環境条件をどのように解き明かそう、つまり特徴づけしようとしているのか、というところを伺いたいのと、もう一つ、水の抽出しやすさのところで、分子量、分子種とおっしゃっているのですが、この書き方ですと、多分専門から遠い方からすると、あれは水だから、分子量、分子種は決まっているのではないの?というふうに考えるのではないかという気がするのですね。おそらく、何か不純物みたいなことを想定して、これを書いていると思うのですが、その辺りもう少し詳しく説明いただけますでしょうか。以上です。
【JAXA麻生プロマネ】 ありがとうございます。
2点の御質問、まず1点目、環境条件の特定ですけれども、ローバの強みとして、いろいろな環境条件のところに行けるということがあります。例えば、日照率が70%、80%というような、極域の高台のところ、山の尾根みたいなところ。あるいは逆に、ほぼ永久影みたいな、1年間で何日間しか光が当たりません。実は永久影と言っても、二次反射光があって、クレーターの底に永久影が多いのですけれども、クレーターの壁のところに当たった光が反射して返ってくる光というものがありますので、本当の意味で、二次反射光もない、三次反射光もない、全く光が当たらないという場所は、地表にはほぼ存在しないのですけれども、そういう環境条件のところを我々のカメラ、あるいは温度計、そういうもので調べて、さらに1.5mまで掘ることによって、その1.5mの中の50cm、あるいは75cmのところにどれだけ水があるのかという、そういうことを細かい単位で、3cmレベルで解き明かそうとしていまして、環境条件による水の分布の違いというものを、そういう技術によって解き明かそうとしています。
それから、2点目の分子種のところですけれども、水の不純物というよりは、砂を熱すると出てくる、水が昇華する温度というものは、真空下では、大体マイナス160℃ぐらいで昇華すると思いますので、その近辺で軽くなれば、不純物と言うよりは、水だというふうに分離できるわけですけれども、それだけでは水といっても、分子量16、17、18とありますので、その3つの水の中のどれなのか、ということによっても、将来プラント等を作る上で、取り出し易さというものは変わりますし、あるいは、これはもっとずっと高温に熱さないと取り出せないぞという、OH基などは、構造的に存在している水素というものは、なかなか取り出せないというものもありますので、あるいは、中国がサンプルリターンで見つけた、ガラスビーズの中に入っている水ですね。元々月起源のものですけれども、こんなものもありますので、その分子種によって、プラントで水素エネルギー、あるいは酸素エネルギーというふうに取り出すときに取り出し易いのか、否か、ということも変わってきますので、そのvolatileを後段の微量水分計ですとか、質量分析計にかけて解き明かしたいと思っています。
【倉本委員】 ありがとうございます。
前者の方で追加の質問ですが、環境条件ということに重点を置かれて御説明があったかと思います。地盤の特性といいますか、地質的な特性みたいなところはどうでしょうか。
【JAXA麻生プロマネ】 すみません、非常に大事なことを。
地盤特性も取ろうとしています。もちろん、走行の最中のスリップ率ですとか、沈下率ですとか、そういうものを計測します。それのみならず、地盤の特性を計測するためのせん断力を調べるベーンせん断機というものを持っていって、それを地中に入れて、風車みたいなものですけれども、これをくるくる回すことによって、砂のせん断力がどれぐらいあるのかという、そういうデータも取ります。それらのデータを全てアルテミス協定で米国と共有するということになっています。
【倉本委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 他にいかがでしょうか。
【高鳥委員】 高鳥ですが、よろしいでしょうか。
【中須賀主査】 はい、どうぞ。
【高鳥委員】 御説明どうもありがとうございました。
月探査、水探査については、国際連携が非常に重要だと思うのですが、NASA、インドとは、ほぼ一体となって進められているということですけれども、一方、中国も水探査を進める動きがある中、中国と何か連携する動きというものはあるのか、ということと、先ほどのお話で、インドとは一緒にやっているのですけれども、NASAとはどのような連携となるのか、協力するけれども、一応個別に水探査を行うのか、それとも一緒に水探査を進めていくということになるのか、その2点について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【JAXA麻生プロマネ】 御質問ありがとうございます。
まず、中国の水探査といっても、嫦娥7で極域におりて水探査をします、嫦娥8ではサンプルリターンをしますとか、そういうレベルでのことしか、私達は情報を持ち合わせませんので、なかなか協力というところまで発展していない、あるいは発展は難しいというふうに考えています。
一方、NASAですけれども、NASAは単独でやるわけではありません。先ほどの7頁目の運用概要で、およその水の場所を突き止めます、というふうに申し上げましたが、このおよその水の場所をつきとめるセンサが、この7頁の左下の方に書いてありまして、このNSと書いてある中性子分光計、これがNASAのVIPERにも載る分光計です。
これは、例えば地面の1m下ぐらいのところに水があります、ということを、出てくる中性子で、熱中性子で分かるのですけれども、それをNASAも、我々の観測計画の中の一部に取り込んで、NASAのNS、それからインドのGPR、右隣ですね。そういうものを全部トータルとしてデータを合わせて、この辺にどうも水、先ほど通ったこの辺に少し誘電率が違う場所、あるいは熱中性子が出てきている場所があったという、そういう総合的な判断をして、掘るポイントを決めるという運用になってございます。
【高鳥委員】 ありがとうございます。
そうなりますと、基本的にはNASA、インド、日本は一体となって連携して進めていくということになるということですね。理解しました。ありがとうございます。
【JAXA麻生プロマネ】 ヨーロッパの表層分圧計ですね、その図の一番左下側にあるEMS-Lという、これもヨーロッパの分光計です。これも入っています。ですので、4者の観測機器で疎観測を行っていきます。
【高鳥委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 他にいかがでしょうか。
【植木委員】 植木ですが、よろしいでしょうか。
【中須賀主査】 はい、どうぞ。
【植木委員】 すみません、このままカメラをオフでさせていただきますけれども、どうも御説明ありがとうございました。少し重複するところもありますけれども、国際協力について質問させていただければというふうに思います。
1点は、今協力体制ができている国については御説明いただいたことと、あと中国の方とはあまりありません、ということでしたけれども、日本以外のところで、中国とある程度もう少し情報を交換できているところがあるのか、ないのか、ということと、こちら側から働きかけるということは将来的に可能性としてあるのか。あるいは、そうすることで、何か向こう側からも情報提供がありそうなのか、もうそこは可能性としてあまり追求されていない分野なのか、ということが一点と、もう一つ、LUPEXのことで、インドとの連携についてですけれども、大変御苦労されながら進めていらっしゃることを御説明いただいてありがとうございます。
このISROとは、他の国とはこれまでに何か協力をして、要するにISROと協力とか、いろいろと進めるときは、こういうことに気をつけながらやると進みやすいとか、そういう情報があるのか、ということと、ISRO側の協力体制があまり進んでいないという理由として、他の国との協力はあまり経験がないからなのか、それとも、この計画についての意思がそれほど強くないのか、あるいは、他のプロジェクトが優先されているのか、どの辺に原因があるというふうに思われて、どうやったら実際にこちらから行く以外に、何か構造的に解決して、うまく進めていける方法が探れそうなのかどうか教えていただければと思います。
この水の部分は特化して調査するのも、ISROと日本と、あともう一つはヨーロッパ系ぐらいしか赤く囲んだところがなくて、これから進めていくためには非常に大事だというふうに理解いたしましたので、伺わせていただきます。よろしくお願いいたします。
【JAXA麻生プロマネ】 2点いただいたと思いますが、1番目は日本以外の国で中国と連携という、そういう動向はあるのでしょうか。という御質問でしょうか。
【植木委員】 はい。要するに、日本はあまりやっているというぐらいしか情報はないし、今のところ情報交換も、何かまたファインディングあっても交換するという体制にもできていないと思うのですけれども、他の国でもう少し中国との関係がある国があるか、ということです。要するに、ヨーロッパ、アメリカとか、ロシア、インドを含めてですけれども。
【JAXA麻生プロマネ】 中国は水探査というものにももちろん力を入れていまして、ロシアと今、月面基地を一緒にやるという協定を結んでいますので、ロシアとは今後も続いていくのではないかなと思っています。
ただ、私達がやっていることは、水の質とか、量とかになりますが、そういうことを細かく求めるというところまでの話は聞こえてきませんので、我々は今、そこは静観しているところです。
それから、2点目のお話のインドとのやり方で、例えば、向こうに行くだけではなくて、他に、ということですが、ISROは国際協力をたくさんやっています。例えば、私達JAXAだけでも、地球観測や測位の分野でISROとの共同ミッションがありますし、それから、NASAのJPLと共同で大きな合成開口レーダーを付けた衛星を作ったりもしていますので、国際協力の経験はISROには十分ありますし、さらに今は有人の分野でもアメリカと協力関係を強化しようとしていますので、ISROは国際協力の経験があまりないのではないかということは決してないと思います。普通の宇宙大国並みに国際協力を推し進めている国であります。
もう一つ、そこから派生した、他プロジェクトとの優先順位ということですけれども、それは御理解のとおり、今ISROは、最もプライオリティが高いものは、有人プロジェクトです。ISROは今、有人の帰還カプセルを作っていますので、そこが最高プライオリティだということはいつも言っています。
ただ、私達LUPEXのメンバーの話を聞くと、そこには関わっていないという人たちがほとんどですので、きちんとISROの中では分業できると思っています。以上です。
【植木委員】 ありがとうございます。
そうすると遅れているのは、やる気がないとか、経験がないということではなくて、コロナで体制が遅れて、あまり体制が、あちら側が出来上がっていないだけという感じに捉えられているということでいいですか。
【JAXA麻生プロマネ】 はい。
【植木委員】 ありがとうございました。
【JAXA麻生プロマネ】 私達もそのように分析しています。ありがとうございます。
【植木委員】 はい、分かりました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。最後、私の方からコメントというか、やはり月において、水があるか、ないか、ということはものすごく大事で、あっても容易に取れるか、ということはすごく大事ですよね。この情報をどこの国が最初に使うのか、結構そのあとの月関係の探査における優先権みたいなものとか、あるいは全体をリードできるかどうかですごく影響あると思うのですよね。
日本だと、例えば、どこに水があるかということは、例えば、テラヘルツセンサみたいなものを使って検討するという、観測するという計画があり、さらに、例えば、月における測位を早い段階で簡単にやることによって、どこに水があるかが分かったら、そこにローバが行くということをそれでガイドしていくと。
さらに今回のこのLUPEXのLanderでやるような、掘っていったり、いろいろなことをしたりするという、こういう技術があって、ある種一気通貫で日本というのは全部目指そうとしているように見えるのですよね。
これはすごく大事なことで、こういった総合力をいかして、日本がこの水探査におけるリーダーシップを取っていくというようなことが起こるとすごく良いなと個人的には思っています。その方向を目指して、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
【JAXA麻生プロマネ】 ありがとうございます。
全くおっしゃるとおりで、テラヘルツセンサで全球的な水のマップを作る。そして、我々が特にここだけ濃そうなところに降りる。しかも、SLIMで培ったピンポイント着陸技術もありますので、もう本当に水が一番濃いところに行くという技術も、私達も今もう持っています。
それに加えて、表面を移動する技術、そして、水とか酸素を取り出す技術、そういうものを全部今日本が持とうとしていますので、このままこの路線で、さらに国際プレゼンスを示せると思いますので、私もぜひ進めたいと思っています。ありがとうございます。
【中須賀主査】 頑張ってください。ありがとうございます。
それでは、まだちょっとあるかもしれませんけれども、お時間ですので、次の議題に移りたいと思います。議題の2です。月面輸送着陸技術の開発でございます。もう皆さん御存知の、先日SLIMが見事に着陸をしてくれました。ということで、その結果と、それから今後の月面着陸技術について、JAXAさん、それからispaceさん、民間の方からも頑張っておられますので、そのお話をお伺いしたいというふうに思います。説明は、2件続けて行いまして、質疑応答は説明後にまとめて行いたいと思います。
まずは、最初はSLIMの技術説明及び月面着陸技術の今後の発展について、JAXAよりよろしくお願いいたします。
<JAXA麻坂井プロジェクトマネージャより資料60-2-1に基づいて説明>
<JAXA山中センター長より資料60-2-2に基づいて説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、ispaceさんより、同社の月面探査について御説明よろしくお願いいたします。
<ispace社袴田CEOより資料60-2-3に基づいて説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。
それでは、今2件の御説明に関しまして、御質問、御意見よろしくお願いいたします。
永山さん、どうぞ。
【永山委員】 御説明ありがとうございました。
SLIMと、それに関連する話題として、3点質問させていただければと思います。
まずSLIMで3回目の越夜成功おめでとうございます。本当に素晴らしいなと思って、山中さんの御説明で、その辺の深掘りはこれからというお話ではあったのですが、そもそもSLIMはあまり越夜ということを想定しない形で開発されたということも聞いております。実際、開発されたプロマネのお立場として、この辺りがもしかしたら良かったのではないか、ということがもしございましたら、教えていただければ、今後のヒントというところになるかと思いました。
2点目が、山中さんの御説明の中で、民間への技術移転ということが書かれていたのですけれども、これは例えば、SLIM探査機のシステム全体、こういう探査機というものの技術移転をイメージされているのか、それとも個別のものを移転していくというイメージなのか、具体的にどういう形で民間とのやり取りを検討されているのか、ということを伺えればと思いました。
そして、3点目、袴田さんにお伺いできればと思ったのですが、Mission2、いよいよということで、そちらも大変期待しているところですけれども、まずSLIMが日本の探査機として、初めて月着陸に成功したという、このSLIMのミッションを御覧になって、今後ispaceさんの事業に参考になるなと思った点ですとか、御感想といったところをもし伺えればと思いまして、コメントいただければと思います。以上、3点よろしくお願いいたします。
【JAXA坂井プロマネ】 ありがとうございます。まず、1点目の方を坂井の方から説明したいと思います。
おっしゃっていただいたとおりで、越夜に関しては、我々は正直な話、越夜を考えたような設計ということには特にしておりませんでしたので、これも正直なコメントになりますけれども、どこが良かったのか、ということを、なかなか今この時点で、我々としても我々自身が知りたいと思っているというところが一番正直なコメントになるかと思います。
一方で、今おかげさまで3回越夜ができて、いろいろなデータももちろん取っているところでございますので、例えば、越夜を繰り返していくことで、どういうところに変化が現れてくるのか、といったようなところは、このあといろいろな形でデータを調べていきたいというふうに考えておりますので、そういうところから、何らか今後につながるような知見が得られれば、もちろん必要な方とはそれを共有して、ぜひ参考にしていただくということができれば良いというふうには考えているところでございます。
【JAXA山中センター長】 2番目の御質問を山中の方から回答します。
民間移転の形は、システムなのか、個別なのか、というお問い合わせで、民間企業さんとの対話によって、いろいろな形はあろうかと思いますけれども、まず基本的には個別といいますか、アイテムの方が中心なろうかと思います。
少し説明いたします。例えば、ピンポイント着陸の技術、アルゴリズムを含めてですけれども、ここは坂井先生とか、坂井先生の研究室、それからいろいろな大学の方がこれまでやってこられた部分というものは非常に大きいと思っています。それをスムーズな形で民間企業さんがお使いになれれば、それはピンポイントの着陸の技術を、民間企業として手に入れることになりますので、それは非常に大きなことかと思います。
それから、先ほど坂井先生からあったように、unknownなところはありますけれども、例えば、太陽電池パネルにしても、バッテリーにしても、通信機にしても、私は30年以上やっていまして、探査センター長になる前には、研究開発部門で誘導制御とか、電源系とか、そういうところを率いる仕事をしておりましたので、多少手前味噌なところもあるのですけれども、日本の電源系とか、バッテリーとか、SAP(太陽電池パネル)とか通信というものは、世界的に見ても非常に優れていると思っています。競争力が強いと思っています。それはかなり世界的にも認めていただいていると思っています。
ですので、そういうサブシステムとして非常に優れたものがありますので、そういうところは、ぜひ使っていっていただきたいし、今、世界中が月や月の極に向かっているという状況で、かつ越夜みたいなものはみんな欲しい技術であるとすれば、適切な形を取れば、世界中に売れるものがたくさん日本にはあるのではないかなと思っています。
まだそれがあまりよく知られていないと言った方がいいかもしれませんので、そこはシステムというよりは、サブシステム、太陽電池パネルを開発されているところ、バッテリーを開発されている、通信機を開発されているようなところとお話をして、それはすごい技術ですよと、もっと自信を持って販売していきませんか、というような話、正しいところに販売しないといけませんけれども、そういうところは注意しながら、国際競争力はあるものとして、民間移転、民間に積極的に活躍していただければいいのではないかなというふうに考えています。以上です。
【中須賀主査】 袴田さん、どうでしょう。3つ目の質問。
【ispace袴田CEO】 ispace袴田です。
SLIMは非常に素晴らしい成果だというふうに思っております。SLIMの着陸のとき、私もライブで見ていましたけれども、非常にわくわくしながら見ておりました。
このSLIMの着陸のインパクトというものは、世の中にとっては非常に大きいと。日本だけではなくて、世界中に、この月の探査に関して、非常に大きな、これからの可能性を広げたというふうに考えております。
特にピンポイント着陸、そして越夜もできているということは、非常に大きな成果だと思いますし、先程来JAXAさまのからも民間への技術移転というところも示していただいておりますけれども、ispaceとしても、やはりこれから事業として競争優位を築いていく、または我々のビジョンとしても、やはり水の活用というものがありますので、そうすると、ピンポイント着陸ですとか、越夜ですとか、重要な技術がありますので、ぜひ民間としても、そういったところが使えるようになると非常にありがたいというふうに考えております。
【永山委員】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。
【植木委員】 植木です。どうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。皆さんのお話を伺っていて、大変な努力の上に成果が上がっていることを非常に嬉しく聞きましたし、大変夢のある話ばかりなので、大変嬉しく、また感激して聞いておりました。
袴田さんに、あるいはほかの方に教えていただければと思うのですけれども、どんどんビジネスとしても、サスティナブルで、そしてまた実際のそこでの活動がサスティナブルになることというのは、非常に地球にとっても、宇宙空間の活動にとっても、とても大事なことだと思って伺いました。
今、私は1年間MITの方におりますので、DRAPERと一緒にやっていらっしゃるということで、とてもそういう意味でも興味深く伺いました。
一つ今の状況ですけれども、現在は打上げて、例えば、ローバとかを持って行って、そこで主体が活動するということは、全て自由な状況なのでしょうか、というのが質問です。ナショナル、あるいはインターナショナルに、何か調整したり、あるいは審査したりという、何かルールがあるのか、それとも、今はどの国が、日本以外の国も持っていったら、どのような活動でも今は自由にできるような状態になっているのか。もちろん、自由に活動して、それが進んでいくことが望ましいわけですけれども、ただ多くの国でこれができるようになると、何かのルールのようなものも必要になってくるのかなというふうに考えていらっしゃるのか、それとも、まだそういう状況ではないのか、そこら辺を教えていただければと思います。ありがとうございます。
【ispace袴田CEO】 御質問ありがとうございます。ispace袴田の方からまずは御回答できればと思います。
民間企業として、こういったミッションを月面でやっていくときに、日本ですと、宇宙活動法の中で、宇宙機の運用ということで申請をさせていただきまして、その範囲で運用していくということになります。各国がそういった仕組みを整えているという認識でおります。
なので、我々がアメリカ側でやるミッションに関しては、アメリカ政府からそういった許可を得てミッションをしていくということになります。
一歩先に少しお話しますと、一つこれから法整備が必要になってくるというところですと、宇宙での資源の利用になります。日本では、宇宙資源法が数年前にできておりまして、日本政府としては、許可を取ることで、宇宙資源の売買が可能になるというところになっております。
ただ、まだ世界的な法的なフレームワークなどができておりませんので、これからそういったところが本格的に議論されるものというふうには認識しております。
【植木委員】 どうもありがとうございました。
【中須賀主査】 ありがとうございました。他どうでしょうか。
【石井委員】 石井ですが、よろしいでしょうか。
【中須賀主査】 はい、どうぞ。
【石井委員】 本日はどうもありがとうございました。いずれのプレゼンも非常に興味深く拝聴いたしました。
袴田さんに2つ御質問ですけれども、まず1つ目に、スライドの17頁のグローバルな顧客を獲得されているというところに関連してですけれども、ispace社も他の事業者の方と競争されていて、特に例えばUAEの契約などは、ispace社の技術的な優位性が決め手になって契約されたということが報道に出ていましたけれども、そういった、ほかの事業者と比較した場合の優位性というものについて、もう少し詳しく教えていただければと思いました。
2点目は、スライドの6頁のところですけれども、月面についてのデータを取得されて、データベース作成につなげるというお話だったのですけれども、これは取得したデータを用いて、それを商業的に利用していくというお話だと理解しましたが、それでよいのかということと、その場合に、法的な枠組みはどのようになっているのか、ということを確認させていただければと思いました。
というのは、少なくとも国際的なレベルにおいては、基本的にはこういった探査は科学調査であって、基本的には公開していくというアプローチが国際的なレベルでは確立していると思うのですけれども、それを民間が行う場合に、取得したデータをそのまま会社のものとして使っていくということで、それで良いのか、あるいは不明確な点は残っているのか、教えていただければと思いました。よろしくお願いします。
【ispace袴田CEO】 御質問ありがとうございます。
1点目の優位性というところですと、技術的には、我々は検証が他社よりも早く進んでいるということが一つの大きなポイントかなというふうには思っております。他社ですと、アメリカが特に3社おりまして、CLPSでも競合となっておりますけれども、やっておりますけれども、その中でも初めて月面まで行けたと。Intuitive Machinesというところが、先々月に着陸を月面にしましたけれども、ただ技術的には、我々も彼らと引けを取らないところまでしっかりと技術検証できているというふうに考えております。
さらに我々の強みとしましては、グローバルにやっているというところだと思っております。技術的にも、我々は日本の技術だけにこだわらず、世界で優れた技術を活用して、着陸船を開発してきております。例えば、推進系はヨーロッパのアリアングループから調達をしたり、誘導制御ところはDRAPER社に、アポロのときの実績などもありますので、信頼性を持って、信頼性のあるソフトウェア開発していただけるというふうに考えまして、開発をいただいております。もちろん、日本の優れた技術も活用しておりますけれども、例えば、CFRPは日本の企業から調達したりしておりますし、そういった世界の優れた技術を活用できる。
一方、アメリカ企業は、NASAの特にミッションになりますと、domestic source requirementなどが、アメリカ国内の技術を使うという制約が出てきてしまいますので、アメリカ国内では良い技術を使っているかとは思いますが、世界を見たときに、我々はより広いスコープで良い技術を活用できるということがあります。
さらに、我々の事業としては、競争優位もやはりグローバルなところにあるというふうに考えていまして、アメリカ企業は、先ほどのdomestic source requirementですとか、輸出規制などで、なかなかアメリカ国外のミッション、特に政府ミッションに関わるということは難しくなってきますが、我々は世界各国から、日本、ヨーロッパが中心ですけれども、部材なども調達していて、アメリカ国外のマーケットにしっかりとリーチできるというところがあるというふうに考えております。
2点目のデータの商業的な利用に関してですけれども、我々が独自で獲得したデータに関しては、民間の資本でやっていますので、我々が所有して売買できると。自由に売買できるというふうには考えております。
ただ一方、政府のミッション、機器などから得られたデータは、やはり政府資金で獲得したデータではあると思いますので、政府に基本的には所属するものなので、政府の、特に科学探査は、データを公開していくというものが基本的な考え方になっていると思いますので、政府のデータについては、公開されるものというふうには考えております。
【石井委員】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。
まだあるかもしれませんけれども、まだ手は挙がっていますかね。挙がっていないかな。ちょっとお時間の関係がございますので、以上でこの議題を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、次に議題3として、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道をめぐる最近の動向について、事務局より説明をお願いいたします。ちょっと時間もないので、少し短めにお願いいたします。
<鈴木室長より資料60-3-1に基づいて説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。
それでは、御質問、コメント等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
では、ほかの委員の前に。2030年以降ISSというものが民間に変わって、それでもNASAは多分使うのだろうと思うのですね。そのときに、NASAとどういう使い方をするかとか、あるいはこういう形で政府が関与していくということに関して、日本の、例えば、JAXAさんとNASAの間で議論が行われて、民間に全て任すのではなくて、政府としてはこういう形で連携していきましょうよ、というような議論というものは十分行われているのでしょうか。その辺の状況がもし分かれば教えていただきたいと思います。
【鈴木室長】 まずは文科省から話をさせていただければと思います。
基本は、民間が主体となります。NASAは宇宙飛行士の活動や学術的な研究については引き続きやる方向です。また、日本やESA(ヨーロッパ)も、引き続きやりたいという意向ですけれども、具体的なやり方については、まだ決まっていません。NASAとしましても、民間の商業ステーションの、どこが採択されるのかがまだ分かっていませんが、意向等も踏まえつつ、どういった枠組みになっていくのか、を検討していくということかと思っております。
JAXAの方からもどういったお話をされているのかなど、お願いします。
【JAXA松浦理事】 松浦です。
あまり多くの情報を持っていないのですけれども、私の知っている限りでは、シームレスに商業ステーションに移っていく中で、JAXAもそのユーザーの一つになる、1人になるということで、その方向で話をしているという認識です。
ただ、今、文科省さんの方からも説明があったように、具体的にどうやってその枠組みに変えていくのかという協議は、これからという認識です。
【中須賀主査】 例えば、要は、どういうふうに宇宙ステーションを使って、どんなことを日本の政府としてやっていくのか、ということに関して、今ISSの中でやっていることの延長のこともあるし、新しいこともあるかもしれませんけれども、それによって民間がどういうステーションを作っていくかということへの、ある種の御用聞きと言ったら変だけれども、要望になっていくのだろうと思うのですよね。
そういった要望を十分入れた上で民間は作っているのか、NASAなどはそういった連携をしているのではないかと思うのですけれども、そういったことに関して、JAXAさんがどういうアクションを取られているか、という辺りはいかがでしょうか。
【JAXA小川部長】 有人宇宙技術部門事業推進部の小川です。
まず1一つ目について、NASAは、今どのCLDのプログラムが採用されるか決まっていない中でも、基本的には自分たちはユーザーの1人になるという方針を出しており、そのユーザーとしての規模感はこれからの調整になります。
JAXAやESA、CSA、ISSのいわゆるパートナーに対してNASAは、基本は米国CLDの企業と契約し、NASAがパートナーに対して何らかの融通をするというような形、ISSのプログラムのような枠組みというものは難しいとは言われています。
民間企業の自立を促すものということだと思うのですが、一方で、今室長がおっしゃってくださったように、何もまだ決まっているわけではなく、JAXA側も、あるいはESA、NASA、CSAも、やはりISSのプログラムの枠組みのようなものもあった方がいいのではないか、意見を出しています。まさに年に数回、各国が集まった形、ISSトランジションワーキンググループと我々は称していますが、そこで議論をしているという状況です。
やはり今説明させていただいたように、2026年の、NASAのCLD選定に向けて、この1年、2年ぐらいをかけて、座組をどう考えていくか、もっと議論が本格化してくるだろうと考えているということが、一つ目の我々の答えです。
その座組の検討に我々は積極的に参加をして、我々のスタンスも議論していきたいということが現状になります。
もう一つ、私達の方も「きぼう」が終わったあとのポストISSでどのような利用ができるか、あと数年先のものになりますが、そのときの利用の今、「きぼう」で行われている利用の需要がピークになっているものが、5年後、10年後にも残っているかどうか、そこは見定めていかなければいけないと思っています。
例えば、タンパク質の結晶生成実験とか、材料の実験とか、今盛んに行われていますけれども、10年後はもしかしたら、また違うものが立ち上がってくるかもしれないと思います。その点については、JAXAよりも、日本の国内の企業の方が情報収集能力は高いですから、ポストISSにおいてどのような需要が出てくるのだろうか、ということは、彼らに調べていただいて、それを我々が情報交換し、そしてまたNASAと議論をするという情報としており、そのように、活発な民間との意見交換をしているという状況になります。
ですので、10年後先のことも、我々も一応見据えながら、どういう需要を見据えて、結果的にはどんな仕組みの拠点なり、実験環境が必要かということにフィードバックしていく形を考えております。話が長くなりましたが、以上です。
【中須賀主査】 よく分かりました。ありがとうございます。
少なくとも民間の需要を掘り起こすのと同時に、やはり政府間である種の連携をして、どういうふうに使っていくのか、ということについての密なる議論というものを早めにやっておかないと、できてからだと、やはりそれがベースのようになってしまうので、できるシステムに対しても要望を出せるような事前の議論が必要かなというふうに思ったのでこういう質問を出させていただきました。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。永山さん、どうぞ。
【永山委員】 御説明ありがとうございました。
月面への日本人宇宙飛行士の着陸機会について伺えればと思います。
アメリカ側から、日本人宇宙飛行士が米国人以外で初めて月面着陸するというコメントをもらえたということは素晴らしいことだなと思うのですが、やはり、この先、2028年まで時間があるという中で、例えば、日本人以外で、日本以外の国で、こういった月面着陸を早い時期に目指していらっしゃる国が他にあるのかどうか、そういう競争相手になるようなところがあるのかどうか、そういった動向について、もし御存知であればお教えください。
【鈴木室長】 当然、カナダやヨーロッパも早く月面に着陸したいと思っていると思います。中国は、これはアメリカとの関係ではなく、独自に2030年までに月面に着陸したいと言っています。 ライバルとしては、ヨーロッパと、カナダかなと思っておりますけれども、アルテミス2号機、月周回を回って着陸はしませんが、そこにカナダが乗るということは既に発表されています。
アルテミス3号機は、、初めての月面に着陸しますが、おそらく米国人だけになるのではないかと思っております。その次のアルテミス4号機について、可能性があるのであればこれかなと思いますので、ここに日本人が乗れるよう、今回発表された目標も踏まえ、引き続き働きかけを続けていくということかなと思ってございます。
月面の具体的な協力についての約束をするのは、日本が初めてでして、今後ヨーロッパなども、具体的な貢献についてIAを結ぶのではないかなというふうに考えております。
【永山委員】 ありがとうございます。
それをより確実にしていくために、日本としてできることとか、今後取り組むべきことという課題など、もしあれば教えてください。
【鈴木室長】 まず与圧ローバの開発をしっかり実施していくということ、また、米国と連携を密にして、宇宙飛行士についてはJAXAの方でと思いますけれども、しっかり宇宙飛行士の訓練等も進めていくということかなと思っております。
【中須賀主査】 他にいかがでしょうか。オンラインの皆さん、いかがでしょうか。
【石井委員】 よろしいでしょうか。
【中須賀主査】 はい、どうぞ。
【石井委員】 すみません、先ほどのお話と少し被ってしまって恐縮ですけれども、宇宙開発戦略基金の実施方針に関して、1点お伺いしたいと思いました。
この支援対象になる企業の条件がかなり細かく指定されているわけですけれども、そうしますと、民間事業者ということで、既に指定がありますので、具体的にその企業が絞られてくるのではないかと思ったのですが、そういった企業と対話をどのくらいされているのか、教えていただければと思いました。
具体的に、技術の移転等について決まっていないという話はありましたけれども、ただそのタイムスパンが非常に短いので、もう少し詳しく、この進捗を教えていただきたいと思ったのですが、よろしくお願いします。
【鈴木室長】 企業との対話という点であれば、技術に興味があると言った企業からのヒアリングも踏まえ、必要な金額を要求をして、制度設計をしてきました。
この企業に出すということを決めてやるというものではなく、公募ですけれども、それぞれについて、1社以上出したいという企業があって、それなりに技術力があるということをJAXA及び文科省において、ヒアリングを実施してきているところでございます。
【石井委員】 ありがとうございます。
【倉本委員】 よろしいでしょうか。
【中須賀主査】 はい、どうぞ。
【倉本委員】 倉本です。説明ありがとうございました。
日本人宇宙飛行士の月着陸に関するところですが、着陸したあとに、その場で取得したデータであるとか、サンプルであるとか、そういった部分の取扱いというか、共有については、どんな議論になっているでしょうか。よろしくお願いします。
【鈴木室長】 今すぐ資源を探すということではなく、科学的な成果になるかと思ってございます。
科学的な成果については、共有をするということと思っていまして、一定の期間を経た後については、世界共有の財産になるということかなと思ってございます。
【倉本委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 いかがでしょう。大体よろしいでしょうか。オンラインは特に手は挙がっていない。
【植木委員】 すみません、一言だけよろしいでしょうか。
【中須賀主査】 はい、どうぞ。
【植木委員】 大変短くで、すみません、何度も発言して。
JAXAとNASAの方の関係も大事だと思いますし、そういう詰めたところも非常に大事だと思うのですけれども、これから何年かの間に米国政権の方の変化ということもあり得ると思いますので、やはり日本と一緒にやっていくことで、どういうことが、なぜそれが重要なのかということが、ある程度アメリカの一般の人たちにも分かるような、何か大きな絵を描いて発信していけると、安定的にこれが実現できるのかなと思いますので、私もできることだったらしたいと思いますけれども、あらゆる面でそういうような訴え方をしていくことが重要なのかなと伺っていて思いましたので、一言だけ申し上げました。
【鈴木室長】 米国側からも与圧ローバに対しては、日本の技術力に対して、強い期待を示されているところですので、こういったすごいものを作って提供し、それに米国人とアメリカ人が一緒に乗って成果を上げていくということそのものが、アピールになるのではないかと思ってございますし、その他についても、先生御指摘の点を踏まえて、何ができるかについて、引き検討していきたいと思っています。
【中須賀主査】 ありがとうございました。
お時間ですので、以上でこの議題を終わりにしたいと思います。本日予定しておりました議事は以上でございます。事務局から最後に連絡事項等をよろしくお願いします。
【事務局】 本日の議事録につきましては、文科省のホームページに公開いたします。また、資料については既にホームページに掲載しております。
次回の小委員会におきましても、引き続き、当面の月探査の進め方についての議論いただく予定ですけれども、具体的な日時については、調整の上、改めてお知らせいたします。事務局からは以上でございます。
【中須賀主査】 ちょっと時間が過ぎて申し訳ございませんでしたけれども、これをもちまして、本日は閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課