令和6年3月14日(木曜日) 10時00分~12時00分
文部科学省3階2特別会議室またはオンライン
臨時委員 中須賀 真一【主査】
専門委員 高橋 忠幸【主査代理】
専門委員 石井 由梨佳
専門委員 佐藤 智典
臨時委員 高鳥 登志郎
専門委員 竹森 祐樹
研究開発局長 千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当) 永井 雅規
研究開発局宇宙開発利用課長 上田 光幸
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長 鈴木 優香
宇宙利用推進室係長 久保 竜馬
(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事 佐々木 宏
国際宇宙探査センター センター長 山中 浩二
国際宇宙探査センター 宇宙探査システム技術ユニット ユニット長 田邊 宏太
宇宙探査イノベーションハブ ハブ長 船木 一幸
国際宇宙探査センター 事業推進室長 永井 直樹
宇宙探査イノベーションハブ 副ハブ長 杉田 寛之
【事務局】 事務局の宇宙利用推進室の橋本です。定刻になりましたので、ただ今より国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第59回会合を開催いたします。本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。本日の会議は12時までを予定しております。
まず、資料の確認をさせていただきます。議事次第をご参照の上、必要な資料に過不足がございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。よろしいでしょうか。本日は、手元にマイク兼スピーカーを用意しております。マイクの手前側にあるスイッチを押していただくとボタンが赤く光り、ご発言が可能となります。お一人ずつしかスイッチが入りませんので、ご発言後はマイクのスイッチを切っていただきますようお願いいたします。
なお、本日の議題のうち議題1は人事に関する事項が含まれていますので非公開とさせていただき、議題1が終わり次第YouTube配信を開始させていただきます。
それでは、本日の議題1に入らせていただきます。議題1は「本小委員会の主査の選任及び主査代理の指名」となります。資料59-1-1が本日第59回以降の小委員会の委員名簿となります。まず主査の選任についてですが、宇宙開発利用部会運営規則に基づき、本小委員会の主査は宇宙開発利用部会長による指名となっております。村山部会長より、中須賀委員にお願いするということでご指名を頂いております。中須賀委員、どうぞよろしくお願いいたします。これより中須賀主査に議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中須賀主査】 主査にご指名いただきました中須賀でございます。前主査の藤崎主査に比べて大分格が落ちますが、精一杯私なりに頑張っていきたいと思います。私も内閣府の方の委員をずっとやっておりまして、ここ3回、4回ぐらいですかね、宇宙基本計画の策定にずっと関わらせていただきました。その中で感じることは、今もう本当に宇宙が様々なプレイヤーが出てきていろんな分野をやらなければいけないということで、非常にバラエティーに富んだ世界になってきたというところで、官だけではなく民が出てきた。それから宇宙ステーションも民営化するという話。それから月探査計画がいろいろ出てきた。それから民間の世界ではベンチャーを中心とした小型衛星コンステレーションの世界が出てきた。それから、後は防衛ということも考えていかなければいけない。もう本当に様々なファクターの中で、どうやって日本が世界と勝負ができる、あるいは世界を追い越していける分野を一つでも多く作っていけるかということがすごく大事だということで、基本計画の中にもいろいろ盛り込ませていただきました。
そういったことの結果として、今出てきている宇宙戦略基金、それから宇宙技術戦略、こういった考え方が出てきたというところで、これを最大限有効活用して、日本の活力を更に高めていく、そういう委員会にしていきたいと思いますので、ぜひ皆様方からもいろんなご意見を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは続きまして、主査代理ということですが、引き続き高橋委員にお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。高橋委員、よろしくお願いします。
【高橋主査代理】 よろしくお願いいたします。今日はリモートで申し訳ありません。これからまた頑張りますのでお願いいたします。
【事務局】 これより議題2となりますが、これ以降は公開で実施をいたしますので、YouTube配信を開始させていただきます。少々お待ちください。
【中須賀主査】 それでは、これより議題2に入ります「国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道をめぐる最近の動向」について、事務局より説明をよろしくお願いします。
<鈴木室長より資料59-2-1に基づいて説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、委員の皆さんからご質問、コメント等ありましたらよろしくお願いいたします。まずは手を挙げていただくところからスタートしたいと思います。オンラインの委員の方々もアイコンで挙手をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
【高鳥委員】 一つはNASAのMoon to Mars Architectureについてですが、これはあくまでもNASAが作っているもので、特にJAXA等がこれに対しての検討に加わったり、意見を出したりされたことがあったのかということが一つと、あと、Objectivesが63項目あって、それにぶら下がっていろいろFunctionsとかElementsが出てくると思うのですが、多分すごく多いElementsになるかと思うのですが、その辺の技術開発を進めるにあたり、優先順位付けというのがされているのかということと、それらをNASAがどのように技術開発を進めていくのかといったところについて、なにか決まっているようでしたら教えていただきたいと思います。以上です。
【鈴木室長】 7頁目の一番下のポツに記載されているように、国際パートナー等の意見も収集しながら作っており、ワークショップにはJAXAが参加していると聞いておりますが、NASAが作文等をしているものということで、これでOKかとの確認が文科省や他の国されたりするものではなく、様々な意見を聞きつつNASAがまとめているものという理解でございます。
Elementsの優先順位付けについてですが、現在特定されているElementsは10頁目に載っているElementsです。これらは全てやらなければいけないElementsとして特定されているものと理解しています。複数のFunctionsができるElementsを特定し、そのElementsを実現させるという形かと思います。今後については、例えば今は居住空間はないですが、NASAとしては、月にも、家、居住空間が必要だと思っていると聞いており、そういったものも今後Elementsとして追加されていくのではないかと思っております。
【中須賀主査】 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 佐藤でございます。私からも同じNASAのMoon to Mars Architectureのご説明に関してお伺いしたいと思うのですが、今日非常に詳しくObjectivesから最終的にElementsに向けて、上位目標からその具体的な手段という形で展開されて分担が決まっていくということをよく理解しました。この国際共同開発としてのプロジェクトの中で、どういうふうに各国が分担していくかということ自体はこれからの議論になろうかとは思うのですが、ただ、今の時点で分かっている日本国としての関わり方としては、いわゆるElementsというレベルで、このElementsを例えば日本あるいはJAXAさんが分担されるみたいな、つまりElementsレベルで分担をなされるものなのか、あるいはもう少し上位の例えばFunctionsの例えば月面での何らかのミッションをする、その必要なElementsだけではなくてミッション遂行とか、関わる一連のオペレーションとか、そういうところまで踏み込んで関わっていくのか、この階層の中のどういった階層で日本国が関わったり、あるいはその分担したところの責任を果たすという観点で関わってくるのか、その辺りの考え方を伺いさせてください。
【鈴木室長】 ご指摘のミッションやオペレーションについては、Elementsとして整理されていると思っております。機能を達成するためにはElementsが必要ですので、各国で分担するものとしては、Elementsレベルで実施取決め等を結んでいます。例えば、有人与圧ローバであれば、ほぼ日本が提供しますし、Gatewayであれば国際協力で、それぞれここの部分、あそこの部分という形で作っていきます。
【佐藤委員】 まだ私が正しく理解していないのかもしれませんが、Elementsというのは割とシステムとしての分解された要素ごとの単位のようにも見えたので、実際にそのミッションを遂行するとなると、先ほど申し上げましたように複数のElementsを連携させて特定のミッションを遂行する。つまり、ものを作って提供してNASAさんが後は使ってくださいという形なのか、それとも、ここでいうところのFunctionsとかUse Casesみたいなミッション、このUse Casesは例えば船外活動をして何かの観測をするというようなUse Caseで、日本はこれを担当してくださいというふうにアサインされて、それに関わる諸活動も日本が主体で遂行するというふうになれば、より日本としても存在感も高まるし、また今後日本が月面での活動をするというところにおいて、そういったミッションにおいて日本は実績があるというふうにもいえるかなと思って発言させていただいたのですが。
【鈴木室長】 ご指摘のとおりだと思います。Use CasesやFunctionsごとに各国が何をするかといった検討ではなく、ミッションごとにどのようなミッションをどのように各国が実施していくのかが検討されていくと思います。月面の科学について、現状まだ何をどのようにという点まで決まっていないのですが、今後、どこの国がリードして、何をどう進めるかといったミッションを明確にしつつ、各国の分担ということを決めていくのかなと思います。
Use CasesやFunctionsを踏まえ、ミッションを提案するのといったことも、各国からNASAに提案することもできるのではないかと思っていますが、現時点で、そのような検討の枠組みがあるということではありません。Moon to Mars ArchitectureはNASAがこういう検討をした結果、こういったものが必要である、こういったことが機能として必要であると特定をしましたという報告書になっています。
【佐藤委員】 ありがとうございます。現時点の議論の状況は大変よく理解できました。今もおっしゃいましたとおりElementsというもの単体ではなくて、やはりミッションに関われるような活動に日本が貢献できるようになれば素晴らしいなと思うので、そういうふうに期待しております。よろしくお願いします。
【中須賀主査】 ありがとうございます。私も意見を述べさせていただくと本当にそのとおりだと思っていて、ただ何かハードウェアを作ってインフラに貢献するだけではなくて、日本がその中で何を取っていくのかということがやはりすごく大事で、それが日本にも貢献する、それから世界にも貢献する。そこを日本から待っているのではなくて提案していかなければいけないのだろうなと思うのですよね。
今まで日本がやってきたいろんな活動、内閣府のスターダストなども含めていろいろ考えていくと、一つはやはり僕は水だと思うのですよね。水が本当にあるかどうか分からないけど、水というものにまつわるいろんな活動を日本がやって、水のマップを作って、水がある所にピンポイントで着陸して、そこで水を探索するというようなこと。正にSLIMがやったピンポイント着陸も、55 mまではよいのだけれども、ではそれを何に使うのかというところまで出さないと、この55 mは意味がないということだと思いますし、それから、今スターダストで付けている測位技術で、その水があるピンポイントの所に行くということが測位技術。なので測位技術なんかもやる。
それからもう一つは、テラヘルツセンサで月の水マップを作る。これもスターダストで今付けていますので、こういったのをずっとつなげていくことによって日本がある種、月における水の管理者といいますか、水をいろいろやっていくための一つの拠点が日本であるというような、こういう形での組込み方をしていけば、日本としてのプレゼンスがすごく発揮されるのではないかと思うのですよね。これはおそらくミッションだけではなくて、それのエレメントと両方併せての提案になっていくだろうと思うので、こんなことをぜひ考えられたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
【鈴木室長】 ご提案ありがとうございます。次の議題で、今後の月探査において当面何を進めていくかについて本委員会で取りまとめたいという提案をしますので、今の中須賀先生のご意見もこの委員会で検討できたらと思います。
【中須賀主査】 すみません、これは次のテーマだったかもしれませんが、ありがとうございます。では、竹森委員、お願いします。
【竹森委員】 ご説明ありがとうございます。宇宙戦略基金のところで意見させていただければと思います。戦略基金については、スタートアップ、大学、民間企業も含め相当いろいろ期待をしているかと思っていますので、ぜひいろいろ新しいものも含めどんどん対象にしていただきたいなというふうに期待します。
22頁の委託と補助のところで、実質的に100%補助するのか自己負担するのかというところでこの委託補助という言葉を使っておられると思うのですが、対象が民間企業、スタートアップ、大学、国研ということで、民を中心に対象にするというところで、民間側からいくと、基本確立された技術といいますか、一定程度できているものを組み合わせながらやっていく、例えばスタートアップもそうですし、昨日の固定燃料ロケットもそうかもしれませんし、基本は確立された技術をいろいろ組み合わせることによってビジネスにしていくというところで正にチャレンジしていくとなると、基本はこの補助なのかなと思います。例えば燃料電池とか水素とか水の発見なんかもそうですし、制御システムもそうですし、いろいろ確立されたものを組み合わせながらやっていくので、ご質問なのですが、この委託の部分といいますか、正に具体予測しがたい技術開発とか、この辺りがもう少し具体的にどういうイメージを想定されているのか。探査とか将来宇宙輸送とか、何か具体的にこの委託と補助で区別してこの委託としてやられる分野というのがどういうものを想定しているのかという辺り、もう少しイメージを教えていただくと多少産業界もこの基金の活用の仕方というものが想像力が働くかなというふうに思っております。この一点だけお願いします。
【鈴木室長】 補助であっても100%補助もあり得ますので、委託だったら100%出してもらえて、補助だったら出してもらえないということではありません。また、民間企業でも大企業とスタートアップでは少し考え方が違います。
何な何%補助かについてtは、本当に具体的なテーマによりまして、例えば宇宙探査であれば、委託、100%補助が多くなるかと思いますが、すぐに使えるようなものについては、補助率を入れていくことも考えられますし、輸送であっても、今後のロケットのための開発も全然と思いますので、100%補助や委託もあるかと思っております。
それぞれのテーマごとに想定される企業や大学がありますので、そういった方とも議論しつつ補助や委託をどうするかということも含め検討し、制度を作っています。
【竹森委員】 理解しました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。まだまだ議論が続きそうですが、時間が大分押し迫ってきました。オンラインは特にないですかね。よろしいですか? ありがとうございます。月に関しては次のテーマでもまた議論ができると思いますので、ひとまずよろしいでしょうか? それでは今の議題を終わりにしたいと思います。
次に、議題3として「月探査の進め方について」のご説明を事務局よりお願いいたします。
<鈴木室長より資料59-3-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、今のご説明に対しましてご意見、ご質問がありましたらよろしくお願いいたします。これは内閣府の宇宙科学・探査小委員会との関係でいうとどういう関係になるのですか。ここでやったことと彼らとの関係はどうなりますか。
【鈴木室長】 本委員会の議論については宇宙科学・探査小委員会等にも報告し、今後の工程表等にしっかりと位置付けていくとともに、必要に応じて基金等のテーマにするにあたっても応援してほしいと思っています。
【中須賀主査】 そういう意味でいうと、そこに入れていくためのインプットをこちらでしっかり作るという理解でよろしいですね。分かりました。いかがでしょうか。佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 佐藤でございます。ご提示いただいたこういった月面探査の進め方について、本委員会とかで特に私ども産業界からもぜひいろいろと意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。検討課題で今挙げていただいたようなものも現時点ではおそらくもうあるので、場合によってはこういうところにこういう要素を更に追加するというようなことも可能というふうに理解してよろしいですよね。例えば月面でのエネルギーの供給をどうするか等々もやはり非常に大きな検討課題の一つかと思いますし、それは我が国が主体的にやるかどうかも含めて、やはり議論の俎上には乗せて考えるべきかというふうに思います。
それからもう一つは、こういった月面探査という形での性質上、もちろんこういった技術開発が先行してという形での進め方になるというのは重々理解しますが、一方で月面の利用ですね、やはり将来的にどういう利用があって、それがあるから今どういう開発なりインフラが必要か。なので、その利用の方をどの時点でどういうふうに考えていくべきなのかというところも議論すべき点なのではないかというふうに思います。皆さんご承知のとおり国際宇宙ステーションの方につきましても民間の利用ということを促進させるべく様々な施策が取られているわけですが、ユースケースあるいは特に民間での利用というのは、やはり早めに考え始めておくことには越したことがなくて、技術開発を先にしてからこれをどう使おうというよりかは、やはり早め早めに想像を膨らませながら、あるいはそれを基にいろいろな民間事業者とも対応しながら早めに考えていくことが、やはり結果的に必要とされる技術開発につながる側面があるというふうに思っています。
例えば他の分野でいいますと、通信とか日本の5Gみたいな分野ではそういうアクションが最近特にされています。5Gとか6Gの世界に向けて技術開発をするとともに、ユースケースをやはり先に考えて、こういう世界観を実現するために通信インフラとしてこういうものが必要になるという議論は非常に活発にされているわけですが、月面もどこかのタイミングでやはりそういうことを議論できればなというふうに思っております。以上です。
【鈴木室長】 ご指摘のとおりだと思ってますが、それらは内閣府のアーキテクチャ検討会で現在検討中と理解しています。アーキテクチャ検討会の報告書ができてからこちらで検討をした方がよかったのかもしれませんが、ここでは「当面の」ということで、例えば、月測位システムであれば既にNASAやESAの検討は進んでいる中でどういうふうにやっていく必要があるのか、月面の科学あれば最初の一歩についてどこをやる必要があるかなど、当面やらなければいけないところを検討していただけると有り難いと思っています。
利用についてはアーキテクチャ検討会で実施する思っているということと、、将来的に何人が月面にいて、どれくらいのエネルギーが必要かといった点ではなく、現段階でやっておくべきことがないかについては検討したいと思います。
【佐藤委員】 ありがとうございます。
【上田課長】 補足いたします。こういったお答えをさせてもらいましたが、内閣府と私どもがバランスよく進んでいく必要があるとまず思っています。ですので、この表題としては私どもの気持ちとしては「文部科学省における当面の月面探査」さらに当面の月面探査に係る「科学」とか、あるいは「技術開発の進め方」という感覚でご提示しております。その2ポツの検討課題を見ていただくと、それぞれ技術の開発であったり科学であったりします。
何でこういうことをしているかということなのですが、産業界さんの利用も含めた大きい枠組みは、宇宙基本計画に書いてございますとおり、政府として進めるので、内閣府にそういう検討体ができています。そちらで非常に大きな話をしていく一方で、そういった議論と並行して私ども文科省として技術開発と科学に関して何をしていくのかというのを少しずつ明確化していった方がよいだろうという心持ちでおります。
数年前から既に月面開発、月面探査については、内閣府のいわゆるスターダスト事業で着手が進められていまして、例えばエネルギーにつきましては経産省さんが行っていらっしゃる、通信に関しては総務省さんが行っていらっしゃるというふうに、それぞれの省庁で行っているものが少しずつ出てきています。私どもはそのスターダストにおきましても、ここに書いてございます3番目の月測位に関しては文科省が担当してやっているということが既に進んでいるわけでして、こういったように少しずつ各省庁のやっていることが明確化しつつありますので、それはそれできちんと尊重した上で、この審議会では文科省の所掌に係る部分を少しずつ明確にしていく。それは、すみませんがやはり技術開発とか科学みたいなところから検討させていただいて、利用全体像とか産業界をどう取り込んでいくかというのは、こちらで議論するのももちろんいいのですが、大まかには内閣府の方の検討に委ね連携するのが適当ではないかと思っています。
【佐藤委員】 ありがとうございます。今ご説明いただきまして大変位置付けがよく分かりました。それぞれ別のところで検討されているような情報も我々としてもいろいろ頭に置きながら、今お題いただいたような文科省を中心とします技術開発というところで議論を進めていくように理解いたしました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。内閣府の衛星開発・実証小委員会で正にスターダストをいろいろ検討してまいりました。その中で今おっしゃったようにいろんな省庁にお願いして開発がスタートしているというところで、内閣府の中ではその将来ビジョンについての検討が、先ほどおっしゃったアーキテクチャという所で検討が始まっていて、これは少し先ですよね。なので、今おっしゃった文科省が今ここで検討するのはもう少し手前の話という、こういうタイムスケールの違いがあるということです。ただし、先でどういうことをやるかということも頭に入れた上で手前を考えなければいけないので、そういう意味での情報交換は必要だという理解でよろしいですね。ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか? ということで、この委員会でこの審議事項をこれから検討していくということでよろしいでしょうか? ありがとうございます。それでは、これからまた次回以降も検討していきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、議題4に入りたいと思います。今度はそのうちの一つで「月測位システムについて」をご説明お願いいたします。
<JAXA田邊ユニット長より資料59-4-1に基づいて説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、皆さんの方から何かご意見、ご質問がありましたらよろしくお願いいたします。
【石井委員】 すみません、内容の確認になってしまうのですが、いくつか教えていただきたいところがありましてご質問いたします。まず11頁のまとめのところで、実証検証を2028年ごろを目標に欧米と協働して行うと書いてあるのですが、10頁の方では日本としてはという言葉が入っていて、これはどの程度協力してやっていくのか、どういった内容で協力していくのか教えていただければと思いました。
あともう一つは、LunaNetとの調整のところでして、これはもちろん非常に重要なところだと思うのですが、日本として打ち出していくべき論点といいますか、日本としても確保しなくてはいけないポイントというのは何なのか具体的に教えていただければと思いました。以上です。
【JAXA田邊ユニット長】 ありがとうございます。まず一つ目の実証のところの国際連携との関係ですが、日本単独としてはこの8頁に書いてあるような、月周回軌道上の衛星と月面の受信装置でもってまずは実証するというのがあります。その上で、その頃にNASA/ESA等の月周回軌道上を周回している測位衛星もありますので、それも利用することによって、この1機ではできないもっと精度の緻密な測位実証・検証だったり、位置同定だったり、少なくとも4機以上ないと正確な位置や時刻が測れないというのがあるので、そういう1機だけではできないようなものをNASA/ESAと連携してやったり、あと、実証を行う評価の際にも地球局とかをいろいろ駆使して評価しないといけないのですが、そういったときにNASAとかESAの地上局を使わせてもらったり、リフレクター(鏡みたいなもの)を搭載して、地球上にあるレーザーリフレクターの局とかも活用しながら、この正確な位置を測定したり、いろんな協力項目があります。日本単独でやろうとしている実証についてもそういうサポートがないとなかなかうまい評価ができないということで、NASA/ESAと連携をしてやっていくというようなイメージをしております。
それから、先ほどの9頁目のLunaNet Interoperability Specification Documentのところでの日本の関わり方なのですが、正しくここはいろんなその技術的な仕様が決められます。周波数も然りなのですが、どういう信号のフォーマットで送っていくかというのをここに細かく、この文書だけではなくいろんな適用文書とか技術文書がこれに付随してあるのですが、そういったようなところで日本が近い将来、いわゆるGPS、Galileo、準天頂みたいな位置付けのようなものを今はイメージしやすいのかもしれませんが、日本の測位システムとしてここにこのスペックを規定する段階から積極的に関わって、日本として使いやすいような仕様に調整ができれば、非常により相互運用性も確立しやすくなりますし、技術的な非常に細かいところの議論も日本として食い込んでいくというようなところになります。答えになっていますでしょうか?
【中須賀主査】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。
【鈴木室長】 本日ご欠席の倉本先生からご質問を頂いております。有人与圧ローバのための測位精度の要求の中で、ローバの安全性、走法や走行経路の安全、事故時の対処等については、どのような検討をなされた上でこの測位精度が決まったのかという点について教えてほしいとの質問をメールで頂いております。
この他に、先ほど紹介し忘れてしまったのですが、当面の月面探査の進め方について、産学官の資料からは学が抜けていたのですが、取組や構想も吸い上げられるようにヒアリングを進めてほしいと頂いていまして、そのように進めたいと思います。
【中須賀主査】 先ほどの質問に対しての答えはどうですか。
【JAXA田邊ユニット長】 40 mの根拠については、まず有人与圧ローバは特に人が乗っているときはクルーの安全というのが最優先されますので、その有人与圧ローバが今どこにいるのかというのは非常に重要になってきます。その上で、この要求精度としてはここに書いてますが、根拠として南極域の地図解像度、これは月周回を回っている観測衛星とかからの1ピクセル当たり80 mというところの制約から来ているのですが、この精度であればきちんと有人与圧ローバが今どこにいるのかというのをすぐにつきとめられて、そこに向けて何らかのサポートをしていくというようなことが可能になるということで、今この40 mという精度を設定していますが、ただ、将来的にはもっと精度の高いものを目指していて、これよりも1桁ぐらい精度の良いシステムにしたいと思っていて、そうすると本当に走行中も非常に危険なところには近寄らないような、そんなものがすぐに達成できれば、車のナビゲーションと同じで危ないところには近寄らないとか、ここをこう行けるので行けばよいのではないかというようなことが、数m精度のオーダーであればそれも実現可能というふうに考えているというところです。
【JAXA佐々木理事】 一つ補足ですが、危ない障害物とかに関しては、この航法精度とは別に与圧ローバの方でレーダーを搭載していますので、近い所の障害物についてはそこで感知して安全化を図るという機能を別途持っていますので、この40 mでも安全だということになります。
【中須賀主査】 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。
【上田課長】 先ほど、今回の検討のスコープに関して補足しましたが、もう少し補足させてもらった方がよいかもしれないということです。例えば10頁目を見ていただくと、右に行くと非常に壮大な構想が書いてございます。こうやって常時何機運用するとかいうのはかなりの将来課題だなと思っていまして、一方今回お願いするのは左側にあるような当面の技術開発を中心にしたらどうすればよいかということになります。
もう一つ、例えば5頁目を見ていただいて、なぜこれを今日JAXAからご発表いただいたかというと、内閣府のプログラムで、この右の図を見ていただいて測位と通信の技術開発が始められました。内閣府のプログラムの名前が加速化戦略プログラムというふうに書いてあるのでお分かりいただけると思うのですが、各省がやるものを先導して内閣府が予算要求をして、私たちは予算の移し替えを頂いて、測位の部分は文科省がやって、通信の部分は総務省がやっているということです。測位の部分はこの3年間の進捗を私どもは見てきまして、この令和5年度で終わるということで、この次どうするかといったようなことが私どもの当面の課題意識になります。
なので、この令和6年度以降どういった展開をするのかといったときに、この10頁目みたいなこういった構想もJAXAとしては持ち合わせているけれども、一番右の方は文科省として必ずしも今コミットしているわけではございませんが、当面は何を進めるかといったところでこういった資料が出てきているというふうに理解してございます。
【中須賀主査】 スターダストがもう新規は採らないで、これから終わっていくものはそのまま終わったままということになるのですが、その後の引継ぎ先というのは我々は戦略基金だというふうには理解しているのですが、それはどうですかね。
【鈴木室長】 ものによってそうだと思います。基金の具体的なテーマはここでは決められないのですが、こういったことが重要だという意見を基に、基金のテーマを検討できればと考えております。
【中須賀主査】 そうですね。それも、先ほどの月面の検討会とかでも議論することになるのですかね?
【鈴木室長】 本日の月測位の議論も含めて報告書を作っていきたいと思っています。
【中須賀主査】 分かりました。ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。先ほどの議論ともやはり関連しているのですが、このいわゆる国際的なLNSSネットワークができたときに、日本がその中で何を取るのかということがやはりすごく大事で、何を取るのかというと、日本は例えば最初に実証したとしても、彼らが「いや、俺たちはこれでやるんだ」と言ってきたときに、果たして日本が自分たちの領域を守れるかどうかという、このこともやはりあると思うのですね。こういう国際交渉あるいは国際協調というものを頭に入れながら、では日本としては今何を先行して実証しておかなければいけないのか、あるいはした方が効果的なのかということを相当戦略的に進めなければいけなくて、相当難しいパズル問題かというふうに思っているのですが、その辺はJAXAさんの中で随分いろいろ戦略的に考えておられるのだろうと思いますけれども、この辺は佐々木さんいかがですかね。
【JAXA佐々木理事】 我々としてはアルテミス計画に入るということを先行したところから始まって、やはり得意な技術、特にプレゼンスを発揮するところで参加するというのは大前提として進めてきています。その中の一つとして、技術戦略も含まれていますし、大事な要素ということで整理させていただいた中で取り組んでくるという形でやっていますので、これは特に我々の立場ですとNASA/ESAと継続的に連携しながらしっかりと位置付けをしていくという形で、先ほど紹介させていただきましたが、それだけではなくて全体のアーキテクチャの中でも提案をして、しっかりと存在感を発揮するような形で進めるという形で行こうということで今検討を進めているということです。
【中須賀主査】 分かりました。技術的なことについてよろしいですかね。実証というのは1機ではできないのですけれど実は2機でできるのですね。それはローバがその観測の時間の間動いていないという前提ですが、動かなければ2機でできる。本当は1機でもできるのだけれどもクロックのバイアスがシフトしていくのでやはり2機ないといけないということで、こういう実験を早めにやるというのも一つの案としてはあるかと思います。そうすると、ある種2機だけ打ち上げれば何とか測位精度が出せるという、この実験をやられてはどうかというご提案もございます。
それからもう一つは、LNSS衛星の位置を測定する、いわゆる軌道推定をするのに、今はGPS漏れ電波を使うというのが第1候補ですが、これも我々随分検討しましたけれども、大きなアンテナを持って、そのアンテナをずっと地球の方向に向けておかなければいけないというのは結構な負担で、それをやるのがシステム的にいいのか、あるいは地上局をたくさん作らなければいけないかもしれないけれども地上局によるレンジ&レンジ・レートを使って推定した方がよいのかということは、これはシステム的に本当は検討すべきかと思うのですが、この辺も今日お答えはなくてもいいのですが、ご検討いただければというふうに思っております。
【JAXA田邊ユニット長】 承知しました。地上局を使った正確なレンジ&レンジ・レートとか、あとDelta-DOR(DDOR)とかは当然実証の評価として扱う計画でいるのですが、それを本当に準リアルタイム的にシステムとしてサービスを提供するときに使えるかというところは検討が必要かと思います。
【中須賀主査】 そうですね。地球が回っているので、ずっと月の方向を向いているどれかの局が対応しなければいけないという面倒くささはありますが、どちらがよいのかというのは広い立場でやはり考える必要があるかなというふうに個人的には思っています。ありがとうございます。いかがでしょうか。大体よろしいでしょうか? それでは、どうもありがとうございました。この議題を終わりにしたいと思います。
それでは、次に議題5として「JAXA宇宙探査イノベーションハブについて」のご説明をよろしくお願いいたします。
<JAXA船木ハブ長より資料59-5-1に基づいて説明>
【中須賀主査】 船木先生、ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。これは基本的には宇宙で将来の科学探査に使われるような技術と、それを開発することで地上のビジネスに使うという、この二つがあるものを提案していただいて、それを選んできたという理解でよろしいでしょうか。
【JAXA船木ハブ長】 はい。これまでの10年間の活動としては、そのようなまとめになります。
【中須賀主査】 なるほど。先ほどのSORA-Qのようないくつかの成果が出てきたということですね。ありがとうございます。いかがでしょうか。なかなか将来の科学探査で必要なというのは、それで事業化するまでの時間がかかるということで、企業としてそこに投資をするということは、それが実際に政府相手あるいは民間相手に宇宙で仕事になるまでの時間を何とかつながなければいけないというところで、そのつなぐための間を地上でのビジネスで何とか収益を上げることでつないでいくという、こういう趣旨であるというふうに理解していますが、それでよろしいですか?
【JAXA船木ハブ長】 はい。これまではもっぱら地上とのビジネスで使えるものにフォーカスして研究開発をしてまいりました。ただ、地上でのビジネスから宇宙でのビジネス、宇宙でのビジネスで使える技術と、探査で使える技術のDual Utilizationというところが今後の発展性かと思っています。地上の技術だけではなく、宇宙の技術で使う、例えば光通信等の技術をこの探査研究の中で実施し探査適用を目指す中、その技術を逆に宇宙での光通信事業に役立てる、SOLLISはその成功例ですが、そのような宇宙でのビジネス・サービスと、探査での活用といったところ、これを両輪とする形に徐々にシフトしてまいりたいと考えております。
【中須賀主査】 ありがとうございます。要は地上と宇宙だと距離が遠過ぎるから、宇宙の将来の科学探査と、今例えば動いている低軌道における宇宙の様々な事業、これをつなぐことによってやるというふうに、今後の検討として今出していただいているスライドはそういうことを意味しているというふうに私は理解しました。それでよろしいですよね?
【JAXA船木ハブ長】 はい。つないでいただきありがとうございます。
【中須賀主査】 竹森委員、どうぞ。
【竹森委員】 ありがとうございます。ご説明がなかったのですが26頁の紙を非常に興味深く見ておりました。自己投資額が増えているということです。なので、最初のうちは恐る恐る企業側も投資をしながら、投資をした以上は地上のいろいろな既存ビジネスの方に使っていくということではあったのですが、今後いろいろ可能性が広がってきたということで、企業もかなり投資額を増やしてきているかと思うのですが、この企業が自己投資を増やしてきている要因分析といいますか、企業の数が増えているのか、分野が増えているのか、その投資額としてより可能性を感じて金額を増やしているのか、どんなイメージを持てばよろしいでしょうか。
【JAXA船木ハブ長】 一言でご説明するのは難しいところなのですが、探査ハブからの、あるいはJAXAからの研究費の投資というのは、基本的には500万円とか1000万円とかいうような規模になっておりますので、企業さんとしても、多くの企業さんはそれとフィフティフィフティぐらいの規模の投資を、例えば各会社さんの人件費等を投入することで投資していただいているという状況です。
大規模な投資は、やはり宇宙をより積極的に活用して次のビジネスにつなげようというところで、例えば今日ご紹介できなかったのですが、1年ぐらい掛けてISS上で全固体電池のデモンストレーション実験を日立造船さんと実施してまいりました。彼らはここ数年来自己投資いただいておりまして、これは宇宙での実験等もきっかけに、若干の遅れが目立つ全固体電池の分野で、できるだけ早く地上の自動車等のビジネスに投入できるような機器を作って、これをサービスインさせて加速していくということで、彼らは宇宙も一つのステップにしたビジネス戦略を描いておりまして、そういった企業さんは非常に多くの投資をここでしてくださっています。そういった戦略的に投資をしてくださっている5社~10社ぐらいの企業の皆様が、この投資の大体7割、8割ぐらいを占めているという状況になっております。なので、探査ハブからの資金投入に対してほぼフィフティフィフティの投資をしてくださっている企業さんと、それから、会社の戦略を明確にして、より大きな将来のサービスを目指した投資をしてくださっている企業さんと両方いらっしゃるというようなことになっております。いかがでしょうか。
【竹森委員】 ありがとうございます。正に今おっしゃるようなインパクト評価的な概念として、資金を投入する効果がどんどん広がってきていると思うのですよね。なので、せっかく10年やってこられてずっと追いかけてやって、こういう表現をされているので、何となくその個別の案件は広げてこんなのがありましたというよりも、これを体系的にJAXAの資金を投入する中でこういうふうに広がっていったという、何かそういう資金の投入の効果みたいな、呼び水効果とか産業波及効果とか、そういう辺りを具体的に表現するとよりこの価値というものが表現しやすくなるかというふうに思った次第です。以上です。
【JAXA船木ハブ長】 ご指摘ありがとうございます。今後の活動に反映させていきたいと思います。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 佐藤です。理解のために少しお伺いしたいのですが、この新研究制度のMoon to Mars Innovationと、いわゆる宇宙戦略基金の関係性についてお伺いしたいのですが、宇宙戦略基金とは別にこの制度があるものなのか、あるいは宇宙戦略基金の中でこのテーマに沿って採択されるのか、もし違うものであれば、そこの位置付けの違い等を少し補足いただければと思います。
【JAXA船木ハブ長】 これは現在JAXA及び文科省さんと調整中の事項かと思いますが、現在我々探査ハブの方では、基金とは別の運営費交付金を利用した事業としてこの研究開発、Moon to Mars Innovationを実施するということで準備の方を進めさせていただいております。こちらもご意見いただければと思っています。
その根拠ですが、先ほど冒頭、文科省さんの方から基金の方での委託あるいは補助という考え方を示されていたと思います。委託する研究開発、あるいは補助する研究開発に対して、探査ハブの事業の方では基本的には共同研究として、JAXAの皆さんと、スタッフの皆さんと、それから企業の皆さんとが共同で実施する、共創するということになっておりますので、こうした共同研究というのは基金という枠組みにはなじまないということを我々は認識しておりまして、そういう意味でも運営費交付金事業として実施すべきというふうに現在準備しているところです。ご回答としては我々からは以上になりますが、文科省さん、皆さん、もし補足等がございましたらお願いいたします。
【鈴木室長】 ご説明いただいたとおり、ポイントとしましては、JAXAと共同研究を実施するというところと思っていまして、基金とは別なものと考えていただければと思います。成果を踏まえ、基金等に提案いただくこととはあるかと思います。金額的にも先ほどお話があったように500万とか1000万円で、まずはどういったものが今後宇宙で使えるのかを、まずはJAXAの研究者と一緒に研究いただく事業と思っています。
【佐藤委員】 ご説明ありがとうございます。そうすると、同じテーマである意味初期段階でJAXAさんと企業とで共同研究みたいなことを進めていく中で、その先に次の展開として例えば事業化とかにもつながるみたいなことが見えたら、その延長線上として次に宇宙戦略基金のところにもエントリーをする可能性があるというふうに理解しました。これは探査の領域だと比較的なかなかすぐに民間事業が事業化する領域はもしかしたら少ないかもしれないので、JAXAさんと共同研究するというスキームにおいて、やはり今回のご説明いただいた制度というのをやはり主に使っていくような形になるのではないかというふうに理解しました。以上です。
【JAXA船木ハブ長】 ご指摘の点はごもっともでして、ただし企業様にとってのインセンティブをできるだけ作っていく、より近くに見せていくというのが、SORA-Qの事例でも重要かというふうに強く感じておりますので、そのような基金とは別の意味での目利きをしっかりした上で、企業様との研究を進めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。今の整理は分かりやすかったかと思うのですが、これはイノベーションハブである種、基礎的な部分をやって、それで良いものが出てきて、今後の活動の中には、応用先が地上ではなくて例えば低軌道等の宇宙の事業になるわけですよね。そうすると、それを今度は良いものができてきたら宇宙戦略基金でカバーしていくというのはすごく流れとしては良いと思うのです。ステップアップしていく道としては。なので、そういうのである種この探査ハブ卒業枠みたいなものがこの戦略基金の中にいくつかあると、それが目標になるから、要するにまずはJAXAと共同研究して、成長したらそれを取りに行けるかもしれないというのは、非常に良いインセンティブになるのではないかという気はします。そうして戦略基金になったときに、せっかく最初共同研究でやっていたJAXAの人がその活動に参加できないというのはもったいないかなという気もするのですが、これはどうなのですか。そうやって事業者が戦略基金を使って動いていくところに、元々その一緒にやっていたJAXAの人が少し技術的な提供とかをするという観点で参加することもあってもよいかと思いますが、その辺はどうでしょうか。
【鈴木室長】 JAXAから技術的なアドバイスを受けるということについては、基金でもできるとは思います。ただ、基金のお金をJAXAがもらうことは、JAXAが基金の提供元ですので、できないです。
【中須賀主査】 技術的なアドバイスとか、そういう形では可能ということですよね。
【鈴木室長】 先ほどの中須賀先生のご指摘については、これまでも探査ハブの研究成果がスターダストやムーンショットにつながったといった話があったので、そういった形が基金を目指せればと思います。枠を作ることについては、探査ハブの発展のために基金があるのではなく、こういった技術開発が必要だから基金のテーマとして設定するといことなので、JAXAや企業で、探査ハブを基にこういう技術ができそうで、かつ必要ですということをしっかり検討していただき、関係省庁にインプットしていただいて、技術戦略テーマとして設定するという流れかと思います。
【中須賀主査】 分かりました。なので、この探査ハブの活動する中で良いものができて、先ほど言った宇宙での事業化につながりそうなものがあれば、事前に文科省さんとかとお話をして、それが今度のいわゆる戦略基金のテーマとして出てくるという、こういう流れを作っていけばよいということですよね。分かりました。ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。これは非常に成果も出ているようで、良いと思うのですよね。宇宙を地上にスピンオフするというところから、今度は宇宙にスピンオフしていくという、こういう方向のご提案だったと思うので、これは本当に萌芽的ないろんな企業、特に非宇宙企業を宇宙に巻き込むという観点からはすごく良いプログラムかと思って、更に活性化していくことが期待されるところかと思っております。他にはいかがでしょう。オンラインの皆さんもよろしいでしょうか? すみません、先ほどから見ていなかったのですがオンラインは特に質問はなかったですかね? よろしいですかね。どうぞ。
【上田課長】 もう少し補足します。おっしゃるとおりの位置付けだと思います。JAXAファンディングで支援対象とする場合、JAXAと共同研究したものから、企業が独り立ちしていくものもあると思いますし、もう一つはJAXAには実は知見がないというものを、企業にそもそもお願いするというのもJAXAファンディングの役割だとも思います。例えば、同じような仕組みで宇宙輸送の部分でも、将来輸送プログラムというのがJAXAであって、こちらも共同研究が今後主体になっていきますが、例えば軽量化のためのCFRPの技術などは必ずしもJAXAになかった場合は、そもそも企業に頼むというのも発展としてあり得るのかなと思っています。
もう一つ補足とすれば、基金で育てるべき技術を特定していくときに、民間企業なり大学なりが自分で活用していくというのはあるのですが、その活用先の一つに例えばですが今日の測位の例で申し上げると、あるキー技術が日本の企業なりでできた場合、そのキー技術が国際的なコンソーシアムに採用されていくというのもこの民間企業の展開先、すなわち月測位衛星が将来的にどういう国の構成でなるかを問わず、キーコンポーネントを日本の企業がそこに納入していくというのも、一つの民間企業の活躍というふうにも捉えられるかと思っているところです。
【中須賀主査】 ぜひそういうのができてくるといいですね。ありがとうございます。大変良いまとめのご提案を頂いたかと思います。そういうことで、こういう活動をどんどん広げていくということ、それから、先ほど申し上げたとおり非宇宙企業をいかに巻き込んでいくか、これがやはりこの技術を大きくするためのキーだと思いますので、ぜひこれからも考えていきたいなというふうに思います。大体よろしいでしょうか? お時間がそろそろ12時でございますので、では以上でこの議題を終わりにしたいと思います。船木先生、引き続きよろしくお願いいたします。
【JAXA船木ハブ長】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 それでは、以上をもちまして、本日予定していた議事は全て終了です。最後に事務局から連絡等をよろしくお願いします。
【事務局】 事務局でございます。本日の議事録につきましては、非公開審議部分を除いて文科省のホームページで公開させていただきます。また、資料につきましては既にホームページに掲載しているところでございます。次回の小委員会の日程につきましては、日程調整の上で改めてお知らせいたします。事務局からは以上でございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、積極的な議論いただきましてどうもありがとうございました。これをもちまして本日は閉会といたします。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課