宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第47回) 議事録

1.日時

令和4年3月9日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階第2特別会議室又はオンライン

3.議題

  1. 国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について
  2. ISS費用対効果の向上のためのコスト削減の方策
  3. 提言案素案について(非公開)

4.出席者

委員

主査(専門委員)           藤崎一郎
主査代理(専門委員)        向井 千秋
臨時委員                稲谷 芳文
専門委員                金山 秀樹
専門委員                木村 真一
専門委員                倉本 圭
専門委員                古城 佳子
臨時委員                高鳥 登志郎
専門委員                高橋 忠幸
専門委員                竹森 祐樹
専門委員                中村 昭子
臨時委員                永山 悦子

文部科学省

研究開発局長                           真先 正人
大臣官房審議官(研究開発局担当)            原 克彦
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長     国分 政秀
宇宙利用推進室補佐                       溝田 岳


(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事                     佐々木 宏
有人宇宙技術部門
 事業推進部部長                        川崎 一義
 事業推進部主任                   宮崎 和宏

5.議事録

【藤崎主査】 では、定刻になりましたので、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(47回)を開きたいと思います。
 オンラインで御参加いただいている委員の方に、御参考までに、今日は真先研究開発局長にも御出席いただいています。それでは、議事に入ります。
 議題1は、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道活動をめぐる最近の動向についてです。
 国分室長より説明いただきます。よろしくお願いいたします。
 
<国分室長より資料47-1を説明>
 
【藤崎主査】 何か御質問がございましたら、どうぞお願いいたします。
 永山委員、よろしくお願いいたします。
 
【永山委員】 御説明ありがとうございました。
 出していただいている情報は限定的なもので、今社会の皆さんが注目しているのは、ロスコスモスの関係者がかなり刺激的なツイート等をされているということで、それについて日本政府としてはどのような分析をされているのかということと、今後の議論にも関係してくると思いますが、ロシアのISSへの参画が揺らぐようなことが懸念材料としてお持ちなのかという点について、教えてください。
 
【国分室長】 ありがとうございます。まず、日々の国際宇宙ステーションの運用につきましては、日々、24時間、365日、5極でコミュニケーションを取りながら運用をやっているんですけれども、こちらに対して具体的な何か影響があるということは今のところ承知していません。
 あと、国際宇宙ステーションの延長に関する検討とか計画そのものに対する影響は、今の段階で具体的に見えているものはないですけれども、いずれにしろ、当省としてもJAXAと連携して状況を見ながら適切に対応するという方針でやっておりますので、今の段階では御紹介できるのはそんなに多くないと。逆に言うと、特に具体的なものは我々は承知していないという状況です。
 
【藤崎主査】 ほかの委員の方々はございますか。古城先生。
 
【古城委員】 今の御質問と関連する質問です。ISSは冷戦後の国際協調のシンボルみたいなものだったわけですけれども、こういう事態になって、国際政治の研究者としてはワーストケースシナリオというのを常に考えないといけないと思っています。今の情報ですと、むしろNASAやESAは大事を取って協力関係に支障はないと言ってるわけですけれども、ロシアが万が一離れるということになった場合に、どういうふうにしていくかというプランは立てるおつもりでしょうか。それについてお伺いします。
 
【国分室長】 ありがとうございます。仮定を置いた場合のお話というのは、なかなか誤解を受けるおそれもありますので、今、この場では差し控えたいと思うんですけれども、よろしければ、後の非公開の場で少し砕いた形での御紹介をすることは可能ですので、そちらでお話しさせていただければと思います。
 
【藤崎主査】 今、ロシアのパーセンテージはどれくらいですか。
 
【国分室長】 負担割合ですか。
 
【藤崎主査】 はい。
 
【国分室長】 IGAという国際宇宙ステーション協力協定の枠組みの中で、各国、各極の負担割合を決めているんですけれども、まず、全体の負担に関しては、ロシアとロシア以外の4極で半分に割って、それぞれを100:100としています。ロシアは自らのリソースを自ら100%使っている状態です。一方、アメリカを含む残りの4極については、アメリカ側の100をアメリカ側が……。
 
【藤崎主査】 一言で言うと、つまり全体の50%はロシアであるということですね。
 
【国分室長】 そうです。
 
【藤崎主査】 分かりました。ですから、確かに、今、古城委員、永山委員が言われるように、かなり大きな影響があり得るということは頭の中に置かないといけないということですね。これは今後の進展によって、いろいろなことがもちろんあり得る、ワーストケースシナリオもあり得るわけですから、恐らくアメリカでも議会とかいろいろなところがいろいろ考え出すわけで、今後、状況の変化を見ながらまた議論していくということで、後でまた御説明いただければ結構です。
 以上で、この第1議題については了しまして、第2議題、ISS、費用対効果の向上のためのコスト削減の方策ということで、JAXAの佐々木理事より御説明いただきます。
 
<佐々木理事より資料47-2を説明>
 
【藤崎主査】 これから委員の方々から御質問いただきますが、私から5ページについて質問させていただきます。
 今御説明いただいた多極との比較のところですが、これは米国の100分の1ということになっておりますが、対象が大分違って、例えば有人の運搬手段とか、そういうものが入るか入らないかとか、そういうことが実は全く比較の対象にならないものを一応こういう数字で言うんですけれども、これは、もし外に出して説明するときには、あまり説明しにくいかなというのが1点でございます。
 もう1点は、これはもう少し大事な話でございますが、その2つ下の丸で「日本は、ISSパートナー中、最も効率よく利用を創出」ということで、これはそのとおりだろうと思いますが、これから民間利用ということでございますと、利益に結びつくような利用ということが大事になってくると思いますが、そういう観点からの経済効果を入れた比較、例えば、NASAのものはこれだけ民間に波及効果があったとか、我が方はこうなんだという、そういう研究、検討もされておられるのかどうか。なぜかというと、繰り返しになりますが、民間主体、民間という話が大分出ておりますので、その観点から、この点を確認したいと思います。
 どなたかほかの委員の方も質問がありましたら、どうぞ。木村先生、お願いいたします。
 
【木村委員】 2点、教えていただきたい点がございます。
 先ほどの2ページになると思いますが、HTV-Xの活用によってコストを削減しようという作戦自体は理解できました。その説明の中で、運用においても「きぼう」運用の効率化を図るというところで、効率化を図って4割ぐらい減できるという話があったと思いますが、具体的にはどんなコスト低減施策を考えられているのか説明がなかったと思うので、そこを教えていただきたいのが1点です。
 2点目が、4ページのところでストック効果というお話をされて、一般的にはこういう形で議論されるのだと思うのですけれども、今まさに、先ほど主査がおっしゃったように、利用自体が非常に効果的に進められているというのは理解できたんですが、利用のレベルが今後も継続できるという見込みのようなものが必要ではないかと思うのですが、その辺りの説明をお願いいたします。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。高鳥委員、お願いいたします。
 
【高鳥委員】 前回も同じような御質問をさせていただいたと思いますが、確認です。リソース配分について12.8%となっているんですが、2024年以降もISSが継続される場合、この配分割合もそのまま継続される、ということでよろしいでしょうか。延長となるタイミングで改めてリソース配分も含めて見直す話は特には議論されていないのでしょうか。
 
【藤崎主査】 まず国分さんから回答をお願いします。
 
【国分室長】 今の高鳥委員からの御指摘ですけれども、このリソース配分というのは、国際宇宙基地協力協定の下で決められているものですので、この協定のフレームワーク自体、中身を変えない限り、12.8%は変わらないものでございます。
 
【藤崎主査】 では、佐々木理事、お願いいたします。
 
【佐々木理事】 まず、藤崎先生からの御質問の1つ目については6ページに説明させていただいているところですが、おっしゃるとおり、我々もなかなかこれを定量的に整理するのは難しくて、一番分かりやすいデータがある分から整理させていただきました。
 
【藤崎主査】 分かりました。結構です。
 
【佐々木理事】 そういうことで、この大きなアメリカと同じようなことをやっているわけでは……。
 
【藤崎主査】 結構でございます。
 
【佐々木理事】 それから、2番目の利益を創出するような形での利用ですが、これは各国、商業的に利用することについては取り組み始めた段階でして、それでも日本のほうが最初に手をつけたというところでは、かなりやっていますが、それを具体的に数値化してどのぐらいかというのは、まだ時期尚早な段階だと思います。ただ、現状、大体1割程度のところで、いろいろな形で進めていまして、リソースの費用の負担の観点で言いますと、少なくとも運用のリソースについては出してでも利用したいという形で参加される方は増えてきているという整理はしております。ただ、まだ実績を積まないと、なかなかこの場できちんと御説明できるデータにはならないかとは思います。
 それから、木村先生から御質問のありました1つ目のところ、私の説明が分かりにくかったと思いますが、4割削減というのは、大部分についてはHTV-Xのコスト削減の効果になります。運用・利用につきましては、当然初期段階から比べますと運用の習熟度が上がり、また、自動化とか効率化を図ってコスト削減してきています。
 具体的に見ていただきたいのは、3ページ目の図で、例えば運用の予算実績が初期段階では100億を超えるものが、段階的に下がって、今現状86億になっていて、この分、効率化が図られていると御理解いただければと思います。
 それから2番目の利用の見込みですが、先ほど触れましたが、特に商業利用に関して言えば、いろいろな実績が上がってきたこともありまして、問合わせは大幅に増えている状況ですので、引き続き利用が進められるのではないかと認識しております。
 
【藤崎主査】 高橋委員、お願いします。
 
【高橋委員】 2つ教えていただきたいんですけれども、4ページのところで、右側の方にいろいろと書いてあるんですが、健康長寿社会実現と書いてあるのが、どういう考え方でこれを書かれているのか。ただ薬を作りますとか薬の研究をしますというのは、ここには直接つながらないと思っているんですけれども、どういうことをここに込めておられるのか教えていただけないでしょうか。
 
【藤崎主査】 永山委員、お願いいたします。
 
【永山委員】 今後の予算規模の圧縮に向けてということも含めて、現在のISS利用で予算を圧縮することによって、「倍になるようなことはない」というお話がありましたが、補足資料を拝見しますと、JEMの運用と利用の費用以外の部分の今後の想定として400億円をかなり超える予算額が必要とされています。もちろん現状のISSで使う費用が効率的に圧縮されるのは良いことだと思いますが、JEMなどの額と比べると3倍ぐらいになってしまっているような印象もこのグラフ見ると出てくる。その辺りはどう解釈すればいいのでしょうか。
 
【藤崎主査】 これは文科省のほうですか、予算全体ということで。
  それでは、国分さんにお願いしますか、今、永山先生からのお話について。
 
【国分室長】 ありがとうございます。JAXAさんの資料になりますが、机上配付の資料で2枚程つけさせていただいています。資料47-2の補足資料の2ページ目を御覧いただきたいんですけれども、今までISS予算として推移を見てきたものに加えて、2019年にアルテミス計画に参画したことを踏まえまして、HTV-Xの予算につきましてはアルテミス予算のほうに計上するようになっています。ただ一方で、アルテミス予算とは言いながらも、HTV-XはISSに補給することでアルテミスへの活用の実証をしていくという考え方なので、最近、ISS予算とアルテミス予算を分けて考えるのもあまり意味がなくなってきているような印象を受けておりますので、こういった表を用意して、足し合わせた金額がどういうふうに推移していくかというのをお示ししております。
 そういった観点からは、このアルテミス計画に参加したことによって全体の金額は2021年のところから伸びてはいるんですけれども、ただ、今後の推計として、多分先ほど佐々木理事が言ったのがそういうことかと思うんですけれども、この足した数字自体が今後物すごく右肩上がりに増えていくという予想にはなってないという説明でございます。
 以上です。
 
【佐々木理事】 左のところの推移から、若干増えていますけれども、倍になるようなことはないという。
 
【藤崎主査】 ただ、現時点で今見通すのはこれでございますけれども、それからの深宇宙等にこのグループが進んでいくというときには、かなりいろいろ本当はあり得るけれども、今この時点でそれについてきちんとした数字として見通しを言うわけにはいかないということでございますよね。分かりました。では、佐々木理事、お願いいたします。
 
【佐々木理事】 それでは、高橋先生からの御質問で健康長寿社会の実現という観点ですけれども、「きぼう」の利用におきまして、健康長寿というのを1つのテーマに設定されています。これは、おっしゃった薬の部分もありますけれども、これ以外の医学の研究とか、それから小動物の実験を通した様々な研究、1つの例でいきますと、宇宙の環境が老化を加速するような環境条件になっているというのが分かってきて、骨とか筋肉の老化に対しての研究の場になっているように、創薬以外の様々な健康長寿に向けた研究が今進められています。その成果がすぐにこの1,2年で出るわけではないですが、長期的に効果が表れると、そういう趣旨で書かせていただきました。
 
【藤崎主査】 高橋委員、お願いします。
 
【高橋委員】 分かりました。私が質問した背景は、がん研究などの医学分野は、地上のほうで非常にニーズが高い研究なので、宇宙から地上へという観点で、今後うまくこれを骨太の方針で医学研究のコミュニティとうまくつなげていくと、大きな分野に広がるのではないかということです。今後、持続的な人間社会、健康長寿を実現していくためにというのを柱にしていくためには、どういうことをやるとよいかということをまた教えていただければと思います。健康長寿社会実現はすごくよい方向なのですが、具体的でないと何にどうつながるかがよく分からないと思います。
 
【佐々木理事】 ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 稲谷委員、お願いいたします。
 
【稲谷委員】 先ほどの利用総数と利用効率のグラフのことで、藤崎先生もおっしゃいましたけれども、これは評価のメジャーはなかなか難しいところですが、何か無機質な利用総数という数と効率という数にしてしまうと見えないような、例えば研究コミュニティがこんなに大きくなりましたとか、この分野の研究予算がこんなに増えましたとか、そういう活動に直結したようなメジャーで表現すると、その結果がもっとよく分かる,という感じがします.またこれも藤崎先生もおっしゃるように、例えば経済活動の観点も含めて、多様なメジャーがあると思うので、そこを何かうまく工夫したいなと思って発言させていただきました。なかなか表現は難しいところとは思いますが、総数とか効率という数字は確かに客観性はあるのですが、無機質というか、直感に訴えないような表現となるので、客観性は少し横においても,もう少し熱を感じるような表現ができるような工夫ができれば良いと思いました。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。では、古城委員、お願いいたします。
 
【古城委員】 効果を計るときに、4ページで丸1から丸4までの効果ということで示されていて、今度、他極との比較についてというところで、量的な比較と質的な比較が一緒になっているので、分かりにくいと思います。量的なことは、今出されている数値で分かるのですが、質的なところで、例えば5ページの左側のところで、高度な成果の創出は、技術的波及効果・社会的効果の向上に寄与と書いてあります。これは4ページで説明されていることで、恐らくどこの国も同じようなことが起こっていると思うので、こういう書き方よりも、先ほどの高橋委員の御質問とも重なりますが、むしろ下に書いてあるような、将来的にどういうような展望につながっていくのかということを書いていただくと、この日本独自の技術的側面とか社会的側面というのがより理解できて、こういう効果があるということがもうちょっとアピールできると思います。もうちょっと可能性があるというところを書いていただくといいのではないかと思います。
 
【藤崎主査】 両方とも関連する話でございますね。向井先生、お願いいたします。
 
【向井委員】 ありがとうございます。私からの指摘は、皆様と同様で、費用対効果が、利用と実際の成果とで結び付きが少なく、効率化を示すだけの説明のように見えてしまうまとめ方になっているということです。ページの3と5と7辺りが関連データですが、例えば3ページの区分では、利用と運用に関しては効率化、そして、HTVに関しては予算枠を別枠にすることによってISSの予算が少なく見えるという形にしています。しかし、これらの項目を個別に考えて、最後の7ページのまとめをするべきではないかと思っています。現在の7ページのまとめは、全項目が一緒くたになっているので、インパクトが少なく、分かりにくいものと思います。
 例えば、3ページの運用費を見ていただくと、運用費は長年変わりません。施設運用と施設管理をする飛行士訓練費の効率化で運用費を節約するのは良いと思います。
 ただ、利用費を見ていただくと、利用費も長年変わっていません。ここの問題点は、5ページの左一番下を見ると、米国は利用に関しては、NIH(National Institutes of Health)含めて、ナショナルラボの利用費として増額しています。ところが日本は、研究コミュニティ育成の利用費の投資はしていないということです。利用効果を出すのであれば、その利用に関して適切な投資しない限り大きな効果は出ません。運用効率と利用促進への投資を区別して考えるべきと思います。研究コミュニティを含めるISS利用者は、予算をISS予算以外から集めてこないと、ISSを十分に使えないという状況が何年にもわたって続いています。利用予算の捻出を考えない限り科学コミュニティは育成できず、利用促進とその効果は出にくいと思います。
 また、比較方法ですが、全体のストラクチャーを管理するNASAの運用費と日本の12.8%の運用費を同レベルで並べて、日本が効率がいいというのは言い方に幾分無理があるかなと思います。
 ページの7のまとめですが、一番目のHTV-Xを別枠に組み替えたことは評価できると思います。単なるISSの縦割りの中の予算を使うだけではなくて、アルテミス計画等の将来に向けての予算の構図に組みなおすべきと思うからです。
 2番目の将来効果が期待できるというところは、利用費に研究費や民間育成費を投資しない限りは、波及効果を含めて大きな成果を期待するのは難しいと思います。
 つまり、このまとめのページは、運用費、利用費、将来に向けてのHTV-Xを整理してまとめるべきと思います。 向井からのコメント以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。稲谷委員、古城委員、向井委員、問題意識はある程度共通なところから出ているように思いますが、これにつきまして佐々木理事、お願いいたします。
 
【佐々木理事】 今回、取りあえず費用対効果ということで、コスト削減というのをメインに持ってこさせていただいて、本来、御指摘いただいたような科学的な波及効果の具体的な進展というところについて、あまりページを割かなかったんですけれども、我々としては、前回御説明させていただいて、利用のところは説明させていただいているという認識で、今回は非常に統計的な数字で終始させていただきました。
 おっしゃるのはごもっともで、我々としても個々にそういう効果については整理はしておりますので、機会を見て御説明させていただければと思っております。
 それから、そういう定性的な内容につきましては他国との比較はなかなか難しくなってきていまして、今回整理させていただいたのは、国際的にISSのコミュニティの中でお互いにデータを出し合って整理した数少ないデータでしたので、そこから拾って比較しましたけれども、なかなかそういう定性的といいますか、概念的な効果は、お互いに言い放しになっているところもありまして、その辺をもう少ししっかりと分析したいと思います。
 なかなか国際的にそれを合意するのは難しいかもしれませんが、我々なりの評価をして、機会を見て御説明させていただければと思います。
 
【藤崎主査】 恐らく各委員の問題意識は、あまりに単純な数字の比較だけでは説得力を持たないので、もうちょっと定性的なところを――確かにおっしゃるように、各国のそういうものを得るのはなかなか難しいので、書き方の問題になるかもしれませんけれども、やっていただかないと、いみじくも佐々木理事がちょっとおっしゃったように、結論が先にあって、それをこうやっているように見えてしまって、そんなことはないのかもしれないですけれども、もう少しそこを分かりやすくしていただいたほうがいいということではないかなと。高橋委員、どうぞ。
 
【高橋委員】 コメントですけれども、今後、費用対効果を上げていくという観点で考えていただきたいことがあります。大学では、いろいろな研究をしているんですけれども、それが民の技術研究とか将来の製品開発とかに必ずしもつながってないという事があります。日本はなかなかそういうのは難しいことだと思っていますが、例えば、このISSを通じて、大学と企業が一緒になって共同研究をして、それをISSで実現していくというような仕組みが取り入れられると、お金のこともそうですし、成果についてもより具体的によいものが生まれるのではないかと思います。今後進めていく上では、その辺のことも視野に入れていただけるとありがたいと思います。
 
【藤崎主査】 佐々木理事。
 
【佐々木理事】 御存じと思いますが、JAXAの中でもイノベーションハブとか、いろいろな民間と大学がつながって研究する仕組みをつくっています。そういう成果を、枠組みをISSにも適用するなど取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。ほかの委員の方々、ありますか。
 
【国分室長】 もしよろしければ、事務局からも1点だけ御紹介を。
今の話で、完全な補足にはならないと思いますが、前回の小委員会で御議論させていただいた資料を画面に共有させていただいていますが、小さい字で恐縮ですけれども、JAXAさんからの説明資料ですけれども、稲谷委員からの指摘で、もう少しビビットな数字は出せないのかという御指摘もあったと思うので、オレンジのところだけ抜粋しますが、(2)の知の創造、それから社会的課題解決というテーマで活動してきたことについては、創薬ですとか健康長寿、それから物性データ的な研究がそれぞれあり、さらにアカデミックな観点から左下のX線天文学等における活動があります。その中で、オレンジのところ、例えば競争的資金の獲得が10倍、論文数が4倍、それからアカデミックな観点では、ISSの科学研究として論文約2,500本で、被引用数としては歴代3位という数字、また、こういった活動をプラットフォーム化することで、民間の活動に少しずつシフトしていくという観点からは、右側にあるように、オレンジのところですけれども、有償の軌道上利用件数が約10倍に増えていること、それから、3年間で国内外の41件を「きぼう」のプラットフォームを活用した超小型衛星放出として受注していること、こちらはプラットフォームとして移管前の3倍ぐらいに増えているとか、それから、船外実験のプラットフォームでは2年で13件の受注、タンパク質結晶生成では移管開始半年で3件受注などなど、いろいろこういう活動は具体的には出てきているということで前回御紹介したものです。
 ただ、御指摘のとおり、これは全部アウトプットであって、アウトカムではないという御指摘だと承知していますので、そこは工夫する必要があるとは思っています。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。ほかに御指摘、コメント、あるいは御質問がなければ、このISS、費用対効果の向上のためのコスト削減の方策につきましては議論を了したいと思います。本日の公開部分の議事はこれで終了させていただきます。
 事務局から連絡事項があればお願いします。
 
【事務局】 事務局でございます。
 本日の議事録は、後日、文科省のホームページに掲載させていただきます。また、次回の小委員会の予定につきましては、また日程調整の上、改めてお知らせいたします。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課