宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第45回) 議事録

1.日時

令和4年1月19日(水曜日) 15時00分~17時30分

2.場所

文化庁特別会議室又はオンライン

3.議題

  1. 国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について
  2. ISSを含む地球低軌道活動の在り方に関する検討[(1)国際宇宙探査活動を見据えた地球低軌道活動のビジョン、(2)民間が主体となった利用へのシームレスな移行:JAXA及び民間事業者からのヒアリング]
  3. その他

4.出席者

委員

主査(専門委員)           藤崎一郎
主査代理(専門委員)        向井 千秋
臨時委員                稲谷 芳文
専門委員                金山 秀樹
専門委員                倉本 圭
臨時委員                高鳥 登志郎
専門委員                高橋 忠幸
専門委員                竹森 祐樹
専門委員                中村 昭子
臨時委員                永山 悦子
専門委員                          原 芳久

文部科学省

研究開発局長                           真先 正人
大臣官房審議官(研究開発局担当)            原 克彦
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長     国分 政秀
宇宙利用推進室補佐                       溝田 岳


(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事                     佐々木 宏
有人宇宙技術部門
 事業推進部 部長            川崎 一義
 ISSプログラムマネージャー          酒井 純一
 事業推進部 主任                   宮崎 和宏

(三井物産株式会社)
宇宙事業開発室
 室長               重枝 和冨
 プロジェクトマネージャー     山本 雄大
 
   (兼松株式会社)
航空宇宙部第四課 課長      篠原 亨
航空宇宙部第四課          高田 敦

5.議事録

【藤崎主査】 定刻になりましたので、ただいまより国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第45回)会合を開催いたします。
 
<事務局よりオンライン会議の注意事項等説明>
 
【事務局】 本年1月1日付で当省の研究開発局長の交代がございました。真先局長、一言お願いいたします。

【真先局長】 本年の1月1日付で、前任の生川の後を受けまして研究開発局長を拝命しました真先と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 前回のこの小委員会ですけれども、特に昨年末、岸田総理を本部長といたします宇宙開発戦略本部会合の中で、いわゆる月面着陸の件に関しまして、総理のほうから、米国人以外で初となることを目指して2020年代後半を目途に日本人による月面着陸の実現を図ること、こういうことが決定されるという、非常に画期的なことでございました。
 また、御覧のとおり、同じ1月1日、現地では12月31日だったようですが、NASAのほうから、政府として2030年までのISSの延長について発表があったということでございます。
 このように、大きく局面も動いている中で、ISSの国際宇宙探査小委員会では、これらアルテミス計画またISS計画に関しまして、非常に重要な局面に今、来ているものですから、ひときわこういった件に関して委員の皆様におかれましては闊達な御審議をお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 
【藤崎主査】 それでは、議事に入ります。議題1は、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道をめぐる最近の動向についてです。11月12日以降の動向を事務局の国分さんから御説明いただきます。
 
<国分室長より資料45-1について説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。委員様方からご質問ありますでしょうか。それでは、さっきご提示のありました予算額は宇宙だけでしょうか。
 
【国分室長】 宇宙と航空関係の予算です。
 
【藤崎主査】 下の宇宙関係予算というのが2,124億円。それで補正が686億円ありますから、それを引くと1500億くらいとほぼこの額になりますよね。だけど、航空はもう少し額があるはずですから、足し合わせることになりますか。
 
【国分室長】 細かい話なんですけど、航空の予算が30億とかそういう規模に。
 
【藤崎主査】 それでも数字が合わないですね。
 
【国分室長】 そうですね。あとはちょっと細かいんですが、文科省内での内局の委託費の予算とか、そういうものも計上されたり引いたりとかもあるので、多少計算が合わない部分がありますが、いずれにしろ、宇宙予算といったときはこのお金を使っていくと。
 
【藤崎主査】 ほとんどこの一番上の数字と同じですね。
 
【国分室長】 近い数字ではございます。
 
【藤崎主査】 1,2億しか差がない。分かりました。
 第2点は、ちょっとお答えにくいかもしれないんですけれども、局長もおっしゃり、室長もおっしゃった総理のお言葉について、言える範囲で結構ですけど、これを言われるということは、アメリカとは一応のすり合わせをした上でになるんですか。おっしゃれる範囲で結構です。
 
【国分室長】 これは交渉事でございますので詳細はお話しできませんが、米国とすり合わせたというよりは、これは我が国内ではこういうことを目指していくんだということを、日本として発表したということです。
 
【藤崎主査】 委員の方々から御質問があれば。ございませんか。それでは、今の予算等の御説明、最近の動向については御質問がないということで、もし何か後で出てきたらそのときに御質問いただくということで、議題1はこれで了します。
 議題2、ISSを含む地球低軌道活動の在り方に関する検討でございますが、事務局より現状や進め方について説明いただいて、その後、JAXAから地球低軌道活動のビジョン、民間へのシームレスな移行の2つの観点から御説明いただくと。
 まず、国分さんから御説明いただきます。
 
<国分室長より資料45-2-1, 45-2-2, 45-2-3について説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。先ほどご説明いただきました45-2-3の宇宙開発利用部会の議論というのは、2040年代ということで、ISSはもう寿命が来ているかもしれないけれども地球低軌道での活動は必要であろうから、それについての姿を描くと、こういう意味ですね。
 
【国分室長】 はい、さようでございます。
 
【藤崎主査】 分かりました。それでは、JAXAの佐々木理事に説明をお願いしたいと思います。
 
<佐々木理事より資料45-3について説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。今から皆様方から御質問あるいは御議論をいただくんですけれども、2,3点確認させていただきます。
 今の佐々木さんの御説明で、先ほど2040年という話がございましたけれども、他方、ISSは2030年までということで、まさに12ページの表に書いてあるように、民間主体に2030年から移行するという流れに、この真ん中辺りから欄がありますね。ですから、2040年代といっても、2030年からISSがなくなってしまうのであれば、あるかどうか知りませんけど、そういう議論なのかどうか。
 もう1点、この民間主体というのは、日本の民間主体という理解なのか。今のこのISSのときは、あくまで打ち上げも補給も全部政府がやって、民間の方にそこを利用していただくということだったわけですけれども、このポストISS、2030年以降は、打ち上げも補給の部分も全部、民間自立ということでいくのか。それは費用対効果の観点からいってなかなか大変な議論でございますが、そこのところだけクラリファイさせていただいて、それから皆様方に議論をしていただいたらいいかなと思っておりますので、どうぞお願いいたします。
 
【佐々木理事】 ありがとうございます。まず、2030年代、2040年代の位置づけということになるんですが、究極的な姿として目標とすべきところは、航空産業も含めてなんですけれども、やはり民間が主体的にかつ自立して進めるというのが究極の姿と。ただし、それが2030年代にすぐできるかということについては、最初のテーマにありましたように、決まっていない、柔軟なところで考えなさいという宿題をいただいていますので、そこですぐそうなるというのはなかなか難しいので、民間が今、米国を中心に進めるようになっていますけれども、これもまだ構想の段階でしっかりと決まっていないので、そこは柔軟にどう対応するかということも念頭に置いて、今、御提案をさせていただきました。
 それから、民間主体というのが日本なのか……
 
【藤崎主査】 ISSは連合が大前提ですよね。
 
【佐々木理事】 はい。そこも2030年にどうなるかというのも決まっているわけではないんですが、究極的な姿を考えれば、それはもう日本、海外を関係なく、民間が主体になると。ただし、その中で述べているのは、やはり日本としてしっかりと存在感を持った、かつ、経済的にしっかりと回るような形で段階的に移行していくのかなと。
 
【藤崎主査】 今おっしゃったように、打ち上げも補給も含めてですかね。
 
【佐々木理事】 なかなかここ10年では難しいことかと。
 
【藤崎主査】 費用対効果で、プロフィットが民間で上がるような形ということが……
 
【佐々木理事】 はい、それを目指すということで、今、御提案させていただきました。
 
【藤崎主査】 これは皆様方から御議論いただいて、どういうふうに書いていくかゆっくり考えなければいけないんですけど、現実性をかなり持っていろいろ考えないと、この目標というものと現実が全く違った形にはならないようにしなくてはいけないと思っております。皆様方どうぞ、委員の方々、ここに出ておられる方々も、あるいはオンラインにいらっしゃる方々もぜひお手を。
 
【藤崎主査】 いらっしゃる方々。高鳥先生。
 
【高鳥委員】 ISSが延長されることになり、現在ISS参加各極が参加について検討しているということですが、もし、参加を取りやめる国が出てきた場合に、ISSの運用に各国が現在どの程度費用負担しているのかわかりませんが、負担額が増額するようなことになるんでしょうか。
 
【藤崎主査】 ちょっとお待ちくださいね。ほかの先生から御質問があれば。手を挙げていらっしゃる方はいらっしゃいますか、今。向井先生、お願いします。
 
【向井委員】 1点、確認です。2030年までの検討は、検証項目6点でよくまとまっていると思います。これは中間報告が出ています。それと、2040年以降も利用継続検討は明確と思いますが、藤崎先生が指摘されているように、2030と2040までが「シームレス移行」という言葉の下に一緒くたになっているので、この間をもう少し個別のカテゴリーで分けて考えたほうがいいかと思います、例えばハードウエアベースに考えた場合に、既存のISSに接続型の宇宙商業利用のモジュールが出てくるのか、それとも、ISS自体が2030年以降はハードウエア的に使えないからISSの非接続型の物を使うのかとか、つまり、アメリカのような検討のカテゴリー分けをしないと、この10年間が、日本の、低軌道のプラットフォームをどのような運用の下に使うのかというのが明確に議論できないかと思いました。2030年から2040年までの検討事項を明記したほうがいいのではないかという指摘です。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。どうぞ、稲谷委員、お願いします。
 
【稲谷委員】 ISSの今後を考える上で、民間の活動の活性化ということを上位の概念としてこれからISSの将来を考えるという話しだ、という形で聞こえました。この理解でよろしいか、と確認をしたいことがひとつ。そして、そうであれば、国が、あるいは国と民間で、こういう実行例をつくります、というような、ある種のゴール設定のようなことが出来ないか、と思いました。民間活動が活発になって、もう民間に任せたのだからあとはもう民間でどうぞというのではなく、こういう状態をつくれば国が責任を果たしたとか、責任という言葉が適当かどうか分かりませんけれども、2030年か2040年にこうなっているというような何か具体的な状態規定のようなことが出来れば、やっていることに信頼度を与えるのかなと思いました。一方で、アメリカは、民間ステーションの構想のそれぞれに100億規模のお金を支援しているようで、これと同じ事は難しいのかもしれませんが、何かそういう具体的な目標設定みたいなものについてのお考えがもしあればお聞かせいただければと思うことと、あるいは、今後の議論でそういう出口の具体化を進めて行ければよいのかなと思いました。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。ほかの委員の方々もあるかと思いますが、取りあえず今、高鳥先生、向井先生、稲谷先生から御提起がありましたので、これについて国分さんでも佐々木さんでも。佐々木さんのほうから伺いましょうか。
 
【佐々木理事】 ISS、撤退した場合にというところですが、撤退する国にもよるところはあるんですが、基本的には、我々はNASAと協定を結んでいて、それで全体の運営に対して一定の役割を担うということになっていますので、そこは他が、NASAがやめたら別ですけど、それ以外に対して、我々としては影響されないというふうに認識をしています。
 
【国分室長】 私の方から若干補足をいたします。ISSに関しては、ISS協力協定というのがございまして、この中でISSの前提としてISSの運用等については、米国が責任を有しているものでございます。したがいまして、今回、米国がISSの延長を決定したということで、全体的な運用を2030年まで責任を持つのはアメリカということになっています。では、ほかの4極の貢献、特に日本の貢献に関しては、「こうのとり」による補給と「きぼう」の運用というのが、日本の協力事項だと明記されていまして、それとISSを使って活動ができる宇宙飛行士の活動ですとか、実験をやったりとか、そういう活動ができるという決まりになっております。何か参加国がいなくなったから日本が急にやることを肩代わりすることになるとか、そういうものではなくて、ちゃんと協定の枠組みの中で日本のやることは決まっていますので、そこについて変えるとか変えないとか、そういう議論をしない限り、いつの間にか日本のやることが自動的に増えているということにはまずならないというのが1点です。
 それから、他の極がいなくなった場合は、例えばカナダであればロボットアームが、欧州であれば欧州の実験棟の機能が失われることになります。日本として欧州の実験棟を使っているわけではないんですけれども、そこが機能として取り外されてしまうかもしれないという状況。一つ、ロシアだけは、ロシアだけが担っているISSの軌道制御という、姿勢制御という機能がございますので、そこについては、例えばロシアのモジュールが丸ごと失われてしまった場合は、姿勢制御のための機能を追加的に何かつけないといけないと、そういった議論をアメリカを中心として補完していくことを考えていかなくてはいけないということで。ただ、どこかが途中で抜けたらクリティカルにISSが動かなくなるとか、日本が急に大量の負担を押しつけられるとか、そういうものではないということだけ補足させていただきます。
 
【佐々木理事】 引き続きお答えします。向井先生のほうから、2030年代の姿ということで、よりハードに近い検討が必要ではないかという……
 
【藤崎主査】 向井先生のポイントは、2030年代に何をすべきかと。ハードウエアはどうなるのかも含めてですね、何が課題なのか、2040年代につなぐための2030年代に行うべきことは何かとおっしゃったと思うんです。今、向井先生が言われたのは、ハードウエアの問題だけではなくて、ハードウエアがどうなるかということも含めて、30年代に何をしなくてはいけないのか、その課題をリストアップしてまず議論しないと、今、40年代ということを言いつつ30年で終わっちゃう話なので、そこの課題を考えた上で20年代で今何をしていくかということが出てくるのではないかという御提起だったと理解しています。
 
【佐々木理事】 失礼しました。それはおっしゃるとおりだと思っていまして、ちょっと願望と言いますか、かなり2040年代にぐっと引っ張っていきたいところもありますけど、段階的に行く中では、やはり2040年代を目指した中で、それまで2030年代に何をすべきか、さらにさかのぼって現状で何をするかというところで、整理というのは必要かなと思います。これについては、今回、ISS延長ではこういうことが必要だということで書かせていただいておりますけれども、ここをさらに分割して、段階的にどういうふうな対応をしていくかということについては、整理させていただきたいと思っています。
 それから、稲谷先生の御指摘のところですけれども、2040年は、民間主体というのは、低軌道活動がサステーナブルに近いところもあるという姿、そして拡大する姿といったところであると、やはり官主体で行うとそこら辺にはつながらないという展開の中で民間主体というのが必要だろうという経緯が導き出しているところでございます。
 ですので、そのためにどうあるべきかというところで今回の検討の報告をさせていただいていますので、やはりそこに持っていく目的としては、どういう取組をするかという整理になるかと思います。
 
【藤崎主査】 稲谷委員お願いします。
 
【稲谷委員】 先ほどの私のふたつ目の質問は、民間に任せて活発化することを上位の概念という前提で、何か出口というか具体的なゴール設定みたいなもの,例えばアメリカのような「民間宇宙ステーションを作る」などという分かりやすい目標設定があれば、国の仕事としての出口戦略が明確になる、と言う意味で、なにかイメージをお考えであれば、教えてください、と言うことでした。
 
【佐々木理事】 すみません、ありがとうございます。
 我々として検討したのは、そこまで具体的に、かつ、分かりやすいというところもあるんですけれども、具体的に議論を始めますと、一つは、議論がそこに行ってしまって、今議論しているような大きな流れというのがちょっと、それから議論がツボを離れていってしまうのではないかという心配をしているというのと、やや誤解を招くといいますか、今回はそこは避けて、大きな流れを説明するということにさせていただきました。
 なかなか、ここに入ってきますと、議論がそこに集中して、誤解を招くようなところがあるかなと思いまして、ちょっと避けさせていただいています。
 
【藤崎主査】 ほかの委員の方々、いかがでございますか。金山委員、お願いします。
 
【金山委員】 どうも御説明ありがとうございました。
 民間主体で自立運営サービスの産業化というところで日本企業が実力を発揮して主体的にサービスを提供するようなスキームが組めればいいなと思っています。先ほどのアメリカの例では、民間3社あるいは4社に対して100億円超が開発費として政府から支出され、開発後はNASAがそれを使い続けるというサービス調達へと進んでいくのではないかと考えた場合、このままですとアメリカ主体で全部事が進んで、輸送も拠点の利用も全部、アメリカの企業にお支払いするようになってしまうことを非常に危惧しています。日本で民間が100%出資してこういう拠点をつくれるのかというと、それはかなり難しいことがあると思いますが、現状のまま進むと、アメリカにお金を払って利用させてもらって終わりということになりかねないのではないかと、ちょっと心配しています。コメントでした。
 
【藤崎主査】 どなたか。国分さんでも佐々木さんでも、ご意見ありませんか。
 
【佐々木理事】 おっしゃるとおりだと思いますが、それについては、JAXAがというよりはこの委員会で御議論いただければと思います。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。いろいろ議論もありますけれども、大きな流れは確かに民間の方向に行っておりますが、現実問題で、ちょっと繰り返しになりますが、考えると、アメリカのように巨大なNASAがあり、そして、NIH(National Institutes of Health)等の予算も実は流れていたりするという政府。他方、さっき伺っても、1年間の予算が1,500億ぐらいかかると。それを上回る売上げを上げなきゃいけない、そして利益を出していかなきゃいけない民間が、本当にどれだけこういうものをやっていけるのかということは、これから後で、民間の参加がありますからお話を伺うわけですけれども、気をつけて、今、金山委員もおっしゃいましたし、向井さんもおっしゃったと思いますが、あるいは稲谷さんもおっしゃったと思いますが、あまり流されないようにきちんと見ていく必要があるなと思います。もちろん、上の部会なり宇宙政策委員会がしていくことになりますが、私どもとしては、一番現実的な形から日本のいろんな形をきちんと見て提言をしていくという、結論ありきという方向にあまり走らないで考えさせていただきたいと思います。竹森委員、お願いいたします。
 
【竹森委員】 すみません、銀行の立場で参加しています竹森と申します。今の金山さんの御発言とか、まさに今先生におまとめいただいたのと同じかもしれません。意見を述べさせていただきます。
 我々銀行としてこの宇宙活動に数年前からトライをしています。日頃感じているところですけど、宇宙活動、私も航空宇宙を長いことやっていますので、非常に親近感というか、持っておりますけれども、やっぱりこの宇宙活動をいかに経済活動にするか、この活動を継続していく継続価値を高めるかというのはすごく大事であって、我々政策投資銀行として宇宙を対応しておりますけれども、今、小型ロケットとか衛星関連をやっておりますが、リスクをどうしても見てしまうので、我々でさえ非常に規模を小さく活動してしまうということがあります。
 ただ、一方で、本件、ISSの部分ですね、非常に大きな宇宙活動、それをひいては経済活動にしていくという中で、究極的な姿は純粋に民間というふうにおっしゃるわけで、そのトランジションはどうするんだというような御意見だと思いますけれども、やっぱり日本の業種を問わず、オープンイノベーションでいろんなテーマを応募を募って、その中で、今のISSの活動の延長と、それからISSの中でやっていない新しい使い道でまさに取り組んでいくんだろうなと。
 一方で、我々みたいな金融とか民間事業者からいくと、ISSだからゆえに、米国政府のエスケープリスクとか、あとはその期限のリスクとか、そういうリスクを見てしまうわけですから、このトランジションの部分、民間としては大きくリスクを取りづらいということ。
 ただ、そうすると、ぐるぐる回って結局何もしないというのが今までの経験であります。そこをアイデアを募って、それをトライして、最初の2回、3回ぐらいはやはり政府によっての買取り、アンカーテナンシー、それによって経済活動の回転の最初をつくって、その回転で生まれたウエーブで、財政とか金融で遠心力をつけるビジネスを生んでいくと。何かその辺のトランジションの部分のイメージ、それから国による支援の仕方、この辺りをもう少し具体的に表現されていくほうが、先ほど現実的にとおっしゃったところもそうなんですけれども、我々としてもリスクを見て躊躇してしまうというところを突き崩す一つになるかなと思って意見をいたしました。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。ほかの委員の方々いらっしゃいますか。今の点に関していかがでしょうか。国分室長から1枚紙で45-2-2ということで御説明いただいて、第2回で、民間が主体となった利用へのシームレスな移行と。利用ということではなく、全てが民間ということではない。このシームレスという意味は、2040年代ということだと思うので、そうですね、このシームレスという言葉は。
 
【国分室長】 はい。
 
【藤崎主査】 ですから、主体となった、今まで利用とか運用とか運営とかいろいろな言葉が出てまいりましたが、基本的には利用ということ、これがポイントなのだと思います。国分さん、それの確認をさせていただけますか。
 
【国分室長】 先ほどの御質問の中で、今、丸5の意味が二つ存在してしまっている点で、運用を民間主体でやっていくということと民間主体の利用を拡大していくという二つの側面から検討する必要があります。2030年より前と後でフェーズを分けて議論したほうがいいのではないかと感じていますけれども、まさにこういったところを丁寧に解きほぐすためには、そのほうがいいのかなとも事務局としては思った次第でございます。
 
【藤崎主査】 この第1回では利用へのシームレスな移行ではない、第2回でも利用っていうのはシームレス…
 
【国分室長】 今回はビジョンの話を中心にしていますので、民間運用というものを2040年に向けて考えていったときに、じゃあ去年まとめたビジョンをどうアップデートしていくかということを議論の中心としていただけるとありがたいと思います。
 
【藤崎主査】 今の運用と利用とどういう関係なんですか。
 
【国分室長】 つまり、利用というのは、ISSを運用している人が提供するサービスをISSを利用する人たちが受けること。この利用者というのは先ほどの御説明では3種類ぐらいあって、国であったり公共機関、つまりアカデミックな利用であったり、三つ目が民間の利用であったり。この3つの利用の形態がそれぞれあるので、利用者は民間であったり国であったりいろいろある。一方、運営する人というのは、今まではずっと国でやってきたんだけれども、それが民間に移行しようとしている中で、我々はISSで米国が延長を決めたということをどういうふうに踏まえて我々として決めていく必要があるかという議論になっていくのかなと思っています。
 
【藤崎主査】 その部分も議論する必要があるわけですか。それは横に置いておいていいんですか。
 
【国分室長】 どういう設計でこれから民間運用に至らしめていくかというところまでは、多分、今の段階でいきなり決めるのは難しいと思いますし、また、これはあと6年かけて少しずつ整理していく話だと思っています。
 
【藤崎主査】 最初におっしゃったことが極めて大事な点で、何となくそこを一緒にしてしまうと=(録音途切れ)=。では次に関して具体的な民間事業者へのヒアリングということで、ほかの先生方において御意見がなければ。向井先生、お願いします。
 
【向井委員】 資料45-2-2のビッグタイトルが、2030年までのISS延長をこのようなマイルストーンで議論することがこの委員会の課題です。しかし、2030と2040までの間、何をどのように、どういう現状になったら議論するかということの規定はなく、2040年以降のシームレス移行という言葉でまとめられているので、この委員会の議論対象か否かが明確ではありません。例えば、現行のISSの中で民間利用をシームレスにするのか、そうではなくて、アメリカが現行のISS以外に商業利用のハードウエア、モジュールを含めたものを開発しています。その場合、それを日本が使えるのかどうか、使うべきなのかどうか、そういった議論が欠けていると思います。SpaceXをはじめとする民間企業が独自で2030、40年に地球低軌道プラットフォームを開発する可能性もあると思います。ISSの延長と、将来のアルテミス計画に向けての議論の機会を文科省に作っていただかないと議論ができないと思います。また、JAXAも検討できないと思います。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。この8ページの、さっき佐々木さんから御説明いただいたISS(現状)とポストISS(2040年代)というところ、この二つ、左と右にございますが、この間のことが一体どういうふうになるのか、ここをきちんと描く必要があると思います。今回はここで議論しようと言っても無理でございますので、今、向井委員も言われたように、文科省のほうで、これについてどういう意向があり得るのか、どういう問題点があるのか一回整理していただきまして、次回以降、そこを中心に議論することにしたいと思います。
 向井先生、そういうことでよろしいですね。
 
【向井委員】 はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。
 
【藤崎主査】 それでは、本件につきましては、そういうことで改めて議論するということで。
 よろしければ、では次に、民間へのシームレスな移行というか、シームレスな移行という言葉が適当なのかですけど、民間の利用についての取組の例として、二つの企業よりヒアリングをさせていただきたいと思います。三井物産と兼松株式会社ということで、前回(非公開にて)お話しいただいたこともございますので、そこのところは承知しているという前提でお話しいただければと思います。また、今お聞き及びのように、委員の中に、一体これが民間としてどこまで可能なのか、費用対効果等を考えなら、そういう関心がございますので、せっかくの機会ですから、そこに焦点を当てて。それが1点。
 もう1つは、アメリカとの関係でどういうふうになっているのかということでございます。アンカーテナンシーの問題を含めて、その点に焦点を当てながらお話しいただけければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
<三井物産株式会社の重枝氏より45-4について説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。皆様方から御質問を受けて、それから兼松のほうに移ります。
 先ほど重枝室長のほうから、商社はメーカーではないのでモジュールを造るわけではないという話を、それはそのとおりだろうと思います。JAXA直接じゃなくて、商社に入っていただくことのメリットというのはどういう……。つまり、なぜモジュールをそのままJAXAが発注するのではなくて、商社さんがつくってやるということで民間という形になるのか、何かファンクションなのかをちょっと教えていただいて。ごめんなさい、私、何も知らないのでナイーブな質問で恐縮ですけれども。
 
【重枝氏】 御質問ありがとうございます。JAXAさんではなく三井物産がなぜ保有するかということですけども、JAXAさんがもし継続的に2030年以降も保有するという選択肢がもしあるのであれば、私はそれは一つの選択肢だと思います。ただ、やはり限られたリソースの中、日本のアルテミス計画もある中で、やはり民間とJAXAさんの役割分担が必ず必要になってくるのではないかと考えています。
 そういったこともありまして、弊社としては、2018年以降、ISSからの衛星放出事業をやらせてもらいながら少しずつISSになじみ始めておりますので、我々がアルテミス計画をやれと言われたら、それは絶対無理ですということになってしまいますけれども、ISSと「きぼう」に関して、現在、JAXAさんからもいろいろと御指導いただきながら勉強させていただいているところもありますので、民間に移管するべくひいては民営化することが可能な領域なのではないかと……
 
【藤崎主査】 すみません、今、2040年に向けてシームレスに民間主体に移行していくという議論をしようとしているので、今のISSの業務の一部を移管するという話ではないですよね。
 
【重枝氏】 はい。
 
【藤崎主査】 分かりました。今、議論になっているのは、2040年に向けてシームレスな移行をするという意味での民間の役割であって、今のISSを運用するという話ではないので、そういう簡単な話ではない、もっと大きな話を議論していこうという話ですから、その点はもう御承知のとおりで、だからこそ、アメリカといろいろ三井さん、兼松さんがやっておられるんですけれども。
 さて、皆様方から御質問があれば、あるいは御意見があれば伺った上で兼松さんに行きたいと思いますので、三井さんに御質問がある方はぜひ手を挙げてください。
 高鳥委員、お願いします。
 
【高鳥委員】 御説明ありがとうございます。Axiomと共同提携して開発しているモジュールというのがISS接続型ということで、ということは、ISSが2030年までだったら、それまでの活動というか、それまでの提供ということでよろしいでしょうか。
 
【藤崎主査】 どうぞ、お答えください。
 
【重枝氏】 御質問ありがとうございます。弊社としましては、Axiomとどういうモジュールを開発するかという議論はまだしておりませんでして、Axiomはステーションをまず造るという中で、我々としては、日本としてモジュールを一つ接続したいので、彼らのステーションに接続する協議を今後していきたいと彼らには伝えております。
 一方、それでは我々としてどういうモジュールを開発するのかといいますと、先ほどほかの委員の方からも御意見ありましたけれども、やはり我々としては日本モジュールと呼ばせてもらっている以上、日本の技術を結集した形で開発できるようなモジュールをAxiomステーションに接続させたいということで、今後議論していくことになるかと思っております。
 
【高鳥委員】 そうなりますと、このAxiomステーションというのは、ISSとは別のものということでしょうか。
 
【重枝氏】 別のものですね。ISSに接続するんですけど、最終的にはISSから外れて独立するステーションだというふうに御認識いただければ。
 
【高鳥委員】 そのモジュールの中で一体どういうことをやるかは、これから議論ということですか。
 
【重枝氏】 そうですね、議論は始めておりますけれども、Axiomステーションでやることと我々が開発できればと思っている日本モジュールでやれることは当然違うことでないと、同じステーションの中になりますので、そこはステーションの中で、デマケというか、できることは分けていかないといけないので、日本モジュールならではの利用を今後生み出していく必要はあるかと認識しております。
 
【高鳥委員】 ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 高鳥委員の御質問は、2030年にもしISSが終了した場合でも、このAxiomステーションは引き続き運用されるかという確認だったと思うんですが、そういうことですね。
 
【重枝氏】 モジュール自体は、2030年を目標に日本モジュールをつけたいと。Axiomステーションは2028年に完成いたします。
 
【藤崎主査】 いや、ISSが2030年になくなっても、独立してそれは存在しているんだということを確認されたということですよね。
 
【重枝氏】 はい、そうですね。
 
【藤崎主査】 ほかの委員の方。では、永山委員、お願いいたします。
 
【永山委員】 御説明ありがとうございました。先ほど取組の意義のところで、民間企業ならではの低軌道の利用とおっしゃっていました。そもそもの質問になりますが、三井物産さんがイメージする「民間ならではの低軌道利用」というものは、どのようなものを具体的にイメージされているのでしょうか。それとも、そういったことも含めて、これから御検討になるということでしょうか。その点、伺えればと思いました。
 
【藤崎主査】 ほかの委員の方々、今、永山委員から、三井物産は低軌道利用でどういうことを考えているかという御質問がございましたが、ほかの委員の方々ももし御質問あれば、今挙げていただきたいと思います。向井委員、お願いします。
 
【向井委員】 利用の観点からの質問ですが、三井物産が、いわゆる官のISSを利用したときの利用の範疇とアメリカの会社の商業利用のそれとでは幾分違うかと思います。多分、民間ISSのほうが、広報活動や利益を出す利用がやりやすいかと思います。「日本のために」の意味合いが、お金を稼ぐ意味合いも含めた利用の観点を検討されるといいのではないかと思いました。もしそういう観点があるのであれば、お知らせいただければと思いました。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。では、お願いいたします。
 
【重枝氏】 御質問ありがとうございます。おっしゃられるとおり、現在、官主導で運用されているということもありますので、制約も多いですし、日本が獲得できている打上げであったり通信のキャパシティーに関してもある程度制限がある中で、民間主導になってくると、米国ステーションにはなりますけれども、ここら辺の制約がある程度改善するという前提の下、今までできなかった利用手段が出てくるのではないかと認識しております。
 具体的にどういう利用が今後期待されるかということに関しましては、相手とNDAを締結しながら議論しているところもあるので詳細どこまで申し上げられるか分かりませんけれども、これまでJAXAさん中心となって追及されてきた利用手段に加えて、やはり三井物産としては、会社全体で取り組んでおりますヘルスケアであったり素材関連に加えて、日本が誇るエンターテインメントをいかに宇宙で活用していくか、そういった新しい利用方法を現在模索している段階にございます。回答になっておりますでしょうか。
 
【藤崎主査】 今の点で、永山委員と向井委員、お答えになっているかという御質問が重枝室長から。
 
【永山委員】 はい、私も了解しました。これからより深めていって具体化していくことになるとは思いますが、やはり「シームレス」ということを考えたときに、その先にどんな世界が待っているのかが見えないと議論もしにくいかと思いますので、今後、バージョンアップしていく中で情報を出していっていただければと思います。以上です。
 
【藤崎主査】 向井先生、よろしゅうございますか。
 
【向井委員】 はい、向井も了解です。先ほどおっしゃっていたエンタメ業界というのは、非常に投資するお金が少なくて多分プロフィットが出やすい分野と思います。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。
 では、以上で三井物産からの御説明は了しまして、次に兼松からの御説明を受けたいと思います。
 
<兼松株式会社の篠原氏より45-5について説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。篠原さんが最後におっしゃったことは、アメリカでもヨーロッパでも官民で協力しているので、民間も入ってやっていきたいということは、官がやっていくことがもちろん前提であるということで、最後に今出ているところで、日本版Commercial LEO Destinationsが望まれるという意味は、これはどういう意味でございますか。念のために確認させてください。これは、日本が国際的にではなくて、日本版のCommercial LEO Destinationsをコマーシャルにやっていくということでございますか。利用だけでなくて運用も含めての話として。
 
【篠原氏】 日本版商用民間宇宙ステーションができるといいなという。
 
【藤崎主査】 それをやっていくことを今の計画の中で考えておられる。民間としてやっていくということでよろしいですか。
 
【篠原氏】 民間だけではなくて……
 
【藤崎主査】 だけではないですよね、今おっしゃったように。ちょっとそこを確認させていただきました。
皆様方、大分御議論はしてまいりましたけれども、三井物産に伺ったことと兼松からの御説明につきまして、御意見あるいは御質問があれば、ぜひお願いしたいと思います。向井先生、お願いします。
 
【向井委員】 ありがとうございます。まず、コメントとしては、私はこのオービタル・リーフがやっていることと兼松さんたちがやっていることは、現在の国際宇宙ステーションと機械的に非接続的なものを造ろうとしている試みなので、2030年移行、ISSが本当に使えなくなってしまったとき以降を考えていく計画としてはすばらしい計画だと思いますので、ぜひ成功していただきたいと思っていますというのが1点です。2点目は質問で、藤崎先生が指摘されたところと同じですが、日本版コマーシャルLEOは、兼松さんの意気込みを出しているのでしょうか。これはモジュールが増設していけるので、モジュールの1個を兼松さんが造ってしまう、いわゆるシエラネバダのストラクチャーのところに兼松モジュールというのを造る、そのくらいのつもりでやっていらっしゃるのでしょうか。その思いをお伺いできればと思います。
 
【藤崎主査】 今の向井先生の御質問に、篠原さん、お願いいたします。
 
【篠原氏】 兼松モジュール、そこまでは我々の体力では難しく、まだ兼松モジュールというのは視野に入れてございません。ただ、日本製のモジュールというのは=(録音途切れ)=いただきたいなと考えております。
 
【向井委員】 兼松さんがリーダーシップをとり、日本企業をまとめて、日本企業モジュールを造るので官に対して支援してほしいと言う計画を出されるといいかと思います。以上です。
 
【篠原氏】 アドバイスありがとうございます。
 
【藤崎主査】 向井先生からのご示唆ございましたので、ぜひ受け止めて帰って今後につなげていただければ。
 
【篠原氏】 真摯に受け止めます。ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 ほかの先生方で、今日の議論で、あそこでこれ言っておいたほうがよかったとかございますでしょうか。ほかの先生方で御質問、御意見がないようでしたら、まずは三井物産株式会社、兼松株式会社に御議論に御参画いただきましてありがとうございました。ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、国分室長にお返ししたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【国分室長】 先ほどいただきました宿題とかを含めて、次回の議論の際に反映していこうと思っております。よろしくお願いいたします。
 
【事務局】 事務局からでございますけれども、本日の議事録につきましては、後日、文科省のホームページにて掲載させていただきます。また、次回の小委員会の予定につきましては、日程長の上、改めてお知らせさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【藤崎主査】 では、以上で第45回会合を了したいと思います。どうもありがとうございました。

(了)

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