宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第44回) 議事録

1.日時

令和3年11月12日(金曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省5階第3会議室もしくはオンライン

3.議題

  1. 国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について
  2. 国際宇宙ステーション(ISS)における成果創出活動の状況について
  3. 将来の有人宇宙探査について(非公開)

4.出席者

委員

主査(専門委員)           藤崎一郎
主査代理(専門委員)        向井 千秋
臨時委員                稲谷 芳文
専門委員                金山 秀樹
専門委員                倉本 圭
専門委員                古城 佳子
臨時委員                高鳥 登志郎
専門委員                竹森 祐樹
専門委員                中村 昭子
臨時委員                永山 悦子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)               原 克彦
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長       国分 政秀

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事                                  佐々木 宏
有人宇宙技術部門
 きぼう利用センター センター長                 小川 志保
 事業推進部 部長                          川崎 一義

5.議事録

<事務局よりオンライン会議の注意事項等説明>

【藤崎主査】 では、議事に入りたいと思います。議題1は、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道をめぐる最近の動向についてです。前回、9月15日の小委員会以降の動向を国分室長、お願いいたします。

<文部科学省国分室長より資料44-1に基づき説明>

【藤崎主査】 ありがとうございました。皆様方から御質問、コメントを承りますが、一つだけ最初に、中国については、全く他の国と協力するということはなくずっと独自でいくという姿勢ですか。

【国分室長】 ハードウエアに関して何か協力するという話は伺っておりませんが、中国の宇宙ステーションでの共同研究について国連を通じて参加する国を呼びかけていると承知しております。どのぐらい集まっているかは存じ上げません。

【藤崎主査】 もしそれにどんな反応があるか分かったら、次の機会に教えていただけますか。

【国分室長】 承知しました。

【藤崎主査】 どうぞ、永山委員、お願いします。

【永山委員】 ありがとうございました。今後のことになると思いますし、もう既に議論で話題になっていることかもしれませんけれども、こういった商用の宇宙ステーションや、中国以外の国がまた独自に宇宙ステーションを造っていくということを踏まえると、そこの交通整理といいますか、何かルールのようなものというのは議論していく流れになっているのでしょうか。つまり早い者勝ちで、一番いい軌道を一番先に行った人が取れるというような状況になっているのか、その辺りがもし分かればと思いました。

【国分室長】 私はあまり詳しくないのですが、静止軌道のほうは、先に軌道を押さえるといった早い者勝ちのような状況があるとも聞いておりますが、低軌道ではそこまでの状況ではないと思っています。

【永山委員】 分かりました。では、例えば、日本の企業なども参加したいとなったときに、何かどこかにお伺いを立てて計画を立てていくという段階にはなっていないという形なのでしょうか。

【国分室長】 いずれにしろ、宇宙空間に物体を打ち上げる場合は国連の物体登録が必要になってきますので、そういった中で調整されていくものと承知しています。

【藤崎主査】 はい、稲谷先生。

【稲谷委員】 私も商用宇宙ステーションのことについて御質問します。問題意識として、この商用の活動に、NASA、あるいはアメリカの国がどういうふうに支援をしたり関わっていったりするのかということについて関心があります。ここにはNASA要求額の101ミリオンドルを承認と書いてありますが、これが全体の中でどれくらいに当たるのかとか、どの部分を支援するのかとか、についての情報をもし御存じでしたら,またその支援の考え方みたいなところも含めて教えていただけたらと思います。

【国分室長】 ありがとうございます。NASAからの提案募集は2種類ありまして、宇宙ステーションに接続しないタイプの提案募集がこのCLDというものですけれども、もう一つ、宇宙ステーションに接続するタイプの提案募集も、これよりちょっと前のタイミングで行われています。このように、今現在米国において、宇宙ステーションの2030年代やそれ以降の地球低軌道の在り方をいろいろな形で検討している最中と認識しております。
 今まさに米国議会では、NASAの授権法案といいます、NASAの中長期的な政策と予算との組合せを議論する法案が出ておりまして、その中でも、2030年前後に商用宇宙ステーションとどのようにトランジットしていくかということを検討しているフェーズであることが伺えます。例えば、(将来の宇宙ステーションは)商用なのか国が支え続けるものなのか、どのように地球低軌道の活動を行っていくかということが、今まさに様々検討されている状況だと思っております。
 これまでこの小委員会でもISSの延長の可否に関する検討というのは続けてきておりまして、今年の2月に一旦、検証するであるのであればこういう項目をというところまで整理しております。その続きを今後審議していくに当たっては、そういった海外の状況に対して、じゃあ、日本はどうしていくのかということも含めて検討していくことが必要になってくると考えています。

【稲谷委員】 ありがとうございます。例えば、日本の民間がこれに関わるような余地があるのかないのかというところの情報はいかがでしょうか。

【国分室長】 少なくとも公表されている範囲では、日本の企業も幾つかこの件に関しましてプレス発表しているところもございますので、そういったものは後ほど御紹介させていただきたいと思います。

【藤崎主査】 今、稲谷先生の言ったのは大事な点で、商用、商用といっても、国家予算がこれだけつぎ込まれている。100億円も1年間につぎ込まれるってかなり大きな話ですから、日本もこれから商用の時代、民間の時代というだけでなくて、やはりそこのところをよく見ていかなきゃいけないし、今最後に言われたように、日本の企業がこういうアメリカのものに関与できるのかどうかということも含めて、大事な点ですから、引き続きよろしくお願いします。高鳥委員、どうぞお願いします。

【高鳥委員】 星出飛行士が無事帰還されたというのでうれしく思っております。ISSに滞在中いろいろなミッションをされたということですが、このような実験の成果等について、どこかで広報されるというか、国民に向けてこういったことをやってきました、といった発表の場というものはあるんでしょうか。

【国分室長】 ISSでの実験だけに限りませんが、JAXAが行っている様々な研究の成果というのは、大きな成果が出るたびにJAXAからプレス発表をしておりまして、場合によっては、場を設けてプレス発表するときもあります。

【佐々木理事】 すみません、JAXAの佐々木ですけれども、今のところ補足をさせていただいてよろしいでしょうか。サイエンスの成果とかそういうことに関しては適宜御紹介をさせていただいていますが、特に宇宙飛行士がミッションを終えて帰国した後には、ミッション報告会というのを全般御紹介させていただいています。通常でありますと、何か所か回って、様々な成果について直接宇宙飛行士の口から報告をしてもらうという機会をつくらせていただきます。今コロナ禍でありますので、なかなかそういうことはできませんけれども、野口宇宙飛行士の場合でも、9月に様々な成果について本人の口から御紹介して、また、関係者の方からも紹介していただいて、なるべく皆さんに成果を御理解いただけるような努力をしているところであります。 補足は以上です。

【藤崎主査】 今の御質問のフォローアップで、宇宙飛行士の方から口頭で御報告いただく以外に、何かどこかに成果として、こういうことをこういうふうにやって、その成果はこっちへ向けた一歩であるということで掲載されるようなものは。というのは、そのやり取りは時間が限られてしまうものですから、恐らくそういうことを含めての御質問ではないかなと思いますが、いかがですか。

【佐々木理事】 JAXAのホームページにも、利用の成果、活動の成果というのは掲載させていただいています。また、報告会の内容につきましても、ユーチューブ等で広く皆さんに見ていただけるようなことをしております。

【藤崎主査】 分かりました。ほかの先生方いかがですか。じゃあ、金山委員、古城委員。

【金山委員】 御説明ありがとうございました。今回の商用宇宙ステーション(CLD)というのは、まさに以前ありました宇宙ステーションへの輸送サービスを官と民がお金を出し合って開発するというものとほぼ同じ仕組みだではないかと考えます。そうなると、輸送サービスだけではなくて、商用宇宙ステーションの利用といったところも、サービスとして調達していく方向にシフトして行くのだろうなと思っています。将来的に、我が国宇宙機関であるJAXAさんも、サービス調達とまで広がると期待します。先ほどトランジションという話がありましたけれども、ISSの「きぼう」モジュールの運用を含め、を民間からサービスとして買うところへとどうスムーズに移行するのかに興味があります。民間にとっては、それが一つの商機になるということで、先行投資されている企業もあると思いますので、サービス調達はオープンに議論させていただければと思っております。ありがとうございます。

【藤崎主査】 ありがとうございました。古城委員、お願いします。

【古城委員】 中国の動向について質問があります。2022年に軌道上の建設を完了予定ということで、これまで5回打ち上げて、合計で11回打ち上げを実施するとありますが、あと6回、短期間に打ち上げるという計画なのでしょうか。

【国分室長】 はい。この長征というロケットだけでなく、有人の打ち上げ、補給の打ち上げ、そしてステーションのコンポーネントそのものの打ち上げと、それぞれあると思うんですけれども、全部で11回打ち上げる、短期間でどんどん打っていくという計画になっていると承知しております。

【藤崎主査】 ほかの委員の方々ございませんか。もしございませんでしたら、この議題は了しまして、次の議題に移りたいと思います。
 第2議題は、国際宇宙ステーション(ISS)における成果創出活動の状況についてでございます。JAXAの佐々木理事、お願いいたします。

<JAXA佐々木理事より資料44-2に基づき22ページ目までを説明>

【藤崎主査】 ここで一旦質疑をやって、2部に分けたいと思います。
 一つ最初に、20ページから21ページのビジネス・サービスの創出の部分は、費用対効果と申しますか、一体どれくらいのお金を各企業がお出しになって、どんな効果が上がったかとかそういうことはまだ…。それともこれは企業の秘密になるんでしょうか。どういう感じで。会社がいろいろやっておられるのはよく分かるんですけれども、どの程度の事業規模の話なのかというのを参考までに分かる範囲で教えていただけますか。

【佐々木理事】 企業さんによっては、なかなか自己投資の部分について明らかにされているわけではないんですけれども、この辺につきましては、JAXA側は有償利用を中心として行っていますので、基本的に企業さんのほうでお金を出していただいているということで、行われているかなりの部分については、全て企業さんが出されているものになります。

【藤崎主査】 大体何億円ぐらいの話とか何千万とか、どんな規模の話なんでしょうか。

【佐々木理事】 どれがどうだというのはちょっと難しいんですが、数億の規模で行われているのが幾つかございます。

【藤崎主査】 成果のほうも何か評価できるようなシステムがございますか。

【佐々木理事】 まだ商売というよりは技術の実証等を行っている段階ですので、これから、例えば、光通信であるとかカメラとかというものについては、多くの利用が進むだろうと考えております。

【藤崎主査】 分かりました。各委員の方々、よろしければどうぞ。
 高鳥委員、お願いします。

【高鳥委員】 ISSの実験成果が様々な事業に結びついているということですが、こういった事業はISSの参画がもし終わった場合はどうなるのでしょうか。

【佐々木理事】 当然ISSの計画がなくなって、また民間の宇宙ステーションもないという状態になりますと、これらのことはできなくなるというのが現状です。我々としては、我々の継続すべき内容と思っておりますので、いろいろな政策判断に基づきまして、継続できるような様々なオプションについて今検討させていただいているところになります。

【国分室長】 すみません、私からも補足させていただければと思いますけれども。
 今行われているISSを使った活動というのは、2024年までしかISSの運用というのはコミットされていませんから、一応その前提で全てのプログラムが組まれております。ただ、今後、まずアメリカがISSの延長を決め次第、各国の状況も見ながら、日本としてはどうしていくことになりますが、もうすっぱりやめてしまうとか、もしくは延長するとか、もしくは別の形を考えるとか、いろいろオプションがある中でどういったやり方が地球低軌道の今後の在り方としてふさわしいかということを、まさに今後議論していくことになると思っております。

【高鳥委員】 ありがとうございます。もう一ついいですか。ライフサイエンス関係の実験はかなり行われていて、多くの成果が上がっていると思います。特にたんぱく質の結晶解析については成果が上がっていて、ビジネスにもつながっているということで非常にいい流れかなと思っているんですけれども、このように実用化につながるようなものというのは、たんぱく質結晶解析技術以外に何か次に来るものはあるのでしょうか。

【佐々木理事】 17ページに、比較的めどがつきつつあるということで、先ほど述べましたように、超小型衛星と船外プラットフォームでの様々な活動というのは、既に民間のほうに移管させていただいています。次に、御紹介のありました、たんぱく質の結晶について移管を開始しているという状況です。今後、マウスを使った宇宙飼育ミッションでありますとか、静電浮遊炉を使った材料の研究支援といった部分が、次に可能性としては高いのではないかということで、我々としては、まず取り組んでいるといったところになります。

【高鳥委員】 ありがとうございました。

【藤崎主査】 ほかの委員の方々はよろしゅうございますか。もしよろしければ次の部分に移ります。そして、終わった後で、また初めの部分についても御質問いただいて結構でございます。それでは、佐々木理事、(4)の宇宙活動を支える人材基盤の強化のほうにお進みいただけますか。

<JAXA佐々木理事より資料44-2に基づき24ページ目以降を説明>

【藤崎主査】 それでは、後半部分、御質問、コメントはございますか。
 永山委員、お願いいたします。

【永山委員】 説明どうもありがとうございました。1番目の議題とも関係してくるのですが、恐らくこれから低軌道での宇宙ステーション的な活動が広がっていくと思います。例えば、キューブサットを放出するとか、諸外国、国内の研究者、あと企業からも「きぼう」に対する期待が非常に大きいと思いますが、そういったものを今後も継続していくときに、日本のISS「きぼう」の強みはどんなところになるのかということ、また、中国のステーションや商用宇宙ステーションと伍していくときに、どんなことが課題になると思われているのか教えていただければと思いました。

【藤崎主査】 佐々木理事、お願いします。

【佐々木理事】 まず、強みにつきましては、先ほど(2)で御紹介させていただきましたプラットフォームの関係ですね。これについては、2025年までの宇宙利用戦略、「きぼう」利用戦略を立てたときに、日本が得意な技術、もしくは他国から優位なものを整理した中で挙げてきたものになりますので、日本として、こういうたんぱく質の結晶でありますとか超小型衛星の放出等、あと材料や健康長寿といったところが、やはり一番の強みではないかなと思っております。
 それから、あと各国と会話をする中では、「きぼう」の能力だけではなくて、日本そのものの得意な分野というのに非常に関心が高いなと思っております。バックグラウンドに日本のサイエンスコミュニティーの力があって、それを通して国のプレゼンスというのがあるんだろうなというのは最近感じているところです。
 課題としましては、先ほど国分室長からもお話がありましたように、これをどう継続していくかというのが直近の課題だと思っています。やはり先が見えないと、皆さん研究する方も、始めたのはいいけれども、もう終わってしまうんだと、なかなか研究が続けられないと二の足を踏まれるケースもありますので、長期的な利用の2024年以降の可能性について早期に決定いただければなと思っています。
 特に民間ステーションにつきましては、すぐにできるものではありませんので、ISSの先として考えられているケースが多いと。多少オーバーラップしながら継続していくというのが多いような気がしますので、まずはISSでしっかりと成果を上げられたらなとは思っております。

【永山委員】 ありがとうございました。

【藤崎主査】 向井先生、お願いします。

【向井委員】 2点あります、1点目は、2026年以降の利用計画の仕込みは――特に科学利用に関しては仕込みに時間がかかると思うので、いつ頃からどんな形で始めようとされているのか計画案があれば教えてください。
 2点目、2026年以降は、日本は宇宙ステーションの延長をベースで考えていると思いますが、NASAが国家予算を出して商業利用を推進してきているので、2020年代半ばから後半には商業利用の宇宙ステーションが利用できると、費用対効果から考えると国際宇宙ステーションを延長させず、JAXAはユーザーとして利用したほうが、将来、月、火星に向けての予算を使えると思います。国際宇宙ステーション利用に関して延長するのか商業利用にしたほうがいいのか、試算をされているでしょうか。その2点です。

【藤崎主査】 ありがとうございます。今その関連で、先ほど永山委員の言われたこととも関連するんですけれども、中国も入ってくるということで、アメリカの商用衛星、中国も入ってくる、そして日本の今の「きぼう」で、だんだん売手市場から買手市場で競争しなきゃいけない状況で、それで日本の強みというか、その辺りはどんな感じでございますか。少し先発だから、かなり優位にあると考えていてよろしいんですか。

【佐々木理事】 まず、先ほど御紹介したような内容につきましては、例えば、NASAでありますとかロシアが関心を持って参加してきているという観点では、非常に強みがあると思っております。ですので、これについては継続が望ましいのではないかなと思っております。
 利用計画につきましては、まずは2024年までですので、そこについてはしっかりと計画を立てて行っていますが、2025年につきましては、まだオープンにできるようなレベルでの計画は立っておりませんが、検討は着手させていただいて、御提案できるような内容にしていきたいと考えてございます。
 あと、少し踏み込んだ発言をさせていただきますと、先々週IAC(国際宇宙会議)に行きまして、様々な企業、それから宇宙機関と会合をしておりますけれども、やはり民間宇宙ステーションも簡単にできるものではないということで、宇宙ステーションである程度経験をするとか、宇宙ステーションが終わる段階で、2年ぐらいラップする形で新しい宇宙ステーションを造るとか、そういう考え方が主流だと皆さん思っているところですので、すぐ次のがもう上がってしまうという状況ではないというのは言えるのかなと思っています。

【国分室長】 もしよろしければ私からも補足を。今の後段の部分なんですけれども、冒頭の私の米国の状況についての御説明の中でも若干触れましたが、今アメリカがNASAの授権法案と中長期的な予算を議論していく中で、2020年代末のこういった商用ステーションとのトランジションを念頭に、それにつなげるためのISS延長の法案を出していると解釈しております。
 この件に関しては、多分引き続きウオッチしていく必要があると思うので、また次回の小委員会などで情報をアップデートして御説明したいと思います。以上です。

【藤崎主査】 ほかの委員の方々いかがですか。

【向井委員】 今の御発言の確認をさせていただいていいでしょうか。今の御説明の考え方としては、まず、2025年以降の国際宇宙ステーションの延長は、NASA含め日本も足並みがそろっていて、取りあえず、現存の国際宇宙ステーションを延長の方向でアプローチすると。一方、それと並行して、商業利用もNASAは国家予算を投入しているが、それは2020年代の後半の辺りからの利用なので、国際宇宙ステーションはトランジションとして必ず延長が必要だという考えでよろしいですか。確認まで。

【国分室長】 国分からお答えしますけれども、今まだ米国の中でも議論中でして、そもそも米国自体がこのISSを今後2025年以降どうするかについては、政策的にまだ決定していない状況です。これも踏まえまして、ほかの参加4極も、アメリカが延長を決定したら参加すると完全にコミットしているという状態にはなっていなくて、それぞれの極は、米国が決定し、それから、その後の状況を見ながら自らの極での方針について議論するというのをまだ待っているという状態です。ただし、5極の中では、適切なメンテナンスを行いながらであれば、少なくとも技術的には宇宙ステーションというのは2030年ぐらいまでは使えるということは確認しています。

【向井委員】 ロシアも国際宇宙ステーションとは別に商業利用を推進しようとしていてヨーロッパも同調することはないのでしょうか。

【国分室長】 そこはまだ、こういう方針ですというところまで見えている状況はございません。いろいろな話が出ているのは承知していますし、様々な検討はなされているのかもしれませんが、固まったものとして何か出てきているわけではございません。

【向井委員】 分かりました。ありがとうございました。

【藤崎主査】 中村委員、お願いいたします。

【中村委員】 中村です。御説明ありがとうございます。
 今見えているページで一つ質問と、もう一つあるのですけれども、新たなプラットフォーム構築ということで細胞医療とか燃焼研究とか挙がっていますが、これはもっと早く完成させて、2024年までの間に何とかしようということなんでしょうかということが一つと、もう一つ、人材育成のところで、いろいろな大学が今まで参加されているということでしたけれども、予算規模というか、それに参加するに当たって、どのくらいどこから資金が投入されているかということがもし分かれば教えていただきたいと思いました。よろしくお願いいたします。

【佐々木理事】 新たなプラットフォームについては、環境条件と進捗状況によって変わるんですけれども、2024年までには成果が出るようなことで、現状は取り組んでいます。細胞培養につきましては、もう既に昨年、1回目の実証実験を行っていますので、そういう形で進められたらなとは思っています。ただ、正直、もう3年しかありませんので、2024年までに全部プラットフォーム化するといっても、なかなか難しい状況かなとは思っています。
 それから、あと大学のほうの費用ですけれども、これについても、大学がどのぐらい出しているかということは分からないんですが、多くの公募実験については、輸送費等かなりの部分についてはJAXAのほうから出しているというところで、例えば、大学さんであれば、科研費であるとかそういうレベルで確保されて取り組まれているという状況と認識しています。

【中村委員】 科研費とJAXAが分担している部分と、比率みたいなものはお分かりになるんでしょうか。

【佐々木理事】 輸送費をどう考えるかにもよるんですけど、かなりの部分については、結果的にはJAXAのほうで負担しているんだと思います。それからあと、大きな実験装置で大学のほうで研究をリードしていただくケースですけれども、その場合は、億単位での開発費というのはJAXAが負担をして、その中でサイエンスの研究をいただいているということもありますので、定量的にはなかなか申し上げられませんが、JAXAのほうが多く負担していると思います。

【中村委員】 御説明ありがとうございました。

【藤崎主査】 古城委員、お願いします。

【古城委員】 どうも御説明ありがとうございました。私の質問は国際宇宙協力のところです。これまでこのISSを利用して、特にアジア諸国との間で非常に緊密な協力関係をつくってきたというのは先ほど御説明がありましたが、33ページのところにあるこういった国々との関係ですけれども、これはバイの協力関係なのか、それとも各国との関係がもうネットワーク化されているのか、をお聞きしたいです。それはなぜかというと、中国が自分のところの宇宙ステーションを造った場合に、恐らくこういった国々との間の協力関係をつくっていくようなことをするんじゃないかと思います。その場合、バイよりもネットワーク化していって、ネットワークに入っていると非常にメリットがあるというようなことにしておくと、せっかくつくった協力関係というのはあまり乱されないと思います。その辺りはどのように考えられているのかというのをお伺いします。

【佐々木理事】 アジアとの関係におきましては、ネットワークで皆さんに声をかけて集まってやっているというのが一つの形になります。ただ、バイの部分とネットワークの部分、両面作戦で行っています。
 対中国という観点でいきますと、「きぼう」だけではなくて、例えば、APRSAFといったような活動もそうなんですが、お互いにネットワークをつくって競争している部分というのは正直あるかなと思っていますので、ネットワークをつくっただけで漫然とはせずに、これをしっかりとどんどん進化させていくということが大事なのかなと思って取り組ませていただいています。

【古城委員】 どうもありがとうございました。

【藤崎主査】 ほかの委員の方々、よろしゅうございますか。倉本委員、お願いいたします。

【倉本委員】 私のほうからは、人材育成の部分に関して一つ質問があります。
 24ページの資料で御説明いただいて、かなり多くの大学から公募テーマ等への参画があって、いろいろなタイプの方が宇宙というものを実体験として学んだというところが確かに読み取れたと思います。
 一方で、宇宙環境利用を主になさっているところと、それから開発にかなり密着したところをやっているところまで、かなり多彩な感じになっていまして、JAXAのほうで、こういうタイプの人材育成に特に力を入れたいというような観点をお持ちかどうかということと、もしそれをお持ちだとして、今後、公募等を発出する際に、そうした考えを反映していくというようなことは考えないかと。この点について御質問したいと思いました。よろしくお願いします。

【佐々木理事】 ありがとうございます。
 正直言いまして、今までは、どちらかというと利用テーマを中心に考えていますので、こういう形で育成したいという観点で選ぶということはしていませんでした。今までは、あまりそういう観点での戦略は持っていなかったです。
 今回、基本計画等におきましてもしっかりと書かれていますし、そういう観点で考える機会が得られましたので、今後どういう人材を育成するのがいいかとか、そのためにどういう公募をしたらいいかとか、そういうことについては、よく戦略を立てて取り組んでいきたいと思っています。
 一つ言えるのは、超小型衛星につきましては、特に従来から人材育成という観点がありましたので、そういう意味では、UNISECとかそういうところと連携しながら、育成という観点でしっかりと、既に着手しておりますが、取り組んでまいりたいと思っています。

【倉本委員】 どうもありがとうございました。

【藤崎主査】 ほかの委員の方々はいかがでございますか。
 もしなければ、これで第2部、第2議題を了したいと思います。本日の公開議事は了するということでございますが、国分さん、お願いします。

【国分室長】 本日の議題1、2についての議事録は、後日、文部科学省のホームページに掲載いたします。次回の小委員会の予定につきましては、日程調整の上改めてお知らせいたします。

<議題3は非公開>

(了)

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研究開発局宇宙開発利用課