宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第41回) 議事録

1.日時

令和3年2月2日(火曜日) 10時00分~11時30分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について
  2. Gateway利用に係る検討状況について
  3. 新たな宇宙飛行士の募集に係る検討状況について
  4. その他

4.出席者

委員

主査(専門委員)           藤崎 一郎
主査代理(専門委員)        牧島 一夫
専門委員                金山 秀樹
専門委員                木村 真一
専門委員                倉本 圭
専門委員                古城 佳子
臨時委員                知野 恵子
専門委員                中村 昭子
臨時委員                西島 和三
専門委員                向井 千秋
臨時委員                米本 浩一

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)              長野 裕子
研究開発局宇宙開発利用課長                  福井 俊英
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長      国分 政秀
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室室長補佐  溝田 岳

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事                                  佐々木 宏
有人宇宙技術部門きぼう利用センター センター長     小川 志保
有人宇宙技術部門きぼう利用センター 主幹          本原 守利

5.議事録

【藤崎主査】 定刻になりましたので、ただ今より国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第41回会合を開催いたします。事務局より連絡事項の確認をお願いいたします。

<事務局よりオンライン会議の注意事項等説明>

<続いて事務局新任者紹介と挨拶>

【福井課長】 宇宙開発利用課長の福井でございます。1月1日から就任しておりまして、今後よろしくお願いいたします。本日はよろしくお願いいたします。

【藤崎主査】 本日は議題が3つあって、1番目は国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向、2番目はGateway利用に係る検討状況、それから3番目は新たな日本人の宇宙飛行士の募集に係る検討状況のご説明です。では第1議題からお願いいたします。

<文部科学省国分室長より資料41-1に基づき説明>

【藤崎主査】 私から先に1つだけ。こちらは議題2にも関連するのかもしれませんが、アメリカが新しい政権に移りました。そこで大きな問題は、今までのトランプ政権はコロナ対策にあまり重点を置きませんでしたが、今後はしっかりと重点を移していくと思います。そして経済再建をしないといけません。この中で宇宙関係について何か影響が出てくる気配があるかです。
現在は、とにかく何兆ドルもの予算をコロナ対策と経済再建に充てていくため、トランプ政権ではむしろ月面有人探査を早める方向に考えていましたけれども、そこら辺を見直すような動きはありますか。

【国分室長】 結論から言いますと、今の段階では具体的な動きは何も見えていません。
昨年11月の小委員会でご紹介したように、その時はまだ米国大統領選挙前でしたが、昨年8月の(米)民主党の全国大会で承認された綱領――マニフェストのようなもの――の中で、「米国人を月に戻し、さらに遠くの火星に行き、太陽系を探索する次のステップを踏み出すNASAの取組を支援する」という方針が出されています。それ以降、新しい民主党政権の下での政策的な変更などの情報は今のところありません。我々としても引き続き注視していく予定です。
参考情報といいますか、NASAのブライデンスタイン長官は先月1月20日の政権交代のタイミングでご退任されまして、現在は事務方のトップをされていたジャージック氏が長官代行をされています。新しいNASAの長官がいつ就任するかといったことまだ見えていないため、引き続き注視していきたいと考えております。

【藤崎主査】 国内に転じて、今回、文科省でお取りになった宇宙予算は極めてしっかりしたものと思っておりますが、やはり世界的にコロナの影響とか、経済再建ということで、今後(宇宙予算に)もいろいろ影響が出てくるだろうと思うので、予めその辺りは考えておいたほうがいいだろうと思います。
委員方から、もしご意見・ご質問があれば挙手をお願いします。
向井委員どうぞ。

【向井委員】 MOUに関して、今回、加米と日米のMOUをご紹介いただいたのですけれども、(ISSと同様に)Gateway全体に対するCSA(加)と日本の貢献の比率が決まっているのでしょうか。その比率をベースに、例えばカナダ人宇宙飛行士は2名月近傍に行くとなっていて、内1名はGateway滞在となっているわけですが、こういった宇宙飛行士の飛行機会の回数が設定されているのでしょうか。
我々日本の貢献(の割合)とGatewayからのリターン(の割合)というのは、どのような取り決めになっているのでしょうかという質問です。

【国分室長】 ISSのCSOCと異なり、あらかじめ貢献や権利の配分について決めるということはされておりません。
従いまして、それぞれの貢献に対して何を受けとるかを都度決めていくという形になっております。ESAやCSAも同様で、何パーセントという割合が決まっているわけではないというのが、今回のGateway MOUの特徴になっております。

【向井委員】 おおよそとして、CSAが貢献に要するお金と日本が貢献に要するお金のどちらが多いか、もしくは同じぐらいなのか、そこら辺の見積もりはあるのでしょうか。

【国分室長】 日本に関しては、Gatewayへの補給回数をまだ定めておりません。どのぐらいの量をいつごろ、どのぐらいの頻度で運んでいくかということと連動しますので、まだ他国と比べるということがなかなか難しい状況です。

【藤崎主査】 牧島委員お願いいたします。

【牧島主査代理】 10ページ目のNASAの予算を見ると、もちろん減らされている項目もありますが、大幅に増額されている項目もあるように見えます。これらは何か別の理由から要求が上積みされた結果なのか、それともアメリカではこういうことが時々起きるのか、その辺を教えていただければと思います。

【国分室長】 日本と同じように議会で審議された結果と理解しております。
審議の内容までは承知しておりませんが、何か特別な話があったとは聞いておりません。

【藤崎主査】 一般論として私が知っている限りでは、アメリカの場合、行政府からの予算案は参考にされますが、全て議員立法となり、あまり前例主義にとらわれない、シーリング(概算要求基準)とか言って要求上限を決めて要求することはなくて、そのときそのときかなり柔軟にやっておりますので、(前年と比較して)予算が大きく変わることはあると思います。
例えばODA援助というのは、トランプ政権では経済協力援助を大幅に減らされました。また、環境分野の予算も大幅に削られました。(政権交代によって)今度はまた大幅に増やすというふうな、政権によってもずいぶん違いますし、それからそのときの長官あるいは議員によってだいぶ波があるのが実際ではあるようです。
では知野委員お願いいたします。

【知野委員】 今のところとも関係していますけれども、この10ページの予算を見ますと、有人月着陸システムについてNASAはかなり大胆に要求をしていますけれども、それに対する回答はかなり低く抑えられています。この辺の背景をどのように考えておいででしょうか。

【国分室長】 ここは我々もずっと注視しています。
NASAは2024年の月面有人着陸を目指して有人月着陸システム(HLS)を要求していると承知しています。この予算額でNASAがどのように工夫していくか、今後の動向も引き続きよく見ていかないといけないと思っています。

【知野委員】 やはりこちらは政権が変わることの影響、つまりトランプ政権ではなくなることで、意欲も違ってくるだろうということなのでしょうか。

【国分室長】 予算が決まったのは去年の年末でして、上院は共和党が優位な形で審議されていたはずです。詳しくは分からないですけれども、必ずしも民主党政権になるからということではないのではと考えます。

【藤崎主査】 金山委員お願いいたします。

【金山委員】 ページ6の工程表に、月面への持続的な探査活動を見据えた産学官による先行的な研究開発等とあります。この産業界との先行的な研究開発で、今年度具体的にどのようなことが行われ、来年度以降どのような活動を想定されているのかお聞かせください。

【国分室長】 JAXAには、宇宙探査イノベーションハブという取り組みがあります。6億円程度の予算額で、月での活動と地上への応用の両面を視野に入れた民間企業とJAXAとの共同研究という形で、2015年から毎年行われております。こちらにつきましては来年度も同様の規模で予算案に計上されているところです。
なお、宇宙探査イノベーションハブについては、昨年10月の小委員会でもご紹介しましたが、これまでに100社近い民間企業が参加しています。
こちらに加えまして、今般、内閣府でも令和2年度の第3次補正予算と令和3年度の当初予算案として計上している予算がありまして、こちらを使って、新たに民間と協力する形での月面活動に向けた研究開発について検討していると聞いております。

【藤崎主査】 他に委員の方々、何かご質問はありますか。もしないようであれば、第2議題にまいりたいと思います。ご説明をお願いします。

<JAXA佐々木理事より資料41-2に基づき説明>

【藤崎主査】 委員の方々、ご質問・ご意見いかがでしょうか。木村委員お願いいたします。

【木村委員】 4ページに利用実験についていくつか挙げられていて、前回こちらは議論になったと思います。GRABとIDAについて、JAXAが参加することになったのは非常に喜ばしいことです。
右側の2件については、現在調整中となっていますが、この枠組み対するこの後の戦略をタイムライン含めてどのように考えられているのでしょうかというのが1点です。
あともう1点は、例えばドロワを使って何か共通的な利用ミッションの実験装置を考えましょうというときに、提案をJAXAで募るという話についてです。恐らく実験装置を開発するとなると、JEM(「きぼう」日本実験棟)のときもそうですけれども、JAXAでも体制をつくって、人的にも、あるいは予算的にもかなり措置をする必要があるのではないかと思うのですが、その辺の体制づくりについて教えてください。私からは2件です。

【藤崎主査】 ありがとうございました。西島委員お願いします。

【西島委員】 私もやはり4ページですけれども、日本の参加形態のところで、「きぼう」がキーワードであることはわかりますが、その他に実際どういうテーマが優先されるか決まっているのかというのが1点。
もう1つはHuman Researchのところで、超音波診断機器を提案される背景と、それからこちらはISSか何かで搭載や提案の実績があるのでしょうか。
この2点をお願いいたします。

【藤崎主査】 ありがとうございました。倉本委員お願いします。

【倉本委員】 2点あります。
まず2ページ目に関するところですけれども、左側の図のほうを見ますと、初期段階、米国の月極域探査ミッションというのが図の中にあるわけですが、日本でもLUPEX(月極域探査ミッション)を進めるということになっていまして、このLUPEXと米国の計画との関係がどのようになっているかを伺いたいというのが1点です。
それから5ページにGatewayの利用調整パネルの紹介がありました。ワーキンググループ(以下、WG)は8つのカテゴリーが設置されているわけですが、こちらを見ますと、月科学、太陽物理、天文物理、こちらは狭義の宇宙科学と言いますか、ISASのほうで進めてきたテーマとかなり重なっている印象を持ちますが、この辺りの日本側の体制をどのように整えていくのか説明をお願いします。

【藤崎主査】 ではここまでを第1段の質問として、ご回答をお願いいたします。

【JAXA佐々木理事】 西島委員のご質問につきましては、きぼう利用との関連ということで、後ほど小川センター長から説明してもらいます。
まず木村委員からの開発スケジュールとドロワ開発における人的・予算的な対応というご質問です。HALO及びPPEというのは、2023年に打ち上げる前提で、来年ぐらいにはペイロードを搭載のため引き渡すくらいの勢いになりますので、まさしく今取り組んでいるところです。近々に(機器をHALO/PPEに搭載するか及びペイロード提供機関を)決めないといけない案件になります。
それからドロワの開発に関しては、現状は「国際宇宙探査に向けた開発研究」という費用がありまして、その範囲で実施しているところです。それについてしっかり取り組むための資金の確保、体制の構築は、今まさに取り組んでいるところです。探査というのが予算も頂き今後本格化する中で、JAXAの有人及び(国際宇宙)探査の体制は課題として議論しており、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
倉本委員のご質問のLUPEXですが、LUPEXはJEDI(月探査協力に関する文部科学省と米航空宇宙局の共同宣言)の中にも日本側の貢献項目としてデータ提供すると書かれており、(アルテミス計画の)月面の活動の中で知見が活かされることになります。2ページの図はNASAの資料のためLUPEXは入っていませんが、LUPEXは米国の月極域探査ミッションとは別の地点の南極域の月面のデータを獲得します。
それからWGですが、ご指摘のとおり月科学、太陽物理、天文物理の3つはISASの参加が必須で、実際にWGのグループリーダーをISAS(の太陽系科学研究系と宇宙物理関係者)から推薦してもらいご参加いただいております。例えば中村准教授(本小委員会委員)や春山教授(ISAS)など色々な方にご参加いただいています。
小川センター長、続いて回答をお願いします。

【JAXA小川センター長】 JAXA有人宇宙技術部門きぼう利用センターのセンター長小川と申します。よろしくお願いいたします。
木村委員からのHuman ResearchとMicrobiomeの今後の予定ですけれども、まずHuman Researchについては、既にJAXAから計測機器を提示しておりますので、この1~2ヶ月の間に決めていただけるのではないかと思っています。
Microbiomeについては、WGによって進め方に時間差が出てきているのですが、私としてはこの春先、あと3ヶ月程度で議論ができるのではないかと思っておりますので、年度明けぐらいには全体の状況が見えてくるのではないかと考えておりますし、そのように調整するつもりです。
西島委員からの日本のきぼう利用のテーマとどのように連携を取っていくかですけれども、きぼうの利用のテーマは、特に生命科学の分野では放射線の影響評価、生物個体や細胞に対する放射線の影響評価の研究をこれまで何件か宇宙実験として行いまして、研究成果が出ています。そういった地球低軌道とGateway、その先にある月面の放射線に関する研究、それから重力生物学、そういった研究領域を主として、きぼうでの知見と比較できる体系的な研究を実施したいと思っております。今後の募集としては、その部分が軸になってくると考えております。
超音波診断機器を選定した理由は、JAXAが行った健康管理のRFI(将来有人宇宙活動に向けた宇宙医学/健康管理技術研究開発に係る情報提供要請)等を通じて、(将来の有人宇宙活動における健康管理運用に必要な技術との)技術ギャップを検討しておりました。その中で、この領域については、他極に対して競争力を持ち、差別化でき、体制も構築できるのではないかといったところから提案に至りました。

【藤崎主査】 ありがとうございました。それではよろしければ質疑第2段にまいりたいと思います。古城委員お願いいたします。

【古城委員】 5ページのデータ共有ポリシーについての質問です。
1つは、「ポリシー自体はハイレベルであり」と書いてあるのですけれども、こちらはこれまでのISSなどとは異なるという意味で「ハイレベル」と使われているのでしょうか。
それから4ページのHuman Researchに「データはシェアリング」とわざわざ書いてあるのですけれども、これはほかのプログラムではデータはシェアリングされない可能性があるということなのかをお伺いしたいと思います。

【藤崎主査】 知野委員お願いします。

【知野委員】 5ページの8つのWGの中に広報も入っていますけれども、ISSの時と違って統括して何かをしようとされているとか、こういうふうに仕掛けていこうとか、そういう戦略を練られているのか、一体何の目的で広報のWGを作ってらっしゃるのか教えてください。

【藤崎主査】 米本委員お願いします。

【米本委員】 同じ資料5ページについて、質問があります。今後Gatewayの利用に関しては、大学も含め広く公募していくと思いますが、当然採択には数的制限があると考えます。その条件がGatewayの、あるいはアルテミス計画全体への(日本の)貢献度によって決まってしまうのか、実際にはどのような取り決めになっているのかを教えていただけないでしょうか。
2つ目は、古城委員の質問とも関係するものです。JAXAが(PPE/HALOに搭載予定の)多くのペイロードに国際協力の形で参加していることは喜ばしいことと思います。JAXAが関与しない(ペイロードが取得した)データに関しては、Gateway利用調整パネルあるいは担当のレベルで平等に共有されていくのでしょうか。その辺の合意事項は,どのようになっているのでしょうか。

【藤崎主査】 ではご回答をお願いいたします。

【JAXA佐々木理事】 古城委員からの「ハイレベル」の記述についてですが、ハイレベルと書いたのは、ポリシーが具体的なものというよりも理念的なものであるという意味合いです。
ISSにおいて、基本的に米国NASAは取得データに対し比較的オープンな考え方、おそらく科学の分野ですと大体そうだと思いますが、を取っています。
Gatewayの科学利用におけるデータ共有ポリシーは、まだ調整中の部分があるものの、ESA、NASA、JAXA、CSAの間ではオープンな考え方をかなり導入する方針と聞いています。一方で、やはり利用ミッションの研究チームに参加するかどうかによって、機器の提供等の貢献度合いによって、データのシェアリングの度合いに差が生じる可能性はあると思います。
4ページのHuman Researchのデータシェアリングについては、後ほど小川センター長から説明させていただきます。
知野委員からの広報WGの目的に関するご質問ですけれども、例えば映像発信とか、そういうことも含めてしっかり考えていこうという理念で設置されていますが、残念ながら、他のWGに比べて検討は遅れ気味です。

【国分室長】 佐々木理事のネットワークが止まってしまいました。

【藤崎主査】 どなたかフォローできますか。

【国分室長】 では私から。
米本委員からの公募の制限に関するご質問について、今後公募していくに当たってどういう条件が付くか具体的には承知していませんが、昨年本小委員会でまとめた基本的な考え方の中で、JAXAが公募するに当たっての留意点を整理しています。
その中で国内コミュニティが公平に利用ミッションに参加できる仕組みをJAXAが構築することですとか、公募に当たってはミッション選定の基準・観点を、予めできる限り具体的に公表することとしています。
基準・観点というのは例えば、限られたリソースで実行可能であること、要素技術の技術成熟度が高いこと、開発スケジュールが確実なこと、Gatewayの特徴を最大限生かした提案であること、Gateway利用とISS利用の相補性や相乗効果が期待できること、それから国際協力としての提案が歓迎されること、そういったことを公募の際に条件として出すとしています。
あとは、募集の際には、国内コミュニティが負担する費用、ゲートウェイとISS の利用環境の違い等について正確かつ丁寧に情報提供を行うこと、ですとか、国際協議においては、国際協力ミッションであることや国際的な成果の波及効果が大きいこと等が重要視されることをきちんと周知していくといったことを留意事項として挙げています。
そういった条件を本小委員会から公募を行うJAXAに出しています。

【藤崎主査】 佐々木理事が復活されました。お願いします。

【国分室長】 佐々木理事、私から米本委員の公募のときに、提案者側にどういう条件や制限がかかるかとのご質問に対して、私から昨年本小委員会でまとめた基本的な考え方の中の留意点を改めてご紹介したところです。

【JAXA佐々木理事】 ありがとうございます。公募に関しては留意事項を前提に進めております。

【知野委員】 すみません。広報も途中だったと思うのですが、映像発信という例が出ておりましたが、これは今のISSで、例えばJAXAがやっていることとあまり違いがないと思うので、WGというのは一体どこに目新しさ、理念があるのかという辺りを教えてください。

【JAXA佐々木理事】 実はまだそこまで議論が進んではいないのですけれども、元々WGを設置したのは、基本的にはISSの延長になりますが、教育・広報というのも科学技術開発に並んで重要であるから、このGatewayをその面でも国際協調でしっかりと利用するため方向性を議論しようという趣旨です。

【JAXA小川センター長】 補足します。
教育・広報については、ほかのWGに比べるとまだ検討が詰まっていないというのが事実です。
一つの理念としては、ISSの場合は各国がそれぞれの割り当ての中で自国の行っている利用なり活動をどのようにアピールするかを検討していると思いますが、Gatewayについてはやはりリソースが少ない。例えばカメラにしても1台、2台をみんなで使う状況にあって、どのように一緒になってGatewayをアピールしていこうかという議論を、まずそこから始めようとしています。
大上段の政治的・政策的なアピールのポイント、それから一般の方々へのアピールのポイント、そういったものを決めて、ちゃんと(みんなで一緒にアピールするという)理念を持ってやりましょうということになっており、その理念だけは決まっています。
ただポイントをどこにするかという議論がまだ始まってはおりません。各国が各々の考え方に基づいて行ってきた広報ではなく、全員でまとまってやっていこうという考えで、その中にはソーシャルメディアもテレビや新聞も入っています。それらをどう生かして連携してやっていくかというところになると思います。
このように共通的な理念だけは決まっておりますが、実際に動かそうとすると、やはりそれぞれの国の考えがあるので、まとまりきれておらず、各国迷いながら、そろそろ会合を開こうかと、そういう状況です。

【米本委員】 私からも質問があります。
先ほど、国分室長から、国内で提案する際の採択の条件について説明いただきました。その提案をGatewayの利用調整パネルに上げたときに、JAXAがペイロードとして提案できる配分は、おのずとGatewayに対して日本がどれぐらい貢献しているのかということで制限を受けるのではないでしょうか。その場合に、貢献度という尺度がどのようになっているのかお分かりでしょうか。

【国分室長】 確か以前同じようなことが論点となり、実態として貢献度が影響しないとは言えないのではないかとのご指摘もいただいておりますが、それよりもまずは、GUCPの国際調整の場に出すその提案の良し悪しによって、JAXA及び日本がどれだけ自分たちが提案した利用テーマを実施できるかが決まってくるという大前提があります。
そのために国内の産学官の提案を糾合したような形でJAXAがまとめ上げて、さらには国際協力のプロジェクトとして優位性を高めるためにほかの国との共同ミッションにするとか、そういったところまで練り上げて、きちんと体制を整えて提案していくことが重要であるという考えに立って、先ほどご紹介した基本的な考え方をまとめておりますので、まずは提案の良し悪しを考えるのが基本になると思います。

【藤崎主査】 いろいろご議論いただきありがとうございました。
第2議題Gatewayについては以上ですが、第1議題とも共通いたしますが、Gateway関係について、トランプ政権ではかなり急いで、月面有人着陸を2024年に前倒ししたりしましたが、これが政権交代した後も果たして続くのか、先ほど国分室長もおっしゃいましたが、ぜひ注視していただいて、私どもはやはりあまり急いで物事が進んでいくとついていけなくなりますし、適当なスピードで進んでいくほうがいいだろうと思っておりますので、アメリカ側ともよく情報交換をしていただきたいと思います。
では第3議題ですが、新たな宇宙飛行士の募集に係る検討状況をJAXAからお願いいたします。

<JAXA佐々木理事より資料41-2に基づき説明>

【藤崎主査】 私からは希望と質問を一点だけ。今回はできるだけ女性の方が入り、天体の環境保全という観点から環境関連の学者がお入りになるとよいのではないかという希望はあります。
質問としては、これは日本を代表すると言いますけれども、必ずしも日本国籍でなくても例えばアジア等に広げて、日本がアジアの代表選手として宇宙飛行士を訓練していくというような形であっても良いのではないかと思いますが、そこら辺についての考え方は、とんでもない税金を使って行うのだからという議論ももちろんあるでしょうけれども、どんなことが議論されているのか少し伺ってみたいと思います。
ほかの委員方いかがですか。向井委員はいかがですか。勝手に指名させていただきますが。

【向井委員】 せっかくご指名いただいたのですが、向井から現時点では特にコメントや意見はありません。

【藤崎主査】 ほかの委員方、ご意見はございませんか。
ないようでしたら、先ほどの質問の国籍要件についてはどういった考えですか。

【JAXA佐々木理事】 我々もまだそこまでドラスティック(な変更)は考えていませんでしたが、JAXAだけでは判断できないと思います。意見は伺った上で、文部科学省含めてさまざまな関係者とご相談させていただくことになると思います。

【藤崎主査】 私は、こういうことはいろいろ意見が分かれる点だろうとは思いますが、一つの考え方として持っていてもいいのではないかと思って申し上げました。
ほかの委員の方々からご意見がなければ、本日の議題はこちらで終了したいと思います。事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。

【事務局】 本日の議事録につきましてですが、後日文部科学省のホームページに掲載させていただきます。次回の小委員会の予定につきましては、日程調整をさせていただいて、改めてご連絡させていただきます。

【藤崎主査】 これをもちまして、本日の小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課