宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第38回) 議事録

1.日時

令和2年10月9日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について
  2. Gateway利用の基本的な考え方について
  3. ISSを含む地球低軌道活動の在り方について
  4. 月面利用に向けた活動状況について
  5. その他

4.出席者

委員

主査(専門委員)           藤崎 一郎
主査代理(専門委員)        牧島 一夫
専門委員                金山 秀樹
専門委員                木村 真一
専門委員                倉本 圭
専門委員                古城 佳子 
臨時委員                知野 恵子
専門委員                中村 昭子
臨時委員                西島 和三
専門委員                原 芳久
専門委員                向井 千秋
臨時委員                米本 浩一

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)               長野 裕子
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長        国分 政秀

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事                                   佐々木 宏
事業推進部 部長                           川崎 一義
国際宇宙探査センター センター長                筒井 史哉
宇宙探査イノベーションハブ ハブ長               船木 一幸

5.議事録

【藤崎主査】 定刻になりましたので、ただ今より、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第38回会合を開催いたします。事務局より、連絡事項の確認をお願いいたします。

<事務局よりオンライン会議の注意事項等説明>

【事務局】 続きまして、前回、主査預かりとなりました資料についてご報告します。
別途、委員の皆さまにはご報告済みですが、前回ご審議いただきました、「我が国の有人宇宙探査に関する考え方について」の資料につきましては、宇宙開発利用部会での審議を経て決定され、文部科学省のホームページに公開されております。委員の皆さまにおかれましては、文書のとりまとめにご協力いただき、ありがとうございました。
最後に、本日の資料についてのご案内です。資料38-3-2はJAXAからの提出資料ですが、各種資金情報及び関係者の公開許可が得られていない情報を含むため、非公開資料とさせていただきます。以上です。

【藤崎主査】 ありがとうございました。本日は続橋委員のご後任の委員をご紹介したいと思います。
日本経済団体連合会宇宙開発利用推進委員会企画部会長の原芳久様です。原委員、ごあいさつをお願いします。

【原委員】 おはようございます。経団連宇宙開発利用推進委員会企画部会長の原でございます。所属は三菱電機の電子システム事業部の本部長をやっておりまして、三菱電機の中で防衛と宇宙の事業を担当しています。
特に宇宙事業ではHTV(宇宙ステーション補給機)やHTV-X(新型宇宙ステーション補給機)、それからMMX(火星衛星探査計画)等、こちらの小委員会に非常に関係深い部分を担当しておりますので、いろいろ勉強させていただきながら務めていきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。以上です。

【藤崎主査】 どうぞよろしくお願いします。
それでは、本日の議事に入ります。4つ議題がございますが、特に議題2の「Gatewayの利用の基本的な考え方について」と、議題3の「ISSを含む地球低軌道活動の在り方について」は、ペーパーをまとめたいと思っておりまして、事務局案をお送りしているところです。これにつきまして、本日は皆さまがご議論いただく時間を確保したいと思いますので、その他の議題につきましては、できれば簡単な質疑にとどめ、焦点を議題2及び議題3に当てたいと思います。
もちろん議題1と議題4につきまして、ご議論いただいて結構ですが、時間の制約があることだけ最初に申し上げておきたいと思います。
では、議題1に入りたいと思います。国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について国分室長から説明をお願いいたします。

<国分室長より資料38-1に基づき説明>

【藤崎主査】 それではご質問、ご意見を受け付けたいと思いますが、先に私から2点伺い、引き続きまして、他の委員からあればご質問いただいてお答えいただくようにします。
1つは、先ほどアメリカとイタリアの協力というお話がございました。これはESAとは別に各国がアメリカと個別に協力を結ぶ傾向があるのか、それとも例外的な形なのか教えていただきたい。
2つ目は、UAEにつきまして、前(7月)の火星探査機のときは日本が打ち上げたという話でした。例えば、新幹線ですと、スペイン、ブラジル、カナダ、中国などと日本は競争関係にあります。インドネシアでは日本が受注したとか、インドでは他国が受注したといったことがありますが、ロケットの分野でも、受注競争があるのか、全くそういうものはなくて単に随意契約で先方から注文が来るものなのか、教えていただければと思います。
他に委員からご質問がありますでしょうか。――――――なさそうなため、それではお答えいただきます。

【国分室長】 アメリカとイタリアの共同宣言の件は、ESAとの協力の枠外で行っていると認識しています。イタリア固有のアメリカとの共同声明だということです。

【藤崎主査】 それはわかりました。これから先もESAとは別に各国がアメリカと声明を出す傾向なのか、非常に例外的なものなのか、突然アメリカとイタリアというものが出てきて、今どのような状況かよく分からないため、教えてもらえるでしょうか。

【国分室長】 私の理解では、ヨーロッパの中でも国によって月探査に向けた関心度合いは結構異なっていると思っています。イタリアは、アメリカと協力する形での月探査に特に関心が強いと思われます。その結果、今回の共同宣言に至ったと理解しております。他にも同様の国はあると思いますが、具体化されたのは現時点でイタリアだけとの認識です。
2点目ですが、UAE衛星の打上げに関するものですが、おっしゃるとおり完全にオープンな場で決まっていくだけのものではなく、国と国とのさまざまな関係の中で決まっていく部分もあると思います。その点も含め、打上げに関しては競争であり、打上げ事業者の頑張りどころでもあるとの理解です。

【藤崎主査】 そうすると、日本も企業やJAXAが、例えば中近東や東南アジアで打ち上げ受注のため各国と競うのですか。

【国分室長】 H2Aであれば、打上げ事業者のMHIが一義的には頑張って獲得していくということになると思います。これに対して政府は今後の外交などでもしかしたら何らかの支援ができるかもしれません。

【藤崎主査】 新幹線の場合には、JBIC(国際協力銀行)等の支援を付けることで、できるだけ日本が受注できるよう日本政府全体で進めていますが、衛星の打上げ事業については、まだ、そういうことにはなっていないということでしょうか。

【国分室長】 なっていないと思います。

【藤崎主査】 わかりました。
他にご意見がなければ次の議題にまいります。議題2は「Gatewayの利用の基本的考え方について」ということで、文書を読み上げていただきたいと思います。

<国分室長より資料38-2の文書を読み上げ>

【藤崎主査】 ありがとうございました。この文書の細部の表現等につきましては、個別に事務局にご連絡いただいて、それを踏まえて事務局で訂正するといったことはいたしますが、大きな点については他の方の同意も確認できるこの場でぜひご議論いただきたいと思います。
私からは特にもうございませんので、各委員からご質問、ご提起、ご意見、何でも結構です。向井委員、お願いします。

【向井委員】  この文書はこれで良いのですが、2点確認です。
Gatewayの利用に関しては、ISS運用に参画している5極をベースとしたGUCPで決まってくると書いてあります。質問の1点目は、利用率は今のISS利用のように貢献度に対してのリターンとしてパーセンテージで決まってくるのでしょうか。利用率が将来GUCPで議論になるのであれば、そのあたりは予めstrategy(戦略)を日本側として作っておくと良いのではないでしょうか。
2点目ですが、ISECGとの関係ですが、GUCPはロシアを含む今のISS運用に参画している5極ということですね。GUCP参加国の利用に関する権利と、もっと多くの国が入っているISECGの利用権利調整は今から考えておいた方がよいのではないでしょうか。以上です。

【藤崎主査】 ありがとうございました。米本委員、どうぞ。

【米本委員】 「2.(1)我が国が獲得・蓄積すべき技術の実証」を読みますと、今まで日本が獲得してきて更に深めて蓄積すべき技術が並んでいます。このタイトル通りであれば、新たに獲得すべき技術の記載も盛り込んだ方が良いのではないでしょうか。

【藤崎主査】 わかりました。適切なご意見だと思います。続いて知野委員、よろしくお願いいたします。

【知野委員】 Gatewayに関する基本認識なのですが、すべて国際協議で決めるとありますが、これはつまり、企業機密であるとか、そういうことは持てない、つまり産業界なり企業なりが参加しにくい、あくまで研究の場というそういう認識を皆さん持っているのでしょうか。

【藤崎主査】 他の委員の方々、いかがでしょうか。牧島委員。

【牧島主査代理】 質問ですが、Gatewayを使うミッションと、そのプラットフォームというのは、少し概念やレベルが違うと思います。例えば研究者がミッションを提案することはできるけれども、プラットフォームを提案するというのはなかなか難しい。とすると、プラットフォームの方は、例えばJAXAがいろいろな応募を見て、とりまとめて独自に提案するのか、あるいは国際的な協議の中で決まっていくのか、教えていただきたい。

【藤崎主査】 それでは、ここまでで一度、国分室長から回答いただきます。

【国分室長】 承知しました。向井委員からのご指摘ですが、Gateway利用にCSOCのような日本や各国の貢献との相関はあるのかというご質問ですが、この点については、直接的にはないと考えています。ただ、Gatewayに対しての貢献度というのが発言の大きさに全く関係ないかと言われますと、協議の中で多少は関係あるのではないかと思います。したがって、決まったものはないですが、そこは交渉事だと理解しております。
向井委員からの2点目ですが、ロシアを含めた他国との関係ですが、ご指摘のとおり、GUCPの場はISS運用の拡張的な枠組みでやっておりますので、ロシアもその中にはいますが、実際に参加しているJAXAから聞いている話ですと、ロシアは特段発言をしていないという状況だそうです。
その他の国も入るかという話につきましては、GUCPに参加している国がGUCP以外の国と組んだ形で提案することは、おそらくできると思いますが、直接的にこの協議の場に入っているわけではないため、この議論に参加したいGUCP以外の国はGUCPに参加している国と手を組む形でしか提案はできないものだと考えております。
米本委員からのご指摘ですが、新たに獲得すべき技術もあることはご指摘のとおりだと思いますので、2ポツの(1)の記述を見直します。
知野委員からのご指摘ですが、国際協議の場で決めるため、企業機密などが扱えず、すなわち産業界が入れない研究の場としての位置づけなのかというご指摘ですけれども、GUCPはあくまで各極の提案を協議していく場ですので、各国が国の中でどのように提案をまとめていくかということは、それぞれの国のやり方や考え方になると考えております。 ただ、一部の産業界ですとか、一部の研究者が裨益するという提案ではなく、Gatewayは共益的なものだという考え方がありますので、なるべく最大限の方々が裨益する提案が受け入れられるのではないかと考えています。
牧島委員のご指摘について、利用ミッションとプラットフォームというのは考え方やレベルが違うというのはご指摘のとおりです。それもあり(1)(2)(3)という分け方で2ページ目以降に整理しています。このプラットフォームはJAXAが提案するものだけなのかというご質問ですが、プラットフォームを日本が獲得するには、本小委員会とも相談しつつ、まずはJAXAが考えていくものと思います。
その中で、民間等、必要であれば外部の方のご意見ですとか、提案を公募することもあり得ると思います。いずれにしても利用ミッションのときの公募とは違った形で考えていくべきものですし、まずは我が国にとって技術開発・技術実証していくものをプラットフォームの中でもきちんと選んでいくことが最優先であると考えています。

【藤崎主査】 ありがとうございました。向井委員からご指摘のあった1点目については、国分室長のお答えの後段にあったように、無関係であるはずはなく、基本的にはやはり貢献度というものがいろいろな形で勘案されると思います。
パーセンテージで決まってはいないものの、おおよそそれ(貢献度)が、今後我々がどういうことができるかというのにも関わってくると考えられます。それ以外の基準が実はないですから。そうしますと、それが一つの参考基準として考えられるというように考えておいたほうがよいのではないかと思います。
他に基準がないのであれば、それを持ち出してくるのではと思っていないと、それは全然違う話ですというようにはいかないのではないかと私は思っています。それを念頭に置いていただいたほうが良いのではないかと思います。
他の委員の方々、何かありますでしょうか。もしないようでしたら(本文書は主査預かりとし)、今のご意見を踏まえまして、事務局と相談して修正しますので、よろしくお願いいたします。
では、議題3にまいります。お願いいたします。

<JAXA佐々木理事より資料38-3-1に基づき説明>

【藤崎主査】 今の佐々木理事のご説明についてコメント、ご意見があればお願いします。米本委員。

【米本委員】 P.12の「目指すべき姿」の実現に向けた技術獲得ロードマップの目標は、タイムスケールでいうといつまでのことをいっているのでしょうか。
この内容は、ISS運用延長の2030年代まででしかありません。ポストISSで掲げる姿としては、有人輸送とその拠点を我が国でも何らかの形で指導的に獲得していくというような絵姿にすべきです。30年後になっても、まだ日本が2020年代には当たり前になっている無人の宇宙環境利用を追い求めているようなロードマップでは、時間スケールで考えてもおかしいです。どのように考えているのでしょうか。

【藤崎主査】 ありがとうございました。では、木村委員。

【木村委員】 P.6にある能力の向上という技術的な側面と、利用の拡大の両方を進めなければいけないという問題意識は非常に正しいと思っていますし、こういう戦略で行くべきなのだろうと思っています。ただ、その後の説明の中で技術については、ロードマップがそれなりにしっかり書かれているのに対して、利用の拡大については、具体的に戦略としてどのように取り組んでいくのか、ロードマップや仕組みなど検討が、少し薄いのではないかと思います。
例えば、具体的にどのような需要拡大を図るのか、P.6に宇宙旅行等とキーワードが入っているのですけれども、宇宙旅行というのはこの取組の中でどのように戦略として考えられているのか、というところが後ろの資料で見えないように思われます。個々の要素については書かれているように思われますが、戦略的な整理とか、最終的にどういうところに持っていきたいという説明が必要な気がしました。

【藤崎主査】 ありがとうございました。では、倉本委員、お願いします。

【倉本委員】 今の木村委員の指摘と重なっているところもありますが、P.11の技術獲得ロードマップを拝見しますと、出口が探査であるというように読めるところがある一方、探査というのがどういったことを指しているのか曖昧で良く分からないと思いました。
この線表の出口のところ、2040年ぐらいを指していますが、そこでの探査へという出口はどういうイメージなのか、そのあたりをもう少しはっきり出せるとよいのではないかと思いました。
もう一つは、技術開発の出口として確かに探査もあるとは思いますが、その他にもあると思います。(探査の他にも)こういったものを組み合わせていくとこういう価値のあるものが生まれるというようなものも示す必要があるのではないかと思いました。

【藤崎主査】 ありがとうございました。牧島委員、お願いいたします。

【牧島主査代理】 P.17に3つの柱が書いてあり、その中に、丸2【c】超小型衛星放出や簡易実験を通じて、長期的な人材育成を行うという項目が入っていることは大変ありがたく、この項目をもっと前に出して、強調していただけると良かろうと思います。民間利用は、アメリカ含め誰でも考える当たり前のことですが、戦略的な人材育成に使うという考えは、日本の独自性が出せる一つの可能性と思います。
その背景として、私が30代の頃は数年に一機の頻度で人工衛星を打ち上げることができたので、その中で非常によいOn the Job Trainingを受けることができました。ところが現在、そういう機会がどんどん減ってしまい、若手はほとんど座学しかできない。つまり畳の上の水練ですから、そのまま役に立つわけではありません。そこで若い人たちにOn the Job Trainingを与える場として、ISSを最大限に活用してもらいたい。それは大きな費用対効果をもち、そこで育った人材が、例えばJAXAの職員になり、あるいは宇宙産業を支え、また大学の関連する研究分野を支える人材になります。
具体例として、前回も少し申し上げましたが、日本宇宙フォーラムをはじめ9つの団体が共同で30年近く、「人工衛星設計コンテスト」という活動を行っています。これは全国の高校・高専・大学・大学院の学生たちが、自分の衛星ミッションを考案して提案し、その出来映えを競うというもので、毎年その中から一等賞などが選ばれます。そうしたチームは優先的にISSの中で実験ができる、あるいはISSから自分たちの衛星を放出してもらえるというボーナスをつけると、若い人たちにとって、コンテストの魅力が大きく増すと思います。
そうすると、コンテストにより多くの良い人材が集まり、彼らが継続的に社会に出てゆくようになり、日本の宇宙活動にとって非常に大きなプラスになると思います。そのような具体的な施策まで含めて、この部分をもう少し強調していただければというお願いです。

【藤崎主査】 原委員、お願いいたします。

【原委員】 P.20のところですが、今後「きぼう」の利用が民間利用のほうに少しずつシフトしていくように働きかけていくということですが、費用の面ではなかなか打上げとか回収とか宇宙飛行士の作業等で高いと思うのですが、このあたりの費用を下げていくような動きも今後進んでいくのでしょうか。

【藤崎主査】 ありがとうございました。以上のご質問について、佐々木理事にお答えいただきたいと思います。
私からも木村委員や倉本委員、原委員が言われたことと共通しますし、これまでも言っておりますが、利用の拡大というのはかなり限定的かもしれないと考えています。したがって(ISSを含む地球低軌道の在り方について)書くときにどのくらいの見通しがあるのか、宇宙旅行というのもこの前話を伺うと成層圏を出るのに50億円程度かかるとのことでしたし、月に行くのでしたら別ですが、どれくらいの人が本当にお金を払うかというとかなり少ないのではないかと思います。あまりバラ色の絵を描きすぎてもいけないので、少し現実的な議論をしておいたほうがいいのではないかと思います。
それから資料について、今はどこもパワーポイント形式ですが、2つお願いがあります。1つは目次を詳しくしていただいて、目次を見ると全体像がわかる形にしていただきたい。もう1つは、資料の初めに、少々手間がかかりますが3ページでも5ページでもExecutive Summary(要約)と申しますか、この資料に何が書いてあるかということをざっと、それに対して一字一句コメントすることはないので、全体の絵姿を文書で書いていただいて、その文書を読むとこの資料にはこういうことが書いてあって、そこで目次を読むと何ページがどうなっているのかというのがわかるようにしていただけないだろうかと。
これはこの文書だけではありませんが、この文書をいただいても、おそらく多くの方がさまざまなロードマップが書いてあるけれども、パッと見てなんだかわかりにくいと感じるだろう思いますのでそのあたり工夫をいただきたいと思います。
では、佐々木理事ご回答をお願いいたします。

【JAXA佐々木理事】 資料の構成については次回以降反映いたします。まずは冷静にサマリを作ってご理解いただきたいと思いますし、JAXA内にも展開します。
米本委員のご指摘の技術ロードマップですが、ポストISSというのは決まったものがあるわけではなく、2030~50年代、条件によって大きく振れるところです。そういう観点ではP.13の上下で有人滞在機会の提供とクルーレス宇宙環境利用が並んでおりますが、これは同時に起きるというよりは、言い方は適切でないかもしれませんが、穴埋め的に行うイメージです。ここの図も例ですので、もっとさまざまなケースがあると思います。クルーレス宇宙環境利用につきましては、ご指摘のとおり、技術的には既に日本においても、過去にUSERS等でも実績がありますので、あとは自動に効率的に実験ができるようなシステムを構築することだと思います。我々が技術ロードマップとしてできるのは上に書いているような民間技術の積極的な活用や民間リソースの活用だと考えています。
木村委員からのP.6の利用拡大の具体的取組が乏しいのではないかというご指摘ですが、ご指摘のとおり、技術ロードマップのように段階を踏んで進めていくところまではまだ書けていない状況です。宇宙旅行につきましても、我々は軌道だけでなく地上からの輸送も含めてJAXA内で検討しているところのため、ある程度まとまった段階でご報告したいと考えます。いずれにせよ利用拡大についても技術ロードマップのような形でロードマップを作っていくことが肝要と思いますので今後作成しご提示したいと思います。
倉本委員からのご指摘ですが、P.11につきましては、ここは地球低軌道活動というよりは国際宇宙探査に軸足を置いて整理しています。ご指摘のとおり2030年代どうするかというところで、我々としては月面活動がある程度進むという前提で、これに向けた貢献という整理をしていますが、今後は国際宇宙探査と地球低軌道活動全体を示した統合されたロードマップが必要との認識があります。探査だけではなく地球低軌道活動の拡大そのものに向けた技術開発についてP.12に示しておりますが、このように地球低軌道活動と探査全体を統合した形でのロードマップを今後ご提示できればと考えます。
牧島委員からのご指摘のP.17の人材育成についてですが、今後皆さまのご議論を踏まえて、順番についても考えたいと思います。 我々も、探査も含め、大学を中心とした人材育成というのは考えていきたいと思っています。先日も大学生だけでなく高校生も参加した「きぼう」でのロボットのコンテストを開催し、シミュレーションの結果を踏まえた「きぼう」でのロボットの駆動を実際に行ってもらったところです。こういった取組や衛星設計コンテスト等との連携も検討したいと考えます。
原委員のご指摘ですが、輸送に関してはHTV-Xにより大幅なコストダウン実現の見通しを得ています。これだけではなく運用・利用の経費もありますが、今までは(利用者の)全額負担ということで進めてきましたが、こちらについても、先ほど申しました効率化等により、コスト削減に努め、実際に2024/2025年ベースで3~4割削減を目標に取り組んでいます。今後はロケットの更なるコスト削減により総合的な効率化を目指していきたいと考えています。

【藤崎主査】 ありがとうございました。では、続いて、文科省でとりまとめましたISSを含む地球低軌道活動の在り方に関する中間とりまとめのための骨子、こちらの読み上げをお願いいたします。

<文部科学省国分室長より資料38-3-3を説明>

【藤崎主査】 ありがとうございました。こちらは中間とりまとめの骨子ですので、ここで文言の議論は必要ありません。一方で、ぜひこれについてこういうことも事柄として付け加えるべきではないかとか、この方向性については、こういうことを示しておいたほうがいいというご意見がありましたら、この場でご発言いただき、そしてそれを踏まえまして、事務局で文書案を作成する形にしたいと思います。
従いまして、この場では皆さま方から一方的にコメントをいただく形で進めさせていただきたいと思います。それでは、向井委員、牧島委員、古城委員、西島委員の順でお願いいたします。

【向井委員】 2点あります。1点目は大きなタイトルが「ISSを含む地球低軌道…」となっているのですが、ISSは寿命があるので、現在のISSに関するものと、ISS以降の地球低軌道利用を分けて考えたほうがわかりやすいと思います。Strategy(戦略)として一緒にしたほうが予算を取りやすいのかもしれないですが、計画の明確化のためにここを分けたほうがいいのかどうかは検討していただければと思います。同じ文書の中でいいのですが、特出しで「ISSは寿命があるので…」というふうに分けるべきかどうかについてです。
2点目ですが、今後の展望で、おそらく7項の米国議会の決定によるのでしょうが、延長期間は5年程度の短期間の区切りではなく、産業界の育成を考えるうえでは、ISSの寿命をベースに延長の長期計画を考えていくべきと思います。

【藤崎主査】 ありがとうございました。牧島委員、お願いします。

【牧島主査代理】 2つコメントいたします。1つ目は、向井委員がおっしゃったのと同じで、ISSとその他というものを一緒にした方がいいのか、少し書き分けたほうが良いのか、ご検討いただきたいと思いました。
2つ目は、よく読めばわかることではありますがが、月探査やGatewayの開発を進めながら、同時に地球低軌道の活動を続ける、という2本立てのメリットや理念を、もう少し明確に表現できると良い気がしました。例えば、地球近傍に関してはISSを通じて有人滞在技術まで含めて我々はずいぶん技術を成熟させてきており、これからは、それを使ってさまざまな成果を収穫する段階に来ている。他方、月探査やGatewayはまだまだ非常にチャレンジングであり、ISSとは段階が違う。これらレベルの異なる両方を進めることは意義が大きい、といったニュアンスがもう少し明確に読みとれると良いと思います。

【藤崎主査】 ありがとうございました。古城委員、お願いします。

【古城委員】 5項の利用ニーズ及び期待というところですが、先ほどJAXAからは、今までも国際協力や国際プレゼンス発揮の場として、こういった技術の開発や協力は効果があり、今後もこれらは寄与するとご報告いただいたと思います。
ですので、「何らかの大きな国際協力にも貢献する」ということをどこかに入れておいていただくと、単に技術的な革新というだけではなく、国際的な協力の1つとして貢献しうるという期待が読み取れて良いのではないかと思いました。

【藤崎主査】 ありがとうございました。西島委員、お願いいたします。

【西島委員】 5項の将来のISSを含む地球低軌道の利用ニーズ及び期待についてですが、2つ目の白丸にポートフォリオとして丸1~丸3とあって、3つ目の白丸に星が3つありますが、これは丸1~丸3に対応しているのでしょうか。そうであれば、そこをわかりやすくしてもらいたい。
もう1つは、例えば民間利用の記述について、私は産業界の人間ですが、産学官による科学研究というのは漠然とし過ぎていると思います。
一方で、宇宙旅行とか、超小型衛星放出というという非常に具体的なものが民間利用として書かれています。産業界と民間利用というものが混同されているので、このあたりはもう少し具体的にわかるようにしたほうが良いと思います。
例を挙げるとすると、やはり2040年代は高齢化社会ですから、健康長寿社会への貢献は産業界としても見据えていると思います。そういうキーワードを入れておかないと、何か自分とは離れた、宇宙旅行に自分は行かないし、超小型衛星は関係ないというので、もう少し何か国民に役立つという事柄をキーワードで入れたほうが良いのではと思いました。

【藤崎主査】 ありがとうございました。知野委員、お願いいたします。

【知野委員】 今のISSの規模をもったまま、とにかく続けていくという印象を全体から受けるので、ISSの寿命を踏まえ、費用を含めて適宜見直しを図ることを要素として入れたほうが良いのではないかと思いました。

【藤崎主査】 ありがとうございました。
今コメントのない方も1週間以内にメールでご連絡いただければそれも事務局で検討いたします。
知野委員のおっしゃる通りで、全てが今まで通り続いていくわけではなくて、 Gatewayもでき、月でも基地ができていったときに、地球低軌道活動の在り方は如何にあるべきか、というように考えませんと、とにかく継続していきますということにはなりません。月面基地やGatewayが出来たという前提で考えて、牧島委員が従来おっしゃっているように、人材育成にこういうふうに活用するのだとか、あるいは西島委員がおっしゃるような、本当にそのような利用があり得るのかといった視点での見直しも必要になると思います。ここまでのご意見を整理して、また事務局で案を作って皆様にお返しするようにいたします。
大変有益なご議論をいただいて、ありがとうございました。段取りとしては、今申し上げましたように進めさせていただきます。
では次の議題4にまいります。月面利用に向けた活動状況で、佐々木理事にご説明いただきますが、時間もありませんので簡潔にお願いします。

<JAXA佐々木理事より資料38-4に基づき説明>

【藤崎主査】 ご質問はありますか。米本委員、お願いします。

【米本委員】 宇宙探査イノベーションハブの活動に関して、個人的には、大変評価をしております。P.7の数字で示されていうるように、非宇宙系の企業も自己投資を始めて、次第に底辺が拡大してきたことが実感できて、非常に効果があったと思います。今後も引き続き、JAXAの努力に期待します。
私も微弱ながら宇宙探査イノベーションハブの活動に協力しています。補足資料のP.13について、細かい話で恐縮ですが、2019年までの非宇宙企業の93社の中で、私が関わっていたのは、左の上から3番目の中国工業案件です.しかし、これは18年までのことで、19年は、この会社からスピンアウトした別の名前のベンチャーが担当しました。事務局にお尋ねいただき、必要あれば修正していただきたいと思います。以上です。

【国分室長】 確認させていただきます。(※後日、P.13について、誤解を招かない表現に修正し、資料を差し替えて掲載済み)

【藤崎主査】 他にございませんか。今、米本委員からもご発言がありましたけれども、月面等における活動ということですと、民間の関心が既にあり、これからもかなり伸びる可能性があると。
月探査と地球低軌道活動の場合、ゼロサムではございませんが、それらがどこまで伸びるだろうかというのが、恐らく今後同じ民間の参画ということで、だいぶ違う形で出てくるのかなと思いますので、注視する必要があるだろうと思います。これにつきましては今後とも、しっかりご説明を受けて、我々もフォローさせていただきたいと思っております。
本日は、少々急いで進めましたが、2つの文書(資料38-2及び資料38-3-3)について、もしコメントがありましたら、これから1週間以内にお寄せいただきたいと思います。
最後に事務局から何かあればお願いいたします。

【事務局】 本日の議事録は、後日文部科学省のホームページに掲載いたします。次回の小委員会の予定につきましては、日程調整の上、改めてお知らせいたします。

【藤崎主査】 皆さま、ご多忙のところ、会議にご出席いただきまして、始終大変有意義なご意見をお寄せいただきまして、ありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

(了)

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研究開発局宇宙開発利用課