宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第33回) 議事録

1.日時

令和2年1月23日(木曜日) 10時30分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 地球低軌道活動の在り方について ①ISSの利用促進に関する米国の取組について ②ISSを含む地球低軌道活動の在り方関する産業界からの意見聴取
  2. 国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について
  3. その他

4.出席者

委員

主査(専門委員)           藤崎 一郎
第一主査代理(専門委員)     牧島 一夫
専門委員               金山 秀樹
専門委員               倉本 圭
専門委員               古城 佳子
専門委員               続橋 聡
専門委員               中村 昭子
臨時委員               西島 和三
臨時委員               米本 浩一

(有識者)
SpaceBD代表取締役社長     永崎 将利

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)               岡村 直子
研究開発局宇宙開発利用課長                  藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長        倉田 佳奈江
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室室長補佐   和田 理男

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事                                   若田 光一
ISSプロジェクトマネージャ                      筒井 史哉

5.議事録

【藤崎主査】 それでは,時間になりましたので,国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会第33回会合を開催させていただきます。
昨年はいろいろ皆様にはお世話になりましたが,今年もよろしくお願い申し上げます。昨年同様にしっかり会議をさせていただきたいと思います。
では,事務局から何かありますか。

【事務局】 資料の確認をさせていただきます。
お手元の議事次第のとおり配付しておりますので,不足等ございましたら事務局までお申しつけください。なお,本日の会議資料と議事録につきましては,後日,文科省のホームページに掲載させていただきますのでご承知おきのほどよろしくお願いします。
事務局からは以上です。

【藤崎主査】 それでは,議事に入ります。議題1は,地球低軌道活動の在り方についてで,前回の議論におけるご意見と,本日の議論のためのたたき台を中心に,倉田室長よりお願いします。

<文部科学省倉田室長より資料33-1-1に基づき説明>

【藤崎主査】 ありがとうございます。
続いて,若田理事から,米国の取り組み等についてご報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

<JAXA若田理事より資料32-1-2に基づき説明>

【藤崎主査】 ありがとうございます。若田理事のご説明に対して,ご質問のある方は手を挙げていただけますか。
私から補足ですけれども,4ページを見ますと,商業利用が全体の2.5%に過ぎないことが書いてあります。民間と言っても今のところは2.5%です。次に,8ページの利用ユーザーのイメージとして,基本的には財団,他政府機関,NIH等がございます。けれども,純粋に民間というのはどれくらいあるんだろうかと。右側の企業は純粋に民間だと思いますけれども,今のところ全体で,官民の資金的な割合はどれくらいなんだろうかと。
私が少し気になったのは,9ページの先ほどのご説明で,アメリカはISSリソースに価格設定したと。14ページではまだやっていない,日本だけがやっているということで,これから始まるんだろうと思いますけれども,現在のJAXAの10分の1とあります。そうすると,日本の民間は非常に入りにくい金額を設定されていて,アメリカの民間は入るための障壁が非常に低い形で,民間の主体性といっても,実はアメリカは,それほど主体性はなくて,より政府補助を受けているという形なのかどうか。そこはどう認識したらよいのか。
そして,そのリソースというのは,13ページでは電力,クルータイムと書いてございます。そうすると,例えばメンテナンスといったISS自体の運用経費は入っておらず,そのときのクルータイムだけを考えてリソースと言っているのか。
一言で申しますと,今までのところアメリカの民間利用は大したことがないのではないかと。そういったことからも大変低く,政府補助が多く見えますけれども,そういう理解でよろしいのかどうか。
まずは,委員一人一人にお伺いして参ります。西島委員お願いいたします。

【西島委員】 2点あります。まず,細かいところで。4ページのJAXAの無償でJAXAと共有という成果の帰属について,成果というはたくさんありまして,一つは論文に対して言えば理解しやすいですが,この成果の共有というのが特許等の知的財産のことを取り上げて考えると,実際問題,この公募研究で無償でも,成果を知的財産化する実際のところは,JAXAの判断として,結果としては企業にやってもらっていることが実は多いのではないかと思います。というのは,はっきり申しまして,JAXAが特許を戦略的に出願するとか,その維持費を出すということは想定していないと思います。JAXAとしては知的財産化を考えるところは企業でやってほしいというのが本音でしょう。従って,成果のところのJAXAと共有という言葉は,広がり過ぎると誤解を招くのではないかと思います。知的財産に関しては,かなり企業の困惑を招くのではないかと思います。
それから,5ページのお金の大きさは今ここで言ってもしょうがないのですが,アメリカの最後の5ミリオンドルの研究資金供与のところ,これに相当するものが日本にもあると思うのですが,どこを見たらよいのか。相当するものがなければないで良いのですが。この2点です。

【藤崎主査】 回答は少しお待ちください。まとめてお答えいただきます。どうぞ米本先生。

【米本委員】 一つ質問があります。アメリカのリソースは,アメリカ政府あるいはアメリカの民間企業の割り当て分です。しかし資料には,Implementation Partnerに非アメリカのエアバスなどが入っています。日本企業がImplementation Partnerという形でアメリカと組んでISS National Lab.の枠組みで参加できるのでしょうか。

【藤崎主査】 続橋委員お願いします。

【続橋委員】 私の理解では,アメリカは現状で2.5%を民間に割り当て,料金は10分の1になるよう補助金で引き下げている。日本は民間が利用しているけれども,料金はその10倍である。アメリカはこれだけ優遇しているが,それでもあまり民間利用が進んでいないのか。それとも,割り当てが少なくて,例えば利用したくても企業が1年待ちになっているとか,半年待ちになっているとか,どんな状況なのかというのを教えていただきたいです。

【藤崎主査】 それでは,ここで一旦お答えいただきます。

【若田理事(JAXA)】 ありがとうございます。それでは,主査と委員からご質問いただいたことを,ご説明させていただきます。
藤崎主査からお話がありました米国の商業利用が全体の2.5%と,基本的には,リソース等も非常に少ないのではないかというのは,まさにそのとおりだと思います。日本の有償利用に関しまして,2008年に「きぼう」の実験棟が打ち上がったときから既に進めておりまして,そういう意味で時間的にも長くて,やはり現状先行しているところです。米国が10分の1の料金であるとか,そのパーセンテージが全体の2.5%というのは,まだ始めた段階で,今後拡大していくための助走という位置づけだと思っております。
それで,先生からも企業はどれくらい待っているのかというご質問がございましたけれども,このNational Lab.を活用して,クルータイムが結構米国はございますけれども,そのクルータイムを使い切れている状況になってございません。ですから,クルータイムを使って,米国はもっと利用ができてまいりますので,有償利用に関しましても,何か企業が待たないといけない状態にはなっていないと思います。そして,ISSにおいて米国による商業利用は拡大していく方向にあると思っております。
それから,西島先生からいただきました成果の帰属に関するところでございます。ご指摘いただきましたように,知財に関しまして,JAXAと共有ということが原則――共同研究の場にはなっておりますけれども,実質的には,企業に成果を活用していただくことになっているのは,現状もそうだと思います。そのあたりは,共同研究の協定の中できちんと定めております。当然,相手先の方に活用していただくというのは,大きな目的の一つでございますので,そこは協定の中できちんと規定しているものの,そういった活動を拡大していく必要はあると思っております。
続いて,5ページの,米国の研究資金供与(約5ミリオンドル)のところで,日本で今そこに相当するものがあるかということですけれども,5ページの図によりますと,各省庁等から金額不明と書いてございますが,基本的にはここのところに当たるものと思います。現時点でこの金額は不明ですけれども,科研費等といったものがこのNational Lab.からの5ミリオンドルに相当するところではないかと考えております。
米本先生からご質問いただきました8ページのISS National Lab.のImplementation Partnerにエアバス社があることについて,このAirbus DS Space Systems,Inc.が,米国でどのような投資をしているかを把握しておりませんけれども,基本的には,米国の企業が大半だと思いますが,米国の企業に限定するものではないと私は認識しております。

【米本委員】 日本企業で米国に法人を持てれば,ISS National Lab.のImplementation Partnerに入れるという理解で宜しいでしょうか。

【若田理事(JAXA)】 私もそう認識しております。

【藤崎主査】 今のご説明を承って,アメリカが,民間,民間と言っているものですから,一般のイメージとしては,アメリカが民間主導で,日本はそれほど取り組んでいる感じがしないので,イメージを――関係者の間では承知されているのかもしれませんけれども――むしろ,こちらのほうが進んでいるということを,もう少しアピールされたほうが良いと思います。
10分の1というのは,何とかもう少し,日本の民間が入りやすくなるよう,JAXAで取り組む余地はないだろうかと思います。こちらは,この場ではなかなか回答できないと思いますが,アメリカは宣伝上手で,民間,民間,我が国はそうではないイメージが一般にあるような気がしますけれども,そのあたりはいかがでございますか。

【若田理事(JAXA)】 当然,有償利用活動を拡大していくために,利用料についての見直しは必要だと思っております。基本の方針としましては,例えば,非研究開発分野では,満額を徴収させていただくとか,あるいは運用費の一部を非研究の分野では徴収させていただくのも一つの例です。逆に,研究開発に特化した有償利用の場合は,費用の軽減措置を適用するといった支援は必要ではないかと思い,検討させていただいております。
ただ,地球低軌道を経済活動の場として回っていくようにしていくためには,やはり政府からの資金援助と民間からの投資のバランスが重要だと思います。ですから,地球低軌道を経済活動の場にしていくための助走という観点からは,我々日本の取り組みの方が,より将来像に近い形で展開しています。なおかつ,そこで利用者がより利用しやすくなる方針を打ち出すために,先ほど申し上げましたような,有償利用料をケースバイケースで検討する方向で,利用拡大をさらに進めていきたいと思います。

【藤崎主査】 他の委員からございますでしょうか。なければ,牧島委員,倉本委員,古城委員,そして米本委員に再度ということでお願いいたします。

【牧島第一主査代理】 ユーザーに対する研究資金の提供という面では,やはり日本はすっきりしない部分があります。我々が宇宙で実験したいという時の資金源は,一つ目は科研費に代表される一般的な競争的資金,二つ目は例えば「きぼう」の利用などに特化した,JAXAからの資金,三つ目は他の省庁からの予算配分という,三つぐらいになるかと思います。アメリカの一本化された体系に比べ,日本の宇宙に対する資金供与は分散されており,総額もおそらくずっと少ないだろうと思います。
さらに科研費は研究振興局が扱うのに対し,JAXA関連の費用等は研究開発局の所轄で,この二つが全然混じり合いません。例えば,科研費に応募すると暗黙のうちに,これは研究開発局からの予算でやる実験だと見なされ,低く評価されてしまうことがありえます。縦割りが強過ぎて,使いにくく,やりにくい部分があるのです。その点アメリカでは,ISS National Lab.という一つの窓口に絞られていて,ユーザーとしてもやりやすいだろうと思います。

【藤崎主査】 この点はJAXAだけでなく,文科省からも何かご説明があるかもしれませんけれども,続いて倉本委員,古城委員,米本委員お願いします。

【倉本委員】 牧島先生と同意見です。
もう一つは,アメリカは現状としては,わりと政府の補助が大きいということですけれども,9ページ目に書かれている将来を見越した投資をしているとも読めると思っています。アメリカはどのぐらいのタイムスケールを想定して考えているのか,もしお答えできたらお願いします。

【藤崎主査】 古城先生。

【古城委員】 9ページのところで,アメリカの商業利用で民間宇宙飛行士を活用する話になっていますけれども,民間宇宙飛行士はどういう位置づけになるのか。民間でトレーニングして応募したら,もう採用するということなのか。民間宇宙飛行士の位置づけを教えてください。

【藤崎主査】 では米本委員。

【米本委員】 6ページの図は,国際宇宙ステーションのリソースの利用に関するものです。しかし,NASAは民間の宇宙船を委託利用していますので,輸送を含む全体として国際宇宙ステーションが商業化されるという見方をしておかないといけないと思います。言い換えれば,利用リソースの民間配分だけ見ると,アメリカの場合は比率として少ないということになりますが,輸送のための宇宙船はSpaceXのDragonを使うなど大半は民間委託です。したがいまして,国際宇宙ステーションの利用リソースの民間配分以外に民間の宇宙輸送の委託まで含めた全体で商業化が進んでいると理解したほうがいいのではないかと思います。

【藤崎主査】 他の委員の方々はよろしゅうございますか。中村委員。

【中村委員】 5ページの仕組みのところですけれども,JAXAの方は実験実施,インテグレーション支援という青い矢印があります
けれども,これはNASAというかアメリカの方ではどのような仕組みになっているのですか。

【藤崎主査】 ありがとうございました。金山委員お願いします。

【金山委員】 9ページの商業利用方針についてですが,これはまさにNASAが今後もサービス調達を積極的に利用していくという流れを示したものと思います。日本の取り組みとして,今後はサービス調達を本分野においても積極的に進めようとしているのかどうかを教えていただきたいと思います。

【藤崎主査】 それでは,若田理事お願いいたします。

【若田理事(JAXA)】 まず,牧島委員のコメントですが,こちらは予算の配分のところでございますので。

【藤崎主査】 それではこちらは後で事務局から。

【若田理事(JAXA)】 9ページでございます。米国がどのぐらいの将来を見据えて考えているのかというタイムスケールのお話で
ございますけれども,実際に,フリーフライヤーの構築やそのための技術開発や資金が既に投入され始めているところでございます。基本的には,各国のISSの延長議論が高まっている中で,2030年ぐらいが,米国の考えているタイムスケール,ポストISSの時間軸と認識しております。その段階,ISSの寿命が技術的にも終わるところで,フリーフライヤーといった,その後を見据えていると認識しております。
それから,古城先生からいただきました9ページの民間宇宙飛行士の位置づけについては,民間が自主的に選抜をし,採用して,SpaceXやBoeingといった民間の宇宙船でISSに行き活動します。ISSに新しく取り付ける民間のモジュールを開発しているAxiomといった会社がございますけれども,そういった民間のモジュールで活動するとして,民間が主体となって選抜から運用までをしていくとしています。では,そういった民間宇宙飛行士が「きぼう」に入ってくるとき,我々としても安全が重要ですので,どういう活動になるのか,また,宇宙飛行士として認定するときの医学基準はどうなるのか,安全・医学,そういった全体に関しましては,国際パートナーの一員として,JAXAもきちんと議論に参加しているという状況でございます。
それから,米本委員からございました5ページのところです。利用リソースの分ですと米国は少ないということではございましたけれども,先ほども述べました通り,2018年度ですと,米国の利用リソースの資金はは318ミリオンドルですけれども,運用でも1,173ミリオンドル,それから,SpaceXなどの輸送に関しては,2,400ミリオンドル以上の予算が投入されております。本日ご説明させていただいたところは,利用スキームについてではございましたけれども,米本先生がおっしゃるように,全体的な商業化が米国で進んでいるのは事実だと思います。
それから,5ページをご覧いただきますと,日本のJAXAの実験実施,インテグレーション支援と青い矢印で書いてあるところに相当する米国の活動は,実験装置・サービス提供企業が担っているという状況になっております。
それから,金山委員からございましたサービス調達に関しまして,米国での動向を踏まえまして,当然,こういった形での事業推進は重要だと考えておりますので,我々もサービス調達をきちんと進めてまいりたいと考えています。

【藤崎主査】 ありがとうございました。あとは科研費,研究開発費の関係について,藤吉課長お願いいたします。

【藤吉課長】 科研費について,確かに局が違うということはございますが,科研費の審査はピア・レビューのため,研究開発局や研究振興局が口を出すことはできません。少なくとも我々としては,そのようなことを言える立場ではございません。

【牧島第一主査代理】 ただ,一般的に科研費の審査員の心情としては,「これは宇宙のほうから大きな予算で出ているはずで,何で科研費に応募するのか」と思いがちです。そのため科研費に応募しなければいけない理由を書くのに,いつも苦労します。つまり目に見えない壁があるわけで,そこの仕組みがもう少し改善されることを望みます。

【藤崎主査】 では,そういう問題があるということをご認識していただいて,ご検討いただくということで。
それでは若田理事からのご説明の次にISSを含む地球低軌道活動の在り方に関する産業界の現状についてということで,SpaceBD株式会社の永崎将利社長にご出席いただきました。では,永崎さんよろしくお願いいたします。

【永崎氏(SpaceBD)】 ありがとうございます。SpaceBD代表の永崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
我々は会社を始めて2年4ヶ月になるベンチャー企業で純粋に民間の株主で成り立っている会社でございます。現在我々の事業の7割から8割が国際宇宙ステーションを利用した事業となっております。つまりは,我々の本業そのものとして,経営の威信をかけた舞台が国際宇宙ステーションです。コミットメントを持った企業が現場で実際に何が起きていて,何を可能性と感じていて,何を課題と感じているのか,極力可能な範囲で生々しい話を差し上げるのが今日の私の貢献かと思っております。
まず,初めての方もたくさんおられますので,簡単に私どもの現状,業務を紹介させていただきまして,本題であります可能性と課題に入ってまいりたいと思います。
1ページをめくっていただきまして,私どもの会社概要です。これは私自身の起業家,ビジネスパーソンとしての夢であります日本発で世界を代表する産業をつくる,それを自分の生涯をかけてやりたいといった思いを込めてつくった会社になります。SpaceBDのBDというのは,Business Developmentというところから来ておりまして,事業開発をやっていこうと。したがいまして,今,多くあるベンチャー企業の中でも特色があるとすれば,ものづくりをしている会社ではないということです。我々はエンジニアリングチームがあるわけですけれども,利用に特化した会社といったところが特徴であります。
資本金は今5.6億円あります。これは株主からの投資です。それから,メガバンクも含めた融資も今まで2.2億円受けています。トータル7.8億円の資金調達をしております。
我々ものづくりをしていない会社が,なぜその規模の資金調達をしなければならないのか,これがおそらく今日のご議論の縮図のような話ではなかろうかと思います。つまり,利用事業でしっかりと利益が出ているのであれば,こういった資金調達をせずに売り上げとそこからの利益で物事が回っていく。だけど,その状況がまだないという中での立ち位置が我々の今の状況でございます。
もう1ページめくっていただきまして,我々が何者かという話を差し上げるときに,わかりやすく「宇宙商社」であると,宇宙における総合商社をやりたいという話をしております。これは日本において商社というのは――かつて私自身が実は新卒で三井物産に11年お世話になって,鉄鋼業で育てていただきました。こちらでは幅広く,20代では鉄板の貿易,こてこての商社・仲介業,それから,その後は鉄鉱石の資源投資事業と両極端のことをやらせていただきました。
その中で,一つ,日本型の産業発展の経緯においては,技術開発と伴走していく事業開発屋さんが必要であろう,といった思想をもとにつくった会社になります。ただ,もとの商社の焼き増しをしたいわけではなく,やはり進化したいわけで,そういった中で,宇宙産業の黎明期においては,商社という業態でありながら,しっかり技術のわかる会社にしたいということで,これまでの商社に,プラス技術力というものを大事に掲げている会社でございます。
もう1ページめくっていただきまして3ページ目です。現在の主力事業としましては,JAXAさんが2018年の5月以降,進められております民間開放といった形で公募で選定された事業者として,国際宇宙ステーションからの人工衛星の放出事業,それから,曝露部試験装置の利用権を我々がいただいておりまして,我々の事業としましてはこれをお金を払って利用したい大学であったり,ベンチャーであったり,これを国内外で売り上げを立ててきて,マーケットから売り上げを立ててきて,その使用料をJAXAさんにお支払いするといったモデルでございます。
次にめくっていただきまして,我々はどういったマーケットに今いるのかという話が4ページ目の話です。ご案内のとおりですけれども,衛星の小型化が進んでいて,超小型衛星と言われたCube Satから150キログラム,あるいは100キログラムといった小さなところの打ち上げたい人が伸びていると。このグラフですね。
5ページ目に行っていただきますとそういった小型衛星の人たちが宇宙空間に行く手段というのは大きく三つしかないと。一つは主衛星と一緒に大型ロケットで相乗りをしてともに行くというパターン。それから我々が今やらせていただいている国際宇宙ステーションに1回荷物として運んでそこから軌道に投入するというパターン,それから小型ロケットで,これは日本でも幾つかのプロジェクトが立ち上がっておりますが,商業化するにはもう少し時間がかかるかもしれない。そういった中でこの三つの選択肢をとれるわけです。
私どもとしましては,国際宇宙ステーションの利用というのが,今軸であると申し上げましたけれども,打ち上げサービスのマーケットにおいては,やはり網羅的に様々な選択肢をオファーできる状態をつくらなければなりません。そういった中で6ページ目をごらんいただきたいんですが,ロケットの相乗りをJAXAさんが主衛星としてJAXA衛星を乗せるときの相乗り枠の利用権といったものを公募でまた選定いただきましたので,これによって7ページ目に繰り返しの図が出ているんですけれども,我々が大きなステップであったのはSpaceBDに頼むと,世の中の超小型衛星の人たちは国際宇宙ステーションからしか出せないんでしょうということではなくて,大型ロケットの相乗りという形でまた違う軌道・高度に上げられると,こういったメニューを持てたという意味では大きな進展だったというのが去年の12月のお話でございます。
8ページ目に行っていただきまして,これは我々としましては,国内外のお客様を集めておりまして,これまで20件の受注があります。ざっくり半々ぐらいですね。商談としては当然ながら海外のお客様のほうが増えていくという見通しを持っております。
9ページ目に行きまして,一つ,毛色の違う事業ではあるんですが,これはこれで私としては地球低軌道を活用した事業ではないかと思っているのですけれども,宇宙飛行士の訓練・評価を活用した教育事業。これは一般向けに,みんながみんな宇宙飛行士になるわけでは当然ないわけですけれども,人類の一つの象徴たるリーダーシップの在り方であろうと考えまして,これを一般教育に使えないかと。これをJAXAさんと一緒にJ-SPARCという枠組を使わせていただいて一緒にやっております。これは言ってみましたら,宇宙にある無形資産を他の既存産業で使っていく,といったアプローチをとっておりまして,我々としては宇宙における総合商社をやろうと思っておりますので,地上における総合商社というのは,当然ながら自動車もやれば,鉄鋼もやれば,教育もやれば,食糧もやればということでやっているわけですが,我々としては宇宙という切り口であれば,宇宙を物理的に舞台にするものもあれば,宇宙の有形/無形資産を,地上の他の産業に使っていく,こういったものもしっかりとやっていきたいといったところの一つのあらわれであります。こちらも今東京の海城中学高等学校さん,伝統校の男子校なんですけれども,こちらで去年の夏から導入が始まっておりまして,今年の4月からはしっかりと売り上げを立てていける目途が立っているような状態であります。
ここからが本題の話です。10ページです。我々はISSを中心にと言いましたけれども,広く地球低軌道と捉えていただいて文脈は全く変わらないのですけれども,こちらに対して我々は何を可能性と感じ,何を難しさと感じているかという話をさせていただきます。まず前提となる我々の姿勢なんですが,打ち上げサービス事業の一手段としてISSを利用しているということではなくて,あるいは一部,オールジャパンの中の営業代行をしているという存在ではなくて,やはり,ISS・地球低軌道の商業化という大きな日本にとってのテーマの,政府でありJAXAさんのパートナーでありたいと願って事業をしているということを前提でお伝えいたします。
2点目なんですけれども,私が2年4カ月,外の,ある程度成熟した産業にいた人間が宇宙産業に参りますと,面白いなと思うのは本当に答えがないと。そもそも民需が成り立っていない。産業と呼べるのかといった中で,誰も儲かっていないと。というような状況の中で,答えがないんだという腹くくりがまず前提にないと,何も物事が進まないといったところにあります。したがいまして,意志決定――これは(腹くくり)とあえて書かせていただきました。それから,時間,これはスピード感,実践ですね,実践が全てだと思っています。これをいかに早く回していくかといったところでまだまだ私のビジネスパーソンとしての夢である日本のもう一度,世界で戦える,世界を興していける産業にするんだという1点で私は事業をやっておりますので,この観点で我々は進んでおりますし,産業全体としてそういったものが必要なのではないか。あるいはそういったタイミングだからこそベンチャー企業の活躍する余地があるんじゃなかろうかということを考えながら日々過ごしております。
では,ISSに話を戻しまして,3点目のポイントですけれども,今どんなアプローチをとっているかという話です。現状は我々としましては,テストベッド,宇宙空間で実証実験をやりたいというところがお客さんになっているわけです。具体的には,ベンチャー企業であったり,あるいは大学であったり,大企業のR&Dといったところがお客さんになっておりまして,これは国内外で構図は変わりません。今後,利用を拡大するためにどういったアプローチを今とっているかという話なんですが,一つは,これは定性的に意味があるんじゃないかと思っているんですけれども,丸1宇宙新興国向けの「宇宙へのアクセスは日本から」といったパッケージを,我々民間でありながらとっているのは一つあります。これはアジアであったり,中南米であったり,やはり宇宙へのアクセスを持ちたい。これは様々な文脈であるわけで。一方では,科学技術の象徴であるといったところから,一つの国威発揚といったところもありますし,そういった中で,宇宙へのアクセスを安く早く持ちたいといったところに,それをお金になるかどうかはさておき,日本のおかげで宇宙へのアクセスを持ったというアプローチをとるということは定性つまりは将来の定量にとってインパクトがあるのではなかろうかと思ってマーケティングをやっているところです。
2点目は,今月探査といったところにアメリカ中心に政府のお金がつきましたから,それに連動する形で民間のお金が入ってくる。そのお金を,どう間接的に低軌道で取り込んでいくかといった文脈だと思っています。これは月探査に行く,いきなり月で実証するとなると,1桁どころか2桁,3桁違うお金がかかるわけですから,まずは宇宙空間であれば,実証できるものがあるでしょうといったところで船内,船外の組み合わせをした実証パッケージといったものをしっかり押していかなければならないと思っております。
同じページの4点目のお話になります。こちらは事業の自立化というのは,官民共通のゴールと優先度を高く置いていただきたいなと思っております。そういった中で,我々がJAXAさんからいただいているISSの2事業というのは一つの試金石になるんじゃなかろうかと。私自身が当事者としてここにおりますので,何か自分の立場として,口はばったくなるようなことを今日は一切躊躇せずにお話ししたいなと思っています。私どものISSの2事業が,しっかりとサスティナブルに利用拡大し,かつ利益を生む事業にならないと次はないと思って,我々も覚悟を持ってやっております。
こういった中で,先ほど若田理事からお話がありましたUS National Lab.とか,NASAの関係者から,昨年私のところにかなりの問合せがありました。何かと言いますと,お前は本当にJAXAから売り上げを立てているのではなくて,マーケットで売り上げを立てて,かつJAXAに支払っているのかと。これは,アメリカとは逆なわけです。そういった中で,本当はこの永崎という人間が,本当は何も考えていないのか,実は裏で何か腹があるんじゃなかろうかという話をされたわけなんですけれども。やはりサスティナブルであるというのが,私の中で歯を食いしばって掲げたい旗なんです。私もアメリカ型でやってください,JAXAさんにしっかりと売り上げをくださいということを働きかける,いわゆるアンカーテナンシーが全てだと言うことを言うほうが,私にとっては短期的には楽なわけですけれども。ではこれが本当にサスティナブルなのか。サスティナブルというのは,しっかりマーケットから売り上げを立ててきて,使った分は返すというのが当たり前の話であります。ただ,その程度問題といったところを,できればご配慮いただきたいといったところであります。
そんな中で,アメリカはどうしているのかといいますと,例えばSpaceX,これも業界の関係者は皆が知っております。これは徹底的にNASAが買い支えをしましたし,その技術力といったところにも徹底的に支援をし,国が育てたような会社だと思っております。また,我々の競合であり,一部パートナーでもありますNanoRacksというステーション利用の会社がアメリカにございますが,こちらの使用料はゼロでしっかりとNASAからの売り上げで買い支えて,将来,立ち上がった暁には,しっかりと民間に回してくれと。まだその過程ではなかろうかと思っています。
そういった中で,我々は言ってみればUS National Lab.がやっているようなことを,手弁当でやっているというような感覚を先方は持ったそうで,そのお金はどこから来ているのかと。我々は冒頭申し上げましたように,メガバンクも含めた4社,独立系ベンチャーキャピタル,あるいは紳士服の青木の青木会長,それからメガバンク系2社の投資を,5.6億いただいておりまして,そういう意味では我々が実は最大の投資家なのかもしれないと言っても言い過ぎではないかもしれません。
そういった中で,例えば自動車産業であれば,トヨタさんもホンダさんも日産さんもみんなが成り立って競争原理というものが働いているわけですけれども,まだそんな次元ではない,といった中では,やはり公平性の担保というのはしっかりと公募というところでやっていけばいいと思っているんですけれども,ある程度立ち上がったところでしっかりと集中支援をするというのは,決して今の段階において,おかしな話ではなかろうと思います。それからマーケットの刺激策といったところも,我々民だけではなくて,やはり官民一体となってやっていくことが大事ではなかろうかと思っているわけです。
11ページに行っていただきますと,こちらは文科省さんから論点の説明がありましたので,あまり触れませんけれども,やはりISSの在り姿といったところであれば,誰がお金を払うのかといったところの徹底的な検証が必要であろうと思っております。これがなければ最終的にどのぐらいの民間投資が出てくるかわからない。このオプション設定のためにはこれが大事だと。
2点目は,これは誰がやるかというと,いわゆる調査会社的なものではなくて,コミットメントのある事業者としてやっていく必要があるだろうと思っております。
最後のページになりますと,全体として商業化といったものがいろいろ既存のJAXAさんがやっていた科学技術という文脈においてやってきたソフト,ハードの仕組みの上に,ビジネスというのが乗っかるとどうしても矛盾というものが生まれるでしょうから,そこの優先順位の明確化と徹底というものができるのであればやったほうがいいでしょうということ。それから,商業化という文脈においては,官民コンフリクトというのは避けるべきだと思っておりまして,具体的な話でありますと,我々としては民間として,商業利用を進める一方で,政府施策として無償の打ち上げ制度みたいなのがあって,これは一部コンフリクトを生んでいるところがあると。
最後はその商業化といったところを一つあるべき論で議論する,それぞれの立場を越えて議論する枠組みがやはり必要じゃなかろうかと思っております。ISSの話であれば,輸送・利用・運用というのは一体でしょうし,そういった中で,日本としてどうあるべきかという話をする上で,誰かが音頭をとって,あるべき論で議論する場というのが必要でしょうし,そういった民間の中から我々としては汗をかいて事務局であろうと貢献させていただきたいなと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。

【藤崎主査】 包括的な説明をありがとうございました。皆様方の質疑はありますでしょうか。
1点だけ私からは,ご説明を承っていると,やはり現時点では相当JAXAさんとの関係が中心であると。そうしますと,今会社では,JAXAからの売り上げ利益は何%ぐらいで,3か年,5か年では,純民間のシェアを半分ぐらいに持っていくとか,どのような感じで見ておられるのかを少し教えていただきたいと思います。
お答えいただく前に,西島先生お願いします。

【西島委員】 なかなか聞けない話をありがとうございます。
今日のお話とは少し違うかもしれないですが,3ページのところです。2018年の段階で人工衛星放出,その次は2019年で曝露部試験設備と順番に進んでいったのは,ご自身の立場で判断したのか,それともJAXAから提示があったのか。差しさわりがなければ。
それともう一つは,未事業化という最後の微小重力環境の部分まで持ってくるつもりなのか,ここは全くご興味がないのか。
もう一つは,宇宙ステーションの2025年以降について,ご自身でこういうことを進める,宇宙ステーションの将来はこうなってほしい,低軌道についてはこういう使い方があってほしいというようなもしご希望があったら答えられる範囲でお願いします。

【藤崎主査】 少し待ってください。他の委員の方々ございますか。
それでは,永崎さんお願いいたします。

【永崎氏(SpaceBD)】 ご質問ありがとうございます。
まず,1点目の主査からの話ですが,3ページ目のJAXAさんからの売り上げというのは,今時点でゼロですし,今後もゼロだと思っています。これは我々としては利用権をいただいているという形でして,マーケットは,例えばベンチャー企業のような人工衛星を上げたい人たちからお金をいただきます。こちらが売り上げです。そして,使った分だけ使用料をJAXAさんにお支払いする形になっておりますので,今時点でも売り上げは純粋にマーケットでございます。これが1点目で,アメリカ型と全く真逆だと申し上げたところです。

【藤崎主査】 この図がわかりにくいのかもしれません。JAXAからSpaceBDに向かって矢印が引かれているので,JAXAから発注があるのかと。

【永崎氏(SpaceBD)】 よく使っている図ですので,ご指摘ありがとうございます。
西島先生のご質問は3点です。同じ3ページですが,曝露部試験装置が2019年3月となっていますのはJAXAさんの施策でございました。第2弾の公募に我々が手を挙げて選定いただいた形です。
それから,2点目のご質問で,同じ3ページの,未事業化となっている船内微小重量環境に対しても,我々は興味がございます。ただ,上二つの人工衛星放出と曝露部試験装置のように,マーケットがささやかながらでもあるのか,あるいは微小重力に本当にお金を払う人がいるのかというところが,正直申し上げまして見通しが立たないところがあります。ここを潰さなければならないというのが私の最後の提言とも関連します。
おそらくJAXAさんとしても,ある程度マーケットがあれば民間事業者を同じように選定し,その人たちが売り上げを立てて使用料を払うというスキームでできるところだと思います。我々としても,そこに自信があれば行けるのですけれども,本当にマーケットがあるかというところの調査が,一つ大きな焦点かと思います。
最後の3点目のご質問で,2025年以降の在り方として,我々民間としましては,やはりプラットフォームは官として続けていただいて,その利用のところでどう勝負するか,ビジネスをするかと思っています。
例えば,高速道路もそうかもしれませんし,様々なインフラ・産業があると思いますが,そのインフラまで民間で全部運営できるのかというと,これは現実的にはかなり厳しいのではなかろうかと。そういった中で,運用――運用といっても利用に近いところ等もあるわけですけれども,プラットフォームとしての「きぼう」は続けていただき,その上で,利用料を払う形で我々がビジネスをさせていただくという二階建ての構造をやはり持続していただきたいと思っております。

【西島委員】 現時点で20件の国内外の受注というのは,今のところ,この20件は人工衛星だけですか。

【永崎氏(SpaceBD)】 人工衛星が18件,曝露部試験装置が2件です。ただ,これらのお客さんの属性は一緒です。実証実験をやりたい人,例えば来るべき宇宙産業のために新しいセンサーを開発するため宇宙実証をしたいといった場合,人工衛星で実証するか,あるいは国際宇宙ステーションそのものを人工衛星と見立ててその外にアタッチするか,このような場合を見ても明らかなようにマーケットは同じです。

【西島委員】 大変わかりやすいお答え,ありがとうございます。

【藤崎主査】 議論を先取りするつもりはございませんが,今の永崎さんのお話を伺いますと,低軌道のISSについて,将来にわたっても運用主体は国にあって,それに対して利用主体が民間であるような形が,一番スムーズであるということでございますね。

【永崎氏(SpaceBD)】 はい。

【藤崎主査】 わかりました。どうもありがとうございました。
他に特にございませんか。それでは,議題2 国際宇宙探査やISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について,こちらは倉田さんからお願いします。

【倉田室長】 もしよろしければ,議題2に移る前に,もう一度,資料33-1-1に戻りまして,総合的なご議論をいただいてからということでもよろしいでしょうか。

【藤崎主査】 どうぞ。

【倉田室長】 それでは,冒頭でご説明しました,資料33-1-1の7ページ目でございますが,先ほどのJAXAさんからの米国の取り組み,あるいはJAXAさんから事業を移管されたSpaceBDさんからのお話を踏まえまして,将来のあるべき姿,あるいは喫緊に行うべき取り組みとして,このような民間事業者による利用の展開を今後どのように進めていくべきなのか,そのような点について,もしよろしければご議論をいただければと思います。

【藤崎主査】 何か補足はございませんか。

<文部科学省倉田室長より資料33-1-1に基づき補足説明>

【藤崎主査】 皆様方のご議論に際して,私から1点だけ。
今の永崎さんのご議論は,資料33-1-1ですと,2番目の論点の2つ目です。こちらについては,プラットフォームシステム自体の運用については官がやり,その運用・利用の主体は民間がやることがスムーズなのではないかというご議論があったところでございますが,今の書き方ですと,JAXAから技術や体制の移行を含むとなっており,根幹のものが移動していくように読めます。けれども,そこのところはもう少し――今永崎さんのお話しをお聞きしたからではないですけれども――ここまで今踏み込めるかどうかは,議論になるところではないかと思います。
皆様方から様々な点を含めて,今の点だけではなく,論点が4つございますので,それらについてご議論いただければと思います。
西島委員,米本委員,牧島代理。他の方々はございませんでしょうか。
ないようでございましたら,西島先生からお願いします。

【西島委員】 根幹に関わる部分ですが,これを使う企業からすれば,契約の一本化を考えるといったことは民間で行って,契約期限など民-民としての取り組みを。ただし,その最初の部分の運用については,JAXAという高いレベルで安心が保たれているということが,かなり大きいのではないかと。
前回も言いましたけれども,地上で使っているSPring-8や富岳なんかは本当にそういったしっかりと国で支えているものに対する窓口機能を一本化してやる部分,そもそもそこが論点のときに,揺らぐような大きく変わるというのは,使う側からすると特に宇宙ではこれについては安心・安全については崩してはいけないんじゃないかという個人的な感想を持っています。

【藤崎主査】 米本委員お願いします。

【米本委員】 前回の小委員会には参加できませんでしたので,詳しい論点がどう展開されたのかわからないまま,質問したいと思います。
資料の7ページ目で大事なのは,ISSの2025年以降の計画案において,我が国としてどのようなビジョンを持って,国がつくったインフラを民間が使えるような方策を展開していくかということにあります。
SpaceBDさんのお話にあったように,民間は独自で大きなインフラをつくることができませんので,それに便乗してビジネス展開を行うというのは,商業活動として妥当な考えです。一方で,国としての有効利用も勿論考えていくべきではないかと思います。
その中で,1つめの論点「地球低軌道活動の長期的展望,将来像・将来シナリオ」の3つ目,「中国やインドが独自の有人宇宙活動を展開する中,日本はどういう国であるべきか」は,日本が進むべき道を考える上で,非常に大事な観点だと思います。中国は独自の宇宙船やステーションも所有していて,ヨーロッパと組もうとしています。今後の展開によっては,商業化を目指してくるかもしれません。またインドも,有人宇宙飛行に取り組むことを決定しました。こうしたアジアでの動きの中で,国際宇宙ステーションの民間利用が開始される2025年以降に,日本がどのようなビジョンを以て取り組むべきかがとても大事ではないかと思います。
資料の8ページについて,JAXAによる研究開発は,やはりISSを商業化した以降でも積極的にやるべきだと思います。しかし,「宇宙飛行士の医学・健康管理に関する研究」を行うにしても,日本は宇宙飛行士をどのような手段で国際宇宙ステーションに運ぶのでしょうか。民間企業のSpaceXに委託するのでしょうか。今までどおりロシアにソユーズに相乗りをお願いするのでしょうか。こうした視点での議論が,本小委員会で毎回の様に発言しておりますが,この資料の中で欠落しています。以上です。

【藤崎主査】 牧島先生。

【牧島委員】 7ページの論点の中で,少し抜けている部分があります。
宇宙は非常に息の長い分野なので,一度その分野の人材が途絶えてしまうと,企業にしろ大学にしろ,再び活動を立ち上げるのに5年も10年も要してしまいます。したがって宇宙に特化した技術をきちんと学んだ人材が,継続的に育っていくことが,宇宙の将来にとって非常に大事なことです。
その意味で,,ISSを含む地球低軌道活動は,将来に向けた宇宙関係の人材の継続的な育成にとって非常に大事な現場であり,それを効率よく行うことも大事な論点になると思います。これは研究の現場,大型の宇宙産業,宇宙ベンチャー,またJAXAの将来の人材確保など,,すべてに通じることなので,ぜひ含めていただきたい。

【藤崎主査】 他にございますか。
なければただいまの議論を踏まえまして,論点についてもう一回見直していただきたいと思います。何か論点について文科省あるいはJAXAから何かございますか。

【倉田室長(事務局)】 本日いただいたご意見を踏まえまして,こちらの資料を修正させていただきます。後日メールも含めて,先生方に引き続きご意見をいただければと思っております。
また,もう一度,産業界からの意見を聴収する場も含めて,もう一度ご議論いただく場も設けさせていただきたいと思ってございますが,そのことも含めてメールでご案内いたします。

【藤崎主査】 おおよその予定をご説明いただけますか。

【倉田室長(事務局)】 次回は2月6日に開催したいと考えてございます。
本日いただいた意見を踏まえまして,資料を修正させていただき,できれば来週には皆様にメールでご相談できるようにさせていただきたいと存じます。
その上で,現在ご議論いただいているオプション整理は,もともと宇宙基本計画の工程表で求められていることでございますので,検討状況を内閣府にも報告していくというような形で進めさせていただければと思います。

【藤崎主査】 報告のタイミングは大体どのくらいになりますか。

【倉田室長(事務局)】 できれば2月の中下旬には報告できるようにしていきたいと思っております。1ケ月弱となりますため,メール等でやり取りさせていただく機会が出てくるかと存じますが,よろしくお願いいたします。

<続いて文部科学省倉田室長より資料33-2に基づき説明>

【藤崎主査】 何か今の点についてご意見,ご質問はございますか。
ないようでございましたら,今日の議事はこれで終了させていただきたいと思います。何かほかにご質問などございましたら。

【若田理事(JAXA)】 1点だけ,お手元に用意させていただいておりますが,「きぼう」利用シンポジウムというものを,2月13日と14日に日本橋で予定しております。
政策面,科学技術面,それから産業振興といった面で議論を深め,民間利用や学術も含めて「きぼう」利用の価値,展望を議論させていただく機会でございますので,ご都合のつく方がいらっしゃいましたら参加いただければと思っております。
以上でございます。

【藤崎主査】 ありがとうございました。以上で会議を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

( 了)

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