令和7年7月15日(火曜日) 14時00分~16時00分
文部科学省 15F特別会議室またはオンライン
臨時委員 中須賀 真一【主査】
臨時委員 高橋 忠幸【主査代理】
専門委員 石井 由梨佳
専門委員 榎本 麗美
専門委員 金子 新
専門委員 佐藤 智典
専門委員 関 華奈子
臨時委員 高鳥 登志郎
専門委員 竹森 祐樹
臨時委員 永山 悦子
専門委員 若田 光一
研究開発局長 坂本 修一
宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当) 迫田 健吉
研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当)付 課長補佐 川端 正憲
前・研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当) 原田 大地
(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事 松浦 真弓
理事補佐 川崎 一義
有人宇宙技術部門事業推進部 部長 小川 志保
有人宇宙技術部門宇宙環境利用推進センター センター長 白川 正輝
国際宇宙探査センター センター長 山中 浩二
国際宇宙探査センター宇宙探査システム技術ユニット ユニット長 田邊 宏太
調査国際部国際課 課長 菊地 耕一
有人宇宙技術部門事業推進部 参与 松本 邦裕
有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ 落合 美佳
有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ 宮崎 和宏
調査国際部調査分析課 主任 大橋 正芳
有人宇宙技術部門国際宇宙ステーション プログラムマネージャ 永井 直樹
(アカデミア)
東京大学大学院工学系研究科 教授 宮本 英昭
【川端補佐】 本日はお集まりいただきましてありがとうございます。事務局の文部科学省研究開発局研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当)付の川端でございます。
定刻になりましたので、ただ今より国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第71回会合を開催します。
まず、定足数13名のうち、会場のご出席は6名、オンラインでのご出席は5名の計11名のご出席があり、過半数の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。また、本日の会議は16時までの2時間を予定しておりますところ、よろしくお願いいたします。
また、事務局の人事異動がございましたので、ご紹介します。7月15日付で研究開発局長が異動となりまして、新たに坂本局長が着任しております。坂本局長から一言ごあいさつを申し上げます。なお、坂本局長は、他の業務との関係で15時ごろに退室となりますところ、あらかじめお知らせいたします。よろしくお願いいたします。
【坂本局長】 研究開発局長を拝命しました坂本です。今日、皆さまの貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。
私は、国際宇宙ステーションについては、2005年に宇宙利用推進室長をしておりましたけれども、それは野口宇宙飛行士がReturn to Flightということで、コロンビア号の事故の後、最初にスペースシャトルが打ち上がった、その時のフライトを担当いたしました。はっきり言って、非常に厳しい状況、スペースシャトルの減便ということで、「きぼう」がどうなるかというところが相当大きな課題になったわけでございますが、結果的にはNASAの理解を得て3回きちんと打ち上がって「きぼう」が運用に入ったということでございます。
政治的な動きの中で、当時、私も文部科学審議官とともにアメリカの議会、共和党、民主党、両方参りまして、その対策、日本の貢献についてしっかりとアメリカも受け止めて日米協力を計画どおりに進めてほしいということを申し入れに行ったという経験をさせていただきました。大変私にとっては勉強になったところであります。
今、アメリカはまた非常に厳しい状況にございます。これは、宇宙ステーションだけでなくて、他の大型の国際協力の枠組みもそうですけれども、そういったものをいかに、これまでの日米協力、あるいはヨーロッパ等も含めた多国間の協力の枠組みしっかりと維持しながら日本の国益も守っていくかというところを皆さまのご指導をいただきながら、ぜひしっかりと取り組んでいきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
【川端補佐】 坂本局長、どうもありがとうございます。また、宇宙利用・国際宇宙探査担当の研究開発戦略官が異動となりまして、新たに迫田戦略官が着任しております。迫田戦略官から、一言ごあいさつをお願いいたします。
【迫田戦略官】 このたび、原田戦略官の後任で宇宙利用・国際宇宙探査担当の研究開発戦略官を拝命をいたしました迫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私、8年ぐらい前に宇宙戦略事務局のほうにおりまして、当時、宇宙産業ビジョンやJAXAさんの第4期中長期計画とか策定したこと、記憶にかなり残っておりまして、当時は宇宙ベンチャーは確か10社ぐらいしかなかったのですが、今は100社以上あるということで、かなり隔世の感を感じておりますけれども、なるべくキャッチアップしまして、しっかりと政策を推進できる、リードできる立場に精進してまいりますので、どうぞご指導、よろしくお願いいたします。
【川端補佐】 迫田戦略官、どうもありがとうございます。
【中須賀主査】 すみません、主査の中須賀でございます。1つお願いがあって、ここで一言言わせていただきたいと思いますが、本日付で宇宙利用・国際宇宙探査ご担当の研究開発の戦略官、原田さんが異動になったということでございますけれども、これまでの地球低軌道活動の議論もありますので、本日、第71回の小委員会に限っては、引き続き原田前戦略官にご説明、ご対応いただけるということでお願いできないでしょうか。
【原田前戦略官】 はい、承知いたしました。
【中須賀主査】 原田さん、よろしいですかね。よろしくお願いいたします。
【川端補佐】 中須賀主査、どうもありがとうございます。
次に、資料の確認をさせていただきます。議事次第をご参照の上、必要資料に不足などございましたら、事務局までお申しつけください。
また、本日、文科省会議室でご出席の委員の皆さまには、iPadをお手元にご用意しております。ご発言に当たっては、オンライン出席の中須賀主査に分かるよう、まずiPadで挙手ボタンを押していただければと思います。設備の関係上、お手元にマイクの用意がありませんので、ご発言の際には職員がマイクをお渡しいたします。なお、本日は全議題公開での実施でYouTubeの配信をしております。
以上でございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それでは、すみません、今日はオンラインで失礼いたします。早速、議題1に入りたいと思います。
本小委員会では、昨年7月、宇宙開発利用部会にて取りまとめた報告書、月面探査における当面の取り組みと進め方についての最新状況等のフォローアップを行っております。前回の6月26日の第70回の会合では、JAXAさんより火星/小天体・プラネタリーディフェンスに関する取り組みのご紹介がございました。その中で、宇宙資源利用に関する事例として、東京大学大学院工学系研究科の宮本教授が研究代表者を務める宇宙戦略基金のSX研究開発拠点、月面開発のための宇宙資源開発拠点が挙げられました。今回は、それを受けまして宮本教授より、宇宙資源利用の最新動向についてご説明いただければというふうに思います。それじゃあ宮本先生、10分ぐらいでお願いできればと思います。
【宮本教授】 どうもありがとうございます。本日は、このような場に呼んでくださいまして誠にありがとうございます。うれしくなって資料をたくさん持ってきてしまったのですけれども、時間が限られていると思いますので、飛ばし飛ばしですが、ご説明させていただければと思います。まず、最初のページからお話しさせていただきます。
<宮本教授より資料71-1-1に基づき説明>
【中須賀主査】 宮本先生、ありがとうございました。それでは、皆さんからご意見、ご質問ありましたら、よろしくお願いいたします。
榎本さん、どうぞ。
【榎本委員】 はい。ありがとうございます。ご説明、ありがとうございます。お話しくださったように、資源利用は日本の強みが生かせるのではないかと強く共感しました。
一方で、資料の最後のページですけれども、科学と産業を橋渡しする科学的知見のハブが必要という点についてです。この領域は長期的であるべき姿というものを考えていくべき領域だなと思うのですけれども、先生のおっしゃる経済圏の構築を目指していくというためには、科学だけではなくて、産業、経済、社会性といったものの要素、知見を統合して、先生の書いてくださっているこのCLASSのような包括的にシステムをデザインするようなハブが必要なのではないかなというふうに思いました。
コメントです。以上です。
【宮本教授】 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。僕はそれが非常に重要なのではないか。科学探査をどうせ進めるのであれば、その科学探査で得られた知見をすぐに産業界と共有する、こういう仕組みがあるといいはずで、それのためにも何らかこういった機能を持っている場所があるとよいのではないかと考えた次第でございます。
【榎本委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。他いかがでしょうか。
佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 佐藤でございます。ご説明、ありがとうございました。私、経団連から参加している委員として、先生にお伺いしたいというふうに思います。
小惑星におけます資源利用、特にサイエンス目的ではなくて産業利用という観点におきまして、経済界として本当にそういうことを産業としてやろうとすると、先ほども少し言及されてましたけれども、国際法としてどのような制度があり、あるいはその中でどういうふうに制約なり、あるいは権利があるのかっていうのが大変重要なことかと思うのですけれども、現在において、例えば小惑星において資源を採掘し、利用するという、しかもそれを産業として経済活動としてやるっていうことにおいて、国際法としての整備は今どういう状況にあって、既に産業として利用できる状態にあるのか、あるいは今後まだ国際法としての整備をさらに進めていく必要があるのか、その辺りの状況を教えていただけますでしょうか。
【宮本教授】 どうもありがとうございます。これは非常に重要なところでございまして、国際法のほうは宇宙法のほうで、皆さんご存じのとおりなのですけれども、宇宙の活動自体は基本的にはある国が独占してはならないと。一方で、しかし打ち上げた宇宙機は、その打ち上げた場所などに応じて、ある程度の個人、もしくは組織の所有は認められている。こういう条件にあるということと、それから月協定もそうですし、国際的にそういった活動をどのように整理するか、これは議論を進めているところでございます。
一方で、国内法的な宇宙資源法、これはアメリカもそうですし、日本も、ルクセンブルクも成立している。ただ、これで本当にどこからも文句が出ないのかというと、わが国としての進め方とすると、やはり国際合意を取っていくほうがよいという方向が正しいと考えられるのですけれども、ここから先がまた少し込み入っているところかなと思いまして、直接的にある企業の利益のために何でもやっていいですということを公に認める人は誰もいない。しかし、小惑星の場合は、地球防衛も含めて、科学と、それからディフェンス等が非常に強く関連しているところになります。われわれが恐らく人類として使うである天体は、ディフェンスの意味でも、ある意味地球に近く来る天体のほうが便利に決まっておりますので、その意味ではディフェンスの要素と非常に関連する。かつ、そこから採ったもので、これを科学に使えます、もしくは防衛に使えます、こういう場合は各国からの協力も非常に得られやすいというところがありますので、恐らく最初の頃のカスタマーとしては、そういった国際機関であったりとか、または国家の宇宙機関が科学目的ですということを明言した上で、そこに何らかの物質を提供すると。これを安く提供するために、こういう方策を取っているっていうような形の説明があり得るのではないかというふうに考えているところでございます。
【佐藤委員】 ご説明、ありがとうございました。よく分かりました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。
【宮本教授】 関連して知財もあるかと思いますが、それも、知財のほうは、やはり基本的には打ち上げた国が所有物であると考えると、その打ち上げ国の知財が一つ分かりやすい尺度であると考えております。
補足でございました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。石井委員、お願いします。
【石井委員】 石井です。本日は貴重なご説明をいただきまして、ありがとうございました。2つ質問と、1つコメントを申し上げたいと思います。
1つ目の質問ですけれども、まず月における探査において、特に地下の浅い部分、30センチぐらいまでのところであれば争奪戦になるという可能性についてお話しいただいたのですけれども、実際にこの月資源を開発していくに当たって、現在ではアメリカが主導するグループと、それから中国が主導するグループと分かれていると思うのですけれども、アメリカ陣営と中国陣営含めて、国際的に協力して広域の水資源の、あるいはその他の月資源も含めた資源の開発をやっていくというシナリオはどうなのでしょうかということが1つ目の質問です。
もう一つは、小惑星についてもお話しいただきましたが、今日お話しいただいたのは、基本的には、はやぶさのように天体に行って、そこから資源を少量持ち帰るというお話だったと理解しました。例えば天体を丸ごと持ってくるっていうのは考えにくいのかもしれませんけれども、より大量に資源を開発する方法というのは、どのぐらい開発されているのでしょうかというのがもう一つの質問です。
最後に、コメントなのですけれども、私、国際法を専攻しておりまして、やはりこの資源の開発に関しての国際法、規則というのは非常に大事かと理解しています。先生にご説明いただいたとおりなのですが、恐らく着目するべきなのは、今、国連の宇宙空間平和利用委員会のところで宇宙資源活動に関する初期推奨原則の策定に向けた議論が行われておりまして、恐らく2027年の総会で決議を採択するべく活動しているというふうに伺っています。
書いてあることは、基本的には既存の国際法枠組みによってやるということですけれども、その中でも協力を重視するであるとか、あるいは環境の持続可能性を重視して開発するべきといったことがうたわれておりまして、こういったところで日本が積極的に発言していくことは非常に大事かと考えます。
以上です。
【宮本教授】 ありがとうございます。大変貴重なコメントと重要なご質問をどうもありがとうございます。
最初の月に関連するご質問に関連いたしましては、もちろん、ある意味アメリカと中国の協力ですら、非常に分かりやすいゴールなのかなって将来的には思います。今はもちろん競争をしている部分があるわけですけれども、それぞれが国際的なアライアンスをつくって開発を行う。一方で、やはり非常に過酷な環境で、一方で人類にとっては絶対便利な揺るがない場所であるということを考えると、どこかの段階で協力をしながら進めるっていうのは非常に分かりやすい。もちろん、海難法のように、何かトラブルが起きた時にはお互いが助けに行く、これは必ず実施すると思いますけど、もっとそれ以上に、この部分はこの国にやってもらったほうがよい、通信はこの国にやってもらえるとよい、インフラのこの部分はこの国にやってもらったほうがいい、これは次第に分かってくるものではないかというふうに私は考えております。現場レベルで、中国、もしくはアメリカの研究者と話している限りでは、ナイーブかもしれないですけれども、そういう未来があるのではないのかなというふうに感じます。
その意味でいいますと、わが国できちんと振り落とされることなく、月開発に関連して今も政治的にはいろいろあるとはいえ、しかし日本ほどきちんとゲートウェイも含めてちゃんと準備をしている国というのはなかなかないということは世界も見ていると思いますので、そういった将来の国際協調で進める時代において活躍するためにも、このまま今の活動を進めていくことが重要なのではないかというふうに考えました。
それから、小惑星の巨大な資源獲得の話でございますけれども、一番最後のページにもちょっと書いてあるのですけれども、この手の話はアメリカは非常に上手で、これはぜひ日本でもやったらいいのではないかなと思うのですけれども。NIACっていうNASA Innovative Advanced Conceptsという先端的な概念研究みたいな予算がございまして、それでこの右上のほうの「なんでもあり」って書いているやつ、ここにそういったすごく先駆的な検討の結果がございます。これは全部、予算を獲得して進めているやつで、この左上のRAMAっていうやつは、小惑星の中で小惑星自体を自分自身が動くための装置すら作って、そのままその小惑星ごとどこか違う軌道に持っていくというコンセプトスタディのものでした。これはフェーズ2には行けなかったものですけれども、こういった形の非常に、ちょっと前まではSFのような話、こういうものを本当に検討するということをアメリカでやっていて、これは日本でも現場レベルでは、宇宙研の優れた研究者の人たちなどと、私たちもそうですけれども、研究者レベルではこれに似たような検討をしてみて、ああだこうだと言っている部分はあるのですけれども、アメリカの場合は、さらにそれに対して予算を付けて、これをやるとしたらこの機械を実証的に作ってみるということをやっています。ですので、この下のSBIRに進んでいるものの幾つかは、実は大規模に小惑星上で資源を採るというものの実証実験をやっている、そういった状況でございます。
以上です。
【石井委員】 貴重なご説明いただきまして、ありがとうございました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。この後、竹森委員、若田委員、それから関委員というような順番で行きたいと思います。竹森委員、お願いします。
【竹森委員】 説明、ありがとうございました。完全に素人なのでとんちんかんかもしれないですけれども、月や火星にフォーカスが充てられている中で、こういう小惑星のサンプルリターンのこの意義をまさに教えていただいたのが非常にわくわくするというか、ありがたいというか、楽しかったなと思います。
合理性のみ考えた資源ビジネスの将来でいくと、小惑星が有望だと書かれておられるのですけど、地球重力との戦いを回避できるとか、この辺りは分かるのですけど、もう少し合理性のみを考えた場合の小惑星の有望性っていうのを教えていただきたいというのと、もう一つ、どうしてもアカデミーから産業にしたい。私、銀行員なのですけど、産業にしていきたいと思う中で、この小惑星の資源ビジネス、これをアカデミーからさらに一歩進めていく中で、日本としてもう少し具体的に産業界でできそうなことっていうのは何かイメージあれば、教えていただければと思います。
【宮本教授】 どうもありがとうございます。この合理的なというのをずっと書いているのは、科学的合理性だけで考えたら、僕は間違いなく小惑星が便利で、何しろ使えるものもあり、使い方すら想像がついて、しかも非常に軽く安く行ける。ですので、一番合理的なのは、僕の思うには、地球から何か小惑星に行けるものを打ち上げておいて、それが小惑星Aに行って、例えば推進剤みたいなものを抽出してきて、それを持って小天体Bに行く、もしくは地球周辺に行く、他の活動をそこで得たもので補給していく、これは私が思うには、それほど大きな技術的ジャンプなく、すぐに進められることなのではないかと思いますので、しかもこれがまたスケーラブルである。すごく小さな実証実験、実証ミッションをやれと言われたら、すぐにでも似たようなことができるのではないかと思いますし、それからそれを使ってもっと大きなものにしましょうとなりましたら、時間はかかるのですけれども、しかしそれを大きくやることも絶対可能である。
ところが、合理的じゃない部分が何かといいますと、文句は付けやすい。ですので、制度的なところでこういったことは、国が国策として進める時は、アメリカは上手にやっていて、アルテミスのアライアンスのような形で進める、これが非常にうまくできるわけですけれども、ある一国の一民間企業がよいアイデアでもって進めますといった時に、これをいかにして守っていくかという部分が非常にチャレンジングになるだろうというふうに考えております。
【竹森委員】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 竹森さん、大丈夫ですか。次は若田委員、お願いします。
【若田委員】 勉強不足で質問させていただきたいのですが、国際的な議論の場のビジビリティが最後の2ページ目にありますけれども、これが具体的にどういう場なのかということが質問です。先ほど石井委員からも国際法的な整備の重要性で、COPUOS、国連等が中心になるのかなと思いますが、やはり日本が特に小惑星の探査に関しては世界のリーダーであることも含めて、国際的な議論の場で、今後の経済活動まで含め、先ほど宮本先生がおっしゃられたような、通信は誰がやる、インフラは誰がやるといったところも含め、日本がイニシアチブを取って国際的に議論できるような場みたいなものがあるのか。さらに、日本がイニシアチブを取って、そういった場をつくっていくような動きもあるのでしょうかという質問です。
【宮本教授】 ありがとうございます。若田先生らしい非常に鋭いところで、かつ重要なところでございます。国際的な議論の場、例えば国連ももちろんですし、先ほど石井先生にご説明いただいたとおり、制度設計のところでもあるのですけれども、一方で例えばプラネタリープロテクションの話、これは別の科学の組織で議論をしている。この宇宙に関連する活動を、文句をつけようと思うと、いろいろなところでつけられてしまうというのがあると思います。いざとなったら、じゃあ国際周波数調整で邪魔をしてしまって、それで何々をこれをやろうっていう、この周波数にこれこれをぶつけてしまおうみたいな、そういう小さなところからもっと非常に大きな、これは宇宙法違反であると声高に主張するということがあり得るかもしれない。
ですので、実はこの一番最初のページにあります私たちSX拠点というのを立てた理由の一つが実はこちらでございまして。僕は、Colorado School of Mines、要するに宇宙資源に関連する国際的な活動っていうと、School of Minesか、ルクセンブルクのSpace Resources Weekか、もしくはアデレード大学のSpace Resource Fundamentals、こういったようなところになるのですけれども、それぞれいつも招待してもらって話をしているたびに、ここで出てくる、同じような話をいつも繰り返ししていまして、それで何とも言えない感情論みたいなものも含めて何か空気がある。これを見ていると、日本人、こういうところにたくさんいて、いつもワーワー言っていかなくちゃいけない。
ですので、確かにSXのところでは国際宇宙資源模擬裁判にも学生を投入しよう。それから、そういうところで戦える人々を人材育成として、法学部の先生とか経済学部の先生とかのご協力を得ながら、文科系の強い意見が言える立派な人たちに協力してもらって、そういうことをやれる学生も育て、かつ理科系の理学、工学の人たちもそういった議論を、嫌なのですけれども、嫌だと言っていたら進まないので、きちんと理解して進める。こういう体制を日本で作っておかないと、これは負けてしまうなと思ったのがあって、この拠点を作ったというところがございます。
【若田委員】 ありがとうございます。
【宮本教授】 私たちだけではなくて、それの重要性を理解して、慶應大学の青木先生とかも含めて、これまで努力してくださった先生方は何人もおられて、そういう危機感は割と共有している先生たちが東大以外にもちろん、特に慶應大学、学習院大学など含めて、アメリカの法律事務所にもそういうことを考えておられる方々がおられるのですけれども、そういう意味では共有している部分はあるかなと思います。
【中須賀主査】 若田さん、よろしいですかね。
【若田委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それじゃあ、あと時間がないのでお二人だけ、順番で関委員、それから金子委員という順番でお願いしましょう。関さん、よろしくお願いします。
【関委員】 ご説明、ありがとうございました。私からは簡単な質問を1点だけさせてください。7ページ目の月に関して、誘電率測定までの既に決まっているミッションに関しては、どちらかというと水資源の探索が主だと思いますが、一方で、たとえ見つかったとしても、実際の水の含有率のウェイト%は低い可能性が高いと思います。その場合に、日本の企業や、日本の大学でもいいのですけれども、見つかった水資源を活用する技術については、日本は国際的にはどういう位置付けかを教えてください。
【宮本教授】 ありがとうございます。それは非常に重要なところでございまして、高砂熱学さんとかアイスペースさんの活動のおかげで、幾つかのところが水を活用するということを検討しています。それで、そこの例えば水展開技術とか、それからピュリフィケーションの栗田工業の水循環する技術とかは非常に進んでいる。じゃあどこと比べるというかというと、これはまた一番最後のページでございまして、ここにSBIRですとか宇宙資源に関連するさまざまな検討。この左のテーブルのところの丸、三角とか書いてあるのですけれども、この月資源に関連する丸が付いている予算で、これもかなりのもので、こういった資源の検討するというのはアメリカで進めています。必ずしも全てが学会とかで話をしてくれないので、全部を私が理解しているわけではないのですけれども、漏れ聞くところ、もしくは学会で出てきているところを見ると、日本はそれなりに負けていない、それが一つと。
それから、関先生おっしゃられたとおり、水があったとしても、使えるほどには濃集してない可能性、これは十分にございます。じゃあそうすると、今の月に向けた検討は意味がないのかというと、そんなことはなくて、それは今度そのまま小惑星、これは水があるのは間違いないので、その小惑星での抽出にそのまま使えます。先週も実は、アメリカの商業宇宙小惑星開発会社の社長とかが私たちのところに来てたのですけれども、彼らは一番われわれの活動で、SXの活動で興味を持ったのが月での水抽出で、それはそのまま小惑星に使える。そういうつもりでNASAのいろいろな予算でも作っているけれども、また違う形で考えているものというのは非常に競争力が生まれてよいねというのが彼らのコメントだったのですが、それがそのまま先生のコメント、ご質問への答えかなというふうに思います。
【関委員】 ありがとうございます。日本では、予算の付き方という意味では、そこにそんなに手厚いわけではないので、そういう部分がSX拠点が進むことで発展していくことを期待しています。
以上です。ありがとうございます。
【宮本教授】 ありがとうございました。そのとおりでございます。それで高砂熱学とか、あれなのですよね。自社持ち出しでやっておられて、そういう熱い企業が結構あるというふうに考えますので、それに支援できるといいなと思いました。すみません。
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、最後ですけれども、現場ではいらっしゃらないですかね。最後、じゃあ金子委員、お願いいたします。
【金子委員】 大変貴重なご講演、ありがとうございました。100万個以上の小惑星が資源として非常に有望だっていうお話ですけれども、100万個もありますと、小惑星のヘテロジェネティ、それぞれ資源の内容により優先度が非常に限られた予算の中で推進するには大事だと思うのですけど、その辺りはどういうふうな感じでしょうか、教えてください。
【宮本教授】 重要なことをありがとうございます。これはスキップしたのですけど、何百万個もあって、いちいち全部に行けない。じゃあ一体この天体が何でできているのかをどうやって知るのかというと、これははやぶさのおかげで、要は小惑星っていうのは隕石だと。じゃあ隕石を見ればいい。隕石保有数は日本は世界で1番だったのですよ。今、2番なのですけれども。南極探検隊、頑張って持ってきたので。氷の上に石があったら、隕石だって分かる。その隕石の研究が、しかも日本は火山がたくさんある。火山岩岩石学というのが進んでいまして、それをアプライするので非常に世界的競争力が強い研究者がたくさんいるんですよ。
なので、隕石はこういうものだ、こういうふうにできている、こういうものが含まれている、これをものすごい知見を日本の科学者は持っているのですね。この隕石と、この小惑星と対応するはずだというのは、これは隕石のスペクトルと、それから望遠鏡などで見るスペクトルと照らし合わせると、かなりうまく対比できる。はやぶさの時に、たぶんこのタイプだろうなと持っていったらそうだった。はやぶさ2で、たぶんこうだろうなと思ったら、やっぱりそうだったというところから、かなり行く前から、この天体にはこういうものがあるということが予想できるのではないかというふうに考えているところです。
【金子委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。大変活発にご議論いただきまして、ありがとうございました。お時間の関係で、ここで終わりにしたいと思います。宮本先生、どうもありがとうございました。
【宮本教授】 これで失礼いたします。
【中須賀主査】 よろしいですかね。それじゃあ、ここから議題2に入りたいと思います。6月13日、26日の本小委員会から引き続きまして、わが国の地球低軌道活動の充実強化に向けた取り組みについて、この議題で議論していきたいと思います。
まずは、ポストISSの地球低軌道活動に向けたJAXAの取り組みについて、JAXA、松浦理事と小川部長よりご説明をお願いいたします。
【JAXA松浦理事】 ありがとうございます。今、ご紹介ありましたとおり、過去のこの小委員会で文科省さんから提示のあった、「わが国の低軌道活動の在り方について」を受けて、JAXAの取組がいかなるものかという話を、前回、70回のこの小委員会でさせていただきました。前回、私、他の会議の都合がどうしても合わなくて、この場にいられなくて申し訳なかったです。
その場の説明に対して、幾つか質問をいただいておりまして、その場で回答もしてはおりますけれども、この地球低軌道の取組、今後のポストISSにおける日本がこの低軌道の活動を続ける上で大事な取組だと思っておりますので、いただいた質問に対する補強の説明を今日改めてさせていただこうかと思います。
前回の説明を、小川部長からしている流れもありますので、今日も引き続き小川部長から質問の回答へ補足をさせていただこうと思います。よろしくお願いします。
<JAXA小川部長より資料71-2-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、ご質問、それからご意見ありましたら、よろしくお願いいたします。
永山委員、どうぞ。
【永山委員】 ご説明、ありがとうございました。最後に小川さんがおっしゃっていた部分がとても重要だと感じていて、1点目と2点目の補足項目についてなんですけれども、基本は研究者の皆さんの自由な発想により、その2点の方式が共存する利点の2番目のところですよね。自由な発想でいろいろな研究をしていただく、それが成果を生んでいくっていうのが理想だと思います。
そこで今回、わざわざこのJAXAラボというものをつくるというところの意義というところで、やはり何をやるのか、それをやる人材がいるのか、その人材がいた場合に、それをやっていくための体制をどのようにしていくのか、まさに本当に最後に小川さんがおっしゃっていたところにはなると思うのですけれども、いろいろ予算の問題ですとか人員の問題あると思いますが、そういったきちんと体制のめどですとか、あと研究の意義ですね。それぞれこれまでも公募研究で、日本の国内の研究者の皆さんの得意分野ですとか、お感じになる分野っていうのは見えていると思うのですけれども、その中でなぜJAXAがやらなければいけないのか、そういったところをぜひ明確化した上で動かしていただきたいなと思いました。
これは前回も質問させていただいたところですけれども、やはり体制というところが、JAXAの場合、こういった宇宙部、有人宇宙研究ですとか、宇宙医学研究ですとか、そういったところで非常に課題になっていたところだとは思いますので、その辺り、きちんと今回はスタートラインのところから道筋をつくっていく形で検討を進めていただきたいなと思いました。
以上です。コメントです。
【JAXA小川部長】 ありがとうございます。体制、人員、どういった方々がしっかりと研究ができるかというのについてが、一番重要だと思っておりますので、その点はしっかり探索しながら、できるところをしっかりとやる、できないところはやらないということも含めて調整していきたいと思います。ありがとうございます。
【永山委員】 すみません、1点だけ。できないところをやらないって、最初から消極的にされるのではなくて、やらなきゃいけないところがあるのだったら、それはできるような体制をつくるっていうところも、是非ご検討いただければと思います。
以上です。
【JAXA小川部長】 先生、ありがとうございます。ネガティブな言葉になってしまって申し訳ありません。承知しました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。榎本委員、どうぞ。
【榎本委員】 お話、ありがとうございます。資料5ページ目の、このイメージという部分なのですけれども、一番下のところに、JAXAのハブ機能に加え、宇宙環境利用への関心喚起、潜在利用者の育成などを担うJAXA外における橋渡し人材の育成も重要というふうに書かれているところなのですが、利用を広げるためには、この人材育成、非常に重要なのではないかなというふうに私も感じました。これは、まず質問なのですが、JAXA内の人材を育成するイメージなのか、外部の人材を育成するイメージなのか、教えていただきたいというところと、あと、これはコメントなのですが、スピード感がすごく重要だと思いますので、外部のスキルフィットする人材を活用するというのも一案なのかなというふうに思いました。
一方で、人材育成ってすごく時間がかかるというふうに思いますので、同時にISSの利用に関心を持つ民間企業に対しての初期段階でリテラシーを高めていけば、スムーズに参入できると思いますので、研修育成プログラムというものを作って提供するというのも有効なんじゃないかなというふうに思いました。
以上です。お願いします。
【JAXA小川部長】 ありがとうございます。人材というのは確かにそのとおりでございまして、JAXA、これまで「きぼう」利用を始めて20年以上、利用を推進するインテグレーターという機能については、かなりわれわれはエンジニアリングも含めて人材は揃ってはいると思うのですけど、それをJAXAがやり過ぎると外に広がっていかない。なので、ここ最近では、民間企業さま、手を挙げてくださった方々に、われわれのノウハウを展開して広げていくっていう活動をしております。ただ、それも一朝一夕ではできないので、5年、10年レンジでやっていかなければいけないという中で、JAXAの利用を逆に広げていただくインテグレーターが外にもいらっしゃるという形を考えております。JAXAだけでなく外の人たちの力を借りたいので、外での人材が育成されることで活動が広がっていけばよいというのが答えとなります。
【榎本委員】 ありがとうございます。
【原田前戦略官】 すみません、文科省から補足をさせていただきます。
委員のご指摘のとおりでして、JAXAの中についても当然、今回、ラボ・ハブ機能においてはかなりの基盤強化、例えばこの人的基盤も強化しなきゃいけないと思っています。ただJAXA内だけでなく、外にユーザーを広げていかなきゃいけない、産業化を広げていかなきゃいけない、さらにサイエンスユーズを広げていかなきゃいけないという意味では、そういった部分でのインターフェースとなる人も必要になってくるので、文科省自身もさまざまな施策、ツールがございますので、そういったものも活用しながらそういうところも検討させていただきたいと思っています。
また、先ほどの永山委員からのご指摘に関連しますけれども、研究支援人材というのは非常に重要だと思っています。それは社会との橋渡しのみならず、研究の適正性とか、そういったものも含めまして、しっかりした人的基盤を、JAXAもいろいろ仕事が増えて、なかなか人のところが追い付いてない部分があり、本日の小委員会のご議論を踏まえながら、そういった面でも議論を頂戴できればと思っております。
【榎本委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。関委員、お願いいたします。
【関委員】 ご説明、ありがとうございます。2040年代に向けてどういう形で発展させていきたいかとかも示していただいて、前回よりもすごく分かりやすくなりました。ただ、まだ具体的な部分が次回以降ということで、なぜ新規にラボ機能が必要なのかが、いまひとつイメージがしにくい部分があるので、次回以降に期待しつつご質問します。
3ページのところで国として実施すべきと考えられる有望なテーマと記載されている部分、ある程度宇宙に慣れた研究者であれば公募研究に応募しやすいと思うのですけれど、それに加えて非宇宙の研究者が、宇宙でこんな環境があればできるんじゃないかというよいアイディアで参画しやすくする、ハードルを下げるような機能もラボ機能に追加できると、必要性がより分かりやすくなるのではと思ったのですが、その辺りはスコープに入っていますでしょうか。
【JAXA小川部長】 ありがとうございます。ラボの機能というのは、成果を創出するということが1番の目的にあるので、その意味の中では非宇宙の方の研究アイデアが非常に良いものであれば、入ってこられると思うのですけれども、これは私の考えになってしまいますが、非宇宙の方々が入りやすくなるためには、ハブの機能のほうで一緒に連携してやっていくことでハードルを下げて参加しやすくするほうがよいのではないかと思ってます。ただ、今、社会実装をメインに出しているとこがあるので、今、先生がおっしゃった非宇宙の方々が入りやすくする仕組みをどこに置けるかっていうのは、今後しっかりと考えたいと思います。ありがとうございます。
【関委員】 ありがとうございます。どちらに置いてもいいと思うのですけれど、いまひとつラボ機能を新規でっていうことは、リソースも新たに確保しなきゃいけないという、必要性はいろんな観点から主張できるといいのかなと思ったので、ご検討ください。
以上です。
【JAXA小川部長】 承知いたしました。ありがとうございました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。あと5件ありますので、この5件で終わりにしたいと思います。高鳥委員からお願いします。
【高鳥委員】 ご説明、どうもありがとうございました。JAXAラボをつくる、でも公募研究も並行してやるということでお示しいただいたのですが、この公募研究とJAXAラボが行う研究っていうのが、融合するというか、共同でやるというか、そういったところっていうのがあり得ることなのかっていうことと、JAXAラボの設計というか機能をどのようにするかということはこれからの検討だと思うのですけれども、いろんな今までの成果を基に、それを拡充するような研究もあるし、さらに新たなテーマを見つけて、それを研究に取り込むっていうこともあると思うのですが、あまり多様な研究っていうのをやれるような規模というか、そういったものをたぶんつくるのっていうのは難しいのではないかな、と感じています。JAXAラボが持つ機能というかコア技術というのをある程度特定して、それを整備した上で、いろんなテーマについては、それを得意とする外部の研究者と共同してやっていくというような、すなわち外部連携、共同研究っていうのを中心とした形で、要するにJAXAラボには外部の研究者のファシリティーにはないようなものを整備して、宇宙の低軌道の研究ができるような形で整備していくのがいいのかなと私としては思ったということがコメントです。
【JAXA小川部長】 ご意見、ありがとうございます。
【中須賀主査】 よろしいでしょうか。それじゃあ若田委員、お願いします。
【若田委員】 ハブ機能、ラボ機能については、よく分かりやすくご説明いただいて、ありがとうございました。
2件、質問があります。まとめのページですが、科学利用に関して公募とJAXAラボ機能があるということで、共存といった形ですが、この割合みたいなものはお考えになっていらっしゃるのかが1つ目です。
それから、まとめの1つ目のところの4つのブレットの一番下のところにある利用需要の拡大という観点から、このスコープについて確認したいのですが、ポストISS、JAXA低軌道ラボ機能ということですかね、低軌道ハブ機能とか。低軌道という表現がありますが、これは微小重力環境利用全体に対するものでしょうか。それとも、基本的にはCLDの日本モジュールですとか、今のISSに限定されたものか、そういうスコープであるかという点です。
というのは、微小重力環境の利用の産業利用の展開という観点からは、NASAを見ても、ヨーロッパを見ても、当然、地球低軌道のアセットもありますが、同時にパラボラフライトですとか、NASAが最初は始めたけど、民間企業が航空機を運用することで微小重力環境を提供しているとか、落下等であったり、今後、フリーフライヤーだとか、いろんなものがあると思いますが、そういったものも含めたスコープなのか、それとも「きぼう」のような拠点に特化したものがスコープとなるのかという、以上2つの質問です。
【JAXA小川部長】 1つ目の質問の規模感ですね。まだ決まってないと。初めはラボよりは公募の方が多いのかなと思うのですけど、できればバランスよくやりたいっていうところが基本的な考えです。なので、まだどちらが多くてどちらが少ないかっていうのは決めてはおりません。それはどういう領域を、先ほど関先生、高鳥先生とか領域の話があったと思うのですが、JAXAだからできること、提案者ならできることというのは領域により違ってくると思うので、その領域の設定の仕方によって決まると思います。
それから、基本はわれわれとしては、日本モジュールなりCLD、軌道上の拠点を使って成果を出すということを目指しています。ただし、その過程で実証するのにパラボリックや、そういったものが必要であるとすれば、そこは必要性に応じて判断されると思っていますが、成果を出すために、地球低軌道の活性化というのがもう一つの大きな目的にありますので、その点では最終目的は低軌道拠点になります。それが日本モジュールなのか、CLD全般になるかっていうのは決めてはいないです。
【若田委員】 分かりました。ありがとうございます。特にパラボラフライト、この過去30年のISS計画に参加した国見ていても、ヨーロッパなんかも最初はなかったですけど、パラボラフライトをかなり民間でうまく運用しているところがあると思いますので、最初からスコープの中に可能であるオプションを提示してあげるのは大切なのかな、産業利用の促進という観点からですね、と思いました。ありがとうございます。
それとあと、公募とラボ、JAXAラボ機能の割合みたいなものっていうのは。
【JAXA小川部長】 決めてはいない、バランスよくやりたいということになります。
【若田委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。あと、お三方です。金子委員、お願いします。
【金子委員】 ご説明、ありがとうございました。5ページ目の図ですけれども、非常に分かりやすくまとめていただいて、理解が深まりました。
科学技術の商業利用、産業化っていう観点で、両方をカバーするような構想の絵だと思うのですけれども、確認させていただきたいのは、ラボ機能っていうところは、基本的にはウエットラボをすごくイメージしやすくて、ハブ機能っていうのは、どちらかというとアドミニストレーション、プロモーション、それからマネジメント機能とかを持ったようなところが民間を自立的にやっていくために助けるっていうようなイメージを持っています。共同研究っていう言葉が結構頻繁にハブ機能の中に出てくるのですけれども、これは独立して何かしらハブ機能の中に民間との共同研究をやるための、いわゆるウエット的なものを設定される感じなのか、それとも、私なんかは、たぶんラボ機能がウエット機能を持つものであるのであれば、そこの中に民間の需要にもかないそうな、先ほど別の委員もおっしゃった下支えするようなコアなところですよね。例えば自動化であったり、クルーの安全を確保するために、私は生命科学領域ですけど、その封じ込めの手段であったりっていったような、そういう基盤的なものを入れてしまえば、わざわざハブ機能の中にウエットみたいなものは置かなくてもいいのかなっていうふうに感じた次第です。この辺って何か決まっているようなことはありますでしょうか。
【JAXA小川部長】 その意味では、ハブのほうについては、われわれも有人部門としては担当してなかったこともあるので、今、別の部署が探査ハブの業務をやっておりますけど、そこの情報を聞きながら、どういう機能が低軌道に活用できるというのを考えていこうとしているところであるので、まだ具体的にはどこかに決めたというものではないです。
ただ、今の探査ハブで行っている研究、私の理解ではウエットな研究開発もしていて、JAXAと民間企業なり大学の先生方と実証のような部分の研究開発をしっかりと両方ともウエットの共同研究をやってらっしゃるのですね。むしろ、その共同研究ができる体制がない限り難しいということもあるようなのですが、ではそれを全部われわれのほうで、この低軌道ハブの機能でやろうとするのは、人員やお金の問題も出てくる、今申したようにウエットじゃないやり方、助言ですとか、そういった形で基本的に民間なり相手側が主になるというようなやり方もあるのではないかと思っていて、JAXAラボをにらみながらやろうとしたときに、低軌道のやり方として、どれが一番いいかはまだ決めかねています。すみません、あんまりきれいな回答になってなくて申し訳ありません。
【金子委員】 ありがとうございます。
【原田前戦略官】 すみません、文科省から少し補足をさせていただきます。次の私からの説明に関して、若干先取りになるのですけれども、基本的にいわゆるラボ機能、ハブ機能っていうのは、まず概念的に整理させていただいていて、その包含関係は、小川部長から申し上げたとおり、規模感とか課題、そういった時にやることのアクティビティーの内容に応じてオーバーラップさせる部分もあれば独立させるなど、どちらかがより効果的、効率的かという観点で順次設計をさせていただくことになるのかとは思っております。
【中須賀主査】 よろしいでしょうか。じゃあ高橋委員、どうぞ。
【高橋主査代理】 説明、ありがとうございました。私も体制のところで、まだイメージが描きにくいのですけれども、このJAXAラボっていうのは、国際的なトップレベルの研究を行うような拠点というようなイメージでよろしいですか。
【JAXA小川部長】 はい、そうなりたいと思いますが。
【高橋主査代理】 そうすると、やはり強力なリーダーシップを持った研究者がいて、そのリーダーシップの下で拠点をつくっていくっていうようなことなので、とてもよいことだと思うのですけれども、相当チャレンジングなことでもあると思うので。でも、日本にはいろいろと、そういうトップレベル拠点の制度もあるので、そういうのに比するようなものになっていっていただけるといいなと思いました。ありがとうございます。
【JAXA小川部長】 応援と同時に、今、厳しいご指摘だと思って、トップクラスのリーダーシップをどうやって取るか、その人たちをどうやってJAXAの中につくってこれるか、そこが一番大事で、やはり研究課題の設定の仕方と人選の仕方が一番コアだと思っています。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それじゃあ、これで最後です。竹森委員、お願いいたします。
【竹森委員】 意見なのですけれども、本件に関しては心から応援したいですし、ぜひと思いますけれども、活動の本件、JAXA機能の体制強化に対するご議論ということではあるのですけど、本件に限らないのですけど、やはりちょっと不安があって、宇宙分野、やりたいこと、やるべきことがどんどん増えていく中で機能強化というのも非常に分かるのですけど、であるならば逆に組織論なのですが、今までやっていてやめること、これはやめようということも必要で、どうしてもビルドビルドビルドに聞こえるんですよね。スクラップビルドで、人間がやっていることであるわけですから限界もあって、今までやってきたけど、これはこれをやるためにやめようっていう、そういう概念も必要だと思うのですね。なので、意見なのですけれども、私もいろんなJAXAの方とお付き合いしている中で、どんどん仕事が増えていって、それはそれで非常に素晴らしいことなのですけど、これはやめようと、これは違うのではないかっていうことも議論して決めていくべきかなというふうに思います。意見です、すみません。
【中須賀主査】 いかがでしょう。よろしいですか。
【原田前戦略官】 文科省です。もちろん、竹森委員の意見も参考にしながら、当然、いわゆる民営化っていうところも含めて、将来の運用が一定程度効率化されることを前提とて全体として効率化されるよう、そして真に今後いろいろやらなければいけないこと、月探査等もございますので、そういったものを見据えながらと考えているところでございます。
【中須賀主査】 よろしいでしょうか。私も全く竹森委員と同意見です。ぜひ、スクラップ・アンド・ビルドを考えていっていただければと思います。
ありがとうございました。それでは、今の議題はこれで終わりにしたいと思います。
続いて、JAXAの今のご発表であるとか、これまでの小委の議論を踏まえて、ポストISS時代を見据えたわが国の地球低軌道活動の在り方の議論に入りたいと思います。
前回、われわれの小委員会で議論いただいた骨子を踏まえた報告案について、事務局より説明、よろしくお願いいたします。
<原田前戦略官より資料71-2-2に基づき説明>
【中須賀主査】 どうもありがとうございました。ここから皆さんのご意見、ご質問を受け止めたいと思いますけど、その前に本日ご欠席の永井委員からのコメントが来ておりますので机上配布しております。概要について、事務局より説明をお願いいたします。
【川端補佐】 はい。では、お手元の資料をご覧ください。傍聴の方には申し訳ございませんが、当該資料につきましては、後日、文科省のウェブサイトに公開いたしますので、そちらをご覧いただければと存じます。
永井委員からは、現行のISSにおいて「きぼう」という独自の活動拠点を有していたからこそ生まれた意義がある中で、これをどのようにポストISS時代に受け継いでいくのか。日本の民間事業者が現行ISSの「きぼう」に代わる日本独自の低軌道活動拠点を建設・運用することを目指していくのか否かとのコメントをいただいております。
以上です。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それでは、皆さんのほうからご意見、ご質問ありましたら、よろしくお願いいたします。
永山委員、どうぞ。
【永山委員】 ご説明、ありがとうございました。改めて今回のこの取りまとめ案を見ますと、JAXAに期待されている部分がとても多くて、JAXAの今後のこの分野における活動ですとか役割というのがとても広くなっていると思います。その意味で、先ほど竹森委員がおっしゃったような形のスクラップ・アンド・ビルドということは当然考えていただかないと、限られた人員をその中で活動していくというのは難しくなると思いますが、それに加えてやはり一番重要なのは、JAXA自身が信頼される組織であるということが重要なのではないかと思います。こういったいろいろな研究活動の結節点になったりとか、いろいろなイノベーションの旗振り役をしていくっていう時に、JAXAの組織としての信頼性を保っていく。
その意味で、言わずもがなではありますけれども、以前ありましたような、いろいろな研究の公正性に関するような問題ということが今後起こらないように、最低限というのでしょうか、それは当然のことではあるのだけれども、そういった研究倫理の問題であるとか、公正性の問題であるとか、あとはJAXA自身のいろいろな活動の透明性の確保、あとは第三者からの意見をきちんと取り入れて、それを生かしていくという仕組みの構築、そういった点をぜひ、今回もう既に出来上がった文章ですので、ここに盛り込むものではないとは思いますけれども、念頭に置いて、それを肝に銘じた形で進めていっていただければと思います。
以上、意見です。
【中須賀主査】 原田さん、いかがですか。
【原田前戦略官】 永山委員、ありがとうございます。ご指摘のとおりでございます。さまざまな研究の公正性の担保に関しては非常に重要な課題です。JAXAは国立研究機関でございますので、そういったことは極めて大事だと思います。ただ、何でもできるわけではないので、一定の効率性とか効果的な運営が大事ではございますけれども、中でも体制のことは、あえて人的基盤の強化といったところも、前の小委員会での永山委員のご指摘も踏まえさせていただき、プレーヤーとしての研究人材だけじゃなく、研究をサポートする意味での体制っていうのも大事だと認識しているところです。コメント、ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。石井委員は、今、ミュート外されてますけど、ご意見ありますか。
【石井委員】 すいません、申し訳ありません。もしよろしければ、じゃあ発言させていただいても。
【中須賀主査】 お願いします。
【石井委員】 既に事前にご説明いただいたところですので、特に何かが抜けているであるとか、これをどうしても入れなくてはいけないというコメントはないのですけれども、まず1つ目としましては、既にお話がありましたように、JAXAを中心に記述されているということで、それは私は反対ではないのですけれども、将来的には民間の事業者が地球低軌道で活動していくことが見込まれるわけですので、JAXAも民間の事業者と協力してやっていくということが目指されているというとこだと思いますので、その方向性がクリアに見えるように書かれていると、よりよいのではないかというふうに感じた次第です。
あとは、国際協力のところですけれども、他の国の動向については書いてくださっているのですけれども、ここに入れるかどうかは別としまして、日本としては米国をはじめ、ヨーロッパも含めて、またはインドも含めて協力していくっていうことが見えるようになっていると、より望ましいのではないかというふうに考えました。
以上です。
【中須賀主査】 原田さん、よろしいですか。
【原田前戦略官】 ご指摘、ありがとうございます。一応1ページ目のそもそもの前提としまして、もちろんJAXAの機能の強化でもあるのですが、当然それはJAXAのためだけではなく、これが地球低軌道利用活動を広げる、あるいは当然、持続的・安定的に発展させるという趣旨であって、これが企業とか大学の活動に資する、あるいはそれらの利用を広げるという趣旨であり、そういった意味でJAXAを意識して書かせていただいているところです。すみません、私の説明が、その辺りにフォーカスし過ぎたきらいがあったかもしれませんので、表現の仕方をもう少し、この資料というより、1枚紙などを作成させていただく際には、そういったことを留意していきたいと考えております。
あと、国際的な連携に関しましても、ここも前回、あるいは前々回で若田委員、永井委員からもご指摘をいただいているところですので、5ページのほうの下のほうでございますけれども、国際的な協力といったところを当然意識しながら、そういった意味での利用を広げていきたいというふうに考えているとこです。ご指摘、ありがとうございました。
【石井委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。それ以外、どうでしょうか。よろしいでしょうか。現場ではないですね。
それでは、今回、ご意見いただいて、特に変更がないようでございます。この文章案に関しては、当小委員会としての取りまとめとして、これから使っていきたいということで、細かい文言等については主査預かりということで、いただいたご意見を取り入れさせていただき、本小委員会としての最終版として取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。特にご異議がありましたら、ご発言いただければと思います。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、これで主査預かりということで、最後、取りまとめていきたいというふうに思います。今回の文章につきましては、その後、本小委員会の上部の会議体であります宇宙活用部会にご報告して取りまとめというふうにする予定でございます。ありがとうございました。
それでは、議題3に入りたいと思います。議題1に引き続きまして、昨年の月面探査の報告に関連して、今回は国際的な多様な月探査ミッションが進行予定される中、将来の持続可能な月面探査活動に必要となる月通信の最新動向について、JAXA、川崎理事補佐より、ご説明、よろしくお願いいたします。
<JAXA川崎理事補佐より資料71-3-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、ご質疑、ご討論、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
榎本委員、お願いします。
【榎本委員】 ご説明、ありがとうございます。まず、この月探査活動に必須なインフラとして構築していくというふうに理解をしましたけれども、長期的には人が当たり前に月や火星に住むことを見据えて、社会インフラとして人を中心としたシステムデザインをしていくことが大切なのかなというふうに思いました。こちらに書いてある月面アーキテクチャのほうは、人のユースケースをちゃんと考えて書かれているなと思うのですけれども、月通信アーキテクチャがちょっと技術寄りなのかなというふうに思ったので、そちら検討のほうはいかがでしょうかという質問です。
また、具体的に考えてみると、例えばメディアが利用しやすいように通信システムにするということで、広く社会にムーブメントを起こすというところにもつながるのかなと。そういった分かりやすい文言があると、より一般的に理解されやすいかなと思ったので、こちら意見としてお願いいたします。
【JAXA川崎理事補佐】 ありがとうございます。今、こういう月開発のアーキテクチャについて別途議論しているとこですけれども、当然その中では今のいただいた意見を反映していきたいと思います。
また、そういう活動の中で、大容量通信っていうのは生活を保障するとかクルーの安全性のために必要なので、こういった技術は必ず必要になるというふうに思いますので、その先駆けをやっていきたいと思っております。
【榎本委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、高橋委員、お願いいたします。
【高橋主査代理】 国際標準というのが書いてあって、その中でJAXAもちゃんと入っているって書いてあるのですけれども、その中で、最後のほうのJAXAが優位性を持っている技術というのも説明されてましたけれども、こういうのがちゃんと日本からの発信として標準化の中に組み込まれるっていうような状況になっていると考えてよろしいですか。
【JAXA川崎理事補佐】 このHDR、位相変調方式についての標準化っていうのは日本がリードしているというところで、まだ各国、他の国はやってないという状況にありますので、リードできると思います。
【高橋主査代理】 国際標準の中に日本初のものが入るっていうのは重要なので、よろしくお願いいたします。
【川崎理事補佐】 承知しました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それでは、関委員、お願いします。
【関委員】 ご説明、ありがとうございます。かなり技術的興味からのご質問になるんですけれど、今のところは月圏をターゲットにしているということなのですけれど、米国などは月から火星へというようなスローガンを掲げています。そこでこの技術はより深宇宙、月以遠に関してはどういう応用可能性があるか、教えてください。
【JAXA川崎理事補佐】 専門的な話なので、田邊さん、お願いしていいですか。
【JAXA田邊ユニット長】 国際宇宙探査センターの田邊です。よろしくお願いします。
今、投影されているページで説明しますと、これはもともとNASAの左のほうは深宇宙、より遠いところをターゲットにした火星も含めたような形になりますので、そういった意味では今のJAXAの右側の2つのところは地球の周りから発展して月までっていうことなのですけど、今、JAXAが検討している光通信の方式が月よりさらに先に行けるかというのは、まだ本格的には検討していないところなので、今指摘いただいたところを踏まえて、これも火星、その先へというところに応用できるのかというのは検討していきたいというふうに思っています。
【関委員】 ありがとうございます。ぜひご検討いただければと思います。
私からは以上です。
【中須賀主査】 ありがとうございます。佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 佐藤でございます。光通信という日本の強みのある領域で、しっかりと日本国が参画することはとても重要だと思いますし、目指していただきたいと思います。また、この光通信という技術は、月のみならず宇宙空間全体で広く運用ができ、波及効果もあると思っておりますので、期待したいというふうに思っております。
その上で1点質問させていただきたいのですけれども、8ページの月通信アーキテクチャ案の図において、目的/目標の2、ていうところに光とRF各1回線以上の常時接続の構築とありますけれども、ここでいう光のところはGEOから月の周回の衛星への直接の黄色い線だと思うのですけれども、もう一つのRFの各1回線以上というのは、この図のどこを指しているのか。幾つか青い線もありますし、地上局から月の月上局までの直接の線を指しているのか、あるいは月の周回の衛星までの線と、いろいろ見方が、解釈があり得ると思うのですけれども、どこを指しているのか教えていただけますでしょうか。
【JAXA川崎理事補佐】 説明をはしょってしまって申し訳ございませんでした。月の南極のところから点線で青い線と、それから黄色の線がございますけれども、この点線っていうのはどちらかが生きていれば、冗長系といいますか、なりますので、そういう意味では1回線以上って書いてございまして、この光とX-bandっていうところ、Ka-band、これを指しております。
【JAXA田邊ユニット長】 若干補足します。
今、月上局、月面ユーザーと南極域、小さくて見にくいので申し訳ないのですけど、そこにユーザーがいるのですが、もしそのユーザーが地球との直接通信が可能な可視であれば、直接、地球とやればいいのですけど、常時接続をするためには直接見えないところとも通信する必要があって、そういう時には月周回軌道にある中継衛星を介して地球と通信することになります。そういったように、常時接続ということを満足させるためには、直接地球との可視がないところでも通信回線を確保するということが必要だということで、このように表現させていただきました。
【佐藤委員】 ということは、この破線で描いているものも含めて、どれかいずれかの回線ではつながるようにするという意味で、ここに描いている実線と破線のものを含めて一通りこれを構築していくっていうふうに理解したのですけど、それでよろしいでしょうか。
【田邊ユニット長】 はい、そのような理解でよろしいかと思います。
【佐藤委員】 よく分かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それじゃあ若田委員、お願いします。
【若田委員】 とても分かりやすいご説明、ありがとうございました。日本の強み、光通信のところで世界のリーダーであるという点も含めてご説明いただいて、よく分かりました。
この9ページのところですが、最終的に日本の強みを表現する時に、End-to-Endでの伝送速度が最終的なボトムラインになると思うんですが、NASA等は、直接、地上局までの伝送速度かなと思います。日本側は地球周回通信衛星までの伝送速度になっていますが、End-to-Endで日本の優位性が示されているデータがあれば、そういった点を出していただくといいと思います。
光通信の場合は、当然天候とかの影響もあると思いますので、最大伝送速度だけではなく、アベレージで日本のシステムのほうが優位だみたいなことが示せる良いと思います。その辺はいかがでしょうか。
【JAXA川崎理事補佐】 静止軌道からの地球側にはRFで、今、すでに大容量通信が実現されつつありますので、それとの活用になると思います。ここの中では月との光通信による大容量通信を実現することによって、End-to-Endでのパイプラインを確保するという非常に大きな話になりますので、そういう意味では光通信が一番大きな役割を果たすというふうに思っています。
【若田委員】 ありがとうございます。地球低軌道から地上までのところも含めて、End-to-Endで米国側のアセットよりも優位性があるということになっているということですね。
【JAXA川崎理事補佐】 そう考えております。
【若田委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 それじゃあ石井委員、お願いします。
【石井委員】 ご説明いただき、ありがとうございました。2つ質問があります。
1つ目は、8ページにある2030年代半ばごろの姿というところに関してなのですけれども、ここで日本としての自立性と自在性を確保というふうに書かれているのですけれども、これは確認ですけれども、そうは言っても基本的にはNASAとESAと共同しながらコンステレーションの構築を目指していくと、その中で日本の強みを発揮していく、そういうことでよろしかったでしょうか。あるいは、日本が独自でやるということも構想されているのか。その点を教えていただければと思いました。
2点目は、こういう議論はあるのかっていう質問なのですけれども、月の軌道のスロットであるとか周波数の配分について、今は必要は全くないと思うのですけれども、将来的にそういった限られた資源を配分していく必要性というものは議論されているのでしょうかということです。地球においては少なくとも非常に大きな問題になっている、限られた軌道の枠をどのように配分するのかっていうことは議論になっているわけですけれども、そういったことは課題に上っているのか、教えていただければと思います。
以上です。
【JAXA川崎理事補佐】 ご質問、ありがとうございます。最初の質問に関しては、7ページの見たほうがいいかなと思うのですが、全部で8機という全体構想の中で、日本は2機をできれば上げたいなっていうのを検討しているところでございます。その中で他国の衛星と違うのは、明らかに通信容量が、伝送容量が違うっていうところが違いますので、できるだけ日本の衛星を使いたいっていうふうなユーザーとかニーズが出てくるのではないかなというふうに思っております。
それから、2番目の光に関しては、周波数調整って今のところないっていうふうに私は理解しているのですが、田邊さん、何かありますかね。
【JAXA田邊ユニット長】 光はそのとおりなのですけど、今のご指摘はたぶん電波も含めてなのかなと思ったのですが、電波も含めてということであれば、まさにJAXAでは周波数管理室が窓口になって、SFCGとか、そういった宇宙機関間の周波数の調整とか、その先にはITUっていう、今度、WRCの27でしたっけね、そういうところでも月周りの周波数利用に関する調整がまさに現在進行中で、限られたリソースを適切に利用できるように各国家機関が調整しているという状況があります。
【石井委員】 ありがとうございます。ご教示いただきまして助かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。委員の皆さんから大体意見出ましたかね。現場はないですね。
私から最後1点だけ。今のお話を聞いていると、これからいろんな意味でのある種通信システムの標準化とか、横通しとか、いろんなことが起こると思うのですよね。日本っていうのはいつもそういうところで負けていて、ある種、標準化、日本じゃないやり方を採用されたり、それで結局日本の技術が使えなくなるということもあったり、そういったことも非常に起こり得る可能性が高い状況だと思います。その中で、日本としてどうやって立ち位置をずっと将来にわたって確保できるかというようなことに関しての戦略っていうのは何かございますか。
【JAXA山中センター長】 ありがとうございます。探査センター長の山中です。今の点は非常に重要でして、先ほど田邊からもあったように、このLunaNetもそうですけど、最初のところから議論に入るというのは当然のこととしてやらせていただいております。
私が考えるのは、もう一つ大事なのは、そうは言っても具体的なミッションが何もないと非常に発言力というか、そういうのは弱いと思いますので、比較的コンスタントに月に行くミッションとか、それが必ずしも大型のものである必要はないと思っているのですけど、比較的繰り返しに月に行くようなミッションを日本として持っているのも同時に必要なことではないかなというふうに考えています。
以上です。
【中須賀主査】 後半おっしゃったことは、とても私も大事だと思います。実証の回数、それから実績みたいなものっていうのは非常にやはりリスペクトされると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、以上で議題3終わって、最後、議題4に入りたいと思います。ちょっと時間がないので少し時間オーバーしますが、ご容赦ください。もしお時間がない委員の方は、抜けていただければと思います。
国際宇宙探査およびISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について、事務局より説明をお願いいたします。
【原田前戦略官】 すみません、その前に先ほど議題で関連して、山中センター長の発言に関連して、前回の小委においても月での実証の話をさせていただいておりますので、まさにこの小委員会におきましても、引き続き、この月の話は今後も続けていきたいと考えております。そういった主査がおっしゃったような日本の立ち位置や戦略を議論していければと、すみません、今の私の立場ではないのですが、事務局としては考えているとこでございます。
すみません、それで資料の71-4-1をご覧いただければと思います。
<原田前戦略官より資料71-4-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございます。今、出ているページで、例えばゲートウェイとかいろんなものでもともと考えていた予算が、トランプはもうやらないと言ったけど、また少し戻ったといった時に、戻ったのがもともと考えていたレベルまで戻ったのか、いやいやまだまだそこまで戻ってないというのか、その辺のレベル感はどんな感じですか。
【原田前戦略官】 ゲートウェイはもともとの想定に戻ったように、この財政調整法に関しては評価をされているところでございます。
【中須賀主査】 それ以外も大体元に?
【原田前戦略官】 ISSに関してはやや足りないのではないかという、そういった分析をしているとこでございます。
財政調整法の条文の書き方は、かなり大くくりの書き方になっておりますので、いろんな解説を参照しながら読み解く必要がございますし、大統領予算教書に関しては5月31日により詳細なものが出ておりますので、そういったものも参照しながらということではありますが、引き続き、米国の動向を注視する必要があるというふうに考えております。
【中須賀主査】 分かりました。あとは、これをあと議会で承認するっていうことですかね。
【原田前戦略官】 財政調整法は、既にこれは成立、施行しておりますけれども。
【中須賀主査】 成立している?
【原田前戦略官】 財政調整法は成立しています。今、次、2026年度予算、アメリカ合衆国における2026年度は10月からになりますけれども、の予算審議が個別のものとして歳出委員会で走り始めており、それを机上配布資料としてお配りしたものが先ほどの状況です。その中では、だいぶ揺り戻しというか、大統領予算教書でNASAの予算は25%カットだったものが、ほぼ全額っていうか、前年同か若干微増ぐらいの規模で議会案では出てきているように承知しております。
【中須賀主査】 分かりました。ありがとうございます。いかかでしょう。これを踏まえて、皆さんのほうから何かご質問等ありますか。
まだこれから、よく分からない状況だと思いますけれども、tentativeにしろ新しいNASAの長官が選ばれたと。何かこの新しい長官によって変わりそうなこととか、そういう辺の予測っていうのはありますか。
【原田前戦略官】 国際部の菊地さんとかは、何か補足がありますでしょうか。
【JAXA菊地課長】 暫定長官について、どういう政策の志向の方なのかというところも分析していこうと考えております。ただ、まだ分からないことが多くて、情報を今集めているというところになります。
現状、以上です。
【中須賀主査】 分かりました。また何か情報ありましたら、よろしくお願いいたします。
【JAXA菊地課長】 はい、承知しました。
【中須賀主査】 ほか委員の皆さん、いかがでしょう。現場でもないでしょうか。ありがとうございます。それでは、以上をもちまして議題4も終わりにしたいと思います。
以上で、本日予定していた議事は全部終了です。あと事務局から何かご連絡事項ありましたら、お願いいたします。
【川端補佐】 事務局です。本日の議事録や資料は文部科学省のホームページに公開いたします。次回の開催の具体的な日時については、日程調整の上、改めてお知らせいたします。
以上です。
【中須賀主査】 ありがとうございます。委員の皆さんから何か最後にございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の委員会、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課