令和7年6月26日(木曜日) 9時30分~11時30分
文部科学省 15F特別会議室またはオンライン
臨時委員 中須賀 真一【主査】
臨時委員 高橋 忠幸【主査代理】
専門委員 石井 由梨佳
専門委員 榎本 麗美
専門委員 金子 新
専門委員 関 華奈子
臨時委員 高鳥 登志郎
専門委員 竹森 祐樹
専門委員 永井 雄一郎
臨時委員 永山 悦子
専門委員 御手洗 容子
専門委員 若田 光一
研究開発局長 堀内 義規
研究開発局審議官 古田 裕志
研究開発利用課長 梅原 弘史
研究開発戦略官 原田 大地
研究開発戦略官付 課長補佐 川端 正憲
(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事 松浦 真弓
理事/宇宙科学研究所 所長 藤本 正樹
有人宇宙技術部門事業推進部 部長 小川 志保
宇宙探査イノベーションハブ ハブ長 森 治
理事補佐 川崎 一義
有人宇宙技術部門宇宙環境利用推進センター センター長 白川 正輝
国際宇宙探査センター センター長 山中 浩二
有人宇宙技術部門事業推進部 参与 松本 邦裕
有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ 落合 美佳
有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ 宮崎 和宏
有人宇宙技術部門国際宇宙ステーション プログラムマネージャ 永井 直樹
宇宙科学研究所 副所長/宇宙飛翔工学研究系 教授 津田 雄一
宇宙科学研究所太陽系科学研究系 教授 臼井 寛裕
宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系 教授 後藤 健
宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系 教授 大山 聖
宇宙科学研究所学際科学研究系 教授 山崎 丘
宇宙科学研究所学際科学研究系 特任助教 木村 駿太
プラネタリーディフェンスチーム チーム長/宇宙機応用工学研究系 准教授 吉川 真
宇宙科学研究所学際科学研究系 宇宙機応用工学研究系 准教授 尾崎 直哉
宇宙科学研究所科学推進部 参事 渡辺 拓真
(株式会社日本低軌道社中)
代表取締役社長 山本 雄大
技術開発主任 辻田 大輔
【川端補佐】 本日はお集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、始めたいと思います。事務局の文部科学省研究開発局研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当)付の川端でございます。それでは、ただ今より国際宇宙ステーション国際宇宙探査小委員会の第70回会合を開催いたします。
まず、定足数の13名のうち会場のご出席は7名、オンラインでのご出席は現在3名でございます。もうお2人ほどいる予定でございます。現在では10名のご出席がございまして、過半数の定足数は満たしておりますところをご報告いたします。
また、本日の会議は11時半までの2時間を予定しておりますところ、よろしくお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。議事次第をご参照の上、必要資料に不足などございましたら事務局までお申し付けください。
本日は、設備の関係上、お手元にマイクがご用意ありませんので、ご発言の際には、職員がマイクをお持ちいたしますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日は、全議題公開での実施で、YouTube配信をしております。
以上でございます。
【中須賀主査】 それでは、今日も朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございます。始めたいと思います。今日も議題たくさんございますので、ご発表いただける方は時間厳守ということで短めにお願いできればと思います。
それでは、早速議題1として、地球低軌道活動における民間企業の取り組みとして、物資補給サービス事業構想について、株式会社日本低軌道社中の山本社長よりご説明よろしくお願いいたします。
【山本社長】 おはようございます。山本です。本日は、10分程度のお時間を頂戴しまして、弊社の物資補給サービス事業構想についてご説明いたします。本日は説明の機会を頂戴し、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
<日本低軌道社中 山本社長より資料70-1-1に基づき説明>
【中須賀主査】 どうもありがとうございました。それでは、ただ今のご説明に対しましてご質問、ご討議ございましたら、よろしくお願いいたします。榎本委員、お願いします。
【榎本委員】 ご説明ありがとうございます。今回、物資の補給サービスとして、このHTV-XCについてお話を伺いましたけれども、4ページで強調されていました、サービスの販売戦略という点で見てみますと、物資の地球への回収をどうするかというのも重要な論点じゃないかなと思いました。この物資回収の機能を付加するかどうかということについて、想定されている需要も含めて、どのように考えられていらっしゃるか、教えてください。
【山本社長】 ご質問ありがとうございます。まず、需要につきましては、具体的な数量・頻度・用途は把握しきれておりませんが、CLD企業との対話および弊社の商業利用開発活動の中で必要であることは確認しています。
一方で、それを弊社がサービス提供するかについては、現時点では想定していません。まずは、今ある技術およびそのサプライチェーンを最大限活かして、アップマスの提供の実現を考えています。
ただ、ダウンマスの需要というものに対して、他の企業とのパートナーリング等で対応させていただきたいということも同時に考えています。
【榎本委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。じゃ、金子委員、お願いします。
【金子委員】 ご説明ありがとうございました。マーケットのサイズみたいなことについて教えていただきたいなと思うんですけれども、NASAさん本体とも直接も含めて、CLD企業さんというのが予想としては大体何社ぐらい存在することになり、そして、補給をサービスとしてされるような会社が大体どのくらい存在して、その中で、ロバストネスを維持するために、各CLD企業さんがどのくらい複数のオプションを手元に持ちながらやっていくかという全体像と、その中で、例えば御社がどのぐらいのシェアを取れれば、十分日本のフラッグシップとしてやっていけるか、みたいなところがあったら教えてください。
【山本社長】 ご質問ありがとうございます。まずマーケットサイズについては、ISSであれば年間3~4機、1機当たり4トン・5トンであり、そこからおのずと算出可能です。一方で、ポストISS時代における補給需要は、CLD各社ともに精緻化しているところです。
ただ、はっきりしているのは、米国商業宇宙ステーションの拠点数は1社ないし2社であるということです。
そこに対してどのような形で補給スキームが組まれるかを考えると、NASAが調達をして一部補給枠をCLD企業に渡すというルートもあり得ると思いますし、同時並行的にCLD企業が直接補給サービスを調達するルートも存在すると考えます。
また、各社宇宙ステーションの規模、ベイロードや宇宙飛行士と利用の売上比率によって変わってきます。各社が年間何機必要か、それをNASAがどれぐらい支援するか、各社が何機自社調達するかを見ながら、販売していくものと考えます。
【金子委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 他いかがでしょうか。若田委員、お願いします。
【若田委員】 ご説明ありがとうございました。4ページですが、質問1点と、それに関するコメントをさせていただきたいと思います。
質問のほうですが、この商業利用開拓活動とのシナジー追求のところに、日本およびアジア圏の物資補給事業の獲得とあります。ポストISS、CLDが主たるサービス先であるということは理解しておりますが、アジア圏に対して、例えばインドの宇宙ステーション、そういったものへの補給も検討されているんでしょうかということが質問です。
コメントですが、結局、価格競争力の向上というのが鍵になってくると思います。輸送機の打ち上げの機数を高めるということが価格競争力につながっていくと思いますし、昨日インド人で初めてISSに行く方が打ち上がったわけですが、これまでインドの宇宙飛行士や、ISROの関係者とお話ししても、日本がアジア唯一のISS参加国ということで、その運用、利用、HTV-XCを含め、すごく注視しているところがあります。
そういった観点で、ISS唯一のアジアの参加国としてのHTVのこれまでのパフォーマンスを含めた形で市場を開拓していく時に、アジア圏で、例えばインド等は重要なターゲットになっていくと思っております。
以上です。
【山本社長】 ご質問、コメントありがとうございます。インド宇宙ステーションに対して、リソースを割いて営業できているかというと、まだまだ至っていません。現在、弊社は、米国CLD側の技術的な調整などを通じて、CLDの需要は相応に把握しております。
当然ながら、インド宇宙ステーションがあって、そこに対して補給の需要があるのであれば、弊社として狙っていきたいマーケットであることに間違いはありません。したがって、技術的に、そして商務的に実現可能かを調査する価値は相当程度あるということを気付きました。どうもありがとうございます。
【中須賀主査】 他いかがでしょうか。今日オンラインはいらっしゃるんでしたっけ。オンラインの皆さんもいかがでしょうか。
じゃ、ちょっと私のほうから。要は日本における政府ミッションですよね。政府としてもJAXAさん中心に、荷物を運ぶっていうミッションがあるんですが、これは今どれぐらいの規模を予定されているか。これはJAXAさんか、どちらかにお伺いしたいと思いますけど、いかがでしょうか。
【JAXA小川部長】 今のご質問は、物資輸送という観点でという理解でいいですか。
【中須賀主査】 そうですね。今日はまずは物資輸送で。
【JAXA小川部長】 昨年、文科省のこの委員会でご説明した中で、われわれの規模感として出しているんですけど、年間でアップマスとしては300キロぐらい、まず今やろうとしているものと同等規模は維持するっていう前提に立った場合は300キロで、ダウンマスとして150キロぐらいは必要なんではないかというふうに考えております。
【中須賀主査】 これはさらに増やしていくとか、そういう計画はありますか、一つ大きな要素だと思うんですけど、いかがですか。
【JAXA小川部長】 利用規模を維持していく、利用需要が増えていく前提になれば、もう少し増やしていかなければいけないということはありえますが、まずはどこかに前提を置かなければいけないということで、まず最低でもこれぐらいは必要だろうと考えたものです。
【中須賀主査】 これは現状がこれぐらいだからという、そういうイメージですか。
【JAXA小川部長】 まずそのあたりで、今の利用の規模、質を落とさないという前提があります。
【中須賀主査】 分かりました。ありがとうございます。いかがでしょう。他どうでしょうか。
それから、もしなければもう一点。要はアメリカとか日本の国内、アメリカっていうか日本の国内、それからさっきのインドの話ありますけれども、他の国ですよね。例えばアジア圏、それから中東、将来はアフリカとかっていうところからも出てくるかもしれませんけれども、そういったところの荷物を運ぶというサービスも、現在のところ、一緒になって開拓されつつあるのか。その辺のプランはいかがですか。
【山本社長】 ご質問ありがとうございます。商業利用開拓という観点においては、弊社として、メインは日本の公的商業利用でありますが、当然ながらそこに限定する必要はないかと考えています。
一方で、商業利用開拓活動の結果として出てきたアップマスというものを、弊社が直接サービス提供する必要があるかは未定であると考えています。私見も含みますけども、CLDがグローバルマーケットの需要を見て補給計画を調整し、当然ながらその中には、少なくないポーションで日本、アジアの需要が出てくるというような形です。基本的には、CLDが取りまとめる中のポーションとして日本、アジア、それ以外というものがどれだけ増えていくかということになると考えています。
【中須賀主査】 ありがとうございます。最終的にはCLD側がそういった需要、それから輸送をどうするかということを全部取りまとめると思うんですけど、例えばそういったCLDで実験をするようなお客さんを連れていったら、そこの荷物はここで運べるとか、そういうある意味、優先権みたいなのが出てくるんじゃないかと思うんですけど、そういう交渉はどうでしょうかね。
【山本社長】 それは当然ながらあると思います。釈迦(しゃか)に説法ですけども、ライフ系のものであれば、地理的な距離が大事になってきます。その観点で、自分たちで需要を増やしていくことは、CLDに対する交渉権が高まることになりますので、それは追求していきたいと思います。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それじゃどうぞ。
【高鳥委員】 どうもご説明ありがとうございました。
十分に理解できてないのかもしれないのですが、物資補給ということが目的ということになりますと、宇宙ステーションとの地上とのやりとりの中では、研究開発を宇宙ステーションで行うための、各種研究資材といったのも届ける必要があると思うんですが、それはこの物資補給の対象じゃなくて、それはまた別に輸送システムを考えることになるのでしょうか。そういったものも含んで物資補給を考えられているのか、その辺りをお聞きしたくて質問しました。
【山本社長】 ご質問ありがとうございます。今のご質問は、物資補給の物資は、利用に関わるものなのか、また、装置や大型なシステムも含まれているものかというご質問でよろしかったでしょうか。
【高鳥委員】 そうですね。あと、研究開発やるために、例えば、要するに細胞の実験とか行う場合のその細胞、培養液などを含んだ実験装置とか、そういったものも輸送対象になるのかということです。
【山本社長】 ご質問ありがとうございます。対象になります。
【高鳥委員】 そうなったら、最初の質問があったと思いますけども、補給した後に回収するというところも併せて考えなければいけないなと思います。このあたりはうまく連携する必要があると思いました。ありがとうございます。
【山本社長】 承知いたしました。
【中須賀主査】 大体お時間ですけど、よろしいでしょうか。じゃ、これ最後で。お願いします。
【石井委員】 ご説明いただきありがとうございました。一番最後のところで、軌道上の損害などが生じた場合のリスクの分担について言及されていたと思うんですけれども、もう少しどういう形が望ましいのか、教えていただければと思いました。JAXAの支援についてもご言及されていましたけれども、実際にその損害が出てしまった場合に、これは例えば補償があったほうが望ましいということなのか、もう少しクライファイしていただけると助かります。
【山本社長】 ご質問ありがとうございます。その点に関して資料を準備できておらず、申し訳ございません。物資補給サービスのリスク分析は一定程度進んでおり、まだ結論はでておりませんが、現時点で弊社として考えられるリスクは2つですね。
1つは、当然ながらドッキングないしバーシングする時に、CLDそのものに対して与えてしまった損害です。今はISSではクロスウェーバーがございますけども、それがどのような形でポストISSにも適用されていくか、もしくは適用されないのであれば、どのように対策していくかを検討していく必要があると考えています。
もう一点は、第三者損害で、ロケットから分離されてからCLDに到達するまでの飛行運用の間に軌道にある衛星等の宇宙機にしょうと都した場合に発生する損害賠償や制御落下に失敗して地上の設備や人にダメージを与えてしまった場合に発生する損害賠償です。これは、宇宙活動法の改正等で議論されているところだと思いますので、法的枠組みでカバーすることも一案です。また、契約でヘッジする、あるいはそのハイブリッドとする、何れの方法も考えられますが、引き続き連携させていただきたいと考えています。
【中須賀主査】 それじゃ時間ですので、これで議題1は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、議題2に移ります。前回6月13日の本小委員会から引き続き、わが国の地球低軌道活動の充実強化に向けた取り組みについて、これから議題2、3で議論していきたいと思います。
まずはJAXAさんより、ポストISSの地球低軌道活動に向けたJAXAの取り組みについて、ご説明よろしくお願いいたします。
【JAXA小川部長】 JAXA有人部門の小川です。本日は、松浦理事は、この時間帯は、4府庁の独法評価委員会のヒアリングが開催されておりまして、そちらとの兼ね合いでオンラインで参加しておりますので、代理で私のほうから本日の資料をご説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
<JAXA小川部長より資料70-2-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明に対してご質問ありましたらよろしくどうぞ。先生、どうぞ。
【高橋委員】 説明ありがとうございます。望むべき姿なんじゃないかと思うのですが、少し確認させていただきたいんですが、これまでの宇宙科学に加えて、宇宙環境利用においてもJAXA内に研究者の集団を確保して、JAXAが主体的に研究活動を行うということを書いておられるでしょうか。
そうすると、図3、3の図のところに、見ると、「JAXA+研究者」と書いてありますが、これは。そこじゃなくてですね、(3)の次のかな。画面は次の図だと思うんですけど、(3)ってところ。9ページです。9ページ、ごめんなさい。ここの、すいません、「JAXA+研究者」と書いてあるのは、JAXAの研究者ですか。
【JAXA小川部長】 先ほどご説明したJAXAで研究をするという中には、先生がおっしゃったように、JAXAに完全に研究者を取り込む案もあれば、クロスアポイントメント、招聘(しょうへい)で来ていただくといったことも含めて、いろいろ読めるように「JAXA+研究者」と書かせていただきました。
【高橋委員】 分かりました。それでいいと思うんですけど。だから、これは、でもここで大事なことは、JAXAが研究者の集団を持って、自ら手を動かして研究するという新しいスタートを地球環境、宇宙の環境利用についてもやりますよというメッセージで。あそこに書いてあるのは、JAXA内外のっていうの、いいんですけども、いずれにせよJAXAの帽子はかぶった研究者がちゃんとやるということだと思ってていいですよね。
【JAXA小川部長】 そのとおりです。
【高橋委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ちょっとオンラインが先ですかね。すいません。オンラインから永山委員、お願いいたします。その次、高鳥委員にいきます。永山委員、聞こえますか。どうぞ。
【永山委員】 ありがとうございます。今のご質問とも関係するのですが、改めてなんですけれども、今すぐに「きぼう」利用などで公募で多くの研究者の方、参加、それぞれ外部の研究者の方、参加していただいて素晴らしい成果挙げてきていると思うんですけれども、そういったところを一層深掘りして、関心を持ってくださる科学者を増やしていくという形ではなくて、JAXA自らがこういったプロジェクト、研究プロジェクトというものをリードしていくのは、なぜ必要かというところを改めて説明いただきたいなと思ったことと。
あと、これも前の質問と関係はするんですけど、クロスアポイントとかいろいろ方法はあるにしても、やはりそういった研究者の方、一人二人いても、こういった宇宙科学全体を引っ張るってことは難しいと思うんですけれども、もちろん予算の問題ですとかいろいろあるとは思いますが。大体規模感として、どれぐらいの研究集団がJAXAとしてこのラボをきちんと運営していく上で必要と考えていらっしゃるのか、その2点教えてください。
【JAXA川崎理事補佐】 JAXAの川崎です。ご質問ありがとうございます。今やっている宇宙ステーション「きぼう」の利用とポストISSの違いというのは、今回説明にあったように、ポストISSにおいては、サービス調達をすると。これはわれわれJAXAの予算使ってやるわけですけども、その時の成果の責任、そうすると責任ってわれわれ負うわけで。そうしますと、これ外に頼るだけではなくて、やはりわれわれがちゃんと責任を持って成果を出さないと、これは説明責任が果たせないというところが一番大きいと思っております。
それから、規模のところについては、小川さん。
【JAXA小川部長】 はい、規模については、研究領域がどこに設定するかによるところもあると思いますが、私が考えている限りでは、20人とか30人規模の研究者、それを支援する体制がないと、しっかりとした研究はできないだろうと思います。ただそれを確保する方法はいろいろとあるだろうと思います。
【永山委員】 ありがとうございました。今小川さんおっしゃっていたように、研究者の方一人いてもどうしようもないと、なかなかそれだと成果に結び付けるの難しいと思いますので、そういったサポート体制も含めて、ぜひ検討いただければと思います。
以上です。
【原田戦略官】 文科省、原田です。ありがとうございます。外の研究者の方との協働について、JAXAにおいてそれをやめるわけではなく、その深掘りというのも並行してやりますけれども、JAXA自身にインハウスの能力をちゃんと維持します。これは、今後、民間が主体となって運営する宇宙ステーションなりますので。
民間がある意味、その座組みを有する上で、宇宙環境利用の研究をするキャパシティーというかケイパビリティーをしっかりJAXA側でも持つということは、自らやるという能力とともに、外の研究者ともいい意味での相乗効果を生み出すということで、これらは両輪としてやっていただくことを想定させていただいております。
ところで永山委員がもう一方でご指摘された、当然そうなってくる場合の規模感みたいなものは、そういったものはすいません、来年度の概算要求なども含めて、文科省としても考えさせていただいているところでございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。それじゃ、高鳥委員、その後オンラインの3名の方にいきます。高鳥委員、最初に。
【高鳥委員】 今、高橋委員と永山委員の質問、私が言いたかったことは含まれてしまったんですけども。ハブ機能とラボ機能の強化といった取り組みの検討が進められるというのは非常にうれしいなと思っています。それで、今の議論でもありましたけども、8ページにあるように、これまでいろんな成果が出ており、さらにそれを深堀りしていくということに取り組まれるということですが、それ以外の新しい領域というか、新しいテーマっていうのをどのようにして見つけていくかということについては、今後の検討の中に入ってくるっていうふうに考えていいんでしょうか。
【JAXA白川センター長】 宇宙環境利用推進センター、白川です。ご質問ありがとうございます。はい、先生のおっしゃるとおり、この表1は、今の事例で、やはり新しい取り組みということで成果につながるのかという中では1の件かと思いましたので、これまでの成果を軸にして、こういう領域に拡張するというふうに書いています。
ただ、上のほうにも書いてございますけども、外部機関との連携ですとか、新しいところにチャレンジするような仕組み、調査研究と、以前、そういう取り組みをやってた時代もありますけども、そういったところの取り組み自体は継続といいますか、新たにJAXA自身が進む方向を検討するという機能も持ちたいと思っております。
【中須賀主査】 ありがとうございました。それじゃオンラインから、竹森委員、お願いいたします。
【竹森委員】 竹森です。小川さん、ご説明ありがとうございます。私も先生方のご意見、ご質問と、ごめんなさい、ほぼ一緒なんですけど、JAXAが主体的にやる、で、ラボ機能、ハブ機能、非常に素晴らしいなと思いますと。研究開発もやりながら社会実装もちゃんとアシストするのは、この宇宙関連活動っていうの全部やるとおっしゃっていて、なかなか小川さんおっしゃるとおり、なかなか人的にも厳しいんで、予算措置のご配慮をとか、外部民間機関との連携お願いしますということなんですけど。
先日ちょっとJPRの人と話していて、JPR、7,000人ぐらいいて、NASA今2万人ぐらいですかね。ISROは確か2万人ぐらいで、JAXAさん今1,600人ぐらいですよね。今こういう業務に加えて戦略基金とか、普通仕事っていうのはスクラップ・アンド・ビルドなんですけど、JAXAさん見てると、ビルド、ビルド、ビルドばっかりで。
当然いろいろ外部機関と連携とか、予算配慮っていうのも分かるんですけど、このままずっと宇宙部門というか、こういう機能っていうのはものすごい今必要になってきて、JAXAさんに対する期待というのはどんどん増えていって。当然連携はするんですけど、やっぱりJAXAが主と動いていくっていうのは必要である以上、例えば、どなたにお伺いすればあれですけれども。
2003年に起きたような大きな仕掛けというか、国立研究開発法人のいろんな再編とかも含めた大きな仕掛けとか、例えば大学の宇宙研究組織との一緒にやっていくとか、他の研究機関とのやっていくとか、何か大きな仕掛けをしないと、これだけの期待値に対しての応えっていうか、レスポンスっていうのを、予算措置とか外部民間機関との連携だけではなかなか難しいんじゃないかなと、限界が来てるんじゃないかなという気がするんですけれども、ちょっと、すみません、非常に聞いててやってほしいと思うが故に、組織を抜本的に考えていくっていうのをそろそろ考えるタイミングではないかなと思っているんですけど、そのあたり、どう感じられますか。すいません。
【中須賀主査】 どうでしょう。JAXAさんのほうから。
【JAXA川崎理事補佐】 ご指摘ありがとうございます。全くそのとおりなんですけども、やはりやり方次第だと思っています。その外部連携というのは単純に協定だけではなくて、主体的に、ある拠点が宇宙環境利用をしっかりやっていくような仕組み、つまり大学とかそういったところにそこを認めてあげるとか、そういった施策もあればいいなと思うんですが。そこは文科省さんとも相談してやる必要があると思いますので、おっしゃるとおりだと思います。
【中須賀主査】 竹森さん、よろしいですかね。
【竹森委員】 ありがとうございます。各大学の例えば関連するような宇宙研究組織とか機関っていうのも、同じようなことやっておられたりとかして、そういうのをうまく統合するとか一緒にするって意味での、例えばJAXAさんに統合するとか、JAXAさんと一緒にやるとか、そういうかなり、うまい再編も含めたような連携っていうものをぜひ検討していただきたいなというふうに思います。意見です。ありがとうございます。
【中須賀主査】 原田さん、お願いします。
【原田戦略官】 文科省、原田です。ありがとうございます。これまでの取組の方向性などでも、JAXA自身のその機能強化っていうのもまた重要なことですが、様々な外の大学とか理化学研究所などとか、あるいは物質・材料研究機構など、そういう外の専門研究機関とのネットワークをうまくつくるっていうこともあると考えております。
前回の小委員会でも、中須賀主査から、大学共用システムを参考とすべしというご意見もいただいておりますので、既存のISASのようなシステムもございます。そういったものを参照しながら、いい意味でネットワークをつくっていく取組も並行していきたいと思っております。
また、加えてですけれども、文科省としてもJAXAの機能強化っていうのは大事だと思っておりますので、本年度の政府全体の骨太方針などでも、JAXAの技術的な基盤、人的基盤を強化するという方向性が示されております。そういった政府全体の方針に沿っても、いろんな意味でJAXAの機能を強化していきたいというふうに考えているところでございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。これ大事なテーマですね。竹森さん、ありがとうございました。それでは、オンラインから関委員、お願いします。
【関委員】 聞こえますでしょうか。
【中須賀主査】 はい、大丈夫です。
【関委員】 ご説明ありがとうございました。私今期から委員になったので、理解が十分でないところがあるかもしれないのですけれども、第一印象としては、ポストISSで民間で、低軌道に関しては技術が成熟してきて、なるべく民間にという時に、JAXAのリソースを使って強化するっていうのは、かなり逆行しているように聞こえたので、意図をちゃんと理解したいと思って質問いたします。
特に、今まで公募していたものをなくして、公募をせずに運用していく部分を強化するというお話ですけれど、公募の審査を経ないやり方は、科学研究のどういう分野でもあやうい面のあるやり方です。例えばJAXAの中でも宇宙科学研究所は、大学共同利用になっていて、コミュニティーからの聞きたくない意見もあるかも知れませんがきちんと聞いて、審査などをきちんととやっているから研究推進ができるという面があると思います。
今回ご提案されていた9ページみたいなスキームだと、これまでの既得権益を守るように、部会社から見ると見えてしまって、新しいものが、他の先生も指摘されてましたけれど、例えば若い人などは新しいアイディアを思いついても入りにくくなる印象もあります。クローズドでやっていて、適切に透明性が確保できるかというあたりを懸念いたします。一方で、JAXAの中には、先ほどの大学共同利用なども含めて研究推進の実績はあると思うので、そういうノウハウも生かした形で透明性を確保しつつ、かつJAXA自体が研究とか開発力を持つというのは方向性としてはよいと思いました。そのあたりの透明性確保とかの部分はどうお考えなのかお聞かせください。
【JAXA小川部長】 関先生、ありがとうございます。6ページ目のほうで、ご指摘あった、テーマ公募をやめるとはわれわれ言っておりませんで、JAXAがとりまとめる公募も行います。その上で、JAXAも研究を行う、そのやり方に大学共同利用研のようなやり方もあると思うんですが、研究の仕方のバラエティーを増やすと。そして、その結果として、ポストISSの地球低軌道利用を支えていくという形を取りたいと考えております。その意味では、公募は残しますので、透明性としては確保していくつもりでございます。まずそこはご説明させていただければと思いました。
【関委員】 公募は残すのかもしれないですけど、それでは、JAXAとしてそれだけ新規にリソースを増やすということですか?
【JAXA小川部長】 そのつもりでおりました。先ほどのそのために人数も予算も増やしたいということで伝えております。
【関委員】 それはJAXA全体のバランスからして、十分フィージブルなご構想なのでしょうか。
【JAXA小川部長】 フィージブルかといわれると厳しいところなので、先ほど来、JAXAだけでなく、文科省さまも含めて、考えられるあらゆる仕組み、施策を使って増やしていく努力をしたいというふうに訴えているところです。
【関委員】 分かりました。今のところ、公募の研究者コミュニティーのニーズと、ご提案のラボ機能がどううまく相乗効果を生むのかのあたりが分かりにくいので、その辺りも含めて、設計を深められるとよいのではと思いました。
私からは以上です。
【JAXA小川部長】 ありがとうございます。まだまだ詰まっていないところがたくさんございますので、ご指摘そのとおりだと思います。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。だいぶ時間があれですけれども、オンラインから御手洗委員、それから永井委員の後、現場から高橋委員で、こういう順番でいきたいと思います。それじゃ御手洗先生、お願いします。
【御手洗委員】 ありがとうございます。御手洗です。皆さんのスケールの大きい質問の後で、ちょっと細かい話で恐縮ですけれども、8ページで、ラボ機能で行う研究対象領域とかテーマ、ある程度詳しく書いていただいて、具体的に書いていただいたので、だいぶイメージがつきました。
すいません、材料の立場で、入れていただいたらいいなと思う、これもちろん一例しか書いてないっていうことはあるとは思うんですけれども、例えば半導体で新しい結晶を作るっていうのは大変素晴らしいんですけれども、結構宇宙空間で使っていると、電子機器が、半導体が劣化してしまうという問題が起こるっていう話も聞きましたので、特に今後、有人探査をするとか、月で人が住むようになるという、そういうところまで考えた時に、材料の宇宙空間で使った時のライフサイクルとか劣化機構を調べるような研究も、もしかすると既にされてるとは思うんですけれども、そういうものも入れたらいいのではないかなと思いました。
あとは、レゴですとか、惑星の鉱物資源を使うっていうようなところもいろいろいわれてますので、そういうものを可能とするプロセスの研究とか、そのプロセスに必要な熱物性を取得するような研究をより一層、公募も含めてやっていただいたらいいのかなっていうふうに思いました。コメントです。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。じゃ永井委員、お願いします。
【永井委員】 オンラインから失礼します。永井です。聞こえますでしょうか。
【中須賀主査】 大丈夫です。
【永井委員】 ご説明いただきありがとうございます。ポストISS時代の利用拡大に向けた取り組みとして、こうしたハブ機能ですとかラボ機能を強化していくということなんですが、地球低軌道の拡大に向けては、JAXAさんがこのような機能を担っていくことが重要なのかなということをご説明聞いて感じているところです。
ただ、先日も同じようなご質問させていただいたんですが、科学利用の需要を、継続的に一定規模の需要を創出していくためには、海外の需要も取り込んでいくっていうことが、一つ選択肢としてあるのかなというふうに感じているところです。このハブ機能、ラボ機能には、例えば国際的な共同研究のハブになっていくような機能というのも、想定されているのかといったところをちょっとお伺いしたいと思います。
ご説明の中には、オールジャパンという言葉もありましたが、まずは国内での研究所を整備して、国内で一定程度の科学利用の需要を創出していくことが目指されているのか、それとも海外との共同研究のハブになっていくような機能も想定されているのかといったところをお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【JAXA小川部長】 ありがとうございます。予算的なこと、あるいは日本の科学技術力という観点では、まずは国内を優先したいなというのはわれわれの本音としてはございます。ただ、実施するに当たって、こちらの8ページにあるような研究成果を生み出す中でも、海外との共同研究なども含まれてございますので、当然その手法として、共同研究、研究者の受け入れ、そういったものは一つの手法として考えられると思います。
ただ、今の時点では、明確に海外の研究機関と巻き込んで、国際研究拠点ハブをつくるというところまでは検討としては至ってないところであります。いろんな知財とか、いろんなことを考えてかなければいけないと思いますので、そこは有識者の皆さまのご意見もいただき議論を重ねたいと思います。ただ、そういうご意見があるということで、ノートしておきたいと思います。ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。あと高橋委員、それから若田委員で終わりにしたいと思います。よろしくどうぞ。
【高橋委員】 アカデミアの立場から、日本でサステナブルな技術開発の拠点っていうものが必要であるというのを日々感じています。そういう意味で、このJAXAの仕組みっていうのは、大学ではなかなか実現が難しくなってきたサステナブルな宇宙技術の開発拠点、ほんとに宇宙技術をそこで開発するんだという拠点になってくれるといいなと思っているので、ぜひ進めていただきたいと思います。
一方で、これまで宇宙科学は、大学共同利用システムの下で大きな成果を挙げてきたのは事実なのですが、先ほど言ったようなサステナブルな技術開発の拠点という観点で、課題や限界が見えてるんだと思いますので、その辺はよく検討していただいて、これからあるべき姿をやって、つくっていただいて、日本が元に戻るって言ったらおかしいんですけれども、今ほんとに、大学から見てると、先が暗いんですね。技術っていう意味で。みんないなくなって、メーカーさんも長続きしないので。
だから、そういうのは、JAXAとか、あるいはそういう国研みたいなところがきちんと確保できるっていうのが一つのやり方じゃないかなと思いますし、大学共同利用のシステムを使って、大学と一緒にやるっていうのも大事だと思いますので、何か新しいことをぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【JAXA川崎理事補佐】 ありがとうございます。今のご意見は、この低軌道に限らず、JAXA全体の課題だと思いますので、意見受け止めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【中須賀主査】 それじゃ最後、若田委員、お願いします。
【若田委員】 ISSきぼうの利用の経験を生かした、このハブ・ラボ機能というのは同意いたします。2点教えてください。利用とパッケージとのことですが、拠点の運用についてJAXAとしてどういうふうに取り組まれるのかというところが一つ、もう一つは、JAXAインハウスの能力を持つ、維持するという観点からの質問ですが、先ほど永井先生から国際協力のことがありました。文科省さんを含め、Kibo-ABC等の取り組みを通じて、キャパビル、人材育成に関して、日本がリーダーシップを取ってきていることがあると思いますが、こういった機能は、このラボ機能の中に含まれることになるでしょうか。以上の2点です。
【JAXA小川部長】 拠点の運用ですか。拠点の運用は、基本的には、CLDなり、日本モジュールなりの企業が主体になるのかと。われわれは「きぼう」ISS運用利用で、長年の経験がありますので、それを支援する、サポートさせていただくということはあり得ると思うんですが、まずは運営も含めて、事業主体としては民間企業だと思います。
【若田委員】 分かりました。この利用のところで、JAXAとしての能力を、インハウスの能力を維持されるということで、その運用っていうのは、ほんと一朝一夕では確立できるものではないし、ISSで長年培われたものがあると思いますので、それを今後どうやっていくかというスタンスをお聞きしたいと思って質問させていただきました。ありがとうございます。
【JAXA小川部長】 2つ目の国際協力においては、今、ISSに参加しているアジアの国としては日本が唯ということで、プレゼンスの発揮という観点からも人材育成として、われわれとして最大限にプログラムを立ててやっております。ポストISSにおいても、それがなくなるとは思ってはいないのですけれども、国際協力としてどのようにCLDを活用していくかについては、今後もきちんと議論をした上で、どの規模かということはありますが、何らかの形で。
ただ、ラボでやるかというところは、先ほど申し上げた、アメリカの大学や研究機関とどのように連携していくかということの一つの策としてやっていくことと、あと人材育成というのはまた切り離しての議論なのかなと私は個人的には思っています。ただ、今まだ、何をどうするかというところまで、具体的な策まではできてないです。もし文科省さんのほうでお話があれば。
【原田戦略官】 文科省原田です。若田委員のご質問について、拠点っていうものがどういうものかということと思いますが、宇宙空間の低軌道拠点、いわゆる今の「きぼう」みたいなものに関しては、ポストISSにおいては民間企業がオーナーシップを持って、管理運営をやることになります。けれども、JAXAの運営する拠点に関しては、JAXAのインハウス機能となりますので、例えるならば、筑波宇宙センターの中に、そういった研究の拠点が恐らくでき、そこで、小川部長がおっしゃったような20~30人っていうことであれば、そこで20~30人が活動するというような、そういった意味での地上拠点が想定されるというのがわれわれの考えです。
あともう一つ、永井委員からもいただいている国際連携に関しては、ここもその規模感によりますし、あとその機能をどこまで付加するかというところです。また、その機能にレイヤーを加えるならば、望むらくは、ハブ機能、ラボ機能の中にそういった国際連携的な機能もあると、それは、もちろんアカデミックな成果という意味での国際的な価値っていうのもあれば、そこは日本のビジネス活動、低軌道を使うビジネス活動においても国際展開につながり得る可能性があれば、このラボ機能、ハブ機能の予算や、さまざま諸条件が許せば、そういったところも価値としてわれわれが提供できれば望ましいと考えているところでございます。
【若田委員】 ありがとうございます。
【堀内局長】 私も補足させていただければと思うんですけど、宇宙空間に研究室を設定した時に、JAXAっていうか、国っていうか、われわれがどういった役割を果たすべきかって、そこの部分がはっきりさせてないと、予算投入してという話で。役割を考えた時、何かっていうと、1つ目は先ほどJAXAのほうの説明にもありましたとおり、宇宙環境を利用した成果につながるように、民間のいろんな活動、進行しないといけない。それを支える。それはさっき、ラボ機能の他にハブ機能も含めてやるんですけども。
宇宙空間っていうのはどんなところで、どういうような研究ができるのかとか、そういったところについて、もう一段上の活動になって、そういうのはJAXAの中で今、ISASとか、そういうところにいろいろ知見たまってたりするんですけども、そういうものをちゃんと示さなきゃいけないっていうことであるとか。もう一つ、早晩、宇宙空間で活動していくっていうことになると、安全性だとか、また健康がどうこうだとか、そういったものを、ちゃんと公的機関として示さなきゃいけないというようなことになってきている。そういったものについては国の役割になってくると思うんですね。
その時に、国際協力、APRSAFとかいろんなところやってますけども、その目的を考えた時に、国際協力でその目的が達成されるっていうことになったら、やるべきですよね、国際協力のほうをしっかり。ちゃんとNASAとか、そういう知見を持っている、例えば安全性に関する知見を持っているところがNASAであれば、そことちゃんと連携して、明確な考え方を示してっていうことになるので。
そういった意味で、今のいろいろ宇宙活動でどんなメリットがあるかっていうことの議論の中で話してますけど、その宇宙機関、公的な宇宙機関としての役割というのを考えた時には、JAXAラボも研究者たちが海外の知見を有する機関と一緒になって、また宇宙機関じゃなくてもいいんですけども、一緒になって、必要な、示さなきゃいけないものを示すために国際協力をするというのは、範囲内に明確にあって、それは積極的にやってかないといけないかなというふうには思っております。よろしくお願いいたします。
【中須賀主査】 大変活発な議論、ありがとうございました。以上で議題2は終わりにしたいと思います。
次に議題3に入ります。今のJAXAさんからの発表を踏まえて、ポストISSを見据えたわが国の地球低軌道活動の推進方策について、事務局より簡潔にお願いしたいと思います。
<原田戦略官より資料70-3-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございます。今日はあまり時間ないので、これぐらいでいいですかね、どうしましょうかね。何かクイックにもしご質問あったらいただきたいと思いますけど、まだまだこれから議論深めていく、今日は最初の頭出しでございますので。よろしいですかね。
【原田戦略官】 また、今日、ある意味、頭出しとして提示しています。また次回の小委員会なども含めて議論いただければと思います。
【中須賀主査】 そうしましょう。ありがとうございます。ちょっと今日時間ないので、先に進みたいと思います。これ頭に入れといていただければと思います。ありがとうございました。
それでは、次に議題4に入ります。今度はちょっと月に話が移りますけれども、前回、6月13日に引き続きまして、参考資料1および2にございます、昨年7月に宇宙開発利用部会が取りまとめた報告書「月面探査における当面の取組と進め方について」の最新状況のフォローアップを行っていただきます。議題4では、宇宙探査ハブ、イノベーションハブの取り組み、それから議題5では、宇宙科学研究所の取り組みをご説明いただきたいと思います。
まずは、月面探査における宇宙探査イノベーションハブの取り組み状況について、JAXA宇宙探査イノベーションハブのハブ長である森先生よりよろしくお願いいたします。
【JAXA森ハブ長】 ありがとうございます。どうもよろしくお願いします。では、資料をめくっていただいて、2ページのところからお話ししたいと思います。
<JAXA森ハブ長より資料70-4-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それではご質問、ご討議ありましたらよろしくお願いいたします。金子先生、お願いします。
【金子委員】 ありがとうございます。取り組みを分かりやすく説明していただきまして、ありがとうございます。一つ一つの内容も、私ライフサイエンス系なので、門外漢な部分が多いんですけれども、非常に重要なものが多いなっていうふうに感じております。
予算の規模感についてお伺いしたいんですけれども。6ページ、今まで5ページで今回6ページ目の最大1億円3年程度、1,000万1~3年程度、チャレンジ型は300万という。この予算の規模感っていうのは結構、すいません、門外漢が申し訳ないんですが、少なめだなっていう感じがするんですけども、これはこの一緒に採択されてらっしゃる機関が基本持ち出しで、プラスJAXAさん側からもこの支援みたいな形で出しているっていうふうな理解でよろしいんでしょうか。
【JAXA森ハブ長】 今日は時間の都合で説明できなかったんですけど、この資料の最後のページを見ていただければと思います。今おっしゃっていただきましたように、われわれの研究は、JAXAからの費用と、あと企業側の自己投資の両方で進められているものになります。予算規模について簡単にお伝えすると、ちょうど10年間われわれ活動進めてきてますので、黄緑のところが最初の5年間、青のところが後半の5年間というふうに見ていただければと思います。
JAXAのところに関しては、最初の5年間が31.1億で、後半の5年間が29.8億なので、大体5で割ると年間6億とか、大体年間そのぐらいの費用感で維持されて、これまで推移してきております。
一方、企業の投資を見ていただくと、最初の5年間は24.3億に対して、後半の5年間は、もっと大きな規模でぐっと伸びてきていて、こういった企業の自己投資の部分が大きくなってきて、結果的には研究全体の規模も大きくなってきていると、そのような形になります。ですので、宇宙探査への投資を呼び込んだっていうふうに一つ言っていいのかなと思っているところです。
【金子委員】 ありがとうございます。よく分かりました。率直な感想として、国のほうももっとたくさん予算を付けてもいい話なんじゃないかなと。企業が自己投資もするようになって、産業として成長していく時に、多分最初のてこ入れ額が大きいほど、その後の成長も多いのかなと思っておりまして。ちょうど今、ライフ領域でも、どうやって日本のベンチャーを世界規模に育てるかっていう話で、最初の投資が大事だろうっていうのが出ておりまして。そこで国の役割っていうのが非常に大事だなっていう議論はされておりましたので。そういう感想を述べさせていただきます。
【JAXA森ハブ長】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 ありがとうございます。榎本委員、お願いいたします。
【榎本委員】 ご説明ありがとうございます。成果として事業化までつなげられている。素晴らしいなというふうに感じました。またさらに宇宙事業化につなげていくというお話がありましたけれども、この事業化について、昨今は地球低軌道領域においては、任せられるものはもう民間企業に任せようという流れがあるかと思うんですけれども、月面領域に関しては、より難しさというのがあるのかなというふうに感じます。どこまでJAXAとして伴走するのか、企業としては難しいから故、一緒に伴走してほしいという思いがあるかと思うんですけれども、どこまで民間に任せるのかなど、役割分担の議論が、より地上よりも重要になってくるのかなと思うんですが、そのあたり教えてください。
【JAXA森ハブ長】 宇宙の事業化というのは、なかなかそう簡単にはいかないっていうふうに、特に月面となってくるとなかなか行く機会も少ないので、難しいと思っていて、いろんなパスをわれわれも考えさせていただいてます。6ページのスライドを見ていただいても分かると思いますが、いきなり宇宙事業化に行ければもちろんいいんですけども、そうならない場合もありますので、まずは例えばJAXAの宇宙探査プログラムに広く使われていくことで、そういった形である程度下準備っていうんですかね、ある程度こういったものがあるって定着した上で、そこから、宇宙探査プログラムから宇宙事業化につながるという形もありますし。
一方で、地上事業化を進めておいて、地上事業である程度技術を蓄積しておいて、しかるべきタイミングまで技術がきちんと持続された上で、タイミング良く宇宙事業化を狙っていくっていうことが考えられるところです。
あと、宇宙事業化のところに、かっこ書きで宇宙実証って書いてある、この箱のところにあるかと思いますが、この宇宙の分野って、実証したかどうかっていうのは結構重要視されるところがあるので、この実証のところまではわれわれも一緒にやらせていただくってこともありますし、もちろん企業側だけで実証される場合もあるし、われわれとしてそこまで一緒にやるっていう可能性もあるかと思います。
あとは、最近、戦略基金が始まりましたので、われわれと活動を一緒にした後に基金に移行する、これは企業側のもちろん判断にもよると思いますが、企業として戦略基金で活動されて、その後、宇宙事業化っていう形も可能性としてはあるかなと思って、そういったことも含めていろいろ企業側と相談しながらやらせていただこうかなと考えているところです。
【榎本委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございました。オンラインから永山委員、竹森委員の順番でいきたいと思います。永山委員、お願いします。
【永山委員】 ご説明ありがとうございました。今のご質問にも関係するかもしれませんが、10年を振り返られて、例えばタカラトミーさんのSORA-Qのように、全く宇宙とは関係のない分野の企業が参加されて、それを実際事業化していくという、そういった流れの中で、何が、例えばこれまでうまく事業化していない分野もあるのではないかとは思うんですけれども、どんなことが課題として考えられますでしょうか。
例えばそれはお金なのか、それとも時間なのか、それとも人材なのか、それとも、そもそも技術なのか、どういったところを乗り越えると、うまく事業化していくという、何かこの10年間の教訓みたいなものがもしあれば教えてください。以上です。
【中須賀主査】 ありがとうございます。
【JAXA川崎理事補佐】 川崎です。10年前からハブを担当しております。振り返ってみますと、技術の継続性っていうのが非常に重要だと思ってて。これは企業さんにおける事業の継続性と同じなんですけども、単純に宇宙だけ目指して、そのマーケットを狙おうと思っても、結局ミッションがないと、それはもう成立しないわけですね。この探査ハブの場合は、タカラトミーさんにしてもそうですけども、おもちゃ事業というコアがあって、そちらで技術の継続性があったというところで、10年間にわたって付き合ってくれたということがございますので。
そういう製造業、メーカーさんにおける研究開発能力であるとか、製造能力の維持、あとあるいはプロジェクトの維持、そういったものの企業内におけるそのオーソライズっていうんですか、そういったところが一番大きなところで、なかなか宇宙だけではそこを突破するのは難しいというのは事実だと思います。ただ、こういう成功事例が出てきておりますので、例えばソニーさんのような、宇宙との事業化ができるんだってことを気付き始めてるっていう状況ですので、そこはうまく宣伝しながら、メーカーさんを説得するってことも含めてやっていきたいと思ってます。
【永山委員】 ありがとうございました。ぜひこういった成功事例を次につなげる形で活用していっていただければと思います。
以上です。
【中須賀主査】 ありがとうございました。竹森委員、お願いいたします。
【竹森委員】 ありがとうございます。全く関連するんですけれども、6ページの金融機関でずっと宇宙を見てきた者からいくと、この宇宙事業化っていう言葉がすごい違和感があって。宇宙の事業化をするためには、民事がそんなにない以上、国がしっかり予算措置を付けながら、一緒の期間をしっかり出していくと。で、宇宙で単独で事業化ができるっていうことなんで、なかなかそれが難しいっていう中で、Space Dual Utilizationですかね、というコンセプトの中で、地上のいろんな産業技術と、それから宇宙の実証、これを融合させながらやっていこうと。
だから、宇宙事業化って挙げちゃうと、単独で例えば、さっきのタカラさんの事例じゃないですけど、タカラさんの事例でいくと、例えば月面でそれを走らせる、それはそのままで事業化をするっていうふうに聞こえちゃうんで、それと地上で例えば玩具として売っていくっていう、その相乗効果の中でやっていくっていう、まさにSpace Dual Utilizationっていう言葉を使うんであれば、あえてこの宇宙事業化っていう表現をしないで、むしろ5ページのままを右にして、何かここをもっと融合させていこうじゃないかって表現にしないと、宇宙事業化って表現を単独で出すっていうのはちょっと誤解を招くんじゃないかなっていう気がします。意見です。
【JAXA森ハブ長】 ありがとうございます。基本的なコンセプトは今おっしゃっていただいたとおりかと思いますので、表現の仕方等も少し工夫していきたいと思います。どうもありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。大体よろしいでしょうか。私も今、竹森委員がおっしゃったの、すごく同じ感覚を持っていて。特に深宇宙探査とか宇宙探査、惑星探査等で使っていくんであれば、政府がお客にならないと当面、市場、産業がないんですよね。だから、そういったことをやるっていうJAXA側の覚悟も持って、ある程度研究開発を進めるということが必要だと思います。
もちろん、だから萌芽的研究なので、全部が当たるわけではないから、多少広げなきゃいけないだろうけれども、使うかどうかっていうのは一つ産業につながる大きなマイルストーンっていいますかね、評価対象になると思うので、そういうことを考えながらやっていくと。
そうでなければ、地上に同じ技術が展開できる、それで大きな市場が獲得できるって、こういったことも大事で。そういったことを考えながら、ある種の目利き力っていうのも多分要求されてくるんだろうということはありますので、この辺、これまでのご経験の中でいろいろ試行錯誤された中で、うまくいったもの、いかないものがあるから、こういったものから経験、lessons learnedしていただきたいなというふうに思うところです。
それからもう一つは、今、JAXA基金が出てきたので、この先には大きな予算としてのJAXA基金があると思うので、ここでいいアイデア、萌芽的なアイデアが、これいけそうだなと思ったら、うまくそこにガイドしていくって、こういうこともやっぱり大事かなと思います。そこが、これ額は小さいけれども、次に大きなものがあるという、こういう流れを作っていくことも大事だと思うので、その辺も含めて、全体設計していただければと思います。
【JAXA森ハブ長】 重要な示唆をいただきました。どうもありがとうございました。そういったことも含めて検討していきたいと思います。どうもありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。すいません、それじゃ、この件これで終わりにしたいと思います。
次に議題5に入りたいと思います。昨年7月にまとめました「月面探査における当面の取組と進め方について」では、将来の火星探査に向けた取り組みということも記載されております。その観点のフォローアップとして今回、火星/小天体・プラネタリーディフェンスに関する取り組みということで、JAXA宇宙研の所長の藤本先生よりご説明よろしくお願いいたします。
【JAXA藤本所長】 宇宙研の藤本です。オンラインで失礼します。火星/小天体探査ということなんですけども、ここの表紙でのキーワードは、実は民間の方にも活躍していただける場所があるんではないかということについて今日はお話ししたいと思います。
<JAXA藤本所長より資料70-5-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。それでは、ご質疑、ご討論よろしくお願いいたします。榎本委員、どうぞ。
【榎本委員】 ご説明ありがとうございます。資料の16ページ目でコメントさせていただきたいんですけれども。
天体の地球衝突回避、被害の最小化について、人々の理解というのが下のほうに書かれているかと思うんですが、私自身も報道キャスターとして南海トラフ地震などに向けてアナウンス訓練などを今しているところなんですけれども、ちょっとまだ先の話かもしれないんですが、天体の接近とか衝突リスクなどに関して、どんなふうに伝えて、一般の皆さんに理解してもらうかといったガイドラインの策定などが今後必要になってくるんじゃないかなと思いました。
SNSでも、デマが流れるといったことで人が不安になるということがありますので、事実を適切に伝えて、必要以上に不安をあおらずに、落ち着いた行動を取れるような、心理的な面の工夫を、メディアも巻き込んで固めていけるといいのかなというふうに思いました。コメント、以上です。
【中須賀主査】 ありがとうございます。
【JAXA藤本所長】 ありがとうございます。4月に東京大学のほうでワークショップを開いた時の、われわれが開催するワークショップではあまりお見かけしないような方々がいっぱいおられて、このテーマがいろんな人に興味を持っていただくことだなということもよく分かりました。その時に、7月5日に関するデマっていうか、何ていうんですか、ネット上で広まっているうわさみたいなことも、私自身は全然知らなかったので、その時初めてお聞きしたんですけども、今お話しいただいたようなことについても、割とアンテナが立った状態にあります。コメントありがとうございました。
【榎本委員】 ありがとうございます。
【中須賀主査】 ありがとうございます。オンラインから先、永山委員、お願いいたします。
【永山委員】 ご説明ありがとうございました。1点目は、今の質問と同じなんですけども、なかなか起きない事象に対して人々の関心を向けるというのはとても難しいと思いますので、宇宙資源という切り口が民間企業の方にとって魅力的なものに今後なっていくのかどうかっていうところもありますけれども、そのあたり、いかに関心を集めていくかというところでの工夫がきっと必要になるだろうなと思いました。それは、今、私もメディアにおりますので、多分一緒に考えていけたらと思っております。これはコメントになります。
もう一点、質問なんですが、火星探査のところなんですけれども、既に先行して着陸に成功させている国がもう幾つも出ている中で、日本が今から着陸を目指していく、その意味というところをどのようにお考えなのか、どういうところを日本ならではというところで実現していきたいとお考えなのか、そういったところがあれば、また企業の方も関心を持っていかれるのではないかなと思うんですけれども、その点伺えればと思いました。
以上です。
【JAXA藤本所長】 おっしゃるとおりです。火星のことについて、随分よく分かってきています。であるが故に、ここに行けば面白いことがあるということがいろいろ分かっているとも言えると思うんですね。ですので、日本では割と小規模なんですけども、その場所に行ける、ある程度リスクを、面白い場所っていうのは往々にしてリスクのある場所で、大きなアセットをそこに運んでいくっていうのはなかなかできなかったりするんですけれども。
われわれの場合っていうのは、小規模のものをできるだけ、小規模ですから頻度よくできますし、複数機送れると思いますので、イメージ持っていただくためには、10ページ目、ちょっと今、表示していただけるといいと思うんですけれども、こんな形で小さいものをたくさん持っていく、小さいものを何回も持っていく、その時にはリスクを取って、危ないかもしれないけど、面白いところにあえて行ってみせる、そういう戦略だと思っています。
【永山委員】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 それじゃ高橋先生、お願いします。
【高橋委員】 すいません、いろいろと面白い話ありがとうございました。これ読んでみると、火星に関して、センサー技術とか、あるいはサイエンスとかは、今日、実は最初のほうにJAXA側から説明のあった宇宙環境利用のところで、JAXAラボが立ち上がって、JAXAが研究の主体を担うような活動も始まるわけですが、そことの連携をうまく考えると、JAXA全体としては、大きな発展があるんじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
【JAXA藤本所長】 具体的に話をしているわけではないんですけども、特に9ページ目にあるような、ここでは惑星保護技術という言い方していますけれども、生命科学関連の観測っていうようなことを行っていくことになると思います。こういったことっていうのは、いわゆる今までの宇宙分野ではあまり得意ではないことですので、いろんな分野と活躍していくっていう意味においては、前のところで議題になったことと関連してくると思います。
なかなか最初が難しいんですけども、宇宙に持っていくとなると環境が厳しいだとか、軽くしなきゃいけないとか、いろんなことがあって、既にマーケットのある方々が、そういったことに対してモチベーションをいかに持っていただけるかっていうのは、なかなか、最初のハードルは難しいかと思うんですけども。
日本でもこういうことやってるんだと。特に日本では、世界とは違う、面白いやり方でやろうとしてるんだということをきちんとアナウンスしていって、仲間にしていくのかなというふうに思っています。
【中須賀主査】 大丈夫ですか。ありがとうございます。それではオンライン、ちょっと待ってください、オンラインから永井先生、その後、金子先生いきます。永井先生、どうぞ。
【永井委員】 ありがとうございます。日本大学の永井です。ご説明いただきましてありがとうございました。大変興味深いお話でした。地球接近天体の発見、追跡ですとか、素性の解明において、民間との連携可能性がある、特に民間企業にとっては、深宇宙探査に向けた技術的なアセットとなるっていうのは、非常に興味深いお話でした。
ちょっとご質問させていただきたいのは、プラネタリーディフェンスについてということなんですが、実際にプラネタリーディフェンスに向けた取り組みということを考えると、これは例えば日本が単独で取り組んだりですとか、各国がばらばらで取り組んだりするというのはあまり現実的ではなくて、地球接近天体の追跡情報ですとか、そのような民間との連携の中で集めた素性に関する情報っていうのは、共有していくっていうことが前提になるのかなというふうに感じているところなんですが、そういった情報共有に向けた国際的な枠組みの形成っていうことについて、何か具体的な話が進んでいるのかですとか、そのあたりちょっと情報をお持ちでしたら教えていただければと思います。
【JAXA藤本所長】 ありがとうございます。基本的には、国連の中にそういった組織がありまして、欧米が今まではリードしていました。ですけれど、例えば地上観測を考えますと、どんどん違う経度で観測していったほうがいいとかいったことがあるんですね。そういった意味で、アジアパシフィック地域においても、欧米並みに物事を充実させていかなきゃいけないだろうと。そういったことを考えた時に、日本がリーダーシップを取らなきゃいけないっていう、ある種の覚悟を決めたっていうのが、「はやぶさ」2号機の成功があってのことです。
ですので、国連での活動ですけども、アジアパシフィック地域は、ちょっとへこんでいるので、そこは日本がリーダーシップを取って、ちゃんと世界全体でこういった活動を支えていこうということを考えてます。
宇宙探査においてプラネタリーディフェンスに貢献するっていう意味では、実は日本と欧州は、かなりいろいろ、3つぐらい計画、進行中のもの、あるいはこれから打ち上げようとしているもので協力しているものがありますので。アメリカとはそこではまだ連携できていないんですけども、まずは日欧連携で地球防衛に関する宇宙ミッションを推し進めていくということは今進行中でやっていることです。
【永井委員】 ありがとうございます。承知いたしました。どうもありがとうございます。
【中須賀主査】 金子先生、どうぞ。
【金子委員】 詳細なご説明ありがとうございます。私ちょっと惑星保護技術、バイオバーデンのところでお伺いしたいんですけど、確かに、人類あるいは人類の活動に伴って持ち込まれる微生物っていうのはもう外来種そのものであって、生物多様性の観点からも、そのコントロールって非常に大事だと思います。
2つ目のポツのところに、ステップ1クラスの小型着陸機の惑星保護を実現できるデモルームの設置を開始したっていうふうに書いてらっしゃって、これはすいません、ちょっと何かのインフラであれば、こういうのがきっかけになって、その関連産業の方々も地上で手軽に実験できたりとか、そういうものなのかなというふうに拝察しておりました。具体的にこのデモルームっていうのがどんなものなのかっていうのを解説していただいてもよろしいでしょうか。
【JAXA藤本所長】 今、担当者が横におりますので、担当者からお願いします。
【JAXA木村特任助教】 JAXA宇宙研の木村と申します。こちらデモルームですけれども、まず小型の着陸、火星着陸機を打ち上げ前に微生物管理した状態で組み立てられるような、そういったクリーンルームを今設計して、準備しております。こちらは完成しましたら、それ自体、非常に低バイオマスの環境になると思いますので、こういった技術を利用して、技術開発していくプラットフォームとしても使えるんではないかというふうに考えています。
【金子委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中須賀主査】 どうぞ、石井先生。
【石井委員】 詳細なご説明いただきました。ありがとうございました。私のほうから2点お伺いしたいんですけれども、1つ目は、小天体の探査のところに関してなんですけれども、お話にありましたように、さまざまな目的においてこれを行うことが検討されていると。例えば、これまで科学的調査がメインだったと思うんですけども、他にもプラネタリーディフェンスであるとか、資源開発についても重きが置かれているということなんですが、当面、どういった優先順位でその小天体を選定といいますか、そのターゲットとして選んでいくのか、もう少し教えていただければと思いました。それが1点目です。
2点目は、19ページのところのご説明で、小天体の探査に関しても、今後新たな産業創出につなげていくというふうにご説明いただいたんですけれども、今のところ、そういった、これを行うことによって、ビジネスとしての価値が生まれるということではないと思うんですけれども、今後どうふうな見通しでこの新たな産業をつくっていくということなのか、もう少し教えていただければと思いました。
以上です。
【JAXA藤本所長】 まず2番目の質問ですけど、これまさに先ほどの議題の最後のほうにあった議論だと思うんですけども、この宇宙産業という言葉のややこしさっていうんですかね、宇宙そのもので産業とするのか、あるいは宇宙に挑戦することで、より大きなマーケットのところにおいての優位性を確保するのかっていう話だと思います。
ここについては、こちらでは、それこそメーカーの方がお考えになることなので、具体的にどうだということはあまり申し上げることじゃないのかなと思うんですけども、こういった目的のため、小天体をちゃんと調べようという目的のために技術開発していくと、いろんな工夫が出てくると思うんですよね。そういったものが、例えば、より大きなマーケットになるところについての活躍につながっていくのかなっていうのは一つのイメージとしては持っているところです。
前半ですけども、いろんな小惑星を調べるっていうことなんですけども、これ多分それこそどういうミッションを組むかっていうことでいろいろあり得ると思います。でも一番簡単なのは、向こうからやってくること、ものを待ち受けるっていうのが一つ一番簡単なものかなと思ってます。技術的にいろんな話になっちゃうんですけど、うまく工夫すれば、一つの探査機で一つの小惑星だけを探査するっていうことではなくて、一つの探査機で複数の小惑星を探査するなんてことも可能になるんですね。
なので、この辺もアイデア勝負で、いろんな考え方があると思いますけども。われわれの中では、今、準備してるミッションでは、あるやり方でやるっていうのもあるし、別の考えを持っておられる方もいるしっていうところです。これちょっと中須賀先生の前で話、これ以上するのは恥ずかしいので。お答えになっていますでしょうか。
【石井委員】 ありがとうございました。1点目に関しましては、ということは、すいません、ちょっと表現がいいのか分かりませんけれども、やれそうなところからやるという、そういうイメージでよろしいですか。
【JAXA藤本所長】 そうですね。資源の問題で、ほんとに宇宙資源で採算取れるんですかっていうのは、誰にも答えられない問題だと思うんですけど、だからといって、じゃやめときなさいって話でもないのかなという、そういうふうに思っているところです。
【石井委員】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 11時半過ぎましたけど、もうちょっとやらせていただいてよろしいですかね。大丈夫ですかね。もし先生方、委員の方々で行かなきゃいけない方は抜けていただいて、もう少し、大事な議論してますので、やらせていただきたいと思います。他いかがでしょうか。若田委員、お願いします。
【若田委員】 ご説明ありがとうございました。6ページのわが国の技術戦略というところですが、国際パートナーとの駆け引きと競争と協力のバランスが必要になってくると思います。Gatewayでも、国際共同チームで日本の目指す技術領域みたいなものを、意思表示をきちんとした上で、国際協力でリーダーシップを取れるところは取ってきたと思います。
ここに書かれている戦略に関しては、例えばISECG等の共同グループがこれまでもありましたが、特に先ほど藤本先生おっしゃられた、アジア太平洋地域でのリーダーシップを取っていくような時に、どういう国際的な枠組みの中で、こういった戦略を日本として既に海外に提示しているのか、それとも、これは国内だけで判断をされて、進めてきていらっしゃる戦略案ということでしょうか。
【JAXA藤本所長】 すごくあれですよね、今の世界情勢を巡るようなご質問かなと思います。もちろん日本のコミュニティーは自分がやりたい、自分がやりたいとおっしゃいますし、これ先ほど申し上げたように、欧米とは違う、第三の道を日本がリードするという形にもなっているので、火星着陸探査ってほんとみんながやりたいことなんですよね。今、最近では、どんな国でもそれなりの技術を持っているけども、でも火星着陸ミッション全部を組み上げられるっていうのは、多分欧米と日本までなんですよね。
なので、日本というのは多分、その他の国の中で一番大きな、一番技術を持ってる国、その他の国の中では唯一プロジェクトを組み立てられる国なので、ある種の第三の道を引っ張っていく責任があるのかなと思っています。ですので、自分としては、今まで欧米と協力してきた中で、実はアジア地域で技術を持っている国と連携していくっていうんですかね、火星の現場まで連れてったら活躍できる技術を持っている国を、こちらが輸送サービスを提供した上で、一緒に面白いことやるって、そういったアジアパシフィック地域での連携というのはかなり意識したいなというふうに思っています。
アジアパシフィック地域の連携っていうのは、実はもう一つのテーマ、プラネタリーディフェンスにおいてもすごく大事なので、多分プラネタリーディフェンスの地上観測どうのこうのっていう議論の中で、アジアパシフィックで連携していきましょうっていう機運が盛り上げるので、そこにさらに、火星着陸でも、ほんとに面白いミッションになると思いますので、火星着陸が。そこでも一緒にやりましょうかとか、そんなことを考えてますね。
そこで、今日のお話は、2つのテーマどちらも民間の方に活躍していただける余地がいっぱいあるって申し上げたんですけども、これ実は、ニューカマーっていうんですか、今まであまりミッションやってこなかった国の人にも参加してもらえるっていうことにもなると思うので、その意味においてもアジアパシフィック地域を意識していきたいなというふうには思っています。
【中須賀主査】 ありがとうございました。大体よろしいでしょうか。
ありがとうございます。藤本先生、私のほうからもちょっと、この小天体関係で少しお話があるんです。14ページを出していただいて。この左側のPROCYON、このOMOTENASHI/EQUULEUSの成果ってすごく大きかったなって思っています。これ例えばEQUULEUSは、同時に何機か、アルテミス1から放出されましたけれども、きっちり動いたのはこのEQUULEUSだけだったと。それから、PROCYONというのは、世界初の超小型衛星における深宇宙探査機になったということで、この分野はやっぱり日本はすごく強いんじゃないかというように思います。
だから、これをベースに、例えばこういう小天体探査をするような企業が日本の中で出てくるというもう時期になってるんじゃないかと。今も幾つかベンチャー会社、スタートアップがこういった超小型の探査なんかを担っている、一部担っているということですけれども、なかなか地球周りのプロジェクト、ミッションをやっている企業からすると、なかなか深宇宙に100%重き、足を置けないという、こういう時間的な問題もあって、そういう考えると、この超小型衛星による探査の専門メーカーが出てきてもいいんじゃないかって、そういうフェーズになってるかなというふうに思います。
それをやることによって、そこが継続して、プロジェクトを起こすということで、どんどん力を付けて、確実にできていくような、こんな世界をもう一回つくっていく。昔、メルコさんとかNECさんとか、そういった形で育ってきたという経過がありますけれども、それと同じことをもう一回ここでやって、超小型衛星による深宇宙探査、あるいは宇宙科学も入れてもいいと思いますけれども、そういった企業さんを育てていくということをここでやったらどうかなということをいつも強く感じております。
そのためには、継続的な、ビジネスのためのお金が必要だと思いますけれども、それは、例えば宇宙研がアンカーテナンシーになって、継続してプロジェクトをしていくと。そこでっていうのは、それだけでビジネスにならないかもしれないけど、そこで得られた技術をベースに、それ以外にどう展開するか、それは企業さんが考えればいいところで、そういったことをやってもいいんではないかということで、せっかく例えばJAXA基金があるから、そういうのを有効活用することで、今のようなことができる、今大きなチャンスではないかというふうに思っております。
この辺については、藤本先生、どうお考えでしょうか。
【JAXA藤本所長】 そのとおりでございますっていうのが、まず最初の反応なんですけれども。
深宇宙探査ってどうしても、そんなに頻度が出せないんですよね。ですけども、小天体、たくさん調べなきゃいけないよねって話の中で、この頻度の問題、あるいは社会的な要請もありますし、そういう意味で、いいテーマなのかなと。今、中須賀先生におっしゃっていただいたようなことを進めていく上では、ちょうどいいテーマなのかなと。小型機が活躍するというテーマだという意味においても、いいテーマなのかなというふうに思ってます。
それと、これさっきの宇宙産業という言葉がどうのこうのっていう話につながるんですけれども、なかなか普通の意味でのビジネスにならないので、どうしてもぎらつくことを言いがちだと思うんですよね。どう表現していいのか、よく分からないんですけども。ですけども、まず小天体探査、従来の意味の、従来の惑星科学の狭い意味での小天体探査じゃなくて、ちょっと新しいフレーバーが加わった意味における小天体探査でも、たくさんの小天体をちゃんと調べていくっていう、割と地に足の着いた話から新しい展開を生み出すことができるので。そういった意味においても、進めやすいテーマなのかなというふうに思ってます。多分蛇足でした。すいません。
【中須賀主査】 大事だと思います。政府からの、数が多くないといってもそれなりに数があるので、そこでベースの多分アンカーテナンシー的な収益が上げられて、あとはそれをどう生かすか、さっき申し上げたとおり、それは企業さん考えればいいっていうことで。これはすごく大きな一つのチャンスではないかと個人的には思いますので、ぜひご検討いただければと思います。
【JAXA藤本所長】 ありがとうございます。賛成です。
【中須賀主査】 ありがとうございました。いかがでしょう。よろしいですか。何かJAXAさんのほうからよろしいですかね。
それでは、以上を持ちましてこの議題5は終わりにしたいと思います。藤本先生、ありがとうございました。
【JAXA藤本所長】 ありがとうございました。
【中須賀主査】 最後に議題6ですけど、これはちょっと短時間にやりますかね。「国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向」について、事務局より説明をお願いいたします。
<原田戦略官より資料70-6-1に基づき説明>
【中須賀主査】 ありがとうございました。何か委員の皆さんからご質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。じゃ、榎本委員、お願いします。
【榎本委員】 ご説明ありがとうございます。油井宇宙飛行士のISS長期滞在についてなんですけれども、宇宙飛行士さんが宇宙に飛び立つ時が何よりも注目を浴びる時だと感じています。JAXAさんの広報活動、私自身もいつも楽しみにしているんですけれども、加えて今の商業化ですとか、ポストISSのこの流れを加速させたいという、今だからの時期だと思うんですね。なので、ビジネスイベントなどを活用して、この宇宙飛行士さんが滞在している時期に、経営者とかビジネスパーソン向けにも、有人活動の動きを分かりやすく伝えていくということが大事なんじゃないかなと思っています。コメントさせていただきました。
【中須賀主査】 ありがとうございました。それではよろしいですかね。
それでは、原田さん、大丈夫ですかね、これで。ありがとうございます。それでは、以上をもちまして本日予定していた議事は全て終了です。最後、事務局から連絡事項があればよろしくお願いします。
【川端補佐】 事務局です。本日の議事録や資料は文科省のホームページに公開いたします。次回の開催の具体的な日時につきましては日程調整の上、改めてお知らせいたします。
以上です。
【中須賀主査】 それでは、以上をもちまして本日は閉会といたします。皆さんありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課