ここからサイトの主なメニューです

原子力科学技術委員会 群分離・核変換技術評価作業部会(第7回) 議事録

1.日時

平成26年8月20日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館18階 研究開発局1会議室

3.出席者

委員

山口主査,中島主査代理,長谷川委員,藤田委員,峯委員,矢野委員

文部科学省

田中研究開発局審議官,西田放射性廃棄物企画室長

オブザーバー

上塚日本原子力研究開発機構理事,池田日本原子力研究開発機構J-PARCセンター長,森田日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究センター副センター長,大井川日本原子力研究開発機構戦略企画室次長

4.議事録

【山口主査】 おはようございます。定刻になりましたので,ただいまから第7回群分離・核変換技術評価作業部会を開始いたします。

 本日は,御多忙のところ御出席いただきまして,誠にありがとうございます。

 これより議事に入りたいと思います。本日の議題ですけれども,お手元の議事次第に書かれているとおり,群分離・核変換技術の進捗状況紹介,それから,前回作業部会での指摘事項について,そして核変換実験施設の技術課題進捗に関わる見解についてとなってございまして,最後にその他ということがございます。

 それでは,まず事務局から出欠の確認と配布資料の確認をお願いいたします。

 

【西田企画室長】 放射性廃棄物企画室長の西田でございます。

 出席の確認でございますけれども,本日は和気委員から欠席の御連絡を頂いております。8名中7名の委員に出席いただいておりますので,定足数である過半数を満たしております。

 続いて,本日の配布資料でございます。座席表,議事次第,資料7-1,資料7-2,資料7-3,資料7-4,そして資料7-5までお配りさせていただいております。またこのほか,席上の配布参考資料といたしまして,議事録案と,後からお配りさせていただいた,こちらの方の,資料7-4の14ページで,資料の印刷が少し悪かったということでございましたので,差し替えということで後からお配りさせていただいております。

 資料の欠落等ございましたら,事務局までお知らせいただければと思います。議事の途中でもお気づきの点がございましたら,遠慮せずにお申しつけいただければと思います。資料につきましては以上でございます。

 

【山口主査】 資料はよろしいでしょうか。

 それでは,ただいまから議題に入りたいと思います。

 今回は,藤田委員,日本原子力研究開発機構(原子力機構)及び事務局に資料の用意をしていただいておりますので,それぞれ説明していただいた後に,質疑,議論を行わせていただきたいと思います。

 議題1番,群分離・核変換技術の進捗状況紹介についてでございます。まず,総合科学技術イノベーション会議の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)で,本年6月に核変換による高レベルは放射性廃棄物の大幅な低減,資源化という課題が採択されてございます。現在,文部科学省が進める群分離・核変換技術の開発とも密接な関係がございますことから,今回,内容について説明をお受けしたいと考えてございます。

 それでは,課題のプログラムマネージャーである藤田委員に,本日は資料7-1について説明を頂きます。

 藤田委員,よろしくお願いいたします。

 

【藤田委員】 このImPACTが採択されましたので,プログラムマネージャーとして,今,実際の研究開発について月に1回ずつのヒアリングを経て,詳細をまとめつつあります。ImPACTは180件の応募があって,最後は12件が採択されているのですが,その12件に絞り込む前の書類選考のヒアリングに使いましたその資料をお持ちしておりますので御紹介させていただきます。

 次のページは内閣府のホームページに掲載されています12件の資料でございます。研究開発プログラムの概要と書いてございますけれども,今まで高レベル廃棄物のうちのマイナーアクチニド(MA)がこの作業部会で検討されていましたけれども,長寿命核分裂生成物(LLFP)については,高レベル廃棄物として処分することになっていました。処分するものの中から,白金族やレアメタルを回収して,一般産業用に再利用するということを考えているプログラムでございます。

 右側にいきまして,今回のImPACTというのは,ハイリスク・ハイリターンのプロジェクトを選ぶということで,どこに非連続のイノベーション,ポイントがあるかということをかなり精査されました。1つは,ここにありますように今まで核反応データ等が十分でなく,長寿命の核分裂生成物の核反応パスがいろいろ選べなかったということだったのですが,理研にRIビームファクトリーという最先端の施設ができたことによりまして,いろいろな核種の核反応データをとれるようになりました。この施設を使って今までにない核反応データをとることによって,長寿命核種を安定核種,あるいは短半減期核種に核変換するということが大きなポイントでございます。

 右下にいきまして,社会,あるいは産業へのインパクトという点ではどういうことがあるかということにつきましては,今まで再処理工場の高レベル廃液から,長寿命核種を分離回収するのは一部では研究されておりましたけれども,今回,イギリス,フランスに依託して再処理した際に返還されてきましたガラス固化体についてもこれを粉砕して溶解して核種を回収できることを検討するということを考えておりまして,これによりまして高レベル放射性廃棄物を大幅に低減できる道筋をつけたいと考えております。

 一方,先ほどの核変換によりまして,今まで回収しても放射能があって再利用できなかったものについて核変換で再利用できるような形にしたいということです。資源化という観点では,自動車用の触媒とか,磁石等に再利用する。一方,再利用できないようなものについては,安定な廃棄物として,TRU廃棄物,あるいは低レベルの廃棄物にしたいと考えております。

 3ページ,4ページ,これはちょっと大きなパワーポイントになってしまいましたが,採択された12件の概要,これも内閣府のホームページに載っているものでございます。今回12件採択する際に,若手と女性プログラムマネージャーを優先的に選ぶということで,若手の男性の方2人,女性が2人入っております。内容としては,後で読んでいただければわかるのですが,レーザーやロボット,ちょっと面白いものでは,4ページの下にありますクモの糸のように強い繊維,あとは脳科学的なものが選ばれております。

 ただし,12件のうち11件は比較的成果が見込める全国的なイノベーションで,私どものプロジェクトのみが非連続,破壊的イノベーションといわれていますけれども,かなり成果が予測できないプロジェクトと言われております。

 続きまして,7ページ目ですけれども,こちらはもうこの作業部会で御説明するまでもないことで,実はMAの核変換とは一線を画すということで,長寿命のLLFPだけに限定したプログラムになっております。

 8ページ,先ほど一部御紹介しましたけれども,今まで高レベル廃液に含まれています有用元素については,幾つかLLFPについても回収する研究開発がされていますが,回収したものに放射能が含まれているということでありました。今回,実際にこのプログラムで回収した白金族とか希土類がどういう量になるかというのが右の図に書いてございまして,これは六ヶ所村の再処理工場,800トン/年のプラントを動かした際に出てくるものの量を評価しているもので,現状の自動車用触媒とか,ネオジム磁石の需要に対してはその産業に影響を与えるほどの大きな回収量は見込めないのですが,いざとなって,例えば海外から調達できないときに,これらのものを備蓄することによってある程度,レアメタルに対する海外戦略に影響できるのではないかという量でございます。

 9ページ目が,先ほど御紹介しましたが,理研に設置されましたRIビームファクトリー,これが現在のところ世界最高性能でございまして,通常放射性核種というのは廃液から回収したものにいろいろなビームとかを当てて,断面積を測定するのですが,これは自分自身で,RIビームファクトリーそのもので核種をつくることができて,それにビームを当てるということで,核種をいろいろなところから回収して持ってこなくても済むという大きな利点がございます。

 また,下のJ-PARCはここの中でも議論されていますが,こういうものを使って通常の核分裂反応,あるいはn-γ反応等のほかに,中性子の捕獲反応とか,ミューオンの捕獲反応とかという,どちらかというと今まで研究されてないような核反応データをとることを考えております。

 一方,右下に粒子・重イオン輸送計算コード(PHITS)というシミュレーションのモデルの例が書いてございますが,RIビームファクトリー等で取得したデータそのものですと,まだ核変換パスというところまでいきませんので,そこは右下にありますようにシミュレーションコードをうまく使って,きちんとしたパスにして,その後ある程度のパスが見つかったところで,今度はきちんとターゲットで核種をつくって,照射することによって確認するという手順を考えております。

 このように,分離技術と核変換システムを組み合わせることによって世界で初めてのパスを提案できるのではないかと考えております。

 次のページがプログラム全体のことを書いてございますが,ゴールとしては実用化ということをかなり言われましたので,分離・核変換システムのプラント概念設計というふうに提案ではしておりましたが,予算が50億から30億に減らされたということもありまして,ここは若干トーンダウンして,現在はプロセス概念検討というふうにプラントまではいかない,アウトプットにしようと考えております。

 今,御紹介しました全体像がこちらに書いてございまして,左下の核反応データ取得のところでいろいろなデータをとって,それを使って核変換する。

 もう1つは,右下にあります新しい核反応制御で,これはコンペ方式で,いろいろなアイデアを募集しようと考えていますが,これによって新しい芽もつくっていくことを考えております。

 次のページが今のお話ししましたものをある程度整理したもので,まずは高レベル放射性廃棄物を大幅に低減できるシナリオをつくる。白金族等を回収する技術を確立して,核物理学と原子力工学の英知を結集しまして,新しい核反応制御を提案したいと考えています。

 12ページ,核反応データを取得することと,先ほどのモデルとシミュレーション,そして新しい核反応制御法の開発,ある程度組み合わせた形で検討いたしまして,分離回収技術と組み合わせて最後はプロセス概念検討に持っていきたいということで,ここは提案時のメンバーなのですけれども,産官学が連携する形になっています。

 また,右側に移りまして,このようなテーマというのはちょっと社会科学的な観点の皆さんの御意見を入れる必要があるということで,タウンミーティング等も考えております。

 今申し上げたように,分離回収技術とか,新しい核反応制御につきましては,1つの技術に偏るのではなくて,コンペ方式で2,3のプロセスを並行で走らせてよいものを最終的に評価し,1つに絞り込むということを考えております。

 13ページ目は,この体制についてまとめたものでして,今,申し上げましたように産官学,既存の枠組みを超えたということを書いております。

 産業・社会へのインパクトはこちらで申し上げることはございませんが,1つは,真ん中にあります資源化ということをかなり強調したものになっております。

 最後のページになりますが,このようにリスクの多いテーマを研究開発することによって,原子力分野の若手の人たちにある程度夢を持っていただく。新しい研究分野を提案することによって3.11以降,日本は原子力分野でかなりいろいろな面で落ち込んだり,攻撃を受けたりすることがありますけれども,それに対して日本だから新しい分野が提案できるということをアピールしていきたいと考えております。以上でございます。

 

【山口主査】 それでは,御意見,御質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。何かございますか。

 

【中島委員】 そもそも論というか,基本的なところで,これは何年間のプロジェクトですか。

 

【藤田委員】 5年間,正確には4年3か月です。今年10月から平成30年12月31日まで。実は平成25年度に内閣府の方で550億円の基金をつくっていただきまして,それを約5年間, 12プロジェクトに振り分けるというものでございます。

 

【中島委員】 コンペ方式で2つか3つほどのテーマという,これはもう今動いているのですか。

 

【藤田委員】 今,作り込みをしている段階で,実は昨日,非公式な研究会を開いて,その辺を検討してきているのですけれども,今,コンペ方式をどういうふうに公募要領につくるかということを検討しています。恐らく今月末か来月はじめに公募を始めて1か月ぐらいの間,公募期間を設けてできましたら9月,10月ぐらいから,公募をすると3か月かかると言われているので,11月か11月半ばぐらいから実際の研究開発をすることになると思います。公募は一応3年間,研究開発をしていただいて,その成果を評価して,最後プロセス概念に組み立てなくてはいけないので,一応とりあえずは1つに絞る予定です。

 ただ,こういうリスクの大きいテーマなので,1つに絞ってしまいますと,どこでどんでん返しがあるかわからないので,第2候補,第3候補,一応選んでおく予定です。プロセス概念にするのは第1候補でやりたいと思っています。

 

【中島委員】あともう1つ,これはPT(分離変換)全体にかかるかもしれませんけれども,有用金属の再利用ということで,それが使えるかどうかというのはやはり幾ら変換しても,何らかの不純物として混ざってしまうのではないかと懸念,要するに社会的にそういったものが受け入れられるかどうかということで,タウンミーティングみたいなことを考えています。そこら辺で何かそういう目標設定,どこまで下げなければいけないとか,そういうことを検討されるということを考えているのでしょうか。

 

【藤田委員】 原子力では昔から再利用という話はされていましたけれども,なかなか実現していなくて,例えば濃縮プラントに使ったアルミなんかをイギリスでは市場に出ていて,私たちが飲んでいるアルミ缶の中にもそれが入っているので,核種の割合がおかしいとかということが実際には出てきているのですけど,日本では法律の関係がありますので,そこをきちんと変えないと,実際には白金族の再利用,実用化ということは難しいと思います。

 今回もパラジウムを第1候補にしているというのは,身につける貴金属だと駄目なのですけれども,産業用のパラジウム,自動車触媒という面ではそれがクリアしやすいかなと。ただ,法律を変えないと駄目だということは十分に承知しております。

 

【山口主査】 ほかには何かございますか。特によろしいでしょうか。

 この理研の櫻井先生のお話はこの場でも御紹介,いつでしたかしていただいて,非常にすばらしい狙いのいい研究だなと思って聞いておりました。感想になるのですが,こういったことがなかなか実際に実現するには相当ハードルが高いと思うのです,ただこういう技術があって,将来にわたって,今は資源化というのを1つのオプションとして持っておくというお話をされたのですが,こういう技術を開発しておいて,いろいろな可能性を広げておくというのは非常に意味があると思いますので,相当大変だと思いますが是非実現していただきたいと思います。

 

【藤田委員】 今回選択した核種だけを核変換したとしても,高レベル放射性廃棄物の大部分はまだ手がつかないわけで,それをどうやってシナリオ的に一般の方に納得していただくか,次のフェーズとして,ここに入ってない核種でも高レベル放射性廃棄物としてかなり問題になるものを次のフェーズではきちんと研究開発するという,広がりを今後考えていかれたらいいということで,出だしということで始めたいと考えています。どうぞ皆様御協力をよろしくお願いいたします。

 

【山口主査】 せっかくなので,原子力の利用の場でこういうプロジェクトを御紹介いただくと,この中で負の遺産と思われていた廃棄物に対する見方を変えたいという,そういう意図もあると思いますので,そういうところで是非こういうプロジェクトを積極的に宣伝していただいて,こういう見方もあるのだともっと広く知っていただくのも,是非プロジェクトマネージャーとしてはお願いしたいなと思います。勝手なことを申し上げてすみません。

 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは,藤田委員,どうもありがとうございました。

 続きまして,前回に引き続いて原子力機構からの資料7-2について説明いただいて,それから議論に入りたいと思います。

 では,説明をお願いいたします。

 

【池田センター長】 はじめまして,私,J-PARCセンターの池田でございます。今日は初めてこの席に座らせていただきます。

 私どもが今提案しています核変換実験施設に関しまして,この委員会できちんと審議していただいていること,本当にありがとうございます。

 私どもJ-PARCのビューといたしましては,この核変換実験施設はそもそもJ-PARCを打ち上げたときの3本柱の1つで,今までなかなか先に進めなかった,やっとここに来て皆様にこうやってお話をしていただいている,本当に感慨深いものがございます。J-PARCとしまして,ここをきちんと支える体制といたしまして,もう既に液体金属である1メガワット,水銀(Hg)の技術を私どもはゼロから立ち上げて,様々な技術的な困難を克服してきたという非常に大きな自信につながる経験値がございます。これが今回実験室の最初のパイロットプラントになる実験施設の足掛かりになると考えておりますので,今後ともここのところはJ-PARCとして全面的に支えていきたいと思っております。

 その間に,今日これから御紹介させていただきます国際協力,人材育成,これもJ-PARCが培ってきた1つのプロセスの大きな資産として私どもが持っていると自負しておりまして,この辺も今後の新しい局面はたくさんあると思いますが,そこにすべての我々の持っている資産を投じていきたいと強く思っています。今後とも,よろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 説明は,前川の方からさせていただきます。

 

【前川リーダー】原子力機構の前川と申します。資料7-2を説明させていただきます。

 この資料ではテーマを4つ挙げまして,国際協力,人材育成,高速炉開発との一体的取組,産学との連携でございます。

 2ページ,国際協力,全体像につきましては,第3回の作業部会の資料2において説明されております。この2ページにおきましては,加速器駆動核変換システム(ADS)ターゲット試験施設(TEF-T)建設に係る国際的なネットワークについてまとめたものであります。

 まず,左上のMEGAPIE(Megawatt Pilot Experiment)実験ですけれども,これは2006年に世界初の液体の鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いたメガワットクラスの核破砕ターゲットについて,4か月間の照射運転をしたものであります。この経験から,青字で知見を示しておりますが,液体LBEターゲットの運転経験,施設の安全性の考え方,また実際にターゲット材料の試験片に照射しておりますので,ターゲット選定に関する知見,照射試験設備と試験計画,こういった知見が集約されつつあります。

 その下にいきまして,今,池田からも説明がありましたが,加速器駆動中性子源の基本設計としまして,我々はJ-PARCの中性子の経験があります。またJ-PARCよりも2年先行して建設された米国のSNS(Spallation Neutron Source)の経験もございます。こういったものの知見が集約されております。

 液体LBE取扱い技術としまして,ベルギーの原子力研究センター,あるいはドイツのカールスルーエ工科大学において実際に液体LBEのループを持っておりまして,様々なことをしております。こういった研究センターと協力して知見を集約しております。

 上にいきまして,このほかにも様々な国際会議等で情報交換をしております。例えば,国際原子力機関(IAEA)の技術会合,経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の情報交換会議,EU枠組み,日米/アジア会議等です。OECD/NEAの成果としまして,右上に書いてありますが,約700ページにわたるLBE関連技術のハンドブックがまとめられております。このハンドブック作成に当たりまして我々は協力をしておりますし,またハンドブックを参考にして進めております。こういった国際的ネットワークで集約された知見をTEF-T建設に反映するものであります。TEF-Tが建設されますと,そこで様々な試験を行いまして,一番大事なビーム窓材料の高度化といった知見を得まして,これを反映する計画であります。

 次の3ページから5ページですが,国際協力に関連した最近の取組についてまとめたものであります。

 3ページ,スイスのMEGAPIE,先ほども御紹介しましたが,これは今年10月にテクニカルレビューミーティングの最終回が開催される予定で成果が取りまとめられる予定となっております。

 このプロジェクトにおきましては,フェライト鋼の照射データ,比較的低温時のLBEターゲット利用や計測技術等,核変換実験施設(TEF)建設に向けて貴重な知見を獲得することができます。

 また,ベルギーのMYRRHA(Multi purpose hYbrid Research Reactor for High tech Applications)計画につきましては,今年5月にベルギー大使館で開催されたワークショップに参加いたしまして,MYRRHA計画の現状について情報提供を受けまして,また日本の産業界からもたくさんの参加を得まして,産業界との連携を深めることができています。

 次の4ページは,国際会議等での情報交換ですけれども,まずは,日米民生原子力研究開発協力(CNWG)の取組で,これは今年2月に会合がありまして,特に乾式再処理分野の意見交換等を提案しております。

 また,2つ目の項目は,前回御説明いたしましたが,J-PARCのTEFテクニカルアドバイザリー委員会(T-TAC)というものを今年7月に第1回の委員会を開催いたしまして,8月1日に提言をまとめた報告書を受け取ったところでございます。

 3つ目,4つ目,5つ目は,先ほども一言申しましたが,IAEA,OECD/NEA,アジアADSネットワーク等の会合がこの9月から11月にかけて開催される予定で,こういった会合に参加して,世界の知見を集約するというものであります。

 次,5ページにまいりまして,ここでは具体的な技術協力についてまとめております。

 ベルギー,ドイツとの協力なのですが,昨年10月から11月にかけて原子力機構研究者が両機関を訪問して,LBEの取扱いについて調査,意見交換をしています。

 ベルギーでは,酸素濃度を様々な方法で制御するための試験をやっておりまして,その知見を我々が入手することによって,我々が行うR&Dのスコープを絞ることができました。

また,カールスルーエ,ドイツでの取組ですが,彼らはLBEの中の酸素濃度自動制御装置を運用していまして,我々もこの技術を導入すべく実証試験を実施しているところです。

スイスのパウル・シェラー研究所(PSI)との協力では,これはMEGAPIE実験をした施設ですが,今年1月に実際にMEGAPIEに用いられたLBEターゲットの設計に関わった研究者を1週間招請しまして意見交換を行っています。

 次に,2つ目のテーマ,人材育成についてです。

 人材育成の観点から見た群分離・核変換技術ということで,第3回作業部会の資料の一部なのですけれども,高レベル放射性廃棄物の処理処分は長期にわたって取り組まなければならない人類共通の課題です。

 広範囲にわたる最先端の科学技術を駆使して初めて実現可能になるものです。こういったことから高レベル放射性廃棄物の処理処分技術というのは,若い世代にアピールできる課題ですので,藤田委員から御紹介ありましたが,原子力人材育成の観点で非常に貴重なテーマだと我々はとらえております。

 そういった認識のもと,具体的に何をしているかを7ページ,8ページに簡単にまとめております。

 まず,7ページでは,人材育成プログラム検討といたしまして,1つは,日本アクチノイドネットワーク(J-ACTINET)及び原子力学会,放射性廃棄物の分離変換研究専門委員会と連携し,産学官連携による分離変換研究会に関わる原子力人材育成を目的としたプログラムを検討しております。

 例えば,分離変換技術に関わるテキストを作成したり,若手研究者を対象にした見学実習やサマースクールを実施したり,また欧州サマースクールへの大学院生,若手研究者の派遣です。

 こういったことを実現するために,文部科学省平成26年度国際原子力人材育成イニシアチブ事業に応募いたしました。残念ながらこれは採択されず実現しなかったのですが,こういった努力をしております。

 8ページ,大学等での公開講座や学生・若手研究者対象のセミナー等での講演しております。原子力機構の大学公開特別講座での講演。東京工業大学,原子力学会,東北大学等が主催するセミナーで講演をしております。

 原子力機構における群分離・核変換分野における学生の受入れについてですが,最近の例ですと,特別研究生,夏期実習生という形で合計8名の受入れをしております。

 次,9ページに進みますが,高速炉開発との一体的取組。原子力機構には,高速炉サイクル開発の知見がありますので,その知見は極めて貴重なものであります。この一体的取組の目的としまして,共通基盤技術の共同開発,高速増殖炉(FBR)プラント技術の導入,既存施設の有効活用,将来施設の共同検討などが考えられます。

 具体的な取組としまして,昨年6月より高速炉関係者とADS関係者合同で,原子力機構の次期中期計画,これは来年度から始まりますが,これへの反映を視野に,両分野の研究開発を一体的に進める方法を検討しております。

 10ページ,11ページ,12ページが具体的な取組の例なのですが,10ページ,液体金属取扱い技術に関しては,ナトリウム(Na)冷却高速炉に関わるNa取扱い技術は,融点がほぼ等しいLBE取扱い技術開発の参考となります。また,高速炉の実用化戦略調査研究(FS)で実施されたLBE高速炉技術も適用可能となります。具体的には,超音波流量計測の技術開発では,FSで検討された計測技術を導入しておりますし,また我々が現在製作中のLBEループについて初期の設計段階からNaループの設計・運用実績を有する高速炉関係者と意見交換をしています。

 また,ループ保守技術では,「もんじゅ」の技術を参考とし,設置が容易で再利用可能なパッケージヒータの適用性を検証中であります。こういった取組をしています。

 次,11ページですけれども,分離技術に関しましては,MA分離に有効な抽出剤開発等は,分離変換の2つの概念,つまりADS階層型と高速炉利用型という2つの概念の共通基盤技術になります。MA分離に有効な抽出剤開発等,共通基盤的な技術について高速炉側に知見を提供しています。特に,新規抽出剤については,基礎データを提供して高速炉サイクルの開発への適用を検討しているところであります。

 逆に,高速炉再処理用に開発されている遠心抽出器について,群分離プロセスにおける溶媒抽出への適用を検討しているところでもあります。

 次に,12ページ,ここでは,MA含有燃料の製造・取扱い技術について,高発熱,高放射線環境でのMA含有燃料の製造・取扱い技術といった,分離変換の2つの概念に共通な基盤技術があります。高速炉研究開発の中で,アメリシウム(Am)を最大で約20%含有する酸化物燃料ペレット製造の実績があります。そこで培った技術・知見をADS燃料製造に運用することができます。このために物性データベースや,製造・取扱いに関する詳細情報交換に着手しております。また,以前から高濃度なMA含有燃料の製造試験を協力して実施しています。さらに,高濃度MA燃料製造とふるまい評価における共通技術課題の抽出に着手したところであります。

 13ページ,3つ目のテーマですが,産学との連携ということで,分離変換研究が基礎研究段階から工学基盤技術段階へ移行するに当たり,以下を目的に産学との連携に積極的に取り組みます。これによって,産業界より,プラント設計,TEF-T,核変換物理実験施設(TEF-P),MYRRHA,実機ADS,こういったプラントの設計,安全性,工学機器開発などの知見を導入することができます。また,学術界よりは,多様な概念や最新の科学的知見の導入,あるいは次の世代を担う若手研究者育成を期待することができます。また,原子力機構からは各開発段階のプラント概略仕様,分離及びADS燃料サイクルの工学プロセスの設計要件を提示することができます。

 14ページに進みまして,具体的事例としまして,産業界の知見の活用として,核変換実験施設検討の中で,核・熱特性の解析とともに,ターゲット試作,系統機器概念検討等について,メーカーと連携して実施しているところです。また,LBE取扱いに係る技術開発については,要素試験装置の設計などを通じて,超音波流量計測技術やマニピュレータを利用した遠隔操作技術等の要素技術についてメーカーのノウハウを導入,またADS技術や仕様に関する情報を提供しております。

 MYRRHA設計検討については,機器製作性の観点から設計検討について協議しているところであります。また,MA燃料・再処理の工学基盤技術開発においては,次世代燃料サイクル施設の概念検討,工学機器設計やプロセス開発についてメーカーのノウハウを導入しています。

 乾式再処理と窒化物燃料製造については,準工学規模試験,つまり機器概念の検討,熱設計,プロセス最適化等ですけれども,これについて,実績のある電力中央研究所(電中研)・メーカーの既存設備を活用した研究協力に着手しております。

 最後の15ページですけれども,大学との連携ということで,個別には様々な大学の先生方と研究協力を行っていますが,主な事例としましては,FFAG(Fixed Field Alternating Gradient)という加速器を擁する京大の臨界実験集合体(KUCA)を有効活用して,以下の研究をしております。

 1つは,FFAGを用いたパルス中性子法による未臨界度モニタリング技術の開発。また,LBEの冷却材ボイド反応度に関する核データの検証。更に少量MAによるネプツニウム(Np), Am転換比の測定を予定しております。

 最後に,藤田委員より紹介がありましたが,ImPACTプログラムについて,物理学コミュニティと連携し,競争的資金獲得に貢献しておりまして,原子力機構としてもプログラムの一部を実施する予定であります。

 

【山口主査】 それでは,ただいまの資料7-2でございますが,御意見,御質問をお受けしたいと思います。何かございましたらどうぞ御発言ください。

 

【長谷川委員】 こういう放射性物質ができるものについては,照射後試験に携わっている立場からすると,既存施設の有効活用がかなりちゃんとやらないといけないというのと,現在,ホットセルとか照射炉が,こういう言い方がいいのかわかりませんが,先細りしているような状態であると思います。今ここでおっしゃっている照射炉というのは,これは「もんじゅ」のお話なのでしょうか。それともほかの炉も含めて,いわゆる原子炉をお考えなのか,そこのところちょっと教えていただけますか。

 

【前川リーダー】 「もんじゅ」のほかに「常陽」,「JMTR(Japan Materials Testing Reactor)」とか幾つかあると思います。

 

【長谷川委員】 ちょっと私も原子力機構の方の照射炉の整理,整理という言い方が正しいかどうかわかりませんが,どういうところに原子力機構全体として炉をまとめていくかとか,将来計画とかなり密接に関わっていると思うのですけれども,どれでも使えるのか,どれでも使えるのだったら1つにしなさいとか言われてしまう可能性もあるわけですので,その辺,照射炉であれば何でもいいのか,あるいは照射量を稼ぐのであれば,「常陽」とか「もんじゅ」になりますし,「もんじゅ」はもともと試験炉,試験炉というのはオペレーションの話でなくて,材料とか燃料照射には余り向いてないと思っているのですけれども,そういうものを含めて「常陽」とかそういうところの有効活用と挙げているのですけれども,機構全体としてそれをずっとこれからもそういう意味で維持していこうという路線の中にちゃんと組み込まれているかどうかが1点です。

 同じように,このホットセルもそうなのですが,かつてに比べると随分東海研全体のホットセルが整理統合されている,それがまとまってよくなっている場合とそれから本当に大事なものがなくなっている部分があると思いますけれども,その辺の機構全体の中における,ある意味でお荷物みたいに思われているわけですね,この2つは。ただ,この2つがないと,ちゃんと機能しないというのもこの原子力の実態だと思います。その辺をどんなふうに機構全体としてお考えになっているのか含めてちょっとお話を伺えますか。

 

【上塚理事】 御質問ありがとうございます。今の御質問について,私の方からちょっと簡単にお答えしたいと思います。

 今,長谷川委員がおっしゃったように,照射炉,ホットラボ,ホットセルについては,おっしゃるようにお荷物という観点はそんなにないのですが,合理的な範囲で整理していく必要があるという認識がありまして,御承知のように,原子力機構改革検討を続けております。その中でミッションの再認識というのをやっておりまして,その中の大事な点として,原子力基盤技術,そこをちゃんと維持していく,発展させていくというのが大事なミッションだと再定義しておりまして,その中身は試験炉,放射性物質核燃料取扱い設備,これは我々のみが日本の中で持ち得る施設であって,これは今後,日本の原子力研究開発に係る展開の中で,どの施設をどういうふうに維持しなければいけないかを今検討している中で,例えば試験炉につきましては,「もんじゅ」はいろいろ頑張っていますけれども,「常陽」であるとか,「JMTR」,「JRR3(Japan Research Reactor 3)」,幾つかの原子炉がありますが,「JRR4(Japan Research Reactor 4)」というのは廃止の方向に持っていこうと整理しておりますが,ほかの「JRR3」,「JMTR」,「常陽」,「HTTR(高温工学試験研究炉:High Temperature engineering Test Reactor)」もそうなのですが,再稼働の申請をきっちりやって,これを当面使っていこう,これは大事な基盤施設であると位置づけをしておりますので,今回のプロジェクト,必要な照射というのは,こういうリアクターを組み合わせてきっちり行っていく。

 それとホットラボ施設についても今あるホットラボ施設は結構古くなっている部分もありますから,何が必要かということを今回のADSプロジェクトの中でも,何を重点的に使わなければいけないかということと,場合によっては新たに整備しなければいけない問題も出てくるかもしれない。それを総合的に検討した上でやっていこうとしておりまして,このプロジェクトはプロジェクトで,それと照射炉,ホットラボと無関係に考えているわけではなくて,これは我々にとっても将来大事なプロジェクトと考えておりますので,これで必要なものはかなり重点的に今後の整備,合理化計画の中で取り扱っていこうと考えております。

 

【山口主査】 多分,この資料は国際協力,あるいは高速炉との一体的取組という枠組みで書かれているので,ちょっと既存施設の有効活用という切り口になっているのですが,本来は,燃料製造とか分離変換も含めて,既存施設とその活用と新しい施設が必要なものと一体どうなのかという整理が課題としてまだ課題としてあって,そこの辺の絵はいずれここで議論していただくことになると思います。

 そういう意味では,その中で高速炉が今まで培ってきたものとして,こういうものとお出しになっているので,ちょっと片側だけから見ている面もあって,今のような議論が出たと思うのですが,非常に重要な問題で,ここの最初の方にも新しい施設が必要だと書いてあって,これは6ページです。最初に若い世代にアピールできる課題というのはともかく,その次の環境の整備が必要というところに入るその前のところに最先端の高度な実験が難しいというのと,国の展望が不透明だから,環境の整備が必要という切り口ではなくて,もう少しここの部分を技術的にどういう施設が必要かと,最終的には施設のそういうプラニングするときには,ここを充実させていただいて既存の施設として何が活用できるのか。それは炉の話と燃料分離変換の話とそれぞれあると思います。その辺はちょっと,今日は国際協力という観点ですので,またいずれ御意見を伺う機会もあろうかと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 

【峯委員】 2点の質問なのですが,国際協力という観点では,LBEのシステムの知見というのはロシアが相当先行して蓄積しているようなのですが,ロシアの知見の取り込みについてどう考えられているかという点。

 高速炉開発との一体的取組の項目では,高速炉のプラント設計においては,高温構造設計,基準も含めて,これの整備が非常に大きな比重を占めているのですが,ADSにおいて,その分野について今後どう考えられているのか,その2点を教えてください。

 

【佐々サブリーダー】 まずロシアの知見なのですが,確かにおっしゃるとおりロシアは軍事用の部分も少しございますが,進んでいるものがございまして,我々がLBEを始めたのは「もんじゅ」の直後ぐらいからですけれども,そのときにヨーロッパも含めて確かに一番進んでいたのはロシアでした。我々の方も当時国際科学技術センター(ISTC)等を通じて情報をとったり,実際に実験に立ち会ったり,そういうことをして多少知見を得てきたところがございますけれども,やはり我々が求める精度で必ずしも出てこない,実験条件がなかなかクリアにならない,そういうところがありまして,最終的にライセンシングまでのデータというのはそろえづらい。

 その後に,やはりヨーロッパも同じような問題があったと思うのですけれども,ヨーロッパの方が独自にいろいろ始めまして,そちらの方からの情報というのが我々の求めるものに近いというところが出てきまして,今はどちらかというとロシアよりはヨーロッパ,OECDのところから情報を得ているというのが中心になっています。

 それと高温構造のところなのですが,我々の方のADSが高速炉から比べますと,目的が発電よりも燃焼というところに主眼を置いているところがありまして,ヒートバランス的には,高速炉より若干落として,そこは少し逃げられるような設計を目指しているところがございます。当然,摂氏500度となってくると,ものによってはそういうところが必要になってくるわけですけれども,まずは高速炉のデータをベースに摂氏500度ぐらいのところまで押さえる。それから先はLBEの場合には材料腐食の問題も心配ですので,酸素制御で高温腐食が抑えられるかとまだちょっとわからないので,まずはそのぐらいの温度域でデータをそろえていく。高速炉の知見を中心にやるということを考えています。

 

【山口主査】 高温構造の話が,多分規格基準という意味合いでおっしゃっているかと思います。高速炉の場合に,ああいう液体金属で高温のシステムで規格基準が相当整備されていまして,一方,こちらはまだ全然手がついていないという状況なので,規格基準というのは,高温構造のいろいろなデータとかの集約といいますか,蓄積なので,その辺を参考にしていただいたらと思います。

 LBEの話は,たしか最近,ロシアでLBE炉を建設するという計画を聞いたような気がして,高速炉のフィージビリティスタディのときでも10年近く前,LBE炉についてロシアで情報交換をやっていて,その後のギャップが,多分FSでは主概念がNa炉になったので,その後,少し情報が欠落しているかもしれないので,念のため,確かにロシアはLBEのデータがあるのです。そのためウォッチはしておいていただいた方がいいかなと思います。

 

【峯委員】 最近,ロシアはかなり宣伝しています。相当精度よくできていると。中身とかデータの取得はなかなか難しいとは思うのですが,ちょっと気になっています。

 

【山口主査】 たしか次回の高速炉技術作業会(TWG-FR),高速炉のIAEA主催の国際会議はロシアで開催したいと。去年はフランスでしたが,ロシアで開催したいと言っていたので,たしか前回もLBEの論文とかが出ていたと思います。

 ほかに何かございますか。

 どうぞ,藤田委員。

 

【藤田委員】 2つありまして,今の5ページ,ベルギー,ドイツの協力のところで,酸素濃度の関係の報告があるのですが,こういう海外の技術,あるいは情報を入手するときに,やはり先に日本側もきちんとどういう項目を精査すべきかということを持ってやっていらっしゃるとは思うのですが,そのまま海外のものを入れるのではなく,先ほどちょっと酸素濃度だけでどうかというお話もありましたけれども,海外と国際協力するときには,こちらでもきちんと根本的にどういうものが必要かということを考えて,向こうからの情報ももらう,あるいは向こうをうまく使って,こういうデータもとるべきではないかということをやれるような対等の国際協力を是非していただきたいなということが1点です。

 それから,もう1つ,J-ACTINETなのですが,これは私が以前参加したことがあるのですが,これは個人的には非常に有用な取組だと考えています。ただ,若手の人材育成といったときに,どこもそうなりがちなのですが,原子力機構さんは原子力機構さんの中で閉じている。もうちょっと産官学のネットワークを。「学」はここでは結構入っていますが,「産」でいうと結構メーカーとかですと,この分野ではある程度ポテンシャルあるのは年長者なのです。そこはやはり若いときから同じ分野の研究者を産官学で情報ネットワークをつくっておいて,例えば新しい分野に挑戦するときは,そういうネットワークを使ってうまく提案していくことが有効だと思います。

 これは非常にいいと思うのですが,こういう話があったときに,どこも結構メーカーは年長者がやっているので,もう少し若い人同士が手を取って,そういう取組をしていただけたらなと,ちょっとお願いと要望です。

 

【山口主査】 今のは要望ということでよろしいでしょうか。私も人材育成は,前回報告をまとめたときにも,このプロジェクトというのは大学もそうですし,産業界からもやはり相当人材育成とかいう面で意味がある話で,これだけの予算を投じてやるのだったら,当然そういう,恐らく原子力機構のミッションとしては人材育成もあるかと思いますので,それに比べると今日の資料は,こういう人を受け入れていますみたいな話だったので,多分もっとポジティブな計画というのを少しずつ組み立てていただいて,藤田委員の御指摘に応えていただけるようなものを出していくということは,これのプロジェクトの付加価値をまたぐっと上げることになると思いますので,また是非御検討いただければと思います。

 

【上塚理事】 今,藤田委員と主査のコメントというのは有り難く受け止めたいと思います。先ほど,私,原子力基盤技術というところで,施設の話だけをしましたが,実はそのミッションの中で人材育成というのはそれと並んで大事だという位置づけをしておりまして,具体的に我々の原子力科学部門の中で,特にこのJ-ACTINETは非常にいい試みだと思っていまして,主査に言っていただいたように,ADSに関連したようなところで若い人をいかに育てていくかという観点でうまくそれを入れ込んで,是非計画をしていきたいと思います。

 

【山口主査】 よろしくお願いいたします。

 あとはいかがでしょうか。

 もう1つ,前回いろいろ頂いた指摘事項についての資料がありまして,またそこの中でも関連した議題になるかもしれませんけれども,もしあと追加で御意見などがありましたらお受けしたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは,どうもありがとうございます。

 では,続きまして,議題の2番目,前回作業部会の指摘事項についてという,資料7-3がございます。核変換施設での技術のポイントを整理した資料の7-4というのもございまして,7-3と7-4を併せて説明いただいて,それで質疑応答に入りたいと思います。

 では,説明をお願いいたします。

 

【辻本リーダー】 では,資料7-3につきまして,前回作業部会で頂きました御意見に関しまして,補足資料という形でまず御説明させていただきます。

 1枚めくっていただきまして,2ページ目に前回の作業部会での指摘事項とそれに対する回答の概要ということで表にまとめさせていただいております。これについて,それぞれ補足資料という形で御説明させていただきまして,まず私の方から(1)と(2)に関して,TEF-Pに関する部分について御説明させていただきたいと思います。

 まず,TEF-Pに関しまして,3ページ目に耐震重要度分類の予備検討ということで,どういう解析をやったかということで御説明させていただきます。

 まず,TEF-Pに関しましては,燃料としてプルトニウム(Pu)とAmの混合燃料を使うということを想定しておりますので,この燃料が破損した場合の周辺への影響ということで評価を行います。

 本来,こういう解析には希ガス,ハロゲン,ヨウ素(I)の吸入摂取による被ばく,あるいは外部被ばくも評価するべきなのですが,ここではTRUのPuとAmの影響のみを評価しました。評価に当たっての流れですけれども,3ページの右側に示しておりますように,まず使用しているMA燃料がすべて瞬時に破損したという想定でまず解析を行いました。

 そのとき炉室雰囲気への移行といたしましては,0.05%という値を用いております。この値は米国高速臨界実験装置(ZPPR)で用いられた値でありまして,ただZPPRの場合は金属燃料が酸化して炉室に移行したという条件ですけれども,この場合は酸化物燃料そのものということで,若干条件は違いますけれども,ZPPRの値がこういう値ということで,これを使用しております。その後,炉室,建屋に関しては深刻な損傷を受けているということで,それぞれ除染係数10を想定しておりまして,その結果地上放出されたということで想定しております。

 周辺の公衆への被ばく線量に関しましては,TEF-Pの建設予定地に隣接しております燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の定常臨界実験装置(STACY)で用いられた値を用いておりまして,大人の呼吸率,相対濃度に関しては,STACYにおける評価値を用いております。

 それから,TRUの吸入摂取による線量係数については,国際放射線防護委員会(ICRP)のPublicationの値を用いております。この結果,TEF-Pで使用するPuの同位体組成,量にも依存しますが,場合によっては,周辺環境の被ばく線量が5ミリシーベルトに近い値になる可能性があるということで現在評価しているところでございます。

 次にめくっていただきまして,TEF-Pで想定をしているMAを使用した炉物理実験ということで,TEF-Pでは主にAmを用いた実験を行うことを想定しておりますけれども,そうした特にAmに注目する根拠ということで説明させていただきます。

 これに関しましては,OECD/NEAでMAマネジメントのための積分実験専門家会合というものがありまして,これにOECD加盟国の炉物理分野の専門家が集まりまして,3年ほどかけて今後実験すべき項目を検討いたしました。

 このレポートは恐らく来月ごろには最終的に刊行ということになると思いますけれども,幾つか今後必要な実験がピックアップされまして,その最後でモックアップ実験として,特にAm-241を大量に用いた実験が今後必要であるという指摘を受けております。

 この根拠となったものということで,5ページ目に,前回,口頭で御説明させていただきましたが,Npに関しましては,数は少ないのですが,ある程度の臨界実験があるということで,まずロシアで約10 kgのNp燃料を用いた実験が行われております。これに関しましては,ロシアから原子力機構が実験データ,それから実験解析に必要な炉心データ等をすべて入手しておりまして,こうした実験解析もできるような状況になっております。

 それから,アメリカで金属のNpの球を用いた実験というものが行われておりまして,これはOECD/NEAがまとめておりますベンチマークに収録されておりまして,こういったデータも利用可能である。こういった実験もあることから,先ほど申しましたような,OECD/NEAの専門会合でも特に今後はAmを用いた実験が望まれる。こういったことを踏まえまして,TEF-Pでは特にAmに着目した実験を行うことを想定しております。

 

【佐々サブリーダー】 続きまして,TEF-T,あるいはLBE炉に関する御指摘に対する御報告をさせていただきたいと思います。

 まず,6ページ目の補足(3)のところからになりますけれども,これは前回長谷川委員の方から,ターゲットについて実機ADSと同じ構成のものが必要ではないかという御指摘を頂いた点についての補足になります。現在,TEF-Tで検討している2種類のターゲットの概念を示しております。1つが,材料照射型,これをベースに前回の資料は御用意させていただきました。これとともに2つ目の下の図になりますが,ビーム窓模擬型というものも検討してございます。実験の手順といたしましては,まずは当初ターゲットのAと呼ばれる材料照射用のターゲットを使用しまして,できるだけ多くの照射サンプルを照射して,照射データを得るということを最初の狙いにしております。

 その後,候補材が絞り込めてきた段階からターゲットのB,低温域での信頼性が高い材料を使おうということで,摂氏450度ぐらいまで,今のところはSUS316Lが候補と考えておりますが,照射データの状況を見ながら見直しまして,ターゲットBで検証していく。最終的にはターゲットCということで,500度ぐらいまでの温度域を狙った実機ADSビーム窓の模擬ができればいいかと考えてございます。

 御覧いただけますように,材料照射型の場合には,照射サンプルの温度をできるだけ正確に把握しておきたいという思いもありまして,できるだけ入り口の方に流込部を持ってくるということで,外側を低温のままでLBEを流してきて,ビームが入射するところで折り返させて照射サンプルを冷却する,こういう流れにしてございます。

 これに対して,実用ADSの場合には,ターゲットの中を流れる向きを逆にしまして,内側の筒の方に最初にLBEを流します。こうすると陽子ビームが照射されることによって,流れているLBE自身が発熱していくことになりまして,それで熱せられたLBEがビーム窓を冷却するというような流れになります。

 これとともに,ビーム窓の入射する面もできるだけ実機と近い形状にすることを考えておりまして,運転時にかかる応力みたいなものもできるだけ条件の中に取り込みながら,模擬することができるようにということでこの2種類のターゲットを考えて検討を進めているところでございます。

 続きまして,補足(4)ですけれども,酸素濃度制御につきまして,一般的には酸素を供給する方向ですというふうに前回お答えしましたが,我々の今やっている実験でも,両方の制御を合わせてやっております。そこについて簡単な補足を7ページでさせていただきます。

 現在,試験装置で行っている制御を一番上に記載いたしましたが,酸素濃度が低下した場合につきましては,カバーガスに圧縮空気,又は水蒸気を混合します。これを使いまして,LBE側に酸素を供給することにしております。これもまだ装置には入れておりませんが,循環系を今整備しており,そこに固体の鉛,酸化鉛を設置しまして,そこを通すバイパスラインの流量を調節することによって,鉛中に酸素供給する方法も検討しているところでございます。

 一方で,酸素濃度が上昇した場合ですけれども,この場合には,カバーガス中に水素ガスを混合して流すという操作を行っています。この操作によりまして過剰な酸素が水蒸気になって,酸素を奪って濃度が低下することになります。水素ガスが酸素を奪いますので,反応する生成物,これは酸素濃度が低下する場合でも同じですけれども,いずれも生成するものはガスになりますので,ベーパートラップしたラインから除去するという手順になってございます。

 また,循環するLBE内にも当然酸化物が生成するわけですけれども,これは系統の中にステンレスメッシュを詰めたフィルタを設置しまして,酸化物として捕集していくことを想定してございます。既存のループにつきましても,このようなフィルタを設置して運転を行ってきているところでございます。

 続きまして,8ページになります。

 核破砕ターゲットの設計の考え方ということで,前回解析の中でごく一部の解析について御紹介させていただきました。具体的な手順としてどこまで考えているかということを流れ図でお示しさせていただきたいと考えております。解析に際して,複数の条件に基づく計算を行っておりまして,総合的な結果として妥当と考えられる条件を設定しております。

 解析条件はまず右端の陽子ビームからで,陽子ビームの投入に伴う粒子の挙動,先ほど藤田委員からも御説明のありましたPHITSコードを使いまして粒子の挙動を解析いたします。この挙動から与えられた照射の損傷量を推定いたします。次に,粒子に起因するエネルギーの状況を併せてシミュレーションいたしまして,ターゲット内での発熱分布というものを入れていきます。これに熱流動解析を連成することで,ターゲット及びサンプルの温度条件を導出していくことになります。

 この照射量と温度というものが材料照射に対する実験的な要求ということで,この青い四角で囲ったもの,これは実験者側の要求に対応するビームの設定ということになります。これに対しまして,得られた温度場から今度は熱応力を導出し,流れの状況から得られる圧を推定します。これらと合成した応力から平均的な熱に関する構造健全性が確認できるということになります。この過程で得られたグラフが前回お示しいたしましたビームの収束度から始まって,どこまでが静的にもつかという解析をお示しした例になってございます。

 これとともにビームはJ-PARCの場合にはパルスで照射されますので,パルス照射であることとビームトリップや復帰のような急激な出力変化を伴う事象,これらに対するサイクル熱疲労,あるいはその圧力波による衝撃の損傷,こういうものを別途評価いたしまして,そこから疲労度合いを評価する。これらをそうこうして構造健全性,あるいは寿命というものをターゲットに設定していくというような手順で解析を進めております。

 実際に,前回お示ししたものは,これらを含めまして,この範囲内ならば照射ができるだろうという範囲を含めたグラフということでお示しさせていただいています。

 当然ですけれども,陽子ビームが通過するコンポーネントはターゲットだけではございません。これは7-4の資料でどんなコンポーネントがあるかを後ほどお示しいたしますけれども,それらのコンポーネントについてもあわせた手順で解析を行いまして,それらのすべてのコンポーネントで成立性を観測しているという流れで解析を進めております。

 続きまして,今度は,実機ADSのお話になりますけれども,9ページになります。

 ビーム窓破損時のLBE流動解析をした結果でございます。解析はレベル1確率論的安全評価(PSA)手法のうち,異常事象を系統的に整理して,炉心損傷に至る可能性のある典型的な事故事象の中で,ビーム窓破損というものについて動的な解析を実施してございます。

 ビーム窓破損時は,ビームダクト内にLBEが侵入するという事象が想定されるわけですけれども,こちらの推移を示しているものが右の図になります。それぞれのグラフが時系列に並んでおりますけれども,四角の中が炉心部のイメージで,中心のへこんだ部分,青いところがビームダクトになります。その横にあるものが,燃料集合体を模擬したモデルです。そこがLBE,青いボックスで満たされているという状態から,ビーム窓が破損したというようなシミュレーションとなっております。時間を追うに従いまして,LBEの液位が上昇しまして,一旦,慣性でプレナムよりも上に液位が上がっていくところが観測いただけるのが右の2番目のグラフでございます。そこからまた液が戻っていきまして,これが振動を繰り返すというような挙動を示し,最終的にはLBEの液面高さに静定するような動きになってございます。

 このビーム窓ダクト内にLBEが侵入することにより,中性子が漏れていく量が相対的に減ることになります。そこで反応度的には中性子が炉心に戻る率が高くなるということで,正の反応度が挿入されるということになりますけれども,投入反応度自身はそれほど大きなものではなくて,未臨界状態を超えるようなものではなく,十分に未臨界が維持されるということで,そのときの出力反応度の変化というものが左下のグラスにお示ししておりますけれども,ビームが落ちた段階で反応度が上るものの,小さい反応度の挿入ということで,これが加わっても未臨界が担保できるという解析結果が得られております。

 7-3の説明につきましては以上でございます。

 続きまして,核変換実験施設の課題と今後の進め方ということで,資料7-4について御説明させていただきます。

 前回は,個別の各論の話をさせていただきまして,全体の話が少し不十分であるというところで,これを少し補足させていただくような形で資料を用意させていただいております。

 まず,TEF-Tの目指すところ,設計にかかる目標ということを改めてお話しさせていただきたいと思います。TEF-Tでは,実用ADSを見通したLBEのターゲット技術,これの確立を目指して,実機相当の照射が可能な核破砕ターゲットを設計していくことを第一目標にしてございます。また,ターゲットを接続して陽子ビームを投入するLBEのループ,この利用技術を確立するということが併せて重要な目標になってございます。

 これらの目標を達成するためにターゲットにつきましては,実用ADSに外挿可能な照射量を確保すること,それから実用ADSの運転状況に準じたビーム窓材の照射を行う。実機運転温度での照射が可能な状態をつくる。それと流動LBEによる損傷の促進効果が検証できるような構成になっている。こういうことを目指した目標を設定しまして,ターゲットのデザインをしております。

 また,ループにつきましては,酸素濃度制御によっての耐腐食性の確保,それから信頼性の高い計装や異常検出に対する技術。それとLBE特有の反応生成物,これに関する制御,閉じ込め,こういうことが可能となる設計というものを目標としてデザインを進めてございます。

 3ページ目になりますけれども,実用ADSを見通すということで,実験施設としてどのような性能を備えるべきなのかについて,既に実験が終わっているMEGAPIEとともに,将来の実用ADSに照らしまして,どのようなデータを設定するかの概略をまとめたものが,その表にございます。

 TEF-Tは,J-PARCの制限で,ビーム強度としては,0.4 GeV,それから出力も0.25 MWと非常に限定されているところではございまして,これはMEGAPIEにはいずれも届かないスペックとなっておりますけれども,ビーム窓の温度設定は,これは実機のスペックを想定した設定をさせていただいております。また流速につきましても,MEGAPIEで1mとしていたものを最大で2mまでできる設計というものを目指して,MEGAPIEを超えて実機に近い性能を出せるようにということを想定してパラメータを設定してございます。

 もう1つの大きな特徴としまして,陽子ビーム照射下での酸素濃度制御,これにトライすることがTEF-Tの大きな特徴になるかと思います。ビーム照射下で陽子ビームが照射されるもとでの酸素濃度制御の実用例は今までございませんので,一方で将来のADSではこれが必要だというところで設計が進められておりますので,これを検証していくことが将来のADSの重要なパラメータになると考えてございます。

 次に,4ページ目です。今,申し上げました陽子ビーム照射下での酸素濃度制御,これも全く新しい試みではございますが,ターゲットを設計する上で,先ほど池田の方からも御説明いたしましたけれども,既存の技術,これにつきましては可能なかぎり,採用していきながら検討を進めていくことを考えてございます。4ページの図は,TEF-Tターゲットの系統構成をわかりやすく模式的に示したものになってございます。

 矢印ですけれども,赤で示している矢印がLBEの流れを示しています。青が冷却水,緑がガス系の流れを示しております。各機器につきましては,新たに開発が必要な部材というものを赤い色で,またJ-PARCの技術が応用可能なもの,これを青,それとより一般的な技術,これには高速炉の技術等が含まれることを認識しておりますが,これは黒の色分けで分類させていただいております。

 陽子ビームは,これは既存のものになりますが,LINACから供給されることになりまして,加速器とターゲット部分を仕切る陽子ビーム窓と呼ばれるコンポーネント,これはJ-PARCのHgターゲットに既存のコンポーネントがございます。これを通過してターゲットに投入されるということで,ビームパワーやビームのサイズが違いますので,Hgターゲットのものをスケーリングして利用することを考えてございます。部材をできるだけコンパクトにまとめるという観点からのスケーリングであります。

 ターゲット自体は,水冷のセーフティハルと一緒に構成されて,LBE自身がターゲットが破損した際に,外部へ漏えいするという事態に対しての抑止を行うことを考えてございます。この構造もJ-PARCのHgターゲットでも同様のものになりまして,TEF-Tでもこれを採用することになっております。

 TEF-Tでは,J-PARCのHgターゲットに比べて,出力は4分の1になりますけれども,ビーム自身の密度はHgターゲットより高い設定にしておりますので,解析を先ほどの資料に基づいて実施いたしまして,それぞれ健全性を確認しているところでございます。

 その他の系統では,ほとんどがHgターゲットと同様の系統構成でほぼ進められるだろうというところを考えてございます。一部,電磁ポンプや,先ほど申しました酸化物除去のフィルタみたいなものは,LBEに対応したコンポーネントということで,今開発を進めているところでございますけれども,その他の水系,ガス系についてはほとんど類似の考え方,あるいは既存技術に基づいて設定できると考えてございます。

 唯一異なりますのは,ガス系に設置する酸素濃度制御のデバイス,それと廃棄物につきましてLBE固有の物質,ここではポロニウム(Po),あるいはHgでは,Hgと吸着することによって出てきにくいI,こういうものが対象になりますけれども,これらについての対策というものを別途とりまして,設計を進めていくと考えてございます。

 次に,5ページにまいりますけれども,このように施設建設の主な技術課題というのは,LBEの循環に関わるところというのが主な課題になってございます。5ページ,6ページで施設建設にかかわる主な技術課題で,その進捗度について,主観的な数字にはなりますけれども,どの程度進んでいるかというところを見える形で表にまとめさせていただいてございます。

 課題として挙げているものは大きく6つ,順次御説明させていただきたいと思います。

 表自身は解決すべき課題,それから27年度の目標と現在状況,その状況に基づく達成率,それとそれらの課題の解決方法を取りまとめております。

 まず,高温でのLBE運転が1つの大きな課題になりますが,これは前回資料の6-4の(1)に相当する課題でございます。熱膨張や熱変形,こういうものの緩和によるLBEの漏えいの防止,あるいは系統の健全性の確保というものを目指しております。次年度には,摂氏500度での安定運転の見通しを得たいと考えてございます。

 これまでに行ってきたこととしましては,赤字が完了しているもの,青字は現在実施中のものという分け方をさせていただいておりますが,既設ループで摂氏450度までの運転は実証できるというところがございます。これに対して,高温試験用ターゲット,モックアップループ,これを現在製作しているところでございます。課題として,目標の達成度,これは50 %程度であろうと考えてございます。

 最高温度を段階的に昇温することで,高温運転に伴う問題点を抽出するという作業がまだ残っておりますので,こういうことを段階的に進めていく。それと高温の緩和機器の設置とともにそれを解決していくという作業が残ってございます。モックアップループは現在製作中ですが,場合によってはこれに対して大きな手を加えなければならないかもしれないというところから進捗としては余り高い数字ではないと認識しているところでございます。これにつきましては,ヨーロッパのLBEループについても合わせて情報交換,先ほどロシアというお話も頂きましたので,ロシアも含めて情報交換を進めていきたいと考えてございます。

 次にLBEによる鋼材の腐食について,解決すべき課題としましては,LBEの酸素濃度を安定して計測可能な技術をつくる。それと循環系での酸素濃度制御を確立する。それと酸素センサを安定供給できる体制を確立するということを考えてございます。27年度につきましては,酸素濃度制御による機器・配管系の耐腐食対策の見通しをつけたいと考えてございます。

 これまでに欧州センサによる酸素濃度計測技術が確立できている。また,非流動場でも制御技術は実証できているというところまで進んでございます。今後は,既存ループの流動場での実証や酸素センサの開発。それと前回御指摘いただきました系統内酸素濃度分布解析コードの整備を進めていこうと考えてございます。

 我々の認識としては,これらのことに関しては,ほぼ8割方は見通せているだろうということで,ここについては80%程度の達成率であると考えてございます。

 残る課題につきましては,高温流動場での制御の応答を把握するということと,制御の長期安定性を実証する。あるいは,新型酸素センサの性能確認と流動場での破損対策。それと欧州でのループとの情報交換も併せて実施していくと考えてございます。

 次に,LBEでの流量計測の信頼性というところですけれども,非接触式の鍵となる配管とLBE間での超音波伝搬性を把握する。これはループ低温側における最高温度での安定稼働。それと遠隔操作による交換を想定した装置の構造というものが課題と考えてございます。

 27年度につきましては,高温運転に対応した超音波式流量計測技術を確立しようということを目指しております。現在は,摂氏400度での接触式の計測を実証しているというところと,既存ループで非接触型の性能試験の準備を進めているというところで,これは目標達成率としては,ほぼ7割方の達成と考えてございます。

 非接触方式のセンサの取付け方法を最適化していくことが必要だということと,これを遠隔操作で行えるようなアダプタを開発しなければならないということを認識してございます。

 次に6ページになりますけれども,遠隔操作による設備の管理が大きな課題と考えております。遠隔操作が可能な予熱・保温機器の開発や設備のメンテナンス,技術の確立ということが課題で,LBEループを搭載した可動台車の基本設計を27年度には完了することを考えてございます。これは現在完了しているものが余りない状況でありますけれども,遠隔操作フランジを試作しまして,高温適用性を検討してございます。このフランジもHgターゲットで用いられている技術ということで,低温での稼働が進んでいるところでございます。これに対応して,予熱を行うヒータも現在製作を行っているところです。これは遠隔操作に対応したものになってございます。

 可動ターゲット台車のLBEループ適用性ということで,Hgターゲットでの台車に比べまして,LBEのループですと,重量あるいは遠隔操作に対応させるためのループのサイズが大きく変わってくると考えておりますので,これらで適用し得るかという適用性も検討していこうと考えてございます。全体の進捗度としては,6割程度という認識をしておりまして,残る課題としては遠隔フランジ,パッケージヒータを用いた性能確認試験,これはできるだけ温度が高い状態で確認していくことを目指します。それとJ-PARC既設可動台車の適用性,仕様の変更,これを早急に進めていくことを考えております。

 次に,LBE中の不純物の管理という課題ですけれども,これにつきましては,核反応生成物の予測,J-PARCの経験に基づく対象核種の選定,機器の開発。それと酸素濃度制御に伴う不純物,これらの効率的な除去が課題になってくると考えております。

 27年度には,LBE中のフィルタ及びオフガス処理設備,これの基本設計を完了していきたいと考えてございます。先ほど,若干御説明いたしましたが,J-PARCの経験から反応生成物予測を検証するとともに,対象となる核種,これがほぼ選定できている状態になります。これとともに,Poにつきましては,比較的除去する方法が見えてきている。これは温度管理も含めますけれども,こういうものでPoの放出を抑制できるだろうという目途がたっている状態でございます。

 残る問題としまして,もう1つの対象核種であるIの除去方法を検討しているというところですが,こちらも既に再処理工場などでは用いられている技術がございますので,こちらを応用していくことで対応できると考えてございます。

 モックアップループでの不純物フィルタ試験,これについては準備中ということになっております。こちらにつきましても,大体7割方は目途がついていると認識してございます。

 課題の解決方法としましては,I除去,フィルタによる不純物除去効率の実測試験,それと系統のメンテナンスシナリオの構築,MEGAPIE照射後試験結果,これを反映していこうということで,こちらにつきましては,特にMEGAPIE照射によるPoの測定が進んでおりますので,こういうものを併せて設計しようと考えております。

 最後が高放射線場での運転でございます。計装類の耐放射線性,機器保全のための遮へいボックス設置,こういうものをきちんとしていく必要があると考えてございます。

 27年度につきましては,耐放射線性に考慮した計装機器類の設置概念を構築。これにつきましては,先行例を参考ということで,J-PARCのHgターゲットの例が参考になってございますので,こちらでの経験を生かしていくとともに,耐放射線試験ができないかということも合わせて検討を進めているところでございます。全体の進捗としては,約6割方で,残る課題は,圧力計のHgキャピラリについての耐放射線試験を実施。これをHgターゲットに用いてできないかを検討しているところでございます。それから,検出器回路の遮へい対策,これにつきましても従来を参考にしながら検討を進めていきたいと考えてございます。

 続きまして,7ページになります。

 安全設計につきまして,整備を進めているという御説明をさせていただきましたけれども,その前提や考え方について,若干詳しく御説明させていただきます。

 ADSターゲット試験施設,TEF-Tにつきましては,適用法令は放射線障害防止法になってございます。放射線障害防止法につきましては,原子炉等規制法ほどの厳格な放射性物質の管理規則という規定そのものは厳格化されていないわけですけれども,我々としましては,次の2点について配慮しながら設計を進めていきたいと考えてございます。

 1つは,放射性物質を内包する液体金属を取り扱う施設ということで,多重防護を勘案した設計として,環境への放射性物質の放出を防止していくということが1つ。それと異常時には「加速器の停止」を大前提として事故事象の進展を抑制していく。この2つを考えていきたいということでございます。

 次に,8ページです。

 現在のJ-PARCの安全保護系にどのようなものが整備されているかを簡単に御紹介いたします。J-PARC全体としては,安全保護系は人的保護を目的とした,PPS(Personnel Protection System)とその一番下にございます機器や財産保護を目的とするMPS(Machine Protection System)の2つが用意されております。加速器施設については,この2つで安全系が備えられております。PPS自身はすべてに対して最大の優先権を持つ制御システムということで,法令に基づく人的保護の必要性が生じたときに作動するということで,加速器の電源を遮断する権限を持つプロテクションシステムで,発報をした場合には,強制的にビーム供給を停止する権限を持つシステムです。

 具体的には,緊急停止ボタン,原子炉でいうと手動スクラムに相当しますけれども,あるいは立入制限区域でのインターロック作動などによって発報し,加速器に関わる電源がすべて止まりますので,発報後の再起動に関しては,相応の時間や手順が必要になる。こういうシステムでございます。

 一方の,MPSの方は,ビームの挙動異常,作業エリア放射線レベルの上昇,こういうものに対して発報するというシステムです。加速器の電源は生かしておいたまま,ビーム供給を中断するというシステムになってございます。加速器電源は生きていますので,異常の原因が除去できれば,ビームとしては直ちに復帰できるというシステムでございます。

 これらに対しまして,TEF-TやJ-PARCのHgターゲットのように,陽子ビームのエネルギーを受け止める必要のある設備では,それらの異常が直ちに人的影響を及ぼさないという場合であっても,ビームを停止して,それに対応する必要があると考えてございます。このためにHgターゲットでは,PPSとMPSの間に入りますTPS(Target Protection System)を設定して,ターゲットに重大な故障が生じた際には,加速器電源を遮断する権限を持つシステムとしてビーム供給を停止する仕組みを備えてございます。

 核変換実験施設につきましても,異常時にはまずビームを止めにいくということを大前提として,安全設計したいと考えておりますので,TEF-TにつきましてもPPSとMPS,TPSこの3つの安全系を備えるようなシステム設計をしていこうと考えてございます。

 9ページ目です。

 安全解析について,どのような手順で進めようと考えているかを御説明いたします。

 安全解析に対しましてまず進めておりますのが,系統機器の配置と異常検知システムの設定でございます。それらを設定した上で,現在は機器の単一故障の影響評価,故障モード影響解析(FMEA:Failure Mode and Effect Analysis)を進めているところでございます。主要機器に関する解析というのがかなり進んでおりまして,横にお示ししております故障分類が大体見えてきているところでございます。影響度としましては,放射性物質の環境放出の度合い,機器の故障から復帰する時間をベースに重要度を大中小に分けて分類を進めているというところでございます。この実験,故障の事象から事故事象を設定しまして,この事故事象が主な事象として右に示してあります4つぐらいになるだろうと絞り込んできてございます。1つは,過大なビームが投入された。それから,冷却材の循環が止まる。あるいは,冷却材そのものが喪失される。あるいは除熱源が喪失される。この4事象が一番大きな事象になってくることを考えてございます。

 今後これらにつきまして,影響解析を進めていこうということを考えております。それと併せて必要となる影響緩和システムの改善を考えておりますが,影響緩和システムの向上につきましては,施設完成後も継続的に進めていきたいと考えてございます。

 

【辻本リーダー】 TEF-Pの主な課題ということで,10ページ以降説明させていただきます。TEF-Pに関しましては,今までも作業部会で御説明させていただきましたように,基本的には既存の高速炉臨界実験施設(FCA)の仕様をそのまま適用することを考えておりますが,FCAと最も大きな違いということで,2つあります。

 1つ目は,陽子ビーム導入するということで,加速器施設と原子炉施設を連結した施設であること。それから,高線量・高発熱燃料のMA燃料を使うということで,この2つがFCAとは大きく異なることになります。この2つに関しまして,装置,施設の仕様を考えなければならないわけですけれども,いずれにしましても,TEF-Pは原子炉施設になりますので,現在の新しい規制基準に沿った設計をすることが必要になります。

 TEF-Pの規制基準の対応ということで,まずこれまでの経緯について御説明させていただきます。

 11ページになります。

 以前の規制基準に対応してTEF-Pの安全設計方針の検討も我々は行ってまいりました。これは大分古い話になりますけれども,平成12年から15年に外部に委員会を設置させていただきまして,そこでTEF-Pの安全性検討を実施してまいりました。そのときに実施したものは,TEF-Pの安全設計方針,安全評価方針を策定いたしまして,設置許可申請書の添付書類10(原子炉の操作上の過失,機械又は装置の故障,地震,火災等があった場合に発生すると想定される原子炉の事故の種類,程度,影響等に関する説明書)に相当いたします安全性の予備検討も実施しております。更に仮想事故を超える事故として,再臨界事故も想定いたしまして,こうした場合でも建屋の健全性が確保できるというような評価を行い,外部委員会でも審査を頂いたところであります。

 皆様御存じのように,昨年12月に研究炉に対しましても,新規制基準が施行されました。いろいろな新しい項目が入ってきましたが,主なものとしましては,例えば,高中出力炉等,事故時に及ぼす影響が大きい試験研究炉施設について,多量の放射性物質等を放出する事故の拡大の防止を考えるとか。あるいは地震・津波,外部人為事象等に対する考慮が求められているところでございます。

 これに対しまして,今までTEF-Pで,旧規制基準に対応して,設計を行っていたわけですけれども,新規制基準に対応して,設計変更等が必要な項目というものの抽出を行いました。MA燃料冷却装置,非常用電源設備といったものの設計変更が必要であろうと考えているわけですけれども,こうした変更に当たって,まずはTEF-Pの耐震重要度分類というものを行う必要があると考えております。これを行うには,まずTEF-Pで使うことを想定しておりますMA燃料の破損限界を設定する必要があります。

 これに関しましては,既に軽水炉,高速炉で冷却材喪失事故時の燃料被覆管の破損限界が設定されております。TEF-PのMA燃料に関しましても,こうした既存の発電炉における燃料破損の考え方を踏襲して,改めてこの燃料に関する破損限界を設定した上で,耐震重要度分類を設定したいと考えております。

 最後になりますけれども,14ページは,TEF-Tに関しまして技術的な課題に関する建設に向けた研究開発の進め方,それからTEF-Pの設計許可申請に向けた検討の進め方について,表で示したものになります。以上で説明を終わらせていただきます。

 

【山口主査】 ありがとうございました。それでは,少し議論したいと思います。何かご質問とかございましたら,どうぞおっしゃってください。

 

【中島委員】 最後の新基準対応,あるいは前回指摘のSクラスの話とも関連するのが,前回も申しましたけれども,保守的にやるというのは当然そういうことは求められますが,先ほどのZPPRの値で移行率はそのままで,金属が酸化すれば粉として舞い散るというのはイメージとしてわかりやすいですが,もともと酸化物燃料からどういうメカニズムで,それは今後の中でのデータの取得で,軽水炉の燃料等を参考にとおっしゃっていましたけれども,熱的な条件とか,燃焼度の違いとかもありますので,本当に必要であればある程度しっかりしたデータをとって,これで避けられるのであれば非常に価値があると思いますので,そこは私はできれば頑張っていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。

 

【山口主査】 ほかにはいかがでしょうか。

 前回いろいろ御指摘いただいた点,大分クリアに整理いただいたと思います。

 

【矢野委員】 課題と今後の進め方2ページ目にある実機相当の照射が可能というところなのですけれども,実用ADSに外挿可能な照射量の確保と書いてありますけれども,具体的にこの照射量というのは外挿可能な照射量というのはどのぐらいのものでしょうか。

 

【佐々サブリーダー】 照射量について,御説明しなかったのですけれども,実用ADSでの照射損傷は50 dpa(Displacement Per Atom)ぐらいだと考えています。今,TEF-Tで与えられる照射量というのが,最大で年間に8から7 dpaぐらいということになります。数回の照射を繰り返して数字を上げていくことが必要なわけですけれども,やはり数dpaでは外挿は難しい。20ないし30 dpaぐらいは狙っていきたいと考えています。

 

【矢野委員】 それは何年かかるのですか。

 

【佐々サブリーダー】 3,4年かかると思います。

 

【矢野委員】 TEF-Tにビームが供給されるマシンタイムというのか,それはどういうものが想定されているのですか。

 

【佐々サブリーダー】 今の照射については,ターゲットに対して4500時間,実質的には5000時間ぐらいは当てられると思いますが,4500時間ビームが供給されたという前提での数字になります。これは大体今のJ-PARCとほぼ同じ時間ということになります。

 

【矢野委員】 TEF-Tに4分の1ぐらいビームを送るのですか。

 

【池田センター長】 100%。50 Hzのうち25 Hz,マシンタイム,専用マシンとして常に撃ち続けると。既存のJ-PARCについても,既存のまま。プラス25 Hzをこれから進めるんですね。その25 Hz分は絶えずTEF-Tに送られる。

 

【矢野委員】 わかりました。

 

【山口主査】 ほかにいかがでしょうか。長谷川委員。

 

【長谷川委員】 この2ページ目のところに,流動LBEによる損傷の促進効果とあるのですけれども,これはちょっと前回,6ページのところを見て思ったのですが,結局これはエロージョンの話ですか。

 

【佐々サブリーダー】 エロージョンには限らないと思っています。照射によって,その腐食が促進される可能性があるというのは,言われていたことがあると思うのですが,やはりそれは照射してみないとわからないということで,これをみたいと考えています。

【長谷川委員】 従来のLBE炉の中で,エロージョンの問題は取り上げられてはいないのです。余り起こらないと考えていいのですか。

 

【佐々サブリーダー】 エロージョンにつきましては,場合によっては無視できないだろうと考えています。どこでどういうふうに発生するか実際にまだはっきりわからないところではあるのですが,実際に,ロシアで行った腐食試験もあるのですが,摂氏500度近い材料の腐食サンプルの,試験部ではないオリフィスのところあたりにピットみたいなものができる等の現象が観測されました。これまでの我々の試験でも,単に腐食ではない削れ方をしていると思われる部分がある等,それがどこでどう発生するかというのはきちんと説明しきれないということで,注意は払っている。

 

【長谷川委員】 前回もちょっと話したのですけれども,冷たい方から熱い方への流れの逆転というところで,6ページの横の図を見るとよくわかるのですが,材料照射型のものというのは,周囲から入ってくるのですよね。この一番真ん中のビームが当たっているところは,これは周囲から入ってきたやつが上がっていくわけなので,流体の解析として,そこのところで滞留とかが起きるのではないかということが1つと,それからもう1つは,Hgターゲットのところで,キャビテーションによるピッティングという問題がありました。あれはたしかHgの中にガスを注入することでそれを防いだと聞いているのですが,同じようにLBE,キャビテーションが起こるわけですね,パルスが入りますから。そのときに材料照射型の方は周りから来て,ビームが一番当たっているところで滞留が起きているところで,そういうキャビテーションの問題はどういうふうに考えるのか。

 それから,もう1つ,翻ってビーム窓模擬型というのは,こう当たるわけですから,ここは今度完全にエロージョンが大きいように思います。そういうものが例えば材料照射型でこういう流速,液体が当たるところで,流動による損傷の促進効果,あるいは腐食の損傷効果をビーム模擬窓でやらなければいけない一番しんどいところを材料照射型のところでうまくチェックできるのか,そこのところをちょっとお聞きしたいのですが。

 

【池田センター長】 キャビテーションはショートパルスとそうではないパルスとエネルギー密度が全然違うのです。ですから,J-PARCのようなパルスの,ピークの高いエネルギー密度が入ったときのキャビテーションが問題になっている。密度を下げるとほとんど見えないです。この場合は私どもほとんど心配していません。トリップして落ちるという若干のネガティブが出るかもしれないけれども,頻度的にはそれはこの実験施設としてはいいだろうと。もちろんちゃんとケアはしますが,という位置づけです。

 それから,照射がエロージョンをどう促進するか,どういうインタラクションか,それも含めた形でこの実験施設を位置づけている。何か起こっても大丈夫のような保護系は適切に用意します。それを見ていただくことになる。何か起こることは新しい知見ですから,それはいいとすると。そういう立場です。

 

【長谷川委員】 将来的なことを考えると,実は事故対応の経験は重要ですよね。

 

【池田センター長】 そうです。僕らはHgターゲット破損にいつでも対応できるように経験を積みたい。破らないようにしていますけどね。起こっても大丈夫のようにしていますけどもね。

 

【長谷川委員】 起こらないようにみんなやっているのだけれども,起きたときにどういうことが実際になるかということを実際の小さなもので何かシミュレーションをやれれば。

 

【池田センター長】 そういう位置づけも重要なところだと僕らは思っています。

 

【佐々サブリーダー】 ピッティングに関しては,先ほど解析のところでもお話しさせていただきましたが,パルス入射ということを想定して,キャビテーションの解析をしております。実際にパルスで来ますけれども,Hgターゲットほどボイドの成長がない状態で,衝撃波が出ないという解析が出ておりますので,我々に来るパルスの構造では,恐らくそこは問題にならないと考えております。

 池田からもありましたが,セーフティハルを設置しているところが,我々の方として,ターゲットそのものが試験体だという位置づけで考えているものでして,セーフティハル内でのLBEの漏えいということに関しては,一応想定内という考え方で設計しているところでございます。

 

【山口主査】 ほかに御意見がございましたら,いかがでしょうか。

 どうぞ,峯委員。

 

【峯委員】 5ページの技術課題に関連して,ビーム窓温度とそれから酸素濃度の制御という2点について,ちょっと御質問なのですが,摂氏500度というビーム窓温度というのは,かなり従来実績よりも高めのところで狙われていて,この温度というのがビーム窓の寿命にかなりきくということです。それから,酸素濃度も同じように腐食速度にきくということで,この温度と酸素濃度をTEF-Tの場合は,実際に安定的に運転をして,更に計測をして評価するというときに,どのくらいの誤差を考慮して,というところがちょっと5ページに載ってないのですが,実際に計測誤差とか,その他の誤差,それからいろいろな実験時の不安定な部分を考慮して,設計温度が摂氏500度であれば,運転温度,設計温度,誤差,その辺かなり注意深くデータを評価して,実際の寿命を次期設計に反映するということが重要だと思います。酸素濃度についても同様だと思います。その辺についてちょっと御質問です。

 

【佐々サブリーダー】 御指摘いただいたとおりで,重要だと認識をしてございます。

 まだこれは可能性として出るかどうかというところではあるのですが,最初のターゲットにつきましては,壊れてしまう前提で計測機器を設置した状態での照射をやる必要があると考えております。

 とはいうものの,やはりこの辺はまずは解析で精度を与えるしかないと思っているところでして,計算誤差含めて,込み入った流れの形状になっていますので,この辺につきましては,粒子像流速計(PIV)等を使って,流れをちゃんと予測できるか。あるいはどのぐらいの精度で流れが予測できるかという試験を併せて実施していこうということは考えております。

 

【峯委員】 余り細かい議論をここでするつもりはないのですが,先ほど出た国際協力で,藤田委員からもありましたが,どのような観点で彼らの実績とかノウハウを聞いてやり取りするかというところが,この辺の誤差とか,具体的な温度にしたら,10度,20度変わったら,相当な強度,この温度領域で変わると思うのですが,その辺を彼らが具体的にノウハウにかかわるかもしれないのですが,かなり突っ込んで議論されるといいのかなと。酸素濃度も相当デリケートなバンドで制御されると思うのですが,この辺もやはり肝のところだと思うので。

 

【佐々サブリーダー】 わかりました。その辺も十分注意しながら進めていきたいと思います。

 

【山口主査】 ほかにはいかがでしょうか。

 矢野委員。

 

【矢野委員】 国際協力の話なのですが,長らく原子力機構での開発の過程を聞いておりますと,ほかの国はほとんどやっていなくて,我が国だけが先行してやるべきテーマを考える必要があるのではないかと思います。

 例えば,加速器でいいますと,当然加速器の性能がADSが成功するかどうかにかかっているのですが,以前の作業部会でも話しましたけれども,加速効率,すなわち投入した電力でどれだけのビームのパワーが得られるか─今は,30 %という数字が置かれていますけれども,そんな加速器は現状,世の中にないわけです。

 これを上げれば上げるほど,炉側のいろいろな条件も軽くなるでしょうし,とにかくいい方に動く。超伝導のLINACを想定されているわけですけれども,アメリカのSNS(Spallation Neutron Source)等は既に動いておりまして,かなりの実績があります。MYRRHAはどうなのか知りませんけれども,FRIB(Facility for Rare Isotope Beams)超伝導重イオンのLINACですけれども,これもいよいよ建設に入りますが,どの加速器もまだ手をつけていないのが,イオン源から超伝導のLINACに至るまでのところの超伝導化なのですね。確かに,すごく難しいのですが。

 例えば,こういうのにチャレンジする。つまり高エネルギー側というのは,もう世界にあるのですから,そこをいちいち学んでも,これは国際協力にならないと思います。だから,本来の意味の国際協力というのは,各国がほかのところでやらない,いやがっている,あるいはできないというところを主体的に,ここはいつになるかわからないけれども,私たちが発明してみせましょうとか,そういう国際協力を目指していないと,先ほど若い人の話もありましたけれども,プロジェクト自身の魅力がなくなってしまう。どうせ相当の夢のマシンをつくろうとしているのですから,やはりできるだけ難しいところにチャレンジするということ,できるかどうかはわからないのですが,これをいつもテーマに掲げないといけないような気がします。

 例えば,今度の藤田委員のImPACTにもできるだけ,ほかのところでやらないようなデータをとってみせるとか,要素開発をやってみせるとか,そういったものにチャレンジしていただきたいと思います。

 

【山口主査】 ありがとうございます。今のお話は,実績をこう並べるのに行きがちなのですが,今,お話があったような戦略といいますか,そういう考え方がきちんと出されている,やはり非常に大切だと思いますので,是非お願いいたします。

 少し時間をオーバーしてしまっていますが,あと少しお時間をちょうだいしたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。何かございますか。よろしいでしょうか。大体御意見,相当いろいろな御意見を頂いたと思いますので,今の課題と今後の進め方については,これぐらいにしまして,最後に議題の3番目,核変換実験施設の技術課題進捗に係る見解について,資料7-5がございますので,こちらを事務局から説明をお願いします。

 

【西田企画室長】 廃棄物企画室長の西田でございます。資料7-5につきまして,御説明をさせていただきたいと思います。現在,この核変換実験施設の取組につきましては,26年度,それから来年度の27年度にかけまして,ただいま御紹介がございました技術課題解決に向けた研究開発,あるいは核変換実験施設の建設に向けた準備といたしまして,新基準対応も含めました安全検討,それから地盤調査といったものに取り組む方向で検討しているところでございます。こういった取組をしていく中で,今回の作業部会で御検討いただきました前回と今回と議論をまとめた形で見解というものをまとめさせていただければと考えてございます。

 具体的な中身といたしましては,まだ今回の議論がなされてなかったことがございまして,一部中抜けになってございますけれども,資料5に骨子案をまとめさせていただいております。中身といたしましては,作業部会につきましては,昨年11月の中間取りまとめで,今後整備計画の策定に当たっては,前提となる成果の達成状況,運用保守も含めた技術的実現性,規制等への対応に係る検討など,段階に応じて進捗状況をチェックすることが必要とされたことに鑑みまして,これまでの検討結果を踏まえて,見解をまとめるということで,以下という形にさせていただいております。

 具体的には,本作業部会は,前回の作業部会で示した課題等に沿って,日本原子力研究開発機構から,技術的実現性,規制等対応に関わる成果や今後検討すべき課題等,進め方の整理も含め報告を受け,審議を行ったという形でございます。

 その結果としまして,核変換実験施設のうち大強度陽子ビームでの核破砕ターゲットの技術開発及び材料の研究開発を行うTEF-T,低出力で未臨界炉心の物理的特性探索とADSの運転制御経験蓄積を目指すTEF-Pのそれぞれへの見解は以下のとおりという形で,(1),(2),(3)という形でそれぞれこれまでの議論をまとめさせていただきたいと思います。

 (3)につきましては,今後の作業部会の進め方といたしまして,たたき台として書いております,核変換実験施設を実際に建設するに当たっての,建設に必要な課題,技術目標等を網羅的に整理し,その成果の達成状況や見込み等を分析した上で,建設に向けたホールドポイントを確認するとともに,今後の取組計画に反映することの工程管理が必要である。

 また,施設整備に必要な経費については,先ほども少し議論がございましたが,可能な限りの既存設備の活用等,より効率的かつ効果的なものとなるようより精密な計画検討が望まれる。

それらを踏まえ,建設された核変換実験施設が円滑に運営されるためには,今回報告を受けたMA取扱い施設の整備ほか,使用される燃料製造に必要な施設,設備について,核変換実験施設と同様に,課題や技術目標を網羅的に整理,分析し,核変換実験施設の整備とあわせて,実現可能な取組計画を策定する必要がある。

 本作業部会としては,これらの進捗状況について,必要に応じて報告を受けるとともに,

技術評価について,引き続き,調査,検討を行っていく。という形で書かせていただいております。資料の説明としては以上でございます。

 

【山口主査】 ありがとうございました。ただいま事務局から御説明いただきました見解の骨子案でございますが,まだ幾つか今日の議論を踏まえて書くべきところも残ってございますので,今こういう形になっていますけれども,少しこの作業部会としての見解について御意見などありましたら伺いたいと思いますけれども,いかがでしょうか。

 

【藤田委員】 先ほど,資料7-4でもちょっと話が出てきた新規制基準に対する根本的な考え方のまとめみたいなものは,どこかで既にやられているのでしょうか。それをここの中に反映する必要というのはあるのではないかと思うのですが。

 

【山口主査】 新規制基準の話,少し今日,御説明,どういうアプローチであるかと御説明があったと思いますが,もうちょっと御説明いただけますか。

 

【辻本リーダー】 先ほど資料7-4で御説明したように,今までの規制基準で考えていたものから見直すべきものがあるということで,そこまでは抽出しているのですけれども,それを本当にやるのかどうかというところで,まずは耐震重要度分類というところを設定する必要があり,それには燃料がいつ壊れるかというところが重要なところで,そこは我々としても,これでいくというふうには決められていません。それを今後検討していくことが一番重要と考えている段階ですので,その新規制基準に対応して,これでやるのだというところまではちょっと今お話しできる段階ではないという状況でございます。

 

【西田企画室長】 ただいま御説明がありましたように,新規制基準対応につきましては,まさに原子力機構でいろいろと検討を始めている段階でございます。我々といたしましても,来年度の予算で,この新規制基準対応も含めた安全検討の部分で予算を要求しようと考えておりまして,そういった分の来年度の新しい取組を踏まえつつ,対応については具体化をしていきたいと考えております。

 

【藤田委員】 ちょっと気になったのは,原子力機構さんと文部科学省でやられるのはそれでいいのですけど,新規制基準,客観的に見てどうあるべきかということをどこかやはりきちんと見ておく必要があると思います。核変換施設ではどういうふうにやる。それを原子力機構さんと文部科学省でやるのではなく,どこか別のところにお願いするなり,きちんとした組織的な取組が必要なのではないかとちょっと思ったので,そこも含めて是非お願いしたいと思います。

 

【中島委員】 今の藤田委員のコメントはまさにそのとおりで,多分やはりこれは新しい,加速器と組み合わせてMAを使ってやるという新しいもので,多分今までの審査の経験は余り使えない。私が昔原研にいて,NUCEFを作ったとき,溶液燃料で臨界実験,超臨界をやるというときは,やはり外部の先生を集めて,基準自体をまず考えるということをやっていましたので,多分それと同じような,多分今だと学会関係のそういう専門研究会とか,そういう場でやっていただければいいのではないかと思います。

 

【辻本リーダー】 TEF-Pに関しては,資料の中でも御説明させていただきましたけれども,10年以上前になるのですが,外部の先生をお願いして,その当時東大の教授だった近藤先生にそのときはお願いしています。そういった外部委員会を受けて,その当時のTEF-Pの審査に相当するようなものはお願いしましたので,今回も新規制基準対応ということで,そういう方向で考え,マストだと思います。

 

【藤田委員】 例えば,核燃料サイクル施設の新規制基準対応のために,原子力学会の再処理サイクル部会の中ではワーキンググループをつくって,17回くらい検討して,今,中間報告書を出すようになっています。学会等,どこかそういう組織をうまく使われて,TEF-Pだけじゃなくて,いろいろなところのものをきちんとつくっておけば,それをどこにでも適用できる。ちょっとここに具体的に組織名は上げないですけれども,された方がいいのではないかと思います。

 

【山口主査】 ありがとうございます。今のお話は研究開発段階でも同じようなアプローチをとっているので,今日の時点は少し規制基準への対応に向けて課題を整理していただいたので,これからどう動くかということを議論していく段階だと思いますので,今の御意見,多分,具体的に始めようとなると不可欠な話になりますので,検討が今後必要なポイントだと思います。

 ほかに御意見等はございますか。

 作業部会での展開という意味では,今日,幾つか研究開発課題について,現状と今年度の計画,それから今後解決しなければいけないような技術的なポイントを御紹介いただきまして,それについて研究開発の課題をまた今後継続して着実に進めていくということでいいのかどうかが1つです。

 それから,今日,ロードマップをお配りいただいていますが,これから地盤調査とか,そういう準備が建設に向けてはまず必要になるので,そういうのをやるのかどうかというポイント。あとは先ほど規制基準のお話にもありましたけれども,施設の安全検討といいますか,安全設計のための検討をこれから重要な課題で着手していくのかどうか。そういったあたりがここの作業部会での見解ということだと思います。

 それを判断するに当たって,今日いろいろ御説明いただいた進捗状況,規制基準への対応状況,あるいは国際協力に対する取組,そういうのを踏まえて,幾つかこういうふうにやるべきだという御提案も頂いたところですが,前回,いろいろ頂いたコメント,問題点を整理して,ロードマップをおつけいただいて,お話しいただいたのかなと思っております。

 この前の報告書が出てから,10か月ぐらいですか,去年の年末ぐらいでしたので,今日お伺いした時点で,あるいは委員の皆様方からの意見も非常に建設的な意見を多く頂いて,基本的には今の進捗状況で大きな問題がありという御意見はなかったのかと思います。今,私の方で申し上げたような形で,ロードマップ,あるいは計画の中で予定されていた,先ほど3項目,R&Dの話,それから安全設計の話,建設に向けての準備の話,そこらあたりは作業部会としては,今後もいろいろウォッチしながらになるかと思うのですが,進めていただくというような方向でよろしいのかなと今日議論お聞きしていまして考えたところです。

 少しそういう見解のまとめ方について,いかがでしょうか。そういう形で何かご意見はございましたら伺いたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは,今,点々になっているところをどういうふうに書くかというのは,今日の皆様の御意見を踏まえて,事務局と主査の私の方に御一任いただいて,その上で,何回か案をお送りして,御意見を頂くということはあろうかと思いますけれども,そのように扱わせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。

 それでは,今後少し具体的な見解が作業部会のクレジットで出ていくということになりますので,そういう形で進めさせていただいて,また何かご意見がありましたら,御連絡いただければと思います。

 それでは,以上で,本日予定していた議題がすべて終わりました。最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

 

【西田企画室長】 本日はありがとうございました。頂きました意見などを踏まえて見解案を作成いたしまして,委員の皆様に送付しまして御意見等を頂きたいと考えてございます。

 先ほど御指摘がございましたように,最終的な取りまとめは主査と相談させていただきまして,まとめさせていただければと考えてございます。

 今回の議事録につきましては,出来次第メールで各委員の皆様に御相談させていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

 また,本作業部会につきましては,今回で一旦の一段落という形になりますけれども,次回の日程及び議題につきましては,今回の研究開発の進捗状況などを踏まえまして,また改めて委員の皆様に御連絡,御相談をさせていただきたいと考えてございます。

 事務局からは以上でございます。

 

【山口主査】 ありがとうございました。

 それでは,以上で第7回の群分離・核変換技術評価作業部会を終了させていただきます。

 少し時間が超過いたしまして,大変申し訳ありませんでした。どうもありがとうございました。

 

―了―

 

お問合せ先

研究開発局原子力課放射性廃棄物企画室

(研究開発局原子力課放射性廃棄物企画室)

-- 登録:平成26年10月 --