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群分離・核変換技術に係る研究開発の今後の進め方について(案)

 

資料9-4

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会

原子力科学技術委員会 群分離・核変換技術評価作業部会(第9回)

平成27年8月21日

 

群分離・核変換技術に係る研究開発の今後の進め方について

(案)

 

平成27年8月21日

群分離・核変換技術評価作業部会

 

 本作業部会は、平成25年11月に取りまとめた「群分離・核変換技術評価について(中間的な論点のとりまとめ)」に示された同分野の研究開発に係るロードマップに基づき、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)において行われている研究開発の現状等につき、同機構より報告を受けた。

同報告を受け、本作業部会は群分離・核変換技術に係る研究開発の現状を踏まえた今後の進め方を以下のとおり取りまとめる。

 

 

1.群分離・核変換用燃料及び燃料サイクルに係る技術開発

(1)これまでの取組の成果

   マイナーアクチノイド(MA)分離技術開発では、高レベル放射性廃液からの溶媒抽出法によるMA分離プロセスを確立するため、MAと希土類元素(RE)の一括回収と、MAとREの相互分離の2段階分離に係るプロセスの開発が進められている。一括回収については、模擬廃液による試験において高い回収率でMAを回収できており、プロセスの確立に見通しが得られている。また、MAとREとの相互分離プロセスでは、これまでに欧州や中国、我が国において開発が進められているが、費用や分子の安定性などの課題があるのに対し、新たに見出した抽出剤HONTA(ヘキサオクチルニトリロ三酢酸トリアミド)が実験室レベルでは分離性能、抽出速度、及び抽出容量等の点において、プロセス構築に有望な特性を有していることを確認した。ただし、同抽出剤の特性に対するスケーリングの影響に留意することが必要である。

MA燃料製造技術開発では、高濃度のMAを添加して効率的に核変換できる燃料サイクル技術を確立するため、熱的特性に優れる窒化物燃料を対象とし、MA燃料の製造技術開発が進められている。燃料の挙動評価に不可欠な解析コードの整備においては、既存の燃料解析コード「FEMAXI-7」の拡充により、MA燃料の挙動のシミュレーション計算を行う見通しを得た。物性データ取得・拡充では熱物性測定によるデータ拡充に加え、新たに機械物性測定装置が整備されている。また、MA燃料製造時に粉末飛散を防止できるゾルゲル法による酸化物・炭素混合物からの窒化物調製試験を継続していることを確認した。

乾式再処理技術開発では、MA燃料を用いた工学規模の再処理試験に向けた電解装置と電解回収物窒化装置の開発、及びMAの発熱を考慮した工学機器のバッチサイズの概略評価が進められており、今後の実験室規模での試験に係る検討に有用な成果が得られていることを確認した。

 

(2)今後の進め方

   MA分離技術開発では、MAとREの一括回収、相互分離の両プロセスの開発いずれも実廃液を使用したセル内試験に移行し、引き続き両プロセス確立に向けた基盤データの取得を継続することが必要である。また、両プロセスに係る開発では高濃度のMA溶液を用いた抽出試験によってMA分離挙動をより詳細に評価することが不可欠であるため、重遮蔽グローブボックス等での試験が必要である。

MA燃料製造技術開発では、燃料の微細組織構造等に関わるデータを取得して燃料物性データを拡充させ、燃料挙動解析コードの適用性を確認するとともに、照射試験を目指した燃料ピン製造技術の基礎的検討を進める必要がある。

乾式再処理技術開発では、高速炉サイクル実用化研究開発(FaCT)の成果を活用しつつ、核変換後のMA燃料の組成を模擬したMA試料を用いた試験に移行するとともに、工学規模の試験に向けた装置の改良や、プロセス全体の最適化を進めることが必要である。

 

2.加速器駆動核変換システム(ADS)ターゲット試験施設(TEF-T)

(1)これまでの取組の成果

   TEF-Tについては、主要な技術課題である鉛ビスマス共晶流体(LBE)の取扱技術を確立するため、LBE熱流動・ターゲット技術や、LBE用の構造材料の腐食対策技術、流量計等の計装技術などの開発が進められている。技術課題の解決に向けた成果として、接触型超音波式LBE流量計の3,000時間超にわたる長期測定試験、手動による要求精度内で酸素濃度を制御する目標の達成、LBE中における鋼材の腐食抑制に必要な酸素濃度センサーの国内製造技術の確立や、LBEモックアップループでの流動試験が開始され非照射条件での運転技術実証の準備が進んでいることを確認した。また、ステンレスメッシュフィルタを用いた手法が確立しているLBEから放出されるポロニウムの除去については、今後、フィルタの具体的な実装方法について検討が必要である。

   LBEターゲットシステムの検討では、台車搭載型システム等の大強度陽子加速器施設(J-PARC)の既存技術を活用し、保守時における遠隔操作機器の設置位置にも配慮したLBE一次循環系機器の最適な構成に係る検討が行われていることを確認した。

また、施設の安全性検討に必要な大深度ボーリングによる地盤調査が進められていることを確認した

 

(2)今後の進め方

   LBE取扱技術の確立に向けて、非接触式超音波式LBE流量計の開発やLBE中酸素濃度の自動制御化を進めるとともに、これらの要素技術をLBEモックアップループに実装した上で運転温度を実機で想定される温度まで上昇させ、加熱器や熱交換器も動作させた状態でLBEループ総合性能試験を実施することにより、TEF-Tに求められるLBE取扱技術確立の見通しを確認することが必要である。なお、LBE流量計の設置に係る閉じ込め性能や、酸素濃度センサーに係る機器の精度向上については、引き続き、高速炉等での実績を踏まえた検討を進める必要がある。

    また、LBEターゲットシステムの検討では、放射性物質を含む排ガスの処理や材料試験片の切り出しなどシステムの運転・保守に係わる作業手順の検討や、遠隔操作による配管の接続・切断技術についてモックアップ試験を行うなど、システム技術としての検証を進めながら、システム全体としての詳細な機器構成を検討する必要がある。なお、欧州に加えLBE取扱技術について多くの知見を有すると考えられるロシアの技術情報も参考にし、これらの検討を進める必要がある。

 

3.核変換物理実験施設(TEF-P)

(1)これまでの取組の成果

   TEF-Pについては、主要な技術課題である高線量・高発熱のMA燃料を取り扱うための遠隔操作技術、遠隔での燃料の識別技術、及びピン状のMA燃料の健全性確保のための冷却技術を確立するため、それぞれモックアップ試験装置を用いた試験が進められている。技術課題の解決に向けた成果として、MA燃料を遠隔で操作する装填装置を製作し、不具合無く燃料ピンを所定の位置に装荷し、取り出しができることを確認した。また、2次元バーコードを用いたMA燃料識別試験装置を製作し、遠隔による燃料の自動識別が可能である見込みが得られた。さらに、MA燃料の冷却試験装置を製作し、MA燃料の冷却性を確認するため、燃料ピン表面温度を十分な精度で予測できることを確認した。

施設の概念検討においては、新規制基準の考え方に沿って、敷地条件を考慮した安全性や耐震重要度分類の検討が進められるとともに、核セキュリティ上の要求事項に沿った検討も進められていることを確認した。また、施設の安全性検討に必要な大深度ボーリングによる地盤調査やMA燃料被覆管材料に関する試験計画も進められており、施設の安全性確保に関する検討が進められていることを確認した。

 

(2)今後の進め方

   TEF-P設計に向けてMA燃料装填、MA燃料識別、MA燃料冷却等の各要素技術の確立や、安全性向上に向けた物理的メカニズムを把握するため、落下防止機構の付加、収納状態での識別、反射体を使用した場合の冷却性試験を行い、TEF-P用の装置の概念検討等に適切に反映していく必要がある。

また、施設及び主要機器の安全性について、引き続き、新規制基準の考え方に沿って検討を進めるとともに、TEF-TとTEF-Pでは規制法令が異なることを踏まえ、TEF-Tの異常又は損傷によりTEF-Pへ大きな影響が及ばないよう検討を進める必要がある。さらに、TEF-Pについては、世界的にも例のないMA取扱施設であることから安全性に十分留意し、引き続き、学協会等の客観的意見を取り入れる形で検討を進める必要がある。

 

 

以上を踏まえ、本作業部会として、これまでのところJAEAにおける群分離・核変換技術に係る研究開発が順調に進展していると評価できる。

一方、各項目における「今後の進め方」に掲げたとおり、更なる要素技術開発や実験施設の改良の必要なものが少なくないのが現状である。そのような観点から、本作業部会としては、JAEAに対し、引き続き、国内外の最新の知見(他機関での研究開発に係る取組状況を含む。)等を踏まえつつ、ロードマップに沿った着実な研究開発を進めることを求めるとともに、必要に応じて、JAEAからの進捗状況の報告に係る評価を行うこととする。

 

以上
 

お問合せ先

研究開発局原子力課放射性廃棄物企画室

(研究開発局原子力課放射性廃棄物企画室)

-- 登録:平成27年11月 --