公益財団法人公共政策調査会第二研究室長 河本志朗
1 リスクと向き合う文化の醸成
○ リスクに対処するための、あるいはリスクを伴うあらたな技術の導入などに関する政策決定の過程において、また自らの行動を決定する過程において、行政、専門家とともに主権者たる国民が当事者意識を持って議論し、考え、関与し、リスクに正面から向き合うことによって、はじめて自立した民主的な決定が行われるのではないか。そうした観点からリスクと向き合う文化として醸成する。
2 人材の育成
○ 初等中等教育からのリスク・リテラシー教育の実施
高等専門教育の場においてリスク・コミュニケーターを育成するためにも、またリスク・コミュニケーションに参加するうえで必要なリスク・リテラシーを備えた、行政、メディア、国民など様々なステーク・ホルダーを育成するためにも基礎教育においてリスク・リテラシーに関する教育を実施する。
○ 各分野においてリスク・コミュニケーションを担う人材の育成
各分野の専門家、行政官、メディア、NPO関係者などの職能としてのリスク・コミュニケーションの素養を身につけ、様々なリスク・コミュニケーションの場でコミュニケーターの役割を果たせる人材を育成する。
○ ファシリテータの育成
具体的なリスク・コミュニケーションの場において、ステーク・ホルダー間のコミュニケーションを助長する役割を担う高度な素養を持った専門家を育成する。
3 リスク・コミュニケーションのための研究、人材育成、社会教育、実践、情報や最良の慣行の交換、関係組織や活動のネットワークの中心となる組織の構築
○ リスク・コミュニケーションの研究とともに人材育成を行い、研究成果と人材を活用して幅広く社会教育を行い、リスク・コミュニケーションが必要とされる場に参加して実践し、それを研究や人材育成にフィードバックし、リスク・コミュニケーションの実施に関する情報や最良の慣行の収集・共有の中心となる組織を構築する。そうした蓄積を元に、リスク・コミュニケーション実践のためのガイドライン、基礎教育、コミュニケーター、ファシリテータの育成に向けたガイドラインや教材などを作成するとともに、様々な組織による同様の取組を支援できる組織を目指す。
4 行政の政策決定プロセスへの導入の働きかけ
○ 行政の政策決定過程におけるリスク・コミュニケーションの重要性を広く訴え、政策決定過程において様々なステーク・ホルダーが参加するリスク・コミュニケーションの実施が定着化することを目指して働きかけを行う。
科学技術・学術政策局人材政策課 社会技術係