資料5 安全・安心科学技術及び社会連携委員会(第2回)における主な意見

○ 委員会委員の意見
● 作業部会委員の説明・回答

1 .さらに検討が必要な事項
(1 )扱う対象
○何もかも取り組むと全体の平均値を並べることになりかねない。本当に重要なことはわかりやすく伝えることなのか、当事者が意識を高めることなのか伝わりにくい文章になっている。対象を一つ二つに決めても良いのでは。
●対象を絞ると、自己責任重視の取組のかたまりになったり、逆に極端に高い公共意識を要求するものになったり、事例ごとに引っ張られ、それ以外のパターンを捨象する危惧がある。
○東日本大震災をふまえて、今取り組むべきことは何かを部会で考えてほしい。

(2)リスクの認知・受容と個人の幸福感
●幸福感の議論自体はそれほど出なかったが、議論の前提として共有しており、リスクそのもの以外に価値観を持っている人たちへの意識についてなどの議論をした。
○命に関わる部分については、関心がない人を放っておいて良いとはならない。津波のような外的要因によるもので認知すれば避けられるリスクについては認知すべき。
○いろいろなものを認知すべきとなると難しいので、「人の命を救う防災」という方針で検討したらよいのではないか。
○社会防衛や公衆衛生の観点でリスクの受容が正当化されていく社会は個人の幸福感と正面からぶつかるので、リスクコミュニケーションでどこまで扱うかは難しい。
●権限と責任の分配の決定的なアンバランスを軽減することがリスクコミュニケーションの大事な機能という議論があった。
○幸福感との接点について、津波防災教育において現場で落としどころを探った結果が「主体的にリスクに向かい合う姿勢」を迫った釜石の事例である。

(3)平時からのコミュニケーション
○有事のリスクコミュニケーションにおいて、平時からのリスクコミュニケーションが前提ということがわかりやすくて良い。ただし、リスクコミュニケーション限定の取組は形骸化していくのではないか。
●仕組みを定着させることで形骸化させない鳥取大学のような取組事例もある。

(4)日本型のリスクコミュニケーション
○日本的な意思決定の仕方、コミュニケーションの仕方に合わせれば効果が上がるのでは。
○日本では主体性に働きかけることがあまりうまくいかない。
○日本の社会では曖昧耐性があるので、不確実性に対する耐性もきちんと教育すればできるのではないか。
●リスクの個人レベルの受容と社会全体の公共的な受容については高校生ぐらいであれば議論可能だろう。
●新聞の見出しについて、リスク的な要素を含まずハザードだけが扇情的に出るのが日本の特徴という指摘が作業部会であった。

(5)当事者視点、統治者視点
○市民だけでなく政策決定者も行動変容を起こすことを前提としたことは良い。市民がそのことを知っていることが重要。
○視点が専門家側に偏っているように感じた。専門家以外のステークホルダー側のリスクへの向き合う教育をどうするかについて厚めに書いた方が良い。
○メディアの果たす役割は非常に大きいので、盛り込んでほしい。
○当事者の側からデータを作る取組、仕組みも一つの形。

(6)常設的な機関
○社会の側からのリスクの発議に答える仕組みが必要。食品安全委員会はやっている。
●何をリスクコミュニケーションの対象にするかということ自体がリスクマター。
○「当面は大学が適切」と書かれている部分について引き続き検討してほしい。
●作業部会で議論をした際に、大学が妥当な落ち着きどころになってしまうということであったが、今後の在り方も提案していきたい。

(7)リスクコミュニケーションに必要な資質の獲得手段
○学習によって獲得できるものなのか疑問。
●経験によって獲得されるものではないか。役割交換、インターン等うまく設計すれば、学習によってそれなりに経験を積める。
○コミュニケーターやファシリテーターに関してのみ人材育成プログラムの限界が指摘されるのが不思議。教育は発生確率を上げることしかできない。

(8)初等中等教育
○答えが一つに定まるようなものが主になっている理科教育自体の見直し。
○「脅しの防災教育」ではなく「姿勢の防災教育」。知識を持っていれば合理的な判断・行動ができるという考えに基づく知識供与型の教育では、情報理解の非対称性によりハザードマップの外側で津波の死者が出てしまう。
●防災教育がうまくいっている学校は、そのほかの安全性も高まるし、いじめもなくなっていくという。

(9)キャリアパス、評価、取組を継続していくためのシステム
○現場での実践に正面から向き合い活動している人が評価されない。日本以外でも同様。
○新しいことを立ち上げるにためにはお金がつくが、続けていくためにお金を取ることが難しい。


2.報告書の表現や体裁について
○リスクの定義がない。
○1 の目的について、主体が専門家だけに見える。住民や生活者は。
●「人文社会学を含む」という表現に含めていたが、表現を検討する。
●調査研究という言葉にも住民参加型調査なども前提にしているが表現を検討する。
○1 の目的で「正しい」「正しく」とあるのは要るのか。
●legitimateの意味を短く表現したものだが、表現を検討する。
○4の事例集の冒頭に「震災後の実践者」とあるが、震災前にやるべきこと。
○1 ~3まで一般的なリスクコミュニケーションが記載され、4の行うべき取組まで一般的な話となっているが、今どんな課題があるのか、緊急性があるのかを入れてほしい。社会的な要請の高いものに応じた取組という形で絞り込むことも一案。

(以上)

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