資料6 作業部会の主要論点の検討状況

 

 

検討事項

作業部会で出された意見 

 トピック等

 今後の対応

 備考

1.専門家からの情報発信の在り方 

 

 ○リスク要因のマッピング、特性分類とマネジメント手法

・イノベーションのフェーズ別に見た分類。危機をめぐるフェーズ別に見た分類。【第1回】

・リスクの特性による分類。リスクの特性が分類できれば、対処、マネジメント、コミュニケーションの仕方がある程度類型化できるのではないか。【第1回】

・操作的なリスクの定義と概念的なリスクの定義と並立させていくことがコミュニケーションと考えられる。【第1回】

・安全・安心を脅かす要因そのものがリスクではない。危害や災難を受ける主体がどう理解して対処するか、その様式がリスクの正体である。理解・対処の様式の本質は、「意志決定」と「確率的事象・不確実性」の2つである。【第1回】
・安全・危険、安心・不安を2軸にしたマトリックスでは、「安全であるにも関わらず不安」「安全でないにも関わらず安心しきっている状態」の2つが不安定な状態であり、対応が必要である。ただし、対応するには安全・危険、安心・不安の線を引く必要があり極めて困難なアプローチとなる。【第1回】
・Social factorの高低とScience factorの高低の2軸でクラスター化した市民の科学技術リテラシーモデルがある。科学に過度に軸足を置いているクラスターと、社会的なリテラシーはありながら科学リテラシーが若干不足しているクラスターに注目し、クラスター別の対応策を考えていただくと実践的に使えるものになると思う。【第1回】
・Social factorもScience factorも低い無関心層への対応策は答えが出ていて、教育以外のアプローチは困難。【第1回】

 

・安全・安心科学技術委員会の整理表(H23.10.25報告書参考資料「安全・安心を脅かす要因」)
・WBGU(独地球環境変化科学審議委員会)におけるリスク分類とマネジメント手法の整理

・整理が必要
(JSTの調査研究を活用)
・研究者へのヒアリング

・第1回委員会で複数委員より指摘   

 ○リスクコミュニケーション及びマネジメントの成功事例/失敗・教訓事例

 ・リスクの問題の情報共有に際しては、科学的な観点以外に、規範的な問題(倫理、価値観、リスク分配の不平等、自己決定権の有無)が関わるが、多くの場合規範的な観点が正当に扱われていないため、市民側に不満や不信感が広がる。【第1回】
・社会心理学ではリスクをハザードとアウトレージ(怒りの感情)と定義するが、アウトレージをないがしろにすると、リスクコミュニケーションで最も重要な信頼関係が崩れてしまう。【第1回】
・リスクコミュニケーションをする上で、リスク(※理解・対処の様式という意味)の土俵に乗って議論する前提なしに行うことで、齟齬が生じている。【第1回】
・ある事態をリスクと了解するか了解しないかを考えて、リスクコミュニケーションを行うことが必要。【第1回】
・専門家は背景事象の確率部分に注目して操作的な感覚でリスクを認識するが、非専門家(や専門家が当事者になるとき)は必ずしも確率事象として受け入れるわけではない。【第1回】
・何が起きるかわからない「不安」、行政や専門家に対する「不信感」や、意志決定に関われない「不満」、それらを合わせて「不安」と名付けがちだが、腑分けしないと対処を見誤る。【第1回】
・リテラシー、個人の能力をいかに高めるかアプローチしてきたが、社会の中での水平展開、個人や組織が様々な分業と協働の関係を築くことが重要。【第1回】
・リスクコミュニケーションの失敗例では関係の非対称性がある。社会の水平展開の観点で、皆ある部分では専門家であり別の部分では素人でもあるという対称性のコミュニケーションを元気づけることが重要。【第1回】

 

・事例を集めて整理が必要
(JSTの調査研究を活用)
・感染研関係者へのヒアリング
・メディア関係者へのヒアリング

・第1回委員会で指摘あり

 ○幅のある情報提供と透明性・「検証可能性」の確保

 ・情報の公開やアクセス、検証可能性または透明性が非常に重要。【第1回】
・情報チャンネルの多様化が非常に重要。【第1回】
・コミュニケーションの様々なトレーニングの機会を提供していくことと、情報チャンネルを多様化させることをカップルさせる形の施策(ex.地域の科学館や博物館、学校教育の中で、様々な情報提供・情報共有・理解の深化を行う機会を提供)。【第1回】
・原子力発電所事故の事例では生データが出ていたことは非常に重要だが、一般にも分かるような情報の可視化が必要。【第1回】
・ITの役割は重要だが、同時に紙媒体の活用も情報共有では重要。【第1回】
・市民の自発的な活動を国や自治体、大学等の取組とうまくつなげていくことも重要。【第1回】

・リスク研究学会の取組事例及び議論 

・リスク研究学会に第2回作業部会でヒアリング 

・有識者ヒアリングで指摘あり   

 ○受け手の行動変容と「自己効用感」の惹起

 

・群馬大・片田教授の津波防災啓発教育

・議論を深める必要 

・有識者ヒアリングで指摘あり

 ○複数のリスク間のトレードオフ・優先度付けの在り方

・テロ対策・バイオセキュリティ等における優先順位付け

・報告書では問題提起に留めるか

 

2.専門家と国民・市民との情報共有・価値共創の在り方

 

 ○平時と準有事・有事との取組の連携・接続

・リスク様式が社会に全て行き渡っていることを踏まえ、抜き差しならない問題について平時から対話できることがリスクコミュニケーションの推進にとって必要。【第1回】

・SMCの組織・活動概況及び海外の先行組織・事例

・議論を深める必要 

・有識者ヒアで指摘あり

 ○専門家間の情報共有・意思疎通の仕組み作り、科学者の社会リテラシー向上

・専門家と非専門家の間を取り持つ際に、最も困難なのは専門家側に自分が非対称性を持った強い側にいることを自覚してもらうこと。これが実践上の最大の困難であり続けると思う。【第1回】

・リスク研究学会の取組事例及び議論
・SMCのメディア対応研修等

・議論を深める必要
・リスク研究学会から第2回作業部会でヒアリング(再掲)

・第1回委員会で指摘あり   

 ○NPOの活用と連携の在り方

・水平展開のためのサポートという点で、例えば大学とNPOや市民グループが連携する枠組みやファンドがあり得る。【第1回】
・米国では、連邦政府の各省庁がいろいろなNPOが応募できるファンドを持っている。日本でも何らかの形でできると良い。【第1回】

・東日本大震災後における主要NPOの取組・ネットワーク事例
・リスクデータ検証に係るグリーンピースとの連携事例

・議論を深める必要
・NPO関係者等へのヒアリング  

・有識者ヒア・第1回委員会で指摘あり
・NPOとのリスクマネジメントに係るネットワーク形成支援プログラムなど

 ○市民・ステークホルダーとの合意形成・価値共創(双方向・継続的・小規模な場づくり)に係る成功事例/失敗・教訓事例

・これまでの国内の研究や実践の中で相当蓄積がある。例えば食の安全・安心、生命・医療倫理、情報技術やナノテクノロジーのような先端技術の応用にかかわる問題等の多岐にわたるテーマについて、いろいろな試みがある。【第1回】
・外国の手法を輸入するだけではなく、日本でオリジナルに開発された統合型pTA会議、対話フォーラム等の取組も多くある。【第1回】
・政府DPから抽出された課題:(1)専門家が十分に組織化された形で対応できなかった。(2)正統性のある独立した運営体制の立ち上げが困難であった。(3)政策決定過程での位置づけが曖昧であった。【第1回】  

・東日本大震災後のICRP主催ダイアログ・セミナー
・市民との双方向リスコミ(BSE・GMO)の実践・モデル化

・理研・茶山秀一室長に第2回作業部会でヒアリング
・事例を集めて整理が必要
(JSTの調査研究を活用)

・有識者ヒアで指摘あり

 ○リスクの不確実性を踏まえた科学教育の実践性向上

・北大CoSTEP・阪大CSCDの全学教育への取組事例など

・議論を深める必要

・有識者ヒアで指摘あり 

3.リスコミに関わる人材育成 

 

 ○専門家の組織的育成とネットワーク強化

・北海道大学CoSTEPでは「コンテンツ制作」と「対話の場の創出」がセット。【第1回】
・CoSTEPの科学コミュニケーターの養成は、狭い意味での職業ではなく、社会の様々な場面で役割として科学技術に関するコミュニケーションを担える人を増やすことを掲げている。【第1回】
・リスクコミュニケーションに特化した専門家も必要だが、広い意味でリスクコミュニケーションのマインド、センス、スキルを身につけた人材が各所に配置されることが重要。【第1回】
・実践・教育・研究の相乗効果を生む場として大学が役割を果たす。【第1回】
・CoSTEPの財源は競争的資金の間接経費。全学の共同利用組織でないと規模的に困難。【第1回】
・大学等で人材を教育するにあたり、コミュニケーターの責務がどこまでかを念頭におくことが必要。【第1回】
・大阪大学CSCDでは、主に大学院生向けにコミュニケーションデザイン教育を提供。将来様々な方面に巣立っていく学生に職能の幅を広げてもらうことを期待している。【第1回】
・大学が、職能としてのコミュニケーターを養成する教育・カリキュラムを提供するという潜在的ニーズはある。【第1回】
・大学の教育機関の役割として、企業関係者、行政職員等の大学外で様々な実務に携わる人たちに対してトレーニングの機会を提供する。【第1回】
・大学教育では、薄く広くの共通教育的なものや、特化した副専攻的なものなど3、4種類のパターンがある。1大学に全てなくとも良いが、手の届く範囲に学べる大学があって初めて専門家の組織的育成と言える。教育機関同士がネットワークをつくり融通し合うことが必要。【第1回】
・リスクや科学コミュニケーションを実践している人同士でお互いの取組を共有する時間や合宿のような機会があると、少しずつ毛色は違うものの共通言語があるので、学べる点がすごくあると実感している。【第1回】
・各実施者が定期的に相互作用させる仕組みを制度設計に入れる。例えば合同研究報告会を年次報告のタスクにすると、年次報告書として大量の文章を書くより意義のある報告プロセスになる。【第1回】
・全国一律の基盤となる共通言語を無理やりつくるのではなく、拠点となった大学で特徴あるプログラムを作り、担当者同士が交流する場で共通言語を編み出していけると良い。【第1回】
・教育に関わる大学人同士の交流のみならず、実際に社会で実務に携わる行政・産業・医療関係者等との間で共通言語をつくる場が必要。【第1回】
・横串で見る担当の人を置くと良い。縦串の各実施者が上位概念をすり合わせる作業は困難で、横串担当がいた方がスムーズ。また、ネットワークが残るので良い。【第1回】
・人材養成機関が多種多様なリスクに関わる人たちの交差する場になることが重要。共有するコアを保全するのは大学が良い。コアはきれい事である。(現場では信念を曲げるからこそ大学できれい事を教えるというのが米国のジャーナリズムの教え方。)官庁がコアを保全すると、お上のためのプロパガンダのコミュニケーションに見えてしまう。【第1回】
・政府がコアを担うのは困難と理解するが、独立行政法人のJSTは中立・公正にみられるのか。大学も国の予算が流れているが、現場の実感はどうか。【第1回】
→相対的には大学の方が独立性は高いが、イシューにもよる。大学であっても独法であっても時間をかけて信頼を積み重ねていくしかないだろう。【第1回】
→第三者性を突き詰めると無限後退していき、大学ではなく市民団体となると、他方市民団体も色眼鏡でみられるので逆の効果も出てくる。手始めに大学というのは良いと思う。【第1回】
・科学技術に関わる研究者が必ず持たなければならないコミュニケーションの能力や資質は何か、それを育成する仕組み(名刺に書ける、科研費の申請に明記等)は何かを考えていただきたい。【第1回】

・北大CoSTEP・阪大CSCDの全学教育への取組事例
・JST科学コミュニケーションセンターによるネットワーク形成支援プログラムの実施状況

・第1回で多く議論

・有識者ヒア・第1回委員会で指摘あり   

 ○メディア関係者との個人的・組織的交流の仕組みづくり

・SMCの組織・活動概況及び海外の先行組織・事例

・メディア関係者へのヒアリング 

・有識者ヒアで指摘あり 

 ○リスクコミュニケーション専門家のキャリアパス開拓・形成、経験評価の仕組み

・キュレーター的な役割としてのコミュニケーターを、例えばCOIやCOC等の事業の中に入れ込んで、日頃の活動を行い、活動の幅を広げるのがひとつのアプローチと考える。【第1回】
・COCにおいて、リスクコミュニケーションを学んだスタッフが1人いると活動の幅が広がる。しかし、そのような人材がいることがどれだけ認知されているか。【第1回】
・リスクコミュニケーション版人材データベースとその活用があり得るのかどうか御議論いただきたい。【第1回】
・大学で身につけるべきスキルやサーティフィケートを考えるとき、ジャーナリズムの世界と同様、リスクには対立する立場があり得るので、免許や資格のようなクオリフィケーションは馴染まない。サーティフィケートが権威的に作用しないよう、設計時に考えておくべき。【第1回】
・大震災後の早稲田SMCの卒業生が、危険をあおる側から安全と主張する側まで両極端で活動をした。このように、同じ方法論は使っているけれども、幅のある異なる立場に立って活躍することを実現できる仕組みを目指したい。【第1回】

・北大CoSTEPの取組事例(論文誌発行)など 

・第1回で多く議論 

・有識者ヒア・第1回委員会で指摘あり

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