資料2-1-1 第1回宇宙科学小委員会(平成25年4月22日)における議論のポイント
平成25年5月8日
1.議論の方向性
- JAXA/ISASに限定した議論ではなく、大学を含めた宇宙に係る学術研究の在り方について議論すべき。
- 宇宙科学には理学(Pure science)と工学(Engineering)が含まれる。
(工学の役割は、宇宙空間を使って新しい何かを行う可能性を広げるもの)
- 新しい宇宙基本計画の策定後の最初の概算要求をひかえているので、文部科学省としては、来年度予算要求に盛り込むべき提案も期待
- トップサイエンスセンター(TSC)については、構想の具体化について意見を期待
2. ISASの課題
- 昔に比べて基礎研究の足腰が弱くなってきていると感じられる。
- プロジェクトの大型化やプロジェクトの確実性への要請から、プロジェクト遂行業務の負担が大きくなってきていると感じられる。
- ISASとは別の場所で、「きぼう」で公募する実験テーマ(大学からのプロジェクト提案など)の学術価値を議論している。別個に議論するのではなく、連携すべきではないか。
- 科学(ISAS)と探査(JSPEC)は別物という考え方が、ダイナミクスを失わせているように思える。科学と探査は、ISASがリーダーシップをとるべきではないか。
- ISASとして独自に輸送システムに取り組むという体制ではなくなったことで、ISAS工学系研究者の活力を活用できていないように思える。ISASとして独自に輸送システムに取り組むべきか、輸送本部とISASの連携の在り方を変えるか等について、10年先を見て考えるべき。
- 工学の人材流動化をもっと促進したい。
- ISASには教育職の役割も期待されているが、実際には研究が中心
- 太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)やX線天文衛星「すざく」(ASTRO-EⅡ)のようにミッションとして成功すると、研究者が集まり学術研究成果も多く出されるが、金星探査機「あかつき」(PLANET-C)のように飛行状況が芳しくない場合の落差が大きい。
- どのような技術開発(工学)が新しい学術研究(理学)の展開に寄与するかという循環が見えにくい。
3.トップサイエンスセンター(TSC)構想について
- ISASの基礎研究の充実やプロジェクト負担軽減とTSC構想の関係が明確でなく、TSCで解決を目指すことと、日々の改善の中で解決すべきものと分けて考えるべき。
- ISASだけではなく、大学共同利用システムとして大学も含めたコミュニティ全体でTSCを目指すべき。
- 各大学の宇宙研究と教育を先導するような役割、各大学をパートナーとして全体構想を考える役割をTSCに与えてはどうか。
- TSCの拠点をどこにするかについて、JAXA/ISASにこだわらずに検討すべき。
- TSC構想は、人の交流により学術が生まれるものと理解。コミュニティが支えるTSCを前提として、人材流動によって常に先進的研究テーマをISASに集めるような工夫を考えてはどうか。
- インターナショナルトップヤングフェロー(ITYF)プログラムのような処遇制度よりも、研究している内容そのもので人を集めるべき。そのためには、「どのような科学研究を行えば良いのか」を中心に据えて検討すべき。
- ITYFプログラムなどで招へいした研究者の任期終了後、ISASの中でその研究テーマをどのように継続し、成長させるかの方策について検討すべき。
- 「人の交流」と「学術成果」に、「競争的資金により研究費用を稼ぐこと」を加えて具体的な循環を構築する必要がある。
4.宇宙科学分野における人材育成
- 宇宙科学分野における人材育成については、年代別に検討すべき。
・ 小中学生レベルでは、宇宙を題材とした教育
・ 大学院生レベルでは、宇宙分野で活躍できる人材の育成
・ 高校生、大学生レベルでは、上記両面が混在
- 人材育成の課題
・ 教育活動の実務者不足(特に高校生レベル)
・ 大学の先生は、教える活動の比率が高くない。
・ 実験できる場所も不足→失敗を許容する場所が教育系の共同利用拠点にあることが望ましい。