資料1-1-1参考 文部科学省における宇宙分野における推進方策について(抄)

(平成24年12月18日 宇宙開発利用部会)

1.宇宙を知る

(1)宇宙科学

3) 具体的な推進方策

ア.世界を先導する宇宙科学研究の推進

 宇宙科学については、今後とも我が国が世界最高水準の研究成果を持続的に創出し、世界を先導していくことが求められる。
このため、我が国が現在優位性を有する分野を更に発展させる挑戦的なプロジェクトの実施や新規分野の開拓などが重要である。これまでに、X線や赤外線等による天文観測や宇宙物理、太陽研究、磁気圏観測・月面詳細観測等の太陽系探査科学、「はやぶさ」で得られたイオンエンジン技術を含む宇宙空間航行技術などの分野で卓越した成果を生み出してきた。これら実績を踏まえ、ISASの大学共同利用機能を活用し、宇宙科学コミュニティの提案を踏まえつつ、文部科学省は更なる支援を実施すべきである。
 その際、新規分野・融合分野への取組の促進、ISASと各大学の連携協力の強化、国内大学研究者の流動化の促進、外国人の受入れ促進など、ISASを中心とした宇宙科学コミュニティが世界のトップサイエンスセンターとして機能するような取組について、具体的な方策を検討すべきである。
 当該検討にあたっては、宇宙開発利用を先導していくとの観点や学術研究の特性に配慮し、当部会に検討の場を設けるなど広く関係者の意見を集約しつつ施策の具体化に取り組むべきである。

エ.情報の発信

 公共財としての宇宙科学技術への投資が行われ発展していくためには、ユーザーであり出資者でもある国民の理解を得ることが不可欠であり、社会との間の双方向のコミュニケーションが重要である。
 このため、これまで比較的社会との関係への取組が弱かった研究者や技術者においても、国民の理解を得るための情報発信がなされるよう、文部科学省やJAXAはそのための人材育成や機会の提供等の支援を強化すべきである。

2.宇宙を支える

(2)人材の育成

2) 具体的な推進方策

ア.宇宙開発利用を支える専門人材の育成

 宇宙開発利用を支える専門人材の育成は、量ではなく質が問われる状況にあり、魅力あるプロジェクトへの参加を通じた能力向上など宇宙開発利用の各事業が適切に実施される中で実経験による人材育成が図られることに加え、その前段階として以下のような人材の育成を図っていくことが重要である。

  • 実利用までを見通してプロジェクトを適切にまとめあげる総合力を持った人材を育成するため、宇宙科学など先端科学技術の専門性に加えて、人文科学やリスク管理等の見識を修得する機会が提供されるよう、当該取組を行う大学院等に対して支援を行うなど配慮すべきである。
  • 優れたエンジニアリング能力を発揮できる人材を育成するため、実際の衛星プロジェクトへの参加などを通じて実践的なスキルが修得されるよう、超小型衛星の製作支援や製作された衛星の打上げ機会の提供に配慮すべきである。
  • 将来の新規利用分野の創出に貢献できる能力を有する人材を育成するため、新たな利用方策の開発や実証を経験できるよう、当該取組を行う大学院等に対して支援を行うなど配慮すべきである。

 また、これら施策の実施に当たっては、国内の人材育成に加えて、宇宙新興国における人材育成にも配慮することで、海外における将来の宇宙利用拡大に貢献していくこととする。

イ.関心を有する青少年の裾野の拡大

 将来の宇宙開発利用を支える専門人材や宇宙に対する社会的理解を支える人材は一朝一夕に確保されるものではなく、幼少の頃からの関心等が大きく影響すると考えられる。したがって、科学技術や宇宙に関心を有する青少年の裾野の拡大に向けて、年齢層に応じたきめ細かな支援を実施することが有効である。
 このため、小中学生等に対しては宇宙分野への関心の向上を主眼とした教材開発などの取組を、高校生・大学生等に対しては模擬のロケットや衛星の打上げ等の実体験を通じてより専門的な関心を高める取組などを支援すべきである。

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研究開発局宇宙開発利用課