安全・安心科学技術及び社会連携委員会(第6回)・安全・安心科学技術及び社会連携委員会 リスクコミュニケーションの推進方策に関する検討作業部会(第8回)合同会議 議事録

1.日時

平成26年3月27日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省17階 17F1会議室

3.議題

  1. リスクコミュニケーションの推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

堀井 秀之 主査、小林 傳司 主査代理、片田 敏孝 委員、河本 志朗 委員、篠村 知子 委員、田中 幹人 委員、奈良 由美子 委員、原田 豊 委員、三上 直之 委員、山口 健太郎 委員、大木 聖子 委員、寿楽 浩太 委員、平川 秀幸 委員

文部科学省

川上 伸昭 科学技術・学術政策局長
伊藤 宗太郎 科学技術・学術政策次長
松尾 泰樹 科学技術・学術政策局人材政策課長
西山 崇志 科学技術・学術政策局人材政策課長補佐
齊藤 加奈子 科学技術・学術政策局人材政策課専門職

5.議事録

<開会>
【堀井主査】  定刻となったので、第6回安全・安心科学技術及び社会連携委員会、第8回リスクコミュニケーションの推進方策に関する検討作業部会合同委員会を開催する。
 本日は、内田委員、藤垣委員が御欠席で、山口委員が少し遅れていらっしゃるが、安全・安心科学技術及び社会連携委員会は、定数12名に対して現在9名、山口委員がいらして10名、リスクコミュニケーションの推進方策に関する作業部会は現在5名で、6名に全員御出席になる予定で、現時点でそれぞれ定足数を満たしていることを確認する。
 それでは、事務局より配布資料の確認を。
【齊藤専門職】  (配布資料の確認)

<議題1.リスクコミュニケーションの推進方策について>
【堀井主査】  議題1、リスクコミュニケーションの推進方策について。約1年間にわたり委員会と作業部会で御議論いただいてきたが、本日取りまとめを予定している。まず、事務局から報告書(案)の説明を。
【西山補佐】  前回の委員会で報告書(案)の骨子の方を御紹介した後、先生方の御意見等を踏まえて、報告書の(案)を今回事務局の方で作成した。資料1を御覧いただきたい。全体として、本文は15ページの構成になっており、先ほど主査からの御発言のとおり、約1年間にわたって先生方の御議論を通じて、様々その分野とか、セクターで行われているリスクコミュニケーションに共通する知見とか、教訓を可能な限りを導き出し、リスクコミュニケーションの基本的な視座と、これを推進していくための方策を明示した報告書というふうにしている。
 審議会の報告書は、前回の委員会でも申し上げたが、通常網羅性や総合性といったものを重視して、大体大部にわたる報告書、50ページとか、60ページとかそういう報告書が多いが、本件については、リスクコミュニケーションということで、特に幅広いセクターの人にも、今後、参照してもらえるものとなるように、できるだけポイントを重視して15ページというふうにコンパクトにまとめようと事務局では心がけた。
 本件、事前に先生方に報告書の素案の方をメールで御照会したが、本日の報告書については、その先生方に事前に頂戴した意見については、できるだけ反映したつもりだが、全て反映しているわけではないので、その点も含めて本日御議論を賜れば有り難いと思っている。
 (以後、資料1について、構成順に説明)
【堀井主査】  これから、報告書(案)の章立てに沿って、時間を区切って御議論いただくが、その前に、全体に係る事務局への御質問や御確認等をお願いしたいが、いかがか。 
大丈夫なようなので、それでは、章ごとに時間を区切って御意見を頂戴したい。
 まず、1の「はじめに」及び2の「リスクコミュニケーションについて」について、1ページから3ページの御意見を頂きたい。
【河本委員】  3ページの(3)のリスクコミュニケーションの目的の最後のパラグラフ「リスクコミュニケーションについて、これらの目的を達成しようとして、ステークホルダー間の異なる意見や価値観の画一化を図り、一つの結論を導き出すことを可能にする手段と考えるのは適当ではない。」これは最後のまとめの15ページのところにも同じようなことが繰り返しで出てきているが、リスクコミュニケーションそのものの営みは正にそうなのだろうが、この上のマル1、2、3、4、5にあるマル3などは、そこを見ると、ステークホルダー間で多様な価値観を調整しながら具体的な問題解決につなげることとか、それから、マル4のところは、適切な手続を踏んで社会的合意を得ることということが書いてあって、何がしかのリスクに対する向き合い方の中で、リスクコミュニケーションをすることによって、こういう問題解決を図るのだよね、合意できるようにするんだよねということが書いてある。なのにその下にその一つの結論を導き出すことを可能にするものではないと書いてあると、普通の人がこれを読むと、じゃあ、これ、何なのだという、ちょっと分かりづらいところがあるのだろうと思う。
 だから、リスクコミュニケーションの目的がこうであるのだけど、リスクコミュニケーションそのものがこういう統一的な見解を導き出して、こうなんですという結論を出すのではないという意味をもうちょっと分かりやすく何か表現できないかなと思うが、どうだろうか。
【堀井主査】  はい。今の点について、何か御意見をお願いしたい。
【三上委員】  私も、今のお話があった点が少し気になっていて、マル1からマル5ってあるところの特に3番と4番。問題解決につなげるというのは、ちょっと若干ここで議論してきたリスクコミュニケーションの役割からいうと、踏み込み過ぎというか、ここに関わってはいくけれども、例えば問題解決に寄与することであるとか、それから、4番も、社会的合意を得ることまで言ってしまうと、ここで議論してきたリスクコミュニケーションの機能からは少しはみ出てしまうのかと思うので、例えば社会的合意の基盤を形成することであるとか、社会的合意の基盤を得ることとか、何かそういう表現にしていただくと、より後ろの部分とつながっていくかなと思う。
【堀井主査】  はい。どうぞ。
【平川委員】  今、御指摘されたポイントというのは、リスクコミュニケーションに関する議論で、かなり重視されているポイントで、最終的に何らかの合意形成をするとか、何らかの意思決定をするということ自体は、リスクコミュニケーションの外側、その先の話であるという位置づけが必要だ。リスクコミュニケーションの目的は、合意形成なり、意思決定をするときにできるだけいろんな要素、いろいろな観点を踏まえた形でできるように、そのためのいろんな情報や意見、視点というのを提供する、用意することだと言われているので、今、三上委員がおっしゃったように、意思決定の基盤とか、そういう言い方が適切な表現になると思う。
【堀井主査】  今の点について、ほかに御意見はあるか。「寄与する」とか、「基盤を形成する」という、具体的な修正、方向性まで御提示いただいたので、私もそれが非常にいいかなと思うが、事務局としてはいかがか。
【西山補佐】  はい。そのとおりであろうと。
【堀井主査】  では、これはそういうことで。
 ほかに、今の検討の部分について御意見をどうぞ。
【三上委員】  同じ場所で、その箇条書にしていただいたところのマル2番で、潜在的な問題を掘り起こしてリスクの現実化を防ぐとあって、これは実際の意味は、まずいことが起こらないように、不具合が起こらないように努力していくという意味だと思うけれども、リスクというのは、ある一定の確率でそういう不具合が起きるということなので、ここには安全という捉え方とリスクという捉え方を対立して捉えるという議論をこの会議の前半でやってきたと思うけれども、まだ安全の話が、安全神話というか、そういう捉え方が若干その尻尾が残っていて、これ、恐らくこの委員会での議論を正しく反映するとすると、リスクコミュニケーションの定義にある言葉と同じでいいと思うが、リスクの適切なとか、いろんなステークホルダーの納得がいくマネジメントにつなげていくというのが、多分ここで言いたいことなのかなと思うので、そこは用心深くちょっとやりたいなと思った。
【堀井主査】  はい。今の御指摘に関連して何か御意見あるか。
【小林主査代理】  言葉遣いで私もここは少し気になったところで、最初の原案は顕在化となっていたのかな。それで、現実化に直すという意見を出してみたけれども、取り入れていただけなかったが、問題はリスクの方で、「リスクの現実化」というのはちょっとおかしい。ハザードだったらまだ分かるのだけれどもという感じがしたので。で、それで、ハザードまでした方がいいのかなという気がちょっとしたのと、それから、それでも踏み込み過ぎたという三上委員の指摘はそのとおりなので、やっぱりちょっと決定論的な物の言い方になっているということだと思うので、少しここは工夫した方がいいのかもしれない。今、マネジメントにつなげていくとおっしゃったか。
【三上委員】  はい。ここではリスクの、その前のページでリスクコミュニケーションって何なのかといったら、いろんなコミュニケーションすることで、リスクのより適切なマネジメントするというのが最後のゴールなので、ちょっとぼんやりした形になっちゃうのかもしれないけども、やっぱりその言葉でちょっと注意深く書いておく方がいいのかなと思った。
【河本委員】  でないと、マネジメントとリスクコミュニケーションがごっちゃになってしまう。
【三上委員】  その問題もある。
【平川委員】  そうすると、いろんな責任の問題とか、そういうのがまたあやふやになってしまう。
【河本委員】  そういうこと。
【堀井主査】  そうすると、定義の文言に少し合わせたらどうかという方向で……。
【三上委員】  はい。まずは、もう少しベターな表現があるかもしれないけれども。
【堀井主査】  はい。定義の方は、最初のところで、リスクのより適切なマネジメントのためにということで、リスクコミュニケーションの目的がここで明確に規定されているのだから、それに合わせた表現にしたらいいのではないかということで。どうぞ。
【寿楽委員】  あんまり文言の修正ばかりをやるとよくないかもしれないが、今、御議論があったことでいうと、先ほどのマル4のところも、社会的合意を得ることというところを、例えば参加を得ることというふうにすれば、IRGCのこのマル4のところ書き方とも合って、括弧の中も(リスク管理に対する合意形成への参加)といった表現にすれば、先ほど基盤を創るという表現もあったけれど、そういう言い方もあるのかなと思った。
 それから、最初に、河本委員から御指摘があったところは、その後のあるいは、特定のステークホルダーによってというところ、これは私が御提案したところだと思うけれども、こっちの意味のニュアンスで、もしかすると前も同じことを言おうとしていて、繰り返しになっているのかもしれないので、だから、例えば行政とか、専門家がこう考えていて、それを、例えば市民の皆さんにもそのとおり理解していただくことがリスクコミュニケーションだと思っている人がいるとしたら、そうではないよということを多分ここでは言いたいのだと思うので、まとめて一つの文にしていただいても、「あるいは」とか別に言わずにでもいいのかなと思ったので、ちょっと今、すぐに具体的な修文は出てこないけれども、そのように思った。
【堀井主査】  今、幾つか御指摘あったかと思うが、それに関連して御意見あるか。
【小林主査代理】  あと、これ、マネジメントという言葉と管理という言葉が両方出てくるけれども、これは意識的に区別して使っているという理解でよろしいか。2ページのところはほとんどマネジメントで押してきて、ただ、2ページの(3)のところで、リスク管理機関というところは管理が出てくる。そして、3ページのところのマル4は、(リスク管理に対する合意形成)となっていて、これは何らかの統一をした方がいいのかなと。それとも、使い分けをするなら使い分けるように……。
【西山補佐】  この報告書の中では基本的にはマネジメントという言葉を我々は使っているが、確かに一部管理という言葉を使っていて、これは、例えば作業部会の報告や、若しくは何らかの引用している場合に管理という言葉が残っているので、例えばこの3ページのマル4でいっても、マネジメントとかいう言葉にした方がよりいいのかなという気はしている。
【堀井主査】  分かった。マネジメントの中身というか、具体的な意味というのは、この報告書の中では特には触れてない。そこは触れなくてもいいか。例えばというような形とか。
【小林主査代理】  リスク評価・リスク管理機関というのが2ページのマル3に出てくる。これは何を意味するかと。これは国際リスクガバナンス・カウンシルの表現だと思う。だから、食品安全委員会はリスク評価機関、で、管理の方をやるのは厚生労働省か、農林水産省というふうに分けるのが普通。だから、マネジメントというのは両方含んでいる感じがしない。その評価、管理、日本語のアウトカムになったとき、どうなのか。それも厚生労働省とか、そのオペレーションをやっているところだけか。
【河本委員】  日本の場合は、食品安全委員会と厚労省のように分けられているのは余り例がない。だから、一般論でいうと、マネジメントの中にみんな入ってしまうのではないのって、どかっと考える人が多いかもしれない。ただ、そういう分けた例があるので、そこは分けた方が、概念としては理解しやすいのかもしれないけども。
【平川委員】  あと、リスクアナリシスの議論だと、そこら辺はちょっと二重の意味があって、一方では、アセスメントはマネジメントのインテグラルパートだという言い方がある。つまり、マネジメントの一環の中にアセスメントがあるのだと。それだけ独立があるわけではない。だけれども、リスクアナリシスというのは、アセスメントとマネジメントとコミュニケーションの三本柱なのだということで、アセスメントとマネジメントを分けて、別のコンポーネントとして一方では考えると同時に、でも、アセスメントはそれだけで独立しているわけじゃなくて、マネジメントの一部なのですよという、ちょっと面倒な関係になっている。
【小林主査代理】  面倒な話で。
【平川委員】  これは、食品であればコーデックス委員会とか、そういうところのいろんな報告書でもそういう表現をしているので、ちょっとすっきりなかなかきれいにいかないけども。
【大木委員】  今の話は、結構重要な問題。なぜかというと、リスクの評価に資する研究とリスクの管理に資する研究と、それのコミュニケーションに資する研究は、全部違うと思う。ところが、これをまとめて書いてしまうと、例えば地震の発生確率の評価をしている人たちは、必ずしもそれのコミュニケーションにたけているとは言えなくて、とか、あるいはたけてコミュニケーションすることが評価する方にとって不都合であるとかいう話が出てきたりとかするので、そこをきちんと伝わるように表現するのは大事な……。
【小林主査代理】  結構大変な論点だと思う。
【大木委員】  その学協会って、一言に何々しなさいっていうのを5章ぐらいでまとめている。そこの部分に関わってくるのではないかなと思う。
【寿楽委員】  確かに今のお話だと、マネジメントとアセスメントの部分も違っていて、アセスメントというと割と理学に近いところがあると思うけれど、マネジメントはもう完全に工学の世界だろう。ある種の割り切りとか、いろんなトレードオフを考えたりする。
【大木委員】  リスクの評価をする地震学者が、これにその研究だって言って出しちゃうと、多分大分違うコミュニケーションになっていくと思う。
【堀井主査】  どうぞ。
【田中委員】  基本的には、ここ、私、事前に説明を頂いたときに申し上げたが、そのときにも議論になっていたが、正に同じ点だったのだけれども、この報告書に関しては、恐らく留保条件を付け加えようとして、コミュニケーションに特化した形にしないと、逆に、今の既にお話でお分かりのように、多分抑え切れない、長大なものになってしまうので、まず、そこから始めて、どういったのり代を残しておくのか。ここでも既に、クライシスは、実は区分けして、ここでは脇に置いておきますよということを宣言していること、これが実はかなり重要な意味を持っていると思う、一緒くたに考えられがちだったものをきちんと整理しているという点で。なので、ちょっとこういった文章を少し加えて、マネジメント、アセスメントといったものに関して、脚注でやるのか、本文にも一つ述べるのか分からないけれども、特にコミュニケーションというものの混乱というものを、これでディフィニッションをしてきちんと行うんだよということでいいのではないかと思う。
【堀井主査】  はい。いろいろ御意見があったけれども、一つは、マネジメントの言葉の多義性というところがあって、少しブレークダウンしたときに使うマネジメントという言葉と、全体を包括してマネジメントと呼ぶ使い方があるということ。
 この報告書の中では、(2)の定義のところにあるように、「リスクのより適切なマネジメントのために」と言ったときにマネジメントは、包括的なマネジメントの意味。ここでは、余りアセスメントだの、何だのって、そういう話をするのがこの報告書の目的ではないので、そこのことが分かるような、下の脚注なのか、一文を加えるのかして、ここでは包括的な意味でマネジメントという言葉を使うというような意味が伝われば、細部の議論をこの報告書の中にきっちりと盛り込みましょうという御意見ではなかった。
【平川委員】  ええ。特に、今の話とかって、割と分野による。食品の世界、化学の世界、また、原子力とか、そういうところで全然違ってくるので。
【堀井主査】  ええ。そういう話は避けた方がいいと。むしろ、総括的にコミュニケーションに関して語るべきことを語るという方針だと。よろしいか。
【平川委員】  はい。それがよいと思う。
【小林主査代理】  そうすると、2ページのマル3のリスク評価・リスク管理というのは、逆にマネジメントとせずに、管理で残しておいて、これが狭義であるという使い分けをして、そして、3ページのマル3の(リスク管理に対する合意形成)は、逆にマネジメントの方の広義にもっていくという、そういう使い分けで。
【堀井主査】  なるほど。それが非常にいい。はい。そういう理解でよろしいか。そういう形で進めれば。ほかに、今、御議論いただいた点について、何か追加で御意見あるか。大体御指摘いただいた点については、整理がついたという理解でよろしいか。
 それでは、次に、3ポツのリスクコミュニケーションの類型について、3ページから6ページのところ、こちらの方について御意見を頂きたい。どうぞ。
【河本委員】  細かい言葉の問題だが、4ページの図1、リスクコミュニケーションの類型の枠組みで、このアクターのところでメディアとある。ここに組織、フリージャーナリスト、インターネットなどってあって、ここ、主体がそれぞれ各行政、市民、専門家、事業者って書いてある。インターネットというのは、恐らく主体ではなくて、正にメディアそのものだが、確かにここで言おうとしていることは、やっぱりインターネット上で、例えばブログなど、いろいろなもので発信するという新しいメディアということだと思うけれど、これ、ちょっと軸が違うので、何かいい言葉がないだろうか。
【堀井主査】  いかがか。
【平川委員】  確かに御指摘のとおりに、主体、カテゴリーが違う話なので、並べるのはどうかということも考えたけれども、恐らく匿名の主体、インターネットとか、匿名で集合的な形で主体というのが存在していると考えると、インターネットという言い方そのままだと、ちょっと余りにも漠然とし過ぎているので、もう少し加えた方がいいのかもしれないけれども、一応その主体という観点からいうと、匿名の集合的主体という捉え方をすることができるのかなと考えている。
 だから、例えばここに加えるとすれば、インターネット(匿名の集合的主体)というようなことを括弧書きしてもいいのかなと。その辺、田中さん、メディア論からいかがか。
【田中委員】  分野としていうと、多分一番適している単語は、英語だとprosumer だろう。で、日本語で訳すとき困るが、生産的消費者と訳したりする。つまり、もはや消費するだけじゃなくて、いいね!ボタンとか、発言を通じて何らかの形でもう情報生産に関わっていく消費者みたいな言い方は、一応単語としてはあるが、今、聞きながらでも余りそぐわない。ただ、意味としてはそこだと思う。実際に議論に、もはや能動的な力を持っているよということだと思うが、これをどう表現するかという。
【堀井主査】  図1のここ、字数にもかなり制限もあるし、この図自身は参照の7番の事例報告書のを引いて持ってきている。だから、そちらの方でここの部分について、本文中に解説をちゃんとしてあるのであれば、このインターネットと書いてそう読むということでいいのではないか、この図については。
【小林主査代理】  せいぜいインターネット発信者とか、やや古臭い言い方だが。
【田中委員】  あるいは余り完全に受け入れられていないが、ネチズンという言い方。ネットシチズンということでネチズン。
【小林主査代理】  それを書くと解説が必要になるのではないか。
【田中委員】  そうだろう。
【河本委員】  要は、既存の、エスタブリッシュメントじゃないという意味でよいか。
【田中委員】  集合的に意見を表明する手段を持っているということ。
【河本委員】  ある程度エスタブリッシュメントとして責任を持って発信しているわけではないけれども、たくさんの情報が出ていっているということでよいか。
【田中委員】  世の中に対してすごく影響力を持ってしまうという。
【堀井主査】  これ、7番の(資料1-1)という、事例調査報告の資料だけれども、こちらの方では、説明というのはされているか。
【平川委員】  いや、詳しくそこはしてなかった。
【堀井主査】  なるほど。参考資料1はもう完成版になるか。
【平川委員】  印刷版としては出ているけれども、ただ、最終的にJSTでPDFの形でホームページに公開するまでにはまだ修正は利くので、そこでは使わないでいきたいと思う。
【堀井主査】  そうすると、では、御提案のあったインターネット発信者ぐらいでどうか。それだと意味がすぐわかるので注釈が必要ない。
【小林主査代理】  まだ分かる。注釈は必要ない。
【堀井主査】  ちょっと文字が入るかなという気はするけど。
【田中委員】  3文字。
【堀井主査】  3文字ぐらい入りそう。
【平川委員】  発信者はぎりぎり入ると思う。
【小林主査代理】  ウェブ発信者ぐらい。
【寿楽委員】  ついでに細かいところを言うと、組織のところも(報道機関等)とかした方が、左上の専門家のところは、組織、括弧の例示があるので、そういう点でそろえた方が良さそうな気がする。
【堀井主査】  はい。では、是非そういうふうにそこは表現する。
 ほかにあるか。
【大木委員】  5ページで、この際、自然災害の原因やメカニズムなどという、行動変容に結びつける内的説得力という、この文章はすごく大事で、これが多分一番の目的になるけれども、その後に続く三つの文章が、何かこう、こういうふうに段落分けをしているのが、余り効果が出てないんじゃないかなと思っている。次の段落の発信者の課題としてというところがある。それが最初にきて、次に、そのときに専門家は、その上の文章の、専門家が難解な言葉を使うんじゃなくて、あるいはメディアともふだんから分かるようなコミュニケーションをとっておきなさいよと。で、受け手はこうでこうで、最終的に行動変容に結びつくというふうに文章の構成をもっていった方がいいのではないかなと思ったけれど、ちょっと検討していただきたい。
【堀井主査】  はい。いかがか、今の御指摘に関して。
【小林主査代理】  これ、ちょっと演繹(えんえき)的な書き方をしてあるのをもうちょっと帰納的な書き方にする方がいい。
【大木委員】  というか、こことここで段落がどうしてこういうふうに分かれているのかって、多分ぱっと読むと分かりにくいかなと思ったので。
【堀井主査】  はい。これに関連して何か御指摘、御意見あるか。どうぞ。
【田中委員】  今日も配布されている有識者ヒアリング、最初の方でやった結果のところとも関連するけれども、専門家の役割といったときに、多分このリスクコミュニケーションの関係で一番実際上専門家が要求されて、そして、また回避しようとしてしまうのは、ワーストケースシナリオという話だと思う。ここにも出ているけれども、ここに向けての、専門家がリスクコミュニケーションにおいて、ワーストケースシナリオというものを描く役割があるとは思うけれども、そのワーストケースという言葉が、例えばイギリスの科学諮問委員会なんかでは、リーズナブル(適切な・無理のない)ワーストケースという言い方をすると。
 ただワーストケースと言ってしまうと専門家は、例えば隕石(いんせき)が今落ちてきたら、テロリストが、という極論を気にし始めてしまい、そんなもん、言えるはずないよってなっちゃうと。そのときにリーズナブルワーストケースといったところを、リスクコミュニケーションにおいてある程度提示する必要があるよという話をどこかに入れておかないといけないのかなというのを、ちょっと読み返しながら、先ほどから考えていた。ここなのかもしれないと思ったので、今、ちょっと申し上げたけども、専門家の役割として、その知識供与の部分に偏って捉えられる可能性があるなと思っていて、専門家は、自らの専門的知見を踏まえたシナリオというものを描出する役割というのは実は持っているんだというようなことは、どこかにあってもいいのかなと思った。それがここなのかどうなのか、実際に、そして、震災後、求められて、また、それを専門家が忌避した部分でもあったので、どこかに入って……、ちょっとここが適切かどうか分からないけれども。
【堀井主査】  なるほど。今、おっしゃったのは、ここでないとすると、どこになるか。4か。
【田中委員】  留意事項の中でシナリオというものを描く責任があると同時に、専門性を踏まえて描く必要があるという話をするのかどうか。多分ここが実際上のリスクコミュニケーションで専門家が、普通にステークホルダーとして求められる役割だと思うので。
【小林主査代理】  9ページ、専門家の役割で(5)というのがある。
【田中委員】  はい。そこも思っていたのだけども。
【小林主査代理】  ここの最後の方か。
【平川委員】  例えばここは今のそのワーストケースシナリオにしろ、何にしろ、何らかのアドバイスを社会に対して、あるいは政府に対して示すという役割は、専門家の役割として大きいのだが、その際に個人単位だとやっぱりばらばらになってなかなかうまく機能しないので、何らかのオーガナイズボイスなり、あるいは震災後よく言われたものだと、ユニークボイスという言い方もあったけども、そう言う集合的な声を創っていくような仕組みが必要だという議論は、パラグラフとして必要だろう。
【田中委員】  だから、類型のところでその手のことにちょっと触れておいて、後半の方でそういった仕組みというのが……。
【平川委員】  ちょうど学術会議で、たしか割と最近報告書がまとまっている。あれを参照するといいんじゃないかと思った。
【田中委員】  はい。
【堀井主査】  そうすると、5ページで短くそのことを触れて、9ページの(5)のところで少しワンパラグラフ程度使ってちゃんと書くということ、それでよろしいか。
 で、この5ページのところの段落の分け方とか、書き方については、今、御指摘いただいたことを踏まえて少し書き直すということで、とりあえずはよろしいか。
【西山補佐】  その並べ方の話は事務局で作業できるが、田中先生が今おっしゃった話、できれば少し文章を頂けると。
【田中委員】  この場で考えた方がいいか。
【堀井主査】  いや、この場じゃなくても。
【西山補佐】  委員会が終わった後に頂ければ。
【田中委員】  はい。挿入提案として。
【堀井主査】  方向性は今のことで決まったので、具体的にどうするかについては助けていただきたい。
【田中委員】  はい。
【堀井主査】  ほかにはいかがか。
【寿楽委員】  5ページの一番下の段落について、これはちょっと前にも意見は事務局に出させていただいたけども、ここで言っているこの「加えて」以下のところ、行政に全ての判断を委ねるという発想やゼロリスクを追求する姿勢うんぬんというところで、そうなんだろうとも思うものの、これだけ具体的に書いてある。そうすると、何かやっぱりこの報告書全体のトーンに、先ほど三上委員が言われたようなこととも関わるけども、何か行政の責任は、そういうゼロリスクはもう無理なので、その分は社会のいろんなステークホルダーで分担してくださいというメッセージだけが突出して出ると、ちょっとどうかなという気がしている。このことを書くのであれば、逆に、じゃあ、行政の方は代わりにどういうふうに、それこそマネジメントのやり方なり、コミュニケーションのやり方を変えるのかとかというのがせめてセットでないと、市民とか、ほかのステークホルダーが行政に多くを求め過ぎであるという批判だけここに書いてあるのは、ちょっとどうなのかなというふうに気になっている。こういうことが問題だという、その見立て自体は別におかしくはないのかもしれないけども、これだけここに書いてあって、ほかの、じゃあ、逆に、行政の方が市民に対してどういうことを求めていて、どう問題なのかは書いてないわけだから、ちょっと対称性に欠ける気がして、扱いを御議論いただければと思う。
【小林主査代理】  ちょっと弁護してあげると、次の段落は一応そのつもりなのではないかという気はしたけれども。
【寿楽委員】  なるほど。
【小林主査代理】  発信者側の行政がという言い方で若干は触れておられるような気はする。
【寿楽委員】  後ろは、ただその内容というか、両方の中身のこと。この前の方はもっとより根本的なリスクに対する向き合い方に踏み込んでいるので、ちょっとそこの度合いが全然釣り合わないというか、そういう印象がある。そういう努力なんだろうなとは思いもしたけれども、バランスがとり切れていないように感じた。
【堀井主査】  はい、どうぞ。
【三上委員】  今の寿楽さんの意見を全く同意見で、やはりここが「加えて」ってなっているのが、ちょっともしかしたらまずいのかなと思っていて、全てのステークホルダーに行動変容を起こす用意があるというのが多分このパラグラフで言いたいことで、で、例えば、例えばなんだと思う。例えば行政機関に全ての判断を委ねるような態度も変えなきゃいけないよねというのがあり、また、例えば行政機関の方も、多分今までのリスク管理だとか、コミュニケーションのやり方をいろいろ見直していかなきゃいけないよねという例があるみたいな格好になると……。
【寿楽委員】  そうすると、フェアになる。
【三上委員】  フェアかなという議論だと思った、私も。
【平川委員】  そうすると、前半は、よく言われるお任せ民主主義は抜け出しましょうという話の例になるわけだから。そうすると、バランスとしても、ウエートとしてもいいような感じはする。
【堀井主査】  はい。ちゃんと解決策まで示していただいて、助かります。じゃあ、今の点についてはそういう方向で修正いただくということでよろしいかと思う。
 ほかにはいかがか。
 では、次に、4のリスクコミュニケーションを推進するに当たっての重要事項(基本的視座)について、6ページから9ページ、御意見をお願いしたい。
【河本委員】  7ページの上から3行目のところ、アウトレージとハザードの関係で、ハザードがゼロであってもアウトレージがあればリスクとして無視できないというのは、理屈は確かにそうなのだけど、こういうのって、例えば何か例があるか。多分一般の人が読んだときに、ハザードがゼロで、アウトレージだけが発生するということがあるのかなって、恐らく思う人がいるんだろうと思うが、例えば何かこういう例があるというのはあるか。あれば、例示をしておけば分かりやすいかもしれない。
【堀井主査】  なるほど。ちょっとゼロというのがちょっと極端過ぎるかという。
【河本委員】  ええ。ゼロ……。
【平川委員】  微小とか、微小のとか、すごく小さいけれどもというぐらいで。
【河本委員】  そう。ゼロだと多分なかなか……。
【平川委員】  なかなか。
【大木委員】  食品だったらあるのではないか。例えば遺伝子組み換えが絶対大丈夫なんです、とか言われても、ほかのを選べるなら、自分はほかのを選びたいという女性はすごく多い、私自身がそう。だから、このゼロを小さくてもとか、無視できるほどであってもとかした方が幅は広がるかなと思うけれども、この文章自体は間違いじゃないと思う。
【小林主査代理】  そういう判断自体が問題なのだと、普通は。専門家がほとんど無視し得るのです、ゼロに近いのですと言っても人々は納得できないわけで。そこが問題なので。
【平川委員】  無視するなって逆に言われちゃうわけだから。
【田中委員】  私が、最近よく科学者に説明するときに使っている例は、ある方がつぶやかれていた、あなたがお茶を出されて、そのお茶は、しびんに使ったやつですけど、もう完全に滅菌してあるから大丈夫ですよと言われて、あなたは、そのお茶をそうですかと言って快く飲みますかという、その表現が、実はこのままだと思う。この場合リスクはゼロであって、完全滅菌してあっても、しびんに使われたということを聞かれて、喜んで飲めますかという話だという、そういうのが、例えばこのアウトレージが残れば、違和感はあるよねと。おいしく飲めるわけがないでしょうという、そこだと思うけど。
【堀井主査】  はいはい。ですから、この文章の意図は、もう全くみんなが認めているんだけれども、やっぱりゼロと言い切っちゃうと、ちょっと……。
【平川委員】  ちょっと特殊例過ぎてしまう。
【田中委員】  特殊例を持ち出さなきゃいけなくなる。
【堀井主査】  何もここは直接そのゼロにこだわらなくても、極めて小さいなり何なり。
【田中委員】  無視できるほどとか。
【堀井主査】  無視できるとか。
【河本委員】  今のしびんに使った例について、それを飲む人は、それだと健康に害があるとは恐らく思わない。滅菌してあるというのだから、思わない。ただ、しびんに使っているので、その飲食物をとるということに対する、いわゆる文化的なとか、衛生感とか、そういう違和感があるということであり、このリスクの問題とはちょっと違うのかもしれない。
【堀井主査】  ええ。しびんの話はちょっと置いておいて、遺伝子組み換え食品の方が例としてはいいのかもしれないけども。
【小林主査代理】  あるいはこの間の原子力発電所の福島の事故で、直接的にあれで死んだ人はいないという議論する人もいた。それは違うだろうとみんな多分思ったという事例なんかの方がアウトレージなのだろう。
【平川委員】  ただ、福島の場合には、人命は失われなくても、社会生活が壊されたり、ふるさとが失われたりという、そっちの実損はあるから。
【小林主査代理】  そうそう。
【寿楽委員】  多分二つ問題があって、ゼロだと言ってしまっていいのかということと、今の書き方、これは事実認定としてゼロの場合、客観事実としてゼロな場合でもとなっている。見立てとして低くても、人々はアウトレージする場合があるということだと思うので、ハザードが十分低いとされても、アウトレージが高ければとか、そういう診断に対する応答という見方が必要ではないか。あとはゼロと言ってしまうと、確かにちょっと適当ではないという気がするので、ハザードが十分に低いとされても、アウトレージが高まれば、リスクとして無視できないとか、そういう言い方かなと思う。
【堀井主査】  分かった。「あれば」というところも「高まれば」という形で直そうということで。
【寿楽委員】  はい。
【小林主査代理】  私、ちょっとこれで気になっていたのは、考え方があるという表現。この考え方があるということによって、この報告書としてのリスク認知の基本はこれだというふうに言うのか、それとも、こういうタイプのリスク認知もあるし、こうじゃないタイプのものもあるというところの一つの例としてハイライトをかけているのかというのは、どっちのニュアンスなのかなというのがちょっととりにくい。つまり、リスクは、必ずこのアウトレージの側面をセットで考えるというのがこの本報告書のスタンスだという主張をしているのか、それともこれはこういうものが見落とされてきたので、こういうものをちゃんと考えなくちゃいけませんと言っているレベルなのかというところが、ちょっと表現としてね、分かりにくいという気がする。
【堀井主査】  小林先生はどっちがいいと。
【小林主査代理】  これをベース、全部がこれでというふうに塗り込めることができるのか、ちょっと自信が持てない。
【堀井主査】  どうぞ、事務局。
【西山補佐】  報告書のその案文を作成したときの考えだけ申し上げると、実際は今日御議論いただいて修正するが、最初の1ページ、リスクの定義のところで、そもそもいろいろな考え方があるということで、脚注の2番目の方に書いてある。それで、まず、そいろいろあるのだということを基本に置いた上で、6ページ、7ページのところについては、これまでの委員会での御議論だと、アウトレージの話はかなり無視できないというか、しっかり考慮しなくてはいけないといった御議論が中心であったと思ったので、ある意味、アウトレージということをしっかり我々が捉えなくてはいけないというのをこの報告書の一つの視座に据えようと思って、こういう書き方をしている。そこが間違っていれば、直していきたいと思っている。
【堀井主査】  今の御説明は、和として捉えるというのは、考え方としてあると。
【西山補佐】  はい。
【堀井主査】  で、その次の無視できないというのは、この委員会として、そういう判断だと、そういうふうな文章になっているということ。いかがか。
【小林主査代理】  もうちょっとそれをはっきり書いた方をいいかもしれない。最初にも述べたように、リスクの考え方、多様なものがあるのだけれども、見落とされがちだけれども、大事なのはこれだというふうな文章を一つ入れていただくだけで、もうそのニュアンスは伝わると思う。
【堀井主査】  はい、どうぞ。
【平川委員】  文言の小さいレベルだが、6ページ、7ページ、それぞれで、6ページの(1)個人のリスク認知と社会リスク認知、で、括弧して(感情によるリスク認知の違い)ということだが、ここに実際の本文を見ると、いわゆる感情的なものだけじゃない。倫理的・社会的な要素ということも含んでいるので、感情によるリスク認知というだけでと、ちょっと見出しとして狭くなっちゃうかなという感じがするので、例えば(感情・倫理等によるリスク認知の違い)というふうにすると、ぎりぎり多分1行に収まって、見出し、目次のページのところも多分ぎりぎり入るかなという感じはする。で、同様に、(2)番の方も、そのリスク情報に関する理解の非対称性も、知識だけによる、知識の非対称性だけによる違いではなくて、例えば本文の方では、3行目にもあるように、リスクに係る権限や責任の非対称性とか、いろんなことが含まれているので、ここも(知識等によるリスク認知の違い)というふうにすると、本文との矛盾が少ないかなと。かつ文字数もちゃんと1行に収まると思う。
【堀井主査】  はい。
【小林主査代理】  霞が関文学。
【平川委員】  等というのは便利だから。
【三上委員】  細かい技で調整していただいた上にぶち壊すかもしれないけれども、この(2)のタイトルは、この(2)は非常に重要なことをうまくまとめていただいているけれども、それをうまく反映するタイトルになっているかなというのを少し思った。ここは情報に関する理解の非対称性と言われているけれども、でも、中は権限と責任の非対称性とか、リスクをめぐる不具合が実際に起きたときにどんなふうに引き受けるのか、どれだけ困るのかという度合いも違うだろうという話も含めて書いていただいていて、だから、リスクに関するもろもろの非対称性の問題を、ここで正面から受けとめなきゃいけないということを書いていただいているので、むしろ、ステークホルダー間のリスクに関する様々な非対称性というのは、ちょっと題名としてまだきれいじゃないけれども、そういうふうに言っていただいた方が、リスク認知の問題だけではなくて、中身を正確に表していただけるかなと思った。
【堀井主査】  なるほど。そのステークホルダー間というのがタイトルには必要か。
【三上委員】  いえ、必ずしも必要ないとは思う。リスクをめぐる非対称性でも結構だと思う。
【堀井主査】  そうすると、リスクに関する様々な非対称性、か。
【三上委員】  ええ、はい。
【堀井主査】  まあ、非対称性と言えば、多分ステークホルダー間の非対称性もあるだろうし、同じステークホルダーの中にあっても、非対称性ってあったりするわけだから、その方がいいのかなという感じで。よろしいか。
 どうぞ。
【寿楽委員】  今の平川委員と三上委員が御指摘になったところ、両方とも私も気になっていたけれども、特に今の三上委員が言われたことを採用するとすると、括弧の中は、もはやリスク認知の違いの問題ではない。
【堀井主査】  括弧を取った方がいいということ。
【寿楽委員】  括弧をみんなもう取るのか。ただ、難しいけれども、そうすると並べ方も、この今の(1)、(2)、(3)の順番でいいのかなとか、いろいろ気になり始める。それで、(1)の方はやはりさっきのこの感情という言葉はそもそも取っていただいた方が、感情によってリスク認知が違うという言い方をすると、この7ページの真ん中あたりに書いてあるが、感情的な問題だとして軽視すると困ったことが起こるよというところと論旨が合わなくなってしまう。感情によってリスク認知が違うのであれば、科学的思考によって是正すべきだという考えの人は専門家には非常に多くて、私が関わっている原子力の分野は、ひときわ最近また盛り返してきて、リスク管理が今、リスクプロポーショナルに行われていないという、その規制委員会を中心に、「何でも良い」から今度「全部駄目」みたいなふうに両極端に振れていて、それに対して、どちらも感情的でやっぱりおかしいという不満が専門家コミュニティの中で非常に高まっているので、社会の感情的なリスク認知というのを全て排するべきであるというような機運がすごく強い。だから、この感情という言葉を使った瞬間に、それは合理的な思考とか、科学と対立するものとして排除しようとすることになりかねないので、これも見出しから落としていただいた方がいいと思う。
 あと、すごく細かいところだが、(3)のところで「(2)で指摘したように」と書いてあるが、多分(1)の内容も踏まえているので、「上述のように」とか、普通にしていただいていいのではないかなと思った。
【堀井主査】  はい。まず、多分(1)、(2)、(3)のタイトルに括弧を付けて説明を加えたのは、多分内容を分かりやすくするようにということで、内容のエッセンスをそこに具体的に書いていただいたのだと思うが、多分そうしようとすると、なかなか全体をうまく表現できなくなるということだと思うので、多少中身が分かりにくくなるけれども、(1)、(2)、(3)は、タイトルの括弧の部分の説明は全部削除するということでよろしいか。
 それから、順番がいいのかという話があったが、それはいかがか。
【寿楽委員】  これは、むしろ(3)は確かにリスク認知にも関わっているので、(1)、(3)、(2)といった順番になるのかなとも思ったが、確かに(2)の内容と(3)も関わっているので、ちょっとその辺は難しいので。
【堀井主査】  では、これもこのままいいかと。
【寿楽委員】  括弧を取るのであれば、もうこのままでいいのではないか。
【堀井主査】  では、そういうことで。順番はこのままでということと、それから、(3)の頭のところは、「上述のように」なりに、(1)、(2)を含むような文言に変えていただくと。
 ほかにはいかがか。どうぞ。
【田中委員】  4番(4)リスク情報の効果的発信の、9ページの上から6行目のところ、「また、メディアを介して効果的な情報発信をするには、科学的な正確性を重視して細部の精緻な情報発信を心がけるよりも、伝えるべきメッセージを整理して明確にし、端的に分かりやすい情報発信を実践することが重要である」ということ、間違いではない。ただし、これは専門家視点から見たときの話だと思うが、正確性に意味がないわけではないので、多分ここで重要なのは、ちょっと表現を考えてみたが、「科学的に正確な情報を提供することと、影響を与えようとすることの区別に自覚的でなければならない」というような感じのニュアンスが入っていると、リスクコミュニケーションという点では重要になるのではないか。どちらが重要ではなくって、そこが混在して衝動することがリスクコミュニケーションの上で専門家の果たす役割は混乱を来すところだと思うので、そういった表現があっていいんじゃないかと。そうすると、どちら側からも違和感がないんじゃないかと。
【河本委員】  それは、メディアの方々に対しては、正確な情報を提供するのだけれども、そこからメディアの方々が発信する際には、ここに書いてあるように、分かりやすい発信の仕方をしてもらうようにすると、こういう二段階の考え方ということか。
【田中委員】  でも、ここに書いてある文章が、恐らくメディアを介して効果的な情報発信をするにはとあったので、多分ジャーナリストとか、そういった主体ではないと思う。ジャーナリストの方でも、多分そこは結構混在してしまって、結論ありきで危険なんだ、あるいは安全なんだというために科学情報を使ったりするので、そうではなくて、ここの情報ファクトというものと、自分たちのオピニオンというものを切り分けてやることが多分最小のユニットだろうということを言ってもいいのではないかと。
【小林主査代理】  これは誰が発信するかということが書いてないということ。
【田中委員】  そう。まずそこを。それを敷衍(ふえん)して言った場合には、そういった言い方になるだろうからということ。
【小林主査代理】  だから、これはリスク管理機関の場合もあるし、評価機関機関もあるだろうし、専門家もあるだろうし。
【平川委員】  あと……。よろしいか。
【堀井主査】  少し今の点を整理してから。
【小林主査代理】  何かどこかに書いておいた方がいい。これ、メディアは効果的発信には関与しない。つまり、透明な媒体になっちゃうわけか。
【田中委員】  メディア自体がそのアクターとして動くときがある。
【小林主査代理】  ある。
【田中委員】  はい。そして、先ほどインターネットでという話もあって、市民側も影響を与えようと、何らかの強力なプッシュをしていくといったときに、そうすると、やはりどの立場でも求められるのは多分情報提供することと、他者に影響を与えようとすることの区別をそれぞれが自覚的に行うということと言えるのではないか。そうしたら、専門家であっても、市民であっても、「私は、この科学的意見に関して、このリスクは十分低いと専門家は言っているが、それは、私の立場、生活の立場からはそうは思えない。」というふうにやるならば分かりやすいということで、今の提案ということ。
【小林主査代理】  そうすると、これ、結局様々なアクターが効果的な情報発信をする。
【堀井主査】  この「メディアを介して効果的な情報発信するには」というのを取ってしまえばよいのか。
【田中委員】  「メディアを介してコミュニケーションを行う際には」とかでは……。
【堀井主査】  それも取ってしまってもいいのかなという気もする。つまり、これを取れば、情報発信する人、全てはという話になり、メディアが情報発信を主体的にするときもということになる。
【小林主査代理】  も含むという話になっていて。
【堀井主査】  で、タイトルがリスク情報の効果的発信と言っているので、もういきなり入っていっていいのかなという気もする。
【田中委員】  ステークホルダーはとかか、例えば。主語が。
【小林主査代理】  端的に、だから、全てのステークホルダー。
【田中委員】  主語は要らないか。
【小林主査代理】  ええ。
【松尾課長】  主語は、例えば目的にもなり、相手にもなるので、それを全部含めて主語と言ってしまって、いきなり、また、科学的な正確性うんぬんから入るというのも手としてあると思う。
【堀井主査】  それで、私もいいかなと思うが、どうか。どうぞ。
【西山補佐】  1点だけ、8ページから9ページにかけて、8ページの下の方からは、要するに、リスク情報の根拠、検討過程、もろもろの細かい情報を出せと一方では言っているが、9ページの「また」以降のところは、ある意味、逆に、よく整理しろと言っているので、何かこの「また」の後に何か前提が要るのだろうなと事務局の方で考えて、こういう言葉を少し入れた。
【小林主査代理】  メディアを介してだけを削除したらどうか。
【西山補佐】  効果的な情報発信をする……。
【小林主査代理】  効果的な情報発信するにはというのは、もうみんながやらなくちゃいけない話なので。メディアはアクター。
【堀井主査】  では、そういうことでよろしいか。
 では、平川委員、どうぞ。
【平川委員】  今回は、平時におけるリスクコミュニケーションが主な焦点だということで、もしかしたら、外れるのかもしれないけれども、リスク情報の効果的発信ということでいうと、事態が推移していくときに、当初の情報というのは結構不確実なもので、後になってどんどん修正されたりするケースがある。そのときに、そういうことを見込んで、例えば情報を出す方、行政の方も、世の中に混乱を与えないためにできるだけ正確な情報が集まってから発信しようとする。そうすると、情報発信が遅くなってしまって、その情報を求める方からすると、何で今ごろ出してきたんだとか、隠していたのかとかいうことで、変な勘ぐりをされてしまって、どんどんどんどんコミュニケーションが悪くなるということが、実際3・11以降も結構あった。そういう事態を想定して、不確実な情報の出し方として、正確さを重視する余り、迅速性、情報を的確にタイムリーに届けるということが遅れないようにするとか、間違っていた場合には、修正されたことがはっきり分かるように、この今、出ている新しい情報は、前のこの情報を修正したものですよということを明示するという工夫が必要ではないか。8ページのところの3行目に情報の修正・更新というのを修正で入れさせていただく提案をしたけれども、このポイントをもうちょっとはっきりと打ち出した方がいいのかな。そういうふうに時間的に情報の中身が推移していってしまうような場合に備えておくことも必要だと思う。全くの平時であれば、割とそういう時間的なファクターは関係ないのだろうけども……。
【堀井主査】  本当にちゃんと平時の話と、危機以降の話と分けるんだとすると、それを、文言をその中に含ませるよりは、一つパラグラフを立てた方がいいかなと。
【平川委員】  そういう感じがする。
【寿楽委員】  ただ、その点は、最初に、さっきのクライシスコミュニケーションは今回扱わないというふうにしているので、平時前提で……。
【堀井主査】  うん。平時前提でいった方がいいだろうか。だとすると、では、ここの話は平時の前提だと。
【寿楽委員】  そこを書き始めると、ほかもみんなそういう話になると思うので。
【堀井主査】  それはそう。確かにそうだ。
【平川委員】  そうしたら、では、まあ、そこはあくまでも最初の前提の枠で。
【寿楽委員】  むしろ、逆に平時であっても、修正・更新の履歴もちゃんと残しておく必要があるということの方がよほど重要なのではないかなと思う。
【平川委員】  ええ。平時であっても、確かにいろんな知見の更新というのはある。
【堀井主査】  では、それを少し足していただくことにする。
 どうぞ。
【大木委員】  リスクの本質に関わることじゃないけれど、地震学のすごい本質に関わるところで、9ページの真ん中の(4)の最後の段落で「大地震の発生は大数の法則は成り立たない。」いや、成り立つんけれど、500年に1回とかだと、たくさん集められないのでっていうこと。成り立つという前提でやらないと、過去の地震を調査する意味がなくなってしまうので、あと、実際に……。
【小林主査代理】  成り立ってないのではないか、今は。
【大木委員】  今は、マグニチュード7とか、そういう地震、7とか、8とかだったら成り立っている。それは……。
【小林主査代理】  特定の地震に関する予知の計算をしているときに、例えば東海大地震とか、それから、今回のあの東北沖、あれの場合の過去何年間という形のデータだと四つぐらいしかないという話にならないか?
【大木委員】  その通りで、東日本大震災のパターンだと、今回で三つとか、でも、それも苦しく二つ目数えていいのかなとかいう感じだけれど、でも、それはデータがないだけで、この法則自体は、つまり、例えばプレートが何億年というスケールで、ずっと毎日同じ速度でこの何億年間変わらず動いていて、もちろん摩擦なのだが、摩擦係数もほとんど変化がないとすれば、揺らぎはあっても、その法則は成り立っていた。けど、データがないので。
【小林主査代理】  そうそう、これはそういう意味。ロジックとしての大数の法則をもとにしか確率計算はしないという前提に立ったときに、それを満たすだけのデータが今のところない状態で確率計算をしているということを言いたかった。
【原田委員】  むしろそこを端的に示した方がいいんじゃないかと思う。大数の法則が成り立たないというのは、私、前回説明を聞いたと思うけれど、すっかり忘れていて、あれ、どんな話だったっけって思い出せなかったので、多分そういうことについての基礎知識ない方にとってはすごく分かりにくい話になるのではないかと思った。
【大木委員】  多分、本当、一番その確率の評価で大事なのは、例えば1%と言われても、起きるか起きないかの、結局フィフティー・フィフティーであるという。だから、多分そこが一番本質で、この法則が成り立つか、成り立たないかよりも、多分そっちが大事で、だから、それはリスクを評価する方が確率を出して、ほい、出しました、はい、どうだみたいなのでは駄目なのだよと。コミュニケーション、そこから先のコミュニケーションは小さくてもこのぐらいはやらなきゃいけないとか、何かそこの部分が大事なのだという……。
【小林主査代理】  これ、僕が前回例示した資料で、文科省の地震のサイトがあり、そこでその確率の読み方って解説ページがある。それが余りにそっけなくて、これで説明するというのは無理でしょうと。こんな説明の仕方では人は理解しないということを言ったつもりだった。で、大数の法則というのは、データがないという、現実にはデータが非常に少なくて、しかも、地震発生のメカニズムから確率計算しているのではないということもほとんどの人は知らない。
【大木委員】  確率計算しているものと、してないものに分けている。なので、もうその時点ですごく分かりにくいのだが、その法則が成り立って、基本的には法則としては成り立つけれども、その法則に基づいて計算しているものと、ランダム発生で計算しているものの2種類がある。
【小林主査代理】  そして、かつ何%だからといって、明日起こったってかまわないし、起こらなければどんどん確率は上がっていくって、そういう話だと。
【大木委員】  はい。
【小林主査代理】  そういう地震の確率の数値の意味を全然我々は理解できずに、数値だけを見せられたって、実は非常に困るのではないかという話をした。それをどういうふうに表現すればいいかは逆にお任せしたい、専門家に。
【大木委員】  はい。
【堀井主査】  ただ、その成り立たないの次の文章はいいのかと。どのように発信し……。
【小林主査代理】  ええ。そっちが大事である。
【堀井主査】  どのように理解してもらう必要があるのか、共考が求められると、こういうことだと。
【大木委員】  はい。
【小林主査代理】  だから、この「大地震の発生は大数の法則が成り立たない」は消していただいても結構だけれども、確率は何%という数値で示されるが、確率論的な数値をどのように発信し、どのように理解してもらうかというこの説明がうまくできてないのだということを言ってもいい。
【大木委員】  はい。
【小林主査代理】  つまり、過去の統計であって、予測ではないのではないかという感覚がすごく強くある。天気もそうだし、打率もそうなのだけれども。
【大木委員】  ええ。私、今、文科省の別の委員会で、これに関わっている。この確率をどうやって発信するかという新しい委員会が立ち上がって、それに入っている。結局、だから、結局は日本を全部真っ赤に塗るということなのだと。だけれども、そうすると、我々の研究意義は何なんだとかいう話になって、あなたの意義のためにやっているのではなくて、国民のためにやっているんでしょというところをずっと行ったりきたり……。なので、本当はこっちに書いてあることの方が本質なのだけれど。
【小林主査代理】  じゃあ、是非そこをちょっとうまく書いていただくように、事務局の方にそれをサジェスチョンしていただければ。
【大木委員】  はい。
【堀井主査】  か、あるいは数値で示されるが、で、その後のを飛ばしてもう確率論的ってつなげてしまうと。
【大木委員】  飛ばして次の、はい。それが一番端的で。
【堀井主査】  ここをうまく説明しようとすると、多分一つの文章では不可能かと。
【大木委員】  はい。
【堀井主査】  はい。では、そういうことでよろしいか。
【篠村委員】  小さいことだが、8ページのリスク情報の効果的発信のところの文章に、迅速な情報公開というようなことをどこかに、「迅速な」というのを入れたい。だから、多分最後の3行目の情報の修正・更新の履歴を含めた迅速な情報公開が求められるというのを、当たり前のようだけれども、確実なものを出そうとするために時間的に遅れるということは、良いことにならないことがほとんどなので、そうしていただきたいと思う。
【堀井主査】  はい。ごもっともかなと思うので、それを足していただくと。
【片田委員】  ちょっと4番目のその効果的な発信のところで、非常に多くのメディアと付き合って感じるのは、9ページの目の「また、メディアを介して」という、さっき、「メディアを介して」は取るということだったけれども、「科学的に正確性を重視して細部の精緻な情報発信を心がけるよりも、伝えるべきメッセージを整理して明確にし」って書いてあるけれども、メディアというのは、議題設定機能がある。よく被災地の写真でいうと、写真に撮るに値するところを切り出してきて、これが全体のメッセージとして発信される。そうすると、とんでもないことになっていると思って現地へ行ってみると、確かにその事象はそこにあるのだけども、でも、周りを見ると何でもないという状況が非常に多々あって、そこは非常にメディアの恣意的な部分になっている。
 誤解を恐れずというのか、率直にいうと、その社の方針によってあえて批判的に捉えようだとか、その責任の所在をどこどこにもっていこうという、すごく意図にまみれた報道というのがほとんど、大なり小なりそれをみんなやっていると。そうすると、本当はメディア人の良識とか、ここには伝えるべきメッセージを整理してってぽっと書かれても、本当は何かここの裏側というのか、その内容がすごく重要で、非常にそこの部分で僕は合致できないと、嫌だと言って取材を断ることも多々あるけれども、何かここをさらり書いているけども、何かすごく影響力が大きくて、で、これによって、社会、世論が形成されてしまうという状況、社会認知ができてしまうという状況があるので、どうしたらいいか。これ、伝えるべきメッセージを整理してって……。
【堀井主査】  この報告書では、メディアの問題とか、メディアがどうあるべきかということは多分扱い切れず、それをしようとすると、もう一冊別の報告書が必要になるかなという、そういう理解じゃないかと思う。
【田中委員】  先ほどの私の提案は、それを踏まえてのことのつもりだった。情報を提供することと影響を与えようとすることの区別に自覚的でなければならないという言い方は、メディア人に対しても向けられているので、自分たちがどういったオピニオンを出すのかということと、ファクトをどうやって、だから、それを堂々と宣言するということは、例えば私たちはこういうバイアスを掛けていますよという宣言にもなる、ある程度の読み手の方があれば。この人たちはこういう立場をとろうとしているのだから、きっとかなりここの部分も持っているだろうという読み方をやることが、ある種のメディアの中立性なのだと。実際に偏りが生じることは避けられないので、そういったことを丁寧に示すことこそが、あるいはメディアの良心なのだという見方はあるので、それで今の先生の御指摘された部分というのは、実はメディア人に対して、専門家だけじゃなくて、メディア人に対しての警告にもなるんじゃないかというか、自覚すべきこととしてメッセージになるんじゃないかと思う。
【片田委員】  なるほど。
【堀井主査】  そのぐらいしか、今回は書き込まないということなのかな。
【片田委員】  実は一番大きなところなのかもしれないなというふうには思う。
【堀井主査】  おっしゃるとおり。
【片田委員】  今日びの国際問題なんかを見ていてもそう感じる。
【堀井主査】  ええ。おっしゃるとおりだと思う。
 ほかにはいかがか。どうぞ。
【三上委員】  (5)の「媒介者」と専門家の部分で、これ、ちょっと厄介な議論なのかもしれないけども、ここでの媒介者と専門家の関係。それで、最初のパラグラフでは、こういったリスクコミュニケーションの実践を企画・運営するとか、場合の進行とか、まとめる役割を担う媒介者、その中立性が重要だということが書かれていて、次のパラグラフでは、こういった媒介者の役割を専門家が果たすのだというふうに書かれていて、もちろん矛盾しているというわけではないけれども、この報告書の前の方で、例に挙げていただいているコンセンサス会議なんていうのがあるけれども、例えばコンセンサス会議みたいなモデルだと、そのコンセンサス会議を、例えば企画したり運営したりするファシリテーターのような人がいて、で、これは媒介者である。恐らく媒介の専門家になると思うけれども、で、そこに、いわば専門家であったりとか、コンセンサス会議の枠組みなんかだと、ステークホルダー/エキスパートみたいな感じでその会場にやってくるので、ある立場だとか、知識をもってその場に寄与するという、その専門家やステークホルダーがいるというような整理になったりする。
 そういう視点から見ると、その媒介者というのは、専らそういった問題に特に深く関わる専門家とほかのステークホルダーの間を橋渡しする、そういう存在で、それを、いわゆるここで言っている専門家が兼ねても間違いではないけれども、ちょっとその両者の関係を整理しておかないと、私はちょっと読んでいて混乱をしてしまった。そこをどう整理すべきかという。余り答えはないのだが、このままでちょっと余り違和感がないということだったら、矛盾を決定的にしているというわけではないが、少し御検討いただきたいなと思った。
【堀井主査】  今の点、どうぞ。
【河本委員】  そこは、三上委員とほとんど同感で、13ページに出てくる媒介者とちょっとまた意味合いが違う書き方をしてある。だから、今、正に三上委員がおっしゃったように、ここで言っている媒介者というのは、本当にファシリテーター、リスクコミュニケーションをみんなうまく、うまくコミュニケーションできるようにファシリテーターとしての専門家ということなのか、リスクの問題の中の特定の、例えば研究者なんかの専門家なのか。もちろんその方がファシリテーターをすることについて矛盾はないけれど、ちょっとこの文章だと、このページと13ページと、また違う書き方がしてあって、ここで言っている媒介者は、じゃあ、何を意味しているのかという点がちょっと分かりづらい。
【堀井主査】  はい。では、事務局に。
【西山補佐】  事務局の中での議論というより、報告書作成するに当たっての話だが、これまでの議論で、いわゆるリスクコミュニケーションを行うような専門人材、いろいろなステークホルダーの間をつないで、そういう一種の専門職業人として担う人を作るかというと、それは違うだろうと。例えば遺伝子組み換えの分野であれば、遺伝子組み換えの専門家、原子力であれば、原子力の専門家、津波防災では津波防災の専門家、いろんな分野、領域の方がリスクコミュニケーションも行えるような職能をきちんと身につけるべきだろうと。そういうのをしっかりやっていって、多様な人材がリスクコミュニケーションできるようにしていくべきだ、というのがこれまでの議論だと思っていた。
 そういったことから、ここで使っている専門家という用語は、その専門領域、研究領域なりの専門家という意味で使っていて、必ずしもリスクコミュニケーションを行う媒介者としての専門家、専門人材という意味では使っていない。事務局側で報告書を作成したときは、余りそれがうまく伝わってないのだと思うけれども、そういう認識で報告書案を作っている。
【堀井主査】  はい、今の認識はそれでいいと思うけれども、そのときに、例えば9ページの下から3行目の「媒介者」の役割を専門家が果たせずというものがあると、ちょっと混乱を招くかなという御指摘だったのかなと思う。どうぞ。
【小林主査代理】  媒介は機能なのだろう。
【三上委員】  そう、媒介は機能だと。それで、今、津波防災と遺伝子組み換え作物と原子力という三つの例を挙げていただいたけれども、これにそれぞれいろいろな技術だとか、そのそれぞれの仕組みについて理解する自然科学的な意味での専門家がいるけれども、そのそれぞれの専門家が媒介者の機能を果たせるかどうかは、これ、かなり社会的な状況によって決まっていると思う。例えば私が直接関わったもので言えば、恐らく作物とか、育種の分野で遺伝子組み換え作物の研究されている方は、これは社会的にその方々が媒介の機能を自分たちが担うのだとおっしゃっても、多分状況としては、私が特に関わっていた時期には許せされなかっただろうということで、別の部分から我々がお手伝いするというようなことがあった。
 でも、例えば片田先生や大木さんに紹介していただいたような例では、正に専門家、ここで言われているような意味での専門家の方が媒介の役割も担われて、その現地の方とそういった科学的な営みの間の橋渡しをされているということもあって、これは多分課題によって相当違うので、媒介者という機能と専門家というのが別のものだというのが峻別(しゅんべつ)できるように書く必要が、表現する必要があるかなと思う。
【堀井主査】  なるほど。分かった。
【平川委員】  多分地震とか、津波防災の例でいうと、専門家がやってくれるということが、当事者の人にとって利益になるということは直接分かる。そうすると、ある種中立性ということは割と信頼しやすい。けれども、遺伝子組み換えの例でいうと、それが自分たちにとって利益であるかがよく分からない。リスクもあるのではないかということになると、遺伝子組み換えの専門家というのは、自分たちのことも対等に考えてくれる中立な人というよりも、向こう側の人というか、ステークホルダーの一人というふうに見えてしまうので、媒介者としてなかなか振る舞いにくいというのがあると思う。
 そういう意味では、ここに2段落目のところで、「中立性の維持に関して、一般に専門家には特定の……発信をすることが求められている。」という文章がちょっとそぐわないのかなと、落ち着きが悪い。その媒介者として振る舞う専門家にはこういうことが求められるわけだけれども、専門家一般にこれが常に求められるわけではない。分野ごとにその分野特有の何らかの利害、それは学問的な利害も含めてあるので、それを代表するステークホルダーの一人としての専門家という側面は確かにあると思う。実際、今、三上委員がおっしゃったような、コンセンサス会議とか、そういう場では、専門家はそういう特定のステークホルダーとして出てくるということがあるので、専門家一般にこれが言えるわけではなく、あくまでも媒介者として振る舞う専門家に限定されることだと思う。
【堀井主査】  この報告書の構成として、媒介者の話は媒介者の話として一つ、で、専門家の役割については、専門家の役割で一つ、分けて書いた方がいいかなと。
【平川委員】  ええ、そうかと。
【堀井主査】  その両方は、媒介者はもう当然なきゃいけないと思うけれど、専門家についても一つ、(6)かなんかにしてあった方がいいと。
【平川委員】  だから、ここの(5)の今の文章に関しては、これ、別に専門家である必要はなくて、媒介者としてだったら、こう振る舞いましょうという話で。
【堀井主査】  ええ。分けて書けば、多分明確になっていくと思う。はい、どうぞ。
【寿楽委員】  今、御議論があったことだけれど、ここには、恐らく、媒介者の中立性と専門家の中立性、私はこれについては独立性という言葉を御提案したけれども、二つのことが書いてあるので、それを分ければいいのだと思う。現状は、何かあくまでもこの媒介者の中立性ということで一続きで書いているので、混乱が生じているのではないか。ただ、平川委員が言われるように、確かに専門家が中立なのかと言われると、それはおっしゃるような意味で、場合によってはそうではないし、別にそうではないからといっておかしくないこともあるのだが、この独立性というのは多分大事で、御用学者批判とか、こういうものは、専門家だといって出てきているけれども、それは専門家ではなくて、デマゴーグなのか、何なのか、定義はよくは分からないけれども、実態として、社会的に果たしている役割は別なものではないかという批判だと思う。だから、ここに書いてあることは、専門家がそもそも専門家たり得なくなってしまう場合がこういうリスクコミュニケーションの中では起こりうるので、気をつけなければいけないということが書いた理由だと思う。
 だから、媒介者の中立性と専門家の独立性というふうにしていただいて、両方段落ごとで書き分けていただく形でも良いのかなと思った。
【堀井主査】  段落を分けて書き分けるのと、項目として分けた方がいいか、どちらがいいか。
【寿楽委員】  そこはどちらでもよいと思う。
【堀井主査】  その方針ぐらいは今日言っておいていただくと、作業が楽になるから。
【寿楽委員】  それから、ついでに、細かくて恐縮だが、その次の10ページの最後の文章で「幅広い議論と理解が必要である」とあるけれども、責任の分担について「理解」というのはちょっと変な気がする。「合意」というと、今度はちょっと語感が強い気もするが、理解というのはいかにもやはりこう、ある正当な分担があらかじめあって、それを皆が受容するというイメージなので、ちょっと言葉遣いを考える必要がある。ここは、「幅広い議論が必要である」で止めてしまうのでもいいのかもしれない。
【河本委員】  ああ、いいかもしれない。正解が既にありそうな感じがしてしまうけれど、これ、ケース・バイ・ケースで違う。
【堀井主査】  では、さっきの媒介と専門家は分けると。で、実際、最終的な報告書の文章を作るときには、ちょっと事務局の方からしかるべき委員のところに御相談させていただくこともあるかと思うが、そこは御協力いただきたい。それでよろしいか。
【篠村委員】  10ページの最後の文章で、リスクコミュニケーションの推進には、専門家の積極的な参画が必要不可欠であるが、その前提として、専門家を含めた適切な責任の分担、専門家を含めた、何か抜けている。
【小林主査代理】  誰、が抜けている。
【篠村委員】  ステークホルダーのとか、何かないと、何か専門家だけの責任がここに言われているような。
【堀井主査】  全てのステークホルダーなのかな。
【篠村委員】  はい。
【堀井主査】  では、それを入れていただくと。
 では、最後、5の「今後のリスクコミュニケーションの推進方策」と6の「おわりに」についての部分。もう既に少し御意見も頂いた部分もあるが、はい、山口委員。
【山口委員】  5章のところで3点ほど気になるところを。
 5章しか読まない人って結構で多いと思うので、見出しの真下にその推進方策の基本方針のようなものを書いた方がいいと思う。内容としては、4章のまとめのようなものを数行でいいと思うけれども、私個人の理解として4章で書かれていることというのは、様々な非対称性にかまけて、社会のいろんな人がリスクの問題を他人任せにしていますと。社会全体としては、そういう非対称性を前提として、前に進んでいかなければなりません。そのための方策なのですよというような、これ、仮だけれども、そういう宣言みたいなものがあった方が、その後の推進方策が頭に入ってきやすいだろうと思う。というのが1点目。
 2点目は、科学が信頼を得るということに対して、ここで書かれていることは、顔の見える科学というか、そういう取組をどんどん創っていきましょうというように見えるけれども、やっぱり、データとか、科学的なファクトに対する信頼というのは、大前提としてあって、それが4章でも少し触れられているが、それに関する節がちょっとすくないのではないかなというところ。それが2点目。
 3点目は、今のところとも少し関連するけれども、14ページの具体取組の2ポツ目に、リスク情報の公開の話、発信の話があるけれども、これ、理解しやすいとだけ書いてあるけれども、利用しやすいといったところも必要なんじゃないか。英国のオープンデータでも、たしか情報公開の10か条みたいなものを出していて、例えば、データはエクセル形式で公開すべしとかいったような、割と細かく規定していたはずなので、そういったところも念頭に、誰もが利用しやすくて、で、それがまた検証にもつながっていくというような書きぶりにした方がいいのではないかなという3点。
【堀井主査】  まず1点目、5ポツのすぐ下のところに、今のような何か宣言を入れたらいいということで、それはよろしいか。その宣言の内容も、今御指摘があったようなまとめでよろしいか。
 2点目は、データとか、科学的な信用性というところをもうちょっと強調した方がいいという。それを何か項目がないというお話だったけれど、それはどこに項目を設けるのがいいか。
【山口委員】  はい。一つは、ここで取り扱うにはちょっと大き過ぎるのであれば、どこかに入れ込むというふうなやり方でもいいかなと思っている。節を立てるというよりも、ちょっと据わりは悪いかもしれないが、科学リテラシーの向上等の5節の中の具体的取組のところに、加工して利用しやすいという形で入れて、間接的にそれが検証にもつながっていくというような位置づけでもいいかなと思う。
【堀井主査】  今の御指摘について、御意見あるか。
【平川委員】  サポート意見として。今の「理解しやすい」じゃなくて、「利用しやすい」というふうにすると、恐らくその情報を欲している方のいろんなレベルに対応できるように思われる。問題に関して全く初心者の人もいれば、かなり詳しい、場合によってはその関連分野の研究者である人たちも当然いるわけで、「理解しやすい」と一口に言っても、理解のレベルは人それぞれに違ってしまって、やはり共通する部分というのは「利用しやすい」ということだろ。人によってすごく簡単なものを利用できるのが助かるという人もいれば、非常に詳しい、参考文献、いろんなことの専門的なジャーナルに載っている論文なんかの参考文献まで含めて全部分かるようなレベルのものを利用したいという人もいる。そういう、人それぞれ様々なレベルの情報を引っ張ってこられる、それらがうまくリンクされているような、そういう意味での利用のしやすさも含めて、「理解しやすい」というよりは、やはり「利用しやすい」がメインなのかなと。
【堀井主査】  分かった。その利用しやすいの中に理解しやすいも入っていると。
【平川委員】  当然入っている。
【堀井主査】  ということで、両方出さなくてもいい。利用だけ出しておく。それでよいか。
【平川委員】  ええ。利用だけがいいと思う。
【堀井主査】  本当にその項目として立てなくてもいいのか、あるいはもう4章へ出ているというときに、4章の記述にもう少し補強した方がいいか、そこはちょっと結論を出しておきたいと思うけれど、何か御意見あるか。はい、どうぞ。
【寿楽委員】  私は、山口委員が言われるように、この14ページのところを補えばいいような気がするが、4章と合わせるのであれば、多様なリスク情報やその根拠となるデータというふうにした方が、先ほどの御提案の趣旨にもより近づくのではないかなと。
【堀井主査】  どこになるか。
【寿楽委員】  14ページの「国の関係機関は」というところ。ここを多様なリスク情報やその根拠なるデータを集約し、誰もが入手でき、利用しやすい、この後がちょっと2回重複しているので、利用しやすい形で一元的な発信を行うこととかというふうにすればと。
【堀井主査】  分かった。それでよろしいか、そこにちゃんと根拠を示せということを言っておけばいいと。では、平川委員。
【平川委員】  3点ある。一つは、11ページの上(2)の問題解決に向けた場の創出のところの一つ目の段落の最後の文。一方が行動変容を起こす準備のない情報伝達はコミュニケーションとして有効に機能しない場合が多いと書いてあるけれども、これは、情報伝達に限らない話。いわゆるこの報告書の中では、もう一つの対話・共考・協働という枠組みを考えてあるけれども、そちらの場合でも、やはり、例えば対話をしても全然そこでお互いの行動変容が起きない。片方しか行動変容というのが求められてないような一方的な関係であったりすると、やはりコミュニケーションとしては成立しない。したがって、ここはもう「情報伝達は」という言葉を落としてしまって、一方が行動変容を起こす準備のないリスクコミュニケーションは有効に機能しないことが多いというふうにシンプルにした方が、いろんな場合を含んでいいのかなと。必ずしも、これ、情報伝達だけがこういう問題を惹起(じゃっき)するわけではないので。
【堀井主査】  はい。
【平川委員】  これが一つ目。それから、二つ目が、(4)のリスクコミュニケーションを行える人材の育成というところで、このタイトルもちょっと工夫する余地があるのかなと思う。本文では、13ページの1行目のところ、12ページの最後から1行目にかけて、職能として身につけた人材を育成し、このような人材が社会の多様な場で活躍できるような取組というふうに書かれているけれども、つまり、これ、今までの科学コミュニケーター育成事業なんかでも全部そうなのだが、育成だけしてもしようがないということがある。つまり活躍できる場がないといけない。特にちゃんとそれで職業として食べていける場がないと、誰もいい人が集まってこない。結局しょぼい話で終わってしまうので、やはり育ったらば、その人たちがちゃんとどこかで活躍して食べていけるのだということ、そういうことがないと、やっぱりいい人は集まってこないと思う。
 なので、多様な場で活躍できるようなという、このニュアンス、このポイントを、具体的取組、これは具体的取組の中では、一つ目のマルの中で、様々な場面で活躍する人材を育成することで終わらないで、活躍の場を広げるとか、何かそういう文言を補ったりして、あと、(4)の見出しそのものにも、人材の育成と活躍の場の確保、拡大みたいなことを入れていただけるといいかなと。そうじゃないと、多分また育成しておしまいになる。
【堀井主査】  では、事務局、どうぞ。
【西山補佐】  平川委員のおっしゃるとおりだと思うが、その活躍の場を、では、誰が創るのか。その具体的取組はいずれも主語をちょっと明示し、要は、誰が何をするのかということを書いている。おっしゃるとおり、その前段として、リスクコミュニケーションを行えるような人材をしっかり育成し、そういう人がいろんな場で活躍する社会を創るということは非常に大事なのだが、そのときに、その後段の部分を誰がどのようにするかというのも、併せて御議論いただけると有り難い。
【堀井主査】  このところで何か書いてあるのは、そういう何かリスクコミュニケーションするような新しい職種を増やそうという話ではなくて、今やっている、こういうことを本当にやっている人がそのリスクコミュニケーションの能力を高めることが大切だという捉え方。それと今、言われたこととの関係性なのかなと。
【平川委員】  つまり、専門職として媒介者という、媒介そのものを専門とする人であったとしても、あるいは何らかのほかの分野で職能として身に付けた場合でもそうなのだけれども、いずれにしても、特に前者の場合、媒介の専門職で食べていこうという人の場合には特にそうなのだけれども、ちゃんとその活動をやったならば、評価されて、対価も得られるような、そういう形でのある種の労働市場というのが成立しないといけないと思う。その取組というのは、これは、一つには、例えば大学の中でそういう役割を担うような人を職種として設けるというのがあるのかなと思うが、そのほかだと、かなりいろんな場面で、例えば民間企業、ちゃんと労働市場が成り立つということは、要は民間企業としても、例えばコンサルタント業とか、そういうものの一環としても成り立つということもあり得る。したがって、確かに主語を定めて具体的に書くとなると難しい。結構包括的な話になってしまうので。
【松尾課長】  多分一つあるのは、職として定めるということは多分相当大変で、それだけで食っていける人を何万人もつくっても場はできないので、今やっている方の職能を上げるということだとすると、多分評価をしてあげること。評価をすることによって、そこに、例えば大学や学協会にもそういったことのできる人というのをちゃんと評価をして、そういう人にちゃんと媒介機能を持たせたことをやってもらうようにみんながやるということだと、主語もはっきりいえば、平川先生が言ったように、みんなが認めないと、誰かが認めてもそれでは駄目で、国が認めても、国が信用されなければ、国から認められた人は信用されないというようなことで、全てに書くというのはありかもしれない。
【平川委員】  確かにそうやって評価をすることによって、そういう役割をする人がいるということは、こういう意味で役立つのですよ、大事なのですよということをいろんな人たちにアピールすると……。
【松尾課長】  それが場の確保ということかもしれない。
【平川委員】  自然とお金も回ってくるという、そういうことであれば、文科省の範囲の提言としてありだと思う。はい、それでよいと思う。
【片田委員】  ちょっと難しいと思うのは、何か、例えばこれ、災害絡みの話になってくると、そうすると、そこに対して貢献することに対して対価を取るのかみたいな、非常にボランタリーな心を求められてみたいなところがあって、それがまた信頼性を保障するみたいなところであったりする。やってもやっても忙しいだけで、対価はなしみたいな状況に対して、非常にいら立ちを覚えるところで、何でこんなに移動しまくって「交通費ぐらい出ますか」って言うと、「え、要るの?」と言われるというような状況があったりして、で、なかなかそういった側面もあって難しいところがある。だから、そういう状況を分かっているので、余り人が入ってこられないという現状も実はある。
【平川委員】  あと、よく言われるのは、大学が割とこういう活動をやってしまうと、ある種の価格破壊を起こしてしまうということ。大学だと、みんな我々、大学から給料をもらっているので、人件費の分、要らないだろうと。何かプロジェクトをやったときに、その分を差っ引いたすごく安い価格での契約となり、そういうことが常識になってしまって、なかなかちゃんとそれを本職とするプロフェッショナルが育たない。
【片田委員】  そういうこと。
【原田委員】  何となく思うことだが、この部分でかなり具体的にいろいろな問題というのが、例えば片田先生とかみたいに現場で取り組まれている方の中に、何でこんなことができないのということがいろいろあるんじゃないかなという気がしていて、今回の報告書は、ある意味、あんまり個別論に踏み込まないというのが基本ポリシーだと思うので、それとはちょっと別の形で、でも、この問題が解けないと、恐らく人材育成というのが実を持たないことになるんじゃないかと思うので、今後に向けた重要課題みたいな形で、一つ、今回の報告書とはちょっと切り分ける形で、でも、この委員会としては、今後、継続的に真剣に検討するみたいな形に向けてはいかがかと思うが。
【堀井主査】  はい。事務局としてはいかがか。どういう形で何を書き込むかということだけれども、先ほどあったように、リスクコミュニケーションの能力をパワーアップするということを取り組んでいきますということは、比較的ここに書きやすいけれども、何かそういう媒介者が増えるなり、しっかり数が増えるような取組というのはここには書き込むことはちょっと難しいと思う。
【片田委員】  だから、文言のレベルでの修正は必要ないと思う、この会議で求められているものとしては。だけど、大きな問題がそこにはあって、それを解決しない限り実効性を持たないということを皆さんが御認識していただければいいところかなという。
【松尾課長】  入れるとすれば、一つあるのは、これはこれとしておいて、あと、留意事項という形で残された課題みたいな形で書くというのはあるかもしれない。
【片田委員】  ただ、なかなか文言として書き込めない一方で、例えば具体的な取組だとか、そういったところを見てみると、具体的に支援するとか、そういう言葉が書かれているけど、そこにも全然具体性がなくなってしまうわけで。心から応援していますみたいな話で終わっている。あ、そうってなもんで。
【寿楽委員】  私の記憶だと、作業部会での議論で、やっぱりそういうふうになってしまうので、今回は新しい身分とか、ポジションとか、専門性、そういう資格とかを創るのではなくて、職能という書き方にしたという議論の経緯があったと思う。一応その後、なお書きの方でその部分を評価する仕組みを大学その他が持つべきだということで、そこは見ているというのが今回のまとめ方だったと思うので、私も、片田先生がおっしゃるように、文言レベルではこの部分は特に動かさない方が良いのではないかと思う。
【堀井主査】  次年度以降の検討に是非そういう点を取り上げていただきたいというぐらいだろうか。はい。どうぞ。
【奈良委員】  話、変わって、簡単な修正提案3点だが、まず、11ページ目で、下から3行目で、かぎ括弧付きで「共感を生むコミュニケーション」というのがあって、これ、何度も何度もこの第5章で出てくる。やはりかぎ括弧付きということは、何らかの定義が欲しくなるのだけれども、ニュアンスとしては分かるが、その定義のようなものが全然ないので、もしも、この「共感を生むコミュニケーション」という中身が、そのすぐ前の行の、広く互いの立場や見解を理解し、それぞれの行動変容に結びつけられるコミュニケーションなのであれば、その直前の「結びつけられる」、もうすぐにかぎ括弧にいった方が言葉を定義しつつ流れていくので、その方がいいと思った。それが1点。
 それから、二つ目は、これ、本当に細かいところだが、次の12ページ目(3)で「子供」という単語が幾つも出てくるが、今は多分「供」は平仮名の方が良いと思うので、ということが2点目で。
 3点目は、13ページの後ろから14ページにかけて、科学には答えがないということについてみんなが知る必要があるということを、ここでは学校教育についてすごく言っていて、これは大事だけれども、加えて、やっぱりこれって、学齢期以外の国民、つまり社会人というか、一般市民もそうなので、これをちょっと付け加えたくって、付け加える方法としては、例えば14ページ目の3行目の「重要である。」の次に、「これは学齢期以外の国民についても同様であり、」これ、学齢期以外の国民は全ての一般市民と言ってもいいと思うけれど、「についても同様であり、例えば社会人教育についても、機会を捉えて推進すべきである。」とか、何かそんなことを付け加えると、十分文科省さんの領域でできることだと思うので、それで、具体的取組のところも矛盾していないので、それを付け加えればいいと思った。
 以上3点。
【堀井主査】  はい、どうぞ。
【齊藤専門職】  2点目の「子供」の漢字表記について、公用文の表記のルールの関係。子供の「供」は、しばらく前までは平仮名が使われてきたが、ここ1年くらいの文科省の中の話であるが、ルールに基づいて今後は固有名詞以外のものは漢字表記をしていきましょう、となっている。
【奈良委員】  分かった。それは私が不勉強だったが、ここ1年ぐらいのことか。
【齊藤専門職】  ここ1年ぐらいの話で、できたら「供」は漢字としたい。
【奈良委員】  分かった。
【大木委員】  では、「達」という字もそうか、友達とかの「達」もそうか。
【齊藤専門職】  ちょっと確認させていただきたい。
【大木委員】  いや、気になっただけなので改めて確認しなくて構わない。
【堀井主査】  では、具体的な御指摘いただいた1点目と3点目は、御指摘のように修正させていただくということでよろしいか。
 ほかにはいかがか。
【寿楽委員】  奈良委員が言われた、その「共感を生むコミュニケーション」のところのそのかぎ括弧をもし移すのであれば、最初の方の3ページも同時にやっていただく必要があると思ったので、それはそうしていただければと思う。
 あと、今の不定性を教えるべきというところが、具体的取組のところには、多分最初のマルの「学校教育の現場や」というところで読んでいるつもりで書かれているのだと思うけれども、ちょっとこの「姿勢の教育」の話と今の科学の不定性そのものを教えることの話はやっぱり別な気もするので、ここも別立てで書いていただいてよろしいのではないか。
 それから、その今のこところで一つに定まらない不確実性とあるが、これはその前の方のIRGCの図を引用しているところでは不定性となっていたはずなので、同じことを言うのであれば、これは多分、科学の不定性のことではないかと思う。後ろの「不確実性のある事象」は不確実性でいいんだと思うが、答えが定まらないとか、不定性に直していただいた方がいいと思う。
【堀井主査】  はい。ほかにはいかがか。はい、どうぞ。
【三上委員】  表現の仕方というか、この報告書の表現の仕方なのかもしれないけれども、例えば(3)の普段(ふだん)化って出てくる。これ、有識者インタビュー、事務局の方でしていただいたときに、多分下村健一さんから頂いた言葉だと思う。あと、信頼の三角測量というのも、多分ヒアリングの中から出てきた言葉で、こういうのって、何かこのまま我々の言葉というふうにして使ってしまっていいものなのか。で、ただ、それはあんまり引用文献を付けたりみたいなのは、余りこういう作法でされないのかもしれないが、これの場合、本当ヒアリングの中で頂いている言葉なので、何かそこはきちんとリファーできるようにやるやり方があるといいなとちょっと思った。
【小林主査代理】  途中でインタビューよりとか、何か付けるか。
【三上委員】  はい。もしも名前入れて差し支えないのであれば、頂いたみたいなことを、論文の作法だとそういう感じになるので、ちょっと報告書ではわからないが。
【原田委員】  あるいは事例集の何ページを参照みたいな形とか、そこの中に入れるとか。
【三上委員】  なるほど。資料集、インタビュー集。
【小林主査代理】  そっちには名前が載っているわけで。
【三上委員】  ええ、できればそのように。
【平川委員】  普段(ふだん)化の方、下村さんのは、こちらの委員会、作業部会の方の公開資料の中にある、きっと。それを参照するのというのがよいと思う。最近、コピペとかそういうのが問題になっているし。
【堀井主査】  では、そういう方向でよろしいか。ほかにはいかがか。
【河本委員】  さっき申し上げた媒介者の表現のところで、9ページのところと13ページのところがちょっと違う表現がしてあって、媒介者の役割のようなところ。ここはそれぞれの項目だから、そういうふうに分けてあるということでいいのか。あるいは統一できるのかどうかというところ。
 9ページの方は、リスクコミュニケーションの実践を企画・運営をして、その場の進行やまとめをするというファシリテーターと書いてあって、ところが、13ページのところは、情報の発信者まで含めと書いている。そこは項目によって役割が違うというふうに理解なのかどうなのか。
【堀井主査】  事務局、いかがか。
【西山補佐】  聞き取れなかったので教えていただきたい。
【河本委員】  媒介者、9ページに書いてある媒介者と、それから、13ページに書いてある媒介者の役割というか、その機能が別々、違う内容が書いてあるので、これはそれぞれ項目によって分けてあるのか、併せて分けてあるのか、あるいは一緒にしてもいいのかどうかということ。
【西山補佐】  基本的には同じだと考えているので、その合わせたいところの文言等があれば、御指摘いただければそのようにしたい。
【小林主査代理】  ただ、媒介は媒介機能としてのアイテムを並べておいて、そして、媒介者という具体的な役割は、専門家が媒介機能を持って結果的に媒介者の役になる場合と、それから、その専門家とは違うところからその機能を持った人が出張ってくるという形での媒介者みたいな役割と、両方あるのだという、そういう議論だと。それが分かるような書き方の整理が必要なのだろうなというふうにはちょっと思っている。
 で、その媒介機能というと、かなりリスクコミュニケーター機能も媒介機能に含むということか。そういう理解かと。
【篠村委員】  質問だが、今おっしゃっているような媒介者というのは、図1のリスクコミュニケーションのこのアクターの中ではどこに位置すると考えればいいのか。この真ん中に入ればいいということか。
【松尾課長】  真ん中の調整する人ということだと理解、それが例えば行政がそういう調整機能を果たす場合もあれば、専門家が、あるいは、だけど、信用できないということで、メディアの人がくる場合もあればということだと思うけれども。
【河本委員】  誰かがその媒介機能を果たすという意味でよいか。
【松尾課長】  それを媒介者と称するということだと思う。
【西山補佐】  図1の事務局の方の理解としては、まず、リスクコミュニケーションを行う専門人材という、一種の専門職を創るわけではないので、それぞれ、特にこの場合専門家というのが一つ大きな例になるかもしれないが、職能として身につけるべきというのを基本に置いている。何らかの特別なアクターとして真ん中に置くとか、どこかに置くというのを作るのは適当ではないのではなかろうかというのが、まず基本的な認識としてある。その上で、今、課長が申し上げたとおり、この1、2、3、4、5個のアクターでそれぞれ誰かが担うときがあるのだと思うが、そういった理解をしている。もし平川先生、補足があれば。
【平川委員】  ええ、そのとおりでいいと思う。私もその理解でいる。
【堀井主査】  そのとき、例えば専門家で問題解決を行う人のリスクコミュニケーションみたいな話は(2)のところでカバーされていると。で、(4)のところは、リスクコミュニケーションを行える人材の育成ということで、タイトル自身は非常に何か全てをカバーするようなタイトルになっているけれども、内容的には、媒介者というところにフォーカスが当たっている。だとすると、何かタイトルも少し媒介者ということにフォーカスを当てたタイトルにした方が……。
【小林主査代理】  媒介機能を担える人材の育成とか。
【堀井主査】  ええ。媒介機能を担える人材の育成とした方がいいかもしれないと。内容については、前に出てきたところと、ここのところで媒介者の整合性がちゃんととれているというふうにしていただくということでいかがか。
 ほかにはどうか。大分時間もオーバーしているが、どうぞ。
【大木委員】  13ページの(5)で、この委員会、科学リテラシーでいいのか、科学技術リテラシーって、最近文科省さん、表現を変えてきているのではないかと思う。これ、科学リテラシーでよいのか。技術に対する……。
【西山補佐】  ちゃんと分析をしてないが、両方使っていたりする。
【大木委員】  技術の方のリスクもあるかと。
【西山補佐】  ええ。なので、そういう意味では、科学技術リテラシーにした方がいい。
【堀井主査】  では、御確認いただいた上で、ふさわしい方にしていただくと。
【西山補佐】  はい。
【小林主査代理】  日本はそう使う。ヨーロッパはサイエンスリテラシー。
【大木委員】  全部含めてサイエンス。
【原田委員】  とても個人的な好みでいうと、科学と技術がいつもひっついているというのはすごく嫌い。
【大木委員】  点を入れるなどいろいろ……。
【原田委員】  それが何か、日本のある意味、すごくこれまでの何か戦後高度成長時代のあのサイエンスというものに対するちょっとよくない結び付けだったんじゃないかといって、全く個人的な意見だが。
【小林主査代理】  その議論、すごくある。
【片田委員】  ちょっと1点だけ良いか。
【堀井主査】  はい、どうぞ。
【片田委員】  媒介者というときに、何となくファシリテーターみたいなものをイメージして、こういう方向性というのは、地域防災の中では、すごく地域の防災リーダーを育成するとか、ボランティアコーディネーターの育成だとか、そんな具体な動きとしていっぱいある。けれども、大変大きな問題を最近認識し始めていて、なぜか、この分野って先鋭化していく。平たい言葉でいうと、オタク化していく。で、多分自分のボランタリーな心、満足感みたいなものだとか、何かそんなのが相乗効果として、で、現場で見ていると、こういう方々がそろいのはっぴを着て大声を張り上げていく。一般市民が遠巻きで見て、避けて通っていくという、この構図。「なぜこんな危機がそこに迫っているのに」って大声を張り上げている。で、みんな引いちゃっているみたいな。何かこういう、僕が見ていても、これはコミュニケーションとして間違いだなという感じが非常にするような、そんな育成ばっかりやっているような気がする。
 少し見直す時期に来ていて、この媒介者そのままボランティアコーディネーター育成みたいな短絡的に結びつけていただきたくなくて、そのコミュニケーションのありようというものをしっかり議論をしていかないと、大変逆効果になってしまっている兆候を随分見ている。
 そういう面で少しここの、文言、どうのこうのはこれでいいと思うけれども、これを施策展開されるときに少し御配慮いただいた方がいいように思っている。
【堀井主査】  はい。一応媒介者の中立性ということについては、4章で項目を立てて論じていて、この報告書自身がそういう媒介者を育てるという大きな話ではなくて……。
【片田委員】  どう育成するかじゃないと。
【堀井主査】  リスクコミュニケーションの能力というところにフォーカスが当たっているということ。
【片田委員】  そう思う。
【堀井主査】  ただ、文章の中でうまくおっしゃったようなことが表現できるといいかなと思う。
【片田委員】  まあ、文章ベースではこれでいいとは思っているけれども、施策に展開……。
【松尾課長】  実際行動するときに。
【片田委員】  はいはい、御注意いただきたいという。
【平川委員】  あと、最後に1点だけ。13ページ、(5)のリスクに関する科学リテラシーの向上等のこの見出しだけれども、最後、社会リテラシーも入っているので、科学リテラシー・社会リテラシーというような……。
【堀井主査】  だんだん長くなってくる。
【平川委員】  ええ、長いけれども、せっかくその下に、14ページ下に、こちらの方の審議会の建議の中でも言われているので……。
【堀井主査】  おっしゃるとおり、1行で収まるので。
 ほかにはよろしいか。はい、では、本日頂いた御意見を踏まえて、修正させていただき、最終取りまとめをさせていただきたいと思う。
 なお、修正については、私に御一任いただくということでよろしいか。
(「はい」の声あり)
【堀井主査】  はい、ありがとうございます。
 本報告書については、4月10日の科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会に報告する予定である。
 昨年3月に安全・安心科学技術及び社会連携委員会とリスクコミュニケーションの推進方策に関する検討作業部会が設置され、リスクコミュニケーションの推進方策について議論いただき、また、10月より合同委員会という形で開催してきたが、この取りまとめをもって、作業部会の調査検討は終了することとなる。
 文部科学省、大学・研究機関、学協会、科学技術振興機構などの関係機関においては、本報告書を十分踏まえて、本報告書に掲げられた具体的取組を実施していただくよう強く期待したい。
 また、委員会としても、必要なフォローアップをしていきたいと思う。

<議題2.その他>
【堀井主査】 最後に、事務局から連絡事項等について、御説明をお願いしたい。
【伊藤次長】  その前に、少しお礼を申し上げたい。
 今、主査からお話があったように、昨年3月以来、精力的に御議論いただき、本日、15ページではあるけれども、中身がぎゅっと詰まった、コミュニケーションの先生方だけあって細かい文言にまで御配慮いただいて、報告書が取りまとまったということで、今後は我々の責任として、これを実践に使っていかなくてはいけないと考えている。
 特にこの問題、先生方、御案内のように、社会経済的な状況であるとか、さらには、政治的な状況によってとかく揺れ動く問題ではあるけれども、そういう中で、今回おまとめいただいたのは、特に基本的な考え方なり、方針についておまとめいただいているので、これはいつのどういう状況になっても通じるものじゃないかと考えている。
 また、今日も最後の方にお話があったが、メディアの問題であるとか、あるいは実は政治の問題であるとか、このリスクコミュニケーションが絡む中で幾つか課題もあろうかと思うし、私も、個人的には、実はグローバルの問題が増えてきているので、外国が絡んできたときにこの問題をどういうふうに扱うのかなという、個人的な思いもある。というようなことで、これを実際に使わせていただきながら、また、次のタイミングでいろいろな形で御意見を承り、さらにはこれを発展させていきたいと考えている。
 今回本当に1年間にわたりまして、どうもありがとうございました。
【西山補佐】  (連絡事項について説明)
【堀井主査】  情報は、やはり集約して価値が上がっていくので、15ページにうまくエッセンスをまとめたということは、すごく意味のあることで、これから余り誰も読まない分厚い報告書ではなく、このような質の高い報告書がまとめられるようになっていくのは非常にいいことではないかなと思う。
 本当にいろんな御議論を頂いて、最終的に非常に質の高い報告書ができ上がったかなと私自身、非常に思っており、本当委員の皆様には心から感謝申し上げたい。
 以上で第6回安全・安心科学技術及び社会連携委員会(第8回)リスクコミュニケーションの推進方策の検討作業部会合同委員会を終了する。

 

 

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科学技術・学術政策局人材政策課

(科学技術・学術政策局人材政策課)