リスクコミュニケーションの推進にあたっての重要事項

平成25年7月19日
科学技術・学術審議会 研究計画評価分科会
安全・安心科学技術及び社会連携委員会

 リスクコミュニケーションの推進方策に関する検討作業部会からの報告をふまえて、重要事項を以下に示し、引き続き検討を行う。

 

1.リスクコミュニケーションの定義について

・リスクコミュニケーションを「リスクのより適切なマネジメントのために、社会の各層が対話・共考・協働を通じて、多様な情報及び見方の共有を図る活動」と捉える。

 

2.リスクコミュニケーションの類型

・リスクコミュニケーションが行われる実践的な状況に照らし、例えば、主体ごとに分類すれば、次のものが挙げられる。

(1)専門家が一般市民、メディアと行う、リスクに関する日常的・一般的なコミュニケーション

(2)学協会・研究機関が、リスクのマネジメントのために、主にマスメディアやインターネットを通じて一般市民と行うコミュニケーション

(3)リスクに関わる何らかの具体的な問題解決に向けて、行政が住民と行うコミュニケーション

(4)リスクに関わる何らかの具体的な問題解決に向けて、さまざまな専門家が行政や住民と行うコミュニケーション

(5)リスクに関し、広報や組織メディアが一般市民と行うコミュニケーション

 

3.必要な対応

(1)FD、初任者研修等においてリスクコミュニケーションの基礎を教育する。科学技術に関わる全ての専門家が持つべき素養(リスクに関する科学的および社会的なリテラシー)がある。教育プログラムの開発、トレーナーの育成が必要。長期的課題。
*FD:Faculty Development。教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称。

(2)学協会などの専門家集団、あるいはそれらを構成する専門家が適切なリスクコミュニケーションを行うための取組を支援する仕組みが必要。

(3)行政のリスクコミュニケーション担当者、あるいは危機管理担当者に対するセミナー、研修が必要。長期的課題。

(4)リスクに関する具体的な問題の解決を目指す支援組織の専門家が住民や行政と行うリスクコミュニケーションの能力の向上を支援することが必要である。大学等を中心とする支援組織に専門的教育を受けた専門家を配置する、支援組織の専門家のコミュニケーション能力を底上げする、等。

(5)メディアにおけるリスクの扱い方とその影響を分析評価し、メディアによるリスク情報伝達の一般的な特性や、メディアの種類による特性の違い等を明らかにする研究を支援することが望ましい。長期的課題。

 また、(1)~(5)に加えて、一般市民のリスクにかかる科学技術リテラシーの向上支援、一般市民による主体的な問題発見・解決策の提案の喚起、不確実性の高いリスク情報への対処をサポートする情報共有の仕組みの構築、科学技術の専門家と非専門家の対話の場の創出、初等中等教育段階からの科学技術にかかるリスク教育の在り方の検討、教材、副教材の開発等が必要。

 

4.委員会としての方針

(1)上記1.及び2.をさらに体系化して整理する。

(2)上記3.について、東日本大震災・福島原発事故の経験を踏まえ、(2)と(4)を緊急に実施する。

(3)上記対応に関する詳細検討を行う。

以上

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科学技術・学術政策局人材政策課

(科学技術・学術政策局人材政策課)