資料4-2 リスクコミュニケーションの在り方に関する有識者ヒアリング結果概要

平成24年12月
文部科学省基盤政策課まとめ

【専門家からの情報発信の在り方】
○今回の原発事故においては、コミュニケーション手法の問題ではなく、マネジメント/ポリシーが問題であった。解決に向けて「失敗事例集」を整備することが必要。
○国民には行動指針を示して欲しい人と自分で決めたい人がいる。単一の情報だけでなく、最悪と最良のシナリオの間で幅のある情報提供を行っていくことが必要。
○透明性を維持すべき。全ての議事をそのまま公表するというより、検証可能性を持たせることが重要。
○提供するデータの提供方法や免責範囲を、データ生成の仕組みの中に組み込む必要がある。
○日常生活に引き寄せた形でのメッセージの出し方が求められる。
○リスク評価に基づきメッセージを発信する目的は、受け手に行動変容を起こさせること。自己効用感を持つことができる質と量の情報を流すことが必要。
○NPOの活用が重要。NPOは国の情報をもとに加工して情報を出すことで、しっかりやっているという印象を持たれる。国もNPOを信用している人達から信用されるようになる。いわば「信頼の三角測量」の構図。

【専門家と国民との情報共有の在り方】
○平時における取り組みこそが有事に実効性を持つ。
○「統治者視点」と「当事者視点」の違いは解消出来ない。政府と国民との相互理解を構築していくことが必要。
○共通認識の構築には国民の参加が不可欠。専門家の見解をそのまま押し付けてはいけない。
○双方向、継続的、小規模な場を用意するべき。
○「基準」には訂正可能性があることを根気よく伝えていくことが必要。
○リスク評価自体が不確実性を持っている。日本の理数教育では答えが一つ。英国の科学教育のように、科学の結論は一つに定まるわけではないことを、実例をまじえて教えていくことが必要。

【人材育成の在り方】
(求められる資質)
○中立であること。
○能力と誠実さ、被災者との価値観の共有が図れること。
○個人のリスクと集団のリスクの違いを理解していること。

(専門家の育成)
○日本のリスクコミュニケーションは未踏領域。専門家は存在しない。
○専門家を組織的に育成すると同時に、実践する場を与えることが必要。
○特定の大学、学部において、リスクコミュニケーションの専門家のポストと予算を確保するとともに、それらを束ねる組織をつくることが必要。
○メディア関係者との個人的、組織的交流が必要。
○キャリアパスの開拓、形成が課題。コミュニケーションの経験が評価される制度が必要。
○コミュニケーションにはそれなりの知識が必要。副専攻では不足。海外では、科学に強い法学者がハブとなっている。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(調整・システム改革担当)

電話番号:03-6734-4051
ファクシミリ番号:03-6734-4176
メールアドレス:an-an-st@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(調整・システム改革担当))