原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第8回) 議事録

1.日時

平成25年5月1日(水曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省東館16階特別会議室

3.出席者

委員

山名主査、稲田委員、大島委員、笠原委員、北田委員、黒崎委員、永井委員、村上委員、山口委員

文部科学省

藤木文部科学審議官、田中総括審議官、戸谷研究開発局長、増子原子力課長、西條核燃料サイクル室長、近藤核燃料サイクル室長補佐

オブザーバー

廣井日本原子力研究開発機構理事、弟子丸日本原子力研究開発機構高速増殖炉研究開発センター所長代理、安部日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発副部門長

4.議事録

【山名主査】 定刻となりましたので、ただいまから第8回もんじゅ研究計画作業部会を開催いたします。本日は御多忙にもかかわらず、御出席いただきまして、ありがとうございます。まず、生川課長に代わりまして、増子原子力課長においでいただいておりますので、御挨拶をお願いいたします。

【増子原子力課長】 4月1日付で原子力課長に着任いたしました増子と申します。よろしくお願いいたします。先生方におかれましては、昨年の10月から「もんじゅ」の研究計画につきまして、多忙な中、御議論いただきまして、誠にありがとうございます。今年の夏には先生方の御議論を踏まえて、最終的な報告書に取りまとめたいと思っております。またその後は、国としてもしっかりとエネルギー政策の中で「もんじゅ」を含めたFBRについて位置付けるべく、担当課長としても努力したいと思いますので、今後ともよろしく御議論のほどお願いしたいと思います。簡単ですが以上でございます。よろしくお願いいたします。
【山名主査】 それではこれより議事に入ります。本日の議題はお手元の議事次第に書かれているように、「もんじゅ」等の研究計画の作成についてでございます。最初に、事務局の方から出欠の確認と配布資料の確認をお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 それでは、本日の出席の確認と、配布資料の確認を事務局からさせていただきます。本日は9名の委員全員に御出席いただいておりますので、定足数を満たしているということになります。続いて、本日の配布資料の確認をさせていただきます。お手元の資料ですが、資料の1といたしまして、廃棄物の減容・有害度の提言のためのシステム概念と研究開発課題。それから、資料2-1といたしまして「もんじゅ」を活用した国際共同研究に関する国際ワークショップ開催結果。これは4月24日、25日に敦賀で開催したものの結果でございます。資料の2-2といたしまして、国際協力の下での高速増殖炉/高速炉サイクルの研究開発について。これは前回の御議論にもありまして御指摘、宿題事項となったものを中心にまとめたものでございます。参考資料といたしまして、机の上に「もんじゅ」を活用した国際共同研究に関する国際ワークショッププレゼンテーション資料ということで、黒いファイルに整理させていただきまして、一括でとじたものを参考資料として挙げさせていただいております。
 なお、昨日機構の方より規制庁に提出した「もんじゅ」敷地内破砕帯の追加地質調査報告書の概要、それから同じく昨日ですが、「もんじゅ」におけるディーゼル発電機のコック部にて発生したトラブルに関係する資料、どちらも昨日のプレス発表資料でございますが、席上の委員の先生方にはお配りしておりますので、これも後ほど御確認いただければ幸いです。資料の欠落等ございましたら、事務局までお知らせください。議事の途中でもお気づきの点ございましたら、遠慮せず申し付けください。
 また本日は、一般の傍聴者の方から、会合の模様を収録して、ユーストリームを使って配信したいとの相談がありましたので、もんじゅ研究計画作業部会公開の手続に基づきまして、会議の妨げにならないことを条件に、固定カメラで録画を許可しております。以上でございます。

【山名主査】 資料等御確認いただけましたでしょうか。それでは審議に先立ちまして、まず機構の方から破砕帯の件と、昨日発生しましたディーゼル発電機の運転上の制限の逸脱についてお話いただきたいと思います。

【廣井理事】 最初に、破砕帯の件でございますが、プレス発表資料がございます。A3の資料がございますので、それで簡単に御説明申し上げます。耐震バックチェックということで、敷地の調査を含め、バックチェックの実施をして、当時の保安院の方から妥当という評価を頂きましたが、3.11が起きて、その後追加調査ということで、平成24年8月に指示を頂きました。それが左上の四角にございますように、大きな項目としては二つですが、三点に分かれています。一つは破砕帯の性状を直接確認しなさいと。破砕帯は今、敷地の下で、建物の下になっているわけですが、直接確認するために適切な場所を選んで必要な調査をしなさい。それから2番目の方は、敷地のそばにL-2リニアメント、後で地図を見ていただきますが、それと活断層がございますが、そういうものとの地質構造上の関連性を明らかにしなさい、というものでございます。それで裏の方を見ていただきますと、図がございまして、左側を見ていただきますと、敦賀半島がございまして、「もんじゅ」の敷地がございます。それで左側約500mのところに、白木-丹生断層ということで、15 kmの断層がございます。それから南側の方に、L-2リニアメントがあります。先ほどの追加の調査の指示では、このL-2リニアメントが敷地まで伸びているかどうかというようなことを調査しなさい、ということで、真ん中の地図にございますような、いろいろなポイントで調査を実施してきています。丸1は全体ですが、丸2から丸7まで、それぞれの場所で調査をしているということで、調査項目が右下に書いてございます。それから、右上の方は、敷地の下に既に建設時に確認されていた破砕帯が赤い線で書いてございます。全部で9本ございまして、大半は20から30mでございます。a破砕帯とアルファベットが書いてございますが、それが70mぐらいです。我々としましては直接確認する、こういう破砕帯を直接見られるところということで、建物以外のところで破砕帯の見つかりそうな場所をということで、いろんな情報を、それから電気調査、電磁波による調査等やりまして、それで剝ぎ取り場所を決めて、剝ぎ取り調査も実施したということでございます。
 それで本文の方に戻らせていただきまして、A3の資料の表の方でございます。敷地内の破砕帯の性状ということでは、剝ぎ取りの結果、a破砕帯の延長方向に二つの破砕帯を確認しまして、それらの性状を調べました。それから破砕帯の内部ですが、そこの細かい物質を調べまして、それでカリウム40からアルゴン40に核変換するそういうものを測定原理とした年代測定法がございます。それで調べた結果、粘土の形成年代は約4000万年前ということが測定されたということです。それから破砕部のいろんな性状を調べています。そして先ほど申しました、白木-丹生断層の方の破砕部、それと比較していますが、活断層の方は積層構造になってございますが、敷地内の破砕帯については、そういうものが認められなかったということです。
 その他、いろんな活動性の調査ということで、AT火山灰ということで、姶良カルデラの火山灰、そういうものも確認されたということで、堆積層については2.6から2.9万年前ということが確認されました。あと、変動地形学に基づく細かな分析も実施してございまして、それを基にしますと、リニアメントについても敷地まで延びているわけではなくて、むしろ浸食によってできている組織地形と考えられるとの結論を得ています。最終的に矢印で下の五つを書いていますが、a破砕帯周辺の地形に断層変位は認められない。少なくとも、約2.6から2.9万年前まで遡れる地層に断層変位は認められない。破砕帯の性状が活断層と異なっている。それからリニアメントについては、組織地形で活動性を有していない。海上音波探査もやっていますが、白木-丹生断層の方は、海上でも確認できますが、敷地内破砕帯の延長線上には認められないということでございます。また左下ですが、地盤変動解析ということで、白木-丹生断層に変位を仮定しまして、そのひずみや応力が敷地内の複数の破砕帯にどのようなひずみや応力が発生するか、という評価もやっていまして、破砕帯によってずれ動くことはないという評価になっています。
 以上の結果から、敷地内破砕帯には活動的であることを示す痕跡は認められず、また白木-丹生断層に引きずられて、破砕帯が動くこともないと判断される、という結論を昨日規制庁に報告したということでございます。報告書そのものは全体で120から130ページになるものでございます。
 あともう1点は、昨日起きました不具合と申しますか、ヒューマンエラーでございます。ディーゼルの停止中ですが、定期試験を行っていたところ、ディーゼルのシリンダーから出ている部分のインジケータコック部という細いパイプがございますが、そこのバルブを開の状態のままエンジンを動かしたために、そこから煙が出て、火災報知器を鳴らしたということです。そのためディーゼルを止めますので、2台確保しておかなくてはいけないという、保安規定上そうなってますが、1台になったということで、運転上の制限の逸脱を宣言したというものです。バルブ、12シリンダーございますが、半分操作したものが緩める方向を間違えたようでございます。まだこの辺はどういう経緯でヒューマンエラーになったかというところは、今分析しているところです。治具を使ってバルブを開閉するのですが、そこの点で向きが違う状態で開固着になったまま、本人としてはしっかり閉まっていると勘違いしてしまったようですが、ヒューマンエラーということです。ヒューマンエラーをなくす努力はいろいろやってきているのですが、それがうまくいかなかったという、今回の件でございます。これをまた一つの糧にして、より安全なプラントにしていくように、いろいろな見直しをしていきたいと思っております。以上でございます。

【山名主査】 ありがとうございました。本件については、説明をお聞きするということにとどめさせていただきます。ありがとうございました。それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。本日の議題は「もんじゅ」等の研究計画の策定でありますが、まずは、廃棄物の減容・有害度の低減のためのシステム概念と研究開発課題について、議論をしたいと思っております。資料1を使って説明を聞いた後、議論を行いたいと思います。委員の皆様方には、ここに書かれている研究開発課題の中身について、専門的知見から率直な御意見を頂きたいということでありますので、特にデータの中身ですとか、目標、達成時期などに抜けがないか、そういう面でしっかり御意見を頂きたいと思います。資料は1から3に分かれていますが、まずは廃棄物の減容・有害度の低減のためのシステム概念について、という部分から始めたいと思います。機構の方から、数分程度で説明をお願いいたします。

【安部副部門長】 原子力機構の安部の方から、資料1の御説明をさせていただきます。
 1枚めくっていただきまして、報告内容の1、廃棄物減容・有害度低減のためのシステム概念、ということで高速炉を使いました全体システムで、どうやって廃棄物減容・有害度低減を目指していくのか、そのシステムの全体概念について、まず御説明をいたします。
 2ページです。これは第3回の部会で御説明しました絵をもう1回載せております。高速炉は、サイクルの中でプルトニウム(Pu)、マイナーアクチノイド(MA)を柔軟にリサイクルできる。サイクルの外に排出する廃棄物についてはPu、MAを合理的な範囲で最小化できる。それからシステムの中のPu、MAの量につきましても、増殖あるいは燃焼制御ができる。というのが大きな特長でございます。こういう特長を生かした廃棄物減容・有害度低減に生かせるということでございます。
 3ページには、それのもう少し具体的な高速炉システムの機能を三つに整理いたしました。高速炉サイクルシステムが、柔軟なPu、MAリサイクル性能を持っている、ということでありまして、そのときの原子力エネルギーの利用シナリオに応じまして、このリサイクル特性を使うということで、大きくこういう三つの機能があるのではないか、ということで整理したものでございます。一つが軽水炉の補完モード。これは軽水炉の発電が中心になりますが、それとある量の高速炉を組み合わせることによって、軽水炉燃料サイクルをより柔軟に回していくことができる。それから、次の持続的発電モード、これは軽水炉の発電の後、高速炉が主体的な発電源になりまして、その中で新たなウラン資源を使うことなく長期間持続的な発電ができる。これが持続的発電モードで、その中でMAリサイクル等やっていきますので、廃棄物減容・有害度低減の効果も非常に高いというものでございます。それから一番右側がPu燃焼モード。これは世の中に存在しますPuの量をできるだけ減らしていきたいといったときに、この高速炉を使っていくというモードでございます。以下各ページ、次のページから、絵を使いながら御説明いたします。
 4ページが軽水炉の補完モードでございます。真ん中に絵がございまして、基本的には軽水炉による発電、それから軽水炉のサイクル事業によるプルサーマル、これが大規模に行われているという状況を想定いたします。その場合に軽水炉サイクルの中で、使用済みのMOX燃料に蓄積いたします高次化Pu、それからMA、こういったものは軽水炉サイクルで使うのは技術的にハードルが高いということがありまして、より柔軟なリサイクルができる高速炉を使って、使用済MOX燃料のPuを使っていくというのが、このモードでございます。量的なイメージを少し持っていただくということで、巻物のようなところに少し諸量の例ということで計算をしてみました。六ヶ所の再処理施設、これがフル稼働したということで年800トン、40年の処理が行われて回収されたPuが全てプルサーマルとして利用されたとしますと、その使用済みのMOX燃料に中に含まれるPu、同位体組成としてはかなり高次化しておりまして、それがPuのfissile量として140トンぐらいできるという計算になります。これを高速炉で使っていくとした場合に、150万kW級の高速増殖炉、これは従来FaCTというプロジェクトの中で検討した炉心ですが、その場合ですと年0.8トンのPufを装荷していくということになりますので、140トンに対して1基0.8トンという割合で利用ができるということでございます。
 それから5ページですが、これは持続的発電モードということで、軽水炉の後、今度は高速炉が主体的に発電を担うという状況になりましたときに、高速炉の場合には、軽水炉で消費できなかった回収ウラン、あるいは濃縮の結果生まれた劣化ウラン、こういう国内に既に存在しますウラン、これを少しずつ供給することによって、他の燃料は原料を供給しなくても高速炉サイクルの中で発電をし、それから廃棄物については、Pu、MAを極力なくした放射線廃棄物を排出していくという高速炉サイクルが、長期間持続的に続けられるということでございまして、これも諸量の例ということで書いてみました。まず現在、国内には劣化ウランが15,500トン既に存在しております。今後濃縮施設から更に発生してまいります。それから回収ウランについては六ヶ所再処理施設でフル稼働いたしますと30,000トン程度の回収ウランができる。一方、高速増殖炉については、100万kW級の増殖炉1年の運転で、ウランを0.6トン正味補給してやる必要がございまして、これで割り算をいたしますと、現存する劣化ウランだけで100万kW級高速炉46基を500年運転するだけの量になるというものでございます。
 それから6ページでございます。Pu燃焼モードということで、高速炉サイクルをリサイクルしますMOX燃料のPuの富化度を高めてやりますと、Puが燃焼の方が多くなりまして、サイクル内のPuがだんだん減ってまいります。それからMAも一緒に回していくことによって、トータルのPu、MAの量を減らしていくというものでございます。ただ高速炉にMA入りのMOX燃料を入れまして1回の装荷で減少する量は1割とか1割をちょっと超えるぐらいとかでございますので、サイクル全体のPuの量を大幅に減らすということであれば、この高速炉サイクルを何度も回して、少しずつPu、MAを減らしていくということになります。これについても諸量の例でいきますと、六ヶ所再処理施設でフル操業32,000トンの処理がされますと、全部でPuとしては330トンが分離されるということになります。Pu燃焼炉につきましては、まだ炉心概念検討もまだ余り進んでおりませんで、一つの試算例でございますが、30万kW級のPu燃焼用の高速炉、これの検討例ですと1年間の運転で正味0.13トン、Puが減少するということがございまして、こういうものをたくさん続けながらPuを減らしていくということになります。
 以上が1ポツで、廃棄物減容・有害度低減のため高速炉を使ったシステムの全体概念として、この3種類のものが考えられるということを御説明いたしました。

【山名主査】 はい、ありがとうございました。では、この三つのパターンについて御議論いただきたいと思います。どうぞ御意見がございましたら。北田先生。

【北田委員】 確認をさせていただきたいのですけれども。まず4ページのところで、諸量の例で計算されているところですが、150万kW級の高速増殖炉で0.8トンのPuf、これを利用するとなっています。ここで分からないのは、増殖比1.1ですから増えるのではないでしょうか。

【安部副部門長】 はい、これについてはどういう炉心特性を使うのがいいのか少し迷うところなのですが、これはFaCTの検討の中で既に設計研究をやりました、炉心の値を今持ってきております。委員御指摘のようにこの炉を動かして仮にサイクルロスが全然ないとするとPuのトータル量としては増えていくのですが、これは高次化の軽水炉からくる高次化のPuをインプットしてあって、高速炉の中で組成がより使いやすいPuに変わっていく。そのときの量は確かに増殖比1.1ですと、この高速炉サイクルのトータルの量としては増えていきますが、これはこの高速炉サイクルをどれくらいの規模で動かしたいかによりまして、例えば、必要最低限にしたいということであれば高速炉サイクルの量を減らすように増殖比は1以下にしてやる。それも可能ですし、高速炉も少しそれなりの量、使っていきたいという場合には増殖比1を超える場合で使うこともありますので、それは使い方によって設定すればよいと思います。今回はその諸量の例といたしまして、大体150万kW級でどれくらいのPu量をインプットとして使うのか、その目安としてここには書かせていただきました。

【北田委員】 でも、総量としては増えているわけですよね。

【安部副部門長】 増殖比1.1のこのケースで、もし回していけば、確かに増えます。

【山名主査】 よろしいですか。炉心インベントリーは幾らですか。軽水炉から初装荷で入れる量の総量は幾らですか。

【安部副部門長】 60万kWの、今ちょっと正確な数字を持っておりませんで、私の頭の中にある数字で申し上げますと、60万kW級の実証炉というので、確か炉心のトータルインベントリーが40トンMOXぐらいですので、そのうちのPu量は10トン弱ぐらいだったと思います。60万kWでその程度です。ですから、150万kWのこの場合ですと、20何トンとかそういう量になると思います。この計算では、その取替え燃料のPuの量を書いておりまして、主査がおっしゃるように、初装荷炉心ではもっと大量のPuを使いますので、それを入れますともっと早く高次化Puは消費します。

【山名主査】 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。山口委員。

【山口委員】 ちょっと教えていただきたいのですが、Pu燃焼モードのときには専焼炉ですかね。30万kWの高速炉燃焼度という前提になっていて。そのスペックと言いますか、それぞれのケースで最初はFaCTで考えていた150万kW。持続的発電モードは、これは100万kWですね、60万kWではなくて。ちょっとその辺の、炉の条件設定の違いについて御説明いただけないでしょうか。

【安部副部門長】 各モードで出力がまちまちになっておりますが、基本的にはこの軽水炉の補完モードというものと、その次の持続的発電モードというのは、炉心の設計の指向としては同じような指向になっております。結局できるだけ経済性も高めたような、その炉心を指向していきます。具体的には燃料ピンはかなり太い燃料ピンで、燃焼特性がよくて、高燃焼度まで燃やせると。4ページと5ページでちょっと出力規模が変わってしまいましたが、これはそういう意味では同じ規模でお示しすればよかったかなと思いますが。5ページの方は、増殖比1.03でPu量が一定の炉心でお見せした方がいいのかな、ということもありまして、5ページの方は100万kWの数字を出してまいりました。でも基本的にはここまでの出力規模になりますと100万kW、150万kWですと、大体出力に比例してPu量は決まります。そういうふうに見ていただければと思います。それから6ページのPu燃焼モードは、専焼炉と言いますか5ページ、4ページとは全く炉心概念が違っておりまして、これはできるだけPuの富化度を上げるようにかなり燃料ピンが細くて、燃料体積が低い炉心でございます。それから、そういう炉心で反応度係数のいろんな制約もありまして、合理的にするには出力規模としては、これは30万kWぐらいに小さくした方が炉心の成立性が高いということで、これは30万kWというのは一つそういう意味がございます。これの仕様については第3回の部会の資料の中の参考資料の中で炉の消費量、それから内部転換比等については、第3回の資料に記載しております。

【山名主査】 山口委員。いかがですか。

【山口委員】 元々、最初のところの趣旨としては、柔軟にリサイクルできるシステムという意味では、いろいろな状況に応じてバーナーにもできるし、ブリーダーにもできるし、という趣旨と思いつつ伺っていたのですが、一方バーナーでやろうと思ったが、相当スペシフィックな設計にするということになると、もし廃棄物減容を具体的に実際にやっていくためには、炉としては、廃棄物減容というのをシナリオの中に含めてやっていく場合というのを前提にする場合には、炉の開発のスコープもちょっと違ってくるのだと、そういうふうに考えればよいですか。

【安部副部門長】 この三つのモードの、その、主たるミッションに特化した性能を与えようとしますと、4ページ、5ページ、6ページで、炉心の設計指向が異なってきますので。そういう意味では一度高速炉を作って、それが三つのモードのどれでも一番性能が上がるように使えますよ、というわけにはいきません。ですから、やはり炉を建てるときにはフル燃焼モードを指向するのか、4ページ、5ページの使い方を指向するのか、ある程度そこの方向性は違うとは思います。ただし基本的な高速炉としての技術ですとか、プラントのいろんなインフラとか、そういったものについては共通ですので、基本的には開発の中ではこの三つ全てを見ながら開発して、実際の建設においては、必要となるモードに特化した設計になるのかと私は思っています。

【佐賀山理事長補佐】 言葉がちょっと足らないかなと思って、補足させていただきます。高速炉の炉心は御存じのようにブランケットが付いていて、そのブランケットの着脱で増殖比なり転換比を変えられるわけです。それで最初に出した、最初の1.1の軽水炉補完モード、丸3です。これは150万kWクラスのものですが、ブランケットが径方向と上下方向に付いているわけですが、それを外しますと転換率は0.85ぐらいの炉心です。ですからブランケットを取ってそういう間、0.85から1.1の間のフレキシビリティは当然、簡単に持たせることができるわけです。その次の1.03というような、仮に、これは出力は100万kWですけれど、この1.03では150万kWのやつで作ろうとすると径方向ブランケットを取って軸方向だけのブランケットを残しておくとやりますと、一般的には1.03から1.05ぐらい、例えばスーパーフェニックスはそれに近いですが、そういう増殖比は達成できるわけです。一方、安部の方で申しましたように、30万kWの小型炉の例ですが、非常に細い燃料ピンを使って、最初に申し上げたものは太い燃料ピンでできるだけ内部の転換率を上げるというか、より燃焼効率をよくするそういう炉心の場合です。そうではなくて、燃焼をより加速するという観点では、例えば「もんじゅ」の炉心は燃料ピンが6.5mmぐらいの細いピンになるわけです。そうすると燃料の体積比が落ちますので、いわゆる転換率というのも当然落ちてきてしまう。だからその分だけ濃いPuを入れてやりますが、そのときにブランケットを取った状態で炉心の転換率を見ると0.6ぐらいまで落ちます。つまり、この場合では0.6から1.2の間でのフレキシビリティを持たせることが可能です。普通の炉心の状態で非常に転換率のいい炉心体系では0.85ぐらいから1.1とか1.2ぐらいまで上げることもでき、そういう範囲で運転できますし、もうちょっとバーニングを強めたような炉心にするために燃料ピンを工夫してやることも更にできると、そういう意味です。今回お示ししたのはちょっと典型的な例でお示ししすぎたために、元々持っている山口先生から御指摘のような特質のところを少しちょっと見えにくくなった説明になり、申し訳ないです。ということです。

【山口委員】 この次のステップは、じゃあ、「もんじゅ」でR&Dをやるときに、どういう炉心の構成にして、データを取るのかという話に次つながると思うのですが。実際に増殖炉心から照射炉心に変えるなんていうのが、「常陽」でずっとやって、実績もありますが、単に照射データを取るというだけではなく、バーナーとしての炉の特性とかを見ようと思うと、「もんじゅ」でどういうふうにやっていくのかという計画につなげるところの話が、矛盾なくつながるのでしょうか。

【安部副部門長】 一つは照射ベットとして、あぶるというのがありますが、「もんじゅ」の炉心として見た場合には、「もんじゅ」を原型炉として炉出力は28万kWで、たまたま6ページのPu燃焼モードとは同じくらいの出力規模になっているのですが、今、佐賀山が申しましたように、「もんじゅ」の場合にもMOX燃料の部分だけの場合には、転換比が0.75ぐらいで、それに軸ブラ、径ブラを付けていくと1になり1.2ぐらいになると。それから燃料棒についても、「もんじゅ」の場合には比較的小さい炉心で構成していまして、燃料の仕様も比較的この6番のモードの炉心に近いモードでございます。したがって、その中でアメリシウム(Am)がたくさん入った燃料を使って、炉心の特性を見るということは、この6番のPu燃焼モード、これについて燃焼のために最適化されているわけではありませんが、同じ規模でMAも入った炉心特性が得られるというのが一つ大きな、選べる、期待できる成果としてございます。

【山名主査】 他にいかがでしょうか。村上委員。

【村上委員】 ここで御説明いただいた各運転モードの特性については、何となくさっきの御説明で定性的には分かったような気になっておりますが、これ可能ならばですが、諸量の例に示されているような数字をもう少し具体化して示していただければと思います。もちろんいろんな運転パターンや、炉心の構成によって燃やされるPuや、できてくる高次化Pu、燃やされるMAの燃やす前と後との量はかなり変わってくると思いますが、その典型的な、特に一部最も標準的と思われるケースでいいので、このモードでは例えば発生したPu何とか同位体の種類がいろいろあって、これぐらいあったのが何回ぐらい運転するとこれぐらいになる、MAどれぐらい減る、最終的に発生する廃棄物がどれくらいになるというのを、数字で示していただければ、より分かるかと思います。それと、なぜ、そういうことを考えたかと言いますと、数字で示していただけて、初めて廃棄物減容の具体的なイメージができるからです。正直、私の知識も足りないのかもしれませんが、今の御説明ではどれぐらい廃棄物が結局減ったことになるのかがさっぱりイメージできませんでした。なので、できれば数字を例でいいので示していただきたい。あと、先ほど山口先生から御指摘ございましたが、これだけの運転モードが可能です、というイメージを示していただいて、それをこれから「もんじゅ」何サイクルか運転していく中で、果たして限られた期間の照射計画の中でこれだけの燃料のモードが一体どれだけ実現できるのかというのも興味があります。以上、教えていただきたいのでよろしくお願いいたします。

【山名主査】 では今の諸量的な話は次回にでも少し詳しくお話を伺った方が良さそうですね。確かにこれ、よく分からないですね。次回是非よろしくお願いいたします。笠原委員。

【笠原委員】 村上委員と観点が一緒かもしれないですが、整理の方法として大きな表題に廃棄物減容・有害度の低減のためのシステムとあって、その下に三つのモードがありますよね。そうすると字面だけ読むと、どのモードでも廃棄物低減をやっていて、それを満たした上でこの三つのモードがあるとも見えますし、最後のPu燃焼モードがこれだけ燃焼モードが違って、専らここでMAを燃やそうとしているのか、いずれの整理なのか分かりにくいのですが。この二つではどちらの整理になるのでしょうか。

【安部副部門長】 基本的には4ページ、5ページ、6ページとも、MAは高速炉サイクルの中でリサイクルいたしまして、高速炉サイクルから放射性廃棄物として出ていくもの、この中のMA、Puは極力減らす。したがってこの廃棄物、出てくる廃棄物の量、それから潜在的な有害度、これを極力減らす、これは4、5、6ページ共通でございます。ただそれに付加して特にPuの量をコントロールしたいのか、高次化Puを使いたいのかそれに応じて4、5、6ページの回し方を少し変えているということで、基本的には共通の部分がございます。

【笠原委員】 説明を聞いて分かりました。

【山名主査】 よろしいですか。はい、稲田委員。

【稲田委員】 私、この中で一番分かってない可能性が高いのですが、この三つのモードのどれかによって、炉心の設計がちょっとずつ違ってくるだろうなというように思うのですが、そのときに「もんじゅ」で今回MAを燃やす試験をするということと、この三つのモードとの関係について教えてください。つまり一体どの部分を潰せているのだろうか、というようなところがちょっと分かりづらく教えていただければと思います。

【安部副部門長】 資料の3ページの方に、この三つのモードを整理比較した表がございまして、この表の下半分が各モードでどういう高速炉システムなのか、主たる機能と重要な技術要素、それから成立の可能性。この成立の可能性のところを見ていただいて、まず軽水炉の補完モードについては、高次化Pu利用についてはシステム設計を見直すことにより、実現可能と書いてあります。これはまず、基本的には従来開発をしてまいりました、通常のMOX燃料を使う高速炉については経済性の問題はあるものの、技術的には一つ確立していると。その確立している技術をベースとして、更に高次化Puを使うようにするためには、何が必要かと言いますと、高次化Pu利用のためのシステム設計を見直せばいいのですよ、というのが一つ、軽水炉補完モードの場合の技術的課題になります。それから持続的発電モード、これも基本的にはPuのみを利用するMOXのシステムについては、技術的には成立しているが、これはやはりこのモードは長期間発電源として使ってまいりますので、経済性をより高めるというのが課題になるかと、ということが書いてあります。それからPu燃焼モード、ちょっとこれは書き方が異なっておりまして、これも1回のPu燃焼率は限定的であり、繰り返し処理が必要で、できるだけこのPu燃焼率を上げようとすると、炉心の設計を変更してやる必要がある。ただし基本的な技術は従来のMOX炉心がありまして、それを各モードにおいて、少しずつ改良していくことによって、技術的には成立する。ただその下にありますように、MAの利用、これについては炉心だけではなくて、サイクル、それから燃料挙動も含めた確認が必要になりますので、これについては三つのモード共通の開発課題だというふうに思っております。したがって、今回の廃棄物減容等のための研究開発におきましては、炉心がらみのところは、こういう各モードに応じていろんな各モードに適した炉心はどういう炉心なのかという検討を行いますし、それからMAをこの高速炉で利用していくということについては、各モード共通のやはり開発項目がありますので、これは照射試験で挙動を確認するとか、MAをリサイクルするために必要なサイクル技術を開発する、というのが共通の技術課題としてございます。

【山名主査】 はい。ちょっと、時間を少し過ぎていますが、ちょっとお願いしておきたいのですが、今日のこの3枚の紙はかなり大きな話をしていて、と言いますのは我が国の基本的なエネルギー政策としては、つまり将来的に自立的なFBRに移行できるという可能性を探求するということを柱にやってきているわけです。つまり高速増殖炉の技術を開発するということが柱にあります。軽水炉補完モードの場合には、恐らくそれは少し遅れて、プルサーマルをしばらくやりながら、あるいは場合によっては、軽水炉とFBRが多少共存するような、少し時代的にいずれ完全移行するというのをモディファイした形になっているし、3番目のPu燃焼モード、Puマネジとして減らそうという発想ですから、原子力を終わろうという時代のための装置として考えているわけですよね。ですから3者非常に違っていまして。エネルギー政策については、まだ我が国は今、議論が止まったままです。今後エネルギー政策の議論は進んでいくし、核燃料サイクルの政策も進んでいく。その中で正にこの高速炉の技術を、増殖炉として、あるいは燃焼炉として、どうやっていくかはまだ議論が始まっていない段階になります。したがって、こういう提案を頂いたというのは、これで高速炉が非常に幅広い能力を持っている。いかようにでもアレンジできるという特性を持っているということがよく分かった。ではそれに対して、技術的に「もんじゅ」はどう生かしていけるかという議論をこれからします。今質問があったこれですね。エネルギー政策的には、どういう方向を見るかは、まだ国として模索する段階ですから、今ここでどうするとは言えないという状況にあります。ですから、これはあくまで高速炉というポテンシャルを理解するための、幅の広い可能性の描図を見せていただいたという理解で、技術的な議論を進めたいと思います。ということで2番の方に入りたいと思います。7ページからですか。これについても手短に御説明をお願いします。

【安部副部門長】 はい。2ポツは、2枚だけでして。まず7ページですが、これは今御説明した高速炉サイクル、三つのモードがございますが、大部分が共通の技術で、それはMA、Puを均質サイクルでリサイクルしていくという技術でございます。これについては従来FaCTというプロジェクトの中で、正にPu、MAの均質サイクルというのを検討してまいりましたので、FaCTで進めてきたFBR実用化技術としての炉心、サイクル技術、これを技術開発していくというのが一つ必要でございます。あとはFaCTでは特にやっていませんでしたPu燃焼、それから高次化Pu、これに関連する炉心・燃料サイクル技術、これについても検討する必要がある。あわせて他の概念として非均質サイクル、長寿命FPの核変換、こういったものについての研究開発もやっていくということでございます。高速炉サイクルの各分野でどういうことが必要になってくるのか。まず右下の再処理についていきますと、まずはMAを分離するプロセス、これの開発が必要です。MAを含んだMOX燃料の再処理、これがどんな特性を持っていて、どういうプロセスを取るのが良いのか、これに関する情報をまず得ていくというのが重要でございます。燃料製造、これもMAが入ったMOX燃料が作れる。しかも、それは遠隔で製造する必要がございますので、その技術の成立性、それから経済性がどれくらいのインパクトであるのか、そういったところを見ながら、燃料製造上対応可能な燃料組成範囲がどれくらいなのか、こういったものの判断に必要な情報を得ていくということでございます。燃料開発及び照射試験ですが、これはMA含有燃料を実際に高速炉で照射しまして、組成と燃料挙動・性能、あるいは核変換効果、これがどういう関係にあるのかを実際の炉で確認していく。それから炉特性・炉システム。これは先ほども出ましたが、「もんじゅ」の運転を通じました炉心の特性データ、こういったものを取りながら、高速炉を廃棄物減容等に使う場合の成立性のある炉心概念の絞り込みに必要な情報を得ていく。こういった再処理、燃料製造の各分野の結果を基にしまして、全体システムとして技術成立性があるトータルのシステムとしてはどういう概念があるのか、それを絞り込みながら、廃棄物減容・有害度低減効果を確認していく。そのときはどういう燃料組成になるのか、こういったところをだんだん絞り込んでいくことかと思います。
 次のページ、8ページですが、こういった研究開発、必要な情報をどうやって具体的に得ていくか。これは我が国の研究開発基盤、こういったものを考慮に入れながら、研究の進め方の基本的な考え方を示したものが、この8ページの図でございます。燃料製造から再処理まで四つの分野がございまして、それについて大きく三つのフェーズの研究があるかと考えています。一番右が基礎研究でございまして、例えば燃料については、基礎物性の測定とか、データベースを整備してシミュレーションができるようにするとか。それから核的なデータ、これを微分測定、積分測定をやって断面積を充実していく。あるいは再処理については、MAの新抽出プロセスを研究する。こういう基礎研究。それから真ん中にありますシステム概念実現に必要な基盤技術ということで、これはMAの均質サイクル、これに必要な燃料製造技術。これはMAのペレットが作れる技術、遠隔製造ができる技術。それから燃料開発については、基本的な燃料概念はMOX燃料の概念ですが、その燃料組成をどこまでMAの濃度、Puの濃度が上げられるのか。上げたときにどういう影響があるのか。こういったところを基盤技術として確認していく。それから炉心については、MA炉心の特性がMAの量とどういう関係にあるのか。それを評価手法の中で明らかにしていく。それから再処理についてはMAの分離プロセス、それから基本的な溶解・抽出の基盤研究、こういうことをやる。それから特に「もんじゅ」を使いまして、今しかできない研究開発ということでは、「もんじゅ」等を活用した研究開発がございます。これは「もんじゅ」、それから「常陽」を使いまして、実際にMA-MOX燃料を照射して燃料特性を確認していくということでございます。そのための照射試験燃料製造は真ん中の基盤技術で開発されたMAの製造技術、こういうものを反映しながら照射試験燃料を作り、それから設計ももちろん、基盤技術の成果も生かしながら照射試験の設計をして、それで実際に照射をして、「もんじゅ」で運転データを取って、それから照射後試験、再処理試験を行う。大きくはこの三つの基礎研究、基盤技術、それから「もんじゅ」を活用した研究開発、これを並行的にそれからそれぞれ反映させながら、MA均質リサイクルについて技術的な成立性、それからこのシステムでの減容・有害度低減効果についての評価を段階的に行っていく、というのが大きな研究開発の進め方かと思います。2ポツは以上です。

【山名主査】 続いて3番もお願いします。

【安部副部門長】 はい。それでは3番でございまして、今申しました基本的な考え方に従って、当面具体的にどんな研究開発が必要なのかを3ポツでまとめております。これを説明する前に、まずどういうフィールドを使って研究開発するのか、最後のページに利用可能な施設を少し整理しております。最後のページ、34ページを御覧いただきたいと思います。今回は「もんじゅ」等を使いまして、実際にMA燃料を高速炉であぶって、特性をいろいろ確認していくという、照射に関連する研究開発というのが一つ大きな柱でございますので、それを行う「もんじゅ」と「常陽」がございます。それから照射試験燃料は左側に書きました東海のPu施設、プルトニウム燃料第1開発室、第3開発室、こちらの方で照射燃料を製造してまいります。それから、一部のAmの高いものについては右側のAGF、こちらでも照射試験燃料を作って、これは「常陽」の方に供給いたします。それから「もんじゅ」、「常陽」で照射されました燃料については、大洗の燃材施設の方に持ち込みまして、こちらで照射後試験を行ってまいります。まずはFMF、こちらで集合体のデータ、解体を行いまして、一部の破壊試験、それからその他の破壊試験につきましてはAGFで、材料関係についてはMMFで、照射後データを取ってまいります。それから一部の照射試料は、CPFの方に運びまして、こちらでMA燃料の再処理試験を行います。以上が照射を中心とした研究開発ですけれども、先ほど基盤技術ということで、遠隔製造やMAの分離プロセスの開発もやりますと申しましたが、それはこれの各施設の中で、基盤技術開発あるいは基礎研究ということで書いております。例えばCPFについて言いますと、照射試験で再処理試験はやりますが、基盤技術開発としてはMAの分離プロセスの試験、溶解・抽出の基礎試験、MAの回収試験、こういったものを基盤技術開発としてやってまいりますし、この分離、抽出に関してはNUCEF-BECKEY、こちらでより基礎的な新しい抽出剤の開発とか、こういったものも行われておりますので、新しい抽出剤をCPFにも持って行きまして、よりスケールの大きな試験をやる。こういったところも基盤技術開発として、これらの施設を使ってやってまいります。その他にも左下にありますプルトニウム転換技術開発施設、ここは遠隔製造に適した簡素化法のプロセス開発をやっておりますし、その他Pu燃料施設でもいろいろな基盤の技術開発をやっています。ということで、こういった施設を使いながら、研究開発を進めていくというのを前提として、研究開発計画を作っております。
 9ページに戻りまして、これは四つの分野ごとに研究開発の必要性、進め方、それから実際にどういうことができるのかを整理いたしました。9ページからは燃料製造技術開発でして、実績が左側にありますが、Pu30%Am2%までのMOXの燃料製造技術は確立しております。ただしこれはグローブボックスに収納された自動運転、直接保守の製造技術です。このMA均質リサイクルに必要なものは、燃料組成の範囲を広げるということと、製造概念としては基本的にはセルでの遠隔製造、これがターゲットとなってまいります。したがって、現状技術から開発すべきものとして、一つはMA等の組成の範囲の拡大、もう一つは製造の遠隔化になりまして、それぞれ必要な技術開発等を進めていくということになり、その基礎を支える基礎研究もございますし、基盤技術の結果は照射試験燃料製造に反映していく。それから星印で書きましたのは、まだ今後調整していく可能性があるものも含めまして、国際協力でやっていける可能性があるものについては星印を付けております。
 10ページですが、これは燃料製造についての研究開発の進め方でございます。基礎研究については、一番右側のPu燃料第1開発室で、物性データ等いろいろ取っておりますので、これを真ん中の基盤技術、製造プロセス技術開発や簡素化ペレット法開発、こういったものに反映していく。更に、Pu転換技術開発施設、Pu燃料第1開発室、Pu燃料第3開発室、こういったところでこの基盤技術の具体的な試験も行ってまいりまして、その結果も踏まえて、一番下にございますが、幾つかの評価に反映するような情報を得ていく。一つは5年後目途に現在の製造システムを高度化して、どこまでMA燃料の製造に対応できるのか。それから遠隔に対応したプロセスとして簡素化ペレット法がありますが、5年でそのプロセスとしてのシステム概念を固めて10年後にはこの簡素化ペレット法でMAを作るとどんなシステムになるのか。これに必要な情報を出していくということです。
 11ページからがこの製造技術開発の各開発項目の具体的な内容でございます。11ページはMOXペレット技術に今度MAが入ったらどうなるのか、その製造プロセス技術を開発するというのが(1)。それからMAには発熱率が高くなりますので、その発熱を抑える技術が(2)。線量も高くなってまいりまして自動化製造設備の検出器等が放射線劣化でやられますので、それに対する対応策が(3)。(4)はちょっと毛色が異なっておりますが、MOX加工施設で原料に使えなくなる、いわゆるスクラップというものがたまってくることがございますので、これを有効にリサイクルする技術、これを(4)ということで開発すべきであろうと思っております。
 12ページには簡素化ペレット法。これは粉末を取り扱うプロセスをほとんど削除するプロセスで、遠隔製造には必須のプロセスだと思っております。これを実現するためには(1)原料粉末調整技術、(2)ダイ潤滑成型技術、(3)焼結・O/M調整技術、これが必要ですので、この技術開発を進めていくということが必要かと思います。
 13ページは遠隔製造のための設備技術の開発でございます。最終的なゴールはセル内に設備を入れまして、完全遠隔製造がターゲットになってまいりますが、現時点ではまだそれに適応します簡素化ペレット法というプロセス技術自体が、まだ固まっておりませんし、そういう意味では、今の時点でセル設備の検討をするというのが、時期尚早と考えられます。ここでは現在のグローブボックスの中の自動化設備、これの自動化設備の信頼性を上げるとか、保守性を上げるということで、現行のプロセスでどこまでMA対応ができるのかという開発をするということでございます。
 14ページからが燃料開発及び照射試験になります。まず現在の実績と技術ですが、MOX燃料については、「常陽」「もんじゅ」で照射、装荷の実績がございますし、「常陽」、海外照射でのMOXの照射実績もかなりございます。MA-MOX燃料については「常陽」、フェニックス、アメリカ等での照射試験が数は限られていますが、幾つかございます。一番右の概念実現に必要な技術として、まずMOX技術についてはかなり固まっておりますが、「もんじゅ」で実規模のMOX燃料を実際に使用いたしまして、MOX燃料技術として設計手法も含めて整備する。これは「もんじゅ」の成果のとりまとめの結果を踏まえて、MOXの技術を完成するというのがあります。次にこの完成した技術の燃料組成、これをPu40%、MA5%まで組成範囲を広げていくという開発がございます。これについてはMAの照射試験、「もんじゅ」「常陽」でいろいろ行ってまいりますので、その結果を踏まえて設計手法を組成の広い範囲まで拡大するということでございます。燃料の性能向上という意味では、長寿命被覆管の開発ですとか、非均質照射のためのターゲットの開発とか、こういうようなものを並行してやっていく。
 15ページですが、これは研究開発の進め方でございます。燃料開発に関する基礎物性研究はプルトニウム燃料第1開発室、大洗のAGFで行っております。ここでいろんな基礎物性、プルトニウム燃料第1開発室では新燃料を、AGFでは燃焼燃料の物性を測ってまいります。そういった結果を真ん中の基盤技術、特に燃料挙動評価・設計手法開発に反映してまいります。それから一番左の「もんじゅ」、ここで照射試験、「常陽」でも照射試験をやってまいりまして、その結果の燃料挙動評価・設計手法を、この真ん中の基盤技術に反映して、MA燃料まで拡張した範囲についての燃料の設計手法を確立していく。あわせて、一番左の「もんじゅ」「常陽」の照射試験の結果から、実際に実炉であぶった燃料から健全性、性能等を確認していく。その結果、最初の5年くらいで、まず短期照射の結果が出てまいりますので、短期についての燃料の特性把握をしてまいりまして、10年後ぐらいには長期照射のデータが利用できますので、燃焼が進んだ燃料を含めた燃焼特性を確認し、その上で廃棄物減容に向けた燃料像の具体化を図っていくということでございます。
 16ページはその中の照射試験の実施項目。「もんじゅ」で行う照射試験として、M1からM4、「常陽」で行う試験としてJ1からJ4を書いてありまして、それぞれの試験の目的、概要を書いております。基本的に「もんじゅ」については、実規模の長尺の燃料で定常照射条件でのデータを取っていきます。「常陽」については短尺、それからいろんなパラメータ、いろんな燃料仕様の燃料ピンの比較をしながら照射をしたり、照射条件も非常に短期間で高出力とか、いろんな条件で照射をする。「もんじゅ」の照射と「常陽」の照射を組み合わせて必要なデータを取っていくということです。
 17ページですが、これも照射試験がこれまで採られました照射試験のデータとどのような関係にあるのか。これは第3回の資料で御説明しましたが、従来の試験で得られていますデータの範囲はオレンジのバンドでございます。それでは足りないグレーの領域の部分、ここの部分を中心として「常陽」、「もんじゅ」でデータを取っていきます。
 18ページですが、これは燃料開発の中で、照射後試験は具体的にどのようにやっていくのかを示しております。先ほど御説明した照射後試験ではFMF、AGF、MMFという三つの照射後試験施設を使ってまいります。まず「もんじゅ」で照射されました照射試験燃料は、FMFに持ち込みまして、集合体としての非破壊試験をいろいろ行いまして、その後、集合体を解体してピンの切断をいたします。切断した試料はAGF、MMF、それから再処理試験のため、CPFに移送しますと共に、このFMFの中にも別のセルがございまして、そこでいろんな破壊試験をやっております。右側には幾つかデータの例をお示ししております。上の方、これは「常陽」のドライバー燃料についてX線のCTを撮ったものでございます。X線CTは集合体を解体せずに集合体全体の挙動、それからピンの挙動、少し解像度は落ちますがペレットの中の挙動、こういったものを一度にデータとして得ることができます。特に「もんじゅ」の場合には実規模の集合体照射を行ってまいりますので、その「もんじゅ」の実規模照射をこういう形でX線CTで集合体全体のデータを得ていくというのは非常に重要かと思います。この後解体をして、破壊して、試験をやっていきますが、そのときにどこの部分でどういうふうに試験をやったらいいのか、試験計画を立てる上でも、X線CTで全体像をまず把握するというのは非常に重要かと思います。右側の下の方にございますのは、非常にローカルなEPMA分析でございます。特にMA含有燃料については、例えばAmが照射中にペレットの径方向にどういうふうに移動していくのか、その程度がどれくらいになるのかが非常に興味のあるところでございまして、この18ページの中ほどにウラン、Pu、Amの面分析の結果がございますが、このAmの結果でも赤いところが濃度の濃いところでございまして、ペレットの中心に穴が開いています、中心空孔と言いますが、その周りにAmが集まってきているというのが分かります。それがどの程度なのかは、その下の線分析の結果で分かります。こういったデータをMAの濃度、Puの富化度等の燃料の組成ですとか照射条件等、いろんな条件を変えながら、この分布等を調べていくということでございます。
 19ページですが、これはこういう照射データを使って、どういう挙動評価をしていくかということでございます。大きく三つございます。まず1点目はMAの含有MOX、あるいは高Pu富化度のMOX燃料、これの定常照射の照射挙動を把握、確認していくというのが(1)です。(2)は同じ燃料の溶融限界線出力、これは非常に高い線出力で照射をしてどれくらいで溶けるのか、これを実際に実験的に確認していく。(3)高次化Puを使ったMOX燃料の照射挙動の把握でございます。「もんじゅ」では「ふげん」のMOX燃料から回収されたPuを「もんじゅ」で照射してこういった挙動把握に使おうと考えております。フランスの方からは、フランスのプルサーマルから回収されたPuを使った燃料を日本に持って来て照射をしたい、というような意向も示されています。
 20ページですが、これは燃料開発及び照射試験の基礎研究、基盤技術開発でございます。一つは燃料の物性研究でございまして、右上にAmを含んだMOX燃料の融点の結果がございます。Pu濃度、Am濃度をパラメータとして融点を系統的に測っております。この新燃料の融点測定については、更に範囲を広げて今後も測定をしていきます。今後「もんじゅ」「常陽」の照射試験の試料を使いまして照射後、融点がどうなるのか、こういったものをAGFで測定していきます。(2)燃料性能向上のための長寿命の被覆管材料開発、(3)FPターゲット、(4)挙動評価でございます。
 21ページです。今度は炉特性・炉システムでございます。これについては、基本的にはMOX炉心についてはある程度技術としては確立しておりますが、「もんじゅ」で性能試験、運転データを取りまして、この成果のとりまとめの結果を踏まえて、MOX炉心としての技術を完成する。それを前提として、これにMAの効果をプラスしてMA含有MOX炉心の炉心特性を確認していく。核変換がどれだけ起きたのか、積分検証を行っていくということでございます。それから、併せましてこのNa冷却で廃棄物減容のための発電プラントを使っていくということでは、「もんじゅ」の性能試験のデータでNaプラントしての運転が蓄積されますので、廃棄物減容にNa冷却プラントを使っていくということではプラント側の技術として一つ技術が確立することになると思います。
 22ページが研究開発の進め方でございます。基礎研究は核データの微分、積分測定。これはJ-PARCとか「常陽」等を使ってやる。一番左の「もんじゅ」の炉心特性のデータ、こういったデータを使って真ん中の特性評価、それから炉心概念検討をやり、MA燃焼に適した炉心・Pu燃焼に適した炉心、こういった炉心概念の検討をやるということでございます。
 23ページ。これは実施項目でこれは割愛いたします。
 24ページ。これは再処理技術開発です。現状はMOXの再処理試験が少し行われている。MA分離プロセスについては、まだ開発途上で、いろんな抽出剤のプロセスについてデータをまだ取っている途中でございます。今後はMAの入ったMOX燃料の再処理試験をやりまして、従来のMOXの再処理試験とどう違うのか、この辺を明らかにするのと、MA分離プロセスについては、更に開発のためのデータを取りまして、最終的には今抽出クロマトグラフィー、溶媒抽出、この二つを念頭に置いておりますが、これらを比較してどちらがより適しているのか、こういったところを絞り込んでいくということでございます。
 25ページが再処理に関する研究の進め方です。基礎研究はNUCEFの新抽出剤研究、こういったものを反映していきまして、真ん中の基盤技術ではCPFを使っていろいろ抽出のデータ等を取ってまいります。「もんじゅ」「常陽」の再処理試験の結果は再処理試験をやり、MAの効果等を見ていきます。
 26ページが再処理技術のプロセス技術の開発でございます。具体的には吸着剤の最適化。それについてのMAの回収試験、その結果を踏まえてフローシートの形で作っていくといったところの開発でございます。
 27ページは再処理の基盤技術、再処理試験でございます。これについては、一つはCPFで再処理試験をやりながらデータを取っていくのと、(2)で核変換特性、実際に「常陽」「もんじゅ」であぶった照射後試料の細かい分析を行います。大洗のAGFでは微小サンプルについての詳細な分析、CPFではピン1本単位でマクロな分析をやり、具体的にMAがどれだけ減っていくのか、そういったところの分析をしていく核変換特性の確認をしていきます。
 以上が研究開発の内容でございます。あと、参考資料がございますが、一旦ここで切らせていただきます。

【山名主査】 それでは、この件について御議論をお願いします。いかがでしょうか。黒崎委員。

【黒崎委員】 私、燃料材料が専門なので、その視点から出されている研究課題が、必要不可欠なものかどうかを見てきたのですが。一応見た感じでは、必要不可欠なものが並んでいるのかと思います。ただそれで本当に十分なのかというところで考えたときに、もう少し付け加えて良いものがあるのではないかと思います。それは例えば、最初の方でモードの話があり、三つのモードということで説明いただきましたが、その最初の二つのモードと三つ目のモードは結構考え方も違うし、対象とする燃料材料も随分変わってくるのかと考えています。例えば、今日の話では酸化物燃料の話がメインで、そこから先の話は全く出てこなかったのですが、3番目のPu燃焼モードということを考えると、別に酸化物でなくてもいろんな燃料形態がある。そういった燃料形態にというのがあれば、もちろん炉心の特性とか再処理の方法も全て変わってくるということで。そういったところも付け加えてもいいのではないか。例えばもっと基礎研究のところで、将来に可能性を残す選択肢を広げておくという意味で、そういった酸化物にとらわれず、違う燃料形態を選択肢として残しておけば良いのかなと思いました。ただもちろん、「もんじゅ」という話になると、酸化物になってしまうのですが、8ページのここの資料を見ると基礎研究、黄色があって、ブルーがあって、ピンクがあるという感じになっていたので、もちろんピンクのところは「もんじゅ」でなくてはできない研究なので、ある程度限定されるのですが、黄色のところについては、もう少し幅を広げておくというのが良いのではないかと思った次第です。

【山名主査】 これについてはいかがでしょう。

【安部副部門長】 はい、これはこの8ページの基礎研究をどこの範囲まで、この資料に書きこむか、という一つ資料を作っていくときの悩んだ部分でございます。おっしゃるように基礎研究でもっと幅広いいろんな可能性について、実際には研究進めていく必要がありますが、この資料の中では基本的には高速炉の均質サイクルをターゲットとして、それに比較的直接反映可能なものを、この基礎研究の中でピックアップしております。ですからそこは、この資料の位置付けの中で、もう少し幅広い選択肢も含めた基礎研究とか、あるいは均質サイクルに限らず、共通的な基盤、基礎、そういうことを入れますと、もっとおっしゃるようにいろいろ出てまいります。それを今回の資料では対象外としたということでございます。

【黒崎委員】 やっぱり、その、モードの話があって、つまり、そのPu燃焼モードというのは、ここで考えているのは酸化物燃料というのが前提ということで良いですか。そういう話であれば。

【安部副部門長】 はい、どこで線を引くかということなのですけれども。最初のその三つのモードの議論のときに、山口先生からも御指摘を受けたように、基本的には高速炉は柔軟な特性を持っていて、炉心燃料を変えればいろんな使い方ができると、そこの範囲としては、酸化物の均質が基本的な概念になったとして、その範囲の中でということで今回は作りました。

【山名主査】 ほか、いかがでしょう。主に「もんじゅ」側によりながら御議論いただきたいです。山口委員。

【山口委員】 余りに広すぎて、どこからあれして良いか分からないのですが。例えば核データ測定といっても、前に原子力システム公募でしたか、MAの核データを測る研究だけでも相当大変な仕事です。この中で、燃料製造からMA分離からいろいろ並べていかれて、一体どこからどうやって手をつけていくのか、と考え込んでしまうのですが。確かにいろいろな要素技術が必要だというのは分かりますが、廃棄物減容というのはある意味では非常に息の長い話です。例えば安全解析などの分野ではPIRT(Phenomena Identification and Ranking Table)、アメリカでは高速炉開発のギャップアナリシス(必要な技術と現在の技術レベルのギャップ分析)をやっています。こういった要素の技術として必要なものを列挙していく作業に加えて、1ポツや2ポツで出されたシステムのコンセプトを実現するための現状技術と必要なターゲット技術とのギャップであるとか、あるいは個々の技術を実現するために必要な技術のプライオリティを付けたランキング表(PIRT)のようなもの作って、今現実にある施設、試験技術などそういうもので充足性が満足されているか、など体系的に見ていく。そういうようなアプローチも含めてやっていただく方が良いのではないかと思います。そうしないと、これ多分、最後のページでいろいろ施設のお話をされたのですが、ここにある要素技術を開発しようと思ったら、例えば先ほどの核データの話にしても施設も多分足りないと思います。照射後試験もそうです。そう考えると、もう少しその辺の整理をいろいろやってみる必要があるのではないかと。その上で減容は数年間という話ではないので、どういうプライオリティで、どういう段階をおってやっていくか、という戦略作りが重要ではないかと思います。それでまず一番優先度が高い、MA分離は優先度が非常に高いと思いますが、あと、MA燃料の製造のところなど、優先度の高いところから着実にやっていくような、そういうアプローチを1回議論してはどうかと思いながら聞いていたのですが。具体的な意見になっていないのですが。

【山名主査】 非常に重要なところで、黒崎委員の指摘もそれに関係していて。これいかがでしょう。機構として。とにかく今、御指摘のように、我々「もんじゅ」の研究計画を立てていますが、大きな高速炉技術の中、大きな地図の中で、「もんじゅ」に関してはここをこうやっていくという、具体的なものが見えてきたような。今日は広い地図です。そこをどう議論していくかということだと思います。機構の方、何か。

【安部副部門長】 技術的に申しまして、一つは今日お示したようなシステム概念を本当に実現、あるいはそれの評価をやるためには、先生がおっしゃりましたように、MA分離プロセスの話とか、照射試験にしましても、もっと量の多いMAを使った実際試験をやらないと得られないデータというのがいろいろございますし、それから核データについても、施設がないがために取れない部分がたくさんある。ですから実現すべき概念があってそれに必要なデータ、それに必要なニーズということで、一つ整理してみるというのもアプローチとしてはあると思いますが。私ども今回与えられた命題は「もんじゅ」でしか取れないデータ、それはやはり照射試験をやろうと思えば燃料サイクルで、試験燃料も作らないといけないし、そのための技術開発もしなくてはいけないので、この資料のアプローチは、「もんじゅ」、それから我々の施設を使って、この5年10年でどういう有益なデータが取れますか、ということでまとめたわけです。確かにニーズ指向で、そちらから整理してみると、ここの部分はないねとか、そういう部分は確かに技術的にはあると思っています。機構としてそこをどう考えるかというところは、今のところ答えは持ち合わせていませんが、ある意味これが長い研究開発ですので、まずは我々ができる範囲で非常に重要なデータを取っていくという意味で、これをお示しして御議論をいただくのはそれなりに意味があるのかと思ってこの資料を作りました。

【山口委員】 元々この分科会でのミッションとして二つあって、それで「もんじゅ」の運転をしっかりしてデータを取り、それで実績を持って、それから高速炉としての実証性といいますか、データをきちんとアーカイブしてあげるというのが一つあって、それがある意味では数年というオーダーの、きちんとそれから動かしていく、達成していかなくてはいけない話です。一方、廃棄物の減容というのは、元々の廃棄物の全体のストーリーとも関係してきますし、やはり息が長い話です。今日お出しになった資料は「もんじゅ」を使って何ができるのかという視点で見れば、確かにこういう資料になるのですが、ただこの中にはいろいろこういった技術を確立するとか、そういうふうな形で書いてありますが、では我々5年間で「もんじゅ」でどこまでやったら確立になるのか、その他にどのようなR&Dがいるのかとか、話になるとなかなか見通せないです。非常にこれが大変な仕事であるというのは分かりますし、必ずしも今ここで議論する枠の中の話だとも限らないのですが、こういった非常に多くの要素が絡んでくるような大きなプロジェクトなどでは、先ほど言いましたようなギャップアナリシスとか、ちょっと体系的にいろいろな課題を整理して、どういうところをきちんとまず手掛けていくかという戦略作りがちょっと見えないと、このように資料でそれぞれ燃料製造、再処理のシステムなどそれぞれの分野でこういう研究課題があります、こういうことを開発しなくてはいけません。この技術を確立しなくてはいけませんと。個々を見ると確かにそのとおりだなと思いますが、それ一遍に同時にみんな動けるわけでも必ずしもないでしょうから、こういう評価、こういう資料作りはこういう資料作りとして、R&Dの必要な要素をきちんとリストアップするという作業が必要と思います。その上でもう一度、最初の1ポツ、2ポツで出されていたシステム概念を実現するために、ここで挙げられた要素を組み合わせていくサクセスパスのようなものとか、そのためのギャップのようなものの分析というのが、別のワークとしてあっても良いのかなと。今日の資料はそういう趣旨で元々あったわけではないですので、今、安部さんがおっしゃったのもそのとおりだと思いますが、これだけをずっとやっていけば廃棄物減容のシナリオが描けるのかなと、もう少し要素が他に要るのではないかなと、そう考えました。

【山名主査】 議論として今の御指摘はもっともで、その議論は、また次回以降にやりましょう。今日はとりあえずここに書かれているものについて、過不足がないかを中心にしたい。山口委員のおっしゃったことは次回、研究戦略としてもう一度議論したいと思います。

【山口委員】 やはり、ちょっと大物なので、施設のところが気になるのですけれども。先ほどの説明で、34ページの施設でこういうものを組み合わせて足りるかのように思えたのですが、その辺のこういう施設とかの今後必要なものとか、その辺りを教えていただけますか。これで必要十分なのか、あるいは根本的にどこか欠けている部分があるのかというところをお願いします。

【山名主査】 安部さんお願いします。

【安部副部門長】 結局、廃棄物減容等のために高速炉を使っていくというのはいろんな、先ほどはモードを3種類御説明しましたが、そのモードの中でも、どれくらいの程度、どれくらいの効果を目指すかによって、またグレードが幾つかございます。例えばMAをリサイクルするというのも、トータルMAをリサイクルするのか、MAだけをリサイクルするのか。今の34ページに書きましたこの施設群は基本的にはキュリウムをやろうということになると、全ての施設が全然足らないのですけれども。まずAmのリサイクルということで考えますと、大体かなりの部分は対応できます。特に施設的に不足しているなと思うのは分離関係。そこの原料がないとその後の試験もできませんので、その辺はこの中では特に不足しているのかなと。核データ関係、これをもう少ししっかり取ろうとしたときの施設という意味では不十分なのかなとは思っています。

【山名主査】 それはまた、今後追加があるということですか。今日出していただけるなら。そういうのがあるなら。

【安部副部門長】 これは先ほどの山口委員の重い宿題と関連して、どこを目指すなら何が必要かという整理だと思います。

【山名主査】 はい、ありがとうございます。どうですか。稲田委員。

【稲田委員】 MAを燃やすシステムを構築していくということで、非常にたくさん課題があって、それを成功させるためにはたくさんやらないといけないというのは分かったのですが、優先順位について議論の必要があると思います。つまり「もんじゅ」は、これから少なくとも何年間かまず動かしてみましょうという段階です。その段階でずっと長く動かせる見通しがあるのかどうか、多少ちょっと疑問なところも現段階ではありますし、時間スケールをもう少し考えて絞り込めるところもないのかなと思います。例えばこれは、私は分からない部分も多いので、誤解もあるかもしれませんが、燃料製造のところで目標が5年程度、10年くらいかかると言うと、やはりこれはちょっと「もんじゅ」の今の運転のスコープとずれている感じもしました。その辺はいかがでしょうか。

【山名主査】 安部さん、いかがですか。

【安部副部門長】 製造技術として最終的な判断を5年後、10年後にやっていくと。それから「もんじゅ」の照射試験に適応していくことについては、決められたタイミングまでに得られた情報を基に「もんじゅ」の照射には反映していくと。そこはやっぱり両にらみでいかざるを得ないと思っています。

【稲田委員】 今申し上げたような観点での、優先順位付けというのもあり得るのではないのかなと思います。

【山名主査】 これもその先ほどの宿題の中に入る話ですね。次回の話に。ありがとうございます。他にいかがですか。村上委員。

【村上委員】 先ほどの方から山口先生の御指摘で、ターゲットによって開発要素をある意味絞り込む、プライオリティをつけたらというお話も、あと、今ある施設で何もかもできるわけではないだろうという御指摘がありましたが、私から、もっとど素人的な感想がありまして。と言いますのも、先々月事務局の方々の御厚意もありまして、東海と大洗のこの燃料材料の関連試験施設を見せていただく機会がございました。実を言うと、見て初めて知ったことがございまして、専門の先生方には笑われますが、これらの試験施設の一つ一つの種類、燃料を切断する設備、燃料物性を試験する設備、あるいは取り扱っていろいろ分断したりなんだりする設備、その設備一つ一つが1種類、1ユニットしかないのです。基本的に。当たり前だと思われるかもしれませんが、見て初めて知りました。東海と大洗と、学生時代から何回も行っていたのに、その事実も知りませんでした。それで初めて分かったのですが、「もんじゅ」で照射した燃料全てをこの東海、大洗の施設で照射後試験をしたり、あるいはいろいろと調べたりするわけではないのです。とてもそのようなキャパシティがあるようには思いませんでした。それでやっと、「もんじゅ」での運転期間4か月に対して8か月もの停止期間があるのかも何となく分かったような気がします。と言いますのも大量に燃やしていると、当然燃料の取り換えごとに何十体も出てくるのですが、とてもじゃないけれど、何十体を全部検査することはできない。そうなりますと、この東海、大洗の施設を使って照射後試験をやったりいろいろ調べたりできる燃料のサンプルの数はとても「もんじゅ」の取り出し燃料全部ではなくて、何分の1かは分かりませんが、恐らくは一部になってしまうと思われます。それで果たして十分と言えるのか。それでちゃんと「もんじゅ」での照射試験を経ていろいろデータが取れて実証ができたと言えるほどに十分な検査後の数、データ、情報が集まるのかと思います。そうなりますと、世の中には、日本ではなくて世界、今回国際協力をする幾つかの国の中や、あるいはその他の国にも、照射後、ホットの照射後試験を持っている国もあるわけですし、そういった諸外国との協力も含めてやはりできることではあるのではないかと思われますので、まずは重要な開発要素の絞り込みと併せて、今後、東海、大洗の施設を使う、存分にそれはもちろんあるものは十分に使うことは当然ですが、それに加えて、もし世界の他の国で使える施設があったら活用するとか、そういうことももし考えられていたら是非検討してはどうかなと思います。

【山名主査】 いかがですか。これについて。

【安部副部門長】 「もんじゅ」で照射した集合体のうち、実際に大洗に持って来て照射後試験をやるのはごくごく一部でございます。ただ技術的に言いますと、それはまず炉の中では細かい試験はやりませんが、例えば、外観上異常はないかとかそういうことについては全数データを取りますし、それからいろいろな設計上、照射挙動上どういう一生涯を送るか大体予想がついておりまして、実際に照射後試験をやるものについては、その予想と合っているのかどうか、かなり細かく比較をしていきまして、それをやってやれば炉心であぶったものもどの範囲におさまってどういう挙動をしているだろうと、ある程度そこは技術的には判断できるというふうには考えています。ただ照射後試験は非常に輸送も含めて実施が大変な作業であります。国際協力をできるだけ使ってその辺の情報を増やしていくのは非常に重要だと思っています。ただ具体的なやり方として、「もんじゅ」の照射後試験燃料をどこかの国に持って行ってやるというよりは、「もんじゅ」のデータは日本でしっかり取って、今度フェニックスのデータはどういうデータだったか、それと情報としていろいろ共通に評価するとか、そういう形でその評価の精度を上げていくというのが現実的な協力の仕方かと思っています。

【山名主査】 よろしいですか。大島委員。

【大島委員】 評価のことが出てきたのですが、目的としていろいろ調査して、いろいろなデータを蓄積していくというのが一つのミッションであると思います。5年10年と非常に長いスパンの中でどこまでやったら、それを良しとするのか、など、本日はそのような目的での資料のまとめ方ではなかったと思います。やはり、どこに向かっているのかというのが見えにくいところがあり、それがもう一つの評価にも関わってくると思います。マイルストーンとして5年10年でクリアしなければならない各項目があると思います。全体を見られたうえで、四つの項目について整理していただき、「もんじゅ」として達成すべき成果が見えるように今後まとめていただければと思います。

【山名主査】 はい、ありがとうございます。永井委員。

【永井委員】 材料の話の質問をさせていただきます。20ページのところでODSがございますが、これは材料の中でかなり多く米国、欧州でも研究されていると思いますが、まだ私の中では、かなり基礎的な研究段階かなと気がしますので、それで「もんじゅ」の中でこれをどこまでやろうとするのか。さっき山口委員からも話があったと思いますが、どこで「もんじゅ」でこういう新しい材料なりなんなりを適用していくか、マイルストーンみたいなある程度もうちょっと明確にしておいた方が、材料に関してもそういう印象がちょっとあります。

【山名主査】 あの、ODSについても、是非、その観点をよろしくお願いします。他いかがでしょうか。笠原委員。

【笠原委員】 短いコメントです。限られた期間の中で、「もんじゅ」で成果を出すということが一つ目的だったと思いますが、MA燃料を今から作って入れるというと、結構時間がかかりそうだと。既に、中に高次化PuやAmなど、この期間に蓄積しているものがあるので、それを利用して何か、この減容について物を言うことが今回余り出てこなかったのですが、スコープになかったのでしょうか。

【安部副部門長】 16ページに照射試験の整理表がございまして、このうちのM1からM4までが「もんじゅ」で行う照射試験。M1というのが既に「もんじゅ」に装荷されているMOX燃料ですが、Amが蓄積しておりまして、2%弱あるということで、この2体の照射後試験をやることによって、まずAmの影響を早い期間に確認する。その後のM2、M3、M4というのは今後作ってくるものです。ただこれもM3についてはできるだけ早く、「もんじゅ」の第2サイクルぐらいには入れてデータを取りたいというふうに思っています。

【笠原委員】 ありがとうございます。次の宿題かもしれませんが、早期に分かりやすい成果を出すというのは優先度が高いのではないかと。

【山名主査】 ほかにないでしょうか。先ほど宿題も出たわけですが、ちょっと今回こうやって広く見せていただいたので、網羅的にこんなものだろうというのは大体納得しますが、「もんじゅ」は原型炉です。原型炉は発電規模の28万kWの大きな炉ですから基礎研究の場ではないわけです。こういう新しい取組というのは、必ず基礎研究、基礎データがあり、それに基づいた設計技術の開発やシミュレーションがあり、それの小規模な実証があり、「もんじゅ」並の大きさになったときに実際に何が起こるか、規模依存で何が起こるか、それまで考えてきた設計上のノウハウがきちんと積分値として確証できるかどうか。安全に動いたかどうか、確証できるかどうか。そういうことを確認していくのは、恐らく「もんじゅ」の役割です。基礎段階から、「常陽」段階から、「もんじゅ」段階からいろんなものが組み合わさって「もんじゅ」が負っている「もんじゅ」規模でこそ押さえられるものがあるはずであって、それができるのが「もんじゅ」で。だから世界でも「もんじゅ」は貴重だと、外国の方が言っておられる。その貴重さを暴き出すのがこの作業部会の役割でございまして。今日は広い地図を見せていただいた。それを受けて、やはりこれは「もんじゅ」を使ってやることがいかに重要であるかということを是非次回に宿題で、もう一度お見せいただきたい。そのとき当然、さっきの国際協力は必ず出てきます。餅は餅屋で得意なところはありますから。ロシア、フランス。ロシアのBN-800でもちろんこういうことはできないし、インドのPFBRもこんなことは考えてはいないわけです。「もんじゅ」とASTRIDだけです。その中で「もんじゅ」はこういう役割を果たせる、その「もんじゅ」の意義をしっかりと我々は認識した上で、研究計画を立てる必要があるということです。そういう意味で、これくらいの規模になったときに大事なことは、まず物質の収支がきちんとこの規模で抑えられるということが恐らくファーストプライオリティです。どういう核種がどれだけ生成して、どれだけ燃えていて、それが核データとどう整合しているという、物質収支、マスフローを抑えるということが基本なのです。我々は「もんじゅ」という機械装置の単体試験をやっているのではないです。クローズドサイクルに持ち込む技術の開発をやっているのですから、その中で物がどう流れるかをこの規模で実証するということです。それからこういうものがこれぐらいの規模で安全にできるかという、安全性を確証するということ。この規模で燃料が作れるか、あるいは再処理できるか、分離できるか。物の流れを担っている部分がこの規模できちんとできるという大きな話です。実験室規模でできても、この規模でできるかという話になるわけです。そういうことを是非次回、宿題のときにもう一度見せていただきたい。そのときに当然御指摘のあったタイムラインの話が必ず入ってくる。「もんじゅ」の時間軸と基礎研究の時間軸、外国のやっている時間軸。時間的なポジションも当然テーマになってくると思います。是非その点をもう一度次回のときに議論していただいて、「もんじゅ」の価値をもう一度暴き出したいという思いです。是非その点よろしくお願いします。この研究内容について、今の時点で言い忘れたことはございますか。多分皆さんまだいっぱい言いたいことはあるのです。ちょっと煙に巻かれた感じがあって、そういう意味ではメールで情報をお寄せいただくこともあってもいいし。ここは大事です。研究の全体像を押さえることは大事で、是非、よろしくお願いします。例えば私は「もんじゅ」を使った結果がシミュレーショナルな設計技術にどう見れば作れるか、がよく見えなくて。そういうところも大事だと思います。是非、皆様方の御意見があったらどんどん寄せていただきたいと思います。次回の宿題までにそれが集まると良いと思います。
 で、あの、もう終わりが近づいているのですけれども、ちょっと議論が伯仲してしまって、今日一つ国際協力の議題を佐賀山さんにお願いしようと思ったのですが、次回送りにさせていただいてよろしいですか。宿題とも関係するので、是非そのようにお願いします。
 それでは次に先日「もんじゅ」を活用した国際共同研究に関する国際ワークショップというものが開催されました。委員の方々、何人かにはお参加いただきました。近藤室長補佐の方から、このワークショップについての報告をお願いしたいと思います。

【近藤核燃料サイクル室長補佐】 はい、それでは資料2-1に基づきまして、簡単に御報告させていただきます。このワークショップ自体の位置付けは、この作業部会の中間的な論点の取りまとめにおいて「国際協力については、具体的な協力案件の検討を今後行っていくことが必要」とされておりましたので、このようなワークショップを開催して、各国からのニーズ、「もんじゅ」に対する期待というものを把握するために開催いたしました。文部科学省と原子力機構、共同主催ということで開催いたしまして、文科省は藤木文部科学審議官、原子力機構は辻倉副理事長を議長として主催いたしました。参加者については、後ろの2ページに列挙されておりまして、各国から所長、本部長クラスの方が参加していただいています。本作業部会におかれましても、北田先生、黒崎先生、村上先生、山口先生に御参加いただきました。全体アジェンダについても後ろの方の資料についておりますが、午前中にまず各国から日本を含めてそれぞれの国の高速炉開発プロジェクトや「もんじゅ」を用いた共同研究可能性についてプレゼンいただきました。その後、午後にはそれらの結果を踏まえて、山口先生に司会を務めていただき、パネルディスカッションを行いまして、その結果を本資料の2ページ目にまとめております。黒ポツで六つにまとめておりますが、まず、幾つかの国で高速炉の新設を計画している。特に、インドやロシアは、ここ数年のうちに運転開始を目指したような高速炉開発計画を立てている。その一方で現存するプラントは、ロシアに幾つかある程度で、少ないことから、「もんじゅ」を運転経験共有の場として活用することが非常に重要であることがコンセンサスを得られました。運転経験の共有というのは、事業者間のみならず規制組織との間でも透明性のある意見交換を実施することにより、安全性を高めていくということにつながるのではないか。特に計算コードなどの共有は事業者間と規制組織の間で共有を図ることによって実効性のある規制が構築できるのではないかといった議論がなされました。もう少し具体的な話として下の四つがあります。一つは、IAEAの方からプレゼンがありまして、平成7年の「もんじゅ」の40%出力試験の公開データを用いた解析をIAEA枠組みの基で行ってきたのですが、これが2008年から2012年にかけて行っておりました。それらの成果について報告があり、今後新たに40%出力試験、100%出力試験なりが「もんじゅ」で行われれば、そのデータを活用した新たなプログラムの構築を図られても良いのではないかということで各国からも賛同が得られました。次の二つのポツについては、現在、GIFの方の取組の一つとして安全設計クライテリアが取りまとまりつつあります。「もんじゅ」の再稼働と運転というのは、この具体化なり、実存するプラントとしてのアクシデントマネジメントに貢献するのではないか。さらにはSDCの具体化という意味でSDG、ガイドラインの方の構築を図っていく上でも非常に重要な経験になるのではないかといったことが議論されました。また、Na取扱い技術については、AtheNaなどの関連施設も国際協力の枠組みの下で活用していくことは非常に有用であるということでコンセンサスが得られています。最後は、今日の御議論にもありましたが、廃棄物の減容の可能性は高速炉の特徴の一つであることから、各国、フランスが特にASTRIDの目的の一つとしておりますが、その他のインドや中国などもこれに対して賛同を得て、「もんじゅ」の照射試験について関心があるということで意見交換がなされました。以上です。
【山名主査】 それではですね、5分ほど時間もございますので、参加された4人の先生から簡単なコメント、気になったこと等ありましたらお聞きしようと。やはり村上先生からのフレッシュなところの、何かこの会議に参加されて。

【村上委員】 チェアをされた山口先生ではなく私ですか。

【山名主査】 そうです。山口さんは、とりでお願いします。

【村上委員】 恐らく参加者の中で最新の知見及び専門的な知見から遠かった私から極めてど素人的な感想を申し上げます。私が今回の会議を傍聴させていただいて最も感銘を受けたのは、やはり最後の共同声明、英文和文で出ております。最後の取りまとめ文章のようなものを取りまとめるに当たって、原文をスクリーンで各国からの参加者の方々が見ながら、一言一句英語の文章をここはこうするべきだとか、ここにこれを入れてはどうかとか、意見交換がなされました。発言の背景には、それぞれ各国の代表の方が背負っているものがあるのです。そこら辺が非常に興味深かったです。例えば核データの計算コードの共有という言葉で日本語の方にはまとめておりますが、これがbenchmarking of neutronic and thermal hydraulic codesとなっていたのですが、このbenchmarkingが原文はsharingでした。それがshareではなくてbenchmarkingがいいと、確かロシアの方が御主張されました。あるいは次の安全設計クライテリア、ガイドラインについても各国の方から細かい文言についてコメントが出ておりまして、そのプロセスが各国微妙に思わくが違いながら、しかし何か共通の目標を何とかここで見いだそうとする前向きな姿勢が感じられて、大変面白かったです。素人的感想で失礼しました。

【山名主査】 ありがとうございます。北田委員お願いします。

【北田委員】 参加させていただいて、私の方、あの、各国の方の発言というか、プレゼンの中でお国柄が出ているというのは確かにそうですが、皆さん共通して高速炉の開発をされている方ですので、高速炉としては改めて再確認をしたという感じですが、今回も廃棄物の減容なりの話が出ていますが、一応どの国の方もそのことについては必ず触れられていて、国によっては更にそこに長寿命の核分裂生成物の減容というところまで触れられている。今回ここで「もんじゅ」で減容の話をやっていくわけですが、それは他の国の方から見てもやはりかなり着目されている観点の一つなのだということを再確認させていただきました。

【山名主査】 黒崎委員お願いします。

【黒崎委員】 私、あの、2日目の午前中までということで、途中でパネルディスカッションのときにはいなかったのですが、それぞれの国から来られている方たちというのが、それぞれの機関でそれなりのかなりの地位のある人が来られていまして、それでプレゼンも確実にされていたというのを見て。それと見学もその方たちとしたのですが、つまり何が言いたいかというと、「もんじゅ」に対する期待というのがそれぞれの国で非常に大きいのかなというのをひしひしと感じました。パネルディスカッションを聞けたら良かったのですが、その辺もっと分かるかなと思ったのですが。見学やそれぞれのプレゼンを聞いているだけでも、そういうものが伝わってきて、非常に期待されているのかなというのが分かり、よかったと思います。

【山名主査】 それでは、山口委員。

【山口委員】 もう、皆さんおっしゃっていただいたとおりなのですが、ああいう場でいろいろ議論、それぞれ違う考えがあったのですが、ああいう場で率直にいろいろ意見交換できたのはそれなりに非常によかったなと思います。今近藤さんからの御報告の中にもIAEAの活動がありましたが、IAEAはCRPというコーディネティドリサーチプログラムという、これまでコードの検証みたいな話をやっていたのですが、もうちょっと広い枠に広げたいというようなことでした。今はナトリウムの物性評価そういうのをやろうとしている。しかし実際にはもうちょっとソフト的な話とかアクシデントマネジメント的な話とか、もし「もんじゅ」が動いたらそういういろいろなプラントの運用に基づくようなものも出てきて、そういう考え方を議論するのもCRPの一つの今後の方向性だとおっしゃっていました。そのあたり是非、日本も提言できたら良いと思います。あとは、それぞれの国にいろいろな意見がありましたが、フランスは特に100-30-5でしたか、廃棄物の量が軽水炉サイクルでは100が30になり、クローズドサイクルに持って行くと5になる。それだけ廃棄物が減容するということです。今日こちらの資料では1/7と書いてあったので、その辺の数字が若干違うのはありますが、この廃棄物の減容は特にフランスは日本と同じように非常に強い関心を持っているポイントであるので。それで先ほどもう少しビッグピクチャー、全体の絵が日本にも欲しいな。R&Dを並べるだけではなくて。というふうにそのときにも思いました。その他はいろいろなお国柄で、中国は中国で次の大型炉、実証炉をどうするのかをいろいろ悩んでいるようですし、ロシアは安全性の議論のときはいろいろと注文を言っていて、SDC(安全設計クライテリア)のときにいろいろなコメントをしていました。それなりに率直に意見交換ができて良い場だったなと思います。最後はうまくコミュニケでまとめることができましたし、非常に良いアウトプットだったと思います。是非これからその辺を早く実現できるような「もんじゅ」の側での準備が着々と進めていただくことがああいう場にきちんと応えることになると思いますし、非常に私自身も勉強になったと思いました。

【山名主査】 はい。大変有効な会議であったようです。こうして手元のファイルを見て、インドのページを眺めていたのですが、インドは進んでいますね。

【山口委員】 インドはそうですね。あの、一言で言うと猪突猛進(ちょとつもうしん)、インドは。あと言っていたのは人的資源の話。人材をどう確保するか。インドは非常にアグレッシブな計画を持っていますので、これからの人材の話をしていました。実際ああいう場に出てくる人は何十年間も同じ人が出てきています。その分非常にアクティブで。また実験装置も小さなものからたくさん作って、いろんなデータを取り、非常にプラクティカルな活動をしっかりやっているなと感じました。

【山名主査】 はい。ありがとうございます。まあ、やはり「もんじゅ」の研究計画は国際協力の中でしっかり考えていく必要があるということがよく分かりました。それでは先ほど申しましたように国際協力、今の話ですが、次回に送らせていただきます。佐賀山さん、申し訳ございませんが、次回よろしくお願いいたします。それでは室長、何か事務局の方から。

【西條核燃料サイクル室長】 はい。それでは、どうもありがとうございました。本日頂いた御意見を踏まえ、また主査の方からお話がありましたが、追加でコメント等あれば事務局の方までよろしくお願いいたします。これらを踏まえまして、必要に応じて事務局の方から御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また今回会議の議事録案につきましても、出来次第メールにて御相談させていただきます。以上でございます。

【山名主査】 それでは、以上で第8回もんじゅ研究計画作業部会を終了いたします。ありがとうございました。

 

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