原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第7回) 議事録

1.日時

平成25年3月29日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館16階1会議室

3.出席者

委員

山名主査、稲田委員、笠原委員、北田委員、村上委員、山口委員

文部科学省

藤木文部科学審議官、田中総括審議官、戸谷研究開発局長、大竹研究開発局審議官、生川原子力課長、西條核燃料サイクル室長

オブザーバー

廣井日本原子力研究開発機構理事、弟子丸日本原子力研究開発機構高速増殖炉研究開発センター所長代理、中井日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発部門FBR安全ユニット長

4.議事録

【山名主査】皆さま、定刻となりましたので、ただいまから、第7回もんじゅ研究計画作業部会を開始いたします。本日は年度の最終日ですが、御多忙中にかかわらず、御出席いただき、まことにありがとうございます。報道中継がなければ、これより議事に入ります。今日の議題は、お手元の議事次第に書かれておりますが、もんじゅの研究計画、テクニカルなディスカッションとなりますが、まず、事務局から、出欠と配布資料の確認をお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】はい、おはようございます。本日は大島先生、黒崎先生、永井先生の3名が所用により御欠席との連絡を頂いておりますが、その他の委員の先生方には御出席いただいております。本日は9人中6名の委員の先生方の出席していただいており、定足数である過半数を満たしております。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料、まず資料の1-1といたしまして「もんじゅ研究開発について」、それから資料の1-2といたしまして「もんじゅ研究開発研究課題個別実施概要」、資料1-3といたしまして「安全関連研究に係る全体像について」、これは1月22日の第6回の宿題事項となっております。それから資料2-1から2-4までは、「「もんじゅ」における保安管理上の不備について」で、資料2-2は文部科学省、2-3は原子力規制庁、2-4は日本原子力研究開発機構の資料となっております。以上が配付資料となっております。
 それから、いつものとおり、ファイルに入れて前回まで過去開催の資料を全て揃えておりますので、そちらの方も議論の際の参考にしていただければと思います。
 資料の欠落等ありましたら、事務局までお知らせください。また、議事の途中でもお気付きの点がございましたら、遠慮せずお申し付けください。
 また、メールにてもお知らせしておりますが、本日は一般の傍聴者の方から、会合の模様を収録して、ユーストリームを使って配信したいとの御相談がありましたので、「もんじゅ」研究計画作業部会公開の手続に基づきまして、会議の妨げにならないことを条件に、固定カメラで録画を許可しておりますので、御了承ください。
 以上でございます。

【山名主査】 それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。
 本日の議題は、「もんじゅ」等の研究計画の策定について、でございます。前回までに、「中間的な論点の取りまとめ」をまとめてまいったわけですが、今後は、この中でひき続き必要な課題の検討を個別に行った、この夏をめどに、研究計画としてまとめる仕事を我々、請け負っております。既に、3×3マトリクスという形で、「もんじゅ」の重要度について議論を重ねてきたわけですが、個々の技術課題について、詳細な検討を行いたいと思っております。今日は、正に、技術論ということで、それぞれの研究課題について、技術的な視点から、徹底して御意見を頂戴したいとの趣旨で、今日の議題を設定しております。まず、原子力研究開発機構から、資料の1-1から1-3まで詳しく書いた資料が用意されておりますので、説明を聞いて質疑を行いたいと思います。注目していただくポイントとしましては、それぞれの専門的な知見から、優先度が適切か、技術的な内容として妥当か、抜けがないか、取得すべきデータや成果目標の達成時期が適切かというところについて、率直な御意見を頂くということで考えております。ただ、今日は内容が豊富ですので、全部一括して聞くのではなくて、個別の項目について聞いて、そこでディスカッションして、更に次の項目に進むという分割型で議論を進めたいと思います。是非、御協力をお願いしたいと思います。では、機構の方から最初のテーマについての説明をお願いします。

【弟子丸センター長代理】原子力機構の弟子丸でございます。資料1-1と1-2を用意させていただきました。1-1の1ページを御覧ください。今日の報告について概括的に書いてございます。中間的な論点の取りまとめということで、矢印の下に書いてございますように、「「もんじゅ」の性能試験及びその後の運転を通じて得られるデータ等から、重要度・優先度の高い個別技術項目ごとに、高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認に必要なデータ等を洗い出し、得るべき成果から、研究計画(内容、期間)を具体化する」とあります。2ページ目は、中間的な論点の取りまとめで、御議論いただきました、3×3マトリクスを示してあります。加えて、脚注にありますように、「廃棄物減容・有害度低減に資する研究項目のうち、「もんじゅ」を利用して行う項目」を追加しております。特に3×3マトリクスのうち、A1 A2 B1 B2ということで、特に、高速炉増殖炉開発において鍵となる技術、重要または補強となる技術のうち、「もんじゅ」でなければ開発できない技術、「もんじゅ」で開発することが合理的な技術ということで、個々に御説明をさせていただきます。まずは炉心・燃料技術ということで3ページ目を御覧ください。その前に「前提条件」ということでこれは第2回作業部会等で御説明させていただきましたが、何点か設定いたしました前提条件がございます。一つは運転パターンでありまして十分な保全を行いながら、故障の克服とその経験を蓄積するということを考え、本格運転以降については4か月の運転に加え、8か月程度の点検を行う運転パターンを想定しています。成果の達成時期の検討に際して考慮した事項として二つあります。一つは炉心の構成です。性能試験のときの初装荷炉心、それに加え初期炉心ということで、「もんじゅ」は比較的燃焼度が低い燃料から、順次経験を積み重ねながら、高い燃焼度まで燃焼経験を積むことにしています。初期炉心は初装荷炉心、性能試験時の炉心から順次移行していき、1/4ずつの交換で行っていきます。5サイクルで全ての燃料を取り換えます。全ての燃料が5万程度の取り出し平均燃焼度を有する燃焼度になり、その後、平衡炉心になります。これを数回繰り返すことで、同じような特性が出てくるかどうかを確認することが平衡炉心です。その後、より高い燃焼度に移行します。その場合1/5の交換で高い燃焼度までもっていき、同じように燃焼を確認します。4ステップの炉心構成を考えています。各々で成果が出てきます。設備面でみますと、設備の信頼性、故障の発生段階、経年特性を考えています。第2回に故障の経験をこれまでの公開データ等を示しています。試運転段階で調整を行い、それ以降5年程度の初期故障フェーズを想定しています。それ以降10年程度のランダム故障ということで、その後、経年的な故障フェーズを想定するという形で、機能、特性があるのではないかと想定して、設備データを取っていくようにしています。
 4ページ、5ページの炉心・燃料技術です。併せまして、資料1-2の2ページ目の図を使い説明します。資料1-1の本文、資料1-2を割愛して説明します。本文4ページ目を御覧ください。□(四角)のところは概略的にどんなことを行うのかを書いてあります。「もんじゅ」の特徴も書いてあります。Am含有量が多く、軽水炉由来の高次化したプルトニウム組成を有するという特徴を持っています。このような炉心の特性を確認し、実機データに基づいた炉心設計手法や炉心管理技術の確立を行います。合わせて「もんじゅ」の炉心燃料について、照射後試験ということで大洗に持って行き、解体し、照射後試験を行い、実規模燃料の照射挙動を確認します。炉心燃料技術については、廃棄物減容・有害度低減を目指した研究開発の一環として、「もんじゅ」で高次化Pu-MOX燃料やMA含有燃料の照射試験を実施します。
 具体的には本文4ページに、1)必要なデータ、成果を書いています。高次Pu組成及びAm含有量の多い炉心特性を計測し、データを得ると同時に、高速増殖炉心の熱流動特性を得ていきます。それを基にして高次化Pu/Am含有炉心の炉心設計手法を確立したり、特にPu-241は半減期が約14年と短いので、反応度管理が難しくなります。実機の運用によりその反応度管理の技術を確立するということで、発電プラントとしての炉心管理技術を確立することにしています。
 具体的には資料1-2の2ページ目の図があります。零出力特性、特に炉物理試験、出力特性試験では燃料の温度が変わった状態での特性が得られます。右に測定値が書いてあります。臨界性、制御棒価値、反応率分布、温度係数、出力特性などが、運転することにより得られます。このようなデータは臨界実験装置では得られません。右に比較があります。このような状態を解析で模擬し、解析値、設計値の比較をし、設計が妥当なものかどうか、より合理化できるかどうか、効率化できるかどうかという観点の見直しを行います。
 資料1-2の3ページに全体の工程、どの時期にどのようなものが得られるかを、提案として、こう表しています。上が「もんじゅ」の工程案です。性能試験ということで、40%出力試験を行い、燃料交換、出力上昇試験を行い100%に持っていきます。それ以降は本格運転です。定期点検8か月、運転4か月のサイクルを繰り返します。こういう想定をしています。その下に得られるデータが書いてあります。性能試験で得られるデータに基づき、性能試験の結果を反映し、検証・高度化をすることが、およそ第2サイクルまで、時間的にかかります。2では炉心特性の評価でデータを取得し、運転データ評価・解析を行い、同じような形の特性評価をします。これを繰り返していくということと、期待される研究開発成果が下に書いてあります。3サイクルぐらいまでには性能試験取得データ評価結果、並びに4サイクルぐらいまでには管理手法の検証、高度化結果等詳細な手法の検証が成果として得られると考えています。右上に国際協力の可能性ありと書いてありますが、Am含有炉心は世界にありませんので、こういうデータを使い、各国から評価をしてもらうことも可能かと考えています。
 資料1-1の4ページに戻ります。5サイクルくらいの運転で初期炉心での確立、8サイクルで平衡炉心での確立ができます。
 資料1-1の5ページ目はA-2技術と書いてありますが、実用規模の燃料等の設計技術で資料1-2では4から7ページになります。具体的には実用規模の燃料といっても「もんじゅ」炉心の中にAmのたまった燃料を入れ、高速増殖炉実規模燃料の照射挙動、及び健全性実績を得ます。詳細なデータが必要なので、照射後試験を通じて資料1-1の5ページにはそういう形で記載しています。本文、3)廃棄物減容・有害度低減を目指した「もんじゅ」照射試験、高次化Pu-MOX燃料は資料1-2、6ページに少し詳細に書いてあります。第3回、第4回に説明した内容です。これまでどの程度のデータが取れ、「もんじゅ」を使ってどの程度のデータを取るかを説明したのが、6ページの上図です。比較的燃焼度の高いものと実規模燃料のデータが、データ数が少ないということで、□(四角)で囲ったところが目指すデータになります。資料1-1と資料1-2の図の中にM2、M3とあります。M2は高次化Pu-MOX燃料の照射挙動確認、He効果の確認で、ふげんMOX燃料から回収された高次化Puを原料としたMOX燃料を作り照射することです。M3はMA含有ということで、Amなどを含むMOX燃料ピンを作り照射します。
 スケジュールとしましては、資料1-2の7ページ。性能試験期間中にいろいろな手続きを行い、許認可の時期にもよりますが、第2サイクルから照射したいと考えています。照射をし、データを取って、第5サイクル程度まで燃やすと50,000程度の高次化したMOXのデータが得られ、それを照射後試験して得られます。5サイクルから9サイクルの間にこのようなデータが得られます。これもデータは数少ないので国際協力の可能性があると考えています。以上です。

【山名主査】ありがとうございます。それではディスカッションです。10分程度で各項目をディスカッションいたします。径方向ブランケットのサイクルの考え方を確認したいのですが。

【弟子丸センター長代理】径方向ブランケットは設計燃焼度が7,000くらいです。その制限があるので炉心は1/4ずつ交換ですが、およそ1/5ずつ変えていきます。運用は今後検討していきますが、設計では1/5ずつ交換することになっています。

【山名主査】それでは燃料炉心について、早速御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【北田委員】資料1-2の2ページの下の方に、設計の合理化、設計の余裕と書いてありますが、通常、新しく炉心ができて、解析がずれていると思いますが、この方針は計算コード、核データなりを見直すことは考えられていますか。計算結果はそれほど変わらなくても考え方を変えるのか、この合理化ではどういうことを言っているのですか。

【弟子丸センター長代理】データのずれ具合によりますが、臨界点予測について、(誤差を)どの程度に抑えるかをあらかじめ想定しています。それ以内に入っていれば、プラントを運転する上では、余裕を持っていてよいわけですが、設計の観点では、より精度は上げたいと思っています。運転管理上は設計以内にあることを確認し、コードの開発上は、解析コードの内容を見直したり、場合によっては、核データまで見直して精度を上げていくこともあります。精度の目標は、まずは設計目標に入っているかどうかです。反応度は0.1%程度に入っているかどうかを確認した上でより精度を高めていくことの繰り返しになります。

【北田委員】高めていくことは行われるのか。

【弟子丸センター長代理】はい。当然ですので行われています。ただ、運転を続けるという観点で見れば、設計以内に入っているかどうか確認した上で、入っていればその精度より高めていくことを重ねることになります。

【山名主査】よろしいでしょうか。他にありますか。

【山口委員】多分、この項目は優先度としては非常に高いところのものでありますし、「もんじゅ」が非常に使える部分だと思います。出力特性のところはよいとして、今の運転サイクルから今のスケジュールですと、海外の炉との関係、スケジュールを整理したいと思います。5サイクルから9サイクル、あるいは10サイクル以降となると、2020年代に入るので、今の計画ですと、ロシアが多目的研究炉を使って運転すると言っているのが2020何年でしたか。ASTRIDも2025年と言っていて、その辺の海外炉との照射との関係を説明いただけますか。

【弟子丸センター長代理】国際的な動きというのは、この間FR-13がありまして、聞いてきましたが、2020年代は一つのキーになるかと思っています。そういう目で見れば、これから4サイクルでいきますと、性能試験等考えますと、2010年代後半になってきます。我々としては、まずデータを最優先で取るということも併せて、彼らの使う燃料等を見ますと高次化したPuなど、この辺りのデータについては、4サイクル、5サイクルで出てきます。海外に提供できるデータには十分間に合うのではないかと考えています。

【山名主査】いかがですか。

【山口委員】今この中で、5サイクルから9サイクル、10サイクル以降にかけて幾つか国際協力の可能性ありという話をされました。その時期に幾つか照射できるような炉があったときを想定すると、この計画はこのままの路線でいくのか、あるいはいろいろな照射をものによっては、シェアしていくような体制があり得るのか。多分これは「もんじゅ」だけで行うという前提で書かれていると思いますが、その辺の見通しなりをお聞きしたかったのです。

【山名主査】弟子丸さん、お願いいたします。

【弟子丸センター長代理】繰り返しになり申し訳ありませんが、まず「もんじゅ」のデータを取ることが優先になります。これからシェアという面で見れば、当然国際協力の中で、そのときのプラントの運転具合によって、ASTRIDやロシアの運転についてもいろいろなスケジュール的なものもあると思います。そのときの高速炉の運転具合を見ながら、我々ができる最大限のデータを提供することになってくるかと思います。余り考えたくないですが、「もんじゅ」が遅れた場合には、それなりに、まず我々としてはデータは取りますが、その後のデータの有効性についてその時点で評価することになっていくかと思います。いずれにしても他の炉の状況を見ながら、我々としては最大限提供できるデータを提供するし、我々の武器は「もんじゅ」ですので「もんじゅ」で提供できるものについては最大限の貢献をすることかと思います。

【山名主査】この件は結構大切なところなので、国際協力の中でこういう議論はしたと思います。今お持ちの海外の炉のスケジュール、ASTRIDとロシアのBN-800ではなく、今度作るというMB2。BOR-6の後継機の話ですか。いずれにしても、お持ちの海外のスケジュールと、当然そこでの燃料設計とそちらで出てくる照射炉試験のタイミングと「もんじゅ」で行われる燃料情報の時間的関係については、もう少し分かりやすい情報を、次回で結構ですから、御説明いただくということにしましょう。やはり「もんじゅ」のデータがそういうところに生きていくということは重要なことなので、そこのすり合わせはよく見ておきたいと思います。弟子丸さん次回お願いできますか。山口さんそういうことです。

【山口委員】今御説明いただいたこの項目は非常に重要ですし、「もんじゅ」にとって意義の大きい重要なポイントだと思います。例えば、今4か月、3か月のサイクルでいくとされていますが、将来的にはいつぐらいにどういうふうに、いずれ高燃焼度化を目指していくことを前提にどう考えていくのか。幾つかの不確定要素を含めた先の見通しは、それなりにお聞きしたいところがありますので、是非お願いします。

【山名主査】他に何かございますか。

【稲田委員】前提条件のところもお伺いしてもよろしいでしょうか。前提条件で設備の信頼性、経年特性。3ページ目です。初期故障フェーズとランダム故障フェーズを分けてありますが、これは何か根拠がありますか。運転の仕方によっても、少し違うのかなという感じもします。

【弟子丸センター長代理】我々の想定ですが、こうなるというわけではありませんが、一般的な機械の経年劣化、発電プラントの故障とが、確か以前、第4回の資料1-3の12ページにありますように、原子力安全基盤機構で整備されたデータでございます。どう見るかにもよりますが、初期には若干高い故障率になっています。それ以降少しずつ減っていくということになっています。ある程度感覚的な問題で5年程度は初期故障は起きるだろうと想定しました。

【稲田委員】わかりました。今回70%で運転を想定されているというようなお話を聞いた気がします。これは100%で運転するのですか。長く運転する時間、出力によって、いろいろな現象が起きたり起きなかったりということもありますので、今質問しましたが、了解いたしました。

【山名主査】いかがでしょうか。北田委員。

【北田委員】そのことに関してですが、「もんじゅ」は長く動かしているプラントではないかと思います。炉心として出力しているわけではありませんが、ループとしてはずっと回されているわけです。ループの中は経年劣化と言われれば、疲労している、摩耗しているという話ですが、そのようなところで考えますと、もう経年劣化してきていることはないかと気になります。

【弟子丸センター長代理】系統はナトリウムを充填した状態で回しています。ポンプの回転で見れば10%以下の回転数ですので、温度は200度ということで、通常は高温の500度に比べれば低く、回転数が低いということで、経年的な劣化特性、特にナトリウムについては、もともと余り経年的劣化特性はないということですので、温度条件とかを考えるとほとんど経験を積んでないのと等しいのではと思っています。やはり我々がしなくてはいけないのは、400度、500度の高温の状態でフル出力運転の経験が必要ではないかと思っています。その点で見たときに、まだまだ初期故障とは言わないが、設計に起因する故障は洗い出していないのではないかと思っています。

【山名主査】他にいかがでしょうか。笠原委員。

【笠原委員】炉心の設計技術の中でAm含有量が多いという表現を使っていまして、廃棄物減容の方ではMA含有燃料と言葉を換えていますが、これは意図的に換えているのですか。

【弟子丸センター長代理】炉心の設計ではたまってきましたということと、MAはそれをある程度意図的に、量は決めていないが添加することを考えています。

【山名主査】村上委員どうぞ。

【村上委員】運転サイクルのパターンについて少し確認したいのですが。資料1-2の3ページに初期サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクルの運転の計画、工程が示してあります。1サイクル4か月ほどで100%の出力での運転という前提でこうなっていると思いますが、途中で一時的にシャットダウンして、また再起動という場合があると思います。そのような運転パターンの場合でも100%出力で所定の燃焼度に達するまでをサイクルと炉心の方では定義するので、そうなると1サイクルの中に計画通りではなく2回、3回出力を落として、それでまた立ち上げてという、計画とは違う運転パターンになる場合があるかと思います。その場合、そういう運転状態でのデータが得られたとして評価を行うわけですね。その際100%で4か月フルに減速運転しましたというデータは、そのサイクルでは得られなかったことになりますが、それについては何か考えておられますか。

【弟子丸センター長代理】実際には、個々の機器については、運転期間、運転条件、運転状態、どんな条件で運転したか、どれくらいの期間運転したかということで、機械については運転履歴を使って評価することになります。炉心については、当然個々の燃焼度は燃料集合体ごとに評価しています。集合体ごとの特性、炉心の特性についても燃焼度で評価できるかと思います。

【山名主査】よろしいでしょうか。次々と議論を進めていかないと。10分くらい遅れています。次のテーマに入りたいと思います。よろしいですか。弟子丸さん、2の方、お願いします。

【弟子丸センター長代理】資料1-1の6ページ目、資料1-28以降になります。機器・システム設計技術ということで書いてあります。「もんじゅ」はループ型の高速増殖炉でシステム設計、個々の特殊な「もんじゅ」特有の機器について、いろいろなデータを取ります。運転に基づいて実機データを蓄積し、それに基づいて機器の健全性評価、機器の劣化特性を評価します。資料1-1の6ページには、どんなデータがいるかということと、どんな成果がいるかということ、達成時期が書いてあります。試運転のときにいろいろなデータが取れます。我々としてはここをまず目指しています。プラントの性能として、全体のヒートバランス、ちゃんと発電できるのか、各機器の出口の温度を考えて、設計どおりのものかどうかの確認を行います。試運転のときのナトリウム冷却ループ型発電炉のナトリウム系におけるプラント応答特性で、プラントが急に止まった場合、異常な状態で止まった場合、運転状態での熱の変化の仕方を取ります。併せて1次系の線量等のデータも調べます。これを使い、実機により検証された、ループ型ナトリウム系動特性評価手法や、遮へい評価手法をやります。資料1-2の9ページ、10ページを御覧ください。9ページ目。海外先行炉には前例のないループ型発電炉の原型炉として、定格運転を継続できること、制御系調整や過渡試験を行い、特性データを取得します。高度なコードのチューニングについては以前説明しています。11ページ目。「もんじゅ」の場合。高温状態、温度をどう予測するかが、高速炉の場合の予測のポイントになります。左側に詳細なコードで解析したコードや結果を書いてあります。幾つかのコードを組み合わせて、詳細な解析をしていますので、得られたデータによりこのような詳細な解析コードを評価するということです。12ページ。これは、遮へいの方です。「もんじゅ」特有なのは原子炉容器の上にあるペデスタルです。この間に中間床を置いています。これは遮へいで工夫したところです。そういうところのデータを取ります。原子力容器室の中には入れませんので、この周りの通常は窒素ですが、空気に置き換えれば入壁できるところに、いろいろな箔(はく)などを置いておき、その照射データを取ります。 13ページに時期的なもの、工程が書いてあります。性能試験の中で、いろいろな試験を行い、流動特性、プラントの設計評価については、全体の発電熱出力の確認、ヒートバランスで発電機の評価をします。プラントの動特性については、主に性能試験でデータを取りますので、取ったデータに基づき、いろいろな解析コードの検証をします。それが性能試験から2サイクル、3サイクルぐらいです。遮へいについても同様です。幾つか細かなデータが書いてあります。データの量としては、性能試験の中で相当出てきますのでそれを使った評価が2サイクル、3サイクルで行います。これはループ型のいろいろなデータなので、国際協力として進めていければ進めていきたいと思っています。
 資料1-1の7ページ。個々のデータについて詳細に書いています。一つだけ説明します。ホットベッセル原子炉容器等の設計・評価技術で同じようなことが繰り返し書いてあります。資料1-2の15ページ目に「もんじゅ」の特徴的なものが書いてあります。原子炉容器の温度は通常だと200度から530度まで変わっていきます。このような大きな温度変化の中で材料に相当な熱応力を与えます。それに対し、原子炉が停止して急激に温度が下がる場合の温度の緩和の仕方が、上の方に書いてあります。「もんじゅ」の場合、529度のナトリウムがあります。その上に原子炉容器を支える側の壁があります。この辺りは液面辺りで急激な温度変化を防ぐために、原子炉容器を支えるところが二重の容器になっています。こういう形に工夫して液面の温度変化を緩和しています。スーパーフェニックスの場合も同じように、液面あたりの温度変化をどう解消するかということで、直接ホットなナトリウムではなく、IHXで冷えたナトリウムを炉壁側に流すという工夫をしています。複雑な構造が必要になるので、それが欠点でもあります。「もんじゅ」は構造が割にシンプルです。これができればよいデータが取れると思っています。特徴的には機械のあるところに絞ったデータを取ったりしていきます。
 18ページ。中間熱交換器、ポンプなどのデータがあります。これも大型の機械ですので次の炉に向けて、大型炉に向けて有益なデータが取られて参ります。常陽に比べて大きさの違いが書いてあります。
 19ページ目。いつごろどのデータが得られるか。同じように運転を繰り返していくので、性能試験でいろいろなデータを取り、2サイクル以降定常的なデータを取っていきます。何かトラブルが起きればそれに対する対応も大きな経験になってきます。
 資料1-1の9ページは水・蒸気系の制御技術、蒸気発生器のデータも必要なデータは試運転のデータ、応答データを取り、性能試験のときのデータが相当重要になってきます。ページの下にあるように、5サイクル程度の運転をし、特に蒸気発生器の経年特性を取るというのは、機械の面から見れば、熱的交換性能の経年変化が貴重なデータであり、また今後の設計に反映できるデータと考えています。機器設計は以上です。

【山名主査】それでは今の点、御質問お願いします。

【山口委員】一つ目、ループ型炉のお話で、ループ型炉として世界にも劣らない唯一の検証ができる場、ループ型炉の技術を国際的優位性を確立すると書いてありますが、現実を見るとループ型炉を志向している国は余りありません。その辺りの話です。最近思っているのは、ループ型炉は耐震性の話がありましたが、いろいろな設備が分散しているということで、いろいろな診断とか、例えば、スーパーフェニックスの場合、トラブルがあると容器の下の方でいろいろ計装して大変です。最近、シビアアクシデント時の計装をどうするかという話もあります。ループ型炉、配管系、一次系のいろいろな場所で計装し、炉の近いところで測りにくいときにも、いろいろなデータが取れる面があります。昔から運転サイクルをどうするか、定検をどれだけ合理化するかという話が出るときに、そのとき被ばくの話があるので、今回遮へいのデータをしっかり取ることはよいことだと思います。そういうことも含め、ループ型炉のひとときのはやりはシンプルな容器で、タンクの中にいろいろと積め、コンパクトにし経済性を上げるという指向がありました。今は、厳しい事象においてもロバストでプラントの状態がよく見えて、コントローラブルであることが目指すべき方向だと思います。そういう観点でループ型炉の技術を確立していく意義は1回整理した方がよいと思います。ループ型炉の優位性、日本の技術だけで、そこが優位性であるという話ではなく、ループ型炉のメリットはむしろ非常にあると思っています。それが一つです。
 ホットベッセルの話も、ここにも書いてありますが、コールドベッセルはフランスで内側の壁が振動し相当厄介なトラブルがありました。熱過渡の問題は世界的にも非常に関心が高いところです。データを取りたいところです。いろいろな過去の設計で見てみると、炉容器の中が余り複雑になっていきすぎると思わぬところで熱過渡の問題が出てきます。ホットベッセルのいろいろなデータは世界各国に対して非常にアピールするデータだと思います。ベンチマークのデータとして使えるところは、国際的にも先ほど協力の可能性有りとは、ぼやっと書かれていましたが、そういうデータはもっと明確に言うべきだと思います。

【弟子丸センター長代理】山口委員ありがとうございました。非常に貴重な御指摘で、我々はプラントを動かす人間なので機械に目がいってしまいます。今おっしゃっていただいたように、我々もシビアアクシデント今後の対策とか考えています。そういう面からの優位性や、分散型ゆえにプラントとしての優位性をもっと示せるだろうということは、おっしゃるとおりです。我々もそういう目で見て、再度アピールできる点はないか、確認していきたいと思います。
 2点目については御指摘のとおりです。特にそれに備えて、仮設ではありますが、軸方向の温度分布を、温度計を入れており、そのデータについては前回の性能試験の40%のデータですが、国際ベンチマークも行いました。100%でのデータも取れてきますので、そういうものもアピールしながら、同じようにそのデータを国際的に提供できるようにしていきたいと思っています。

【山名主査】今の点は、燃料のときに山口委員から国際的な関係の質問にもありましたが、今のデータも、5サイクルぐらいの運転で得られるデータは、国際的に共有していけるような情報が得られるということですか。

【弟子丸センター長代理】もうちょっと前です。割と性能試験の段階でも、温度のデータなので、その辺りは早く提供できると思います。経年というよりは個々の、燃焼が止まったときの急激な温度変化などの状態は取れてきますので、それはもっと早い時期に提供できると思います。

【山名主査】ありがとうございます。他いかがでしょうか。笠原委員。

【笠原委員】山口委員が言いたかったことをほとんど言っていただいたので、ちょっと補足になります。ホットベッセル、ループ型というと、外から見ると魅力があせる気もします。言い方だけかもしれませんが、上部プレナムの熱流動を取りますとか、即物的観点からまとめるより、今回は流動も取るし、構造健全性も見て、流体だけでなく高温構造システムで全体のデータを取ります。そういう観点の方が国際的には共有しやすいように思います。国内向け、海外向けに使い分けが必要かもしれません。「もんじゅ」が使えるので「もんじゅ」だけ、日本特有というのではなく、一般的なまとめの方がよいように思います。

【山名主査】弟子丸さん、いかがですか。

【弟子丸センター長代理】今御指摘のところは我々のアピールの仕方として、そういうところも考えながらやっていきたいと思います。温度のデータは液面の温度はきちんと取れますが、どうしても炉容器そのものの温度自身は、遮へいプラグの温度を取ることで推定になると思います。この辺りは、原子炉容器の中では、構造設計の中では重要なデータなので、取れるところのデータは取っていこうと思います。構造評価とセットであるということは御指摘のとおりだと思います。

【山名主査】北田委員。

【北田委員】プラントの性能をいろいろと測る、ヒートバランスが取られるということですが、その中には発電効率が実際の計画運転の際に取られていると思います。現行のプラントのサイクルが4か月、8か月と言われていますが、運転されている季節がいつも一緒ではないかと思います。熱出力なのか、電気出力なのか、当然数%は出力が変化します。「もんじゅ」についても少しその辺を見られた方がよいと思います。

【弟子丸センター長代理】先ほど、トラブルの質問があったように、あくまで想定です。季節によりどうかということは当然性能試験の中で、何サイクルか、2年程度考えていますが、その中でいろいろな時期のデータが取れます。その中で評価することになると思います。不幸にしてトラブルが起きればそれも延びます。そういうデータも取れるかと思いますが、計画段階では性能試験の中でそういうデータが取れていくかと思います。

【山名主査】他にいかがですか。なければ燃取や計装の話も伺っていきたいと思います。

【弟子丸センター長代理】説明の方は、続いてナトリウムの機器システム設計ですが、特に高速炉特有の機器ということです。
 資料1-1の10ページ。燃料取扱システム、計測制御系。この辺りのどんなデータが取れるかという説明です。資料1-2の22ページです。
 10ページ、燃料取扱システム、これは運転機器と関係なく燃料取扱いを行います。運転前後になりますが、それを投じます。資料1-2の23ページ。直蒸式とは燃料の動きが上下と横という意味で書いてあります。真ん中辺りに原子炉容器があります。炉外燃料貯蔵設備、これはナトリウム中の一時的な貯蔵設備です。一番下に燃料プールと書いてあります。これは水の貯蔵設備で、この間の取扱いを行うのが燃料取扱設備です。燃料が必ず上下で動き、台車型燃料出入設備が横に動くことで位置を変えていきます。燃料交換を繰り返すことで、現在はまだ高い燃焼度の照射、燃料を扱っていないので、その場合の取扱性能を見ることになります。10ページに書いてあるように、そういうデータを取ることで、ナトリウムを取り扱いますので、冷えた、低温のナトリウムが機械に悪さをしたり、動きが鈍くなったり、途中にバルブがあり開閉のときに、そういうことを考えて設計されていますが、その辺りのデータを取ったりします。時期としては、資料1-2の24ページにあるように燃料交換をし、最初は、現在炉外燃料貯蔵設備に200体近くの燃料が入っていて、それを燃料プールに持って行くことを燃料処理といいます。そういうことを行いながら、燃料交換をし、燃料交換のデータを取ります。炉外燃料貯蔵設備から(使用済燃料を取り出し、)ナトリウムを洗い、水まで持っていく間を燃料処理といいます。そういうデータを取っていきます。燃料交換設備は高速炉特有の設備、今後いろいろな高速炉の設計にも反映できるデータが取れていくことになります。時期的には、高燃焼度が出てくるのが4サイクルから5サイクルぐらいです。10回くらい燃料交換を行うと、23ページの絵で言えば、原子炉容器の上の蓋の部分を遮蔽プラグと言っています。これは回転部分があります。これの交換を10サイクルぐらいで行うことになっています。これの耐久性の確認、使用性の確認が出てきます。
 25ページ、26ページ。計測設備で高速炉特有の設備を挙げています。26ページ目では、前にこの委員会でも御指摘がありましたが、燃焼容器の外側で、高速炉の場合、炉容器の中が高温なので中性子計装が入れにくいです。外側から中性子を測定することで原子炉の状態を測定することが資料26ページの左側の絵です。こういう特性を見て、炉内の状態を測れるかどうかということも含めてデータを取っていきます。零出力から100%の間である程度のデータは取れます。本文の11ページ。ある交換頻度で交換します。達成時期にあるように5サイクル程度の運転で炉外核計装の交換を2から7サイクルで考えています。DN法は燃料が壊れた場合、見つけるための設備で遅発中性子を使うというやり方です。8サイクルあたり点検することになっています。こういう設備の点検をすることで設計どおりであることと、交換頻度が変えられないかというデータも取っていきます。何より性能自身を確認できます。
 本文の12ページ以降、A1、A2と分けていますが、世界にほとんどないのかということと、世界的に見たら他にもあるかという観点で分けています。12ページ目にあるように、高速炉特有でいくと破損燃料位置検出器、水漏えい検出器。これはナトリウムと水が接すると蒸気発生器の伝熱管が健全かどうか、伝熱管が破損すると高温の水がナトリウム中に出て、水素が出てきます。その水素を検出するものです。もう一つはナトリウム漏えい検出器で、ナトリウムが漏れていないか、系統から漏れていないかのデータも順次取っていくことになります。5サイクル程度の運転で経年的な劣化特性を見ます。5から10サイクルくらいで交換し、それを繰り返すことで点検のやり方、交換のやり方が正しいかどうかをみます。中性子を浴びることで感度が鈍ります。その辺りの予測が大丈夫かどうかを見ます。
 本文の13ページ目。発電所補助システムです。資料1-2の31ページ目くらいです。換気空調設備。これは一般的なデータではありますが、高速炉の場合だと高温の500度のナトリウムを、保温材をまいているとはいえ、それを大きな設備で大量に使います。1次系でいうと700トンくらいナトリウムが回ってきます。これに対する、保温から漏れてくる熱の除熱があります。こういうものも「もんじゅ」特有で設計しているので、その辺りもデータを取っていきます。システムは以上です。

【山名主査】ありがとうございます。いかがでしょうか。
 私の方からちょっと。こういう機器構造物というのは設計段階である種の性能が決まっています。設計の是非の確認と製作上の是非の確認と、経年的な耐久性や信頼性のようなものを三つ確認する必要がありますが、そのうちの何をどう見ていくかが大事です。

【弟子丸センター長代理】考えていますのは、まず、設計どおりかどうかの確認は性能試験の中で100%持っていった状態で機械のいろいろな設計条件となります。性能については性能試験の段階で確認できると思います。それがどれくらい耐えられるか、発電プラントですので、ある程度の信頼性を持った機械を付けないといけません。ある程度交換時期が設計者側から提示されています。その交換時期に交換することで設計通りの耐久性があるのかを見ていくと考えております。中性子検出器でいろいろな特性を把握します。効率とか絶縁抵抗とか計っていきます。それが思った以上に劣化しないというのがあれば、交換時期を延ばせます。それは耐久性のあるものができていたということですので、それを工夫すれば、より長くもつ機械ができるというデータが提供できると思います。

【山名主査】稲田委員が、軽水炉のときの、初期故障期間5年とランダム故障が10年という、あれは、商業炉としての母集団が非常に大きな中で見えてきている特性で、「もんじゅ」は、まだファースト・オブ・ア・カインド、初号機ですので、5年で初期故障というのもある意味ではわからない。

【弟子丸センター長代理】想定しているだけです。

【山名主査】こういう機械物は恐らくいろいろなことがわかってくる。それを見るのが価値です。機械物を扱うポリシーが大事です。

【弟子丸センター長代理】そのとおりです。何がおきるかわからない。設計どおりであれば、一つの成果なのですが、当然、思ってもみなかったことが起きた場合の対応の仕方とか、こういうところが思った以上に劣化するのであればその設備の点検をもっと短くするとか、それが経験になります。逆にそういうデータがないと計測技術自身がなかなか進歩していかないのではないかと思っています。我々のデータ自身を使うことでいろいろな計測技術なり、機械の設計技術が進んでいくと思っています。

【山口委員】この中でいろいろな項目が入っているのですが、特に重要なものが破損検出系のバックグランドなどで、このデータはしっかり取っていただきたいなと。それは運転性や、早期の破損検出などでもそうなのですが。それともう一つ重要なのは、蒸気発生器のリーク検出性能や水素の透過バックグランドデータであり、これはフランスなどは蒸気発生器とガスとの熱交換と二つのオプションで行うと。これは水とナトリウムを相当懸念しているからで、そういうデータを蓄積されて早期に検出し、止められるとわかってくれば、バックグランドの比較やリーク量との関係において他の国に与える影響も大きいと思うので、特に、機器・システムのところでは重点項目を上げられた方がよいのではないかと思います。

【弟子丸センター長代理】ありがとうございます。特に、水漏えい検出器、水素計は開発に苦労したものであります。それで、我々も次起動するときに向けて、バックグランドの測定、ニッケル膜がある程度時期が来ているものもありまして、交換したりしているのですが、そういう水素計の交換を行いながら、御指摘のように、難しいものがありますが確認していきます。止まっている状態ですが、メインテナンスをしています。それから、データも水・蒸気系を使えば取れるので、ただ、去年、その直前までいったのですが、そういう状態ができればデータを取っていきたいなと思っております

【山口委員】その辺、温度条件など、データをしっかり取っていただくと貴重な設計データになってくると思うので、是非、お願いしたいと思います。

【稲田委員】今、山口委員が言われたことと多分、同じことになると思うのですけれど、やはり、重要な機器については環境条件がどうであるかと、温度が高いであるとか、照射の条件とか、いろいろあると思います。それに対してどういう劣化モードがあって、それが長期間使用しないといけないわけですから、それに対してちゃんと耐え得るか、これは多分、全ての機器についても実証が十分なされていると考えておりますけれども、そういうものについて、「もんじゅ」で確認していくという理解でおります。

【山名主査】他、いかがでしょう。村上委員。

【村上委員】燃料取扱システムについて、まずは基本的な質問で恐縮ですが、燃料交換は停止期間の中でこれがクリティカルパスにはなっておりませんよね。

【弟子丸センター長代理】燃料交換と燃料処理と言い方を分けているのですが、燃料交換につきましては、定期検査の中で行います。クリティカルパスになっておりまして、なぜかというと、原子炉容器の液位を通常レベルにしなくてはいけません。そういう状態ですとクリティカルパスになります。燃料交換の時期は相当管理して行わないといけません。燃料処理は炉外にある貯蔵設備から水プールまで使用済みを持っていくわけです。また新燃料については空気中(の貯蔵庫)から持ってくるわけですが、運転と平行してできますのでクリティカルパスにはなりません。

【村上委員】燃料交換は、引き抜きや回転のところで途中で止まったとか、当然予想されるトラブルが起こり得るということを考えて工程を考えていただきたい。予想外で止まった場合、そのデータそのものが貴重なものとなりますので、しっかり確認していただきたい。もう一点、今更かもしれませんが燃料取扱システムは、どちらかと言えば、非常に、プラントスペシフィックで、「もんじゅ」と同様の交換システムはこの先世界にないし、この先のループ型には同じタイプはないと思われます。取りまとめのデータとしては必須なのですが、「もんじゅ」でしか得られないデータかと言われれば疑問が残ります。世界に対してどういう点で反映できるのか、アピールしていってもらいたい。

【弟子丸センター長代理】燃料交換の技術は5年くらい前にフランスから見に行きまして、フェニックスとかスーパーフェニックスとかトランスファーシュート型の燃料移送機を持っていたので、相当ナトリウムベーパーのことで苦労しているところがあります。そういうことでは直動式でナトリウム蒸気の影響を受けない設計にはしております。そういう意味では全体を見れば各々、プラントスペシフィックなところがありますが、燃料交換機、(燃料)出入機では結構使えるデータではないかと思っております。燃料出入機の通路は100メートルぐらいありまして、機械を正確に停止するという技術を中に入れてあります。そういうところで正確な位置決め、精度もありますので我々としてはアピールできるデータだと思っております。レポートにまとめて成果として取りまとめていきたいと思っております。

【弟子丸センター長代理】3ポツです。ナトリウム取扱技術及び管理データです。純度管理、放射化物挙動、ナトリウム蒸気挙動、これはナトリウムは冷えると固まりますので、いろいろな機械の動作に影響を与えます。検査技術の方ですが、資料ですと35ページに具体的な検査技術例があります。原子炉容器回り検査装置、これは高温、止まっていても200度ぐらいですので、ロボットにとっては高温になります。高い放射線の下で、実際には、原子炉容器の横方向にあります溶接線を目視、テレビカメラで見て、UT検査でやっていくということです。こういう遠隔操作による技術を開発中です。あわせまして、1次系につきましては、高放射線の下で、ひとが配管の溶接線を見るのですが、検査ロボットを据え付けて、その後は自動でやる。これまで何度かやっておりますが、蒸気発生器伝熱管の中に検査プローブを入れるということで、蒸発器自体が強磁性体でくっつきやすいということで磁気探傷装置はあるのですが、扱いにくい材料を見ていくということがありますので、その開発をやっているということです。検査装置は運転した後、適用しまして、検査そのもののデータを取るとともに、検査技術そのものの確認をやっていきます。時期についてはまだ明確ではありません。定期検査後、どういう頻度で期間中検査ISIをやっていくかを決めていくので時期は明確ではありませんが、36ページ以降は実際の検査技術を改良することで機械の開発をやっていくということを示しております。本文16ページのナトリウムの純度管理ですが、不純物(主には酸素、水素)をコールドトラップで取ります。酸素は濃度が高いと配管の腐食等に影響を与えますので、十分な純度管理をする。1次系で3ppm、2次系で10ppm以下に制御しています。現在、低温中ですが、高温になってきますと、据付け時に取り込まれていた酸素等が出てくる可能性がありますので、それに対する挙動も併せて性能試験で取っていくことになります。資料39ページ左図ですが、温度を上げていきますと材料中の不純物、燃料交換時に持ち込んだ不純物があります。これをコールドトラップで除去できるかを確認することになります。資料39ページ右図ですが、一次冷却系放射性物質の挙動評価です。線量によって比例してまいりますので結構、時間がかかります。下で行きますと10年くらいでマンガン、コバルトがたまってきます。作業点検に影響を及ぼしますのでデータを蓄積することが重要だと思っております。資料40ページにコールドトラップの内容が書いてあります。41ページにありますように、純度管理につきましては3サイクルくらいのデータを取りまして起道、温度変化に伴う技術及び分析手法についても確立することを考えています。放射性物質につきましては、長期間データが必要になってきますので、運転に応じてデータが取られてきますし、蓄積の解析コードを持っておりますので、その検証をしていくことになります。蒸気関係、ベーパ関係につきましてもある程度の期間がたたないとたまってこない(温度だけではなく経年的にたまってくるものもある)新たなデータを蓄積するということであります。ナトリウム洗浄技術につきましても洗浄技術そのものを確立することを考えております。以上でございます。

【山名主査】それでは御意見ございますか。稲田委員どうぞ。

【稲田委員】ISIの技術について御説明いただきましたが、炉容器のところでも溶接部の亀裂を見られようとしているのですが、これは劣化モードとしては、疲労を考えられているのでしょうか。

【弟子丸センター長代理】劣化モードとしてはそうなのですが、30年以上もつ溶接をしております。溶接線の亀裂がないか、まず確認します。初期欠陥というのは現在、新たな経過がないかを見ていくことになります。

【稲田委員】前の話で、たしか、クリープも関係するのではないかということでしたがクリープは見つかるのでしょうか。あるいは他で見られているというのであれば。

【弟子丸センター長代理】クリープというよりは、実際に溶接欠陥なり、亀裂の指示があるかどうかを見られるものでありまして、その理由が熱応力、温度変化が主だと思います。まずは欠陥がないことを確認することが最大の目的であります。

【稲田委員】どうもありがとうございました。

【山名主査】はい、他、いかがでしょうか。

【山口委員】今、ISIは非常に重要だと思うんです。「もんじゅ」でデータを取っていただきたいというのはそうなのですが、ISIのメカニスティックなもの、装置の実証性がお話の中では中心だったのですが、もう一つはISIをどういう計画でやるのかというところが高速炉で分からないので、あと、どこを検査すればよいのか、最近はリスク混在ISIというかリスク情報を使ったISIが議論されているので(稲田先生がお詳しいですが)そういうアプローチを組み合わせて、成果として、ハードウェアのデータを取るのに加えて、ISIをどういう風に計画して、どのように実施するかを確立するために検討されたらよいのではないかと思います。

【弟子丸センター長代理】その通りになりまして、ちょっと説明が悪かったのですが、後で、4ポツあたりで、明確には書いておりませんが、ISIのどこをどのような頻度で確認するかを我々としては蓄積すべきと考えております。

【山名主査】はい、他はいかがでしょうか。

【稲田委員】先ほどの発言に加えて、やはり、劣化モードとの関係を整理した上で、ISIを考えて、次に説明される保全のところにつなげていただければよいのではないかと思いました。

【弟子丸センター長代理】その通りでございまして、現在、我々も、本格運転後の定期検査の在り方について検討してございますのでその中で反映させていただきたいと思います。

【山名主査】よろしいでしょうか。それでは次のテーマに移りたいと思います。

【弟子丸センター長代理】本文で17ページ、運転・保守技術であります。これは先ほど、御議論があったように、我々も大きな成果の一つだと考えておりまして、「もんじゅ」を運転して保守をやっていく経験を繰り返すことで高速炉の保守技術がどうあるべきか、併せまして運転のやり方を確立するのが「もんじゅ」の大きな役割の一つであると考えております。17ページの保守管理技術です。先ほどの山口委員御指摘のように、保守性に優れたループ型高速炉を持っておりますので保守技術を蓄積することが出てまいります。併せて運転管理技術を蓄積するということですが、第2回、第3回でも御議論いただきましたように、トラブルの対応から得られた知見も当然蓄積していくことになります。17ページにはA1技術の1次系機器に係る技術ということで、運転保守経験に基づくループ型高速炉の保守管理技術、特に、劣化メカニズムや点検根拠を準備しております。「もんじゅ」保全プログラム、実機点検結果を踏まえ点検頻度を最適化した保守計画を作っておくということになります。また運転経験に基づいて劣化メカニズムを確立しましてナトリウム炉特有設備の保守管理上のデータを踏まえた高速炉の保守管理が必要となってきます。こういうことを行いながら保守の技術を確立します。そのようなことが成果として得られまして、得られる時期としましては第1回定期点検の前、プラントの供用開始前に第1保全サイクル用保全計画を作ります。先ほどの定期検査の計画も入れて作ってまいりますし、5回ほどの繰り返しでよいのは先ほどの初期故障のあたりから考えておりますが、併せまして定検の5回ほどの繰り返しで保全計画を最適化できるのではないかと考えております。10サイクルほど運転できれば、予防保全技術が確立できるということを書いております。17ページ下には、どういう点検の頻度で行うか点検計画を書いております。制御棒駆動機構の健全性は3サイクルに1回ずつ点検することになります。1次系ナトリウムポンプは4サイクルに1回、それを2回繰り返すと書いてあります。原子炉容器健全性については原子力容器の中に、サーベランス試験体を入れておきましてそれを定期的に取り出して実際に材料試験をやって安全性を確保するということも行います。ISIにつきましては、先ほど御紹介したとおりでございます。制御棒の駆動機構につきましては10年に1回くらい上部案内管を交換するという計画もありますので、それに併せまして検査するデータ、並びに交換の技術確立が出てくるかと考えております。資料43ページはそれを模式的に書いたものでございます。保全計画を作って、保全を実施して実際にデータを蓄積して、計画が妥当だったかをチェックする保全サイクルを既に回しているわけでございますが、そういうシステムを確立するということになります。保守管理システムの中では、点検をやりながら保全情報を蓄積管理するということと同時に、機器の図面等も一緒に管理することで、積算運転時間も重要なデータですので、システムの中に蓄積していくと考えております。44ページ目は劣化モードの評価例です。主要機器(ほとんどの機器)についてはこういう評価をしまして、どういうことをどういう観点で見るのかということを考えながら、保守計画それから通常の監視計画を作っていくということでございます。また、この中には、劣化モードと併せまして、リスク要因を加味しまして、ある程度、保全の効率化を行うこことも書いてございます。こういうPDCを回しながら保守管理システムの中に蓄積し、経験を蓄えて高速炉特有の保守技術を確立することを目指しております。45ページですが、性能試験で得られるデータ、それから運転で得られるデータに対してモニタリングを行ったり、機械の信頼性データを蓄積することで、保守技術を確立することを考えております。特に期待されるデータというのは、設計上考慮すべき劣化事象を作っていくのと、4サイクルぐらいには5年程度の運転経験を通じて蓄積されたデータが出てくるのではないかと考えております。46ページは以前に御紹介しておりますが、トラブルから得られる経験を蓄積することを考えております。運転管理技術につきましては20ページですが、試運転及び本格運転を通じまして、どちらかという保安規定になりますが、こういうことを整備することで運転管理技術を集約していくことを考えております。また、異常診断技術も考えておりまして、そのような経験をしていくということであります。47ページ目には手順書の紹介です。48ページはトラブルの蓄積ということで、既に、御紹介させていただいておりますので割愛させていただきます。以上です。

【山名主査】それでは御意見をお願いいたします

【笠原委員】「もんじゅ」の複雑なシステムであるとか、「もんじゅ」以降の60年とか、長期に運転しようとすると、設計よりも、運転してからどう保守するかという重要性がどんどん大きくなってきます。今回は4番目ということで後ろにありますが、ここは昔よりはハイライトされているのかなと思います。なぜ設計でなかなかできないかと言うと、やはり、福島もその一部かもしれませんが、設計のときに想定できなかったことが壊れて起こっていて、想定した破損モードに対しては余りないですよね。だから、例えば今、意識しています液面近傍のそこで壊れることは余りないかと思いますが、もっとないところに温度分布がついてしまうとか、あるいは思ってもないところに振動が起きるとか、そういうことをここで見つけていくのだという意識があるのでしょうが、文面にあってもよいのではないかと少し思いました。もう少し具体的に言いますと、先に議論しました高温構造システムの特徴ですが、流体温度変動から来るので、どういう流体温度で壊れるかということとセットにしないといけないと思います。結果として出てくるのは疲労とかクリープ疲労ですが、そこに問題があるというよりは接液部の近傍高低温合流部温度差で温度振動が起こってしまい、疲労が起こったとか、どこかに温度成層化が起こってしまって、ラチェット変形が起こったり、亀裂が出たということかもしれないので、加重も含めて劣化の回路を考えていけばよいのではないかと思います。そういう意味では、この検査は亀裂の検査に目が行くのですが、温度の計測も含めてセットでのシステム的な計測なのかと思います。1や2で、再度議論した熱流動の評価や、構造健全性等とシステム的につながっている技術ですね。そういうことを強く意識してはどうか。

【弟子丸センター長代理】ありがとうございます。確かに、もう少し、そのあたりを強調した方がよいかもしれません。資料43ページの右下に、「もんじゅ」の特徴を書いてございます。クリープ疲労の件、48ページの海外事例のトラブル検討で潰してきてはいるのですが、そうは言いましても、我々の試験をやっていく中で、設計陣にも検討に入っていていただいておりまして、見ております。そういうところに気をつけて成層化やサーマルストライピングなどを見ていかないといけないと思っております。

【山名主査】他、いかがでしょうか。村上委員。

【村上委員】プラントの保守技術の確立と保全プログラムの策定、管理ということに関しましては、ここが一番何より電力の経験と知見が最も生かせる分野ではないかと思っております。これまでの運転を通じて、電力からの出向者を中心に、保全に関わってこられたと思いますが、今後、本格運転を開始するに当たりましては、今まで以上に運転から運転保守というサイクルを通じて、電力がこれまで何十年蓄積してきた保全計画の策定プロセス自体の経験が生きるものと思っております。軽水炉か高速炉かという違いはありますが、保全計画自体を立てることは保全のポイントでの勘というか、保全屋さんであれば直感的に分かることがかなりあると思いますので是非、電力の経験があれば想定外のことが起きても、保全屋さんは十分想定できたことだということもあると思います。そういう意味で、これまで以上に、電力の知見を生かしていただければ、より効率的な計画になるのではないかと思います。

【弟子丸センター長代理】その通りでございまして、今、保全をやっている部隊には電力からたくさん来ていただいています。先ほど、村上委員御指摘のように、今の我々の保全計画はまだ導入段階ですが、電力から来ていただいている方の協力を得て作っておりまして、これから第1回定期点検に向けて経験を生かしていきたいと思っております。ありがとうございました。

【山口委員】保全、重要なのはその通りだと思うのですが、こういうデータの蓄積は息の長い話なので、一朝一夕にたまるわけではないので、腰を据えて、もう一つは、中に保全管理システム、これから先のプラントでは、そういうものが非常に重要になってくると思います。保守管理システムをどう設計するかは、なかなか難しく、単に、故障データをためていけばよいというものでもないので、そういうものは実態に合わせて更新といいますか、改良していきながら、時間をかけてよいものにしていくつもりで行っていただくのがよいのかなと思います。

【弟子丸センター長代理】ありがとうございます。これは膨大なデータを使っていきます。なおかつ、日常の作業を通して蓄積していきますので、保守点検に使いやすいものと併せて設計者に使いやすいものにしないといけないということがありますので、改善をしていくのは当然でありまして、まず、試行的には行っているわけですが、現場の使い勝手、データの取り出し具合を踏まえて、改善が必要かと思っております。どうも、ありがとうございます。

【山名主査】それでは次のテーマに移ってよろしいでしょうか。

【弟子丸センター長代理】5については安全でございます。これは前回、中井の方から説明しておりますので、宿題を頂いています。内容的には50ページ以降の資料になりますが、別に、資料1-3を用意させていただいおりますので、こちらで説明させていただきます。質問に対しまして、安全設計等安全技術の体系を説明しました。高速炉の安全性がどうなるのかを説明した後、3ページには安全性強化に必要な技術、これは深層防護の観点から、第1層から第3層、事故の発生と進展の防止・制御、それに対しまして、シビアアクシデント対応、福島事故以前から行ってきたわけですが、著しい炉心損傷の防止や炉心損傷時の影響緩和という位置付けの中、高速炉の研究がどこにあてはまるのかということを整理しました。青字が「もんじゅ」でございまして、1から3層までは、性能試験に基づく安全系等のデータを評価するとか、4層では、自然循環に対する安全強化対策をやっていくことはあります。全体の解析コードはどういう形になっていますか、という御質問に対して、その全体像が4ページ目にあります。「安全性強化研究の対象とする解析コードの全体像について」ということで中に絵があります。先ほどから、御議論いただいておりますように、熱流動変化が高速炉プラントの設計の上では大きな項目になります。流動並びに熱の制御の特性を解析するのが「プラント動特性解析コード」であります。全体の解析を行います。あわせて、右側にあります「確率論的安全評価手法」というのは信頼性データベースに基づき、全体的なリスクを評価するわけです。個々には、そうは言いましても、熱流動につきましては、詳細な解析をするツールを持っております。熱流動解析コードと3次元の熱流層解析コードや炉心熱流動解析コードを持っております。一方、炉心が壊れた後につきましては、炉心の損傷を解析するコード、それから、炉心が壊れて外側にいろいろなものが出た後の炉外事象の解析コードを持っております。これは炉外試験等で精度確認していくことになります。ナトリウム関係でいきますと蒸気発生器でナトリウムと水が反応するところでございますので、影響評価は重要ですので、解析コードを持っておりまして、安全性強化に役立てることになっております。具体的にどのようなデータが各コードに反映されるのかが5ページに書いてございます。左側が「もんじゅ」の研究開発項目ということです。一つは確率論的安全評価等によるシビアアクシデント評価技術です。この中では安全上の重要事故シーケエンスを抜き出したり耐性評価をしたりします。シビアアクシデント対策の充実と検証ということで、訓練とか手順を整備してまいります。自然循環の試験、設計基準になる特性データが「もんじゅ」で行う研究開発になりますし、これに使うツール、それからこれがどの程度で成立するということで、左側に「もんじゅ」の研究で得られるデータ、並びに「もんじゅ」のために行うコード確認というと、プラント動特性データとか「もんじゅ」のためにやる、あるいは「もんじゅ」の試験結果を反映する、また3次元の熱流動解析コードとかNa-水反応の性能試験、それからそのデータが役に立ちますし、その試験を行うために事前の解析コードが必要になってきます。その下が「もんじゅ」以外で行う研究ということで、コードの反映並びに炉外試験でいきますと、炉外のEagle試験等を使いまして、プラント動特性がありますし、炉心損傷時の評価解析コードが整備されていきます。炉外試験の別の試験、我々が整備中のAtheNaを使って炉外事象の評価をしたり、基礎解析(流動解析)を行ったり、これまでのいろいろなデータを使いまして、炉外の評価をやっていく形の整理をしてございます。6ページ目ですが、主査の方から「性能試験段階でもいろいろな試験があるのですか」という質問を頂いておりましたし、別の委員からは「止まっていても、いろいろなデータが得られるでしょう」ということがありましたので、「もんじゅ」の運転を通じて確認する高速増殖炉の安全性強化の研究項目を整理したものです。現在、再開前の段階ですが、この段階でも、確率論的安全評価等によるシビアアクシデント評価技術の構築と安全性向上策の摘出とは、正に新規制・基準に対応することを、現在行っている最中でございますし、シビアアクシデントマネジメントは我々の重要課題として、実際の充実と、それを踏まえた実際の訓練を一部やっておりますし、今後、やっていかなくてはいけないと思っております。また、ナトリウム系に関しましては、停止状態でも動いている必要がありますので、運転データ・故障データを蓄積するということでありますし、非常用電源や原子炉補機冷却についても、点検、やり方についても性能試験以降に反映することになります。また、性能試験段階では、幾つかの試験を行っております。異常模擬試験ということで自然循環、プラントトリップ試験とは、プラントが異常の進展を止めないというときに、原子炉がちゃんと止まって冷えるなどという試験ですが、行います。外部電源喪失試験は電源がなくなった状態でも、原子炉が止まってちゃんと冷やせるかどうか、蒸気発生器伝熱管模擬水漏えい試験は、伝熱管が壊れた場合に原子炉を止めることになっていますので、模擬して設計どおり蒸気を外に逃すことになっているかという試験でございます。制御系試験ですと、出力を一定スピードで変える試験とか制御系がちゃんと制御できるか、試験を行ったりしますし、炉心特性でいきますと、原子炉を安全に止められるかどうか、制御棒を引き抜いた状態でもあるところで止まるかどうかという試験を行ったりします。計測装置特性試験については中性子計装試験や安全解析コードのインプットなり、性能の保証をすることになります。系統の特性試験については、先ほどの事故解析コードとかプラントの解析コードのインプット条件の見直しも反映されることになります。本格運転段階では、定格出力運転を通して、安全保護系の機械・設備の信頼性データが蓄積されますし、故障が発生した場合は、データを蓄積しまして、確率論的な評価にも反映することになります。また、実験炉常陽と異なる熱サイクルの環境下で得られます機械の経年データ、また、定期点検での制御安全系の機能データ、それから、炉心冷却系でのデータが得られるなど、安全で見れば停止状態での安全管理に反映されることになります。このようなことを経て、現状から試験、本格運用を通じて、いろんなデータが安全性評価に反映されます。以上でございます。

【山名主査】それでは御意見をお願いします。前回、質問を頂いた先生方、いかがでしょうか。北田委員。

【北田委員】質問したわけではありませんが、確認をさせていただきたいのは、いろいろと性能試験段階、本格運転段階で、このような試験をやられるという計画なのですけれども、これらの計画で福島の事故を踏まえて追加されたものはありますか。

【弟子丸センター長代理】正にシビアアクシデント対応などは、福島事故対応そのものです。性能試験の中では、自然循環試験は従来から計画をしておりましたが、津波の状況を模擬すると、若干、時間遅れで自然循環が始まる可能性があるということから、試験の設定は福島事故を反映しまして見直しということになります。その他にも、福島事故を考えますと、対応訓練というのは重要と思っておりまして、性能試験を問わず、我々のスキルアップとして訓練が必要と思っておりまして、いろいろな対応の訓練を行っているところでございます。

【山名主査】よろしいでしょうか。他にありますでしょうか。

【笠原委員】今までの議論も反映されて、福島の事故後、今の北田委員への回答にもありましたように、中に安全性向上というものが入ってきていると思います。表現の話なのかもしれないのですが、本資料のA-1 A-2という、この資料表だと安全機能確認となっています。だから、全体を見ると、やはり机上検討したものを「もんじゅ」で確認するということなのか、表現がそうなっているのか、よくわかりませんけれども、複雑なものになると設計で見られなくて、現場で、ということと同じように、福島以降は第四層以降、英語に関しては、むしろ現場でのシークエンスであるとかシナリオを考える方が大事重点的になっているので、もっと積極的に「もんじゅ」の発信があるのではないのかという気がいたします。例えば、最後のものも「もんじゅ」の運転を通じて「確認」というものが残っているが、現場のマインドも変わってきているのか、その辺が気になります。要するに「もんじゅ」を使って、本当に、安全性の研究開発をやるべきという意味です。

【弟子丸センター長代理】その通りで、我々は「確認」というより、資料1-1に研究開発体系図がありますが、この中で「5.安全機能確認・評価技術項目」の中で、実証的な確認や訓練・運用が一番大事だと思っておりまして、そこが福島事故以降、痛切に感じているところです。本当に対応できるかどうかが問われていますので、そこが大事だと思っております。マインドは事故前後で全く違っており、いざということに対応できないと意味がないと思っております。それに向けて現場がどうなっているか確認しています。

【笠原委員】こうしてほしいという意味ではなく、例えば、用語も「安全機能確認評価技術」ではなく、「安全機能強化評価技術」としたらいかがか。

【山名主査】稲田委員。

【稲田委員】6ページで示された研究項目は、「もんじゅ」で試験する一番重要な部分で、これがやれるから「もんじゅ」をやる価値があるというほど重要なものであると思います。是非、これをしっかりやり遂げていただきたいということと、本格運転段階フェーズ2を5サイクルで初期故障が潰せるというものの、私もそんな感じではないかと思ったのですが、そこまで運転してナトリウム系の経年劣化まで含めて押さえられるとよいと思いました。

【山名主査】ありがとうございます。他、いかがでしょうか。よろしいですか。恐らくまだおっしゃりたいこともあるかと思いますので、時間ですので、後で提出いただくことも可能です。今の議論を通じて感じましたことは、いろいろな運転を通じて、いろいろなデータが得られるとお聞きしたわけですが、「もんじゅ」が持っている計装点、あるいはサンプリングの能力からして、制限があるのですね。大きなプラントというのは得てしてそういうもので、炉容器の応力が図れるかというとそうではなくて、間接的に外に出てくる最終的なデータから推測していくことになります。そうすると、「もんじゅ」が与えてくれる中身のデータがどれくらい今後、リアルなデータとして使っていけるか、あるいは国際協力で提供できるかはかなり問われる。ですから、今後の運転において、これまではデモンストレーション的にいくケースと、データを取るケースと明確に二つありまして、データを取ることに関しては、データを取る努力が必要だということです。例えば計装点がもし追加できるならそれが必要だし、何かの推測論法で推測するというのもそれが必要だし、どこまでデータを取れるのかということは、最大限の努力をしていただかないといけない。あるプラントを作ったから動かして結果はこうでした、だけでは成果としては半減してしまうと思います。いかにデータを取るかということについて何かの頭の良いトライが求められる気がいたします。これについては是非よろしくお願い申し上げます。

【弟子丸センター長代理】今、主査御指摘のように、試験ごとにどのようなデータを取るか整理しているところです。何のために取るのかということを当然整理した上で、追加のデータが必要な場合は対応を検討しないといけないと思っております。追加した多数の試験計測点がありまして、貴重なデータです。加えて配管の成層化の温度がどこまで取れるかによって追加するかどうか確認する必要があると思っております。「もんじゅ」には配管表面の温度計がありまして、それが使えるのではないかと思っております。ただ表面の温度なので直接液体の温度ではないので、それも含めて、精度の良いデータを取れるように努力していきたいと思っております。

【山名主査】ありがとうございます。それでは10分くらい延びると思いますが次の議題に移らせてください。資料2-1の「もんじゅ」における保守管理上の不備について、です。

【廣井理事】クリップで留まっております資料は、幾つかの関連資料が入っております。最近新聞等で報道されました「もんじゅ」の保守管理の不備について、概況を御説明申し上げます。2ページに絵が出てまいりますが、「もんじゅ」は平成21年の1月から保全プログラムを導入しています。これは平成20年に法律改正があって、運転中のプラントの保全プログラムということで、「もんじゅ」は建設中でしたが、将来の本格運転に向けて、我々も保全プログラムを導入しましょうということで始まりました。当初の運転計画ですと、炉心確認試験があり、40%出力を出す試験があって、100%の出力上昇試験があるという、こういう運転期間に刻みを入れて第1保全サイクル、第2保全サイクルを決めてスタートしたのですが、第2保全サイクルに入りまして、残念ながらトラブルが発生しました。運転の合間に3ループ、A系統、B系統、C系統がありますが、ここで点検する予定だったものが、例えば非常用D/Gが故障すると、これはC系統のものですが、そうするとC系統を殺した状態ということで、他の2系統を生かさなくてはということで、点検を行っていたB系統を止めて、そのために復帰してからまた点検を行ったという形で、工程が大きく後ろにずれこみました。あるいは政策的な判断ができないという状態になったということがあります。そういう場合は点検を後ろに延長するわけですから、技術的な評価をして、事前に延ばして問題ないことを確認するわけですが、それが実際にはできていなかったということが今回の不備の概況でございます。この保全プログラムについては、自分たちで決めたルールを自ら守れなかったという意味で、ある意味で恥ずかしい不備であったと思いますし、「もんじゅ」に対する国民の皆さまの信頼を傷つけたという意味においては大変申し訳ないことであると反省しております。経緯を言いますと、最初は一つの検出器について、途中段階で変更がされたということが9月に分かりましたので、これを水平展開して、全ての機器において再確認をいたしました。その結果を11月27日に報告したわけですが、一万点にわたる機器の不備があったということで、点検時期の延長あるいは点検間隔の変更を行うという手続がなされてなかった。機器数でいきますと4万点ございます。計測機器ですと、センサー部があり、電送部分があり、表示部分があり、それぞれが部分部分で一つの機器に数えています。その機器についても、外観、絶縁、性能について点検の項目自体も分かれています。4年間にわたってみますと、データの数は、例えば4万×3×4という40万以上のデータを調べたわけです。その結果、1万以上ということになりました。この直後に保安検査を受けていて、検査官から実際のエビデンスの照合等を求められましたが、十分に対応できなかったということで、12月12日に保安規定違反を指摘され、二つの措置命令を頂きました。これに対応するために、再確認を全社体制で行いまして、同時に保全に関する専門家、QAに関する専門家から成る検討委員会を設置いたしまして、我々の調査の方法や対策について御議論いただいて1月31日に規制委員会に報告させていただきました。原因については、別添におおまかに書いてございますが、第1保全サイクルと第2保全サイクルで期間の考え方が変わっていたことが徹底できなかった、あるいはそれをチェックする仕組みが機能しなかった、工程の変更と点検の計画について横串を通したチェックができていなかったということも反省点としてあり、再発防止をやっていこうと思いますが、数が多いものに対する対応が不十分であったと思います。その後、規制庁の立入検査、保安検査があり、31日に報告したもの以外に数の間違いがあったり、機械保修課の方でも過去の点検時期の超過があり、公表したということであります。ただ、これまで不備が認められた機器については、プラントの安全性に問題がないことは先ほど申し上げましたように評価しているということでございます。我々としましては点検時期の延長をしているのですが、速やかに点検していくこととしておりまして、Class1の機器は終わっております。ただ、機能要求のある機器でそれ以外2割ぐらいは残っておりますので、速やかに点検を実施しくことで進めております。今後の対応でございますが、本件は運転保守の重要性の議論がございましたように、この問題は経営課題と考えて、4月1日以降、体制、経営の関与強化、プラント保全部の要員の大幅な増強、村上委員の御指摘のように電力さんからの経験者を投入して強化していきたいと思っております。それから2番目のポツにありますように、点検未了のものについては、点検実績の精査、確認を行いながら本格的に点検を実施していきたいと思います。最後になりますが、31日に報告をしたわけですが、更に追加的な原因を再確認し、再発防止対策も行動計画という形にまとめて組織的に取り組んでいきたいと思っております。

【山名主査】委員の皆さま方、この件に関して御意見ございますか。

【笠原委員】規制庁の方で、こうやって、事業者側の方から提案していく方向はよい方向だと思いますが、実効的な効率的な提案をやっていただければと思います。数も増えていっているので、このままの延長でやるとますます大変になるかと思います。

【廣井理事】人間が扱える数は限りがあります。計算機のシステムを導入するとか、考え方の整理がまだ十分できてなかったという反省がございます。保全学会でも委員会を3年ほどやっていただいており、成果を取り入れて、山口委員の御指摘にありましたように、腰を据えてFBRの保全を作り上げていきたいと思っております。

【稲田委員】軽水炉の方は今までの経験もあって、こういう管理ができていると思いますが、これが「もんじゅ」ということで違った面はあるのでしょうか。

【廣井理事】似た面と違った面がございまして、この点検不備はそもそも最初は中国電力さんで似たようなことがあり、東電さんでもあったものです。点検時期の超過した機器は止まっている電気計装が多い点も似ています。止まっていますからプラントは安全ではないかという意識がありますし、点検の間隔は目安であって、一月くらい延びても、という感覚は似ている面です。違っている点は、軽水炉の場合は燃料を全部、ぼっと出して全ループで点検できます。常に2ループを保持しようとするといちいちループを切り替えていかないといけないとか、制御棒をいじっているとき、液位を確保するために、3ループ確保しないといけないとか、点検を制約の中でやらないといけないというのが、私自身不勉強で、今回、気付かされたと言う感じでございます。

【山名主査】他にいかがでしょうか。

【稲田委員】その辺も含めてノウハウを構築していかないといけないということになりますね。

【山名主査】村上委員どうぞ。

【村上委員】時間がないのでどうしようかと思ったのですが、一つだけ。高速炉は軽水炉と違っていろいろ制約があるとおっしゃいましたが、元事業者として言えば、タイプは違いますが、軽水炉でもあります。保安規定には、ほとんど干渉寸前のものがあって、例えばAMDとか干渉寸前のものがあって。干渉を続けながらも保全計画をぎりぎりのところで立てて実行しているのが電力です。それでも何年に一回はやらかして監督官庁に報告して勧告を受ける。システムの制約や違いは、言い訳にはならないと思います。電力では同じような制約を受けながら事業をやらなければならないということで、お客様に電力を届けないといけないというプレッシャーの下でやってきたことが、「もんじゅ」で同じことが同じ条件でできないわけはありません。

【廣井理事】全く、拝承でございます。

【山名主査】いかがですか。よろしいでしょうか。我々、作業部会は「もんじゅ」という装置を使って、どういう研究をやるべきかをクリアにするタスクを負っています。したがって、我々は技術的な面で、今まで見えなかった部分を明確にするという努力を続けております。一方、当然JAEAさんとしての、ある種の施設を運営していくという行動と、規制に対する要求に応じるという一つの義務がありまして、それはもちろん不可分ではないわけです。技術のことはピュアに考えますが、当然、技術はこういう要請に応じるという基盤の上に立ったものであります。作業部会としても、こういう事態が生じたことは極めて残念ですし、水を差されたという気分ではあります。ただ一方、この事象をもって、我々が進めている技術的検討が何か変わるということはないと考えています。我々は徹底して「もんじゅ」の在り方を議論していきます。ただし、それを運営するJAEAさんの体制の議論や、JAEAさんに対する社会の信頼という議論は別途あります。そのときの議論には当然影響してくることになります。そういうことで御自身の努力でしっかりとした体制をもう一度、組み上げていただいて、今、我々が取り組んでいる技術の再検討というピュアな技術に影響がないように御努力をお願いしたいと思います、是非、よろしくお願い申し上げます。時間超過しましたが、最後に事務局からございますか。

【西條核燃料サイクル室長】どうもすみません。ちょっと時間を経過して、ありがとうございました。本日頂きました御意見を踏まえ、必要に応じて事務局から連絡させていただきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。また、今回会議の議事録案につきましても毎回同じように出来次第、メールにて御相談させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【山名主査】それでは、以上で、第7回もんじゅ研究計画作業部会を終了いたします。ありがとうございました。


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