原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成24年11月8日(木曜日) 13時00分~16時00分

2.場所

文部科学省東館16階特別会議室

3.出席者

委員

山名主査、稲田委員、大島委員、笠原委員、北田委員、黒崎委員、村上委員、山口委員

文部科学省

藤木文部科学審議官、田中総括審議官、戸谷研究開発局長、大竹研究開発局審議官、生川原子力課長、西條核燃料サイクル室長

オブザーバー

廣井日本原子力研究開発機構理事、弟子丸日本原子力研究開発機構高速増殖炉研究開発センター所長代理、佐賀山日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発部門長、安部日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発副部門長

4.議事録

【山名主査】  定刻となりましたので、ただいまから第2回もんじゅ研究計画作業部会を開きたいと思います。皆様方、本日は御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして、ありがとうございます。報道の方で撮影等おありの方は今お願いしたいのですが、おられますでしょうか。おられませんね。はい。それでは、これより議事に入りたいと思います。
 本日の議題ですが、御手元の議事次第に書かれているとおりでありまして、もんじゅ等の計画の策定についてでございます。
 それでは、まず事務局から出欠の確認と配付資料の確認をお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】  それでは、事務局の方から出欠の確認と配付資料について御説明いたします。
 本日は9名中8名の委員に出席していただきます。ただ、大島先生が少し遅れているようです。永井先生が御欠席ですが、9名中8名出席していただいていますので、定足数である過半数を満たしております。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 御手元の配付資料ですが、資料1-1といたしまして、「もんじゅの研究計画の策定における基本的考え方」、資料1-2、「第一回会合における主な意見及び論点」、資料1-3といたしまして、「「もんじゅ」が達成すべき事項及び具体的な研究計画」、資料1-4といたしまして、「廃棄物の減容・有害度の低減のために「もんじゅ」等を活用して行うべき研究開発について」。以上の4点が本日の資料となっております。
 それから、参考資料1といたしまして、「研究計画策定に向けた検討事項」、それから、参考資料2といたしまして、第1回の資料ナンバーでいいますと、4-2、「高速増殖炉サイクルの研究開発の従来の計画及びこれまでの成果について」、原子力機構さんの方から御説明のあった資料ですが、こちらに一部誤りがありましたので、資料の正誤表を参考資料として付けさせていただいております。
 資料の欠落等ありましたら、事務局までお知らせください。議事の途中でもお気づきの点等ございましたら、遠慮せずにお申しつけください。
 また、本日は一般の傍聴者の方から、会合の模様を収録して、ユーストリームを使って配信したいとの御相談がありましたので、もんじゅ計画作業部会公開の手続に基づき、会議の妨げにならないことを条件に固定カメラで録画を許可しておりますので、御了承ください。
 以上でございます。

【山名主査】  皆さん、よろしゅうございますか。
 それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。
 前回と同じように、文部科学省の方、それから、原子力研究開発機構が用意しました資料の説明を聞いた後で、質疑、議論を行うということで進めさせてください。
 それでは、第1回の議論を振り返るために、事務局から第1回会合における主な論点等について説明をいただきたいと思います。お願いします。

【西條核燃料サイクル室長】  それでは、まず資料1-1、1-2に基づきまして御説明いたします。
 まず資料1-1ですが、「もんじゅ」の研究計画の策定における基本的考え方、前回御議論いただいたものですが、前回の議論の中で一部、先生方から御意見をいただいたところで、一部修正をしております。修正箇所につきましては、まずいただいた御意見の反映ということで、三つ目の丸ですが、「このような観点より」というところがありますけれども、その中で下のポツが二つありまして、「高速増殖炉プラントとしての」というところと、「廃棄物の減容及び有害度の低減」と、この二つがありますが、上の方につきましては、最後に、前回は「成果の取りまとめに向けた研究開発の場」となっていたのに対して、下の部分の「廃棄物の減容」のところにつきましては、「中核的な研究開発の場」ということで、こちらの方、上の「高速増殖炉プラントとして」も中核的ではないのかという御意見いただきましたので、これは反映させていただいて、両方とも「中核的な研究開発の場」という形で修正させていただいております。
 それともう一点、二つ目の丸ですが、これは文章上わかりづらいということで、修正させていただいております。今、「これに加え、重要な視点」と書いてありますが、前回、「従来から重要な視点」と書いてありまして、最後のところが「より重点を置く」と。その「より重点を置く」というのが、本来、「従来より重点を置く」という意味で書いてありまして、ここは文章上の修正だけさせていただいております。
 基本的な考え方につきましては、以上でございます。
 それから、資料1-2の方に、「第一回会合における主な意見及び論点」ということで、こちらの方は前回、自由討議の際にいただいた御意見、論点を事務局で整理させていただいた資料となっております。
 まず「高速増殖炉開発の成果の取りまとめについて」ということで、1.で「発電システム」、これは5点、論点、意見をまとめさせていただいております。
 一つ目が、まず廃棄物減容のための照射の場としてのみ活用するのであれば、発電機能というのは必要ないのではないかという御意見をいただきました。これに対して、発電機能の確認は、高速増殖炉開発の初期の重要な目的の一つであるという御意見。それから、三つ目の丸につきまして、「もんじゅ」は原型炉として何をすべきなのか、ここをしっかりと議論すべきという御意見。それから、その発電については、フルパワーでずっと発電し続ける必要はないけれども、発電機能の実証というのは、高速増殖炉プラントシステムとしての成果として、これがなし得るかどうかというのは重要な要素の一つだという御意見。それから、高速増殖炉プラントとして、ウラン燃料の活用、それから、発電とか廃棄物減容など多様な目的の研究に対応できる場であるということが重要という御意見をいただいております。
 それから、二つ目に、「運転保守・トラブル経験」関係として、4点まとめさせていただいておりますが、「運転保守」などのデータは技術成立性とは少し違う観点ではあるけれども、大切な成果であるということ。それから、東電原発事故の後、軽微なトラブル経験を通して想定されていなかった弱点を探し出すことも重要であって、こういったものの安全研究については、シミュレーションだけではなく、実際にやってみることが必要であるという御意見。それから、バグ出しのミッションが重要であるとすれば、トラブルに対応した「もんじゅ」の改造も行っていくこと、これは海外の事例も引いた上で行っていくことがあるのではないかという御意見。それから、東電事故を踏まえると、今までのように事故を未然に防ぐという考え方より、事故が起こったとき、どう収束させるのかというアクシデントマネジメントが大切になってくる、そういう視点での使い方も大切という御意見をいただいております。
 それから、三つ目の成果の取りまとめの方法として、キーワードとして、「knowledge management」、日本ではこういった知見を取りまとめるということがうまくいっていないと、この認識をもってしっかりと議論すべきという御意見をいただいております。
 また、「その他」のところとしては、「技術成立性」という中には当然「コスト」の視点も入れるべきではないかという御意見をいただいております。
 2ページ目の方に参りまして、「放射性廃棄物の減容・有害度の低減」として、7点ほどいただいております。
 まず「もんじゅ」は、高速炉における唯一の研究用照射場というのが国際的な認識であって、他国との協力を戦略的に進めるべきではないか。また、シミュレーションだけではなく、実際に燃料を製造して原子炉で照射して初めて原子炉の中で実際に何が起こっているのかということがわかるんだと、そういった意味での「もんじゅ」の役割が大きいということ。それから、実燃料集合体とかMAの照射試験がどのくらい重要なのか、効果はどのくらいなのかと、そういった視点で議論をすべきだという御意見。それから、「もんじゅ」のみならず「常陽」の復旧の見通しを示すべきと。特にその点は照射試験を行っている研究者の立場、利用する人の立場としては、炉が定常的に安定的に運転されていると、こういうことが大前提になるので、それと絡めて「常陽」の復旧というものの見通しをちゃんと示すべきという御意見。それから、「常陽」と「もんじゅ」のデマケについて教えてもらいたい。それと、照射という観点でどういう特徴を「もんじゅ」が持っているのか、世界中の炉との比較の観点で教えてもらいたい。それから、燃料照射実績について、次回改めて説明してもらいたい。この下線部を引いております3点につきましては、宿題事項として、本日御手元にあります資料1-4の中で回答をここの方に用意していただいておりますので、後ほど御説明があると思います。
 それから、次、「国際協力」についてですが、海外協力については、まず優先度をどうするのか。特に日本の税金でつくった「もんじゅ」というものは、まずは国益にかなうことが当然の前提になると、こういった視点で議論すべきと。それから、形式的な協力というのではなくて、しっかりと中身のある研究について協力をしていくことが重要という御意見をいただいています。
 それから、最後に年限についてということですが、わりと短期的な計画となるとは思うんだけれども、高速増殖炉開発における我が国から世界への貢献、次世代への継承、こういったものをしっかりと考えた計画にすべきという御意見。それから、いかなる研究開発も、終了しないというものはないのだけれども、この「もんじゅ」を1施設という観点ではなく、原子力研究開発の大きな流れの中で、「もんじゅ」を何をどこまでやるべきか、こういったものを議論すべきという御意見をいただいております。
 以上、前回の自由討議等を通じて、いただきました意見、論点をまとめさせていただいた資料です。本日の議論の際にも参考にしていただきたいと思います。以上です。

【山名主査】  御説明ありがとうございました。
 大島委員がおいでですが、第1回御欠席でした。一言御挨拶をお願いします。

【大島委員】  第1回は出席することができず、本日も前の会議が長引き、遅れまして大変失礼いたしました。
 私は現在の専門は機械工学ですが、学生時代は、博士課程まで原子力工学科におりました。当時は、流体の冷却材の流れの解析などを数値解析で行っておりました。何らかの形で本委員会に貢献することができればと思っております。よろしくお願いいたします。

【山名主査】  ありがとうございます。それでは、事務局から説明のありました基本的考え方と第1回の論点について御意見がありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。前回御意見頂戴した先生方、いかがでしょうか。
 それでは、よろしゅうございますね。大体皆さん認識は共有できているというように思いますので、この論点と基本的考え方をよく頭の中に置いて、これから議論を始めたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、前回予告しましたように、今回は「もんじゅ」が一体何をやるべきかというところについて、主な議題としております。これにつきましては、原子力機構の方にまず説明をいただくということで資料を用意していただいていますので、機構の方から30分以内、時間厳守で御説明をお願いいたします。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】  では、資料1-3に基づきまして、「もんじゅ」で何をすべきかというところの御説明をいたします。
 資料は本文と、それから、参考資料になっておりまして、幾つか設備の内容が出てまいりますので、御手元の添付資料-1の17ページ、18ページ目に主な主要機器を書いております。時間の都合上、詳細な説明ができませんので、そのあたりのページを見ていただきながら、私の説明を聞いていただければと思います。
 では、1ページ目をごらんください。「もんじゅ」の計画の検討の流れでございますが、先ほど議論いただきましたように、今回の研究計画における「もんじゅ」の役割というのは二つ提示されています。一つが、高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認等の高速増殖炉の成果の取りまとめに向けた研究の場ということです。2番目は次に御説明いたします。
 今回は、その丸1の成果の取りまとめに向けた研究開発について、第1回作業部会でいただいた御意見、論点を踏まえまして、以下のように検討を進めています。
 一つは、2ページ目をごらんください。従来の研究開発体系ということで、下の2ページ目ですが、従来の研究開発体系といたしましては、プロジェクトの進行に伴う時間軸を意識して整理しております。例えば性能試験、原型炉技術評価というのは、時間軸ですね。性能試験の実施から、原型炉技術評価という形で、時間軸を意識して整理してきておりました。今回はその成果を取りまとめるに当たりまして、「もんじゅ」で出すべき項目を明確にするという観点で、技術領域ごとに整理し直したということで、2ページ目をごらんになっていただきますと、炉心・燃料技術、機器・システム設計、それから、ナトリウム取扱い、プラント運転・保守、東電福島事故等を踏まえた安全機能確認・評価技術というところで整理をしました。
 また、先ほど御説明しましたように、その東電の安全性の関連技術の検討を新規ミッションとして取り入れております。
 1ページ目をごらんになっていただきますと、下から二つ目のポツでございますが、これから御説明します「もんじゅ」の特徴と、それから、研究開発の優先度というのを考慮いたしまして、実施すべき研究開発項目を分類整理しております。これらの整理に基づきまして、「もんじゅ」の役割に沿った技術分野ごとの研究開発計画を提案するものであります。
 まず3ページ目に、「もんじゅ」の特徴でございます。それから、それに基づきます主な役割ということで整理をしてございます。3ページ目が炉心・燃料技術。詳細は後の議論の中でもあるかと思いますので、かいつまんで御説明いたします。
 炉心・燃料の上で見たときに、「もんじゅ」の主な特徴といたしましては、中規模の増殖炉心ということでございますし、丸2にありますように、アメリシウムが蓄積した燃料組成ということです。これはその下にありますように、「もんじゅ」のプルトニウムが軽水炉から回収されたものというところから来たものでございます。また、実用炉燃料サイズの照射が可能というのはございます。
 そのような特徴を踏まえますと、次のような「もんじゅ」の役割が考えられます。当然ですが、炉心の特性を確認するということでございますので、具体的には炉心特性データ、a.にありますように、過剰反応度等の炉心特性データを取得すると。なおかつ、初期炉心から平衡炉心で、ある程度燃焼の依存のあるデータがありますので、そのあたりのデータを取得して、いろんな管理手法を役立てるということがございます。また、プルトニウム241は半減期が短いものでございますので、このような短いものをうまく管理する。つまり、ある程度時間がたつと反応度が減ってくるというのがございます。運転しなくてもですね。そのあたり、運転期間と停止期間の関係でどういう形での管理が適切かというところも重要なデータになってまいりますし、経年的に見ますと、集合体の出口データですとか、増殖比で見ますと、ブランケット燃料、それから、燃料集合体の組成の確認というものも「もんじゅ」の大きな役割かと思います。
 3ページ目がそのようなものでございまして、4ページ目が機器・システム設計という目で見たときの特徴と、それを踏まえた「もんじゅ」の主な役割。つまり、どんなことをやらないといけないかという観点での整理でございます。
 機器・システムの設計技術で見ますと、先ほどの図で幾つか機械が出てまいりますが、「もんじゅ」は、丸1にありますように、メンテナンス性や耐震性で優位な面を持ちますループ型の発電炉でございます。これは米、独で開発をしてきたわけでございますが、現存して、「もんじゅ」が世界で唯一のループ型冷却システムの実証に貢献できるものであるということでございます。
 具体的には丸2、丸3の、少し分解しますとそういう形になってまいりますが、一次系、二次系、三次系から構成されましたこの三つが連携して制御されるシステムというのが「もんじゅ」の特徴でございます。
 また、「もんじゅ」の特徴の機械の中には、18ページ目に飛びますけれども、蒸気発生器でいきますと、ヘリカルコイル型。それから、大容量ではありますが、一次系のポンプ、中間熱交換器というのがございます。スペックの詳細は、申し訳ないですが、42ページから41ページ目以降ですね。スペックのデータが書いてございます。この中には具体的な数値を持ってこのあたりの特徴が記載されております。
 4ページ目の上の丸3に戻りますと、あわせまして、燃料交換システムというのも我が国独自で開発したものでございます。構造がシンプルでございまして、そのあたりの取扱いシステムというのが「もんじゅ」の特徴的なものでございます。
 また、丸4にありますように、計測系につきましても、ループ型特有の核計装、これは炉心の配置から、若干炉心の外側にある核計装でございますので、このあたりの配置。それから、破損燃料検出系のやり方、あと発電プラントでございますので、蒸気発生器を持っております。それの水リーク、伝熱管が破損した場合、水が漏れてくるわけでございますが、その検出系については特徴的なものがございますし、ナトリウム漏えい検出系は、「もんじゅ」は微少漏えいから大漏えいまで検出できるような新しいシステムで、微少漏えい検出系のシステムを持っておりますので、そのあたりが特徴的なものでございます。
 このような特徴を踏まえますと、「もんじゅ」が果たすべき役割として、4ページ目から5ページ目に示していますように、主には五つぐらいの項目があります。一つが4ページ目の丸1にありますように、プラント応答特性の確認です。先ほど言いましたように、一次系、二次系、三次系というものがありますし、一次系、二次系は3ループ、三次系はあるところで一つのループになっているというところで、そのような三つの系統が連携したプラントの制御系については「もんじゅ」でなければとれないというものがございますし、それからとられました設計手法、特に前回御説明しましたように、4ページ目の下にありますように、高速炉の場合ですと、熱の輸送ですね。熱がどのように伝わるのか、温度がどう変わっていくのかというのがすごく大事なデータでございます。このあたりのデータをとっていくということが必要ですし、それらを踏まえた設計手法の検証等が与えられた大きな役割だと思っております。
 5ページ目は、残りの4項目ほどを書いてございます。「設計通りの100%出力運転の達成」ということで、当然、発電プラントでございますので、前回の御議論にもありましたように、発電を達成しまして、計画どおりの出力を出すということがまた大きな役割でございます。この中には、発電機、補機冷却系などの補助システムを含めたプラント全体の動作確認を行った上で、100%に持っていくということが必要になってまいります。また、安定的に発電を継続できるということも示すことが必要です。
 丸3でございますが、先ほど言いましたように、幾つかの特徴的なナトリウム機器を持っております。これの機器、蒸気発生器でいきますと、初期の運転を通しまして、流動安定性を確認し、それから、その後の経年的な変化を確認すると。特に蒸気発生器、それから、中間熱交換器につきましては、初期データに加えまして、経年的な熱交換器特性を把握することが重要でございますので、そのあたりの確認をするというのも役割だと考えております。
 また、ポンプにつきましては、大容量のポンプでございます。機械式のナトリウムポンプでございますので、この振動特性を把握した上で、その経年的な傾向も確認する必要があるというふうに考えてございます。
 丸4は、先ほど御説明しました燃料取扱いシステムでございます。詳細は、燃料交換システムについては、後ろの方に書いてございます。具体的に言いますと、28ページ目ぐらいに詳細な図面が書いてございます。比較的、直動式のわりとシンプルな構造になっておりまして、28ページ目をごらんになっていただきますと、右にsuper phenixの例があります。このような例、A型といいますけど、燃料を輸送する系統が「もんじゅ」の場合ですと上下に動くと。それから、super phenixの場合ですと、ナトリウムの蒸気中にあり、ナトリウムの蒸気がかかる可能性があるということで、なかなか信頼性が向上できないというのもありますので、このあたりは「もんじゅ」の特徴的な交換システムを持っております。
 そのあたりが5ページ目の丸4の下の方に書いてございまして、燃料交換とか燃料洗浄を踏まえた性能の確認と同時に、あわせまして、これは作業期間ですね。停止期間に結構影響を与えますので、交換作業の信頼性、それから、交換期間をいかに短くするかというところが運転ノウハウ並びに設計改良のポイントでございます。
 また、燃焼を経て、変形の大きな燃料を取り扱うというところのデータも重要でありまして、5ページ目の丸4の下の矢羽根にありますけども、そのようなデータが重要であります。
 ここで1か所、ミスプリがございまして、「機器の遠隔自動動作性」と書いております。すみません。「遠隔自動操作性」です。「操作」と、ここでミスプリがございました。申し訳ございません。「におけるナトリウム蒸気の影響なども確認」するということでございます。
 5番目につきましては、計測制御系で先ほど御紹介しましたように特徴があります。主には炉外に設置しております核計装、高速炉の場合ですと、当然炉外なのですが、中型のループ型でございますので、横につけてございますけれども、その核計装の検出能力、それから、破損燃料検出系につきましても、「もんじゅ」独特なものを持ってございますので、この性能試験とか、本格運転を通じて確認するということが必要であります。
 検出系の中でも、蒸気発生器の水リークの検出というのはわりと重要な項目でございます。ナトリウム漏えい検出系についても、「もんじゅ」の特徴であります微少漏えい検出系を持っておりますので、このあたりの安定的なデータを確認するというのが役割かと思っておりますし、また、このような高速炉特有の水リーク、それから、ナトリウム漏えいに対して、どのような管理をやっていくのか。運転側で何をポイントに確認していくのかというところのノウハウの蓄積が大事だと思っております。また、検出系につきましては、経年劣化の経年データをとるということが当然重要でございます。
 以上がナトリウムの機器・システム関係でございます。
 6ページ目でございますが、ナトリウム取扱いということで、これはありますように、ループ型の炉でございますので、この検査技術、それから、ナトリウム関係の管理データが取得可能であります。これを踏まえまして、6ページ目にありますような、特に検査技術ですね。これにつきましてはループ型の高速炉が「もんじゅ」だけでございますので、この「もんじゅ」の検査を通しまして、検査機器の開発をするということは我々としては相当重要ではないかと考えております。必要な役割だと考えておりますし、ナトリウム管理技術の確立の上で見ますと、性能試験及び本格運転を通じまして、データを取りまして、特にナトリウムの場合ですと、純度管理が重要なものでございます。そのために純度を維持するために使いますコールドトラップという機械ですね。このあたりの機械のデータも含めて、その管理技術を確立するということが役割だとも考えておりますし、ナトリウム蒸気による機器への影響ということで、ナトリウムの場合ですと、「もんじゅ」の場合は530度の運転の範囲ですけれども、沸点が800度なのですが、やはり500度を超えますと、相当なナトリウム蒸気が、ある程度のナトリウム蒸気が出てまいります。これが機器にいろんな影響を与えますので、このあたりの影響データを取っていくというのが必要かと思います。
 また、配管の中のナトリウムの放射化物の挙動データ、これにつきましても、特にプラントの運転、点検・補修という目で見た場合、特に点検・補修の観点では被ばくデータ、被ばくの評価、どの程度の被ばくをするのかと、そのあたりの設計も重要なデータになってまいりますので、このあたりのデータの取得が主な役割だと考えております。
 7ページ目をごらんください。4番目のプラント運転・保守技術でございます。これは同じようにループ型の発電炉ということで、これと併せて国産ということでございますので、主な役割といたしましては、5項目ほど挙げております。
 丸1番目がやはり国産でやっているということを含めまして、運転・保守を自ら行いまして、その結果の検討も含めて取りまとめると。つまり、その設計段階から我々はやっているわけでございますので、その対応も含めて大きな蓄積ができると考えております。
 丸2番につきましては、ループ型の保守管理技術、これは前回も御説明しましたように、発電プラントというのは相当大きな機器、設備がございます。多数の機器、設備がございますので、それをいかに効率よく保守していくのかという点で、特にどのような観点で劣化していくのか。保守データがどういうのが取れるのかというところが必要です。また、それらを踏まえて、保全内容、特に点検の頻度、項目を最適化していくということを行っていきます。これらはいわゆる保全活動のPDCAという中で、我々としては保全の内容を最適化しているわけでございますが、こういう活動を通しまして、特に二つ目の矢羽根にありますように、初期故障フェーズの保守経験を反映した保全計画。また、ある程度運転しますと、初期故障をある程度克服しますと、その後はランダム故障フェーズに入っていくわけでございますが、そのあたりの経験をした保全計画というのをつくっていけると考えております。
 丸3番につきましては、前回の委員の先生方からの御指摘もありましたように、運転していく中で経験するトラブルということは大変重要な知見でございます。これに対する対応、あわせまして、丸3の下にありますように、その補修技術というのはまた大きなノウハウ、知見でございます。特にナトリウムでございますので、アルゴンガス環境下で行うナトリウム系の機器の点検、保守・補修の開発というのは我々として大きな知見になると思います。これはトラブルを起こさないのが当然でございますが、起きた場合の対応として、それを通してそういうのが蓄積されていくと考えております。
 丸4番は定期検査ということで、発電プラントでございますので、定期的な点検を行っていきます。多数の機器の定期的な点検の計画を立てていくということで、特に軽水炉に比べまして、アルゴンガス系とか予熱系など系統が多くございますので、そのような計画を整備していくというのが必要かと思います。
 あと丸5番は前回少し御紹介しましたが、運転を通しまして、性能試験の結果とか経験を通しまして、より合理的な運転手法、特に二つ目にありますように、水漏えいとかナトリウム漏えいに対しましては、その特殊性を考慮しまして、いわゆる発電所としての規則であります保安規定とか具体的な運転手順書を整備していくというのは、その経験を通していく中で具体的な知識として蓄えられていくというふうに考えております。
 8ページ目の5)は、これは新たに追加しました、東電福島事故を踏まえましたシビアアクシデントの対策ということで、特に丸1にありますように、ループ型でございます。これはタンク型よりも高い炉心崩壊の除去能力を持っておりますので、このあたりを確認すると。また、前回の御指摘にもありましたように、具体的なシビアアクシデント対策を発電プラントで実践するということは、我々ができる重要な特徴でありますし、また、我々がそれを通して、高速炉のシビアアクシデント対策をまとめていくというのは我々の役割だと思っております。
 主な役割の丸3番にありますように、現在、機構もあわせて行っております安全設計基準ですね。このあたりのためのデータを提供するということも我々の役割かと思います。また、これらの経験というのは、国内炉を含む将来炉の参照の知見として提供することが可能だと考えております。
 このような「もんじゅ」の役割、特徴を踏まえた役割というのを整理しまして、各々9ページ目に、いろんなデータが出てくるわけでございますが、どういう観点でデータの重要度をつけてみるかということの一つのやり方として我々として考えてみたのがこの9ページのやり方でございます。9ページ目にありますように、「もんじゅ」から今までの特徴とか役割を用いまして、「もんじゅ」から得られるデータにつきまして、技術の維持・継承の寄与度、つまり、高速炉技術を維持する、それから、継承するという観点で、それに寄与する重要度という観点で我々が選んだのが、一つは、その下にありますように、ループ型高速炉に特有あるいは枢要な技術であるかどうかと。それからまた、国際的に高速増殖炉技術として評価されるものかという観点で、その重要度をチェックしようということにしました。
 それからまた、その後は、「もんじゅ」でだけ取れるのかどうか。「もんじゅ」でなくても取れるんだけど、「もんじゅ」でとった方がより効率的かどうかという観点で整理をしたものでございます。
 また、あわせまして、データを取るのにどれぐらいの期間が要るのかということも含めて分類をしてございます。このような分類をしまして、9ページ目の右のSからA、B、Cという形で、これはいわゆるデータの持っている意味づけですね。これを整理したものでございます。こういうような形で整理をして、具体的にどんなものかというのを12ページ目以降にお示ししますが、その前にやはり研究を進めるに当たっては、幾つかの前提条件がございます。
 10ページ目にありますように、どういう形の運転をしていくんだと。御意見の中には、ちゃんと運転しなさいよというのもあります。そのためには、運転パターンについてと書いてありますように、原型炉としての成果を確実に取得するために、十分な保全を行うと。あわせまして、計画的な運転をやっていこうということが重要だと考えております。「もんじゅ」といたしましては、故障の克服とその経験蓄積を行うことも重要な役割だと考えておりますので、十分な保全を行う期間として8か月程度考えております。1サイクル運転で8か月程度の点検を行うというパターンを想定して、考えていこうということにしています。
 また、供給される燃料ですが、「もんじゅ」の運転に必要な原料プルトニウムにつきましては、現在、東海で持っている分離済みのプルトニウムも持っておりますので、これを優先して用いるということで計画してございます。
 また、許認可につきましても、取りまとめは年限を区切って行うことということになってございますので、現行の許可範囲内で実施することを前提として考えております。
 また、11ページ目でございますが、前回の説明の中で、前回、炉心確認試験の起動が2か月ほど延びたということで御説明しました。やはり次回も再開に当たって、幾つかの検討すべき事項がございます。11ページ目で示していますように、現在まさに研究計画を策定されております。これが大前提でございますし、設備の健全性が重要でございます。また、安全面につきましては、現在、改正規制法の対応がなされております。これらも踏まえまして対応していくのかなということもありますし、あわせまして、耐震の評価につきましては、幾つか破砕帯とか断層の連動性の審議も行われておりますので、このあたりの確認が必要かと思っております。このような幾つかの検討を確認すべき事項もあります。これらも留意点ということで挙げております。
 先ほど言いましたように、12ページ目以降ですね。今の「もんじゅ」の特徴、それから、役割を踏まえて、なおかつ、ある程度重要度を考えておるのが、その12ページ目からの表でございます。時間の関係でザーッと御説明いたします。
 主な項目として挙げていますのが、12ページにありますように、炉心・燃料技術では、高次化した組成の炉心の特性、それから、燃料の挙動でございます。機器・システムの設計につきましては、ループ型炉プラント・機器性能確認というのがあります。ナトリウム取扱い技術は検査技術。それから、プラント運転・保守につきましては、その検査技術の確立と同時に、運転管理技術の確立というのが出てまいります。体系化が出てまいります。あと、東電福島事故を踏まえたアクシデント対策につきましては、特に自然循環除熱性能の実証というのが必要かと思います。
 13ページ目は、各々の試験項目、御説明しております主な研究開発項目ごとに具体的などんな項目のデータが取れるのかということと、データがどの程度の時期に出てくるかというのを示したものでございます。時間の関係でかいつまんで御説明いたしますと、あと、区分の一番左でございますが、AとかSとあるのは、先ほど言いましたように、データの持っている意味づけとしましては、こういう、先ほど分類した形で意味づけがつけられると思いますので、それをつけたものでございます。
 あと、上からいきますと、高次化したPu組成の炉心特性につきましては、具体的には臨界特性とかいろんな反応特性、それから、熱流力特性などが得られますけれども、性能試験の期間、それから、ある程度、炉心の場合ですと、燃料が燃えていて、少しずつ変わっていきます。その初期炉心としまして、4サイクルぐらいの運転が必要でございますので、5サイクル目ぐらいにその一連のデータが取れるだろうと。さらに、それを繰り返すことで、平衡した炉心の特性が取れるだろうということで、5サイクル目とか8サイクルぐらいにデータが取れるだろうというところを記載してございます。
 それから、その同じその下でございますが、(取り出し)から矢印があって、星が書いてございます。これは照射後試験ということで、前回御説明、質問があったときに御回答したのですが、「もんじゅ」のオンサイトには、照射後試験施設がございませんので、大洗に持っていって、照射後試験をするというのが必要になってまいります。そのために取り出して評価をする期間ということで、取り出した後、データが取れるのはこれぐらいですということで、矢印と星で示してございます。
 また、先ほど説明した中で、ループ型というのは、現状では世界で唯一とれるデータでございますので、そういう目で見たときに、機器・システム設計技術というのは、我々としては是非、「もんじゅ」の役割から見ても、とって、なおかつ、まとめていく必要があると考えているデータでございまして、これにつきましては当然、性能試験で得られますし、その後の経年的な特性確認を継続して、ある程度、初期故障と考えますと、5サイクル程度の運転で、健全性を確認していくのかなという形で線を引いてございます。
 あと13ページ目は、同じような形で機器・システム、それから、ループ型の計測系の信頼性についてもそういう項目を挙げております。
 14ページ目につきましては、燃料交換システム、それからあと、機器・システム、設計技術のCという項目でございますが、具体的には先ほど分類しましたように、原子力で使われている一般技術というのが、当然、「もんじゅ」でもたくさん使われております。これの性能につきましても、性能試験の期間にはデータが出てまいりますし、100に持っていくためには必要なデータでございますので、とった上で、経年的な特性確認を継続するという形で整理しております。
 ISI、検査技術につきましても、記載のような形で定期検査について適用しながら改良を重ねていくというふうに計画を考えております。
 ナトリウム取扱い技術につきましても、初期のデータから運転を継続することで必要なデータが出てまいりますし、特に14ページ目の下の注意書きに書いてありますように、半減期の長いものにつきましては、ある程度年限がたたないとデータが取れないというのがあります。
 説明が遅れましたが、国際協力という観点での説明も少しこの中に入れておりまして、ここにありますように、「◎」でありますのは、「国際協力の実績がある又は有望な項目」でございます。あと、「国際協力の可能性がある」ということで、これから幾つかの可能性を打診するという項目、可能な項目ということで、「○」で挙げております。このような項目が国際協力の課題になってくるかと思います。
 15ページ目は、そういう形ではループ型の運転保守、それから、運転管理技術の体系化ということで記載をしております。
 あと、トラブルの知見につきましては、どのようなトラブルが起きるかというのによりますので、実際にはBとしておりますが、高速炉に本当に必要な貴重なデータが取れることもありますので、幾つかのいろんな対応が必要だと思いますが、そういう形で分けております。自然循環につきましても、性能試験で取った後、評価をするということですし、安全性向上につきましても、具体的には性能試験に向けて、安全性向上の評価を行っていくということでございます。資料としての御説明は以上でございますが、御議論の中で多分使うと思われますのが添付資料-1でございます。具体的に試験の内容について、添付資料-1で展開をしてございます。それが1ページ目から、17・18ページ目はいろんな機器の特徴を書いておりまして、39ページ目まで具体的な内容が書かれております。また、海外との比較というのがありますので、40ページ目から具体的なスペックですね。数値についての比較を40ページから46ページまで書いております。ループ型、タンク型の比較も書いてございます。
 あと、これまで蓄積しましたトラブルの克服と、それから、今後に向けての我々がどういうトラブルの未然防止の取組をしているかということも、併せて54ページ目以降に記載をしております。
 若干、過ぎたかもしれませんが、説明を終わらせていただきます。以上でございます。

【山名主査】 時間厳守、どうもありがとうございました。
 説明は以上でございますが、きょうは、このテーマは主要議題でございまして、徹底して御意見を伺うという予定でおります。
 議論が混乱しないように、まずは今お話しいただいた内容の事実関係の確認、中に書かれている中身について質問がございましたら、まずそれをお受けしようと、こう思っております。いかがでしょう。書いてあることの意味がわからないとか、説明が必要である方はどうぞ挙手をお願いします。黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 ちょっと確認させていただきたいのが9ページにある「もんじゅ」の利用優先度で色分けされていますよね。この色分けと、それと、12ページ、すみません。13ページ以降ですか。13ページ以降のいろんな項目とスケジュールが出ているのですが、この色分けとこのスケジュールの関係というのはどうなっているのか教えていただきたいのですけれども。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 我々、運転並びに試験等をしていろんなデータが得られます。では、そのデータがどんな意味づけを持っているのかということを分けてみたのが9ページ目でございまして、そのデータをとるために実際にどんな試験を行っていくのか、どんなことをやっていくのかと書いたものが13ページ目でございます。ですから、例えば13ページ目でいきますと、高次化したPu組成の炉心特性確認というのは項目として挙げておりますが、この得られるデータが例えば高速炉の開発にとって重要なのか、本当に「もんじゅ」でしかとれないかどうかというのを分けたのが9ページ目でございます。

【黒崎委員】 ということは、その13ページ以降の表に赤とかオレンジとか濃い青とかの色づけというのはできないということなのでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 すみません。左側にAとかSとか書いておりまして、ここに書いておりますように、そのデータの意味づけですね。これについては数字とか記号で書いておるところでございます。

【黒崎委員】 ただ、その9ページの絵でいくと、同じAでも赤とオレンジがあったりとかするので。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 そうです。詳細に見ますと、例えば9ページ目で少し説明をしなかったのですが、御指摘のように、AとBにつきましては何か所か出てまいります。これはAというのはいわゆる技術そのものです。それから、Aに書いてありますように、高速炉プラント開発に必要な技術かどうかという観点でしていますし、Bというのは、技術の補強データということで、ほかに幾つかあるんだけども、「もんじゅ」を使ってこういうのが取れていきますよという形で分けています。
 ですから、世界的に見てとか、ほかにあるかどうかという観点でAとBと分けていまして、なおかつ、左側で、「もんじゅ」で取れるかどうかというので、その9ページ目で分けておりますので、確かに御承知のように、御指摘のように、赤いAかBかというのは、細かく見ていけば、我々としては説明できるんですけれども、そこまで細かくは分けていないということでございます。

【黒崎委員】 わかりました。

【山名主査】 よろしいですか。きょうの議題は、その色分けなんですけど、いずれそこを明確に御説明いただくことになると思いますので、大事な指摘ですので、どうぞよろしくお願いします。
 ほかいかがでしょうか。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 2ページでございますけれども、「従来の研究開発体系」と「今後の研究開発体系」という、こういうふうに変わりますという絵だと理解したのですが、これは少し違和感ありまして、例えば前回の論点の整理でも、「発電プラントとしての信頼性実証」というのは重要なミッションであるというのが前回の論点の一番頭に書かれていまして、これを見ますと、左側はそういうようなミッションという観点で、「発電プラントの信頼性実証」、それから、「ナトリウム取扱い技術」、それから、「FBR実用化に向けた研究開発の場」という形で書いたと。
 右の図は、それを技術分野として展開していったと、そういうふうに理解をしまして、これは「従来」、「今後」という話ではなくて、基本的には左側が右側に変わったという絵ではないというふうに思うのですが、ちょっとそのあたりを確認させていただきたいと思います。

【山名主査】 御説明お願いします。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 今御指摘のように、左と右の関係でございますが、1ページ目に御説明していますように、従来ですと、わりと時間軸を意識しています。ですから、答えとしてはわりとこう、分け方が変わったというわけでございまして、分け方を変えたというものでございまして、その内容的に細かく、内容的に取捨選択したとかそういうものではございません。

【廣井理事】 補足させていただきますが、従来の「もんじゅ」の研究開発の目的は、「発電プラントとしての信頼性実証」と「ナトリウム取扱い技術の確立」という、そういう大きな二つの項目であったので、それをもとに展開したということで、今回、戦略でいただいています大きな目標というのは、この成果の取りまとめということと、丸2にあります廃棄物減容・有害度低減技術と、こういうことなので、この成果の取りまとめという観点で見るならば、技術領域で細分化した方が成果の取りまとめにとって整理しやすいということで、このように変えたということでございます。

【山口委員】 わかりました。そういう意味では、基本的には、左側の従来の図、こういう図を書いていたと。それに対して、高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認、成果の取りまとめという、そういうミッションを受けて、技術分野としての成果の取りまとめをする上で、右のような仕分をまた別に書いてみたと。それに加えて、右側の絵の5)のシビアアクシデントの話。それから、廃棄物減容・有害度低減、これが新たに2のミッションというものとして加わったということだと思います。
 そういう観点でいいますと、やっぱりこの図は少し誤解を招きやすいもので、そもそも高速炉プラントとしての成立性を確認する、あるいは成果の取りまとめを行うという着眼点が左の図と右の図で違うんだと思いましたので、その点少し誤解されないような研究開発体系として書いていただく方がよろしいかと思います。

【山名主査】 ありがとうございます。そうですね。これは、本来二次元になっている、マトリックスで書くようなものであるかと思うんですが、とりあえず取りまとめの項目、技術の項目として、1から5まで並べかえたと。
 山口先生、ここはよろしいですね。

【山口委員】 ええ。その辺は了解です。成果の取りまとめを見るという上で、右側の整理の仕方の方が、判断、評価をしやすいと、そういう趣旨だと理解しました。

【山名主査】 はい。技術項目としてはこういうふうに体系化したということですので。この両者の関係は少し念頭に置いていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。事実確認、いかがでしょう。黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 10ページ目なんですけれども、10ページ目で、その1サイクルの4か月と8か月ということで、運転4か月、点検8か月というふうになっているんですが、これは4と8にした理由といいますか。こういうふうにする必要があるんでしょうか。例えばもっと違うような、例えば3か月、9か月とか、5と7では駄目なのかなと思ったんですけど。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 一つは、1サイクルの運転というのは、もともと「もんじゅ」の燃料の制約から来ていまして、大体1サイクル、最初のころは1サイクル4か月運転としております。ですから、その程度の運転の期間を設定しました。8か月につきましては、これまではいろんな点検の計画を考えていく上で、やはり「もんじゅ」のプラントとしては、一部系統の、各々A・B・Cループというのがございまして、その点検を確実にやっていく上で必要な期間として、およそ8か月間要るだろうということで整理したものでございます。

【山名主査】 よろしいでしょうか。はい。
 稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 今の御質問ともちょっと関係しますが、そうすると、もともと「もんじゅ」は4か月運転というのを念頭に設計されていると考えればよろしいわけですね。それは恐らく、原型炉としての目的を果たすためには4か月ぐらいで、逆にそのメンテナンスをしっかりしていくところも重要であるから、試験をしながらやっていくなどを念頭に置いて、設計されていると考えればよろしいんでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 はい。燃料の設計は、どちらかというと燃料の燃焼度の制限から来ていまして、「もんじゅ」の場合ですと、まだ経験が十分積んでいないということで、高速炉ですと、「もんじゅ」の設計燃焼度は8万メガ(MWd/t)というのがあります。その手前で一旦データを蓄積しようというのがございまして、平均でいきますと6万4,000なんですが、その6万4,000の平均燃焼度である程度の運転期間を考えていくと、あと、なおかつ、燃料交換と、それから、最高燃焼度で運転期間が決まってまいりますので、それでいくと4か月ということになります。
 実際には、従来の設計ですと、4か月運転で燃料交換をして、それから、4か月運転としていたんですが、やはり十分な保全を行うことが必要だろうということで、点検期間の方を毎回、まずは8か月ぐらいでやってみようということにしたものでございます。

【稲田委員】 そうしますと、やはり燃料の照射関係のデータが不足しているから、4か月以上はなかなか運転しづらいというように考えてよろしいですか。


【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】  ええ。それは燃焼のデータを積み重ねていきながら少しずつ延ばしていくことになりますので、そのデータを積んでまいりますと、当然のことながら運転期間は延びてまいります。

【稲田委員】 はい。わかりました。


【廣井理事】 補足させていただきますが、炉心が小型になるほど、最初に装荷した燃料で、反応度を維持している期間は短くなりますので、例えば「常陽」ですと、90日間運転で、燃料交換を、新しい燃料を追加していくということです。「もんじゅ」は、そういう意味で、4か月運転して、燃料を追加してというので、当初は4か月、それで、燃料を追加するので1か月、それでまた4か月で、今度は1年に1回の定期検査がありますから、定期検査という、これを以前は想定をしておりました。
 しかし、我々今まで「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故以降、いろんなトラブルも経験してまいりました。それで、これをしっかり運転していくということも大事だということですので、その保守の期間を少し長めに見て、それから、1年に1回の定期検査というものを考えると、むしろ4か月、8か月と、こういう形で当面は運転したいという考えでございます。

【稲田委員】 はい。ありがとうございます。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。笠原委員、どうぞ。


【笠原委員】 今回、新たに加えていただいた中に、シビアアクシデントに関する安全機能確認というのがありまして、その中でもわりと重要なところで、自然循環除熱性実証というのがありますよね。自然循環の試験というのは、「常陽」とか前からもあったと思うのですが、今回それと何か違う新たなものというのがもし計画されていたら、代表例でもいいですので、お教えいただけますでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 35ページ目をごらんになってください。36ページ目がいいのかな。もともと高速炉の場合ですと、自然循環能力を有していますので、そういうことが35ページ目に書いておりますが、福島事故も受けまして、旧来ですと、幾つか、これから、「もんじゅ」ではまだ3月以降、試験を行っておりません。ただ、平成5年ぐらいに実際にヒーターで温度を上げまして、自然循環能力を確認した試験があります。実際に今後行っていくのは、一つは、原子炉を臨界にして、実際に崩壊熱を出して、崩壊熱でもって自然循環能力を確認するということが大きなところです。これは「常陽」とかいろんなところでやられています。あと、もう一つは、「もんじゅ」はループ型ということで、ループ型、なおかつ熱出力も「常陽」に比べてでかいですから、そういうところの自然循環能力の確認がやはり「常陽」との違いになります。
 あと、あわせまして、特徴的といいますのは、36ページ目にありますように、自然循環能力というのは、燃料の出入口温度差が大きければ大きいほど循環力がついてまいります。36ページ目にありますのは、実際に、どの程度、温度変化するかというのを書いておりまして、これでわかりますように、「もんじゅ」の場合、一次系、二次系の温度があるところで、例えばこの36ページ目の図でいきますと、この「原子炉容器出口Na温度」、その下に「原型炉容器入り口Na温度」と書いてあります。この差が小さくなるところがあります。ですから、この場合ですと、自然循環能力が小さくなってくるので、このあたりで本当に自然循環が可能なのかどうかということを確認する試験を考えております。そこはやはり、これは津波というか、最初の福島事故を受けて、我々検討していく中で、こういうこともだんだん知見として得られまして、こういうところが少し厳しいので、こういうところを確認できないかということも考えております。
 37ページに今みたいな、結果として、どの時点で自然循環に移行するかというタイミングによって、その燃料に被覆管温度がかかってくるという解析結果が得られていますので、本当にそうなのかどうかというのを確認するということでございます。


【笠原委員】 こういった機能や性能面での実証というのは非常に大事で、是非必要なことだと思うのですが、そのほかにも例えば福島でもアイソレーション・コンデンサーというのも自然循環とは言われておきながら、実際には現場の問題といいますか、電源がなくなって、バルブが閉まってしまったとか、あるいはもしかしたら水素を混入して、うまく動かなかったとか、最初はあんまり考えてなかったようなことも起こっていたわけですね。例えばそういう観点から新たに試験とかそういうことが必要になってきたりはしていないのでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 福島事故を受けまして、我々はやはり自然循環能力というのがあるというのはわかっていたのですが、本当に自然循環を阻害する要因がないかどうかというのを全部洗い出しました。その一つは、ちょっと詳しくなりますけど、途中に一つ、ナトリウムの流量を切りかえるバルブがあります。このバルブが開かなかった場合はやはり自然循環能力を阻害するということがあります。これに対して我々、設備対応して、もともとは電源がなくなって、もう自動的に直流電源などでバルブが動作することになっているのですが、それが本当に動かない場合でもできるようにということで、対応手順とか考えておりますので、その対応手順を含めて確認することも必要、将来的にやれるかと思います。まずはこういう試験をやって、プラントがちゃんと動くかどうかと。その次はやはりアクシデントマネジメントの施策を本当に時間どおり対応できるかどうか。そのあたりも含めて訓練していくということになるかと思いますけれども。

【山名主査】 あといかがでしょうか。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 個別の話はまた後からだと思うのですが、国際協力のところの評価が最後の13・14ページあたりにしてあって、その考え方をお伺いしたいのですが、今回、一つの重要なポイントは、国際協力のもとで研究を行うことを重視してやると。それで、先ほどの論点のところにも形式的にというより、中身をどうやってやるかと。そうすると、どの項目を何のために国際協力をやるかというところをこれからきっと審議しないといけないと思うのですが、その意味で少し今の13ページ以降に二重丸と丸でついてありまして、これまで実績うんぬんというのはいいとしても、例えば今後国際協力の可能性がある項目という意味では、ちょっと丸の付け方に違う感想を持つ点もあるのですが、今どういう根拠、あるいはどういう基準でこの丸を付けているのかというあたりをお聞かせいただきたいと思います。というのは、安全性関係とかナトリウム管理技術あたりはついていないのですが、こういうのは非常に重要な国際協力のポイントではないかとも思ったりするのですが、その丸を付けた考え方だけを確認させてください。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 これは考え方としては、実際に添付資料1-4でございますが、59ページ目から60ページ目にあります。ここに書いてありますように、特に我々が着目しましたのはループ型であるところの特徴を生かせないかということで、もう一つは性能試験データが取れてくるというのがございます。ここで書いてありますように、ナトリウム冷却炉の運転・保守・技術の実証というのがございますので、このあたりが国際協力のテーマとして挙げられるだろうということで挙げております。具体的には、ループ型の特徴であります検査技術ですね。これについても丸を付けているというところでございますが、あと、61ページ目にありますように、シビアアクシデント関連でございますし、廃棄物関係はあとで御説明になるかと思います。

【佐賀山次世代原子力システム研究開発部門長】 国際協力の方は添付資料に、62ページの方に表が書いてあるのですけど、今、具体的に交渉し、進展しているのはフランスとかアメリカですね。ですから、彼らの方といろいろ議論しているテーマとしては、こういうテーマを今、想定しているというところですね。それで、山口先生が言われたように、もっとほかにもいろんなあるのではないかと。あると思いますが、それは今度、相手にもよるところもあるんですね。ですから、今後そういういろんな範囲を広げて検討はできるともちろん思います。

【山口委員】 わかりました。

【山名主査】 よろしいですか。要するに、安全機能には二重丸は付けないでいいということですね。

【山口委員】 いや、例えば私なんかはそのナトリウム管理技術だとか、あるいは計測系ですとか、最後のシビアアクシデント対策、今、自然循環の話だけされたのですが、それよりもむしろ高速炉の場合のシビアアクシデント対策、どう考えるかというような話の方がずっと重要だと思うんですね。ただ、今の御説明は、相手の国との関係が非常に関係してくるものだし、これからの審議の中で個別の項目ごとにどういう形で国際協力の戦略を立てていくかというのは議論すると。現在はどちらかというと、今、進行中のものを中心に書いていただいたと、そういう説明だったというふうに思いましたので。はい。結構です。

【佐賀山次世代原子力システム研究開発部門長】 大体そんなところですが、安全性のところでというのは、実はこの「もんじゅ」のだけを使ってというところにものすごい焦点を当てるというよりは、高速炉全体としてのそういう安全の考え方とか方策についての協力とか検討を今やっていまして、そういうものも全部入れて、「もんじゅ」も入るんだとなれば、もっといっぱい丸は付くと思います。その整理の仕方とかお示しの仕方がちょっとうまくないかもしれませんので、少し整理します。

【山名主査】 では、次回までにこの国際協力、今までこれは実績があるから有効なので、今まで実績はないが、今後「もんじゅ」を国際的に有効活用する可能性があるのであれば、何か三角か星印か、やはり付けていただかないといけませんね。あった方がよろしいですよね。

【山口委員】 はい。あった方がいいですね。

【山名主査】 はい。次回までにそこは御検討いただきましょう。
 ほかに事実確認等ございますか。稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 先ほども9ページ目の図について質問がありましたが、この9ページ目の図に「分類の考え方」と書いてありますが、これを使って、13ページ目以降の研究開発項目について何かスクリーニングを行ったということでしょうか。それとも、試験については取れるものはやはり取っていた方がよいように思いますが、そのように考えられているのでしょうか。どのようなスタンスでこの13ページ目以降との関係が書かれているのか。13ページ目以降はもう既にスクリーニングがされた結果なのか、その辺をお伺いします。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 先ほど御説明しましたように、我々、いろんな試験、それから、運転に伴って、いろんなデータが出てまいります。得られたデータにつきまして、そのデータの持つ意味づけを整理するのが9ページ目でございまして、その結果、その区分といたしまして、13ページ目以降、左側にどの程度意味づけを持っているのかというのを記載しております。

【稲田委員】 そうすると、特に何かスクリーニングを行ったというわけではないわけですね。9ページ目を使って。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 スクリーニングというか、その……。

【稲田委員】 要は、優先順位を付けておられるので、何か一見これで研究項目を落としたのかなと一瞬思ったのですが、そうではないわけですね。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 はい。一応我々が取るデータについて、我々が持っている意味付けを整理したということです。ですから、この場でこれを落としましたというわけではございません。

【稲田委員】 はい。わかりました。

【山名主査】 どうぞ。

【黒崎委員】 よろしいですか。後で議論するのかなと思って黙っていたのですけど、今その話になったので、少しコメントさせていただきたいんですが、その「もんじゅ」でなければできない利用優先度というのはものすごく重要なことで、この色分けというのが多分、私の印象では、13ページ以降のいろんな試験から得られるデータについて、このデータというのが本当に「もんじゅ」でなければ取れないのかどうか。どれぐらい優先順位が高いのかというのをやはり付けるべきであって、むしろそういったのを付けていただいたものを我々が見て、ああでもない、こうでもないというような形で、こっちの方がもっと優先順位が高いんじゃないかとか、そんな議論になるのかなとは思っていたというのが一つ。
 それともう一つが、そういう意味では、この赤とかオレンジとか青の色付けを付けるというのが非常に重要であるので、そういう意味では、場合分けがこの左から順番に五つのイエスか、ノーでいくわけですよね。そうなると、本当にこの五つの場合分けでいいのかどうかという話とか、あるいはこの五つの順番が左からこの順番でいいのかどうかとか、こういったことが多分極めて重要になって、この五つの項目のイエス、ノーの選択肢が違ったら、優先順位も変わってきますし、順番が違っても変わってくるというので、ですから、その辺はすごく慎重に議論して、優先順位を付けたらいいのではないかなというのが私の意見です。

【廣井理事】 ありがとうございます。大変いい御指摘だと思います。我々もそこを考えて資料を作ったつもりですが、十分説明し切れていないのです。「もんじゅ」でしかデータが取れないのかどうかというところがやっぱりポイントになるというふうに考えたものですから、最初の3ページ目からの資料は、この「もんじゅ」の特徴ということで、「もんじゅ」は世界の高速炉に比べてどういう特徴があるのか。だから、そこで「もんじゅ」に特徴的ということは、「もんじゅ」でないとできないという、そういう意味でこの特徴を書き、その結果として、どういうデータが意味を持つかというその矢印で、その取得されるデータを展開したというつもりでおるのですが、そこのところはあまり説明がうまくなかったと……。

【山名主査】 説明の問題ではなくて、やはりまだそこには入れていないということですね。ここで議論いたします。いずれにせよ、この9ページでいう赤ラベルなのか、オレンジラベルなのかというのは意味がかなり違いますので、これはあとで機構としての見解は明確に示していただきたい。それについて議論に入っているので、今日はここでも議論いたしますよね。その結果も受けて、しっかりとそれを言っていただきたいと思います。お願いします。
 それでは、もう本論に入ってございますので、今のこの全体について議論を行いますが、ちょうど今、稲田委員、黒崎委員から御指摘あった9ページのこの範疇分けがこの考え方でいいかと。あるいは色分けのストーリーですね。これについてはいかがですか。一番骨格部分であるかと思うのですが、先生方は何か御意見いただけませんでしょうか。はい。どうぞ。

【山口委員】  ループ型炉に相当こだわって書かれているような印象。今、御意見出たとおりで、それは「もんじゅ」をこれから使っていくという目で見ると当然だと思うんですよね。ところが、基本的考え方としては、国内における高速増殖炉の技術の成果の取りまとめなので、これは非常に私も本質的なところだと思うのですが、今のところで、最初ループ型に特有でないとなると、ここはもうダイレクトに下のCに行っちゃうんですね。やはりそれはまずいだろうと思うんです。
 あとはこの中で、私自身は今いろいろ福島の事故とか踏まえると、ああいうインベントリーの非常に大きなタンクに比べると、いろいろメンテナンス性があるというお話をしていたのですが、やはりループ型炉のアドバンテージは、やっぱり結構あるのではないかというふうにも思ったりするんです。
 それで、その中で、「もんじゅ」を使って得られる知見というのが一体どういうことかというと、まさにループ型炉としてのいろいろなデータとかですね。それに加えて、国際的にも非常に評価をされるループ型炉に特有でないデータなどもいっぱいあるわけでして、それは先ほど私が言ったナトリウム取扱い技術だとか、燃料破損検出関係だとか、そういうものがあるんだと思うのです。
 そういう意味では、私もこの表の最初に書かれているのは、どうも「もんじゅ」のループ型炉というところに少しこだわり過ぎているような気がして、あるいはこういう表は二つあってもいいのかなと。要するに、ループ型炉としての「もんじゅ」を使っていく価値と、それから、高速増殖炉の成果の取りまとめとしての価値と、それを1枚に書いてしまうと、少しこういう分岐が何となく、ちょっとかゆいところに手が届かないような整理の仕方になっているような気がします。まさに黒崎委員とか稲田委員とかおっしゃったとおりで、最初にループ型炉に特有あるいは枢要な技術でないと。「枢要な」というのがあるんですけど、特有でないとなったらCに行ってしまうというあたりなんかは、整理学としては少し問題ありかというふうに思います。

【山名主査】 わかりました。これについて、機構さん、いかがですか。

【日本原子力研究開発機構】 すみません。後ろから。今の御指摘は、内部でも当然あったわけで、それで大変日本語として見にくいところもあるんですけど、今お話になったときに気づかれたと思うんですけども、「ループ型炉に特有なもの、あるいは」と書いてあるところで、その我々の苦渋というか、それを少しおもんぱかっていただきたいんですけれども、要するに、高速炉、ループ炉であろうと、タンク炉であろうと、枢要な技術は共通しています。ですから、ここの意味は最初の段階で、ループ型炉のSFRに特有なものか、あるいはその枢要なものであるというので、Cに行くものというのはかなり限定されたものというふうに考えていただきたいと。
 実際、こういうトーナメント方式がいいかという話になると、そこは議論のあるところで、二次元的、三次元的に調べられなくちゃいけないものについて、まずはこういう整理をしてみたいというので、最初のところはそういう書き方をしたということです。

【廣井理事】  ちょっと私が聞くのは。「枢要な」というのは、ループ型炉に枢要なではなくて、・・・

【日本原子力研究開発機構】ループ型炉に枢要だととっていただいてもいいですけれども、そこは枢要なものは、ループであろうと、タンクであろうと、SFRについて枢要だということです。

【山名主査】 山口委員、今のいかがですか。

【山口委員】 いや、私は、おっしゃるところはわかるのですが、枢要な技術であれば、無条件でSでもいいんじゃないかと。それで、やはりここの議論というのは、少しこの場の中でも「もんじゅ」の研究計画という話と、高速増殖炉の技術の維持・継承が行えるように成果の取りまとめをするというところのミッションがやはり混乱をきたす原因になっているような気もして、そこは少しこれから整理して、「もんじゅ」が一体何に使えて、どういう役に立つのか。それによって、ループ型炉というのに対するアドバンテージがどういうふうにきちんと示していけるのかという話と、国際協力とも関係するんですが、そのナトリウム技術とか安全性とか、ループ型固有でないんだけど、非常にキーとなる技術というのと、やっぱり二つのもののミッションを少し混乱しながら議論しているので、整理してやっていくということなのかと思います。

【山名主査】 ありがとうございます。山口委員のおっしゃることはもっともでして、大きな高速炉としての意義と、この中での「もんじゅ」という特定のループ型の炉での意義というのを両方にらむ必要があるという御指摘ですね。これは整理学として再検討をお願いします。非常に重要なことであったと思いますね。
 ほかにいかがでしょうか。村上委員、どうぞ。

【村上委員】 またかなり基本的なというか、前提の方に踏み込む話になりそうな気がするんですが、まずどのような研究項目を選定するかに当たっての基本的な考え方のそのまた基本として、高速炉の将来像というのは果たしてこの際想定されているのかどうかです。といいますのも、エネ環戦略では、「もんじゅ」についてはどころか、原子力を日本はやめると、もう明言しております。したがって、今までの高速炉研究の取りまとめを「もんじゅ」で行って、開発を終了すると。要するに、エネ環戦略に基づけば、誰が見てもあれは先がないと読めております。しかし、今日、御説明いただいた資料の中でも、例えば9ページには「維持・継承が必須」であり、あるいは「維持・継承がその後の開発投資を大幅に軽減」するとか、あるいはほかのケースでも随所には将来炉の開発に向けてとか、そのような文言が散見をされまして、重要な研究項目を選定していくに当たり、将来炉にこの「もんじゅ」の成果が適用できるかどうか、あるいは将来の技術開発に向けたものに、その「もんじゅ」をいかに使うかという視点が多分に入っているように見えます。やはりその視点で、この資料及びこの議論を見る方々が、あれっ、日本はもうやめるから、「もんじゅ」の次はなくて、ただ今までやったことを取りまとめるためにやるのか、それとも、やはり次を想定しているのかというのは、スタンスとしてはっきり示した方がいいので、そこら辺はどうなのかお考えを伺えたらと思います。

【山名主査】 文部科学省の方からお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 今、今回の革新的エネルギー環境戦略に基づいて、どういったスタンスでという御質問だと思いますけれども、基本的にまず「もんじゅ」についてはあそこに書いてあるとおり、前回から御説明しているとおりでございます。ただ、今回のエネルギー環境政策につきまして、まず基本となっているのが、いわゆる2030年代というところもありますけれども、それと加えて、やはりこれをそこに政策投資目標として、2030年代にゼロにできるように、政策投資として全てをつぎ込むと。ただ、その際に、やはり2030年代、そういう形になるかわからない。いわゆる不確実性がある中で、そのオプションとして何を残していくか。その中に核燃料サイクル政策も当然入ってきます。
 そういう意味において、今回の「もんじゅ」のところについては二つのミッションをいただいているのは、一つは高速増殖炉の成果、高速増殖炉としての成果と、それともう一つが、廃棄物の減容という形になりますので、あくまで、その高速増殖炉のその成果を取りまとめる意義としては、それは当然オプションとしてそういった技術を維持・継承するというところがあって、ここの部分が入っているという理解でございます。そういう意味においては、将来の、この前、我々の方で説明させていただいたように、今までの計画でいえば、2025年、2050年という、大きな時間軸として明確なものはありましたが、そこについては現段階においては明確でないというのが事実でございますが、技術として、この高速増殖炉としての技術を持っておくということについての方向性は示されているということなので、その使う時期はどうなるのかというところはありますけれども、そういった観点で何をやらなきゃいけないかというところを御議論いただくというのが趣旨だと我々の方は考えております。

【村上委員】 そうしますともう核燃料サイクルは、「もんじゅ」及び「もんじゅ」の研究開発項目に当たっては、どこまで明確に、用途はともかくとして、気持ちとしてはやはり将来炉の開発も念頭に置いた研究計画を立てるということで、それははっきり明記していいということですね。

【山名主査】 文部科学省、お願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 将来炉をどこでつくるかという意味では、当然のことながら時期もありませんし、それから、逆に言いますと、まさに将来炉ができるかどうかも含めて、まさにどういうデータをこの「もんじゅ」でちゃんと取って、その成果を見て、次のステップということにいずれにしてもなると思うんですね。これができなかったら、逆に言うと、次のステップには行けないということになりますので、そういった意味では、将来の形というのは、まずはこの「もんじゅ」の計画を立てて、ある成果が出て、その成果を確認して次のステップに行くのではないかというふうには考えています。
 そこは逆に言うと、アメリカとか他国でやめたところの、特にアメリカなんかですと、いわゆるオプションとして生きているという意味で、そのオプションとして生きているために、どこまでの技術を持っておくというのが必要かというような観点での、いわゆる何を絞り込む、何をやらなきゃいけないかという議論をしていただければというように考えております。

【山名主査】 いかがでしょうか。

【村上委員】 はい。わかりました。やはり私がここまでしつこくこだわりましたのは、私はメーカー出身者でも何でもないので、メーカーさんが本当のところはどう考えておられるかはわからないのですが、もし自分が開発者の立場であれば、次をつくるのかどうかという点は、やはりそれによって研究開発に注ぎ込む切り口やら、第一、やる気が全然違います。そのことを踏まえて、これから研究開発は実際のところはメーカーさんやらエンジニア、技術系の方々にやってもらうわけですけど、その方々が、次があるのかないのかというところを明確にすると、おのずとその切り口が違ってくるので、そのためにはっきりさせておきたいと思って、申し上げた次第です。

【山名主査】 それでは、今の点については、よろしいでしょうか。文科省の方、よろしいでしょうか。はい。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。笠原委員、どうぞ。

【笠原委員】 今の話に関わる話ですが、前回の論点整理のときに、短期的な計画の話ではあるんですが、世界とか次世代への継承ということも考えた議論をいただきたいと申し上げた意味ですね。例えば国内だけに限れば、今、計画はないわけですけれども、海外ではあるわけですよね。それから、更にその先には海外からまた日本の次世代に技術管理もあるかもしれませんので、あまり今、国内だけでつくらないというのに、そんなにこだわり過ぎない方がいいのではないかなと。意見の一つです。

【山名主査】 意見として伺っておきます。
 ほか、いかがでしょうか。山口委員。

【山口委員】 今の点で一言だけ。私の理解では、基本的には次をやる、やらないと決めて、今の「もんじゅ」の成果をやるということはあり得ないわけで、だから、方針の中で年限を区切って、きちんと評価をしながら進めていくということになって、あとはただ「もんじゅ」でできるだけ多くの成果が得られるようにということをしっかりここで議論するということかと理解しております。

【山名主査】 はい。いかがでしょうか。大島委員、どうぞ。

【大島委員】 山口委員がおっしゃっているのは非常に重要な観点だと思っています。先ほど山口委員もおっしゃっていましたが、この資料を見ていてもやはり高速増殖炉の意義と「もんじゅ」の意義を混在されているところがあるように思います。そこをきちんと明確にした上で、「もんじゅ」がどういうミッションを持った上でどういう技術が必要かということをわかりやすく説明していただきたいと思います。前回の委員会に欠席したということもあり、そのため理解がまだ及んでいないところがあるとは思いますが、少しわかりにくい印象を受けました。やはりある程度前提としてきちんとされていると、今後の議論がもう少しスムースに進むのではないかというふうに思っております。
 以上です。

【山名主査】 ありがとうございます。皆さん、御承知のように、革新的エネルギー環境戦略が出て、その中で、「もんじゅ」の位置付けというのはある文章で定義されておるわけですね。ただ、全体的に今後の状況を見ながらという部分も入っていて、少なくとも高速炉全体の開発の中で、何年何月までに実用化を目指すということはもう既に、今の時点では何も言えない。つまり、今は将来いつ実用化するという戦略は未定の状態にあると理解しております。これは今後、国家戦略室が近いうちにそこを描いていくことだと思っているんですね。ただ、この開発は文部科学省がやってきた科学技術開発でありまして、そういう技術というのをしっかりとしたものに育てるということで少なくともやってきた。もちろんエネルギー政策の一環としてやってきていますが、この技術をしっかり育てるということでやってきた。そして、「もんじゅ」という原型炉があるという状況に至っています。
 それで、エネ環会議から、国家戦略室から求められているのは、その「もんじゅ」を使って、技術として何が出るのかというのを問われているわけですよ。そのときにある意味で全く、この「もんじゅ」をいずれ高速増殖炉というもので実用化するという目的でずっと開発してきて、お金をかけてきていますから、その趣旨を今なくしては、ほとんど議論する意味がない。つまり、実用化という可能性が全く今の瞬間にゼロという表現が、例えば政府から出るのであれば、「もんじゅ」のまとめも要らないじゃないという話になってしまうわけです。でも、今は全くそういう状態ではなくて、それを今後、国家戦略室が考えていく中で、「もんじゅ」というのが一体どういう技術的位置付けとしてまとめられるかが問われているという状況です。そのためには「もんじゅ」が当初から目指していた高速増殖炉原型炉という目標に対してですよ。それに対していろんな新しい境界条件が入ってきていますが、その目標に対して「もんじゅ」が今の時点で何ができるかを問われているということです。ですから、その境界条件を今変えるわけにはいかない。高速炉が要るか、要らないかというのはまた別な話で、次の段階で、エネルギー政策として、政府が今後議論していく話で、こう理解しております。ですから、そこは是非よろしくお願いしたいんです。
 というふうに理解しておりますが、文部科学省、私ちょっと個人的な認識で申し上げましたが、何かございますか。

【西條核燃料サイクル室長】 基本的に今、山名主査の方から、あと、山口先生の方から先ほどお話しいただいたそういう考え方で進めていただければと考えております。

【山名主査】 はい。それでは、別な視点で何かございますでしょうか。今日はたっぷり時間ございますので、是非。はい。北田委員、お願いします。

【北田委員】 すみません。今の議論の中では、結局、「もんじゅ」のところで出すべき技術というか、やるべき事柄というのは、将来にどうなるかわからないにしても、オプションとしてはこういうのもあるよというところを示すということになるかと思うんですけれども、そうしますと、前回の委員会のときにも言われておりました、そのオプションを採用するかどうかといったときの一つの観点でやっぱりコストというのがあるわけで、技術的にはできる。けれども、もっと安くできる方法が別にあるよとなってしまうと、当然それはオプションであっても、使うということはなくなると思います。
 例えばもう一つ書かれています、今回は出てきていないんですけれども、廃棄物の減容といっても、それはほかの方法と比べていかに安くできるのかというようなところも当然やらなければ、実際にはオプションがあったとしても、当然採用されるということにはならないと思います。なので、どうしてもコストというか、そういうところを、できるんだけれども、よりコストを下げてできるようなというところを開発するような動きというのが、「もんじゅ」としては、それはミッションに入れるべきなのかどうか。そのようなところも検討するべきじゃないかなというのは思います。

【山名主査】 わかりました。今の点について、機構さんはどうお考えですか。原型炉の役割という話になるんですが。

【廣井理事】 従来、FBR技術を実用化していくための最大のネックは、我々はコストというふうにも考えていました。それを打破するには、やはり大型化ということが一つの方向としてあって、それで「もんじゅ」は、実験炉に比べれば5倍ぐらい熱出力があり、発電システムもある。それで、実用化を見通せるサイズのもので、ですから、炉心も今、タンク型炉の原型炉なんかに比べても一番大きい。ただ、ロシアに大きいのはありますけど、あれはMOX燃料を使っていないとかという、そういう大型化ということを頭に置いた「もんじゅ」という役割があって、それはコストを意識しているということだと思うんですよ。答えになっているかどうか。

【山名主査】 北田委員、いかがですか。

【北田委員】 大体言われることはそのとおりかと思いますので、今回のこの検討の中でもそういうことは、念頭に置いたところは検討の対象として挙げておくべきじゃないかという意見のことですが。

【山名主査】 私は今の廣井さんのお答えには不満ですね。率直に。なぜならば、であれば、28万キロワットの設計をした時点で、経済性というのはある種見通しが出ているということになるんですよ。そうではなくて、これぐらいの炉が、いろんな複雑な装置を使いながら、経済性を担保するために必要な技術的信頼性とか、長期的安定性とかね。それから、トリップしたときの修復がどうだとかですね。経済性を決めてくるのは稼働率であり、建設費であり、それから、維持費であるんですよね。それぞれに対して、この「もんじゅ」が押さえる技術的要素がどうデータとして反映されるかをとる場所ではないですか。だって、それ以外にとる場所がないからやっているんじゃないですか。

【廣井理事】 いえ、私はそういうつもりで言ったつもりなんですが、だから、それは、つくったというか、図面を引いただけで終わっては、全然それはその技術が、成立性があるというか、この社会でちゃんと受け入れられるかどうかとか、信頼性を持って長期間運転できるかどうかということは全然示していることになりませんので、図面だけじゃなくて、物をつくり、運転をして、それで、求められている性能が出るかどうかと、それを今まさにこれからやろうとしていると。

【山名主査】 恐らく北田委員が要求されているのは、結局今何が問われているかという、さっきの議論ですよね。将来のFBRの答えはまだ政策的に出ていないけど、「もんじゅ」は、少なくともそれを目指して何が出るかの答えを出すわけですよ。ただし、そのときに政府が言っているのは、だからといって、ダラダラと、ちんたらちんたらやっていていいよとは言っていないわけですよ。年限を決めてやっている。そのために今の、例えばコストという視点で年限を区切ったら、何をこの何年かで押さえるのかと、コストを決定的に決めるような技術に、何が「もんじゅ」であれば押さえられるのか。「もんじゅ」でなければ押さえられないのかが問われているという、そういうことなんですよ。
 ですから、是非北田委員の指摘は重要なことで、この装置は別に実用炉開発では決してないですが、将来のコストを評価する上で必要な技術的答えを、「もんじゅ」が何を出せるかというのは常に意識して、計画を是非お願いしたいんですね。つまり、コストはやっぱり念頭に意識しながら、「もんじゅ」が何を貢献できるかというのは明確に描いていただきたいと。恐らく国民は皆さんそう思っていると思いますよ。
 北田委員、大体御指摘はそういうことでよろしいですか。

【北田委員】  はい。

【山名主査】  今のその点は是非よろしくお願いいたします。
 ほかの点、いかがでしょうか。黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 すみません。そのコストの話につながるのですけど、コストはもちろん大事ということで、オプションを出したときに、それが採用されるかどうかという点で見ると、コストはものすごく重要だと思います。それともう一つは、例えばリスクですね。ほかの同じような技術と比べてリスクがどうなのかということ。それとあと、環境に与える影響とか、そういうのを全て含めてコストというふうにおっしゃっていたのかなとも思ったのですけど、でも、いわゆる技術の成立性だけじゃなくて、そういったところも御検討いただければなというふうに思っています。

【山名主査】 黒崎委員のおっしゃった、その点よろしゅうございますか。はい。
 ほかにいかがでしょうか。笠原委員、どうぞ。

【笠原委員】 コストを決める大きな要因が稼働率という話がさっき出たのですが、装置を動かして経験しなきゃできないことをやるというのが大きなミッションかなと思います。例えば軽水炉だと、初期のころ、FCCとか輸入したときにはわからなかったけど、動かしてみたらいろいろ出てきて、それが将来のコストないし稼働率に大きく影響が出たわけですよね。「もんじゅ」というか、高速炉の場合ですが、まだそういうのはあんまりないのかもしれないけど、でも、ループ型炉でそんなに動かしていないから、もしかしての部分があったらすごく影響が出るので、この間、単純な言い方ですが、初期故障とかバグという言い方をしましたけどね。そういう隠れたものがないかというのを経験してみるというのは大きなミッションの一つかなと思います。
 今回、「もんじゅ」を使うという意味の中で、ループ型の「もんじゅ」というのと、日本というか、ループ型、世界で唯一しかない大型装置を使うという意味と両方入っているので、それは分けてもいいかなという気がしました。

【山名主査】 今の御指摘については何かございますか。JAEAから。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】  まさに運転しながら、運転経験を踏まえてトラブルというのは我々としても、この中にも書いてありますように、挙げておりまして、当然ですけども、ただ、あわせまして、よく考えるのが事前のリスク評価、先ほど黒崎先生もおっしゃっていましたけれども、事前のリスク評価で、できるだけいかにトラブルを少なくするかというのも我々に与えられている使命だと思いまして、そういうのを通して、そういう検討の中で世界の高速炉のトラブル経験とか反映しながら知見をためていって、できるだけトラブルを少なくする。だけれども、その中で発生したトラブルについてはちゃんと対応するというところの二つの面で、我々としては、そういう面でトラブルに対応していきたいと思っております。

【笠原委員】  すみません。わりといつもそういう御説明なのですが、慎重に事前に対処して、何も起こらないことを実証するというのももちろん大事なのですが、この原型炉の段階でいっぱい出しちゃっておいた方が、あとで得だというのもあるような気がして、だから、ないなら、ないでもいいのですけども、もし出すんだったら限られた機会の中でいろんなことをやってみて出した方がいいと。これは周りの、国民の重要性ということもあるかと思うのですが、世界に比べると、あまりにも日本は慎重で、本当は動かせばいろいろ経験できたことを経験しないでおいているという状態もあるようにも思うのですね。だから、一生懸命動かして、本当に気づいていないことがないのか。そういうことを積極的にむしろ経験するという姿勢もあるのかなという気もします。

【廣井理事】 失敗学というのもありますが、私も失敗を恐れちゃいけないというふうに思っていますが、ただ、人がやった失敗を繰り返してはいけないと思いますので、御手元の資料の中にも、過去のFBRのトラブル、それから、軽水炉でのトラブル、そういうものも我々としてはそういう再発という観点では起こさないようにと。しかし、やはり未知のものはあるのだと、そういう心構えでやっていきたいというふうに思っています。

【山名主査】 はい。是非よろしくお願いします。
 大島委員、どうぞ。

【大島委員】 今の御議論の観点について、確かに再発防止というのは非常に大事ですが今回の大地震の場合も、想定する、想定しないということで、どうしてもシビアアクシデントだけに目が向いています。通常通常の中でそういうシビアなアクシデントが起こるということもあり得ると思うのです。そういうことをある程度想定したリスクアセスメントという面が、これを見ていて、少ないように思います。この15ページのプラント運転保守技術ですが、これがB評価というか、区分がBになっています。確かにシビアアクシデント対策という、こちらに書いてありますように、大地震などのような自然災害のことを考えられていると思いますが、やはりそれ以外の通常でのシビアアクシデントというものもきちんと考えていただいた方がよろしいのではと思っております。

【山名主査】 ありがとうございます。今の点、いかがでしょうか。

【廣井理事】 先ほどの国際協力のところでもそうだったんですが、62ページを見ていただくと、我々の今回の資料の作り方で、「もんじゅ」を直接使うという、そういう研究開発項目と、もう少しFBRの基盤設計研究と、これは下の方にちょっと書いてありますが、ですから、リスクを評価するという、そういう技術というのは「もんじゅ」ももちろん対象にしますけども、もう少し汎用性を持った手法の開発という形でやっておりまして、そこは今回の弟子丸所長代理が説明した中からは除外されているというところがあるものですから、何か抜けている感じをされているのではないかなと思うのですが、しかし、それは基盤の研究として、我々としては進めているということなのですが。

【大島委員】  多分まとめ方の形にもよると思いますが、先ほどから出ていましたように、オプションとして、いわゆる実用化に向けてのオプションということで、それが採用されるか、されないかという観点である程度見ていくということになった場合、コストの話も出ましたが、やはり安全性というのは多分、それ以上に大事な観点だと思います。そういう安全性が特に今必要とされている中で、これは多分資料をどうまとめるかということなのでしょうけれども、一見して、やはりBというのはどうなのかなという印象を持ちます。多分このことは非常に重要な観点だと思いますので、少し考えていただいた方がいいのではというふうには思います。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 すみません。先ほどの御指摘は、15ページの下から3番目のことをおっしゃっているのであれば、少し私の説明が足らなかったかもしれません。これは説明の中でも少し御紹介しましたが、トラブルから得られる知見の集積ということにしておりまして、今後どんなトラブルが起きるかわからないわけです。それで、それはひょっとしたら軽水炉でも経験したトラブルかもしれないし、先ほど笠原先生がおっしゃったように高速炉特有のトラブルかもしれません。ですから、どんなトラブルが起きるかわからないので、ランクの付けようがなかったものですから、一番下にしたということだけです。一番下というか、Bにしたというだけで、書き方として、ここは一番悩んだところなのですが、BからSと書いてもなかなか理解できないかなと思ってそういうふうに書いただけです。発生したトラブルの対応ということに絞ったものですから、そういう形で、今後起きるトラブルがどれぐらいのものかわからないので、そういう分け方になったということだけでございます。
 ですから、趣旨は当然のことでして、安全に対して、安全とか、先ほど言いましたようにトラブルを起こさないということの我々のリスク評価ですね。このあたりが当然重要ですので、これについてはどちらかといいますと保守とか運転の、その上にありますように、保守管理技術とかこのあたりでカバーしていくのかなと思っております。ただ、それは今の御指摘にもありましたように、明確にわかるように整理したいと思います。

【山名主査】 そこはやっぱりさっきの整理学の中で少し整理が必要ですね。大島委員のおっしゃったことはものすごく大事で、結局こういう工学開発というのはPDCAが一番大事で、設計してみて、何かが起これば、それを次の設計に反映しないと何の意味もなくて、そこの知見を集約するというのはある意味で、Sクラスが大事だと大島委員おっしゃっているそのとおりですよね。ただ、分け方の範疇がちょっと違うので、そこはうまく今度、整理学の見直しのときには表現をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 はい。わかりました。

【山名主査】 その点について個別に聞きたいことがあるんですが、こういうプラントは、私も昔、プラントの経験があるのですけど、初期故障と最初ワーッと出ますよね。初期故障。それがサーッと減っていって、またドコン、ドコンとこう、何か少し時間がたてば起こってくるようなことが起こるというようなイメージがあるんですけど。それで、今のこの安全の知見を得るには、極論すれば100年動かさないと全部データは出ないと言ってしまえばそうで、それは何の意味もないのですが、今、年限を限りますので。そうすると、工学装置としてどの時点のどういうトラブルとか設計上の不備を発見していくかという時間目標みたいなのはやっぱり必要なのですよ。でないとあとは、ずっと動かしていないと何もわからないということになりますよね。40年壊れないポンプだったら、40年間故障しないことになるから。それもよくわからなくなる。
 だから、そういう設計確認をどういう時間軸で見るかという発想がすごく大事で、ここでザーッと横線になっているのがありますよね。これは多分段階があるようなイメージですが、いかがでしょう。現場としてはどうなのですかね。初期に非常にそういう設計拡張的なピークがあって。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 それはすごく、要するに、コーポネントワイズとか、いろんな対象によって随分違うと思うのですけども、一般的に言われていますのは、例えば我々もそういう目でデータを少し整理したことがありまして、例えば軽水炉ですと、初期故障というのは大体五、六年とかそれぐらいである程度山が来ているというのはあります。ただ、それが高速炉に当てはまるかとかありますけども、やはりその程度の期間が我々として機械がちゃんと動くのかどうか。今言いましたように、軽水炉で見るとその程度の期間ですので、五、六年程度というのがそれを見る一つの目安かなと思いますが、これは実際に正直言って、我々は実際の機器の項目ごとに、例えば点検頻度も若干違いますし、それによっても違ってきますので、一概には言えないと思います。ただ、今の山名委員の御指摘については、一般的にそういう形のデータはありますのでね。そういう意味で見ると、今、私が言ったみたいな期間はまず最低限必要かなと思っているところです。エンジニアとしては、そこがなかなか苦しいところなのですが、今、山名先生がおっしゃったように、我々としてはできるだけ長期のデータを取りたいとは思いますが、そういう制約もありますので、今のが一つの目安かなと思っておりますけど。

【山名主査】 ありがとうございます。
 それでは、山口委員、どうぞ。

【山口委員】 若干関係する話なのですが、私は多分、大島委員はもう少し大きな話をおっしゃっているのだと思うんです。それで、今回一つの新しい項目として、福島事故等を踏まえたシビアアクシデント対策に対する安全機能確認評価技術というのが、例えばこれの12ページとか見ますと、こう書いてあって、それで、丸1が自然循環除熱性能、丸2が安全性向上評価としてシビアアクシデント、PSA、ナトリウム安全とひとくくりで書いてあるんですけども、しかし、ひとつ重要なことは、「もんじゅ」は実際に運転しているわけなので、安全評価とかバックチェックとか、それから、総合的安全評価とかそういうのをやるわけですよね。
 やっぱりそのプロセスというのは非常に重要で、福島の事故で、こういうふうに事故を踏まえた対策と一言で書いてあるのですけども、実はあの事故というのは、津波で全交流電源喪失とヒートシンク喪失が同時に起きて、それで、ここで自然循環とかそういうあたり意識されているのですが、もう一つ、ヒートシンク喪失というのは何かというと、軽水炉の場合のヒートシンクというのは、ナトリウム炉の場合と違って、水が増す質量そのもののわけなのですよね。ナトリウム炉の場合には温度差ですから、数百度ある温度差。
 それからもう一つ重要な知見は、ああいうふうに水が蒸発して、格納容器の圧力が設計圧の1.5倍とか2倍とか長時間そういうふうに維持するというのがどんなに大変かと。それに対する、例えばベントの設計が、アメリカでやっている場合には、設計圧か、それよりちょっと下でベントするようになっていたのに、日本の場合には、ラプチャーディスクつけて、2倍ぐらいでベントができるようになっていた。そういう経験はいろいろあると思うのです。
 ですから、それで、今回の一つの重要な知見は、安全の中で重要なのは、大規模な放射性物質を放出するような格納容器機能の喪失というのをなくそうというのは非常に重要な知見。それから、炉を冷やすためのインベントリーをきちんと確保する。これは重要な知見で、私は是非このシビアアクシデント対策という一言で書かれているのは非常に不満がありまして、もう少しそういう経験を踏まえて、高速炉の場合に、特性も対策も全然違うわけですよね。それで、そういう研究というのは「もんじゅ」が運転しているからこそ、成果が出てきて、国際的にもフィードバックできるものであるわけで、もちろん通常のトラブルの防止だとか、あるいはバグ出しのような運転経験を積み上げて信頼性を増していくという話、重要ですし、そういうのも大切なんですが、福島の事故を踏まえた高速炉の安全の在り方というのは一つの重要なキーワードだと思いますので、そこは「もんじゅ」を使わないと、私できないところだと思うのですよ。ペーパーリアクターでは。
 ですから、そういうところの研究開発はもっとしっかり展開していただいて、あのR&Dの計画も「もんじゅ」を使って何ができるのかというのはやっぱりあれを踏まえて、今これから計画するべき話だと思うのです。ですから、そこは是非お願いしたいなと思う重要な点で、多分大島委員が先ほど、もう少し通常運転のときのシビアアクシデントうんぬんとお話しされたのも含めて、もっと大きく安全というものの計画をしっかり立てる努力を私はしていくべきじゃないかというふうに思います。

【山名主査】 今の点、機構の方いかがでしょう。

【廣井理事】  難しい質問だったので、考えていたんですが、「もんじゅ」というものがあるので、この規制体系の中にありますから、当然やらないといけないことであると。それで、そのための手法を開発して、それで、結果を出して、例えばリスクですと、10の何乗ですよという結果が出てくると。しかし、それは「もんじゅ」を運転していたからって、その10のマイナス何乗というものが実証されるわけでもないのですね。そうすると、それは「もんじゅ」の運転とどういう関係があるのですかというところがあまり明確に説明できない。それは「もんじゅ」を動かしていくために当然やるべきことじゃないですかというふうに我々は、ただ、それは実物があることで、いろんな手法を開発していくというドライビングフォースになるのですが、そしてまた、その知見は価値があるとは思うのですが、運転との関連がうまく関連付けられるかなというところがうまくいかなくて、こんなふうに評価を、特に自然循環ですと、それは実際に「もんじゅ」で試験をできると、結果が出てくると、我々の評価と突き合わせられるというところがあるので、そういうものは当然Sでしょうということなんですが。

【山口委員】 運転と結びつけるという考え方とはやっぱり違うと思うのですよね。例えば軽水炉なんかだと、やっぱり時間が数時間しかないとか、やっぱりそういう特徴が、シビアアクシデントの進展に非常に大きな影響を及ぼしていて、それがアクシデントマネジメントの対策の考え方にも重要な関係を持ってくるのだと思うのです。運転と、という話ですけど、当然そのような対策に対応して、高速炉はどのように考えるかということはやらなければいけないわけですし、それから、規制委員会の更田委員などは、当然そういう対策の中には時間のかかる対策もあるし、継続的にいろいろ考えていくべき対策もあるし、いろんな対策の取り方があるというふうに発言されていまして、こうやって再稼働に向けての運転、安全評価を行っていくということとあわせて、その後のいわゆる継続的な安全向上と言われているものを高速炉の場合にどういうふうにやっていくのかと、私、そこを展開しないといけないと思うんです。
 そこを、例えば今ここでシビアアクシデント対応、対策と一言書かれているんですけれども、やっぱりそこは具体的にどういうことをやっていて、では、高速炉の場合にはなぜそういう対策でいいのか。そこはやっぱりお示しいただくというのはまさに、先ほど「もんじゅ」があるからこそできるというのは、「もんじゅ」では実際安全評価をやって、安全性を説明していかないといけないわけですから、私はそのプロセスというのは決してハードウェアとか試験項目と結びつく話ではないですが、非常に重要な項目でありますし、その「もんじゅ」を使っての、これこそ重大といいますか、大きな成果なのだというふうに思っています。

【山名主査】 いかがですか。

【廣井理事】 そう言っていただけると、我々の今やっていることも大変自信を持ってやれます。ありがとうございます。

【山名主査】 これは重要な視点ですが。
 大島委員、どうぞ。

【大島委員】 やはりそのことが多分最後を決める一番の大事な点だと思います。先ほどのオプションとして、この実用化に向けて、安全性をどこまで確保できるかというのがやはり一番の最後の切り札になると思います。いろいろ議論がありましたが、それを念頭に置いた上でどういう形で技術的に示されるかをまとめるということが非常に重要な役割を果たしているということを、今の御説明だと、あまり重きを置いていないというような印象を受けるので、やはりそこは少し重要なファクターだということを反映した上での、こういう検討事項という形でまとめていただいた方がよろしいのではないかというふうに思います。

【山名主査】 ありがとうございます。よろしいですか。恐らく皆さんおっしゃっているのは多分、そもそも順序が一番上に来るぐらい高速増殖炉の安全というものを「もんじゅ」を母体にして徹底的に研究し直すようなことが重要であるとお二人はおっしゃっている。こう理解してよろしいですね。それぐらいの重いものだという指摘です。
 いかがでしょう。佐賀山さん、国際安全の標準にタッチしておられますが、今の。

【佐賀山次世代原子力システム研究開発部門長】 いろいろ御指摘いただいた点は確かにそういう部分があると思いますね。それで、いわゆる安全性を確保するいろんな方法。「もんじゅ」は今ある設備の中で何ができるかということにかなりこだわって、この計画をつくっているから、多少そういうところがあるかと思います。それで、実際には、世界的に見ると、例えばBN-600なんかでグレースピリオドが非常に長いとか、そういったところをIAEAの場で評価してもらったりしながら、それの具体的なアクシデントマネジメント対策をもう少し、更にブラッシュアップしていくというか、そういうような動きも確かにあります。
 ですから、今御指摘いただいたような「もんじゅ」を使ってどういうところができるかと。まず評価の上でできることと、少し追加の試験的なことで何かあれば、更にもう一歩できることとか、そういう検討の仕方は確かにあるだろうなとは思います。ですから、今ここでの整理というのは、今ある「もんじゅ」の設備を使って、また考えられている中の作業を少し整理してというようなところもありますので、御指摘の点を入れて、もう少し安全性という観点での整理というのをしてみたら、もう一段変わってくるというか、そういったところは出てくるだろうし、また、出す必要はあるのだろうなと思います。

【山名主査】 それで、いかがでしょう。大体皆さんそう考えておられるような。
 北田委員、どうぞ。

【北田委員】 今の御説明の中で、今ある設備を使ってというのができるということで言われて、それをここに項目で挙げられたのではないかと思うのですけれども、それに関連して少し伺いたいのが、実際ああいうものを動かすのであれば、当然許認可というか、制約がいろいろあって、それがために、やった方が例えば安全性が上がるだとかというところにつながるのだけれども、実際にはやれないとかいうような、そういう制約があるような項目というのがもし、あるのかないのかもちょっとわかっていないのですけれども、そういうのがあるのでしたら教えていただければと思います。

【山名主査】 お願いします。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 今思いつくのはそういうことはありません。というのは、もともとそのいろんな試験、計画の中で、ただ、先ほどのシビアアクシデントという目で見たときには、今、実は試験レベルというのは40%で考えています。これは100%の炉心からの自然循環能力は当然確認すべきですが、まずは先ほどの何て言うかな、制約というよりは、我々のわりと自主規制というところもあるのですけれども、ある判定基準なり、例えば燃料の健全性を守りながら試験しようということをやっていきますので、どうしても燃料の、例えば融点の制約があります。そうすると、自然循環を100%やった場合、当然そこまで行かないのですが、そういう余裕を見たところの温度まででおさめるかどうかというところの制約も出てまいりますので、その試験条件の中で、ある程度その知見を守りながら、我々の中でやっていくということはあり得ると思いますけれども、特に大きな試験項目で、許認可の制約があってできないということはないと思います。あと、あわせまして、自然循環なんかのときは軸方向の温度分布というのは結構大事ですので、これはそのために炉内計装と、わざわざ追加の計装設備をつけて今対応するようにしています。そういうことも考えてやっているところです。

【山名主査】 笠原委員、どうぞ。

【笠原委員】 今の御説明を聞いても感じることなのですが、あらかじめ計画した試験を滞りなく行うというか、それは絶対に必要なのですが、やっぱりそれだけじゃなくて、やってみなきゃわからないこととか、想定しなかったことが何かを洗い出すとかそういう観点も大事なのかなと。福島から教訓で、自然循環なんかも予備電源をどう持っていって、本当につなぎ込めるのか、あと、空気チャンバーを開けるとか、いろいろ手作業もあるのですが、現場に近づけるとか、近づけられないとか、ハードウェアがないと絶対できないことがいっぱいありますよね。そういうことをあんまりこう、おっかなびっくりじゃなくて、積極的にというか、たくさんできれば、少ない時間で、普通にやっていれば長い時間かかることを短い時間で効率よくできるということになるのではないかなというふうにも思います。そういう計画というのは立てられるものでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 具体的というよりは、アクシデントマネジメントに限って見れば、我々としても東京電力福島事故を受けて、先ほど山口先生がおっしゃいましたけれども、いろんな教訓が出てきています。それに対して、「もんじゅ」の設備をどう変えるか。既に変えるものについては、「もんじゅ」については対応してきておりますし、ですから、アクシデントマネジメントの手順の実践というのは、我々としては当然やっていくべきものと思っています。それは決しておっかなびっくりではなくて、我々が定められた手順をちゃんとこなせるかどうかをまさに、例えば許容時間内にできるかどうかですね。そのあたりは必要な試験というか、訓練ですので、それはやっております。
 あと、私の捉え方が狭いのかもしれませんけど、おっかなびっくりというよりは、まず試験で100%出力を出して、いろんなデータを取っていくというのは当然やっていきます。そのデータをとって、ある程度、裕度を確認した上では、幾つかその裕度の範囲内の中でやっていくことは当然可能だと思いますので、まず我々がやらないといけないのは、「もんじゅ」の性能がちゃんと100%出るかどうかというのをあわせまして、我々の予測なり、持っているのが範囲内かどうか。それが思ってもみないところでマージンを食っていれば、なかなかその試験ができないわけですから、そういう点ではわりと実際には100%の結果を見て、自然循環の試験にしても、先ほど言いましたように、100でできないかとか、そのあたりは当然検討していくことになります。これは技術屋としては当然だと思いますけれども。

【笠原委員】 ありがとうございます。先ほど山名主査がPDCAとおっしゃいましたが、時間が限られているものですと、あれは早く回さないといけないと思うんですよね。それから、失敗しても、さっきレジリアンスという言葉を言われましたが、トラブルを起こさないというだけじゃなくて、早く復旧できた方がいいわけで、そういう観点を入れるというのは福島の教訓の一つじゃないかなというふうにも思います。

【山名主査】 はい。ほかにいかがでしょうか。では、黒崎委員から。

【黒崎委員】 また安全性の話に戻って恐縮なのですけれども、その2ページの資料の、これは本当に見せ方の問題だと思うのですけれども、右側ですね。丸1番、丸2番である、1)、2)、3)、4)、5)と書いてあるところなのですが、この5番が新たなミッションということで、ほかの四つと独立して5番があるようにも見えるのですけれども、実は安全性の話というのは、炉心燃料技術とかいろんなところに関わっているわけでして、こう書くよりは、むしろこの1から4までを串刺しにするような形で全てに関わってやっているものなのだというのが見えるようにしておいた方が、実際多分そうだと思うのですけれども、いいのかなというふうに思ったのですけれども。

【山名主査】 趣旨はよくわかりましたので、お持ち帰りいただいて、整理学としてコメントを反映していただきたいと思います。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 わかりました。

【山名主査】 それから、稲田委員。

【稲田委員】 安全の問題ではないかもしれないですが、同じプラントの運転保守あるいはプラント運転保守技術というところで、知見を集積されるということについて、これは非常に重要なことだと思っています。ただ、トラブルといっても、多分いろんなレベルのものがあって、シビアアクシデントに至るようなものもあるかもしれませんけれども、そうでないような、非常に軽微ではあるけれども、そういうものでプラントというのは止まってしまい、稼働率も下がってしまうということがあると思います。
 私として申し上げたいのは、ただ知見を集積するだけではなくて、多分そのような本当に軽微なものについては、いろいろな改善をされていくんだろうなということを考えておりまして、そういう対応策まで含めてしっかりと知見として集積していただくといいのかなというように思いました。

【山名主査】 その点よろしゅうございますかね。

【廣井理事】 はい。

【山名主査】 村上委員、どうぞ。

【村上委員】 その軽微なトラブルでとまって、設備利用率が影響するというところで、先ほどからずっと、この研究計画策定に当たる考え方のところで思ったんですけれども、そもそも今現在、95年12月のナトリウム漏えい以来、一度も運転していないという厳然たる事実がございます。若い先生はもしかしたら見てなかったかもしれませんけど、あの当時まさか、あの程度のと言ったらたたかれそうですけれども、二次ナトリウム漏えいで、我々当時の開発当事者は、これでまた本格運転開始がまた何か月か延びたぐらいにしか思いませんでした。ところが、現実は御存じのとおりでございます。
 その後もナトリウム漏えいの補修が完全に終わってから後もいろいろあって現在に至るのは事実ですけど、でも、現実問題、技術的には数か月と思われたトラブルが何年も引きずっているという厳然たる事実がございます。やはりそこら辺の事実を踏まえますと、今後「もんじゅ」を運転再開していきますと、多分また同じ場所で二次ナトリウム漏えいはまさか起きないにしても、ほかのところでの軽微な、INESの0とか1とかいうレベルのトラブルは、それは起き得るというか、多分思いたくはないですけど、起きてしまうでしょう。そのときの再稼働、あるいは運転継続の判断基準というのはどの程度今の段階で考えておくべきですか。といいますのも、これも考えておかないと、このように今、専門家の方々が知見を結集して研究計画を取りまとめても、またそれで一発で10年止まるようなら、研究計画はもう絵に描いた餅ですので、それは避けたいという思いはあります。

【山名主査】 今の点、想定しておられることを説明していただきたいんですが。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 漏えい事故の話が出ましたけども、この間の御説明の中で少し足らなかったところはそこなのですが、その後少し意識的に説明したところはあります。それは漏えい事故自身、要するに、動燃の虚偽報告というのがありまして、それで信頼をなくしたというのがあります。ですから、我々がその後対応したのは、起きたことは全て包みなく公表するということで対応してきていまして、その対応で、特に炉心確認試験なんかのときには、対応したのが些細なトラブルも全て公表して、御説明しながらやっていくということで、ある程度試験を予定どおり達成できました。
 それがそのまま判断基準というわけじゃないのですが、今考えていますのは、どんなことが起きても速やかに公表していくという姿勢を示したことで、その対応も含めて、その都度説明していくと。なおかつ、そのトラブル対応も説明、公表しながらやっていくということを繰り返すことで、ある程度その短時間とは言わないのですけども、それは当然のことながら地元の方の理解も必要なので、そういうことをやっていきながら、できるだけ短い期間で対応できるようにしたいというふうに考えています。それが今の我々の姿勢です。ですから、どんな些細なことでもちゃんと対応していく。それを全て公表して、説明責任を果たしながら対応していくということが重要かと思っています。
 あと、再起動基準というのは幾つかあるというか、例えば我々の手順の中では、こういうことが起きたらこういう対応をして起動していこうというのがありますけども、どうしてもトラブルというのはある程度、当然のことながら規制委員会の対応も含めてやっていかないといけませんので、そちらの対応も含めて必要になってくるかと思います。
 我々の姿勢は、漏えい事故を踏まえて、事故が起きたときは、速やかな公表と速やかな対応を公開のもとでやっていくということが今の現状ですので、それをやることで、同じようなトラブルが起きて、長い間止まることを是非避けたいということで、対応しているところです。
 以上です。

【山名主査】 村上委員、いかがですか。よろしいですか。

【村上委員】 ありがとうございます。いわゆる専門用語で事故とは言われないほどの軽微なトラブルの場合の再稼働判断というのは、やはり規制委員会になるのでしょうか。

【山名主査】 国の方から。

【西條核燃料サイクル室長】 すみません。正確な線引きというのはどうなるのかというのはありますけど、基本的には現状においても、今、規制委員会になっていますけど、前の保安院のときでも、軽微なものがあっても、それは通報、ランクを決めてありまして、通報するという形で、何が起こったかというのを示す。それと同時に、やはりランクを決めてあって、当然のことながら公表も全部、先ほど説明がありましたように公表するという形にはなっています。
 それに関して、やはり原因を究明して改善しなきゃいけないところがあれば、当然のことながら原因を究明して、改善をして、それは了解をもらって動かすという形にはなりますけれども、それはレベルによって扱い方が違いますし、それ自身はレベルによって何をやらなきゃいけないかというのは決められているとおりに対応するということになると思います。

【山名主査】 この点は是非今のポリシーをしっかり全うして、無駄な時間をつくらないということに御努力いただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 ちょっと難しいお願いですが、主な論点の中で、「knowledge management」というキーワードが出てきています。それで、今日はそのお話、この資料とかを見ていただくと、基本的にはどういう役割でどういうことをやるかというと、かくかくしかじかのデータを取得とか、あるいは設計反映とかそういう形の書きぶりをしてあるのですよね。これというのはやっぱり今までやってきたことと同じようなスタイルで、運転してデータを取得して設計に反映するというスタンスで。
 前回の資料で、インドが「もんじゅ」に対する期待というので、ほかの国と違うことが書いてありまして、この「もんじゅ」の運転によって、安全評価とか、安全解析とか、そういうものの検証データとして貴重なものが得られるはずだと。それを是非期待したいというのが書いてあったんです。彼らは原型炉がもうすぐ運転すると。では、そのインドが安全評価をやるためにどういうデータを世界として整備すればいいのかとか考えると、これの今の「もんじゅ」の活用の考え方からだと、なかなかそこは見通せないのですよね。
 一方、軽水炉の世界は何をやっているかというと、安全解析コードを、例えばRELAPとかそういうコードなのですが、それを使っていろいろ安全評価をするためにエバリュエーション・マトリックスという重要な現象についての検証データがきちんと取れているかという、そういう整理を行って、それで安全評価がきちんと検証性のあるものになっているのかというのを示すと。では、高速炉はどうかというと、軽水炉と比べると歴史といいますか、いろいろ情報量も少ないので、これからということになると思うのですが、そういう観点で、例えばインドがそうやって安全評価のための重要なデータが得られると期待している。それなんかはまさに日本の知財になるのですよね。これからそういう安全評価のための検証データベースがあるというのは。それをどうやってつくっていくかというところで、先ほどの論点の中で、出ている技術の維持・継承が行えるような成果の取りまとめというのは何かと考えると、こういう知見をいかに整理して、汎用的に活用していけるような形にまとめるかということなのだと思うのです。
 そういう意味で、今日の資料は、こういう成果が得られる、こういうデータが得られるというのを非常に整理して、よく出していただいて、非常によくわかるものになっているんですが、では、これをどうやっていくのだという目で見て、これからその「もんじゅ」を使ってこういうふうな技術の維持・継承するための成果の取りまとめ、こんな姿ですというのをどうやってつくるかというのを是非研究項目の中に入れていただいて、多分それは動きながらだんだん設計していくようなことだと思うのですが、やはり重要な観点だと思いますので、そういうことを検討していただきたいというふうに思います。

【山名主査】 機構の方では、今までこういう成果の「knowledge」を集めていく方法論というか、成果物イメージというのはどうお考えになっていますか。

【廣井理事】 今まで考えていましたのは、やはり最終的には技術というのが汎用性を持つためには、「もんじゅ」だけで適用できるのではなくて、ほかのものにも適用できるというと、そういう設計手法的なものとか、その手法の中にはある事故をシミュレーションする計算コードであり、それからそれを判断するための材料的なとか基準ですね。そういう基準や設計するためのツールみたいな、そういうものが最終的な形になるのかなというのが、これは私のイメージなのですけれども。

【山口委員】 一つは、先ほど言いました軽水炉とかでも、ああいう安全解析コードというのは知見の集約であるという言われ方をして、これまでの実験の成果とか、そういうものがコードという形で集約しているという意味では、それはおっしゃるとおりなんだと思うんです。それとあわせて、その知見の集約に完備性があるかとか、検証性があるかというのをもう一つ示していく必要があって、それが先ほどエバリュエーション・マトリックスのような話を言いましたけども、そもそも安全評価ではどういうものを着眼点として見ていくのか、それを評価するために必要なモデルなり、データなりがそろっていくのかという目で見て、これまでの実験データベースだとか、モデルとかを眺めていくと。それが一つは「knowledge management」という形なのだと思うのです。
 もちろんデータが蓄積されていると、それから、計算コードの中にいろいろ反映されている、あるいは設計図書として蓄積されているというのは、それはわかるのですけれども、例えば今、先ほどインドの例を出しましたけど、インドがこれから安全評価をやっていく上で、「もんじゅ」で得られるそういうプラント特性のデータに期待したいというようなことを言ったときに、どういうデータアセットとして我々は持っていって、どの部分を有償で提供して、あるいはどの部分はノウハウとして維持して、それが技術の維持・継承という意味では、例えば5年後、10年後とかに、次の炉の設計を考えましょうかといったときに、そういうものがうまく生きていく形になる必要があるのだと思うのです。
 ですから、コードそのものというのは重要なのですが、そのコードをどうやって使っていくかとか、それの検証性をどう示すかとか、あるいはバックデータをどうやって体系的に示すかとか、そういう観点も含めた議論というのはやはり「もんじゅ」を軸としたJAEAのこの体制じゃないとできない話なんじゃないかと思いまして、そこは、今は多分、研究計画として世に入っていないのですが、いろいろ知見データとか蓄積されていく上では必ずそういうところに議論は行き着くと思うのですね。そういう準備を是非お願いしたいというふうに思ったわけです。

【山名主査】 今のことはペアでないと意味がないという御指摘ですが。

【廣井理事】 決して忘れているつもりはなくて、そういう意味では、例えば安全性クライテリアなどというのもまさにそういう、上流側から安全というものを考えていく道筋であって、それで、そのクライテリアに基づいて評価していくツールを整備していくという両方から我々はチャレンジしているつもりではいるのですけれど。

【山名主査】 そこの戦略をまた何らかの形でしっかりとお見せいただきたいと思います。えてして大型開発というのは、そこが抜けているために終わってみたけど、何だかよくわからない状態になったというようなことがありますよね。そうはしてはいけないですね。貴重なお金を使っていただいている。是非そこのknowledge management strategyをしっかりペアでやっていただきたいと思います。
 いかがですか。これは私から1点よろしいですかね。何て言うのですかね。やっぱり技術開発をやったら、それは明確な何かの達成を示さないと国民には理解できないですよ。はやぶさがズタズタになっても帰ってきたということは意味があるのですよね。それで、「もんじゅ」は何かと。そういうknowledge managementをしていくのだけれども、人知らずところでそれがたまっていっただけでもむなしいところがあって、やはりこの装置にお金をかける限りは、これが動いたことで画期的というか、世界初のある実績をつくるというのが目標ですよ。それが達成できないのだったら駄目だということですよね。その実績は何かというと、こういうデータを確証していくことはもちろんですが、やっぱり何か明確なクライテリアが要るだろうと。これを御議論いただきたいですよね。
 私のイメージはやっぱり発電炉としてまず技術を取りまとめるのだというのであれば、最低、連続運転、1サイクルか、2サイクルか私知りませんけど、ある期間、確実に安定して、この大きな装置が動いたということを達成することがまず大きな目標ではないかと思うのです。それをなしに、ちょこちょこ、ちょこちょこやっていても、ああ、そうでしたかというだけであってですね。
 だから、連続運転目標というのは一体何なんだろうということになりまして、私は専門家じゃなくてよくわからない。それは一体どういうイメージですか。この発電炉として、別に10年、20年とは言いません。さっき弟子丸さんが5、6年というような一つの粗いイメージを出しておられますが、その中で、これだけ連続運転で行けるのだという一つの単位というのは何ですか。それは是非聞かせていただきたいと。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 連続運転という単位は、先ほど言いましたように、設計は1サイクル4か月運転ですので、当然その後、設計上は5か月運転とかいうのもありますけど、まずは4か月運転の達成かなと思います。そこにありますように、どこかで連続運転というのは書いておいたのですが、5ページ目の丸2の二つ目の矢羽根にありますように、このイメージは「安定的な発電が連続的に」というのは、まずは1サイクルの運転というイメージで書いております。

【山名主査】 大体1サイクルを確実に連続で動かすと。それを何回繰り返せるかというような、そういうところに目標が来ると理解してよろしいですか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 そうですね。先ほど私が、語弊があったかもしれませんけど、5、6サイクルというのは、言いましたように、ある程度の機器の特性を把握する期間ということで御説明差し上げたところですが。

【山名主査】 少なくとも今まで1サイクル動いたことはないわけですよね。

【廣井理事】 まだ100%行っていないわけですから。

【山名主査】 100%行っていない。とにかくまず100%で少なくとも1サイクル動かすのは、入学式通過というようなところですよね。
 皆さん、いかがでしょうか。
 実は、今日もう一つ議題があるんですが、このテーマも大事なので、「もんじゅ」でしかできないこと、「もんじゅ」でやらなければならないことはできるだけ今日、先生方の意見を絞り出しておきたいと思っているのですが、ほかにいかがでしょうか。黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 山名先生のおっしゃった、そのわかりやすい目標というところですけれども、はやぶさの話を出されて、はやぶさの方はわかりやすい目標が非常に明確にあって、非常に評価されていますよね。一方、「もんじゅ」の方はなかなか評価されないというところがあって、なかなかもどかしい気持ちもあります。
 それで、その目標は何なのかと言われたときに、私自身、連続運転の100%でという話、それはそれで理解できるのですけど、果たしてそれが一般の人たちに対して重要度がどれほど理解いただけるのかなとあるいは一般の人じゃなくても、同業他社の科学技術者に対してどれぐらいそれが理解いただけるのかなというのが、自分でやっていても、何ですけど、少し疑問があります。
 例えばはやぶさなんかだと、映画になっているとか皆さん御存じだと思いますし、それは一般の人に対してなんですが、一般の科学者に対してすごく評価が高くて、例えばアメリカの科学誌の『サイエンス』という雑誌があるのですが、そこに本当に特集が組まれて、はやぶさに関する論文がいっぱい出たりすると。一方、「もんじゅ」については、あるいは原子力全般でもそうなのですけれども、すごく大事な、人類にとってすごく重要な仕事をしているにもかかわらず、なかなか見えづらいというのがあって、ですから、わかりやすい目標というところをいかにうまく見せるのかというのがやっぱり非常に大事なのかなというふうに思ったと。これはコメントですので、そのわかりやすい目標は何だと言われたときに答えられないのですけど、そこはよく考えていく必要があるのかなというふうに思いました。

【山名主査】 ここもよくお考えいただく。何て言ったらいいか、この辺いかがでしょう。山口先生、こういうところは。やっぱりはやぶさの場合、宇宙探索というサイエンスの側に工学で乗り切るというすごいチャレンジだったのですよね。これは原型炉なので、かなり工学側に寄りながらやっている開発ですから多少立場は違うのだけれども、国民の皆さんに成果が見えるということはめちゃくちゃ大事な話ですよね。

【山口委員】 いや、もう私は原点に戻る話だと思うのですが、前回、もともと原子力政策大綱には、核燃料サイクルは将来のエネルギー確保の不透明さに備えてやるのだということが書いてあって、その状況は全く変わってなくて、むしろ、ですから、高速炉の場合の一番明確な目標は、「もんじゅ」と、それから、高速炉サイクル、こういう技術を持っておけば、将来のエネルギーの安定確保に対する不透明さにいろいろ柔軟に対応できるということを数字で、数字といいますかね。実績として示すことなのだと思うのです。
 ですから、やはり昔、プルトニウムを抽出して、それで燃料ができたと、あれは非常に大きなイベントだったわけですね。それはやっぱり高速炉を使うことによって、そのプルトニウムという自前の燃料が手に入ることができたと。やはりもともとの原点をたどれば、高速炉サイクルはそういう意義を持っていたわけですので、それを何かうまく見える形で、高速炉の技術を日本が持っているということは、エネルギーの確保に対してこういうメリットがあるのだという出し方を、これは是非皆さんでやっぱり考えていくことだと思います。

【山名主査】 それに更に廃棄物の減容という新しいテーマが入っておりますよね。

【山口委員】 そうですね。もう一つ。

【山名主査】 非常に重要なテーマではあるのですよね。JAEAさん、その辺はよく、国民が求めているものにどう応えるかという視点はお忘れなきようお願いしたいということでありますが。
 稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 今、目標について議論になっておりますが、将来の可能性として残っているものの中に「もんじゅ」という設備があって、それを原型炉としてしっかりとそのデータを取るということが重要です。それが一つの目的であって、それを日本でやるということだと思います。海外のものを使うのではなくて、日本でやるんだというところで、しっかりと知見を積み重ねていかないといけないと思います。その中で「もんじゅ」で何をやらないといけないのかということを議論していかないといけないと思っております。

【山名主査】 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。笠原委員、どうぞ。

【笠原委員】 一つだけじゃなくて、今まで議論ありましたように、高速炉で、それから、サイクルと一緒になって何ができるかというと、一緒に「もんじゅ」は100%動いたとやっぱり言うべきだと思うのですね。皆さんも同じだと思うのですが。ただ、この廃棄物の減容とか、多様なオプションというのはなかなか、やっぱり普通の人にわかりづらいみたいでして、例えば我々の大学の学生にも実はなかなかわかってくれないところなので、その表現は工夫が要るのかなと思います。
 この後の廃棄物の減容、有害度の低減というのも非常にまどろっこしい言い方ですよね。例えば山名先生の本にもありましたけど、「理想のトイレ」という言葉が何かに書いてあった気がするのですけど、この論点の中でもウランを有効利用とあったのですが、もっとわかりいい表現で、「もんじゅ」はそれに貢献しますと言うべきじゃないかなというふうに思います。多くの皆さんもなかなかそうしようと思ってできていないことだと思うのですが、今のこのタイトルだと、ここにいる皆さんにはわかるんですけど、一歩出て、例えば学生にもこういうことをやっていると言ってもなかなか通じない状況というのもあると思います。

【山名主査】 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。大島委員、どうぞ。

【大島委員】 やはりエネルギー政策自体、なかなか今、国民に対して見えにくいところということはあると思います。その中で、「もんじゅ」がどういう位置付けになっているかを発信するということは非常に大事だと思っています。笠原委員がおっしゃったように、今この場は専門家での議論でいいと思いますが、国民ということを考えた場合には、その人の立場に立って、やはりわかりやすく説明するということと、それを常日頃からやっているということが大事なのですね。ある日イベントが来たときに、それを発信するといっても、それを受けとめる側というのはその土壌ができていませんので、それをふだんからホームページなり、あるいはいろいろなパンフレットなど、非常に地道で、それに対するコストもかかりますが、そういう方法で応援団をつくっていかないと、多分国民の支持というのはなかなか得られないと思います。
 これから、その廃棄物という非常に重要なことについても議論がされると思いますが、廃棄物と言っただけで、それに対して拒否反応を示す方というのは非常に多いと思います。そういう壁を少しずつ地道に崩していくことをふだんから行っていくということが重要だと思いますので、技術的な話とは、横道にそれていますが、やはりそういうような観点も含めていただいた方が、今、議論していることに関しては有用なことにつながるのではないかというふうに思っております。

【山名主査】 ありがとうございます。廃棄物のテーマはまたあるのですが、ちょっと中途半端になるので、次回に回させていただこうと思います。少しテクニカルな話になりますので。ただ、一つの大きな目標として、この廃棄物減容が非常に重要だというのはもう政府の戦略でも出ておるわけですから、これをいかに国民に見えるようにしていくかということは、「もんじゅ」にとっても大きな仕事であるということは間違いない。今御指摘いただいたとおりだと思いますので、その点、JAEAの方でよろしくお願いしたいというふうに思います。
 それでは、あと30分ありますが、もう少し「もんじゅ」でしかできない、「もんじゅ」がやるべきテーマのことを議論したいと思いますが、いかがでしょう。今まで議論から外れているところに、炉心とか核データの話が、炉心特性とかそういうところがあるんですが、燃料系ですね。これについては非常に重要な話だと思って、「もんじゅ」が考えているMOX燃料というのは本当に使い物になるのかとか、想定しているような物理的特性を示しているのか、核データに問題はないのかというようなことが当然ペアになっているんですね。それは御説明いただいた資料にも書かれているわけでして、ただ、それをどう評価していくかというのはいまいちまだ語られていないような気がするのですよ。
 ですから、この燃料とか核反応ですとか核データですとか、そのあたりについては、JAEAさんとしてはどうお考えか、御説明いただきたいのですが。

【安部次世代原子力システム研究開発副部門長】 「もんじゅ」は長期間停止しておりまして、その間に、プルトニウム241がアメリ241にかわりました。それによりまして核的な特性、それから、燃料としての熱的な特性、挙動、こういったものに影響を受けております。それについては、安全性については、安全審査の中で評価をいただいて確認をしておるわけで、その安全審査を受けるに当たっては、例えば物性についてはアメリシウムの物性を私どもで取りまして、そういったものについてはどういう影響があってということで、それは新たに設計の中に取り込んで、安全審査を受けております。ですから、実際、「もんじゅ」を運転しまして、そこから運転で出てくる核特性のデータ、それから、照射後試験で出てくるいろんな挙動のデータ、そういったものがもともとの設計、それから、安全審査の前に行いました追加設計、こういったものとどういう関係にあったのか。そういったものを直接の検証データを得まして、確認をしていくというのが一つ大きなポイントだと思います。
 そういう意味では、特に安全審査前に設計上、それから、挙動評価上は、かなりいろんな影響については評価をいたしましたので、その評価結果と突き合わせるということではかなり技術的にも意味があるのかなと思っております。
 それからまた、核特性でいいますと、従来の海外の先行炉は、プルトニウムにしても、非常にプルトニウム組成のいいガス炉級ですとか、軽水炉でも非常に燃焼度の低い使用済燃料から回収されたプルトニウムを使っております。それに対して「もんじゅ」を、軽水炉燃料、燃焼度も2万から3万、こういったものの使用済燃料から回収されたプルトニウムを使っておりまして、これは高速炉、世界的にも初めてでございますので、そういったところのプルトニウムの燃焼特性、それから、核特性、こういったものも非常に大きなポイントかと思っております。

【山名主査】 わかりました。では、軽水炉使用のプルトニウムを燃焼する高速炉としては初ということになるのですね。

【安部次世代原子力システム研究開発副部門長】 軽水炉のプルトニウムは少し使用量がありますけれども、軽水炉の燃焼度として、東海の再処理ですと平均2万7,000ぐらいの軽水炉を再処理して、そのプルトニウムを使っていますので、通常の軽水炉のプルトニウムということでは世界初です。

【山名主査】 その件は海外が今進めている、インドのPFRですとか、あるいはフランスのASTRIDですとか、そういうものと比べても、燃焼設計的にはユニークな立場であると思ってよろしいですか。インドは重水炉だと思うのですよね。

【安部次世代原子力システム研究開発副部門長】 まずプルトニウムの組成としては、インドは重水炉で、燃焼度はかなり低いですから、組成的にはやはり「もんじゅ」の方がかなり高次化は進んでいると思います。それから、ASTRIDについては、super phenix、phenixで、炉心の一部には軽水炉のそういうプルトニウムを使っていますけれども、全炉心平均でいきますと、やはりこれは「もんじゅ」が最大になります。
 それから、私のところで説明しようと思ったのですけれども、そういう意味では、プルトニウム組成の影響というのはフランスも非常に気にしておりまして、ASTRIDで将来、プルサーマルのプルトニウムを使った場合に、普通にMOX燃料として使えるというのを、これは「もんじゅ」を使って照射試験をやって確認したいとか、そういう希望も来ておりますので、そういう意味では非常にプルトニウム組成については海外も注意をしております。

【山名主査】 今回延期した、次回そこをお話しいただけるということで。

【安部次世代原子力システム研究開発副部門長】 はい。

【山名主査】 ありがとうございました。燃料については大体御説明いただきました。
 ほかにいかがでしょうか。稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 燃料については次回御説明いただけるというお話ですが、海外に比べてもかなり先端的な技術が使われているというように受け取ったのですが、その中で、これは質問ですが、3ページ目に「アメリシウムの再分布を含む」と書いてあります。これがどういう意味で書かれているのかというのがわかりませんので、教えていただければと思います。

【安部次世代原子力システム研究開発副部門長】 これも私の資料の方で御説明しようと思っていたのですが、アメリシウムはプルトニウム、ウランに比べて融点が低くございます。ですから、アメリシウムの濃度を高めていきますと、その分、融点が下がった分、熱設計を考慮しないといけません。それが初期のアメリシウム濃度だけではなくて、照射中に非常に大きな径方向の温度分布がありまして、それに沿ってアメリシウムの濃度が径方向に分布を持ちます。溶融するのは燃料の中心部ですので、中心部にアメリシウムがたくさん集まりますと、更に融点が下がる効果がありますので、熱設計上、そのアメリシウムがどれだけ移動するかというのは非常に重要なファクターなものですから、それをデータとして取りたいということです。

【稲田委員】 ありがとうございます。

【山名主査】 よろしいですか。

【稲田委員】 はい。

【山名主査】 それでは、いかがでしょうか。村上委員、どうぞ。

【村上委員】 「もんじゅ」炉心の燃料組成が世界的に見てもまれであるというお話がありましたけれども、高速臨界炉体系炉心で、現存しているのは「もんじゅ」が実質的には最大というふうに認識はしているのですが、その最大かつ世界でも例のない燃料組成であるということは、「もんじゅ」から得られる炉心特性の評価データはきちんと取りまとめると、将来日本の知的財産として、世界のどこかの国に、言い方悪いですけど、高く売れる可能性もあるということでしょうか。

【安部次世代原子力システム研究開発副部門長】 おっしゃるとおりだと思います。それで、結局、海外はガス炉級のプルトニウム、「もんじゅ」は今、軽水炉のプルトニウム、それはプルサーマルの同位体がだんだん高次化していくということで、もともとの「もんじゅ」でもそういう意味では非常にデータの意味があったのですが、さらに、廃棄物減容、それから、有害度低減という観点からは、新たにマイナーアクチニドを入れた燃料ですとか、プルトニウムの負荷度を高めた燃料とか、それから、プルサーマルのプルトニウムを模擬した燃料、こういったもののデータも取っていきたいと。これは次回御説明しますけれども、それは要するに、更に同位体組成を高次側に振った燃料のデータをたくさんとるということになりますので、そういう意味では、今の「もんじゅ」のアドバンテージを更にぐっと高めるようなデータが新たに廃棄物減容の中で取れてくるということです。

【村上委員】 そういうことでしたら、何でもお値段に換算するところが民間事業者の悪いところかもしれませんけれど、やはりそのように世界的にも貴重な知見が得られるという確証であれば、先ほどの評価の一つにコストという観点も上がってきましたが、コストプラス得られるベネフィットという点から少し重点を置いた評価をするべきかとも思います。ありがとうございます。

【山名主査】 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 多分次ので、今回新しいミッションが加わったのはなぜかといったら、今議論になっているような特性が
あるからで、ただ、例えば昔でも核兵器解体のときとか、ああいうときでも高速炉の果たす役割というのは国際的にいろいろ議論されたりしたことがあって、今回廃棄物の減容という話が出ているのも、実はそれだけ、本来の原点に戻ってという話を最初したのですが、それは高速炉の新しくミッションに加わったというのはそういう重要な意義なのですよね。ただ、恐らく次回のときにでも、あるいはその先でも、ただ、どういうポテンシャルがあるのかというのはやっぱりなかなか伝わっていないと思うのですよ。そういうところはもっときちんと、今いろんなこういうデータが取れる。それで、自分でいろいろ照射もできて、試験もできるベントがあるというのは、その存在だけでも非常に意義があることなわけで、だから、先ほどの山名主査の目に見える目標、はやぶさじゃないですけど、むしろそういう、こちらの方で目に見える目標というのは、私いろいろ書けるのではないかと思います。
 それで、こちらのプラントの方に戻ってもよろしいですか。

【山名主査】 どうぞ。

【山口委員】 もう一つ、是非きちんと整理していただきたいなと思うのは、フロントラインというか、それじゃないのですけど、計装系関係とか、それから、高速炉でやっぱり非常に設計上重要なのが、今幾つか出てきたのですが、予熱系とか、それから、カバガス系だとか、それからあと、燃料破損検出関係ですよね。それからあと、放射化とかのデータ。その辺は聞くところによれば、外国でもいろいろと気にしているところで、やはりあれはプラントの運転で相当のノウハウがたまるはずのところなのだと思います。
 それともう一点、特に計装系に関しては、今回の事故でもプラントパラメータをロバストに測れるのを保証するというのが非常に重要だというのがわかって、では、高速炉の場合にどうなのかというのは、今、例えば炉心の出口で燃料温度を測って、それから、ナトリウムの温度を一次系で測って、それから、出力測ってとか、幾つかやっているのですが、その計装系をこれからどうするか、それから、計装系の検出限界とか、あるいは異常が起きたときの破損あるいは誤表示の可能性とか、私、それは非常に重要なテーマだと思いまして、そのあたりあまり今の計画の中では見えないところもあるのですが、いわゆるサポート系、計装系関係のところをもうちょっと充実した計画が立てられるのではないかと思いますし、あの辺のデータというのは本当に、いわゆるプラントを設計したりとかの段階では見えないデータですので、非常に貴重だと思います。


【山名主査】 今の点について、JAEAの方ではどうお考えですか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 ありがとうございます。我々も当然認識しておりまして、特に水漏えいとかナトリウム漏えいの検出については、水漏えいは蒸気発生器を持っている我が国の唯一の高速炉プラントですので、その開発は重要だと思っています。また、資料の26ページあたりに具体的に、特にナトリウム、伝熱管の破損関係のデータの試験のやり方とか趣旨ですね。そのあたりを御説明させていただいていますけれども、今御指摘のように、漏えい検出器、それからあと、炉心出口計装については、御指摘のように我々としては燃料の出口温度を持っておりますので、そのデータを取っていって、評価をするということは当然必要だと思っております。
 ですから、今の計画にも十分入っておりますが、そこはもう少しわかるように表現したいと思います。

【山名主査】 何か計装系を今後強化したりして、より意義深いデータを獲得できるというようなことは可能なのですか。

【廣井理事】 今の計画の中で、特別な計装系を追加するというところはないのですが、ここの5ページのところに丸5ですね。「計測設備の性能確認」、ここに我々が今、着目している計測系を列記しています。そういう中で、いわゆるこれは皆ある意味でナトリウムを使う高速増殖炉特有な機器でございまして、それで我々が一番感度のいいものを設計で採用したために、逆に、ノイズとか誤信号で苦しんでいるところもあって、そういうところを克服するということが実際のその安定運転とか、信頼性の高い運転にうまくつながっていくのかなと。そういう着眼点で今取り組もうと思っています。

【山口委員】 今申し上げたのは、私も最近、勉強したのですけど、TMIの事故の後に、アメリカが計装系の考え方というのを見直す、PとBとそれぞれレポートを出していまして、その中で着目した点は、全ては忘れたのですが、一つは計装系の信頼の限界、それから、誤信号を出す可能性があるとしたら、どういう誤信号が出るか。それから、二つの相矛盾した信号が出た場合にどちらを信用してオペレーションするかという問題点を、要するに、それはシビアアクシデントのときも信頼のおけるものでないといけないという観点で、そういう問題点を挙げて、それで、計装系のロバストな計装系の開発といいますか、そういうプロジェクトに入っていって、今、日本もそういうプロジェクトが始まっていると聞いていますけれども、では、高速炉はどうなのかというと、実際、ナトリウム漏えい検出器なんかは誤信号で随分と出てきて、やっぱり計装系の在り方というのは、ある意味では少し見直して、要は、感度を上げて何でも引っかけりゃいいというものでもないですし、信頼性も高く、なおかつロバストで、それで、オペレーションするときに着実に情報を出してくれるような在り方という一つ考えどころじゃないかなとも思うのです。
 あまり計装系というのは何となく、レーザー技術を使ったりとか、ちょっとハイテクの方向にずっと最近行き過ぎたといいますかね。そういう方向をしばらく志向していた時期があったと思うのですが、今のロバスト性とか信頼性とか、先ほど笠原委員がおっしゃったレジリアンスとかそういう観点で、少し計装系の見方を見てみるというのは「もんじゅ」のポイントの一つかなと思います。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 そうですね。そのとおりでして、我々、そういう点では今のところそういう、言ってみるとアクシデントマネジメント対策ということで、計装系の検討を始めたところですので、山口委員がおっしゃったような形での研究がどの程度展開できるか、検討させていただきたいと思います。

【山名主査】 ほかにいかがでしょう。ほかの視点でいかがでしょうか。北田委員、どうぞ。

【北田委員】 一つ前の話に戻ってしまって恐縮なのですけれども、廃棄物の減容という資料をちょっとパラパラッと見ただけなのですけれども、是非示していただきたいなという部分がありまして、先ほど「もんじゅ」を使ったら、高速炉としてはこんなポテンシャルがありますということを言われているわけなのですけれども、ここで示されているのは、例えば何分の1になりますとかいうようなことは言われるのですけれども、併せて示していただければいいかと思うのは、それが例えば物量としては絶対値で見たらどんなものなんだとか、例えば7分の1だったら、7分の1にするのにどれぐらいの時間スケールが必要なものなのかというところを併せて示していただけると、その後も考えやすいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

【山名主査】 では、次回までにそういう視点もお願いいたします。
 いかがでしょうか。笠原委員、どうぞ。

【笠原委員】 さっきの計測系のところで、弟子丸所長代理のお答えで、シビアアクシデントに対する安全対策の項目の一つとしても計測系が入っていると、そういうことで、そういうお答えだったということでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 そうですね。「もんじゅ」というよりは、軽水炉の指針などもそのあたりの重要度とか、まさにおっしゃるとおり、本当に違った信号を出さないかという観点での開発というか、指針がされると聞いておりますので、当然のことながら、「もんじゅ」もそれに対して対応していかないと、という認識はあります。今おっしゃったところは、改めて我々としても今考えないといけないなと思ったところですので、併せて展開について検討したいと思います。

【笠原委員】 今のお答えで、多分もう意識されていることはわかったのですが、従来だと、少しでも漏らさないための非常に慎重なというか、ちょっと漏れてもすぐに検知するという観点で計装があったと思うのですが、多分この後、漏れることを前提にして、漏れた後もちゃんと測っていく、あるいは漏れた後の対策やレジリアンスということを意識した計装というふうに考え方が変わっていくと思うので、そういった基本的なところから見直して、「もんじゅ」がそれに活用できると言っていただけると安心感が高まるんじゃないかなと思います。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 ある程度、現有設備でも今みたいな形での考え方が取り入れられていますが、そういう意味で今アクシデントマネジメント対策という一つのカテゴリーなり、今、山口先生がおっしゃったような形での観点でもう一度見直したいと思います。

【山名主査】 よろしいですか。はい。ほかにございませんでしょうか。
 私から一つ確認したいんですが、さっき言いましたように、連続運転というのを一つの大きな目標にするとしても、そればかりやっているわけじゃなくて、時々さっきの安全上の特殊な条件を調べてみるとか、あるいは画期的なデータの検証のために臨界特性を調べるとかですね。何か特殊なことをやってみる、あるいは照射のようなことをやっていくというような、多少マルチ性を持たせた運転パターンも入れていくということなんでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 例えば先ほどの自然循環にもあるわけですし、実は性能試験の中でもいろんな運転パターンについて、例えば出力がどの程度の割合で変更できるかとか、そのあたりの性能の確認をいたします。また、当然研究開発の課題を検討する中で、特に「もんじゅ」の場合ですと、4か月運転、8か月と、比較的停止期間というのを、少し裕度をとっておりますので、その期間を利用していろんなことができないかどうかというのは当然検討することになっていくと思います。

【山名主査】 例えば極論すれば、あるサイクルが終わった後に、次に起動する前に、もともとこういう実際の燃料を大量にくみ上げて、ナトリウム冷却で温度を上げて、臨界実験できる臨界実験装置なんて世界にないわけですよね。「もんじゅ」というのは唯一の巨大な臨界実験装置であると。核的にそこでいろんな知恵を入れて、何かの核的な特性、物理特性を調べ上げると。安いコストでたくさんの基礎データを取るというような発想もあり得るのかとは思うのですが、これはいかがでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 いろんな特性データを取るというのは、当然そうですので、炉心ごとにある程度時間をかけて取っていくということになるかと思います。また、例えば特殊な条件をつくるとすると、今言いましたように、許認可上の制約がかかる可能性がありますので、例えば炉心の中に別なものを入れるとすれば、構成される炉心の中に別のものが入ってくるわけですので、ただ、それがある程度、今示しましたように、現有の許認可の中でできる範囲であれば検討して対応していくことになるかと思います。少なくともリジッドにこの4か月、8か月運転を守っていくというわけではなくて、当然のことながらその研究の中で必要なものがあれば、この中でやっていくということになります。

【山名主査】 北田委員、炉物理の専門と思うのですが、このあたりいかがでしょうか。

【北田委員】 ここでは私も高速炉自体でよくわかっていないところもあるのですが、確かにちゃんと運転されたことがないということが少しあって、プルトニウムの組成というのはよく言われているのですけれども、私の方で炉物理的にということで気になるのは、むしろその核分裂してできた方の核分裂生成物などは本当に大丈夫なのかなと。当然核分裂するところのエネルギーが高速炉ということで、軽水炉とは当然全然違うわけですので、できているものが本当にどれだけ、どんなものができているのだろうかというところも結局は燃焼後の照射後試験というところで見られるのではないかと思うのですけれども、そのあたりも見なければ駄目な、今後それは実際に高速炉として使えるものになるのかどうかという観点で見ても、そのデータが、例えば核データとかも含めて妥当なものかどうかという検証というものではやっていかなければ、もうあとは、結局やっていかなければ、あとに使いものになるデータにはなっていないだろうなというように思っています。

【黒崎委員】 すみません。追加で。

【山名主査】 黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 核分裂生成物の話が出たので、これも次回になると思うのですが、私、次回、今のところ欠席の予定なので、事前にお伝えしておきたいのですけれども、申し訳ありません。核分裂生成物の挙動というのはものすごく重要で、出てくるものの種類はそんなに変わらないのですけれども、ちょっと量が変わったりとかすると。あと、温度が全然違うので、出てくる核分裂生成物が燃料の中でどういった挙動をとるかというところも、軽水炉の場合とは全く異なってくるということだと思います。
 それで、次回の資料をパラパラとめくったら、アクチニド元素の再分布の話は書かれていたのですけれども、核分裂生成物の挙動の話というのがなかったので、そういう資料も次回もしあれば、さっきの北田先生の核的なところの核分裂生成物の影響、燃料の挙動としての、物性としての核分裂生成物の挙動というところ、両方リンクできるのかなということで、そういうデータは公開文献等でもありますので、次回もし可能であれば、資料として出てくればいいのかなというふうに思いました。

【山名主査】 ありがとうございます。次回御欠席と知らずに予定を延期してしまいまして、申し訳ないです。メールででも前もって意見いただければ。

【黒崎委員】 そうですね。もし意見があれば事前にお出しするようにします。

【山名主査】 ええ。是非よろしくお願いいたします。一番大事なときに。
 それでは、そろそろ時間ですが、何かどうしてもということはございますか。
 それでは、十分この「もんじゅ」を使うべき内容については議論できたと思いますので、今日はこれぐらいにしていきたいと思いますが、とにかく世界で価値あるデータを取れる「もんじゅ」でいていただきたい。世界が見向きもしないようなデータを出すのだったら、国民は認めないでしょう。世界初、世界でものすごく求められているデータをきちんと出せるということがやっぱり求められるのかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、一つの議題を延期いたしましたが、事務局の方から何かございますか。

【西條核燃料サイクル室長】 どうもありがとうございます。本日いろいろいただいた御意見を踏まえ、また整理させていただいて、必要に応じて事務局から連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、今回の会議の議事録につきましても、出来次第、またメールで御相談させていただきます。見ていただくようなことになると思いますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。

【山名主査】 それでは、長い時間、皆様方御協力ありがとうございます。以上で第2回もんじゅ研究計画作業部会を終了いたします。ありがとうございました。


 ―― 了 ――

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