原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成24年10月29日(月曜日) 9時30分~12時30分

2.場所

文部科学省東館13階2会議室

3.出席者

委員

山名主査、稲田委員、笠原委員、北田委員、黒崎委員、永井委員、村上委員、山口委員

文部科学省

田中総括審議官、戸谷研究開発局長、大竹研究開発局審議官、西條核燃料サイクル室長、近藤原子力課長補佐

オブザーバー

廣井日本原子力研究開発機構理事、弟子丸日本原子力研究開発機構高速増殖炉研究開発センター所長代理、大久保日本原子力研究開発機構炉システム研究開発室長

4.議事録

【西條核燃料サイクル室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回もんじゅ研究計画作業部会を開始いたします。
 本日は、御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、もんじゅ研究計画作業部会の最初の会議ですので、冒頭、便宜的に核燃料サイクル室長の私、西條が議事を進めさせていただきます。
 まずはじめに、研究開発局長の戸谷より御挨拶させていただきたいと思います。

【戸谷研究開発局長】 研究開発局長の戸谷でございます。本日は、御多忙のところ、本作業部会に御出席をいただきましてありがとうございます。
 もう御案内のとおりでございますけれども、昨年の3月の東京電力の事故以降、原子力政策をめぐる議論は様々活発に行われておったところでございますが、先般、9月14日にエネルギー・環境会議におきまして、革新的エネルギー・環境戦略が策定をされたところでございます。
 その中におきまして、「もんじゅ」につきましては、かなり具体的に考え方が盛り込まれておりまして、「もんじゅ」は国際的な協力のもとで、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、これを1番目の目標、2番目といたしまして、廃棄物の減容及び有害度の低減などを目指した研究を行うという位置付けでございます。そういった中で、このための年限を区切った研究計画を策定、実行し、成果を確認の上、研究を終了するというふうに書かれているところでございます。この研究計画につきましてこの作業部会で御審議をいただくということで、本日お集まりをいただいたということでございます。
 さらに、この革新的エネルギー・環境戦略の中で、この「もんじゅ」をはじめとした幾つか具体的な作業項目があるわけでございまして、それにつきましては、先般、やはり10月19日のエネルギー・環境会議におきまして「今後の進め方について」というのも決められたところでございまして、その中で、この「もんじゅ」につきましては、文部科学省におきまして、本年末までに中間取りまとめ的なこと、更に年度が変わりまして、その後に詳細な計画も更に詰めていくというスケジュールにつきましても、このエネルギー・環境会議の中で決められたということでございまして、大変恐縮でございますけれども、この大枠の中で今回御議論をいただきたいということでございます。
 スケジュール的に申し上げましても、大変限られた時間の中でございますけれども、これまでの成果あるいはこれまでの経緯等も鑑みながら、今後のことについて十分御審議をいただきたいということでございます。
 重ねて申し上げますが、大変限られた時間の中でございますけれども、各先生方におかれましては活発な御議論をお願いしたいということでございます。よろしくお願い申し上げます。

【西條核燃料サイクル室長】 どうもありがとうございました。
 それでは、資料1-2に名簿がございますが、もんじゅ作業部会に御就任いただいた委員を御紹介させていただきます。
 まずはじめに電力中央研究所原子力研究所副所長、稲田文夫委員。

【稲田委員】 よろしくお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 東京大学大学院情報学環・生産技術研究所教授、大島まり委員。大島まり委員は、本日御欠席となっております。
 東京大学大学院工学系研究科教授、笠原直人委員。

【笠原委員】 よろしくお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 大阪大学大学院工学研究科准教授、北田孝典委員。

【北田委員】 よろしくお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 大阪大学大学院工学研究科准教授、黒崎健委員。

【黒崎委員】 よろしくお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 東北大学金属材料研究所教授、永井康介委員。

【永井委員】 よろしくお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 日本エネルギー経済研究所戦略研究ユニット原子力グループマネージャー、村上朋子委員。

【村上委員】 よろしくお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 大阪大学大学院工学研究科教授、山口彰委員。

【山口委員】 山口でございます。よろしくお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 京都大学原子炉実験所教授、山名元委員。

【山名委員】 よろしくお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 なお、山名委員におかれましては、原子力科学技術委員会、田中知主査より指名を受けまして、もんじゅ研究計画作業部会の主査を務めていただくこととなりました。皆様、よろしくお願いいたします。
 それでは、山名主査より御挨拶いただきたいと思います。山名主査、よろしくお願いいたします。

【山名主査】 山名でございます。お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。本件は、今、局長より御挨拶がございましたが、このエネルギー・環境戦略の中で非常に重要な位置付けにあると考えております。「もんじゅ」という新しい原子力を目指す装置をいかに有効に活用して、国民に成果を還元できるかどうかが社会から問われている、そういう段階にあります。
 したがいまして、今回は、委員の皆様方に事務局で委員を構成していただくに当たって、例えば専門性の広い方にお集まりいただいております。高速炉だけの専門の方ではございませんし、経済の専門家や人文科学的な方にもお集まりいただいておりますし、特に年齢の若い先生にもお集まりいただいた。そういう意味で、できるだけ国民目線からこの装置の利用について短期で考えていただくというタスクを負っているということでございますので是非、御協力をお願いしたい。短期決戦になるかと思いますが、できるだけ率直に御意見を頂戴いたしまして、しっかりした研究計画をつくりあげたいと思っております。
 どうぞ先生方、よろしくお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 ありがとうございました。
 それでは、会議を始めますので、プレスの方は所定の位置にお戻りください。よろしくお願いします。
 それでは、ここからは山名主査に議事の進行をお願いしたいと思います。また、主査におかれましては、参考資料1にございます運営規則第2条第7項の規定に基づき、主査代理を御指名いただきますよう、よろしくお願いいたします。

【山名主査】 それでは、運営規則の第2条第7項に主査に事故があるときに代わりをお願いする先生を指名しろとなっております。私の方から稲田委員に主査代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【稲田委員】 はい、わかりました。

【山名主査】 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず今日の議事に入る前に今回初めて集まりましたので、皆様方から一言ずつ簡単に御挨拶をいただきたいと思っております。稲田委員の方から順に回っていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【稲田委員】 電力中央研究所の稲田と申します。この7月から弊所の副所長になりました。山名主査の方から若手というお話がございました。多分私はその中に入っているものと思っております。
 原子力発電所の経年化保全をベースとした研究をしておりまして、これまで「もんじゅ」にかかわった仕事というのはしてこなかったのですけれども、専門性の広い分野という意味では、山名主査のおっしゃる内容に含まれるかなと思っております。これまで流体振動とか配管減肉などの経年化の研究をしてきておりますので、よろしくお願いいたします。

【笠原委員】 東京大学大学院原子力国際専攻の笠原でございます。私は日々学生と接しておりまして、学生の悩みであるとか希望というのを少しは聞いておりますので、そういった面で次の世代の声を何とか届けたいなと思っています。
 私の専門は構造です。原子炉が壊れないように信頼性のある機器を作るための研究でございます。ただ、研究の内容から、機械であるとか、ほかの分野の先生と割と親しく交流することがありますので、是非、広い工学全般の観点から何かお役に立てることを申し上げられたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【北田委員】 大阪大学の北田と申します。よろしくお願いいたします。
 私の専門は原子炉物理若しくは核データというところでございまして、今回の「もんじゅ」のこの検討に当たりましては、廃棄物の処理ということで、マイナーアクチニドなり、あとはロングライフのFPなりというようなところの消滅処理みたいなところの研究を進めてきております。今回、初めにありましたように、若手ということに多分私は入っているのではないかと自負しておりますけれども、いろいろと教えていただくこともあるかと思います。よろしくお願いいたします。

【黒崎委員】 大阪大学の黒崎と申します。私の専門は、核燃料、原子力材料が専門でして、特に核燃料を専門に扱っています。「もんじゅ」に関連するところで言えば、その「もんじゅ」で使われている燃料であるMOX燃料、あるいはマイナーアクチニドが入ったようなMOX燃料、こういったものについていろんな性質を評価する、あるいは照射に伴って、その性質がどう変わっていくかというのを評価する、こういったことを研究の専門としてきました。よろしくお願いいたします。

【永井委員】 東北大学金属材料研究所の永井と申します。私の専門は、材料照射の基礎から、それを特に軽水炉を中心としたプラントの安全性にどのように寄与できるかというところを主にやってございます。「もんじゅ」に関してはもちろん素人ですが、基礎的な立場から何かコントリビューションを少しはできるかと思っています。
 それから、もう一つは、私の研究室は大洗にございます。大洗の原子力機構の中にございまして、核燃料サイクルと原子力研究所が合併する前からそこにいて、その現場の人とは長くつき合ってきてございます。東北大学は、特に全国共同利用研究所でございますので、様々な研究者が来訪しまして、原子力機構とも協力しながら研究を行っている、そういう立場からやっぱり研究のやり方等、私、個人的に感じることがいろいろございますので、そういうところからなるべくお役に立てるようなコメントができればと考えております。よろしくお願いいたします。

【村上委員】 日本エネルギー経済研究所の村上でございます。私は、今は経済シンクタンクで原子力を中心としたエネルギーの研究調査を行っておりますけれども、こちらの研究所に参る前は電力会社で高速増殖炉、実証炉に向けた研究開発の部署におりましたこともございます。でありますので、今回のこの作業部会におきましては、そのときのつたない経験から何かと思うことがあれば述べさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【山口委員】 山口でございます。私の専門は原子炉工学でございます。「もんじゅ」はこれまで相当の投資をしてきた。投資は、予算だけではなくて人材、それから様々なインフラを含めてで、そういう意味ではその成果というのは人材とかインフラとか着実に充実してきていると思います。そのほかに、「もんじゅ」は高速炉サイクルの中核というだけではなくて、国内的に非常に重要な意義があるというだけではなくて、海外からも非常に注目されているところであるというふうに思います。
 今、ちょうど山名主査におっしゃっていただいたように、これからその実を摘んでいくということ、これは国外からも非常に注目されていると思いますので、私も是非いろいろこの会議の場で貢献させていただいて、しっかりした計画を国の中にも外にも向けて出せるようなものをと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【山名主査】 ありがとうございました。
 今の短い自己紹介をお聞きしても、今回本当にベストメンバーに近い体制ができているというふうに感じます。是非、皆様方に率直な御意見をいただきたいと思っています。
 それでは、これより議事に入ります。
 御手元に議事次第があると思いますが、見ていただきますと、第1回の今日は四つの議題を用意しております。ごらんいただくとおりでございます。もんじゅ研究計画作業部会について、革新的エネルギー・環境戦略について、研究計画策定に向けた検討事項について、高速増殖炉サイクルの研究開発の従来の計画及びこれまでの成果について、何かありましたら、その他という議題も用意しております。
 それでは、議事に入る前に、事務局の方から資料の確認をお願いしたいと思います。

【西條核燃料サイクル室長】 まず最初に出欠ですが、本日は9名の委員の中で8名の委員に出席いただいておりますので、定足数である過半数を満たしております。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 配付資料ですが、多岐にわたりますが、資料1-1といたしまして、原子力科学技術委員会における作業部会について、資料1-2、もんじゅ研究計画作業部会委員構成員、資料1-3、もんじゅ研究計画作業部会の公開の手続について(案)、資料2-1、革新的エネルギー・環境戦略と策定経緯、資料2-2、革新的エネルギー・環境戦略の進め方について、資料3-1、もんじゅの研究計画の策定における基本的考え方、資料3-2、もんじゅの研究計画策定に向けた検討事項、資料4-1、高速増殖炉サイクル研究開発について(現状とこれまでの計画の概要)、資料4-2、高速増殖炉サイクルの研究開発の従来の計画及びこれまでの成果について(高速増殖原型炉「もんじゅ」の研究開発)、資料4-3、高速増殖炉サイクルの研究開発の従来の計画及びこれまでの成果について(高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト))。以上が資料となっております。
 以下、参考資料といたしまして、参考資料の1、原子力科学技術委員会運営規則、参考資料2-1、今後のエネルギー・環境政策について、参考資料2-2、革新的エネルギー・環境戦略、参考資料3-1、「高速増殖原型炉「もんじゅ」における研究開発及びこれに関連する研究開発」に関する研究開発計画書、参考資料3-2、高速増殖原型炉「もんじゅ」における研究開発及びこれに関連する研究開発、課題説明資料、参考資料3-3、研究開発課題の評価結果について(答申)、研究開発課題「高速増殖炉「もんじゅ」における研究開発及びこれに関連する研究開発」。
 以上でございます。資料の欠落等ありましたら、事務局までお知らせください。議事の途中でもお気づきの点がございましたら、遠慮せずお申しつけください。
 以上でございます。

【山名主査】 資料はよろしゅうございますか。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 議事の進め方としては、事務局あるいは「もんじゅ」の研究を担当しております日本原子力研究開発機構が資料を用いて説明を行って、それを聞いた後に、質疑、議論を行うというスタイルでございます。
 時間に限りがありますので、議論については、要点をしっかり突いていきたいと思います。
 それでは、まずこの作業部会の進め方について明確にしたいと思いますので、事務局からこの作業部会について御説明をお願いいたします。

【近藤原子力課長補佐】 それでは、作業部会について資料1-1から1-3までまとめて御説明させていただきます。
 まずこの作業部会自体は、先日の10月10日に開催されました原子力科学技術委員会において設置が決定されております。この表の一番下の段、もんじゅ研究計画作業部会、調査検討事項といたしまして、「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえ、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指し、国際的な協力の下での研究も含めた「もんじゅ」などによる研究計画を策定するために必要な事項について調査検討するとされております。
 資料1-2につきましては、先ほど御説明させていただきましたので、説明を省略させていただきます。
 資料1-3について、もんじゅ研究計画作業部会の公開の手続について(案)となっております。一般的な運営につきましては、参考資料1にあります原子力科学技術委員会運営規則にのっとって行わせていただきます。原子力科学技術委員会運営規則第6条の雑則、この規則に定めるもののほか、委員会等の議事の手続その他委員会等の運営に関し必要な事項は、委員会等の主査が当該委員会等に諮って定める、これに基づきまして、この公開の手続について決定させていただきたいと思っております。
 まず、会議の日時・場所・議事につきましては、開催の原則1週間前の日までにインターネットなどに掲載するとしております。
 傍聴については、一般傍聴者につきましては、開催前日12時までもんじゅ研究計画作業部会の庶務担当部局に登録する。基本的に先着順で傍聴者を決定する。
 報道関係者につきましては、原則1社につき1名。同じく開催前日12時までに事務局まで登録。
 ページをめくっていただきまして、委員関係者、各府省関係者につきましても、開催前日12時までにもんじゅ研究計画作業部会の庶務担当部局に登録するとさせていただいております。
 3.会議の撮影、録画、録音につきましては、傍聴者は、主査が禁止することが適当であると認める場合を除き、会議を撮影、録画、録音することができる。会議の撮影、録画、録音を希望する者は、傍聴登録時に登録する。なお、会議を撮影、録画、録音する者は、以下のことに従うものとする。会議の進行の妨げにならないよう、主査又は事務局の指示に従う。ビデオカメラによる撮影等は、事務局の指定する位置から行う。撮影用等照明器具の使用は原則として会議冒頭のみとする。(3)といたしまして、作業部会の記録は、委員確認済みの議事録をもって公式の記録とする。
 4.その他といたしまして、傍聴者が会議の進行を妨げていると主査が判断した場合には、退席を求めることができることとする。また、主査が許可した場合を除き、会議の開始後に入場することを禁止する。(2)傍聴者数については、会場の都合により人数を制限する場合がある。(3)その他詳細は主査の指示に従うこととする。
 このような公開の手続について、こちらは科学技術・学術審議会の公開の手続にのっとって作成させていただいております。
 以上です。

【山名主査】 ありがとうございます。ただいま御説明のありました公開手続でこの会を進めようと思いますが、先生方、いかがでしょうか。御意見はございませんか。

(「結構です」の声あり)

【山名主査】 それでは、了解されたということですので、この手順にのっとりたいと思います。
 それでは、次の議事に移りたいと思います。議題の2ですが、革新的エネルギー・環境戦略についてです。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

【近藤原子力課長補佐】 資料2-1と2-2に基づいて御説明させていただきます。
 革新的エネルギー・環境戦略本体につきましては、参考資料2-2、それからそれに基づき閣議決定については参考資料2-1にございますので、適宜御参照ください。
 まず、革新的エネルギー・環境戦略の策定経緯につきまして御説明させていただきます。
 昨年の6月7日、エネルギー・環境会議が設置されまして、本年の6月まで様々な議論を経て、いわゆるオプション・ゼロシナリオ、15シナリオ、20-25シナリオという選択肢の提示がなされました。その後、本年の7月、8月と国民的議論を経まして、9月14日、エネルギー・環境会議において、革新的エネルギー・環境戦略が決定されております。
 右隣の欄に、本作業部会に関係する原子力関係の部分を抜粋しております。
 三つの原則といたしまして、40年運転制限制を厳格に適用する。二つ目、規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働する。三つ目といたしまして、原発の新設・増設は行わない、以上の三つの原則を適用する中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するという大きな方針が示されております。
 これら三つの原則を適用するために、五つの政策として、核燃料サイクル政策、人材、技術の維持・強化、国際社会との連携、立地地域対策の強化、原子力事業体制と原子力損害賠償制度という五つの政策が定められております。
 そのうち、核燃料サイクル政策といたしましては、国際的責務を果たしつつ再処理事業に取り組む。それから直接処分の研究に着手、それから、本作業部会で御議論いただく「もんじゅ」につきましては、国際的な協力のもとで、高速増殖炉開発の成果を取りまとめ、廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した研究を行うこととし、このための年限を区切った研究計画を策定、実行し、成果を確認の上、研究を終了とされております。
 続きまして、資料2-2に基づきまして、今後のスケジュール、革新的エネルギー・環境戦略の進め方についてということで、こちらは10月19日に開催されましたエネルギー・環境会議の資料より抜粋させていただいております。
 ページをめくっていただいて、1ページ目、上から2行目、核燃料サイクル政策の行において、年末までの進め方について、研究開発関係については文部科学省と経済産業省が、バックエンド関係については経済産業省が取り組むとされております。「もんじゅ」につきましては、この研究開発関係のところに含まれておりまして、「もんじゅ」等の研究開発方針の中間報告が年末までに目指すべき成果として位置付けられております。
 2ページ目をめくっていただきまして、10月19日、第15回エネルギー・環境会議が開催されましたが、年末までに向けて11月下旬、12月下旬ということで開催の予定が立てられております。「もんじゅ」の研究計画につきましては、年末12月下旬の会議におきまして研究開発方針の中間報告をするということで当面のスケジュールは立てられております。
 以上です。

【山名主査】 ありがとうございました。
 それでは、革新的エネルギー・環境戦略と、これに基づく今後の道筋のお話です。これについて、何か御質問がございましたら、ここでお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。何でも率直に、ございましたらおっしゃっていただきたいと思います。

【稲田委員】 五つの政策という中で、核燃料サイクル政策というのがございまして、その中の3点目で赤字で書いてある部分がございますが、このための年限を区切った研究計画を策定と書かれてございますが、要は、年限についてはこれからこの委員会で議論していくという、そういうことでよろしいのでしょうか。

【山名主査】 では、事務局からお答え願います。

【西條核燃料サイクル室長】 今、先生から御質問があったとおりで、この委員会でそれを検討いただくということになっております。まさにこれまでの開発経緯を踏まえますと、効果的、効率的に透明性を持った研究を進めていくという観点から、こういったある意味ちゃんとした仕切りをつくることが重要だという指摘を受けておりますので、その点について御議論いただきたいと思っております。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。

【永井委員】 今と同じところなのですが、「国際的な協力の下で」と書いてあるところが、よく意味がわからない。ここだけ少し浮いている感じがするんです。これから多分具体的な御説明があるんだと思いますが、そこをどういうふうにされるのかというのが重要だと思うのですけれども。

【山名主査】 では、事務局の方からお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 この「国際的な協力の下で」ということでございますが、先ほど説明したとおり、「もんじゅ」については高速増殖炉研究開発の成果の取りまとめと、それから廃棄物減容、有害度の低減等を目指した研究、ここを行うということなのですが、この中でも、特に後者の部分については、フランスにおいて、今、新たに2020年稼働を目指してということでASTRID計画、後ほどまた説明があると思いますけれども、そういった取組がなされております。ASTRIDというのは、この廃棄物の減容、有害度の低減というところを目的としておりまして、そういう意味で、現在、こういう動く炉としては、フランスの方も、フェニックスがありましたが、もう今は動いていないということもありまして、非常に「もんじゅ」に対しての期待があるということで、これは今年の4月、5月くらいですが、原子力委員会の大綱策定会議の方にフランスのCEAの方を招いて議論いただいたときにも、やはりそういった意味での使い方として「もんじゅ」に興味があるというようなお話もいただいております。
 また、アメリカの方も、今年の8月ですが、DOEのポネマン副長官が来られたときにも、こういったツールとして「もんじゅ」に興味があるという御発言があって、こういった部分について、特に国際的な協力、また、高速炉につきましては、Generation4ということで、そういった国際的なマルチな取り組みがなされておりますので、そういった部分も加味しながらやっていくと。当然いろいろと効果的、効率的に使っていただくということも一緒に検討も中でしていただけたらというふうに考えております。

【山名主査】 永井委員、いかがでしょうか。

【永井委員】 よくわかりました。ここが多分非常に重要で、形式的なところの単なる協力関係だけではなくて、中身のある協力関係にしていくというのが一番重要なのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

【山名主査】 国際協力については、今室長からお話がありましたが、高速炉の開発というのは、やはりワールドワイドなものですよね。一国の独立主義でやるというものでは決してなくて、我が国の持つ技術ポテンシャルを海外にも反映する。逆に海外のポテンシャルを我が国にも利用する、そういうオープンな取組を進めていくことが求められているわけで、それがまさにここに書かれている。どう協力するかは、この作業部会で考えるということでございますので、是非また積極的な提案をお願いしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 その五つの政策の中で、核燃料サイクル政策というのが、この1番目に特出しされているわけなのですけれども、これは実は次の人材や技術の維持・強化ですとか、国際社会との連携とか、決して別の問題ではないわけですね。ですから、ここで赤字で書かれたのは、「もんじゅは」というところで書かれているのですが、実は「もんじゅ」のこの研究計画というのは、こういう「もんじゅ」の計画を立てるというだけではなくて、その次のほかの項目と非常に密接につながっているということを意識して、是非、議論を進めるようにしていただきたいという点が一つです。
 もう一点、上に三つの原則とあるのですが、それに加えて、当初我が国の原子力は世界の非常に高い水準の安全を達成するのだということが一つの国の重要な方針でありますし、海外に対しては、高速炉だけではなくて、いろいろ支援・協力をしていくということも重要な方針であると認識しています。
 そういう観点から言いまして、「もんじゅは」というところの中に、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、それから、廃棄物の話があるのですが、実は実際海外でも高速炉を開発している諸国はたくさんありまして、その安全水準、その安全性ということについても、本来はここにきちんと明記されるべき話であるというふうに認識しています。その次の項目に原子力の安全確保という項目がございますので、そこで読むのかなという理解はいたしますけれども、そこらあたりをこの評価分科会の中での重要な議論のポイントというふうに考えてございます。
 質問というより意見なんですが、よろしくお願いいたしたいと思います。

【山名主査】 貴重な御指摘で、ありがとうございます。安全性については、おっしゃるとおりでありまして、あえてエネ環戦略には書かれておりませんが、「もんじゅ」を研究に使っていくということの一丁目一番地の前提は安全の確保です。そこで、「もんじゅ」というものをどう安全に扱っていくかということは今回の議題に入りますので、そこでどうぞよろしく御議論いただきたいと思います。
 それから、他の項目とのリンケージの話は、先生のおっしゃるとおりなのですが、我々、「もんじゅ」をどう利用していくかということを検討するタスクを負っておりますが、そのときに、ほかの人材や様々なものとのリンクを常に念頭に置きながら「もんじゅ」の計画を具体化していくというスタンスでございます。
 あまりほかのテーマに深入りし過ぎてしまいますと、今度、ぼやけてしまいますので、そこは常にほかのファクターについて念頭に置きながら「もんじゅ」のことを常に考えるという、そういう姿勢を貫きたいと思いますので、その点も是非、よろしくお願いいたします。関連する事項があれば、積極的に御発言いただくということで考えておりますので、よろしくお願いいたします。

【山口委員】 主査のおっしゃるところは非常によくわかりまして、短期間で計画をまとめるというのが、このミッションでございますので、おっしゃるとおりであると思います。それで、私の懸念するところは、例えばここに高速増殖炉開発の成果の取りまとめということで、そこをずっと見ていきますと、取りまとめそのものが目的化してしまうようなこともあり得まして、じゃ、取りまとめて、それからどうするのかというところが、私はむしろ非常に重要なポイントであると思いますので、ほかの項目との関連というのは、もう少し長期的なところを頭の中に持った上でこういう成果の取りまとめ、あるいは今後の年限を区切った研究計画というのを見ていくべきであろうかと。そうでないと、むしろ目的が非常に短期的なところだけに終始してしまう。そこらあたりが少し気になるところでございまして、そういうのを配慮いただければと考える次第です。

【山名主査】 了解しました。
 笠原委員、お願いします。

【笠原委員】 山口委員と似た観点なのですが、どうしてもエネ環戦略会議対応となると、まず国内のため、それから割と短期の計画ということになると思うのですが、冒頭山名主査がおっしゃいましたように、「もんじゅ」とか高速炉となると、国内だけではなくて、我が国から世界への貢献という部分もかなりあるという点と、それからもう一つ、冒頭に若い先生が入ったということで、次世代のことを考えた上で議論しなければいけない。ですから、主査がおっしゃるように発散してはいけないのですが、そういった視点も忘れないで、この今回の短期的な計画というのを策定するように進めていただけたらとお願いします。

【山名主査】 ありがとうございます。村上委員。

【村上委員】 本来なら、これは議論の中身かもしれませんけれども。「もんじゅ」のこのエネ環会議で明確化された役割の一つに、高速増殖炉開発の成果の取りまとめというのがあるのですが、ここではっきりさせておきたいのは、今原子力をいずれゼロにしようしている日本政府の政策のもとで、「もんじゅ」に果たして発電機能の実証という役割は求められるのでしょうかということです。そこがまだ求められているか、あるいは発電所としての機能はよくても、ここに書かれているように廃棄物の低減やら減容やら、あるいは国際的な協力のもとでの様々なプログラムとかに特化するのであれば、正直、発電機能は多分なくてもいいわけですね。そこをどのように考えておられるのかお聞きしたいと思います。

【山名主査】 御指摘の点は、この会議での議題でございます。したがって、この後の議論で、その発電機能というものが今後の「もんじゅ」の研究計画においてどういう意義を持つかを少し徹底的に議論していただきたいと思います
 村上委員、よろしいでしょうか。またその場で御意見を頂戴したいと思います。

【村上委員】 はい、ありがとうございます。

【山名主査】 いかがでしょうか。この赤い文字の4行が全ての前提というところでございますので、アンクリアな状態で残したくないので、何かございましたら、どうぞ。

【黒崎委員】 廃棄物の減容及び有害度の低減と書かれていますけれども、ここでいう廃棄物、それから有害度というのは具体的に何を指しているのか。例えばマイナーアクチニドのことを指しているのかとか、そういったことを明確にさせていただければなと思います。

【山名主査】 事務局の方で把握されていますか。

【西條核燃料サイクル室長】 こちらにおいて書いております廃棄物の減容及び有害度の低減、これは当然のことながら「もんじゅ」を使うということになりますので、いわゆる高速炉を使って減容がなされるもの、また有害度が低減なされるもの。先生から今御指摘いただいたマイナーアクチニドをいかに減らすかというところが、これは中心になると考えております。

【黒崎委員】 わかりました。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、大体このタスクについては御了解いただいたということでございますので、次の議題3に入ろうと思います。議題3は、研究計画策定に向けた検討事項についてです。
 これは事務局の方から説明をお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 それでは、議題3の研究計画策定に向けた検討事項について、これにつきましては、資料3-1のもんじゅの研究計画の策定における基本的考え方、それと資料3-2といたしまして、研究計画策定に向けた検討事項、この二つについて御説明させていただきます。
 まず、先ほど説明させていただきましたが、革新的エネルギー・環境戦略につきましては、もんじゅについては、国際的な協力のもとで、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した研究を行うこととし、このための年限を区切った研究計画を策定、実行し、成果を確認の上、研究を終了するとなっております。こちらにつきましては資料3-1に書かせていただきましたが、もんじゅ研究計画の策定における、まず基本的な考え方、これは先ほども御意見がありましたように、まず立ち位置をどうしておくのかということですので、それについてまとめさせていただいております。
 こちらにありますように革新的なエネルギー・環境戦略を受けたもんじゅの研究計画の検討における基本的な考え方は以下のとおりということで、4点書かせていただいております。
 まず一つ目といたしましては、「もんじゅ」については、国内における高速増殖炉に関する技術の維持・継承が行えるよう高速増殖炉開発の成果を取りまとめるとしております。
 それから、これに加えということで二つ目になりますが、以前から重要な視点の一つとして取り組むこととされてきた、この以前から重要な視点の一つとしてというのは、高速増殖炉、まさにこの高速炉開発におきましては、一つはエネルギーの将来にわたる安定的な供給、これが大きな目的となっております。
 それと加えて、もう一つ廃棄物の低減をはかれる。先ほど黒崎先生からお話のありましたように、まさに高速炉を使うことによって、軽水炉では燃えないようなごみを燃やすことができる、つまり、マイナーアクチニドのようなものを燃料として燃やすことができる。こういったものを燃やすことができるという特性を、これは以前から二つの特性として位置付けておりました。それにつきまして、もう一つの以前から重要な視点の一つとして取り組むこととされてきた放射性廃棄物の減容及び有害度の低減に関する研究について、より重点を置くという形で、整理させていただいております。
 このような観点より、今回の研究計画におけるもんじゅの役割を以下の2点とし、研究計画を策定する。
 一つ目につきましては、一つ目の○にありました高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認等の高速増殖炉の成果の取りまとめに向けた研究開発の場。
 二つ目が、二つ目の○にありました廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した中核的な研究開発の場、「もんじゅ」をこの二つの場として使うということで研究計画の策定をお願いしたいと思っております。
 なお、研究計画を策定する際にということで方法論となりますが、これまでの開発経緯を踏まえまして、効果的・効率的に、かつ透明性を持った研究、これを推進していくという観点から年限を区切ることとして、また、先ほどお話がありましたように、国際的な協力のもとで研究を行うことを重視する。この4点を先ほどの4行で書かれておりました革新的・エネルギー環境戦略、ここにつきましては、今回こういった考え方で議論をお願いしたいというものをまとめさせていただいたのが資料3-1になります。
 続きまして、資料3-2、研究計画策定に向けた検討事項、これを御説明させていただきます。
 今回のもんじゅ作業部会におきまして検討いただきたいこととして挙げさせていただいております。
 まず一つは、もんじゅの研究計画における検討事項といたしまして、最初の○にありました高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認、このために「もんじゅ」でなければ達成できないということは何か。そのためにはどのようなプロセスが必要か。このプロセスというのは、また年限というところにも関わってくるかと思いますが、これについて御議論をいただきたい。
 それから、廃棄物の減容につきましては、廃棄物の減容、有害度の低減のための研究開発におけるもんじゅの役割は何か。こういった視点から検討をいただきたいと思っております。
 加えて、二つ目の○にあります「もんじゅ」以外研究開発における検討事項ということで、例えば廃棄物の減容、有害度の低減のための研究開発、これは「もんじゅ」を先ほどのように中核的な場として研究を行うということではありますが、やはりそれだけでこの研究自身は成り立つものではありませんので、例えば「常陽」などを使った、「もんじゅ」を用いる以外にどのような研究を行うべきか。これを「もんじゅ」と組み合わせていくことによってどういった研究開発をすることができるのか、こういった点についても検討いただければと考えております。
 加えて、東京電力福島第一発電所の事故を受けまして、追加的に行うべき安全研究は何か。これは特に高速炉において、今後のシビアアクシデント対応とか、そういったものについて安全研究として行うものも、これも検討する必要があるのではないかということで挙げさせていただいております。
 策定した研究計画を受けて検討いただきたい事項ということで、三つ目の○ですが、これはもちろん新しい研究計画、こういったものをつくったところで、これが実行されなければ意味がありません。この実行、遂行のためにどういった研究体制とすればいいのか。また、国際協力はどうあるべきかという視点、更にこの研究成果の評価を、これはしっかりと評価をしていかなければいけないものとなりますが、こういった評価はどうあるべきか、こういった点について御検討いただければと思っております。
 スケジュール的なものですが、まずは年末までに中間取りまとめということに向けまして、研究開発の大枠の議論を実施していただいた上で、その上で年明けより詳細な技術検討、また、国際協力の在り方、これも詳細な国際協力の在り方ということで、大枠の中にも当然国際協力という視点は御検討いただきたいと思いますが、詳細な検討につきまして、技術検討、国際協力、これらにつきましては年明けに、更に計画に基づく研究体制、評価体制についても、その中で議論を行っていただきたい、このように考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。

【山名主査】 ありがとうございます。
 それでは、議論を進めたいのですが、御説明のあった資料3-2の研究計画策定に向けた検討事項、これについては何を検討するかということなのですが、この後の議題で、「もんじゅ」の今までの成果とか、現状をお聞きすることになっておりますので、それを聞いた後で検討事項については議論したいと思います。
 したがいまして、今、この3-1に書かれました策定における基本的な考え方、これについて御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【北田委員】 議論というわけではなくて、コメントというか意見なのですけれども、先ほどからこれは研究を終了するということで終わっているわけでして、例えば何をするに当たりましても、成果を取りまとめてとかいうことをやりましても、結果的には、例えば10年なりというところで年限は区切られるのではないかというふうに考えています。
 そのことと、例えば3-1の一番初めに書かれております増殖炉に関する技術の維持・継承ということを考えますと、若手として、例えば10年後にはもうこれは使わないのだよというようなことを言われますと、まずそういうのは見向きしません。ですので、ここで書かれている事柄というのは、何をもって考えればいいのかというのが、私も今漠然としているんですけれども、研究を終了するという言葉に少しひっかかっておりまして、そのために、議論はしていても、結局この場しのぎみたいな感じになってしまわないのかということを懸念しているということです。

【山名主査】 まず事務局からお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 まず今回の革新的エネルギー・環境戦略、こちらの方につきましては、政府の見解としては、2030年に原発稼働ゼロを可能にするという形にはなっていますが、これはグリーンエネルギー拡大とか、いわゆる政策投資投入についての目標というのを定めておりまして、これをやるために全力を挙げるというのが一つ大きな目標になっています。
 一方で、現段階において、それが見通せるのかということについては、技術的な問題もあり、なっていないというのが現状でございます。
 それに当たって、今、確たる見通しが全てできないという中で、その柔軟性を持った形での戦略をしっかりと持っておくという形になっておりまして、つまり、その柔軟性という観点からも、今回は核燃料サイクル、六ヶ所の再処理工場をまだ引き続き動かすとかいう核燃料サイクル政策、そのものの変更はしないということでございますけれども、こういったものについては、その柔軟性を持たせるという観点から、そういった考え方に立っております。
 「もんじゅ」につきましても、最初のところにありますように、高速増殖炉についての成果を取りまとめる、これはあくまで高速増殖炉技術として、そのプラントとして技術成立性を確認するという「もんじゅ」にとって大きな目的がありますので、こちらの方も一つ研究計画としてしっかり定めていただく。
 そのときに、これはまた後ほど御議論いただければと思いますが、まさに「もんじゅ」でなければ達成できないというところ、そういったものは何かというところで、この後で、これまでの計画を御説明させていただきますが、そういったこれまでやってきた計画、本当に全部が全部「もんじゅ」でなければできないのかとか、そういった観点から、効率的・効果的にやっていくために、「もんじゅ」でどこまでをやればいいのかというところについての御議論をいただいた上で、その中から年限が出てくる。
 ですから、こちら側から何年ですということではなく、やはりその技術的な成立性を確認するために、まさに技術的にここが必要ではないかというところを御議論いただくということで考えております。
 先ほどの「終了する」という言葉のところはございますけれども、この研究計画を立てていただき、実行し、その後、成果を確認の上、終了するということになっております。ですから、まずはその研究計画を立てて、それに沿って研究をやっていく。その上で評価をするということで、そのあたり、十分なものが得られたということであれば、その研究は終了するということにはなろうかと思っております。
 ちょっと漠としていて申し訳ありませんが、以上でございます。

【山名主査】 非常に重要なところでございまして、ただ、いかなる研究開発も終了しないものはないんですよ。結局、「もんじゅ」という装置を使って、この国における今後の、政府が考えている原子力の道筋の中で、何をどこまで年限を区切って得ていくかというはっきりした明確なビジョンを示すということであって、まずはその中身から議論しましょう。もう明後日切腹しようという議論をしているわけでは決してない。一体この「もんじゅ」は国民のために何ができるか、それを議論して、しっかりとした計画をつくっていくということで御理解いただきたいと思います。
 いかがでしょうか。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 幾つか、これは基本的考え方ということなので、これからこのペーパーがある意味では議論のベースになるということだと思いますので、ちょっと細かなところも含めて発言したいと思います。
 一つ目なんですけれども、「高速増殖炉に関する技術の維持・継承が行えるよう」と書いてありまして、先ほどの2-1のペーパーでは、私は、核燃料サイクル政策はほかの項目とも関連しているというふうに申し上げたんですが、こちらは人材や技術の維持・強化というふうにありまして、多分これは強化を継承に変えられたんだと思うんです。といいますのは、少し議論に今、なりかかっている発電としてのミッションをどうするのかとか、成果の取りまとめの後、どうするのかと少し関係していて、むしろここのところは基本的考え方として書くよりも、継承するのか、強化するのかといいますか、正にそういうところは先々の「もんじゅ」の計画に非常に関係してくるところであると思いますので、割と重要な表現だと思うんですが、少しその辺の説明をいただけたらと思います。
 二つ目に、三つ目の○の中に、「もんじゅの役割を以下の2点とし」というところは、まさに成果の取りまとめと廃棄物の話が書いてあるんですが、その中に、「高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認等」というのがまずありまして、私の認識では、技術成立性というのは、もともと原型炉なので、ある意味ではそういうところを目指しているというのはそうなのですが、実は軽水炉でも、運転を続けているうちに、作業員の被ばくの低減が随分軽減されるようないろんな情報が得られたりとか、そういった運転保守あるいはその他様々な運転をして得られるような情報というのは、技術成立性の確認というのとはまた違った観点のものがあろうかと思います。少しその辺を技術成立性の確認という言葉で成果の取りまとめというものを表現されていると思ったのですが、その辺の意味合いをお聞きしたい。
 もう一点、同じところで、高速増殖炉プラントとしてのというところでは、研究開発の場と書かれておりまして、廃棄物の話は中核的な研究開発の場と書かれていまして、これは国際協力など、そういうものを意味したのかどうかわからないのですが、高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認という、あるいは成果の取りまとめという意味では、「もんじゅ」は中核的な研究開発の場であるというのは、それはもう、もちろんなんですが、そのほかにいろいろなアクティビティー、研究開発をされているわけでして、あえてこういうふうに意味、言葉を使い分けたというあたり、少し意味を説明いただきたいなというふうに思います。
 あと、年限を区切るという話が最後に書いてあって、これは別に高速炉に限らず、研究計画を立てるときに当たり前の話ですので、あえて年限を区切ることというところをそれほど議論する必要はなくて、きちんとある必要な成果を出すべき期間というものを定めたらその定めた期間の研究計画を立てて、それの恐らく中間評価、最終評価をやるのは当然のことだと思いますので、その点は当然のことだというふうに認識してございます。
 以上です。

【山名主査】 三つ御指摘があったと思うのですが、これはまず事務局でお答えいただけますか。

【西條核燃料サイクル室長】 先生の方から御指摘のありました、まずは高速増殖炉に関する技術の維持・継承を強化にするのかというところがございましたけれども、まず一つ、先ほど申し上げたように、革新的エネルギー・環境戦略の中で、すなわち目標を定める中でも柔軟性を持たせて、いわゆる技術としての柔軟性をしっかりと持たせるということから、核燃料サイクルにおきましても、当然高速増殖炉サイクルにつきましても、その点につきましては、技術オプションとして持ち得るということを念頭に置いております。
 ですから、そういった意味においては、現状「もんじゅ」につきましては、まだ40%出力試験を、最初ナトリウム事故が起こる前の40%出力試験を数か月、それから、再開した後のゼロ%出力を22年5月から2か月間という形になっておりまして、そういう意味におきましては、「もんじゅ」において、その高速増殖炉に関する技術そのものは、まだスタートしたところで、それ以外のところは、後で御説明がありますが、どこまで来ているかというところは立ち位置を見ていただければと思いますが、そういった状況にある中で、まずは、高速増殖炉に関する技術として、「もんじゅ」を活用した技術としてある程度の成果、これを使えるもの、将来使うというときに使えるようにするというのを、そういった技術をしっかりと維持・継承するという観点から、ここは維持・継承というふうに書かせていただいております。
 それと、そういった意味で、ポツのところにございました高速増殖炉プラントとしての技術成立性ということで、正に「もんじゅ」がもともと目標としてきております、いわゆる将来高速増殖炉ないしは高速炉として使うに当たって、正にそれが将来の実用化に向けて活用するというときの技術として、ちゃんと成立するのかどうかというところについてまではしっかりと見るという観点から、この高速増殖炉プラントとしての技術成立性と。
 ただ、先生から御指摘がありました正に長期にわたる中でのプラントの取扱いとか、そういったものについては、逆に言うと、どこまでが必要とされるのか、どの程度やる必要があるのかというところは、正に議論いただきたいというところだと考えております。
 加えて、中核的な研究開発の場というので、中核的ではないということなのですが、こちらは意図的に中核的を抜いているわけではなくて、もちろん「もんじゅ」はもともと中核的な研究開発の場になるという念頭のもとに書いていましたので、ある意味中核的な、あえて二つ目の方に書いたのは、それ以外の「常陽」なんかも活用するという意味において、割と「もんじゅ」を中心に置いて「常陽」を活用してというような形での、廃棄物の減容とか有害度の低減というものについては、特に実験炉であります取扱いのしやすい「常陽」なんかとうまく組み合わせていくというところは考え方としてあると思いましたので、ここはあえて中核的なというふうに書かせていただきましたが、場所が二つ三つあると、割と中核的と書いた方がいいのかなという形で書いただけでありまして、ある意味、上の方においても、もちろん中核的な場になることは間違いないと考えております。
 以上でございます。

【山名主査】 山口先生、いかがでしょうか。

【山口委員】 結構だと思います。これは案ではなくて最終版という形で、基本的考え方というところで出ていますので、少し今日ほかの委員の方も御意見があろうかと思いますけれども、いろいろこれから議論していく上で、ある意味ではときどきここに戻ってきて、こういう基本的考え方で進めるというふうな参照するペーパーだと思いますので、少しその辺の意図は注意しつつ、つくっていただければというふうに希望いたします。

【山名主査】 修正要求をしておられるのか……、これは修正する余地はあるわけですか。私はここでしっかりとした認識を共有しておいた方がいいと思いますがね。

【西條核燃料サイクル室長】 今いただいた、特に中核的なとか、その辺についても入れておいた方がいいと思いますので、修正させて頂こうと思います。

【山名主査】 技術成立性の話は正にこれから議論する中身の話ですから、あえて変えることはないと思いますし、継承と強化のところも、さっきのエネ環戦略で原子力の中で人材の強化とか維持・強化と書いてあるのと、またちょっと立場が違いますよね。原子力、今後、仮に原子力をやるとしても、あと20年近く続いていくものをどう支えていこうという話においての人材強化の話と、高速炉技術における人材強化の話はまた少し違う次元で語るべきものでありまして、それでここは継承という広い言葉の中にいろんな概念が入っていると御理解していただいていいのではないかと思います。
 村上委員、どうぞ。

【村上委員】 こちらの「もんじゅ」の使い方とか基本的考え方の中に、国際的な協力のもとで研究を行うことというのが、基本的考え方にも出てきますし、最初の方針のところにも出てまいります。それで、ここではっきりお聞きしておきたいと思うことは、国際協力を行うことには、もちろん私も原則大賛成でございます。それはもう異論はないところなのですが、優先度といいますか、位置づけがどれぐらい強いものかです。
 といいますのも、まず「もんじゅ」は、当たり前ですけれども、日本政府がこれまでお金をかけてつくりあげてきたものです。日本としてこのような使い方をしたかった。で、今こんなものになっている。これから日本としてこのような使い方をしたいという目的があるはずでございます。それが高速増殖炉の技術の維持・継承だか強化だかであるわけですが、アメリカやフランスや、その他のロシアとか、場合によっては中国とか、これから高速炉を必要としている国々の協力もということになりますと、当然いずれはそれらの国の意見ないしは要望も聞かなくてはならない場合が生ずるかと思います。
 先ほど、廃棄物の低減等に関してはフランス等からも要望があるとのことでしたが、それにとどまらず、例えばどこかの国で革新的な材料を開発した、あるいはこんな燃料を開発した、ちょっとこれを「もんじゅ」で燃やしてみてよとか、そういうこともあり得ないとは限りません。そのようなときに、日本としては、いや、日本はそういう使い方を想定していません、それは日本に必要ありませんと毅然と言えるものなのかどうか、対外的にすごく印象の良い言葉だけではなくて、実質的にどうするのか、そこら辺の考え方を確認しておきたいと思います。

【西條核燃料サイクル室長】 「国際的な協力の下」ということで、今、村上先生からお話がありました件ですが、当然のことながら、国際協力という観点に立つときには、当然日本という国の持っている「もんじゅ」の活用ということで、今回のこの「国際的な協力の下」というのは、「もんじゅ」をとにかく海外の人たちに使ってもらうために自由勝手に何かやってくださいというものでは当然ございません。ですから、前提といたしましては、やはり「もんじゅ」のこの二つの大きな目的を持ってやっていくという国としての方向性がある中で、国際的な部分で協力できて、それで効率的にできるようなところをどんどんやっていきましょうと。そういうところについてはオープン化していきますが、逆に言うと、こちらでやりたくもないことを、どちらかと言えば、国際的な機関にしてしまって、オープンにしていくということではございません。当然のことながら、国際協力ということについては、国と国との間で、そして当然日本に軸足があった上での国際協力。ただし、そこについてはより広くそういった方向ができるように、いろいろな交渉なり話なりをしてオープン化をしていきたいという考えはございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、基本的にはこの研究計画という中で、その方向性のある中で、それをより広く国際的にやっていくということであって、何でもかんでもこちらの方でこうやりたいということを引き受けますという意味での国際協力というものではないという理解で書かせていただいております。

【山名主査】 村上委員、いかがですか。

【村上委員】 ありがとうございます。

【山名主査】 黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 基本的考え方ということが相当重要であるということで、私は大学から出てきている者として、どうしても一つお伝えしたいことがあるのですけれども、それは、さっき山名先生が、一番上のところなんですけれども、技術の維持・継承のところ、継承の中にはいろんな意味が含まれているんだというふうにおっしゃったのですが、人材という言葉がここにはないですよね。資料2-1のところには、「原子力の安全確保に資する人材や技術の維持の強化」と強化という言葉が使われて、人材強化するというのが書かれているのですが、あえて入れていないのかどうかよくわからないのですけれども、可能であるならば、私はここにやはり「人材の」という人材の維持、人材育成という言葉も見えるような形で残しておいていただいた方がいいのではないかなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。

【山名主査】 これは文科省の方でお答えいただけますか。

【西條核燃料サイクル室長】 今、先生からの御指摘は、高速増殖炉に関する技術、人材ということになると思いますが、基本的に技術の継承においては人材がなくして継承できない。単に技術だけが一人歩きするものではないということでございますので、そういう意味においては、人材という観点も技術の中には含み得ると思っております。
 先ほど主査の方からありましたが、人材に関する取りまとめみたいな、少しオーバーラップするところがございますので、書くべきなのかどうかというところはちょっと考えさせていただければと思います。

【黒崎委員】 わかりました。

【山名主査】 そのあたりは、実はぼやっと全部入っているつもりで用意しておられるようなんですよ。それで、御指摘のことはよくわかりますし、技術という言葉の中には人材も少なくとも入っているのは間違いないのですが、我々、今ここに立ってこの審議をしているというのはなかなか特殊な状況でして、「もんじゅ」というのが世に問われているという中で、人材を継承するって、もちろん技術者はそう思います。ただ、人材を継承するというのがトップ目標になると、今度は主客転倒といいますか、じゃ、人材を残したいのねという話になってしまうわけです。技術は人に宿る、だから、人材は大丈夫、そのとおりでありまして、それはその技術に中に入っていると思いますが、単に人を残すということを最初のビビッドな目標に書くというのは、この時点ではちょっと避けさせてください。その重要性は、これから始まる議論の中で言っていただいて、その人材に技術が宿ることがいかに国益にとって大事であるかということを議論していただきたい、そう御理解いただきたい。

【黒崎委員】 わかりました。

【山名主査】 笠原委員、お願いします。

【笠原委員】 また技術成立性の確認についてちょっと戻らせていただきたいのですが、福島の後、政府の事故調査検証委員会等、事故が起こることを前提とした技術開発とか、少し謙虚な進め方というのを進めていたと思うのですが、この成立性の確認というのは、福島の前であればこうだったのかもしれませんが、その後、この意味として何かある議論があってこうなったのか、その辺、いかがでしょうか。

【山名主査】 事務局、回答をお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 当然福島の事故を踏まえまして、「もんじゅ」に関しましても、当時の保安院からいろいろと指示が出たものについて応えるのは当然のことながら、正にシビアアクシデント対応という観点では、幾つもの、いわゆるどういったことをやらなければいけないのか、どういった事象が起こり得るのかというところも含めてJAEAの方で検討はされております。当然このプラントとしての技術成立性という、前提条件というところは、安全にそれが取り行われるというところで、その技術成立性があるということになると思いますので、そういった意味においては、事故も踏まえたものも含んで、この技術成立性の確認を行うという位置付けになっているというように理解しております。

【笠原委員】 文言にあまりこだわるつもりはないのですが、ただ、一般の人が見ると、この言葉はもう完成されたものを確認するというふうに見えてしまいますよね。一方、本当は今のようなことが言外にあるとしたら、まだ本当は「もんじゅ」をやる必要はそこにあると。さっきの継承だけではなく、強化という言葉がありましたが、まさに「もんじゅ」を使った安全性の強化を図るところでもあるので、可能だったら、もう少しわかりやすく表現されているといいかなというふうに思います。

【山名主査】 例えば? もともと原型炉というプラントは何のためにあるかというと、これは山口先生の講義を聞かなきゃいかんですけれども、ある種技術成立性を確認するためですね。それがプラント成立性であるか、それぞれの要素技術の成立性であるか、山口先生がおっしゃったような発電施設としての長期的に見られる未確認事項の確認のような話なのか、非常に広い範囲を含んでいるように私には思えるんですね。そこをここでスペシファイし過ぎるということもまた議論を狭めるような気がいたしましてね。山口先生、何かありますか。

【山口委員】 今、いろいろな御意見が出て、たどり着いたところは、やっぱりキーワードというのは、ノーリッジ・マネジメントというような話で、結局成果の取りまとめという形で表現されているのですが、それがきちんとできると、じゃ、国際協力はどういう考え方でやっていけばいいのか、技術継承とか、安全の強化はどういうふうにやっていけばいいのかとか、あるいは研究開発の場をどう設定していくのがいいのか。
 それで、今一つ目のところで、私は最初に維持・継承というところは強化という観点もというのは、もともと安全確保に関するものを強化するという方針が出ていたわけで、広く解釈すれば、このペーパーとしてはそういうことなのかなというふうには思います。
 ただ、一つ重要な点は、ノーリッジ・マネジメントとさっき申しましたけれども、日本ではそういういろいろな知見とかを有機的にまとめて、今後柔軟に活用していくだけの素材を取りまとめるというところが、これまで必ずしもうまくいってなかったような観点もありますので、本日、ここでいろいろな御意見をいただいたところを集約すれば、知見、そういうものを取りまとめるというのが、ほかのここに挙げられている項目と非常につながっていて、それで今日議事録の中にそういった御意見を記されると思いますので、なかなかこの1枚のペーパーで表現できないところは、そういう認識を持って議論させていただきたいなというふうに思います。

【山名主査】 ありがとうございます。正にそうですね。そのノーリッジ・マネジメントが出口なわけですね。そこに向けて何をやっていくかということですので、預からせてください。場合によっては、多少ここを修文することもあり得ますが、趣旨はよくわかりましたので、笠原先生の御指摘も、技術的成立性もそこにつながる話ですので、預からせていただいて、趣旨は共有したいと思います。

【永井委員】 時間もあるので短くやります。1点確認させていただきたいのですが、技術成立性というところに入っているのかどうか、コストの話。今、原型炉とは何とかという話も含めてだとは思うのですが、コストをどう考えるか。特に発電炉としてのことは、これまでいろいろ議論されているというのは、皆さん重々承知の上なのですけれども、消滅処理等の話の場合は、特に御存じのように加速器での消滅処理の研究もこれまでされたこともあるし、それに比べれば、私個人的には「もんじゅ」を使うというのはコスト的に良いことだと私は思うんです。その意味では良いのですけれども、そういう点も、最終的に全体のコストを考えた上での技術成立性というのを、やっぱりここの中には入れていくべきではないかというふうに思いますが、それはこの中に意味として入っているのかどうか。

【山名主査】 事務局。

【西條核燃料サイクル室長】 後ほど全体像を御説明させていただきますが、いわゆる実用化に向けてのコストみたいな話になりますと、「もんじゅ」そのもの自身は、従来の目的として確認させていただいているのは、いわゆる高速増殖炉プラントとしての技術成立性や信頼性というところ、それから、先ほどありましたナトリウム取扱い技術とか、そこを原型炉として取り扱っていくということに主眼を置いております。一方で、コストというか、実用化するに当たっての議論というのはまた違う研究のラインにはなります。ただ、この「もんじゅ」をどう扱っていくかということについては、「もんじゅ」に関してはこれまで約1兆円というお金をつぎ込んでいることもありまして、特にその点につきましては非常に厳しく世の中からも見られているということもあります。
 そこにつきましては、四つ目の○にありますように、これまでの開発経緯を踏まえて、効果的・効率的にこれをやっていくという観点から、「もんじゅ」をどこまで使ってやるのが、いわゆる年間動かしていけば200億程度かかるところでありますので、そういった見方としての考え方がここに入っております。
 ただ、将来使う上でのコストがどうなるのかというところについては、全体、どういう研究計画で進めていたかというところは後で御説明させていただきたいと思いますが、そこは実証炉に向けた研究みたいなのを前まではやっていて、そこで経済性を見ていたというような形にはなっております。

【山名主査】 永井委員、いかがですか。

【永井委員】 理屈はよくわかるんですが、やはり技術とコストというのは別々にこの段階で、この段階でいうものでもないんですよね。コストも考えた技術というのをきちんとやることはやっぱり大事で、それを本当にこれは別のステージだと分けていいのかということは、そもそも今考えている技術ではコストは全然見合わないけれども、それは一応成立したことを研究するのだと。次に、また別にそのことを考えてやるんだということは、今、特にこういう非常に厳しい段階で、国民的な同意を得られるかということは、やっぱり少し考えた方がいいのではないかと思います。

【山名主査】 室長から回答がありましたように、基本的に原型炉というのは、まさにテクノロジカルなフィージビリティーを確認するため。コストというのは、どうしても実用化炉においてどうしていくかという、コストというのはいろんなファクターが入りますから、技術的でないファクターも入ってきますから、非常に複雑であり、また実用に向けての、もう少し向こう側にあるんですね。
 問題は、そういった実用化におけるこの技術の経済性を議論するために必要な技術的な要素情報が原型炉で得られることが重要なんです。つまり、成立しないような技術をやっていても実用化になりませんからね。そういう意味で、この「もんじゅ」を使って将来コストを良くしていくためには何を研究すべきかということがここで議論されていることでありますから、この「もんじゅ」自体において、高速増殖炉の実用化のコストの議論は、あまりできない。そのために何が必要かということは議論いたしますが、そこはそういう認識で是非お願いしたいんです。
 ただし、将来のコストを無視した研究開発ほどむなしいものはないんですね。ですから、常にこれが実用化されたときにどうなるのか、そのために「もんじゅ」にどれだけ開発投資したらいいのかということを我々は念頭に置きながらそこを議論するということでお願いいたします。

【永井委員】 私が申し上げたことは、正にそのことでございます。

【山名主査】 ありがとうございます。
 それでは、時間が押していますが、何かどうしてもという方はおられますか。
 一部御意見を伺って、私の方で預からせていただきますが、大体皆様方のおっしゃっていることはよくわかりましたので、この審議は以上にしたいと思います。
 それでは、次に議題の(4)高速増殖炉サイクルの研究開発の従来の計画及びこれまでの成果についてという点については、担当しております日本原子力研究開発機構の方から詳しい説明を受けますが、まず室長の方から資料4-1について御説明をお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 それでは、資料4に基づきまして、高速増殖炉サイクル研究開発について、後ほど原子力機構の方から詳しく御説明いただくと思いますが、まずは全体像、現状とこれまでの計画がどうなっていたのかということについて簡単に御説明させていただきたいと思います。
 資料4-1のまず1ページ目でございますが、これは高速増殖炉サイクル研究開発の全体像と書かせていただいておりますが、これはまさに福島の事故を踏まえたエネルギー政策の見直しをする前の、従来のエネルギー基本計画、原子力大綱に沿った計画という形でここに記載させていただいております。
 原子炉の研究開発につきましては、基本的には実験炉、原型炉、それから実証炉、実用炉という形でステップ・バイ・ステップでやっていくという方法をとっておりますが、高速増殖炉につきましてもそういったステップ・バイ・ステップでやっていくという形で計画は立てられておりました。
 まずは実験炉の「常陽」、こちらの方が一番左端にありますけれども、昭和45年に着工しまして、FBRの特徴としての増殖性の実証などの基本性能の確認をするというための実験炉で、これは発電をしない単なる実験炉です。
 それに続いて原型炉の「もんじゅ」ということで、「もんじゅ」につきましては、上に青の四角で書いてありますけれども、いわゆる運転を通じて発電プラントとしての信頼性の実証と、運転経験を通じたナトリウム取扱い技術の確立を達成すること、これを目標といたしまして、昭和60年に建設を開始いたしまして現在に至っているという状況であります。
 この次の、当初予定されていたステップとしては、2025年、こちらの方で先ほどちょっと申し上げました実証炉ということで、これは実用炉としての経済性、信頼性を実証するということを目的としています。先ほど申し上げました経済性というのは、正にほかの軽水炉と比しても、これをエネルギーとして使っていく上でも十分戦える経済性という意味でございますが、こちらの実証をするというのが実証炉になっています。
 そして、その後で2050年ごろということで実用炉につなげていく、商業ベースにつなげていくというのが計画になっておりました。
 その中で、まさに実証炉に向けてということで、高速増殖炉サイクル実用化研究開発というのがありますけれども、こちらが「もんじゅ」と並行して次世代のプラントが持っておくべき安全性、経済性等の性能目標を達成する高速炉サイクルの実用化像、これは実証・実用炉の概念設計ということになりますが、これと実用に至るまでの研究開発計画、これを2015年ごろに提示するというのを目標に、この高速増殖炉サイクル実用化研究開発、これを我々はFaCTと呼んでおりますが、こちらの方を「もんじゅ」と一緒に並行して、2006年から2015年という形で行っておりまして、この中には、当然のことながら実証炉の段階に行けば、エンドユーザーである電気事業者及びメーカ、こちらの方の参画も得た実施体制、後ほど実施体制については御説明しますが、そういった形でこれを進めて、この二つが相まって実証炉を実現するというものでございます。
 一番下には、当然のことながら、これを支える研究としての基礎基盤研究といったものもやっているというのが、この研究開発の全体像となっておりました。
 2ページ目には、高速増殖炉サイクル研究開発の成果と計画ということで、詳細は、後ほどJAEAより説明があると思いますので、簡単に申し上げますと、先ほどのように、実験炉の「常陽」におきましてFBRの基本性能の確認をした上で「もんじゅ」の設計・建設、それから「もんじゅ」の試運転段階、これは40%出力試験を数か月、それから、今までゼロ%出力というのを、また2か月、再開した後やっているというところを通じての得た技術をここに記載しております。
 それと、一番下のところには、先ほど申し上げたFaCTで、こういったものを組み合わせて、将来の2015年の詳細設計の方に持っていくというのが、従来の計画となっておりました。
 3ページ目には、「高速増殖炉「もんじゅ」の経緯と現状」ということで記載させていただいておりますが、「もんじゅ」につきましては、もう皆さん御存じのとおり、電気出力28万キロワットということで、一般の原子炉から見ると4分の1程度のものになっております。
 これまでの投資額は、先ほど申し上げましたように約1兆円弱ということで、建設費で約6,000億、このうち民間から1,400億程度出ておりますけれども、あとは運転費も合わせて約1兆円弱と形になっております。
 これまでの経緯といたしましては、60年に建設開始をし、平成6年に初臨界、それから平成7年8月の初送電を経て、その後、平成7年の12月にナトリウム漏えい事故を起こしまして14年間半止まっていた。その後、いろいろ幅広い議論、それから安全対策等も施した上で、平成22年の5月に運転を再開いたして、2か月のゼロ%出力という形での臨界運転はいたしました。それが終わった後に、8月に燃料交換した後に炉内中継装置の落下トラブルがあった。これに関しましては、本年の8月に復旧完了ということで、引き抜き等につきましては、1年弱くらいで引き抜きはしましたが、その後の安全確認、それから現状復帰ということで、この8月に当時の保安院の方から最終的な確認がとられたという状況になっています。
 現状につきましては、今正にここで御議論いただくという状況になっておりまして、革新的エネルギー・環境戦略、このエネルギーの新しい方向性が出るまでは、一応「もんじゅ」については、それを見据えた上で方向を決めるということになっておりましたので、今正にこの委員会で計画を立てていただくという状況になっております。
 次の4ページは、先ほど申し上げました高速増殖炉サイクル実用化研究開発、FaCTに関してですが、もともとなぜこういう取り組みを始めたかというところは、まずは「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故を踏まえまして、再度ゼロベースでの冷却材から炉型まで含めて、高速増殖炉についてのサイクル実用化戦略調査研究というものをやっておりまして、これが2005年までなのですが、この中でもう一度高速炉を一から見直した上で、その結果として、実用施設として実現性が最も高いというのが、ナトリウム冷却炉と先進湿式法の再処理、それから簡素化ペレット法の燃料製造、これをFS、戦略調査研究というものを通じて選定され、それを踏まえて2006年から高速増殖炉サイクル実用化研究開発、FaCTを開始しております。
 これは実は二つのフェーズに分かれておりまして、2006年からは、実証炉等のシステム全体が、安全性、経済性等の性能目標を達成するかという確認をするための研究と、それを踏まえた、いわゆる実用化像(概念設計)というフェーズ2という二つに分かれております。
 現状におきましては、この2006年から2010年という形でフェーズ1をやっていたのですが、この成果を取りまとめて公表して国の評価をやるというところで福島の事故が起こりまして、現状においては、エネルギー政策の見直しを待つということであったので、それが中断している。これらについては、研究開発についても凍結をしているのが現状でございます。
 最後に5ページは、先ほど申し上げました、正に高速増殖炉サイクルの実用化に向けた研究開発につきましては、特にこれはやはり開発の段階から、研究開発側と導入側、つまり電力とか、そういったところとしっかりと連携をとりながらやっていくことが重要という観点で、こちらにありますような経産省、文科省、電気事業者、メーカ、原子力機構、この関係者によって、これは五者協議会というものですけれども、こういったものをつくって具体的に課題を検討して認識の共有を図る、こういう体制がとられてやってきたというところでございます。
 以上、ざくっとですが、これまでの研究開発における全体像ということで御説明させていただきました。
 以上でございます。

【山名主査】 それでは、機構の方から続いて説明をお願いいたします。

【廣井理事】 私、「もんじゅ」とFaCTという次世代部門を担当する役員をしております廣井と申します。今日は、「もんじゅ」の方からは所長代理の弟子丸、それからFaCT関係では大久保室長に同席させていただきましたので、それぞれ資料4-2、資料4-3に基づいて説明させていただきます。資料は大変大部にわたっているのですが、時間は短めにと言われておりますので、そのように説明させていただきたいと思います。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 では、資料4-2に基づきまして、「もんじゅ」の研究開発の状況について御説明いたします。
 最初に目次がございますが、最初の方の1章、2章で一応計画について御説明いたしまして、3で実際の達成度につきまして御説明いたします。また、4以下で、それの過程で幾つかのトラブル、また良好事例も得られていますので、今後の利用に資すると思われますので、それについての紹介と、先ほど御質問もありましたが、6章あたりで海外でどのような形で進められているかということも含めて御紹介します。
 2ページ目は、既に御紹介もありましたので割愛させていただきますが、右下にありますように、型式といたしましては、ナトリウム冷却高速炉型の増殖炉ということで、ループ型の型式でございます。原子炉の温度といたしましては、およそ397度の入り口で、出口530度ぐらいの、このような標準的な高速炉のタイプの28万キロの原子炉でございます。
 3ページ、4ページ目でございますが、4ページ目につきましては、我々が原子力大綱で与えられました目標、3項目がございまして、この各々につきまして開発の項目を具体化いたしまして、それについて事前に計画を立てて、4ページの下にありますが、機構の中の評価委員会というのがございますので、そこで事前評価を受けて原子力委員会で御説明をしているという内容でございます。
 5ページ目には、その経緯とか概要を書いてございますが、割愛させていただきまして、6ページ目に全体的な流れが書いてございます。計画を作成しましたのが2009年でございますが、2010年以降、性能試験、これは原型炉としての試運転に当たりまして、100%までの出力を上げてデータを取るというものでございます。その後、本格運転のフェーズがございますので、この各々の段階で、6ページ目の下にありますような発電プラントとしての信頼性の実証、特に安全・安定運転を達成いたしまして、その前に性能試験を行って、それらから得られるデータを技術評価するという流れが一つありまして、もう一つは、運転経験を通じましたナトリウム取扱い技術、特に純度管理、それからプラント保守して維持していなければいけませんので、そのための技術の確立というのを行うようにしております。現在、我々が持っている計画といたしましては、およそ10年程度をめどにこのような水色のところを達成いたしまして、その後、高速炉の実用化に向けた研究開発の場として使うということで、具体的には燃料の照射の場ということで検討しているところでございます。
 7ページ、8ページ目は、両方ごらんになっていただけると、現在、一番上に性能試験のフェーズがありまして、その中で3段階に分けて実施する計画でございますが、炉心確認試験、これは0%の段階でございます。先ほど御紹介ありましたように、左側の建設・試験の中で、平成7年に40%まで出力は一応達成しまして、その段階までの幾つかの不具合を経験していますので、漏えい事故を含めて、それに対応した上で炉心確認試験に入っている状況でございます。
 発電プラントの信頼性の実証ということで、7ページ目の上にありますような流れで、運転しながら信頼性の確認をするということを含めまして、大きなところでございますが、いろんな動かすための点検とか行います。また、幾つか故障も発生いたしますし、それらを通じまして、発電プラントとしてどうやって維持・管理していくのか、最適なやり方はどうなのかということを確認するものでございます。
 幾つか吹き出しを書いてございますが、これはゼロ出力の段階で今とどまっておるわけでございますが、その中でも、例えば福島事故を受けました対応とか、炉内中継装置のトラブルの対応ということで、全体的には原子炉は停止しておりますけれども、成果を一応上げておるものが記載されてございます。
 じゃ、どのような形で項目があるのかということで、8ページ目に書いてありますように、右にありますが、「もんじゅ」の運転データから得られます個々の機器はもとより、プラント全体の設計技術を検証するということが1項目目でございます。
 2項目目につきましては、ナトリウムの管理技術、特に純度管理、それから不純物管理、そのあたりも含めて検査技術の開発をする。技術を確立することが2番目の大きな柱になってございまして、3番目につきましては、「もんじゅ」を照射場として使うという検討をしているものでございます。
 では、9ページ以降、ちょっと長くなりますが、かいつまんで御説明いたします。
 まず、安定・安全運転の達成というところでございますが、これを運転しながら、基本的には100%に持っていきまして性能を確認する。その間の起動・停止、それからいろんな手順、あとまた間には保守を行いますので、それを通しまして技術的には右側に回りますけれども、運転計画といたしましては、例えば手順書類、保安規定類、このあたりに技術を蓄積していくということにしております。当然これらを使って運転をしながら、また改善をしていくというものでございます。
 また、保守関係につきましては、10ページ目に概略が書いてございますが、基本的には原子力発電所でございますので、相当多数の部品があります。系統も多いです。これを確実に保守していくためには、ちゃんとした計画を立てていく、それも重要度を決めながら計画を立てていくことが必要でございますので、10ページ目に記載されておりますように、幾つかのプラント機器の特徴を考えまして適切な保全をやっていくという計画を、これも実際に計画を立てて保守をしながら計画を立てていくものでございますので、そういう経験を踏まえて保全計画をつくっていくものでございます。このような例が一応10ページ目に記載してございます。
 11ページ目以降でございますが、これは性能試験を行いまして、実際に100%まで持っていくものでございます。計画といたしましては、12ページ目に示されていますように、段階的に、下にありますように炉心確認試験、40%出力プラント確認試験、出力上昇試験と段階的に出力を上げていきます。これは平成7年以降、長期保管状態にありましたので、少しずつ出力を上げることで安全性を確認しながら、また手順を確認しながら少しずつ試験を進めていくという考えで実施を計画したものでございまして、その間には燃料交換も行いまして、燃料交換を行いますと各々の炉心ができますので、その特性を踏まえて、そのデータも取っていくということをしております。
 具体的に13ページ目以降、「もんじゅ」から得られたデータをどのような形で使っていくのかということの流れがここに書いてございます。内容は詳細にわたりますので、かいつまんで紹介いたしますが、13ページ目は、特に得られました炉心・遮蔽特性のデータにつきましては、13ページの右にありますようなフローでもって、14ページ目にありますようないろんなコード、データを検証するとともに、設計裕度を確認する。これを使って、次の炉のための設計に反映するという流れでございます。
 15ページ目をめくっていただきますと、これはプラント関係でございまして、特に高速炉の場合ですと、高温で使いますので、熱の変化、これが重要になってまいります。16ページ目に示されていますように、特に原子炉が止まった後に、どういう形で温度が下がっていくのか、これは構造上大きな熱のインパクトがありますので、これを最適に予測するということは重要なものでございます。これは主な点ですが、このようなものを、例えば15ページ目のコードを検証することで16ページ目のような形で設計裕度を見直していく。なおかつ、これを将来に反映するという流れで行っております。
 17ページ目以降は、ナトリウム取扱い技術の確立ということで、運転をしながらいろんなデータが出ます。特にナトリウム関係でいきますと、ナトリウムの純度、その中の腐食生成物の値、それからまた、保守点検するために、17ページ目の右にありますように大型機器を洗ったり、燃料を洗ったりいたします。このあたりは「常陽」「もんじゅ」でしか得られないデータでございますので、こういうデータを取っていきまして、特に18ページ目の下にありますようにいろんな設計手法の検証なり、それから機器の設計、保守のやり方に反映するということでございます。
 続きまして、同じような取扱い技術の確立の中で、保全の技術というのは大きな技術でございます。特に高速炉の場合ですと、なかなか目で見えないということがございますし、それから、停止状態でもおよそ200度で停止しているという状況で、これをどういう形で検査するのか。高放射線というのもあります。19ページ目にありますように、いろんな高速炉特有の部所に対する検査装置を開発いたしまして、これを実機へ適用するというのも大きな「もんじゅ」の使命でございますし、20ページ目にありますように、いろんな運転データから得られた劣化データ、このあたりもデータベース化するというのも我々が考えている技術評価の内容でございます。
 また、特に運転を通しまして、20ページ目の下にありますように機器の故障率データ、このあたりも整備をしていくということも大きな柱にして、我々としては活動しているわけでございます。
 21ページ、22ページ目は、高度化ということで、これは研究開発の場として使うということで原子力大綱にありまして、我々としては、実際にやっていく内容を記載しております。21ページ目は、左側にありますように、炉心性能を上げていく。「もんじゅ」を用いまして、次の炉の燃料を開発したものを工学規模で照射するというのが大きな役割だと思っていますし、また、照射の能力を生かしまして、「もんじゅ」の中でマイナーアクチニドの燃料を入れまして燃やしていくというのも計画として考えているわけでございます。これらにつきましては、22ページ目に示されているように、いろんなグループ並びにいろんな共同体を通じまして国際協力でやっていくということで、幾つか、これまで「もんじゅ」でやってきたもの、それから今後「もんじゅ」でやっていこうと計画しているものについて記載したものでございます。
 以上が、これまでの計画でございまして、23ページ、24ページ目につきましては、この中でも特に廃棄物減容、有害度低減に向けて、これまでも幾つか、この24ページ目に示す領域でこういう研究を入れてきたわけでございますので、このあたりについての御説明をしようとして24ページ以降を準備しています。
 25ページ目、26ページ目は、これは先ほどの説明内容と重なりますので割愛させていただきます。
 ちょっとはしょりますが、28ページ目に、じゃ、実際にどこまで来ているかということを少し具体的に書いております。最初にまとめて書いておりますので、29ページ目を御紹介した後、30ページ目以降は簡単に行いたいと思います。
 性能試験の段階の最初であります炉心確認試験につきましては、当初、計画から二月ぐらい遅れて開始しましたけれども、内容は、開始後、予定どおり全項目の試験を完了しております。
 また、炉心確認試験のデータにつきましては、解析を評価いたしまして、学会等へ発表しているということでございますし、炉心確認試験の後は、燃料交換を計画どおり実施しました。ただ、交換後に炉内中継装置の落下という、これは燃料交換を行うときにだけ使う装置ですが、これを取扱い最中に落としてしまうというトラブルを起こしてしまいまして、これらの復旧を行っております。
 また、なおかつ、現在まだ止まっておりますけれども、設備点検等を通じまして、保全を行っておりますけれども、このあたりの情報、それから東電福島事故を踏まえました手順書等の改訂を実施しているということで、停止している状態でございますが、トラブル対応、保全等を通じましては、また事故の対応を通じまして手順書の整備を今、実施しているところでございます。
 なお、40%につきましては、一時幾つかの作業を並行して行うということで若干計画を遅らせましたけれども、その後、福島事故が起きまして、現在、政策の議論になっているということでございます。
 また、性能試験以外の研究開発につきましては、ISI等、先ほどの検査技術の開発関連につきましては、現在保留している状況にあるということでございます。
 30ページ目以降は、具体的に項目ごとに進捗状況を書いてございます。分量が30ページ目から、内容的には49ページまでにわたりますが、見方と主な項目だけ若干説明いたします。
 安定・安全運転の達成につきましては、項目といたしまして、この30ページの表の二つの項目を具体的に行うことにしています。当然運転しながら行っていくということで、運転手順書の整備とか保全のデータベースの作成・拡充というのを行っておりますが、具体的には、この一番下にありますように東電の福島第一原子力発電所の事故を踏まえました手順書の整備等もこの停止中に行っているところでございます。
 31ページ目は、その具体的な内容ということで、特に運転経験を反映した改正、保安規定というのは、我々の運転のときの規則でございます。それから、手順書類というのは、実際の具体的な手順書でございますが、これらにつきましてもこれまでの経験を踏まえて、31ページに詳細に記載しておりますが、このような観点での改訂又は手順を検討している。実際に改訂したものもございますし、現在検討しているものもございます。
 また、32ページ目には、性能試験ということで、これは炉心確認試験以降進んでおりませんけれども、33ページ、34ページに示しますように、特に炉心関係のデータにつきましてはデータを取得しておりまして、それとの比較、特に解析コードにつきましては、核データライブラリーというのがございまして、それの精度評価をしているということが書いてございます。
 それと、特に35ページ目につきましては、具体的に得られた特性といたしましては、これらの炉心確認試験の中で得られた特性でございますが、自己安定性を確認している試験も行いまして、これについてのデータも取っておるところでございます。
 それ以降は原子炉技術評価ということで、こういう形で進んできたデータをどう評価しているのかということでございまして、進展しているのは、特に37ページ目のものでございます。37ページ目につきましては、これは特に炉心が、下の方にありますように、「もんじゅ」の炉心はアメリシウムを比較的多く含んだ炉心がございます。これについての知見が既に得られてございますので、このデータを使いまして、これまで機構が開発してきました炉心解析コード、これの精度評価をしております。いずれも実用化に向けた精度以内であることを確認したということが成果でございますし、37ページ目の下にありますように日本が開発しています核データライブラリにつきましても、この炉心のデータを使って評価をしているということでございます。
 38ページ目以降は、プラントがまだゼロ出力の状態であるということで、主に平成7年までの試験データを使った技術評価が具体的に書いてございます。
 39ページ目につきましては、熱の流動評価、これは平成7年ころのデータを使って評価をしているものでございます。
 41ページ、42ページ目につきましては、実データです。40%運転状態でのデータを使いまして、幾つかの放射性物質の移行挙動評価というのも行っております。具体的にはやはり100%のデータ、出力を上げた状態、それから長期運転をした状態でのデータが必要になってくるかと思います。
 また、44ページ目には、検査技術の開発ということで、これはまだ開発途中でございますが、幾つかこの44ページ目の右にありますような蒸気発生器伝熱管の検査につきましては、既に開発したものを適用しまして、平成20年ごろに伝熱管の検査をしたものでございます。
 45ページ目は、その開発のどういうところがポイントかということを記載しておりますが、割愛させていただきます。
 46ページ目以降、47ページ目には、運転から得られますいろんなデータをデータベース化するということで、特に故障データ、それから設計データも入れまして、「もんじゅ」の技術者が使えるようにするということを整備している、その様子を書いてございます。
 また、49ページ目には、次の炉心、高度化炉心、幅広い組成のPuが使えるようにということと、次の炉を目指した燃料の設計をやっておりまして、これについては、まだ設計段階でございますが、「もんじゅ」に入れる検討を進めているところでございます。
 以上が実績でございまして、50ページ目以降は、先ほど少し御紹介しましたが、進めていく過程で、幾つか我々としても困難なことがありました。それをかいつまんで御紹介しているものが51ページ目以降でございます。
 51ページ目は、当初計画をした段階から、現時点でどういうふうにスケジュールが変わってきているのかということを御紹介しています。主に52ページ目に、そのスケジュールの達成の度合いと、それから何が原因だったのか、どういうことがあったのかということを評価している表がございます。また、それを踏まえた今後の対応方針ということで、特に52ページ目を紹介いたしますと、炉心確認試験は、当初21年度内の開始を目指していたわけでございますけれども、安全確認に時間を要したということもありますし、耐震安全性の評価を行っていたということもありますので、若干二月ほど開始がおくれました。地元了解というのもございまして。
 今後の対応といたしましては、当然ですが、安全確認を確実に行うということと、規制委員会で今後再起動の基準等が策定されていきますので、それの確実な対応が必要かと思っております。
 また、炉心確認試験につきましては、52ページ目の中ほどにありますように、当初計画どおりに進みました。これはほとんど毎日状況をプレスしながら行ってきたというものでございますけれども、これはやはり各試験のホールドポイント、起動前、それから試験ごとに評価をした上で、その次の手順を確認しながら進めていくというやり方をとりまして、なおかつ日々状況についてはプレスに説明するということも行ってきまして、計画どおり進めてございます。次の40%、それから100%についても、我々としてはこのやり方を使いまして、次へ進めていく場合には、これをちゃんと踏襲していきたいと思っています。
 また、40%試験以降ですけれども、書いてありますように幾つかの屋外排気ダクトのトラブルとか水・蒸気系の点検等がございましたので、これとあと、落下いたしました炉内中継装置の復旧というのもございまして、これらを踏まえて、できるだけ並行して合理的に実施することで、23年度内の運転再開を目指したわけでございますが、現状政策の議論ということになっておりまして、現在、プラントは、水・蒸気系につきましては保管状態に戻っているという状況でございます。これにつきましては、やはりトラブルを未然に防止するというのがいかに大事かということでございますので、想定されるトラブルへの事前の対応をしっかりやっていくということかと思います。
 53ページ目以降、これは少しトラブルの内容について御紹介しておりますが、主な項目だけ御紹介いたします。
 55ページ目が漏えい事故を受けた改造ということで、平成7年の漏えい事故を受けまして、幾つかの改造をいたしましてナトリウム漏えいに対する安全性を向上させました。あわせまして、安全総点検を行いまして、その中で蒸気発生器の伝熱管の破損について若干裕度が低いのではないかということもありましたので、その対応についても向上したのが56ページに紹介しているものでございます。
 また、57ページ目、58ページ目につきましては、「もんじゅ」の場合ですと、ナトリウム漏えい検出器というのをたくさんつけてございまして、その一つが誤った警報を出してしまうというトラブルが起こりました。漏えい検出というのは割と重要なもので、センシティブなものでございますので、これに対する対応の中で、やはり組織的対応が足らないのではないかという御指摘も相当受けました。それで、58ページ目に記載しておりますように機構全体で、行動計画と書いておりますが、経営の現場への関与を強化したり、品質保証を強化するということの目標を立てまして、具体的には組織を強化する、人員も強化するということで、機構の経営資源を「もんじゅ」へ重点化するということをやっていただきまして炉心確認試験に入ったわけでございます。
 また、特に58ページ目は、原子力発電所でございますので、機器が多いというのは御紹介しましたように、各設備の担当が自分で改善点を見つけながらやっていくというのが重要になってまいります。そのために自分で改善点を見つけて、それを改善していくという自律的なPDCAというのが必要になってまいりますので、それを平成20年度からの幾つかの改善で強化してきたものでございます。
 59ページ目は、途中で起きました屋外排気ダクトということで、これは計画的な保全のところに反映するということをやってございますし、60、61ページにありますような炉心確認試験につきましては、先ほど御紹介いたしましたように、61ページ目にありますように試験の各段階で試験の評価というのを行って、その次に進めるというホールドポイントの確認、それから評価を行うということを確実にやっていきまして、これも結果につきましては、直ちに公表するということを踏まえて行いまして、テストにつきましてはほぼ工程どおりに終了したということでございます。
 62ページ目につきましては、一つのトラブルの例でございますし、63ページ目は、先ほど御紹介しましたような炉内中継装置というのは、割と工程には影響を与えたわけでございますが、63ページ目の右にありますようにこのような復旧を投じまして、炉内の観察等の技術、これも習得したものでございます。
 ただ、この原因は、63ページ目の上にありますように、つかむ器具の一部のパーツが不具合だったために起きたもので、本当に小さな部品のトラブルが大きなトラブルに結びつくということでございまして、64ページ目に示しましたように、日常の保全活動がいかに大事かということがあります。そのために、現在は64ページ目の真ん中にありますような項目を実施いたしまして、日々の保全活動に根差した改善を行っていくということを今続けているところでございます。こういうことで、小さなトラブルも見逃さない。ただ、それも起きることを前提でございますが、そういうことも対応していくということが必要かと思って実施するところでございます。
 65ページ目はまとめでございますので割愛させていただきまして、66ページ目以降は、海外の現状です。これは先ほど御質問等もございましたように、各国の開発状況が67ページ目に書いてございます。フランス、ロシア、中国、インドで、各々次の炉の計画、又は実炉の運転がされております。先ほど紹介のあったのは、一番上のフランスの2020年の原型炉とASTRIDという開発が今計画されておりますけれども、それの記載がございます。
 68ページ目は、世界でこれまでの開発経緯をまとめて記載したものでございます。これまでおよそ400炉・年という、世界をまとめますと累積の運転年数になってございます。
 また、69ページ目は海外と「もんじゅ」の比較ということで、特に海外炉に比べて「もんじゅ」はどういう特徴があるのかということで、特徴を挙げさせていただきました。特に上から二つ目のループ型というのは特徴的でございますし、現在「もんじゅ」が唯一のループ型の実証に貢献できるものということを考えております。
 あと、上から四つ目でございますが、炉心で見れば、長期停止に伴いまして、アメリシウムが蓄積してございますので、このデータというのは世界的にも前例がないようなデータが取られているということでございますし、5番目にありますように、耐震設計についても、相当な知見を我々としては有しているというふうに考えてございます。
 70ページ目は、海外からの期待はどのようなものがあるかということを整理して記載させていただいております。
 あと、72ページ目をごらんください。基本的には、我々はほかの原子力発電所のトラブルを自分の装置をチェックするのに使う、そういう仕組みを構築しておりまして、この中でも、海外の高速炉の特徴、トラブル、73ページ目以降幾つか例を挙げておりますけれども、こういうシステムを使いまして、トラブルを設備に反映するということを継続しております。こういうことを行うことで、できるだけトラブルのないことを目指して次の試験を進めたいというふうに考えてございます。
 大量でございましたけれども、「もんじゅ」側の説明を一応終わります。

【山名主査】 もう一つ、引き続いて4-3もお願いできますか。

【大久保炉システム研究開発室長】 それでは、4-3の資料を使いまして、もう一つのFaCTのプロジェクトについて御説明をさせていただきます。
 最初の報告内容というところに内容をまとめておりますけれども、FaCTの全体計画、それから、FaCTは、先ほど西條室長から御紹介がありましたように二つのフェーズ、フェーズ1、フェーズ2というような形で進めてまいりましたので、そのフェーズ1の開発目標とか計画、成果、更にフェーズ2の計画、それからFaCTに対する評価、「もんじゅ」への成果の反映の仕方、国際協力というようなことで御紹介をしたいと思います。
 まず、FaCTの計画についてでございますけれども、この辺は西條室長の方から冒頭にいろいろお話がありましたので、かいつまんで申し上げていきたいと思いますけれども、FaCTの前身であります実用化戦略調査研究、FSと呼んでいるものがちょうど2005年度で終わったということでございますけれども、そのあたりからいろいろこのFBRサイクルに向けての議論が行われておりまして、原子力政策大綱でありますとか、科学技術の基本計画、それから原子力立国計画等が議論されておりました。それで、FSのフェーズ2の国の評価というのが、2006年に行われまして、それを受けて原子力委員会の決定というのが2006年の12月に出されております。
 その結果が、先ほど御紹介ありましたように、原子力委員会の性能目標を達成できる高速増殖炉サイクルの実用施設、それからその実証施設の概念設計を行う、それから実用化に至るまでの研究開発計画を2015年に提示するという方針が出されまして、それに従って、高速増殖炉サイクル実用化研究開発、我々はFaCTと略称しておりますけれども、それが開始されたという状況になります。
 4ページ目の方は、これも全体計画の中で、既に御紹介された部分が多いのですけれども、真ん中のところにFaCTの部分が少し大きく書いた形で示しております。先ほども申しましたように、2006年から15年までの10年間の計画をフェーズ1とフェーズ2という二つに分けまして、2010年のところにチェック&レビューをするということで計画されておりました。
 主な内容は、真ん中辺に黄色のバックで書いてありますけれども、新しい炉を目指すに当たっての革新技術の開発、要素技術開発を進めていって、それを更に実用施設でありますとか実証施設というものの設計に反映していくということを中心として進めていく。その後、実証炉とか商用炉につなげていくという全体の計画でございました。
 次の5ページ目につきましては、体制の話ですけれども、既に先ほど御紹介ありましたように、国の文科省、経産省、それから左側に書いてあります電気事業者、メーカの中で中核企業として選定されました三菱重工業と私ども原子力開発機構が連携して五者で進めていくという体制で進めてきております。
 6ページ目に、まず最初の5年間、我々が実施してきましたフェーズ1の進め方ということでまとめて書いてあります。一番上に原子力委員会から出された性能目標というのがございまして、それを具体的にFaCTの中で、開発目標、更に数値的なブレークダウンした設計要求というような形にまとめて、それを目指してプラントの設計、それから関連するR&Dを進めていく。その中で、左側にありますような革新技術の成立性の評価、設計成立性の評価というのを行って、その判断の結果とともに、その設計が性能目標をちゃんと達成しているかどうかという評価を行っております。それをもって更に国の評価ということでチェック&レビューを進めるということでやってきております。
 次の7ページ目以降は、開発目標の設定ということで書いてありますけれども、簡単に御紹介させていただきます。
 8ページ、9ページにわたって書いてありますけれども、左側に原子力委員会が出された性能目標ということでまとめてあります。これについては、安全性とか経済性、環境影響、それから次のページにありますように資源の利用効率、核拡散抵抗性、軽水炉と高速炉の共生といったような観点から目標が出されておりまして、それに対して右半分に書いてありますようなFaCTでブレークダウンした開発目標、設計要求という形をベースに決めて、それを目指した研究開発を進めてきたという状況になります。
 10ページ目のところに性能目標の達成度評価について書いておりますけれども、ちょうど中間時点の2010年で1度、性能目標の達成度評価を行うということをしておりまして、この目的は、そこに書いてありますように、原子力委員会の性能目標に対して、その時点での達成状況を評価して、研究開発の基本的方向性に問題がないことを確認するということと、次のフェーズ2に向けた問題を摘出するということで実施しております。
 次の11ページ以降、フェーズ1の計画と成果ということでまとめさせていただいていますけれども、12ページ目の上半分に書いてありますのが、FaCTのフェーズ1の基本的な計画でございます。
 先ほども簡単に申しましたけれども、フェーズ2の成果として、国から選定された主概念というのが、下に書いてあるような酸化物燃料を用いたナトリウム冷却のFBRと、それから、サイクル側では先進湿式再処理法と簡素ペレット法の燃料製造を組み合わせたものというのが対象概念として決定されておりますので、これに対して革新技術の成立性の確認をするための要素技術開発を行う。それらの結果を踏まえた概念設計を行う。それを受けて、更に2010年度に革新技術の採用可否を判断するということが基本的な計画でございます。
 13ページ目に、五者の協議の中で炉の開発に関する中間的な論点整理というのが行われております。その結論は、左側の下に四角で囲った部分にまとめておりますけれども、2010年に判断すべき事項として、一つは革新技術の採否の判断、2番目として全系統システム試験の要否、3番目として実証炉の出力と基数を決めるということで整理がなされておりまして、これを2010年に判断を行うということで進めております。
 それから、14ページ目は、同じようにサイクル分野での技術的論点整理ということがなされているものについて御紹介してありますけれども、ここで一番ポイントとなりますのは、最初の青い字で書いてありますように、FBRサイクル検討に際しての視点追加の必要性ということで、従来はFBRが導入された後の、全てFBRの状態というのを中心に検討がなされてきたのですけれども、ここでは軽水炉からFBRへの移行期というのが60年以上存在するという認識のもとに、それにも配慮した視点が必要だということを明記した内容でございまして、それに関連して第二再処理工場のイメージをつくっていく。更に具体的に2010年頃までになすべき事項というもののピックアップがされております。
 次に、具体的にそういうことでピックアップされた革新技術について、炉とサイクルについて示しております。
 15ページ目は炉の関係の革新技術で、そこに1から10まで番号をつけたものがございまして、高燃焼度の炉心・燃料に関するもの、安全性の向上技術に関するもの、原子炉容器のコンパクト化に関するもの、それから大口径の配管を用いた2ループのシステムに関するもの、ポンプ組み込み型中間熱交換器に関するもの、6番目の直管2重伝熱管蒸気発生器に関するもの、7番目は自然循環の除熱を利用した崩壊熱除去システム、8番目は燃料取扱いシステム、9番目のSCというのは、鋼板とコンクリートを組み合わせた構造を用いるものですけれども、それによる格納容器、10番目に免震のシステムというようなことで、革新技術を絞って、それに向けた研究開発を進めております。
 16ページ目のサイクルにつきましては、左半分に再処理側の六つの革新技術、これはその処理の流れに沿って解体・せん断から始まりまして、6番目の廃棄物の低減化、更にそれから続く燃料製造の部分で、7番目に書いてあります脱硝・転換・造粒の一元処理技術の開発に始まって、最後にTRU燃料取扱い技術といったことで設定をして研究開発を進めております。
 そのまとめといたしまして、17ページに1ページで書いてありますけれども、革新技術の採否判断の結果ということで、一番上のブルーの背景の部分に、炉のシステムでは、先ほど申しました10課題のうち8課題は採用可能、一つは代替技術を使うということで採用の見通しを得ています。それから、一つ残った、これは高燃焼度の炉心・燃料に関するものですが、もう少し検討が必要ということで2013年に判断するということでもう少し検討するということにしております。
 同じく再処理の技術につきましては、6課題のうち3課題は採用であろうと判断しておりまして、残りの3課題については、更に2015年ぐらいまでに検討を継続するということにしております。それから、燃料製造につきましても、3課題については採用可能、2課題については検討を継続。それから、この中の燃料基礎物性研究というのは基盤的に進めるということで、特に採否判断の対象にはしないという扱いをしております。
 18ページ目に、性能目標達成度評価について、その概略の結果を書かせていただいております。上半分にまとめを書いてありますけれども、原子力委員会の性能目標をおおむね達成している。研究開発の基本的な方向性に問題はないという判断をするとともに、今後の課題を幾つか摘出して、次のフェーズ2の方に反映させるということを考えております。
 19ページ目に、フェーズ1のまとめの状況ということで簡単に整理しております。
 先ほども申し上げました2010年の判断事項として幾つかございましたけれども、革新技術の採否については、既に御紹介したとおりでございます。全系統システム試験の要否につきましては、もう少し検討をしてからということで、13年度に判断するという結論に達しております。それから、実証炉の出力/基数につきましては、75万キロワットを1基ということで結果を出しております。
 そのほかの関連事項として、先ほども紹介した性能目標の達成度評価を実施した、それらを更にまとめたフェーズ1の公開成果報告書を発行して、下の脚注に書いてありますようなJAEAのレポートとして発行しております。
 その後の開発計画ということで、後ほど御紹介いたしますけれども、フェーズ2の計画を作成しております。
 それから、最後に、それらを受けた国の評価というのを行っていただいておりましたけれども、先ほども西條室長の方から御紹介ありましたように、終了直前の段階で震災により中断しているという状況でございます。
 20ページ目にフェーズ1の成果概要ということでまとめさせていただいていますけれども、最初の項目は、採否判断に関するもの、2番目に書かせていただいているのは、そういうものを踏まえてプラントの概念検討を実施して施設概念を構築したということでございます。3番目は、それをもとに性能目標の達成度評価を行ったこと、4番目はフェーズ2に向けての具体的な開発計画を作成し、最後に、それらの成果を報告書に取りまとめて公開したということでございます。
 21ページ目以降、フェーズ2の計画案ということで概略を書かせていただいております。
 最初に22ページ目、炉システムの計画の重要なポイントということでまとめておりますけれども、最初に書いてあるのが、実証炉の概念設計を行うこと。13年度までに一通りのプラント設計を行って、更に15年度までに最適化の設計を行う。実証データと併せて実用化像を提示するということを考えておりました。それに必要な、以降書いてあります要素試験ですとか実証試験ですとか試作試験、更に「もんじゅ」成果の反映等を踏まえて実施していくということで計画をつくっておりまして、その大まかなものを図にしたものが23ページに書いてございます。
 24ページ目は、再処理システムに関する重要なポイント。そこに幾つか大きな項目で書いてありますけれども、十分な工学的信頼性の確保、ロバスト性の確保、技術的な盲点の排除、国際動向の注視、それから核燃料サイクル全体の最適化といったような視点で計画をつくっております。
 25ページ目は、燃料製造システムについてですが、これも同じように信頼性とかロバスト性の確保等を書いてございます。
 26ページ目以降、FaCTに対する評価ということで少し紹介をさせていただいていますけれども、27ページに書いておりますようなFaCTプロジェクトの評価委員会というのを文科省、経産省の合同評価委員会という形で設置していただいて、革新技術の採用可否の判断、今後の研究開発計画に対して、外部の多様な専門家の御意見を踏まえて、それらの妥当性を国が評価するという目的で設置されております。
 委員会としては、原子炉ワーキンググループと燃料サイクルワーキンググループという二つの分野に分かれておりまして、炉の方は大橋先生、燃料サイクルの方は山名先生に主査をお願いして、全体として御二人に共同議長をしていただいて、全メンバーが委員として構成して議論をしていただいたという状況でございます。
 その概略につきまして28ページ目にまとめておりますけれども、国の評価の状況ということで、この評価委員会を2010年11月以降4回開催していただいております。その間に、委員会に先立ってワーキンググループを6回開催、それから、2011年3月18日に第5回、一応これを最終と予定していたわけですけれども、そこで議論していただく予定だったのが、震災によりまして延期されたまま中断の状態になっているというのが現状でございます。
 委員会の審議内容につきまして、その下半分で、1、2、3、4という各回での主な審議していただいた内容を挙げております。1回、2回目については主に成果について、3回、4回目についてはフェーズ2の計画について審議をいただいておりました。
 29ページ目以降は、「もんじゅ」成果の反映ということで考えていたことを簡単にまとめて示させていただいておりますけれども、30ページ目の一番下の工程の線にあります当初予定していた「もんじゅ」の工程に合わせまして、上にありますFaCTの概念設計、最適化設計、基本設計と続く実用化へどういうものを反映していくかという視点でまとめておりまして、1の基本設計までに反映するもの、それから安全審査までに反映するもの、3の運転開始までに反映するものといったようなものをそれぞれグルーピングしてまとめて取り上げております。それを少しブレークダウンしたのが次の31ページ目の形になっております。
 最後に、国際協力の話になりますけれども、33ページにFBR開発をめぐる今後の世界情勢ということで、幾つか主要なポイントを書いております。アメリカは特に炉の計画を持っておりませんけれども、廃棄物低減等に強い関心を持っております。フランスについては、先ほども御紹介ありましたASTRID計画を持っている。更にロシア、中国、インド等も電力需用という観点からいろいろな計画を持っておりますけれども、おおむね日本とかフランス、米国はより高い目標を持った第4世代の炉を開発していくことを目指しております。それに対して、ロシアとか中国、インドは既存の技術をできるだけ利用して、早く高速増殖炉を開発していこうというような考えを持っておりますけれども、その辺をうまく統合したような形で一緒にやっていきたいというのが我々のスタンスでして、GIFと書いてあります第4世代の原子力システム国際フォーラムという場がございまして、そういったところを通じていろいろな国際的な設計基準でありますとかガイドラインの統一化というのを図りつつ進めていくということでやってきております。
 34ページ目は具体的にFaCTに関する国際協力ということでまとめておりますけれども、上半分にありますように、米国、フランス、日本の間の三国一体の協力、あるいは2か国の協力といったようなものをベースにいろいろ多チャンネルで協力を進めておりまして、その中で、一番上位に属するような要求事項という形でまとめております、真ん中に書いてあります Top tier requirement という合意に基づいて、先ほども申しました設計クライテリアの統一化等を目指しております。その中で、特に安全に関するものは、既に震災前から手がつけられておりまして、今年度中には大体GIFの枠の中で形が明確に見えるような進み方を今しております。
 そのほかの国々とは、左端にありますようIAEAの枠組みを利用したINPROの計画、それから右端にあるGeneration4のGIFの計画といったものを通じて協力を展開しているという状況です。
 最後、35ページ目には、FaCTの国際的な評価ということで多少書かせていただいていますけれども、日本が進めておりますJSFRという炉については、GIFの中で第4世代炉の代表例として認められているということ。それから、かつて米国でGNEPという計画が行われましたけれども、Advanced Recycle Reactor の候補として2007年に採択されている。それから、フランスとの間では、フランス電力と共同で設計を評価して、共著で国際会議で発表論文の投稿を行っているというような状況でございます。
 以上です。

【山名主査】 それでは、時間が大幅に遅れていまして、手短にまず今、御説明いただいたことの内容の事実関係についての質問がおありの方は手を挙げてください。事実関係確認です。内容的な話は後で議論いたします。

【稲田委員】 今FaCTのお話をされましたが、FaCTと今回の研究計画との関係について御説明いただけますか。何か反映されたことはあるのでしょうか。

【山名主査】 お答え願います。

【大久保炉システム研究開発室長】 先ほど「もんじゅ」の方でも紹介がありましたように炉心確認試験というのが既になされておりまして、そこでいろいろな炉心設計上のどういう手法を用いたらいいかとか、どういうデータが検証に使えるかといったような情報が得られておりますので、それを一部FaCTの方にも反映しております。その辺は30ページの線表の中に、ほんの小さな一部なんですけれども、真ん中辺に紫色で一部実施済みと書かせていただいている設計手法及び解析コードの反映というような部分につきまして実施をしているという状況でございます。

【山名主査】 よろしいですか。
 ほかに。内容的に事実確認等でございませんか。村上委員。

【村上委員】 大変ささいなポイントかもしれませんが、先ほどのFaCTプロジェクトの方の資料4-3の33ページ、「FBR開発を巡る今後の世界情勢」のところで、各国の高速炉開発の経緯、現在、それから2020年、2030年とあります。フランスでは、確かに最後まで運転していたのはフェニックスなんですけれども、その前にスーパーフェニックスもあったんですが、これが意図的に除かれているのはなぜですか。

【山名主査】 お答え願います。

【大久保炉システム研究開発室長】 意図的にというわけでもないんですけれども、基本的に多くのプロダクトを出した特徴的なものとして最近まで運転していたフェニックス、それから今後のASTRIDというようなものに集約して出しているというだけでございます。特に大きな理由はございません。

【村上委員】 わかりました。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 特にまず「もんじゅ」関係で、4-2のところで、「もんじゅ」に関して何か事実確認等はございませんか。
 時間がもったいないので、私からちょっと確認させてください。燃料がどう使われたかなのですが、燃料の挙動や炉心の状況を調べるというのは「もんじゅ」の大きな目的ですね。MOX燃料をつくったものが、一体今まで何がどう使われているのかということを簡単に御説明願えますか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 現在まで「もんじゅ」燃料につきましては、特に低密度燃料ということで東海に製造していただきまして、主な知見といたしましては、その後、安全審査等を行ったのですが、燃料融点とかを基礎研究で出していただいて安全審査に反映していると。それから、例えば炉心管理につきましては、アメリシウムをたくさん含んだ燃料の最適な配置とか、そのあたりの取替え燃料の計画の中で反映しているものはございます。

【山名主査】 今のは反映ですね、まずブツの流れからお聞きしますが、何を何トン使って、今どこにあって、どれぐらい使われて、何がわかったんですか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 詳細には、数字は後で御紹介いたしますけれども、初装荷燃料を198体つくりました。その後、取替え燃料として、およそ80体の取替え燃料を平成7年までにつくっておりますので、合計280体弱ですね。それにあわせまして、現在東海側で取替え燃料としましては42体の製造が既に終わっておりますので、現在320体以上のMOX燃料の製造が行われているということでございます。
 あわせまして、平成7年につきましては、198体の燃料をおよそ40%までの出力で運転しておりますので、線出力密度といたしましては、4割ぐらいまでの設計の実証がされた。当然燃料破損は起きておりませんので、そのほかの燃料の健全性については確認されました。
 あと平成7年以降、ずっと炉心に長期貯蔵していたわけでございますけれども、それにつきましても、ブランケット燃料、炉心燃料1体ずつ外観確認をしました。これはもともと「もんじゅ」には外観確認する装置は持ってなかったわけですが、ファイバースコープを使った試験で長期保管燃料の健全性を確認しております。
 あと、トン数につきましては後で整理して回答いたします。

【山名主査】 照射済みの燃料に関する試験とかはまだ行われたことはないんですね。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 実際には大洗に照射済みの燃料試験装置を持っておりますけれども、まだそれに実燃料を運んだことはございません。

【山名主査】 いかがでしょうか。事実確認として。稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 「もんじゅ」の計画で発電炉としての信頼性、あとナトリウムの取扱い、それから研究開発と3点挙げられているのですが、このうちの発電炉としての信頼性、それからナトリウムの取扱いについて、4-2の資料を見ますと、6ページ目ですが、2010年から性能試験開始ということになっていて、1995年当時のことを考えますと、割と比較的すぐに運転ができなくなった状況にあると考えます。この性能試験や本格運転などについては、目的の達成という意味からしますと、まだかなりの部分がというか、ほとんどまだ残っているというふうに考えればよろしいのでしょうか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 平成7年におよそ40%まで確認をしましたけれども、その後、その不具合も反映しまして改造しております。ですから、実際に100%までの出力を達成していない状況でございますので、プラントとしてはまた性能の確認を行っていないという状況でございます。
 また、あわせまして運転経験がそれほど長くありませんので、長期的に確認する項目が幾つかございますが、それについてもデータがあまり取れていない状況でございます。

【稲田委員】 そうすると、まだこれからいろいろやっていかないといけない状況であるということは、そのとおりだと考えればよろしいですね。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 そのとおりです。

【山名主査】 ほかにございませんか。
 もう一つ聞かせてください。「もんじゅ」を使ってわかってくるべきプラント的なデータ、例えば材料の腐食ですとか、あるいはマストランスファーというんですか、何かありましたね。そういうこととか、あるいはナトリウム取扱いの様々なことというのがテーマとして出てきましたけれども、それについては、今までの「もんじゅ」の運転でどこまでわかっているわけですか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 実際に温度的にはおよそ500度まで上げた状態を経験してございますので、例えばナトリウムの取扱いの中で、純度、それから腐食生成物につきましては、短期間しか運転しておりませんのでなかなかデータが取れておりません。ただ、17ページでいきますと、温度を上げていったときに、どのような不純物が、例えばナトリウムというのは酸素濃度の管理がすごく重要でございますので、それに対して温度を上げていったときに、どのような不純物が出てくるのか、それからあと、燃料交換でどの程度の不純物が持ち込まれるのか、このあたりについては一応データは取れておりますが、長期的なデータはなかなか取れていない状況でございます。
 またあわせまして、洗浄につきましても、機械については、燃料交換のたびに燃料交換装置、それから炉内中継装置を洗浄いたしますので、洗浄交換につきましては手順まで確実に確認してきたというようなところにございます。
 また、先ほどから繰り返しますけれども、腐食生成物、それからあと放射性物質の冷却材内の移行につきましては、やはり運転経験を積んである程度ビルドアップしていきますので、そのあたりのデータについては、解析コードのデータはありますけれども、それについての比較データはまだ取れない状況にあるということでございます。

【山名主査】 ありがとうございます。いかかでしょうか。
 もしなければ、あと30分ほどありますので、「もんじゅ」で何ができるかというか、先ほどの検討事項にありました、「もんじゅ」でなければできないことは何だということについて御意見を伺いたいと思います。
 よろしいですね。事実確認は以上で終了させていただきますが、今のお話を聞いて、「もんじゅ」とFaCTという計画があったわけです。大きな全体の流れの中で、「もんじゅ」でなければ達成できないことというのは一体何だというところについて、これは御意見、見解を伺いたいと思います。時間が限られますので、どうぞ忌たんのない御意見を。黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 「もんじゅ」でなければというところの前にちょっと確認したかったので、事実確認というよりは全体の確認なのですが、FaCTのフェーズ1は終了したと。フェーズ2については計画を今日紹介していただきましたけれども、今ここでやろうとしている作業部会での「もんじゅ」のいわゆる研究開発の内容というのとフェーズ2というのは、どれぐらい横目で見ながらこちらを考えておかなければいけないのかなというところ、そこを教えていただきたいのですけれども。

【山名主査】 これは国の方から回答をお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】 先ほど御説明させていただいたのは、最初の前提としてお断り申し上げたように、正にこれからではなくて、これまでの全体の計画ということで、特に実証炉に向けては「もんじゅ」の成果、それからFaCTフェーズ1、フェーズ2の成果を受けて全体像をつくっていく。ただ、現状におきまして、福島事故を受けた政策の見直しということで、技術として、今回「もんじゅ」についてはこういった書き方で、まさに議論いただくような内容にはなっておりますが、この先をどうしていくのかというところは、正直なところ明確にはなっていない中で、ただし、フェーズ1につきましては、実際のところ、かなり終わっている状態、あと評価という状態だと。まずこれをどう扱うのかというのが1点あると思います。
 その後のフェーズ2等につきましては、そこも含めて今後どうしていくか、ここは当初御説明したように、いわゆる実施主体というか、実際に使っていくユーザーサイドも含めての五者協議会というところもありますので、そういうところでも今後の取扱いというのは、今後議論することにはなっておりますので、その辺につきましてはどういう扱いをするかは、また次回以降、御説明をさせていただきたい。
 ただ、現状としては、まずはフェーズ1のぎりぎりのところで終わっているという現状と、フェーズ2に入る状態、つまり、2025年、50年という計画はこれまでの計画であったということなので、そこについては、現在のところ、明確に何年というのはないという状況になっております。

【山名主査】 よろしいですか。
 それでは、ほかに何かございますか。

【村上委員】 私は、やはり事業者の方々の立場に近いですし、かつて事業者であった立場から、アカデミックな先生方の考えることとは多分視点は違うと思うのですけれども、やっぱり「もんじゅ」を、電力も含めて研究開発体制に加えてきたのは、将来の発電所として使うということがありました。これがなかったら、電力が「もんじゅ」に協力することはあり得なかったはずでございます。なので、今後のエネルギー政策はどうなるかわからない中で、やはり「もんじゅ」は発電所ですか、それとも巨大な材料試験炉ですかと、そこの位置付けをまずはっきりしないことには、今後の研究計画の中でも、例えば運転や発電を含めたプログラムを入れるかどうかに大きくかかわってきます。
 仮に、もう「もんじゅ」の発電所としての役割は求められておりませんということになれば、かなり大胆な発言ですが、「もんじゅ」から、極端な話、発電設備を取り払ってしまう。タービン、発電機だけを取り払えばいいというものではないことは、私もわかりますけれども、そういったプログラム改造も必要になるでしょうし、そうしないと、恐らくは再起動も許可が出ません。そういう大きな取組の方向性が変わってきますので、発電所なんですか、どうですかということをはっきりさせるのが一番ではないかと思います。

【山名主査】 ありがとうございます。重要な視点でございますので、この点について、ほかの先生方はいかがでしょうか。村上委員の趣旨は、「もんじゅ」でしかできないことは、発電プラントとしての実証というのが非常に大きいということをおっしゃっていると理解してよろしいですか。

【村上委員】 今、世界を見ましても、発電設備を備えた高速炉としては「もんじゅ」が世界最大です。そういう意味では、ある意味「もんじゅ」でしかできないことでもありますが、しかし、これは果たして「もんじゅ」に求められている役割かどうかということが問題かと思います。もちろん「もんじゅ」でしかできないことに絞るのも大切ですが、その「もんじゅ」でしかできないことの中に、仮に日本として、将来、別に要らないものが含まれていたら、それが仮に「もんじゅ」でしかできないことであっても、除外すべきだと思うので。

【山名主査】 いかがでしょうか。発電プラントとしての位置付けについて、先生方、御意見はございますか。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 もともと核燃料サイクルというのは、原子力基本法とかでも、その趣旨が、なぜやるのか政策大綱にも書かれていて、エネルギーの安定供給ということだったわけです。それで、今の時点で、じゃ、そのときの趣旨が何か変わったかというと、決して変わってはいないというふうに私は思います。
 その上で、「もんじゅ」が発電のミッションをどういうふうに位置付けるかというのは、これは今の「もんじゅ」の状況とか、そういうものだけで決まるわけではなくて、もっといろいろ周りの境界条件が関わってくるものだと認識しています。
 要するに私のポイントとしては、発電炉としてのミッションは、これは決して捨ててはいけないというのは、もともとの目的のとおりで、ただ、じゃ、今の段階で「もんじゅ」に対して発電のミッションを、かくあるべしというのを必ずしも規定する必要はなくて、ただ、発電ができるということそのものが重要であるのだと。それが正に原型炉としての役割であり、発電炉としての性能をきちんと確認した上では、私はいろいろ自由な使い方というのはあり得るオプションかと思います。
 ただ、その上で、「もんじゅ」が発電としてのミッション、あるいは高速炉が発電としてのミッションについてどうかということで言えば、それは間違いなく一番重要な位置付けの一つであるということは間違いない、そういうふうに思います。

【山名主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 機構としてこのプラントを、今の発電プラントという意味でどう見ておられるか、ちょっと伺えますか。

【廣井理事】 機構としての見解というのは、我々この議論を踏まえてやっていくということですので、今明確にすることはできないと思うのですが、私個人の意見ということで言わせていただきますと、こういう「もんじゅ」の役割についても、少し柔軟にオプションをいろいろ広げて考えておこうというのが、今回の検討ということでありますので、そのオプションの中に、この高速炉が持っている特徴であるエネルギーを持続的に生み出していく、そういう増殖性も含めた発電という機能を発揮できるのかどうか、そういうこともしっかり見極めていくこと、そしてまた、見極めた上でその先を考えていくということが大事ではないかなというふうに思っています。

【山名主査】  いかがでしょうか。非常に重要な御指摘を村上委員からいただいて、是非、皆様方の御意見を伺いたいのですが、北田委員、どうぞ。

【北田委員】 同じようなことの繰り返しになってしまうのですけれども、やはり原型炉というもともとの原子炉としての開発の段階の中にあった「もんじゅ」ですので、その「もんじゅ」というものが、当面、その後更に実用炉、実証炉ということがあったのでしょうけれども、「もんじゅ」としてはまず何をすべきだったのかというところ、その部分のところというものは、まずはしっかりと見ておかないと、というのが、先ほどはじめにも出ておりました技術の継承なりというところにもつながらないことになりかねませんので、当初の目的というものをまずは達成した上で、その上で、その「もんじゅ」というものを使って何ができるのかというのは、また次のステップとして考えるというのは十分あると思うのですけれども、まずは当初の目標というのは、できる・できないというのを見極めるという、まずそれが一つ大きな対象になるのではないかというのが私の意見です。

【山名主査】 ほかに御意見はございますか。稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 もともと先生方がおっしゃる意見とほとんど同様ですが、高速増殖炉のサイクルということを、これから将来どういうふうに考えていくかというと、選択肢の一つとして考えていかないといけない。その中で大きな投資、1兆円近い投資をしてきている「もんじゅ」というものを、しっかり運転して、本当にちゃんとそれが成立するのかを確認する必要があると思います。先ほどからの議論では、長期的な運転とか、性能試験、そういうものがまだやられていないという状況でした。それを考えますと、当初の目的をしっかり達成した上で、その段階でこれがやっぱりうまくいくものなのかというか、むしろうまくいかせないといけないのかなという気もいたしますけれども、その辺をしっかり確認していくということが重要なのかなというように思っております。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。

【山口委員】 もともと高速炉というのは、ニュートロンをいろいろな目的に有効に活用できるということが一つの増殖ということをやる価値としてあったわけだと思います。
 それと、もう一つは、例えばフランスのコメントは、「もんじゅ」は高速炉における世界で唯一の研究用の照射場であるというふうな評価をされています。そういう観点から言うと、私自身は「もんじゅ」に様々な高速炉としての利用価値を研究していく場としての価値があるんだと思います。
 もう一つ、今日は「常陽」の話があまり出なかったんですけれども、「常陽」で我々がきちんと確認できていなかったということは、やはり発電のところでありまして、特にいろいろ過去のトラブル事例等でもありますように、蒸気発生器を始め、やっぱり水・蒸気系とナトリウム系との調和ということに対して、これは非常に「もんじゅ」の重要な意味の一つ、それは単純に発電するということではなくて、バランス・オブ・プラントとナトリウム系との調和ということで、様々な技術、知見を獲得するという意味で価値がある。
 ということでございまして、欲張りなようなのですが、発電も、それは当然必要で、ただ、それはフルパワーでいつも発電していることそのものに意味があるというふうには思っておりませんで、むしろ発電に伴ういろいろな知見を得られるというところは、今、例えばフランスにもないですし、アメリカにもないですし、それから日本でも「常陽」ではできないということであれば、重要なポイントであると思っております。

【山名主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 大体先生方の意見を聞きますと、高速炉技術の核心部分をいろいろ調べる多様性を持った炉であるにしても、これを発電プラントとして動かすという大きな目的の中で、その部分は軽視できないという御意見をいただいたように理解しましたが、御発言いただいた先生方、そんなような感じでしょうか。

【山口委員】 はい。

【山名主査】 だから、全てが発電のために心中しますというわけでは決してなくて、発電というものをきちんとやりながら、その中でこの利用の多様性を求めるということが重要であって、そもそも発電しないと炉は動かせないんですよね、「もんじゅ」は。変な話ですが。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 出力によりますけれども、空気冷却器というのを持っていますので、空気冷却器だけでは、やっぱり数%の出力ぐらいしか出ません。

【山名主査】 それは数%の出力でしょう。28万は出ないわけですね。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 はい。

【山名主査】 であれば、しっかりと電力をつくりながら、多様な研究をしていくという全体の、山口先生は調和とおっしゃいましたか、電気をつくるということも含めての、いろんな技術の全体調和なのかなということですね。
 村上委員、問題提起されたお立場としていかがでしょうか。

【村上委員】 廃棄物の減容や有害度の低減という観点に仮に絞るとなりますと、多分水・ナトリウムから水・蒸気系による熱除去は必要にしても、多分水・蒸気系を流して熱を捨てるという非常にもったいない使い方も可能なのではありませんか。だから、仮に発電機能の実証というオプションがもう全く必要なく、巨大な材料試験炉であれば、そういう運転のやり方も、当初目的にはなかった使い方ではありますが、当然日本の技術力からしてみればできるわけで、その可能性を突き詰めておきたかったということです。

【山名主査】 弟子丸さん、その可能性についてはどうですか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 当然発熱されると除熱しないといけませんので、その除熱力を持っている系統をつければ、それは当然可能にはなります。ただ、相当な設備改造が必要ですし、例えばタービンバイパス弁というのを持っていますので、バイパスしながら運転することは可能ですが、それでも出力は半分以下です。そういう使い方を想定していませんので、長期間除熱をその系統で行うというのはなかなか難しいと思います。

【山名主査】 そもそも出力を落として運転して得られる知見というのは、ある程度制限があるわけですよね。山口委員、そういうことですね。

【山口委員】 今の議論は出力を落としてという趣旨ではなくて、「もんじゅ」は増殖、それから発電、あと、そのほか廃棄物という多様な使い方が当然あるわけで、その中で、その発電が全ての目的ではないという趣旨です。
 それで、出力を落としてやるというのは、多分そのほかの目的にしてもパフォーマンスが恐らく得られないでしょうから、多分そういうオプションをもしやると、例えば何が考えられるかというと、水・蒸気系のところで深刻な、これ以上それを続けられないようなことがもし仮に起きたら、じゃ、そういうところは切り離して、もっと「もんじゅ」を使うために何かやるかとか、そういう非常に極端な場合ぐらいが考えられるのかもしれませんが、基本的にはその目的が多様な目的に使えるということが重要なポイントなんだと思います。

【山名主査】 永井委員、どうぞ。

【永井委員】 構造の専門ではないもので、ちょっと見当違いのコメントかもしれませんが、ちょっと違う視点で一言お聞きしたいことがございます。
 今の村上委員の御質問は一番重要なところだというのはよくわかります。というのは、私の聞きたいのは、電力会社を中心にして、産業界が今本当に何の研究を高速炉に関してしたいのかということが正直わからないんです。どこまでならば、どこら辺のお金、人材を投入しても協力してやりたいのか。そこがやっぱり本当にその研究開発が成功するかどうかの実際の肝なのではないかと思うんです。
 私が大洗で原子力機構の方と共同研究なりいろいろやっていますが、現場で電力会社の出向の人をたくさん見かけます。その人たちが本当に電力会社がこれを必要とするならば、非常に優秀な人、これぞという人材を送って研究開発するんだと思います。そうすれば、難しいことでもどんどん成功して開発が進んでいくわけでございます。ところが、もし本気に産業界がならなかったならば、そういう出向した人材にどういうのを送るのか。これは非常に失礼なことかもしれませんが、実際の現場にいて感じることはそういうことで、そういうことがいろんな枠組みで、資料のところをずっと読ませていただいて、「もんじゅ」の方の58ページで、これまでのトラブルに関してどういう行動計画をといろいろ検討されています。これが本当に絵に描いた餅ではなくて、そういうトラブルを起こさないことが一番ですね。だけども、それを現場がどういうふうに実際に動く人がやっているかということがやっぱり重要で、それには単に原子力機構とメーカの関係で、この事業を受託させる、それを投げる、それを電力が受けてやります、それだけの関係というよりも、本気度がどのくらいかというところが多分一番重要なのではないかなと思って、この資料を読ませていただきました。そこの観点がちょっと欠けているかなという気がいたします。

【山名主査】 これは民間と国の技術開発の関係の話を御指摘になって、文科省の方から何かございますか。

【西條核燃料サイクル室長】 現状を申し上げますと、「もんじゅ」に関しましても、先ほど「もんじゅ」のまず建設に当たっても、この大きな流れがありましたので、民間事業者の方から4分の1程度の出資もなされています。その実際の運転に関しましても、ちょうど炉心確認試験から、今現在においても同じなんですけれども、やはり電力からかなりの人数が参加をしてやっている状態で、実際に「もんじゅ」を動かしていくという観点では、ユーザーサイドの当然の協力、これは将来を見越してということではあろうかと思いますけれども、そういった観点からはユーザーサイドの協力というのは不可欠なものだと思っています。
 実際に、現在、「もんじゅ」に対して電事連や電力を通じての協力というのは引き続きなされておりますし、今回のこの原子力政策を策定するに当たってのいろいろな議論、これから先、こういう流れの中でどうしていくのかというのは、もうちょっと詰めていく話になるとは思いますけれども、これまでの議論の中においては、電事連、八木会長を始め、それから電力のこの高速炉に関わっている方々の方からは、将来の技術としての重要性というのは何度も語られておりまして、そういった観点での協力というのはしっかりとできるようにしていかないと、まさに動かすに当たって支障が出るという認識ではおります。

【山名主査】 今の点については、今後も議論を重ねていきましょう。非常に重要な点ですね。
 もう時間が来てしまいましたが、先生方、10分ぐらい遅れてもよろしいですか。申し訳ございません。あと15分ありますので、それ以外の点について、「もんじゅ」でなければできないこと、あるいは「もんじゅ」にここに意義ありという御意見がありましたらお願いしたいのですが、山口委員、どうぞ。

【山口委員】 先ほど申し上げたのですが、照射ですね、照射は、例えば高速炉でなくても、軽水炉の場合でもいろいろ材料開発等その他、あるいは産業利用等を含めて、様々な利用価値があるわけなんですけれども、ほかに研究炉の議論もされていると思うのですが、「もんじゅ」のような照射ができる場というのは非常に魅力的であると思います。
 先ほど各国の評価の中で、フランスが「もんじゅ」は唯一の研究用照射場で重要な役割があるのだというふうに書かれているのは、まさにフランスの実感だと思うんです、フェニックスを止めてしまいましたから。それで、フランスはジュールホロビッツは照射の炉としてつくって、ああいうところは国際的にコンソーシアムをつくって運営するというようなことをやったりしているわけです。
 ですから、やっぱり「もんじゅ」も、照射という意味では、非常に世界でも貴重な役割を果たすべきだと思いますし、もしそういう目的を果たすのであれば、照射に関して国際的ないろいろなサポートといいますか、これはコンソーシアムか、どういう形かわかりませんが、そういうものをやりながら、いろいろ活用していく、そういう使い方は非常に意味あるものではないかと思います。

【山名主査】 黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 全く同じことで、やっぱり燃料をつくって実際に照射してみなければ、原子炉の中で何が起こっているかというのは、いわゆるシミュレーションとかもいろいろあるんですけれども、実際に何が起こっているかというのは、やはり照射してみて、それを取り出して、実験的に評価してみて、それで判断するということが非常に重要になってきますので、照射ができるということはものすごく大きなメリットだと考えています。
 もう一つ言いたいのは、例えば「もんじゅ」のそばに照射後試験ができるような、そういったものがあればよりいいと。今は照射だけという話なので、やはり取り出してみるという作業はものすごく重要ですので、それができるような状況になれば、より良いなというふうに思っています。

【山名主査】 ありがとうございます。
 ちょっと逆説的に私から質問したいのですが、「もんじゅ」は照射に大事であると、多分そうだと思います。そうすると、「常陽」の照射との関係はどうなのか。あるいは国際的に高速炉が幾つかあるようですが、そういうところでの照射との関係はどうなるか。まず機構からそこについて御説明いただけますか。

【弟子丸高速増殖炉研究開発センター所長代理】 「常陽」との仕分でございますけれども、「もんじゅ」の大きなメリットは、実際実燃料集合体、4.2メートルぐらいありますけれども、その集合体そのものが照射できるということです。「常陽」の場合ですと、記憶で申し訳ないのですが、50センチぐらいですので、特に高速炉の場合ですと、ボーイングとか、ああいう照射によっていろんな材料が炉心で悪さをするというのがあります、曲がったりですね。そういうことが本当に長尺で起きないのかどうかというところの確認が一番大事だと思いますし、そういう点は「もんじゅ」でしかできないことだと思います。
 海外については、ちょっと私も不勉強ですので、どなたか回答できる人はいませんか。海外については、たしかロシアで照射炉、BOR-60があったと思いますけれども、それだと、やはり同じような照射になるのかなと思います。そのあたりは少し整理させていただいて御説明したいと思います。

【山名主査】 それでは、次回に、先ほど御説明を聞いたら、フランスのASTRIDとかインドのPFBRとかいろいろあるようですから、それが照射という観点で関係あるのかないのか、御説明いただきたいと思います。
 ほかにございませんか、照射というキーワードで。

【笠原委員】 照射以外です。

【山名主査】 照射の議論は、ほかにいかがですか。いいですね。では、笠原委員、どうぞ。

【笠原委員】 福島の後、我々はなかなかふかん的な見方が難しいとか、想定外ということがやっぱり残るということがあったので、原型炉の本来の目的でもあったと思うのですけれども、いろいろ経験ですね、致命的なものがあってはいけないのですが、軽微なトラブルだったら、いろいろと経験して、今のうちにバグを取っておこうというのもあったと思います。特に要素試験ではなくて、「もんじゅ」は全体の系があるので、そういうことを習熟できる唯一の場だろうと。そういう意味で、先ほどの発電をするかしないかというのも、発電をつなげて全体でどういうトラブルがあるかというのを見るためには、発電をまずやってみる必要があるかなと思います。
 あと、先ほど安全の研究が進んでいるということもありましたけれども、シミュレーションコードとか、机上でいろいろ安全対策をやるだけではなくて、やっぱりやってみる必要があるのではないか。少々泥臭いかもしれませんが、福島でも、ロジック上はうまくいっていても、実際はDC電源がなくてバルブが動かなかったとか、計器が見えなかったとか、いっぱいやってみないとわからないことがあったわけですね。
 そういうことがトータルでできるのは、恐らく「もんじゅ」だけ。今のところ、世界でも「もんじゅ」しかないのではないですかね。それは是非、計画にあった方が良いのかなと思います。

【山名主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 研究開発のことについてですが、先ほど照射の話は実燃料の集合体で試験できるというのは非常に重要なことだと思います。一方、今回MAというのが一つ出ております。そういうものがやはりこれから実際に核燃料サイクルを考えていくときに、どういう位置付けにあるのか、どれぐらい重要なのか、あるいはどういう効果があるのかというところが、ちょっと漠然としているような気がしておりまして、その辺については、これから議論させていただきたいと思っております。

【山名主査】 それは今後の議論にしていくということでよろしいですか。

【笠原委員】 結構です。

【山名主査】 あと、いかがでしょうか。永井委員、どうぞ。

【永井委員】 照射の話で一言。「常陽」は御存じのとおりずっと止まっておりますので、実際我々が今高速炉関係で、材料の基礎から含めた研究をやろうとしてもほとんど継続的にできないというのが実情でございます。ですから、やっぱり材料の研究をするには、そのやりたい材料のときに、常に安定的にきちっと動いて、研究計画が立てられるような状況になってないと、恐らく誰も使わないと思うんですね。だから、まずそちらの方が重要だと、そういう順序だと思います。それから、世界の炉に。できないならばどういうところでやるのかという議論がその後に来るのではないか。それは材料、照射を研究している側からの立場のコメントですが、そういうことだと思います。

【山名主査】 ありがとうございます。照射研究のユーザーとしては、安定に動いていない炉というのは役に立たない。

【永井委員】 特に大学で、人材育成という話が最初にございまして、私も含めて若手が呼ばれているというのは存じ上げているんですけれども、私は若手と言われても、あと二十何年で、ちょうど政府が原子炉をやめたいと言っているときでほぼ定年を迎えるわけですけれども、それよりももっと重要なのは、やっぱり学生から30代のどれだけ元気な人が、この重要性を認識して研究していくかというところでございますので、もしかして、そういうところで計画的にそういう照射の研究をできないとなれば、学生にそういう研究をさせることは、大学の教員としてできないですね、率直に申し上げて。これは非常に重要なことで、これは高速炉だけではないと思うのですが、日本の研究炉をきちっと動かさないと、少なくとも安全とか、その後の開発に対してはなかなか人材育成を含めて難しいというようなことは実感しております。

【山名主査】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

【山口委員】 先ほどいろいろトラブルのというお話があったのですが、世界の高速炉を見ると、例えばロシアはコールドトラップとかで漏えいをして、それで、やっぱりああいう放射化したナトリウムは一次系にみんな集中するのがいいんだというようなコンセプトでタンク型を選択したとか。あと、SGのトラブルでモジュール化をしたSGがいいとか、そういう運転経験で、そういういろいろなコンセプトというのが出てくるんだと思います。
 一方、私が今考えているのはループ型炉、ループ型炉というのは「もんじゅ」が多分非常に重要なのですが、ループ型炉というのは、今までメンテナンス性とかというふうに言われますけれども、原子炉容器とか液位確保の健全性とかを見る上では、やっぱり非常にメリットがあるのではないかなという気もしていまして、それで、先ほど照射を安定的に運転していなきゃいけないという話と、ちょっと相反する面もあるのですが、最後、いろいろ海外のトラブル事例でこう反映しましたというところもあるのですけれども、高速炉自体が運転経験、400炉・年というお話があったんですが、400炉・年の段階というのは、まだやっぱりいろいろな問題とか、あるいは設計の考え方がどんどん進化している段階なわけなんです。そういう意味では、「もんじゅ」の中で先ほどトラブルをという話があったのですが、そういったものをどうやって知見としてしっかり、あるいは新しい高速炉に対する設計の考え方として体系化していくかというのは非常に重要だと思っていまして、恐らくそれができる炉というのは、「もんじゅ」が非常に重要な役割であると思います。
 それで、計画と関連させて、先々どう考えるかというと、例えば高速炉の導入時期が2050年になるのか、もう少し遅れるのか、なかなか難しいところなんですが、そうすると、もしそういうミッションを非常に重要であると、例えばナトリウム系で実際にコア、炉心を持っていた炉の運転経験が重要という話であれば、例えばある段階で思い切っていろいろな改造をやっていくということもあろうかと思います。
 それで、今まで発電としての機能、それから照射としての機能というのがあったんですが、「もんじゅ」の資料の一番最後の方に海外のトラブルでの運転経験というところがあったんですが、ここのところをざっと見ますと、全て海外でのそういうトラブルに対して対応できていて、防止対策は講じられていると判断したというような書き方になっているんですけれども、実は本当はもっといろいろ学ぶところがあって、その起きた問題をもう少し発展させて、先ほど私、ロシアはどうしてモジュール型のSGという発想を持っていったのかとか、そういう発想も出てくるんだろうと思います。
 それで、そういった発電、照射というものに加えて、様々な現場でのデータを取っていって、そのデータベース化をきちんとしていくというシステムを是非構築していくべきだというふうに思います。

【山名主査】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

【笠原委員】 同じ意見で、冒頭に機械とか、ほかの分野の先生といろいろ話したと申し上げましたが、そこから考えると、やっぱりちょっと原子力の特殊性というか、ほんとうはプロトタイプですから、ここで本当にバグをいっぱい出しておいて、この後の安全性につなげるというのが普通の考え方なんですね。それをやはりやるべきではないかと。
 例えば安全対策も、従来は早く検知して、とにかく事故を起こさないということの対策だったと思うのですが、これから考え方が変わって、事故が起こったときに、どう早く収束させて、レジリアンスというか、復元力を持たせるとか、そういう考え方も入っているので、それもやっぱり試すのは原型炉であるとか、実験的なことができる設備ではないかというふうに思います。

【山名主査】 ありがとうございます。
 今、事故という言葉が出てきましたけれども、事故は起こしてはいけないので、プラントを動かしていくときに起こる様々な小さなイベントですか、インシデントというんですか、そういうものを動かしながら見つけていくということですね。それは重要なことだと思います。
 ほかにいかがでしょうか。村上委員、よろしいですか。

【村上委員】 資料の中でちょっと気になった一言がございます。各所に出てくる1995年12月8日のナトリウム漏えい「事故」。先ほど山名先生は事故は起こしてはならないとおっしゃいました。そうしますと、起こってはならない事故が既に「もんじゅ」で起きていることになります。当時ナトリウム漏えいが起きたときから、私は事故という言葉には抵抗を感じておりました。最初に事故という名前をつけたのは、JAEAの方だと思うのですが、日本の公式文書として表記は何とかなりませんか。

【西條核燃料サイクル室長】 もともとナトリウムの漏えい事故、平成7年に起こったときですが、先生おっしゃるとおり二次系のナトリウム事故、ナトリウムの漏れということで、放射性物質が外に出たわけではないという状況にあったのですけれども、その後、いわゆる通報漏れとか、それに対しての対応の不備が非常に大きな、事故を通り越して、ある意味事件的な形になってしまったというところがあって、そういった意味で、他の国の事象で起きていることと言ってしまえば、起きていたことと変わりのないところはあるんですけれども、それに対しての対応のまずさ、これは当時の動燃、それから国としてもどうかというところがあるとは思いますけれども、そういった意味から、やはり全体としてこれについては大きな、しかもそれを契機に、この14年半止まったというところもありまして、事象としてはおっしゃるとおりの事象だと思いますけれども、我々としては常にこれを事故という表現が良いのかどうかは別として、かなり重きを置いた事象として今まで位置付けているということです。これは政府にしろ、今の動燃にしろ、そういった位置付けとしてはちゃんと心に刻んでという言い方もおかしいのですが、しっかりと受けとめて対応しなきゃいけないという意味で重要なものだと。毎回もんじゅの説明するときには、これを御説明させていただいているのは、やはりそういった観点で、一つのトラブルではなく、大きな事故として一応捉えているという状況でございます。

【山名主査】  よろしいでしょうか。よろしいとおっしゃっていただけませんですが、今の御意見は、思いますに、私はもちろん事故であるという判断は、それはそれでいいと思うのですが、機械ですから、必ず不具合というのはありまして、それを常に機動力をもって対処し、それをどんどん次の技術に反映するという、早くフィードバックできる能力が要るわけですね。今回の二次系の漏えい事故は、その能力がないと社会が見たということですから、まあ事故と言われてもしようがない、こういうことかと思います。
 ただ、これから「もんじゅ」を時間を限定して、成果をまとめろという政府の命題に対して、その機動性を使っていかないと、多分成果は出ない、時間を食うだけになってしまう。だから、そういった確実に生じる現象を分析し、対処していくという機動力を持った行動をとりながら、しっかりとした意味のあるデータを取るということが強く求められるのだと思いますね。だから、そういうことを我々も主張していく必要があるかと思います。
 それでは、もう15分も超過してしまいました。ここら辺で打ちどめにしたいと思いますが、ただ、議論をまとめるつもりはございません。次回に、機構の方からは、じゃ、「もんじゅ」を使ったら一体何ができるのか、何がわかるのか、あるいはほかのプラントと比較していただいても結構です。何が取れるかということを少し詳しくお話しいただく。細かい技術的なことから大きなことまで包含するように是非、準備をしていただきたいと思います。それをお聞きした上で、また「もんじゅ」の意義というのを次回に議論するということにさせていただこうかなと思います。いかがでしょうか、そんなことで続けたいと思いますが、先生方、よろしいでしょうか。

(「結構です」の声あり)

【山名主査】 それでは、時間が超過して申し訳ございません。事務局の方から何かございますか。

【西條核燃料サイクル室長】 長時間どうもありがとうございました。本日いただいた御意見を踏まえ、必要に応じて事務局から連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、今回の会議の議事録案につきましても、出来次第、メールにて御相談させていただきます。
 また、次回日程につきましても、決定次第、後日御連絡させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【山名主査】 それでは、以上で第1回のもんじゅ研究計画作業部会を終了いたします。本日は誠にありがとうございました。

 

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局原子力課核燃料サイクル室

(研究開発局原子力課核燃料サイクル室)