これまでの審議における主な意見及び論点

1.研究計画策定の検討の前提について

  • 「もんじゅ」を、いかに有効に活用して、国民に成果を還元するかが問われている。国民目線で検討すべき。
  • 明確な達成目標を示さないと、国民は納得しない。「もんじゅ」を動かして、成果を多く輩出していくことが大切。
  • これまでの反省は反省として踏まえた上で、国民に新たな計画の魅力が伝わるような計画にすべきではないか。
  • 安全な原子炉の実現をしていくということも大切な視点。作業部会の中で、安全研究・安全対策についてもきちんと議論すべき。
  • とりまとめを目的化せず、原子力研究開発の大きな流れの中で、「もんじゅ」で何をどこまでやるべきか、を議論すべき。
  • 我が国から世界への貢献や次世代への継承も考えた計画にすべき。
  • 現時点において今回定めた研究計画の後に次を続けるかどうかを決めることはできない。今は、「もんじゅ」でできるだけ成果を上げるために何をすべきかを考えるべき。
  • これまで「もんじゅ」は、いずれ高速増殖炉を実用化するという目的で研究開発を行ってきた。原型炉という目標に対して、「もんじゅ」は何ができるかということを問われている。今後、高速増殖炉をどうするかを政府が判断するために必要なデータをそろえるということではないか。
  • 今まで、高速増殖炉開発では経済性が注目されていたが、東電福島事故を経験し、安全に対する見方が変わった今、ループ型のような分散型炉は、炉のマネージ性の観点で注目されていると思う。例えば、安全系が分散配置でき、かつ多様性・独立性の高い点や、コンポーネントのリプレイスのし易さ、メンテナンス時の被ばくを押さえる点において優位性があるのではないか。

2.高速増殖炉サイクルの意義について

  • 原点に帰ることが重要。核燃料サイクルは、将来の不透明さに備えるということ。将来のエネルギー確保にきちんと対応できるということを、実績として示すということが大切。プルトニウムという自前の燃料を生み出すことができるというのは、如何に画期的でメリットがあることかを示すことが大切。
  • 高速増殖炉プラントは、まずは発電を目指しているが、高速炉技術を持っていれば、軽水炉では終わり切れないものを背負っていけることになっている。そういう期待を高速炉は持っている。高速中性子しかできないこと。高速炉体系で技術を持つべき意義が問われている。
  • 使用済燃料を直接処分してごみにしようという考え方と、再処理を行い使用済燃料の有効利用を目指す核燃料サイクルという考え方がある。後者には、高速炉をもつことが大切であり、その観点において、「もんじゅ」で研究する意義が出てくる。「もんじゅ」から、このサイクル確立のために、必要な技術を獲得するために何をすべきかを考え、計画をつくらなければならない。
  • 脱原発に関係なく、高速増殖炉の技術は、プルトニウムや高レベル放射性廃棄物の減容等の観点から有用な技術ではないか。

3.高速増殖炉開発の成果のとりまとめの内容について

(発電機能について)

  • 「もんじゅ」は、今後も発電炉としていくのか。それとも巨大な材料試験炉となるのか。まずは、発電するかどうかを決める必要がある。
  • しっかりと運転して、技術成立性の確認を行うべき。発電がうまくいくかを確認していくことが重要。
  • 「常陽」で確認できなかったのは、発電。「もんじゅ」は、蒸気発生器をはじめとする、ナトリウム・水関連の設備が全体システムの中で調和するかを確認するという点で価値がある。フルパワーで発電し続ける必要はないが、発電機能の実証は、高速増殖炉プラントシステムとして成立し得るかどうかの重要な要素の一つ。

(コストについて)

  • 将来のコストを評価するために、「もんじゅ」はどう貢献できるのか明らかにすることも重要な視点。
  • コストは、オプションとして保持するか判断するために大切な観点。技術の成立性だけでなく、これらについても検討をすべき。
  • コストを決めるのは稼働率。軽水炉のように導入初期のように経験しないとわからないことを、経験するということが大切である。バグ出しや初期故障の経験は、非常に大切である。

(安全性について)

  • 安全性をどこまで確保できるかは、高速増殖炉をオプションとして考える際の切り札。これを念頭にした上で、開発成果をまとめるべき。
  • 自然循環の確認は大切。データをきちんととって検証すべき領域。
  • 「もんじゅ」を母体とした安全性強化の取組の可能性を、世界が求めるデータとは何かの観点を踏まえて検討すべき。
  • もんじゅを運転する際には、どういうリスクがあるのか、整理をした方がよいのではないか。実際に、シビアアクシデントが起きた時、収束させるためにどのような検討を行うのか。具体性を持って示した方がよいのではないか。

(トラブルについて)

  • トラブルであれば、トラブルで終わらせるというシステムの改善を継続的に行うことが大切。
  • トラブル等について第三者として検証できる仕組みが必要ではないか。どう対策をとっていくかについてきちんと検証していく仕組みが必要。
  • 「もんじゅ」は試運転や定格運転を通じて、バグ出しを行い、今後の安全性につなげていくことが大切。また、これらを知見として集積し、体系化することが重要。データベース化するシステムを構築してほしい。
  • トラブル等の知見の集約をする仕組みには、人材育成等、今後に活かすためにフィードバックする仕組みも重要。データベースを作ること自体を目的とするのではなく、技術に役立てるために作るもの。次にどう活かしていくのかを念頭に仕組みを構築すべき。
  • 絵に描いた餅とならないようにすることが大切。平時の安全確保のために、何をすべきか。
  • トラブル等の知見を反映する際は、表面的な対応をするのではなく、そのトラブルの根本を分析し、高速増殖炉として効果ある対策を検討することが重要。

(技術の重要度分類について)

  • 「もんじゅ」を動かせばループ型炉の成果が出てくることは当然ではあるが、前提は、高速増殖炉プラントのとりまとめ。ループ型炉特有ではない、Na取扱技術等も、高速増殖炉開発のとりまとめには大切な技術のはず。ループ型炉としての価値と、高速増殖炉のとりまとめとしての価値と2つの観点で検討すべき。
  • 原子炉の安全性は、コスト以上に大切な話。安全性の向上が強く求められている中で、トラブル対応から得られる知見の集積が重要度Bというのはいかがかと思う。非常に重要な観点であるので、再考すべき。
  • 将来の可能性として残っているものについて、原型炉としてしっかりデータを取ることを、海外ではなく「日本」でやるということの視点も必要。
  • 「もんじゅ」特有の機能を実証することは、確かに重要であるが、そもそも重要度の分類を付けるときに、まずは果たして今後必要とされる技術かということがないのではないか。今後、お呼びではない技術であれば、技術分類は変わる。
  • 原型炉を再び建設しなくてもよいように「もんじゅ」でここまで行うべきという観点も重要ではないか。

(その他)

  • 安全基準の策定は大切であるが、国民から信頼されることも大切。自主的にルールを設定することは大切であるが、そのルールを守る、監視するという体制をちゃんと組み、マネジメントができているというところを見せていかないと、国民として安心を感じることはできない。そういう観点も考えているということを示す必要がある。

4.放射性廃棄物低減・有害度低減について

(研究の全体像)

  • 核データ、材料データ等の基礎データ関係をそろえて、次の段階がある。全体像がきちんとわかる説明をしてほしい。
  • 燃料挙動をみるだけの試験計画になっている。有害度低減の有効性評価に本当につながるのか。照射試験もこの試験範囲で本当によいのか更なる検討が必要。
  • 高速炉用の再処理施設の必要性が、無視されている。「もんじゅ」だけでは廃棄物低減の研究は完結しない。全体像がないと「もんじゅ」の照射試験の位置づけがはっきりしない。
  • 「もんじゅ」だけではなく、「常陽」も重要な役割を果たすので、全体の研究計画で、「常陽」がどう貢献するか明確にすべき。

(照射試験について)

  • シミュレーションである程度わかる部分もあるが、実際に燃料を製造し、照射してはじめて、原子炉の中で何が起こるかわかるので、「もんじゅ」等を用いた照射試験を行う意義は大きい。
  • 照射試験は、産業利用の分野でも期待高い。非常に貴重な役割を果たすべきであるし、もしそういう役割を果たすのであれば、コンソーシアムを世界的に構築して活動していくのはどうか。

(その他)

  • マイナーアクチニド燃焼等による廃棄物の低減という観点のみならず、プルトニウムの燃焼の観点からも高速炉は重要。
  • 長寿命放射性核種の対策は魅力的な話である。こういう研究に、「もんじゅ」がどう貢献できるのかという話ができればよいのではないか。
  • 放射性廃棄物の減容は、研究成果が確認されるまで時間がかかるが、将来的には、世界共通の課題となることが想定されるため、我が国として大きな国際貢献ができる可能性がある。

5.高速増殖炉の安全強化に関する取組について

(研究の全体像)

  • 安全研究・シビアアクシデント研究は大切であるが、設計ベースで対応できることと、運転を通じてしか対応できないことがある。全体戦略をどうするのか。そこが整理できれば、「もんじゅ」を動かす意味も見えてくるのではないか。
  • 東電福島事故を踏まえると、従来の安全対策ではシビアアクシデント対策について不十分なところがあった。高速炉システムとして東電福島事故を踏まえた本質的安全論という研究と、「もんじゅ」を用いてこれらにどう貢献するかという研究が安全強化研究の軸ではないか。
  • 安全性向上に向けた取組は、「継続的」に行っていくことが大切。「継続的」ということが、どこかに見えないと行けないのではないか。PSAと実機への適用のPDCAを回して確認していくことが大切。
  • 「安全研究に「継続」的に取り組むことが大切」と言うのは簡単であるが、実際は大変。必要となる技術開発に継続的に取り組むことが重要。安全評価やその実証実験に携わる人材が、一定のレベルで維持されることが大切。これは、東電福島事故の教訓そのものではないか。

(シビアアクシデント対策について)

  • シビアアクシデント対策として今後、原子炉の安全をどう強化していくか。事象が起きにくいとはいえ、改善していく仕組みをいれて、継続的に改善していくことが重要。想定では到底起こりえないが、発生すると重大になるようなことは、きちんと対応していくことが大切。
  • PSA(確率論的安全評価)を行うとシビアアクシデントの発生確率は非常に低くなるが、低いからといって無視をするのではなく、この結果を安全強化に有効利用するかを考えていくべき。
  • ストレステストやPSAは、安全裕度や安全性の確認ではなく、クリフエッジやウィークリンクの確認のために行うものである。
  • 実験も大切であるが、評価コードを同時にきちんと揃えることも大切。
  • 長い時間スケールを踏まえた検討(炉心規模や設計の相違)が必要ではないか。

(アクシデントマネジメントについて)

  • 東電事故を踏まえると、今後は事故が起こったときに、どう収束させるのかというアクシデントマネジメントが大切になっていく。安全研究は、シミュレーションだけでなく、実際にやってみる必要がある。「もんじゅ」で実際に事故時を想定したアクシデントマネジメントのシミュレーションを行う等の視点での利用も大切。
  • シビアアクシデントマネジメントは、人が介在する。命令系統等のマネジメントの観点で、どう評価するのか。人のマネジメンや情報伝達等の観点を、シビアアクシデントを議論するときには含めるべき。
  • ストレステストは、アクシデントマネジメントに対して様々な知見が得られる。アクシデントマネジメントを現場でどう反映をするのか、組織全体にどう反映するのかは、「もんじゅ」という実機がなければできない話。ストレステストをして、「もんじゅ」の特性を現場の人が把握するということも重要。

(その他)

  • ロバスト性と信頼性を有し、事故発生後も計測可能な計装系の開発も重要。

6.今後の検討事項について

(国際協力について)

  • 形式的な協力だけではなく、中身のある協力にしていくことが重要。
  • 国際協力を行うことに異論はないが、取組の優先度は戦略的に考えるべき。
  • 日本で獲得した知見を、どのようにデータとして取りまとめ、何を海外に提供・販売し、何を日本として囲い込んで有効活用するのか、整理が必要ではないか。

(成果の取りまとめの方法について)

  • 「knowledge management」が鍵。日本では知見を取りまとめるということがうまくいってない。どのような観点からデータをまとめて知見を整備するのかを検討することが重要。

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研究開発局原子力課核燃料サイクル室

(研究開発局原子力課核燃料サイクル室)