令和7年7月25日(金曜日) 10時30分~12時00分
オンライン会議にて開催
主査 木村 真一
臨時委員 笠原 次郎
専門委員 柿沼 志津子
専門委員 豊嶋 守生
専門委員 中西 美和
専門委員 花本 健二
大臣官房審議官(研究開発局担当) 古田 裕志
研究開発局宇宙開発利用課 課長 梅原 弘史
研究開発局研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当) 迫田 健吉
研究開発局宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 上田 尚之
研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 西 隆平
研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一
研究開発局研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当)付 課長補佐 川端 正憲
研究開発局研究開発戦略官(宇宙利用・国際宇宙探査担当)付 室長補佐 佐孝 大地
(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
有人システム安全・ミッション保証室 室長 中村 裕広
新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 伊藤 徳政
有人システム安全・ミッション保証室 技術領主幹 佐藤 崇行
有人システム安全・ミッション保証室 主任研究開発員 鈴木 禎嗣
有人システム安全・ミッション保証室 主任研究開発員 野上 真奈美
有人システム安全・ミッション保証室 研究開発員 田丸 晴香
新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム サブマネージャ 油谷 崇志
新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム ファンクションマネージャ 原田 基之
新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム ファンクションマネージャ 若月 孝夫
新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム 主任研究開発員 山田 真太郎
新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム 研究開発員 深川 竜太郎
経営企画部企画課 主任 嶋田 修平
【上田企画官(事務局)】
定刻になりましたので、ただ今から宇宙開発利用部会調査・安全小委員会の第55回会合を開催したいと思います。
本日も、オンラインでの開催となっております。委員の皆さまには、ご多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日は、第13回の宇宙開発利用部会において、調査・安全小委員会が設置されてから最初の会合となりますので、この後、主査に進行をお渡しするまではこちら事務局のほうで議事進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
また、申し遅れましたが、私、7月22日付で宇宙開発利用課の企画官に着任いたしました上田と申します。
私、2022年の7月から24年の7月まで宇宙開発利用課に在籍しておりまして、1年ぶりにまた宇宙開発利用課で仕事をさせていただくことになっております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日、所用によりまして出席できておりませんが、7月15日付で研究開発局長に坂本が着任しておりますので、この点お知らせさせていただきます。
議事に先立ちまして、まず、本日ご出席いただいております委員の先生方、皆さまのお名前を名簿の順でご紹介させていただければというふうに思います。
まず、東海国立大学機構名古屋大学未来材料・システム研究所教授、笠原次郎委員でございます。
【笠原委員】
名古屋大の笠原です。大変お世話になりますが、ぜひよろしくお願いいたします。
【上田企画官(事務局)】
続きまして、東京理科大学創域理工学部教授の木村真一委員でございます。
【木村委員】
木村でございます。よろしくお願いいたします。
【上田企画官(事務局)】
続きまして、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究所放射線影響予防研究部客員研究員の柿沼志津子委員でございます。
【柿沼委員】
量研の柿沼でございます。よろしくお願いいたします。
【上田企画官(事務局)】
続きまして、国立研究開発法人情報通信研究機構ネットワーク研究所ワイヤレスネットワーク研究センター長の豊嶋守生委員でございます。
【豊嶋委員】
豊嶋でございます。よろしくお願いいたします。
【上田企画官(事務局)】
続きまして、慶応義塾大学理工学部教授の中西美和委員でございます。
【中西委員】
慶應の中西です。よろしくお願いいたします。
【上田企画官(事務局)】
続きまして、東海旅客鉄道株式会社執行役員・安全対策部長の花本健二委員でございます。
【花本委員】
JR東海の花本と申します。本日はよろしくお願いいたします。
【上田企画官(事務局)】
なお、本日、ご都合により欠席されておりますが、熊崎委員、神武委員に調査・安全小委員会の構成員としてご所属いただいておりますので、併せてご紹介申し上げます。
続きまして、事務連絡として2点申し上げます。
まず、本日の会議の成立についてです。本日は、調査・安全小委員会にご所属いただいております8名の委員のうち、6名にご出席いただいており、宇宙開発利用部会運営規則に定める定足数の要件を満たしていることから、会議が成立していることをご報告申し上げます。
次に、資料につきましては、議事次第の記載の通りでございますので、ご確認いただければと思います。その他、オンラインの状況について、音声がつながらないなどの問題がございましたら、事務局へメール、電話などでご連絡いただければと思います。
事務連絡は以上となります。
続きまして、第13期最初の調査・安全小委員会の開催に当たりまして、事務局を代表いたしまして大臣官房審議官の古田より一言ごあいさつ申し上げます。よろしくお願いします。
【古田審議官】
大臣官房審議官の古田でございます。声は入っておりますでしょうか。
皆さまには大変ご多用の中、宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会の委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。
本日は、第13期の新体制で行う最初の会合になりますので、事務局を代表しまして一言ごあいさつを申し上げます。
文科省は科学技術を担当する官庁として、また我が国の宇宙開発利用の中核的機関であるJAXAの主務省として宇宙開発利用の推進に積極的に取り組んでまいりました。
文部科学省におけます宇宙開発利用には、基幹ロケットの人工衛星などの打ち上げや国際宇宙ステーションを利用する活動などが含まれており、これらについては人命や財産に関わる重大な事故に至ることのないよう十分に安全確保して推進する必要がございます。
また、ひとたび事故や重大な不具合が発生した場合には、その原因究明と対策検討には、航空宇宙分野だけではなく、本日お集まりの皆さまのようなさまざまな分野での高い見識と専門性を持った視点が求められることになります。
本小委員会は、こうした要請に応えるべく設置されております。委員の皆さま方におかれては、それぞれのご専門のミッションとして貴重なご指摘、ご意見を賜れれば幸いに存じます。
本日の議題となっております新型宇宙ステーション補給機HTV-Xは、ISSへの物資輸送を担う日本の新たな補給機として、またその先の宇宙利用に向けての発展を見据えた次世代の宇宙船としての期待も大きく、安全性の評価は今後の運用と発展に対して非常に重要な要件となります。皆さまには、JAXAの実施した安全検証結果について十分にご検討いただき、忌憚(きたん)のないご意見を賜りたいと思います。
簡単ではございますが、以上でごあいさつに代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【上田企画官(事務局)】
ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。
1つ目の議題は、調査・安全小委員会の設置についてです。お手元資料の55-1-1、こちらご覧ください。画面のほうにも投影させていただいております。
第13期の調査・安全小委員会は、5月30日に開催されました第96回宇宙開発利用部会において設置が決定されております。
調査検討事項につきましては、2ポツの(1)重大な事故・不具合等の原因、技術課題およびその対応策の調査と、(2)安全対策の評価、この2つとなっております。
そのうち、(2)の安全に関する事項の調査検討については、3ポツの(2)にある通り、宇宙開発利用部会が定めた評価のための2つの基本指針に従って進めていただくことになっております。
本日、議題の2にございますHTV-X1に係る安全対策については、そのうちの1つであります参考資料の1としてございますが、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)など物資補給機の運用に係る安全対策の評価のための基本指針に従った評価がなされているか、こちらのご検討をよろしくお願いいたします。
続きまして、資料55-1-2、こちらをご覧ください。
画面にも映りましたが、こちらが本小委員会の構成員の名簿ということになってございます。主査につきましては、宇宙開発利用部会運営規則第2条第56項に従いまして、宇宙開発利用部会の山崎部会長から木村委員をご指名いただいており、木村委員からは主査につきましてご快諾いただいておるという状況でございます。
また、同規則第2条第9項に従って、木村主査から主査代理に神武委員をご指名いただいておりまして、神武委員からもご快諾いただいておりますことをご報告申し上げさせていただきます。
ここまででご意見、ご質問ございましたらよろしくお願いいたします。
特に、ご質問等よろしいようでございましたら、それでは、これ以降の議事進行を木村主査のほうにお渡しさせていただきたいと思います。木村主査、どうぞよろしくお願いいたします。
【木村主査】
ありがとうございます。主査のほう拝命いたしました木村でございます。改めましてよろしくお願いいたします。
第12期から引き続きで担当させていただきます。皆さまにご協力いただきながら何とか務めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、ではまず、2番目の議題、こちらのほうに入っていきたいと思います。
議題ですけれども、先ほどお話がありました新型宇宙ステーション補給機初号機HTV-X1に関わる安全対策についてですね。実は第12期の最後の会合の時に「DELIGHT」という展開実験の審査をわれわれのほうで担当したのですけれども、その「DELIGHT」が搭載されて打ち上がる母機のほうになります。まず、説明に入る前に少し論点を整理したいので、若干お時間をいただいてお話をさせていただきたいと思います。
まず、本件、宇宙ステーション補給機の初号機について、安全の審査が確実に行われているかどうかというところを、後で御説明がありますが、特にステーションに係留しているフェーズについて行うという任務になります。係留フェーズにフォーカスしてわれわれ議論する必要があるということをまず確認させていただきます。
係留フェーズというのは、ステーションに新型「こうのとり」がドッキングした状態ですので、打ち上げであるとか再突入であるとか、そこの部分はわれわれのところで議論としては含まないということをまず確認した上で、ドッキングしている状態では国際宇宙ステーションとの間の結合状態にありますので、その相互作用が発生する、あるいはそこにクルーが物資を取りに入るということで、人とのインターフェースが発生するという、そういったところが特徴的なところです。今回、ご説明の中でそのあたりを中心に議論をしていくということになると思います。
もう一点、この話自体が非常に大きな内容になりますので、今回に加えてもう一回、今回ご説明をいただいた内容を踏まえてJAXAのほうと議論をしながら、もう一回会議を開いて、そこのところで判断していくというようなプロセスを取らせていただきたいと思っております。この2点、最初に申し述べた上で、早速基本情報のほうに入っていきたいと思います。
まず、新型宇宙ステーション補給機の全般的な概要。それから、初号機HTV-X1の固有の事象について、JAXAから説明をお願いできますでしょうか。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
本日、よろしくお願いいたします。私、新型宇宙ステーション補給機HTV-Xのプロジェクトチームのプロジェクトマネージャをやっております伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、新型宇宙ステーション補給機HTV-Xの概要について、共有されている資料を基にご説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。
本日、私がご説明いたします資料の目次が映されておりますけども、まずはHTV-Xの概要、ミッションの概要、それから機体の特徴。2つ目が、HTV-Xの運用の概要、初期投入、ロケットから投入された後、最終的に再突入するまでについて簡単にご説明させていただきたいと思います。
次のページをお願いいたします。
HTV-Xの概要でございますけども、まずは物資補給という面で、これはHTV-Xは2009年から2020年において全部で9機の物資補給を成功させた「こうのとり」HTVの技術を生かして輸送能力、運用性を向上させた新しい宇宙機となっております。
具体的には、棒グラフがありますけども、輸送能力につきましては、HTV「こうのとり」は全部で4トンだったのに比べまして、HTV-Xは約1.5倍の約6トンを輸送することが可能となっています。また、容積ですけども、約30~40%ほど大きな荷物が全体的に積めることになっております。
また、将来の宇宙技術、宇宙システムへの波及、発展性を確保するということで、ISSに物資を補給した後、その機会を活用して実証実験を行う。それから、将来のミッションに活用可能なシステムを獲得する。その中には、月周回有人拠点(Gateway)への物資補給等も将来できるような検討を今進めておるというところです。
具体的にどういう輸送機かといいますと、この図で一番右側がHTV「こうのとり」でございますが、まず、「こうのとり」の一番上部にありました与圧部、これにつきましては、HTV-Xでは流用いたしまして、その技術を継承しております。また、「こうのとり」の一番下にありました電気モジュール、推進モジュール、いわゆる衛星のバス系に当たるところにおきましては、一部改修、新規のものに更新いたしまして、サービスモジュールというHTV-Xの真ん中にありますサービスモジュールというところに機能を集約しております。与圧モジュールとサービスモジュールはそれぞれ独立して機能できるような、そういう2つのモジュール構成にしております。
また、HTV「こうのとり」では非与圧部というところで、限られた空間に開口部を設けて、ここに曝露カーゴ、宇宙ステーションの外部に搭載する実験機器等を搭載していたところにつきましては、HTV-Xでは一番上の曝露カーゴ搭載部というところで船外の実験装置を搭載するというような設計にしております。これがHTV-Xの機体の特徴でございます。
次のページをお願いします。
HTV-Xのもう一つの特徴でございますが、技術実証ミッションのプラットフォームとして活用するということが特徴でございます。今示されている図ですが、運用フェーズをAからEまで示しておりますけども、まず、初期軌道投入フェーズ。ロケットから分離されまして、B・ランデブーフェーズ、C・近傍運用フェーズを経ましてISSに結合されます。その後、離脱した後に最終的にはHTV「こうのとり」と同様に再突入を行うのですけども、その途中のDの技術実証ミッションフェーズというところで離脱後から再突入までの期間において、軌道上での実験等を行うプラットフォームとして活用することが可能です。「こうのとり」では大体離脱して3日ぐらいで再突入して大気の上空で燃え尽きえるのですけども、HTV-Xの場合は大気の条件が良ければ1.5年、軌道上のプラットフォームとして活用することが可能ということで、輸送および実験のプラットフォーム、2つの役割を持っておりまして、私は個人的に二刀流というふうに申しておりますけども、新しいHTV-Xの活用の方法ということになっております。
実際、1号機ではどのようなものをミッションとして載せるかということをこの図に書いておりますけども、1つ目は、超小型衛星を放出いたします。具体的には、日本大学の学生さんが造られました「てんこう2」という超小型衛星を放出いたします。それから、2つ目が「Mt. FUJI」といいまして、リフレクターですが、地上からレーザーを照射いたしまして、反射するレーザーを受信。それによって軌道上の姿勢、それから位置を推定することができる。これは将来デブリのモニターに活用されることを想定して実験をするものでございます。
それから、以前こちらで審査されました「DELIGHT」。展開型の軽量平面アンテナの軌道上の実証をするものでございますが、大体畳4枚分ぐらいのアンテナを軌道上で展開するということを計画しております。
次のページをお願いいたします。
こちら、HTV-Xの機体の特徴をそれぞれ地上システムから機体本体、それからロケットまで含めた特徴を示しております。赤字が特にHTV-Xで追加になったところでありますが、例えば与圧モジュールにつきましては、全体的にはHTVのものを活用しておりますけども、例えば電力を供給するとか、そういう追加の機能が加わっております。資料はご参考いただければと、後ほどお読み取りいただければと思います。
次のページをお願いいたします。
運用の概要ですけども、このような形でロケットから投入された後、ランデブーフェーズ、近傍運用フェーズを経ましてISSに係留いたします。なお、先ほど事務局および主査の木村先生からご説明がありましたけども、今回の安全対策の評価につきましての範囲はこの係留のところでございます。
次のページをお願いいたします。
この図は、係留が終わりまして、離脱した後、再突入するまでのフェーズを示しておりますけども、先ほどから申しました通り、途中、技術実証ミッションフェーズ、軌道上の実証ミッションフェーズを経まして再突入するというところでございます。
次のページをお願いいたします。
初期の軌道投入フェーズですけども、ロケットはH3ロケット、軌道傾斜角はISSの51.6度、軌道高度は200~300キロメートルの楕円軌道に投入をいたしまして、大体打ち上げ後、最終的には15分後にロケットから分離されてHTV-Xは投入されます。
次のページをお願いいたします。
ランデブーフェーズですけども、ISSとの相対位置を近づけまして、高度を調整いたしまして、ISSに近づきます。最終的にはISSの下10メートルまで近づくことになっております。
次のページをお願いいたします。
この図は、宇宙ステーションから地球を背景にしてHTV-Xを見たCGでございますけども、HTVと同様HTV-XはISSに滞在しております宇宙飛行士がロボットアームを用いてHTV-Xをつかみまして、ISSに係留させるというところを示した図でございます。
次のページをお願いいたします。
HTV-Xは基本的にはISSのNode2のポートに結合をされる予定としております。今説明いたしました投入フェーズから結合するまで、一連の運用はほぼHTV「こうのとり」で習得いたしました運用をHTV-Xでも踏襲するということを計画しておりまして、安全な運用をHTV-Xでも行う予定としております。
次のページをお願いいたします。
こちらは係留後、ハッチを開けて宇宙飛行士が中に入って、ラックに入ったカーゴを取り出すというような運用を示しております。この辺もHTVと同様な運用としております。
次のページをお願いいたします。
これもカーゴの取り出した様子の写真を示しておりますけども、HTV-Xの1号機の与圧カーゴについては、今このようなものを想定しております。JAXA品といたしまして、CO2の除去システムの軌道上の実験装置・DRCS。それから、生鮮食品。それから、NASAのカーゴといたしまして、空気のタンク、それから水のタンク、それから宇宙食等を予定しております。4トン以上の与圧カーゴを今計画しております。1号機では4トン以上のカーゴを運ぶ予定としております。
次のページをお願いいたします。
HTV-Xでは、1号機では曝露カーゴ搭載部に搭載いたしましたi-SEEPというJAXAで開発いたしましたJEMに搭載する実験のプラットフォームの新しいものをISSに運ぶ予定としています。この図はロボットアームでi-SEEPを取り出す様子を示しております。
次のページをお願いいたします。
以降は離脱以降の運用ですけども、まず一度ISSから離脱いたしまして、ISSの上空、上の位置に行きまして離脱を行います。
次のページをお願いします。
こちらは1号機での技術実証フェーズでの運用を示しておりますけども、まず離脱後、大体100キロメートルほど高度を上げまして、超小型衛星放出を行います。高度を上げることによって、超小型衛星の軌道上の運用がより長くなるという特徴を示します。
その次に、レーザーリフレクター「Mt. FUJI」の実験を3週間、それからアンテナ、「DELIGHT」の展開、それから、太陽電池セル等の実験を約2カ月間。合計約3カ月間、1号機につきましては3カ月間軌道上の実験を行いまして、最終的に再突入をするということでございます。
次のページをお願いいたします。
再突入フェーズにつきましても、最終的に太平洋上空で再突入を行います。これも「こうのとり」HTVで習得した技術、運用、経験を踏まえまして、確実な運用をすることとしております。
以上、HTV-Xについて特徴および運用の概要をご説明いたしました。
【木村主査】
ありがとうございます。大変丁寧にご説明いただきましてありがとうございます。
また、HTVで培われた技術を適切に発展させて、確実な運用を目指されている点が、非常に印象に残りました。
ご質問等ございましたらいかがでしょうか。まず、全体像についての技術的なご説明をいただきました。
ちょっと、口火の意味で、私、少し確認させていただきたいところがございまして、ステーションに結合する時には、いわゆるキャプチャ・バーシングによってロボットアームでキャプチャーされてドッキングされるということですよね。この方法自体はHTVで培われた技術を活用されるということだと思うのですけれども、HTV-Xの場合、差分としては太陽電池パドルを広げるという運用になっています。その点の差分というのは、何かキャプチャーフェーズにおいて変わったところといいますか、拡張されたところとかはありますでしょうか。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
まず、太陽電池パドルにつきましては、HTVと違いまして、新しく展開型の太陽電池パドルを採用しています。その理由は、HTVではなかったカーゴへの給電機能等を付加いたしましたので、HTV-Xではより発生電力が必要ということで、約1.5倍の発生電力が可能となるように、太陽電池パドルを展開型を採用いたしました。それが1つ大きな特徴でございます。
それで、ご質問にありましたキャプチャーにつきましては、特にHTVのものを踏襲しておりますけども、1つこの太陽電池パドルがあることによってキャプチャーを阻害しないか、それから安全に何か懸念はないかとかにつきましては、キャプチャーを実際行う、運用を行いますNASAも含めまして、安全に対して太陽電池パドルが特に大きな影響を与えないということを確実に評価しておりまして、この太陽電池パドルの搭載につきましては特に問題ないというふうに評価を受けております。
【木村主査】
ありがとうございます。
そこはメカニカルな干渉もさることながら、キャプチャーした時の特性として若干変わるところもあるかと思うので、その辺は検証されているということですね。了解いたしました。
あと、もう一点、カーゴの取り出しのところ。これもやはりHTVで培われてきたヘリテージを活用されて、同様の仕組みかと思うのですけれども、容量としては拡充されたのではないかと思うのですけど、どのぐらいカーゴの内容、暴露カーゴではなくて与圧のほうの、カーゴ類移送って書いてあるところが対応すると思いますけれども、容量的にどのぐらい増強されたのでしょうか。容積とか質量といった意味で。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
まず、与圧モジュール全体の構造につきましては、HTVと同じものを使っております。なので、中身の空間自体は変わらないのですけども、ただ、新しいラックを採用しておりまして、そこにより効率的にカーゴを積めるようにしておりますので、最大4.07トンぐらいになりまして、これはHTVに比べたら約10%程度はより効率的に荷物が積まれるようになったというふうに機能が向上しております。
【木村主査】
分かりました。ありがとうございます。
関連してなんですけど、ここは与圧区なので、人が入れるよう空気が導入されているかと思うのですけれども、これはステーション側と一体的に運用されているというか、インターフェース的にはステーションの空気が導入されるような形で考えられているということでよろしいでしょうか。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
そうですね。まずは打ち上げの時に、打ち上げの状態で空気を入れておきまして、それで、宇宙ステーションに結合された後、ハッチを開けた後は宇宙ステーションの空気と混じりますけども、HTV-Xの中の与圧モジュールの中にもファンがありまして、それで循環させて、ステーション側の空気と混じると。そういう運用を想定しております。
【木村主査】
分かりました。
いわゆるECLSSについてはステーション側のものを活用して、それをファンで循環させる。その空気自体の導入についてはここのところでドレーン等で入れる形ですかね。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
はい、そうですね。
【木村主査】
分かりました。そのあたり、多分今日の議論の中で人が関係する部分ということで、係留フェーズ特有の部分かと思いましたので、ちょっと質問させていただきました。ありがとうございました。
他、ご質問等ございますでしょうか。
笠原委員、お願いできますでしょうか。
【笠原委員】
ご説明、本当にどうもありがとうございます。
1点、すごく基本的な質問で大変恐縮なのですが、15ページ、離脱のフェーズのご説明がありましたが、ここでクルーコマンドによりHTV-Xを制御開始とございまして、この場合はつまりステーションのほうから直接HTV-Xに対して通信を行って、軌道というか制御を行うと、そういう理解でよろしいでしょうか。係留する時は完全にHTV-Xを止めて、ISSのほうから停止したものをつかむ印象があったのですが、ここを非常にリスクを伴うとこかなと思いまして質問させていただきました。以上でございます。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
ご質問の通り、ご認識の通り、そのような形で運用する予定でおります。HTVで踏襲された運用を確実にHTV-Xでもそのような運用を踏襲するということでございます。
【笠原委員】
ありがとうございます。これは、これまでのHTVと同じような方法だということも理解いたしました。ありがとうございます。
【木村主査】
よろしいでしょうか。他、中西委員、お願いしてよろしいですか。
【中西委員】
慶應大学の中西です。ちょっと教えていただきたいこと、幾つか質問したいんですけども、先ほどの質問で、私の理解を補完したいんですが、先ほどの係留のカーゴ類の移送をクルーが行うという箇所なのですけども、HTVの時に行われていた作業をそのまま継承して行われるという理解で合っていますか。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
はい、その通りでございます。
【中西委員】
先ほどの話ですと、カーゴの積み込みの効率が良くなったっていうことで、たくさん積み込めるっていうふうな理解をしたのですけども、そうすると、以前のやり方よりも各クルーの作業量はそのまま増えるっていうふうな、そういう理解でよろしいでしょうか。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
先ほど、カーゴ自体が約1割ぐらい増えるっていうことで、取りあえず荷物は当然増えることになるのですけども、あらかじめ私たちの日本人のJAXAの宇宙飛行士に協力してもらって、カーゴの積み下ろしのような作業を模擬していただいて、より効率的に積み下ろしができるような、そういうシミュレーションをしております。それで、全体的にカーゴ量が増えたとしても、軌道上の宇宙飛行士に負担をかけないような、そういうような工夫を最初の運用模擬シミュレーション等で行いまして、効率的な運用を図れるような工夫をしております。
【中西委員】
分かりました。
もう一つだけ簡単な質問なのですけど、これは何人の方が作業されるのですか。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
このカーゴの取り出し作業ですか。
【中西委員】
はい。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
軌道上にいらっしゃる宇宙飛行士の方々だと思います。具体的に何名かっていうのは、ちょっと今すぐ答えられないですけども。
【中西委員】
分かりました。以上です。
【木村主査】
ありがとうございます。
積載量は上がったのに作業自体は効率化されるっていうので、負担が軽減できるというのはすごいいいなと思って、そこも大変良いところを質問いただいたかなと思います。ありがとうございます。
他はいかがでしょうか。
【木村主査】
ありがとうございます。
他、もしないようでしたら、説明のほうを、いよいよ評価のための基本指針に基づいて安全審査の、係留フェーズでの安全性について確認したいというふうに考えます。今、アウトラインを説明いただいたのを基に、そちらのほうの説明に入っていただけますでしょうか。
【上田企画官(事務局)】
すいません。事務局ですけれども。
木村主査、すいません。NICTの豊嶋委員から手が挙がっているようですが。
【木村主査】
ごめんなさい、見落としていました。
豊嶋委員、お願いしてよろしいですか。ごめんなさい。
【豊嶋委員】
豊嶋です。音声、大丈夫でしょうか。
【木村主査】
はい、聞こえております。お願いします。
【豊嶋委員】
基本的な質問で恐縮なのですが、ISSもマヌーバされて軌道制御されると思うのですが、かなり大きなものが結合されてますので、結合の問題といいますか、そういうことが解決されているかどうかを確認したいので教えてください。もし既に解決されていればそれで良いのですが、結合部につきましては、柔軟性もあると思うので、宇宙飛行士が入ったり出たりされると思うので、運用中に外れないような気密性が保たれているかとか制御精度になっているか確認したい。また、HTV側では先ほどお話があった太陽電池が展開されているということですので、柔軟構造物になると思うのですが、ISSのマヌーバ等で太陽電池の展開時の保持強度を有していて問題ないとか、その辺を確認したいので教えていただきたくお願いいたします。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
まず、係留に際しては、この与圧部、与圧モジュールはHTVと同じものを使っております。結合部、それからハッチ、同じものを使っておりますので、結合するISSの場所も同じですので、そういう意味ではHTVで培った経験技術をそのまま踏襲するものでございますので、安全上、運用上、大きな問題はないというふうに考えております。それが1点。
あと、もう一つ、太陽電池パドルについてご質問いただきましたが、ISSの姿勢変更等で、あるいは定常的に振動が発生いたしますので、それに対する強度上の問題がないかどうかというのはしっかりと解析、検証しておりまして、NASAにも評価をいただいておりまして、問題ないことを確認しております。そういう意味では、係留中にこの太陽電池パドルの強度が問題ないことは評価済みというふうにしております。
あと、1つ、HTVと1つ違うところは、展開物でありますので、この図で言いますと、一番手前のところにドッキングポートがありまして、他の、例えばSpaceXのドラゴンとか、そういうものが同時に係留することがありますので、もし何か異常があった時にスラスタが噴射してしまうということについて、このHTV-Xの太陽電池パドルが強度的に問題ないかどうかということは、NASAもわれわれも懸念をしておりまして、それにつきましてはこの太陽電池パドルが問題ないことを確認しております。実は1つ、補強をいたしまして、より確実に安全であることも確認しております。
そういう意味では、太陽電池パドルになったことによって何か安全が脅かされるってことはないというふうに確信しております。以上です。
【豊嶋委員】
ご丁寧な説明ありがとうございました。
先ほどのお話ですと、SpaceXとか他のものが近づいたら避ける動作をするためにスラスタを噴射するとか、そういうイメージで合ってますか。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
他の、例えばドラゴンとかが来て、正常の時はいいんですけども、何か異常があってより大きなスラスタを噴いてISSから急に離脱する、アボートをするというような時に、もしかしたらスラスタが太陽電池パドルに当たることによって何か影響があるんじゃないかという懸念がありましたので、それにつきましては、スラスタを噴いたといたしましても太陽電池パドルが強度的に問題ないことは確認したというところでございます。
【豊嶋委員】
分かりました。スラスタが噴いた時の圧力でということですね。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
そうですね。
【豊嶋委員】
丁寧に説明いただきまして、しっかりチェックされて安全性確保されているということが分かりました。ありがとうございました。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
本当に緊急時、オフノミナルの場合であるのですけども、そういう時も考慮いたしまして安全性を確保されているということをご紹介いたしました。
【豊嶋委員】
ありがとうございました。
【木村主査】
ありがとうございます。まさに係留フェーズにおいて特有というか、重要な安全性についての指摘というか質問だったと思います。非常に重要な質問をありがとうございます。
また、それがきちんと検討されているというところも非常に重要かなと思いました。ありがとうございます。
さて、他はよろしいでしょうか。ご質問等なければ。良いですかね。
それでは、いよいよ安全の評価の基本指針に基づいてHTV-X1の係留フェーズへの安全性について確認していきたいと思います。
では、JAXAから資料の説明、お願いできますでしょうか。
【中村室長(JAXA)】
それでは、有人システム安全・ミッション保証室の中村からご説明いたします。設定の都合上、映像なしで失礼いたします。
まず1ページ目ですけれども、概要、目的、適用方針、審査体制、HTV-Xに対する安全性確認の概要、審査結果。根拠となりましたわれわれのハザードレポートというもので管理しておりますけども、ハザードレポートの概要および特記事項を2点ご説明します。
3項目、基本指針に対する適合性の確認結果。
4項目、今後フォローしていく対象として、運用の制御ですとかハードウェアの追加の検証のフォローの仕方等をご説明して、最後結論と申し上げます。
次、お願いします。
概要・目的ですけれども、JAXAは国際宇宙ステーション協力の枠組みに則して、HTV初号機のISSの係留フェーズの安全性について確認、審査を行ってございます。
JAXA内での主な審査結果は以下の通りです。JAXAとNASAで共同の有人安全審査会というものを2022年から2025年にかけ、3年かけまして行ってございます。結論としましては、JAXAとしてHTV-X初号機安全性を確認しております。また、ISS全体の安全認証の責任を有するNASAにつきましては、初号機の安全を同様の観点で確認をしてございます。
それをもちまして、今年の6月にJAXA安全審査会というものに付議しまして、審査会の結果、審議結果を了承しております。JAXA内の結論としましては、JAXAはHTV初号機のISSの係留に関し、所定のプロセスに則してJAXAでの安全審査およびNASA安全審査を終了し、その結果を所定の安全対策が指針に合致しているということを確認しております。
従って、今回の目的ですけれども、JAXAによる安全審査の妥当性について評価をお願いするといったことになります。
次、お願いいたします。
適用指針はここに書いてある通りです。
審議の範囲ですけれども、先ほど主査からご説明あった通り、対象は係留フェーズのみとしております。なお、技術実証ミッション、ISSの補給物資につきましては、今回の審査対象外となってございます。
今回の経緯ですけれども、HTV-Xに関する安全基本指針の改定および審議範囲につきましては、2019年の宇宙開発利用部会におきまして基本指針の改定が審議されまして、指針が制定されております。後続のHTV-Xを含めるため、HTV「等」を付けまして、HTV-Xも同じ基本指針で評価を行えるということにさせていただいております。宇宙活動法の施行に伴いまして、調査・安全小委員会の審査範囲を係留フェーズということに決まってございます。
次、お願いいたします。
先ほどお示しした図ですけれども、JAXA内の有人安全審査会の範囲としましては、打ち上げから近傍域まで、この赤線の下の部分のところは範囲となっております。ここはJAXAの所掌としまして、ISSに係留するまでにHTV-Xの機体としての安全性が確認されていることを確認しないといけませんので、このフェーズを対象としております。しかしながら、今回の小委員会につきましては、係留以前は活動法の一部、小委員会では係留フェーズということで、ここで範囲を明確に区切らせていただいているということでございます。
次、お願いします。
安全審査の体制です。NASAとJAXA側の関係ですけれども、まず、HTV-Xを造っていただいている契約のメーカーの方々と協力しまして、安全解析を行います。その安全解析の結果、プロジェクトがまとめまして、有人安全審査会のほうで審議にかけます。その事務局がわれわれの有人システム安全・ミッション保証室ということになります。その結果を、先ほど申しましたような安全審査委員会、議長は副理事長になりますけれども、そこに付議して了承を得ております。その結果を今回、この小委員会にお持ちしたという流れでございます。
次、お願いします。
安全性の確認の結果、審査の概要です。
安全性の確認の概要としまして、(1)HTV-Xによって起こり得るハザードをFTA、故障の木解析という手法がございまして、対象はクルーの喪失、ISSの喪失等になります。それをトップの事象としまして、要因分析を行いまして、ハザードというものが識別されます。そのハザードをここのハザードに対しまして原因の抽出、制御方法など設定を行い、それぞれの制御方法に対して検証を行うといった手法を取ってございます。それぞれの結果の内容の妥当性をJAXAとNASAの共同の安全審査会により確認したということでございます。
上記で識別しましたハザードに対しまして、基本指針の確保、各項目の対応を今回整理してございます。ここ、付表の1というもので整理しております。
HTV-X初号機に対しまして、基本指針に対する設計・検証結果を網羅的に確認し、基本指針に合致していると確認して最終的な安全性が担保されているといったことを確認したということでございます。
JAXA内の審査結果ですけれども、今回、ハザードレポート18件がハザードと識別されております。審査会の結果、全ての部署とも文書修正等も含めアクションアイテムは全件完了してございます。一部、まだ射場に行かないと検証ができないような項目については、22件ほど設定しておりますが、今後フォローしていく予定でございます。
次、お願いします。
ここから18項目、10ページまで含めまして18項目のハザードの概要でございます。それぞれ簡単にご説明いたします。なお、表の飛行中、係留中、右側の列に印字していますものは、ハザードを先ほど申しましたように打ち上げから係留フェーズまで、全てわれわれは審査をしますけれども、今回、係留中が対象ということでございますので、丸を付けたものが今回の対象ということでお考えください。
まず、1つ目、火災です。ハザード自体は、ISSは先ほど初めに申しましたように、ISSに係留されますとほぼISSのモジュールと一部になりますので、安全の要求は全てISSの要求に従うということになります。
まず1点目のハザードですけれども、火災は基本的に燃えない材料、難燃材、不燃材を用いることが基本となっております。全てのHTV-Xに搭載される材料につきましては、リスト化をしまして、所定の基準に則った材料が使われているかどうかっていうものを有保室のほうで、われわれのほうで確認をいたしまして、承認をして使っているということでございます。
2点目、オフガスです。宇宙ステーションは限られた空間でございますので、特に樹脂、プラスチックなどはそのままいるとガスが発生します。従って、火災と同じようにあらかじめどのような材料が持ち込まれるかということを確認しまして、これも使用材料のリストを確認してわれわれが承認するといった手順を取っております。これも全てNASAの統一の基準に従っています。
空気循環ですけれども、初めにお話ありましたように、係留をされますと空気循環が必要となります。そこには、HTV-Xのキャビンのファンを使いますので、そのキャビンファンによる適切な空気循環が行われているといったことが制御になります。そこには、検証内容としましては、キャビンファンの機能試験の実施、もしくはキャビンファンの異常、壊れないように回転数異常にはアラートが発生するような対処ということを確認してございます。
3つ目、推進薬の漏えいに対する汚染です。これ、推進薬自体は打ち上げ・係留前が主な漏えい等のフェーズになりますけれども、係留した後も漏えいしてしまいますと船外活動要員に付着するようなことを防止しなければなりませんので、係留中も漏えいしないように三重のシールを設けまして封入をするといったことにしています。これらにつきましては、図面の確認ですとか、漏えい試験の実施等をもって検証を行ってございます。
4点目、空気漏えいによる与圧モジュールの減圧。これは係留した後、何らか、HTV-Xからリークが発生しますと中が減圧してしまうので、最終的にはクルーが窒息するといったことを想定しております。これに対しまして、外部とつながるようなリークパスに対しましては二重の封入、二重のシールで封入をしております。その二重の封入の妥当性につきましては、図面および検査等で確認し、最終的には漏えい試験等で検証を行ってございます。
構造破壊につきましては、主に打ち上げのフェーズがメインになりますので割愛いたします。
内圧上昇による構造破壊につきましても、ここから飛行から係留対象になりますけれども、基本的に想定されるモジュール内の圧力、それを最大設計圧力というものを設定しまして、それに安全率を掛けまして、それでもHTVの構造が耐えられるかということを確認してございます。
7項目、推進薬の、もしくはバッテリーの破裂でございます。これは後ほど特記としてご説明いたしますけれども、基本的に最大設計圧力の設定、圧力制御のデバイス等の装備、燃料および酸化剤蒸気の混合防止等、それぞれハザードのレポートの中にこれらの制御を規定しまして、それに対して最大設計圧力解析、圧力デバイスの単体試験等、基本的には単体解析と試験で組み合わせで検証を行いますけれども、それらの組み合わせの検証結果をわれわれは確認して合格ということにしてございます。
バッテリーにつきましても、バッテリー突然破裂する、熱暴走等が想定されますので、バッテリーにつきましては釘刺し試験という特殊な試験がございますけれども、そういう過酷な状態で試験を行いまして、熱暴走が行われないということを確認してございます。
8項目、ISSの衝突につきましては、先ほどから申しました通り、係留前のフェーズのハザードですので割愛いたします。
隕石(いんせき)・デブリですけれども、これは基本的にモジュールに付いた後、クルーが入る時にクルーがいる間に何らか隕石が衝突して穴が開くといったことを想定したハザードです。これにつきましては、非貫通確率という、デブリが当たっても貫通しない確率というのを計算できるツールがございます。それが五百何十日間で約99.6%は貫通しないということを計算で確認して、ISSの要求に合致しているということを確認してございます。
10項目、機器の誤放出による衝突でございます。これは、主に曝露部、曝露ペイロード、先ほどのi-SEEPという装置が載る説明がありましたけども、そのようなものが不意に放出されないように機械的なラッチで留めていますけれども、そのラッチを不意に放出されないようにインヒビットというものを、スイッチを設けて、それを冗長性構成となっております。その3つのインヒビットがそれぞれ独立して1故障で3つが同時に外れないような設計になってございまして、それも図面試験等で確認をしてございます。
11項目、回転体、ファンの飛散です。これは少し特殊ですけど、先ほどのファンですとか回転体のものが飛散しますと、クルーに直接当たってけがをするといったこともハザードと識別されています。これにつきましては、壊れないような材料の選定もしくはファン自体をハウジングで覆って飛散が防止されてるということを制御にしておりまして、それぞれ図面試験等で確認をしてございます。
11項目、下の段、残留粒子の船内への飛散ですけれども、これを初めに係留した直後ですけれども、ほこりが舞っている可能性が想定されます。そのような場合に、初めてクルーが入る前に一定時間の換気、入る前の換気と、クルーに対してはゴーグルとマスクを装着するような制御としておりまして、それが確かに手順書に落とされているか、反映されているかっていうことを確認することになってございます。
感電です。
まず、クルーの感電ですけれども、電気系のコンポーネントを取り付けるもしくは外すといった作業が軌道上で想定されます。そのような場合は上流側の電源を必ずオフするといったことが制御手順として設定されています。これにつきましては、まずハードウェアとして切れる設計になっているかというのを確認およびそのような手順が手順書に反映されているといったことを確認するといったことが検証結果ということでなってございます。
12項目、下の段、これは電気系の故障のそのものの故障ですけれども、対流はありますけれども、基本的に無重力の状況ですので、地上より若干シビアな状況にケーブルですとか環境に置かれることになります。従って、ワイヤーサイズの選定もしくは過電流の防止等は少し地上より厳しめの要求になってございまして、それぞれのワイヤーのグランディング、ボンディング等が適切になっているかという観点で図面、これも試験等で確認をしてございます。
13項目、接触温度異常です。
クルーはいろいろ機器を触る可能性がございます。ISSの要求としましては、下がゼロ℃から上は45℃の範囲で電気コンポーネントはその温度に収まるように設計しなさいというような要求が課されてございます。それらを事前に解析を行いまして、それの温度内に最大温度でもその温度に収まるといったことを解析および試験等で検証・確認を行ってございます。
14項目、シャープエッジ。これは同じように機器をクルーが軌道上で触る場面がございますけれども、それで手を切ったりですとか、クルーが挟まれたりとかいうことがないような要求が、統一のISSの要求がございます。それにつきましても、その要求に合致しているかどうか、図面および現物を用いて確認をして、問題ないということを確認しております。一部どうしても機能上除去できないというものにつきましては、接触禁止エリアというものをあらかじめ設けまして、そこは手順のほうで、ここの部分を触ってはいけないよということを提示しまして、それを運用の制御として規定をしております。
騒音です。主にファンですけれども、あまり大きな音を出しますとクルーに影響を与えるということで、基準としてはNC50というISS統一の騒音の規定がございます。大体、63ヘルツで80デシベルぐらいのマックスですけれども、全てのHTVの環境がそのNC50に満足しているといったことを、これも試験解析等で確認をしてございます。
次、お願いいたします。
緊急避難および隔離です。
HTVの何らかクルーが中で作業をしている時に、他のモジュール等で何らか異常事態が起きた時に、ドラゴン等で緊急避難をするフェーズが想定されます。その場合に荷物等で通路がふさがれてしまいますと緊急避難ができないことが想定されます。そういうことがないように、約直径80センチのクルー退避のエリアというものを必ずどのようなフェーズでも設けるといったことが要求になってございまして、今回のHTV-Xもそれが適切に確保できるということも図面等で確認をしております。
17項目、電磁適合性です。
いろんな電子機器ありますので、それぞれのHTVの電子機器が過剰な電波を生じないこと、もしくはISSから電波を受けてHTVの機器が誤動作しないこと、それぞれの要求に対しまして、これもISS統一の要求がございます。それぞれに対して試験を行いまして、誤動作しないこともしくは過剰な電波を出さないといったことを確認してございます。
18項目、レーザーで、ここはこれまでの旧型のHTVから違う点ですけれども、HTV-XにはLIDARと呼ばれる赤外線のレーザーを付けております。これは、接近する時に必要な機能ですけれども、それらが不意に、係留中に不意にレーザーが発光して窓を通してISSのクルーもしくは船外活動中のクルーに影響を与えないということが必要になりますので、これも係留中はインヒビット、レーザーに電源が行かないようにスイッチを設けまして、インヒビットを設けているということを制御として、それにつきましても回路を試験等で確認してございます。
以上がわれわれの中で審査したハザードレポートの概要でございます。
続きまして、特記でございます。
ISSと違って、HTV-X特有のハザードというものを2点挙げさせていただいております。
1点目が推進薬の漏えい。これはハザードの想定としましてはHTV-Xの推進薬の漏えいによる爆発。制御としましては、推進薬漏えいに対する三重封入ということになります。
2点目、バッテリーの破裂です。先ほど少し申しましたけど、HTV-Xのバッテリーが熱暴走することによる破裂・発火というものが想定されます。これにつきましては、内部短絡、外部短絡、それぞれのモードに対して制御を行いまして、熱暴走が起こらないように対処をしております。また、セル自体の熱伝搬の抑制ということも考慮に入れてございます。
12ページ、お願いいたします。
まず、推進薬の漏えいですけれども、HTVの推進薬としましては、モノメチルヒドラジン(MMH)および酸化剤としまして四酸化二窒素を搭載しております。これは人体に対しては有害でございます。船外活動中に、何らか係留中に推進薬が漏えいして船外活動中のクルーのクルー服に付着をし、それを気付かぬまま船内に持ち込むといったことを想定して、それがないようにということで、推進薬の漏えいがないような制御を取ってございます。
2点目が、係留中に推進薬の、同じような遮断弁から微小な漏えいがスラスタ側に堆積しまして、凍結してしまう可能性がございます。その後、今度離れる時に、その凍結した推薬が不意に爆発してしまうといったことも想定され、それを防止する必要があるということになります。
写真の赤で3つのスラスタが4カ所出ております。これはスラスタと呼ばれる姿勢制御の器具になります。
次、お願いいたします。
これ、非常に模式的に描いた推進系の絵になります。全てのバルブはヘリウムの気蓄器もあって、そのヘリウムを使いまして、バルブの開け閉めを行います。
まず、ここの推進薬タンクをヘリウムの力によって押して、その力によって最終的にはその推薬弁というものから推薬を噴射して姿勢制御を行うといった仕組みでございます。これにつきまして、推薬がこの注排弁とか書かれてある③の部分ですが、外部のほうに漏れるリークのパスとしてはそこの③の部分が想定されます。それにつきましては、三重の構造のシールを持つ、われわれ故障許容、2故障許容を原則としておりますので、2故障許容、3つのコントロールという意味で三重のシールということが要求されておりますので、それを施工しているということになります。
どうしても一重しか施工できないというものにつきましては、事前に実際に使う場面の前にリークチェックを行いまして、そこで対処を行うといったことをしてございます。
検証結果ですけれども、三重封入に対しては図面確認および検査、推進系の機能試験および漏えい試験等で検証を行っているといったことになります。
次、お願いいたします。
次、凍結です。凍結は、申しましたように三重のヒーターを重要なところには設けてございます。2つのヒーターが壊れても、凍結しないような対処を取ってございます。検証結果も三重ヒーターおよびラインの冗長系による統一故障点がないということを図面上で確認して、それぞれの独立した機能が確立されているといったことを確認してございます。
次、お願いいたします。
バッテリーの破裂でございます。ハザード概要を改めて申しますと、HTVの電池が熱暴走を起こして破裂、劣化をする。バッテリーの熱暴走の要因としましては、内部短絡、外部短絡、過放電、もしくは過充電等が想定をされます。それぞれの制御方法としましては、セル自身の熱暴走に対する制御としましては、内部短絡、外部短絡、それぞれの防止の設計および適切なヒーターの制御。熱暴走伝搬に関しましては隣接性の伝搬の抑制といったことを制御としております。
検証としましては、先ほど、初めに申しました釘刺し試験等を行いまして、熱暴走試験の実施もしくはセルスクリーニング、バッテリー制御系の機能試験を行っております。この右側に描いてある、右の上の図がバッテリーのセルでございます。リチウムイオンのバッテリーでございます。右側の下の図が一例ですけど、過放電防止の制御の例ということで、制御1が自動で充電する機能、それぞれのプログラムによって過充電をしない、過放電しないような仕組みを持っていますので、そこが制御1。制御2が過放電をもし検知しましたら、自動で電力を遮断するような機能をコンピューターで制御します。3つ目の手段としましては、地上で電圧をモニターしておりまして、何らか異常が起きたらその制御を切るといったことで、その3つの制御を行いまして、2故障許容を成立、確立させてございます。
続きまして、基本指針に対する適合性結果です。詳細はこの付表の1に従いますけど、概要を簡単にご説明します。
1~3項目は概要ですので割愛いたします。
17ページ目から実際の技術の要求になります。
まず、17ページの4項目、(1)自然環境からの保護ということで、まず隕石・デブリです。HTV-Xにはデブリバンパーというのを設けておりまして、1センチ未満の隕石につきましては、デブリバンパーで保護されています。また、係留中に何らかそれより大きい、10センチ以上のものはISS側のほうで検知をしまして、軌道制止をISS全体の機能を、高度を制御して避けるといったことができますけども、どうしても1~10センチの間につきましては検知できない可能性があります。そのような場合につきましては、当たってしまう可能性がありますので、問題は係留中に大きなものが当たりますとISSの姿勢が変わりますので、そこで検知をされます。そこまでいかないようなもので当たってしまったものは、HTV-X、最終的にISS離脱前にISS側のカメラがありますので、そこで全体をチェックして、健全であるということを確認してございます。
そのようなことは、細かいことは付表1のほうで書いてございますので、お読み取りください。
続いて、宇宙放射線です。
宇宙放射線につきましても、機器の耐放射線が基本になりますが、講じられているといったことを放射線解析書および試験書で確認をしてございます。
まず、搭乗員に対する被ばく量につきましては、搭乗員自身がモニターをされておりまして、被ばくの管理ということを行ってございます。
高真空に対しましては、構造の健全性ということで、外側が真空、中側が正圧の状態でも構造的にもつということは確認してございます。
誘導環境からの保護ですけど、これは打ち上げのフェーズに相当するものですので、今回省略いたします。
次、お願いいたします。
続きまして、雰囲気です。
雰囲気空気につきましては、与圧モジュール内の設置したファン、係留中はISSの空気循環が適切に行われて、ファン停止時にはクルー、搭乗員が安全な区画に退避するまで時間が必要ですけども、その時間は二酸化炭素が危険なレベルにならないということを解析で確認をしております。
オフガスにつきましても、初めに申しましたように、オフガス濃度が許容値以内ということを材料の選定時点で確認しております。カーゴにつきましては、射場につきまして、最終的にはハッチを閉める前にHTV-Xの中のガスをサンプリングしまして、その確認の結果、チェックをするといったことにしてございます。
続いて、ダクトノイズは先ほど申しましたように、ノイズについてはNC50というものを設計の段階で異常な音を出さないといったことを確認してございます。電磁干渉についても同様でございます。
次、お願いいたします。
HTV-Xからの廃棄物、投機物がないように防止しなさいという基本指針に対しましては、これも先ほど申しましたように、HTV-Xの外部に対して搭載物が不意に放出されないように、3つのインヒビットが適切に機能するということを試験により確認してございます。
バルブについても意図せず推進薬が出ないようにということにつきましても、3つのインヒビットを設けておりまして、適切にそれらが機能するといったことを確認してございます。
構造材料につきまして、基本的に打ち上げフェーズが主ですので省略いたします。
推進系、6項ですけれども、これも先ほど申しましたように、係留中に不意な作動をしないといったことを解析試験等で確認しております。
誘導、制御につきましても、係留中ですので、基本的にこの機能はありませんので、これも係留中に不意な動作がない、ちゃんと停止しているということを確認してございます。
21ページ目、電力ですけれども、電力は係留中に使用されるISSからの電力、120ボルトですけれども、それが冗長構成となってISSからの給電が仮に停止した場合でも、HTV-X自身が持つ電池によって電力供給が可能であるといったことを確認してございます。
9項目、10項目につきましてはISS一般の基本方針ですので、ご説明を割愛いたします。
22ページ目、9、安全・開発保証。これも全般ハザードレポート全体ですけれども、誘導の部分については打ち上げ中ですので割愛いたします。
自律性の確保も同様です。
オーバーライド。これも誘導ですね。誘導制御のいろいろな自動の制御がございましたけども、地上の側で何らか問題があってもオーバーライドができるような設計になってございます。
保全性です。HTV側にはHTV側をISS側から監視をするPROXといわれる近傍の通信のシステムがございます。これがもし壊れますと、HTVは係留できませんので、これにつきましては交換ができるような設計ということになってございます。
続きまして、23ページ、品質保証に関しては全般の話ですので省略いたします。
人間設計につきましても、初め、2項のほうで申しましたので省略いたします。
25ページ目、お願いいたします。
緊急時の対応です。緊急時、HTV-Xには緊急警報を発する機能はございませんけれども、火災に対しては煙センサーによって検知されまして、ISS側に警告、警報が発せられて、火災が起きましたよということを通知できるようになっています。そうしますと、ISS側のほうで全体のクルーに周知をして退避をするといったことは可能なことになってございます。
アクセスにつきましては、無重力空間ですので、クルーは自由にそのままですと動けません。ですので、ハンドレールというものが各部分に設置されまして、それを伝いながらクルーは移動しますけれども、HTV-Xにもハンドレールをちゃんと設けまして、ISS内を動けるといったことを確保しております。
26ページ、減圧ですけれども、火災・汚染時の異常発生時は、ハッチ等を閉鎖しまして、HTV-X内の空気を排気弁から排出して、火災を止めるといったことができるようになってございます。火災が鎮火しますと再加圧をしまして、今後、その後の処置を行うといった仕組みになってございます。
12項目、安全確保の体制ですけれども、これもHTV-Xのプロジェクトから独立したわれわれの安全・開発保証部門で有人システム安全・ミッション保証室が全体の安全・開発保証を活動を実施してございます。これも合致している、指針の通り合致しているということになります。
4項目でございます。運用等の準備ということで、いろいろ設計で制御をしますけれども、どうしても地上要員、もしくはクルーによって制御を一部担うといったことがございます。そのようなものにつきましては、NASAが運用を担当するものはNASA側の運用制御合意文書というものでどのような重要なハザードを制御する運用があるかというのをリスト化いたします。それによってリスト化したものを基づいて実際の手順書には反映するといった仕組みになってございます。逆にHTV側で必要な制御につきましても、HTV側のほうでリスト化をしまして、それを運用手順に取り込むといったことになってございます。
それぞれの運用手順や運用上の取り組みにつきましては、運用実施部門とは独立したわれわれの運用の安全担当部門とNASA側の安全担当部門がそれぞれ運用開始前にその妥当性を確認、評価をするといったことになってございます。
2項目、安全検証、これはまだ検証がハードウェアの終わってない検証が幾つかございます。それらにつきましては、リスト化を行いまして、打ち上げ前までに全てがクローズできるように、漏れがないような体制として、安全検証ログというものを管理して今後フォローしていくといったこととしております。
どのようなものが安全検証ログがあるかということの例でございます。
推進系の射場における推進系の充塡(じゅうてん)前の推薬の清浄度ですとか、注排弁・推薬弁、リークがないということを試験によって確認するといったところの検証項目。
最終コンフィグレーションの確認および機構系のクリアランスもしくはラックや搭乗員支援具の搭載状況の確認。各モジュールの最終的な組み立て状態のチェックというものも細かな内容ですけども、これも検証項目としてチェックを行います。
最終的に、バッテリーにつきましても最終的な充電状態が必要ですので、射場で充電しますので、その充電状態を確認するといったこととしてございます。
最後、結論ですけれども、JAXA、HTV初号機のISSの係留に関しまして、所定のプロセスに則してJAXA内安全審査、NASAの安全審査を終了して、その結果、所定の安全対策が安全指針に合致しているといったことを改めて確認してございます。
ご説明長くなりましたが、以上でございます。
【木村主査】
ありがとうございます。大変丁寧な説明をいただきまして、ありがとうございます。
係留フェーズということで、特に人が中に入ることから、有人の、与圧モジュールという側面と、それから推進系を持っているという、そういう両方の側面からの安全管理ということがハザードとしてよく表れてて、よく抽出されて、適切にコントロールされてるなという印象を受けました。
ちょっと時間も来ているのですけれども、HTVの1号機については新型宇宙ステーション補給機の初号機ということもありますし、冒頭申し上げたように、当委員会としてできればしっかり、また内容的に非常に多岐にわたるということもございますので、事務局のほうと調整しまして、少し資料を読み込む時間を取ろうと思います。オフラインでのやりとりをさせていただいた上で、最終的な評価の取りまとめっていうふうにまとめていきたいと思っております。
少し、ここでクイックにご質問等の時間を取りたいと思いますけれども、以降、次回まででもまだタイム的に間に合うということですので、次回委員会までにオフラインでのやりとりを進めさせていただくということで進めさせていただこうと思っております。
ご質問等、ここでいかがでしょうか。もしお願いできれば。
ちょっと、1点だけ私のほうで気にさせていただいたのは、安全管理自体は非常に良いかなと思ったのですけど、先ほど豊嶋委員からコメントがあったような視点で考えた時に、構造っていうのは割とさらっと書かれてて、打ち上げ時の構造強度みたいなところも書かれてたのですけれども、先ほどのように係留時固有の事象みたいなものはあるので、そういったところを記載されても良いのかなという印象を持ちましたけれども、これはいかがでしょうか。
例えば、係留された状態での結合部分の構造強度であったり、あるいはその時に先ほどの他の宇宙船が接近してきてバーンした場合にも適切に対応できているという、そういう部分についても適切に対応されていると理解したのですが、そのあたり、記載してもいいかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
【中村室長(JAXA)】
承知しました。おっしゃる通りですので。ハザードレポートの中では識別されておりますので。
【木村主査】
ですよね。
【中村室長(JAXA)】
はい。補足させていただきます。
【木村主査】
ありがとうございます。
サマリーのところで、多分、すごく資料が多くなり過ぎるので、その辺、圧縮されたのかなと思うのですけれども、係留フェーズ固有の事象ということを適切にハザードとして識別されている、そういう取り組みの1つかなと思うので、記載いただいてもいいかなと思いました。
他、いかがでしょうか。ご質問とかご意見とかありましたら、挙手いただけるとありがたいのですが。
柿沼委員、お願いできますでしょうか。
【柿沼委員】
すいません。非常に初歩的な質問で申し訳ないですけれども、係留する時のジョイントの場所で、こちらの機械のことはよく分かったのですけれども、ISS側の結合部位というのは、このHTVが結合するというのは決まっていて、他のものが結合する、例えばアメリカのほうのものが結合するというのは、場所が違うのかどうかっていうところを教えていただければと思います。
それからもう一つ、放射線のことがちょっと出てきたのですけれども、この作業の場合は比較的狭い領域にジョイントのところを少し行き来するのですけれども、それは通常の船内活動をしている時に比べて、線量率というのが少し高くなるのか。もちろん、船外活動に比べたらずっと低いと思いますけれども、もしそういうデータがありましたら教えていただきたいと思いました。以上、2点です。
【中村室長(JAXA)】
まず、基本的に打ち上げ前にHTV-Xがどこに係留されるかというのは決まっておりまして、それ以外のところには他のビークルが係留されることはございません。ただし、HTVもこの図の右上側、下側にもどちらでも係留できることには仕様上はなっておりますけれども、今回の打ち上げについてはここの下の部分に付くということになります。
2点目ですけれども、ほぼISS、JEMですね。日本語で言うと「きぼう」のモジュールの外板の材料と、HTV-Xの外板の材料等は仕様はほぼ一緒ですので、外部からの放射線に対する影響というのはほぼ一緒だということが、当初旧型のHTVのところからの踏襲、与圧モジュールは踏襲ですけれども、その解析を行ってございますので、その差異というのは、影響は非常に、ほとんど同じだと考えていただいて結構です。
【柿沼委員】
分かりました。ありがとうございます。
ISS側の、こちらからのは新しい機械側なのですけど、ISSは定期的にいろんな部品というのが多分リプレイスされていくのだと思うのですけれども、そういうのは十分なのかっていう。そういうのは。
【中村室長(JAXA)】
新しい装置が放射線を受けた場合の影響という意味ですと、打ち上げ前に放射線、トータルドーズという要求がございまして、どのぐらい受けるとどのぐらい大丈夫かというのをあらかじめ計算をして、そこで合格したものが打ち上がっているとお考えいただければいいと思います。
【柿沼委員】
分かりました。ありがとうございます。
【木村主査】
ありがとうございます。
そうしましたら、笠原委員、お願いいたします。
【笠原委員】
詳しいご説明、本当にどうもありがとうございます。
大変多岐にわたってご検討、評価されているということがよく分かりました。
1点だけ、関連して2点質問させていただきたいのですが、幅広い項目の中でも、制御をどうしてもできない印象を持ちましたのがデブリの問題で、デブリの衝突は避けられないというふうな理解をいたしました。特に1~10センチぐらいの、ちょうど発見もできないし、また穴が開くことを許容せざるを得ない領域があるということを理解いたしました。
ちょっと教えていただきたいのは、HTVがISSの進行方向に対してどの位置についているのか。つまり、HTVがデブリの衝突のリスクがどれぐらい高い位置にあるのかということと、それから、最近は打ち上げの頻度が高くなって、他のロケット等の打ち上げの頻度が非常に高くなっていますので、そういう小型のデブリの衝突の頻度というのは恐らく上がっているのではないかなと勝手に想像しました。つまり、これまで、そういうふうな衝突頻度の増加傾向というのは、恐らくJAXAやNASAのほうで把握されているのではないかなと。これから10年、20年と運用されていく中で、そこら辺の予測も加味して対策を取られているのか。その点に関して質問させていただきます。以上でございます。
【中村室長(JAXA)】
ちょっとお待ちください。
初めの質問ですけれども、先ほどの図を出していただけますでしょうか。取り付け位置の図があったと。そこですね。これが、進行方向は右上から右下に矢印、画面の奥側から手前側に進行方向になります。なので、HTV側の左側の面と申したらいいですかね。そこが進行方向になる面でございますので、当たる確率としてはそこが一番多くなるということになります。
HTVのバンパーは全体でしたでしょうか。すみません、ちょっとそこ、記憶がなかったので申し訳ないです。
【伊藤プロジェクトマネージャ(JAXA)】
HTV-X・伊藤のほうからご説明いたしますと、与圧モジュールについては人が入りますので、そこにつきましてはバンパーがありまして、デブリに対して安全を確保しております。これはHTVと同じ設計をしております。
それから、他の部分、例えばサービスモジュール等でございますけども、こちらにつきましても、たとえデブリが当たっても、例えば重要なハーネスはデブリから避けられるような、そういう位置にはい回しているとか。電力系のハーネスは本体に隠れるような、そういうような設計にしておりまして、微小なデブリが当たったとしても、そこの部位だけは大丈夫なんだけど、全体的に冗長系としては問題ないというようなことを設計をしております。それが1点。
あと、打ち上げから係留、飛行に当たりましては、事前に私たちのデブリモニター、デブリ情報を得ておりますので、デブリに当たらないような運用計画を立てています。もしデブリが近づいたとしても、それを回避するような運用計画を立てるという形でデブリを回避する、安全な運用をする計画としております。
【中村室長(JAXA)】
ありがとうございます。
2つ目のご質問で、デブリのヒットする確率が上がっているかという観点につきましては、顕著には上がったというデータは入手しておりませんけれども、もう少し詳しい者に確認いたしまして、次回回答できるように準備させていただければと思います。
【笠原委員】
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。以上でございます。
【木村主査】
ありがとうございます。
そうしましたら、時間も来ておりますがよろしいでしょうか。この後、先ほど申し上げたように、オフラインでぜひ、もう少しまた資料もたくさんありますので、ぜひ読み込んでいただいて、オフラインでまた調整させていただいて、次回までにクローズさせていくというような形で進めさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですかね。
司会の不手際でだいぶ時間のほう押してしまいまして申し訳ございません。
そうしましたら、事務局のほうに説明をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【上田企画官(事務局)】
事務局でございます。ありがとうございます。
先ほど、主査のほうからお話ありました今後の進め方につきまして、事務局から補足させていただきます。
本日、JAXAからご説明いただきました資料につきまして、委員の皆さまのほうで追加のご質問、それからコメントございましたら、約1週間、8月4日の月曜日まで事務局のほうでお受けしたいと思いますので、ご質問等ありましたらメール等でお送りいただきまして、こちらのほうで対応させて頂きたいと思います。回答につきましては、随時メール等でもお送りし、要すれば資料にも反映させていただくということにしたいと思ってございます。
また、お盆明けめどにJAXAのほうでも資料の修正の確認等を行った上で、改めまして委員の皆さまにも修正した資料ご確認いただく機会を設けたいというふうに思っております。
また、具体的な次回の本小委員会の開催日程につきましては、別途調整させていただきますのでよろしくお願いいたします。
それから、事務連絡をまとめてさせていただきます。
今回の、本日の小委員会の会議資料と議事録の公開について申し上げます。
宇宙開発利用部会の運営規則、こちらに基づきまして、本日の会議資料につきまして公開となりますので、文部科学省のホームページに掲載させていただいております。また、議事録につきましても公開となります。委員の皆さまにご確認いただいた後に、文部科学省のホームページに掲載させていただきますので、こちらにつきましてもよろしくお願いいたします。
事務局からの説明は以上です。
【木村主査】
ありがとうございます。
ちょっと延びてしまいましたけれども、大変積極的なご議論をいただきましてありがとうございました。
以上で、本日の議事を終了したいと思います。これをもちまして閉会といたします。どうも、本日はありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課