宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第53回) 議事録

1.日時

令和6年2月16日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.出席者

委員

主査 木村 真一
専門委員 柿沼 志津子
専門委員 門脇 直人
専門委員 熊崎 美枝子
専門委員 辻村 厚

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹上 直也
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 上田 尚之
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 木元 健一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 有人宇宙技術部門 有人システム安全・ミッション保証室 室長 小林 亮二
 有人宇宙技術部門 有人システム安全・ミッション保証室 技術領域主幹 荒木 秀二
 有人宇宙技術部門 有人システム安全・ミッション保証室 主任研究開発員 佐藤 崇行
 有人宇宙技術部門 有人システム安全・ミッション保証室 主任研究開発員 鈴木 禎嗣
 有人宇宙技術部門 有人システム安全・ミッション保証室 研究開発員 田丸 晴香
 有人宇宙技術部門 きぼう利用センター 主任研究開発員 山﨑 誠和

4.議事録

【木村主査】 それでは定刻になりましたので宇宙開発利用部会調査・安全小委員会の第53回会合を開催いたします。本日の議題は例年実施しております国際宇宙ステーションに提供する機器の安全確認についてです。本日もオンラインでの開催となっております。委員の皆さまにおかれましてご多用のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは事務局から本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 皆さま、おはようございます。事務局竹上です。本日は調査・安全小委員会にご所属いただいている委員のうち、5名にご出席いただいております。運営規則に定めている定足数要件を満たしていることをご報告いたします。
 本日の資料につきましては、議事次第に記載の通りです。オンライン状況について、音声がつながらない等の問題がございましたら事務局へメール電話等でご連絡ください。事務連絡は以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございます。それでは議題に入りたいと思います。初めの議題、国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素および搭載物の安全確認についてです。まずこの議題の主旨について、事務局から説明をお願いできますでしょうか。
 
【木元補佐(事務局)】 事務局の木元でございます。それでは資料53-1-1を用いまして、ただいま木村先生からありました位置づけについてご説明いたします。
 まず1番ですが、ISS構成要素と搭載物の安全性に係る責任と役割分担ということで、ISSの全体を統括するNASAと日本国の間ではMOU、了解覚書というものがありまして、その中で役割分担がまとめられております。ここにありますように、NASAとしてはISSの全体的な安全要求の設定と日本が設定する安全要求との整合性、適合性ということの確認、また日本が行う安全審査の支援、その結果としてISS全体の構成要素や搭載品の安全要求が満足されていることの認証を行います。
 日本国としましては、文部科学省とJAXAですけれども、日本が提供する構成要素とか搭載物に関する安全要求の設定をJAXAが行いまして、これに対してはNASAが確認を行います。それから日本が提供する要素、搭載物そのものの安全審査の実施、これはJAXAが行います。これはNASAが支援すると、上で書かれた日本が行う安全審査の支援ということです。
文科省としては安全要求を満足していることを認証ということを日本国、政府として行うということが役割分担となっています。
 これが模式的に書いたものですが、真ん中に了解覚書がありまして、NASAとの日本国の間で結ばれています。日本国としては文部科学省に協力機関としての指定に基づいて安全性の認証を求めており、JAXA宇宙航空研究開発機構が安全審査を実施するということになっております。日本国内でどのようにしてこれを具体的に実施するかということについては、まずはJAXAが、日本が提供するすべての要素、搭載物に対して個別に安全審査を行います。これにつきましてはすでに決まっています基本指針というのが下の方にありますけれど、参考資料の方にもございますけれども、ここで細かくハザードの定義ですとか、安全性のチェック項目ですとかが定められておりまして、そこに対する適合性確認を含んだ安全確認を実施します。
 文科省の宇宙開発利用部会、調査・安全小委員会としましては、この審査プロセスが適切であることのチェックを年に1回程度行うという形で、このプロセスそのものを認証していくこととしております。そのやり方としては、具体的に搭載予定の、打上げ予定の具体的な構成要素、搭載物についての安全審査の中身をサンプルとしてとって、その妥当性を評価すると。
 今回は選定方法としてその構成要素、搭載物が有するハザードの種類とか、ユニークハザードの数ですとか、その搭載物の新規性等を総合的に勘案し打上げ時期も含めて、令和5年度としてはSpace PUPⅡという哺乳類の繁殖における宇宙環境の影響に関する実験というものの装置、運用すべて含めたものを対象として実施されている安全審査を対象として、このプロセスを評価するという形で実施させていただくことになっております。以上が本日行う調査検討の位置づけでして、委員の皆さま、よろしくお願いいたします。以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございます。これは例年実施している内容で、すべてのアイテムの安全審査を実施すると非常に時間もかかりますし、量としても非常に膨大になるということで、この委員会としてはJAXAにおいて実施されている安全審査のプロセスを認証するというのが、この委員会の役割です。このことを確認いただきました。この点につきまして、何かご質問等ございましたらいかがでしょうか。いいですかね。一応確認のために例年のことではございますけれども、我々の任務と範囲ということを意識するために、この説明を入れさせていただいております。もう、皆さま、ご了解いただいているということで議題の方を進めさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは、今事務局の方から説明がありました、今回の対象として用いるものなのですけれども、Space PUPⅡという実験機器を対象としようということです。JAXAの安全審査プロセスが適切であるかどうかということについて本小委員会で審議をすることといたします。
 まず審査対象であるSpace PUPⅡについて、JAXA有人宇宙技術部門、有人システム安全・ミッション保証室小林室長から、まず概要の説明をお願いできますでしょうか。
 
【小林室長(JAXA)】 ご紹介ありがとうございます。JAXAの有人システム安全・ミッション保証室長の小林でございます。調査・安全小委員会によるJAXAの安全審査プロセスを対象としましてSpace PUPⅡというライフサイエンス実験の安全審査結果をご説明いたします。
 資料構成でございますが、審査目的のあと、審査対象であるSpace PUPⅡの装置、そしてそのあとSpace PUPⅡの安全解析結果や基本指針への適合性評価結果、結論の順でご説明いたしますが、まずは2項の審査対象まで説明を終えたところでいったんご質問を受けたいと思います。
 本日の目的でございますが、JAXAの安全審査プロセスを文科省による認証を維持するためにこの資料ではJAXAが実施いたしましたSpace PUPⅡに対する安全審査結果を説明いたします。ここにある表のようにJAXAの中の有人安全審査会および機構による安全審査委員会の方を実施いたしまして、今年1月に終了いたしました。
 JAXA有人技術部門が持っております有人安全審査会におきまして、Space PUPⅡの安全評価結果について確認いたしまして、機構のJAXA安全審査委員会におきましては、この有人安全審査会の審査結果と、あとは文科省宇宙開発利用部会で定められております国の基本指針に対する適合性について確認しております。この資料ではこれらの結果について報告いたします。
 まずこの審査対象であるSpace PUPⅡの概要でございますが、ここにあるように本研究の目的はマウスのフリーズドライ精子を用いまして微小重力や放射線といった宇宙環境が生殖細胞に与える影響を確認するものです。具体的には水による放射線遮蔽容器に入れたサンプルと入れないサンプル、これを2種類用意いたしまして遮蔽効果による影響を確認いたします。10か月程度「きぼう」の船内で常温保管しまして、そのあと地上へ回収し遺伝子レベルでの影響評価を解析する、そういった研究になります。
 次は装置構成です。ここの点線で囲んだステンレス容器というものがあるわけですけれど、そのステンレス容器にはサンプルと温湿度ロガー、放射線ディテクタが保管されています。サンプルはフリーズドライ精子を入れた56本のアンプル、そして放射線のディテクタは量子科学技術研究開発機構が開発されました検出器、それとJAXA開発の線量計の2種類が入っています。サンプルAとサンプルBの2種類があるわけですけれど、ステンレス容器とその中身は同一構成になります。違いはステンレス容器の周りに水バッグを入れたポリカで覆っているか、いないかの違いになります。
 こちらの方はステンレス容器、サンプル等が入っているものの詳細になります。左下の図にあるように、ガラスでできたアンプル、その中にネズミのフリーズドライ精子を充填します。ガラスのアンプル自体はガラス飛散防止のためにカプトンテープで保護しています。ステンレス容器の中に56本のアンプルを入れまして、その上に温湿度ロガーと放射線のディテクタ2種類を入れまして、そして右上の写真にあるように蓋をしてカプトンテープで止めると、これで1辺10cm程度(103cm3)程度の大きさになります。ステンレス容器自体はジップロックバッグに入れまして、クルーはジップロックバッグを開けることはありませんし、ステンレス容器そのものを直接触ることもありません。
 水による遮蔽効果に関する詳細な説明になります。ものとしましては右上の図のように、ステンレス容器をポリカのケースで囲みまして、組み立ててカプトンテープで止めたものになります。全体の大きさは20cm立方程度の大きさになります。ポリカのケースは右下の図のように水のバッグが入っていまして、四方を水バッグ入りのポリカでステンレス容器を囲むことで、この水は総量としては約6L程度です。そういった水で放射線の遮蔽効果を持つと考えています。
 この審査対象ですけれど、運用ですけれど、左上にあるように組み立てたステンレス容器であったり、ポリカのケースで囲んだものであったりは、それぞれジップロックバッグに入れまして、そのあとソフトバッグに入れて打ち上げます。軌道上では打ち上げ時に使用したソフトバッグから取り出されて、別のソフトバッグに移し替えられて、船内保管室で10か月程度保管されます。そのあとステンレス容器が入ったジップロックバッグを取り出しまして、地上に回収します。周りのポリカやカプトンテープの方は軌道上で廃棄されることになります。
 我々、有人安全審査会の対象なのですけれど、射場作業自体はケネディ宇宙センターの方で行いますので、米国が審査するわけですが、打ち上げから軌道上での運用、そして廃棄、帰還に至るところまでがJAXAの安全審査の範囲となります。
 こちらがJAXAの中の開発と安全審査の体制なのですけれど、真ん中のきぼう利用センターというところが、この物品の開発、およびその安全について責任を持っているところになります。私がいる有人システム安全・ミッション保証室は、きぼう利用センターからは独立しておりまして、独立した安全性の評価を行っています。安全評価報告書の準備ができましたら有人安全審査会、これは私が議長を務めておりますが、これを行って安全審査を行います。この物品は非常に簡便な物品ですので、審査権の方はNASAからJAXAの方に委譲されているわけですけれど、ビジビリティを与えるためにNASAの方にも安全評価報告書自体は提出してNASAの確認を得ています。それらのプロセスを終えて、最終的にはJAXAの安全審査委員会、こちらの方は副理事長を議長とするJAXAの機構としての安全を見るところですけれど、安全審査委員会を行って最終的に安全の確認をすると、そういったステップで進んでいます。
 2項までで、装置の概要、安全審査の概要についてご説明いたしました。
 
【木村主査】 ありがとうございます。そうしましたらここまでのところで、おそらく技術的な観点からご質問があるかと思いますけれども、もし、ご質問等ありましたらいかがでしょうか。
 
【柿沼委員】 すみません、量研の柿沼でございます。今のお話で出てきましたポリカ製、ポリカとおっしゃっているものは、何かポリカーボネイトとか、何か略名なのかなと思って、ちょっと中身がわかりませんでしたので、教えていただければと思います。
 
【小林室長(JAXA)】 申し訳ございません。日頃使っている言葉を使ってしまいました。ポリカーボネイトが正しい言葉になります。
 
【柿沼委員】 わかりました。ありがとうございます。
 
【木村主査】 ありがとうございます。ポリカーボネイトですね。私からも関連してしまうのですけれど、あとで出てくるかもしれないのですけれど、ポリカーボネイトとカプトンテープについてのオフガス等に対する対策とか検討はされているのでしょうか。
 
【小林室長(JAXA)】 今のご質問は、水の漏洩に関するご質問でしょうか。
 
【木村主査】 ポリカーボネイトそのものの材質という意味です。
 
【小林室長(JAXA)】 わかりました。こちらの方も振動試験にかけまして、この材料強度については確認を終えております。
 
【木村主査】 あと、オフガスとかは出ないと考えて、大丈夫なのですよね。
 
【小林室長(JAXA)】 はい。そちらの方は材料選定の段階で見ておりまして、オフガス等が出ない材料の方を選定しております。
 
【木村主査】 あとで出てくると思うのですが、先に言わせていただきました。あと、私もお話をうかがって、上に封入した状態で持っていって、保管し、その封入を解かずに持って帰ってきて、地上で解析するのは、軌道上環境を有効に使われた、とても面白い実験かなと思い、ある種実験モデルとして非常に面白いなと思います。その時に先ほどの話でこれは技術的に少し細かい話になるかもしれないのですけれども、上で水の遮蔽のある場合とない場合のコントロールをとられていると思うのですけれども、これと地上でのコントロールといいますか、上に全く上がらない状態でのコントロールというのはおそらくとられるのですよね。
 
【小林室長(JAXA)】 地上でも対照実験を並行して行っております。
 
【木村主査】 なるほど、なるほど。それとの比較ということになりますね。わかりました。ありがとうございます。他にご質問いかがでしょうか。よろしいですか。門脇委員、お願いします。
 
【門脇委員】 門脇でございます。ご説明どうもありがとうございます。今ちょっとお話も出ましたけれど、当然いろいろと審査されているとは思いますが、念のため、水が入っているバッグを打ち上げるということなので、やはり漏洩というのが気にはなるのですが、その辺りの安全性というのはどういうふうな確認をされているのでしょうか。
 
【小林室長(JAXA)】 実機を使いまして、ポリカーボネイトを中に水バッグを入れまして、その状態で振動試験にかけています。それで水の漏洩が発生しないことを確認しております。
 
【門脇委員】 今回、水を入れる容器というのは例えば過去にも宇宙の軌道上に持っていった実績はあるものなのでしょうか。
 
【小林室長(JAXA)】 この手のものはポリエチレン製のバッグになりまして、だいたい厚さが0.7ミクロン程度のものなのですけれど、こういったものは使った実績はございます。
 
【門脇委員】 その辺りは過去の実績から、先ほどガスの話が出ましたけれど、軌道上に持ち込むにあたっての安全性というのはこれまで十分に確認されているという理解でよろしいのですか。
 
【小林室長(JAXA)】 はい。個々の、今のオフガスといったガスが出るかどうかという点では材料の面で問題ないことを確認しておりますし、強度的な面では振動試験で確認しておると。プラス今までの実績があるといったところで問題ないと考えております。
 
【門脇委員】 はい、どうもありがとうございました。
 
【木村主査】 ありがとうございます。よろしいですか。他にご質問がもしあればお受けしようと思いますけれど、大丈夫ですかね。
 そうしましたら引き続き安全審査の結果、このプロセスを我々は見させていただくという意味で確認審査を行いたいと思います。小林室長、引き続きご説明の方をお願いしてよろしいでしょうか。
 
【小林室長(JAXA)】 それではスライド11ページから説明していきます。
 ISSではハザードが標準化されていまして、当該標準ハザードと過去の類似の実験やこれまでの経験をもとにハザードを識別しています。標準ハザードと言っているのは、制御や検証方法が標準化されているハザードでして、ユニークというのは標準ハザード以外のミッションユニークなハザードになりますが、標準ハザードとしてこちらに挙がっているように火災や船内空気の汚染、先ほどから出ているオフガスであったり、そういったものによる汚染であったり、水やサンプルの漏洩、破損ガラスの飛散、シャープエッジ、そういったものが識別されています。あとは温湿度ロガーにはバッテリが入っていますので、バッテリの破損をユニークハザードとして識別しております。
 それぞれハザードとそれに対応する制御や検証について簡単に説明していきます。まず火災や船内空気の汚染でございますが、これらは安全要求を満足するような材料を選定するというのがまず基本になります。ただポリカーボネイトであったり、カプトンテープ等は可燃物が含まれていますので、難燃性のソフトバッグで輸送したり保管することを確認しております。
 水やサンプルからの漏洩の件ですけれど、まず毒性と言った点では特に人体に影響はないことをバイオセーフティの観点でNASAの専門家が確認しています。また漏洩自体は先ほどからあるように電子機器の故障にもつながりますので、水バッグが打上げ振動で損傷しないことを振動試験で確認しております。ガラスの破損についてはカプトンテープで覆うとか、ジップロックに入れておいたら、万が一破損しても、飛散しないような対策がとられていることを確認しております。シャープエッジでございますが、これは現品、完成品を触診しまして、鋭利な端部がないことを確認しております。
 こちらはガラスの破損対策の詳細なのですけれど、アンプルの方はカプトンテープで覆われていますし、ディテクタの中にもガラス材を使っているわけですが、こういったものはステンレス容器の中に入れて、蓋をカプトンテープでとめておりますし、右下のようにジップロックの状態でステンレス容器は入っていまして、多重の対策がなされています。軌道上で宇宙飛行士はこのジップロックバッグは開けることはございませんので、ガラスの飛散対策は維持された状態で実験がなされて、地上で回収されます。
 あとバッテリですけれど、こちらはボタン電池になりますが、リチウムイオン製のものです。UL規格品でありますし、低エネルギーであるということで、あとISSの安全要求を満足することを確認しておりますので、リスクは非常に小さいと考えております。
 次からが国の安全指針への適合性の評価結果になります。30ページ以降に付表1というのがございまして、指針への詳細な適合の結果を示しているわけですけれど、ここではその要約をお示しします。今まで説明した内容とかぶるところもありますので、飛ばしながら説明していきます。
 2項の適応範囲ですけれど本指針を準用して本装置の安全性評価を行いました。
 基本的な考え方のところですけれど、こちらの方はハザードの識別で、ここの指針にあるようなア~カの優先順位に従って安全確保の方をしております。
 18ページの宇宙環境対策でございます。安全に関わる機器、もしくは船外環境の機器に対する要求ですので、この装置に対しては適用外となります。
 19ページ4(2)の誘導環境からの保護という点では振動試験を行って打上げ環境で破損しないことを検証したということ、そしてイのところの軌道上の誘導環境といったところも環境制御の機能を持たない他、先ほど言った材料選定できちんと問題のない材料を使っているというところで、この指針に対して一部は適用外ですが、適用しているものについては適合性の方を示しております。
 構造でございますが、打上げとかクルー荷重や帰還に耐える設計の方を行っていることを確認済みでございます。
 5(3)の構成材料にございましても可燃性や有害ガスの発生が少ない材料を選定してあり、難燃性のソフトバッグで保管されていることを確認済みです。6(2)の信頼性のところですけれど、これは安全に関わるシステムへの要求になりますので、この装置に対しては適用されません。
 6(3)の保全性といったところのイの危険防止ですが、保全に伴って粉塵や流体の漏洩防止、または取り外しが安全にできることを要求されているわけですけれど、この装置は粉塵等が発生するような作業は行わずに鋭利な端部もないこと、水バッグも含めて振動環境に耐えることを振動試験で確認済みだというところで適合していると考えております。品質保証についても管理や検証とその記録、それが適切に行っていることを確認しております。
 ヒューマンインターフェースのところですけれど、シャープエッジの除去といったヒューマンインターフェースに関わる設計がなされております。
 誤操作緊急対策に関わる要求のところですけれど、この装置の安全に関わる機器でございませんので要求の対象外となります。
安全確保の体制でございますが、開発原局から独立しました部署、先ほどご説明したように私どもの部屋は原局からは独立した部署が見ておりまして、安全開発保証活動を独立に行っております。
 結論としましては、JAXAの有人安全審査会についてハザードの識別とか、制御方法の設定であったり、検証結果を審査して安全解析が適正に実施されていることを確認しました。また安全審査委員会では有人安全審査会の審査結果および国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」JEMに関わる安全対策の評価のための基本指針、これらに適合していることも確認しております。これらによりJAXA Space PUPⅡに対して適切な安全評価がなされていると判断しております。
 続きまして付録、次ページですけれど、添付としては、こちらの方で適用文書であったり審査文書の添付1、添付2が略語集、付表1については適合性の立証対照表になります。要約の方は今説明いたしましたので、ここでは説明の方は割愛したいと思います。適宜ご参照いただきたいと思います。長くなりましたが説明は以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございます。詳しく説明いただきまして、図表の方もリストアップされているのを確認させていただいて、適切に要約されているというのを確認させていただいております。
 そうしましたら、ご質問等ご意見がございましたらお願いできますでしょうか。熊崎先生、手が挙がっていますね、お願いできますでしょうか。
 
【熊崎委員】 熊崎です。ありがとうございます。念のための質問です。12ページでオフガスのことをご説明いただきました。毒性面のことを確認されたと思っているのですけれども、ガス自体の可燃性についてご確認はされているのかを教えていただきたいです。もう1点ございまして、宇宙ステーションにおいて着火源となりうるような静電気は飛ぶのでしょうかということを教えていただければと思います。以上です。
 
【小林室長(JAXA)】 ご質問ありがとうございます。オフガスの評価のところでございますが、毒性とか、今のオフガスが可燃性を持っている、といったところを気にしておりまして、レイティングの方が材料ごとに設定されています。ここではレイティングが良いものを使って毒性や可燃性も考えた上で材料選定がされています。
 もうひとつ、静電気ですけれども、気にしています。静電気放電はやはりクルーと物品との間で飛ぶことはよくあることでして、そのために少なくとも物品どうしはきちんと壁に接触させるとか、構体に接触させるようなことは気にして作っています。
 
【熊崎委員】 ありがとうございました。よくわかりました。
 
【木村主査】 ありがとうございます。静電気、鋭いですね、私もちょっといい勉強になりました。柿沼委員、お願いいたします。
 
【柿沼委員】 先ほどポリカーボネイトの入れ物のことを説明いただきましたが、この2つの比較実験の中でポリカーボネイトの中に水の入ったバッグを入れると、そうすると水が入っていないセットの場合には、それは空気の状態、空洞…、そちらは入っていない状態になっているということでしょうか。
 
【小林室長(JAXA)】 ご質問ありがとうございます。ポリカーボネイトの容器ではない方はステンレス容器だけになっておりまして、写真に載っているようなもの、右上の写真のようなもの、こういうものをジップロックバッグに入れた状態で保管されます。もうひとつの容器の方は、その周りにポリカーボネイトの容器をつけたもの、ですからポリカーボネイトの容器があるかないかでセットを分けています。
 
【柿沼委員】 では水バッグが入っている方はポリカーボネイトの容器と合わせたセットになっているということなのですね。
 
【小林室長(JAXA)】 はい、すみません、ちょっと説明が不足しておりました。申し訳ないです。
 
【柿沼委員】 ちょっと理解がきちんとできていませんでした。そうするとセットとしては、そういう周りがある入れ物と、周りがない入れ物の2つのセットで、あとはISS上で保管されているということになるということですね。
 
【小林室長(JAXA)】 はい、その通りです。
 
【柿沼委員】 わかりました。ありがとうございました。
 
【木村主査】 確かに外側のポリカーボネイトの容器も含めた特性になると言えばなるという感じになりますね。そこの影響はあまり大きくないだろうというのはわかりますけれども、そういう形で試験をされているということですね。
 他、いかがでしょうか。ちょっと私からも1点、例えば衛星の方でコンフィグレーションという考え方をする時に、ステンレス容器自体は完全に封入されているのでそこの中にはもう全くアクションされず、完全に封入されている。ポリカーボネイトのケースがある方については、地上に持って戻る時にステンレス容器だけにするために、それを開けて中のものを取り出すという、要は取り出しの操作をするというコンフィグレーションであると思うのです。そこで、水バッグ6Lというのは結構多いのだろうなと思ったのですけれども、その時に何らかの問題が発生するということも含めて、先ほどの材料であるとか構造的な強度というのは試されていると、そういう理解でよろしいですね。
 
【小林室長(JAXA)】 そうですね。クルーによるハンドリングの荷重は考慮しています。外す時のクルーの、これはハサミとかを使ってカプトンテープをはがすのだと思いますが、それでかつポリカーボネイトを廃棄用バッグの方に捨てるわけですけれど、そういったクルーのハンドリング荷重の方は考慮して設計されています。
 
【木村主査】 その作業の時に水の漏洩とかをケアした環境でやるということはなく普通の状態でやるのですね。思ったのは、シャープエッジはずっとケアされているのだけれども、開ける時にハサミ等を使うという時で、若干そこが、クルーのオペレーションにはなるので、接する可能性はあるという気はするのですけれども。
 
【小林室長】 なるほど。今のハサミ等は常にクルーが日常使うものとして軌道上に用意しておりまして、彼らは操作に慣れているというところと、シャープエッジが考慮されたものを使われますので、そういった道具による影響も特にないかと思います。
 
【木村主査】 わかりました。ありがとうございます。この件とは関係ないのですけれど、ハサミというのはやはり浮遊しないように固定された状態でうまく使えるような工夫をされているのですよね、きっと。
 
【小林室長(JAXA)】 よくあるのがベルクロテープですか、小さいものを付けておいて壁に付けておくとかですね。あとは自分の体に付けることもあります。そういう形で変に浮遊しないようにはなっています。
 
【木村主査】 なるほど、それは標準的な装備としてすでにクリアされている状態なので、そこを使うことは全く問題がないという前提で大丈夫ということですね。
 
【小林室長(JAXA)】 はい、その通りです。
 
【木村主査】 ありがとうございます。他、いかがでしょうか。先ほど実はご説明の中で細かいことなのですけれども、最後にポリカのケースを外すというプロセスがあるというのは、ちょっと説明として印象に残らなかったかなと思ったので、そこだけちょっと気にしました。
 いかがでしょうか。大丈夫ですか。こちらの方で、私の方での話をうかがいまして、プロセスそのものについてもここでご議論いただいたと思います。想定しうる、この委員の中で皆さん気にされているハザードになりうる要件というのはすべてこのハザードのカテゴリーの中で議論されているというふうに理解できました。
 もしよろしければ、この審査結果について小委員会として次回の宇宙利用部会の方で報告したいと思っております。利用部会において最終的に決定いただく審議結果、これの案を事務局の方でまとめていただいております。これをまず説明をいただきたいのですけれども、事務局の方お願いできますでしょうか。
 
【木元補佐(事務局)】 はい、承知いたしました。今、資料53-1-3としてお示ししています、「調査審議結果(案)」というもので、次回行われる宇宙開発利用部会に小委員会の報告として上げていきたいと思っております。
 構成としては概要と調査審議の方法についての若干の言及と結果について、参考資料として各委員会の委員の皆さんの名簿と、本日使用しました資料という形になっております。
概要としましては、今日行われました、JAXAが行った安全審査についてのプロセス審査ということで、調査・安全小委員会での確認結果をとりまとめた、ということを示しております。方法としましては2段階になっており、調査・安全小委員会、本日2月16日の第53回での確認と、それを受けた宇宙開発利用部会での審議ということで、決定事項になっていきます。
 調査・安全小委員会ではJAXAから示された資料をもとに、JAXAの実施した具体的な要素・搭載物に関わる、本日の場合ですとSpace PUPⅡになりますが、これに関わる安全審査の方法や結果等が所定のプロセスや考え方に即しているかを確認いただきました。宇宙開発利用部会としてはその報告を受けて、調査審議を行ったという内容でございます。
 結果といたしましては、3番に書いてありますとおり、JAXAが実施したSpace PUPⅡに関わる安全審査の方法や結果等について、安全審査体制、プロセス、安全解析およびそれへの対処の観点から調査審議した結果、JAXAが実施したSpace PUPⅡに関わる安全審査の方法や結果等は妥当であると評価する、またこのことからJAXAが実施している安全審査のプロセスや考え方は適切に機能していると判断する、ということを結論といたしまして、宇宙開発利用部会の決定事項としてオーソライズしていただくということをここでご提案いたします。
 あとは参考資料という形で部会の名簿と小委員会の名簿、それと最初にお示ししましたこの調査審議の位置づけに関わる資料と、本日JAXAにご説明いただきました審査対象としてSpace PUPⅡを用いました安全確認の中身の資料という構成で資料を作っております。説明は以上になります。
 
【木村主査】 ありがとうございます。それでは資料53-1-3を利用部会に、審査結果(案)として示したいというふうに思っています。
 また先ほど事務局からありました小委員会から利用部会への報告資料の書きぶり、この辺については主査である私にご一任いただければと思いますが、そのような進め方でよろしいでしょうか。特に調査、審議のポイントのところで、先ほど委員の先生方からコメントいただいていた、例えば水の漏洩等について議論されているところとか、あと素材について、オフガス等の検討、あるいは可燃性についての検討もされているかとか、そういうようなところもご指摘いただいたようなところを含めるということかなと思っております。このような進め方でよろしいでしょうか。ご異議ございましたら挙手にてお願いできればと思うのですが。大丈夫ですか。よろしいですかね。ご異議なしということで進めさせていただきたいと思います。
 先ほどご説明したようなプロセスで本日の審査結果を次回宇宙開発利用部会に報告することといたします。本日の議題はこれで終了でございます。皆さんありがとうございました。続きまして事務局から事務連絡がありましたらお願いしたいと思います。
 
【竹上企画官(事務局)】 事務局です。本日はありがとうございました。会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は文科省ホームページにすでに掲載させていただいております。また、本日の議事録については委員の皆さまにご確認いただいたのちに文科省のホームページに掲載させていただきます。次回、小委員会ですが候補日が見えてきた段階でご連絡さしあげたいと思います。事務連絡は以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございました。それでは本日はこれで終了といたします。皆さまどうもありがとうございました。
 
【全員】 ありがとうございました。

―― 了 ――

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