宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第47回) 議事録

1.日時

令和5年5月25日(木曜日) 12時30分~14時30分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. H3ロケット試験機1号機打上げ失敗原因調査状況について(一部非公開)
  2. その他

4.出席者

委員

主査 木村 真一
主査代理 神武 直彦
専門委員 柿沼 志津子
臨時委員 笠原 次郎
専門委員 門脇 直人
専門委員 熊崎 美枝子
専門委員 辻村 厚
専門委員 中西 美和

文部科学省

研究開発局長 千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当) 永井 雅規
研究開発局宇宙開発利用課長 上田 光幸
研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹上 直也
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 木元 健一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 宇宙輸送技術部門 事業推進部長 佐藤 寿晃
 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史

5.議事録

【木村主査】 それでは第47回宇宙開発利用部会調査・安全小委員会を開催いたします。今回はH3ロケット試験機1号機の打上げ失敗に関する4回目の議論になります。本日もこれまでと同様にオンラインでの開催となっております。委員の皆様にはご多用のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは事務局から本日の会議に関する事務連絡をお願いします。
 
【竹上企画官(事務局)】 事務局の宇宙開発利用課竹上でございます。本日、所属委員8名皆様ご出席いただいております。次に、本日の資料は議事次第に記載の通りです。オンライン状況について音声が繋がらない等の問題がございましたら、事務局へメール・電話等でご連絡ください。以上でございます。

【木村主査】 ありがとうございます。それでは議題の方です。H3ロケット試験機1号機の原因究明について、前回の会合から約1ヶ月経ちましてこの間JAXAにおいてFTAの精査と故障シナリオの抽出、これが進められていると理解しております。それに基づいて、様々な検証・評価作業も並行して進められていると理解しております。本日はそうした原因究明の進捗状況について確認していきたいと思います。
 また、前回確認しましたようにもう一つ重要な要素として、H-ⅡAとの切り分けというところもあったと思いますが、本日の議題の中心になっていくと思います。
 なおロケットに関しては機微な技術情報を取り扱う部分については参考資料1の運営方針に基づきまして、非公開とさせていただくことをご了承ください。
 それでは早速議題に入ります。資料の説明を、JAXA宇宙輸送技術部門事業推進部の佐藤部長並びにH3ロケットプロジェクトマネージャーの岡田プロジェクトマネージャー、よろしくお願いいたします。

【佐藤部長(JAXA)】 本日もよろしくお願いいたします。木村先生ご紹介の通り前回以降の進捗を公開、それから非公開パートに分けて整理をいたしました。今回かなりボリューミーになっておりますので、説明の方は効率的に実施したいと思います。また全般岡田の方から説明いたしますけども、H-ⅡAの水平展開的な観点については私の方から後ほど説明したいと思います。では岡田さんの方からよろしくお願いいたします。

【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 H3プロジェクトチームの岡田でございます。どうぞよろしくお願いします。
 それではお手元の資料47-⁠1に沿いましてご説明させていただきます。ページを1枚めくっていただきますと目次が出てまいりますけれども、本日の報告の内容、原因究明の状況として先ほど木村先生からおっしゃられたとおり、H-ⅡAとの切り分けというのは非常に重要な要素ですので、H-ⅡAへの共通要因、そしてH3ロケット固有の要因、ここに極力仕分けながら、原因究明を進めてまいりました。その状況をご報告いたします。そして3項では、それを受けた形でのH-ⅡAロケットへの水平展開。そして最後まとめということで進めさせていただきます。
 2ページをお開きください。本日のご報告の内容はいま目次でご説明した通りですが、この点線の部分が前回までのご説明の範囲です。それに加えまして、今回は丸1丸2ということで、H-ⅡAロケットと共通の要因、そしてH3ロケット固有の要因と、発生要因を切り分けました。丸1丸2と示してございます。そして主に丸1の部分につきまして原因の特定、それから是正の対策にアプローチしておりますので、この内容についてご報告したいと思います。加えてH3ロケットの固有の要因につきましても進捗しておりますのでご説明をいたします。
 3ページに参りまして原因究明の体制でございます。最初のこの回で、原因究明の体制を黒字の部分でご説明させていただいたのですが、特に今回は電気系がかなりフォーカスされてくるということでJAXAの中の各部門、それからの独立評価の組織の電気系の専門家に集結してもらっております。加えまして外部の有識者であるとかJAXAのOBの方々にも参加いただきまして、原因究明を進めてまいっております。また右に目を転じていただきますと三菱重工さんの原因究明チームございますけれども、三菱重工さんにおいてもシステム電子機器、そしてエンジンの関係がありますので、エンジン製造部門そして三菱重工さんの独立評価の部門など総力を挙げて取り組んでまいっております。特に5月に入りましてからは、JAXAとその三菱さん一体となってゴールを目指すという形で集中的に協議を進めておりまして、我々JAXAが名古屋地区に出向いて、膝詰めで検討を続けているのが現在の状況でございます。したがいまして、プロジェクトの中の見解というよりは、むしろかなり客観的な評価に主眼を置いて進めているところです。
 13ページまでは前回までにご説明しておりますので、14ページに飛ばさせていただきます。お開きください。原因究明の状況といたしまして、2段エンジンの制御系統のH3ロケットとH-ⅡAロケットの違い、これはハードの違いだけではなくて、この下の図にございます左右がH3とH-ⅡAですが、緑色に塗った部分が同等の仕様になっております。このハードの違いではなくて同等仕様の部分での使い方や、フライト環境の違いに着目して、FTAの各要素を前回までは丸1と丸2という形で識別していなかったですが、明確に識別しながらの方がよりクリアになりますので、FTA上も識別して進めております。
 15ページ、FTAのその上位の部分のFTAでございます。赤字の部分が前回のご報告からの更新点ですが、まずこの真ん中辺りの列に共通性ということでH-ⅡA固有なのか、共通なのかということを真ん中の列に赤字で識別してございます。レイヤーで申しますと3.2.3「PSC2から電源供給している下流機器の過電流」というのがH-ⅡAとH3との共通部分でございます。その他はH3固有ということで、今回3.2.3のところの過電流を赤字にしてございますが、この説明をさせていただきます。左下に注意書き※2ということで書いてございます。前回までは短絡または地絡とこのように表現していたのですが、あらゆる可能性を検討すると前回ご報告いたしましたが、その結果として、ここは一旦過電流ということに少し視野を広げて検討を加えてございます。具体的にFTAを更新した場所なのですが、3.2.1項の「過電流誤検知」につきましては前回「△-」だったものを、「×」にしてございます。後ほどご説明しますが、フライトデータ、それから再現試験をくまなく見ましたところ、誤検知の可能性はないということを結論しております。それから3.2.3項の「△」の部分ですが、引き続きFTA上に残っている故障モードの確からしさに基づいて評価を継続中でございます。
 16ページには前回まではこの後ろの方に付いていたFTAですが、前の方に持ってまいりまして、3.2.3の過電流を3次要因として起点にいたしまして、そこからフローダウンしたFTAでございます。この中で同じように共通性ということで、列を一つ設けましてH-ⅡAとの共通部分は、グレー、薄いブルーでハッチングしてございますが、この中で赤字の部分が変更点でございます。3.2.3.1.1.4の「真空環境」のところが「△」から「×」にしておりますけども、これは真空環境での作動試験を行った結果として当初懸念しておりましたニューマティック・パッケージを電源オンしたときのグロー放電が発生しないということがはっきりしましたので、ここはグロー放電という観点では真空環境は「×」であると結論付けました。その他「△」が残っているところは上の方にはH3固有の部分の「△」が主に機械的環境で残ってございます。それから3.2.3.1.2.2下から3分の1ぐらいのところですが、ここに「製造ばらつき環境、仕様による複合要因」、これは前回と同様に「△」を残してございます。最後の行ですが、H3固有ということで、評価のところも全て赤字になっている部分です。今回、短絡地絡を一旦過電流と少しスコープを広げた所以なのですが、3.2.3.5という4次要因にございますように「電源供給しているPSC2と下流機器の連成による過電流」何らかシステム的に何か起きていることはないかということで、もう少し可能性を追求するということでここに1行加えておりまして、この内容につきましては後ほどご説明したいと思いますが、何かH3固有かつ必然性のあるシナリオはないか、ということをもう一度確かめている部分でございます。
 それでは17ページにまいりまして、これは過電流検知を排除したところのご説明のページでございます。今までのご説明の中では以下のデータを主にご説明しておりましたが、PSC2の上流にある電源を供給しているVーCON2、飛行制御コントローラーですが、ここのデータでワンポイント電流に有意な挙動があることを確認いたしまして、これはA系からB系に切り替わる瞬間なのですが、ワンポイントデータが取れております。そのデータはどういったデータかといいますと、フライトで仮に誤検知が発生したとした場合に、フライトで得られているA系の電流データの切り替えタイミングというのが推測できます。このタイミングでB系の電流がどうなっていたかというのを見てみますと、このB系の電流データも取れているのですが、その取れたデータが再現試験やその解析などのデータと矛盾していると、つまり誤検知と仮定した場合には矛盾しているということがわかりました。従いまして、過電流誤検知については、FTA上で「×」としまして過電流に絞り込みを完了いたしました。ここまでがFTAの一番アウトラインの部分でございます。
 18ページ以降FTAの各論に入ってまいります。18ページですがこれは前回の再掲の部分です。FTAについては各故障モードについて、蓋然性をしっかりと見極めて優先順位をつけました。ランクの高いもの、つまり蓋然性確かさが高いものから優先的に検討していくということで進めます、ということをご説明しました。ただし、少し優先度が低いものも排除はしないと、この排除はしないという結果が先ほどのFTAに一つ追加した部分になります。大分考えがクリアになってきたということなのですが、その意味で後ほどご説明したいと思います。
 19ページは前回ご説明した内容ですので割愛させていただいてR5からR1までのシナリオの例をご説明しております。R5が最も優先度が高いと見ているところなのですが、そのあたりの考えをどのようにしているかを、20ページを用いてご説明したいと思います。
 20ページをご覧ください。文章ですけれども、R5の範囲というのは下の図で言いますと赤い部分です。一番右側の赤い部分でして、SEIGと同時に通電してかつ単品故障で事象に至るという部分、かつ、それはH-ⅡAとの共通要因であるということです。従いましてR5と想定した場合には、部品単位で要素ごとにそのシナリオを立てて検証に取り組むことによって、ここに対しての対応ができうるということで取り組んでまいりました。これは前回検討しますと申し上げたところです。また前回引き続き検討することといたしましたR3とR4の領域ですね。これにつきまして下の図で言いますと、より上流の部分なのですが、これについては偶然ではなく、H3システムとして必然的に発生した要因が一つでないかということを改めて集中的に検討を始めています。例えばH3固有の部分とH-ⅡAの共通部分との組み合わせで起きるような事象です。ここがありや、なしやということを今並行して検討してございます。後ほどその状況につきましては固有要因ということでご説明したいと思います。
 21ページ以降は、数ページにわたりまして前回ご説明した部分の再掲なので、ポイントだけご説明いたします。
 21ページは故障シナリオと検討と原因究明の進め方ということで、左下にありますように、まず部品レベルで要因を絞り込んでシナリオを立て、そのシナリオを検証しております。その対象は右の図にあります紫でハッチングした部分であるとご説明いたしました。
 22ページには、その部品レベルでの着眼点。それから23ページにはフライトデータのタイミングから、その範囲として追い込んでいる状況。そして24ページには、それがエンジンの電気系コンポーネントに集中されていくわけですが、この下にございますようなニューマティック・パッケージ、ハーネス、エキサイタ、各内部の部品についてどういうものが対象であるかというのを示した図でございます。これも前回からの再掲でございます。
 25ページもほとんどが再掲の部分なのですが、25ページで述べてございますのは、製造時にこういった不具合が内在するポテンシャルというのはどこにありそうか、ということを述べたものでございます。まずここを出発点にして検討してございます。
 26ページ以降は、本日その結果をご説明するパートでございます。故障シナリオの抽出および故障シナリオの検証ということで、上2つはこれまでご説明してきた状況でございます。この黒い枠で囲んだ部分ですが、前回ご報告した17個の故障シナリオがございました。そのシナリオの原因究明の過程で、エキサイタの作動の際に内部のトランジスタに定格電圧を超えるサージ電圧が繰り返し印加されることが新たに判明しました。これはH3だからということではなくH-ⅡAから存在していた事象でございまして、これは故障シナリオとして追加すべきということで、17に1個加えましてNo.18を加えた次第でございます。合計18個のシナリオの中で検証試験、あるいはその結果を吟味する過程におきまして9個の故障シナリオを可能性から排除いたしました。内容については後ほどポイントをご説明したいと思います。残る9個のシナリオにつきましては短絡地絡が発生する可能性を排除できないことから、これら全てについての対策を設定いたしました。これにつきましても後ほどポイントをご説明したいと思います。27ページから31ページにわたりましての4ページは18個のシナリオにつきまして、表の左列から部位とシナリオ、そして検証内容、ここまでは大半はご説明しておりまして、一番右列が原因特定の進捗結果でございます。後ほど、一件一様でご説明するパートありますので、この資料をサマリーとして後ほど別途ご確認いただきたいと思うのですが、このグレーのハッチングをしている部分が、可能性として排除した部分でありまして、白抜きの部分が何らかの対応をすると、原因の可能性は現時点では排除できないので何らかの対応をするとした部分でございます。これら順を追って32ページ以降でご説明していきたいと思いますが、ここからは本当に部品一つ一つの細かなご説明になりますので、代表例を少しピックアップしましてご説明させていただきたいと思います。後ほど、何かご質問ございましたらお答えしたいと思っております。32ページに参りまして、こちらはニューマティックの内部のトランジスタの故障でございます。トランジスタは真ん中の写真がございますが、この写真にあるようなトランジスタのドレインピン、左の図にあります赤い線の部分なのですが、素線が外れかけていて金属との距離が近くなり、打ち上げ前までは地絡仕掛けていたものが打ち上げの衝撃などで完全にここが外れ、接触し地絡したというシナリオでございます。これはいろいろとこのようにX線CTを撮ったり、技術的な検討をした結果、ドレインピンの素線が仮に脱落したとしても金属には接触せず地絡に至らないということから、このシナリオを否定しております。このようにいくつかご説明しますが、ここから先はどちらかというとそのシナリオを排除する側のご説明が続きます。33ページに参りますと同じくニューマティックの内部のMOSFETのリード線の故障です。これはリード線がケースに接触した状態で組み付けられていた場合に、いろいろな事前試験であるとか、打ち上げの環境でこのリード線の被覆が剥がれて金属と接触し、短絡地絡したという内容なのですが、こちらはかなり使い込んだ開発残品を分解して点検したんのですが、リード線の磨耗が全く見られないということから、使用履歴の短い1号機の現品につきましては、こういった可能性はないだろうということでこれも否定しております。
 34ページはハーネスです。ハーネスにつきましては、ケーブルですが、これも同じように何らかの要因で被覆が損傷した場合に、短絡または地絡する可能性があるのではないかということで開発残品の調査、あるいは射場で低温化する可能性のある部位ですので、実際に低温化させて損傷がありや、なしやということであるとか、あるいは振動試験を行いまして、加振中に何らかの短絡地絡がないかということを確認したのですが、これにつきましてもそういった兆候は見られないということから本シナリオを排除しております。
 35ページはハーネスのコネクタ部の問題です。コネクタは下の写真にございますようにこれ1号機の写真記録なのですが、このコネクタを結合する際に中にコンタミ(ゴミ)に金属のものが入っていると、そこが下の真ん中の赤い線の図のようにショートとするという可能性を考えました。実際の写真を見ますと、記録が全て残っていて健全であるということから、このシナリオは発生しないとしております。
 36ページは、エキサイタの話です。エキサイタの中にはトランジスタが存在しておりまして、トランジスタをこの1号機に関しては交換をしております。交換をした際に熱負荷がかかったために、トランジスタ内部のダイが損傷して、打ち上げ前までは短絡しかけていたものが、打ち上げ時の衝撃などで、完全にやられた場合を想定のシナリオ化しました。ただこれにつきましては、打ち上げ前に右下の図のようにスパークレートのデータが取れるのですが、そのトレンドを見ましてもこの一点だけこのダイ損傷時のデータというのが、実際にダイが損傷したか、過去の例なのですがこういった場合には明らかに傾向が異なることに対して、1号機については非常に良好なスパークレートが取れておりますので、これについては対象ではないと判断いたしました。
 37ページに参ります。37ページはエキサイタ内部のトランスの故障なのですが、これはFTA上で、先ほどご説明しましたニューマティック・パッケージを打ち上げ後のある時間でオンにしたときに、一瞬エキサイタまで通電が発生してグロー放電が発生するということを想定しました。これは、実際に真空試験を行いまして500回ほど作動したのですが、その結果としてグロー放電は発生しなかった、ということからこの可能性はないということで否定をいたしました。38ページはエキサイタ内部のダイオードの故障です。ダイオード2次側の回路が故障になってオープンになった場合に1次側に過電流が発生する可能性はないかというシナリオなのですが、これにつきましてはオープン故障を模擬した試験を行った結果として、2次回路のオープン故障で1次側に過電流が発生しないということがシステム的に確認できましたのでこのシナリオは排除いたしました。
 39ページは、一つシナリオとして追加したエキサイタ内のトランジスタの故障です。冒頭ご説明いたしましたように、実際にトランジスタの中には定格以上の電圧が加わっている可能性が非常に高いということは事実としております。それが起きた場合のシナリオなのですが、シナリオの詳細というところをご覧いただきますと、エキサイタの電源はSEIGのときにONになりますが、そのときに内部の電気的発振動作でトランジスタに絶対最大定格以上の電圧が印加されると、これを地上で繰り返すことによりまして、徐々にトランジスタを損傷して電圧に対する耐性が下がってくる。そしてフライト中にいよいよエキサイタの電源をオンにしたときに定格の以上の電圧に耐え切れずに降伏(短絡)して、過電流に至るというシナリオでございます。これは回路シミュレーションであるとか実際の電圧の波形を計測することによりまして、この定格以上の電圧が印加されている可能性は高いということが判明いたしました。従ってあの現象は先ほどご説明したようなシナリオとして否定できない状況にあるというものでございます。今縷々状況を主に排除した部分についてご説明してまいりましたが、それ以外の部分は逆に排除できないということで、40ページにつきましては、冒頭説明を省略させていただきました18個の故障シナリオから残る9個についての対策をまとめてご説明します。大きくは絶縁の強化、検査の強化、そして部品の選別、この3つの攻め口で対応をしてまいります。短絡地絡が発生することが、リード線や基盤の接触によって起こりうる部分につきましては絶縁の強化を図る。それから絶縁強化の処置が難しい箇所については、接触の可能性を十分排除できるような隙間があることをX線CTによって確認する。製造後のデータを検査することによりまして、損傷の兆候がないことを確認するというものでございます。最後にご説明したトランジスタにつきましては、その内部をチューニングしまして定格電圧を超えない条件となるような部品を選ぶということで対応していきたいと思います。このように9個の対策を全て講じることによりまして、H3それからH-ⅡAに共通する要因につきましては排除できると考えております。
 41ページ以降数ページにわたりまして、先ほど3つの対応について、どのようなイメージかというのを一件一様でご説明しておりますので、それをご説明したいと思います。41ページ、まずニューマティック・パッケージの中のソレノイドのリード線の故障。これはリード線が何らかの要因で接触するというものなのですが、絶縁を強化するということで下の図とあわせてご覧いただきたいのですが、まず右側の図にございますように、リード線の振れ回りを防止するような固縛を行う。あるいは露出部分について絶縁材を塗布する。金属ケースの内面には保護テープを追加する。といった内容でございます。
 42ページはエキサイタの中のコンデンサの故障についてです。これはコンデンサが取扱の不良などで、右下の写真にございますようにケースに接触するような形で誘電体が損傷しかけていたものが、打ち上げのときに完全に故障したということを想定しますと、やはり製造が健全であることを確認すべきであるということから、検査を強化するためにX線CTで、この内部のタンタル(誘電体)の位置関係が健全であることを確認するといったものでございます。
 43ページはエキサイタの中のコンデンサの故障に関してです。コンデンサから出ておりますリード線がケースに近接していたことで接触するというものです。このエキサイタは左の図にございますように、コンパクトの中にギュッといろいろな部品が詰まった構造になっておりまして、比較的短絡なり地絡のポテンシャルが相対的には大きいものだと思いますで、入念にここは絶縁の強化、そして必要な検査の強化をするということでリード線が接触しないようにするということを対応としてございます。
 44ページは、同じくエキサイタの中の貫通フィルターの故障です。貫通フィルターが損傷しかけていた場合には、真ん中の図にございますように、誘電体の中でHOTとGNDが地絡する、接触するということになります。ここに関してはあらかじめX線CTを行うことによりまして貫通フィルターに地絡に至る損傷がないことを確認します。これは一番右の写真のような画像が撮れるのですが、このようなことで健全性を製造時に確認するといったものでございます。
 45ページ、これもエキサイタ内部のトランジスタのお話です。リード線の接触につきましては同じく絶縁の強化、それからX線CTによる検査の強化でそのポテンシャルを排除していくというものでございます。
 46ページ、こちらも同じくエキサイタの中のフィルターに関してなのですが、フィルターについてはまずX線CTでの検査を追加して接触する可能性を排除するということが1点と、絶縁シートの巻き数が今1.5巻あり、かなり窮屈なところで分厚い絶縁になっているところを1巻で十分であるということを技術検討した上で厚みを減らしまして、なるべくケースに収納しやすい状態でコントロールしていくといったことなどをこの対応として図ります。
 それから47ページです。同じくエキサイタの中のトランジスタにつきまして、これも摩耗粉などで接触すると地絡する可能性がある、土台のところにあるということで、これは検査を強化することによって、摩耗粉などがないことをあらかじめ確認するという対応です。
 48ページに参りまして、エキサイタの中のコイルなのですが、コイルに関してはあらかじめスパークの開始電源電圧の検査をすることによって電圧にノイズがないことを確認できます。それによりましてこのコイルの健全性が確認できるということでこの策をとっていきたいと考えております。
 49ページです。最後に追加したトランジスタにつきましては先ほどご説明しましたが、下の図の真ん中にございますように、トランジスタの脇にある抵抗の値をコントロールすることにより、トランジスタにかかる電圧が定格内になるように調整いたします。この結果としてエキサイタのスパークレートが若干下がるのですが、かつての開発試験によりまして、それでもエンジン着火するということを確認している経験がございますので、その範囲の中で使用するということで許容可能というふうに判断いたしました。1個1個が具体的なものですから長くなってしまいましたが、ここまでがH-ⅡAとの共通要因についてのご説明でした。
 ここから先はH3ロケット固有の要因は他にはないかということでございます。少し丁寧にご説明していきたいと思います。過電流(FTAの3.2.3)につきましては、蓋然性に基づきましてR5の事象を検討優先してまいりました。一方でその他の要因はないということでR3・R4の可能性を検討してまいりました。その結果なのですが、少し前回のご説明のときには我々の分析も十分クリアではない部分があったのですが、今は相当霧が晴れてまいりまして、R3・R4という少しR5よりも外にある事象につきましては、やはり偶然ではなくて冒頭ご説明しましたH3システムとして必然的に発生した要因がないかということに尽きるのではないかと考えております。繰り返しなりますがこのH3システムというのはH3固有の部分だけではなくH-ⅡAとの共通部分との組み合わせも含めます。つまりH3ロケットのシステムが偶然以外に、1番としてはSEIG時に発生する。2番としてはA系B系の二重故障が同時に起こるというこういう故障モードは必然的にないかということをもう一度網羅的に抽出しまして、想定されるシナリオの可能性を評価するというアプローチでございます。まず個々のシナリオは検討いたしますが、これらの過程の中で未知の故障シナリオを抽出、あるいは検証を兼ねるということで試験を追加することにいたしました。まず一つ目が電気的な試験としては主に二つです。PSC2とニューマティック・パッケージ、エキサイタを全て組み合わせた状態でこれを真空中で動作させる試験。これによりまして今まで地上で模擬した範囲では問題を見い出せていないということに対して、最終段階の検証を行う中で我々が何かこの中で気づいてないことはないかということを最終的に検証いたします。エキサイタについては、先ほどのこのトランジスタの件も含めまして、耐久性というのはどうしても確認する必要があると思っております。したがいまして、エキサイタの耐久試験を行います。加えまして、後でご説明いたしますけれども、真空試験というのは真空チャンバーの中に入れて作動させます。実機大の分離試験というのは後ほどご説明いたしますけれども、これも種子島宇宙センターで行いまして、今までこの分離試験による直接的な影響はなかなか考えにくいとしていたものの周りに何か潜んでいないかということを見極めたいと思います。今後の評価結果に応じまして、真にR3・R4と前回ご説明したもの。つまり、全てが偶然の組み合わせという意味なのですが、これについては発生確率が低いことから棄却する予定でございます。では少しその固有の要因についてのその評価の方針について具体的なところをご説明していきたいと思います。51ページに参りまして、まずSEIG時に発生するというSEIGとの重なりについての故障モードの評価の方針です。ここはSEIGの前後で動作の状態が変化する要素、ここが非常に重要だと考えておりますので、シーケンス・オブ・イベント(SOE)をベースにしましてどの状態が変化するのかということを全て洗い出します。状態変化するものに応じたシナリオを抽出して、フライトデータの分析、解析、試験等で検証をして追い込んでいきます。具体的にSEIGで変化するものが下の表にございます。順次ご説明していきたいと思いますが、まず1つが制御信号ラインの状態が変わります。これによりまして、例えばですが想定するシナリオといたしましてはSEIGの出力前までは電位が不定だったラインと電源ラインの短絡が発生していたとした場合に制御信号がオンになった場合、駆動電流がグランドに流れるということで、これは回路ベースで見ていけばそういったことがありうるかどうかというのはわかりますので、対象となる部位を特定して検討していきたいと思います。それから電流の増加も変化する点です。SEIG以前の電流では機能していた電気部品が電流増加(突入電流の影響も含む)することによって、機能喪失すると。これは高圧回路の安定性の評価などを実施して見極めていきたいと思います。それから電流の変化率も変わります。その結果としてシナリオとしては過渡的なグランド変位がノイズという形で大きくなって誤動作を起こすと。今後ノイズレベルと発生ノイズを改めて評価したいと考えております。次にエキサイタとソレノイド弁への通電。これは我々がずっとマークしているところなのですが、フライト環境等で損傷していたものが通電によって過電流に至るというものでございます。5番目は予冷弁のオフ。予冷弁というのはSEIGと同時に今までオンになっていた予冷弁がオフになります。それに伴いまして電流電圧が変化して電気部品が破損する。これは回路的に起きうるかどうかということなどを評価していきます。そしてアクチュエーターの作動。これは今は考えにくいので割愛いたしますけども、こういったものもシーケンス・オブ・イベント上は洗い出されておりますので、全てここを洗い出した上で、一つずつ検証していきたいと思います。この故障シナリオにつきましては注意書きにございますように、原因究明の進捗によって新たな知見が得られれば修正を加えていくという方針でございます。丸2はもう一つの着眼点であります、A/B系の二重故障が同時に起こるというものです。二重故障というのは同時に偶然起こること以外に何らかの因果関係がないかという見方です。一つは同一要因(設計が同じ)により同時に起きないかということ。それから連成要因です。電気的にA系B系が繋がっているPSC2と電気的に何らか繋がっている系統をもう一度しっかりと見極めて、ここの洗い出しを終えたいと考えております。
 53ページには、先ほどと同じように想定するモードをご説明しております。同一設計/同一仕様部位の破壊に関しては、これは単一要因で損傷することは考えられるのですが、それが同時に起こるというのは少し考えづらいかなというふうに思っているところです。それから、2番目はPSC2のA系B系が突き合わせした部分の下流を介した連鎖と。いくつかシナリオを載せてございますが、一つは下流のダイオードが実装されておりましてこれが故障していた場合に、アイソレートができずにA/B間が干渉して連成によって故障が発生と。二つ目がニューマティック・パッケージの回路が不安定により発振して、電流の変動が影響する。それから三つ目がA系の異常が下流故障を誘発するということで例が下に載せてございます。3番目がPSC2内部を介した連鎖です。共通で使用している部位を介して連成するすべての故障モードを洗い出しまして、シナリオとして検討をしているところです。
 54ページには、先ほど少し触れさせていただきました実機大の1/2段分離試験の様子でございます。実機大の分離試験につきましては、環境条件の規定値を超過したということを前回述べさせていただきました。ただこれは開発試験で実際に検証したレベルよりも低いであるとか、地上での追加の検証でも健全性は保証されているということから単独では短絡地絡が起こりにくい事象とは考えているのですが、タンク間構造丸1と丸2のような衝撃、例えば実際の加工品を作動させたときの状況をダイレクトに見ることによりまして、2段の各部の衝撃レベルの評価をする、あるいは1/2段分離関連の故障モードからの未知の部分も含めまして、直接確認することで今後の対応についての確証を得るということが重要と考えまして、この右下の図にございますように実際の酸素のタンクを分離面からぶら下げた形で火工品を作動させる試験ある程度ダミーの部分はあるのですが作動させる試験を準備中でございます。なお書きになりますが、この試験の結果を踏まえまして搭載機器への衝撃緩和の対応策なども考えられることから、できるだけ模擬度を上げて計画したいと考えております。
 ここまでが原因究明の状況でございまして55・56ページは前回ご質問いただきました機体のグラウンディングの考え方になります。こちらを参考でお付けしております。H3ロケットの開発、あるいは打ち上げに至るまでにグラウンドのところは神経を使って整えながら進めているのですが、基本的な方針としては、まずグラウンドループを形成しないと。やむなく形成される場合にはその影響が最小限となるように対策をする。また強電系と弱電系のリターンを分離する。それから、ノイズ耐性を有することについては、電磁適合性試験を行いましてノイズ耐性を有することを検証しております。ただH3とH-ⅡA/Bに相違点もありまして、それについての対応を下に載せてございます。まず基本的には同じ考え方として電源リターンをシングル・ポイント・グラウンド、右下の図で言いますと1点の部分にA系B系それぞれに存在するようなシングルポイントのグラウンドに集約して、機体のシャーシのグラウンド、それから信号リターンと分離しております。相違点についてもそれぞれケアしておりまして、まず冗長仕様になっている部分、この下の表ですが冗長仕様になっているものについては、一次電源系のシングル・ポイント・グラウンドは各系統で1ヶ所とすると。それからA系B系間で電源/信号リターンがループしないようにするというものです。あと電池を共通化する分につきましては、リターンは機器用と動力用で分ける。ネットワークにつきましても電源系統と信号系統のリターンを分離しておき、シャーシ・グラウンドと信号グラウンドを機体内で接続すると、このような考え方に基づいております。
 56ページには、これまでの試験などにおけるコンフィギュレーションをご説明しておりますが、機能試験については機体を壊さないという観点で接地させて試験をします。EMC(電磁適合性試験)では接地を外して、フライト状態を模擬してシーケンス点検を実施して電気的な正常動作を確認しております。射場での接地はしておりまして、今回打ち上げの失敗後に再現試験を行った場合にはこの右下にありますように接地を切りまして、1/2段の分離後に切断をする部分も含めまして模擬度を高めて実施しております。ここまでがH3についてのご説明です。
 
【佐藤部長(JAXA)】 それでは3項という形でH-ⅡAロケットへの水平展開についてご説明させていただきます。H-ⅡA側の評価、H3の原因究明と並行して、そちらの議論を逐一H-ⅡA側で評価をしてまいりました。先ほど岡田の方から説明いたしました2項の原因究明において共通要因と識別した中で「△」が残っております、この製造ばらつき、環境、仕様による複合要因についてH-ⅡA側での評価を実施いたしました。基本的には2.にありますように、先ほど説明されました共通要因に対する対策、これをそのまま適用することで2段エンジン機器の懸念を排除できるということでH-ⅡAに関する懸念は排除できると評価をしてございます。H-ⅡA側の評価として、過去のH-ⅡA/Bのフライト評価を再度実施いたしました。テレメデーターをくまなく見たのですが、過電流等の異常がないことを改めて再確認を実施しております。下の表は先ほどのものを再掲に近いので説明は割愛いたします。
 58ページに参りまして、再開に向けた評価という形でまとめ的に書かせていただいておりますけれども、繰り返しになりますがH-ⅡAの水平展開から実施した結果として、先ほどの共通機器の対策をそのまま適用することで、H-ⅡAに関する懸念は排除できると評価しております。「また」のところですが、2段エンジン機器の今回の対象となっている部分と共通設計になっております1段エンジン機器、これについても対応をとっていくということで、まずフライト環境で作動するニューマティック・パッケージ、これは2段エンジンと同様の対策を適用するということとしたいと思っております。またフライト前の作動のみのエキサイタにつきまして、1段に2つございますけれども、これにつきましては、まだロケットが飛ぶ前に着火するということで環境要因との複合が考えにくいという点が一つございます。また万が一、その部分で故障が発生いたしましてもリストオフ前に緊急停止で安全に止められるということがございますので、いろいろスケジュール等の観点も考慮いたしまして、対策品はミッションクリティカルな2段用エキサイタを優先的に適用することといたしまして、この部分については1段には実施しないという形にしたいと思っております。H-ⅡAは50機までの計画になっておりまして残り少ないところですが、基本的には今回の検討結果に基づいて最終号機まで一段も含めましてこの対策でいくという方向で考えてございます。ただこの後、先ほど説明ありましたH3の固有の要因等も含めた原因究明の進捗によりまして、要因ではないといったような話が出た場合には対策の再評価をいたしまして要すれば反映を行いたいと考えてございます。H-ⅡA部分は以上になります。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 それでは59ページ最後まとめと今後の進め方をご説明したいと思います。まずこれまでの過程におきまして、H-ⅡAロケットと共通の要因とそれからH3ロケット固有の要因に識別しました。フライトデータの詳細確認から、FTAの要因絞り込みを進めまして3次要因までの特定を終えました。4次要因よりも詳細な原因につきましては、H-ⅡAロケットと共通仕様の範囲について網羅的な検討によりまして対策を設定できました。H3ロケットの固有の要因につきましては、これは前回のご説明では可能性を排除しないと言っていた周辺部分につきまして、これ一見すると偶然タイミングが一致する場合、あるいは二重故障でしか発生しない範囲として残るのですが、これは随分とその検討することによって、その部分が一体どういう意味を持つのかということがクリアになってきましたので、これらに対して1号機のフライトで発生した必然性を持つシナリオについて検討を進めております。H-ⅡAロケットに対する評価につきましては今佐藤部長から説明させていただいた通りH-ⅡAロケットの懸念は排除できると考えております。これが仮にH3ロケット固有の要因が結果として原因だった場合にもH-ⅡAロケットの品質向上に繋がると考えております。従いまして今後の進め方でございますが、まず共通要因については対策を設定済みでございます。固有のH3ロケット固有の要因につきましては必然的に発生した要因の検討を進め対策を確定したいと考えております。参考資料は前回からお出ししておりますものですので割愛させていただきます。長くなりましたがご説明は以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございます。大変詳しいご説明また、この間非常に多岐にわたってご検討いただいていたと思います。本当に敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
前回まではPSC2の過電流による誤検知と下流での過電流と二つ要因がまだあったのを、今回上流の電源に関する情報を活用することで、過電流の誤検知を排除できた、過電流の痕跡が見えたということで、私もこの点非常に気にしていたものですから、これで確証が得られたということで、非常に大きな一歩ではないかと思っております。これからは過電流に集中できるということだと思います。
 その上で、過電流を発生させたということでFTAを精査いただいて、かつその要因をH3固有とH-ⅡA共通に分けて議論いただきました。他の打ち上げ計画との関係もありH-ⅡA共通の部分を優先的に今回検討いただいているというところが、非常に重要かと思います。検証の中で18個あった故障シナリオのうち9個までは排除することができたことも素晴らしいと思います。その上で、残りの9個についてはこれが原因であるということを特定するには至ってはいないけれども、水平展開に対応するという意味で、先んじて対策を検討していただいたという理解です。ここのところの対策が妥当であるか、また十分リスクが低減できているということは今回重要なポイントになるかと思います。
 対策をとられた方針として大きくは3つあって、1)絶縁処理を強化していくこと、2)それからX線CT等を使った検査を強化していくこと、3)物によっては部品を再選定をすること、この3つの対策ということですね。
 あとH3の方の見直しについて、今回一見すると偶然、あるいは二重故障でしか起きないけれども、何らかの必然性を持つシナリオについて再整理されようとしている。これは私も賛成でして、例えばさっきの同一設計であるがゆえの何か問題点であるとか、連成してしまったことによる問題点というのは、おそらくその中に潜んでいる可能性はあると思います。その点を検討いただいているということだと思います。
 さて最初に私の方から1点とても気になっていることがあります。それはH-ⅡAとの水平展開において気になっているところなのですが、奇しくも実はイプシロンのときにも、やはり水平展開の問題が発生しまして、そのときに言ったことです。問題が発生して問題点が見つかった時に、変えないリスクと、変えることによるリスク、というのを両方見極めて、その上でどのようにリスクテイクしていくかということが、非常に重要なポイントかと思っています。今回の対策について、まず検査というのがどういう状態で行われるのか。あるいは物によっては部品交換という話がありましたので、これはどのような作業として発生しうるのか。それがH-ⅡA等に反映した場合に、そちらによる影響、つまり変えることによるリスクはないのかとか、そのあたりのことを最初に伺ってもよろしいでしょうか。
 
【佐藤部長(JAXA)】 ご説明いたします。今ご質問あった点、対策を取ったことが逆の悪さをしないかという点についてですが、基本的にその点はかなり議論をいたしまして特段新たなリスクはないと評価しているということが総論になります。先ほど先生に総括いただきましたが、今回大きく3つの対策をとることにしておりまして、X線CT等の撮影につきましては検査の強化ですね、非破壊検査ですので、部品を外から見るという意味では何ら物に悪さをしないと考えてございます。あと絶縁強化につきましては、45ページあたりが簡単に説明できますので、こちらで説明させていただきます。端子のところに熱収縮チューブをつけるという一般的な電子配線等の処置としては、非常にリスクの少ないものと捉えておりますので、全般的にこの対策についてもリスク低くいけると考えてございます。もう一つの部品の選定につきましては、既にH-ⅡA用のエキサイタが仕上がって機体に付いてございます。これを取り外して中を開けてという対策ではなく、別途製造中の仕掛かり品の部品を変えていくという意味で、部品は同じものを使いますので同じ製造工程で普通に流れるという意味では、そこもリスクがないことで評価しております。そういうことで、この3つの対策を取ったとしても悪さを与えないという評価をしているのが現状でございます。
 
【木村主査】 エキサイタを先ほど、交換されるというのが抵抗の値ということでしたので、おそらくそこの部分を置き換えて、コンポーネントとして出来上がったものを置き換えるという作業ですのでほとんど機体に対してインパクトがない、そういう理解ですね?

【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 49ページご覧いただいているかと思いますが、トランジスタの脇にある抵抗を製造段階で選定していきます。実は今までアッセンブリーとして組み立てとして出来上がってしまったエキサイタはあるのですが、それは使うのを見合わせまして、今まさに製造中でこの抵抗を選べる段階にあるエキサイタを急遽用意しまして、それを適切な抵抗値にしていくというものですので、交換というよりはその製造段階で選定するというイメージです。
 
【木村主査】 製造段階において部品が変わった状態で、製造プロセスが流れるということですね。全体としてのコンポーネントを制作する過程は全く同じなので、そういう意味ではインパクトはない、とそういう理解ですね?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 はい、その通りです。それからの変更点管理というのは非常に重要だと思っておりまして、ものによっては少し手を加えて、今までの経験に内包されない部分については、改めて認定をし直すことも視野に入れて、そこは一つずつ議論しておりますし、またその議論については我々プロジェクトのメンバーだけではなく、少し離れた研究部門の専門家による客観的な評価などを受けながらやるべきか、やらざるべきか、というところを選んでおります。

【木村主査】 わかりました。ありがとうございます。私の方で一番気になったのは全体としてはそこのところが少し気になっておりましたので、最初に質問をさせていただきました。それでは委員の皆様ご質問ご意見等はいかがでしょうか?
 はい笠原先生お願いいたします。
 
【笠原委員】 ご説明どうもありがとうございました。また木村委員長の方からも総括的にまとめていただいて、私も相当理解が進みました。ありがとうございました。質問の観点は、ほぼ今の木村先生と近いところかと思うのですが、まずH-ⅡAとの共通部分に絞るということは非常に重要なことだと思っております。戦略的にも重要だと認識でおりますので、絶縁強化それからX線CT検査をする、この2つは見た目にも物理的にも非常に明確な効果があると理解できました。ただ最後のトランジスタの部分に関しましては、そこの表現にもあるのですが、実際には点火レートを下げるといったことも想定されていて、ただそれは許容の範囲内でということですが、実現象としてこれまでのH-ⅡAの打ち上げを少し修正するようなこともあるのかなと、少し心配に感じました。もう一つは、前者に比べまして抵抗値を変更するというところで、私素人でよくわからなかったのですが、これが本当に絶縁破壊に繋がらないことになるのかといったところが、もう一歩踏み込んで理解したかったものですから質問を差し上げている状況でございます。何を言いたいかといいますと、つまりここの点火に影響はないということに関しまして、今一度ご説明いただきたいということと、それからトランジスタの抵抗値の変更によって、本当にそれが絶縁破壊を引き起こさないことに確証を持ってお考えになっているのかという点に関しまして、今一度説明いただいてもよろしいでしょうか?以上でございます。


【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 先生ありがとうございます。まずスパークレートの実績につきましてはおっしゃられる通り、十分に配慮すべきことだと思っております。したがいまして、正直私も最初に聞いたときにはレートを下げるのはよく考えないといけないことと思っていたのですが、実際に過去の開発試験の結果を整理しますと、さらに低いスパークレートで良好に作動していることがデータで得られております。またこのスパークレートというのは、その作動時の温度環境によってレートが変わりうるものですから実際に今後H3がいろいろなミッションに対応していくときに、温度環境がどうなるのか、ここもかなり広く想定をする必要があります。ワーストケースでもそこにはマージンがあるということを評価した上で、これならばその策をとりうると考えた次第です。ただし、そのマージンの大小というのはまだ十分精査が必要だと考えておりますので、今後必要に応じてH3の活躍時期はこれからやってくると思いますが、そのときによりマージンが確保できるように、例えばもっと攻めたレートでの限界試験を追加で行ってデータを取っておくであるとか、そのあたりの策はこれから追加で考えていきたいと思いますが、現時点の評価としては、そこは問題ないと考えております。それから2点目のご質問で、私も電気の専門家ではないので十分なご説明ができるかは、自信はないですが、トランジスタの定格値がございます。この定格値に対して、今部品の選定をしようとしている抵抗、これが直接的な関係になっておりますので、その抵抗値を選ぶことによってトランジスタが今まで瞬間的に定格外に行っていた部分が定格内に収まる、これは原理的には保証できております。部品ですので、定格内で使う限りにおいてある種の偶発的なもの以外は排除できると思っておりますので、ここに関しては定格内で使う範囲に抑え込めば問題ないと考えております。以上です。ありがとうございました。

【笠原委員】 ありがとうございます。極めて慎重に考えた上でのご決断、ご提案とよく理解できました。全く同意いたします。どうもありがとうございました。
 
【木村主査】 他にはいかがでしょうか?門脇委員お願いいたします。
 
【門脇委員】 門脇でございます。大変丁寧なご説明をいただきましてどうもありがとうございます。今、ご説明をいただいた部分で抵抗値を選定し直すとのお話しですが、トランジスタ側の特性というのもこの抵抗と組み合わせた中での引火電圧の発生というところに出てくると思うのです。ですから抵抗値だけで選定を変えることで、この目的とする範囲内できちっと収めるということが十分可能なのか、あるいはトランジスタの電気的特性のところにも変更をしなければならないような状況ということも、場合によっては、一般的に言うとそういう場合もあろうかとは思うのですが、今回のH3の回路においてはそこまでは考える必要はないと思ってよろしいのでしょうか?

【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 先生おっしゃる通り個々の部品には個性があるということも含めまして、まずは現時点手元にありますトランジスタの個体差、この特性があります。それから手元にあります調整用の抵抗値へのバリエーション。これらの組み合わせで回路シミュレーションでも割り出せる範囲として、この組み合わせにおいて定格以下で使えるということは、そういう組み合わせは見つけうると考えておりまして、そこに手が打てそうなのでこの策を選べました。逆に手元の抵抗の数が少なかったりすると、もしかしたらこれは他の策にしないといけないということもあったかもしれませんが、今は成り立っているという状況にあります。トランジスタそのものは個性の話程度ですので、何かトランジスタを改めてチューニングするというような話はないと現時点で考えております。
 
【門脇委員】 ありがとうございました。安心しました。どちらかというとトランジスタを取り替えるとなるとそちらの方がまた別の影響も発生し得るのかなと思っていましたので、そこに手をつけなくていいとわかっているとのことであれば安心だと思いました。どうもありがとうございます。
 
【木村主査】 ありがとうございます。もし、次時間が開くようでしたら私も若干細かい話を3点ほどお伺いいたします。実はトランジスタの件は私も引っかかっているところがありまして、おっしゃることはよくわかるのですが、このとき定格外に駆動電圧が出てしまったということは、これまでも設計上そうなっていたのでしょうか?ということ。それからこの問題、実は相手側のある話なのかなと思っています。駆動側の電圧の話ですので。その条件は、今回検証された範囲内で十分なのでしょうか?つまり、今回の抵抗変更はおそらく想定されているサージ電圧に対して最適化を図るという形になっていますが、それが電圧的に想定をさらに上回る、ないしは想定外の電圧がかかるというケースは有り得ないか?これらの点について気になっておりましてそこのあたりはいかがでしょうか?

【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 まずこれまでも設計上そういったことになっていたかという最初のご質問ですけど、そこはイエスです。つまり、H-ⅡAでも同じような状態が起きていたと、発生していたと考えております。ただこれはH-ⅡA、H3固有要因との関係もあるのですが、頭の中で考えていることと、それを超えたような世界がどこかにないかという意味で、今回PSC2との組み合わせにおいて、何らかの作用をしているのではないかというのを突き詰めたいというのが、今我々その固有として残されている部分と考えております。
 それから二つ目のご質問ですが、いま先生がおっしゃられたことを十分理解できていないかもしれないですが、H-ⅡAでもまずその定格外の波形が確認されていたということはその通りです。ただ、電圧は正常でエキサイタ内でサージが発生しているということが今までの状況でございます。ですから先生がおっしゃられたことは、何かそれ以上のことが起き得ないのかというご質問になりますでしょうか?
 
【木村主査】 今回定格外の電圧が検出されたという時に、それはこれまでのケースとして、安定してその範囲内に収まっていたものでしょうか?それとも、それはある種のばらつきを持っていたり、というのはここでの電圧というのはこの回路の中だけではなくて、外側との関係で初めて決まってくるパラメーターだと思います。そこに外的な要因によって変わるということはないのか?ということを気にしております。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 すみません。今この場で即答できないものですので、少し考えさせていただければと思います。
 
【木村主査】 少し細かい話ですので、後でおそらくそこは見極められていると思いますが、情報としていただければ。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 いま手元にデータがないものですから、確定的なことを申し上げづらいので少しお時間いただいて、この時間枠の中で何とかお応えできるようにしたいと思います。
 
【木村主査】 ありがとうございます。もう一つだけ関連で気になる細かい点がございまして、一つはシナリオNo.2のところに書いていただいているMOS-FETのリード線の故障です。これは配線に関連するところだと思われます。今後については検査をされるということですので、ここは安心だなと思いますが、今回のこの機体に取り付けられた個体についての製造情報みたいなものは保持されているのでしょうか?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 直接的にはない。このような写真は全て網羅的にあるかと言われると、ないと思います。
 
【木村主査】 ということは、これまでは見れていなかったが、今後そのような意味では、ここにもリスクが存在しうるから検査として情報としてこれは確保しておきましょうという理解ですね。

【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 No.2につきまして、私の説明がよくなかったかもしれませんが、33ページにございますように数千秒の環境を浴びせたものが、言ってみればびくともしていなかったということで、改めてここは何かシナリオ上に載ってくることだとは思っておりません。ただしこういった短絡地絡ということが要因として現在残っている以上は、今まで以上にこのような部分には基本動作として目を向けながら組み立てていくものだと考えております。

【木村主査】 ありがとうございます。何を心配したかといいますと、これまで非常に長いこと使っていても問題が発生していないということから、おそらく設計上の問題はないと思います。ただあまり考えたくはないですが、ワークマンシップという問題は一つ残るかなと思っていて、個体による問題、製造上の問題ということがあった場合に、それが個々に試しておくか、何か情報を取っておかないとわからないものかなと。今後についてはおそらく情報は取れると思いますが、この機体について何かその情報が残っているかどうかということを確認したかったということです。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 写真はおそらく残っていないのですが、フライト品というのはこの辺は逆に言いますと、品質保証部門も含めて丹念に確認しながら組み立てていただいているものなので、少なくともその組み立てた段階、組み上げる段階で何らかの問題があったと考えていないところなのですが、今はそれ以上のことは逆に申し上げられない、証拠として残っていないということではあります。

【木村主査】 わかりました。私も考えにくいとは思うのですが、確かに可能性としては完全に排除できるわけではないのかなと思いましたので少しコメントしました。もう一点、ものすごく細かい話ですが、シナリオNo.8のですね、タンタルを使われているという話で、かなりの高容量が必要でタンタルでないと成り立たないということで選ばれているのかなと思うのですが、タンタルは逆電圧等について、ショート故障のリスクがあったりしますので、我々衛星搭載機器を開発するときにも、嫌がるというか、敬遠する傾向にあります。容量が非常に稼げるのがすごくいいのですが、このとき、あわせて確認しておきたいのは逆電圧などの対策ですね、このあたりは当然取られている、確認できているという理解でよろしいですかね?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 私もこの故障のポテンシャルがあるということで、タンタルコンデンサの勉強をしたのですが、先生おっしゃられる通りで、なかなか使うには十分な注意が必要だということは本に書いてありました。
 
【木村主査】 学生がよく壊します。

【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 それで、私も本で読んだ限りですが、そのようなものが注意深く使われているということは事実であるということと、それから逆電圧が印加されていないということは、今先生がおっしゃられた観点で改めて確認した結果として「ない」ということを確認しております。

【木村主査】 ありがとうございます。身近な例としてうちはよく学生がこれを壊すので十分注意が必要かなと思います。ただ容量的に確保するためには、タンタルでなければならないという選択でこのような設計になっているのだろうということは理解しました。ありがとうございます。
 さて、他はご質問いかがでしょうか?かなりディテールに至るまで詳しく説明いただきました。ここまで主にはH-ⅡAとの切り分けというところを中心に議論させていただいて、概ね、私も含め委員間これまでの意見として、対策としてもインパクトとして、変えるリスクということに関して十分配慮されているということで、適切な判断過程並びに対策としても、十分検討されていてリスクはこれでおそらく低減されるのではないかとお話を伺って思いました。この点は皆様、おそらく今日議論する一つの重要なポイントはこのあたりになるかと思いますが、よろしいですかね。だいぶ詳しく説明いただきましたので、非公開の部分で提示いただく情報ももちろんあるかとは思います。それでさらに確認した上で最終判断となりますが、ここまでのところの説明としましては、論理的に非常に理にかなっていると、妥当であるという判断でよいかと思います。よろしいですかね。
 それであともう一つ、今回の追加といいますかH3固有の問題についても相当議論いただきまして、深掘りをしていただいて偶然性や二重故障だと思われているのですが、ある種の必然性を持って発生しうること、想定されうると、そこまで含めて議論を展開していただこうとしている。これは非常に大切なことかなと思います。必要なプロセスと理解できました。試験としてPSC2とPNPエキサイタを組み合わせた真空試験ですね。これも先ほどご説明があった範囲でいきますと、EMC的なというかグラウンドレベルの話も含めて議論いただけていて、グラウンドを浮かせた状態でこれは試験を行っていくというようなことも伺いましたし、実機大の1/2段分離試験ですね。これについても実施されることによってもう少し現象がわかってくる可能性があるということですね。全体として、ご説明に対する私の方で整理しつつと思いましたけれども、内容的には十分理解できたかと思いますが、ご質問ご意見等ございましたらお願いできますか。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 先ほど回答を保留させていただいた件です。
 
【木村主査】 はい。お願いいたします。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 これで答えになっているかどうか、確認しつつなのですが、よろしいでしょうか?
 
【木村主査】 お願いします。

【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 電源電圧の件に関しては、そのインターフェースがどうであってということが一つあると思うのですが、インターフェースの最大の値であっても大丈夫であるということを確認しているということと、それからトランジスタの電源電圧変動はエキサイタの中だけで発生しておりまして、その電源電圧のばらつきあるいは変動に関連しているものではないというところまでは確認できたのですが、ある程度のロバストな状況であると考えております。
 
【木村主査】 わかりました。基本的にはエキサイタ内部での回路で完結すると切り分けられているから、ここの中の現象としてその範囲内で、特性がおさえられているという理解ですね。ありがとうございます。とてもクリアなりました。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 ありがとうございます。すみません、途中で失礼いたしました。
 
【木村主査】 ありがとうございます。それではいかがでしょうか?私の質問についても今の質問の回答で、ここも十分了解できたと思っております。よろしいですかね。それではここで一旦非公開になりますので、事務局の方から事務連絡の方お願いできますでしょうか?
 
【竹上企画官(事務局)】 事務局でございます。本日はありがとうございました。会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は文部科学省ホームページに既に掲載させていただいております。また、議事録につきましてここまでの内容は公開となりますので委員の皆様に確認いただいた後、文科省ホームページに掲載させていただきます。また本日も会合後、事務局よりプレスの皆様向けにフォローアップのためのブリーフィングを行う予定としております。なお次回の調査・安全小委員会につきましては、来月の開催で調整予定です。委員の皆様には後日日程調整のご連絡をいたします。事務連絡としては以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございます。それではこれで公開部分の会合を終了といたします。一般の方やプレスの方はここまでとなります。傍聴ありがとうございました。

―― 了 ――

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