宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第60回) 議事録

1.日時

令和8年2月25日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認について 【審査対象(L3-PO)】
  2. H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明状況について

4.出席者

委員

  主査     木村 真一
  主査代理   
神武 直彦
  臨時委員   笠原 次郎
  専門委員   柿沼 志津子
  専門委員   豊嶋 守生

  専門委員   中西 美和
  専門委員   花本 健二

文部科学省

  大臣官房審議官(研究開発局担当)  古田 裕志
  研究開発局 宇宙開発利用課長  梅原 弘史
  研究開発局 宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官  近藤 潤
  研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐  木元 健一


(説明者)
 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  宇宙輸送技術部門 事業推進部長  森 有司
  有人宇宙技術部門 有人システム安全・ミッション保証室長  中村 裕広
  宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ  有田 誠

 
(オブザーバー)
 内閣府
  宇宙開発戦略推進事務局 参事官/準天頂衛星システム戦略室長  三上 建治
  宇宙開発戦略推進事務局 参事官  𠮷村 源
 

5.議事録

【木村主査】  それでは定刻になりましたので、第60回宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会を開催いたします。本日は議題が2つあります。一つは例年この時期に実施しております、国際宇宙ステーションに提供する機器の安全確認プロセスについて、もう一つは前回に続き、H3ロケット8号機の打上げ失敗に関する第4回目の議論です。さて、本日も前回同様オンラインでの開催になっております。委員の皆様には御多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは事務局から本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。
 
【近藤企画官(事務局)】  事務局から御連絡いたします。本日は、当委員会に御所属いただいている8名の委員のうち、現時点で5名、花本委員も遅れて参加ということで、6名御出席いただくことになっております。また、前回同様に内閣府から三上参事官、𠮷村参事官にもオブザーバーとして御参加いただいております。本日の資料は議事に記載のとおりでございます。オンライン状況について、音声が繋がらない等の問題がございましたら、事務局へ電話等で御連絡いただければと思います。事務連絡は以上となります。
 
【木村主査】  ありがとうございました。本日は一部機微な情報を取り扱うところがあります。そのような情報を用いた詳細議論については、宇宙開発利用部会の運営規則第3条に則り、非公開とさせていただきますので、傍聴されている皆様はあらかじめ御了承ください。 それでは、早速議論の方に移りたいと思います。
 
 <議題(1)ISSに提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認について【審査対象(L3-PO)】>
 
【木村主査】  一つ目の議題は国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認についてです。まずはこの議題の趣旨について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【木元課長補佐(事務局)】  事務局から、本日のこの議題の趣旨について、資料60-1-1にて御説明させていただきます。
1枚目めくりまして、ISS構成要素と搭載物の安全性に関わる責任・役割分担ということで、NASAと日本に分けて書いております。NASAとしては、ISSの全体の安全に対して責任を持つ立場で、それに対しまして日本国としては、日本が提供する構成要素や搭載物に対して安全要求の設定、これは上位のNASAの設定の安全要求を満足するように設定するわけですが、この設定とその安全、それに基づく安全審査の実施、それに対する認証というのを、役割分担として持っております。
 次のページのチャートで全体像を書いてありますけれども、ロシア、カナダ、欧州とNASAが結んでいるのと同様のMOUを日本も結んでおりまして、この下でJAXAが実際の安全審査を行い、その認証を文部科学省が行うという建付けになっております。
 本日の御確認の内容ですが、2番に書かれています「日本における安全性の認証の具体的な実施方法」に基づいて実施することになります。JAXAとしては、個別に設定した安全要求に対して、安全審査を実際に行います。それに対して本日の調査・安全小委員会では、年に1回程度、JAXAが実施した安全審査のプロセスが適切であることの確認を行います。これはどのような方法でやるかと言いますと、実際の具体的な構成要素をサンプルとして取り上げまして、それに対する安全審査のプロセスを確認することによって、その方法の妥当性を評価することになります。
 この後JAXAから説明がありますが、今回、L3-POという「極低速対向流火炎実験装置」というものが使われますが、これの安全対策についての確認を行うということで、プロセスそのものを審査することになります。評価については、「安全対策の評価のための基本指針」というものが宇宙開発利用部会の決定事項として決まっておりまして、これに則って行われます。文部科学省といたしましては、JAXAが実施した安全審査の結果と、この後行われる宇宙開発利用部会でそのプロセスの妥当性の評価をもって、日本が提供する要素及び搭載物の安全性を認証するというプロセスになります。以上です。
 
【木村主査】  ありがとうございます。ではまずこの件、位置付けについて、御質問等ございましたらお願いできますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは今事務局から説明のあったとおり、L3-POを審査対象として、今回はJAXAの安全審査プロセスが適切であるかどうかということを、本小委員会で評価するとことといたします。
 では審査対象であるL3-POについて、実際に内容の説明に移っていただければと思います。まずJAXAの有人宇宙技術部門 有人システム安全・ミッション保証室の中村室長から、概要の説明をお願いできますでしょうか。
 
【中村室長(JAXA)】  有人システム安全・ミッション保証室の中村です。よろしくお願いします。資料60-1-2を御覧ください。目次は以下のとおり、審査対象、安全解析の概要等になります。まず目的ですけれども、さきほど説明ありましたとおり、有人安全審査プロセスの文部科学省による認証を維持するために、L3-POの我々JAXAの中の安全審査の結果を示すというものです。JAXAの中では、都合4回ほど有人安全審査会を5年ほどかけまして行っております。フェーズ0、1からフェーズ3まで完了しています。この装置はHTV-Xの2号機で打ち上げられる予定ですので、今この時期にフェーズを完了したということでございます。
 3ページお願いします。まず有人技術宇宙部門内の有人安全審査会というもので、安全審査を行います。その結果を持ちまして、JAXAのその上の安全審査委員会というものがございまして、そこで有人安全審査会の内容を報告し、了承をいただいております。その際には、文部科学省が制定した「国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」における安全対策の評価のための安全基本指針」というものがありまして、その適合性も同時に確認をしています。本資料では上記の結果について報告するというものでございます。
 4ページお願いします。審査の対象についてです。この実験装置は、通常の予混合火炎(燃料と酸化剤がミックスされた状態での火炎)の燃焼限界、燃料が限りなく希薄な状態の燃焼限界と、全く違う理論の電播性のない球状定常火炎であるフレームボールというものが理論的に推測されておりまして、その燃焼限界を統一的に扱う世界初の燃焼限界理論を構築するための実験装置という位置づけになります。具体的には、マイクロG下で、バーナ間、左下の図にありますように、バーナを両方面に配置しまして、同じ流量でぶつけて火をつけるといった装置ですけれども、そこに平面上の火炎を形成して、火炎の様子を観察しながら燃料や濃度、ガス流速などの条件を変化して、消炎する方向に緩やかに変化をさせます。この過程で平面火炎のまま消炎フレームボールへの遷移等を注目する現象が、観察条件、その現象について分析を行います。このデータは乱流の火炎のモデルの構築・検証等に必要な、実験データの基準のデータとなります。また、酸素燃焼における燃焼器、自動車等の希薄燃料、超希薄燃料の燃焼のエンジン等の予測設計等のシミュレーションにも用いられると予定されています。これは、実験代表研究者、東北大学の丸田薫先生に代表研究者を務めていただいております。右下の図が燃焼限界を示す図です。縦軸が流速で横軸が燃料濃度になっていますけど、Cのカーブの部分が従来の希薄の燃焼のカーブで、Cのカーブの下の部分の燃焼限界っていうものが、マイクロGを使わなければ証明できない分野になります。そこの部分に注力して実験を行うといったものが概要となります。
 5ページお願いします。実験装置の概要です。左側が装置の全体図で、真ん中が、実際の燃焼を観察する部分の燃焼室です。横から見た図にありますとおり、着火用のヒータとバーナが両方から配置されていて、燃料を送り込むと着火をする仕組みになっています。ボトルは2種類、準備してございます。ガスボトルで酸素と希釈剤としてCO2、および酸素とXeの容器の両方持ってまいります。 燃料はCH4(100%)を使います。
 6ページお願いします。参考といたしまして、過去燃焼実験を2種類ほどやってございます。1つは液滴群の燃焼で、これはデカンという燃料を使って液滴の燃焼を調べたもので、ISSの実験は終了しています。 2つ目が、固体の燃料としてプラスチック、紙、電線といった、火災を想定した実験装置ですけれども、その実験は今継続中でございます。3段目としまして、気体の燃料としましたこのL3-POというのを持ってまいります。実験装置はそれぞれ異なるのですが、液滴群の実験装置とL3-POというものは、実験装置の外側に燃焼容器のチャンバというものが軌道上に既にありまして、そこの中に蓋を閉めて安全を確保して実験をします。躯体の方は、右下の図のとおり長い円形のものがありまして、これ自体が燃焼容器になっていまして、この中で実験を行うということで、火炎の電播を防ぐといった措置を施しながらやってございます。
 7ページお願いします。L3-POの実験部分の概要です。先ほど申しましたように、ガスボトルAとBを配置し、混合器という部分でガスをミックスし、そこで分岐させまして、圧損等を調整しまして、流速等を合わせて燃焼容器のチャンバに送り込みます。そこで着火をして、観察をいたします。着火を確認するカメラと火炎を観察するカメラ、それぞれ別のカメラを配置しまして、火炎を監視します。実験中は封じ切りを行わずガスを流しながら実験を行います。ガス自体は排気ラインを通じてISSの外に出すといった仕組みになっております。右側、構成図となっています。説明は割愛します。
 8ページお願いします。これも構成図ですので割愛いたします。
 9ページお願いします。運用イメージです。打上げ時におきましては、実験装置をいくつか分割してソフトバッグというものに入れて打ち上げます。軌道上でソフトバッグから取り出され、L3-PO装置を燃焼実験チャンバの中に入れて蓋を閉め、既に軌道上にある多目的実験ラックというものの中に納めて実験を行います。実験は全て遠隔で行われ、ガス等も地上からのコマンドで供給・排出ができる仕組みとなってございます。 最終的には排気は、補給のビークルで行います。
10ページお願いします。これは組み立ての具体的なイメージで、実験装置本体と、この青で囲ったものが分割されたものですけれども、着火用の確認カメラ、火炎観察用カメラ、それぞれ小分けにして打ち上げます。フィルタ、ガスボトルA・Bとも分割して打ち上げます。それらを軌道上で組み上げて、先ほど申しましたように多目的実験ラックの中に組み込むといった手順となっています。
 11ページお願いします。我々の安全審査の対象のフェーズですが、打上げから廃棄まで全てのフェーズをカバーしてございます。打上げ中をカバーしますのは、打上げ後軌道上に到着する前に壊れていない、Safe on arrivalという考え方でございまして、そこも含めて安全性を確認する必要がありますので、打上げ振動と打上げ荷重等で壊れないということも事前に確認するといったスコープになっています。
 12ページお願いします。安全審査体制です。過去に御説明した内容と変わってございません。今回は宇宙環境利用推進センターで装置の開発をしました。我々有人安全審査会はその安全評価報告書を求めて安全審査を行ってございます。並行してNASAの安全審査パネルとも連絡を取り合い、相互に確認をして、その結果を我々の上位の安全審査委員会に報告して、了承をいただいたというスキームとなっています。まずはここまででお願いいたします。
 
【木村主査】  どうもありがとうございます。装置の概要までのところで、まずは1回議論したいと思います。今回L3-POということで燃焼実験なのですけれども、これまで固体、液体の燃焼実験は実績がある中で、気体は初めてであり、新たな可能性を広げる実験ということで、非常に我々としても期待するところです。ここまでのところで何か御質問等あれば受けたいと思います。笠原委員、お願いします。
 
【笠原委員】  御説明誠にありがとうございます。大変意義深い実験に挑戦されていると理解しまして、非常に応援しております。1点だけ質問させてください。7ページにシステムの図がありましたが、メタンと酸化剤を混ぜる混合器というところがございまして、これは予混合、つまり、あらかじめ混合した燃料と酸化剤を対向衝突させて火炎を安定させる実験とみました。となりますと、混合器へ火炎が戻ってくる、逆火のリスクも想定されているのかなと理解いたしました。したがいまして、そこの最終的な、もし仮に逆火が起こった場合に、高圧にならないか、十分な安全が確認されていると理解したのですが、近い実験をやっているものですから、その点、確認させていただきたいと思い、質問させていただきます。以上でございます。
 
【中村室長(JAXA)】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、着火したものが元に戻ってこないかの対策は、後ほどユニークハザードの中で御説明しますけれども、多孔板というものを設けておりまして、そこで火炎が逆流しない仕組みを取ってございます。
 
【笠原委員】  承知いたしました。対策施されていること理解いたしました。どうもありがとうございました。質問終わります。
 
【木村主査】  ありがとうございます。他はいかがでしょうか。この後の御説明を伺った後にも質問等受けられると思います。この後の御説明を聞く上での参考としてコメントさせていただくと、今回ユニークな点は、燃焼であるということ、それから気体を扱うということ、あと、もう1つは軌道上での組立てを若干伴うというところがあるかと思います。その辺についても、今回概要説明いただきました。ありがとうございます。
 さて、よろしければ引き続きまして、安全審査の結果について確認を行いたいと思いますので、中村室長、引き続き説明をお願いしてよろしいでしょうか。
 
【中村室長(JAXA)】  はい。まず、ISSの場合はFTAを行いハザードを識別してまいります。トップ事象はロス・オブ・クルー、搭乗員安全の喪失、その次14ページにありますが、ロス・オブ・ビークル、ISSの喪失、これらを2大事象として分化していきまして、それぞれのハザードを検討していきます。そういう装置に固有して、FTAを作ってまいります。最終的にどのようなハザードが識別されるかという観点で、このページの15ページにありますような、スタンダード(標準)ハザード11件、ユニークハザードが5件識別されています。簡単に申しますと、火災、オフガスによるキャビンエアの汚染、化学物質の漏洩、シャープエッジ・高温部へのクルーの接触、騒音等でございます。ユニークな点は、セラミックス、ガラスを含むそれの飛散がないこと。あと圧力容器を含みますので、圧力容器の破損がないこと。実験ガスの漏洩による火災、先ほどお話しした異常燃焼による火災、構造破壊等をハザードとして識別してございます。
 16ページお願いします。スタンダードハザードです。これも従来御説明しておりますけど、まず火災につきましては、想定されるハザードは可燃性物質が使用された場合、「きぼう」棟で火災が発生する可能性があると。ここには既に固定の標準のNASA要求がありまして、それに従い材料選定を行い、それぞれ材料使用リストを審査して、そこをNASAが確認して安全要求を満足することを確認してございます。汚染につきましても同様に材料の使用リストを確認してございます。化学物質、生物試料の漏洩につきましても、クルーへの健康被害の可能性について、人体影響がないということをあらかじめ確認してございます。今回、毒性でも非常に低いガス種を選定してございます。
 17ページお願いします。シャープエッジも、全てのクルーが触るところには丸みを持たした、これも表示の要求がございまして、どれぐらいの部分にはどのようなRを取るといったことでございますので、そこの基準に満たしたことを図面と現物の確認を行ってございます。高温部の接触につきましても、今回高温部が標的になりますけれども、表面温度が45度以下であることは規定ですので。それも熱解析もしくは実験等で検査を行い、要求を満足するといったことも確認してございます。騒音については、今回特に大きな騒音がありませんので、試験で確認してございます。絶縁設計も、標準の絶縁要求がありますので、それでクラス分けした部分に寄った絶縁抵抗を持っているということを、検査を行いまして、試験も行って満足していることを確認しております。電線の選定につきましても、過電流により燃えないことをあらかじめ確認してございます。電気ショックについては、クルーがコネクタを着脱する時に、電流が走っていますとショートしショックが起きる可能性がありますので、3A以上が対象ですけれども、3A以上のコネクタを着脱する時は上流を切るといったところを手順で確認してございます。
 19ページお願いします。電磁適合性も、EMC、RS、電磁放射感受性ともありますので、それぞれの要求を満たしたところを確認してございます。回転体はハザードとしてはありますけれども、今回非常に小さいエネルギーですので、そのエネルギーをもって問題ないと評価をしてございます。
 20ページお願いします。ここからユニークハザードの御説明になります。まず、セラミック破損等の飛散ですけれども、想定されるハザードとしては、窓ガラス、レンズ、セラミックス等の損傷による破片の飛散で、最終的にはそれをクルーが吸い込むといったことが想定されます。まずレンズ、セラミックスにつきましては、打上げ振動耐性があることを振動試験等で確認してございます。また軌道上で過剰な圧力負荷がない設計であることも確認しています。破片に対しては、打上げ保管時はジップロックに封入して飛散を防止する手順を確認してございます。燃焼室の窓ガラスはつけたまま打ち上げますが、振動試験で対策を取りますし、 打上げ時は、その表面に保護フィルムも貼付しまして、万が一割れたとしてもクルーが実験前には確認できる対策としてございます。 実験中は、ガラスの燃焼容器内外の圧力差に対して耐性があることを、解析で確認してございます。
 21ページお願いします。圧力機器の破裂です。これは打上げから廃棄までのガスボトル、燃焼室、ガス配管の破裂が想定されます。ハザード制御としましては、実験ガスや燃焼生成物と、ガス流路の材料の適合性について、ガス等によって材料が腐食等を起こさないということの適合性を確認します。実際の運用上は、最大圧力に対して強度耐性が十分にあるということを、解析で確認をします。バルブ等も、想定された耐性を持つということを製造記録、検査等で確認いたします。ガスボトルにつきましては、打上げ前に充填しますので、これは最終的に打上げ前の検証ログとしてトラックして、打上げ前に充填圧を確認する手順となってございます。
 22ページお願いします。ユニークの3番目、実験ガスの漏洩による火災です。これはガスボトル自体からの漏洩を想定しております。手動のバルブとQDがそれぞれシールを持っており、そこを封じ切って打ち上げますので、二重の封入といった対策を取ってございます。3ポツ目、軌道上でのガス配管系の接続後に、漏洩確認の運用手順、というのが大事ですので、運用手順を確認し問題ないことを確認してございます。
 23ページお願いします。ユニークの4番目、これが先ほど笠原委員からの懸念にありましたハザードでして、燃焼実験中の供給ガス過大等による異常燃焼で装置が破損し、メタンが漏洩することによる火災です。2つ想定されまして、1つは燃焼室以外での異常燃焼による破損です。配管に粉塵等が残っていますと、高濃度酸素はありますので、そこが発火源となり発火する可能性あります。そこは洗浄管理を行うことと、フィルタでコンタミを防止するといったことも検討してございます。また、火炎の逆流に対してはセラミックの0.1ミリ径の多孔板というものを配管内に設置することで逆流を防ぐ設計とし、試験等にて逆流はないことを確認してございます。2つ目の燃焼室内の異常につきましては、ガスバルブ等の機能品が故障したとしても、最大ガス流量での燃焼の状態を想定し圧力計算を行い、燃焼の圧力耐性があるということを確認してございます。
 24ページお願いします。構造破壊です。これは通常の構造破壊で、打上げの荷重が1番の最大想定荷重になりますけれども、まず材料については、材料選定を適切に行います。その後、打上げ振動、打上げ荷重、軌道上荷重、それぞれに対する機体の安全余裕が正であることを解析により確認しています。軌道上でクルーが取り付けるファスナがいくつかありますけれども、それについては適切なトルクで取り付けできるように、手順が整備されていることを確認しています。
 以上がハザードレポートの説明でございます。これらをもとに、我々が適合性を示すべき基本指針に対する適合性を4項以降に示しています。今回、実験装置ですので、特に大きな課題はなく全て適合しているということを確認しています。25ページから以降、それぞれ評価した結果を記載しています。
 34ページ、結論としまして、JAXA有人安全審査会において、ハザードの識別、制御方法の設定、検証結果を審査し、安全解析が適切に実施されていることを確認してございます。また、我々上位のJAXA安全審査委員会において、JAXA有人安全審査会の審査結果及び国際宇宙ステーション基本指針に適合していることを確認しております。以上により、JAXAは「L3-PO」が安全要求を満たしていると判断して、安全審査を完了してございます。説明は以上でございます。
 
【木村主査】  御説明ありがとうございます。先ほどお話しさせていただいたとおり、ガスを使用するというところ、我々的にはハザードが適切に抽出されているかという点と、それに対策が取られているかという点が議論ポイントになるかと思いますが、適切に抽出され、対応されていると理解いたしました。ありがとうございます。以上の説明について、御質問、御意見等ございましたらお願いできますでしょうか。
 先ほどの笠原委員からの御質問についても、御説明の中でコメントをいただきました。あと、先ほどのガスに伴うというところで言うと、ユニークハザード2とか3のところで、適切に対応されていると。燃焼自体はこれまで実績があるというところで、それに加えて今回気体であるというところを特に意識されてユニークハザードとして設定されていると理解いたしました。
 私の方から一点だけ細かい話で、軌道上での若干の組立て作業、あるいはガスの交換であるとかクルーが関与する部分が若干発生すると思いますが、そういった部分への対策について、これまで実績のある作業とは聞いているのですが、ここのハザードとしては対応できているという理解でよろしいでしょうか。
 
【中村室長(JAXA)】  ありがとうございます。事前に御質問ありましたガスA・Bがありまして、それぞれ誤接続すると問題ではないかという御懸念があったと思いますけれども、それにつきましては、QD(クイックディスコネクタ)の部分にキーイングというものが施されていて、物理的に、誤接続ができないように対処をしてございます。
 
【木村主査】  なるほど。クルー作業についても適切に、間違った作業が成立しないようにハード的にガードがかけられているという理解ですね、了解しました。ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。特に追加でコメント、質問等がなければ、ここで本日の評価結果についてまとめていきたいと思います。
本日の評価結果については、小委員会として、次回の宇宙開発利用部会に報告するというプロセスを取らせていただきます。利用部会において最終的に決定いただく「調査審議結果」について、本日事務局にて資料案を作っていますので、御説明をお願いしてもよろしいですか。
 
【木元課長補佐(事務局)】  承知いたしました。今投映しております資料60-1-3に、本日の調査審議結果ということで、次回の宇宙開発利用部会で御報告して決定いただく予定の案を作っておりますので、簡単に御説明いたします。日付はまだ決まっておりませんので、丸で書いております。構成としては、まず概要があって、調査審議の方法を、本日実施していただいたようなJAXAの審査結果、安全解析結果を、そのプロセスとして評価いただくといった形で、そしてその結果、ということになります。参考1、2として、この調査審議に参加いただいた利用部会の委員の皆様の名簿と、調査・安全小委員会の皆様の名簿、参考3として、冒頭説明いたしました、本日の御確認の意義というところになります。付録1は、本日御説明いただきましたJAXAからの安全性に関する報告資料となっています。
 3スライド目、これが本文ですが、概要はお読み取りいただくとして、調査審議の方法としては2段階、本日の調査安全小委員会、2月25日になりますが、第60回で調査検討いただきまして、その結果を次回の宇宙開発利用部会で審議いただき、そこで評価結果を決定いただくということになります。本日御説明いただきましたが、基本指針に基づきましてなされた評価に対して御確認いただいたということで、対象としては「L3-PO」という燃焼実験装置を用いました。結果といたしましては、JAXAが実施した「L3-PO」に関わる安全審査の方法や結果などについて、体制・プロセス、安全解析及びそれへの対処の観点から調査審議して、これが妥当であるという評価であることをこの小委員会として確認し、それを最終的に宇宙開発利用部会の方で確認・決定いただくといったことが記載してございます。以上です。
 
【木村主査】  ありがとうございます。それではこの資料60-1-3を、利用部会に調査審議結果案として示したいと思います。先ほど事務局から言及のあった、小委員会から利用部会への報告用資料の書きぶりについて、また議論のトピックなどを私から説明をさせていただこうと思いますが、このあたり、主査である私に御一任いただきたいと思いますが、このような進め方でよろしいでしょうか。
 
(異議なしを確認)
 
 御異議が無いようですので、先ほど説明したようなプロセスで、本日の評価結果を次回宇宙開発利用部会に報告することにいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、慌ただしいですが、早速次の議題に移りたいと思います。
 
 <議題(2)H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明状況について>
 
【木村主査】 2つ目の議題は、H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明状況についてです。資料の説明を、JAXA宇宙輸送技術部門H3ロケットプロジェクトチームの有田プロジェクトマネージャ、よろしくお願いいたします。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  JAXAの有田でございます。私の方から資料の説明をさせていただきます。資料60-2ということで、H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明状況の報告をさせていただきます。
 次のページに行っていただきまして、目次です。前回から2-2「発生シナリオ」という部分を追加しております。右上に書いてございますが、前回と同様に、前回からの進捗があるもの、再掲しただけのもの、追加したもの、と識別をしております。再掲のものについては今回時間の都合もありますので説明を割愛させていただきたいと思います。
 2ページ、お願いします。本日の報告内容です。2つ目の「フライトデータに基づく事象の把握」というところで、本日はここに示します3点を御報告いたします。フェアリング分離検知の特異性、事象発生時点の絞り込み、破壊箇所の絞り込みでございます。これらを踏まえまして、私どもとしてはフライトデータに基づく事象の把握については、一応やりきったかなと考えてございます。続きまして「データに基づく原因究明」というところですけれども、こちらにつきましてはFTAを用いた絞り込み、発生シナリオの設定を行っておりまして、進捗している部分について本日御説明いたします。また、今回、原因の特定に至りうる事象が見つかっておりますので、この原因の特定についても少し手がかかったという形で、この破線の範囲を表現しております。
 3ページにいっていただきまして、1章に入ります。ここからしばらく再掲のページが続きますので、飛ばしていただきまして、15ページお開きいただけますでしょうか。こちらで、フェアリング分離検知時刻の特異性ということを御説明させていただきます。フェアリングの分離検知と申しますのは、前回も御説明しておりましたけれどもフェアリングの片側がフェアリング側に固定されているワイヤーで、QDコネクタ(クイックディスコネクト)のコネクタを引き抜くことによって、電気回路の抵抗値が変わることで検知をしております。その説明をしておりますのが、下から右にかけての図で、丸1のところが、このワイヤーが緩んでいる状態でフェアリングについている状態を示しております。そしてQDコネクタが機体側、具体的にはPSSについた状態を示しております。それがフェアリングの開頭が進んでまいりまして、約6度開頭が進みますと、緩んでいたワイヤーが突っ張る状態になります。そして1番右、丸3のとこですけども、これが約6度以上開頭いたしますとQDコネクタが引き抜かれるという状況になります。この真ん中のグラフに示しておりますけれども、この1から3までのかかっている時間を他号機と比較しますと1号機から5号機まででは約0.2秒以上かかっておりましたけれども、8号機では0.08秒というように、約半分以下の時間で分離検知をしているということが分かっております。しかも、2位相で計測しておりますけれども、これがほぼ同時に早く分離検知しているということを示しております。この分離値が通常より早いということが何を意味しているかということですが、左下の図に示しますように開頭挙動が実際に早くてQDコネクタが引き抜かれたという可能性の他に、QDコネクタから収録装置までのハーネスが断線した可能性を示すものと考えています。
 次に16ページ目、次の説明に入る前に、こちらは再掲のページでございますけれども、ここでは、衛星搭載アダプタが、衛星についた状態で離れていったと考えられますが、その衛星搭載アダプタの機軸方向の加速度のグラフで、前回示したものです。機体と接触を繰り返しながら減衰していく、非常に特徴的な動きが見て取れるということを思い出していただければと思います。
 本日の御説明は続きまして、22ページ目、事象発生時点の絞り込みというテーマでございます。先ほど申し上げた衛星分離部の機軸方向の加速度が、この緑のグラフを表しております。前回までは、この衛星分離部の加速度のデータを中心に分析をしてその結果を御報告していたというものですけれども、前回も御説明したとおり、この加速度センサが非常に大きな加速度を受けたために飽和している状態であったことも、併せて御報告しておりました。ということで、他のセンサも合わせて評価する必要があると考えましたので、こちらに書いてございます2段機体や1段機体に搭載された各センサ、例えばIMU(慣性センサユニット)、それからACS(1段に搭載された姿勢制御センサ)、こういったデータを合わせて確認した結果を、今回お示ししています。左下の図を見ていただきますと、先ほどお示しした衛星側の挙動を示すと考えられるプラス方向の大きな動きに対しまして、ロケット側に残っていると考えられるIMUのセンサの動きを見ますと、ちょうど反対向き、負の方向に振れていると見て取れます。図に書いてありますとおり、ほぼ同時刻に逆向きの加速度が検出されているということでございます。この部分を拡大したのが右の図です。水色の線がIMU(慣性センサユニット)の加速度データですけれども、このように、下側に大きく振れる瞬間があります。これは下向きの加速度を示しておりますので、物理的にどういう状態を意味しているかを考察しますと、衛星が2段機体に接触して、衛星が2段機体を抑えつけている、減速させている、そういった瞬間を意味していると考えております。つまり、衛星と2段機体が接触している状態であると考えられます。一方、この瞬間と時間的に別な、黒い破線で囲んだ領域を見ていただきますと、ほぼ同じ加速度レベルを示していることが御覧いただけます。この加速度が一体何を意味しているかですが、この緑色の破線、衛星がロケットから離れて分離状態になっていると考えた時の加速度のラインなのですけれども、このラインにほぼ一致しているということで、丸3の四角に書いてございますけれども、もう既にこの時点で衛星が分離していると考えることができるというものでございます。こういった衛星が分離している状態と、2段機体と接触している、これが交互に繰り返される、そういった状態になっていたと想定されます。ここから推測しますと、衛星搭載構造が破壊し、衛星が分離してしまったという区間は、これより以前の段階と考えられますので、このオレンジの破線で囲いましたこの領域で、衛星搭載構造が既に破壊されていたのではないかと考えられるということでございます。
 23ページにいっていただきまして、先ほどのオレンジの区間をより詳細に見たのがこちらです。こちらのフライトデータのうち、衛星分離部加速度計以外の機体内センサ、つまりロケット側に残っていると考えられる各センサの挙動をつぶさに見たものです。こちらに書いてございます4つのセンサのデータを詳細に見たということで、火工品スイッチオンの瞬間が破線で示す時間でございます。ここを起点としまして、フェアリング分離の火工品が作動し、フェアリングの開頭が始まるという時点でございます。一方、加速度データを見ますと火工品スイッチオンから62ミリ秒という非常に短い時間の中で、全ての加速度センサがプラス方向を指していることが見て取れます。センサがプラス方向を指しているということは何を意味しているかと言うと、2段の機体全体が前方に更に加速されている、加速度が増加しているということを示していると考えられます。これが物理的に何を意味しているかというのを表現しているのが右側の図です。ロケットは、1段のLE-9エンジンは正常に噴射しておりましたので、エンジンの推力には変化がない状態で、機軸方向上向きに加速をしている状態でした。左側の図は、まだ衛星搭載構造が健全な状態で、衛星も合わせて加速している状態の図ですけれども、この時点では、衛星の質量と、この時の加速度2.6G、これを掛け合わせた約12トンの慣性力でロケットを下向きに押さえつける格好になっていたと考えられます。このような状態ですと、ロケットの機体は機軸方向に圧縮歪みを受けて、いわば縮められている状態で飛行していたと考えられ、これは正常な状態です。ここから、何らかの要因によって衛星搭載構造が破壊されて、衛星がロケットと分離されて宙に浮いているような状態になった場合には、先ほど申し上げた衛星質量かける加速度の慣性力、これが急激にゼロになるという現象が発生すると考えられます。そうしますと、上から下に押さえつけられていた力が瞬時になくなり、先ほど申し上げた、1、2段の機軸方向の圧縮歪が解放されてロケットが前方に加速されるということを加速度計が検知することが考えられます。つまりこの時点、全てのセンサがプラスの方向を示した時点では、衛星が宙に浮いた状態になっている。言い方を変えますと、衛星搭載構造の破壊が少なくともこの時点には始まっていたと考えられ、やはり非常に短い時間でこの現象が起きていたということを示唆しております。

 24ページお願いします。左の図が前回までに示していたイメージで、衛星分離の開始から約200ミリ秒、0.2秒ぐらいの間が、起点となった特異事象ということで、ピンク色でハッチングしておりましたが、これが今回の考察によって、分離の開始から約62ミリ秒まで、起点となった特異事象を絞り込むことができたと考えています。ここまでが発生時点の絞り込みでございました。
 続いて29ページに飛んでいただきまして、発生箇所の絞り込みです。これまで、衛星搭載構造、すなわち衛星分離部(PAF)または衛星搭載アダプタ(PSS)のどちらかが損傷し、衛星が離脱したと御説明してまいりました。今回、以下のデータから、損傷箇所は衛星搭載アダプタの上部である可能性が高いと考えております。根拠の1つ目でございますけれども、PAFのテレメトリ項目、先ほど御説明した加速度計ですとか温度のデータ、こういったものは前回御説明しましたが、事象の発生後も、第1段エンジン停止までは正常に取得できておりました。これらのデータはPAFからPSSを経由して2段機体に繋がっておりますが、このワイヤハーネスは、この写真に示します青い矢印の上にあるブラケットに固定されております。ということで、もしもこれより上部で衛星搭載構造の損傷が発生した場合には、このブラケットの近傍でこのワイヤハーネスが断線すると考えられますので、データと整合しないことになります。一方、これよりも下部で損傷した場合には、この部分にはワイヤハーネスに十分な余長があることが分かっておりまして、断線に至らなかったものと考えられます。
 ここまで上側の話でしたけれども、今度は下側の話として、PSSに設置しているカメラの画角は、事象発生後も大きく変わっていないことが分かっております。それを示すのが左の画像で、前回御説明したオンボードカメラの画像です。こちらを見ますと、右下の角に地球の地平線が映っておりまして、これは計算によって求めた機体姿勢と整合した見え方をしております。このことから、カメラの画角は事象発生後も大きく変わっていないということが分かりました。ということで、このカメラの高さでPSSが大きく損傷したとは考えにくく、今回、ここの結論といたしましては、この赤色の破線で囲んだ、PSSの上部から中腹あたり、この辺りで損傷した可能性が高いと絞り込むことができたと考えております。
 続きまして30ページ、2章の説明、原因究明の章でございます。まずFTAですけれども、今回進捗のあったところについて32ページを用いて御説明してまいります。青枠が進捗のありましたところです。まず「1.1.5 接触・衝突」でございますが、これはどういう中身だったかと申しますと、フェアリング分離中の開頭時に、フェアリングが衛星や衛星搭載構造に衝突して、大きな加速度が生じたという枝でございました。それから2つ目が「1.3.1 爆発・燃焼」というところで、ロケットや衛星に搭載されている推進薬等の高いエネルギーを持っているものを要因として、異常な加速度が発生したというところでございます。最後3つ目、「2 内部構造の損傷」により発生したという枝でございます。こちらは、衛星搭載構造の構造部で強度不足等があった場合に、これが損傷して大きな加速度が発生するといったモードでございました。それぞれについて、次のページから詳しく御説明してまいります。
 33ページ目です。まず「1.1.5 フェアリング分離時の接触・衝突」でございます。フェアリングは、前回も御説明しておりましたけれども、正常な場合には、分離スプリングの力で、フェアリング下端と2段機体の間に設けられているヒンジ部を回転の中心として、回転しながら分離していくというのが正常な動きでございます。このFTAのモードの、最も分かりやすいモードとしては、ヒンジが損傷するということで、フェアリングの分離挙動がおかしくなるというモードでございます。下の図にございますように、仮にヒンジが破損してフェアリング分離運動が正常に行われなくなった場合には、フェアリングの重心周りの回転が起こります。これが起きますと、フェアリングの下端がPSSに衝突していく可能性があるということで、その分離運動の解析を実施いたしました。その図が、こちらの左側の図でございます。黒い線がPSSの外形のアウトラインを示しておりまして、赤や青の線がフェアリング下端の動きを示しております。最初、分離スプリングの力で上側に動き始めるのですけれども、機体が加速しておりますので、徐々に機体に近づき始め、この時点で、PSSにフェアリングの下端が衝突することになります。この衝突する時点なのですけれども、最速でもこちらに示すように0.39秒という値になっておりました。先ほど御説明しましたように今回の事象はフェアリングの分離開始から62ミリ秒という極めて早い時間で起きているので、フェアリングがPSSに衝突したモードというのは、1桁遅い事象であり、今回の直接要因にはなり得ないと評価できることが分かりました。
 34ページに行っていただきまして、次が「FTA 1.3.1 爆発・燃焼」のうち、衛星推進薬に関する評価を今回行ってまいりました。衛星に搭載された燃料、モノメチルヒドラジン(MMH)は、衛星の開発や製造工程、フライト直前までのデータが取れていましたが、このデータなどから外部に漏洩した可能性というのは非常に低いと評価してはおりましたが、万が一、フェアリング内にこれが漏洩して化学反応を起こした場合に、今回のような事象に至るかということを要素試験等により確認しました。この試験は、フェアリング分離時に生じてMMHの熱分解や燃焼に至ると想定されるエネルギー源ごとに評価をいたしました。
 まず1つ目が、フェアリング分離機構のノッチボルトの破断時に生じる熱い金属端面というものです。通常で生じるものですけれども、ノッチボルトの破断時に、圧縮歪みを受けていたボルトが急激に切れることで、温度が上昇することが分かっております。これは別の試験を行いまして、最大150度まで上がることが分かっております。こちらの右の上の方にその試験結果を示しております。今申し上げた150度以下というのが、このオレンジの線で示した領域です。熱く熱したプレート上に液状のMMHを滴下させて反応を見ると、自己分解するかという状況を見た図ですけれども、150度はもちろんのこと、250度まで反応は起きないということが確認されました。270度とか320度で試験をすると、発熱反応が初めて見られたという状況です。これは窒素雰囲気での実験でございますけれども、最悪の条件として、空気のある常圧の環境での試験も行いましたが、それも、この温度が高い状況では発熱反応が起きましたが、いずれも、非常に緩やかな反応で、燃えるとしてもメラメラというような感じで、爆発的な反応ですとか、強い発光、こういったものは発生しないということが確認されました。続きまして、液状のMMHの滴下実験を行いました。フェアリング内は分離時には非常に低圧になっていますので、MMHが気体として拡散し、そこに残存している空気と混合した状態から着火した場合には、違った様相を呈するのではないかということで、それを調べるのにCFD解析を実施いたしました。これは、フェアリングのハウジング内にトラップされた空気が、フェアリングの分離と共に放出され、十分混合した最悪ケースを想定して実施をいたしました。その結果、後ほど巻末に示しておりますが、燃焼が起きる可能性はあるけれども、衛星や搭載構造に働く圧力による荷重は、非常に小さいということが確認されました。
 丸2といたしましては、フェアリング分離時に生じる衝撃によって、何らかの化学反応が起きないかを調べたものです。こちらは右に示しますように、プレート上に滴下したMMHの上に、エネルギーを持たせた形で、ある高さから重りを落とす実験を行いました。最初に、ノッチボルトが飛散するエネルギーがこの衝撃源となるかならないかというケースで、非常に小さいエネルギー量になるのですけれども、この実験を行いましたが、反応は起きませんでした。かける最大のエネルギーは、滴下したMMHの全量が熱分解するのに必要なエネルギー、これが最大考えられるエネルギーということで50J、こちらのエネルギーをこの重りの位置エネルギーに持たせて落下させるという試験を実施いたしました。しかし、いずれの実験においても、爆発的な反応や発光は発生しませんでした。MMHが非常に安定した物質であるということが改めて示された形になっています。
 以上の結果から、フェアリング分離に伴って生じるエネルギー源では、構造体を破壊するような爆発的な反応は起きないということが確認されましたので、衛星推進薬の爆発・燃焼は本事象の要因ではないと評価できると考えております。
 
 35ページにいっていただきまして、FTAの2でございます。PSS内部に製造工程で生じた剥離というものでございます。PSSは、前回も御説明していたかと思いますけれども、パネル4分割で製造したアルミハニカムコアをCFRPでサンドイッチした構造を全周で組み立てて、接着スプライスで接着をするという製造工程としております。その製造工程を右の図に示していまして、まずパネルはオートクレーブで、それぞれ4分の1ずつの大きさで製造し、パネル全面を超音波探傷で検査をし、良品を次の工程に進めるという工程になっています。そしてそれを4つ並べた形で、この青い色で示しておりますスプライスパッチと称しているCFRPの積層したプリプレグ、これを乗せて接着をしていくということになっています。その接着工程の後は、この青で示しております部分の超音波探傷を実施し異常がないことを確認し、合わせ技として全面の検査ができているという状態を保証する考え方でございました。今回、こちらの写真に示します、スプライスとスプライスの間の部分に、真ん中の図に示しますような形で、CFRPのスキンとアルミハニカムの間に剥離が発生していることが製造済みの複数のPSSのスプライス箇所の近辺で発見されました。最初は打音検査をやったところ異音が確認されて、代表箇所を切除し調査した結果、これが想定を超えた領域で剥離していることが確認されました。8号機の当該部の状況は、残念ながら記録には残っておりませんが、この複数の後続号機のパネルの中に剥離があったということを考えますと、8号機も同様に剥離した状態でフライトに臨んだ可能性が高いのではないかと考えておりまして、この剥離部が破壊の起点となった可能性があるのではないかと考えています。ここからスキンの局部的な座屈や急激な剥離の進展が発生した場合には、故障シナリオが説明できる可能性があるのではないかと考えています。
 36ページにいっていただきまして、このページでは、PSSのパネルスプライス部の構造と接着の工程を詳細に御説明しております。4分割のパネルの間に、先ほど申し上げましたCFRP製のスプライスをこのように置きまして、常圧下で加温して接着をするという工程でございます。このように4枚のパネルを付け合わせて、間に充填剤を入れて、その両側をスプライスで挟み込んで接着をするといった構造になっています。右側にはその部分の詳細な図面や工程の写真を含む詳細を載せておりますけれども、こちらにつきましては製造メーカのノウハウに関するところということで、委員の先生方には、後ほど詳細を非公開の部で御説明させていただきたいと考えております。
 続きまして37ページ、H-IIAではこのPSSはどういう構造だったのかというところでございます。H-IIAでもCFRPのスキンとアルミハニカムをサンドイッチしたパネル構造であるということは共通で、4分割であるということも共通でございました。ただし、CFRPの材料は異なったものでございます。一番違うのはこのパネルスプライス、パネルを接合する部分ですけれども、ここがH-IIAでは右側の図に示しますように、スプライスをボルトで固定するというファスナ結合方式を取っておりました。H3ではこれに変わりまして、このスプライスをパネルに接着するという工程に変更したということでございます。こちらは、H3が低コストかつ軽量を狙うということで、より高性能を目指したということで、接着工程を採用したというものでございました。また、大きさ、直径や高さ、こういったものは違うというところを書いてございます。
 それから製造記録の調査も進めてまいりました。本事象に関係すると考えられます、2段機体、フェアリング、それからPSS、PAFにつきまして、設計・製造工程の変更、不具合の処置、トレンド評価、こういったものを実施してきましたが、現時点では8号機の失敗に直接的に影響するような特記事項がないということは確認しております。調査内容はここに記載したとおりでございます。先ほど御説明したFTAにて識別した特記事項であるPSS内部に生じた剥離につきましては、さらに深掘りをし、部品工程単位での4M、具体的には、作業者、製造装置、材料、製造工程、この詳細を実施いたしまして、2件の特記事項を識別しております。その他については、8号機の失敗に影響する事項はないことを確認しております。この特記事項2つですけれども、スプライス部の超音波探傷検査で、インジケーションが広範囲で確認されたということと、工程管理試験での接着部の強度が、規格値内ではあったもののトレンドから外れていたということがございました。これはいずれも剥離の箇所ではなくて、スプライス自体の特記事項でございまして、開発時に設定した基準に従って適切に技術評価してフライトに供しておりまして、その評価自体については現時点でも変わっておりません。ただ、剥離がスプライス接着工程で発生している可能性が高いと考えておりますので、これらの関連性について評価してまいりたいと考えております。
 39ページです。以上御説明したFTAの調査に関する評価の進展から、こちらの図で示しますような形で変更したいと考えております。赤字で変更点を示しております。まず「接触・衝突」についてはその可能性がないということが分かりましたので、三角をバツにしております。また「1.3.1 爆発・燃焼」につきましては、全体としてはまだ消せていませんけれども、衛星の推進薬については要因とならないということを書き加えております。それから「2 内部構造の損傷」のところについては、三角を三角括弧付きでマルという形で書いてございます。この括弧付きの意味するところを欄外に示しております。フライト中の剥離進展や最終的に破壊に至るメカニズム、こういったものが明確になれば丸、つまり直接要因になり得ると考えられますけれども、現時点は評価中ということで、括弧付きとしております。評価の内容としては、先ほど御説明した内容が書いています。ここまでがFTAの御説明でございました。
 続きまして40ページ、「発生シナリオ」でございます。発生シナリオの設定を今回いたしました。今後FTAで識別した要因の絞り込みを進めるにあたり、各要因がどのような流れで進行して事象に至ったのか、というシナリオを設定したいと考えています。このシナリオと申しますのが、一連の発生事象を合理的に説明できる一連の物理的な挙動を示しているもので、FTAだけでは必ずしも十分に表現できない、連続的なシステムの挙動を表したものと考えています。シナリオの設定におきましては。事象の把握において確認してまいりました、本日も御説明しました、非常に短時間で発生しているということとか、最終的に衛星搭載構造の破壊に至るといった、入り口と出口がきちんと整合するように配慮してまいりたいと考えています。
 41ページ、設定したシナリオのサマリーでございます。シナリオは故障要因ごとに設定しておりまして、各シナリオの中でも損傷箇所などいくつかのパターンが考えられますけれども、その代表的なものを示しております。詳しくはそれぞれの項目で御説明しますが、1つ目として「火工品の破裂」、2つ目として「フェアリング内の爆発」、3つ目として「LH2(液体水素)の漏洩」、4つ目として「差圧荷重の発生」、5つ目として「PSS内部構造の剥離」というものでございます。
 1つ1つ御説明してまいります。42ページ、まず「火工品の破裂(No.1)」でございます。 こちらは、フェアリングの分離時に作動する火工品からガスが噴出して、ガスによる熱もしくは圧力波が、衛星搭載構造を損傷させたというシナリオでございます。詳しくは、お読み取りいただければと思います。
 続きまして43ページ、「フェアリング内の爆発(No.2)」でございます。こちらは、先ほど衛星の方は消せたと申し上げましたので、残るのはロケットの燃料ということになりますけれども、その可燃性のガス、すなわち水素が、フェアリング内に滞留し、爆発して発生した圧力波が、搭載構造に損傷を与えるというシナリオでございます。
 続きまして44ページ、「液体水素の漏洩(No.3)」でございます。何らかの要因で液体水素が漏洩して、衛星搭載構造、特にPSSを低温化させるということで、このPSSは、先ほど御説明しましたように、CFRPとアルミハニカムという、熱による線膨張係数の異なる材料を貼り合わせて使っておりますので、低温による熱収縮の違いによって、損傷を与えたというシナリオでございます。
 続きまして45ページ、「差圧荷重の発生(No.4)」でございます。前回御説明しましたとおり、フェアリングにはベントバルブというものが装着されておりまして、機体の上昇に伴って、中の空気を外に排出していくという機能が備わっておりますけれども、このベントバルブが何らかの異常により機能しなくなり、フェアリングの中に想定以上の空気が溜まっているという状態から、いきなりフェアリングが開頭し、内外差圧が発生し、それがPSSに何らかの損傷を与えるといったシナリオでございます。
 最後に46ページ、「PSS内部構造の剥離(No.5)」ということで、先ほど御説明した、スキン/コアの想定以上の剥離が存在した状況で、丸2のところ、フェアリング分離までの1段飛行中は破壊せず耐荷していたのだけれども、飛行中の真空環境等によって剥離が徐々に進展していく、というのが丸2です。これは、フェアリングの内部には最大で1気圧の空気が密封されておりまして、今回剥離が発見されたフライト用のPSSで、この剥離の箇所の外部を局所的に真空状態にしたところ、剥離が部分的にではありますけれども進展するということが確認されておりますので、こういったことはあり得るものと考えられます。
 丸3、フェアリング分離時の衝撃等によって、剥離部を起点にスキンの局所的な座屈、それから急激な剥離の進展が発生すると、丸4のところで、座屈部ではこのPSSの剛性が急激に低下いたしますので、荷重が再配分され周方向に荷重を持ってもらおうとするのだけども、そこもやはり耐えきれずに座屈してしまうという破壊の伝播が周方向に進んで、連鎖的に座屈が一気に進展して、構造全周が座屈をするということで、丸5で、座屈全崩壊したPSSが衛星の慣性力を支えられずに上下に分割されて、PSS上部が衛星と共に落下するというシナリオでございます。
 最後に今後の計画でございます。48ページ、こちらの体制は前回から変わってございません。49ページ、前回と同様に今後の計画の中で本日のまとめを書いてございます。まずテレメトリデータや画像データの詳細な分析から、事象の発生時点と破壊箇所の絞り込み、これを実施してまいりました。また、フェアリングの分離検知時刻の特異性について整理をいたしました。これらの事実から、FTAのいくつかの項目が今回の直接的な要因でないということを整理いたしました。そして、FTAをもとに発生シナリオを設定いたしました。今後、各シナリオに対して再現試験や再現解析等により評価を進めて、原因を特定してまいりたいと思います。次に、製造済みのPSSの内部に製造工程で生じた剥離がある、ということが確認されました。 8号機にも同様な剥離が内在した状態でフライトしていた可能性が高いと考えてございまして、これが破壊の起点となった可能性があると考えております。しかしながら、これを直接要因として特定するためには、この剥離がフライト中に進展し、最終的に破壊に至るメカニズム、それから、前回御説明しました画像に見られた白飛び、これが8号機では特異的に長く継続しているということを前回報告しておりましたけれども、この白飛びが長く続いたということを含めたフライト時のデータとの整合性、それからこれが8号機までなぜ発現しなかったのかといった理由などを明らかにする必要があるという風に考えてございまして、これらの評価を重点的に進めてまいりたいと考えてございます。今後の原因究明としては、FTAとシナリオの潰し込みを続けてまいります。原因の特定としては、再現試験、再現解析等によりシナリオの裏付けと特定を進めてまいりたい。そして最終的に是正対策として、対策案の設定と効果の確認をしてまいりたいと考えてございます。
 参考資料の最後のページに、MMHと空気の混合燃焼のCFDの結果を載せておりますので、結果の概要は先ほど御説明しましたので、こちら必要に応じてお読み取りいただければと思います。私からの御説明は以上になります。
 
【木村主査】  御説明ありがとうございます。まず、この間ですね、原因究明プロセス、非常に精力的に進められたこと、皆様の御尽力に敬意を表したいと思います。本当にありがとうございます。情報が非常に多かったものですから、最後のまとめのところがよくまとまってはいるのですけれども、少し私の方でも復習したいと思います。まず今回、フェアリング分離後から62ミリ秒という非常に早い段階で破壊が始まっているということを特定された、これは非常に大きいかと思います。それから、破壊箇所がPSSの上部であるというところも絞り込まれたというのも、大きなポイントかと思います。その上でFTAについて3点絞り込みを行われて、1つが「1.1.5 接触・衝突」というところと、「1.3.1 爆発・燃焼」の一部。これはMMHの燃焼について検討を進められたというところ。それから最後の「2 内部構造破壊」のところで剥離の可能性があるということを発見されたというところですね。その上でシナリオによる検討を進められているということなのですが、1つコメントがございます。シナリオに基づく検討は良いところと悪いところがあると思っていまして、良いところは非常にイメージ的に掴みやすく、何が起きているかを追いやすいという点でして、危険なところは、そのシナリオに寄せて考えがちになってしまうことによって、そこで汲み取れない周辺の事情とか状況を気がつかないリスクがあるというところがありますので、そこら辺はもう既に気をつけられながら進められていると思うのですけれども、ちょっと注意が必要かと思いました。シナリオで分かりやすい分だけそっちに寄せられてしまい、見えなくなる現象というのがあり得るので、進めていく上で注意が必要かなと思いました。
 
 先ほどのFTAについてのコメントのところについて、少し質問もあるのでコメントさせていただくと、1.1.5の衝突について、今回の事象が早いということが非常にキーになっていて除外して大丈夫だというところを抑え込まれた、これは非常に良いことかなと思います。1.3.1のMMHの燃焼について、反応が非常にゆっくりで緩やかな燃焼であるので除外できるであろう、というところを、様々な証左を挙げられて説明されていると思いますから、非常に心強い結果だと思うのですけども、ここで気になるのが、おそらくある網羅性の基にピックアップされて試験等を行われ、それで除外されてきているのだと理解しているのですけれども、全体として燃焼が起きる、あるいは爆発的な燃焼が起きるということに対して、ここでチェックされたことが網羅的にカバーできているというシナリオが必要かなと思います。そこは今回でなく次の説明の時でも結構なのですが、是非整理される必要があるのかなと思います。若干今回の説明で、経時的な説明になっているのでややもするとアドホックな印象を受けるというところがあるので、そこは是非整理をされた方が良いかなという印象を持ちました。これはコメントです。
 最後の内部構造の損傷のところで剥離が見つかったと、これは今回重要な発見だと思います。これは製造上の問題として、この先、対策を取られていく上でも重要かなと思うのですけれども、先ほどまとめのところでコメントのあった、おそらくこの構造自体はこれまでの号機でも使われているわけですね。今回なぜ顕在化したのかということについての説明がもう1段階必要であると思っています。これは確率的なものなのか、それとも何らかの特異な事象がここで発生したと考えるのか。それによって若干変わってくるかと思いますので、そこの説明が必要かと思います。
 それから、映像情報との整合性も非常に重要だと思っていて、今回、映像が撮れているというのが特徴的だと思うのですがそこをきちんと説明できるシナリオになっているかどうか、あるいはそこに何らか他の要因が入っている可能性はないかというところの検証が必要であると思いました。特に、最後の方でまとめられていましたが、内部構造の損傷に関するところで、今言った2点について、まず質問としては、これまでの号機でも同じ構造を使われていたのですよね、という確認、それから今回特異的に何か違ったことがあるのか、あるいは今回、もしくはこれからの号機について違ったところがあるのか、というところについて確認させていただけますでしょうか。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  はい、ありがとうございます。まず、今の御質問にお答えしますと、基本的に、製造工程、設計、こういったものの特異性は確認されておりませんで、8号機が何か特別なものであったということはないと考えています。ただし、こちらで非常に細かいところにはなりますけれども、スプライスの部分に従来にはなかったようなインジケーション、それから接着強度のトレンド外れ、こういった特異事項は見られております。ただし、剥離があったそのものの場所ではなくて、スプライスの部分だったということで、これについては注目をして、関連性があるのかどうかを確認してまいりたいと考えてございます。
 
【木村主査】  ありがとうございます。あと、もう1つ、これ剥離である場合に、時定数としての特徴が今回ありますね、非常に早い段階で急速に進行したというところがあります。これは、CFRPの剥離による破壊ってそんなに早く進行するのだろうか、というのがちょっと一般の人には理解できないとこなのですけれども、それはこれくらいの時定数でも起きるものなのでしょうか。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  はい。CFRPは御存じのとおり、延性材料ではなくて脆性材料ということで、基本的には脆い材料の部類に分類されます。ひとたび破壊が起きますと、その破壊が急激に進展していくという、脆性材料特有の破壊の仕方をし得るということを、JAXAの内部ではあるのですけれども、航空機でこういったCFRPを専門にしている研究者にも確認をして、これが早い時間で起きることは無理のないところであるというコメントをもらっています。
 
【木村主査】  ありがとうございます。そのあたりも多分ポイントかなと思いますので、最終的にその時定数みたいなところでの合わせ込みのようなことも併せてこの説明の中に入れていただくと良いと思いました。
 そうしましたら、御質問いかがでしょうか。笠原委員、お願いできますか。
 
【笠原委員】  御説明ありがとうございます。また、緻密な調査、分析、特定箇所をより絞り込んだ解析に、敬意を持ちながら聞かせていただきました。ありがとうございます。
 2点確認と、それから1点質問させていただきます。まず1点はですね、ノーズコーンの開頭前、1気圧に保たれていたという有田PMの御発言がありましたが、大気圧に保っていて、ノーズコーンの開頭とともに真空に急激に解放された、ということが正しいかどうかが確認の1点目です。
 2点目は、今回問題になっておりました接合部のいわゆる空隙が発生する箇所なのですが、H-IIAの場合にはボルトで結合されていた箇所に相当するところで剥離が発生していたと考えてよろしいでしょうか、というのが2点目の確認でございます。
 最後の質問は、1番最初に、ノーズコーンの開頭のタイミングが早めに検出されていたと。従来の8号機より前の号機に比べて半分以下でしょうか。時間が短縮されていたということの解釈なのですが、 最後まで聞かせていただきますと、衛星が落下することによって全体の加速度が上昇したことで、開頭速度が上がった、と理解をしたのですが、それが正しいでしょうか。これは質問になります。以上3点でございます。よろしくお願いいたします。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  笠原先生、ありがとうございます。まず、開頭前に1気圧だったかという御質問は、シナリオのナンバー4の差圧荷重の発生のところに対する御質問でよろしかったでしょうか。
 
【笠原委員】  はい、そのとおりです。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  私の説明が悪かったかもしれません。正常な時にはこのベントバルブはちゃんと機能します。この右の図のように、外の圧力が機体の中よりも低くなると、バルブが開いて外に排出されることになります。一方、外気圧が高い、例えば地上にいる時のような時に、外気を吸い込まないようにこのベントバルブが閉まるというような仕組みを持っております。このベントバルブが正常に働いてさえいれば、機体の上昇と共に外気圧は下がり、ベンドバルブが開くことでフェアリングの中の空気は外に排出され、宇宙空間と同じ気圧になっている、というのが基本的な正常な動きでございます。ただし、ここで想定しましたのは。何らかの要因によってこのベントバルブの動きがあまり良くなかったということで、途中で開かなくなってしまうというようなことがなかったかと。その場合には、さすがに1気圧がそのまま残っているというのは少し考えにくいかなとは思いますけれども、何らか、通常よりは高い気圧の空気が残ってしまった可能性はないか、外はもう真空の状態でフェアリングが開いた時に、何らか衛星に対して悪さをすることはないか、といったシナリオでございます。ちょっと1気圧が残っているということまでは、さすがに考えていないということです。
 
【近藤企画官(事務局)】  有田さん、すみません横から。次のページの、このハニカム内部の、というべきところを、フェアリング内部と有田さんおっしゃったので、そのことだと思います。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 あ、言い間違えましたか、申し訳ございません。46ページの2行目のところ「最大1気圧の空気が密封されており」と申し上げたのは、このアルミハニカムコアの中に、製造時、一応圧を下げるようなこともやるのですけれども、積極的にしているものではないので、最大1気圧の空気が残るということを申し上げました。すみません、誤解を与えてしまったかもしれません。
 それから、2つ目の御質問。接合部がH-IIAのボルトに相当するところに問題があったのか、というところで、答えとしてはイエスでございます。37ページ、H-IIAでは、こちらの図に示すように上から下まで1本のスプライスで、その両端をファスナで結合している、という形でした。今回は、こちらの写真に示しますように同じようにスプライスを貼っているのですが、これをボルトで結合するのではなく接着で接合しているというところが変わっているというところと、上から下まで1枚のスプライスではなく上下に分割されたスプライスになっていまして、その間のところで剥離が生じていたというものでございます。ここまでよろしいですか。
 
【笠原委員】  はい、よろしいです。ありがとうございます。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  3つ目、開頭が早かったこととの整合でございますけれども、こちらにつきましては、現在まだどのシナリオとどのように整合していくかというところは検討しているところでございます。一種の仮説みたいなものはございますがまだこの場で申し上げるのは早い状況と思っていますので、最後のページに示しましたように、フライト時のデータとの整合性、これが取れるかどうか、こういったところと併せて検討してまいりたいと考えてございます。
 
【笠原委員】  御説明、どうもありがとうございます。非常によく分かりました。本当に頭が下がります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
【木村主査】  ありがとうございます。他は御質問等いかがでしょうか。
 ここまでのプロセス、非常に真摯に、また網羅的に取り組まれていると思います。引き続き、また我々の方でも伴走していきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。この後、一般には非公開の部分とさせていただきますので、先ほど資料中マスクされていた部分についての確認を行いたいと思います。その前に、事務局から事務連絡を先にお願いできますでしょうか。
 
【近藤企画官(事務局)】  ありがとうございます。冒頭私の方で、委員の出席状況について、6名の参加が見込まれておりますと申し上げましたが。その後、花本委員に加えて神武委員にも途中から御参加いただいていますので、途中7名の委員の先生方に御参加いただいていました。会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は既に文部科学省のホームページに掲載させていただいています。議事録につきましては、公開部分について、委員の皆様に御確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきます。
 また本日、会合の後、事務局よりプレスの皆様向けにH3ロケット8号機の原因究明の状況について、フォローアップのための記者ブリーフィングを行う予定でございます。
 次回の調査・安全小委員会の開催につきましては、今後の原因究明状況に応じての開催となります。 委員の皆様には、後日、目処が見えてまいりましたら、改めて日程調整の御連絡をさせていただきます。
事務連絡としては以上です。
 
【木村主査】  ありがとうございました。それでは、一般の方はここまでになります。ここまでの傍聴、ありがとうございました。
 
(了)

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