令和8年1月20日(火曜日) 13時00分~15時00分
オンライン会議にて開催
主査 木村 真一
主査代理 神武 直彦
臨時委員 笠原 次郎
専門委員 柿沼 志津子
専門委員 熊崎 美枝子
専門委員 豊嶋 守生
専門委員 花本 健二
大臣官房審議官(研究開発局担当) 古田 裕志
研究開発局 宇宙開発利用課長 梅原 弘史
研究開発局 宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 近藤 潤
研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一
(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事/宇宙輸送技術部門長 岡田 匡史
宇宙輸送技術部門 事業推進部長 森 有司
宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 有田 誠
(オブザーバー)
内閣府
宇宙開発戦略推進事務局 参事官/準天頂衛星システム戦略室長 三上 建治
宇宙開発戦略推進事務局 参事官 𠮷村 源
【木村主査】 定刻になりましたので、第59回宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会を開催いたします。前回に続きまして、H3ロケット8号機の打ち上げ失敗に関する第3回目の会議ということになります。本日も前回同様オンラインでの開催になっております。委員の皆様におかれましては御多用のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは事務局から本日の会議に関する事務連絡を最初にお願いできますでしょうか。
【近藤企画官(事務局)】 事務局です。本日は本会合に御所属いただいている8名の内、現時点で5名、後から2名御参加で、全部で7名の方に御出席いただくことになっております。前回同様、内閣府から三上参事官、吉村参事官にもオブザーバーとして参加いただいています。本日の資料は議事次第に記載の通りになってございます。オンライン状況につきまして音声が繋がらないなどの問題ございましたら、事務局へメール、電話などで御連絡いただければと思います。事務連絡としては以上です。よろしくお願いします。
【木村主査】 ありがとうございました。前回の会合から年末年始を挟んでの開催になっておりますけれども、この間もJAXAにおいてフライトデータの解析など原因究明活動が鋭意進められていると伺っております。本日はそれらを踏まえて原因究明の進捗状況について確認していきたいと思います。早速議題に入りますけれども、資料の御説明を、JAXA H3ロケットプロジェクトチームの有田プロジェクトマネージャ、よろしくお願いいたします。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 JAXA H3プロジェクトチームの有田でございます。本日もよろしくお願いいたします。それでは私から資料の共有をさせていただきますので少々お待ちください。
本日はまず最初に、委員の皆様方に今回の8号機のフライトの全容を全体として捉えていただくために、取得された動画、画像につきまして御紹介をしたいと思います。 最初にこのロケットに搭載されておりますカメラの位置をこちらの図で御説明いたします。ロケットには合計3台のカメラが搭載されておりまして、そのうちの2つは機体の外を見る形になっています。左下の写真と右上の写真がありますけれども、右上の写真で見ていただきますと、第2段ロケットの上部に下向きにカメラが設置されております。その位相を右下の図で見ていただきますと、Bの位置が右下、Aの位置が左上ということで各軸のほぼ真ん中に位置しているとお考えいただければと思います。
このカメラは主にSRB-3の分離と1・2段の分離を撮影するという役割を持っております。また、フェアリングの内部、左上の写真のこの黒い円錐台のペイロード搭載構造ですけれども、衛星搭載構造の真ん中辺りにカメラが1台装着されております。こちらは右下の図だとCの位置で、3軸上に搭載されています。
次のページにいっていただきまして、こちらがSRB-3の分離の画像でございます。先ほど申し上げました機体の外部を見ているカメラで、SRB-3の分離が良好に捉えられていると御理解いただければと思います。
続きまして衛星フェアリングの分離です。これはフェアリングの内部に搭載されておりますカメラからの画像で、通常と異なる動きが見られております。これにつきましては後ほど詳しく御説明してまいります。
続きまして1・2段分離の画像です。こちらは外部を見ているカメラからの画像で、右側の画像に分離した1段が徐々に見えてまいりました。これが下の方に動いていきますと左の方の画像にも1段が見えてくると。そして特徴的なところとしては、右側の画像、最後のところにこのような衛星らしき物体が映っているというのが見て取れます。
最後に衛星分離の時点の画像です。本来ですとこの上側のところに分離した直後の衛星が映っているはずでございますが、このように白いモヤのようなものが見えるだけで衛星の姿が確認できないという状況になってございました。ここまでが動画を用いたフライトシーケンスの御説明でございました。
続きまして資料の説明に入ってまいりたいと思います。本日、原因究明の状況ということで御説明してまいります。
本日の資料構成ですけれども、P.1、右上に前回お示ししたのと同じように、12/25に御報告した内容との差異を3つのカテゴリで識別しています。青い「再掲」は前回御説明したものをそのまま載せているものです。真ん中の「更新」につきましては前回の内容から更新したもので、「追加」は今回新たに追加したものです。本日の報告内容につきましては、1章としてH3ロケット8号機の打上げ結果全般についてですが、1-1から1-3につきましては前回とほぼ同様の内容で、今回1-4としまして「飛行状況の評価」ということで、ここを詳しく御説明してまいりたいと思います。2章としまして原因究明で、今回FTA(Fault Tree Analysis)の作成に取りかかっておりますので、その検討状況について御説明します。3章として今後の計画について御紹介してまいります。
次のページ(P.2)にまいります。本日の報告の内容でございますけれども、今回の資料の範囲ということで図示しております。打上げの失敗を踏まえまして、これまでフライトデータに基づく事象の把握を鋭意進めてまいりました。今回はその事象の把握として、飛行状況の評価を追加して御報告いたします。そして先ほど申し上げましたようにデータに基づく原因究明ということでFTAの作成に取り掛かりはじめましたので、これについて御説明してまいります。なお右に書いてございますけれども、今回の報告から、みちびき5号機の関係機関、それからJAXAの衛星有識者の協力を得て検討を進めております。みちびき5号機の関係機関のみなさまにはたいへん御協力いただきまして、この場をお借りして御礼申し上げます。
次のページ(P.3)お願いします。1章の8号機の打上げ結果の説明に入ってまいります。打上げ結果の概要、こちら再掲ですので説明は省略させていただきますが、打上げ日は昨年の12月22日でございました。
次のページ(P.5)が8号機の主要諸元でございますが、こちらも前回の再掲ですので御説明は割愛いたします。
次のページ(P.6)、こちらも前回お示ししました1号機から7号機までの比較ということで、8号機が22S形態ということで、5号機までと基本的に同じ形態ですということを前回御説明いたしました。
次のページ(P.7)いっていただきまして、こちらのページ、フライトシーケンスを示しております。これも前回から変えてございませんけれども、(7)で示しております第2段エンジンの第1回燃焼停止以降、従来とは異なる異常な挙動が見られるということを御説明しておりました。
次ページ(P.8)に行っていただきまして、こちらのページ、機体の位置、それから高度の図を示しております。内容については変更しておりませんけれども、前回はこれを2ページにわたって1枚ずつ示しておりましたが、それを統合したという編集上の更新だけでございます。
次のページ(P.9)いっていただきまして、こちらのページは、前回御説明しましたものをそのまま掲載しておりますけれども、フライトデータで見られます特徴的なものを御説明した図でございます。
次のページ(P.10)いっていただきまして、ここからが今回新しく追加をさせていただいた飛行状況の評価のページになります。まず皆様に今日の御説明のアウトライン全般を御説明するということで、結論に近いところを最初にお話しさせていただこうと思います。
ロケットは正常にリフトオフして第1段の燃焼、こちらは正常であった考えております。しかしながら、フェアリング分離の時点で、この丸1のところでございますけれども、衛星フェアリングの分離時に何らかの要因で衛星搭載構造の一部が損傷破壊したと考えております。しかしながら、第1段のエンジンが燃焼中でありまして、衛星を下から押し続けるということで、一体となって飛行を継続したと推定しております。
次のイベントが第1段エンジンの燃焼停止から第1段・第2段の分離のイベントでございます。この段階になりますと、丸2のところ、第1段エンジンの燃焼停止に伴いまして、第1段の機体から衛星を上向きに押す力がなくなりますので、それに伴い衛星がロケットから離脱したと考えてございます。そしてこのページでの最後のイベントとしまして、丸3、第2段エンジンの着火がこの後起こりまして、第2段機体と衛星との間に相対距離が生じることで、ロケットが衛星を追い越していくというような形になり、右下の写真にございますように、1・2段分離の時点で衛星らしきものが右下に映っているという状況になったと考えております。
次のページ(P.11)いっていただきまして、このページでは今御説明しました飛行状況の推定の根拠を示しております。まず第1の根拠としましては、繰り返しになりますが、1・2段分離の時点の映像に衛星らしき物体が映っているということ。それから第2段エンジンの第1回の燃焼につきましては、前回御報告いたしましたが、推力が20から35%も低かったにもかかわらず、トータルの燃焼時間は全体で400秒近くあるはずでしたが、それが5%程度長い、27秒程度長いだけで、所定のパーキング軌道に到達しておりました。このパーキング軌道というのは、最終の投入前の中間的な軌道のことでございます。
このことは、第2段エンジンの燃焼開始時には衛星が既になく軽い状態であった仮定すると説明できると考えてございます。このことと先ほどの映像の情報と合わせますと、第1段と第2段の分離時点では既に衛星が離脱していたと考えるのが妥当であると考えております。したがいまして、衛星につきましては第1段と同様に、第1段の落下予想区域内、南鳥島の東方の海上に落下していると考えられまして、現在までに被害に関する報告などは確認されてございません。
そしてこれらを示す傍証として、3つ目のポツを説明いたします。次のページにデータで御説明してまいりますけれども、衛星分離部のテレメトリ項目、具体的には加速度や温度でございますが、これは第1段のエンジン停止までは正常に取得できておりました。その後、衛星がロケットから離れたと考えられる1・2段の分離時点で、断線のモードを示しているということから、衛星搭載構造の一部が衛星側に付いたままの状態でロケットから離脱した考えられます。衛星分離部と衛星間には分離を検知するための分離スイッチが設けられておりますけれども、このラインも同じ時点で断線したと考えられます。このラインが断線した場合には、衛星が非分離状態であり続けるということを示す仕様となっておりまして、これまで御説明してまいりましたが分離検知がなされていないという事実とも整合するという風に考えてございます。
次のページ(P.12)いっていただきまして、今のところを御説明いたします。このページは第1段エンジンの停止から1・2段分離付近のデータの挙動を示した図でございます。横軸は時刻を示しておりまして、1段停止信号が出た時刻を0としております。1段のエンジン停止信号が出ますと、ピンクで示しております1段エンジンの燃焼圧力が下がり始めます。そして約2秒間かけてエンジンの推力がなくなっていくという形になります。それを受けまして、青い線で示しております衛星分離部の機軸方向の加速度も推力の低下に従って0Gを示すようになります。そして推力がほぼなくなった時点において、加速度No.1、No.2、No.3とも、このように上下に不定のデータを出力するような形に変化しております。また衛星分離部の温度につきましては、下の方、No.1、No.2の温度がございますけれども、この温度センサーにつきましては推力が出なくなった頃に上側に振り切れるというモードになっております。これも温度センサーについて断線を示していると考えております。また一番上のところ、衛星分離検知No.1、No.2につきましても、推力がなくなった時点でもonの状態を維持しております。先ほど御説明しましたように、衛星分離の検知につきましては、オープン状態がonを示す仕様となっておりまして、逆に衛星が正常に分離した場合には、クローズとなってoffになることで衛星の分離を検知する仕組みになっていたのですけれども、今回はこれがオープン状態のまま、つまり断線した状態になってもステータスは変わっていないということと考えられていて、ステータスが変更していないという事実と整合するという風に考えてございます。
ひとつ前のページ(P.11)に戻っていただきまして、最後の2行です。上記のような異常な事象につきましては、衛星フェアリング分離開始直後の異常な加速度の発生時におきまして、衛星搭載構造に損傷が発生したことが起点となり生じたと推定しておりまして、13ページ以降、詳細な評価を示してまいりたいと思います。
それでは13ページに進んでいただきまして、まずこの衛星搭載構造がどういったものなのかを詳しく御説明させていただきたいと思います。衛星と第2段機体は、衛星搭載構造と呼んでいるもの、具体的には衛星搭載アダプター(PSS)という円錐台の構造と、同じく円錐台の構造ですが衛星分離部(PAF)を介して結合されております。そのハードウェアの部材の構成を示しているのが図の左半分です。衛星があって、PAFがあって、PSSがあり、このPAFとPSSの空間を隔離するためにバルクヘッドと称している隔壁、下向きの円錐台形状のものが取り付けられています。これによって空間の隔離がなされており、図の右半分で空間の隔離の状況を示しています。衛星のいる空間は緑で示しておりまして、フェアリングの内部と衛星とバルクヘッドまでが、ひとつの空間を共有しております。また、PSSと2段のタンクの上部に隔てられた空間、こちらがオレンジ色で示しておりますが、これがもう一つの空間となり、LH2タンクの中には水素が充填されているという状態になってございます。
フェアリングの中の気体は、機体の上昇に伴う外気圧の低下に伴い機外へ放出されます。リフトオフまでは空気で空調しています。一方、PSSとLH2タンクに挟まれた空間につきましては、リフトオフまでは窒素ガスで空調をしております。これは、LH2タンクが非常に低温になりますので、空気ですと液体空気が生じてしまって危険だということで、窒素ガスで空調をしているものです。この窒素ガスは、先ほどと同様に機体の上昇に伴って外気圧が低下していきますと、機体の外部に存在しますシステムトンネルを通して段間部から機外に放出される、そういった仕組みになってございます。
次のページ(P.14)にいっていただきまして、フェアリングの分離についての説明を少し補足させていただきます。全体の図としては前回お示ししたフェアリングの動作原理等を示した図なのですが、今回の新しい情報としては、左側下の3つのめポツに書いてございます、これからいろいろな事象の照合を説明していく上での時刻の基準について御説明をしてございます。フェアリングがこのように、貝が開くような形で左右に開いていきますけれども、これが約6度開いたタイミングで、根元についている分離検知用のQD(Quick Disconnect)コネクタが離脱してオープン状態になることによって分離を検知いたします。以降、フェアリングの分離というのを時刻の0基準とすることが多いのですけれども、このQDコネクタが離脱したタイミングを0ということを意味すると御説明させていただきます。
次のページ(P.15)いっていただきまして、前回も御説明しておりました衛星分離部の機軸方向の加速度の御説明に入りたいと思います。計測位置は、左の図に示しておりますように、衛星の分離部の内側に3軸計測することのできる加速度計が搭載されております。この図では上下の方向の機体の前方を正とした加速度を計測しているものです。まず、横軸で0の時点がここにございます。先ほどの、6度開いたところが0点になります。それよりも約0.08秒前にフェアリングを分離するための火工品の点火スイッチに電流を流します。それがonになった瞬間をこの破線で示しております。今回、この左側に書いてございますけれども、フェアリングの分離用の火工品点火直後の分離衝撃による応答は、従来号機と同等であり正常である、これは前回も御説明したところです。その正常だった領域についてはこの青い領域で示しております。それに続きまして、異常のありましたピンクの領域に入ります。この時点では、特徴1の部分に書いてございますけれども、分離衝撃の後にもう1度加速度のピークがみられます。さらにその後も加速度の変動が大きい状況が約0.2秒にわたって継続するため、私どもとしては、このピンクの領域を起点となった特異事象と捉えておりまして、この後の御説明につなげていきたいと考えてございます。
ここで1点補足させていただきます。補足の丸1に書いてあるところです。前回の御報告では、時間軸を引き延ばしてみたところ、特徴的な動きとして2回目の衝撃の後に準静的な動きが見られると御説明をしておりましたが、よくよく調べてみますと、この計測に使っておりますセンサーが低周波の計測用ということで、このような衝撃のような非常に早い現象を捉えるのは苦手なセンサーであることが分かりました。センサーメーカ等の見解も踏まえますと、この領域の準静的な動きにつきましては、過大な瞬時の加速度がかかった場合にセンサー特性によって示されている出力である可能性が高いということで、この領域につきましては、振幅のデータにつきましては定量的な評価には用いることができないものと考えております。この点、一部前回の御説明から修正、訂正させていただきます。
それからピンクの領域が終わりまして黄色の領域に入りますけれども、こちらは特徴2といたしまして、プラスの方向の加速度が周期的にみられています。こちらにつきましては構造物が複数回衝突してその後減衰した事象と推定されますが、あくまでもこれは、起点となったピンク色の特異事象の発生時に既に衛星搭載構造は大きく破損していると考えられますので、黄色の領域の事象についてはその後に2次的に発生した事象ではないか、既に破壊が進んだ状態のものが示している動きではないかと考えてございます。補足2のところ、これは従来から御説明しておりますけれども、従来の号機におきましてはこの衝撃応答が収束した後、約0.1秒で収束しますが、その後は全機の機軸方向であります18Hzで応答して、あまり減衰はしないという特徴がございました。今回見られているものにつきましては6~8Hzという周波数で非常に減衰も早いということで、おそらくなんらかの壊れたものが運動してそれが急速に減衰していっているという事象であると捉えております。
次のページ(P.16)お願いします。この図は今と同じ加速度の時間の幅を大きく拡大したものでございます。今回の特徴的な動きを詳しくみるために拡大しました。まずフェアリング分離直後の分離衝撃による応答につきましては、従来号機とあまり大きな違いはないと見て取れると思います。しかしながら今回につきましてはこの青い線で示しております2度目の加速度のピークが発生しており、その後センサーの特性によるものと思われる準静的なように見える加速度が続いて、さらに途中にも加速度の変動が大きく続いているという事象が見て取れます。
次のページ(P.17)にいっていただきまして、3軸方向で測っていたという御説明をしていましたけど、同じ場所で計測した横方向の加速度についてはどうだったのかということを示しているのがこちらの図です。左の図がピッチ方向、右の図がヨー方向の加速度を示しています。薄い線で描いておりますのが機軸方向のデータでございますけれども、これと同様にピンク色の起点となった特異事象の領域におきましては大きな加速度と、それから先ほど御説明したセンサー特性によると考えられる準静的な動きが見られると共に、黄色の領域で示しております2次的に発生したと考えられる特異事象の領域におきましては機軸方向の動きに何らか連動したように見える動きが見られる、そういった特徴がございます。ここまでが、加速度に着目した評価でございました。
続きまして、衛星フェアリング分離時のLH2加圧ラインの挙動について御説明してまいりたいと思います。右の図は前回も御説明をしましたLH2タンクの加圧システムの仕組みを示したものでございます。第1段が動力飛行をしているフェーズはまだ第2段としてはエンジンが動いていないという状況でありますけれども、第2段の点火に備えてこのタンクをフライトできるように加圧の準備をするシステムが整っております。具体的に申しますとこのLH2タンクの中にCHeと書いてあります極低温ヘリウム気蓄器がありまして、それが非常に冷たい状態ですので少し温度の高いLOXタンクの中にある熱交換器で昇温してそしてFTPVというLH2タンク過渡加圧バルブを通してこれをコントロールすることによって水素タンクの上部からこのヘリウムを入れてタンクを加圧すると、そういったシステムになってございます。
今回、まずどんなことが起きたと考えているかをまず日本語で御説明をして、後ほどグラフの方で説明してまいります。まず今申し上げましたように第2段エンジンの第1回燃焼に向けましてLH2タンクの加圧制御を行っている最中に起点となった特異事象(先程のピンクの領域)の後に衛星の分離部の温度、これは隔壁(バルクヘッド)で隔離されているよりも上の領域の衛星分離部の温度、それから隔離されていないのですけれども衛星搭載アダプターの中にある温度、これがいずれも低下するということが確認され、ほぼ同時にLH2タンクの圧力の低下を確認しました。それを受けましてLH2タンクの圧力を回復するためにこちらのFTPV:LH2タンクの過渡加圧バルブが開作動を継続しましたが、LH2タンクの圧力は回復することなく加圧中にLH2タンク内の温度変化、これも確認できないということで加圧ガスがLH2タンクにとどいていない状況であったということが確認できました。それからLH2タンクの圧力低下や衛星分離部の温度、衛星搭載アダプターの温度低下は先ほど申し上げましたように起点となった特異事象の後で起きているということから何らかの要因で衛星搭載構造が破壊され、その結果として加圧配管が損傷した可能性が高いというふうに考えております。これをデータで御説明してまいります。
先ほどと同じように0点は衛星フェアリングの分離時点時刻でございます。時間の幅としましてはこのフェアリング分離を中心に-50秒から+50秒を広い範囲を御説明してまいります。まずこの下から出ております青い線ですね、矩形での形で立ち上がったりゼロに戻ったりいう線でございますが、これはFTPVのバルブの電圧、つまりバルブが開しているか閉になっているかという状況を示しております。上に上がった時がバルブが開いている時間ということになります。
LH2タンクの圧力がこの黒い線で示しております。タンクの圧力がある閾値を下回りますとFTPVのバルブが開きましてこれがオンになって加圧ガスが流入し、そうすると圧力が上がっている。それに伴って加圧ガスが圧縮されることでLH2タンクの中の温度、このピンク色ですけどこれも、若干時間遅れを持ちながら上がって行くということが示されておりまして、これが50秒間に2回ほどその状況になりまして加圧ガスが中に正常に流入していると、でタンク圧を保持しているということが見ていただけるかと思います。その後衛星フェアリングの分離を迎えるわけですけれども、特徴1のところに書いてございますようにこの起点となった特異事象の後にまず衛星分離部の温度、それから衛星搭載アダプターの温度、青や赤、黄色で示している温度のデータが下降を始めます。そしてそれとほぼ同時にこちらの黒い線、LH2タンク圧がみるみる低下して行くということを示しております。これが加圧系の全体の大きな動きというふうに御理解頂ければと思います。特徴2でございますけれどもLH2タンクの過渡加圧バルブにつきましてはこの0秒付近からずっと開いたままの状態を維持するということなのですけれども、LH2タンクの圧力はこのようにずっと下がり続けて回復せず、加圧中もこの温度の方も下降を続けるということで加圧ガスがタンクの中に届いてない状況だったと考えられるという考察につながります。
次のページ(P.20)にいっていただきまして今の0秒付近、フェアリング分離付近を拡大したのがこちらの図になります。緑は機軸方向の加速度で灰色っぽいのがLH2タンクの圧力、それから衛星分離部の温度は黄色と赤で示しております。この赤の起点となった特異事象の少し前からこのタンクの圧力が上がり始めましてそしてこのピンクの事象が終わった直後に降下を始めるということでタンクの圧力とそれからこの衛星分離部の温度の低下、こちらはピンクの領域の後に低下しているということが御覧いただけるかと思います。それから特徴4でございますけれどもタンクの圧力がこのように脈動しているように見ていただけるかと思うのですけれども、これと衛星分離部の加速度、この緑のピーク、この時点がかなり良く一致していると言うことが見ていただけるかと思います。ここになんらかの物理的な現象としての繋がりがあると考えております。
次のページ(P.21)いっていただきまして、ここからは得られた画像についての考察をお示してまいります。
先ほど最初に動画でお示しましたように全体として衛星フェアリングの分離時点、それから第1段・第2段の分離時点、それから衛星の分離時点を三つの飛行フェーズに応じて画像を取得しております。まず最初に衛星フェアリングの分離時点の御説明です。この時点では先ほど示しましたようにPSSの中途にありますカメラ、これは上の方を見上げているという形で下側にフェアリングの面、上側に衛星の側面が見えている写真になっています。またこの時には太陽はカメラから見ますと衛星の影になっているような形であったということが確認されています。画像の比較ですけれども、左の画像が分離前、右が分離後、下の方には正常なフライトでした5号機の分離前分離後の比較を示しております。今回の8号機について見ていただきますと、この分離前につきましては正常時と同じようにこの水色の線で示しておりますのが衛星の輪郭、それから特徴的な多層断熱材のつなぎ目、境目の位置を示しております。これが衛星フェアリング分離後の最終的な画像と比べてみますと、元の線はこの水色の破線で示しておりますけれども、最終的にはこの赤い線のような形にかなり移動しているということがわかります。当然ながら5号機については全くそこが動いていないということがわかります。この水色と赤の線を比較してどのように立体的に位置が変わったのかということを評価したのが、こちらの右のイメージ図でございます。この衛星表面の多層断熱材の境目の位置から衛星がカメラに近づく方向、具体的に言いますと衛星が下方向に落ち込むと共にカメラの側に傾くといった方向に移動しているのではないかと考えられます。
フェアリングにつきましては次(P.22)から詳しく見ていただきたいと思うのですが、こちらは先ほどの機軸方向の加速度と時点を対比させたものです。こちらにつきましては起点となった特異事象の前後のフェアリングの分離などの特徴的な挙動を示しておりまして、この画像につきましては1秒間に15枚取得できておりますけれども、それを恣意的にならないように一つおきに表示をしております。後ほど全画面については御紹介してまいります。ただ、画像とテレメタリデータの完全な同期については取れておりませんが、起点ですとか二次的な事象の時系列については確認できるものと考えております。
まずこのピンク色の領域ですが、最初の時点、衛星フェアリングの開き初めが左上でこのピンク色の状態では、白飛びと呼んでおりますけれども、真っ白になってしまっている状況が継続をする、そして時点としてはもう黄色の領域に入ったところになるのですけれども、こちらの5つ目の画像ですがこれもよく見てみるとこのこれ以降の画像では先ほど申し上げましたように衛星がカメラに近づいているように位置が変わって見えているということがわかります。
そして時点が進んで行きますとその後衛星表面の多層断熱材がはがれる、そして内部のパネルが見えているというような変化がだんだん見えてまいりまして、最終的には衛星のパネルが外れて内部が見えているとそういった状況が見て取れました。
次(P.23)いっていただきまして、こちらから全フレームの連続画像で、なおかつ過去の号機との比較を示した図になってございます。カメラの特性から太陽光の反射による白飛び、直接見るというのも含めてですけれども、その白飛びがこれは過去の号機についても発生しております。過去号機につきましてはフェアリングの分離面から外部の宇宙空間等が識別できておりましたけれども、8号機につきましては全面の白飛びが継続しているというのが特徴的だと考えております。この図では時刻につきましては8号機の時刻を代表として示しております。ほぼ動きとして1/15秒ごとの画像を並べていると御理解頂ければと思います。
最初開いた時にはどの号機も太陽光が入ってくると言うようなことで白飛びに近い状況になっていますが、それでも分離面の近くは黒い宇宙空間が見えているという状況でした。また、5号機につきましてはこの時点で夜間でしたので太陽が入り込まないということで白飛びが殆ど見られないという状況でした。
次のページ(P.24)いっていただきまして、時刻が進みますと、この画像では8号機についてはやはり白飛びが続いているということが見て取れます。次の段階(P.25)に行きますと、3号機についてこのフェアリング解除に伴って太陽が画角に入ってくるということで白飛びしているのが見られます。次の段階(P.26)行きますと3号機については同じような状況が続いておりますが、最後の画面で1号機につきましても太陽が画角に入ってくるという様子が見て取れました。そしてこちらの画像(P.27)では2号機でやはり太陽が画角に入ってくるということで白飛びが見られる、そういった特徴が見られます。こちら(P.28)が最後になりますけれども、この時点ではどの号機でもだいたい全体が白飛びから回復しているというのが見て取れます。ここまでがフェアリング分離時点の画像の御紹介でございました。
続きまして1・2段分離時点と衛星分離時点の画像(P.29)の評価でございます。
最初に御紹介しましたけれども1・2段分離後に起きましてこの外側を見ているカメラから衛星らしきものが右端に写っていると、当然ながら5号機、正常なフライトではそういったものは認められないということが見てとれます。また衛星分離時に起きましては通常ですとこのように分離した直後の衛星が見えているわけですけれども、8号機におきましてはそれが見られずガスが放出されているような映像が映っている、そういった状況でございます。
ここまでのまとめのページ(P.30)になります。このような状況から推定される衛星搭載構造の損傷状況ということですが、これまでにお示ししました分離部の加速度、温度データ、LH2タンクの圧力データ、それから画像等による分析から、搭載構造ですとか第2段LH2タンクの加圧配管が下記のように損傷したと推定しております。まず分離フェアリング分離開始直後に何らかの異常が衛星搭載構造に発生したと考えられます。このタイミングでは第1段エンジンの動力フライト中でございましたので衛星や衛星搭載構造の一部が下に落ち込むということが発生したと考えます。こちらの右下の図のように、中に落ち込むということが発生したのではないかと考えます。この落ち込みによりまして、LH2タンクの頂部にございました加圧配管を損傷させてLH2タンクの圧力の低下に繋がったものと考えてございます。
これらを受けまして第2段エンジンの燃焼終了後、ロケットがどうなったかということについて若干の見直しが必要になりましたのでそれをこのページ(P.31)で述べております。
1ポツは前回御報告したことと変わっておりません。2ポツの最初につきましても変わっておりません。第2段機体につきましては2週間以内に地球に再突入した可能性が極めて高いという評価については、変更ございません。ただこの第2段機体につきましては第1段、第2段の分離時の状況から通常とは明らかに異なる状況となっているということが考えられますので、軌道投入時に何らかの破片を伴っている可能性があるということが危惧されました。しかしながら想定されます破片の特性につきましては、前回やっておりました解析で複数の解析条件で評価を行っていたこの解析条件の間にあるということが確認できておりまして、これらの破片も含めましてもすべて2週間以内に再突入しているということが考えられます。ということで先ほど最初の方で御説明しましたように第1段の落下予想区域内に落下したと想定される衛星と同様に、第2段の機体やそれに伴っていたかもしれない破片につきましてはすでに落下していると考えておりまして、この落下に伴う被害に関する報告などは確認されていないという状況でございます。また何らかの破片が宇宙空間に残っているという可能性もないと考えておるところでございます。
次のページ(P.32)いっていただきまして、ここからが2章の原因究明の報告になります。
続いてFTAを展開しておりますので御説明してまいります。今回様々な特記事象が確認されておりますけれども、1章のとおりフェアリング分離開始直後におきまして衛星搭載構造に何らかの異常が発生したという事が起点となっておりますが、客観的な事象としてデータで確認されているフェアリング分離開始直後に異常な加速度が発生しているというのをトップ事象として、FTAの展開をいたしました。後ほど、次のページで御説明いたしますけれども、一次要因をこの加速度の発生を外的な荷重に起因するものと、それから内部構造の損傷によって起きたものに分けました。そして二次要因を漏れがないようにそれを発生させる外的荷重起因の場合ですけれども、これを発生しうるエネルギー源という形でブレイクダウンしてまいりました。それぞれの要因に対しまして直接要因となりうるかをフライトデータや地上での試験、製造記録、それから解析や机上検討等で評価してまいりたいと考えています。今回につきましてはフライトデータで×にできるもの以外は△で残すという方針で、直接要因とならないと評価したものにつきましては×、直接要因の可能性が残るものは△、直接要因であると仮定したものは○、と評価してまいりたいと考えています。本日は現時点のFTAいう形で示してまいります。
それから今回につきましてはこの直接要因ということだけで原因を特定できるか難しい状況もあるかと考えてございまして、仮に正常な動作だったとしても別の要因に対して連鎖的な要因の一つとなって特記事象に至り得るかということについても識別しております。これにつきましては引き続き評価をしていきたいと考えております。具体的には次のページ(P.34)で御説明してまいります。
まずトップ事象は先ほど申し上げましたフェアリング分離開始直後に異常な加速度が発生したというものです。一次要因としましてはこれが外的な荷重により発生したというもの、もう一つはこの逆のような形ですけれども、内部の構造の破壊損傷によって発生したという二つに大きく分けています。二次要因としましてはこの外的荷重を発生しうるエネルギーとして、力学的エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、こういったものをあげました。そして三次要因としてはさらにそれをブレイクダウンしまして力学的エネルギーを行うようないくつかに分けています。それぞれについて簡単に御説明いたします。
まず力学的エネルギーの準静的加速度と音響につきましては、ここまで確認してまいりましたフライトデータでいずれも従来実績相当であるということを確認しており、要因ではないと考えております。この二つにつきましては連鎖的な要因のトリガーになる可能性もないと考えているというのを一番右に書いてございます。
続きまして衝撃ですけれどもフェアリング分離衝撃によって衛星搭載構造を損傷させ異常な加速度が発生したというのを想定したものです。こちらにつきましては先ほど説明しました衛星分離部の加速度センサーが高周波帯域での計測をきちんとできていない可能性があるということで、この可能性が現時点では否定できないと考えています。このセンサーについて高周波の振動を受けるとどのようなデータを示すのかという特性につきまして追加試験で確認しようとしております。
それから圧力ですけれども今号機、これはどういうことを意味しているかというとフェアリングの中の圧力が充分排気ができずに残った状態でフェアリングが開頭すると、何らかの想定しない荷重が発生するのではないかということを想定したものですけれども、今回データとしては想定どおり下がっていることを確認しており要因である可能性は低いと考えてございますが、この圧力センサーの計測誤差をワースト側に評価した場合でも本当に大丈夫かというところについて、詳細評価をしているところです。
次に接触衝突というところですけれども、フェアリングの分離の開頭時に衛星に衝突したり異常の加速度が発生したものを想定したものです。これにつきましてはフェアリングの放てき運動が問題なかったかについて引き続き詳細な評価を実施しているところです。
それから歪のエネルギーですけれども、これはフェアリング分離までに残存している歪エネルギーがフェアリング分離によって解放されて異常な加速度が発生したモードがないかということで、こちらについても詳細評価を実施しています。
熱エネルギーにつきましては内部の温度が従来実績相当ということがデータで確認出来ておりますので、要因ではないと考えております。
続いて化学エネルギーのうち爆発と燃焼というところですけれども、これはロケット、衛星ともに推進薬や高圧ガス、火工品、こういったものを内部に有しておりまして、これらが漏えい等することによりまして何らかこういった事象を引き起こす可能性があるかなということで、もちろん現時点これらが漏えいしたことを示すデータは確認できていないのですけれども、今現時点でそれがフライトデータできちんと確認できていないところもありますので要因となる可能性が現時点で否定できないということで、詳細評価を実施しているところです。
それから電気エネルギー、電磁エネルギーにつきましては、この事象を発生させることはないだろうということで現時点×にしてございます。ただしトリガーになる可能性としては否定できないかなということで右側可能性ありとしております。
最後に内部構造の損傷による発生ですけれども、こちらはどういうことを意図しているかということですが、当然その破壊したのが衛星搭載構造だということですのでそれが対象になると考えておりますけれども、これに万が一強度不足があった場合にこれが損傷してその結果として異常な加速度が発生する可能性、こういったものを考えているものです。現時点強度不足につながるような情報は確認されていないのですが、これについて詳細に検討していこうと考えているところです。
最後に、3章、今後の計画でございます。まず原因究明の検討の体制でございますけれども、最初に申し上げたとおり、みちびき5号機の関係機関であります内閣府、それから三菱電機に入っていただき、新しい体制で検討を進めているところでございます。
続きましてこちらのページ(P.37)が本日の全体のまとめです。これまでに実施しましたテレメトリデータや画像データの分析から衛星フェアリング分離直後に何らかの要因による通常時にはない大きな加速度の発生ですとか、これに関係すると考えられる衛星搭載構造の損傷といった特異な事象が発生し、その後、第1段・第2段分離時点で衛星がロケットから離脱したものと評価しています。今後みちびき5号機関係機関の協力も得ながら引き続きフェアリング分離開始直後の事象に注目して原因究明の作業を進め、あらゆる可能性を考慮して打上げ失敗に至った原因を調査してまいりたいと考えてございます。この原因究明の具体的な中身ですけれども、まずは衛星搭載構造の損傷モードを特定していきたいと考えています。そしてFTAの詳細化や潰し込み、それからこれはすでにやっておりますけれども製造記録の調査を継続すること、そして発生事象に対する仮説としてのシナリオの設定を行っていきたいと考えています。そしてこれらを受けまして原因を特定するということで再現試験や解析などによってシナリオを裏付けていきたいと考えてございます。
次のページからは参考資料ですけれども、このこれらのページについては前回お示したものを再掲してございますが、最後のページだけ、カメラの搭載位置につきまして最初の動画で御説明した時と同じ図を最後に追加しておるものでございます。長くなりましたが御説明以上でございます。
【木村主査】 ありがとうございました。年末年始を挟んで、非常に多くの情報を集められて、状況はだいぶよく分かってきたと思います。特に宇宙の画像の取得と処理について研究している身としては今回画像の情報が非常に示唆的だなと思っているところでございます。
今回長い説明をしていただいたので復習をしてみたいのですけれども、特に10ページのところで、こちらに飛行状況の評価ということでまとめていただいております。今回、推定される事象についてまとめていただいて、この推定が妥当であるかというところが今回の議論一つの重要なポイントになるかなと思います。重要なポイントとしてはフェアリング分離時に何らかの原因で衛星搭載構造の一部が損傷・破壊したと、ここが基点になっているというところがポイントですね。それと衛星の意図しない放出が起きて、一段燃焼終了後に発生していることで、これの根拠がフェアリング分離時に白飛びが発生していて、これ、普通の場合の光の入り混みによる白飛びとはちょっと容態が違うと思われるのですけれども、これ非常に長く継続していると。でそれからLH2のタンクの圧力が一時上昇してそれに伴う継続的な下降が見られたということですね。あと加速度が0になったタイミングで衛星搭載部の温度センサーに断線モードが発生している。これが何らか意図しない衛星放出に繋がったのではないかというところ。それから画像から衛星分離前に衛星の輪郭から考えて正常な位置から沈み込んでいるらしいということが確認できたということですね。これがどうやらこの移動が第2段の燃料タンクの損傷の原因になっているのではないかというところが仮説として今提示されていると。概ね私の方も、御説明の内容を理解いたしました。
いくつか細かい点で、まず私の方から質問させていただいてよろしいでしょうか。
まず白飛びについて確認なのですが、通常の場合でも太陽の光が入り込むことによってブルーミングを起こすというのはよく知られた現象ですが、今回それより長いというのが一つなのですが、ロケットの移動姿勢が推定できているので太陽方向は物理的に推定できると思うのですけれども、どちらの方向だったかというのは特定できますでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 こちらの21ページですね、本来ですと衛星が影になって太陽を直接見るような形にはなっていないのではないかと考えております。回り込みはあるかもしれませんけれども、少なくとも直接見るということはないと考えております。
【木村主査】 了解しました。ありがとうございます。
それから衛星が沈み込んでいる画像について、衛星が損傷していないというか、外形が保持されているという前提だというところが一つ仮説として入っているのかなと思います。これはあくまでも仮説として、その外形の変形を伴うような変化はここでは起きていないだろうということが仮説としてあるということですね。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい。仮説という点もあるかもしれませんが、この点については衛星製造メーカである三菱電機に協力いただきよく見ていただきまして、衛星としては、構造体として外形を留めているという評価をいただいております。
【木村主査】 分かりました。製造メーカから見て外形的に一致しているから、おそらく物理的な移動が発生しただろうということですね。
あと衛星が意図しない分離が発生したと思われる時点での画像(P.29)、分離のところかなと思うのですけども、そこに相当する画像というのは今この白飛びしているので、いないように見えるのですけど、その前後という意味で、今の仮説ですとこの分離信号というよりは推定する衛星が意図しない分離をしただろうと思われている時点での画像、これはおそらく白飛びをしていて見えないという理解でよろしいでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 そこが大変残念なのですが、このフェアリング分離というのはこの図で示しますようにエンジンの燃焼中でございまして、この時点では衛星フェアリングの中をこちらのように見た画像がダウンリンクされてきているのですけれども、一方1・2段分離の時点では、この内部を撮影した画像についてはダウンリンクされていなく、このように外を見ている画像だけがダウンリンクされているということで、衛星が実際に離脱したであろうタイミングについては画像のデータがないというところでございます。
【木村主査】 了解しました。あの帯域が制限されているのでその部分は外側を撮影する画像を優先されたという理解でよろしいですね。分かりました。
最後、これはどうかなと思うのですが、追跡することである程度相対運動を追跡することができそうな気がするのですけれども、これは先ほどをお示していただいたスナップショットが最後で、その後の追跡できるような画像は、やはりない、という理解で良いでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい。先生の御理解の通りで、こちらに今特出ししております画像がほぼ最後の画像でございまして、この後については画像が得られていないという状況でございます。
【木村主査】 はい、わかりましたありがとうございます。細かいことも含めて確認させていただきましたがここでも仮説、私の方で伺った範囲ですね、すごく妥当であろうと思います。この後先生方にも意見を伺おうと思います。それから、ここで起きた、勢い関心としては、フェアリング分離のところで何か異常事象が起きたのだろうと、そうするとそれの原因やその前の事象の解析が必要になってくるだろうと思うのですけれども、それは今時点ではまだ整理されていなくて、FTAとして整理をいただいたと。FTAの中でそこを網羅的に抑えているのでこの中のどれかがおそらく問題ではないかということで、そこを中心に解析が進められているという理解でよろしいですね。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい。先生の御理解の通りです。
【木村主査】 はい、ありがとうございます。その妥当性とそれからFTAが適切に網羅的に考えられているかどうかというあたりが、今日の中心のところになるかと思います。最初で時間取ってしまいまして申し訳ないのですが、先生方、御質問御意見等いかがでしょうか。あるいはコメントとかサポートも含めて。笠原委員、お願いします。
【笠原委員】 本当にありがとうございます。また、この調査報告にあたり年末年始を挟んで大変な作業をされてきたと思います、改めて敬意を表します。
2点質問ございまして、まずは20ページのグラフを見せていただいてもよろしいでしょうか。先ほど有田プロジェクトマネージャの方から詳細な説明があり、私の方でも認識を深めさせていただきました。ポイントは加速度がプラスからマイナスの方に最初変化し、それがしばし続いてその後振動しているということで、思い込みはだめだと思うのですが、やはり示された図のように分離の開頭によるエネルギー放出のためにマイナスの加速度が生まれて、しかもさらにそれを持続させるだけの何らかの運動を起こさせるためのマイナスエネルギーで、マイナスの加速度があり、その後、振動しているということで衝突しているような現象があるように見えております。且つ先ほど御説明いただいたように水素タンクの圧力の変動ともリンクをしているということで、衛星の運動とタンクの変形に伴うものなのか、圧力とリンクして非常に重要な情報がたくさん含まれていると思っておりますが、今の段階で、今のような、要するに崩落とそれから衛星とタンクの大きな振動のようにも見えるのですが、そのあたり、まだ予断を持てない状況かとは思いますが、何か御説明いただきますとありがたいなと思います。以上でございます。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 笠原先生ありがとうございます。まず最初に御指摘いただきましたこの緑の機軸方向の加速度がこのマイナスに出ているというところなのですけれども、実はちょっと悩ましいところがございまして、H3のこの低周波用のこの加速度センサーにつきましては、衛星分離時点で必ずマイナス方向に出るという事がわかっておりまして、これ自体の動きは最初のフェーズの分離衝撃につきましても正常だと考えております。
ですがこれを、いわゆる高周波も取れるピエゾ型の加速度センサーでとった場合には、ちょっと違った動きをいたします。衝撃と言いますのは全方向に固体の表面を伝わっていくような波になりますので、マイナス方向にだけ触れるというのはちょっと物理的には理解しづらいなと考えているところなのですけれども、やはり、ピエゾ型のセンサーでとると、きちんとプラスマイナスに同じようなレベルだけ加速度が出るというのが、これは1号機、2号機の試験機のときにはこの高周波のデータをとっておりましたので、それで見えております。で今私ども考えておりますのは、そのような、しかもそのピエゾ型のセンサーで取りますと衛星フェアリング分離時点ではプラスマイナス300Gぐらいの大きな加速度が出ます。一方この今回の加速度計ではせいぜい6Gとか、そのぐらいしかしてないということで、これは定量的にはこの低周波センサーの限界なのだろうなと考えているところです。ですので、これからまさにこのセンサーの特性の試験をやろうとしておりますけれどもこのマイナス方向であるということについての物理的な意味がどこまであるのかなと言うところは、ちょっと今疑ってかかっているところでございます。
一方先生に御指摘いただきました次の圧力との同期についてはやはり私どもも意味があるものだと考えております。と申しますのも、この黄色の時点で最初にボンと出るプラス方向のこの緑の動きなのですけれども、これは実は飽和していないと考えられるほかの2段に装着されております、もっと後方についている加速度計、あるいはいわゆる慣性センサーも搭載していてそれにも加速度計がついているわけですけれども、そういったものと照合してみますと、この時点でのプラスの動きというのはおそらく実現象であっただろうと。ただし、まだこの飽和したような状況から抜け出ていない領域ですので、この振幅については信用できないと考えておるのですけれどもこの方向についてこれがプラス方向であったということはほかのセンサーの動きからしておそらく間違いないだろうと、今考えているところです。
それは第2波、第3波も同じでございます。これとこの圧力の動きがまさによく同期していると見えるのですけれども、これは今まだきちんとした完全なストーリーを組み上げるまで至っていないところなのですけれども、一つの仮説としては、こちら(P.30)の絵でお示ししておりますが、衛星とPAF、バルクヘッドが一体となったような状態で落ち込んできて、そしてLH2タンクのドームを下に、2.5Gで加速しておりますので、下にギュッと押し付けられる、それによってこのタンクドームが変形し容積が少し小さくなり、それによってガスが圧縮され圧力が上がり、沈み込んだ時点から今度はタンクドームが弾性を持っていますのでこれを跳ね返そうとするということで、上向きの加速度を発生させあのような動きになった可能性があるのではないか、というようなことを今考えております。答えになりましたでしょうか。
【笠原委員】 はい、大変よくわかりました、ありがとうございます。
あともう1件だけ。13ページの図を見せていただきますと、こちらも大変わかりやすい図で分かりやすかったのですが、やはり最初の壊れた事象の説明にも非常に関係するのかなと思いますが、確認させていただきたいのが、先ほどの御説明ですと、タンクつまり第2段のLH2タンク内の圧力以外はすべて真空環境にあるものだという認識を持ったのですが、それで正しいでしょうか。
つまりここで言うところの衛星搭載アダプター内の中間的な領域に、本当に圧力が張っていなかったのかどうかということと、もし仮にそういう圧力が残っていたとして、この開頭動作とその圧力がリリースされる可能性はあるのかといった点が気になりましたので、お答えいただきます大変ありがたく存じます。以上でございます。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。まず圧力につきましてはこの衛星フェアリングの中のこの緑の部分の圧力、こちらは衛星とのインターフェース条件にもなってございますので、実際に計測しております。でこちらで書いておりますように機体の上昇に伴ってどんどん排気されて圧力が下がっていくわけですけれども、そのプロファイルにつきましては従来号機とさほど変わっていない、正常な動きに見えております。一方で、このピンク色の領域といいますか、PSSとタンクの間の圧力については計測をしておりませんので、データ自体はございません。そのフェアリングの中の圧力につきましては基本的には外が真空に近くなっていきますとどんどん排気されほぼ同じ真空状態になっていると考えられるのですけれども、一つ要素としてあるのは、この出口のところに外気の侵入を防ぐためのベントバルブというものが付いております。そのベントバルブが閉じてしまう圧力はフェアリングの中に残る可能性はあるということと、それから計測している圧力計も実は絶対真空での校正というのをやっていないものですから、そのあたりにも計測の誤差が含まれるという可能性があるということで、そのあたり最悪の値を見込みそれでもおかしなことが起きないかどうかということを、今慎重に検討しているところでございます。あと、このPSSの中の空間については圧力のデータそのものはないのですが温度のデータ等はございますので、特に何かここにガスがフェアリングの分離前に侵入しているような兆候というのは今のところ見られていないというところでございます。お答えになりましたでしょうか。
【笠原委員】 はい、よくわかりました。先ほどのFTAの解析の詳細な意味も理解できました。本当にどうもありがとうございます。以上でございます。
【木村主査】 ありがとうございます。続いて神武委員、お願いします。
【神武委員】 はい、御説明ありがとうございます。ロケット搭載カメラがあったというところで、いわゆるテレメトリデータ以上にデータが取れて原因を少し特定できたというのは、非常に大きな前進だと思っております。その中で衛星搭載構造のところが今のところ原因だった可能性が高いという話についての質問なのですが、そうしますと今までそこが原因で問題が起きたということは大きなニュースとしてはなかったように思うのですが、そうなると今回搭載した準天頂衛星が従来の衛星よりも、搭載するという意味で何か特徴的なものがもしあったのであれば、それが原因になっている可能性があるかもしれないですが、私の認識だとそれほど今までの衛星と比べて特別に何か特徴があるというわけではないように思うのですが、その点、一点教えて下さい。
あとは打上げ前の時点で、衛星搭載構造と準天頂衛星みちびきを搭載した打上げ前の最終確認は、どの段階でどのようにされたのか、という点を教えてください。
あとは3点目としては、やはりH3ロケットで打上げて欲しいと思っている方々は数多くいる中で、しかしながらしっかり調査分析をする必要があると思うのですが、今回まだ分からないというところもあると思うのですがスケジュール的にはどれぐらいを見積もってこれから進めて行かれようと思っていらっしゃるか、その3点を教えてください。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、ありがとうございます。まず搭載構造が原因と言っていただいたのですけれども、搭載構造が破損したということは事実としてあると考えておりますが、これが原因だったのか結果だったのかというところについては未だ私どもとしては結論が出せないという状況でございます。その両面からFTAを作っているというところでございます。
それから、QZS-5、今回搭載したみちびき5号機が何か特異性を持った衛星であったかということにつきましては、質量ですとか重心位置だとかそういったところについては当然インターフェースの中であって、何か特段の特異性があると言うようなものはなかったと考えております。打上げ前の最終確認というところですけれども、まずロケットの状況につきましては、これは本当に打上げる直前まで各部の圧力、温度、こういったものを計測し、異常がないことを確認した上で最終の判断をして打上げに臨むということをやっておりますので、その点について特異な点はなかったと考えています。
また衛星につきましてはこちらの衛星はいわゆるコールドローンチの衛星でしたので、フライト中のデータこそないのですけれども、打上げの直前まではデータで確認していたと理解しておりまして、特段異常な兆候はみられていなかったと考えております。
それから最後のスケジュールの件でございますけれども、こちらにつきましてはまだ原因究明、それから対策が道半ばという段階でございますので現時点ではお答えするのが難しいという状況でございますので御理解いただけるとありがたいです。以上でございますが答えになりますでしょうか。
【神武委員】 はい、重々理解します。どうもありがとうございます。
【木村主査】 原因究明プロセスに追われているかと思います、協力したいと思いますのでぜひ頑張っていただきたいと思います。はい、そうしましたら豊嶋委員お願いします。
【豊嶋委員】 豊嶋でございます。3点ほどお伺いしたいと思います。まず先ほどの説明にもあったのですが20ページの液体水素のタンクの圧力との関係のグラフがあると思うのですが、1点目の質問は、液体水素は流体なので、それが行き来して、機軸方向とまた戻ってというような振動モードみたいなものが表れているのかなとイメージしたのですが、その可能性はどうかというのが1点目です。
それから26ページで、0.52秒のF8の写真でかなりMLIが膨らんで弾けそうな感じに見えていまして、例えば内部の衛星側の空気穴みたいなものがちょっと閉ざされていて、フェアリングが開いたから圧力が下がり急に暴発したみたいなモードで、と白い霧があったのでヒドラジンか何かかなとも思ったのですが、1・2段が分離した後の衛星が後ろに見えたあたりでの白いもやみたいなものがあったと思うので、そうすると衛星側のヒドラジンがバーッと噴射して白くなっているのではなく、もしかするとおそらく液体水素のタンクからの漏れみたいなものが白くなっているので、衛星側のヒドラジンではなさそうだなと、その辺の可能性について御質問したいです。圧力の差というのがもしかするとフェアリングが、空気穴があったと思うのですが、それが何らかで詰まり開いたとたんに圧力差になったりとか、衛星側の内部の空気穴の問題かも知れませんが、そういった可能性ありそうだなと思ったので、その辺のことに関してが質問の2点目です。
最後は衛星が分離したということで落下地点がより明確になっていると思うのですが、やはり海だったのか、現状被害は確認されてない状況か、それを3点目としてお聞きしたいです。よろしくお願いします。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。それでは1点目の20ページ、こちらについて圧力が脈動していることがいったい何を意味しているのかというところ、私どももいろいろ考えまして、先生がおっしゃったような液体の行き来と言うことも一つの説としては考えました。今現時点どう思っているかと言いますと、この時点では、2.5G近くの正加速度が1段エンジンによってかかっております。そのため液体推進薬自体はかなり下の方に押しつけられた状態にあり、確かに結構大きな外乱が入った可能性はあり、液面がちゃぷちゃぷと波立つようなことが絶対なかったかというとそうではないかなと、その可能性もあるとは思うのですが、現時点これだけのはっきりした圧力の脈動を生み出すメカニズムとしては先ほど笠原先生からの御質問にお答えしたように、この落ち込んできたものがタンクドームを押し下げることによって、この第2段、着火前は完全に液体で満たされているわけではなく、アレッジと称しておりますガスの部分がそれなりの容積がございます。このタンクドームを押し下げるという力が加わると、ドームの容積が減りそれが圧力上昇につながるということが、大体定量的にもそのぐらい圧力変化が起こってもおかしくないというような結果も出始めておりまして、今申し上げたようなモデルの方がより現象を正確に表しているのではないかなと現時点は考えております。
それから2つ目の御質問、26ページのこの左上のMLIの膨らみでございますけれども、私どもも最初これに注目をいたしました。衛星側のメーカである三菱電機にも伺って、MLIの排気の仕組み、こういったところも教えていただいて、やはり衛星の中に圧力がたつと、こういった状況になることが不思議ではないというような見解はいただいています。ただ一方で、こちらの時点のシートで示しますようにMLIが膨らんでいるというのはこちらの先ほどの秒時で言いますと、先ほどおっしゃっていただいたように0.52秒というあたりですので、こちらの図でいきますとこの黄色の領域にあるのは間違いないと考えておりまして、MLIの膨らみもいわゆる二次的に発生した事象だと考えておりまして、MLIを膨らませた要因がもちろんトップの事象の原因であった可能性も否定できるものではないですが、二次的に発生した事象であるとも考えられます。
例えば先ほど申し上げましたように2段の加圧配管が損傷しているということで、そこからは水素ガスもしくはヘリウムガスが吹き出しているという可能性があります。で、それは衛星の内部を通って衛星のMLIを膨らませるといったようなことは充分に考えられますので、そういった二次的な事象として発生した可能性が一つ考えられるなと。もちろん起点となった事象に伴って衛星の内部にも何らかの損傷が発生して衛星の内部のガスなりが漏れ出てこのような現象になった可能性も否定はできないと思いますが、いずれにしても二次的な事象であると私も考えております。
それから3つ目、最後の御質問ですけれども、衛星の落下地点につきましては最初に口頭で申し上げましたけれども、南鳥島の東の方の海上でございまして、基本的に1段の落下するエリアの中に落下したと考えてございまして、その領域につきましては予めノータムなどを出しておりますので、特に被害の報告がないということも踏まえると、問題なく落下したのではないかと考えているところでございます。以上でございます。
【豊嶋委員】 ありがとうございます。現時点で最善を尽くされていると思ってお聞きしました。ちなみに南鳥島の南ということで、もちろん深度が深いでしょうが、現地に回収に行き原因究明するとかそういう可能性は今考えられていますでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、南鳥島の東方の海上になるのですけれども、かつてH2ロケットの8号機の時に、原因となったエンジンを捜索するというようなことで海底の探索などをやっていただいたというようなこともございましたので、今回も念のためどのぐらいの水深なのかということは調査をいたしました。その結果、水深が5000m以上あるということが分かりまして、なかなかここを探しに行くのは困難ではないかと現在考えているところです。
【豊嶋委員】 ご回答ありがとうございます。ご健闘をお祈りしております。どうもありがとうございました。
【木村主査】 はいありがとうございます。それと先ほどちょっと思い出したのですけども、落下地点予測のところで、事前に破片まで含めて大丈夫かというようなお話をさせていただいて、それに対する回答として、ここで発生した破片についても基本的には安全に落下しているということを確認頂いたというところですね。この点、敢えてメンションをさせていただきます。この重要なポイントかなと思います。ありがとうございます。
他はいかがでしょう。笠原委員、2回目お願いします。
【笠原委員】 先ほど豊嶋委員からも御質問あったかと思うのですが、今もお答えになられたかと思うのですけど、一点だけ確認のために質問させてください。
やはりMLIが剥がれている状況が把握されているということでその原因がどのようなことが起きたらこのようなMLIが剥がれることに繋がっているのかということを、再度の質問になるかもしれませんがお答えいただいてもよろしいでしょうか。
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 いくつか考えられると思うのですが、一つ今考えてございますのは、この衛星とPAFとが一体となったものが、この中に落ち込み、この加圧配管を破損させ、なおかつバルクヘッドも破損していると考えますと、この緑の領域とオレンジの領域がつながってしまうということが想定されます。
そしてそこに加圧配管が破損したことによりこの衛星の内部に加圧ガスが流れ込んでいくと。で、衛星はセントラルシリンダーと呼ばれている円筒形の推進系を内包した構造体の周りに四角い構造のパネルが取り付けられているというような構造をしておりますけれども、このセントラルシリンダーにもベントのための穴があいているそうで、そこから加圧ガスが外側の構体の方に侵入し圧力が上がり、その構体のパネルにもやはりベントのための穴があいているということで、そこを通じてMLIを吹き飛ばしたではないかと今考えて、それが一つの仮説でございます。
【笠原委員】 どうもありがとうございます、以上でございます。本当にどうもありがとうございました。
【木村主査】 他いかがでしょうか、大体よろしいですかね。ここまでの検討内容、先ほどお話しいただきましたシーケンスの状況評価、こちらにまとめていただいた飛行状況の評価というところで、ここに至る、それからFTAの方で議論していただいている原因の、今後ここを詰めていかれるのだと思うのですけど、それの網羅性というところについては、この委員会として妥当ではないかなと判断したいと思います。
大変な解析作業を進めていただいて本当に敬意を表します。ほかの先生方、このような形で今日のところの御報告、概ね、技術的に我々の視点から見て妥当であると考えたいと思いますけどよろしいでしょうか。
大変詳しい御説明、また質疑に対して対応いただきましてありがとうございました。それでは本日の会議はここまでにしたいと思います。最後に事務局より、事務連絡をお願いします。
【近藤企画官(事務局)】 木村先生、有田プロジェクトマネージャ、ありがとうございます。事務局から事務連絡を最後させていただきます。会議資料と議事録の公開についてですが、本日の会議資料は既に文部科学省のホームページに掲載させていただいております。議事録についても委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。また、本日この会議の後、事務局よりプレスの皆様向けにフォローアップのための記者ブリーフィングを行わせていただきます。
次回の委員会の開催につきましては今後の原因究明の状況に応じての開催となりますので、委員の皆様には、候補日が見えてまいりましたら、改めて日程調整の御連絡をさせていただきます。
事務連絡としては以上になります。ありがとうございます。
【木村主査】 ありがとうございます。それでは、これで本日の会議を終了したいと思います。皆様どうもありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課