宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第38回) 議事録

1.日時

令和3年1月27日(水曜日) 14時00分~15時30分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認について (軌道上装填型小型衛星放出機構(J-SSOD-R))
  2. その他

4.出席者

委員

主査  木村 真一
主査代理  神武 直彦
専門委員  飯田 光明
専門委員  門脇 直人
専門委員  中西 美和
専門委員  野口 和彦
専門委員  馬嶋 秀行

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課長  福井 俊英
研究開発局宇宙開発利用課企画官  笠谷 圭吾
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  渡邉 真人
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  岡屋 俊一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 有人宇宙技術部門
  有人システム安全・ミッション保証室
    室長  白井 達也
    主幹  上杉 正人
    主任  佐藤 崇行

5.議事録

【木村主査】 お時間になりましたので、ただ今から、宇宙開発利用部会の調査・安全小委員会の第38回会合を開催させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日は、新型コロナウイルスの感染防止の関係で、オンラインで、ちょっと意外なのですけれども、この委員会では初めての開催となっております。委員の皆さまには、ご多用のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。御礼申し上げます。
 初めに、事務局のほうから人事異動についてご紹介をお願いできますでしょうか。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省事務局の原田の後任で着任いたしました、企画官の笠谷でございます。本日はよろしくお願いします。

【木村主査】 よろしくお願いいたします。福井課長のご挨拶は後ほどということで事務局から本日の会議に関する事務的な確認から、まずお願いできますでしょうか。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省事務局でございます。本日は、調査・安全小委員会にご出席いただいております9名の委員の先生のうち7名の先生方にご出席いただいております。また、運営規則に定める定足数の要件を、これは満足しております。よって本日の会議が成立していることをご報告いたします。
 次に、本日の資料ですが、お手元の議事次第の4ポツのとおりです。オンライン状況について、音声がつながらない等の問題等がございましたら、事務局へメール、電話等でご連絡ください。オンラインシステムの運用上の注意事項等は、事前送付いたしました運用手引をご参照ください。事務連絡は以上です。

(1)国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認について (軌道上装填型小型衛星放出機構(J-SSOD-R))

【木村主査】 ありがとうございます。それでは、さっそく本日の議題に入っていきたいと思います。議題は「国際宇宙ステーションに提供するISS構成要素および搭載物の安全性確認について」です。まず、この議題の趣旨、それから審査対象の選定について、事務局から説明のほうをお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省事務局でございます。お手元の資料もありますが、一応画面でも資料は共有させて、本日はやらせていただきたいと思います。それでは、1ページ目をお願いします。
 今回、安全小委員の先生方には言わずもがなではありますが、今般の安全小委員会の役割ですとか、JAXA等との安全についての確認の責任分担等についてご説明させていただきます。本日はISSに提供する構成要素についての安全性を審査していただきますが、ISSに提供する構成要素や搭載物の安全性に関しましては、米国NASAと日本国政府との責任役割の分担をしておりまして、日本国における文科省とJAXAとの責任役割分担は、NASAと日本国政府間の了解覚書MOUを踏まえて、以下のとおりとされております。
 まず(1)NASA。NASAの確認すべきことは、丸1ISSの全体的な安全要求の設定、および日本が設定する安全要求が、ISSの全体的な要求に適合することの確認。続きまして丸2は、日本が行う安全審査の支援。丸3は、ISS全体およびISSの構成要素や搭載品が安全要求を満足していることの認証です。全体的なところはNASAが行います。
 そして日本国ですが、文科省とJAXAにそれぞれ分かれているということでございます。日本国の丸1は、これはJAXAがやることでございますが、日本が提供する要素や搭載物に関する安全要求の設定をします。そして、それを日本が提供する要素や搭載物に対する安全審査の実施は、JAXAがNASAの支援の下、行います。これが小委員会の先生方にお願いさせていただいておりますが、日本が提供する要素や搭載物が安全要求を満足していることの認証を行っていただきたいと思っております。
 続きまして、2ページ目でございますが、こちらはISSに関して、ISS構成要素と搭載物の安全性に係る責任・役割分担ということになっております。日本国政府は、政府間の協定として、それぞれISS、図の上のほうですが、5極で参加しておりまして、それぞれがISS基地に関する大枠の政府間協定を結んでおります。
 そしてまた、それぞれNASA等ともMOUを各利用要素に関わる利用権ですとか、利用資源の具体的な配分、および運用経費に係る責任等について規定した了解の覚書を結んでおります。
 このMOUにおいて、文部科学省では安全性の認証を行い、JAXAにおいては安全審査の実施を行っているということでございます。
 3ページ目をお願いいたします。先ほど申し上げました日本国内における安全性認証の具体的な実施方法といたしましては、まずJAXAにおいては日本が提供する全ての要素や搭載物に対して、個別に安全審査を行います。
 続きまして宇宙開発利用部会の当小委員会ですが、年に1回程度JAXAが実施する安全審査のプロセスが適切であることについてのチェックを実施することになっております。「安全審査のプロセスが適切かということを見ていただく」こととはどういうことかと言いますと、このプロセスのチェックは、JAXAがISSへ持ち込む物品数というのは、相当な数に上りますので、一個一個全部を見ていただくと相当膨大な数になります。そのため、われわれ事務局とJAXAで打ち上げ予定のISSの構成要素等の中から、重要なものを選ばせていただきまして、例えば新規性ですとか、そういうものを勘案して選ばせてもらいまして、それらを小委員会にご報告させていただきます。これを委員の皆さまにご審査していただくという流れでございます。抽出された案件を代表的に見ていただいて、それでしっかりJAXAが審査していることを確認していただければというふうに思います。この後JAXAから説明いたしますが、本日、この安全審査のほうで確認していただくものは、ISSにもうすぐ打ち上げ予定ですが、軌道上の装塡(そうてん)型小型衛星放出機構で、ISSからバネ仕掛けで小型衛星を放出する、機械、J-SSOD-Rというものですが、これについてご審査いただく予定でございます。
 また、この評価作業は安全対策の評価のための基本指針に照らして実施するということになっております。
 当省の役割としましてJAXAが実施している安全審査結果と当小委員会の先生方が実施される評価の妥当性をもって、日本が提供する要素および搭載物の安全性を認証するということとなっております。
 当小委員会の役割については以上でございます。

【木村主査】 ありがとうございます。毎回ではありますけれども、全体的な役割というか枠組みについてご説明いただきました。ただ今の説明について、もしご意見、ご質問等がありましたら。オンラインですので、挙手のボタンを押していただければ、私のほうでチェックさせていただきます。また、直接音声で発声いただいても構いませんが。もしありましたら、いかがでしょうか。野口委員、お願いいたします。

【野口委員】 どうも、ありがとうございます。野口です。質問は1点ですが、安全の要求指標はJAXAで行うということになっていて、われわれはその要求指標を満足しているかどうかということを検証するということだと思いますが、要求指標自体の是非というか、十分性ということ自体は、われわれの任務ではないと思っていていいのでしょうか。それとも、安全審査のプロセスということの中には、要求指標自体の十分性ということも入るのでしょうか。質問はその1点です。

【事務局(笠谷企画官)】 基本的には、安全審査プロセスの妥当性ということでございますので、基本的に本委員会では、JAXAが設定いたしました安全基準に基づいてちゃんと行われているかということを見ていただければと思いますので、それ指標自体は審査対象ではございません。
 ただ、もし先生方のご意見の中で、そういうものが仮に、恐らくないとは思いますが、もしございましたら言っていただいてもかまいませんが、基本的には審査の対象としては、審査プロセスが妥当であるかということでございます。

【野口委員】 分かりました。了解しました。

【木村主査】 ありがとうございます。その点、これまでもちょっと確認があったかと思います。ほかに何かご質問ございますか。大丈夫そうですね。
 それでは、さっそく今回の対象のほうのお話に入っていこうかと思います。それでは、今、事務局から説明がありました審査対象である「軌道上装塡型小型衛星放出機構」に関して今回の小委員会で審議することといたします。
 時期ですが、前回から審査対象で新規性が高いものについては、2回の委員会で実施する、つまり第1回目に概要を説明して、第2回目で審議をまとめるというようなプロセスも検討しまして、実施するというオプションを持っていたわけですけれども、今回は既に存在する放出機構、これまで使っている機構ですね、これの能力向上形態ということなので、恐らく1回でいけるのではないかと思っています。基本的には1回で審議とさせていただいて、もし何か積み残し事項等があったらメール等でフォローするような形を基本として考えさせていただきたいと思っています。よろしいでしょうか。
 それでは審査対象である、今回の軌道上装塡型小型衛星放出機構について、JAXAから概要説明をお願いいたします。

【JAXA(白井)】 JAXAの有人安全システム、有人宇宙システム安全認証システムの白井です。よろしくお願いいたします。それでは今ご紹介にありました、軌道上装塡型小型衛星放出機構の安全審査につきまして、ご説明させていただきます。資料につきましては投影させていただいていまして、ここからはちょっと音声だけで示させていただきたいと思います。
 表紙でございまして、先ほどご紹介ありました軌道上装塡型小型衛星放出機構ということで、下のほうに略称が書いてございますが、JEM Small Satellite Orbital Deployer-Resuppliableということで、JAXAのほうでJ-SSOD-Rと呼んでございます。最後のRということが、軌道上装塡ということで、軌道上で衛星を放出機構に詰めるということとなってございます。
 これまでは、このRがなくて、J-SSODという放出機構でしたが、これは軌道上で衛星を詰めるということではなくて、地上で衛星を詰めまして放出機構を軌道上の持っていって、そこから放出するという運用をしておりまして、既に2012年から始めて、幾つか衛星を放出するという実績を積んできてございます。
 次のページから、概要についてご説明いたします。右側のほうに図が書いてございますが、親アームの先端取り付け実験プラットフォームという、ちょっと「ちりとり」のような形をした青いプラットフォームがございまして、これの上に、電気ボックスで放出機構のドアの開閉等を制御します。それから黄色いところが、衛星放出ケースとなってございまして、ここに、その右にあります衛星打上ケースというものに衛星を詰めまして、軌道上で、これをこの黄色いほうに移し替えて、この放出ケースから軌道上で放出するという形になってございます。
 この形は、一応船内でこれを組み立てまして、衛星の詰め込みが終わった後、打上ケースというのは外しまして、これを船外に出して衛星を放出するということになってございます。
 この黄色いケースですが、格子状が6個ほどございますが、1つの格子に1Uと言われるキューブサット衛星の単位がございまして、それが6個分入るような形になっています。6Uと呼ばれるような形で入りますが、今までこれは3Uつまり3つ分の衛星を入れるようなタイプでしたが、それを縦に6個分にいたしまして6Uという形になってございます。これをさらに、2つ左右に並べまして、さらに上下ということで2段に並べます。ということで、6×2×2ということで、24個、この形で一度に衛星を放出する形態になってございます。
 これと同じような形を、左側の青いところのスペースが空いてございますが、そこに置けば、さらに24個出せるということで、48個まで一度に衛星を放出することが可能になるということで、増強型のタイプになってございます。
 今回、この青色のプラットフォームですが、これはもう既に軌道上にございまして、今回打ち上げるのは、電気ボックスと、それから黄色い放出ケース、それから衛星を積み込んだ打上ケースという3種類になっています。今回初めてこの形態で、2月にシグナス宇宙船、NG-15というアメリカの宇宙船がございますが、これに搭載して打ち上げる予定です。初回ですので、今回は放出ケースのほうにも衛星を幾つか搭載して打ち上げるという形になってございます。
 この黄色いケースは軌道上に残りますので、その後は、この打上ケースだけに衛星を地上で詰めて、持っていって、軌道上で充塡(じゅうてん)して放出するというような形になってございます。
 格子の形としましては、この青いちりとりのような形を、ちょうど中央の下に写真がございますが、これは後ろから見た写真ですけれども、右側にグラプルフィクスチャと呼ばれるロボットアームでつかむ部分がございまして、ここをJEMのロボットアームがつかんで、右下のような形でロボットアームから、ステーションの下方45度に放出するというような形になってございます。
 先ほどの衛星打上ケースとしましては、1Uを3個分詰めるものと6個分詰めるものがございまして、放出ケースは順番に放出できるような形で用意してございます。
 次のページをお願いします。これは概要の続きですが、左側の写真が、放出するときの形を表していまして、左側の写真では3つの衛星しかございませんが、これが実際は6個ありまして、後ろのほうからバネを使って押し出すような形になってございます。フロントのほうは、前面のほうに右側にありますフックとカムと、それから衛星のロックドアというのがございまして、このロックドアで衛星を押さえておりまして、右下のほうは正面から見た図になりますが、このロックドアで衛星を押さえていまして、カムという扇形のところが回転することによって、フックはカムから外れまして、連動しているロックドアが開くという形になってございます。
 次のページをお願いします。これは軌道上で詰め替えを行う作業を模式的に書いた図ですが、左側から始まりまして、衛星の入った衛星打上ケースを放出ケースの入り口というか出口というか、そこを面で合わせまして、衛星を真ん中の図にありますとおりにベルトを使って左側から右側に押し込むというような形になってございます。この面を合わせるときには、放出ケースのほうに、ガイド器具があって、面がずれないような形になってございます。
 それから、中央の図で、矢印が上と斜めになる赤い矢印がありますが、この斜め横の矢印の下の茶色いコの字型をしたところがスライド機構と申しまして、先ほど面を合わせた状態で、これをロックするところです。スライドして、ここをロックして、外れないようにするような形になってございます。それからベルトは、このバックルによって緩まないような形になっていまして、衛星を押し出し用プレートと、それから放出機構のほうにあるスプリングで押さえ込んで、衛星を左から右に押し込むというような形になってございます。
 それで右側にいきまして、全部衛星が入りましたら、ロックドアを閉めて放出まで待機するという形になってございます。
 これは衛星周りの積み込みの作業をしか書いてございませんが、クルーが軌道上で実際にやるときには、共通的な足場的なサポートする作業支援ツールもございまして、クルーがしっかり足場を固定して、これに打上ケースを付けて、衛星を移動させるということが、しっかりできるように軌道上ではなっております。無重力でこの作業を行うことはなかなかやりにくいイメージですが、実際は軌道上で、クルーがちゃんと足場を固定して作業できるような形になっていまして、これらの作業手順は事前に確認して、クルーが実施します。従いまして作業としては、ISS作業としてはそれほど難しい作業にはなっていないという状況です。
 次のページをお願いします。ここには全体的な時間的な流れが書いてございまして、左上から運用シナリオということで、衛星を打上ケースに詰め込みまして、CTBと呼ばれる梱包材のバッグに入れて打ち上げます。軌道上では先ほどの詰め替え作業を行いまして、これはJEMのエアロックと呼ばれる器材を外に出す場所の圧力を調整する機構ですが、そこを通して船外に出します。船外に出ましたら、左下のところで、ちょっと見にくいですが、ロボットアームでつかみまして、船外の所定の位置に出して、衛星を放出するという状況になってございます。
 以上が、今回のJ-SSOD―Rの放出機構の新しいタイプの概要説明になってございます。
 次の資料38-1-4をお願いいたします。ここからJAXAでの安全の確認をした結果になってございまして、この資料に基づきまして、ご説明させていただきます。
 次のページをお願いします。目次は目的と対象、概要の説明、結果です。
 まず目的のところですが、J-SSOD-Rの安全審査の結果を示しますということです。

【馬嶋委員】 すみません、馬嶋ですけれども、これまでのところで質問してもよろしいでしょうか。

【木村主査】 ここまでのところで、1回切りましょうか。安全審査の話に入る前に、装置概要のところまでの説明ですね。馬嶋先生、お願いいたします。

【馬嶋委員】 今までも衛星の放出は、やっていたわけなのですけれども、それで説明でよく分かったのですが、今まで衛星の放出が何回かうまくいかなかったことがあると思うのですけれども、そういうことに関しては、もう改良されてよくなっているというふうに考えてよろしいのでしょうか。
 それからもう一つは、図では衛星の大きさが同じ大きさですよね。そういうことは一般的なのでしょうか。僕が思っていたのは、そのときの衛星によって大きさが違うと思っていたのですけれども。いかがでしょうか。

【JAXA(白井)】 まず1つ目の質問で、今まで放出機構に関しては、特に不具合はなかったと聞いています。

【馬嶋委員】 なかったですか。1回もうまくいかないことはなかった。

【JAXA(白井)】 この放出機構に限ってはございませんでした。

【馬嶋委員】 以前の放出機構では、幾つか不具合があったような気がするのですけれども。それを踏まえて、この放出機構では何を改良されているかという質問です。

【JAXA(白井)】 特に不具合はなかったと思いますが、今回の改良は、前のほうにも書いていますけれども、一度に衛星をたくさん出せるという能力増強でございます。今までは放出は3Uと呼ばれる3つまでの衛星だったのですが、それを6個出せるということです。それと、更に放出機構を重ねることによって、放出数を倍増できるということと、それから今回新しくなりました、衛星だけを地上で打上ケースに入れて軌道上に持っていくということで、この放出ケースは今までは使い捨てだったのですが、安全に再使用できるということになってございます。この点がコストダウンというか、効率がよくなったということでございます。

【馬嶋委員】 衛星の大きさはどうですか。

【JAXA(白井)】 衛星の大きさは、この1Uという衛星で大きさが決まってございまして、大体10センチ立方の衛星になってございます。ただ、この形を組み合わせることによって、2Uとか3Uとか、大きいものですと6Uという衛星も打ち上げることができるようになっています。

【馬嶋委員】 それは、組み合わせるというのは、図では大きいものは入らないように見えるのですけれども。

【JAXA(白井)】 組み合わせるというか、この1U単位の衛星の大きさをくっつければ、2Uの大きさの衛星にもなりますし、6Uまで入りますので、6U分衛星をつなげて大きくしてということになります。

【馬嶋委員】 細長いタイプになるということですか。

【JAXA(白井)】 そうですね。

【馬嶋委員】 分かりました。

【木村主査】 馬嶋先生、実は私も事前説明のときに同じようなところがやっぱり気になっていました。ちょっと私が答えるのも変ですが論点を整理する意味で説明しますと、これまでのキューブサット放出機構は使い捨てで、1回放出すると装置は帰還する「こうのとり」とともに、大気圏で全部燃やし尽くしていたらしいのですね。それを今回、1回使い捨てだったものを、何回も装塡して使えるようにしましょうと、そのほうが効率的ですよねという、そういう改修がなされたという点が大きく、それがポイントだと思っています。

【馬嶋委員】 どうやって回収するのですか。

【木村委員】 回収ですか。放出機構はISSに置いておくかたちになります。装塡する衛星だけを打ち上げるということですね。

【JAXA(白井)】 ちょっと説明が足りなかったかもしれないですが、放出ケースは軌道上に置きっ放しで、衛星打上ケースを衛星ごとに毎回打ち上げることになります。

【木村主査】 衛星打ち上げケースは毎回打ち上げる。

【JAXA(白井)】 毎回打ち上げますので、それは衛星を充塡したあとはもう使わないので、船外廃棄という形態です。

【木村主査】 今までは、その放出ケースごと燃やして、毎回それを全部上げていたということですね。

【JAXA(白井)】 今までは放出ケースに地上で衛星を詰めまして、それを軌道上に持っていって、放出が終わったら、そのケースを廃棄していたということです。

【木村主査】 そういうことですね。あと、先ほどの衛星のサイズ。これもやっぱり私も気になりまして、キューブだとこの10センチ立方の1Uでカウントするのですが、2U、3Uというのは細長く構成することが多いのですね。6Uとかというと、普通は横に3個2列というような配列をとることが多いですけれども、それはこの場合は対応していなくて、この再装塡の場合は、6個は細長い直列であれば持っていけるというイメージですね。
 横方向の並んだ形態というのは、この放出ケースではサポートしていないという理解でよいですね。これもちょっと確認ですが。

【JAXA(白井)】 そうですね。この場合は、横には並ばないという形です。あくまでも直列6Uの形です。

【木村主査】 軌道上で再装塡をして有効に放出ケースを使いましょうという今回のご提案で、その運用方法が新しくなるので、安全上問題ないでしょうか、というところが今回確認されているということだと、そういう理解でよろしいですね。

【JAXA(白井)】 はい。

【馬嶋委員】 もう一つ、もう使い捨てでやらなくて何回も使えるということなのですが、何度くらいをテストされましたでしょうか。ちょっと聞き方が難しいのですが、物は劣化してくるのではないかなと思うのですが、そういうテストはしていますか。

【JAXA(白井)】 はい。一応、軌道上で作動回数というか、放出回数は設計条件の中に入っています。大体それが保障できるように、4倍ぐらいの作動回数の試験をしているということです。

【飯田委員】 すみません、産総研の飯田ですけれども、質問いいですか。

【木村主査】 お願いいたします。

【飯田委員】 今の衛星の放出に関してですが、この衛星放出の初速みたいな要求事項はあるのですか。

【JAXA(白井)】 はい、要求はございまして、ちょっと後のほうで出てきますが、ある程度のスピードを出して送り出すということで、最低でも50cm/secで放出することになります。

【飯田委員】 そうすると、衛星はそれぞれ重さが違ってくると思うのですけれども、このスプリングはいつも同じ物を使うわけですね。

【JAXA(白井)】 そうです。

【飯田委員】 そうすると重い物の場合は、遅くなるような気がするのですけれども、それは大丈夫なのですか。

【JAXA(白井)】 一応遅くても、50cm/secでは出せるようになっています。当然衛星が小さくなると速くなりますが。それとあと、衛星同士は後で出てきますが、スプリングで相互間離れるようになっていますけれども、そこは衝突しないように設計されています。

【飯田委員】 分かりました。ありがとうございました。

【木村主査】 私が答えるのも変ですが、中に装塡する衛星のインターフェース条件として規定されていて、ある条件内の衛星質量、サイズのインターフェースを持った物しか、ここでは打ち上げとして許容されないということで、制約を掛けているということですね。

【JAXA(白井)】 そうですね、おっしゃるとおりです。

【木村主査】 その範囲内において装置設計して、要求の速度範囲内に収まるように設計としては収まっているという理解でよろしいですね。

【JAXA(白井)】 はい、おっしゃるとおりです。

【木村主査】 ほかにご質問等はございますか。ご質問ありがとうございます。この論点は私も最初聞いたときに気になったところですし、この後の議論で重要なポイントだと思いました。ありがとうございます。
 それでは、安全審査に移っていこうかと思います。それでは、引き続いて審査対象について、JAXAが実施した安全審査の結果について審査したいと思いますので、そちらの説明をお願いします。

【JAXA(白井)】 ありがとうございます。資料はJAXAの安全審査結果と、宇宙開発事業部会でお示しいただいている指針に関する適合性ということに関して、説明させていただきます。
 次のページをお願いします。目的ということで、J-SSOD-Rの安全審査の結果ということで、JAXAの安全審査自体は、ここに表がございますが、フェーズ0/1からフェーズ2、フェーズ3まで、有人部門内での安全審査と、それから最後にJAXAとしての全体の安全審査委員会を1月18日で終えております。
 次のページをお願いします。ここは今申し上げましたとおり、JAXAの安全審査の結果、文部省から指針に対しての適合性について確認いたしました。
 次をお願いします。安全審査の体制でございますが、真ん中に有人宇宙技術センターというものがございますが、ここが今回のJ-SSOD-Rの開発部隊になってございまして、それらに対して安全評価等と、それからレポートの評価ということで、当機構の有人システム安全・ミッション保証室が独立評価を行ってございます。あとは有人安全審査会、安全審査委員会ということで、JAXAのもとで確認してきております。
 次のページですが、これはハザードの識別ということで、FTAをまとめたものです。一番左のほうに事象が書いてございまして、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、搭乗員、ISSの機器の損失ということが書いてございまして、それらに至る事象と、それから原因等を右のほうに展開している次第です。上部のほうはIVA搭乗員の損失、これは船内のクルーに対する損失というか、けがをさせたり、死傷させたりするということと、その下のEVAの搭乗員ということで、これは船外のクルーに対してのものを表したものです。
 ちょっと詳細は割愛させていただきまして、これを右のほうに展開していって、事象とその原因の確認をして、一番右側にあるハザードレポート、番号が書いてございますが、ハザードレポートというのを作っております。ハザードレポートというのは、ハザードの識別と、その原因と、それらに対する対策、制御と呼んでいますが、それらの対策と、対策が有効であることの確認ということが、右側のほうのレポートでまとめまして、それを評価・審査するという形になってございます。
 次ページも続きでして、網羅的にハザードの識別、必要な対策、検証方法を整理したものがハザードレポートですが、ここにまとめて書いてございますハザードレポートは14件を識別いたしました。左側に丸1丸2と書いてございまして、丸1というのは、スタンダードハザードレポートと呼びまして、標準型のハザードレポートになってございます。これはISSの中で共通的に標準化されたハザードレポートになってございまして、これが9件ほどございます。それから丸2のほうは、J-SSOD-R特有のハザードを識別して書いたレポートということで、5件ございます。
 以下、詳しくご説明させていただきます。まず、標準型のハザードレポート、スタンダードと呼ばれるものですが、ここから表にまとめてございまして、タイトル、ハザード、それから制御、対策になっていますが、対策とは、その対策が有効であるということの検証結果ということです。スタンダードの1と2に関しましては、火災と、それから船内の汚染ということで、これは使用材料のオフガスというのがございまして、これらに対するハザードに対しては、制御のところですけれども、これはISSで決められた材料を選びなさいというのが書いてありまして、それに沿った材料を選定して確認しているということで、安全要求を満足しているということを確認してございます。
 下の3番の「穴、隙間による拘束」ということで、これは機器の穴や隙間に搭乗員が指を挟まれたりすることがないようにしてくださいということですが、これも穴と隙間の基準というのが、危険な基準というのですかね、危険となる基準がISSの共通の要求で書いてございまして、そういった危険となる穴とか隙間がないようなことを、設計として配慮していまして、それを確認してございます。
 次のページをお願いします。4番は、高温・低温部への接触ということで、高温部は「やけど」であるとか、そういったところでクルーがけがをするということでございますが、ここは温度解析、熱解析をいたしまして、これも安全要求で決められた温度範囲であることという要求がございまして、その要求の温度範囲に入っていることを確認してございます。ただ1つだけ、船外から衛星放出した後に船内に戻すときに、一部許容範囲を超えるところがございますので、それは船内に入れる前に、少しエアロックで時間をかけて待機して、温度範囲に入るまで待つということを運用制御してございます。
 次は電磁適合性ということで、発生する電磁波等によって機器とか搭乗員に影響がないようにしなさいということですが、これに関しては、適切な電磁適合性の設計をして、試験をして確認したということでございます。
 12番の電気ショックですが、これはクルーが高電圧のところに触って感電するといったようなハザードでございますが、これは感電しないように、電力のほうの上流側をピンではなくてソケットタイプにしてください、というのがISSの要求でございます。そのソケットを使っているということと、それから高電圧になるようなところについては、上流側のスイッチを切ってから作業をするということが手順としてあります。そういったことで電気ショックを防ぐということを確認しました。
 13番は、回転体の飛散ということで、これは回転物が飛び出したり、それからクルーがそこに挟まれてけがをしたりするというハザードですが、これに関しては、まず回転体の運動エネルギーが、これも決まりがありまして、それ以内で小さいということで、回転体については金属筐体で覆っていることを対策といたしまして、それらが適合上も満足しているということを確認してございます。
 14番ですが、これはクルーの緊急時にその場を離れて一定の場所に退避するのですが、そのときにいろいろ妨げにならないようにしてくださいということです。これは、そういったクルーの緊急待避動作を妨害するようなものがないというようなことで確認してございます。
 それから17番ですが、これはボックスタイプの機器がございまして、それがボックス内の圧力と、それから外側の圧力に差が生じた場合に、差圧が生じますが、その差圧によって機器が破損して、けがをしたりしないようにしてくださいということでして、これも、ISSの要求でボックスの容積と、それから隙間というのではなく通気口といった開口部の面積の比率が要求にございまして、それらが要求にあっているということを確認してございます。ということで、そういった通気口からの差圧によって物が壊れるといったことはないということを確認してございます。
 次のページですが、ここからは固有のハザードレポート、個別のハザードレポートで、「ユニーク」と呼ばれるものですが、1つ目は、構造破壊ということで、不適切な構造設計等で構造破壊を起こして、搭乗員と破片が衝突したり、機器を破損したりするということに関してです。これらに関しては、構造設計をちゃんと適切に行うということと、それからボルトで締めるようなところについては、ちゃんとそこは規定どおりにやって締めるということを、手順に定めています。それから、打ち上げの荷重に関しては、打ち上げのときには梱包材で適切に梱包して打ち上げるという対策を取っておりまして、それぞれが有効であることを確認してございます。
 次ページをお願いします。次はユニークの2番になりますが、もともとこれは衛星の放出機構でございますので、適切な場所で適切に時間を決めて放出するということですが、それ以外のところで衛星を放出してしまうということですと、急に飛び出したり、機器にぶつかったり、クルーに当たったりするということで、ここもハザードで識別して制御しておりますが、幾つかケースを分けてレポートを書いてございます。
 ここは軌道上で分離機構と呼ばれるドア部のところで、ここもいろいろチェックアウト等で開閉等を行うのですが、そのときに衛星が不意に飛び出さないように制御しています。これは、打ち上げの放出ケースですが、今回初めてということで、先ほど申し上げたとおり、衛星を先に入れて今回だけ打ち上げるようにしています。
 それから、軌道上で装塡する衛星もございまして、地上で入れた衛星に関しましては、打ち上げのときに飛び出してしまうこともありますので、そこはこの写真のようにケースカバーというものを設けて、衛星が不意に飛び出ないようにしているということと、それからもう一カ所、軌道上で衛星を充塡するところに関しましては、衛星を入れる前に、このチェックアウト、つまりドアの開閉の試験を行うということです。それからドア部のところの分離機構に関しましては、ロックピンというのが右側にあるのですけれども、図では1つしか見えませんが、実はこれは3本ございまして、3つのロックピンで、分離機構が脱離というか、外れないようにしているものです。このような方策で不意な放出を避けているという次第です。
 次をお願いします。次はまた違うケースですが、これは電気的に分離機構のドアを開閉するのですが、電気的なところが不意に入ってしまって、ドアを開けてしまわないようにするハザードの制御になってございます。これはちょっと回路図を模式的に書いてございますが、左側が放出する際のロボットアームのところを書いてございまして、右側のほうがアームのJ-SSOD-Rの電気ボックスの配線図を書いてございます。
 これは、つなげないと電源は入らないのですが、放出する際には、ロボットアームと、それから電気ボックスに接続いたしまして放出するという形ですが、その際に、ここに書いてございますインヒビットと呼ばれるスイッチを3式用意してございまして。そのうち2つ入っても、衛星が入らないようにするということです。万が一、入ってもというか、衛星を放出するときにインヒビット1と2は外しますが、そのときにインヒビット3のところで幾つか同時に入ってしまうということで、違う衛星が一緒に出てしまうという事象がありますが、そういったときには、軌道解析をいたしまして、不意に放出しても、衛星が仮にぶつかっても、角度的には、そのあとISSへの衝突等はないということを確認してございます。
 次をお願いします。これはまた次のケースになっておりまして、これは衛星の放出するときのスピードが期待どおりに出なくて、衛星の放出速度が不足するとか、それからロックドアが途中で止まってしまって、衛星がぶつかって変な方向に出るといったようなことを識別してございます。衛星の放出については、途中で引っ掛かりがないようにレールと、それから衛星との間に、固体潤滑を満遍なく塗布して引っ掛からないようにしているということと、それからロックドアについては途中で止まったりはしないようにはしているのですが、極めてまれなケースで、非常に一瞬だけ悪いところで止まってしまいますが、そういったのは非常に時間的に短いということも確認してございます。
 次をお願いします。これもまた違うケースになっていますが、これは衛星を放出するときに、先ほどもちょっと冒頭で議論のありました、隣り合う衛星同士がここにあるセパレーションスプリングによって離れるような形になってございます。これによって衛星を放出するときに、前の衛星が後ろのセパレーションスプリングで戻ってきて後ろに当たるというようなことで、衛星を意図せぬ方向に行ってしまうのではないかということをハザードとして識別しております。基本的には、この一番後ろにあるメインスプリングが非常に強く押し出しして、戻る力よりも衛星の押し出す力のほうをかなり大きくして、そういったことがないようにしているということです。
 次をお願いします。ここは、衛星放出するときに、ISSへの衝突とか、そういったことがないようにということで、決められた方向に衛星を放出するということになっており、これもインターフェースで決まっておりまして、個々の衛星の弾道係数を100kg/cm2以下にすることとなっています。それから1周回終わった辺りでISSから200km離れているというようなことで、決められた弾道係数と衛星の放出速度というのを設定しておりまして、これであれば、ISSに衝突することはないということを確認してございます。
 それから放出速度も、このような0.5m/secになるように、衛星とのインターフェースは取って、そういった衛星を放出するように設計をしているという次第です。
 次をお願いします。これは意図しない機器の分離ということで、今まで衛星関係だったですが、衛星以外の残ってしまうものに関して、不意に飛び出したり、軌道上で飛び出したりしないようにするということを考えておりまして。これは今、左側の図で見えますが、青いロンチカバーという四角いところがあるのですが、衛星を左側から搭載するときに、打上ケースの一番先頭に付いているロンチカバーがございまして、それが最終的に、衛星を放出した後に、こういった形が残るようになっております。
 ピンク色のほうは、放出ケースに付いているバックプレートで、またスプリングの前のところになりますが、これがバックプレートと、それからロンチカバーがくっついている形になっています。これは衛星を搭載するときに、青いロンチカバーがちゃんとバックプレートのほうにくっついて、衛星が放出したあとも離れないようにするということで工夫していまして。ロンチカバーが、このピンクのバックプレートに4つのピンで留まるようになっております。
 ということで、最終的に衛星を放出した後にこの青いロンチカバーが外に出ないということで対応を取っています。
 次をお願いします。これは、次のユニークのハザードレポートですが、鋭利端部への接触で、シャープエッジと呼ばれるところにクルーが触ってけがをする、それからIVAのクルーでしたら、クルーの服が破れてしまうというハザードですが、これもちゃんと面取りをしますということで要求があります。その面取りの要求が一部満足できない点がございまして、ここにあります赤い四角で書いたところ、ここが一部面取りを満足にできない状況で、これに関しては、右側のほうに赤いところがございますが、ここはノータッチエリア、クルーが接触してはいけないという禁止エリアを設定いたしまして、それでクルーに触らないようにするということになってございます。
 次をお願いします。これはユニークハザードの4番ということで、電力系の損傷ということになっています。電力系の損傷によって機器の破損とか、感電とかということを防ぐような形です。これにつきましては、適切な回路のディレーティングとワイヤの選定を行う、それから適切なボンディングについて設計を行うということで対処いたしまして、確認をしてございます。
 次をお願いします。最後にユニークハザードの5番ですが、これは衛星を充塡時に、衛星が起動してしまう、誤って起動してしまうという、そういったハザードを考えていまして、誤って起動してしまうと、衛星にはいろいろ展開物とかがあったりする衛星がございますので、その展開が起こったりしないようにハザードとして識別しているということです。衛星の外側には展開スイッチと呼ばれる、そのスイッチが入れば衛星のタイマーが入って駆動するといったようなスイッチで、衛星の外側のほうに付いてございまして、その外側のスイッチが、打ち上げのとき、打上ケースから放出ケースに移すときに、展開スイッチが入らないように工夫して、ハザードを防ぐという形になってございます。
 これは、図のとおり、打上ケースから放出ケースに入れるときに、レールで衛星を挟んでおりますが、レールから衛星がずれないように押し出して挟み込んで放出ケースのほうに移すという形で、外側のマイクロスイッチと呼ばれるスイッチが押されない、離れないように、こういった形で押さえ込んで移動するということで、展開スイッチのオンを防いでいるという状況です。左側のほうは、スライドロックで、先ほど最初に申し上げましたが、面合わせのときに口がずれないようにロックをかける機器になってございます。
 ここまでがJAXAの安全審査でハザードレポートをまとめた結果になってございまして、ここからは宇宙開発利用部会の指針に対する適合性を示したものです。詳細は、これの資料の付表というのがございまして、そこに基本指針の内容と、こちらに細かく左の列に基本指針が書いてございます。中央は「きぼう」そのものの安全設計の設計内容が書いてございまして、一番右側のほうに今回のJ-SSOD-Rの安全検証の結果を書いてございます。
 基本的には、ここまで申し上げたハザードレポートの内容を、この要件に対して、指針に対してどういうことをしてきたかということをまとめたものでございます。これは細かいので、その概要資料を先ほどのパワーポイントのほうにまとめたものになってございます。この一番左に基本指針、それから中央に今回の内容を書いてございます。右側には関連する項ということで、先ほどもご説明申し上げた、いろんなハザードレポートの番号を書いてございます。
 お時間もありますので、簡単にご説明させていただきますが、まず1の3の(2)安全方法ということで、これはハザードを識別してハザードを制御してくださいということで、これはまさに、これまで説明してきた内容になってございます。
 次のページです。4項の(1)ウ、高真空、微小重力。これは、そういった宇宙環境に対して適切に設計をしてくださいということで、これはどちらかというと、設計したものに関しての対応を示すようになっておりまして、熱真空試験とか、そういったものをしているということで対応していることを確認してございます。
 4の(2)、打ち上げ時の誘導環境、これは打ち上げ時の誘導環境に関しても、適切に設計していることです。特に構造的な設計については、適切に設計をしているということで確認をしてございます。
 それから、真ん中のイの(イ)汚染。これは船内の汚染ということで、オフガスの発生に関して、先ほどもありました材料を適切に選んで対処しているということです。
 それから、その下の(ウ)の振動、音響、電磁波については、ノイズとなって周りの機器や人に対して影響は及ばさないということに関して、電磁適合性の解析と試験をして確認してございます。
 (3)の軌道上の保全に関しましては、これは軌道上にデブリ等を出さない。つまり衛星はミッションとして放出しますが、それ以外に、デブリとなるような影響のあるものは出さないということを確認してございます。
 次は5番、これは全体的な構造設計の話でして、構造設計は適切に行っています。
 それから6項の、安全・開発保証の(2)信頼性、アのシステム独立性。これは主に電気系のところでして、電気系としてはちゃんと保護回路、それからボンディング・グランディングを適切に行っているということを確認してございます。
 次のページをお願いします。6の(3)のイ、危険防止。タイトルだけですが、危険防止ということは、クルーの作業で危険にならないような、作業的に、そういった対応をしてくださいということで、特に船外活動が行われるとクルーが危険になるということもございますので、船外活動はなるべく最小限にしなさいという要求です。今回のJ-SSOD-Rではロボットアームは使いますけれども、船外活動ではないということでございます。
 (4)は品質保証ということで、全体的な品質保証は、安全も含めて検証しています。そして、要求に達しているということを確認してございます。
 それから7番は、搭乗員の保護ということですが、これは先ほどの穴、隙間といったところでクルーがけがしないように、それからやけどをしないように、回転体に挟まれないようにといったところで、それぞれをハザード制御しているということで確認してございます。
 それから誤操作等の防止ですが、これはコマンドについては、適切に発信できるということを確認してございます。それから先ほどの、衛星に誤ってスイッチが入らないように展開スイッチがオンにならないように、衛星の搭載に当たっては、移設で展開スイッチが入らないようにしているということを確認してございます。
 8のアクセスですが、手順書等はちゃんと適切にそろっているかというような話になってございまして、確認してございます。
 それから、9の安全確保の体制ですが、これは先ほどの体制でご説明いたしましたが、有人宇宙技術センターが開発の担当ですが、独立した有人システム安全ミッション保証室が、安全開発保証の活動をして、安全性評価を確認しているということです。
 次をお願いします。以上から、結論としまして、ハザードの識別、制御方法、検証結果を審査して、安全開発が適切に行われているということを、JAXAの有人部門として確認しておりまして、さらに安全審査委員会を通してJAXA全体でも確認してございます。
 それからちょっと駆け足でしたが、その結果を基に宇宙開発利用部会で設定していただきました基本方針に適合しているということを確認してございます。
 以上、安全審査を完了して、打ち上げに備えているということで、2月にNG-15で打ち上げる予定でございます。
 以降は付録になりますが、バックアップチャートです。この資料の詳細は割愛させていただきます。

【木村主査】 よろしいでしょうか。ご説明ありがとうございました。ただ今のご説明について、ご意見、ご質問等がございましたら、お願いいたします。

【神武委員】 慶應大学の神武です。よろしいでしょうか。

【木村主査】 神武先生、お願いします。

【神武委員】 ご丁寧なご説明、ありがとうございました。このご説明の前に、もともとある1回限りの機構をリユースするというところが今回の違いだという理解ですが、その変更による違いの部分を、もう少し、どの部分がどう変化して、どういうリスクがあるかという辺りが、ちょっと不明確でした。私は、もともとリユースじゃないもののところからの検討というところもあるような感じがしましたが、その辺り、もう少し教えていただいてもよろしいでしょうか。

【JAXA(白井)】 ここまで説明してきた内容ですが、やはりリユースなので、軌道上で打上ケースを使って衛星を充塡するという作業が、これが全く今までにはなかった作業になりますので、ここは新しくなります。それに関して、どういうハザードがあるかということで、このハザード、今画面にはハザードレポートが出ていますが、従来のJ-SSODに関してのハザードレポートがありますので、その辺との違いを反映しつつ、このハザードレポートも今回のものを作成しております。
 特に先ほどの、軌道上で装填する件につきましては、最後に説明いたしました5番のユニークハザード5というところになりますけれども、ここは衛星の入れ替えによって、衛星に付いています展開スイッチというのが、今まではこれは、もう詰め込んでいたので、そこが外れるということはなかったですけれども、今回、移設によって外れる可能性があるということを、ハザードとして識別しまして。あと、正面と後ろで押さえて、そこも衛星が離れないようにするということで、こういったハザードレポートを書いています。

【神武委員】 ありがとうございます。あともう一点、今後のISSからの放出は、基本的にはこのJ-SSOD-Rを使うということで、今までのRが付かない使い捨てのほうは、もう運用上は利用しないのか、ハイブリッドでやっていくのか、その辺りはいかがですか。

【JAXA(白井)】 基本は、この再利用のタイプを使っていきますが、たぶん、今までのものも少し在庫があるかと思いますので、それがなくなるまでは、たぶん併用で打ち上げることにはなるかと思います。

【神武委員】 ありがとうございます。そう考えたとき、今度はJ-SSOD-Rは運用上問題ないけれども、J-SSOD-Rではないほうを、もともとのバージョンを使うことにおけるリスクというのは、特にないというふうに考えてよろしいでしょうか。

【JAXA(白井)】 そうですね。特にそこにはリスクはないというふうに考えております。

【神武委員】 分かりました。ありがとうございます。

【木村主査】 ありがとうございます。野口委員のほうで、挙手をいただいているかと思います。質問をお願いいたします。

【野口委員】 どうも、説明ありがとうございました。今の神武委員との質問と少しかぶりますが、僕もやっぱりリユースをしているということがリスク評価にどう反映されているかということがよく分かりません。それは、使う頻度が高くなると、詰め替え作業のヒューマンファクターもいろいろ問題が出てくるし、1回2回使っている間に故障するとか、初期とは違う状況になるということが、そこがリユースの特徴だと思うのですが、そこの評価がリスク評価にどう反映されているかというのが分からなかったということが1点目の質問です。
 2点目の質問は、いろいろ確認したということの中で、スライド9の標準ハザード番号でいうと、STD-4というのがあるのですが、これは温度が高いときにエアロックに待機させるという運用をやるということなのですが、例えばこの運用制御が失敗するリスクというものを、どういうふうに考えているかということがほとんど分からないですね。
 全部説明していたら大変だと思いますが、そのリユースをすることによるリスクの評価をどう考えているかということと、この運用を制御するというふうになっている事前には確認できないところのリスクの考え方を教えてください、という2つの質問です。
 あとは感想が2つあって、1つは、今回は安全要求ということには触らないことになっていますが、基本指針が出たのを見ると平成24年で「随分、時間がたったな」というのが偽らざるところで、いろんな知見の進歩がある中で、さすがに9年前の指針でまだいくのかなというのは、若干不安があるということが1点と。
 それから、いつも言っていることで恐縮ですが、やっぱりFT展開を見ていると、展開の仕方が、やっぱりこれまでの経験によるキーワードの羅列になっていて、ちょっと体系的に見えないところもあります。あのFTだと、ただ6ページなんかそうなのですけれども、何が不足しているのかという検討が十分にできないのですね。左から3つ目のところが、例えば隙間とか、高温部への接触とか、実は全く質の違うものが、並んでいるだけで、あんまり論理的にみえず、そのクラスの自称を足して1になるというオア事象の特性というのを、きちっと満足しているようには見えないですね。恐らく、これを選ばれたこと自体は、今までのJAXAとかNASAの経験によって、こういうことが重要であるということで、重要なものが抜けているということを思っているわけではありませんが、これから回数が進むにつれて、今までなかったような問題が新たに出てくるとか、全くほかのところの状況が影響を与えるということを考えると、やはりFT展開は理論なので、体系的にオア事象の展開が常に足して1になるということを保証する論理展開がないと、上手の手から水が漏れるような気がします。これは、今日は感想ということでとどめておきます。
 一応、感想は2つありましたが、最初の質問の2つに関するご回答をお願いできれば幸いです。以上です。

【JAXA(白井)】 ありがとうございます。まず、リユースになることに関してのリスク評価ですが、例えば、リユースですので、先ほどのお話では作動回数とか放出回数というのは、そこはやはり作動回数の制限がございますので、どのくらいまで使えるかということで、それ以上を超えるとやはりリスクになります。そこの保証範囲というのを決めて、そこまでくれば、もうそこでミッションは終えるというようなことで、リスクを避けています。

【野口委員】 それは、繰り返し疲労とか、繰り返し摩耗ということに対するチェックの問題であって、例えばあるミッションを1回起こしたときに、どこかが傷ついているかもしれないじゃないですか。そういうものをどう考えるかというのが、繰り返しユースのやっぱり新たなリスク評価のポイントだと思うのですが。

【JAXA(白井)】 そういう意味では、先ほどの作動回数と申し上げましたが、作動回数だけではなくて、いろんな構造的な話とか熱的なところも、全て含めて作動の環境ということです。1回だけではなくて何回か使うことに関しての保証をするために、設計・解析を行っています。

【野口委員】 確認ですけれども、正常なものが何回繰り返すかということと、1回どこかで異常が起きたときの評価って違いますよね。だから、異常が起きたときに、それをチェックする検査機能も含めて設計されているということですか。

【JAXA(白井)】 そこまでではないです。

【野口委員】 やっぱり心配なのは、そこなのですね。だから、当然繰り返し使うものに対して、正常に何回使えるかという検査や設計がなされていないとは全く思っていなくて、そこはすごく信用しているのですが、いろんなことでリユースとかリサイクルで使うときは、重要なところに関しては、問題ないということを検査するとか、もしくは機械的に、自動的に検証するみたいなものがないと、1回目はうまくいったけれども、それが問題になって2回目が起こる。これがやっぱりリユースの最大の問題なので、これに対するリスク評価がどうなっているのかなということだったのですが。

【JAXA(白井)】 そこはちょっと運用のほうにも入ってきますので現時点では、ご回答できないところです。

【野口委員】 分かりました。運用でカバーすることになっているとか、運用のチェック項目にきちっと入れるとかということがあれば、それはそれでいいと思いますが、できればそういうことを前提としてリスク評価をしています、ということをお答えいただきたかったというのが、私の意見です。

【JAXA(白井)】 ちょっと補足ですけれども、実際にこれを運用して使うときに、やはり何もしないでそのまま使うということはしていないというか、計画としては一応、使う前には点検確認はするということになっています。確認というのは、傷とか目視点検とか、そういうことは通常の作業になっているかと思います。全く何もしないというわけではなくて、そういったところは使用前に確認するとご理解ください。

【野口委員】 分かりました。

【JAXA(白井)】 安全確認の中でも、そういった重要なところは出てきていますので、そこはリユースするときには確認はするということを補足させていただきたいと思います。
それから、エアロックの待機時間ですね。ここは、熱解析をいたしまして、どのぐらいエアロックで待機させるかということを、あらかじめ計算していまして、更にそれにマージンを含めて熱解析をしています。

【野口委員】 初期計算は当然そうだと思うのですが、僕がリスク評価で聞いているのは、そういうことをやることになっていたが、実はうまくいかなかったとか、失敗をしたというリスクは、どういうふうにお考えですか、ということですね。
 例えば、事前に確認できるのは、エッジがないかどうかという、そういうものは事前に確認できるのですけれども、こういう運用とか制御とかというものは必ず失敗する可能性があるという前提がリスク評価にはあるわけで。その評価をどうなさっているかということをお聞きしているのですが。

【JAXA(白井)】 そこは、エアロックで待機するということ自体は、作業的にはそれほど大きな作業ではないので、マージンを含めて待機時間を計算して、そこで待つということです。これに関しては、それほど大きな失敗はないというふうに考えています。
 おっしゃるとおり、何か運用するときに、それができなかったらどうするかということはありますので、そこに関しては、ちょっとここも運用の話になってしまいますけれども、そのときに、うまく温度が下がらなかったというような話に関しては、その時点で判断することになるかと思います。

【野口委員】 だから、例えば地上で確認するとか、設計図面だとか、出来上がったものの検査ということで確認できるものと、実はやることになっているという前提で評価したものは、評価の仕方が違うのですね。そこがちょっと、今回見えなかったということです。
 二重、三重に運用も含めてチェックは掛けられていると思いますが、ただ安全性評価、特にリユースが今回問題だというようなポイントとか、やはり色々なポイントで説明する要点はあると思いますので、そこはすみませんが、よろしくお願いいたします。以上です。

【木村主査】 野口委員、ありがとうございます。私も実は、最初に説明を伺ったときに似たようなところが、すごく気になっておりまして、特に、積み込み作業とかのヒューマンファクターであるとか、あとリユースに伴うリスクですね。聞いていて、恐らくそこは運用も含めてカバーをするというのが答えだろうと思うのですけれども、今回も、事前にそこの説明を少し追加してくださいという話はしていて、口頭では一部説明が追加されてはいるのですけれども、やはりどうしても気になるのかなという気はしています。安全管理上、やっぱり気になるポイントだろうと思います。
 私がこれに関して付け加えていいかどうかなんですけれども、基本は運用でカバーするというか、そこも含めて安全性が確保されているという理解でおります。そうですね。よろしいですか。

【JAXA(白井)】 すみません、ちょっと説明があんまりうまくできなかったようで。

【木村主査】 確認手順、もしくはクルーの訓練および、エキスパートであるオペレーターによって運用されるというところで担保されているという部分が、当然これの中にはあって、だから、そこのところがハザードとして上がっているのは、そういう理由だという理解でいいですか。

【JAXA(白井)】 実際に運用としては、これだけじゃなくて色々な運用をしていまして。こういった安全対策もとって運用していますが、仮にそういうふうにいかなかった場合には、次の手順というのもありますし、それが駄目だったら、やはりその場で処理をするという作業もあります。そういったのは、手順があるものと、それからその場で考えなきゃいけないという作業も、実際あるかと思います。

【木村主査】 その辺り、今回はこれで口頭でということでいいと思うのですけれども、説明のところでやはり十分注意しておかれる必要があることだと思います。われわれ委員の中で、1個目に出た質問はやはりそこに皆さんの関心が集中していて、それに対する対策がちゃんと取られていると認識された上でやられているというところが非常に重要だと思うのですが、それがやはり資料としても反映する必要があるかなと思います。
 ご質問、ご意見等、ほかにございますか。よろしいでしょうか。もう時間もだいぶきてしまっているところでございますけれども。もしご質問等あれば、挙手いただければ。よろしいですか。

【馬嶋委員】 ちょっと安全のことと関係ないのですが、馬嶋ですが。

【木村主査】 どうぞ。

【馬嶋委員】 この日本語の名前が、放出機構となっていますが、英語ではDeployerになっているので、どうしてこれが一致しているのかなと疑問があります。やはり機構となると、宇宙航空研究開発機構を思い浮かべてしまう。もしも、機構という言葉だけを言ったら、どっちで話しているのか分からなかったりするので、やはり用語も安全に少し関係があるのかなと思っています。
 Deployerはツールですよね、英語だと。だから、機構はちょっと装置ぐらいにしといたほうがいいのではないかと思います。いかがでしょうか。ちょっと意見をお聞きしたくて。

【木村主査】 どうでしょう。

【JAXA(白井)】 これは、これまでのものを機構と呼んでいましたので。

【木村主査】 これまでもそう言っちゃっていたということですか。

【JAXA(白井)】 そうですね。先ほどJ-SSOD-Rという増強型なのですが、もともとのJ-SSODに関して、放出機構と従来から呼んでいまして、たぶん、これはこのままの形で広報とか、それから国際的にもいろいろ小型衛星を放出していまして、そこにもこういった機構というような形で名前は出していたかと思います。

【馬嶋委員】 分かりました。

【JAXA(白井)】 ですから、すみません、名前を変えるというのは、なかなか難しいかと思います。

【馬嶋委員】 だから、説明のときにはJ-SSOD-Rと言っておられますね。日本語ではないですよね。

【JAXA(白井)】 はい。JAXAでは、すみません、これはタイトルが長いので、J-SSODと呼んでいるわけですけれども。

【木村主査】 この日本語の名前の機構は、たぶん「メカニズム」というイメージで付いていたのでしょうね。これまでの経過からいうと。

【JAXA(白井)】 はい、おっしゃるとおりです。

【木村主査】 馬嶋委員のおっしゃるように、一番ぴったりくるのは、たぶん装置ですね。放出装置が日本語的には正しいでしょうね。ちょっとこれも経緯があるということなので、不自然さは確かに私も感じなくはないですけれども、これでいかせていただく感じだと思います。

【JAXA(白井)】 すみません。

【木村主査】 ほかはよろしゅうございますか。

【飯田委員】 産総研、飯田ですけれども。

【木村主査】 お願いいたします。

【飯田委員】 どうも潤滑剤のところが、なんかちょっと気になりまして。衛星とレールの間に固体潤滑剤を塗ると説明されました。これは最低速度を保証するためだろうと思うのですが、この固体潤滑剤の塗布されるレールというのは、どちらに付いているのでしょうか。放出ケースのほうですか。それとも打上ケースのほうですか。

【JAXA(白井)】 これは放出ケースのほうですね。

【飯田委員】 放出ケースのほうにレールが付いていて、そこに固体潤滑剤が必要であるということですね。

【JAXA(白井)】 はい。

【飯田委員】 そうすると、先ほどのリユースの話もありましたけれども、これをリユースする場合というのは、放出ケースはISSに取り込んで、プラットフォームに放出ケースを取り付けたまま、ISSの中で保管しておくわけですよね。
 そのあと、打上ケースを打ち上げて、ISSに取り込んで、また中で取り付けるという手順ですね。

【JAXA(白井)】 プレートの土台のほうは外します。放出ケースは放出ケースで単独で保管します。

【飯田委員】 それは、ISSで保管するときは、ということですか。

【JAXA(白井)】 そうです。船内のほうに入れまして、船内で保管するということです。

【飯田委員】 そうすると、2回目、3回目、放出ケースを使うときというのは、固体潤滑剤を塗るのはISSの中でやるということですか。

【JAXA(白井)】 塗るのではなくて、このままの状態で衛星を入れ替えて放出させることになっています。

【飯田委員】 ということは、固体潤滑剤というのは、一度塗ったらもう何回でも使うということですか。

【JAXA(白井)】 そうですね。そこには、おっしゃるとおり作動寿命がありますので。

【飯田委員】 そうすると、例えばリユースのための安全のために、そういう固体潤滑剤がちゃんと生きているかどうか、それからスプリングの劣化がないかどうかとか、そういうことも、この安全対策、安全審査の中に入っておくべきではないでしょうか。

【JAXA(白井)】 そうですね。ただ設計的には、保証というのでしょうか、実際にリユースで何回か使うということに関しても、潤滑剤の設計と、それから保管環境も含めて、設計の確認はしております。設計と、それからちゃんと塗られていることとか、品質保証がちゃんとできているということの確認をしています。

【飯田委員】 それは、固体潤滑剤が極低温にさらされたり、またISS内の温度で保管されたり、そういう温度環境も考えてあるということですか。

【JAXA(白井)】 そうですね。そういった環境も含めてです。

【飯田委員】 分かりました。ありがとうございます。

【木村主査】 ありがとうございます。飯田委員、そこは確かにポイントだと思います。一方で、だから例えば固体潤滑剤を擦って出た後の物を船内に置くというときの、船内環境に対するハザードというのもあり得ると思うのですが、そこも当然見られているという前提でよろしいですね。

【JAXA(白井)】 そうですね。基本的には、ちょっと湿度に弱いというのを聞いておりまして、船内ではそんなに湿度がすごく上がるということはございませんので。船内環境であれば保管はできるということを確認しています。

【木村主査】 ありがとうございます。そういった項目も含めて、今回のリユースということに伴う点について、ちゃんとカバーされているというところを資料的にディフェンスしてほしかったというところだと思います。
 よろしいでしょうか。もしよろしければ、ここまでの議論を踏まえて審議結果ということでまとめさせていただきたいと思います。事務局のほうで案を既に作っていただいておりますので、説明のほうをお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省事務局でございます。資料の1枚目をご覧ください。本日はご議論いただきまして、ありがとうございました。本日のご議論等も含めまして、来月の2月に宇宙開発利用部会のほうを予定しておりまして、そちらのほうでの木村主査からご報告いただく予定の案文でございます。最初の目次等は置いておいて、1ページ目のほうで概要ということでありまして、こちらのほうは、今日のJ-SSOD-Rについての安全審査を行いましたと。そのための審議結果を取りまとめたものである旨の記載をしております。
 そして2ポツのほうは、本日議論をさせていただいたということと、今度2月に宇宙開発利用部会で行いますということでございます。そして、本日の流れでもありますけれども、安全省委員会はJAXAから示された資料を基に、JAXAが実施した具体的な要素、搭載物に係る安全審査の方法や結果等が所定の安全審査のプロセスや考え方に即しているかを、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に係る安全対策の評価のための基本指針に照らして、調査審議を行っていただきました。宇宙開発利用部会は、調査・安全省委員会における調査審議結果についての報告を受けた上で、調査審議を行ったと判断されます。ただし、新型コロナウイルス感染拡大防止のために従来の対面審査の代わりにオンライン審議を実施したということでございます。
 調査審議の結果といたしまして、JAXAが実施したJ-SSOD-Rに係る安全審査の方法や結果等について、安全審査体制・プロセス、安全解析およびそれへの対処の観点から調査審議した結果、JAXAが実施したJ-SSOD-Rに係る安全審査の方法や結果等は妥当であると評価する。また、このことから、JAXAが実施している安全審査のプロセスや考え方は適切に機能しているというふうに報告をしたいと思っております。
 本日、委員の方々から、JAXAの説明といろいろ審議をいただきましたので、そのような観点を盛り込んで報告という形にしたいと思います。以上でございます。

【木村主査】 ありがとうございます。この報告に、資料38-1-4という形で、結果としてはまとめさせていただいています。今日いただいた議論、それからそこでの審議の内容ですね、そういったことを、具体的に書ける内容として、調査審議のポイントというところに書かせていただきたいと思います。委員会はここで締めたいと思いますので、書きぶり等は、もしお許しいただけるようであれば、主査のほうにご一任いただければと思います。そういった形で利用部会のほうに報告をさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ご異議はございませんでしょうか。

【馬嶋委員】 すみません。

【木村主査】 どうぞ。馬嶋委員。

【馬嶋委員】 馬嶋ですけれども、議事録は今まではあったわけですけれども、もう、それもないですか。

【木村主査】 これは、今までの形式を基本的な踏襲するという方針ですが、具体的に議論したところを、調査審議のポイントに入れるという話で、形式的にはどうでしょう。

【馬嶋委員】 今までは、質問の内容とかについて、それをチェックさせていただいていたのですが。

【木村主査】 議事録という意味ですね。

【馬嶋委員】 はい。

【事務局(岡屋補佐)】 すみません。今、主査が申し上げられました、いろいろな議論のポイントについて別紙でまとめまして、一応それも事前に委員の先生方に確認をいただいて、2月9日の利用部会に上げる予定でおります。今、いろいろ議論をされましたが、一体どういう議論をしたかという各論については、そちらのほうにまとめさせていただいて、当日、主査から発表していただくということになっております。

【木村主査】 分かりました。これまでも、議事録の形式でいただいていたのでしたね。要旨点をまとめるのであれば、ここの調査審議のポイントでいいかなと思うのですけれども。これまでも、その形で。

【事務局(岡屋補佐)】 5点か6点ぐらいのポイントにまとめておりました。

【木村主査】 分かりました。今回も、できれば同様の形式を取らせていただきたいと思います。ほか、いかがでしょうか。ご意見ございましたら。

【野口委員】 野口ですけれども、異議はありません。結構です。

【木村主査】 ありがとうございます。

【飯田委員】 飯田です。異議はありません。

【木村主査】 ありがとうございます。

【馬嶋委員】 馬嶋です。異議はありません。

【木村主査】 ありがとうございます。よろしければ、このような形でまとめさせていただければと思います。ありがとうございました。
 強いご異議はないようですので、本日の審議結果を私のほうから利用部会のほうに報告させていただこうと思います。

(2)その他

【木村主査】 最後に事務局から事務連絡のほうをお願いいたします。

【事務局(笠谷企画官)】 会議資料と議事録の公開について申し上げます。宇宙開発利用部会の運営規則に基づいて、本日の会議資料は公開となりますので、既に文科省のホームページに掲載させていただいております。また、議事録についても公開となりますので、委員の皆さまにご確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【木村主査】 最後に福井課長からご挨拶をお願いいたします。

【事務局(福井課長)】 聞こえますでしょうか。

【木村主査】 はい、ありがとうございます。聞こえております。

【事務局(福井課長)】 文部科学省宇宙開発利用課長の福井でございます。どうも本日は先生方、ご議論ありがとうございました。1月から着任しております。すみませんが、現在こういう状況ですのでテレワークをさせていただいているところです。今後いろいろお世話になるかと思います。本日は本当にありがとうございました。

【木村主査】 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局(福井課長)】 よろしくお願いします。

【木村主査】 お世話になります。
 さて、以上でよろしいでしょうか。最後のところの事務局からのご連絡で、議事録は作るのですね。それを公開されるということですね。

【事務局(笠谷企画官)】 はい。公開させていただきます。

【木村主査】 それとは別に、要点を報告するという形でよろしいですね。
 以上で、本日の議事は全て終了となります。これをもちまして閉会といたします。これまでのご審議、誠にありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。


以上
 

(発言者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課