宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第58回) 議事録

1.日時

令和7年12月25日(木曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. H3ロケット8号機の打上げ失敗に関する調査状況について

4.出席者

委員

  主査   木村 真一
  臨時委員   笠原 次郎
  専門委員   柿沼 志津子
  専門委員   豊嶋 守生
  専門委員   中西 美和
  専門委員   花本 健二

文部科学省

  大臣官房審議官(研究開発局担当)  古田 裕志
  研究開発局 宇宙開発利用課長  梅原 弘史
  研究開発局 宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官  近藤 潤
  研究開発局 宇宙開発利用課 課長補佐  木元 健一

(説明者)
 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  宇宙輸送技術部門 事業推進部長  森 有司
  宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ  有田 誠
 
(オブザーバー)
 内閣府
  宇宙開発戦略推進事務局 参事官/準天頂衛星システム戦略室室長  三上 建治
  宇宙開発戦略推進事務局 参事官  𠮷村 源

5.議事録

【木村主査】 定刻になりましたので、第58回宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会を開催いたします。宇宙開発利用部会と合同で開催した緊急会合に続きまして、H3ロケット8号機の打上げ失敗に関する第2回目の議論となります。
 本日も前回同様、オンラインでの開催となっております。委員の皆様におかれましては、ご多用の中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 それでは事務局から本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。
 
【近藤企画官(事務局)】 事務局からご連絡いたします。本日は当委員会に所属いただいている8名の委員のうち6名にご出席いただいております。オブザーバーといたしまして、内閣府より吉村参事官、三上参事官にもご出席いただいております。
 本日の資料は議事次第に記載の通りでございます。オンライン状況について、音声が繋がらないなどの問題がございましたら事務局へメール、電話等でご連絡いただければと思います。
 事務連絡は以上になります。
 
【木村主査】 ありがとうございました。打上げ翌日に開催されました前回の会合からまだ2日ですけれども、この間JAXAにおいてフライトデータの解析など原因究明活動が進められていることと思います。この間のご尽力に敬意を表したいと思います。
 本日はそれを踏まえて原因究明の進捗状況について確認していきたいと思います。
それでは早速議題の方に入ります。資料の説明をまず、JAXA宇宙輸送技術部門事業推進部の森部長、並びにH3プロジェクトチームの有田プロジェクトマネージャ、よろしくお願いいたします。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 H3プロジェクトの有田の方からご説明させていただきます。この度はこのような事態になりまして、皆様に大変ご心配をおかけすることになり申し訳ございません。私ども一同、原因究明に全力で取り組んでまいりたいと思いますので、ご助言などいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 それでは資料に基づきましてご説明してまいります。前回12月23日にご報告した内容との差分をページの右上に「再掲」「更新」「追加」という形でご説明してまいりますが、本日は初めてお聞きになる方もいらっしゃるかと思いますので、前回ご説明した部分も含めてご説明してまいりたいと思います。
 本日の目次です。H3ロケット8号機の打上げの結果ということで、その結果の概要、それから参考情報になりますが主要な諸元、そして打上げ結果、今後の計画という形で進めさせていただきたいと思います。
 次をお願いいたします。こちら、本日の報告内容という形ですけれども、将来にわたって全体としてどのような進め方をしていくかということで、全体の流れの中で本日がどこに当たるかということを示しております。最初ですので全体の流れを簡単にご紹介いたします。まず打上げの失敗という事象の発生を受けまして、フライトデータに基づく事象の把握、これを現在取り組んでおりまして、本日ご報告する内容はこの範囲となります。これが済みましたら、データに基づく原因究明を進めて原因の特定、さらには是正対策、水平展開という形で進んでまいりたいと考えております。
 次のページお願いします。まず打上げ結果の概要でございます。打上げ日時は12月22日、打上げ時刻は午前10時51分30秒、打上げ場所は種子島宇宙センターでございました。搭載した衛星ですけれども、準天頂衛星システムの1つ「みちびき5号機」でございました。こちらの衛星は、日本で常に天頂付近に1機の衛星が見えることを目的として複数の軌道面にそれぞれ配置された衛星を組み合わせて利用する準天頂衛星システムのひとつということでございます。下には「みちびき5号機」のイラスト、右側には打上げ当日の写真を示してございます。
 次のページお願いします。こちらがH3ロケット8号機の主要諸元でございます。8号機に用いましたのはメインエンジン(LE-9)が2基、それから固体ロケットブースター(SRB-3)が2本、そしてショートタイプのフェアリングを持つH3-22Sという形態でございました。全長は約57m、全備質量は422tの2段式のロケットでございます。
 次のページお願いします。こちらが1号機から7号機までと8号機の比較ということでございますが、1号機から5号機までは今回と同じ22S形態でございまして、搭載するペイロードがそれぞれの号機によって違っているというものでございました。6号機につきましてはメインエンジンが3基でSRB-3がない30形態というものの試験機という形で、こちらはまだ打ち上げてございませんけれども、1段エンジンのステージ燃焼試験を射点で行うところまで行っている開発中のものでございます。7号機につきましては今年の10月26日に、初めて固体ロケットブースターが4本搭載された24形態、しかもフェアリングとしてはワイド型を使った24Wという形態で、国際宇宙ステーションに物資補給するための新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)を打ち上げました。1号機につきましては失敗をしてしまいましたが、そこから2号機から7号機まで連続で成功してまいりましたけれども、今回の8号機で失敗という形になってしまったものでございます。
 
 次のページをお願いします。こちらが打上げの結果のシーケンスを示しております。先ほど述べました時刻に8号機を打ち上げまして、第2段エンジンの第1回燃焼終了時には所定の地球周回軌道に投入できていました。しかしながら第2段の第2回燃焼が正常に立ち上がらずに早期に停止したということで、予定した軌道に「みちびき5号機」を投入することができず、打上げは失敗いたしました。下の表にフライトのシーケンスを書いてございます。SRB-3の燃焼と分離、衛星フェアリングの分離、第1段の燃焼停止、1・2段の分離、こういったところは予測とほぼ一緒、1秒程度の遅れでここまでは正常でございました。第2段エンジンの第1回推力の立ち上がりが3秒と若干遅れましたけれども、これは正常の範囲と当初考えておりました。そして第2段の第1回燃焼停止、こちらが予定よりも27秒遅れるという形で、予測値とは異なる作動の結果でございました。そして第2段の第2回推力立ち上がり、こちらが15秒ほど遅れていますけれども、その後、第2段の第2回燃焼停止(SECO2)、こちらが右のアスタリスクにございますとおり、エンジンが正常に立ち上がりませんでしたので、正常なSECO2の検知に至っていないというもので、秒時がきちんと書けないという状況でございます。それから(10)の「みちびき5号機」の分離というところでございますが、アスタリスク2のところに書いてございますように、衛星分離につきましては第2段の機体から分離信号が送出されたということまでは確認できているのですけれども、分離機構に装着されております分離スイッチによる分離の検知そのものがされていないということで、やはり時刻が入れられないという状況になってございます。
 
 次のページお願いします。こちらが打上げの結果でございます。黒色の破線で示しておりますのが計画で、赤い線が飛行の結果でございます。途中まで順調に推移してまいりまして、SELI2と書いてあるところまでは大体ノミナルの軌道で推移しておりました。そこから先、第2段エンジンの燃焼によって当初予定の軌道傾斜36度の軌道に入れていくためのマニューバーを行う予定でしたけれども、第2段エンジンが上手く着火しなかったと言いますか、第2段エンジンの燃焼が早く終わったということで、軌道傾斜の変更ができずにそのまま傾斜30度のままの軌道に入っていったということで、この角度のずれが生じていると考えております。
 次のページお願いします。こちらは縦軸に高度、横軸に地表面距離をとった、同じように計画と飛行結果を示す図でございます。第2段エンジンの第2回目燃焼(SELI2)時点まではほぼ予定通りでしたけれども、ここから第2段エンジンがうまく作動しませんでしたので、ここから本来ですと高度を上げていくという形になるところ、そのまま高度が下がっていくという結果になっているということを示しております。
 
 次のページお願いします。こちらは皆様方に第2段の構成をご説明しようということで掲載したものでございます。オレンジ色の部分が第2段の液体水素タンクになっております。その下に銀色で書いてあります、楕円球のような形状をしているものが第2段の液体酸素(LOX)タンクでございます。その下にLE-5B-3エンジン、第2段エンジンが取り付けられているというのが第2段本体の構造です。この第2段の液体水素タンクの上にいわゆる衛星搭載部という構造がございまして、具体的に言いますとPSS(衛星搭載アダプタ)という大きな円錐台状の構造があり、その上に衛星分離部(PAF)、その上に衛星が結合されて搭載されるという形になります。この図では試験2号機のCGから取ってきた関係上、ペイロード「VEP-4」がついておりますけれども、8号機においては「みちびき5号機」が搭載されていたというものでございます。
 
 次のページお願いします。こちらが衛星フェアリングの分離のメカニズムを説明するために用意したページです。衛星フェアリングには直分離機構と曲分離機構という分離機構がございますが、こちらはH-IIロケットの時代に開発されたものと基本的に同一設計のものをこのH3ロケットでも使用しております。ただしH3ロケットでは機体の直径が4mから5.2mに増えているということ、それからロング形態、ショート形態といった形態がございますので、それに合わせた分離機構の長さが変わっているとご理解いただければと思います。左の図に書いてございますが、フェアリングはこのように左右に貝殻が開くような形で分離をしてまいります。ロケットの長手方向の分離面、こちらに使用しているのが直分離機構と呼んでいるものです。一方、第2段との結合面、こちらにある円環状の分離機構、こちらを曲分離機構と称しております。そして、このフェアリングが開頭していくための回転中心となる開頭ヒンジというものがフェアリングの左右の端に装着されておりまして、ここを中心に開頭運動が行われます。その開頭運動を起こすための駆動源として開頭バネが合計で直分離面の近傍に合計8本装着されておりまして、これが伸びる力で第2段機体を押すような形でこのフェアリングを開頭するという機構になってございます。この開頭の様子を示したのが右の連続写真でございますが、まず最初に直分離機構と曲分離機構を同時に起爆いたします。そして開頭バネの力で開頭運動が始まりまして、開頭ヒンジ部を中心に開頭運動を進めていきます。そして最終的には水平方向になってヒンジから外れて分離が完了するというシーケンスになってございます。これに約4秒程度かかります。
 次に、直分離機構と曲分離機構の原理を説明します。直分離機構も曲分離機構も基本的には同じ原理、同じ機構で分離をいたします。その説明をしているのが、下の真ん中にございますオレンジの線で囲んでいる部分でございます。分離面と書いてあるところの上下にアルミで出来たハウジングというものがございます。こちらの左側から右側にかけてノッチボルトと称しております、分離面付近に切り込み(ノッチ)を入れてあるボルトが、分離面を挟んで締結されております。その分離面より左側に分離機構が仕込んであるという形になっております。その分離機構を拡大したのが右の図でございまして、ステンレスでできた扁平管、楕円の形状に潰してある管がございます。この中にテフロンで出来たサポートを介しましてMDFFというオレンジ色の丸い管があり、この中に少量の爆薬が仕込んでありまして、これが分離機構の要になります。この扁平管がホルダーを介して2つ装着されておりまして、冗長系を成しているわけですけれども、これが分離機構を構成しております。そしてMDFFに電流を流して起爆してやりますと、下の分離後の図のようにステンレスの管が楕円から丸く変形するということで距離が増え、ボルトを引きちぎる力が発生します。それによってノッチボルトの切り込みを入れた部分で破断をして分離が完了するという仕組みになってございます。
 
 次のページをお願いします。次に、今回、最初にタンクの圧力が減っているという話が次のページに出てまいりますので、第2段の液体水素タンクを加圧するシステムについてあらかじめご説明したいと思います。このタンクのシステムですが、飛行のフェーズに応じて3段階に加圧方法を切り替えていくというシステムになってございます。
 まず(a)地上にいる時からリフトオフまでの間ですけれども、この間は地上設備のヘリウムガスを使用してフライト前にタンクの地上予圧(予備加圧)を行います。次に(b)リフトオフからフェアリング分離を経て第1回燃焼の前までのフェーズでございますが、今回焦点になるのはまさにこのフェーズでございます。このフェーズでは水素タンクの中に搭載しております極低温ヘリウム気蓄器に蓄えられていたヘリウムガスが、液体酸素タンクで熱交換をして昇温して、それを液体水素タンクの方に戻してやるという形でヘリウムガスを使って第2段エンジン着火前の加圧、これを「過渡加圧」と呼んでおりますけれども、これを行います。最後に(c)第2段の第1回燃焼から燃焼停止というフェーズですけれども、いよいよエンジンが始動するという段階になると、エンジンからタップオフ(取り出し)した水素ガスを用いてエンジンの中にある熱で温められた水素ガスを使用して、飛行中、エンジン作動中の加圧を行います。これを「定常加圧」と呼んでおります。こういった形でシステムを切り替えながら加圧を行うというのがタンク加圧システムでございます。第2回燃焼につきましても(b)と(c)がそれぞれ行われるということでございます。
 
 次のページをお願いします。こちらが今回の特徴的な打上げ結果を示したサマリー的な図でございます。一番上にイベントが書いてありまして、リフトオフ、衛星フェアリング分離、1・2段の分離、そして最後は衛星分離という形で書いております。次が、その間のエンジンの燃焼状態を示しておりまして、第1段エンジンにつきましてはリフトオフの約6秒前から点火をいたしまして、MECO(第1段エンジン燃焼終了)まで燃えます。衛星フェアリングは第1段が燃えている間に分離をいたします。そして1・2段分離の後、第2段エンジンに点火をいたしまして、第1回の燃焼を行う、そして慣性飛行のフェーズを経て、第2段エンジンの第2回燃焼という形となります。今回の特徴的なデータは赤字や赤線で示しております。一方、通常のデータにつきましては青線で示しております。第2段エンジンにつきましては第1回燃焼が少し長くて、第2回については非常に短いという結果になっておりました。次に加速度データですけれども、衛星フェアリングの分離のところで衛星搭載部の加速度が従来より大きいという結果が見て取れております。衛星フェアリングの分離状況につきましては、画像を含めフライトデータを総合的に調査中と書いてございますが、本日はここについて前回のご説明から進捗、もしくは前回のご説明から一部訂正をしないといけない部分がございますので、後ほどご説明させていただきます。続きまして、その下、第2段のLH2タンクの圧力ですけれども、先ほど申し上げました第1段のフェーズ、いわゆる過渡加圧というヘリウムガスで加圧しているフェーズでございますが、衛星フェアリング分離を起点といたしまして、それまではある制御範囲幅できちんと制御がなされておりましたが、フェアリング分離時点から急激にタンク圧が低下いたしまして回復しないという状況になってございました。その下にLH2タンクの加圧弁の動きを書いてございますが、その動きを見ますと、フェアリング分離前までは上の圧力と対応する形で開閉をきちんと繰り返しておりましたが、分離を起点としてこれが開きっぱなしになる、開きっぱなしになって一生懸命加圧しようとしているのだけれども、LH2タンクの圧力低下が止まらず加圧が追いつかないという状況が続いたということでございます。最後に2段エンジンの推力でございますが、第1回燃焼につきましては当初から20%程度推力が低くて、約24秒間長く燃焼いたしました。推力と書かれておりますが、実際には推力が測れているわけではございませんで、これと等価の燃焼圧力を計測しております。第2回燃焼につきましては、本来の燃焼時間よりずっと短い時間で止まってしまい、定常燃焼状態に達しなかったということでございました。
 
 次のページお願いします。こちらが先ほど、今日新たにご説明をすると申し上げたフェアリング分離時の加速度でございます。どこで計測をするのかというのは右上の図で示しております。衛星搭載アダプタの上にある衛星分離部で計測をしております。そこで3軸方向の計測をしているということなのですけれども、ここでは顕著に特徴がある加速度を示しました機軸方向のデータをお示ししております。
 まず正常な時の様子ということで、下の青いマークで書いております、5号機と試験機2号機のデータからご説明いたします。フェアリングの分離の信号が参りますと、MDFFという火工品が作動いたしまして分離が始まります。この火工品の着火衝撃によりまして2段側に強く抑えつけるような形の加速度が発生して、数ミリ秒オーダーの非常に短い時間、比較的大きな加速度が出るというのが毎号機見られている特徴でございます。下側に一旦大きく振れますが、0.1秒程度ですぐに収束していくというのが正常な時の動きです。それに続きまして、従来号機では18Hz程度の周波数の応答が残るという形になります。18Hzというのがこの時点での機体の機軸方向での固有振動数と考えておりまして、衝撃をトリガーとして機体が素直に応答していると考えております。振幅も小さく、減衰も小さいという形でしばらくこの過渡応答が続くという形となります。
 一方、今回の8号機が左上のデータでございます。前回、小笠原先生のご質問にお答えする形で「この衝撃は大きかったというけれども静的なものだったのか動的なものが大きかったのか、どちらですか」というご質問に対し、「衝撃的な、動的なものと考えております」とお答えしたのですが、昨日になりまして、時間分解能を上げてきちんと見てみると少し様相が違っていることが分かりました。まず特徴1ですが、最初の分離信号が来てから下に飛び出る、曲分離機構の作動によって出る衝撃的な応答は従来号機とさほど変わりがないことが分かりましたが、それに続きまして、通常では見られない大きな、下向きに出ている加速度が約1.5秒ほどかけてゆっくりと収束していくという特徴が見られます。一昨日は動的な応答が全てだと考えていますと申し上げたのですが、このデータを見ますと、1.5秒の間、ほぼ下向きに加速度がかかっているということで、完全に静的とは申しませんが、準静的な加速度が加わった、しかも値としては比較的大きな加速度が加わったと考えておりまして、これが特徴①でございます。それから特徴2のところに書いてございますが、それに続く振動の周波数を計測してみますと6~7Hz程度の低周波のピークとなっています。ただしこれが安定した周波数を示しているものではなくて、従来号機では18Hz程度の綺麗な正弦波動なのですが、今回の8号機につきましては周波数が一定せず振幅が若干バラけているのが特徴です。そしてもう一つの特徴が、振幅の大きさと共に減衰も非常に大きい、急速に収束しているというところが特徴的でございます。私どもとしては、これはやはり従来とかなり機械的な特性が変化してしまっていると捉えておりまして、何らか機械的に大きな特性の変化がここで生じたのではないかと考えているところでございます。
 次のページお願いします。続きまして第2段エンジンの評価をいたしました。当初、第2段の第2回の燃焼が早期に終了したということを報じたというところもあって、第2段エンジンに何らかの問題があったという印象を与えてしまったかと思うのですけれども、その意味で改めてエンジンの評価を行いました。第1回の燃焼につきましては、衛星フェアリング分離を起点といたしまして水素のタンク圧が低下を始めまして、制御の圧力を下回って、通常よりもかなり低いエンジンの入口圧で初回の着火を迎えました。低い入口圧力のため燃焼圧力は通常の80%で定常燃焼を開始したことが分かっております。1段エンジンの燃焼中もさらにタンク圧力の低下が続き、燃焼停止時に最終的には燃焼圧力は通常の65%まで低下しました。一方、液体水素をエンジンに送り込む液水ターボポンプの回転数は、この間逆に上昇を続けて、最終的には定格の40%を超える回転数で稼働していたことが分かりました。これはエンジンシステムとしては認定範囲を超えた非常に過酷な条件の作動となったと考えておりますけれども、それでもエンジンは計画より約24秒長く燃焼を継続して、無事に燃焼終了を迎えることができたと評価しております。ただ第2回につきましては、さらにエンジン入口圧が低下をしていたことなどのため正常な定常燃焼状態には到達せず、早期に停止してしまったというのが状況でしたが、これはエンジンが正常に着火できる周辺状況ではなかったと評価しておりまして、2段エンジンとしてはこの状況下でよく頑張ったというのが私どもの評価でございます。
 
 次のページお願いします。一昨日の会議でもご質問いただきましたけれども、一体ロケットや衛星はその後どうなったんだという話が皆さんの関心事でございました。これに対して私どもの評価をまとめてまいりました。第2回の燃焼終了後の経路ですけれども、テレメーターデータで取得できている最終のデータから軌道を割り出しまして、それを基にその後の機体、衛星の状態を評価いたしました。若干難しさがあったのが、その時第2段の機体の質量が一体どうなっているのかが掴みにくいというところがあります。それから空気抵抗につきましてもばらつきがあるということ、それから第2段と衛星の分離が確認できていないという状況がございましたので、第2段と衛星が分離されているケースとされていないケースを組み合わせて、4つのケースで解析を実施しました。ロケットと衛星が非分離のケースで空気抵抗がノミナルのケースが一番早く落ちてくるということで、これについては第2回の近地点を迎える少し手前で地球に再突入してくるという形になります。一方、一番長く軌道に存在するケースとしては、非分離で空気抵抗が考えうる最も小さいケースでは、2周回回って次の近地点で地球に再突入するという結果になってございます。そして、衛星とロケットが分離されたケースにつきましてはこの2つのケースの間に存在し、1周回した後に再突入するという解析結果となっております。いずれの場合でも2周回、これは打上げから約4時間ですけれども、打上げから4時間以内に地球に再突入した可能性が極めて高いと評価しておりまして、第2段機体、それから残念ながら衛星はすでに再突入していると考えられます。なお、これによる第三者被害は現時点確認されておりません。
 次のページお願いします。得られたデータの1つということで取得した画像をご紹介するものです。上の図が8号機、下の図が順調にいきました5号機の機体に搭載したカメラの画像でございます。左のフェアリング分離前の画像を見ていただきますと、下側の丸い白い部分がフェアリングの内面、上側の黒い部分が衛星ということになります。分離後の様子を比べますと、衛星の状態が少し変わっているように見えるというのが今回の画像でございます。
 次のページお願いします。続いて、1・2段分離後と衛星分離時の画像でございます。左の画像が、第2段の上部側面に装着されています後方を見ているカメラの画像です。5号機と比べますと8号機につきましては、宇宙空間の黒い部分に小さい沢山の物質が漂っているというようなところが見て取れます。また右下に通常ないような何らかの物体が見えているというのが特徴になっております。右側の衛星分離の時点でございますけれども、下側の5号機につきましては衛星がきちんと写っているのに対して、上側では衛星がはっきり見えず、モヤモヤっとした白いガス状のものが写っております。何らかガスが吹き出しているところに太陽光線が当たってこのような画像になっているのではないかと推測しておりますが、正確に太陽の位置などを精緻に見たうえで写っているものが何なのかというところを明らかにしてまいりたいと考えております。
 
 次のページお願いします。当面の計画でございます。打上げ失敗の当日、12月22日に山川理事長を長といたします8号機対策本部を設置いたしまして原因究明を進めております。対策本部の体制を示しております。原因究明チームにつきましては岡田理事がチームリーダーとして総力を挙げて原因究明にあたる体制をとっております。また三菱重工業の調査対応チームともしっかり連携して進めていきたいと考えております。
 次のページ、今後の計画の続きですけれども、今回のまとめのページになってございます。第2段エンジンにつきましては非常に特異な環境下での作動となりましたが、第1回燃焼まで当該環境に応じて良好に作動を行いました。今後は分離後の挙動に着目いたしまして以下の作業を進めていきたいと考えております。そして打上げ失敗に至った原因を調査するということにしたいと思いますが、これ以外にもあらゆる可能性を考慮して検討を進めてまいりたいと考えております。具体的には、まず事象の把握としたしましては、先ほどお示ししましたカメラ画像を詳細に評価していくということ、テレメーターデータの詳細評価として、例えば時系列の詳細評価や加速度等のデータから機体がどういう運動をしていたかを推定しようと考えております。続く原因究明といたしましては、FTAの作成、製造記録の調査、発生事象に対する仮説としてのシナリオ設定、そして最終的には原因の特定ということで再現試験や再現解析によってシナリオの裏付けとして原因を特定していく、こういったことを考えております。

 次のページからは参考資料です。私からの説明は以上になります。
 
【木村主査】 ありがとうございました。大変丁寧にご説明いただきましてありがとうございました。
少し分量も多かったので振り返っていきたいのですけれども、今回はp12に再集録いただいておりますが、前回の緊急会合で打上げ結果という形でシーケンスを確認したときに、どうもフェアリング分離のところで異常な加速度が計測されていて、それを起点にして色々なことが起きているらしいところまでご紹介いただいていたかと思います。それと、他の号機との違いも質問で出ていたかと思いますが、表で綺麗に纏めていただいて良く分かりました。
 今回の話で、加速度に異常があったというところで、過去のフライトデータと比較いただくことで非常に詳しく状況が分かってきました。特に逆方向にバイアスがかかっていることから、静的な荷重がかなり長いこと残っていそうだということと、6~7Hzというこれまでは計測されていなかったような周波数が見られるという現象が、1点、非常に大きな情報だと思います。
 それから2つ目としては、エンジンの燃料の加圧の状態から考えると正しく動いていたようだと、入り口の圧力上がらないなりにちゃんと機能していたということが考えられるというところ。
 それから3点目が画像ですね。これまでの打上げとは違った事象がどうも画像でも確認されていると、画像で非常に多くの情報が得られる可能性があるという非常に示唆的なデータかと思うのですけれども、画像から色んなことが解釈されていく可能性があるという、そこのデータを付け加えていただいたという、状況について理解するのにつながったかと思います。
 また衛星と機体の軌道上でどういうような状態にあるかというところを追跡いただいて、確実に再突入したのであろうというところまで確認をいただいている。これはもう一つ重要な情報かと思います。
 3つほど伺いたいのですが、まず静的な荷重がかかっているというのは1秒程度というよりはかなり長いことかかっていそうだということで、その後の現象を理解する上で一つ重要な情報かと思いますし、この6~7Hzの振動というのについて何か可能性がある、要は機体から考えてこうした振動が起こりうる可能性というのは何かあるでしょうか。解釈として非常に重要になるかと思います。
 2番目が、フライト後の軌道のプロファイルを検討いただいた中で、非分離の空気抵抗が低い場合というのは計算されているのですけれども、分離された状態で空気抵抗が低かった場合というのは少し伸びるのではないかなと想像したのですが、そこはどのように理解しましょうか。分離時のプロファイルは基本的に空気抵抗がノミナルのケースを計算されたのではないかと想像するのですがどのようになりますでしょうか。
 3つ目はやはり画像のところが気になりまして、分離時に非常にモヤがかかったような画像が得られている、これは明らかに異常であろうと、おそらくフェアリングの分離時に何かが起きたことを示唆しているのだろうということだと思うのですけれども、その前の段階の、フェアリング分離前の時にも、若干モヤのようなものが見えるような気がするのですね。軌道上での画像は入射光が非常に強いので、ブルーミングを起こしたりですね、色んなものが見えてしまう可能性はあって、それを分離しないといけないと思うのですけれども、ここでもうすでに何か現象が起きていたと画像から類推されるでしょうか。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。そして今回もお世話になります。よろしくお願いします。
 1つ目のご質問ですが、1.5秒くらい減衰までかかっているかなということで1.5秒という数字を書いてございます。考えたこととしては何らかの加速度の元となる力が加わって、それが無くなった後機体が何らかの応答をしているということで、どれくらいの力が何秒ぐらいかかったのかというところはこれからの評価ということになりますので、現時点では分かっておりません。それから6~7Hzで何か思い当たるものがあるかというところなのですが、正直現時点で思い当たるものがなく、これから調査してまいりたいと考えています。
 それから2つ目、分離したケースのものですが、こちらは、実は空気抵抗が少ないケースで評価したケースですが、ただし衛星やロケットがどういう状態になっているかによって空気抵抗や質量が良く分からないというところもあるので、ある意味空気抵抗に代表させて評価してみたというところで1ケースしか書いてございませんが、いくつか振ったケースを実際には計算しておりまして、非分離の2ケースの間のどこかには入るであろうという形でお示ししたというものでございます。
 3つ目の画像についてですが、分離前についても何か見えるのではないかというところで、私どももここに着目して見ていかなければならないという意識は持っております。ただし現時点では画像が不鮮明だというところもあって、これが画像の不鮮明さによるものなのか何かあるのかこの辺りは慎重に見極めていく必要があるなというところで、これから画像のシャープネスを上げるような操作ができないかということについても検討を始めているところです。
 
【木村主査】 分かりました。ありがとうございます。この辺りは解釈等も含めてあまり即断するのは宜しくないかなと、私も実は思っておりまして、詳しく見ていくべき非常に貴重なデータじゃないかなと思います。
先生方の方でご質問等いかがでしょうか。笠原委員、お願いいたします。
 
【笠原委員】 ご説明ありがとうございました。3点あります。
まず1点目は、バネによってフェアリングが開頭されるということですが、バネの位置は曲線部の下のところについているという理解で正しいでしょうか。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 バネはフェアリングの内側に装着されておりまして、第2段機体についている円錐状のPSSの方にバネを受ける構造があって、ここからフェアリングの軸に沿って内面に縦にバネがついているということです。ご理解いただけますでしょうか。
 
【笠原委員】 承知いたしました。PSSの面に沿って存在していることは理解できました。
2点目、加速度のグラフがございましたが、1段が作動中なので、地上の1Gあるいは2Gくらいの重力環境下でフェアリングを開頭しているものと理解しました。従いまして、上にしっかり衛星は載っていて、衛星がアダプタ側に押さえつけられた状態で分離が行われていると理解しまして、そうしますと、何らかの重さがあるわけですから、下に押し付けられると、このような波形も出るのかなと予想したのですが、全体が下側に崩れ落ちるような、そういう風なことというのは一つの理解としてはありうると考えてもよろしいのでしょうか。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 構造の特性の変化が何を表すのかというのはこれから慎重に考えなくてはいけませんが、先生がおっしゃったような、何らかの機械的なダメージをここで受けているという可能性はあるのではないかと考えております。
 
【笠原委員】 承知しました。
最後に、エンジンに特段問題がなくて、フェアリングと衛星及びその下のタンクの間で事象が起こっているというのはかなり可能性が高いことなのかなという風な理解をしております。従いまして、もちろん予断を持つことはまずいのではと思うのですが、前回のような長期にわたる検証というよりは、より絞った深い検証作業によって速やかに次の打上げ等に進むこともできるのではないかと風に感じた次第でございまして、大変僭越ながら一言申し上げたいと思います。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】ありがとうございます。最後の今後の計画にも書きましたけれども、今回はフェアリング分離後の挙動が非常に特徴的というところもございます。もちろん決めつけることなく、この辺りに着目しつつ進めてまいりたいと考えております。
 
【木村主査】ありがとうございます。私も、今回、非常に多くの情報がフライト後にちゃんと得られていて、しかも解像度が非常に高い状態で得られているというのは原因究明上良いかなと思っています。それで特定が早く進めば対策も早く打てるということで、今回は迅速に対応いただいているかなと思っております。
 そうしましたら柿沼委員、お願いいたします。
 
【柿沼委員】 詳細なデータをお示しいただきありがとうございます。私は技術的には素人なのですけれども、今のお話では、第2段エンジンの1回目までの燃焼はほぼ正常に行われたということですが、加速度データに異常があったあとに第2段のLH2タンクの圧力が正常ではなく、圧が上がらないというところについての質問です。この点は第2段エンジンが燃焼したので問題がないと考えるのか、例えばタンクに何か小さな亀裂があるとか、その圧が上がらない理由については気にしなくて良いのかというところを教えてほしいです。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。
 私どもとしては、第2段タンクの圧力の低下事象ということについては、まだなぜこれが起きたのかということも含めて深掘りをする必要があると考えております。一方エンジンにつきましては、ここまで検討した結果、基本的には問題はなかったのではないかなと考えておるところでございます。こちらにつきましても予断を持たずに進めているところではございますけれども、現時点ではそのような評価をしているというところでございます。
 
【柿沼委員】 分かりました。エンジンについては動いたというところで、それ以外のポイントについては今後も検討されるというところで承知しました。
 
【木村主査】 エンジンの方は正常に動こうとしているのだけれども、タンクに亀裂なり破壊なり何かの現象が起きて圧が上がらない状況という方が実は原因になって、この現象が全体としては起きているだろうというところまで、ある程度追い詰められてきたというところかなと思います。エンジンの方は圧に対して正しく応答しているというところまでは追いかけられたので、エンジンのトラブルではどうやらなさそうだというところですね。なので、タンクやフェアリングのところが非常に重要なポイントですね。
 そうしましたら、豊島委員、お願いいたします。
 
【豊嶋委員】2点お聞きしたくて、p16の写真画像で、衛星側の一部がちょっとめくれているような感じがしていて、フェアリングが例えばパネルを引っ掛けるようなモードがあったりするのかという可能性を教えていただきたいと思ったのと、もう1点、衛星のアポジエンジンを積んでいると思うのですけども、それがヒドラジンとかだと、地球に落下した時に大丈夫だという確認が必要かと思ったので、その2点は確認したいです。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。
まず1点目につきまして、まだ画像についての詳細な分析はこれからというところでございまして、衛星側の状況につきましては内閣府の衛星でございますので内閣府と協力しまして今後評価を進めてまいりたいと考えております。
 それからもう一つのヒドラジンを搭載した衛星の再突入の安全についてのお話ですが、現時点で第三者に対する被害があったという情報ございませんので、基本的には安全に投棄できた形になっているのではないかなと考えております。
 
【豊嶋委員】 ありがとうございます。同じように外部に聞かれていくと思うので、その説明をしっかりしていく必要があると思うので、よろしくお願いします。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】承知しました。
 
【木村主査】 落下安全については気になるところかと思います。打上げ時の落下安全についての確認は打上げの時の安全監理において行っているので、その辺りの説明と併せて落下時のハザードについてちゃんと対策されているということを補強しておくと良いかなと感じます。中西委員、お願いいたします。
 
【中西委員】 今、落下の話が出ましたので、私の聞きたいことの半分くらいは木村先生のおっしゃったことでもう良いかなと思ったのですけども、1つお伺いしたいのが、落下の経路がこの先どうなったかについて、今回は可能性としてこれくらいの可能性があるということが明らかになったという状況ですが、今後どこまで明らかにされるのかということをお聞きしたいです。明らかにすることで逆読みして原因の方も明らかになることがあるのかも含めて、今後どこまで明らかにする予定かということと、必要性があるのかということについて教えてください。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】私どもとしては、「地球に再突入した可能性が極めて高いと評価しており」という表現をさせていただいておりますが、落下したことや再突入したことを観測できたとか見られたということが事実としてあるわけではありませんので、このような解析によって再突入した可能性が極めて高いと評価しておりますが、私どもとしては再突入していることはもう確実であると考えております。ですので、この先何かこの件について更なる検討をするということは現時点考えてございません。またそれによって何か得られるものがあるとも考えてないというのが実態でございます。
 
【中西委員】 良く分かりました。優先順位があろうと思いますので、その点も含めてこれから進めていっていただきたいと思います。
 
【木村主査】 もう1点だけ確認させていただきたいポイントがあります。p13ページの図について笠原委員との議論で気づいたのですが、フラットの状態でも加速度がかかっているということは機体前方方向に推進されている状態なのですね?
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 おっしゃる通りで、最初の時点で0を示していないというところで、それが機体の並進加速度ということになります。
 
【木村主査】 フェアリングが分離すると、それが、機体の変形等による入力を経て、それが逆方向に振れる、即ち後ろ方向に引き戻される力が働いているという理解ですね。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい。
 
【木村主査】ところが今回の場合はそれだけでなく、機体推進方向逆向きにかかる力がかなり長いこと継続したと読むということですね?1.5秒を超えても、プロファイルを見ると、じわじわ上がってきているところを見ると、何か加速源が逆方向に発生したと見ることはありうるのでしょうか?例えば、p13の図のF8のところとF5を比較しますと、F5に相当するようなパルスが一発入っていますよね。その後、大きく更に振れるという形でベースラインがじわじわ上がってきているように見えます。このパルスが拡がったというよりは、インパルス自体は同じ程度なのだけれども、その後に何らかの別の加速度が被ってこのようなプロファイルを持っているのではないかというような風に見えたのですけれども、その解釈は正しいですかね。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 はい、秒時でいうと0.2秒あたりから何らかの下向きの力がかかっているのではないかと、このデータからは見えます。
 
【木村主査】 見えますね。だから推進方向と逆向きの力がある程度かかり続けた可能性があると。フェアリング分離とは別の加速度源がここで発生した可能性がある、それがフェアリング分離によって誘起された動きである、それで、先ほどモヤであるとか画像的に異常事象が見えているというところがその現象と関係しているのだろうということが、今の推測というところですね。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 まだそこまではっきりと申し上げることができないというところではありますけれども。
 
【木村主査】 そうですね、予断を持ってあたるのは良くないのですけれども、おそらく、今シナリオとして想定されるのは何となくそういう現象なのかなと思いましたので、逆方向の加速の解釈のところは分けて考えた方が良いのではないかと想像したので、これが正しいかどうかは皆さん是非検証いただいた方が良いと思いますが、加速源としては2つの現象に分かれると見えるかなと思いました。これも1つの気づき事項として使っていただけると良いのかなと思います。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 今2つとおっしゃったのは、通常発生するフェアリングの分離に伴う衝撃的な加速にプラスしてもう1つあるというご理解ということでしょうか。
 
【木村主査】 はい、そうですね。フェアリング分離後の加速度のプロファイルに、何となくここで切れ目があるような印象を受けまして、最初のパルスは何となく普段見ているパルスと似ているのですけれども、その後に大きく下がりこむことによって融合しているように見えるのですけれども、別の現象という可能性もあるかなと思います。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 貴重なアドバイスありがとうございます。私どももそういったところ着目して考えてまいりたいと思います。
 
【木村主査】 あくまでも皆さんが現場で見ていただいているデータが正しいのだと思うのですけれども、1つの参考意見として、それが何か新しい気づきになると良いと思いましたので提案させていただきました。
 他、ご意見等はいかがでしょうか。大丈夫そうですかね。
 この短期間に非常に多くの情報を分かりやすくご説明いただけるまでに纏めていただいて感謝いたしますし、ご尽力に敬意を表したいと思っております。これからも大変かと思いますけれども、これを踏まえて次のステップに向かうために、我々の方も協力させていただければと思いますので、是非ご協力をよろしくお願いできればと思います。
 
【有田プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。
 
【木村主査】 この資料の質疑についてはここまでとさせていただきまして、ここまでで報告された現時点での調査状況を踏まえて、8号機の搭載衛星「みちびき5号機」を所轄する内閣府様の方からご発言があると聞いておりますけれどもお願いできますでしょうか?
 
【三上参事官(内閣府)】 本日はオブザーバー参加させていただいております、内閣府宇宙事務局参事官/準天頂衛星システム戦略室長の三上でございます。H3ロケット8号機の打上げ失敗、及び準天頂衛星システム「みちびき5号機」の喪失につきまして、小野田大臣から談話をいただいております。私の方から代読させていただきます。

 「先般行われたH3ロケット8号機の打上げについて、その後、打上げ実施責任者であるJAXAから『みちびき5号機』が喪失したと考えられること、またロケット2段については再突入済みと推定され第三者被害は確認されていない旨の報告を受けました。内閣府特命担当大臣(宇宙政策)として、我が国の基幹ロケットであるH3ロケット8号機の打上げの失敗、及び『みちびき5号機』の喪失を重く受け止めるとともに、文部科学省やJAXAなどの関係機関と連携し、宇宙開発に対する信頼をより高められるよう、全力で取り組んでまいります。
 また、我が国の経済・社会にとって重要な基盤インフラである準天頂衛星システムについて、現行運用中の5機での安定した高精度測位サービスを変わりなく提供し、まずは、みちびき7号機を可能な限り早期に着実に打ち上げることに注力してまいります。そして早期の7機体制の実現に努めてまいります。
令和7年12月25日 内閣府特命担当大臣(宇宙政策) 小野田紀美」

以上でございます。
 
【木村主査】 ありがとうございました。これを踏まえてReturn To Flightを早期に実現できるように我々の方も協力してまいりますので、進めてまいりましょう。
 それでは最後に事務局から事務連絡の方お願いできますでしょうか。
 
【近藤企画官(事務局)】 ありがとうございます。会議資料と議事録の公開について申し上げます。
 会議資料は文部科学省のホームページに既に掲載させていただいております。議事録につきましても、委員の皆様のご意見をまとめさせていただきまして、ご確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。この後16時を目途に事務局よりプレスの皆様向けにフォローアップのための記者ブリーフィングを行う予定としております。なお次回の調査・安全小委員の開催につきましては、今後のJAXAの方での原因究明状況に応じて開催予定とさせていただきます。委員の皆様には後日、日程調整のご連絡をいたします。
事務連絡としては以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございました。それではこれで本日の会議を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

(了)

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