宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第34回) 議事録

1.日時

平成31年1月11日(金曜日) 16時30分~18時00分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局 会議室1

3.議題

  1. イプシロンロケット4号機について
  2. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認に係るJAXAの安全性確認の現状について
  3. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認について
  4. その他

4.出席者

委員

主査  渡邉 篤太郎
主査代理  木村 真一
専門委員  門脇 直人
専門委員  中西 美和
専門委員  野口 和彦
専門委員  古橋 智久

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課長  藤吉  尚之
研究開発局宇宙開発利用課企画官  有林 浩二
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  佐々木 裕未
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  岡屋 俊一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 第一宇宙技術部門
  事業推進部 部長  佐藤 寿晃
  イプシロンロケットプロジェクトチーム
   プロジェクトマネージャ  井元 隆行
 有人宇宙技術部門
  有人システム安全・ミッション保証室
    室長  白井 達也
    主任  高橋 伸宏

経済産業省
 航空機武器宇宙産業課
  宇宙産業室 室長  浅井 洋介

一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構
 研究開発本部
  担当部長  菊池 雅邦

5.議事録

【渡邊主査】 時間がまいりましたので第34回の調査・安全小委員会を開催したいと思います。
 最初にきょうの会議に関する事務的な確認を事務局よりお願いします。

【有林企画官】 本日もお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。
 本日は調査・安全小委員会に所属されています9名の委員のうち6名の先生方に御出席をいただいておりますので、運営規則に定める定足数は満たしているということで、本会議を開催させていただきます。
 次に、本日議題が三つございますけれども、3番目のイプシロンロケット4号機の議題につきましては、機微情報が含まれております関係で、運営規則の定めに基づきまして、当該機微情報を含む部分につきましては、非公開とさせていただきたいと思います。委員の先生並びにプレスを含む一般の傍聴者の方々には御理解と御協力のほうをよろしくお願いいたします。
 また、本日の配付資料のほうでございますけれども、こちらのほうの議事次第の一枚紙にございます4ポツの資料のところに、資料34-1、34-2、34-3という四つの資料がございますけれども、もし過不足等生じているようでしたら、事務局のほうまで御連絡いただければと思っております。
 また、本日3番目のイプシロンの議題につきましては、一部イプシロンを担当する部隊が既に内之浦に入っていますので、説明者以外に本日内之浦と電話回線でつなぎまして、一部細かいところにつきましては、現地のほうから電話にて受け答えをさせていただくというような体制をとらせていただきたいと思っておりますので、大変申しわけございませんが、御理解いただければと思います。
 以上でございます。

(1) 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認に係るJAXAの安全性確認の現状について

【渡邊主査】 それでは、1番目の議題ですが、国際宇宙ステーションに提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認に係るJAXAの安全性確認の現状についてということで、これは昨年3月に開催された調査・安全小委員会で話題になりまして、追加検討、内容の説明をするということになっていたものでございます。JAXAから説明をお願いします。

【JAXA白井】 それでは、資料の34-1につきまして御説明いたします。JAXAの有人システム安全ミッション保証室の白井と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、1ページ目、目次がございまして、目的、要求の体系、それから安全審査の体制、プロセス、それから具体的な解析等のやり方につきまして御説明させていただきたいと思います。
 2ページ目、目的が書いてございまして、国際宇宙ステーション(ISS)に物資等を輸送する補給機「こうのとり」及びJAXAが開発するISSの実験装置等に対して、その安全性の確認の現状として、現在の安全確保の考え方、設計のプロセスについて御説明させていただきます。
 3ページ目にいきまして、まず要求の体系を整理してございます。中央に図がございますが、このうちの左上のところ、IGAとかMOU、これは政府機関の協定でございますが、その下にJMP、COUといったNASA、JAXAの覚書、協定がございます。
 その下に諸々の技術要求ということで、ISSで使っている技術要求が整理されておりまして、ここに書いてございます安全に関してはISSの安全要求、中央の黄色いところのさらに濃い黄色のところに安全要求及び、安全審査のプロセス、安全評価のプロセスを書いた安全審査プロセス要求というのがございまして、その二つが安全に関する要求ということで識別されています。
 番号としてSSPというのが前についてございますが、これがISSの共通的な要求ということになってございます。JAXAとしましては、この二つの要求を取り入れまして、一番下のところでございますが、装置を開発する上での開発仕様書、それから安全・開発保証、S&MAと呼ばれているのですが、S&MAの要求書をつくってございます。
 右下のほうにシステム安全標準というのがございますが、これはJAXA内の安全の標準でございまして、ここにはいろいろ安全に係る品質マネジメント要求等がございます。それも取り入れて、先ほどの開発仕様書、要求書等をつくってございます。
 4ページ目にいきまして、審査体制を示してございます。
 左側がNASAでございまして、右側が日本ということで整理しています。中央がJAXAになっておりますが、下のほうで、まず装置を開発する開発担当、プロジェクト、それから実際に契約等でものづくりをするメーカー等がございまして、そこから安全評価報告書が提出され、それを使って安全評価、安全審査に向けて安全設計の解析をしていくということでございます。
 その上に有人システム安全・ミッション保証室というのがございますが、ここが独立的な立場でいろいろ日々支援、それから評価等を行いまして、最終的にはその上の有人安全審査会というところで審査をして評価を行い、確認を行うということでございます。
 左のほうがNASA側になっていまして、NASAのほうでも安全審査を行ってございまして、「きぼう」、「こうのとり」、HTV等の審査、それから左上のほうですが、実験装置を審査する実験装置の審査というのがございまして、それぞれNASAでも審査を行います。
 このピンクでくくったところが先ほどISSの安全審査のプロセスということで定義しておりまして、そこの範囲としてこういった形で審査をしてございます。JAXAでは有人安全審査会が終わりました後は、安全審査委員会ということでJAXAの上部の委員会にかけまして、その後、右側のほうの本「調査・安全小委員会」に見ていただいているという次第です。
 5ページ目にいきまして、安全確保の基本的な考え方ということで、安全確保の対象ということを書いてございます。
 基本的には搭乗員の死傷を未然に防ぐということで安全確保を行っております。やり方につきましては、これから詳細には申し上げますが、「ハザード」と呼ぶように定義をいたしまして、搭乗員の死傷を起こす要因、潜在する状態というのを特定しまして、そのハザードというのを管理していくという状況でございます。
 6ページ目にいきまして、時間的な流れを書いてございます。中央の黄色い四角がございますが、左から右に開発の流れということで時間が流れております。基本設計、詳細設計、認定試験、製作・試験ということで、設計が徐々に熟していくに従って、先ほどのハザードを中心とした安全設計も成熟していくということで、このようにそれぞれの設計にあわせて行っていくと、中央の青線の下ですが、それにあわせて安全審査を段階的に行っていくという仕組みで動いております。
 7ページ目にいきまして、ここからちょっと具体的な方法になりますが、先ほどのハザードというものを識別しまして、リスクの評価のよく目にする表でございますが、縦軸にハザードの被害の度合い、横軸に発生の可能性、発生確率ということで整理しております。これでハザードがどこに当たるかということを識別します。赤いところが非常にリスクが高いということで、ここのところにあるものは、基本的には打ち上げはしないということで、これを発生確率等を下げて、緑のほうに移し安全であるということで持っていくということです。
 持っていき方としては、7ページの下のところに書いてございますが、まずハザードの除去ということを行って、原因を取り除く設計にしていくということでございます。被害の度合いというのが右下に表に書いてございますが、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳということで一番上が破局的、次が重大、限界・局所的、無視可能といったところで識別しております。
 8ページ目にいきまして、ハザードの除去ということをまずやって、ハザードを取り除くのですが、ハザードが除去できなかったものについては、ハザード制御ということをいたしまして、対策を講じるということを考えます。その対策を講じて、その後にそれが有効であるかという検証を行っていくということでございます。一連のこの作業についてはハザードレポートというものがございまして、これはISSで共通の様式でございますが、それに見える化をいたしまして、そのハザードがちゃんと整理されていることを確認している状況です。
 9ページ目のところになりますが、具体的にハザードの識別の方法として書いてございまして、いわゆるFault Tree Analysis、FTA、ということをやっています。左側のほうに、人員または宇宙ステーション機能の喪失ということを最初に置きまして、そこからどういうハザードがあるか、どういう原因で起こるかというのを分析するということです。これは「FTA」の一例でございまして、不完全ではございますが、そこの出だしのところを書いてございます。
 それから、10ページでございますが、これは逆にFMEAを言われるFailure Mode and Effect Analysis、故障などの解析をいたしまして、今度は逆にこういう故障が起こったらどういうふうになるかということを整理していきます。
 ここではロボットアームの故障のモードということでお示ししておりますが、ロボットアームの故障、いろいろありますが、ここにあるように関節機能の作動不能とか、モータトルクの喪失といった故障モードがあるのですが、これがどういう形になるかというのを分析していきます。この中で青のところは、故障が起こってもミッションフェール、ハザード、安全上の事故にはならないものです。逆にその下のブレーキトルクの低下、喪失といったところは、基本的に衝突を起こすといったハザードにつながっていくことで識別をいたします。先ほどのFTAとこのFMEAというものを使ってハザードを識別しているということでございます。
 ハザードの分類につきましては、11ページに書いてございますが、幾つか先ほどの手法を使って分類しているということです。
現在、標準ハザードというのが用意されておりまして、これは11ページの3ポツのところですが、「標準ハザードレポート」というのは過去の経験をもとに標準化されたハザードの制御・検証がなされていて、そういったものを使って分類していくということと、それから一番下のところですが、これは共通的に用意されたハザードということなのですが、それ以外に装置個別のものについては、「ユニークハザード」ということで識別して整理しているところです。
 12ページにいきまして、ハザードの原因の除去、ここからちょっと細かくなるのですが、具体的にハザード制御、ハザードの対応について書いてございます。12ページは一番最初に述べましたハザードの原因の除去ということをまずやります。ハザードを確認するいうことです。
 例えば、ガラス等が割れた際にけがの原因となるような材料は初めから使わないといったハザードの除去ということをやります。どうしてもそういった材料を使わなければいけないという場合は、(2)にいきまして、ハザードの制御ということで、安全設計によって対策を講じて行うということです。その対策の講じ方については以下、「故障許容の設計」という方法と、それから十分なマージンをとるといった「リスク最小化設計」というのがございます。
 13ページには、具体的な二つが書いてございまして、13ページは「故障許容設計」ということで、いわゆるこれは冗長系をとるといったような形でございまして、一つが壊れてもその次の体制があるというようなやり方をとっています。
 13ページの下のところですが、先ほどのハザードの識別の重大なもの対しては、破局ハザードにつきましては、現在ISSでは二つの故障、それから二つの誤操作、あるいはその組み合わせによって、二つのエラー等が起こっても搭乗員の傷害等に至らないということの対策をとってございます。
 それから、その下については重要ハザードということは、これは一つの故障、一つの操作によって起こっても大丈夫だということをISSでは決めて対策をとってございます。
 14ページにいきまして、ハザード原因の除去ということで、これはリスク最小化設計ということで、十分な故障許容設計がとれない場合については、設計マージン等を十分とって「リスク最小化設計」を行うということです。例えば、構造系とか圧力容器といったものについては、マージンをとってリスク最小化設計を行うということです。
 それから、15ページにいきまして、そのほかに安全装置というものを用意するということもございます。それから、警報とか非常設備ということで、これは何かあったときにクルーにお知らせして、搭乗員が緊急手順をとるといったものをつけてございます。それから、どうしても機械系で頼れないものについては、搭乗員が操作してとめるといったような運用制御と言われている手順とか、それから訓練等を行って対応するという次第です。こういった対策をとっている次第です。
 16ページにいきまして、そういったハザード制御、ハザードの原因の除去といったものは防止対策になりますが、実際に起こったときということも一応考えておりまして、ISSとしては、中央にに書いてございますが、一番ISSとして危険なものとしては、火災と減圧、それから汚染、この三つについては、何か起こったときには対応しようということになってございまして、火災の検知/警報装置をつけたり、それから実際に消火する二酸化炭素の消火器を用意するといったところ、それからどうしても火災をとめられない場合はハッチを閉めて減圧するといった、そういった対策を考えています。最終的には、どうしても間に合わない場合は、ソユーズを使って緊急帰還するといった状況もございます。
 17ページは、今御説明申し上げたハザードの制御の仕方がちゃんと正しくなっているかということを検証することも考えておりまして、17ページはその検証の手段ということでお示ししています。
 検証のやり方としては、ここに書いてございます試験で確認するとか、解析、シミュレーション等を行って問題ないことを確認します。あるいは検査、計測を行います。それから、あとデモンストレーションですとか、こういったところをして、設計に備えた対策が有効であるかという確認を事前に行う状況です。これら検証は、システムが工場から出荷される前に行うのですが、どうしても射場でしかできないという場合には、安全検証追跡ログというのを残して、検証がちゃんと完全に終わるまでログ管理をするという状況でございます。
 18ページにいきまして、こういったハザード制御を行うのですが、先ほど申し上げたハザードの被害の度合いが非常に大きなもの、破局的/Catastrophic、それから重大な/Criticalについては、発生確率が小さい、大きいにかかわらず、全てハザードレポートというものを起草して、ちゃんとその対策がとれているかというのを見える化してございます。
 それから、もうちょっと下のレベルの限界・局所的/Marginalというものにつきましては、ハザードレポートを起草するか、しないかというのは安全審査で議論して、必要であれば見える化して起草するという状況になってございます。
 19ページにいきまして、ここからは安全審査になりますが、今までお示ししたハザード制御等は、実際開発部門で安全設計を行うのですが、開発部門とは独立に安全審査機能を用意いたしまして、安全審査を行って、第三者的な目でそれらの安全設計は有効かという審査を行ってございます。場合によっては技術的な話もございますので、そこの専門家を集めて評価を行うという仕組みになってございます。
 20ページですが、審査のやり方としては、一番最初に申し上げたとおり、設計のフェーズがいろいろ時間によって進みますので、それにあわせて安全審査もフェーズ0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲということで段階的に審査を行うということです。
 審査の内容も設計のレベルにあわせて、一番最初はハザードの識別が正しいかとか、ハザードの原因がちゃんと特定されているかといったところからハザードの制御、それからハザード制御の機能がちゃんと生きているかという確認を段階的に確認していくという状況です。
 21ページは、安全審査を行う上での安全評価報告書になりますが、これを各プロジェクト、メーカーのほうでつくりまして、これをもとに安全審査を行っていくという状況です。この中に先ほど来御説明申し上げているハザードレポートというのを示して、それが妥当であるかということを確認していきます。
 22ページは、これは安全審査のやり方になりますが、3段階ありまして、「パネル審査」というのが1番目ですが、これは審査員を集めて会議形式で審議を行うというのものです。それから、もうちょっとレベルの低いというか、簡易なものについては「文書審査」、それからもうちょっと簡易なものについては「議長承認」ということで評価をしております。
 23ページですが、これは今までの安全審査のやり方の中で最近できた仕組みですが、JAXAの有人安全審査能力というのがNASAからも大分認められてきていまして、平成22年から日本が開発する実験装置の審査についてはJAXAの審査だけでよいと、JAXAの審査の結果をNASAの審査として代表させるということで、フランチャイズと言われる権限の委譲がなされて、これに従って安全審査を行っている次第です。幾つか程度はあるんですが、こういった仕組みにも基づいて審査している次第です。
 24ページ、25ページは添付資料ということで、25ページは安全設計の流れを一つにまとめたもの、26ページは安全解析の手順を示したものでございます。詳細は割愛させていただきます。
 説明は以上です。

【渡邊主査】 どうもありがとうございました。
 御意見、御質問等があればお願いします。

【野口委員】 どうも御説明ありがとうございました。
 流れはよく分かりました。いろいろなリスク分析手法等も使ってやられているということはよく分かったんですが、9ページ、10ページ、11ページに各々一つずつ質問があります。
 根源的な話から言うと、11ページの標準ハザードですが、これを見たときにあれと思うのは、こういう宇宙船のようなもので一番大きい人間というハザードが全然入っていないなというのが「あれ」という感じがします。機械設計上の話で、機械系の中での話になっているのですが、人間というのは守るべき対象であると同時に、一番ハザードの要因にもなるわけで、それの話が入っていない評価でいいのかというのが1点と、あとほとんど制御系の話が余りなくて、いろいろなAI等も搭載したものに関するサイバーセキュリティとは言わないけれども、これらの制御系のハザードがないなというのが質問です。
 それから、次に分析で、今回の資料はこういう手法でやっていますということなので、この手法に出てきている分析の詳細さとか整合性みたいなものを余り見るものではないということは承知しているのですが、多少気になったことだけ言っておくと、9ページのFTAの中身で、二つこれを見て感じるのは、まず「きぼう」内の火災の原因として、この三つの要因がアンド事象としているというのはロジカル的に過不足は全くない、きちっとした分析だと思っているんですが、ただ実際の分析のときには、実はこれより下部の分析が重要で、「きぼう」内の可燃物の存在とか発火点の存在をどういうロジックで洗い出すかということ自体が一番技術的なキーになるというところですね。
 それの類似として、その下の「きぼう」内の減圧というところを見ると、これは前から気になっていることなのですが、減圧の下の三つというのはアンド事象に論理的に100になっているかという、こういう話なんですけれども、シール、弁のリーク、次がちょっと気になるのがいきなり「きぼう」内の与圧による構造破壊とか、物体の衝突による構造破壊という原因系と漏れるもののセットで書いてあるのですよ。
 こういう構造で本当に網羅できるのかという、過不足がないのか。例えば材料の劣化というのはどこで見るのだとか、分かりやすく言うと、そういうところが結構抜け落ちていて、こういうロケットのFTAが経験則の固まりでできていて、必ずしも論理的展開になっていないという可能性があって、そこを危惧しているというのが2点目です。
 3点目は、これは安全性評価としては別に問題ないと思っているんですが、今回調査・安全小委員会が必ずしも安全だけじゃなくて、ミッションの達成度ということまで考えるという面から見ると、次の10ページのところで「きぼう」ミッションの制約というところでハザードにはならない。たしかに安全なハザードにはならないのですが、ミッションの遂行というところに関しては、結構重要なハザードだなと思っていて、当然安全の遂行とミッションの遂行と別々の評価をやられていると思っているのですが、これがどうしてもある面プロジェクト全体のリスクというものをどう捉えるかというところの整合性がそろそろ必要になってきていて、人的に問題がなければ成功というわけではないので、そこら辺も含めてアンド事象を今後いろいろな展開を教えていただければと思います。
 以上三つ、質問と意見を踏まえたものです。お願いします。

【JAXA白井】 まず、最初の御質問は、人間がハザードというのはどちらかというとセキュリティに関するような話ですか。

【野口委員】 例えば、活動ミスというのもあるし、機械系統なら極端に言うとオン、オフだったりするのですが、人間というのは余計なことをするとか、例えばよくあるハザードは、通常のトラブル対応をしていると、そこにふだんとは違う行動が起きて、それが思わぬことをやってしまうと、よくあるパターンですよね。
 もっと言うと、標準ハザードとすると、質量というのは、それに加速度を加えたら力になりますから、質量があるもの自体は実はハザードになるので、そういうハザードの見方というのがこれもかなり経験的に今まで事故があったものをハザードとして並べているような感じがあって、これからより詳細な分析をしていくときに、もう少し基本的なロジックに基づいた展開があったほうがより詳細な分析になるのではないかという、そういう趣旨の話です。

【JAXA高橋】 まず、人的なミスに関しましては、13ページのところで白井のほうから説明させていただきましたように、一つの故障と一つの誤操作というのはまさに人のオペミスということで、「操作ミス」ということは考慮しているということでございます。
 それはどこのときに起きるかといったときに、起きるものと起きないものがありますが、まず原則としてはヒューマンエラーというものを一つのエラーとして考慮し、何かしら宇宙飛行士が操作ミスをしたときにも、故障が一度にカタストロフィとしてなだれ式に起きないようにということで考えてございます。

【JAXA白井】 今の話に関しては、先生おっしゃった9ページのFTAがございますが、これはおっしゃるとおり、確かにちょっと頭の部分だけ書いてあるような感じでして、この下にさらにこれがなぜ起こるかというのを少し分析して、例えばロボットのアーム操作というものは機械的な暴走もあるのですが、人間がコマンドを間違えるとか、そういったものを含めて識別しておりまして、さっき高橋が言ったそういうオペミスも含めて、オペミスのフェールと考えて、それをとめるような対策を図りました。

【野口委員】 分かりました。繰り返し言いますけれども、今回は手法をこういうのを使っているという例なので、そこの分析の精度を示す資料じゃないと思っていますので、この資料だけどうこう言うわけではないのですが、実際にこういうものの分析をする立場からすると、さっき言ったようなあるところから先の分析をより精緻にできるかどうか、すごく難しい技術的な問題なのですね。
 それから、同じヒューマンファクターの取り扱いもオペミスという感覚になるじゃないですか。でも、そうじゃなくて、普通に人が生で生活していることによる障害ってあり得るはずなのですよ。だから、どうしても物事が限定的になって、ヒューマンファクターは操作するときのミスという格好になって、人間がいることによること自体がハザードだという考え方をしていかないと、実は長期滞在になればなるほどいろいろなことが起こり得るわけで、そういうことは例えば初期はいいにしても、だんだん試験を回していくにつれて標準ハザードも見直さなきゃいけなくてという、そういう意見だと思って聞いてください。

【JAXA高橋】 ありがとうございます。
 もう一点お伝えしたかったことがございます。
 ISSは一つ特殊な状況でありまして、まず宇宙飛行士しか滞在していないということで、人のある程度特定ができているという状況がございます。また、宇宙飛行士には訓練というものを課してございまして、例えば開発した装置を誰でも扱えるようにマニュアルをつくっているというのは、地上と軌道上で訓練を実施し、その訓練を受けた飛行士が原則操作するというところがございますので、これはお伝えしたいということです。

【野口委員】 それは承知しています。ただ、当たり前ですけれども、専門家だからミスをしないわけではないので、でも状況はよく分かりました。

【JAXA白井】 という意味では、先ほどの材料とかというのも、これには入っていないのですが、例えば先ほどの構造破壊といったところも、材料が不適切で構造破壊するという、さらにブレークダウンしていったところでは材料の選定とか、そういったものも含んでおります。

【野口委員】 分かりました。どうもありがとうございます。

【渡邊主査】 ほかに御質問、御意見等ございますか。

【木村主査代理】 先ほどの野口委員のコメントと関連するのですけれども、ハードウエアの部分だけではなくて、ソフトウエアとか制御の部分のロジック、その辺の安全とか信頼度、この辺の確保の仕方というものをもしアイデアとか実際導入されていることがあったら教えていただきたい。それは自分も専門はそこなので、非常に難しいというのはよく分かっているんですが、何かアイデアがあればということです。

【JAXA白井】 先ほど要求の説明を申し上げたのですけれども、実は要求の中にソフトウエアを安全制御に使うという場合についても、リクワイアメント、要求がございまして、それが結構細かくありまして、いろいろなソフトウエアのチェックをするとか、試験をするとか、それから結構いろいろなことを要求されております。

【JAXA高橋】 ソフトウエアに関しても特別な要求がございまして、ソフトウエアを使う場合に、基本的に一つのコンピュータの故障で複数のハザードが解除されてはいけないというところをまず重視してございます。
 具体的にいろいろな手法があるのですけれども、またちょっと特殊なものとしては、常に動いているものが安全な状態と、動かないことが安全な状態と、この二つを分けて、どちらのアプローチをとるかということで、それぞれの対策のとり方が詳しく決められているものがございます。これが一例でございます。あとまた最近はサイバーセキュリティ関係のもので、通信回線を第三者に妨害されないようにと、そういった要求も新たに加わってございまして、そういったものへの対策等も行ってございます。

【木村主査代理】 多分これから先ソフトウエアの占めるポーションが大きくなっていきます。安全と利便性って相反する部分があって、それでいろいろな機能をソフトウエアの中に多分頼るようになってくるのですが、それが意図どおりにできているかとか、ハザードを生まないかとかということを先ほどの話で幾つか例はあったと思うのですが、体系的に少し整理して考えられておくとよいのではないかなと思います。こういうポリシーで検証していくというのを整理されておくと、より分かりやすいし、中で活用されるときに活用しやすいと思うんです。

【古橋委員】 どうもありがとうございました。
 11ページの中で、標準化されたもの以外で制御・検証するハザード、ユニークハザードというふうにございますけれども、具体的にこういう中で起草された事例のようなものがあれば御紹介していただきたいということと、先ほどの野口先生のお話とも絡むんですけれども、いわゆる標準ハザード自体も、それ自体の中身にも、さらに新たないろいろなハザード、リスクというものを検証した上で、新たに盛り込んだようなものとか、事例としてあれば御紹介いただければと思います。

【JAXA高橋】 この後説明のありますSOLISSというものも関係するのですが、レーザーを搭載しているものに対してですが、レーザーにはいろいろな強度によってクラス分けがされてございます。一番市販されていて、特にそれほど日常生活でも問題ないというクラス1のレーザーに対しては、標準ハザードの中で取り扱われます。
 なぜかといえば、日常生活でも余り人への影響も少ないものでございますので、目に直接当てなければいいとか、そういった一般的なことでカバーできるものは、この標準ハザードの中で扱えます。しかし、それよりも強度の高いレーザーについては、それぞれ特別な制御が必要になります。
 例えば、レーザーを必要ないときには電源を遮断してとめなければいけない。そういったものは、この標準的な制御方法ではよらないものでございますので、個別にユニークハザードレポートを起草しまして、その電源が幾つありまして、それをどういった形で制御し、遮断するかということをハザードレポートの中に記載しています。

【古橋委員】 私も鉄道の事業の中の安全を考えていきますと、昨今起きている事象というのは、よかれと思って設計を重ねてきて、使っていて、ずっと起きていなかったのですけれども、ちょっとした環境の変化、例えばなのですが新幹線で列車本数がふえることによって、じわじわといろいろな影響が及ぼすようなことによって起きているような事象といいますか、そういうのもございますので、ぜひこの辺は私どももしっかり勉強していきたいと思いますし、JAXAさんにおいてもしっかりとお願いできればなと思います。

【中西委員】 ここまでの議論に関連するところですけれども、11ページの標準ハザードで、三つ目のところに過去の経験をもとに標準化されたハザードをひな形としているということなのですが、具体的に言うと、基本的に件数が多いものをというような、もしくは経験したものが並んでいるというか、そういう形なのですか。

【JAXA高橋】 どのような開発品に対しても、共通的に考慮しなければいけないものというのがございます。それが材料でありましたり、それからオフガスの話、それから毒性物質を使っているかどうかというのは、どんな開発品に対しても必ず確認しなきゃいけませんので、そういったものは必ず入ってございます。どちらかといいますと、14個、候補に挙げられて項目はチェックリスト的なもので、これらについては必ず一とおり、ハザードがないかと確認していると、それに加えてさらにほかのハザードはないかという観点で我々はハザードの識別をしてございます。

【中西委員】 そうすると、今後この標準ハザードそのものが見直されるか、ユニークハザードが繰り返し起こるものが出てくると拡張していくというような、そういう予定ですか。

【JAXA白井】 それはそういうブラッシュアップはしていくということはございます。

【JAXA高橋】 実はこれはふえる方向と減る方向と両方ございます。共通的な方法でやってみて、いい場合もありますが、逆にそれでは十分な制御ができない場合には、それは個別に制御手段は定めてやりましょうということで、その時期によってふえたり、減ったり、あるいは統合されたりということがございます。

【中西委員】 あともう一つなのですけれども、言葉の問題かもしれないですが、ここにある標準ハザードは、どちらかというと故障モードとか、そういうふうに見えるのですけれども、要は個々のハザードに対するハザード、この中でハザード原因という言葉が使われているんですが、そちら側にもいわゆる標準化というか、そういうようなリスト対応をされていくというようなことでしょうか。

【JAXA白井】 先ほど言ったほとんどチェックリスト的な状況になっていまして、ハザードのタイトルと、それからそれを制御する方法がオプションとして幾つかありますので、それを選択していくというような形になります。

【門脇委員】 安全審査体制ということで少しお聞きしたいのは、審査する人のほうも見逃しなどがあるといけないので、これは何かそういう人たち、安全審査をする方に対しては教育とか訓練とか、あるいは場合によっては何か資格とかがあるのか、そういう一定のレベルを保つための仕組みというのは何かあるのでしょうか。

【JAXA白井】 安全の評価をする側としてですか?

【門脇委員】 例えば、4ページで右のほうに有人システム安全・ミッション保証室というのがありますよね。ここにいる方は安全評価報告書というのをいただいて、それを見て、これは大丈夫かという評価をされるわけですね。その評価をする人たちのレベルのことです。

【JAXA白井】 これは私の部屋になりますが、一つの装置だけじゃなくて、いろいろな装置の安全評価報告書が出てきますし、それから先ほどのシステムもそうなのですけれども、こういったものをメンバーで評価しているということで、我々のレベルとしては、そういったものを評価しつつ、同じレベルであるようにミーティングをしたりとか、中でレベルをあわせたりということはやっております。

【JAXA高橋】 そのほかに、NASAのフランチャイズのもとに我々は安全審査をしてございます。年に1回、NASAの安全の専門家の人たちが来日しまして、我々の安全評価が適切にできているかということについて監査を受けてございます。その中でチェックをされてございます。

【野口委員】 最後にしますけれども、2点あって、これまでの流れを聞いていると、「法律安全」、つまりハザードを除去して、ハザードを除去できないものは小さくするという法律安全の考え方が入っている構造として安全を見ようとするタイプの考え方と、FTAのように「機能安全」で追いかけているという二つの考え方が一緒になっていて、これをうまく組み合わせると強いと思っているのですが、実はこの二つをうまく組み合わせるって意外と難しくて、構造安全系の技術者は、なかなか機能系のところが同じような扱いになってしまって、本来の機能系の分析がうまくできないという弱点をずっと持っています。そこら辺はぜひお気をつけいただきたいと。
 それから、私もNASAの権威は認めているのですが、ただ宇宙の世界ではNASA、原子力の世界ではIAEAのお墨付きを持ったということがいつも出てくるのですが、ほかの分野から見ると、だからどうしたということになって、完璧な組織があるわけではないので、くれぐれもNASAからお墨付きを得ているということで安心されないようにということだけは、老婆心ながら申し上げます。

【JAXA高橋】 ありがとうございます。
 まさにNASAとは日々安全についてお互いに意見しあいながら我々からもNASAの安全の考え方が不適切だというものに対しては、安全要求の見直しとか改善、もっといい手法を提案するということをしてございます。

【JAXA白井】 先ほど監査というのがあったのですけれども、監査はどちらかというと、受けるという意味合いが多いのですけれども、最近は監査というよりは、「コミュニケーション」をしてレベルを確認するとか、お互いレベルを確認するということも、場合によってはございます。

【渡邊主査】 ほかに何かありますでしょうか。
 ちょっと時間もありますので、よろしいですか。
 それでは、今いろいろ議論になったことなどを参考に、今後の業務を進めていただきたいと思います。
 次の議題に移りたいと思います。

(2) 国際宇宙ステーション(ISS)に提供する実験装置(軌道上実証光通信装置(SOLISS))に関する安全確認について

【渡邊主査】 次は国際宇宙ステーションに提供する実験装置で、今回は軌道上実証光通信装置に関する安全確認についてということです。

【JAXA白井】 引き続きまして、34-2の資料に基づきまして御説明します。
 先ほどの安全審査のプロセスに従って、今回その対象として軌道上実証光通信装置、SOLISSというものですが、それの御説明をさせていただきます。
 1ページ目にミッションの目的が書いてございまして、これは低軌道、地上間において光ディスク技術を利用した精密指向制御技術の光通信技術を確立するもので、これはJAXAとソニーさんが共同研究をしております。それに向けた軌道上での技術実証を行うということで、小型通信機器を開発しまして、それを「きぼう」に搭載して実験をするというものでございます。
 1ページ目に装置の概要が書いてございますが、左側に図が描いてございまして、このような形になってございます。
 一番下のベースプレートのところに制御装置がありまして、メインは左側のロボット的なところの図がありまして、レーザーを出す光通信部、それからその下に2軸ジンバルと言われる向きを変えるメカニズムがあります。それから、その横のところにモニタカメラというのがございまして、これはジンバルの機能を確認するためについてございます。重さとか大きさはそこに書いてあるとおりです。
 ここで安全基準確認としては、先ほどレーザーを出すという機能と、それからレーザーを出す光通信機のところにガラスがあるということと、それからモニタカメラもガラスになっていますので、ガラスがあるということ、それから2軸ジンバルということでジンバルで稼働するというところがありまして、これを船外の曝露のところにおきまして実験をいたしますので、EVA、船外活動をするクルーとか、それから技術点検クルー、ほかの輸送機に対して影響があるかというところが安全上の観点になります。
 2ページ目にいきまして、実際の実験システムの全体像としては、ISSに先ほどの機器を搭載いたしまして、地上局は、これは光の地上局になりますが、そこと通信をして実験、実証をするというものでございます。
 3ページ目にいきまして、搭載の位置が書いてございまして、左下のほうにステーションの写真がございますが、一番手前のほうに、左が「きぼう」になってございまして、写真手前のほうに今進んできていると、進行方向は手前のほうになってございます。
 拡大した図が右のほうにあります。図で申しますと、「きぼう」のこのポイントのところに中型曝露実験アダプタというのをつけますが、これをつけまして、先ほどのSOLISSを船内で中型曝露実験アダプタに取りつけて、それをここに取りつけるという状況です。
 4ページにシナリオが載っていまして、左上から先ほどの実験装置の梱包ということで、ソフトバッグと言われるクッションを入れた箱に入れまして、ロケットで打ち上げるということです。それを軌道上で開梱いたしまして、エアロックと呼ばれるところで先ほどの中型実験アダプタ、ICTのものですが、それの取りつけを行いまして、エアロックから船外に出して「きぼう」のロボットアームで先ほどの曝露部のポートにつけて実験を行うということです。ほぼ1年間実験を行いまして、先ほどの光通信部とモニタカメラにつきましては、ほぼ1年後なのですが、運用が終わった後回収します。半年間の実験を行って回収を予定してございます。
 5ページ目に実施体制が書いてございますが、左下のところですが、先ほどのこの装置の共同研究ということで、JAXAの宇宙探査イノベーションハブのセクションとソニーコンピュータサイエンス研究所とで共同開発しております。先ほど安全審査の観点からでは、有人システム安全・ミッション保証室と有人安全審査会、安全審査委員会ということで安全審査を行っているという次第でございます。
 6ページ目にいきまして、対象フェーズということで、この左側の打ち上げから回収までを示してございますが、対象としましては打ち上げから回収まで入ってございますが、主には宇宙ステーションISSにいるときの安全評価になります。ただ、ここで矢印として打ち上げとか回収を含めていますが、これは例えば打ち上げについては、打ち上げのときの加重とか、そういったものに装置がちゃんと耐えられるかという評価を行っているということで、対象範囲に含まれております。
 7ページ目にいきまして、今後の予定でございますが、有人安全審査会としましては、フェーズ0/1/2を去年6月28日にやりまして、最後のフェーズ3を10月30日、それからその上の最後のJAXAの安全審査委員会を来週1月15日に行う予定というふうになってございます。

【渡邊主査】 御意見、御質問等があればお伺いするんですが、その前に今の最終ページにもありますように、説明をさせていただきたいと思います。
 本件の安全審査が本来の目的ですが、それと次の議題のイプシロンロケット4号機の打ち上げが控えておりますので、その両方の議題をこの小委員会で1回で対応しようということで、当初予定していた日にちから事務局を通じて日程の調整変更をしていただきました。
 それで、今この表示されているような状態で、まだJAXA内の手続が完了していない状態ですので、きょうの審査は安全審査が完全にできるような資料になっておりません。それで、審査資料そのものはJAXA内の手続が終了し次第、できれば書面で審査をしていただけたらと考えております。
 その点に関しても委員の皆さんの御意見をお伺いしたいんですが。もし書類審査だけで片付かないような内容がありましたら、JAXA、あるいは事務局から丁寧に直接説明していただくという、個別にということになろうかと思いますが、そういうことも検討してはいただきたいと思いますが、まずは書面での審査で今後の審査、結論を出していただけないかというふうに考えております。
 ということですので、今後の審査に影響があろうかと思われる点などを特に重点的にきょうの概要説明をしていただきましたので、それに追加の口頭説明等をお願いするなり、そういった御質問等をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【野口委員】 基本的にその方向で結構だと思っているんですが、ちょっとお願いがあるのは、締め切りを2回設けていただきたいと思っていて、まず自分が個人でいただいた書類で意見を具申して、委員の意見を1回戻していただきたい。ほかの委員の意見によって、ということであればというふうに気づくこともあると思うので、2回廻していただいて、それが特に問題なければ、それで私はよろしいと思うし、最終的には主査のほうの御確認いただければと思っています。
 もちろんそれで集まったほうがいいという意見が委員の中から出てきたら、何らかの措置をとっていただくという前提で、そういうやり方で私は結構だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【渡邊主査】 では、そういう方向で具体的な日程は事務局で御検討いただきたいと思います。

【有林企画官】 分かりました。ありがとうございます。

【渡邊主査】 きょうの概要説明に関して、御質問、御意見等ありましたらお願いします。
 私から1件、これは後の審査資料等にいろいろ書かれるかもしれませんが、説明があるのかもしれませんけれども、このガラスレンズですか、ガラスが使われているということですね。それが外に出ているわけですので、デブリが衝突して破損するというようなことはあり得るわけですね。それが直ちに安全上の問題となるかどうかは分かりませんが、そこが破損すると実験はそこでできなくなる。そこまでで実験終了ということになりますね。それはそういうリスクだということですね。

【JAXA白井】 リスクはあります。

【渡邊主査】 対応しようがないと言えば、対応しようがない。

【JAXA高橋】 ただし、ISSに関しましては、常にISS周辺のデブリを監視してございまして、監視できるデブリに対しては、ISSの軌道を変えることで回避するということで、少なからずもリスクを避けるということはできるかと思います。それはSOLISSというペイロード単体ではなくてISS全体でリスクを下げるということです。

【渡邊主査】 これで心配になるのはもっと管理できないような微細なデブリということですか。

【JAXA高橋】 どちらかといいますと、宇宙飛行士が船外活動をしたときに、宇宙飛行士がふいに触ってしまって破損するところを気にしてございます。

【渡邊主査】 ほかに何か御質問等ございますか。

【木村主査代理】 1点だけ確認させてください。
 この後の手続的な部分になると思うのですけれども、安全審査をする対象となるフェーズというのは、回収までのところというふうに理解すればよろしいんでしょうか。運用フェーズの中でどこまでの安全というのを見ればよいのかということになりますか。

【JAXA白井】 回収フェーズは先ほどの6ページに審査範囲が入ってございますが、回収に当たっては、スペースXの担当になると思いますが、同じように梱包して入れるんですけれども、それが正しくできているかというような確認であるかと思うんですが、それも含めて帰還するとき、そこのインターフェースがちゃんと守れているかというところは安全の範囲になると思います。

【JAXA高橋】 もう少し補足しますと、スペースXでの帰還を予定してございますので、スペースX側が無事に回収するのか等、その回収作業に当たっては我々は審査をしてございません。

【JAXA白井】 私が申し上げたのは、その作業をするのはスペースXですけれども、そこにインターフェースが切られていますので、そのインターフェースに合致したところというのは、こちらの作業となります。

【木村主査代理】 スペースXとの作業インターフェースの安全確保については、この委員会の範疇にあると、帰還そのものはスペースXマターという、そういう理解ですね。

【JAXA白井】 そうです。ミッション達成も含めて安全に帰るというのは、スペースXのほうの作業になると思います。

【木村主査代理】 この図で言うと、要はJAXAの対象範囲というのは、そういう意味では、この委員会の対象範囲と同じという理解でよろしいですね。分かりました。

【渡邊主査】 ほかに御意見、御質問等ございませんでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。本件はこれで終わりにしたいと思います。
 JAXA内の手続が完了し次第、先ほどの点よろしくお願いいたします。

(3) イプシロンロケット4号機について

【渡邊主査】 次の議題はイプシロンロケット4号機についてです。
 これは前回の調査・安全小委員会で説明がありましたように、この小委員会では安全審査をするということはありませんが、打ち上げの情報を説明していただいて、今後の活動に資するということにしましたので、そういう趣旨での説明となります。よろしくお願いします。

【JAXA佐藤】 JAXA第一宇宙技術部門の事業推進部長をしております佐藤です。よろしくお願いいたします。
 今回のイプシロンロケット4号機は来週打ち上げということですので、主力部隊は、内之浦、種子島等に行ってしまっておりますので、質問対応で今テレコンだけは通じておりますので、説明は私のほうからまずさせていただきたいと思います。
 本内容につきましては、12月に利用部会のほうで一応御説明させていただきましたけれども、今回の変更点を中心に御説明させていただきたいと思います。
 イプシロンロケットですけれども、経緯という形で今回の流れをざっと線表にしてございます。
 現在、第1段階というふうに囲っているところの最後のところに来ているところでございまして、試験機が平成25年度、2013年度に打ち上げられまして、それと並行して強化型開発と能力向上等の開発を進めてきております。昨年度、3号機を「ASNARO-2」打ち上げで成功いたしまして、それに複数衛星の搭載構造、機能付加をした形で今回4号機の開発を行いました。ここまで終えると第1段階の開発そのものが終了するというところでございます。
 後ほど細かくお話ししますが、右側にこの第1段階で得られた主な成果ということで四つほど書かさせていただいております。後ほど細かく話しますので、割愛させていただきます。
 現在、下に書いてあります第2段階ということで、イプシロンは現在のH-ⅡAの例えばSRB-Aを活用したりということで、共通の設計等を用いてございます。H3時代には固体ロケットも変わってしまうとか、アビオニクスも変わってしまう、そういうこともございますので、それにあわせた形で、H3とのシナジーを発揮できるような開発をして、運用が継続できるようにしていくための開発をスタートしてございます。
 実は第2段階のほうは、現在業者を選定中というところで、内容を詳しくは御説明できないのですけれども、将来に向けて競争力のあるロケットを開発していこうということをこれから開始するというステータスにございます。
 次のページから、先ほどの第1段階での主な成果ということで簡単に示してございますけれども、まず一つ目はコンパクトな打ち上げ運用ということで、左上にありますように、前身でありますM-Ⅴロケット、これは管制室の中での写真ということになりますが、60人ぐらいの人がいろいろな系統の点検をするという、ある程度昔ながらの打ち上げの方式をとってきました。これを右にあるような自動点検等のいろいろな新たな仕組みを導入いたしまして、現在は管制室に最終的にいるのは6人ぐらいで管制をするような、非常にコンパクトな打ち上げ管制の仕組みを構築してございます。
 それから、二つ目は世界トップレベルの衛星搭載環境と書かさせていただきました。従前、固体ロケットは少し環境が大型ロケットに比べて厳しいという点もございましたけれども、それを全て払拭するということに第1段階で成功してございます。
 射点の図がございますが、この射点のいろいろな解析を含めた工夫をいたしまして、中央にありますように音響環境、これは大型のいろいろな液体ロケットとも比べていますが、イプシロンはかなり低い環境を実現してございます。あと右側が正弦波環境ということで、これもイプシロンはほかの並み居る大型ロケットに比べると、かなり低いレベルを達成できてございます。
 それから、3ページは衝撃条件です。火工品を使った分離方式からリンクを使った優しい分離方式にすることで衝撃もぐっと抑えまして、H-ⅡAそのものも1、000Gということで世界レベルなのですが、それと同じレベルを達成しておりますので、小型ロケットとしては世界トップレベルの衛星搭載環境を実現し、お客さんに優しいロケットということを達成してございます。
 それから、丸3ですが、太陽同期軌道の投入、高い軌道投入精度ということで、昨今衛星の商業需要としては、太陽同期のほうに入れられる衛星が主流になってきていまして、従前は科学衛星等を打ち上げておりましたので、長楕円というような軌道が多かったのですが、商業にも対応できる太陽同期の軌道の能力を持たせることができました。3号機の「ASNARO-2」でも、ここにある精度で非常にぴたりと投入するということになります。軌道投入精度を高めると、衛星側で使う燃料が削減できるということで、寿命の延長にもつながり、これもユーザーフレンドリーな対応ができたというふうに考えてございます。
 それから、丸4はこれが来週打ち上げの4号機に適用したものですが、昨今大学を含めて、いろいろ小型衛星の展開がベンチャーを含めて活発になってきてございます。こういうことも踏まえまして、革新衛星ということでJAXAのほうで公募を含めて顧客衛星を集めまして、7個の衛星を載せられるような金色の部分の搭載構造のところを新たに開発し、こういうマルチの打ち上げにも対応できる能力をイプシロンとして保有するということを今号機で実施をしたいと考えてございます。これが第1段階の成果の内容になってございます。
 4ページは、3号機と4号機の違いということですけれども、機体構成を含めて基本は強化型のオプション形態というもので、基本は変更はございません。黄色くハッチングした部分のところが複数衛星搭載構造にあわせた分離方式ということで、変わったところでございます。
 それから、5ページが先ほど写真も出ましたけれども、こういった構造を採用しました。
 左の図で上が今、あいているところに一番大きな衛星、今回ではRAPIS-1という衛星が載ります。その下に三つほど主方向に放出するような形の少し小さ目の衛星を載せる搭載部分を開発し、そのさらに下の下部パネルに超小型衛星、1U、2U、3Uといったようなキューブサットを放出できる機構をつけるということで、いろいろなタイプの小型衛星の打ち上げ能力を保持してございます。下にあるキューブサットの放出機構は、ステーションで現在放出のサービスを始めてございますが、これをイプシロン用に改修したものを使っているということでございます。
 それから、6ページに今回の4号機での飛行経路とシーケンスオブイベントを示してございます。
 基本的に右側のシーケンスで言いますと、15番ぐらいの小型実証RAPIS-1という衛星を分離するところまでは3号機までと基本的には変わりません。その後、左側の図で言いますと、南米のところでRAPIS-1を分離した後、一個一個小型衛星を分離していきます。分離した後、1回逆噴射をして軌道をちょっと下げて次の衛星、また同じように逆噴射をしてちょっと軌道を下げて次の衛星、そういうのを繰り返して、カナダぐらいまでの領域で全ての衛星を分離するシーケンスを組んでいます。
 今回、最初の衛星の分離はリアルタイムで確認できるんですが、後半の小型衛星の分離はリアルタイムで確認できないということで、1周回して、また日本の上空に来たところで捕捉できるように、今道具立てはそろえておりますが、ちょっと確認には時間がかかるというものになってございます。
 7ページからは、準備状況ということで流れを書いております。
 9月に1段モータを搬入した後、各段の点検等を行いまして、先日現地のリハーサルを行っております。
 8ページのほうは、その写真ということでごらんいただければと思います。
 9ページが今回の小型衛星部分で、小型衛星を載せている状態を示しております。
 上の列にあるように、中央部にある小型衛星三つは横の状態で載せていきまして、その下にキューブサット放出機構をつけた後、最終的に下段の中央にあるようになっており、上にRAPIS-1という衛星を載せると、こういうような組み立てをして、現在はロケットに搭載された状態まで来てございます。
 以上が準備状況でして、10ページはまとめになりますけれども、今回は4号機としては初めて複数衛星の同時打ち上げをするということです。
 それから、今回全面施行となっております宇宙活動法による国内初の打ち上げということで、活動法におかれましては、JAXAも一打ち上げ事業者という扱いになりますので、時間をかけて、11月15日に向けて許可をもらえるように進めてきてございます。
 ここにあるような「型式認定」の認定書をイプシロンそのものの設計が妥当かというのをまずもらいます。それから、内之浦という施設が打ち上げに適しているかというものを「施設認定」、それと今回4号機の打ち上げでどういう安全が確保できるかという、こういう3階建ての認定をとるという形で既に許可を受けております。
 後ほど非公開のセッションでお話ししますが、一部変更申請をかけてございますけれども、打ち上げまでに取得できるようにしてございます。
 以上で、打ち上げは来週の1月17日、予定時間としては9時50分から9時59分ということで予定をしてございます。
ちょっとビデオを用意してございます。

【JAXA佐藤】 CGも含めて今回の打ち上げ用につくったものです。流れが先ほどの説明よりは分かりやすいと思いますのでご覧ください。

(ビデオ視聴)

【JAXA佐藤】 正確に打ち上げて徐々に移行していくという打ち上げの部分は基本的には3号機までと変更はございません。
 1段燃焼終了後にフェアリングを切り離して1、2段を分離、2段、3段が点火します。2段目には姿勢制御装置がございませんので、安定させる意味でスピンをかけます。2、3段を分離して、その後、3段を点火します。3段が燃焼した後にPBS、これは見にくいですけれども、小型のガスジェット装置を使用して回転をとめていきます。PBSで軌道投入精度を上げるような省推力の加速をして、最初のRAPIS-1を分離します。RAPIS-1は、JAXAで初めてベンチャー企業に委託して開発した衛星になります。
 その後、機体を反転して一旦逆噴射をかけて、少し軌道を下げる形にした後、また姿勢を横にする形をとって、下の小型衛星分離になります。これを各衛星ごとに繰り返していくようなイメージで徐々に分離させていきます。
 この後キューブサット系を放出いたしまして、一番最後にALE衛星を分離します。流れ星を人工的につくり出す装置で、なるべく軌道が低いほうがいいということで、一番最後に少しずつ軌道を下げて一番最後に分離するというシーケンスになっています。以上が今回の流れです。
 あと分離機構周辺の試験の様子もご覧いただけます。
 これはリングだけを模擬していますけれども、ここでこれだけだと分かりにくいんですけれども、こういうリンク機構で火工品で切るよりも速度が遅く切れますので、これまでの火工品でばちっと切るよりも衝撃レベルがかなり抑えられる機構で衝撃発生部分の環境条件を緩和しています。
 分離機構の一部は外国製なんですけれども、超小型衛星用の分離機構、ライトバンドと呼ばれる分離機構の分離試験、一番最後がキューブサット系です。これも試験としてはころっと出てくるだけですけれども、扉が開いて押し出される。映像がちょっと古いですが、蓋があいてぽっと衛星が出てきます。こういうような分離方式の説明概要は以上です。

【渡邊主査】 どうも説明ありがとうございました。
 御意見、御質問等ありましたらどうぞ。

【木村主査代理】 今回の変更分で言うと、複数衛星打ち上げということで、3段での姿勢変更が大きなクリティカルポイントかなと思うんですけれども。

【JAXA佐藤】 先ほどの分離方式ですね。

【木村主査代理】 そうです。複数衛星を要は放出方向に向ける姿勢をとらなきゃいけないと。そこの部分は今回初めて導入されて、検証等はどのようにされたのでしょうか。

【JAXA佐藤】 基本的にはPBSと言われるガスジェット装置、これは3号機からやっていますので、それの省推力で出ていくようなところだけという意味では、それほど費用はかかっていません。従って、ソフトウエアでそれを切りかえていくとか、そういうところは今回初めて開発したところです。

【木村主査代理】 分かりました。

【渡邊主査】 ほかにございませんか。
 非公開セッションもありますので、それでは時間もちょっと押しておりますから、公開での部分はここまでとさせていただいて、審議を一旦中断したいと思います。

(4) その他

【渡邊主査】 非公開セッションに移る前に事務局から連絡事項をお願いします。

【有林企画官】 会議資料と議事録の公開について御説明させていただきます。
 本日の会議資料ですけれども、運営規則にのっとりまして、非公開部分を除きまして、今後後日文科省のホームページのほうにて掲載をさせていただきたいと思っております。また、議事録につきましても、この後の非公開部分は除きましたものを委員の皆様に御確認いただいた後に、こちらにつきましてもホームページに掲載するような形で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【渡邊主査】 それでは、非公開のセッションに移りたいと思います。
 プレスの方、それから一般の傍聴者の方は御退席をお願いします。

(プレス、傍聴者退席)

以上

 (発言者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課