宇宙開発利用部会(第39回) 議事録

1.日時

平成29年12月6日(水曜日) 15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.議題

  1. 国際宇宙探査の在り方について
  2. 新型宇宙ステーション補給機プロジェクト移行審査の結果について
  3. H-ⅡAロケット38号機の打上げに係る安全対策について
  4. その他

4.出席者

委員

部会長  白石 隆
部会長代理  青木 節子
臨時委員  芝井 広
臨時委員  白井 恭一
臨時委員  髙橋 德行
臨時委員  高薮 縁
臨時委員  藤井 良一
臨時委員  油井 亀美也
臨時委員  吉田 和哉
臨時委員  米本 浩一
調査・安全小委員会 主査代理 渡邉 篤太郎

文部科学省

研究開発局長  		   田中 正朗
研究開発局審議官  		   大山 真未
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長 庄崎 未果
研究開発局宇宙開発利用課企画官  山之内 裕哉

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 有人宇宙技術部門
有人宇宙技術センター/センター長 若田 光一
有人宇宙技術部門新型宇宙ステーション補給機プロジェクトチーム/プロジェクトマネージャ 伊藤 徳政

5.議事録

【白石部会長】  それでは,時間になりましたので,宇宙開発利用部会の第39回会合を開きたいと思います。まず,事務局から今日の会議に関する事務的な確認をお願いいたします。

【事務局(山之内)】  事務局でございます。本日は宇宙開発利用部会に御所属いただいている17名の委員のうち,10名の先生方に出席いただいております。運営規則に定める定足数の要件を満足しております。よって,本日の会議が成立していることを御報告いたします。

 次に,本日の資料でございますが,お手元の議事次第の4ポツのとおりお配りしております。過不足等ありましたら,適宜事務局にお申しつけいただければと思います。

 なお,下線の資料39-3-1と39-3-2でございますが,非公開資料となっておりますので,非公開審議の際に配付の後,改めて回収という形になります。

 また,本日予定しております3件目の議題,H-ⅡA38号機の打ち上げに係る安全対策でございますが,ロケットの打ち上げに係る機微な情報が含まれているため,運営規則第3条2号の定めにより,この審議及び資料については非公開とさせていただきます。

 事務連絡は以上でございます。

(1)国際宇宙探査の在り方について

【白石部会長】  どうもありがとうございます。

 それでは,議事に入りたいと思います。

 最初は,国際宇宙探査の在り方についてでございます。前回の部会において,国際宇宙ステーション,国際宇宙探査小委員会の藤崎主査から検討状況について御報告を頂きました。それ以降の検討を踏まえて,小委員会の取りまとめ結果を報告いただくことになります。今日,藤崎主査は都合がつかないということでございますので,宇宙利用推進室長の方から報告を頂きたいと思います。

 それでは,庄崎室長よろしくお願いします。

【事務局(庄崎室長)】  より資料39-1-1,-2に基づき藤崎主査の報告について代読を行った。

【白石部会長】  どうもありがとうございました。

 報告内容について,何か御質問,御意見等ございますでしょうか。

 高薮委員,どうぞ。

【高薮委員】   我が国がプレゼンスを示すことの重要性など,概要案について非常によいまとめがされていると思います。一つだけ質問したいところがあります。資料39-1-1の中央に費用対効果の高い形で確立するとありますが,費用対効果が高いということに関する詳細のリファランスはどこで確認できるかを教えていただけますでしょうか。

【事務局(庄崎)】  現段階では,例えば費用の規模であるとか,ではどのぐらいの効果がというところが分析ができているわけではなく,そこまでの具体的なプロジェクトになっているわけではないということがございます。ただ,今後検討していくに当たり,この点は非常に重要であるということで,文言が入れられております。

 ということで,議論をする中で何かそういった資料が出されたということではございませんでした。

【高薮委員】  分かりました。非常に難しい数値になるかと思いますので,今後はいろいろな側面がありますので,プロジェクトの一つ一つに対して,費用対効果はいろいろ違うと思うのですけれども,資料が出てき次第,参照していただけると良いと思います。

【白石部会長】  ほかに何かございますか。

  油井委員,どうぞ。

【油井委員】  前回と繰り返しになる部分もありますけれども,検討していただいた内容については本当に有り難いと考えています。

 最近,日米首脳会談でも取り上げていただいたということもありますし,今後のメディアの取上げもあるかもしれないですけれども,私が肌で感じているのは,半年前と比べると,明らかに宇宙飛行士に対して,次は月ですかと聞かれる方が,一般の方やメディアも含めて,すごい多くなってきています。やはり,盛り上がりというのは,いろいろな方々が努力しているおかげで来ていますので,ISEF2に向けて,この調子で検討を進めていただければよいと考えております。そう感じているということをお知らせいたします。

【白石部会長】  ありがとうございます。

 ほかに何かございますでしょうか。

 ないようでしたら,これまでの審議も踏まえ,資料の39-1-1,39-1-2について,小委員会からの提案を決定するということで,よろしいでしょうか。

  (「異議なし」の発言あり)

【白石部会長】   どうもありがとうございます。

 それでは,御異議がないようですので,決定といたします。

(2)新型宇宙ステーション補給機プロジェクト移行審査の結果について

【白石部会長】   次は,二つ目の議題で,新型宇宙ステーション補給機プロジェクト移行審査についてとなります。

 JAXAは,プロジェクトの企画立案と実施に責任を有する立場から,新型宇宙ステーション補給機のプロジェクト移行審査を実施いたしました。宇宙開発利用部会では,JAXAが実施した評価結果について報告を頂いて,調査審議を行うということにしております。

 今回は,実施フェーズに移行する際に行う事前評価の位置づけです。

 それでは,JAXAから説明をよろしくお願いします。

【JAXA(若田)】  JAXA国際宇宙ステーションのプログラムマネージャを担当しております若田でございます。本日は,JAXA有人宇宙技術部門の浜崎理事の代理で参加させていただいております。

 今,部会長からお話しいただきましたように,新型宇宙ステーション補給機プロジェクトに関しましては,本年8月31日にプロジェクト移行審査を実施いたしました。その結果,プロジェクト移行が可能と判断しております。本日の部会におきましては,実施フェーズ以降の妥当性について,調査審議をお願いいたしたいと思います。

 詳細に関しましては,この新型宇宙ステーション補給機HTV-Xのプロジェクトマネージャであります伊藤の方から,今日お手元に用意させていただきました資料に基づきまして,説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【JAXA(伊藤)】  より資料39-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは,これについて何か御意見等があればおお願いします。どうぞ吉田委員。

【吉田委員】  どうも御説明ありがとうございました。大変すばらしいプロジェクトで,ISSに物資を補給するということだけではなくて,それ以降の技術ミッションの可能性も搭載した計画ということで,すばらしいものだと思います。技術的な観点から三つ教えていただければと思いまして,質問させていただきます。

 一つは重量の件でございます。輸送能力は45%増えているとの御説明でした。資料を見ますと,打上げ時の重量に関しては,カーゴが増えているにも関わらず,従来のHTVから1ton軽量化できているということですが,軽量化が可能になった一番のキーテクノロジーはどこだったのかということについて,構造をシンプル化したというお話もありましたので,もう少し詳しい御説明いただけると有り難いと思います。

 2番目は,基本性能の中にISSでの係留期間が最長6か月と,従来よりも長くすることができるとのことですけれども,その係留期間の長さを決める要因,技術的なファクターは何かというのを,教えていただければと思います。

 3番目は,技術実証に関する発展ミッションのところでございます。12ページの表は非常に興味深く,かつ野心的な案がたくさん書かれてございます。例えばCis-Lunar軌道へチャレンジするというようなこともございます。こういうことを考えると,かなり軌道変換,ΔVのための燃料が必要となると思います。最初の重さの質問に戻りますが,打上げ時15.5tonという中に,この燃料が全部含まれているということになろうかと思いますが,より挑戦的な技術実証をするときには,燃料の積み増しをするのか,あるいはこの15.5tonという挑戦的なコンフィグレーションで可能なのか,その辺のところを教えていただければと思います。

【白石部会長】  どうぞ,いかがですか。

【JAXA(伊藤)】  それでは,最初の質量の低減について御説明いたします。

 17ページを御覧いただければと思います。

 まずこちらの図,左側の現行のところでは,与圧部,それから非与圧部という二つのカーゴを積む部分が上になっております。これを支える,ロケットの打ち上げ環境に耐えるための構造がこの下の電気モジュール,推進モジュールで,システム全体を支えるためのこれらモジュールの構造部材が重くなっておりました。

 そこで,今回は与圧モジュールを下に持ってくる。もともとこの与圧モジュールは非常に頑丈ですので,構造的には耐えるようになります。そのかわり,従来の電気モジュール,推進モジュールを上に持っていくことによって,構造的により軽量化が可能になったということでございます。それが一番大きな理由です。

 それから二つ目,係留期間につきましては,ISSの軌道は400kmぐらいで,このHTVで係留期間の長さを決めている一番の要因は,原子状の酸素でありまして,それに耐えられる構造,特に太陽電池パネルにつきまして,原子状の酸素から守る,そういう工夫が必要です。HTV-Xにつきましては,太陽電池パネルを守るためのコーティングを工夫いたしまして,最長6か月の係留ができるというところを技術的な改善を図っております。これが二つ目でございます。

 それから三つ目,12ページの特にCis-Lunarの軌道を一つ,具体的に御説明いたしますと,こちらで例えば丸15にCis-Lunar軌道対応化,あるいは丸14に大型エンジンとのI/F等がありますが,先ほどの17ページに戻っていただいてよろしいでしょうか。左側の現行HTVでは,一番下に三角が三つあるのですけれども,これは大型エンジンです。回りに幾つか黒くこの三角,何個か見えますけれども,これがもう少し小型のエンジンです。HTV-Xにつきましては,全体的に配置されていたこれらの小型のエンジンを,サービスモジュールの真ん中あたりに,少しホーンみたいなのが見える,集約されているかと思うのですけれども,こちらに集めました。これが一つ,シンプルになった大きな特徴ではございます。ISSに行くためのエンジンをこちらで賄っております。かわりに,この大型のエンジンにつきましては削除することが可能となっております。

 Cis-Lunarに行く場合には,この大型のエンジンを活用いたしまして,例えば曝露カーゴ搭載部のところに大型エンジンのモジュールをつけることによって,軌道変換が可能です。そういうような既存の技術を使った大型エンジンを追加することによって軌道が変えられます。また,当然推薬も必要になっておりますので,タンクにつきましても,大型のタンクをあらかじめ搭載できるように準備しているところでございます。

【吉田委員】  どうもありがとうございました。

 最後の点確認ですけども,そうしますと,技術実証ミッションの内容によって,このサービスモジュールのアレンジを組みかえて,いろいろな今後のミッションに対応可能だと,そこが特徴であると,そういう理解でよろしいでしょうか。

【JAXA(伊藤)】  そうですね。技術的なニーズがあって,実現性があった場合には,我々の方でそういう実験ができるように,準備する計画としているところでございます。

【吉田委員】  どうもありがとうございました。

【白石部会長】  ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ,髙橋委員。

【髙橋委員】  御説明ありがとうございました。2点ほどお伺いしたいと思います。

 22ページにHTV-Xのプロジェクトの開発費が記載されておりますけれども,2号以降の定常運用になった場合のときのコストが幾らかということと,それを現状のHTVと比較して,HTVが幾らでHTV-Xが幾らになるかということを,一つお伺いしたいと思います。

 2点目は,このミッションも是非成功してほしいわけですけれども,大事なのはフェイルセーフではないかなと思っています。そこで,HTV-Xのフェイルセーフの基本的な考え方,あるいは基本的な方針,もしそのようなものがございましたらお伺いしたいと思います。

 以上です。

【白石部会長】  どうぞ。

【JAXA(伊藤)】  まず,一つ目の2号機以降のコストにつきましては,現在1号機の開発を進めておりまして,その中で精査をしているところでございます。ただし,先ほど御説明しているとおり,構造はよりシンプルになっていること,また,エンジンにつきましても従来よりも簡素化しており,部品点数も少なくなっているということで,従来よりもコストダウンが図れると考えております。具体的な数字につきましては,現在精査しているというところでございます。

 それから,二つ目のフェイルセーフの方針についてです。

 まず,このISSに物資を輸送するということにつきましては, HTVのときから安全については,非常に慎重に,確実に設計されておりました。HTV-Xにつきましては,その設計方針を踏襲しております。大きく変えることなく,リスクを低減して開発を進めて,確実な安全を確保しています。

 具体的な例を申しますと,HTVで確立しております冗長系を三つ持ちまして,一つ壊れても二つ目の冗長系で,安全に輸送ができる。更にもう一つ壊れた場合,つまり,三つのうち二つ壊れた場合でも,もう一つの最後の系を使って確実にISSから離脱する。そういうHTVで確立された実績があります安全の方針につきましては,HTV-Xでも踏襲しているというところでございます。

【髙橋委員】  ありがとうございました。

【白石部会長】  青木委員,どうぞ。

【青木部会長代理】 ありがとうございます。7ページのカーゴ引渡し時期についてです。

 24時間以内のレイトアクセスができるということは,確かにユーザーにとって,非常にサービスの面で向上していると思うのですが,安全審査については具体的にどのように行うのでしょうか。

 例えば,極端な例かもしれませんけれども,微生物を仮に積むとします。バイナリー兵器のような形でAとBがあり,別々のときには問題がなかったとしても,宇宙空間上でA,Bが融合することによって,兵器になってしまうというようなことが仮にあるというふうに考えますと,最終的にチェックは24時間前ということで,安全の確認が確実にできるのかどうか。その点はどういう工夫がなされているのかということを教えてください。

【JAXA(伊藤)】  御期待のお答えになるかどうか分からないですけれども,このカーゴにつきましては,あらかじめ安全性も含めて審査いたしまして,それで審査を通ったものを載せますので,多分御懸念の点につきましては,問題なかろうかというふうに考えております。

【青木部会長代理】 ありがとうございます。審査したものが引き渡されて,HTV-Xに積み込まれるときに,すりかわるというようなことはないのでしょうか。

【JAXA(伊藤)】  それにつきましては,24時間前に引き渡す場所は,ロケットの射程に近いところです。もうロケットにHTV-Xが搭載されている段階ですので,ユーザーが射程の近くまで持ってきていただいて,私たちHTV-Xの運用者に引渡しを受けて,そこで確実に搭載するという手順を踏んでおりますので,すりかわるということはないと考えております。

【青木部会長代理】 ありがとうございます。

【白石部会長】  それでは,米本委員。

【米本委員】  

四つほど質問させてください。一つ目は,HTV-Xの規模がHTVに比べて軽量化されて,ペイロード能力が上がっているということは,非常に良いことだと思うのですが,載せるロケットがH3になりますので,ペイロード能力に余裕が出てしまうのではないかという質問です。要するに,H3の本来の能力を余らせてHTV-Xを運んでしまうということにならないかということです。

それから2番目の質問は,髙橋委員の質問と重複するところがあります。HTV-Xの開発着手が認められたのは,新規の開発費を含めても,1回当たりのHTV-Xの打上げ費用が低コストでできるという見込みがあるという経緯によるものです。初号機のコストを上げたところで,改めて精査するという御説明がどのような意味なのか疑問に思います。したがって,この資料の中には,HTV-Xの低コスト化シナリオがきちんとできているかどうかも含めた説明にして頂きたいです。

 3点目の質問は,以前も指摘したことがある点についてです。資料9ページ目について,確かにCRS2という基準で並べると,HTV-Xは非常に優秀な輸送機であると思います。私は,この比較を支持する方であり,けちをつけるつもりはありませんが,ドラゴンと比較するのはフェアではないでしょうか。ドラゴンは,再利用されましたし,有人ということも視野に入れた宇宙船ですから,そういう意図でのシステムをたくさん積んでいます。したがって,ドラゴンに勝ると簡単には言えないのではないでしょうか。逆に,これでは誤解されかねません。

 最後4番目の質問は,資料13ページ目のサクセスクライテリアについてです。私は,このサクセスクライテリアが出るたびに一言述べることになります。本来,フルサクセスだけでいいと私は考えています。エクストラサクセスを目的にすると,要求されていないものを開発することに繋がるので,コストが高くなるからです。このエクストラサクセスに掲げられている「ユーザー要求以上の特殊カーゴを搭載できたか」というのは,その目的に対応できるよう要求以上の設計がされているから達成できる訳なので,余計な開発コストをかけています。その一方で,設計されているものを実証することになるので,その意味においては,エクストラサクセスには該当しないのではないでしょうか。

 同じように,レイトアクセスに関しても達成できるように設計されて,その通りのものができているのであれば,エクストラサクセスではないのではないかと思います。

サクセスクライテリアには賛成しませんが,それでもこの資料は誤解されるような表のつくり方になっています。発展化要求において,本来設計されている対象以外にこれを流用されることは,エクストラサクセスと考えても良いかもしれませんが,敢えて言う必要もないことと考えます。

私の方からの質問とコメントは,以上です。

【白石部会長】  どうもありがとうございます。

 どうぞ,お願いします。

【JAXA(伊藤)】  まず一つ目のH3ロケットの能力をもてあましているのではないかという点につきましては,H3ロケットにつきましてはいろいろな形態があると認識しておりまして,その中でHTV-Xを輸送する際に一番適した形態を選択しますので,決して能力を無駄に使うことにはならないと考えております。

 具体的には,18ページに示していますが,形態といたしましては一番右下に書いておりますH3-24L形態で,メインエンジンと固体ロケットブースターの組合せを最適化しておりますので,これがHTV-Xを無駄なく打上げる形態となっております。そういう意味では,最適になっているというふうに考えているのが一つ目でございます。

 それから,二つ目の1回当たりのコストにつきましては,御指摘の趣旨は理解しておりますが,現在1号機目の設計の段階でありますので,現在,具体的な数字は出せないということでございます。ただし,現行HTVを続ける場合に比べまして,確実に低コストができると考えております。

 それから三つ目,ドラゴンの再利用,9ページです。私の方で少し9ページを説明する際,確かに優位というか,特徴については重点的に説明いたしましたけれども,決して全てが勝っているわけではなく,9ページにも書いてありますように,カーゴ回収能力については,ドラゴンとか,あるいはドリームチェイサーが大きな能力を持っておりまして,HTV-Xはそれにつきましては,確かに少し落ちる面もあるかと思います。そういう意味では,全てが勝っているというわけではありませんけれども,一つ大きな特徴としては,輸送・廃棄能力につきましては,勝っているというふうに考えておりますので,そこにつきましては,少し特徴的に御説明いたしました。少し誤解を与えるようでしたので以上の補足をいま説明いたしました。

 それから最後,13ページのエクストラサクセスについてですが,もともと設計されているものにつきましてはフルサクセス,あるいはフルサクセスを延長するくらいのカーゴにつきまして,設計されているものについて,エクストラサクセスということを最後に達成するということを言うつもりは全くなく,我々が今後,全く予想していないカーゴというのが多分出てくるだろうと思いまして,それにつきまして,少し設計変更をするとか,あるいは運用方法を変えて,それで対処するということについて,カーゴを搭載できた段階にはエクストラとさせていただきたいということでございます。

 現状,想定されているものにつきましては,既にフルに入れておりますけれども,今後想定以外のもの,更に設計変更なり運用変更なりがある場合につきましては,その場合にはエクストラとさせていただきたいと,そういうことを書いております。

【白石部会長】  芝井委員,どうぞ。

【芝井委員】  二つ質問させていただきます。

 ISSへの輸送ということに加えて,大変面白い用途がいろいろ考えられて,魅力的な計画だと思います。分からない点がありますので教えていただきたい。実際にミッションとして運用されるときは,ISSへの輸送というのがプライマリーの重要な部分であって,そちらはスケジュールと重量は多分決まっており,それに乗せられる技術実証ミッションを後で選ぶということに,多分せざるを得ないと思うのですが,それはどういう方法で,誰が選ぶのかということがよく分かっていないです。その点についてお教えいただきたいというのが1点です。

 2点目は,ISS以外のものへの輸送も想定されているのかどうかという質問です。

 以上です。

【白石部会長】  いかがでしょう。

【JAXA(伊藤)】  一つ目のミッションの選定方法につきましては,どのようなやり方がよいかというのをJAXAの中で,検討しているところでございます。

 資料の31ページにも書いておりますが,プロジェクト移行審査の際に,外部の評価委員からもこのプラットフォームの機能の提供につきましては,利用が重要になりますので,今後関係するところと協力して,議論を進めてください,というコメントいただいておりますので,それに沿って,現在まずどのような形でミッションを選定していくかと,まずはJAXAの中で,今,検討しているところでございます。

 それから,二つ目のISS以外への輸送につきましては,現状はISSへの輸送を考えておりまして,それ以外の輸送につきましては,現状のミッションの中では考えておりません。

【白石部会長】  ほかにございますか。

 高薮委員,どうぞ。

【高薮委員】  私もプラットフォーム機能についての質問となります。ISS離脱後にプラットフォームを提供するということですが,係留中でそれができないというのは,規則によるものでしょうか。6か月係留しますと,いろいろできるかなと思ったのですが。

【JAXA(伊藤)】  まず,絶対できないかといったら,多分それはないとは思います。ただ,一つ懸念しておりますのは,係留中の電力となります。必ずしもユーザーの皆さんに満足いただけるような電力を提供できるのかについてです。ISSに係留されているときには,太陽電池パネルがISSの影になることがあります。よって,満足に電力を提供できるかという懸念がありますので,現在,無理にはここで実験を行っていただきますというふうには言っておりません。今後検討する中では,係留中にどのぐらい技術実証ミッションができるかというのは,当然考えていきたいと考えております。

【高薮委員】  ありがとうございます。

【白石部会長】  白井委員,どうぞ。

【白井委員】  24ページについてですが,主要なリスク二つを抜粋したと書かれておられます。これは審査の結果,リスクが大,中と評価されたのがこの二つだけだったという理解でよろしいでしょうか。

【JAXA(伊藤)】  はい。大きなものについてはこの二つで,もちろん別途リスクとしては,いろいろなものを上がっておりますけれども,今回報告させていただくのは二つということです。

【白井委員】  つまり,リスク中あるいは大でここに載っていないものもあるという理解でよろしいですか。

【JAXA(伊藤)】  はい,そうです。

【白井委員】  分かりました。可能であれば,それについても示していただければ有り難いなという気がいたします。

【JAXA(伊藤)】  大きなものはこの二つ。あと細かいもについては幾つかあります。ここで御報告する内容でないと判断いたしまして,今回二つだけにしております。

【白石部会長】  ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。

 それでは,御質問も出尽くしたようでございますので,今回の報告についてはおおむね計画どおりに検討が進められているという判断でよろしいでしょうか。

  (「異議なし」の発言あり)

【白石部会長】   それでは,今日の報告内容については,了承したいと思います。

 報告どうもありがとうございました。

【JAXA(伊藤)】  どうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(4)その他

【白石部会長】  これ以降の第3の議題は非公開となりますので,議論の連続性を持たせるために4番目の議題,その他を先に実施したいと思います。

 その他については,事務局の方からお願いします。

【事務局(山之内企画官)】  事務局でございます。

 会議資料と議事録の公開について申し上げます。

 宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして,本日の会議資料は議題3を除き,公開となります。後日,文科省のホームページに掲載させていただく予定でございます。

 また,議事録についても議題3を除き公開となりますので,委員の皆様に御確認いただいた後,文科省のホームページに掲載させていただきますので,よろしくお願いいたします。

 事務連絡としては以上でございます。

【白石部会長】  どうもありがとうございます。

それでは,引き続き審議を進めたいと思いますが,先ほど事務局から冒頭に連絡がございましたとおり,これ以降の議論は,ロケット打ち上げに関わる機微な情報が含まれておりますので,非公開で審議したいと思います。プレスの方及び一般傍聴者の方は御退席をお願いいたします。

(傍聴者・報道関係者 退室)

以上

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課